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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】無質量混合システム、及び使用方法
(51)【国際特許分類】
   B01F 33/451 20220101AFI20241106BHJP
   B01F 35/22 20220101ALI20241106BHJP
   A61M 15/00 20060101ALI20241106BHJP
   B01F 101/23 20220101ALN20241106BHJP
   B01F 101/22 20220101ALN20241106BHJP
   B01F 101/06 20220101ALN20241106BHJP
【FI】
B01F33/451
B01F35/22
A61M15/00 Z
B01F101:23
B01F101:22
B01F101:06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527180
(86)(22)【出願日】2022-11-08
(85)【翻訳文提出日】2024-06-19
(86)【国際出願番号】 US2022049294
(87)【国際公開番号】W WO2023081519
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】63/277,162
(32)【優先日】2021-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.JAVA
3.PYTHON
(71)【出願人】
【識別番号】524170979
【氏名又は名称】ノブ ヒル セラピューティクス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】メックストロース,ジェームス
【テーマコード(参考)】
4G036
4G037
【Fターム(参考)】
4G036AC27
4G037DA30
4G037EA10
(57)【要約】
無質量混合システムであって、電源と、無質量駆動器であって、チャネルを形成するカラーを含む、無質量駆動器と、導線と、上記チャネルと連通する第1ハウジングとを含む、無質量混合システム。無質量混合システムは更に、磁気応答素子、回路、第2ハウジング、又はそれらの組み合わせを、含むことができる。無質量駆動器は、ソレノイド駆動器、ブラシレス直流駆動器、他の無質量駆動器構成、又はそれらの組み合わせを、含むことができる。無質量混合方法であって、混合されるべき材料を提供する、ことと、上記材料の一部を混合容器に入れる、ことと、上記材料を磁気応答素子と接触させる、ことと、電力を無質量駆動器に印加するよう、ソフトウェアをプログラムする、ことと、電力を上記無質量駆動器に印加する、ことと、上記磁気応答素子に電磁場を印加することとを含む、方法。
【選択図】図5A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無質量混合システムであって、
電源と、
混合容器と、
前記混合容器内で少なくとも部分的に配置された磁気応答素子と、
前記混合容器と連通する無質量駆動器と、を備え、
前記無質量駆動器は、
チャネルを形成するカラーと、
前記カラーを中心に少なくとも部分的に配置された導線と、を備える、無質量混合システム。
【請求項2】
前記無質量駆動器は、電磁場を前記混合容器に印加する、請求項1に記載の無質量混合システム。
【請求項3】
前記無質量駆動器は、前記混合容器を中心に少なくとも部分的に配置されている、請求項1に記載の無質量混合システム。
【請求項4】
前記無質量駆動器は、少なくとも部分的に混合容器の下方に配置される、請求項1に記載の無質量混合システム。
【請求項5】
前記無質量駆動器は、ソレノイドを含む、請求項1に記載の無質量混合システム。
【請求項6】
前記無質量駆動器は、マルチコイル多相駆動器を含む、請求項1に記載の無質量混合システム。
【請求項7】
前記無質量駆動器は、前記磁気応答素子の垂直方向、及び水平方向の動きを制御する複数の無質量駆動器を含む、請求項1に記載の無質量混合システム。
【請求項8】
回路を更に含む、請求項1に記載の無質量混合システム。
【請求項9】
前記回路は、前記無質量駆動器に供給される電力を制御する、請求項8に記載の無質量混合システム。
【請求項10】
前記無質量駆動器を中心に少なくとも部分的に配置された第1ハウジングを更に含む、請求項1に記載の無質量混合システム。
【請求項11】
前記混合容器の上に少なくとも部分的に配置された第2ハウジングを更に含む、請求項1に記載の無質量混合システム。
【請求項12】
フィルタを更に含む、請求項1に記載の無質量混合システム。
【請求項13】
前記フィルタは前記混合容器の上に配置される、請求項12に記載の無質量混合システム。
【請求項14】
前記無質量混合システムを通る電気の流れを制御する、プログラマブルソフトウェアを更に含む、請求項1に記載の無質量混合システム。
【請求項15】
無質量混合方法であって、
混合されるべき材料を提供する工程と、
少なくとも部分的に前記材料の一部を混合容器に入れる工程と、
前記材料を磁気応答素子と接触させる工程と、
電力を無質量駆動器に印加する工程と、
電力を前記無質量駆動器に印加する工程と、
前記磁気応答素子に電磁場を印加する工程と、を含む、方法。
【請求項16】
前記材料をフィルタに接触させる工程を更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記磁気応答素子を回転させる工程を更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記磁気応答素子を垂直方向で移動させる工程を更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記磁気応答素子を水平方向で移動させる工程を更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記電磁場は、それぞれ異なる力を印加する複数の電磁場を含む、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2021年11月8日付けで出願された、「MASSLESS MIXING SYSTEM AND METHOD OF USE」と題する米国仮特許出願第63/277,162号の優先権、及びその利益を主張し、同特許の明細書、及び特許請求の範囲は、参照により本明細書で援用される。
【0002】
本発明の実施形態は、無質量混合システムを備える、乾燥粉体ネブライザを含む、無質量混合システムに関する。
【背景技術】
【0003】
実験室、及び産業での混合は、制御不能な方法によって制限されてきた。通常、混合は溶液、又はスラリ中で行われ、その中で、混合を単一軸を中心に実行する。単軸混合の例には、セメント混合トラック、又は卓上撹拌板がある。他の混合形態としては、それぞれソニケータ、又はシェーカなどによる振動撹拌、あるいは振とうがある。方法に関わらず、混合には、既知の時間にわたって、ユーザが、例えば、溶液又はスラリを含むことができる材料に、毎分回転数、周波数、あるいは、他のパラメータを適用する必要がある。材料自体は外力によって操作されるが、この外力には、可動表面、振動溶媒、あるいは、磁気応答素子(「MRE」)、例えば、撹拌子などが含まれ得る。
【0004】
現行の混合技術には多くの制約がある。例えば、回転中のセメントトラックのシリンダが含水セメントに不均一に力を加える場合など、材料が均一に混合されないことがある。材料には粘性があったり、あるいは不均一であり得るので、長時間の混合が必要となる。例えば、溶媒中で凝集した粉体を分散させるために、長時間の混合が必要となる場合がある。多くの場合、MREは磁力によって混合容器の底に常に直接接触するように固定され、MREの下方の磁場によって回転する。MREは材料に力を加えて、混合する。しかし、固体を溶液に混合する必要のある不均一混合物中でMREを動かす場合、固体がMREを覆って、回転を止めることがあるので、磁場が弱すぎる可能性がある。これにより、とりわけ、磁場の強度が撹拌板の能力とサイズによって制限される卓上実験室の条件下では、溶液に添加できる固体の量が制限される。現行の混合技術の非効率性と欠点は、材料の混合に必要な電力と時間を増大させる。
【0005】
ネブライザは近年開発されたもので、薬剤を細かい霧状にして送達する。ネブライザは、バッテリ又は外部電源からの電力を使用し、液体又は粉体をエアロゾルに変換して、このエアロゾルをユーザが装着するマウスピース、又はマスクに流入させる。エアロゾル送達により、ユーザは深い、又は迅速な吸入という機械的作業をすることなく、薬剤を摂取することができる。しかしながら、ネブライザは、かさばり、騒音が大きく、しかも、吸入具と比較して、薬剤投与に長時間を要することが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施形態は、産業用、あるいは実験室での混合で認められる問題、並びに、吸入具とネブライザの限界に対処するものである。本発明の実施形態は、制御されたMREの動きを使用して、固体、液体、及び気体の正確な混合を可能とする。更に、実施形態によって、正確な薬剤投薬量を迅速、且つ十分に分散させて、エアロゾルに変換し、所望の肺沈着を達成しつつ、ユーザからの限られた機械的補助により、ユーザに送達することを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態は、無質量混合システムに関し、この無質量混合システムは、電源と、混合容器と、混合容器内で少なくとも部分的に配置された磁気応答素子と、混合容器と連通する無質量駆動器とを含み、この無質量駆動器は、チャネルを形成するカラーと、カラーを中心に少なくとも部分的に配置された導線とを、含む。別の実施形態において、無質量駆動器は、電磁場を混合容器に印加する。別の実施形態において、無質量駆動器は、混合容器を中心に少なくとも部分的に配置されている。別の実施形態において、無質量駆動器は、少なくとも部分的に混合容器の下方に配置される。別の実施形態において、無質量駆動器は、ソレノイドを含む。別の実施形態において、無質量駆動器は、多電流多相駆動器を含む。別の実施形態において、無質量駆動器は、磁気応答素子の垂直方向、及び水平方向の動きを制御する複数の無質量駆動器を、含む。
【0008】
別の実施形態において、無質量混合システムは更に、回路を含む。別の実施形態において、回路は、無質量駆動器に供給される電力を制御する。別の実施形態において、無質量混合システムは更に、無質量駆動器を中心に少なくとも部分的に配置された第1ハウジングも、含む。別の実施形態において、無質量混合システムは更に、混合容器の上方に少なくとも部分的に配置された第2ハウジングも、含む。別の実施形態において、無質量混合システムは更に、フィルタを含む。別の実施形態において、フィルタは混合容器の上方に配置される。別の実施形態において、無質量混合システムは更に、前記無質量混合システムを通る電気の流れを制御する、プログラマブルソフトウェアを、含む。
【0009】
更に、本発明の実施形態は、無質量混合方法に関し、この方法は、混合されるべき材料を提供する、ことと、材料の少なくとも一部を混合容器に入れる、ことと、材料を磁気応答素子と接触させる、ことと、電力を無質量駆動器に印加するよう、ソフトウェアをプログラムする、ことと、電力を無質量駆動器に印加する、ことと、磁気応答素子に電磁場を印加することとを、含む。別の実施形態において、この方法は更に、材料をフィルタに接触させる、ことを含む。別の実施形態において、この方法は更に、磁気応答素子を回転させる、ことを含む。別の実施形態において、この方法は更に、磁気応答素子を垂直方向で移動させる、ことを含む。別の実施形態において、この方法は更に、磁気応答素子を水平方向で移動させる、ことを含む。別の実施形態において、電磁場は、それぞれ異なる力を印加する複数の電磁場を含む。
【0010】
本発明の目的、利点及び新規な特徴、並びに更なる適用可能性の範囲は、添付の図面と合わせて取り上げる以下の詳細な説明に中で部分的に説明され、一部は、以下の検討により当業者に明らかになるか、あるいは本発明の実施によって分かるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、本発明の1つ以上の実施形態を例示するものであり、本明細書と合わせて、本発明の原理を説明するのに効果的である。図面は、本発明の1つ以上の実施形態を説明するためのものであり、本発明を限定するものとして解釈されないものとする。以下の図面において:
【0012】
図1】標準的な回転永久磁石と本発明の実施形態との電気機械的な違いを示す、例示図である。
【0013】
図2A】様々なサイズの無質量混合システムの実施形態を例示する図である。
図2B】様々なサイズの無質量混合システムの実施形態を例示する図である。
図2C】様々なサイズの無質量混合システムの実施形態を例示する図である。
図2D】様々なサイズの無質量混合システムの実施形態を例示する図である。
【0014】
図3】円筒形粉体チャンバと複数のMREを中心に配置された無質量混合システムの一実施形態を示す、上から見た写真である。
【0015】
図4】乾燥粉体投与コンテナの脱凝集を含む、無質量混合システムの一実施形態の構造と機能を概念的に示す、流れ図である。
【0016】
図5A】ユーザの手の中に収まり、本発明の一実施形態に係る、無質量混合システムを使用して形成される、乾燥粉体ネブライザを示す図である。
図5B】ユーザの手の中に収まり、本発明の一実施形態に係る、無質量混合システムを使用して形成される、乾燥粉体ネブライザを示す図である。
【0017】
図6】無質量混合システムの一実施形態を含む、乾燥粉体ネブライザの背面図を示す図である。
【0018】
図7】無質量混合システムの一実施形態を含む、乾燥粉体ネブライザの正面図を示す図である。
【0019】
図8】ソレノイド駆動器を備える、無質量混合システムの一実施形態を含む、乾燥粉体ネブライザの切断面を示す図である。
【0020】
図9】ソレノイド駆動器を有する、無質量混合システムの一実施形態を含む、乾燥粉体ネブライザ、及びMREハウジングの切断面を示す図である。
【0021】
図10】励磁駆動器を備えるマルチコイル電磁石を有する、無質量混合システムの一実施形態を含む、乾燥粉体ネブライザの切断面を示す図である。
【0022】
図11】励磁駆動器を備えるマルチコイル電磁石の一実施形態を含む、乾燥粉体ネブライザ、及びMREハウジングの切断面を示す図である。
【0023】
図12】ソレノイド駆動器を有する、無質量混合システムの一実施形態を含む、乾燥粉体ネブライザ、及び混合コンパートメントの切断面を流れる空気流を示す図である。
【0024】
図13】ソレノイド駆動器の一実施形態を示す図である。
【0025】
図14】励磁駆動器を備える、マルチコイル電磁石の一実施形態を示す図である。
【0026】
図15】マルチコイル電磁石駆動器の分散を含む、粉体撹拌用のMRE運動を駆動するための磁極配向、及び励磁相の一実施形態を示す図である。
【0027】
図16】励磁電圧が3.6ボルトでのソレノイドとマルチコイル電磁石駆動器(BLDC式と表示)について、ワイヤコイル表面の磁気強度とワイヤゲージとの関係を示す、銅線のグラフである。
【0028】
図17】励磁電圧が3.6ボルトでのソレノイドとマルチコイル電磁石駆動器(BLDC式と表示)について、電流とワイヤゲージとの関係を示す、銅線のグラフである。
【0029】
図18】無質量駆動器システムの一実施形態を含む、乾燥粉体ネブライザの電子構成要素を示す図である。
【0030】
図19】本発明の一実施形態に係る、無質量駆動器システムを有する乾燥粉体ネブライザの電子構成要素の分解組立図である。
【0031】
図20】混合容器の下方に配置された軸流無質量駆動器を含む、無質量混合システムの一実施形態を示す図面である。及び
【0032】
図21A】無質量混合システム用の駆動器セットアップの一実施形態を示し、この駆動器セットアップが3相接続を含む、図である。
図21B】無質量混合システム用の駆動器セットアップの一実施形態を示し、この駆動器セットアップが3相接続を含む、図である。
図21C】無質量混合システム用の駆動器セットアップの一実施形態を示し、この駆動器セットアップが3相接続を含む、図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の実施形態は、無質量混合システムを対象としており、この無質量混合システムは、電源と、無質量駆動器であって、チャネルを形成するカラーを含む、無質量駆動器と、導線と、上記チャネルと連通する第1ハウジングとを、含む。無質量混合システムは更に、1つ以上の磁気応答素子、回路、第2ハウジング、又はそれらの組み合わせを、含むことができる。MREは、少なくとも一部を第1ハウジング内に配置することができる。無質量駆動器は、少なくとも一部を第2ハウジング内に配置することができる。無質量駆動器は、ソレノイド駆動器、マルチコイル多相駆動器、他の無質量駆動器構成、又はそれらの組み合わせを、含むことができる。
【0034】
更に、本発明の実施形態は、無質量混合システムを使用する混合方法を対象としており、この方法は、材料を少なくとも部分的にハウジング内に配置することであって、このハウジングは、無質量混合システムのチャネルと連通している、ことと、材料を1つ以上のMREと接触させる、ことと、無質量混合システムの混合パラメータを設定する、ことと、変動励磁電流を無質量混合システムに印加することとを、含む。無質量駆動器は、ソレノイド駆動器、マルチコイル多相駆動器、他の無質量駆動器構成、又はそれらの組み合わせを、含むことができる。
【0035】
更に、本発明の実施形態は、乾燥粉体ネブライザを対象としており、この乾燥粉体ネブライザは、電源と、回路と、無質量駆動器であって、チャネルを形成するカラーを含む、無質量駆動器と、導線と、上記チャネルと連通する第1ハウジングと、第2ハウジングと、第1ハウジング、及び出口と連通するフィルタと、空気入口とを、含む。乾燥粉体ネブライザは更に、1つ以上のMREを含むことができる。無質量駆動器は、少なくとも一部を第2ハウジング内に配置することができる。無質量駆動器は、ソレノイド駆動器、マルチコイル多相駆動器、又はそれらの組み合わせを、含むことができる。
【0036】
更に、本発明の実施形態は、乾燥粉体を噴霧する方法も対象としており、この方法は、材料を少なくとも部分的に第1ハウジング内に配置することであって、この第1ハウジングは、無質量混合システムのチャネルと連通している、ことと、材料を1つ以上のMREと接触させる、ことと、空気を第2ハウジングに流す、ことと、無質量混合システム用の混合パラメータを設定する、ことと、変動励磁電流を無質量混合システムに印加することとを、含む。この方法は更に、MREをフィルタに接触させることを、含むことができる。この方法は更に、MRE、及び材料をメッシュに接触させて、噴霧された粉体を形成し、噴霧された粉体を第2ハウジングに流すことを、含むことができる。
【0037】
本発明の実施形態では、ネブライザ、又は吸入具を使用する他の有効成分(「API」)治療と比較して、放出投与性能、及び肺への医薬送達の強化を提供することができる。更に、実施形態では、他の混合デバイス、又は方法と比較して、粉体分散を含む、より迅速、より正確、且つ/又は、より徹底的な混合を提供することができる。必要に応じて、実施形態を使用することで、限定されないが、固体、液体、溶液、気体、均質混合物、不均一混合物、スラリ、泥、粉体、ゲル、ペースト、非ニュートン流体、ニュートン流体、又は、それらの組み合わせを含む、材料を混合することができる。無質量混合システムは、限定されないが、実験室での実験、例えば、卓上撹拌板、産業用混合、食物、又は農産物の調製、あるいは、建設を含む、医薬品以外の製造分野にも適用できる。
【0038】
無質量混合システムは、特定のAPI、又は粉体投与製剤、並びに、対象治療処置に適合した磁気駆動プロファイルを生成することができる。無質量混合システムは、回路、プログラマブルソフトウェア、人工知能、あるいはそれらの組み合わせを使用して、プログラムすることができる。無質量混合システムは、1つ以上のMREを移動させることで、材料を混合することができる。MREは電磁場により移動させることができる。MREは、2次元、又は3次元空間において、水平、垂直、回転、斜め、又は他の方向で移動させることができる。MREは、電磁場を使用して、MREを押したり、引いたり、且つ/又は、回転させることによって移動させることができる。
【0039】
本発明の実施形態は、無質量混合システムを対象としており、この無質量混合システムは、電源と、無質量駆動器であって、チャネルを形成するカラーを有する、無質量駆動器と、導線と、上記チャネルと連通する第1ハウジングとを、有する。無質量混合システムは更に、MRE、回路、第2ハウジング、又はそれらの組み合わせを、含むことができる。MREは、少なくとも一部を第1ハウジング内に配置することができる。無質量駆動器は、少なくとも一部を第2ハウジング内に配置することができる。無質量駆動器は、ソレノイド駆動器、マルチコイル多相駆動器、他の無質量駆動器構成、又はそれらの組み合わせを、含むことができる。ソレノイド駆動器は、チャネルを形成するカラーと、カラーを中心に少なくとも部分的に配置された導線とを、含む。マルチコイル多相駆動器は、チャネルを形成するカラーと、カラーに取り付けられた1つ以上のボビンとを、含むことができる。導線は、1つ以上のボビンを中心にして、少なくとも部分的に配置することができる。第1ハウジングは、好ましくは、少なくとも一部がチャネルの上方に配置されている場合、少なくとも一部がチャネルの下方に配置されている場合、あるいは少なくとも一部がチャネル内に配置されている場合、チャネルと連通している。更に、無質量駆動器によって生成された電磁場が第1ハウジングを貫通する際、第1ハウジングはチャネルと連通することが好ましい。
【0040】
更に、本発明の実施形態は、無質量混合システムを使用する混合方法を対象としており、この方法は、材料を少なくとも部分的にハウジング内に配置することであって、このハウジングは、無質量混合システムのチャネルと連通している、ことと、材料を1つ以上のMREと接触させる、ことと、無質量混合システム用の混合パラメータを設定する、ことと、変動電流を無質量混合システムに印加する、ことと、磁場をMREに印加することを、含む。無質量駆動器は、ソレノイド駆動器、マルチコイル多相駆動器、他の無質量駆動器構成、又はそれらの組み合わせを、含むことができる。この方法は更に、材料の混合中に混合を評価し、混合パラメータを調整することを、含むことができる。この方法は更に、混合データを外部位置に送信することを、含むことができる。その位置は、「スマート」フォン、コンピュータ、サーバ、あるいは、データ記憶ユニットであり得る。混合パラメータは、限定されないが、無質量駆動器に印加される電流、及び/又は電圧、1つ以上の無質量駆動器に電流及び/又は電圧を印加する順序とタイミング、並びに、MREに印加される磁場の方向と強度を、含むことができる。
【0041】
更に、本発明の実施形態は、乾燥粉体ネブライザを対象としており、この乾燥粉体ネブライザは、電源と、回路と、無質量駆動器であって、チャネルを形成するカラーを含む、無質量駆動器と、導線と、上記チャネルと連通する第1ハウジングと、第2ハウジングと、第1ハウジング、及び出口と連通するフィルタと、空気入口とを、含む。乾燥粉体ネブライザは更に、1つ以上のMREを含むことができる。第1ハウジングは、複数の空気入口を含むことができる。無質量駆動器は、少なくとも一部を第2ハウジング内に配置することができる。無質量駆動器は、ソレノイド駆動器、マルチコイル多相駆動器、又はそれらの組み合わせを、含むことができる。ソレノイド駆動器は、チャネルを形成するカラーと、カラーを中心に少なくとも部分的に配置された導線とを、含む。マルチコイル多相駆動器は、チャネルを形成するカラーと、カラーに取り付けられた1つ以上のボビンとを、含むことができる。導線は、1つ以上のボビンを中心にして、少なくとも部分的に配置することができる。第1ハウジングは、好ましくは、少なくとも一部がチャネルの上方に配置されている場合、少なくとも一部がチャネルの下方に配置されている場合、あるいは少なくとも一部がチャネル内に配置されている場合、チャネルと連通している。更に、無質量駆動器によって生成された電磁場が第1ハウジングを貫通できる際、第1ハウジングはチャネルと連通することが好ましい。乾燥粉体ネブライザは更に、マウスピースを含むことができる。
【0042】
更に、本発明の実施形態は、乾燥粉体を噴霧する方法も対象としており、この方法は、材料を少なくとも部分的に第1ハウジング内に配置することであって、この第1ハウジングは、無質量混合システムのチャネルと連通している、ことと、材料を1つ以上のMREと接触させる、ことと、空気を第2ハウジングに流す、ことと、無質量混合システム用の混合パラメータを設定する、ことと、変動電流を無質量混合システムに印加する、ことと、磁場をMREに印加する、ことと、MREと材料をメッシュに接触させることとを、含む。この方法は更に、MRE、及び材料をメッシュに接触させて、噴霧された粉体を形成し、噴霧された粉体を第2ハウジングに流すことを、含むことができる。この方法は更に、材料の混合中に混合を評価し、混合パラメータを調整することを、含むことができる。この方法は更に、混合データを外部位置に送信することを、含むことができる。その位置は、「スマート」フォン、コンピュータ、サーバ、あるいは、データ記憶ユニットであり得る。混合パラメータは、限定されないが、無質量駆動器に印加される電流、及び/又は電圧、1つ以上の無質量駆動器に電流及び/又は電圧を印加する順序とタイミング、並びに、MREに印加される磁場の方向と強度を、含むことができる。
【0043】
本願全体を通して使用される場合、「混合する(mixing)」、及び/又は「混合(mix)」という用語は、当該粒子、分子、及び/又は、成分の配置を変化させるために、材料に力を印加する摂動、撹拌、脱凝集、分散、撹乱、移動、操作、振動、かき混ぜ、あるいは任意の他の態様を意味する。
【0044】
本願全体を通して使用される場合、「磁気応答素子(MRE)」という用語は、磁場によって動かすことができる、任意の物体又は材料を意味する。MREは、撹拌子、分極金属、双極子、あるいはそれらの組み合わせの1つ以上を含むことができる。
【0045】
本願全体を通して使用される場合、「フィルタ」という用語は、所与のサイズ以上の粒子が通過するのを防止する、任意の材料を意味する。材料は、メッシュ、多孔性メンブレン、格子、穿孔シート、選択性メンブレン、多孔性網目構造、サイズ選択性カラム、あるいは、サイズに基づいて材料の通過を防止する他の任意の材料を含むことができる。
【0046】
本願では、「無質量」混合システムについて言及しているが、システムの一部は、MREを含むが、これに限定されない質量を含むものと理解され、システムが「無質量」であるという言及は、電磁石駆動器システムとMRE、又は混合される材料との間の無質量接続構造を指している。
【0047】
ここで図を参照すると、図1は、標準的な回転永久(棒)磁石と、本発明の無質量駆動器の実施形態との比較を示す。図2A図2Dは、回路24によって制御される接続された無質量混合システム10の実施形態を例示する。各質量混合システムはコントローラ12によって動作し、混合容器14、外側ハウジング16、ベースプレート18、外側カラー28、及び1つ以上の導体30を含む。導管22は、接続された無質量混合システム10に電力を供給し、1本以上の導管22は、無質量混合システムと回路24との間の通信を支援する。
【0048】
図3は無質量混合システムの一実施形態の詳細図を示す。MRE34は混合容器14内に配置されている。好ましくは、混合容器14は、少なくとも一部がマルチコイル多相駆動器32内に配置される。マルチコイル多相駆動器32は、好ましくは、少なくとも一部が外側ハウジング16内に配置され、1つ以上の導体30によって給電される。マルチコイル多相駆動器32は、好ましくは、外側カラー28、複数のボビン40、及び内側カラー36を含む。
【0049】
図4は、乾燥粉体投与コンテナの無質量混合システムの一実施形態の構造と機能について、説明する。コンテナ内のMREの動きを制御するために、電磁石コイルはマイクロプロセッサによって制御される。
【0050】
図5A及び図5Bは、無質量混合システムの一実施形態を含む乾燥粉体ネブライザがユーザの手48の中にある位置を示している。マウスピースは、好ましくは、回り継手44によって後部ハウジング46に取り付けられている、蝶番式トップピース42の開口部に接続する。他の接続、及び構成も使用可能であり、例えば、マウスピースアダプタ54に接続するマウスピース、及び着脱可能に位置決め可能な蝶番式トップピース42を含む、望ましい結果が得られるはずである。後部ハウジング46は、電力ハウジング50に接続されているのが好ましく、この電力ハウジングは、例えば、バッテリコンパートメントと、無質量駆動器システムハウジング52とを、含むことができる。無質量駆動器システムハウジング52は、好ましくは、カバープレート56に取り付けられている。マウスピースアダプタ54は、少なくとも一部がカバープレート56、及び無質量駆動器システムハウジング52内に配置されている。
【0051】
図6、及び図7は、無質量混合システムの一実施形態を含む、乾燥粉体ネブライザ58の背面図と正面図をそれぞれ、例示する。起動ボタン62は、一部が後部ハウジング46内に配置されている。乾燥粉体ネブライザ58のサイズ及び寸法は、任意の所望の用途に適合するように変化してもよいが、一実施形態では、後部ハウジング46は、約145ミリメートル(「mm」)の高さ60、及び約30mmの幅64を有することが、好ましい。電力ハウジング50は、好ましくは、幅64が55mmである。
無質量駆動器システムハウジング52は、乾燥粉体ネブライザ58に空気を流入させるための空気入口チャネル66を含む。更に、無質量駆動器システムハウジング52は、乾燥粉体ネブライザ58を扱う際、ユーザを支援するグリップ表面68を含む。蝶番式トップピース42は、好ましくは、蝶番式トップピース42を解放するボタン72を含む。
【0052】
図8は、無質量混合システムの一実施形態を含む、乾燥粉体ネブライザ74の切断面を例示する。蝶番式トップピース42は、解除機構76によって制御されるボタン72を含む。噴霧された材料は、空洞78を通じて蝶番式トップピース42から出る。マウスピースアダプタ54は、乾燥粉体ネブライザ74から噴霧された薬剤が流出するように、空洞80を形成する。ソレノイド駆動器86は、好ましくは、内部ハウジング94を中心に配置される。ソレノイド駆動器86はカラー82、及び伝導配線84を含み、例えば、限定されないが、ネジ88を含み得る、締結具を介して所定位置にロックされる。
ソレノイド駆動器86の位置は、内部ハウジング94に沿って調整することができる。一実施形態では、任意の所望用途を満たすように、長さを変えてもよいが、ソレノイド駆動器86は約17mmの距離に沿って調整することができる。内部ハウジング94は、好ましくは、無質量駆動器システムハウジング52の空洞90内に配置される。内部ハウジング94は空気入口92を含む。必要に応じて、内部ハウジング94は、永久磁石98と連通してもよい。更に、内部ハウジング94は、導管108と連通していることが好ましい。内側シャーシプレート100は外側シャーシプレート106に取り付けられている。バッテリ102は、内側シャーシプレート100と外側シャーシプレート106との間に配置されている。起動ボタン62は後部ハウジングに取り付けられ、ディスプレイ104は外側シャーシプレート106に取り付けられている。乾燥粉体ネブライザ110の切断面を示す図9を参照すると、起動スイッチ112が外側シャーシプレート106(図8参照)に取り付けられている。混合コンパートメント120は、内部ハウジング94の空洞114内に配置され、フィルタ118及び空洞80と連通している。フィルタ118は、混合コンパートメント120とマウスピースアダプタ54との間に配置されている(図8参照)。
混合コンパートメント120は、材料を混合する空洞122と、混合コンパートメント120に空気が入れるようにするオリフィス124とを、含む。
【0053】
図10及び図11は、本発明の一実施形態に係る、無質量混合システムを含む乾燥粉体ネブライザ126の切断面を例示する。マルチコイル多相駆動器134は、内部ハウジング94を中心に配置される。マルチコイル多相駆動器134は、ボビン128と、カラー130とを含む。ボビン128は、好ましくは、締結具132によってカラー130に取り付けられ、この締結具は、適宜、ネジ式締結具で構成され得る。導線84はボビン128を中心に配置されている。
【0054】
図12は、乾燥粉体ネブライザ138の切断面を通る空気の流れを例示する。空気流142は、空気入口チャネル66、及び空気入口92を通って乾燥粉体ネブライザ138に入る。空気流142は空洞114に入り、空気流146はオリフィス124によって混合コンパートメント120の空洞122に入る。領域140と領域141は、乾燥粉体ネブライザ138から空気が流出するのを防ぐために封止される。空気流148は、フィルタ118を横断して空洞122から出て、マウスピースアダプタ54の空洞80に入る。空気流150は空洞80から出て、蝶番式トップピース42の空洞78に入る。
【0055】
図13及び図14は、それぞれソレノイド駆動器86、並びにマルチコイル多相駆動器134を示す。ソレノイド駆動器86は、カラー82を中心に配置された導線84を含み、チャネル152を形成する。位置決めネジ88、他の締結具、保持構造、あるいは物質を、カラー82に配置してもよい。マルチコイル多相駆動器134は、カラー130に取り付けられたボビン128を含む。導線84はボビン128を中心に配置されている。カラー130はチャネル136を形成する。一実施形態において、ソレノイド駆動器86は、マルチコイル多相駆動器134と併用可能であり、例えば、ソレノイド駆動器86は、マルチコイル多相駆動器134の上、及び/又は下に配置することができ、このソレノイド駆動器を使用して、ソレノイド駆動器86、及びマルチコイル多相駆動器134を流れる電流の流れの操作と共に、1つ以上のMREの三次元動作を提供することができる。
【0056】
図15は、マルチコイル多相駆動器内でのMREの撹拌の図を示す。MREが極ペア142、144、146の間に配置されている。極ペア142、144、146は、MREを移動させるために別々に通電することができ、足場材料138によって支持されている。
【0057】
図16は、励磁電圧が3.6ボルトでのソレノイドとマルチコイル電磁石駆動器(BLDC式と表示)について、ワイヤコイル表面の磁気強度とワイヤゲージとの関係を示す。磁場強度は、BLDC式駆動器では、ワイヤゲージが大きくなるにつれて低下し、ソレノイド式駆動器では、ワイヤゲージが大きくなるか、あるいは30AWGより小さくなるにつれて、低下する。
【0058】
図17は、励磁電圧が3.6ボルトでのソレノイドとマルチコイル電磁石駆動器(BLDC式と表示)について、電流とワイヤゲージとの関係を示す。BLDCとソレノイド式駆動器の双方について、電流は、ワイヤゲージが大きくなるにつれて減少する。
【0059】
図18、及び図19は、無質量駆動器システムを含む、乾燥粉体ネブライザ148の電子構成要素を示す。回路基板158、バッテリ102、及びコネクタ152は、内側シャーシプレート100と外側シャーシプレート106との間に配置されている。導管150は、マイクロフォン、圧力センサ、又は他の流量センサなど、空洞を通る空気の流れに電子センサを露出させる。ヘッダ156により、ディスプレイ104を外側シャーシプレート106に取り付けることができる。USBコネクタ154が外側シャーシプレート106に取り付けられている。内側シャーシプレート100、及び外側シャーシプレート106は、ネジ160、又は他の締結具、あるいは接続機構、及び/又は構造によって接続される。
【0060】
図20は、混合容器14とマルチコイル多相無質量駆動器164とを含む、無質量混合システム162を示す。無質量駆動器164は、混合容器14の下方に配置され、複数の伝導コイル166とプレート168とを、含む。プレート168は伝導コイル166のそれぞれに電荷を供給する。無質量駆動器164は、混合容器14内に少なくとも部分的に配置されたMREに軸方向又は垂直方向の電磁場を印加することができる。
【0061】
図21A図21Bは、マルチコイル電磁石駆動器無質量混合システム用の励磁セットアップの一実施形態を示し、駆動器セットアップが3相デルタ接続で構成されている。図21Cは、マルチコイル電磁石駆動器無質量混合システム用の励磁セットアップの代替の3相スター接続を示す。無質量混合システム駆動器170は、回路172、任意のレベルシフタ174、及び駆動器176を含む。
駆動器176は、相1入力178、相2入力180、相3入力182、任意の入力184、及びデルタ接続186を含む。適宜、駆動器176は、デルタ接続188又はスター接続190を含み得る。
【0062】
無質量駆動器は、第1ハウジングの下、周囲、あるいは上に配置することができる。無質量駆動器は、少なくとも約2ボルト(「V」)、約2V~約12V、約3V~約11V、約4V~約10V、約5V~約9V、約6V~約8V、又は約12Vの電圧、あるいは他の任意の所望の電圧で動作することができる。無質量駆動器は、約3.3Vで動作可能である。無質量駆動器は、少なくとも約0.05A、約0.05A~約7.0A、約0.1A~約6.5A、約1.0A~約6.0A、約1.5A~約5.5A、約2.0A~約6.0A、約2.5A~約5.5A、約3.0A~約5.0A、約3.5A~約4.5A、あるいは約7.0A以上の電流で動作することができる。無質量駆動器は、約110V交流(「VAC」)、約110VAC~約220VAC、約120VAC~約210VAC、約130VAC~約200VAC、約140VAC~約190VAC、約150VAC~約180VAC、約160VAC~約170VAC、あるいは約220VAC以上で動作することができる。無質量駆動器は、少なくとも約50Hz、約50Hz~約60Hz、約52Hz~約58Hz、約54Hz~約56Hz、あるいは約60Hz以上の周波数の直流、又は交流で動作することができる。無質量駆動器の導線のゲージは、少なくとも約20米国ワイヤゲージ規格(「awg」)、約20awg~約30awg、約22awg~約28awg、約24awg~約26awg、あるいは約30awg以上とすることができる。抵抗を減らすために、より太い直径のワイヤを使用することができる。コイルは円形、又は非円形であり得る。コイル形状は、発生磁場を形成することができる。マルチコイル多相、及び/又はソレノイドのコイルの芯は、空気芯、鉄芯、軟鋼、ステンレス鋼、又は他の芯材、あるいはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0063】
無質量混合システム、及び/又は、乾燥粉体ネブライザは、1つ、又は複数の無質量駆動器を含むことができる。各無質量駆動器は、周期的信号、つまり、電気入力、ランダムな、又は擬似ランダムな信号の変動を受信することができる。適宜、各無質量駆動器は、事前にプログラムされたルーチンに従って、動作させることができる。各無質量駆動器は、別の無質量駆動器とは独立した信号を受信することができる。信号は、振幅、順序、及びタイミングが異なり得る。複数の無質量駆動器は、信号を相として受信することができる。
【0064】
無質量駆動器は、少なくとも一部を第1ハウジング、及び/又は混合容器の下に配置することができる。無質量駆動器は、無質量駆動器に対して、電磁場を上方方向に誘導することができる。無質量駆動器は、プレートと、1つ以上の伝導コイルとを含むことができる。伝導コイルは、導線、及び/又は他の伝導材料を含み得る。プレートは、少なくとも部分的に1つ以上の伝導コイルの下方に配置され、1つ以上の伝導コイルに電力を供給することができる。
【0065】
無質量駆動器は、ソレノイド駆動器、マルチコイル多相駆動器、又はそれらの組み合わせを含むか、あるいは、永久磁石駆動器を組み合わせて、含むことができる。ソレノイド駆動器は、MREの垂直方向の動きを制御できる。マルチコイル多相駆動器は、MREの水平方向、垂直方向、及びカオス的な動きを制御することができる。ソレノイド駆動器、及びマルチコイル多相駆動器は、互いの上、及び/又は下に配置することができる。ソレノイド駆動器、及び/又は、マルチコイル多相駆動器は、電磁石コイルとカラーとを含むことができる。マルチコイル多相駆動器電磁石は、ボビンを含むことができる。電磁石コイルの強度は、コイルボビンの面から離して、電磁石の式(式1)と逆二乗則(式2)とを使用して、推定することができる。
B=(1.257*10^-6*Ur*I*N)/L(1)、
B=1/D^2(2)。
相対透磁率(Ur)は、ボビンと周囲材料の関数であり、推定値である。電磁石は、軟鋼、420ステンレス鋼、あるいは、それらの組み合わせを含むことができる。軟鋼は、10,000のUrを含むことができる。420ステンレス鋼は、少なくとも約40、約40~約800、約100~約700、約200~約600、約300~約500、あるいは約800以上のUrを含むことができる。無質量駆動器は、1つ以上の電磁石コイルを含むことができる。1~N個のコイルを連結し、同時に通電することができる。MREを動かす磁場の回転位置決めを生み出すために、1つ以上のコイルを2-N極として配置することができる。各2-N極は1相であり得、例えば、6コイル無質量駆動器は、3相無質量駆動器となる。各相を個別に通電することができる。
【0066】
無質量混合システム、及び/又は乾燥粉体ネブライザの第1ハウジングは、円筒形、半球形、テーパ付き円筒形、立方体形、あるいは多角形を含むことができる。更に、第1ハウジングは、軟質形成コンテナを含むことができる。無質量混合システム、及び/又は、乾燥粉体ネブライザのMREは、PTFE、又は他の不活性材料を含むことができる。更に、MREは、永久磁石、又は磁性材料を含むことができる。
【0067】
無質量混合システム、及び/又は、乾燥粉体ネブライザは、電子装置を含むことができる。電子装置は電子装置シャーシを含むことができる。電子装置シャーシは、シャーシプレートを含むことができる。電子装置は、マイクロフォン、及び/又は空気流センサを含むことができる。マイクロフォン、又は他のセンサをシャーシプレートに取り付けることができる。電子装置は、1つ以上のコネクタを含むことができる。コネクタは、USB、電磁石、モータ、他のコネクタ、あるいは、それらの組み合わせを含むことができる。USBはUSBブレイクアウトでよい。電子装置シャーシは、電子装置を取り付けるための1つ、2つ、3つ、あるいは任意の数の基板を、含むことができる。
【0068】
電子装置は、限定されないが、所定ルーチン、又はユーザが決定したルーチンに従って、本発明の実施形態の1つ以上のボビン、及び/又はソレノイドを起動させるように、ユーザがプログラム可能な、且つ/又は予めプログラムすることができる、メモリを含む、起動スイッチ、及び/又は起動ボタン、内部バッテリ、ユーザインターフェイス、回路、及び/又は回路基板、ドライバ、あるいは、それらの組み合わせを、含み得る。起動スイッチは、少なくとも約2N、約2N~約5N、約2.5N~約4.5N、約3N~約4N、あるいは約5Nの力で動作させることができる。起動スイッチは、約3.7Nの力で動作させることができる。内部バッテリは、少なくとも約1V、約1V~約10V、約2V~約9V、約3V~約8V、約4V~約7V、約5V~約6V、あるいは約9V以上の電圧を維持することができる。内部バッテリは、約3.7Vの電圧を維持できる。内部バッテリは、少なくとも約200ミリアンペア時(「mAh」)、約200mAh~約600mAh、約250mAh~約550mAh、約300mAh~約500mAh、約350mAh~約450mAh、約300mAh~約400mAh、あるいは約600mAhの充電を含むことができる。ユーザインターフェイスは、ディスプレイを含み得る。ディスプレイは、液晶ディスプレイと、限定されないが、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、有機LED、e-inkディスプレイ、量子ドットLEDディスプレイを含む、LEDを、含み得る。回路、及び/又は回路基板は、マイクロコントローラユニット(「MCU」)、充電コントローラ、他のコントローラハードウェア、あるいは、それらの組み合わせを、含むことができる。駆動器は、モータ駆動器/フィードバック駆動器、及び/又は電磁石駆動器を含むことができる。電磁石駆動器は、1つ以上のチャネルを含むことができる。電磁石駆動器は、少なくとも約0.5アンペア(「A」)、約0.5A~約7.0A、約1.0A~約6.5A、約1.5A~約6.0A、約2.0A~約5.5A、約2.5A~約5.0A、約3.0A~約4.5A、約3.5A~約4.0A、あるいは約7.0A以上の電流を生成することができる。
【0069】
無質量混合システム、及び/又は、乾燥粉体ネブライザは、ソフトウェアを含むことができる。ソフトウェアはプログラム可能であり得る。ソフトウェアは、無質量混合システム、及び/又は、乾燥粉体ネブライザを通じて、電気の流れを制御できる。具体的には、ソフトウェアは、無質量混合システムの導線に印加された、且つ/又は、無質量混合システム、及び/又は、乾燥粉体ネブライザの電子装置に印加された、電圧、電流、及び/又は、電力を制御できる。ソフトウェアは、電圧、電流、及び/又は電力を、いつ、どのような順序で、無質量混合システムのソレノイド駆動器のマルチコイル多相の個々のコイル、あるいは単一コイルに印加するかを、制御することができる。例えば、ソフトウェアは、ソレノイド駆動器に電流を印加したら、次に6極マルチコイル多相無質量駆動器システムのマルチコイル多相駆動器の2つのコイルに印加することができる。ソフトウェアは、人工知能(「AI」)、機械学習、コンプライアンス、他のアルゴリズム、あるいは、それらの組み合わせを含むことができる。
【0070】
無質量混合システム、及び/又は、乾燥粉体ネブライザは、無線通信モジュールを含むことができる。無線通信モジュールは、Bluetooth Low Energy(「BLE」)ユニットを含むことができる。無線通信モジュールは、無質量混合システム、及び/又は、乾燥粉体ネブライザとの間で、データを送信することができる。データは、ハウジング内のMRE動作に関する、無質量駆動器のプロファイルを含むことができる。データはユーザデータを含むことができる。更に、データは、用量送達制御情報、ユーザアドヒアランスアルゴリズム、人工知能(「AI」)推論データ、あるいは、それらの組み合わせを、含むことができる。無線通信モジュールとの間で送信されたデータを使用して、無質量混合システム、及び/又は乾燥粉体ネブライザの性能、及び/又は、ユーザ転帰を改善することができる。
【0071】
無質量混合システム、及び/又は、乾燥粉体ネブライザは、磁場を生成することができる。磁場は、回転磁場を含み得る。回転方向は一定方向、又は交互方向であり得る。磁場は、例えば、MREの動きに乱れを誘起させるための間欠磁場を含むことができる。磁場は、1つ以上のMREの制御された運動、及び/又はカオス的な運動を誘起するように制御することができる。磁場は、引力、又は斥力の磁気結合によって、MREの動きを制御することができる。磁場は、調整磁場、又は擬似ランダム磁場とすることができ、1つ以上の磁場強度分布を有する。磁場強度分布は、磁場の方向、強さ、及び変調を含む。磁場の大きさは、少なくとも約3ガウス、約3ガウス~約30,000ガウス、約30ガウス~約20,000ガウス、約300ガウス~約10,000ガウス、約3,000ガウス~約5,000ガウス、あるいは約30,000ガウス以上であり得る。各磁場強度分布は、MRE動きプロファイルをもたらす。磁場は、少なくとも約100rpm、約100rpm~約5,000rpm、約500rpm~約4,500rpm、約1,000rpm~約4,000rpm、約1,500rpm~約3,500rpm、約2,000rpm~約3,000rpm、あるいは約5,000rpm以上の速度で回転させることができる。磁場を回転させるために、磁場を変調させることができる。
【0072】
無質量混合システム、及び/又は、乾燥粉体ネブライザは、MREを動かすことによって、材料を混合することができる。MREの動きは乾燥粉体を撹拌して、混合システム、及び/又は乾燥粉体ネブライザからの乾燥粉体の排出を促進することができる。ユーザの吸入治療中に乾燥粉体の放出が促進されることで、乾燥粉体ネブライザから肺への薬剤送達を改善することができる。いくつかの実施形態において、無質量混合システム、及び/又は、乾燥粉体ネブライザは、第1ハウジングとの接触を防止するために、MREを動かすことができる。いくつかの実施形態において、乾燥粉体ネブライザは、MREを動かし、フィルタにMREを接触させることで、フィルタの詰まりを防止したり、粉体の分散性を高めたり、あるいは他の有益な機能を発揮することができる。
【0073】
無質量駆動器は、MRE以外の回転質量、つまり、磁石、モータシャフト、及びロータなしで、MREを回転させることができる。無質量駆動器は、軸を中心に、時計回り(「CW」)、又は反時計回り(「CCW」)にMREを回転させることができる。無質量駆動器は、MREを任意の方向で動かし、MREの方向を迅速に切り替えることができる。無質量駆動器は、少なくとも約0.01秒(「sec(秒)」)、約0.01秒~約10秒、約0.1秒~約9秒、約0.5秒~約8秒、約1秒~約7秒、約2秒~約8秒、約3秒~約7秒、約4秒~約6秒、又は、約10秒以上で、MREの方向を変えることができる。無質量駆動器は、約0.7秒でMREの方向を変えることができる。無質量駆動器はMREに移動して、動きプロファイルを生み出すことができる。乾燥粉体ネブライザの無質量駆動器は、粉体薬剤、及び/又はユーザの特性に特化したMRE動きプロファイルを生み出すことができる。例えば、薬剤が微細エアロゾルを発生させるために広範囲の噴霧を必要とする場合、あるいはユーザが呼吸器疾患を罹患している場合には、特定の動きプロファイルが必要になる場合がある。更に、乾燥粉体ネブライザの無質量駆動器は、第1ハウジング内の材料のMRE混合とは独立して、フィルタとのMREの衝突を引き起こすMRE動きプロファイルを生み出すことができる。
【0074】
無質量駆動器による回転質量の除去によって、永久棒磁石を含む質量駆動器と比較して、デバイスの動作が改善する。これらの改善点には、限定されないが、ソフトウェア制御の有無に関わらず、電子ハードウェアのみを使用して回転磁場を発生させること、エネルギー消費量を削減すること、無質量駆動器システム、及び/又は乾燥粉体ネブライザへの物質、例えば、粉体の侵入を防止すること、洗浄用の封止、及び無質量駆動に必要な体積の減少によるデバイスパッケージングの改善が含まれる。
【0075】
この無質量駆動器は、限定されないが、固定取り付け永久磁石とDCモータからの磁場変動の制約、DCモータによって回転する永久磁石の質量慣性による磁場変動の制約、並びに、製作と製造公差、及び機械構成要素の摩耗による機械システムの性能変動を含む、無質量駆動器の他の欠点も解決する。
【0076】
適宜、無質量混合システム、及び/又は、乾燥粉体ネブライザは、永久棒磁石、及び/又はモータを含むことができる。永久棒磁石をMREに磁気結合させることができる。永久棒磁石は、棒磁石が少なくとも部分的に第1ハウジングの下方に配置された状態で、モータのシャフトに取り付けることができる。モータはDCモータ、又はACモータであり得る。
【0077】
乾燥粉体ネブライザは、動作中にデバイスを流れる気流を有し得る。気流は空気入口を通じて乾燥粉体ネブライザに入ることができる。気流は第1ハウジングを取り囲み、第2空気入口を通じて第1ハウジングに入ることができる。気流はフィルタを横断して、乾燥粉体ネブライザの外に出ることができる。
【0078】
必要に応じて、本発明の実施形態は、上述のステップを実装するコンピュータソフトウェアでプログラムされた汎用、又は専用コンピュータ、又は分散システムを含むことができ、このコンピュータソフトウェアは、限定されないが、C++、FORTRAN、BASIC、Java、Python、Linux(登録商標)、アセンブリ言語、マイクロコード、分散プログラミング言語などを含む、任意の適切なコンピュータ言語であり得る。更に、この装置は、様々なハードウェア実装として、複数のかかるコンピュータ/分散システム(例えば、インターネット、及び/又は1つ以上のイントラネットを介して接続)を含むことができる。例えば、適切なメモリ、ネットワーク、及びバス要素と組み合わせて、適切にプログラムされたマイクロプロセッサ、コンピューティングクラウド、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲートアレイ(FPGA)などによって、データ処理を実行することができる。1つ以上のプロセッサ、及び/又はマイクロコントローラは、コンピュータコードの命令を介して動作可能であり、ソフトウェアは、好ましくは、1つ以上の有形非一時的メモリストレージデバイスに記憶される。
【0079】
本明細書及び特許請求の範囲において、「約」、又は「ほぼ」とは、所与の量、又は値の20%以内を意味することに留意されたい。本明細書で開示するすべてのコンピュータソフトウェアは、CD-ROM、DVD-ROM、ハードドライブ(ローカル、又はネットワーク・ストレージ・デバイス)、USBキー、他のリムーバブルドライブ、ROM、及びファームウェアを含むが、これらに限定されない、任意の非一時的コンピュータ可読媒体(媒体の組み合わせを含む)上に具現化することができる。
【0080】
本発明を、開示された実施形態を特に参照して詳述したが、他の実施形態でも同様の結果が得られる。
本発明の変形形態、及び変更形態は、当業者には明らかであり、かかる変更形態、及び均等物をすべて網羅することを意図している。上記、及び/又は添付資料において引用された全ての参照文献、出願、特許、出版物、及び対応する出願(複数)の全開示内容は、参照により、本明細書で援用されるものとする。上記で「必須(essential)」であると明記されていない限り、様々な構成要素、又はその相互関係は、いずれも本発明の動作に必須なものではない。むしろ、様々な構成要素を代用すること、及び/又は、互いの関係を再構成したりすることで、望ましい結果が得られる。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21A
図21B
図21C
【国際調査報告】