(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】核酸組成物及びその使用
(51)【国際特許分類】
A61K 48/00 20060101AFI20241106BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241106BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241106BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20241106BHJP
A61K 38/19 20060101ALI20241106BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20241106BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20241106BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20241106BHJP
A61P 35/04 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
A61K48/00
A61P35/00
A61P43/00 105
A61P37/04
A61K38/19
A61K39/395 N
A61K39/395 D
A61K9/08
A61K47/36
A61P35/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024528514
(86)(22)【出願日】2022-11-16
(85)【翻訳文提出日】2024-06-12
(86)【国際出願番号】 US2022050129
(87)【国際公開番号】W WO2023091503
(87)【国際公開日】2023-05-25
(32)【優先日】2021-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521470881
【氏名又は名称】サージ セラピューティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ゴールドバーグ, マイケル ソロモン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
【Fターム(参考)】
4C076AA09
4C076AA12
4C076BB11
4C076CC07
4C076CC27
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4C076EE10
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4C076FF17
4C084AA02
4C084AA03
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4C084AA17
4C084BA35
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4C084MA05
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4C084NA06
4C084NA07
4C084NA10
4C084ZB071
4C084ZB072
4C084ZB091
4C084ZB092
4C084ZB211
4C084ZB212
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZC411
4C084ZC412
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB11
4C085CC03
4C085DD62
4C085EE01
4C085EE03
4C085GG01
(57)【要約】
がん及び転移性腫瘍の治療及び/または予防に有用な組成物が提供される。例えば、提供される組成物は、それ自体が免疫調節経路を促進または阻害するように作用し得、及び/または免疫調節経路を促進または阻害し得るペプチドをコードし得る、1つ以上の核酸剤を含む生分解性足場または生体材料を含む。提供される組成物の作製方法、及びそれを提供するための材料を収容するキットも提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腫瘍切除術の対象における標的部位に、
(i)ポリマー生体材料と、
(ii)免疫調節ポリペプチドをコードまたは調節するポリヌクレオチド剤と、を含む組成物を投与するステップを含む、方法。
【請求項2】
前記ポリヌクレオチド剤が、自然免疫及び/または適応免疫を誘導するサイトカインをコードする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ポリヌクレオチド剤が、自然免疫を誘導するパターン認識受容体を活性化する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリヌクレオチド剤が、免疫細胞の動員を誘導するケモカインをコードする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ポリヌクレオチド剤が、免疫チェックポイントの遮断または共刺激を媒介する抗体をコードする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記標的部位が、腫瘍切除部位である、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記標的部位が、前記腫瘍切除部位の近くの部位である、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記標的部位が、センチネルリンパ節である、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記投与するステップが、注射によるものである、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記組成物が、液体であり、前記ポリマー生体材料が、粘性ポリマー溶液である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記組成物が、液体であり、前記ポリマー生体材料が、前記投与時に、前記標的部位で、インサイチュでポリマーネットワーク生体材料を形成する、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記ポリマーネットワーク生体材料が、架橋ポリマーネットワーク生体材料を含むか、またはそれである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ポリマーネットワーク生体材料が、非架橋ポリマーネットワーク生体材料を含むか、またはそれである、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記ポリマー生体材料が、前記ポリマー生体材料と前記ポリヌクレオチド剤との組み合わせをPBS(pH7.4)中に配置することによってインビトロで試験された場合、前記ポリヌクレオチド剤の100%未満が前記ポリマー生体材料から3時間以内に放出されることを特徴とする、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記ポリマー生体材料が、前記ポリマー生体材料と前記ポリヌクレオチド剤との組み合わせをマウス対象の乳房脂肪パッドに投与することによってインビボで試験された場合、前記ポリヌクレオチド剤の50%以下が前記投与の8時間後にインビボで放出されることを特徴とする、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記ポリマー生体材料が、前記ポリマー生体材料と前記ポリヌクレオチド剤との組み合わせをマウス対象の乳房脂肪パッドに投与することによってインビボで試験された場合、前記ポリマー生体材料が、投与の24時間後に評価された場合、前記ポリヌクレオチド剤が溶液中で投与された場合に観測されるよりも多くのポリヌクレオチド剤が前記乳房脂肪パッドに存在するように、前記ポリヌクレオチド剤の放出を延長することを特徴とする、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記ポリマー生体材料は、前記ポリヌクレオチド剤が、前記ポリマー生体材料から放出され、(i)少なくとも局所免疫細胞のサブセットが、前記ポリヌクレオチド剤によってコードされる前記免疫調節ポリペプチドを発現し、(ii)少なくとも局所免疫細胞のサブセットが、前記ポリヌクレオチド剤によって誘導された自然免疫刺激に応答して、1型インターフェロンの発現の増加を有し、及び/または(iii)少なくとも局所免疫細胞のサブセットが、前記免疫調節ポリペプチドのレベル及び/または活性の変化を有するように、局所細胞によって取り込まれることを特徴とする、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記ポリマー生体材料が、約10Pa~約5,000Paの貯蔵弾性率を特徴とする、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記ポリマー生体材料が、ヒドロゲルを含むか、またはそれである、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記ポリマー生体材料が、正電荷ポリマーを含む、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記ポリマー生体材料が、ポリヌクレオチド剤担体を更に含む、請求項1~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記ポリヌクレオチド剤が、前記ポリヌクレオチド剤担体に複合体化されている、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記ポリヌクレオチド剤が、前記ポリヌクレオチド剤担体に担持されている、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記ポリヌクレオチド剤担体が、カチオン性剤及び/または脂質を含む、請求項21~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記投与するステップが、前記腫瘍切除術の対象への腫瘍抗原の投与を伴わない、請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記投与するステップが、前記腫瘍切除術の対象への微粒子の投与を伴わない、請求項1~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記投与するステップが、前記腫瘍切除術の対象への免疫細胞の養子移入を伴わない、請求項1~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記組成物が、p38マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)経路によって媒介される炎症誘発性免疫応答の阻害剤を更に含む、請求項1~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記組成物が、自然免疫の活性化因子を更に含む、請求項1~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記自然免疫の活性化因子が、インターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)アゴニストであるか、またはそれを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記自然免疫の活性化因子が、Toll様受容体(TLR)7及び/またはTLR8(「TLR7/8」)アゴニストであるか、またはそれを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記組成物が、適応免疫の活性化因子を更に含む、請求項1~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記ポリマー生体材料が、マトリックスまたはデポを形成し、前記ポリヌクレオチド剤が、前記ポリマー生体材料内にある、請求項1~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記ポリヌクレオチド剤が、前記ポリマー生体材料を介した拡散によって放出される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記ポリマー生体材料が、インビボで生分解性である、請求項1~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記腫瘍切除部位が、肉眼的な残留腫瘍抗原の不在を特徴とする、請求項1~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記腫瘍切除術の対象が、転移性癌に罹患している、請求項1~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記投与後、前記腫瘍切除術の対象における少なくとも1つの転移部位を監視するステップを更に含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
ポリマーネットワーク生体材料組成物を生成する方法であって、前記方法が、
(a)ポリマーネットワーク生体材料の1つ以上の前駆体構成成分と、免疫調節ポリペプチドをコードまたは調節するポリヌクレオチド剤と、を含む組成物を提供するステップと、
(b)前記前駆体構成成分が10分未満でポリマーネットワーク生体材料を形成することを可能にするステップであって、前記ポリマーネットワーク生体材料は、
前記ポリマーネットワーク生体材料が、5,000Pa未満の貯蔵弾性率を有し、及び/または
前記ポリマーネットワーク生体材料と前記ポリヌクレオチド剤との組み合わせをPBS(pH7.4)中に配置することによってインビトロで試験された場合、前記ポリヌクレオチド剤の100%未満が、前記ポリマーネットワーク生体材料から3時間以内に放出され、
前記ポリマーネットワーク生体材料と前記ポリヌクレオチド剤との組み合わせをマウス対象の乳房脂肪パッドに投与することによってインビボで試験された場合、前記ポリヌクレオチド剤の50%以下が前記投与の8時間後にインビボで放出され、
前記ポリマーネットワーク生体材料と前記ポリヌクレオチド剤との組み合わせをマウス対象の乳房脂肪パッドに投与することによってインビボで試験された場合、前記ポリマーネットワーク生体材料が、投与の24時間後に評価された場合、前記ポリヌクレオチド剤が溶液中で投与された場合に観測されるよりも多くのポリヌクレオチド剤が前記乳房脂肪パッドに存在するように、前記ポリヌクレオチド剤の放出を延長し、及び/または
前記ポリマーネットワーク生体材料から放出された前記ポリヌクレオチド剤は、(i)少なくとも局所免疫細胞のサブセットが、前記ポリヌクレオチド剤によってコードされる前記免疫調節ポリペプチドを発現し、(ii)少なくとも局所免疫細胞のサブセットが、前記ポリヌクレオチド剤によって誘導された自然免疫刺激に応答して、1型インターフェロンの発現の増加を有し、及び/または(iii)少なくとも局所免疫細胞のサブセットが、前記免疫調節ポリペプチドのレベル及び/または活性の変化を有するように、局所細胞によって取り込まれること、を特徴とする、前記形成することを可能にするステップと、を含む、前記方法。
【請求項40】
前記ポリマーネットワーク生体材料が、架橋ポリマーネットワーク生体材料を含むか、またはそれである、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記ポリマーネットワーク生体材料が、非架橋ポリマーネットワーク生体材料を含むか、またはそれである、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記ポリマーネットワーク生体材料が、ヒドロゲルを含むか、またはそれである、請求項39~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記ポリマーネットワーク生体材料が、ポリヌクレオチド剤担体を含む、請求項39~42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記ポリヌクレオチド剤が、前記ポリヌクレオチド剤担体に複合体化されている、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記ポリヌクレオチド剤が、前記ポリヌクレオチド剤担体に担持されている、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記ポリヌクレオチド剤担体が、カチオン性剤及び/または脂質を含む、請求項43~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
ポリマーネットワーク生体材料組成物またはその構成成分(複数可)を特徴付ける方法であって、前記方法が、
(a)インビトロで緩衝溶液中のポリマーネットワーク生体材料組成物を提供するステップであって、前記ポリマーネットワーク生体材料組成物が、候補ポリマー生体材料と、免疫調節ポリペプチドをコードまたは調節するポリヌクレオチド剤と、を含む、前記提供するステップと、
(b)前記ポリヌクレオチド剤の100%未満が、ポリマー生体材料から3時間以内に放出されるかどうかを決定するステップと、を含む、前記方法。
【請求項48】
前記緩衝溶液が、PBS(pH7.4)を含むか、またはそれである、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記決定するステップが、少なくとも3時間の期間にわたって所定の時点で前記ポリマー生体材料から放出された前記ポリヌクレオチド剤の量を測定することを更に含む、請求項47または48に記載の方法。
【請求項50】
前記決定するステップが、前記ポリマー生体材料からの前記ポリヌクレオチド剤の放出プロファイル動態を決定することを更に含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記ポリヌクレオチド剤の100%未満が前記ポリマー生体材料から3時間以内に放出されることを特徴とするポリマーネットワーク生体材料組成物を選択することを更に含む、請求項47~50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
選択された前記ポリマーネットワーク生体材料組成物を細胞の集団と接触させることと、
(a)前記候補ポリマー生体材料から放出された前記ポリヌクレオチド剤が免疫細胞によって取り込まれているかどうか、及び/または
(b)前記ポリヌクレオチド剤を取り込む前記免疫細胞が、以下の生物学的活性:
(i)前記ポリヌクレオチド剤によってコードされる前記免疫調節ポリペプチドを発現すること、
(ii)前記ポリヌクレオチド剤によって誘導された自然免疫刺激に応答して、1型インターフェロンの発現の増加を示すこと、及び/または
(iii)前記免疫調節ポリペプチドのレベル及び/または活性の変化を示すこと、のうちの少なくとも1つを示すかどうか、を決定することと、を更に含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記免疫細胞が、骨髄細胞及び/または形質細胞様樹状細胞を含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記細胞が、非免疫細胞を更に含む、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
前記非免疫細胞が、線維芽細胞及び/または内皮細胞を含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
(a)前記候補ポリマー生体材料から放出された前記ポリヌクレオチド剤が、非免疫細胞によって取り込まれているかどうか、及び/または
(b)前記ポリヌクレオチド剤が、前記非免疫細胞に悪影響を及ぼすかどうか、を決定することを更に含む、請求項54または55に記載の方法。
【請求項57】
ポリマーネットワーク生体材料組成物またはその構成成分(複数可)を特徴付ける方法であって、前記方法が、
(a)ポリマーネットワーク組成物をインビボでマウス対象の標的部位に投与するステップであって、前記ポリマーネットワーク生体材料組成物が、候補ポリマー生体材料と、免疫調節ポリペプチドをコードまたは調節するポリヌクレオチド剤と、を含む、前記投与するステップと、
(b)
(i)前記候補ポリマー生体材料が、前記ポリマー生体材料を含まない溶液中の同じポリヌクレオチド剤の投与に対して、投与時に、前記標的部位での前記ポリヌクレオチド剤の放出を少なくとも24時間延長するかどうか、及び/または
(ii)前記候補ポリマー生体材料からの前記ポリヌクレオチド剤の放出プロファイルは、前記ポリヌクレオチド剤の50%以下が前記投与の8時間後にインビボで放出されることを特徴とするかどうか、を決定するステップと、を含む、前記方法。
【請求項58】
前記標的部位が、乳房脂肪パッドである、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
(i)前記候補ポリマー生体材料が、前記ポリマー生体材料を含まない溶液中の同じポリヌクレオチド剤の投与に対して、投与時に、前記標的部位での前記ポリヌクレオチド剤の放出を少なくとも24時間延長し、及び/または(ii)前記ポリヌクレオチド剤の50%以下が前記投与の8時間後にインビボで前記候補ポリマー生体材料から放出されることを特徴とするポリマーネットワーク生体材料組成物を選択することを更に含む、請求項57または58に記載の方法。
【請求項60】
(a)前記候補ポリマー生体材料から放出された前記ポリヌクレオチド剤が免疫細胞によって取り込まれているかどうか、及び/または
(b)前記ポリヌクレオチド剤を取り込む前記免疫細胞が、以下の生物学的活性:
(i)前記ポリヌクレオチド剤によってコードされた前記免疫調節ポリペプチドを発現すること、
(ii)前記ポリヌクレオチド剤によって誘導された自然免疫刺激に応答して、1型インターフェロンの発現の増加を示すこと、及び/または
(ii)前記免疫調節ポリペプチドのレベル及び/または活性の変化を示すこと、のうちの少なくとも1つを示すかどうか、を決定することを更に含む、請求項57~59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
(c)前記候補ポリマー生体材料の不在下で前記細胞を前記ポリヌクレオチド剤と接触させた場合と比較して、前記候補ポリマー生体材料から放出された前記ポリヌクレオチド剤の細胞取り込みが遅延しているかどうか、及び/または
(d)前記候補ポリマー生体材料の不在下で前記細胞を前記ポリヌクレオチド剤と接触させた場合と比較して、前記ポリヌクレオチド剤によって誘導された前記生物学的活性のうちの少なくとも1つが遅延しているかどうか、を決定することを更に含む、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記免疫細胞が、骨髄細胞及び/または形質細胞様樹状細胞を含む、請求項60または61に記載の方法。
【請求項63】
(e)前記候補ポリマー生体材料から放出された前記ポリヌクレオチド剤が非免疫細胞によって取り込まれているかどうか、及び/または
(f)前記ポリヌクレオチド剤が、前記非免疫細胞に悪影響を及ぼすかどうか、を決定することを更に含む、請求項60~62のいずれか1項に記載の方法。
【請求項64】
前記非免疫細胞が、線維芽細胞及び/または内皮細胞を含む、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
腫瘍切除術の対象における標的部位に、
(i)ポリヌクレオチド剤担体と、
(ii)免疫調節ポリペプチドをコードまたは調節するポリヌクレオチド剤と、を含む組成物を投与するステップを含む、方法。
【請求項66】
前記ポリヌクレオチド剤担体が、カチオン性剤及び/または脂質を含む、請求項65に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年11月17日に出願された米国仮出願第63/280,429号の利益を主張するものであり、その内容はそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
薬物、栄養剤、または他の物質の循環系への全身投与は、全身に影響を及ぼす。全身投与経路としては、経腸投与(例えば、消化管を介した薬物の吸収をもたらす経口投与)及び非経口投与(例えば、静脈内、筋肉内、及び皮下注射)が挙げられる。免疫治療薬の投与は、通常、これらの全身投与経路に依存しており、これは、望ましくない副作用をもたらし得る。いくつかの例において、ある特定の有望な治療薬は、付随する毒性ならびに現在の投与方法及び投与システムの限界に起因して、開発することが極めて困難である。
手術は、多くの場合、固形腫瘍癌の治療の第一選択であり、概して、抗がん療法の全身投与と組み合わせて使用される。しかしながら、手術誘導性免疫抑制は、様々な代謝及び内分泌応答の変化に起因する術後の敗血症合併症及び腫瘍転移の発症に関与しており、最終的に多くの患者の死亡をもたらしている(Smyth,M.J.et al.Nature Reviews Clinical Oncology,2016,13,143-158)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Smyth,M.J.et al.Nature Reviews Clinical Oncology,2016,13,143-158
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
免疫療法の全身投与は、有害な副作用、例えば、非腫瘍特異的免疫細胞などの非がん性細胞及び/または組織に望ましくない毒性を誘導すること、及び/または治療応答を誘導するための標的部位での十分な濃度を達成するために高用量を必要とすることをもたらし得、腫瘍の外科的切除は、免疫抑制をもたらし得る。手術はまた、細胞ストレスを誘導する可能性があり、これは、例えば、損傷後の創傷治癒を促進する1つ以上の生理学的応答の活性化を伴い得る。そのような応答には、例えば、神経、炎症性、及び/または血管新生促進シグナル伝達経路の活性化が含まれ、これはまた、がんの成長及び/または転移性拡散を促進する可能性がある。腫瘍切除後に手術部位で生じ得る炎症性の変化には、例えば、免疫及び/または炎症性細胞型(複数可)の動員、及び/または体液性因子(複数可)の放出が含まれ得る。局所炎症性創傷応答及び全身性炎症プロセスは、一緒になって、休止状態の微小転移を活性化するか、または残存がん細胞の増殖を誘導する場合があり、したがって、がん再発のリスクを増加させる。
【0005】
本開示は、とりわけ、例えば、がん治療に対するある特定の従来のアプローチを含む、ある特定の先行技術での問題の原因の特定を含む洞察を提供する。例えば、本開示は、免疫療法剤の全身投与に関連し得るある特定の有害事象(例えば、皮膚発疹、肝炎、下痢、大腸炎、下垂体炎、甲状腺炎、及び副腎機能不全)が免疫関連であり得、少なくとも部分的には、全身投与された免疫療法剤への非腫瘍特異的免疫細胞の曝露に起因し得ることを理解する。とりわけ、本開示は、所望の応答を誘導するための腫瘍における十分な濃度を達成するために全身投与に典型的に必要とされる高用量が、そのような望ましくない効果に寄与し得、及び/またはそのような望ましくない効果の原因となり得ることを理解する。本技術は、とりわけ、必要とされる薬物の作用を集中させることによって有効性を改善することができる免疫療法剤の局所送達を提供することによって、そのような問題を解決するシステムを提供する。本技術は、核酸を含むか、または核酸によってコードされる産物を含む免疫療法剤の局所的な送達を提供することによって、そのような問題を解決するシステムを提供する。
【0006】
更に、本開示は、自己免疫型の病理を治療するために伝統的に使用される特定の免疫調節剤が、本明細書に記載されるように投与された場合、そうでなければ、オフターゲット毒性が、抗がん免疫調節化合物に予想されるものとは対照的であると予想されていたにもかかわらず、がんの治療に有用であり得るという洞察を提供する。更に、本開示は、特定の免疫調節剤が核酸であり得るか、または核酸によってコードされる産物であり得ることを認識する。したがって、本開示は、以前は有用であるとは考えられていなかった薬剤のがん療法のための有用性を教示し、更に、これらの薬剤及び他の薬剤に対して特に有効であり、及び/または望ましい送達及び投薬戦略を教示する。
【0007】
一態様では、本開示は、腫瘍切除術の対象における標的部位に、(i)ポリマー生体材料と、(ii)免疫調節ポリペプチドをコードまたは調節するポリヌクレオチド剤と、を含む組成物を投与するステップを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド剤は、自然免疫及び/または適応免疫を誘導するサイトカインをコードする。いくつかでは、ポリヌクレオチド剤は、自然免疫を誘導するパターン認識受容体を活性化する。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド剤は、免疫細胞の動員を誘導するケモカインをコードする。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド剤は、免疫チェックポイントの遮断または共刺激を媒介する抗体をコードする。
【0008】
いくつかの実施形態では、標的部位は、腫瘍切除部位である。いくつかの実施形態では、標的部位は、腫瘍切除部位の近くの部位である。いくつかの実施形態では、標的部位は、センチネルリンパ節である。いくつかの実施形態では、投与するステップは、注射によるものである。
【0009】
いくつかの実施形態では、組成物は、液体であり、ポリマー生体材料は、粘性ポリマー溶液である。いくつかの実施形態では、組成物は、液体であり、ポリマー生体材料は、投与時に、標的部位で、インサイチュでポリマーネットワーク生体材料を形成する。いくつかの実施形態では、ポリマーネットワーク生体材料は、架橋ポリマーネットワーク生体材料を含むか、またはそれである。いくつかの実施形態では、ポリマーネットワーク生体材料は、非架橋ポリマーネットワーク生体材料を含むか、またはそれである。
【0010】
いくつかの実施形態では、ポリマー生体材料は、ポリマー生体材料とポリヌクレオチド剤との組み合わせをPBS(pH7.4)中に配置することによってインビトロで試験された場合、ポリヌクレオチド剤の100%未満がポリマー生体材料から3時間以内に放出されることを特徴とする。いくつかの実施形態では、ポリマー生体材料は、ポリマー生体材料とポリヌクレオチド剤との組み合わせをマウス対象の乳房脂肪パッドに投与することによってインビボで試験された場合、ポリヌクレオチド剤の50%以下が投与の8時間後にインビボで放出されることを特徴とする。いくつかの実施形態では、ポリマー生体材料は、ポリマー生体材料とポリヌクレオチド剤との組み合わせをマウス対象の乳房脂肪パッドに投与することによってインビボで試験された場合、ポリマー生体材料が、投与の24時間後に評価された場合、ポリヌクレオチド剤が溶液中で投与された場合に観測されるよりも多くのポリヌクレオチド剤が乳房脂肪パッドに存在するように、ポリヌクレオチド剤の放出を延長することを特徴とする。いくつかの実施形態では、ポリマー生体材料は、ポリヌクレオチド剤が、ポリマー生体材料から放出され、(i)少なくとも局所免疫細胞のサブセットが、ポリヌクレオチド剤によってコードされる免疫調節ポリペプチドを発現し、(ii)少なくとも局所免疫細胞のサブセットが、ポリヌクレオチド剤によって誘導された自然免疫刺激に応答して、1型インターフェロンの発現の増加を有し、及び/または(iii)少なくとも局所免疫細胞のサブセットが、免疫調節ポリペプチドのレベル及び/または活性の変化を有するように、局所細胞によって取り込まれること、を特徴とする。
【0011】
いくつかの実施形態では、ポリマー生体材料は、約10Pa~約5,000Paの貯蔵弾性率によって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、ポリマー生体材料は、ヒドロゲルを含むか、またはそれである。いくつかの実施形態では、ポリマー生体材料は、正電荷ポリマーを含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、ポリマー生体材料は、ポリヌクレオチド剤担体を更に含む。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド剤は、ポリヌクレオチド剤担体に複合体化されている。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド剤は、ポリヌクレオチド剤担体に担持されている。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド剤担体は、カチオン性剤及び/または脂質を含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、投与するステップは、腫瘍切除術の対象への腫瘍抗原の投与を伴わない。いくつかの実施形態では、投与するステップは、腫瘍切除術の対象への微粒子の投与を伴わない。いくつかの実施形態では、投与するステップは、腫瘍切除術の対象への免疫細胞の養子移入を伴わない。
【0014】
いくつかの実施形態では、組成物は、p38マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)経路によって媒介される炎症誘発性免疫応答の阻害剤を更に含む。いくつかの実施形態では、組成物は、自然免疫の活性化因子を更に含む。いくつかの実施形態では、自然免疫の活性化因子は、インターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)アゴニストであるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、自然免疫の活性化因子は、Toll様受容体(TLR)7及び/またはTLR8(「TLR7/8」)アゴニストであるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、適応免疫の活性化因子を更に含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、ポリマー生体材料は、マトリックスまたはデポを形成し、ポリヌクレオチド剤は、ポリマー生体材料内にある。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド剤は、ポリマー生体材料を介した拡散によって放出される。いくつかの実施形態では、ポリマー生体材料は、インビボで生分解性である。
【0016】
いくつかの実施形態では、腫瘍切除部位は、肉眼的な残留腫瘍抗原の不在を特徴とする。いくつかの実施形態では、腫瘍切除術の対象は、転移性癌に罹患している。いくつかの実施形態では、方法は、腫瘍切除術の対象における標的部位への(i)ポリマー生体材料と、(ii)免疫調節ポリペプチドをコードまたは調節するポリヌクレオチド剤と、を含む組成物の投与後に、腫瘍切除対象における少なくとも1つの転移部位を監視するステップを更に含む。
【0017】
一態様では、本開示は、ポリマーネットワーク生体材料組成物を生成する方法であって、方法が、(a)ポリマーネットワーク生体材料の1つ以上の前駆体構成成分と、免疫調節ポリペプチドをコードまたは調節するポリヌクレオチド剤と、を含む組成物を提供するステップと、(b)前駆体構成成分が10分未満でポリマーネットワーク生体材料を形成することを可能にするステップであって、ポリマーネットワーク生体材料が、ポリマーネットワーク生体材料が、5,000Pa未満の貯蔵弾性率を有し、及び/またはポリマーネットワーク生体材料とポリヌクレオチド剤との組み合わせをPBS(pH7.4)中に配置することによってインビトロで試験された場合、ポリヌクレオチド剤の100%未満がポリマーネットワーク生体材料から3時間以内に放出され、ポリマーネットワーク生体材料とポリヌクレオチド剤との組み合わせをマウス対象の乳房脂肪パッドに投与することによってインビボで試験された場合、ポリヌクレオチド剤の50%以下が投与の8時間後にインビボで放出され、ポリマーネットワーク生体材料とポリヌクレオチド剤との組み合わせをマウス対象の乳房脂肪パッドに投与することによってインビボで試験された場合、ポリマーネットワーク生体材料が、投与の24時間後に評価された場合、ポリヌクレオチド剤が溶液中で投与された場合に観測されるよりも多くのポリヌクレオチド剤が乳房脂肪パッドに存在するように、ポリヌクレオチド剤の放出を延長し、及び/またはポリマーネットワーク生体材料から放出されたポリヌクレオチド剤が、(i)少なくとも局所免疫細胞のサブセットが、ポリヌクレオチド剤によってコードされる免疫調節ポリペプチドを発現し、(ii)少なくとも局所免疫細胞のサブセットが、ポリヌクレオチド剤によって誘導された自然免疫刺激に応答して、1型インターフェロンの発現の増加を有し、及び/または(iii)少なくとも局所免疫細胞のサブセットが、免疫調節ポリペプチドのレベル及び/または活性の変化を有するように、局所細胞によって取り込まれること、を特徴とする、形成することを可能にするステップと、を含む、方法を提供する。
【0018】
いくつかの実施形態では、ポリマーネットワーク生体材料は、架橋ポリマーネットワーク生体材料を含むか、またはそれである。いくつかの実施形態では、ポリマーネットワーク生体材料は、非架橋ポリマーネットワーク生体材料を含むか、またはそれである。いくつかの実施形態では、ポリマーネットワーク生体材料は、ヒドロゲルを含むか、またはそれである。いくつかの実施形態では、ポリマーネットワーク生体材料は、ポリヌクレオチド剤担体を含む。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド剤は、ポリヌクレオチド剤担体に複合体化されている。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド剤は、ポリヌクレオチド剤担体に担持されている。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド剤担体は、カチオン性剤及び/または脂質を含む。
【0019】
一態様では、本開示は、ポリマーネットワーク生体材料組成物またはその構成成分(複数可)を特徴付ける方法であって、方法が、(a)インビトロで緩衝溶液中のポリマーネットワーク生体材料組成物を提供するステップであって、ポリマーネットワーク生体材料組成物が、候補ポリマー生体材料と、免疫調節ポリペプチドをコードまたは調節するポリヌクレオチド剤と、を含む、提供するステップと、(b)ポリヌクレオチド剤の100%未満が、ポリマー生体材料から3時間以内に放出されるかどうかを決定するステップと、を含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、緩衝溶液は、PBS(pH7.4)を含むか、またはそれである。いくつかの実施形態では、決定するステップは、少なくとも3時間の期間にわたって所定の時点でポリマー生体材料から放出されたポリヌクレオチド剤の量を測定することを更に含む。いくつかの実施形態では、決定するステップは、ポリマー生体材料からのポリヌクレオチド剤の放出プロファイル動態を決定することを更に含む。いくつかの実施形態では、方法は、ポリヌクレオチド剤の100%未満がポリマー生体材料から3時間以内に放出されることを特徴とするポリマーネットワーク生体材料組成物を選択することを更に含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、方法は、選択されたポリマーネットワーク生体材料組成物を細胞集団と接触させることと、(a)候補ポリマー生体材料から放出されたポリヌクレオチド剤が免疫細胞によって取り込まれているかどうか、及び/または(b)ポリヌクレオチド剤を取り込む免疫細胞が、以下の生物学的活性:(i)ポリヌクレオチド剤によってコードされる免疫調節ポリペプチドを発現すること、(ii)ポリヌクレオチド剤によって誘導された自然免疫刺激に応答して、1型インターフェロンの発現の増加を示すこと、及び/または(iii)免疫調節ポリペプチドのレベル及び/または活性の変化を示すこと、のうちの少なくとも1つを示すかどうか、を決定することと、を更に含む。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、骨髄細胞及び/または形質細胞様樹状細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞は、非免疫細胞を更に含む。いくつかの実施形態では、非免疫細胞は、線維芽細胞及び/または内皮細胞を含む。いくつかの実施形態では、方法は、(a)候補ポリマー生体材料から放出されたポリヌクレオチド剤が、非免疫細胞によって取り込まれているかどうか、及び/または(b)ポリヌクレオチド剤が、非免疫細胞に悪影響を及ぼすかどうか、を決定することを更に含む。
【0021】
一態様では、本開示は、ポリマーネットワーク生体材料組成物またはその構成成分(複数可)を特徴付ける方法であって、方法が、(a)ポリマーネットワーク組成物をインビボでマウス対象の標的部位に投与するステップであって、ポリマーネットワーク生体材料組成物が、候補ポリマー生体材料と、免疫調節ポリペプチドをコードまたは調節するポリヌクレオチド剤と、を含む、投与するステップと、(b)(i)候補ポリマー生体材料が、ポリマー生体材料を含まない溶液中の同じポリヌクレオチド剤の投与に対して、投与時に、標的部位でのポリヌクレオチド剤の放出を少なくとも24時間延長するかどうか、及び/または(ii)候補ポリマー生体材料からのポリヌクレオチド剤の放出プロファイルが、ポリヌクレオチド剤の50%以下が投与の8時間後にインビボで放出されることを特徴とするかどうか、を決定するステップと、を含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、標的部位は、乳房脂肪パッドである。いくつかの実施形態では、方法は、(i)候補ポリマー生体材料が、ポリマー生体材料を含まない溶液中の同じポリヌクレオチド剤の投与に対して、投与時に、標的部位でのポリヌクレオチド剤の放出を少なくとも24時間延長し、及び/または(ii)ポリヌクレオチド剤の50%以下が投与の8時間後にインビボで候補ポリマー生体材料から放出されることを特徴とするポリマーネットワーク生体材料組成物を選択することを更に含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、方法は、(a)候補ポリマー生体材料から放出されたポリヌクレオチド剤が免疫細胞によって取り込まれているかどうか、及び/または(b)ポリヌクレオチド剤を取り込む免疫細胞が、以下の生物学的活性:(i)ポリヌクレオチド剤によってコードされる免疫調節ポリペプチドを発現すること、(ii)ポリヌクレオチド剤によって誘導された自然免疫刺激に応答して、1型インターフェロンの発現の増加を示すこと、及び/または(ii)免疫調節ポリペプチドのレベル及び/または活性の変化を示すこと、のうちの少なくとも1つを示すかどうか、を決定することを更に含む。いくつかの実施形態では、方法は、(c)候補ポリマー生体材料の不在下で細胞をポリヌクレオチド剤と接触させた場合と比較して、候補ポリマー生体材料から放出されたポリヌクレオチド剤の細胞取り込みが遅延しているかどうか、及び/または(d)候補ポリマー生体材料の不在下で細胞をポリヌクレオチド剤と接触させた場合と比較して、ポリヌクレオチド剤によって誘導された生物学的活性のうちの少なくとも1つが遅延しているかどうか、を決定することを更に含む。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、骨髄細胞及び/または形質細胞様樹状細胞を含む。いくつかの実施形態では、方法は、(e)候補ポリマー生体材料から放出されたポリヌクレオチド剤が、非免疫細胞によって取り込まれているかどうか、及び/または(f)ポリヌクレオチド剤が、非免疫細胞に悪影響を及ぼすかどうか、を決定することを更に含む。いくつかの実施形態では、非免疫細胞は、線維芽細胞及び/または内皮細胞を含む。
【0023】
一態様では、本開示は、腫瘍切除術の対象における標的部位に、(i)ポリヌクレオチド剤担体と、(ii)免疫調節ポリペプチドをコードまたは調節するポリヌクレオチド剤と、を含む組成物を投与するステップを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド剤担体は、カチオン性剤及び/または脂質を含む。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】生存分析のグラフ表示である。データは、4T1-Luc2細胞を同所的に接種した雌のBALB/cJマウスの生存を示すカプラン-マイヤー生存曲線として示されている。これらの細胞に腫瘍を作製させ、その後、これらの腫瘍を外科的に切除した。腫瘍切除直後に、ポリマーネットワーク(架橋ヒアルロン酸ヒドロゲル)及び自然免疫系アゴニスト(RIG-1アゴニスト)を含む例示的な組成物を腫瘍切除部位に移植した。局所化された組成物の投与は、活性剤(RIG-1アゴニスト)の持続放出を促進し、活性剤を欠く対照の移植と比較した場合、動物の著しく増加した寿命をもたらした。
【
図2】生存分析のグラフ表示である。データは、4T1-Luc2細胞を同所的に接種した雌のBALB/cJマウスの生存を示すカプラン-マイヤー生存曲線として示されている。これらの細胞に腫瘍を作製させ、その後、これらの腫瘍を外科的に切除した。腫瘍切除直後に、ポリマーネットワーク(ポロキサマー及びヒアルロン酸ヒドロゲル)及び自然免疫系アゴニスト(RIG-1アゴニスト)を含む例示的な組成物を腫瘍切除部位に注射した。局所化された組成物の投与は、活性剤(RIG-1アゴニスト)の持続放出を促進し、活性剤を欠く対照の移植と比較した場合、動物の寿命の増加をもたらした。
【
図3】生存分析のグラフ表示である。データは、4T1-Luc2細胞を同所的に接種した雌のBALB/cJマウスの生存を示すカプラン-マイヤー生存曲線として示されている。これらの細胞に腫瘍を作製させ、その後、これらの腫瘍を外科的に切除した。腫瘍切除直後に、ポリマーネットワーク(架橋ヒアルロン酸ヒドロゲル)及び自然免疫系アゴニストをコードする核酸(インターロイキン-15(IL-15)mRNA)を含む例示的な組成物を腫瘍切除部位に移植した。局所化された組成物の投与は、活性剤(IL-15 mRNA)の持続放出を促進し、活性剤を欠く対照の移植と比較した場合、動物の寿命の増加をもたらした。
【
図4】生存分析のグラフ表示である。データは、4T1-Luc2細胞を同所的に接種した雌のBALB/cJマウスの生存を示すカプラン-マイヤー生存曲線として示されている。これらの細胞に腫瘍を作製させ、その後、これらの腫瘍を外科的に切除した。腫瘍切除直後に、ポリマーネットワーク(ポロキサマーヒドロゲルまたはポロキサマー及びヒアルロン酸ヒドロゲル)及び自然免疫系アゴニストをコードする核酸(インターロイキン-15(IL-15)mRNA)を含む例示的な組成物を腫瘍切除部位に注射した。ヒアルロン酸を含有する局所化された組成物の投与は、ヒアルロン酸を欠く組成物と比較した場合、動物の寿命の増加をもたらした。
【発明を実施するための形態】
【0025】
ある特定の定義
本明細書に記載のポリマー生体材料(複数可)調製物中の個々のポリマー構成成分の濃度は、各々%(w/w)または重量%で表されることに留意されたい。本明細書で使用される場合、ポリマー生体材料(複数可)調製物中のポリマー構成成分の濃度、%(重量)は、(i)ポリマー生体材料(複数可)調製物中に存在する全ての個々のポリマー構成成分の総質量または総重量、及び(ii)ポリマー生体材料(複数可)調製物中に使用される総質量または重量の溶媒の合計に対するポリマー構成成分の質量または重量に基づいて決定される。
【0026】
適応免疫応答の活性化因子:「適応免疫応答の活性化因子」という用語は、その薬剤が不在の場合と比較して、対象(例えば、それが投与される対象、及び/またはそれ以外の場合それを必要とする対象)における適応免疫系(及び/または適応免疫系の1つ以上の特徴)を活性化する(例えば、その活性を増加させる)薬剤を指す。そのような活性化は、例えば、阻害性免疫チェックポイントを中和し、及び/または共刺激受容体を誘発し、最終的に、がん細胞によって発現される免疫原性抗原に対するヘルパーT細胞応答及び/またはエフェクターT細胞応答を生成し、メモリーB細胞、及び/またはT細胞集団を産生することによって、抗腫瘍機能を回復または強化し得る。ある特定の実施形態では、適応免疫応答の活性化因子は、適応免疫応答及び/または白血球輸送の調節を伴う。適応免疫応答の活性化因子の例としては、例えば、WO2018/045058に記載されるものが挙げられ、その内容は、本明細書に記載の目的のために参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0027】
自然免疫応答の活性化因子:「自然免疫応答の活性化因子」という用語は、その薬剤が不在の場合と比較して、対象(例えば、それが投与される対象、及び/またはそれ以外の場合それを必要とする対象)における自然免疫系(及び/または自然免疫系の1つ以上の特徴)を活性化する(例えば、その活性を増加させる)薬剤を指す。そのような活性化は、炎症応答(例えば、免疫刺激性炎症応答)を開始する、及び/または適応免疫応答を誘導するのに役立つ1つ以上の薬剤を刺激し得(例えば、その発現レベル及び/または活性を増加させ得る)、例えば、抗原特異的後天性免疫の発達をもたらす。いくつかの実施形態では、自然免疫系の活性化は、例えば、好中球、好塩基球、好酸球、ナチュラルキラー細胞、樹状細胞、単球、及びマクロファージを含むが、これらに限定されない、関連する免疫細胞の動員、サイトカイン産生、白血球の増殖及び/または生存、ならびに、例えば、抗原提示細胞による抗原の提示及び/または共刺激分子の発現レベル及び/または活性の増加による、T細胞プライミングの改善をもたらし得る。自然免疫応答の活性化因子の例としては、例えば、WO2018/045058に記載されるものが挙げられ、その内容は本明細書に記載の目的のために参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0028】
投与:本明細書で使用される場合、「投与する」、「投与すること」、または「投与」という用語は、典型的には、治療される標的部位または部位への、組成物であるかもしくは組成物に含まれる、薬剤またはペイロードの送達を達成するために、組成物を対象に投与することを指す。当業者は、適切な状況において、対象、例えば、ヒトへの異なる薬剤の投与のために利用され得る様々な経路を知っているであろう。例えば、「投与する」、「投与すること」、または「投与」という用語は、本明細書に記載の組成物を含む組成物を投与する文脈において、本明細書に記載の組成物の移植、吸収、摂取、注射、吸入、非経口投与、または他の方法で導入することを指すが、投与することは、いくつかの実施形態では、移植、またはいくつかの実施形態では、注射を指し得る。
【0029】
薬剤:本明細書で使用される場合、「薬剤」という用語は、物理的な実体または現象を指し得る。いくつかの実施形態では、薬剤は、特定の特徴及び/または効果によって特徴付けられ得る。いくつかの実施形態では、薬剤は、例えば、小分子、ポリペプチド、核酸、糖、脂質、金属、またはそれらの組み合わせもしくは複合体を含む任意の化学クラスの化合物、分子、または実体であり得る。いくつかの実施形態では、「薬剤」という用語は、ポリマーを含む化合物、分子、または実体を指し得る。いくつかの実施形態では、本用語は、1つ以上のポリマー部分を含む化合物または実体を指し得る。いくつかの実施形態では、「薬剤」という用語は、特定のポリマーまたはポリマー部分を実質的に含有しない化合物、分子、または実体を指し得る。いくつかの実施形態では、本用語は、任意のポリマーまたはポリマー部分を欠く、または実質的に含有しない、化合物、分子、または実体を指し得る。
【0030】
アゴニスト:当業者は、「アゴニスト」という用語が、その存在、レベル、程度、タイプ、または形態が、別の薬剤(すなわち、アゴナイズされた薬剤)のレベル及び/または活性の増加、及び/または1つ以上の生物学的事象の増加もしくは誘導と相関する薬剤、状態、または事象を指すために使用され得ることを理解するであろう。概して、アゴニストは、例えば、小分子、ポリペプチド、核酸、炭水化物、脂質、金属、無機結晶、及び/または関連する活性化活性を示す任意の他の実体を含む、様々な化学クラスの薬剤であり得るか、またはそれらを含み得る。いくつかの実施形態では、アゴニストは、直接的であり得(この場合、アゴニストは、その標的に直接その影響を及ぼす)、いくつかの実施形態では、アゴニストは、間接的であり得る(この場合、アゴニストは、その標的への結合以外によって、例えば、標的のレベルまたは活性が変化されるように標的の調節因子と相互作用することによって、その影響を及ぼす)。部分アゴニストは、完全アゴニストと競合してその標的及び/またはその調節因子と相互作用するため、完全アゴニストの存在下で競合アンタゴニストとして作用し得、それによって、完全アゴニスト単独で観察されたものと比較して、(i)別の薬剤の1つ以上の効果の減少、及び/または(ii)1つ以上の生物学的事象の減少をもたらす。
【0031】
アンタゴニスト:当業者は、「アンタゴニスト」という用語が、その存在、レベル、程度、タイプ、または形態が、別の薬剤(すなわち、アンタゴナイズされた薬剤)のレベル及び/または活性の減少及び/または1つ以上の生物学的事象の減少または抑制に関連する薬剤、状態、または事象を指し得ることを理解するであろう。概して、アンタゴニストは、例えば、小分子、ポリペプチド、核酸、炭水化物、脂質、金属、及び/または関連する阻害活性を示す任意の他の実体を含む、様々な化学クラスの薬剤を含み得る。いくつかの実施形態では、アンタゴニストは、その標的に直接結合するという点で「直接的アンタゴニスト」であり得、いくつかの実施形態では、アンタゴニストは、その標的に直接結合する以外の手段により、例えば、標的のレベルまたは活性が変化されるように標的の調節因子と相互作用することによって、その影響を及ぼすという点で「間接的アンタゴニスト」であり得る。
【0032】
抗体:本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、特定の標的抗原への特異的結合をもたらすのに十分である標準的な免疫グロブリン配列要素を含むポリペプチドを指す。当該技術分野において既知であるように、天然に産生される無傷の抗体は、互いに会合して「Y字型」構造と一般的に称されるものになる、2つの同一の重鎖ポリペプチド(各約50kD)及び2つの同一の軽鎖ポリペプチド(各約25kD)から構成された、およそ150kDの四量体剤である。各重鎖は、少なくとも4つのドメイン(各約110アミノ酸長)、すなわちアミノ末端可変(VH)ドメイン(Y構造の先端に位置する)、続いて3つの定常ドメイン:CH1、CH2、及びカルボキシ末端CH3(Yのステムの基部に位置する)から構成される。「スイッチ」として知られている短い領域が、重鎖可変領域及び定常領域を接続する。「ヒンジ」は、CH2及びCH3ドメインを抗体の残りに接続する。このヒンジ領域における2箇所のジスルフィド結合は、無傷の抗体中で2個の重鎖ポリペプチドを互いに接続する。各軽鎖は、2つのドメイン、すなわち、別の「スイッチ」によって互いに分離されるアミノ末端可変(VL)ドメイン、続くカルボキシ末端定常(CL)ドメインから構成される。無傷の抗体四量体は、2つの重鎖-軽鎖二量体から構成されており、二量体同士が接続され、四量体が形成されるように、重鎖及び軽鎖が1つのジスルフィド結合によって互いに連結され、2つの他のジスルフィド結合が重鎖ヒンジ領域を互いに接続する。天然に産生された抗体もまた、典型的にはCH2ドメイン上でグリコシル化される。天然抗体における各ドメインは、圧縮された反平行ベータバレルにおいて互いにパッケージングされた2つのベータシート(例えば、3本鎖、4本鎖、または5本鎖のシート)から形成される「免疫グロブリン折り畳み」によって特徴付けられる構造を有する。各可変ドメインは、「相補性決定領域」として知られる3つの超可変ループ(CDR1、CDR2、及びCDR3)、及び4つの若干不変な「フレームワーク」領域(FR1、FR2、FR3、及びFR4)を含有する。自然抗体が折り畳む場合、FR領域は、ドメインの構造フレームワークを提供するベータシートを形成し、重鎖と軽鎖の両方からのCDRループ領域は、Y構造の先端に位置する単一の超可変抗原結合部位を作製するように三次元空間でまとまる。天然に存在する抗体のFc領域は、補体系の要素に結合し、また、例えば、細胞毒性を媒介するエフェクター細胞を含むエフェクター細胞上の受容体にも結合する。当該技術分野において既知であるように、Fc受容体に対するFc領域の親和性及び/または他の結合特性は、グリコシル化または他の修飾を介して調節することができる。いくつかの実施形態では、本開示に従って産生され、及び/または利用される抗体は、修飾または操作されたそのようなグリコシル化を有するFcドメインを含む、グリコシル化Fcドメインを含む。本開示の目的のために、ある特定の実施形態では、天然抗体において見出される十分な免疫グロブリンドメイン配列を含む任意のポリペプチドまたはポリペプチド複合体は、そのようなポリペプチドが、天然に産生される(例えば、抗原に反応する生物によって生成される)か、または組換え工学、化学合成、または他の人工系もしくは方法論によって産生されるかにかかわらず、「抗体」として称され、及び/または使用され得る。いくつかの実施形態では、抗体は、ポリクローナルであり、いくつかの実施形態では、抗体は、モノクローナルである。いくつかの実施形態では、抗体は、マウス、ウサギ、霊長類、またはヒト抗体に特徴的である定常領域配列を有する。いくつかの実施形態では、抗体配列要素は、当該技術分野において既知であるように、ヒト化、霊長類化、キメラなどである。更に、本明細書で使用される「抗体」という用語は、適切な実施形態では(別途明記されない限り、または文脈から明らかでない限り)、代替的な提示において抗体の構造的及び機能的特徴を利用するための当該技術分野において既知のまたは開発された構築物もしくは形式のうちのいずれかを指し得る。例えば、いくつかの実施形態では、本開示に従って利用される抗体は、限定されないが、無傷のIgA、IgG、IgEまたはIgM抗体;二重特異性または多重特異性抗体(例えば、Zybodies(登録商標)など);Fab断片、Fab’断片、F(ab’)2断片、Fd’断片、Fd断片、及び単離されたCDRまたはそれらのセットなどの抗体断片;単鎖Fv;ポリペプチド-Fc融合物;単一ドメイン抗体、代替足場または抗体模倣物(例えば、抗カリン、FN3モノボディ、DARPins、Affibodies、Affilins、Affimers、Affitins、Alphabodies、Avimers、Fynomers、Im7、VLR、VNAR、Trimab、CrossMab、Trident);ナノボディ、ビナノボディ、F(ab’)2、Fab’、di-sdFv、単一ドメイン抗体、三官能性抗体、ダイアボディ、及びミニボディなどから選択される形式である。いくつかの実施形態では、関連する形式は、Adnectins(登録商標);Affibodies(登録商標);Affilins(登録商標);Anticalins(登録商標);Avimers(登録商標);BiTE(登録商標);cameloid抗体;Centyrins(登録商標);アンキリン反復タンパク質またはDARPINs(登録商標);二重親和性再標的化(DART)剤;Fynomers(登録商標);IgNARなどのサメ単一ドメイン抗体;がんに対する免疫動員モノクローナルT細胞受容体(ImmTAC);KALBITOR(登録商標);MicroProteins;Nanobodies(登録商標)ミニボディ;マスク抗体(例えば、Probodies(登録商標));Small Modular ImmunoPharmaceuticals(「SMIPs(商標)」);単鎖またはタンデムダイアボディ(TandAb(登録商標));TCR様抗体;Trans-bodies(登録商標);TrimerX(登録商標);VHHsであり得るか、またはそれらを含み得る。いくつかの実施形態では、抗体は、天然に産生された場合に有するであろう共有結合修飾(例えば、グリカンの結合)を欠いていてもよい。いくつかの実施形態では、抗体は、共有結合修飾(例えば、グリカン、ペイロード[例えば、検出可能な部分、治療部分、触媒部分など]、または他のペンダント基[例えば、ポリエチレングリコールなど]の結合)を含み得る。
【0033】
生体接着剤:「生体接着剤」という用語は、標的表面、例えば、組織表面に接着し得る生体適合性の薬剤を指す。いくつかの実施形態では、生体接着剤は、標的表面、例えば、組織表面に接着し得、例えば、一定期間、標的表面上に保持し得る。いくつかの実施形態では、生体接着剤は、生分解性であり得る。いくつかの実施形態では、生体接着剤は、例えば、単離または合成により調製または取得さ得る天然の薬剤であり得、いくつかの実施形態では、生体接着剤は、当業者によって理解されるように、例えば、人の手によって(例えば、薬剤に応じて処理、合成、及び/または組換え産生によって)設計及び/または製造され得る非天然の薬剤であり得る。いくつかの特定の実施形態では、生体接着剤は、例えば、糖などの複数のモノマーから構成され得るか、または含有し得るポリマー材料であり得るか、またはそれを含み得る。ある特定の例示的な生体接着剤としては、シアノアクリレート(Dermabond、2-オクチルシアノアクリレート;Indermil、n-ブチル-2-シアノアクリレート;Histoacryl及びHistoacryl Blue、n-ブチル-2-シアノアクリレート)、アルブミン及びグルタルアルデヒド(BioGlue(商標)、ウシ血清アルブミン及び10%グルタルアルデヒド)、フィブリン糊(Tisseel(商標)、プールされたヒト血漿フィブリノゲン及びトロンビン;Evicel(商標)、プールされたヒト血漿フィブリノゲン及びトロンビン;Vitagel(商標)、自己血漿フィブリノゲン及びトロンビン;Cryoseal(商標)システム、自己血漿フィブリノゲン及びトロンビン)、ホルムアルデヒド及び/またはグルタルアルデヒドにより架橋ゼラチン及び/またはレゾルシノール、多糖に基づく接着剤(例えば、アルギネート、キトサン、コラーゲン、デキストラン、及び/またはゼラチン)、PEG、アクリレート、ポリアミン、もしくはウレタンバリアント(イソシアネート末端プレポリマー)、及び/またはそれらの組み合わせなどの様々なFDA認可の薬剤が挙げられる。例えば、Mehdizadeh and Yang“Design Strategies and Applications of Tissue Bioadhesives”Macromol Biosci 13:271-288(2013)に記載の当該技術分野において既知である生体接着剤の他の例が、本明細書に記載の方法の目的のために使用され得る。いくつかの実施形態では、生体接着剤は、分解性の生体接着剤であり得る。そのような分解性の生体接着剤の例としては、フィブリン糊、ゼラチン-レゾルシノール-ホルムアルデヒド/グルタルアルデヒド接着剤、ポリ(エチレングリコール)(PEG)に基づくヒドロゲル接着剤、多糖接着剤、ポリペプチド接着剤、ポリマー接着剤、生体模倣生体接着剤、及びBhagat and Becker“Degradable Adhesives for Surgery and Tissue Engineering”Biomacromolecules 18:3009-3039(2017)に記載のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
生体適合性:「生体適合性」という用語は、本明細書で使用される場合、例えば、インビボで生体組織と接触して配置された場合に、そのような組織に対する顕著な害を引き起こさない材料を指す。材料の生体適合性は、International Standards Organization(ISO)規格番号10993、及び/またはU.S.Pharmacopeia(USP)23、及び/またはU.S.Food and Drug Administration(FDA)ブルーブックメモランダム番号G95-1「Use of International Standard ISO-10993,Biological Evaluation of Medical Devices Part-1:Evaluation and Testing.」に記載される生体適合性試験にそのような材料が合格する能力によって評価され得る。典型的には、これらの試験は、材料の毒性、感染性、発熱性、刺激可能性、反応性、溶血活性、発がん性、及び/または免疫原性を測定する。ある特定の実施形態では、材料は、それ自体が、その意図された使用のインビボ環境において細胞に毒性でない場合、「生体適合性」である。ある特定の実施形態では、材料は、それらのインビトロでの細胞への添加が20%以下の細胞死をもたらす場合、及び/またはそれらのインビボでの投与が、本明細書に記載の目的に臨床的に望ましくない著しく重篤な炎症もしくは他のそのような有害作用を誘導しない場合、「生体適合性」である。当業者によって理解されるように、かかる著しく重篤な炎症は、手術または生体への異物の導入に通常伴う一過性の軽度炎症と区別可能である。更に、当業者は、本開示を読めば、いくつかの実施形態では、定義された期間にわたる免疫調節の程度(例えば、自然免疫アゴニズム)が、例えば、抗腫瘍免疫を提供するために臨床的に有益及び/または望ましい場合、本明細書に記載のポリマー生体材料(複数可)調製物及び/またはその個々のポリマー構成成分は、生体適合性であることを理解するであろう。
【0035】
生物製剤:「生物製剤」、「生物学的薬物」、及び「生物学的産物」という用語は、ワクチン、血液及び血液構成成分、アレルギー誘発物質、体細胞、遺伝子療法、組織、核酸、ならびにタンパク質などの広範囲の産物を指す。生物製剤は、糖、タンパク質、もしくは核酸、またはこれらの物質の複合組み合わせを含み得るか、または細胞及び組織などの生体実体であり得る。生物製剤は、様々な天然の供給源(例えば、ヒト、動物、微生物)から単離され得、及び/または生物工学的方法及び/または他の技術によって産生され得る。
【0036】
生物学的試料:「生物学的試料」は、生物学的供給源から得られた一次試料、及び/またはいくつかの実施形態では、それに由来する(例えば、処理による)試料を指す。当業者は、生物学的試料が、例えば、組織試料(組織切片及び組織の針生検など)、細胞試料(例えば、細胞学的塗抹標本(Papまたは血液塗抹標本など)または顕微解剖によって得られた細胞の試料)、生物全体の試料(酵母または細菌の試料など)、または細胞画分、断片、または細胞小器官(細胞を溶解し、遠心分離または他の方法によってその構成成分を分離することによって得られたものなど)を含み得るか、またはそれらから選択され得ることを理解する。生物学的試料の他の例としては、血液、血清、尿、精液、糞便、脳脊髄液、間質液、粘液、涙、汗、膿、生検組織(例えば、外科的生検または針生検によって得られた)、乳頭吸引液、乳、膣液、唾液、スワブ(口腔スワブなど)、または第1の生物学的試料に由来する生体分子を含有する任意の材料が挙げられる。
【0037】
がん:「がん」という用語は、悪性腫瘍を指す(Stedman’s Medical Dictionary,25th ed.;Hensyl ed.;Williams & Wilkins:Philadelphia,1990)。本開示のいくつかの実施形態の文脈において特に興味深いのは、細胞死滅及び/または除去療法(例えば、外科的切除及び/または細胞毒性療法などのある特定の化学療法)によって治療されるがんである。いくつかの実施形態では、本開示に従って治療されるがんは、外科的に切除されているもの(すなわち、少なくとも1つの腫瘍が外科的に切除されているもの)である。いくつかの実施形態では、本開示に従って治療されるがんは、切除が標準治療であるものである。いくつかの実施形態では、本開示に従って治療されるがんは、転移したものである。ある特定の実施形態では、例示的ながんとしては、聴神経腫、腺癌、副腎癌、肛門癌、血管肉腫(例えば、リンパ管肉腫、リンパ管内皮腫(lymphangioendotheliosarcoma)、血管肉腫)、虫垂癌、良性単クローン性γグロブリン異常症、胆道癌(例えば、胆管癌(cholangiocarcinoma))、胆管癌(bile duct cancer)、膀胱癌、骨癌、乳癌(breast cancer)(例えば、乳房の腺癌、乳房の乳頭癌、乳癌(mammary cancer)、乳房の髄様癌)、脳癌(例えば、髄膜腫、神経膠芽腫、神経膠腫(例えば、星状細胞腫、乏突起神経膠腫)、髄芽腫)、気管支癌、カルチノイド腫瘍、心臓腫瘍、子宮頸癌(例えば、子宮頸部腺癌)、絨毛癌、脊索腫、頭蓋咽頭腫、結腸直腸直癌(例えば、結腸癌、直腸癌、結腸直腸腺癌)、結合組織癌、上皮癌、非浸潤性乳管癌、上衣腫、内皮肉腫(endotheliosarcoma)(例えば、カポジ肉腫、多発性特発性出血性肉腫)、子宮内膜癌(例えば、子宮癌、子宮肉腫)、食道癌(例えば、食道の腺癌、バレット腺癌)、ユーイング肉腫、眼癌(例えば、眼内黒色腫、網膜芽細胞腫)、家族性過好酸球増加症(familiar hypereosinophilia)、胆嚢癌、胃癌(例えば、胃腺癌)、消化管間質腫瘍(GIST)、胚細胞癌、頭頸部癌(例えば、頭頸部扁平上皮癌、口腔癌(例えば、口腔扁平上皮癌)、喉の癌(例えば、喉頭癌、咽頭癌、上咽頭癌、中咽頭癌))、造血癌(例えば、急性リンパ球性白血病(ALL)(例えば、B細胞ALL、T細胞ALL)、急性骨髄性白血病(AML)(例えば、B細胞AML、T細胞AML)、慢性骨髄性白血病(CML)(例えば、B細胞CML、T細胞CML)、及び慢性リンパ球性白血病(CLL)(例えば、B細胞CLL、T細胞CLL)などの白血病)、ホジキンリンパ腫(HL)(例えば、B細胞HL、T細胞HL)及び非ホジキンリンパ腫(NHL)(B細胞NHL、例えば、びまん性大細胞型リンパ腫(DLCL)(例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫)、濾胞性リンパ腫、慢性リンパ球性白血病/小リンパ球性リンパ腫(CLL/SLL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、辺縁帯B細胞リンパ腫(例えば、粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫、節性辺縁帯B細胞リンパ腫、脾臓辺縁帯B細胞リンパ腫)、原発性縦隔B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫(すなわち、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症)、有毛細胞白血病(HCL)、免疫芽球性大細胞型リンパ腫、前駆Bリンパ芽球性リンパ腫及び原発中枢神経系(CNS)リンパ腫などのT細胞NHL、ならびに前駆Tリンパ芽球性リンパ腫/白血病、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)(例えば、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)(例えば、菌状息肉症、セザリー症候群)、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、節外ナチュラルキラーT細胞リンパ腫、腸症型T細胞リンパ腫、皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫、及び未分化大細胞リンパ腫などのT細胞NHL)などのリンパ腫、上記の1つ以上の白血病/リンパ腫の混合物、多発性骨髄腫、重鎖疾患(例えば、アルファ鎖疾患、ガンマ鎖疾患、ミュー鎖疾患)、血管芽腫、組織球症、下咽頭癌、炎症性筋線維芽細胞性腫瘍、免疫細胞性アミロイドーシス、腎臓癌(例えば、腎芽腫、別名ウィルムス腫瘍、腎細胞癌)、肝臓癌(例えば、肝細胞癌(HCC)、悪性肝癌)、肺癌(例えば、気管支原性癌、小細胞肺癌(SCLC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、肺の腺癌)、平滑筋肉腫(LMS)、肥満細胞症(例えば、全身性肥満細胞症)、黒色腫、正中線路癌、多発性内分泌腫瘍症候群、筋肉癌、骨髄異形成症候群(MDS)、中皮腫、骨髄増殖性障害(MPD)(例えば、真性赤血球増加症(PV)、本態性血小板増加症(ET)、原発性骨髄線維症(AMM)、別名骨髄線維症(MF)、慢性特発性骨髄線維症、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性好中性白血病(CNL)、好酸球増加症候群(HES))、鼻咽頭癌、神経芽細胞腫、神経線維腫(例えば、神経線維腫症(NF)1型または2型、神経鞘腫症)、神経内分泌癌(例えば、胃腸膵神経内分泌腫瘍(GEP-NET)、カルチノイド腫瘍)、骨肉腫(例えば、骨癌)、卵巣癌(例えば、嚢胞腺癌、卵巣胎児性癌、卵巣腺癌)、乳頭腺癌、膵臓癌(例えば、膵臓腺癌、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)、膵島細胞腫瘍)、副甲状腺癌、乳頭腺癌、陰茎癌(例えば、陰茎と陰嚢のパジェット病)、咽頭癌、松果体腫、下垂体癌、胸膜肺芽腫、原始神経外胚葉性腫瘍(PNT)、形質細胞腫瘍、腫瘍随伴症候群、上皮内腫瘍、前立腺癌(例えば、前立腺腺癌)、直腸癌、横紋筋肉腫、網膜芽腫、唾液腺癌、皮膚癌(例えば、扁平上皮癌(SCC)、角化棘細胞腫(KA)、黒色腫、基底細胞癌(BCC))、小腸癌(例えば、虫垂瘍)、軟部組織肉腫(例えば、悪性線維性組織球腫(MFH)、脂肪肉腫、悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)、軟骨肉腫、線維肉腫、粘液肉腫)、脂腺癌、胃癌、小腸癌、汗腺癌、滑膜腫、精巣癌(例えば、精上皮腫、精巣胎児性癌)、胸腺癌、甲状腺癌(例えば、甲状腺の乳頭癌、甲状腺乳頭癌(PTC)、甲状腺髄様癌)、尿道癌、子宮癌、膣癌、及び外陰癌(例えば、外陰のパジェット病)のうちの1つ以上が挙げられ得る。
【0038】
炭水化物ポリマー:「炭水化物ポリマー」という用語は、例えば、炭水化物骨格を有する1つ以上の炭水化物であるか、またはそれを含むポリマーを指す。例えば、いくつかの実施形態では、炭水化物ポリマーは、多糖もしくはオリゴ糖、または共有結合により連結された複数の単糖単位を含有するポリマーを指す。単糖単位は、全て同一であってもよく、または場合によっては、炭水化物ポリマー内に2つ以上のタイプの単糖単位が存在してもよい。ある特定の実施形態では、炭水化物ポリマーは、天然に存在する。ある特定の実施形態では、炭水化物ポリマーは、合成である(すなわち、天然に存在しない)。いくつかの実施形態では、炭水化物ポリマーは、化学修飾を含み得る。いくつかの実施形態では、炭水化物ポリマーは、線状ポリマーである。いくつかの実施形態では、炭水化物ポリマーは、分岐ポリマーである。
【0039】
化学療法剤:「化学療法剤」という用語は、がんのための化学療法に使用されるものであることが知られている治療薬を指す。例えば、いくつかの実施形態では、化学療法剤は、急速に成長するがん細胞の増殖を阻害し、及び/またはがん細胞を殺傷することができる。そのような化学療法剤の例としては、アルキル化剤、抗代謝物質、トポイソメラーゼ阻害剤、及び/または有糸分裂阻害剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
併用療法:本明細書で使用される場合、「併用療法」という用語は、対象が2つ以上の治療レジメン(例えば、2つ以上の治療薬)に同時に曝露されるそれらの状況を指す。いくつかの実施形態では、2つ以上のレジメンは、同時に投与され得、いくつかの実施形態では、そのようなレジメンは、順次投与され得(例えば、第1のレジメンの全ての「用量」は、任意の用量の第2のレジメンの投与前に投与される)、いくつかの実施形態では、そのような薬剤は、重複した投薬レジメンで投与される。いくつかの実施形態では、併用療法の「投与」は、他の薬剤(複数可)またはモダリティ(複数可)を受けている対象に、組み合わせで、1つ以上の薬剤(複数可)またはモダリティ(複数可)を投与することを含み得る。明確にするために、併用療法は、個々の薬剤が単一の組成物中に一緒に(または必ずしも同時に)投与されることを必要としないが、いくつかの実施形態では、2つ以上の薬剤またはその活性部分は、併用組成物中、または更には併用化合物中(例えば、単一の化学複合体または共有結合体の一部として)に一緒に投与されてもよい。
【0041】
コロイド:本明細書で使用される場合、「コロイド」という用語は、連続培地(例えば、水性緩衝液系)を介して分散された粒子(例えば、ポリマー粒子)の均質な溶液または懸濁液を指す。いくつかの実施形態では、コロイドは、エマルションである。いくつかの実施形態では、コロイドは、ゾルである。いくつかの実施形態では、コロイドは、ゲルである。
【0042】
同等:本明細書で使用される場合、「同等」という用語は、2つ以上の薬剤、実体、状況、条件のセットなどであって、互いに同一でなくてもよいが、観察される差異または類似性に基づいて結論が合理的に導かれ得ることを当業者が理解するように、それらの間の比較を可能にするほど十分に類似する、当該2つ以上の薬剤、実体、状況、条件のセットなどを指す。いくつかの実施形態では、条件、状況、個体、または集団の同等なセットは、複数の実質的に同一の特徴及び1つまたは少数の様々な特徴によって特徴付けられる。当業者は、文脈における任意の所与の状況で、2つ以上のそのような薬剤、実体、状況、条件のセットなどが同等とみなされるために、どの程度の同一性が必要とされるかを理解するであろう。例えば、当業者は、得られた結果の差異または異なる状況、個人、もしくは集団の組の下でまたはそれらとともに観測された現象が、それらの特徴のバリエーションによって引き起こされる、もしくは示す、合理的な結論を保証するのに十分な数及びタイプの実質的に同一の特徴によって特徴付けられる場合、一連の状況、個人、または集団が互いに同等であることを理解するであろう。当業者はまた、「同等」という用語が2つ以上の値の比較の文脈において使用される場合、そのような値は、値の差異が、治療的な転帰、例えば、抗腫瘍免疫の誘導及び/または腫瘍再成長及び/または転移の発生率における重要な差異をもたらさないような互いに同等であることを理解するであろう。例えば、いくつかの実施形態では、同等な放出速度は、48時間の期間にわたって15%以内のそのような放出速度の値を指す。いくつかの実施形態では、同等な放出速度は、48時間の期間にわたって20%以内のそのような放出速度の値を指す。いくつかの実施形態では、同等な放出速度は、24時間の期間にわたって15%以内のそのような放出速度の値を指す。
【0043】
状態、疾患、または障害:「状態」、「疾患」、及び「障害」という用語は、互換的に使用される。
【0044】
臨界ゲル化温度:本明細書で使用される場合、「CGT」と略される「臨界ゲル化温度」は、生体材料調製物(例えば、本明細書に記載のもの)の前駆体状態が本明細書に記載のポリマーネットワーク状態(例えば、ヒドロゲル状態)に移行する閾値温度またはそれを上回る温度を指す。いくつかの実施形態では、臨界ゲル化温度は、ソルゲル遷移温度に対応し得る。いくつかの実施形態では、臨界ゲル化温度は、より低い臨界溶液温度に対応し得る。熱応答性ゲルの一般的な説明については、Taylor et al.,“Thermoresponsive Gels”Gels(2017)3:4を参照されたく、これらの内容は、本明細書に記載の目的のために参照により本明細書に組み込まれる。本開示に記載されるように、本明細書に記載の生体材料調製物のある特定の実施形態は、それが約35~40℃の温度に曝露されるときにポリマーネットワーク状態を形成することが示されている。当業者であれば、本開示を読めば、そのような生体材料調製物は、必ずしも約35~40℃のCGTを有する必要はなく、むしろ35~40℃より低いCGTを有する場合があることを理解するであろう。例えば、いくつかの実施形態では、提供される生体材料調製物は、約20~28℃のCGTを有し得る。
【0045】
架橋:本明細書で使用される場合、「架橋」という用語は、ネットワークを形成するための一方の実体と別方の実体との間の相互作用及び/または連結を指す。例えば、いくつかの実施形態では、ポリマーネットワーク中に存在する架橋は、分子内架橋、分子間架橋、または両方であり得るか、またはそれらを含み得る。いくつかの実施形態では、架橋は、ポリマーネットワークを形成するための一方のポリマー鎖(複数可)と別方のポリマー鎖(複数可)との間の相互作用及び/または連結を含み得る。いくつかの実施形態では、架橋は、例えば、1つ以上の環境トリガー及び/または理化学的相互作用を含む、1つ以上の物理的架橋アプローチを使用して達成され得る。環境トリガーの例としては、pH、温度、及び/またはイオン強度が挙げられるが、これらに限定されない。理化学的相互作用の非限定的な例としては、疎水性相互作用、電荷相互作用、水素結合相互作用、立体錯体化、及び/または超分子化学が挙げられる。いくつかの実施形態では、架橋は、例えば、いくつかの実施形態では、シフ塩基を形成するアルデヒド及びアミンの反応、ヒドラジンを形成するアルデヒド及びヒドラジドの反応、及び/または二級アミンまたは硫化物を形成するアクリレートと一級アミンまたはチオールのいずれかとのマイケル反応を含み得る化学反応に基づく、1つ以上の共有結合架橋アプローチ(例えば、2つの実体間の連結が共有結合であるか、またはそれを含む)を使用して達成され得る。そのような共有結合架橋アプローチの例としては、小分子架橋及びポリマー-ポリマー架橋が挙げられるが、これらに限定されない。ポリマー鎖の物理的及び共有結合架橋のための様々な方法は、例えば、Hoare and Kohane,“Hydrogels in drug delivery:Progress and challenges”Polymer(2008)49:1993-2007に記載されており、その全容は、本明細書に開示の目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0046】
架橋剤:本明細書で互換的に使用される、「架橋剤(crosslinker)」または「架橋剤(crosslinking agent)」という用語は、一方の実体(例えば、1つのポリマー鎖)を別方の実体(例えば、別のポリマー鎖)に連結する薬剤を指す。いくつかの実施形態では、2つの実体間の連結(すなわち、「架橋」)は、共有結合であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、2つの実体間の連結は、イオン結合またはイオン相互作用であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、架橋剤は、例えば、いくつかの実施形態では、アルデヒドとアミノ基との間の共有結合の形成を誘導するための小分子(例えば、ジアルデヒドまたはゲニピン)であり得るか、またはそれを含み得る化学架橋剤である。いくつかの実施形態では、架橋剤は、感光性官能基を含む。いくつかの実施形態では、架橋剤は、pH感受性官能基を含む。いくつかの実施形態では、架橋剤は、熱感受性官能基を含む。
【0047】
疾患:本明細書で使用される場合、「疾患」という用語は、典型的には、対象(例えば、ヒト対象)の組織または系の正常な機能を損ない、典型的には、特徴的な徴候及び/または症状によって表される障害または状態を指す。本明細書で提供される技術に適する疾患の例としては、自己免疫疾患、炎症性疾患、骨疾患、代謝性疾患、神経学的疾患及び神経変性疾患、がん、心血管疾患、アレルギー及び喘息、アルツハイマー病、ならびにホルモン関連疾患が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される技術に適する疾患は、がんである。
【0048】
有効量:「有効量」は、所望の生物学的応答、例えば、対象が罹患する可能性がある状態の治療を誘発するのに十分な量である。当業者には理解されるであろうが、組成物または組成物に含まれる薬剤の有効量は、所望の生物学的エンドポイント、組成物中の薬剤の物理的、化学的、及び/または生物学的特性(例えば、薬物動態及び/または分解)、治療されている状態、ならびに対象の年齢及び健康状態といったそのような要因に応じて変化し得る。いくつかの実施形態では、量は、治療的治療に有効であり得、代替的または追加的に、いくつかの実施形態では、量は、予防的治療に有効であり得る。例えば、がんの治療において、有効量は、腫瘍再成長を予防し得るか、腫瘍負荷を低減し得るか、または腫瘍の成長もしくは広がりを停止させ得る。有効量は、単一剤形に含有される必要はないことを当業者は理解するであろう。むしろ、有効量の投与は、潜在的に経時的な、(例えば、投薬レジメンに従った)複数回の用量の投与を伴い得る。例えば、いくつかの実施形態では、有効量は、関連する集団に投与された場合、統計的有意性を有する特定の結果を達成するために確立されている投薬レジメンで投与された量であり得る。
【0049】
水和物:「水和物」という用語は、本明細書で使用される場合、その技術分野で理解される意味を有し、化合物(例えば、化合物の塩形態であってもよい)と1つ以上の水分子との凝集体を指す。典型的には、化合物の水和物に含有される水分子の数は、水和物中の化合物分子の数に対して明確な比率である。したがって、化合物の水和物は、例えば、一般式R×xH2Oによって表され得、式中、Rは、化合物であり、xは0より大きい数である。所与の化合物は、例えば、一水和物(xは、1)、低水和物(xは、0よりも大きく1よりも小さい数、例えば、半水和物(R×0.5H2O))、及び多水化物(xは、1よりも大きい数、例えば、二水和物(R×2H2O)及び六水和物(R×6H2O))を含む、2つ以上のタイプの水和物を形成し得る。
【0050】
ヒドロゲル:「ヒドロゲル」という用語は、その技術分野で理解される意味を有し、親水性であるポリマー鎖のネットワークから形成された材料を指し、水相が分散媒体であるコロイドゲルとして見出されることがある。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、吸収性が高い(例えば、90%超の水を吸収及び/または保持することができる)天然または合成のポリマーネットワークである。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、例えば、それらの顕著な含水量に起因する天然組織と同程度の柔軟度を有する。
【0051】
免疫療法:「免疫療法」という用語は、免疫応答を誘導、増強、または抑制することによって疾患の治療を促進する治療薬を指す。免疫反応を誘発または増幅するように設計された免疫療法は、活性化免疫療法に分類される一方で、免疫応答を低減または抑制する免疫療法は、抑制免疫療法に分類される。免疫療法は、通常は生物学的薬物であるが必ずしもそうとは限らない。多数の免疫療法ががんを治療するために使用される。これらには、モノクローナル抗体、養子細胞移入、サイトカイン、ケモカイン、ワクチン、核酸、小分子阻害剤、及び小分子アゴニストが含まれるが、これらに限定されない。例えば、有用な免疫療法としては、I型インターフェロンの誘導剤、インターフェロン、インターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)アゴニスト、TLR7/8アゴニスト、IL-15スーパーアゴニスト、COX阻害剤(例えば、COX-1阻害剤及び/またはCOX-2阻害剤)、抗PD-1抗体、抗CD137抗体、及び抗CTLA-4抗体が挙げられ得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるある特定のポリマー生体材料(複数可)調製物は、それ自体が、免疫療法の不在下で免疫調節性(例えば、抗腫瘍免疫を誘導するのに十分)であり、したがって、本明細書に記載のそのような免疫療法の投与を含まない。
【0052】
免疫調節ペイロード:本明細書で使用される場合、「免疫調節ペイロード」という用語は、本明細書で提供及び/または利用されるものなどのポリマー生体材料(複数可)調製物によって担持され得るか、またはその中に分布され得る別個の免疫調節剤(例えば、小分子、ポリペプチド(例えば、サイトカインを含む)、核酸など)を指し、免疫調節剤は、対象における免疫応答の1つ以上の態様を調節または改変(例えば、誘導、増強、または抑制など)する治療効果を提供する。免疫調節ペイロードの例としては、適応免疫応答の活性化因子、自然免疫応答の活性化因子、炎症誘発性経路の阻害剤、免疫調節サイトカイン、または免疫調節治療薬、ならびにWO2018/045058及びWO2019/183216に記載されるもの、ならびにそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。前述の特許出願の内容は、本明細書に記載の目的のために参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、免疫調節ペイロードは、自然免疫調節ペイロード(例えば、自然免疫及び/または自然免疫の1つ以上の特徴を誘導または刺激する免疫調節ペイロード)であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、自然免疫調節ペイロードは、自然免疫応答の活性化因子であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、免疫調節ペイロードは、適応免疫調節ペイロード、例えば、適応免疫応答の活性化因子であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、免疫調節ペイロードは、炎症誘発性経路の阻害剤、例えば、p38マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)経路によって媒介される炎症誘発性免疫応答の阻害剤であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、免疫調節ペイロードは、免疫調節サイトカインであるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、免疫調節ペイロードは、免疫調節治療薬であるか、またはそれを含む。当業者には理解されるであろうように、免疫調節ペイロードは、例えば、分解など、例えば、化学的、酵素的、及び/または生物学的反応によって生成される(例えば、本明細書に記載及び/または利用される)ポリマー生体材料(複数可)調製物の構成成分(例えば、前駆体構成成分)及び/または副産物を含まない。
【0053】
移植:「移植可能な」、「移植」、「移植すること」、及び「移植する」という用語は、目的の組成物を、腫瘍切除部位内またはセンチネルリンパ節内などの対象における特定の位置に、典型的には一般的な外科的方法によって配置することを指す。
【0054】
増加、誘導、または低減:本明細書で使用される場合、これらの用語または文法的に同等な比較用語は、同等な参照測定値に対して相対的な値を示す。例えば、対象において達成された評価された値は、異なる条件下(例えば、事象の前もしくは後、または本明細書に記載及び/または利用される組成物もしくは調製物の投与などの事象の存在もしくは不在)での同じ対象において、または異なる、同等な対象において(例えば、条件への以前の曝露、例えば、本明細書に記載及び/または利用される組成物もしくは調製物の投与の不在における目的の対象とは異なる同等な対象において)、得られたものに対して「増加」され得る。いくつかの実施形態では、比較用語は、統計的に関連する差異(例えば、統計的関連性を達成するのに十分な発生率及び/または大きさのもの)を指す。当業者は、所与の文脈において、そのような統計的有意差を達成するのに必要であるか、または十分な差異の程度及び/または発生率を知っているか、または容易に決定することができるであろう。
【0055】
阻害する:「阻害する」または「阻害」という用語は、完全な阻害のみに限定されない。したがって、いくつかの実施形態では、部分阻害または相対的低減が、「阻害」という用語の範囲内に含まれる。例えば、標的のレベル(例えば、発現及び/または活性)を調節する文脈において、この用語は、いくつかの実施形態では、例えば、標的のベースラインレベルであり得る最初または他の適切な参照レベルよりも、再現可能で、及び/または統計的に著しく低いレベルまでの標的のレベル(例えば、発現及び/または活性)の低減を指す。いくつかの実施形態では、この用語は、例えば、標的のベースラインレベルであり得る最初のレベルの75%未満、50%未満、40%未満、30%未満、25%未満、20%未満、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.1%未満、0.01%未満、0.001%未満、または0.0001%未満であるレベルまでの標的のレベル(例えば、発現及び/または活性)の低減を指す。腫瘍再発及び/または転移のリスク及び/または発生率の文脈において、この用語は、いくつかの実施形態では、例えば、本明細書に記載の組成物の投与の不在下または投与前における腫瘍再発及び/または転移のリスクまたは発生率のベースラインレベルであり得る最初または他の適切な参照レベルよりも、再現可能で、及び/または統計的に著しく低いレベルまでの腫瘍再発及び/または転移のリスクまたは発生率の低減を指す。いくつかの実施形態では、この用語は、例えば、本明細書に記載の組成物の投与の不在下での、または投与前の腫瘍再発及び/または転移のリスクまたは発生率のベースラインレベルであり得る最初のレベルの75%未満、50%未満、40%未満、30%未満、25%未満、20%未満、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.1%未満、0.01%未満、0.001%未満、または0.0001%未満であるレベルまでの腫瘍再発及び/または転移のリスクまたは発生率の低減を指す。(例えば、標的の活性及び/または発現を阻害することによる)免疫細胞機能の調節の文脈において、この用語は、いくつかの実施形態では、例えば、本明細書に記載の組成物の不在下または投与前における標的のベースラインレベルの活性及び/または発現であり得る初期または他の適切な参照レベルよりも、再現可能で、及び/または統計的に著しく低いレベルまでの標的の活性及び/または発現の低減を指す。
【0056】
阻害剤:本明細書で使用される場合、「阻害剤」という用語は、その存在またはレベルが、調節される標的のレベルまたは活性の減少と相関する薬剤を指す。いくつかの実施形態では、阻害剤は、直接的に作用し得(この場合、例えば、標的に結合することにより、直接的に当該標的に対する影響を及ぼす)、いくつかの実施形態では、阻害剤は、間接的に作用し得る(この場合、阻害剤は、標的のレベル及び/または活性が低減されるように当該標的の調節因子と相互作用すること、及び/または別様にそれを変化させることにより、その影響を及ぼす)。いくつかの実施形態では、阻害剤は、その存在またはレベルが、特定の参照レベルまたは活性(例えば、既知の阻害剤の存在、または本明細書に開示の阻害剤の不在などの適切な参照条件下で観察されるもの)に対して低減される標的レベルまたは活性と相関するものである。いくつかの実施形態では、阻害剤は、小分子、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、多糖、ポリペプチド、タンパク質、抗体、及び/またはその機能部分であり得る。
【0057】
炎症誘発性経路の阻害剤:本明細書で使用される場合、「炎症誘発性経路の阻害剤」という用語は、いくつかの実施形態では、免疫抑制に関連する炎症を阻害または低減する薬剤を指す。いくつかの実施形態では、このような炎症誘発性経路の阻害剤は、免疫抑制性細胞の動員を防止するか、または急性炎症を防止する薬剤を指す。かかる急性炎症及び/または免疫抑制性細胞の動員は、手術により引き起こされるものが含まれる、局所的外傷の後に発生し得る。いくつかの実施形態では、炎症誘発性経路の阻害剤は、例えば、炎症性サイトカイン(例えば、TGF-β及びIL-10を含むがこれらに限定されない)の産生、M2様マクロファージの活性の増加及び/または増殖、例えば、骨髄性細胞、好中球、及び肥満細胞などを含むがこれらに限定されない関連する免疫細胞の動員を含む、例えば、炎症を誘導する免疫応答を阻害し得る。炎症誘発性経路の阻害剤の例としては、例えば、国際出願第2019/183216号に記載されるものが挙げられ、その内容は、本明細書に記載の目的のために参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0058】
リンパ節:当該技術分野において既知のように、「リンパ節」という用語は、リンパ液が流れる体全体に位置する小さい構造であるリンパ系の構成成分を指す。リンパ節は、リンパ液からある特定の物質を濾過すると理解されている。リンパ節はまた、例えば、体全体の免疫反応に関与し得る免疫細胞を含有し得る。いくつかの実施形態では、リンパ節は、センチネルリンパ節(すなわち、がん細胞が原発腫瘍から最も広がる可能性が高いリンパ節)であり得るか、またはそれを含み得る。
【0059】
マーカー:マーカーは、本明細書で使用される場合、その存在またはレベルが特定の状態または事象の特徴である実体または部分を指す。いくつかの実施形態では、特定のマーカーの存在またはレベルは、疾患、障害、または状態の存在または病期の特徴であり得る。一例を挙げると、いくつかの実施形態では、この用語は、特定の腫瘍、腫瘍サブクラス、腫瘍の病期などの特徴である遺伝子発現産物を指す。代替的または追加的に、いくつかの実施形態では、特定のマーカーの存在またはレベルは、例えば、特定のクラスの腫瘍の特徴であり得る、特定のシグナル伝達経路の活性(または活性レベル)と相関する。マーカーの存在または不在の統計的有意性は、特定のマーカーに応じて変化し得る。いくつかの実施形態では、マーカーの検出は、それが腫瘍が特定のサブクラスである高い確率を反映している点で、非常に特異的である。そのような特異度は、感度を犠牲にして得られる場合がある(すなわち、腫瘍がマーカーを発現することが期待される腫瘍である場合でも、陰性の結果が起こる場合がある)。逆に、感度の高いマーカーは、より低い感度を有するものよりも特異的でない場合がある。当業者は、多くの実施形態では、有用なマーカーが100%の精度で区別する必要はないことを理解するであろう。
【0060】
異性体:同じ分子式を有するが、それらの原子の結合の性質もしくは配列、または空間におけるそれらの原子の配置が異なる化合物は、「異性体」と称されることもまた理解される必要がある。空間におけるそれらの原子の配列が異なる異性体は、「立体異性体」と称される。
【0061】
転移:「転移」、「転移性」、または「転移する」という用語は、原発腫瘍または元の腫瘍から別の器官または組織へのがん細胞の拡散または遊走を指し、典型的には、原発腫瘍または元の腫瘍の組織型のものであり、続発性(転移性)腫瘍が位置する器官または組織のものではない、「続発性腫瘍」または「続発性細胞塊」の存在により特定可能である。例えば、骨に移動した前立腺癌は、転移性前立腺癌と言われ、骨組織中で増殖するがん性の前立腺癌細胞を含む。
【0062】
微粒子:本明細書で使用される場合、「微粒子」という用語は、1マイクロメートル~1,000マイクロメートル(μm)の最長寸法(例えば、直径)を有する粒子を指す。いくつかの実施形態では、微粒子は、1μm~500μmの最長寸法(例えば、直径)を特徴とし得る。いくつかの実施形態では、微粒子は、1μm~100μmの最長寸法(例えば、直径)を特徴とし得る。多くの実施形態では、微粒子の集団は、約1,000μm、約500μm、約100μm、約50μm、約40μm、約30μm、約20μm、または約10μmを下回り、多くの場合、約1μmを上回る平均サイズ(例えば、最長寸法)を特徴とする。多くの実施形態では、微粒子は、(例えば、その最長寸法がその直径であり得るように)実質的に球状であり得る。
【0063】
単糖:本明細書で使用される場合、「単糖」という用語は、当該技術分野において使用されるその通常の意味を付与され、より小さい糖構成ブロックまたは部分に更に分解することができない単一の糖単位からなる単純な形態の糖を指す。単糖の一般的な例としては、例えば、グルコース(デキストロース)、フルクトース、ガラクトース、マンノース、リボースなどが挙げられる。単糖は、炭水化物の炭素原子の数に従って、例えば、グリセルアルデヒド及び/またはジヒドロキシアセトンなどの3つの炭素原子を有するトリオース;エリスロース、トレオース、及び/またはエリトルロースなどの4つの炭素原子を有するテトロース;アラビノース、リキソース、リボース、キシロース、リブロース、及び/またはキシルロースなどの5つの炭素原子を有するペントース;アロース、アルトロース、ガラクトース、グルコース、グロース、イドース、マンノース、タロース、フルクトース、プシコース、ソルボース、及び/またはタガトースなどの6つの炭素原子を有するヘキソース;マンノヘプツロース及び/またはセドヘプツロースなどの7つの炭素原子を有するヘプトース;2-ケト-3-デオキシ-マンノ-オクトネートなどの8つの炭素原子を有するオクトース;シアロース(sialose)などの9つの炭素原子を有するノノース;ならびに10個の炭素原子を有するデコースに分類され得る。上記の単糖は、D-単糖及びL-単糖の両方を包含する。代替的に、単糖は、糖単位が、ヒドロキシル以外の1つ以上の置換基(例えば、デオキシ、H置換基、ヘテロ原子置換基(例えば、S、Cl、Fなど)など)を含む、単糖バリアントであり得る。かかるバリアントは、限定されるものではないが、エーテル、エステル、アミド、酸、ホスフェート、及びアミンであり得る。アミンバリアント(すなわち、アミノ糖)としては、例えば、グルコサミン、ガラクトサミン、フルクトサミン、及び/またはマンノサミンが挙げられる。アミドバリアントとしては、例えば、糖のN-アセチル化アミンバリアント(例えば、N-アセチルグルコサミン及び/またはN-アセチルガラクトサミン)が挙げられる。
【0064】
調節因子:本明細書で使用される場合、「調節因子」という用語は、目的の活性が観察される系におけるその存在またはレベルが、調節因子が不在である場合の他の同等な条件下で観察されるものと比較して、その活性のレベル及び/または性質の変化と相関する実体であり得るか、またはそれを含み得る。いくつかの実施形態では、調節因子は、調節因子が不在である場合に、他の同等な条件下で観察されるものと比較して、目的の活性がその存在下で増加されるという点で、活性化因子またはアゴニストである。いくつかの実施形態では、調節因子は、調節因子が不在である場合に、他の同等な条件と比較して、目的の活性がその存在下で低減されるという点で、アンタゴニストまたは阻害剤である。いくつかの実施形態では、調節因子は、その活性が目的のものである標的実体と直接的に相互作用する。いくつかの実施形態では、調節因子は、その活性が目的のものである標的実体と間接的に相互作用する(例えば、標的実体と相互作用する及び/または関連付けられる1つ以上の実体と相互作用する)。いくつかの実施形態では、調節因子は、目的の標的実体のレベルに影響を及ぼし、代替的にまたは追加的に、いくつかの実施形態では、調節因子は、標的実体のレベルに影響を及ぼさずに目的の標的実体の活性に影響を及ぼす。いくつかの実施形態では、調節因子は、観察された活性の差異が、観察されたレベルの差異により全体的に説明されないか、または釣り合わないように、目的の標的実体のレベル及び活性の両方に影響を及ぼす。いくつかの実施形態では、調節因子は、低分子、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、多糖、ポリペプチド、タンパク質、抗体、及び/またはそれらの機能部分であり得る。
【0065】
マクロファージエフェクター機能の調節因子:「マクロファージエフェクター機能の調節因子」という用語は、マクロファージエフェクター機能を活性化するか、免疫抑制マクロファージまたはマクロファージ由来のサプレッサー細胞を枯渇させる薬剤を指す。そのような増強により、マクロファージ及び骨髄性構成成分を動員して、腫瘍脈管系を含む腫瘍及びその間質を破壊し得る。マクロファージを誘導して、抗腫瘍サイトカインを分泌し、及び/または抗体依存性細胞食作用を含む食作用を実施し得る。
【0066】
好中球機能の調節因子:本明細書で互換的に使用される場合、「好中球の調節因子」及び「好中球機能の調節因子」という用語は、好中球の1つ以上の生物学的機能及び/または表現型の調節因子を指す。例えば、いくつかの実施形態では、好中球機能の調節因子は、好中球の動員、生存、及び/または増殖を阻害し得る。追加的または代替的に、いくつかの実施形態では、好中球機能の調節因子は、1つ以上の免疫調節分子(例えば、免疫調節サイトカイン及び/またはケモカイン)の産生及び/または分泌の調節を含み得るがこれらに限定されない、好中球関連エフェクター機能を調節し得、及び/または好中球の細胞外マトリックス修飾能力を変化させ得る。いくつかの実施形態では、好中球機能の調節因子(例えば、本明細書に記載のもの)は、好中球のみに作用するか、または好中球のみを標的とし得る。いくつかの実施形態では、好中球機能の調節因子(例えば、本明細書に記載のもの)は、好中球ならびに少なくとも1つの追加のタイプの免疫細胞、例えば、骨髄由来抑制性細胞(MDSC)、マクロファージ、及び/または単球の他のサブセットに作用し得る。当業者は、好中球の少なくとも1つのサブセットが、MDSCの1つ以上のある特定のサブセットと同様の免疫活性を示し得、したがって、多形核及び/または顆粒球MDSCとみなされ得ることを理解するであろう(例えば、以下において記載されるように:Mehmeti-Ajradini et al.,“Human G-MDSCs are neutrophils at distinct maturation stages promoting tumor growth in breast cancer”Life Science Alliance,September 21,2020、及びBrandau et al.,“A subset of mature neutrophils contains the strongest PMN-MDSC activity in blood and tissue of patients with head and neck cancer”The Journal of Immunology,May 1,2020、その各々の内容は、本明細書に記載の目的のために参照により本明細書に組み込まれる)。
【0067】
ナノ粒子:本明細書で使用される場合、「ナノ粒子」という用語は、1000ナノメートル(nm)未満の最長寸法(例えば、直径)を有する粒子を指す。いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、300nm未満の最長寸法(例えば、直径)を特徴とし得る。いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、100nm未満の最長寸法(例えば、直径)を特徴とし得る。多くの実施形態では、ナノ粒子は、約1nm~約100nm、または約1nm~約500nm、または約1nm~1,000nmの最長寸法を特徴とし得る。多くの実施形態では、ナノ粒子の集団は、約1,000nm、約500nm、約100nm、約50nm、約40nm、約30nm、約20nm、または約10nmを下回り、多くの場合、約1nmを上回る平均サイズ(例えば、最長寸法)を特徴とする。多くの実施形態では、ナノ粒子は、その最長寸法がその直径であり得るように、実質的に球状であり得る。いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、National Institutes of Healthによって定義されるように、100nm未満の直径を有する。
【0068】
新生物及び腫瘍:「新生物」及び「腫瘍」という用語は、本明細書において互換的に使用され、組織の異常な塊を指し、その塊の増殖は、正常組織の成長を上回り、それと協調しない。新生物または腫瘍は、以下の特徴に応じて「良性」または「悪性」であり得る:細胞分化の程度(形態学及び機能が含まれる)、成長速度、局所浸潤、及び転移。「良性新生物」は、一般に高分化であり、悪性新生物よりも特徴的に遅い成長を有し、発生部位に局在したままである。加えて、良性新生物は、遠位の部位に浸潤、侵入、または転移する能力を有さない。例示的な良性新生物としては、限定されるものではないが、脂肪腫、軟骨腫、腺腫、アクロコルドン、老年性血管腫、脂漏性角化症、黒子、及び皮脂腺過形成が挙げられる。場合によっては、ある特定の「良性」腫瘍は、後に悪性新生物を生じさせ得、これは、腫瘍の腫瘍細胞の亜集団における更なる遺伝子の変化の結果として生じ得、これらの腫瘍は、「前悪性新生物」と称される。前悪性新生物の一例は、奇形腫である。対照的に、「悪性新生物」は、一般に、低分化(退形成)であり、進行性の浸潤、侵入、及び周囲組織の破壊を伴う特徴的に急速な成長を有する。更に悪性新生物は、概して、遠位の部位に転移する能力を有する。
【0069】
核酸:本明細書で使用される「核酸」という用語は、その通常の意味と一致しており、またポリヌクレオチドとして表されてもよい。しかしながら、「核酸」または「少なくとも1つの核酸」として使用される場合、これは、単一の分子を指すのではなく、単一種の核酸を指す。
【0070】
ペイロード:概して、「ペイロード」という用語は、本明細書で使用される場合、本明細書に記載のポリマー生体材料(複数可)調製物に組み込まれ得る薬剤を指す。いくつかの実施形態では、ペイロードは、例えば、小分子、ペプチド、ポリペプチド、核酸、糖(例えば、多糖)、脂質、金属、またはそれらの組み合わせもしくは複合体を含む任意の化学クラスの化合物、分子、または実体であり得る。いくつかの実施形態では、ペイロードは、生物学的修飾因子、検出可能な薬剤(例えば、染料、フルオロフォア、放射性標識など)、検出剤、栄養素、治療薬、鉱物、成長因子、サイトカイン、抗体、ホルモン、細胞外マトリックスタンパク質(コラーゲン、ビトロネクチン、フィブリンなど)、細胞外マトリックス糖、化学誘引物質、ポリヌクレオチド(例えば、DNA、RNA、アンチセンス分子、プラスミドなど)、微生物(例えば、ウイルス)など、またはそれらの組み合わせであり得るか、またはそれらを含み得る。いくつかの実施形態では、ペイロードは、治療薬であるか、またはそれを含む。治療薬の例としては、鎮痛剤、抗生物質、抗体、抗凝固剤、制吐剤、細胞、凝固剤、サイトカイン、成長因子、ホルモン、免疫調節剤、ポリヌクレオチド(例えば、DNA、RNA、アンチセンス分子、プラスミドなど)、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、ペイロードは、細胞もしくは生物、または、その画分、抽出物、もしくは構成成分であってもよいか、または、これを含んでもよい。代替的または追加的に、いくつかの実施形態では、ペイロードは、天然に見出される、及び/または天然から得られるという点で、天然産物であり得るか、またはそれを含み得る。代替的または追加的に、いくつかの実施形態では、この用語は、それが人の手の作用を介して設計され、操作され、及び/または産生され、及び/または天然には見出されないという点で人工的である1つ以上の実体を指すために使用され得る。いくつかの実施形態では、ペイロードは、単離された、または純粋な形態の薬剤であり得るか、またはそれを含み得、いくつかの実施形態では、そのような薬剤は、粗製形態であり得る。
【0071】
薬学的に許容される塩:「薬学的に許容される塩」という用語は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などなく、例えば、ヒト及び/または動物の組織との接触における使用に好適であり、かつ合理的な利益/リスク比に見合う塩を指す。薬学的に許容される塩は、当該技術分野において周知である。例えば、Berge et al.は、J.Pharmaceutical Sciences,1977,66,1-19に薬学的に許容される塩を詳細に記載し、その内容は、本明細書に記載の目的のために参照により本明細書に組み込まれる。本開示のある特定の実施形態に従って利用され得る薬学的に許容される塩としては、例えば、好適な無機及び有機の酸及び塩基から誘導されるものが挙げられる。薬学的に許容される非毒性の酸付加塩の例は、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、及び過塩素酸により、または有機酸、例えば、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、もしくはマロン酸により、またはイオン交換などの当該技術分野において既知の他の方法を使用することにより形成される、アミノ基の塩である。他の薬学的に許容される塩としては、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリル酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。適切な塩基から誘導される塩には、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、及びN+(C1-C4アルキル)4塩が含まれる。代表的なアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などが挙げられる。更なる薬学的に許容される塩としては、適切な場合、ハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、低級アルキルスルホン酸塩、及びアリールスルホン酸塩などの対イオンを使用して形成される非毒性アンモニウム、四級アンモニウム、及びアミンカチオンが挙げられる。
【0072】
ポリヌクレオチド担体:「ポリヌクレオチド担体」、「ポリヌクレオチド剤担体」、または「核酸担体」という用語は、真核細胞による核酸のエンドサイトーシスを促進する任意の薬剤を指す。これらには、脂質、タンパク質、及び小分子が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0073】
ポロキサマー:本明細書で使用される場合、「ポロキサマー」という用語は、1つ以上のポロキサマーのポリマー調製物、または1つ以上のポロキサマーを含むポリマー調製物を指す。いくつかの実施形態では、ポリマー調製物中のポロキサマーは、非コンジュゲートまたは非修飾であり得、例えば、ポリオキシエチレン(ポリエチレングリコール、PEG)の2つの親水性鎖に隣接するポリオキシプロピレン(ポリプロピレングリコール、PPG)の疎水性鎖を含む典型的なトリブロックコポリマーである。いくつかの実施形態では、1つ以上のポロキサマーのポリマー調製物または1つ以上のポロキサマーを含むポリマー調製物は、濾過されていなくてもよい(例えば、そのようなポリマー調製物は、濾過される同等のポリマー調製物と比較して、不純物及び/または比較的低分子量のポリマー分子を含有してもよい)。ポロキサマーの例としては、ポロキサマー124(P124、Pluronic(登録商標) L44 NFとしても知られる)、ポロキサマー188(P188、Pluronic F68NFとしても知られる)、ポロキサマー237(P237、Pluronic F87 NFとしても知られる)、ポロキサマー338(P338、Pluronic F108 NFとしても知られる)、ポロキサマー407(P407、Pluronic F127 NFとしても知られる)、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0074】
ポリマー:「ポリマー」という用語は、当該技術分野において使用されるその通常の意味を付与され、すなわち、共有結合によって連結された1つ以上の反復単位(モノマー)を含む分子構造である。反復単位は、全て同一であってもよく、または場合によっては、ポリマー(例えば、コポリマー)内に2つ以上のタイプの反復単位が存在してもよい。ある特定の実施形態では、ポリマーは、天然に存在する。ある特定の実施形態では、ポリマーは、合成である(すなわち、天然に存在しない)。いくつかの実施形態では、ポリマーは、線状ポリマーである。いくつかの実施形態では、ポリマーは、分岐ポリマーである。いくつかの実施形態では、本開示に従って使用するためのポリマーは、ポリペプチドではない。いくつかの実施形態では、本開示に従う使用のためのポリマーは、核酸ではない。いくつかの実施形態では、本開示に従う使用のためのポリマーは、ポリペプチドではない。
【0075】
ポリマー組み合わせ調製物:本明細書で使用される場合、「ポリマー組み合わせ調製物」という用語は、少なくとも2つの異なるポリマー構成成分を含むポリマー生体材料を指す。例えば、多くの実施形態では、本明細書に記載のポリマー組み合わせ調製物は、第1のポリマー構成成分及び第2の第1のポリマー構成成分を含むポリマー生体材料であり、第1のポリマー構成成分は、少なくとも1つのポロキサマーであるか、またはそれを含み、第2のポリマー構成成分は、ポロキサマーではないポリマーであるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー組み合わせ調製物は、前駆体状態のポリマー生体材料であり、これは、例えば、対象への投与に有用であり得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー組み合わせ調製物は、ポリマーネットワーク状態のポリマー生体材料である。
【0076】
ポリマー生体材料:本明細書に記載の「ポリマー生体材料」は、少なくとも1つのポリマーまたは少なくとも1つのポリマー部分であるか、またはそれを含み、かつ生体適合性である材料である。多数の実施形態では、ポリマー生体材料は、少なくとも1つのポリマーであるか、またはそれを含み、いくつかの実施形態では、ポリマーは、コポリマーであり得るか、またはそれを含み得る。いくつかの実施形態では、ポリマー生体材料は、少なくとも2つの異なるポリマー構成成分の調製物(例えば、ポロキサマー及びポロキサマーではない第2のポリマー構成成分を含有する調製物)であるか、またはそれを含む。当業者は、ある特定のポリマーが、様々な形態(例えば、長さ、分子量、電荷、トポグラフィ、表面化学、アルキル化、アシル化、四級化、ヒドロキシアルキル化、カルボキシアルキル化、チオール化、リン酸化、グリコシル化などの修飾の程度及び/またはタイプ)で存在し得、及び/または利用可能であり得ることを認識するであろうし、いくつかの実施形態では、そのようなポリマーの調製物は、そのような形態(複数可)の特定のレベル及び/または分布を含み得る。追加的または代替的に、いくつかの実施形態では、ポリマー生体材料の1つ以上の免疫調節特性が、例えば、Mariani et al.“Biomaterials:Foreign Bodies or Tuners for the Immune Response?”International Journal of Molecular Sciences,2019,20,636(その内容は、本明細書に記載の目的のために参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)に記載のように、例えば、ポリマー生体材料(例えば、ポリマー生体材料の疎水性及び/または親水性部分、化学部分、及び/または電荷特性によって調節される)及び/またはポリマー生体材料のトポグラフィ(例えば、サイズ、形状、及び/または表面構造によって調節される)を含むその生体材料特性(複数可)によって調整され得ることを理解するであろう。いくつかの実施形態では、ポリマー生体材料は、ポリマーネットワーク状態にあり得る。いくつかの実施形態では、ポリマー生体材料は、注射可能な形態、例えば、前駆体状態(例えば、粘性溶液)にあり得る。例えば、ポリマー生体材料は、(例えば、対象への投与時に)インサイチュで形成されるようにその前駆体構成成分を含み得る。いくつかの実施形態では、ポリマー生体材料は、液体であり得る。いくつかの実施形態では、ポリマー生体材料は、粘性溶液である。いくつかの実施形態では、ポリマー生体材料は、コロイドである。いくつかの実施形態では、ポリマー生体材料は、固体であり得る。いくつかの実施形態では、ポリマー生体材料は、結晶(例えば、無機結晶)であり得る。
【0077】
ポリマーネットワーク:「ポリマーネットワーク」という用語は、互いに相互作用しているポリマー鎖の集合を説明するために本明細書において使用される。いくつかの実施形態では、ポリマーネットワークは、三次元構造材料を形成する。いくつかの実施形態では、ポリマーネットワークは、(例えば、本明細書に記載の)架橋剤を使用してポリマー鎖を連結すること(「架橋ポリマーネットワーク」)によって形成され得る。いくつかの実施形態では、ポリマーネットワークは、それが臨界ゲル化温度以上の温度に曝露されるとき、前駆体状態から遷移し、ポリマーネットワーク状態は、前駆体状態の粘性を著しく上回る(例えば、少なくとも50%以上)粘性を有し、ポリマーネットワーク状態は、前駆体状態に存在しない架橋を含む。いくつかの実施形態では、ポリマーネットワークは、例えば、水素結合を介して、ポリマー鎖の非共有結合性または非イオン性分子間会合によって形成され得る。いくつかの実施形態では、ポリマーネットワークは、ポリマー鎖を化学的に架橋することと、ポリマー鎖の非共有結合性または非イオン性分子間会合との組み合わせによって形成され得る。
【0078】
炎症誘発性サイトカイン:本明細書で使用される場合、「炎症誘発性サイトカイン」という用語は、炎症応答を誘導する細胞(例えば、免疫系の細胞)によって分泌される、タンパク質または糖タンパク質分子を指す。当業者によって理解されるように、炎症は、生物学的文脈に応じて免疫刺激性または免疫抑制性であり得る。
【0079】
炎症誘発性免疫応答:本明細書で使用される「炎症誘発性免疫応答」という用語は、例えば、炎症性サイトカインの産生(例えば、限定されるものではないが、CXCL10、IFN-α、IFN-β、IL-1β、IL-6、IL-18、及び/またはTNF-αを含む)、Th1細胞の活性の増加及び/または増殖、骨髄性細胞の動員などが含まれる、炎症を誘導する免疫応答を指す。いくつかの実施形態では、炎症誘発性免疫応答は、急性炎症及び慢性炎症の一方または両方であり得る、またはこれらを含み得る。
【0080】
増殖性疾患:「増殖性疾患」は、細胞の増殖による異常な増殖または拡大に起因して生じる疾患を指す(Walker,Cambridge Dictionary of Biology;Cambridge University Press:Cambridge,UK,1990)。増殖性疾患は、1)通常は静止している細胞の病理学的増殖、2)それらの正常な位置からの細胞の病理学的移動(例えば、腫瘍細胞の転移)、3)マトリックスメタロプロテイナーゼ(例えば、コラゲナーゼ、ゼラチナーゼ、及びエラスターゼ)などのタンパク質分解酵素の病理学的発現、または4)増殖性網膜症及び腫瘍転移におけるような病理学的血管新生に関連している場合がある。例示的な増殖性疾患としては、がん(すなわち、「悪性新生物」)、良性新生物、血管新生または血管新生に関連する疾患、炎症性疾患、自己炎症性疾患、及び自己免疫疾患が挙げられる。
【0081】
予防上有効量:「予防上有効量」は、状態を予防するのに十分な量である(例えば、それ/それらが、当該量の投与がないと予想される時点で検出されないように、例えば、状態の1つ以上の症状または特性の発病または再発を著しく遅延させる)。組成物の予防上有効量は、状態の予防において予防効果を提供する、単独または他の薬剤との組み合わせでの治療薬(複数可)の量を意味する。「予防上有効量」という用語は、予防全体を改善するか、または別の予防剤の予防効力を増強する量を包含し得る。予防上有効量は単一剤形に含有される必要はないことを当業者は理解するであろう。むしろ、有効量の投与は、潜在的に経時的な、(例えば、投薬レジメンに従った)複数回の用量の投与を伴い得る。
【0082】
リスク:文脈から理解されるであろうように、疾患、障害、及び/または状態の「リスク」は、特定の個体が疾患、障害、及び/または状態を発症するであろう可能性を指す。いくつかの実施形態では、リスクは、パーセンテージとして表される。いくつかの実施形態では、リスクは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90~100%である。いくつかの実施形態では、リスクは、参照試料または参照試料の群に関連するリスクに対して相対的なリスクとして表される。いくつかの実施形態では、参照試料または参照試料の群は、疾患、障害、状態、及び/または事象の既知のリスクを有する。いくつかの実施形態では、参照試料または参照試料の群は、特定の個体と同等の個体からのものである。いくつかの実施形態では、相対リスクは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上である。いくつかの実施形態では、リスクは、例えば、個体を特定の疾患、障害、及び/または状態の発症(または非発症)に向かわせ得る1つ以上の遺伝的属性を反映し得る。いくつかの実施形態では、リスクは、1つ以上のエピジェネティック事象または属性及び/または1つ以上のライフスタイルまたは環境事象もしくは属性を反映し得る。
【0083】
塩:本明細書で使用される場合、「塩」という用語は、ありとあらゆる塩を指し、薬学的に許容される塩を包含する。
【0084】
試料:本明細書で使用される場合、「試料」という用語は、典型的には、本明細書に記載の目的の供給源から得られたか、またはそれに由来する材料のアリコートを指す。いくつかの実施形態では、対象となる供給源は、生物学的または環境的供給源である。いくつかの実施形態では、対象となる供給源は、細胞、または、微生物、植物、もしくは動物(例えば、ヒト)などの生物であり得るか、またはそれらを含み得る。いくつかの実施形態では、対象となる供給源は、生物学的組織または流体であるか、または、これを含む。いくつかの実施形態では、生物学的組織または流体は、羊水、房水、腹水、胆汁、骨髄、血液、母乳、脳脊髄液、耳垢、乳び、チャイム、射精液、内リンパ、滲出液、糞便、胃酸、胃液、リンパ、粘液、心膜液、外リンパ、腹膜液、胸膜液、膿、粘膜の分泌物、唾液、皮脂、精液、血清、恥垢、痰、滑液、汗、涙、尿、膣分泌物、硝子体液、嘔吐物、及び/またはそれらの組み合わせもしくは構成成分(複数可)であり得るか、またはそれらを含み得る。いくつかの実施形態では、生物学的流体は、細胞内液、細胞外液、血管内液(血漿)、間質液、リンパ液、及び/または、細胞透過液であることができるか、または、これを含むことができる。いくつかの実施形態では、生物学的流体は、植物滲出液であることができるか、または、これを含むことができる。いくつかの実施形態では、生物学的組織または試料は、例えば、吸引、生検(例えば、細針または組織生検)、スワブ(例えば、口腔、鼻、皮膚、または膣のスワブ)、掻爬、手術、洗浄(washing)または洗浄(lavage)(例えば、気管支肺胞、導管、鼻、眼、口腔、子宮、膣、または他の洗浄(washing)または洗浄(lavage))によって得られ得る。いくつかの実施形態では、生物学的試料は、個体から得られた細胞であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、試料は、任意の適切な手段によって目的の供給源から直接得られた「一次試料」である。いくつかの実施形態では、文脈から明らかであろうように、「試料」という用語は、一次試料を処理することによって(例えば、一次試料の1つ以上の構成成分を除去することによって、及び/または1つ以上の薬剤を添加することによって)得られる調製物を指す。例えば、半透膜を使用する濾過。そのような「処理された試料」は、例えば、試料から抽出されるか、または核酸の増幅もしくは逆転写、ある特定の構成成分の単離及び/または精製などの1つ以上の技術に一次試料を供することによって得られる核酸またはタンパク質を含み得る。
【0085】
小分子:「小分子」または「小分子治療薬」という用語は、天然に存在するか、または(例えば、化学合成により)人工的に作製されるかにかかわらず、比較的に低い分子量を有する分子を指す。典型的には、小分子は、有機化合物である(すなわち、それは炭素を含有する)。小分子は、複数の炭素-炭素結合、立体中心、及び他の官能基(例えば、アミン、ヒドロキシル、カルボニル、及び複素環など)を含有し得る。ある特定の実施形態では、低分子の分子量は、約1,000g/mol以下、約900g/mol以下、約800g/mol以下、約700g/mol以下、約600g/mol以下、約500g/mol以下、約400g/mol以下、約300g/mol以下、約200g/mol、または約100g/mol以下である。ある特定の実施形態では、小分子の分子量は、少なくとも約100g/mol、少なくとも約200g/mol、少なくとも約300g/mol、少なくとも約400g/mol、少なくとも約500g/mol、少なくとも約600g/mol、少なくとも約700g/mol、少なくとも約800g/mol、または少なくとも約900g/mol、または少なくとも約1,000g/molである。上記の範囲の組み合わせ(例えば、少なくとも約200g/molかつ約500g/mol以下)もまた可能である。ある特定の実施形態では、小分子は、薬物などの治療活性剤(例えば、Code of Federal Regulations(C.F.R.)において提供されるようなU.S.Food and Drug Administrationにより承認された分子)である。小分子は、1個以上の金属原子及び/または金属イオンと錯体を形成していてもよい。この例では、小分子は、「有機金属低分子」とも称される。好ましい小分子は、それらが動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトにおいて、生物学的効果をもたらすという点で生物学的に活性である。小分子としては、限定されるものではないが、放射性核種及びイメージング剤が挙げられる。ある特定の実施形態では、小分子は、薬物である。好ましくは、必ずしもではないが、薬物は、適切な政府機関または規制機関により、ヒトまたは動物における使用について安全かつ有効であると既にみなされているものである。例えば、ヒト使用のために承認された薬物は、参照により本明細書に組み込まれる、21C.F.R.§§330.5、331~361、及び440~460の下にFDAによって列挙され、獣医使用のための薬物は、21C.F.R.§§500~589の下にFDAによって列挙され、この各々の内容は、本明細書に記載の目的のために参照により本明細書に組み込まれ、そのような列挙された薬物は、典型的には、本開示に従う使用に許容されるとみなされる。
【0086】
溶媒和物:「溶媒和物」という用語は、本明細書で使用される場合、その技術分野で理解される意味を有し、化合物(例えば、化合物の塩形態であってもよい)と1つ以上の溶媒原子または分子との凝集体を指す。いくつかの実施形態では、溶媒和物は、液体である。いくつかの実施形態では、溶媒和物は、固体形態(例えば、結晶形態)である。いくつかの実施形態では、固体形態の溶媒和物は、単離に適している。いくつかの実施形態では、溶媒原子(複数可)と溶媒和物中の化合物との間の会合は、非共有結合会合である。いくつかの実施形態では、そのような会合は、水素結合、ファンデルワールス相互作用、またはそれらの組み合わせであるか、またはそれらを含む。いくつかの実施形態では、溶媒和物に原子(複数可)が含まれる溶媒は、水、メタノール、エタノール、酢酸、DMSO、THF、ジエチルエーテルなどのうちの1つ以上であり得るか、またはそれらを含み得る。好適な溶媒和物は、薬学的に許容される溶媒和物であり得、いくつかの特定の実施形態では、溶媒和物は、水和物、エタノレート(ethanolates)、またはメタノレート(methanolates)である。いくつかの実施形態では、溶媒和物は、化学量論的溶媒和物または非化学量論的溶媒和物であり得る。
【0087】
対象:投与が企図される「対象」には、ヒト(すなわち、任意の年齢群の男性または女性、例えば、小児対象(例えば、乳児、小児、青年)または成人対象(例えば、若年成人、中年成人、または高齢成人))及び/または非ヒト動物、例えば、哺乳動物(例えば、霊長類(例えば、カニクイザル、アカゲザル)、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、及び/またはイヌなどの飼育動物、及び/またはトリ(例えば、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、及び/またはシチメンチョウ)が含まれるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、動物は、(例えば、任意の発達段階の)哺乳動物である。いくつかの実施形態では、動物(例えば、非ヒト動物)は、トランスジェニックまたは遺伝子操作された動物であり得る。いくつかの実施形態では、対象は、腫瘍切除術の対象、例えば、最近、腫瘍切除を受けた対象である。いくつかの実施形態では、腫瘍切除術の対象は、本明細書に記載の組成物を受ける72時間未満(例えば、48時間未満、24時間未満、12時間未満、6時間未満、またはそれ以下を含む)前に腫瘍切除を受けた対象である。いくつかの実施形態では、腫瘍切除術対象は、本明細書に記載の組成物を受ける48時間未満前に腫瘍切除を受けた対象である。いくつかの実施形態では、腫瘍切除術の対象は、本明細書に記載の組成物を投与される24時間未満前に腫瘍切除を受けた対象である。いくつかの実施形態では、腫瘍切除術対象は、本明細書に記載の組成物を受ける12時間未満前に腫瘍切除を受けた対象である。
【0088】
実質的に:本明細書で使用される場合、「実質的に」という用語は、目的の特徴または特性の全体またはほぼ全体の範囲または程度を示す定性的な状態を指す。当業者は、目的の薬剤が、たとえあるとしても、絶対の結果を達成または回避すること、例えば、目的の薬剤は、免疫応答、例えば、炎症に対する効果を実際には有しないことを理解するであろう。したがって、「実質的に」という用語は、多数の生物学的効果及び化学的効果に内在する絶対性の欠如の可能性を表現するために本明細書において使用される。
【0089】
持続:本明細書において互換的に使用される場合、「持続」または「延長」という用語は、通常、効果及び/またはプロセスを所望の一定時間にわたって長引かせることを指す。例えば、持続的な免疫調節の文脈において(例えば、本明細書に記載される、及び/または本明細書に利用される組成物または調製物の存在下で)、そのような免疫調節効果は、生体材料調製物を含む組成物の状況において、及び本明細書に記載のそれ以外で、かかる生体材料調製物を含まない同じペイロードの投与で観察されるものと比較して、特定の免疫調節ペイロードの投与後、より長い期間観察され得る。本明細書に記載の組成物からの1つ以上の目的の薬剤(例えば、本明細書に記載の生体材料調製物に組み込まれる免疫調節ポリペプチドをコードまたは調節する1つ以上のポリヌクレオチド剤)の持続放出の文脈において、そのような放出は、約30分から数週間以上の範囲内の時間スケールで生じ得る。いくつかの実施形態では、持続放出または徐放放出の程度は、インビトロまたはインビボで特徴付けられ得る。例えば、いくつかの実施形態では、放出動態は、本明細書に記載の調製物及び/または組成物を緩衝水溶液(例えば、pH7.4のPBS)中に配置することによってインビトロで試験され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物を緩衝水溶液(例えば、pH7.4のPBS)中に配置する場合、100%未満またはそれより低い(例えば、90%以下、80%以下、70%以下、50%以下またはそれ以下を含む)1つ以上の目的の薬剤(例えば、本明細書に記載の生体材料調製物に組み込まれる免疫調節ポリペプチドをコードまたは調節する1つ以上のポリヌクレオチド剤)が、生体材料から3時間以内に放出される。いくつかの実施形態では、放出動態は、例えば、動物対象(例えば、マウス対象)の標的部位(例えば、乳房脂肪パッド)に組成物を投与する(例えば、移植する)ことによってインビボで試験され得る。いくつかの実施形態では、組成物が動物対象(例えば、マウス対象)の標的部位(例えば、乳房脂肪パッド)に投与される(例えば、移植される)場合、70%以下またはそれより低い(例えば、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下またはそれ以下を含む)1つ以上の目的の薬剤(例えば、本明細書に記載の生体材料調製物に組み込まれる免疫調節ポリペプチドをコードまたは調節する1つ以上のポリヌクレオチド剤)が、その8時間後にインビボで放出される。
【0090】
標的化された薬剤:「標的化された薬剤」という用語は、抗がん剤に関して使用される場合、がんの成長、進行、及び/または拡散に関与する特定の分子(「分子標的」)を妨害することによって、がんの成長及び拡散を遮断するものを意味する。標的化された薬剤は、「標的化されたがん療法」、「分子標的化された薬物」、「分子標的化された療法」、または「精密医薬品」と称されることがある。標的化された薬剤は、典型的には、がん、及び/または特定の腫瘍もしくは腫瘍型、病期などに特異的に関連する特定の分子標的に作用するのに対し、多くの化学療法剤は、全ての急速に分裂する細胞(例えば、細胞ががん性であるかどうかにかかわらず)に作用するという点で、従来の化学療法とは異なる。標的化された薬剤は、それらの標的と相互作用するように意図的に選択または設計されるが、多くの標準的な化学療法は、細胞を殺傷するために特定される。
【0091】
互変異性体:「互変異性体(tautomers)」または「互変異性体(tautomeric)」という用語は、水素原子の少なくとも1つの形式的な移動及び少なくとも1つの原子価の変化(例えば、単結合から二重結合へ、三重結合から単結合へ、またはその逆)から生じる2つ以上の相互変換可能な化合物を指す。互変異性体の正確な比率は、温度、溶媒、及びpHを含むいくつかの要因に依存する。互変異性化(すなわち、互変異性対を提供する反応)は、酸または塩基によって触媒される場合がある。例示的な互変異性化としては、ケト-エノール、アミド-イミド、ラクタム-ラクチム、エナミン-イミン、及びエナミン-(異なるエナミン)互変異性化が挙げられる。
【0092】
試験対象:本明細書で使用される場合、「試験対象」という用語は、本明細書で提供される技術が、実験研究のため、例えば、生体材料分解、及び/または抗腫瘍免疫における本明細書に記載の組成物及び/または調製物の有効性を評価するために適用される対象を指す。いくつかの実施形態では、試験対象は、ヒト試験対象またはヒト試験対象の集団であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、ヒト試験対象は、正常な健常対象であり得る。いくつかの実施形態では、ヒト試験対象は、腫瘍切除術の対象であり得る。いくつかの実施形態では、試験対象は、哺乳類の非ヒト動物または哺乳類の非ヒト動物の集団であり得る。そのような哺乳類の非ヒト動物の非限定的な例としては、マウス、ラット、イヌ、ブタ、ウサギなどが挙げられ、これらは、いくつかの実施形態では、正常な健常対象であり得、一方で、いくつかの実施形態では、腫瘍切除術対象であり得る。いくつかの実施形態では、哺乳類の非ヒト動物は、トランスジェニック動物または遺伝子操作された動物であり得る。
【0093】
治療薬:「治療薬」という用語は、所望される通常有益な生理学的効果をもたらす1つ以上の特性を有する薬剤を指す。例えば、治療薬は、疾患を治療、改善、及び/または予防し得る。本開示を読む当業者は、本明細書で使用する場合、「治療薬」という用語は、規制機関が規制目的で薬剤を「治療効果がある」とみなすのに必要とされ得るような特定のレベルまたはタイプの治療活性を必要としないことを理解するであろう。当業者に理解されるであろうように、本開示を読めば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載のある特定のポリマー生体材料(複数可)調製物(免疫調節ペイロードの不在下)は、所望の生理学的効果に寄与する、及び/またはそれを達成する1つ以上の特性を有し得、したがって、その用語が本明細書で使用される場合(そのような生体材料が任意の特定の規制当局によって薬学的に活性であるとみなされるか否かにかかわらず)、「治療薬」であるとみなされ得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の調製物、組成物、及び/または方法(例えば、本明細書に記載のポリマー生体材料(複数可)調製物を含む)に利用され得る治療薬は、免疫調節ペイロードであり得るか、またはそれを含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の調製物、組成物、及び/または方法(例えば、本明細書に記載のポリマー生体材料(複数可)調製物を含む)に利用され得る治療薬は、例えば、生物製剤、小分子、核酸、ポリペプチド、またはそれらの組み合わせを含む非免疫調節ペイロードであり得るか、またはそれを含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の調製物、組成物、及び/または方法(例えば、本明細書に記載のポリマー生体材料(複数可)調製物を含む)に利用され得る治療薬は、化学療法剤であり得るか、またはそれを含み得、いくつかの実施形態では、細胞傷害性剤であり得るか、またはそれを含み得る。
【0094】
治療上有効量:「治療上有効量」は、状態の治療において治療効果を提供するのに十分な量であり、治療効果は、例えば、頻度及び/または重症度の低減及び/または状態に関連する1つ以上の特徴もしくは症状の発病の遅延であり得るか、またはそれらを含み得る。治療上有効量は、状態の治療において治療効果を提供する、単独または他の治療法との組み合わせでの治療薬(複数可)の量を意味する。「治療上有効量」は、療法全体を改善するか、状態の症状もしくは原因を低減もしくは回避するか、または別の治療薬の治療有効性を増強する量を包含し得る。治療上有効量は単一剤形に含有される必要はないことを当業者は理解するであろう。むしろ、有効量の投与は、潜在的に経時的な、(例えば、投薬レジメンに従い、特に、関連する集団に適用された場合、所望の統計的信頼度で適切な効果をもたらすために確立されている投薬レジメンに従って)複数回の用量の投与を伴い得る。
【0095】
温度応答性:本明細書で使用される場合、「温度応答性」という用語は、温度応答性ポリマーまたは生体材料(例えば、ポリマー生体材料)の文脈において、臨界温度(例えば、臨界ゲル化温度)でその特性のうちの1つ以上の瞬間的または不連続的な変化を示すポリマーまたは生体材料(例えば、ポリマー生体材料)を指す。例えば、いくつかの実施形態では、そのような特性のうちの1つ以上は、特定の溶媒中のポリマーまたは生体材料の溶解性であるか、またはそれを含む。ほんの例として、いくつかの実施形態では、温度応答性ポリマーまたは生体材料(例えば、ポリマー生体材料)は、臨界温度(例えば、臨界ゲル化温度)を下回って安定であり、臨界温度(例えば、臨界ゲル化温度)に達したときまたは超えたときに瞬間的にポリマーネットワーク(例えば、ヒドロゲル)を形成する均質なポリマー溶液またはコロイドであることを特徴とする。いくつかの実施形態では、温度応答性ポリマーまたは生体材料(例えば、ポリマー生体材料)は、温度可逆的であり得、例えば、ポリマー溶液が臨界ゲル化温度以上の温度で瞬間的にポリマーネットワークを形成し得るいくつかの実施形態では、そのような結果として生じるポリマーネットワークは、温度が臨界ゲル化温度を下回って低減したときに瞬間的に均一なポリマー溶液に戻り得る。
【0096】
治療:「治療」、「治療する」、及び「治療すること」という用語は、本明細書に記載の「病理学的状態」(例えば、その1つ以上の徴候または症状を含む疾患、障害、または状態)、例えば、がんまたは腫瘍を逆転させるか、軽減するか、その発病を遅延させるか、またはその進行を阻害することを指す。いくつかの実施形態では、治療は、1つ以上の徴候または症状が発症したか、または観察された後で投与され得る。治療は、例えば、再発及び/または拡散を遅延させるか、または予防するために、症状が消退した後も継続され得る。
【0097】
腫瘍:「腫瘍」及び「新生物」という用語は、本明細書において互換的に使用され、組織の異常な塊を指し、その塊の増殖は、正常組織の成長を上回り、それと協調しない。新生物または腫瘍は、以下の特徴に応じて「良性」または「悪性」であり得る:細胞分化の程度(形態学及び機能が含まれる)、成長速度、局所浸潤、及び転移。「良性新生物」は、一般に高分化であり、悪性新生物よりも特徴的に遅い成長を有し、発生部位に局在したままである。加えて、良性新生物は、遠位の部位に浸潤、侵入、または転移する能力を有さない。例示的な良性新生物としては、限定されるものではないが、脂肪腫、軟骨腫、腺腫、アクロコルドン、老年性血管腫、脂漏性角化症、黒子、及び皮脂腺過形成が挙げられる。場合によっては、ある特定の「良性」腫瘍は、後に悪性新生物を生じさせ得、これは、腫瘍の腫瘍細胞の亜集団における更なる遺伝子の変化の結果として生じ得、これらの腫瘍は、「前悪性新生物」と称される。前悪性新生物の一例は、奇形腫である。対照的に、「悪性新生物」は、一般に、低分化(退形成)であり、進行性の浸潤、侵入、及び周囲組織の破壊を伴う特徴的に急速な成長を有する。更に悪性新生物は、概して、遠位の部位に転移する能力を有する。
【0098】
腫瘍除去:本明細書で使用される場合、「腫瘍除去」という用語は、がん治療、例えば、外科的切除からもたらされ得る腫瘍の部分的または完全な除去を包含する。いくつかの実施形態では、腫瘍除去は、手術(すなわち、「腫瘍切除」)による腫瘍の一部または全ての物理的除去を指す。いくつかの実施形態では、腫瘍除去は、外科的腫瘍切除及びアジュバント療法(例えば、化学療法、免疫療法、及び/または放射線療法)からもたらされ得る。いくつかの実施形態では、アジュバント療法は、外科的腫瘍切除後に、例えば、外科的腫瘍切除の少なくとも24時間以上後に投与され得る。
【0099】
腫瘍切除術の対象:本明細書で使用される場合、「腫瘍切除術の対象」という用語は、腫瘍切除を受けているか、または最近受けた対象を指す。いくつかの実施形態では、腫瘍切除術の対象は、腫瘍総重量のうちの少なくとも70%以上(少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%以上(100%を含む)を含む)が外科的切除により除去された対象である。場合によっては、腫瘍総重量のうちの全てが明らかに除去されていることを肉眼による肉眼検査が示す場合であっても、可視的な切除断端に顕微鏡的に存在する多少の残存がん細胞が存在し得ることを当業者は理解するであろう。いくつかの実施形態では、腫瘍切除術の対象は、切除断端陰性である(すなわち、例えば、腫瘍切除部位を囲む組織の組織学的評価に基づいて、顕微鏡的に切除断端にがん細胞がみられない)と決定され得る。いくつかの実施形態では、腫瘍切除術の対象は、切除断端陽性である(すなわち、例えば、腫瘍切除部位を囲む組織の組織学的評価に基づいて、顕微鏡的に切除断端にがん細胞がみられる)と決定され得る。いくつかの実施形態では、腫瘍切除術の対象は、手術に対する生理的反応により進行/増殖するように促進され得る、微小転移巣及び/または休眠中の播種性がん細胞を有し得る。いくつかの実施形態では、腫瘍切除術の対象は、腫瘍切除術が実施された直後に、(例えば、本明細書に記載及び/または利用される)組成物を投与される(例えば、手術中の投与)。いくつかの実施形態では、腫瘍切除術の対象は、例えば、18時間以内、12時間以内、6時間以内、3時間以内、2時間以内、1時間以内、30分以内、またはそれ以下を含む、術後24時間以内に(例えば、本明細書に記載及び/または利用される)組成物を受ける。
【0100】
腫瘍切除部位:「腫瘍切除部位」という用語は、概して、腫瘍の一部または全てが腫瘍切除を介して除去された、または除去されている部位を意味する。いくつかの実施形態では、腫瘍切除部位は、腫瘍総重量のうちの少なくとも70%以上(少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、またはそれ以上(100%を含む)を含む)が外科的切除によって除去された部位を指す。場合によっては、腫瘍総重量のうちの全てが明らかに除去されていることを肉眼による肉眼検査が示す場合であっても、可視的な切除断端に顕微鏡的に存在する多少の残存がん細胞が存在し得ることを当業者は理解するであろう。いくつかの実施形態では、腫瘍切除部位は、切除断端陰性である(すなわち、例えば、腫瘍切除部位を囲む組織の組織学的評価に基づいて、顕微鏡的に切除断端にがん細胞がみられない)と決定され得る。いくつかの実施形態では、腫瘍切除部位は、切除断端陽性である(すなわち、例えば、腫瘍切除部位を囲む組織の組織学的評価に基づいて、顕微鏡的に切除断端にがん細胞がみられる)と決定され得る。
【0101】
バリアント:本明細書で使用される場合、「バリアント」という用語は、参照実体との顕著な構造的同一性を示すが、参照実体と比較して、1つ以上の化学部分の存在またはレベルにおいて参照実体と構造的に異なる実体を指す。多くの実施形態では、バリアントはまた、その参照実体と機能的にも異なる。概して、特定の実体が適切に参照実体の「バリアント」であるとみなされるかどうかは、参照実体との構造的同一性の程度に基づく。当業者によって理解されるように、任意の生物学的または化学的な参照実体は、ある特定の特徴的な構造要素を有する。バリアントは、定義上、1つ以上のそのような特徴的な構造要素を共有する異なる化学実体である。いくつかの例を挙げると、小分子のバリアントが、コア構造要素及び特徴的なペンダント部分を共有するものであるが、他のペンダント部分及び/またはコア内に存在する結合のタイプ(単一対二重、E対Zなど)において異なるように、小分子は、特徴的なコア構造要素(例えば、大環状コア)及び/または1つ以上の特徴的なペンダント部分を有してもよく、ポリペプチドは、線形または三次元空間において互いに対して指定された位置を有する、及び/または特定の生物学的機能に寄与する複数のアミノ酸から構成される特徴的な配列要素を有してもよく、核酸は、線形または3次元空間において他のヌクレオチド残基に対して指定された位置を有する複数のヌクレオチド残基から構成される特徴的な配列要素を有してもよい。例えば、バリアント生体材料(例えば、バリアントポリマーまたはバリアントポリマーを含むポリマー生体材料)は、バリアント生体材料(例えば、バリアントポリマーまたはそのようなバリアントポリマーを含むポリマー生体材料)が参照生体材料の所望の特性(複数可)及び/または機能(複数可)(例えば、免疫調節及び/または温度応答性)を保持し得ることを条件として、1つ以上の構造修飾(例えば、化学部分の付加、欠失、及び/または修飾、及び/またはグラフト化)の結果として、参照生体材料(例えば、参照ポリマーまたはポリマー生体材料)とは異なり得る。例えば、免疫調節生体材料のバリアントは、バリアント生体材料(例えば、バリアントポリマーまたはそのようなバリアントポリマーを含むポリマー生体材料)が、例えば、本明細書に記載の方法で使用される場合、免疫系に(例えば、自然免疫を刺激することによって)作用し得ることを条件として、1つ以上の構造修飾(例えば、化学部分の付加、欠失、及び/または修飾、及び/またはグラフト化)の結果として、参照免疫調節生体材料(例えば、参照ポリマーまたはポリマー生体材料)とは異なり得る。いくつかの実施形態では、バリアント免疫調節生体材料(例えば、バリアントポリマーまたはバリアントポリマーを含むポリマー生体材料)は、対象における標的部位へのそのようなバリアント免疫調節生体材料(例えば、バリアントポリマーまたはバリアントポリマーを含むポリマー生体材料)の投与の24時間後に評価される場合、対象の標的部位及び/または体循環で観察される1つ以上の炎症誘発性サイトカイン(例えば、限定されないが、CXCL10、IFN-α、IFN-β、IL-1β、IL-6、IL-18、及び/またはTNF-α)の量が、参照生体材料(例えば、参照ポリマーまたはポリマー生体材料)が標的部位に投与された場合に観察される量の少なくとも60%以上(例えば、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または最大100%を含む)であることを特徴とする。いくつかの実施形態では、バリアント免疫調節生体材料(例えば、バリアントポリマーまたはバリアントポリマーを含むポリマー生体材料)は、対象における標的部位へのそのようなバリアント生体材料(例えば、バリアントポリマーまたはバリアントポリマーを含むポリマー生体材料)の投与の24時間後に評価される場合、対象の標的部位及び/または体循環で観察される1つ以上の炎症誘発性サイトカイン(例えば、限定されないが、CXCL10、IFN-α、IFN-β、IL-1β、IL-6、IL-18、及び/またはTNF-α)の量が、参照生体材料(例えば、参照ポリマーまたはポリマー生体材料)が標的部位に投与された場合に観察される量の少なくとも1.1倍以上(例えば、少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍以上を含む)であることを特徴とする。
いくつかの実施形態では、バリアント生体材料(例えば、バリアントポリマー生体材料)は、参照生体材料(例えば、参照ポリマー生体材料)のものと異なる少なくとも1つの物理的特性を示す。例えば、いくつかの実施形態では、バリアント生体材料(例えば、バリアントポリマー生体材料)は、参照生体材料(例えば、参照ポリマー生体材料)の(例えば、生理的pHでの)水溶性と比較して増加した水溶性を示し得る。いくつかの実施形態では、バリアントは、参照と比較して10個、9つ、8つ、7つ、6つ、5つ、4つ、3つ、2つ、または1つの構造的修飾を有する。いくつかの実施形態では、バリアントは、少数(例えば、5つ未満、4つ、3つ、2つ、または1つ)の構造的修飾(例えば、アルキル化、アシル化、四級化、ヒドロキシアルキル化、カルボキシアルキル化、チオール化、リン酸化、グリコシル化など)を有する。いくつかの実施形態では、バリアントは、参照と比較して、5つ以下、4つ、3つ、2つ、または1つの化学部分の付加または欠失を有し、いくつかの実施形態では、付加または欠失を有さない。いくつかの実施形態では、バリアントは、化学的操作により参照から生成され得る物質である。いくつかの実施形態では、バリアントは、参照を生成するプロセスと実質的に類似する(例えば、複数のステップを共有する)合成プロセスの実施を介して生成され得る実体である。
【0102】
ある特定の実施形態の詳細な説明
少なくとも1つ以上のポリマー生体材料と、1つ以上の核酸と、を含む組成物が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、提供される組成物は、標的部位(例えば、腫瘍が除去されている、及び/または腫瘍細胞が、例えば、化学療法または放射線によって治療または殺傷されている部位、及び/または治療されていない腫瘍の中/近く)に、活性剤(例えば、免疫調節剤)をコードし得るか、または活性剤として直接機能し得る1つ以上の核酸の送達を局在化し得、それによって、活性剤の作用を、それを必要とする標的部位に集中させ得る。このような組成物は、がんの治療に特に有用であり得る。
【0103】
いくつかの実施形態では、組成物は、ポリマー生体材料(複数可)、核酸(複数可)、及び任意選択で、1つ以上の追加の免疫調節分子を含み得る。いくつかの実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)、ならびに適応免疫応答の調節因子及び/または自然免疫応答の調節因子として機能する核酸(複数可)を含み得る。いくつかの実施形態では、追加の免疫調節分子は、p38マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)経路によって媒介される炎症誘発性免疫応答の阻害剤(複数可)(例えば、p38MAPK阻害剤)を含み得る。いくつかの実施形態では、組成物は、自然免疫応答の活性化因子、サイトカイン、及び/またはケモカインを含み得る。いくつかの実施形態では、組成物は、適応免疫応答の1つ以上の活性化因子を含み得る。いくつかの実施形態では、提供される組成物は、追加の治療薬(例えば、炎症誘発性経路の追加の阻害剤、マクロファージエフェクター機能の調節因子、及び/または化学療法剤など)を更に含み得る。
【0104】
いくつかの実施形態では、組成物は、外傷または微小外傷によって(例えば、外科的腫瘍切除、鍵穴手術、または注射などの手術によって)誘導された炎症(例えば、慢性炎症)を媒介または阻害し得る治療薬(例えば、免疫調節剤として作用するか、または免疫調節剤をコードする核酸)を含み得、したがって、がん、特に固形腫瘍の治療のための独自のツールを提供する。いくつかの実施形態では、提供される治療薬は、骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)の活性を修飾及び/または低減もしくは阻害し得る。いくつかの実施形態では、提供される治療薬は、好中球の活性を修飾及び/または低減もしくは阻害し得る。いくつかの実施形態では、提供される治療薬は、マクロファージの活性を修飾及び/または低減もしくは阻害し得る。いくつかの実施形態では、提供される治療薬は、免疫抑制性細胞の動員を修飾及び/または低減もしくは阻害し得る。いくつかの実施形態では、提供される治療薬は、急性炎症を修飾及び/または低減もしくは阻害し得る。いくつかの実施形態では、提供される治療薬は、自然免疫応答系及び/または適応免疫応答系を活性化し得る。本明細書で提供される組成物、方法、及びキットはまた、細胞の投与(例えば、養子細胞移入)、またはナノ粒子、微粒子、ある特定のペプチド、もしくは腫瘍抗原などの追加の構成成分の組み込みもしくは存在を必要としないという点で、既存の方法よりも有利である。
【0105】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、周術期環境におけるがん(例えば、固形腫瘍または転移)を治療するのに有用である。いくつかの実施形態では、組成物は、治療上必要な部位での組成物の移植または注射によって、免疫療法を、それを必要とする対象において送達し得る。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される組成物は、少なくとも、いくつかの実施形態では、全身投与を回避して、免疫調節剤(例えば、免疫調節剤として作用するか、または免疫調節剤をコードする核酸)を腫瘍切除部位に直接放出し得るため、既存の免疫療法よりも特に有利である。したがって、本明細書に記載の組成物のいくつかの実施形態は、免疫療法の従来の全身投与に関連付けられ得る潜在的な毒性を回避する、腫瘍切除部位での薬物送達のためのビヒクルを提供する。腫瘍切除部位で免疫療法を集中させることにより、同様に有効性が改善され得る。ある特定の実施形態では、提供される組成物は、腫瘍成長を遅延及び/または阻害すること、がん再発を予防すること、腫瘍転移を予防すること、及び/または原発性腫瘍再成長を予防することに有用である。
【0106】
とりわけ、いくつかの実施形態では、本開示は、それ自体が追加の免疫抑制(例えば、ある特定のマクロファージ、好中球、及び/またはMDSCの活性)を発展させ得る免疫応答の抑制のための技術を提供する。
【0107】
任意の特定の理論に拘束されることを望むものではないが、本開示は、いくつかの実施形態では、本明細書で提供される技術は、慢性炎症(例えば、多くの場合、自己免疫疾患に関連する)の状況で一般的に観察されるが、本明細書に記載されるように、急性環境(すなわち、手術後)で活性化され得る一種の炎症を低減し得ることに留意する。本開示は、本明細書に記載の核酸の局所送達の力を利用することによる炎症を標的とする療法が、腫瘍切除後の状況において独自に有用であり得るという洞察を提供する。当業者は、自己免疫応答を改善または刺激するように設計され、及び/またはそれに有効な多くの治療戦略が、腫瘍進行表現型の悪化をもたらす可能性があるため、腫瘍切除の環境において破滅的であり得ることを理解するであろう。本開示は、この一般的な原理にもかかわらず、本明細書に記載の標的化及び/または局所化された核酸の投与を介したある特定の免疫調節経路の標的化が、がん治療の状況において驚くほど有用であることを教示する。
【0108】
いくつかの実施形態では、ポリマー生体材料及び核酸を含む記載の組成物は、例えば、小分子またはペプチド投与を介した(例えば、STINGアゴニストまたはTLRアゴニストなどの薬剤の投与を介した)自然免疫系の活性化/アゴニズムなどの、例えば、他の免疫調節戦略を含む療法と組み合わせてもよい。
【0109】
組成物
ポリマー生体材料
本明細書に記載の組成物は、概して、ポリマー生体材料(複数可)として全体を通して称される少なくとも1つの生体材料を含む。いくつかの実施形態では、ポリマー生体材料は、組成物内に含まれる追加の構成成分(例えば核酸)の少なくともいくつかの分散のための足場またはデポとして作用し得るポリマーネットワークを形成し得る。いくつかの実施形態では、足場またはデポは、本明細書に記載の組成物中の任意の治療薬の持続放出または徐放放出を含有及び促進するのに好適である任意の合成または天然に存在する材料を含む。したがって、ポリマー生体材料は、本明細書に記載の組成物の有利な特性(例えば、治療薬の貯蔵弾性率、生分解、及び/または放出プロファイル)のうちのいくつかを提供する物理的特性を有する可能性を有する。
【0110】
ある特定の実施形態では、組成物は、溶液中の同じ治療薬の投与に対して、標的部位(例えば、腫瘍切除部位)に送達される場合、治療薬(例えば、核酸)の放出を延長することができる、ポリマー生体材料(複数可)を含む。ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料(複数可)は、溶液中の同じ治療薬の投与に対して、腫瘍切除部位における治療薬の放出を、少なくとも5分、10分、20分、30分、40分、50分、60分、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、18時間、24時間、2日、3日、4日、5日、6日、7日、2週間、3週間、または4週間延長する。いくつかの実施形態では、ポリマー生体材料(複数可)は、投与後の特定の時点で評価される場合、治療薬が溶液中で投与される場合に観察されるレベルに対して、より多くの治療薬が腫瘍切除部位に存在するように、少なくとも1つの治療薬(例えば、免疫調節剤をコードするか、または免疫調節剤として作用する核酸)の放出を延長する。例えば、いくつかの実施形態では、投与の24時間後に評価される場合、腫瘍切除部位に放出され、かつそこに存在する治療薬の量は、治療薬が溶液中で投与されたる場合に観察される量よりも少なくとも30%多い(例えば、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%以上を含む)。いくつかの実施形態では、投与の48時間後に評価される場合、腫瘍切除部位に放出され、かつそこに存在する治療薬の量は、治療薬が溶液中で投与されたる場合に観察される量よりも少なくとも30%多い(例えば、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%以上を含む)。いくつかの実施形態では、投与の3日後に評価される場合、腫瘍切除部位に放出され、かつそこに存在する治療薬の量は、治療薬が溶液中で投与されたる場合に観察される量よりも少なくとも30%多い(例えば、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%以上を含む)。いくつかの実施形態では、投与の5日後に評価される場合、腫瘍切除部位に放出され、かつそこに存在する治療薬の量は、治療薬が溶液中で投与されたる場合に観察される量よりも少なくとも30%多い(例えば、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%以上を含む)。
【0111】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー生体材料(複数可)調製物(例えば、前駆体状態またはポリマーネットワーク状態)を含む組成物は、例えば、9000mPa・s以下、8000mPa・s以下、7000mPa・s以下、6000mPa・s以下、5000mPa・s以下、4000mPa・s以下、3500mPa・s以下、3000mPa・s以下、2500mPa・s以下、2000mPa・s以下、1500mPa・s以下、1000mPa・s以下、500mPa・s以下、250mPa・s以下、200mPa・s以下、150mPa・s以下、100mPa・s以下、75mPa・s以下、50mPa・s以下、25mPa・s以下、20mPa・s以下、15mPa・s以下、10mPa・s以下、またはそれ以下を含む、10,000mPa・s以下、またはそれ以下の粘性を特徴とし得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー生体材料(複数可)調製物(例えば、前駆体状態またはポリマーネットワーク状態)を含む組成物は、例えば、少なくとも10mPa・s、少なくとも20mPa・s、少なくとも30mPa・s、少なくとも40mPa・s、少なくとも50mPa・s、少なくとも60mPa・s、少なくとも70mPa・s、少なくとも80mPa・s、少なくとも90mPa・s、少なくとも100mPa・s、少なくとも125mPa・s、少なくとも150mPa・s、少なくとも175mPa・s、少なくとも250mPa・s、少なくとも500mPa・s、少なくとも1000mPa・s、少なくとも1500mPa・s、少なくとも2000mPa・s、少なくとも2500mPa・s、少なくとも3000mPa・s、少なくとも4000mPa・s、少なくとも5000mPa・s、少なくとも6000mPa・s、少なくとも7000mPa・s、少なくとも8000mPa・s、少なくとも9000mPa・s以上を含む、少なくとも5mPa・s以上の粘性を特徴とし得る。上述の範囲の組み合わせも可能である。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー生体材料(複数可)調製物(例えば、前駆体状態またはポリマーネットワーク状態)を含む組成物は、5mPa・s~10,000mPa・s、または10mPa・s~5000mPa・s、または5mPa・s~200mPa・s、または20mPa・s~100mPa・s、または5mPa・s~20mPa・sの粘性を特徴とし得る。本開示を読む当業者は、場合によっては、本明細書に記載のポリマー生体材料(複数可)調製物を含む組成物の粘性が、例えば、投与経路(例えば、注射対移植)、注射量及び/または時間、及び/または自然免疫の刺激の影響持続時間に基づいて選択または調整され得ることを理解するであろう。また当業者により理解されるように、ポリマーの粘性は、例えば、試験試料における温度及びポリマーの濃度に依存する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー生体材料(複数可)調製物を含む組成物の粘性は、20℃、例えば1000s-1の剪断速度で測定されてもよい。
【0112】
本明細書に記載のポリマー生体材料(複数可)調製物を含む組成物がポリマーネットワーク状態にあるいくつかの実施形態では、そのようなポリマーネットワーク状態は、少なくとも100Pa、少なくとも200Pa、少なくとも300Pa、少なくとも400Pa、少なくとも500Pa、少なくとも600Pa、少なくとも700Pa、少なくとも800Pa、少なくとも900Pa、少なくとも1000Pa、少なくとも1100Pa、少なくとも1200Pa、少なくとも1300Pa、少なくとも1400Pa、少なくとも1500Pa、少なくとも1600Pa、少なくとも1700Pa、少なくとも1800Pa、少なくとも1900Pa、少なくとも2000Pa、少なくとも2100Pa、少なくとも2200Pa、少なくとも2300Pa、少なくとも2400Pa、少なくとも2500Pa、少なくとも2600Pa、少なくとも2700Pa、少なくとも2800Pa、少なくとも2900Pa、少なくとも3000Pa、少なくとも3500Pa、少なくとも4000Pa、少なくとも4500Pa、少なくとも5000Pa、少なくとも6000Pa、少なくとも7000Pa、少なくとも8000Pa、少なくとも9000Pa以上の貯蔵弾性率を特徴とし得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー生体材料(複数可)調製物を含む組成物のそのようなポリマーネットワーク状態は、10kPa以下、9kPa以下、8kPa以下、7kPa以下、6kPa以下、またはそれ以下の貯蔵弾性率を特徴とし得る。上述の範囲の組み合わせも可能である。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー生体材料(複数可)調製物を含む組成物のそのようなポリマーネットワーク状態は、100Pa~10kPa、または200Pa~5000Pa、または300Pa~2500Pa、または500Pa~2500Pa、または100Pa~500Paの貯蔵弾性率を特徴とし得る。当業者であれば、様々なレオロジー特性評価方法(例えば、Weng et al.,“Rheological Characterization of in situ Crosslinkable Hydrogels Formulated from Oxidized Dextran and N-Carboxyethyl Chitosan”Biomacromolecules,8:1109-1115(2007)に記載のもの)を使用して、材料の貯蔵弾性率を測定することができ、場合によっては、材料の貯蔵弾性率は、レオメータ及び/または動的機械分析(DMA)によって測定され得ることを理解するであろう。当業者はまた、レオロジー特性が周囲の条件、例えば、温度及び/またはpHによって変化し得ることを理解するであろう。したがって、いくつかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物は、対象の体温(例えば、ヒト対象の37℃)、例えば、pH5~8、または生理学的pH(例えば、pH7)で測定される(例えば、本明細書に記載の)貯蔵弾性率を特徴とする。本明細書で提供される本開示を読む当業者には明らかであろうように、例えば粒子の形態で提供されるポリマー組み合わせ調製物の貯蔵弾性率は、集団中の粒子のバルク貯蔵弾性率を指す。
【0113】
ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料を含む組成物は、正電荷ポリマーから構成される。ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料は、負電荷ポリマー(複数可)から構成される。ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料は、中性ポリマー(複数可)から構成される。ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料は、ヒアルロン酸、アルギネート、キトサン、キチン、コンドロイチン硫酸、デキストラン、ゼラチン、コラーゲン、デンプン、セルロース、多糖、フィブリン、ポリ-L-リジン、メチルセルロース、エチレン-ビニルアセテート(EVA)、ポリ(乳酸-co-グリコール)酸(PLGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリエチレングリコール(PEG)、PEGジアクリレート(PEGDA)、ジスルフィド含有PEGDA(PEGSSDA)、PEGジメタクリレート(PEGDMA)、ポリジオキサノン(PDO)、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)(pHEMA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ(ベータ-アミノエステル)(PBAE)、ポリ(エステルアミド)、ポリ(プロピレングリコール)(PPG)、ポリ(アスパラギン酸)、ポリ(グルタミン酸)、ポリ(プロピレンフマレート)(PPF)、ポリ(無水セバシン酸)(PSA)、ポリ(トリメチレンカーボネート)(PTMC)、ポリ(デスアミノチロシルチロシンアルキルエステルカーボネート)(PDTE)、ポリ[ビス(トリフルオロエトキシ)ホスファゼン]、ポリオキシメチレン、単層カーボンナノチューブ、ポリホスファゼン、ポリ無水物、ポリ(N-ビニル-2-ピロリドン)(PVP)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリ(アクリル酸)(PAA)、ポリ(メタクリル酸)(PMA)、ポリアセタール、ポリ(アルファエステル)、ポリ(オルトエステル)、ポリリン酸エステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリグリセロール、ポリグルクロン酸、及び/またはそれらの組み合わせ及び/または誘導体を含む。
【0114】
ある特定の実施形態では、少なくとも1つのポリマー生体材料を含む組成物は、疎水性ポリマー生体材料(複数可)からなる。ある特定の実施形態では、疎水性ポリマー生体材料には、エチレン-ビニルアセテート(EVA)、ポリ(乳酸-co-グリコール)酸(PLGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリジオキサノン(PDO)、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ(エステルアミド)、ポリ(プロピレンフマレート)(PPF)、ポリ(無水セバシン酸)(PSA)、ポリ(トリメチレンカーボネート)(PTMC)、ポリ(デスアミノチロシルチロシンアルキルエステルカーボネート)(PDTE)、ポリ[ビス(トリフルオロエトキシ)ホスファゼン]、ポリオキシメチレン、単層カーボナノチューブ、ポリホスファゼン、ポリ無水物、ポリ(N-ビニル-2-ピロリドン)(PVP)、ポリ(アクリル酸)(PAA)、ポリ(メタクリル酸)(PMA)、ポリ(アルファエステル)、ポリ(オルトエステル)、ポリリン酸エステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアミド、及び/またはポリヒドロキシアルカノエートが含まれる。いくつかの実施形態では、疎水性ポリマー生体材料の使用は、組成物中の治療薬(複数可)が親水性である場合に特に有用であり得る。ポリマー生体材料が疎水性であるいくつかの実施形態では、疎水性治療薬は、比較的短い期間(時間/日)ではなく、より長い期間(例えば、日/週)にわたって放出されることが予想される。したがって、ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料が疎水性ポリマーである場合、したがって組成物の治療薬(複数可)は、親水性分子である。加えて、ある特定の実施形態では、生体材料が疎水性ポリマーである場合、組成物の治療薬(複数可)は、疎水性及び/または中性分子である。
【0115】
ある特定の実施形態では、少なくとも1つのポリマー生体材料を含む提供される組成物は、架橋生物製剤を含む。ある特定の実施形態では、生物製剤は、自己犠牲架橋剤ジチオビス(エチル1H-イミダゾール-1-カルボキシレート)(DIC)によって架橋される。ある特定の実施形態では、得られたポリマーネットワークまたはヒドロゲルには、小分子が担持される。ある特定の実施形態では、小分子は、核酸を含む。ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリヌクレオチド及びポリヌクレオチド剤担体を含み得る。
【0116】
本明細書に記載の組成物に有用なポリマー生体材料は、生体適合性である。いくつかの実施形態では、ポリマー生体材料は、インビボで生分解性である。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される組成物は、体内などの生理学的環境内で、化学的及び/または生物学的に分解されることができる。提供される組成物の分解は、使用される構成成分及びポリマー生体材料に応じて、様々な速度で生じ得る。例えば、いくつかの実施形態では、提供される組成物の半減期(組成物の50%がモノマー及び/または他の非ポリマー部分に分解される時間)は、数日、数週間、数か月、または数年のほどであり得る。いくつかの実施形態では、組成物は、例えば、酵素活性または細胞機序によって、場合によっては、例えば、リゾチームへの曝露(例えば、比較的低いpHを有する)によって、または単純な加水分解によって生物学的に分解され得る。いくつかの実施形態では、提供される組成物は、細胞に顕著な毒性作用を及ぼすことなく細胞が再利用または処分のいずれかを行うことができるモノマー及び/または他の非ポリマー部分に分解され得る。いくつかの実施形態では、提供される組成物は、好適な長さの時間内に薬物を意図する標的に送達するように、インビボで安定である。
【0117】
ある特定の実施形態では、組成物は、架橋剤の添加の有無にかかわらずポリマーネットワークを形成し得るポリマー生体材料(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、ポリマー生体材料(複数可)は、10分未満でポリマーネットワーク生体材料を形成し得る。本明細書に記載の組成物の実施形態は、薬理学の分野で既知の任意の方法によって調製され得る。ある特定の実施形態では、そのような調製方法は、チオール修飾されたヒアルロン酸をモールドに添加するステップと、核酸(例えば、免疫応答の調節因子をコードするか、または調節因子として作用する核酸)を添加するステップと、任意選択で、適応免疫応答の活性化因子をモールドに添加するステップと、任意選択で、ケモカインまたはサイトカインをモールドに添加するステップと、任意選択で、自然免疫応答の活性化因子をモールドに添加するステップと、架橋剤をモールドに添加するステップ(例えば、チオール反応性PEGDA架橋剤)と、混合物を固化のために、少なくとも10分、少なくとも15分、少なくとも20分、少なくとも25分、少なくとも30分、少なくとも35分、少なくとも40分、少なくとも45分、少なくとも50分、少なくとも55分、少なくとも1時間、少なくとも90分、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、または少なくとも6時間静置させるステップと、を含む。
【0118】
ある特定の実施形態では、組成物は、少なくとも1つの生体材料を含み、生体材料(複数可)は、ポリマーネットワークを形成し得る。ある特定の実施形態では、ポリマーネットワークは、ヒドロゲルである。ある特定の実施形態では、ポリマーネットワークは、架橋されている。ポリマーネットワークまたはヒドロゲルは、当該技術分野において既知の任意の方法、例えば、化学架橋方法(例えば、天然の供給源に由来し得るかまたは合成され得る小分子架橋剤を使用することによって)、ポリ電解質架橋(例えば、ポリマーを反対の電荷を含む第2のポリマーと混合すること)、熱誘導架橋、光誘導架橋(例えば、ビニルスルホン、メタクリレート、アクリレートを使用する)、pH誘導架橋、及び酵素触媒架橋を使用して架橋され得る。いくつかの実施形態では、Parhi,Adv Pharm Bull.,Review7(4):515-530(2017)(本明細書に記載の目的のために参照により本明細書に組み込まれる)に記載の1つ以上の架橋方法は、ポリマーネットワークまたはヒドロゲルを形成する際に使用され得る。いくつかの実施形態では、ポリマーネットワークまたはヒドロゲルは、非架橋ポリマーネットワークまたはヒドロゲルである。
【0119】
ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料(例えば、架橋または非架橋)を含む組成物は、ヒアルロン酸、アルギネート、キトサン、コンドロイチン硫酸、デキストラン、ゼラチン、コラーゲン、デンプン、セルロース、多糖、フィブリン、ポリ-L-リジン、メチルセルロース、ポリエチレングリコール(PEG)、PEGジアクリレート(PEGDA)、ジスルフィド含有PEGDA(PEGSSDA)、PEGジメタクリレート(PEGDMA)、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)(pHEMA)、ポリ(ベータ-アミノエステル)(PBAE)、ポリ(アスパラギン酸)、ポリ(グルタミン酸)、ポリ(プロピレングリコール)(PPG)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリアセタール、ポリグリセロール、ポリグルクロン酸、及び/またはそれらの組み合わせを含む。ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料がポリマーネットワークまたはヒドロゲルである場合、組成物の治療薬(複数可)は、親水性分子である。ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料がポリマーネットワークまたはヒドロゲルである場合、組成物の治療薬(複数可)は、疎水性分子である。ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料がポリマーネットワークまたはヒドロゲルである場合、組成物の治療薬(複数可)は、疎水性または親水性分子である。ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料がポリマーネットワークまたはヒドロゲルである場合、組成物の治療薬(複数可)は、両親媒性分子(例えば、疎水性分子及び親水性分子の両方)である。
【0120】
ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料を含む組成物は、ヒアルロン酸、キトサン、及び/またはアルギネートから構成される。ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料は、架橋ヒアルロン酸、架橋キトサン及び/または架橋アルギネートである。ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料は、架橋ヒアルロン酸、架橋キトサン、または架橋アルギネートを含む。ある特定の実施形態では、ポリマーネットワークまたはヒドロゲルは、ヒアルロン酸、キトサン、またはアルギネートである。ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料は、ヒアルロン酸を含む。ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料は、架橋ヒアルロン酸を含む。ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料は、ヒアルロン酸である。ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料は、架橋ヒアルロン酸である。ある特定の実施形態では、ポリマーネットワークは、2つ以上の異なるポリマー生体材料から構成される。ある特定の実施形態では、ポリマーネットワークまたはヒドロゲルは、ヒアルロン酸及びポロキサマーを含む。
【0121】
例示的なポロキサマー及びそのバリアント
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー生体材料(複数可)調製物を含む組成物に含まれるポリマーは、ポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得る。ポロキサマーは、典型的には、ポリオキシエチレン(例えば、ポリエチレングリコール、PEG、及び/またはポリ(エチレンオキシド)、PEO)の2つの親水性鎖に隣接するポリオキシプロピレン(例えば、ポリプロピレングリコール、PPG、及び/またはポリ(プロピレンオキシド)、PPO)の疎水性鎖を含むブロックコポリマーである。ポロキサマーは、Synperonic、Pluronic、及び/またはKolliphorという商品名で知られている。概して、ポロキサマーは、非イオン性界面活性剤であり、いくつかの実施形態では、良好な可溶化能力、低毒性、及び/または細胞、体液、及び広範囲の化学物質との高い適合性を有し得る。
【0122】
いくつかの実施形態では、本開示に従う使用のためのポロキサマーは、当該技術分野において既知のポロキサマーであり得る。例えば、当業者には理解されるであろうように、ポロキサマーは、概して、文字P(ポロキサマーの場合)に続く3桁で命名される。最初の2桁に100を掛けると、ポリオキシプロピレン鎖のおおよその分子量が得られ、最後の桁に10を掛けると、ポリオキシエチレン含有量のパーセンテージが得られる。単なる例として、P407は、4000g/モルのポリオキシプロピレン分子量、及び70%のポリオキシエチレン含有量を有するポロキサマーを指す。当業者はまた、Pluronic及びSynperonicという商品名について、そのようなポロキサマーのコーディングは、室温でのその物理的形態を定義するための文字(例えば、L=液体、P=ペースト、F=フレーク(固体))で始まり、2桁または3桁が続き、数値表記の最初の桁(3桁の数字のうちの2桁)に300を掛けると、ポリオキシプロピレン鎖のおおよその分子量を示し、最後の桁に10を掛けると、ポリオキシエチレン含有量のパーセンテージが得られることを理解するであろう。単なる例として、L61は、1800g/モルのポリオキシプロピレン分子量、及び10%のポリオキシエチレン含有量を有するポロキサマーの液体調製物を指す。加えて、当業者に明らかなように、ポロキサマー181(P181)は、Pluronic L61及びSynperonic PE/L61と同等である。
【0123】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー生体材料(複数可)調製物を含む組成物に含まれ得るポロキサマーは、ポロキサマー124(例えば、Pluronic L44 NF)、ポロキサマー188(例えば、Pluronic F68NF)、ポロキサマー181(例えば、Pluronic L61)、ポロキサマー182(例えば、Pluronic L62)、ポロキサマー184(例えば、Pluronic L64)、ポロキサマー237(例えば、Pluronic F87 NF)、ポロキサマー338(例えば、Pluronic F108 NF)、ポロキサマー331(例えば、Pluronic L101)、ポロキサマー407(例えば、Pluronic F127 NF)、またはそれらの組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、提供されるポリマー生体材料(複数可)調製物は、少なくとも2つ以上の異なるポロキサマーを含み得る。Russo and Villa“Poloxamer Hydrogels for Biomedical Applications”Pharmaceutics(2019)11(12):671(その内容は、本明細書に記載の目的のために参照により本明細書に組み込まれる)の表1に記載される追加のポロキサマーもまた、本明細書に記載のポリマー生体材料(複数可)調製物に有用であり得る。
【0124】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー生体材料(複数可)調製物を含む組成物に含まれ得るポロキサマーは、ポロキサマー407(P407)であり得るか、またはそれを含み得る。いくつかの実施形態では、P407は、2つの親水性PEOブロックに隣接する疎水性PPOブロックを有するトリブロックポロキサマーコポリマーである。2つのPEOブロックのおおよその長さは、典型的には101反復単位であり、一方PPOブロックのおおよその長さは、56反復単位である。いくつかの実施形態では、P407は、約12,600Daの平均分子量を有し、そのうちの約70%はPEOに対応する。いくつかの実施形態では、P407は、濃度及び周囲温度に応じて、容易に自己組織化してミセルを形成し得る。特定の理論に拘束されることを望むものではないが、PEOブロックの水和と組み合わせた疎水性PPOブロックの脱水は、球状ミセルの形成をもたらし得、その後のミセル構造のパッケージングは、ポロキサマーヒドロゲルの主構造を構成する3D立方格子をもたらす。それらはまた、非毒性であり、安定であり、したがって、治療薬の制御放出としての使用に好適である。当業者によって理解されるように、二元ポロキサマー/水混合物に基づくヒドロゲル製剤中のP407濃度は、典型的には、16~20w/v%の範囲であり、約18w/v%の値が最も頻繁に使用される。例えば、Pereia et al.“Formulation and Characterization of Poloxamer 407(登録商標):Thermoreversible Gel Containing Polymeric Microparticles and Hyaluronic Acid”Quim.Nova,Vol.36,No.8,1121-1125(2013)を参照されたく、その内容は、本明細書に記載の目的のために参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0125】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー生体材料(複数可)調製物を含む組成物に含まれ得るポロキサマーは、2021年7月17日に出願された国際特許出願第PCT/US21/42110号に記載のポロキサマーであり得るか、またはそれを含み得、その全容は本明細書に記載の目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0126】
いくつかの実施形態では、提供される温度応答性ポリマー生体材料(複数可)調製物は、第1のポリマー構成成分(例えば、本明細書に記載のポロキサマー)及びポロキサマーではない第2のポリマー構成成分を含む。いくつかの実施形態では、第2のポリマー構成成分は、提供されるポリマー生体材料(複数可)調製物中に、15%(w/w)以下の濃度で存在し得る。いくつかの実施形態では、第2のポリマー構成成分は、提供されるポリマー生体材料(複数可)調製物中に、例えば、10%(w/w)、9%(w/w)、8%(w/w)、7%(w/w)、6%(w/w)、5%(w/w)、4%(w/w)、3%(w/w)、2%(w/w)、1%(w/w)、0.5%(w/w)以下の濃度を含む、10%(w/w)以下の濃度で存在し得る。いくつかの実施形態では、第2のポリマー構成成分は、提供されるポリマー生体材料(複数可)調製物中に、例えば、少なくとも0.2%(w/w)、少なくとも0.3%(w/w)、少なくとも0.4%(w/w)、少なくとも0.5%(w/w)、少なくとも0.6%(w/w)、少なくとも0.7%(w/w)、少なくとも0.8%(w/w)、少なくとも0.9%(w/w)、少なくとも1%(w/w)、少なくとも1.5%(w/w)、少なくとも2%(w/w)、少なくとも2.5%(w/w)、少なくとも3%(w/w)、少なくとも3.5%(w/w)、少なくとも4%(w/w)、少なくとも4.5%(w/w)、少なくとも5%(w/w)、少なくとも6%(w/w)、少なくとも7%(w/w)、少なくとも8%(w/w)、少なくとも9%(w/w)、少なくとも10%(w/w)以上を含む、少なくとも0.1%(w/w)の濃度で存在し得る。いくつかの実施形態では、提供されるポリマー生体材料(複数可)調製物中の第2のポリマー構成成分は、0.1%(w/w)~10%(w/w)、または0.1%(w/w)~8%(w/w)、または0.1%(w/w)~5%(w/w)、または1%(w/w)~5%(w/w)の濃度で存在し得る。いくつかの実施形態では、第2のポリマー構成成分は、提供されるポリマー生体材料(複数可)調製物中に0.5%(w/w)~10%(w/w)、または0.5%(w/w)~5%(w/w)、または1%(w/w)~10%(w/w)、または1%(w/w)~5%(w/w)、または2%~10%(w/w)の濃度で存在し得る。
【0127】
いくつかの実施形態では、提供されるポリマー生体材料(複数可)調製物に含まれる第2のポリマー構成成分は、例えば、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ以上を含む、少なくとも1つの生体適合性及び/または生分解性ポリマー構成成分であり得るか、またはそれを含み得る。そのような生体適合性及び/または生分解性ポリマー構成成分の例としては、免疫調節ポリマー、炭水化物ポリマー(例えば、炭水化物、例えば、キトサン、アルギネート、ヒアルロン酸、及び/またはそれらのバリアントを含む、例えば、炭水化物骨格であるか、またはそれを含むポリマー)、ポリアクリル酸、シリカゲル、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリホスファゼン、及び/またはそれらのバリアント)、セルロース、キチン、コンドロイチン硫酸、コラーゲン、デキストラン、ゼラチン、エチレン-ビニルアセテート(EVA)、フィブリン、ポリ(乳酸-co-グリコール)酸(PLGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリエチレングリコール(PEG)、PEGジアクリレート(PEGDA)、ジスルフィド含有PEGDA(PEGSSDA)、PEGジメタクリレート(PEGDMA)、ポリジオキサノン(PDO)、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)(pHEMA)、ポリカルボキシベタイン(PCB)、ポリスルホベタイン(PSB)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ(ベータ-アミノエステル)(PBAE)、ポリ(エステルアミド)、ポリ(プロピレングリコール)(PPG)、ポリ(アスパラギン酸)、ポリ(グルタミン酸)、ポリ(プロピレンフマレート)(PPF)、ポリ(無水セバシン酸)(PSA)、ポリ(トリメチレンカーボネート)(PTMC)、ポリ(デスアミノチロシルチロシンアルキルエステルカーボネート)(PDTE)、ポリ[ビス(トリフルオロエトキシ)ホスファゼン]、ポリオキシメチレン、単層カーボンナノチューブ、ポリ無水物、ポリ(N-ビニル-2-ピロリドン)(PVP)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリ(アクリル酸)(PAA)、ポリ(メタクリル酸)(PMA)、ポリアセタール、ポリ(アルファエステル)、ポリ(オルトエステル)、ポリリン酸エステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリグリセロール、ポリグルクロン酸、デンプン、それらのバリアント、及び/またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0128】
いくつかの実施形態では、提供されるポリマー生体材料(複数可)調製物に含まれる第2のポリマー構成成分は、免疫調節ポリマー、例えば、免疫応答の1つ以上の態様を調節するポリマー(例えば、自然免疫アゴニズムを誘導するポリマー)であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、免疫調節ポリマーは、2020年5月1日に出願された国際特許出願第PCT/US20/31169号(WO2020/223698A1として公開される)に記載の自然免疫のポリマーアゴニストであり得るか、またはそれを含み得、その全容は、本明細書に記載の目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0129】
いくつかの実施形態では、提供されるポリマー生体材料(複数可)調製物に含まれる第2のポリマー構成成分は、炭水化物ポリマー、例えば、炭水化物、例えば、ヒアルロン酸、キトサン、及び/またはそれらのバリアントを含むがこれらに限定されない、例えば、炭水化物骨格であるか、またはそれを含むポリマーであり得るか、またはそれを含む。
【0130】
例示的なヒアルロン酸及びそのバリアント
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー生体材料(複数可)調製物を含む組成物に含まれるポリマーは、アニオン性ポリマーであり得るか、またはそれを含み得る。いくつかの実施形態では、アニオン性ポリマーは、ヒアルロン酸またはそのバリアントであり得るか、またはそれらを含み得る。ヒアルロナンまたはヒアルロネートとしても知られるヒアルロン酸(HA)、体組織に広く分布するグリコサミノグリカン(GAG)として知られるポリマーのクラスの非硫酸化メンバーである。HAは、細胞表面に細胞周囲コートを形成する組織の細胞外マトリックス構成成分として見出される。いくつかの実施形態では、HAは、(C14H21NO11)nの分子式を有する多糖(いくつかの実施形態では、塩、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、及び/またはカルシウム塩として存在し得る)であり、式中、nは、供給源、単離手順、及び/または決定方法によって変化し得る。
【0131】
いくつかの実施形態では、本開示に従って有用であり得るHAは、単離され得るか、または多くの天然供給源に由来し得る。例えば、いくつかの実施形態では、HAは、例えば、ヒト臍帯、雄鶏のとさか、及び/または脊椎動物の結合マトリックスを含めて、単離されるか、またはそれ由来であり得る。いくつかの実施形態では、HAは、Streptococciなどの細菌のカプセル構成成分から単離されるか、またはそれ由来であり得る。例えば、Kendall et al,(1937),Biochem.Biophys.Acta,279,401-405を参照されたい。いくつかの実施形態では、HA及び/またはそのバリアントは、微生物発酵を介して産生され得る。いくつかの実施形態では、HA及び/またはそのバリアントは、組換えHAまたはそのバリアントであり得、例えば、Bacillus sp.、Lactococcos lactis、Agrobacterium sp.、及び/またはEscherichia coli.を含むがこれらに限定されない、グラム陽性及び/またはグラム陰性細菌を宿主として使用して産生される。
【0132】
2020年5月1日に出願された国際特許出願第PCT/US20/31169号において考察されているように、HAの生物学的活性は、その分子量に応じて異なり、例えば、高分子量HA(高MWHA)は、抗炎症または免疫抑制活性を有し得、低分子量HA(低MWHA)は、炎症誘発または免疫刺激挙動を示し得る。例えば、Gao et al.“A low molecular weight hyaluronic acid derivative accelerates excisional wound healing by modulating pro-inflammation,promoting epithelialization and neovascularization,and remodeling collagen”IntJ.Mol Sci(2019)20:3722、Cyphert et al.“Size Matters:Molecular Weight Specificity of Hyaluronan Effects in Cell Biology.”Int.J.Cell Biol.(2015)2015:563818、Dicker et al.“Hyaluronan:A simple polysaccharide with diverse biological functions”Acta Biomater.(2014)10:1558-1570、Aya and Stern“Hyaluronan in wound healing:Rediscovering a major player.”Wound Repair Regen.(2014)22:579-593、及びFrenkel“The role of hyaluronan in wound healing”Int.WoundJ.(2014)11:159-163を参照されたく、これらの各々の全容は、本明細書に記載の目的のために参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー生体材料(複数可)調製物を含む組成物に含まれ得るHAまたはそのバリアントは、低分子量、例えば、450kDa、400kDa、350kDa、300kDa、250kDa、200kDa、150kDa、100kDa、50kDa以下を含む、例えば、500kDa以下の平均分子量を有し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー生体材料(複数可)調製物を含む組成物に含まれ得るHAまたはそのバリアントは、約100kDa~約150kDaの平均分子量を有し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー生体材料(複数可)調製物を含む組成物に含まれ得るHAまたはそのバリアントは、約300kDa~約400kDaの平均分子量を有し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー生体材料(複数可)調製物を含む組成物は、免疫調節ペイロードの不在下で、ポロキサマー(例えば、本明細書に記載のもの)及び低分子量HAまたはそのバリアントを含み得、自然免疫アゴニズムを誘導するのに有用であり得る。
【0133】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー生体材料(複数可)調製物を含む組成物に含まれ得るHAまたはそのバリアントは、高分子量、例えば、550kDa、600kDa、650kDa、700kDa、750kDa、800kDa、850kDa、900kDa、950kDa、1Mda、1.1Mda、1.2Mda、1.3Mda、1.4Mda、1.5Mda、1.6Mda、1.7Mda、1.8Mda、1.9Mda、2Mda、2.5Mda、3Mda、3.5Mda、4Mda、4.5MDa以上を含む、例えば、500kDa以上より大きい平均分子量を有し得る。いくつかの実施形態では、本開示に従って有用であり得るHAまたはそのバリアントは、約600kDa~約900kDaの平均分子量を有し得る。いくつかの実施形態では、本開示に従って有用であり得るHAまたはそのバリアントは、約1MDa~約3MDaの平均分子量を有し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー生体材料(複数可)調製物を含む組成物は、免疫調節ペイロードの不在下で、ポロキサマー(例えば、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる2020年7月17日に出願された米国仮特許出願第63/053488号に記載されているもの)及びの高分子量HAまたはそのバリアントを含み得、炎症(例えば、免疫抑制性炎症)を解決するのに有用であり得る。
【0134】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー生体材料(複数可)調製物を含む組成物は、ヒアルロン酸バリアントを含む。いくつかの実施形態では、ヒアルロン酸バリアントは、水溶性である。いくつかの実施形態では、ヒアルロン酸バリアントは、化学修飾されたヒアルロン酸であり得、例えば、いくつかの実施形態では、ヒアルロン酸は、エステル化される。ヒアルロン酸への化学修飾の例としては、チオール、ハロアセテート、ブタンジオール、ジグリシジル、エーテル、ジヒドラジド、アルデヒド、グリカン、及び/またはチラミン官能基の付加が挙げられるが、これらに限定されない。追加のヒアルロン酸修飾及びバリアントは、当該技術分野において既知である。例えば、Highley et al.,“Recent advances in hyaluronic acid hydrogels for biomedical applications”Curr Opin Biotechnol(2016)Aug 40:35-40、Burdick & Prestwich,“Hyaluronic acid hydrogels for biomedical applications”Advanced Materials (2011)、Prestwhich,“Hyaluronic acid-based clinical biomaterials derived for cell and molecule delivery in regenerative medicine”J.Control Release(2011)Oct 30;155(2):193-199を参照されたく、これらの各々は、本明細書に記載の目的のために参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0135】
いくつかの実施形態では、HAを含む本明細書に記載のポリマー生体材料(複数可)調製物を含む組成物はまた、少なくとも1つのポロキサマーを含む。あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる2020年7月17日に出願された米国仮特許出願第63/053488号において考察されるように、HA及びポロキサマーの組み合わせは、本明細書に記載の目的に対して特に有効であり得る。
【0136】
ある特定の実施形態では、ヒアルロン酸は、チオール(EXTRACEL(登録商標)、HYSTEM(登録商標))、メタクリレート、ヘキサデシルアミド(HYMOVIS(登録商標))、及びチラミン(CORGEL(登録商標))を結合させることによって架橋され得る。ヒアルロン酸はまた、ホルムアルデヒド(HYLAN-A(登録商標))またはジビニルスルホン(HYLAN-B(登録商標))と直接架橋され得る。
【0137】
ある特定の実施形態では、ヒアルロン酸は、チオール修飾されたヒアルロン酸及び架橋剤を含む。ある特定の実施形態では、ポリマーネットワークまたはヒドロゲルは、チオール修飾されたヒアルロン酸(例えば、GLYCOSIL(登録商標))、及びチオール反応性PEGDA架橋剤(例えば、EXTRALINK(登録商標))を含む。ある特定の実施形態では、チオール修飾されたヒアルロン酸及びチオール反応性PEGDA架橋剤は、組み合わされて、本明細書に記載の組成物において有用な架橋ポリマーネットワークまたはヒドロゲルを形成する。
【0138】
ある特定の実施形態では、チオール修飾されたヒアルロン酸、チオール反応性ヒアルロン酸、及び架橋剤の量及び濃度を調節して、約500Pa~約3000Paの貯蔵弾性率を有するなどの所望の物理的特性を有する組成物を提供し得る。
【0139】
例示的なアルギネート及びそのバリアント
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の少なくとも1つのポリマー生体材料を含む組成物は、アルギネートを含む。非塩形態のアルギネートは、アルギン酸及び/またはアルギンとして知られている。アルギネートは、褐藻の細胞壁に広く分布する多糖であり、親水性であり、水和されると粘性のガムを形成する。ナトリウム及びカルシウムなどの金属を利用してアルギネートを作製する。アルギン酸は、ヘテロ多糖の直鎖構造を有する。概して、アルギン酸は、d-マンヌロン酸及びl-グルロン酸から構成される。アルギン酸は、多くの市場で塩、アルギン酸ナトリウムとして存在する。アルギネートは、カルボキシル基がそれらのポリマー鎖にあるため、双極イオン(カルシウムイオンなど)の存在下でゲルを形成する能力を有する。アルギン酸カルシウムゲルの多孔質構造及び高い吸水能力により、創傷包帯及び/または細胞の固定化における使用が以前に提案されている。
【0140】
ある特定の実施形態では、少なくとも1つのポリマー生体材料を含む組成物は、ポリマー生体材料アルギネートから構成される。ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料は、架橋アルギネートを含む。ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料は、アルギネートである。ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料は、架橋アルギネートである。ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料は、ポリマーネットワークまたはヒドロゲルを形成し得、ポリマー生体材料は、アルギネートを含む。ある特定の実施形態では、ポリマーネットワークまたはヒドロゲルは、架橋アルギネートを含む。ある特定の実施形態では、ポリマーネットワークまたはヒドロゲルは、アルギネートである。ある特定の実施形態では、ポリマーネットワークまたはヒドロゲルは、架橋アルギネートである。ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料は、アルギネートを含まない。ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料は、アルギネートではない。ある特定の実施形態では、ポリマーネットワークまたはヒドロゲルは、アルギネートではない。ある特定の実施形態では、ポリマーネットワークまたはヒドロゲルは、アルギネートを含まない。
【0141】
ある特定の実施形態では、アルギネートは、架橋を促進する塩(例えば、塩化カルシウム)を添加することによって、イオン的に架橋され得る。
【0142】
ある特定の実施形態では、アルギネートは、アルギネート及び架橋剤(例えば、塩化カルシウム)を含む。ある特定の実施形態では、ポリマーネットワークまたはヒドロゲルは、アルギネート及び架橋剤(例えば、塩化カルシウム)を含む。ある特定の実施形態では、アルギネート及び塩化カルシウム(例えば、イオン架橋剤)は、組み合わされて、本明細書に記載の組成物において有用な架橋ポリマーネットワークまたはヒドロゲルを形成する。
【0143】
ある特定の実施形態では、アルギネート及び塩化カルシウムの量及び濃度は、約500Pa~約3000Paの貯蔵弾性率を有するなどの所望の物理的特性を有する組成物を提供するように調節され得る。
【0144】
例示的なキトサン及びそのバリアント
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー生体材料(複数可)調製物を含む組成物は、カチオン性ポリマーであり得るか、またはそれを含み得る。いくつかの実施形態では、カチオン性ポリマーは、キトサンまたはそのバリアントであり得るか、またはそれを含み得る。本明細書に記載のポリマー組み合わせ調製物に含まれ得るキトサン及び/またはそのバリアントの例としては、キトサン、キトサン塩(例えば、キトサンHCl、キトサンクロリド、キトサン乳酸塩、キトサン酢酸塩、キトサングルタミン酸塩)、アルキルキトサン、芳香族キトサン、カルボキシアルキルキトサン(例えば、カルボキシメチルキトサン)、ヒドロキシアルキトサン(例えば、ヒドロキシプロピルキトサン、ヒドロキシエチルキトサン)、アミノアルキルキトサン、アシル化キトサン、リン酸化キトサン、チオール化キトサン、四級アンモニウムキトサン(例えば、N-(2-ヒドロキシル)プロピル-3-トリメチルアンモニウムキトサンクロリド)、グアニジニルキトサン、キトサンオリゴ糖化物、糖化キトサン(例えば、N-ジヒドロガラクトトサン)、及びそれらのバリアントまたは組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー生体材料(複数可)調製物を含む組成物は、カルボアルキルキトサン(例えば、カルボキシメチルキトサン)を含む。
【0145】
場合によっては、キトサン及び/またはそのバリアントは、キチンの脱アセチルにより生成され得ることを当業者は理解するであろう。いくつかの実施形態では、(例えば、本明細書に記載の)ポロキサマーを含むポリマー組み合わせ調製物に含まれるキトサンまたはそのバリアントは、例えば、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%以上(最大100%を含む)を含む、少なくとも70%またはそれを上回る脱アセチルの程度(すなわち、除去されたアセチル基のパーセント)を特徴とする。いくつかの実施形態では、キトサンまたはそのバリアントは、99%以下、95%以下、90%以下、85%以下、80%以下、75%以下、またはそれ以下の脱アセチルの程度を特徴とする。上述の範囲の組み合わせも可能である。例えば、キトサンまたはそのバリアントは、80%~95%、70%~95%、または75%~90%の脱アセチルの程度によって特徴付けられ得る。当業者によって理解されるように、脱アセチルの程度(DA%)は、当該技術分野において既知の様々な方法によって、例えば、場合によっては、NMR分光法によって決定され得る。
【0146】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー生体材料(複数可)調製物を含む組成物に含まれるキトサンまたはそのバリアントは、例えば、少なくとも20kDa、少なくとも30kDa、少なくとも40kDa、少なくとも50kDa、少なくとも60kDa、少なくとも70kDa、少なくとも80kDa、少なくとも90kDa、少なくとも100kDa、少なくとも110kDa、少なくとも120kDa、少なくとも130kDa、少なくとも140kDa、少なくとも150kDa、少なくとも160kDa、少なくとも170kDa、少なくとも180kDa、少なくとも190kDa、少なくとも200kDa、少なくとも210kDa、少なくとも220kDa、少なくとも230kDa、少なくとも240kDa、少なくとも250kDa、少なくとも260kDa、少なくとも270kDa、少なくとも280kDa、少なくとも290kDa、少なくとも300kDa、少なくとも350kDa、少なくとも400kDa、少なくとも500kDa、少なくとも600kDa、少なくとも700kDa、またはそれ以上を含む、例えば、少なくとも10kDa以上を含む、少なくとも5kDa以上の平均分子量を有し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー生体材料(複数可)調製物を含む組成物に含まれるキトサンまたはそのバリアントは、例えば、700kDa以下、600kDa以下、500kDa以下、400kDa以下、300kDa以下、200kDa以下、100kDa以下、50kDa以下、またはそれ以下を含む、750kDa以下またはそれ以下の平均分子量を有し得る。上述の範囲の組み合わせも可能である。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー生体材料(複数可)調製物を含む組成物に含まれるキトサンまたはそのバリアントは、10kDa~700kDa、または20kDa~700kDa、または30kDa~500kDa、または150kDa~600kDa、または150kDa~400kDa、または50kDa~150kDa、または10kDa~50kDaの平均分子量を特徴とする。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー生体材料(複数可)調製物を含む組成物に含まれるキトサンまたはそのバリアントは、20kDa~700kDa、または30kDa~500kDaの平均分子量を特徴とする。本明細書に記載されるように、平均分子量は、数平均分子量、重量平均分子量、またはピーク平均分子量であり得る。
【0147】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー生体材料(複数可)調製物を含む組成物に含まれるキトサンまたはそのバリアントは、10kDa~700kDa、または20kDaもしくは700kDa、または30kDa~500kDa、または150kDa~600kDa、または150kDa~400kDa、または50kDa~150kDa、または10kDa~50kDaの範囲の分子量分布を特徴とする。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー生体材料(複数可)調製物を含む組成物に含まれるキトサンまたはそのバリアントは、20kDa~700kDa、または30kDa~500kDaの範囲の分子量分布を特徴とする。
【0148】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー生体材料(複数可)調製物を含む組成物に含まれるキトサンまたはそのバリアントは、例えば、3000mPa・s以下、2500mPa・s以下、2000mPa・s以下、1500mPa・s以下、1000mPa・s以下、500mPa・s以下、250mPa・s以下、200mPa・s以下、150mPa・s以下、100mPa・s以下、75mPa・s以下、50mPa・s以下、25mPa・s以下、20mPa・s以下、15mPa・s以下、10mPa・s以下、またはそれ以下を含む、3500mPa・s以下またはそれ以下の粘性を特徴とし得る。いくつかの実施形態では、キトサンまたはそのバリアントは、例えば、少なくとも10mPa・s、少なくとも20mPa・s、少なくとも30mPa・s、少なくとも40mPa・s、少なくとも50mPa・s、少なくとも60mPa・s、少なくとも70mPa・s、少なくとも80mPa・s、少なくとも90mPa・s、少なくとも100mPa・s、少なくとも125mPa・s、少なくとも150mPa・s、少なくとも175mPa・s、少なくとも250mPa・s、少なくとも500mPa・s、少なくとも1000mPa・s、少なくとも1500mPa・s、少なくとも2000mPa・s、少なくとも2500mPa・s以上を含む、少なくとも5mPa・s以上の粘性を特徴とし得る。上述の範囲の組み合わせも可能である。例えば、いくつかの実施形態では、キトサンもしくはそのバリアントのこのような粘性ポリマー溶液またはキトサンもしくはそのバリアントを含むこのような粘性ポリマー溶液は、5mPa・s~3000mPa・s、または5mPa・s~300mPa・s、5mPa・s~200mPa・s、または20mPa・s~200mPa・s、または5mPa・s~20mPa・sの粘性を特徴とし得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のキトサンまたはそのバリアントの粘性は、20℃の1%酢酸中で、1%で測定される。
【0149】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー生体材料(複数可)調製物を含む組成物は、少なくとも1つ以上(例えば、1、2、3個以上)のキトサン及び/またはそのバリアント(例えば、修飾されたキトサン及び/または塩化物塩もしくはグルタミン酸塩などのキトサンもしくは修飾キトサンの塩を含む)を含む。例えば、いくつかの実施形態では、キトサン及び/またはそのバリアント(例えば、修飾されたキトサン及び/または塩化物塩もしくはグルタミン酸塩などのキトサンもしくは修飾キトサンの塩を含む)は、70%~95%、または75%~90%、または80%~95%、または90%超の脱アセチルの程度を特徴とし得る。いくつかの実施形態では、キトサン及び/またはそのバリアント(例えば、修飾されたキトサン及び/または塩化物塩もしくはグルタミン酸塩などのキトサンもしくは修飾キトサンの塩を含む)は、10kDa~700kDa、20kDa~600kDa、30kDa~500kDa、150kDa~400kDa、または200kDa~600kDaの平均分子量(例えば、キトサンまたはキトサン塩、例えば、キトサン酢酸塩として測定される)を特徴とし得る。いくつかの実施形態では、キトサン及び/またはそのバリアント(例えば、修飾されたキトサン及び/または塩化物塩もしくはグルタミン酸塩などのキトサンもしくは修飾キトサンの塩を含む)は、10kDa~700kDa、20kDa~600kDa、30kDa~500kDa、150kDa~400kDa、または200kDa~600kDaの範囲の分子量分布(例えば、キトサンまたはキトサン塩、例えば、キトサン酢酸塩として測定される)を特徴とし得る。いくつかの実施形態では、キトサン及び/またはそのバリアント(例えば、塩化物塩またはグルタミン酸塩などのその塩を含む)は、5~3000mPa・s、または5~300mPa・s、または20~200mPa・sの範囲の粘性を特徴とし得る。いくつかの実施形態では、そのようなキトサン及び/またはそのバリアント(例えば、塩化物塩またはグルタミン酸塩などのその塩を含む)は、PROTASAN(商標)UltraPureキトサン塩化物及び/またはキトサングルタミン酸塩(例えば、FMC Health and Nutritionの事業単位であるNovoMatrix(登録商標)から入手(現在はDu Pontの一部、製品番号:CL113、CL114、CL213、CL214、G113、G213、G214))であり得るか、またはそれを含み得る。いくつかの実施形態では、そのようなキトサン及び/またはそのバリアント(例えば、塩化物塩またはグルタミン酸塩などのその塩を含む)は、例えば、Heppe Medical Chitosan GMBHから入手される、キトサン、キトサンオリゴマー、及び/またはそれらのバリアント(例えば、キトサンHCl、カルボキシメチルキトサン、キトサン乳酸塩、キトサン酢酸塩を含む)(例えば、Chitoceuticals(登録商標)またはChitoscience(登録商標))であり得るか、またはそれを含み得る。
【0150】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー生体材料(複数可)調製物を含む組成物に含まれるキトサンまたはそのバリアントは、以下の特徴のうちの少なくとも1つまたは全てを特徴とするカルボキシアルキルキトサン(例えば、カルボキシメチルキトサン)であるか、またはそれを含む:(1)80%~95%の脱アセチルの程度、(ii)30kDa~500kDaの平均分子量、または30kDa~500kDaの分子量分布、及び(iii)5~300mPa・sの範囲の粘性。
【0151】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー生体材料(複数可)調製物を含む組成物に含まれるキトサンまたはそのバリアントは、(例えば、本明細書に記載の)キトサンのバリアントであるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、そのようなキトサンのバリアントは、キトサン鎖の1つ以上の化学部分、例えば、ヒドロキシル及び/またはアミノ基の化学修飾(複数可)を含み得る。いくつかの実施形態では、そのようなキトサンのバリアントは、例えば、糖化キトサンなどであるがこれに限定されない修飾されたキトサン(例えば、その遊離アミノ基のうちの1つ以上に1つ以上の単糖またはオリゴ糖側鎖を付加することにより修飾されたキトサン)であるか、またはそれを含む。本明細書において有用である例示的な糖化キトサンとしては、例えば、US5,747,475、US6,756,363、WO2013/109732、US2018/0312611、及びUS2019/0002594(これらの各々の内容は、本明細書に記載の目的のために参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0152】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー生体材料(複数可)調製物を含む組成物に含まれるキトサンまたはそのバリアントは、水性環境におけるその溶解度を増加させるポリマー(例えば、ポリエチレングリコールなどの親水性ポリマー)とコンジュゲートされたキトサンであるか、またはそれを含む。
【0153】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー生体材料(複数可)調製物を含む組成物に含まれるキトサンまたはそのバリアントは、チオール化キトサンであるか、またはそれを含む。キトサンに対する様々な修飾、例えば、限定されないが、カルボキシル化、PEG化、ガラクトシル化(または他の糖化)、及び/またはチオール化は、例えば、Ahmadi et al.Res Pharm Sci.,10(1):1-16(2015)に記載されるように、当該技術分野において既知であり、その内容は、本明細書に記載の目的のために参照により本明細書に組み込まれる。本開示を読む当業者は、他の修飾されたキトサンは、方法が実施される特定用途に有用であり得ることを理解するであろう。
【0154】
いくつかの実施形態では、キトサンまたはそのバリアントを含む本明細書に記載のポリマー生体材料(複数可)調製物を含む組成物はまた、少なくとも1つのポロキサマーを含む。あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる2020年7月17日に出願された米国仮特許出願第63/053488号において考察されるように、キトサン及びポロキサマーの組み合わせは、本明細書に記載の目的に対して特に有効であり得る。
【0155】
免疫調節ポリペプチドをコードまたは調節するポリヌクレオチド剤(複数可)
提供される組成物は、少なくとも1つの核酸またはポリヌクレオチド剤を含む。ある特定の実施形態では、提供される核酸(複数可)は、デオキシリボ核酸(複数可)及び/またはリボ核酸(複数可)であり得る。ある特定の実施形態では、提供される核酸(複数可)は、安定性、機能、または他の特徴を変化させ得る方式で化学修飾され得る。ある特定の実施形態では、組成物は、免疫系を直接調節及び/または修飾するように作用する、及び/または免疫系を調節する、もしくは免疫調節ペプチドを調節する分子をコードする、少なくとも1つの核酸またはポリヌクレオチド剤を含む。いくつかの実施形態では、核酸は、サイトカイン、ケモカイン、抗体、自然免疫系調節因子、適応免疫系調節因子、炎症誘発性ペプチド、抗炎症性ペプチド、成長因子、ホルモン、及び/またはこれらの任意のドメイン、組み合わせ、もしくはハイブリッド構築物を含む免疫調節ペプチドをコードまたは調節するように作用する。
【0156】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、パターン認識受容体を活性化することによって自然免疫を誘導する分子を調節またはコードする少なくとも1つのポリヌクレオチド剤を含む。ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、パターン認識受容体(PRR)のリガンドである。ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、パターン認識受容体(PRR)のアゴニストである。ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、Toll様受容体(TLR)、ヌクレオチド結合オリゴマー化ドメイン様受容体(NLR)、C型レクチン受容体(CLR)、及び/またはRIG-1様受容体(RLR)によって認識され得る。
【0157】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、サイトカインをコードする配列を含む少なくとも1つの核酸を含み得る。代替的には、いくつかの実施形態では、少なくとも1つの核酸を含む組成物は、サイトカインを更に含み得る。
【0158】
サイトカインは、細胞シグナル伝達において重要である小タンパク質(約5~20kDa)の広範なカテゴリーである。それらの放出は、周囲の細胞の挙動に影響を及ぼす。サイトカインは、自然免疫及び/または適応免疫を誘導し得る。サイトカインは、免疫調節剤としての自己分泌シグナル伝達、傍分泌シグナル伝達、及び内分泌シグナル伝達に関与する。サイトカインには、ケモカイン、インターフェロン、インターロイキン、リンフォカイン、及び腫瘍壊死因子が含まれる。サイトカインは、マクロファージ、Bリンパ球、Tリンパ球、及び肥満細胞などの免疫細胞、ならびに内皮細胞、線維芽細胞、及び様々な間質細胞を含む広範囲の細胞によって産生される。それらは受容体を介して作用し、免疫系において重要な役割を果たす。サイトカインは、体液性と細胞に基づく免疫応答との間のバランスを調節し、特定の細胞集団の成熟、増殖、及び応答性を調節する。いくつかのサイトカインは、複雑な方式で他のサイトカインの作用を増強または阻害する。サイトカインは、感染、免疫応答、炎症、外傷、敗血症、がん、及び生殖に対する宿主応答において重要である。
【0159】
更に、当該技術分野において現在、送達、投薬、及びスケジューリングの方法、ならびに毒性関連の問題は、多くのサイトカイン及びケモカインの免疫刺激機能が十分に利用されることを可能にするように対処される必要があることが、知られている。
【0160】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、サイトカインをコードする少なくとも1つの核酸、及び/または少なくとも1つのサイトカインを含み、含まれるサイトカインは、IL-1、IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-2スーパーカイン、IL-6、IL-7、IL-9、AM0010、IL-12、IL-15、IL-15スーパーアゴニスト、ALT-803、NIZ985、IL-16、IL-18、IL-21、IL-21スーパーアゴニスト、デネニコキン、IL-21スーパーアゴニスト抗体、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、TNF-α、GM-CSF、サイトカイン融合体、RG7461、RG7813、M9241、NKTR-214、NKTR-255、BMS-982470、BG-00001、Flt3L、またはCDX-301であり、及び/またはヌクレオチド配列は、それらをコードする。
【0161】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、サイトカインをコードする少なくとも1つの核酸、及び/または少なくとも1つのサイトカインを含み、含まれるサイトカインは、ALT-803、NIZ985、デネニコキン、RG7461、RG7813、M9241、IFN-α、IFN-β、またはIFN-γであり、及び/またはヌクレオチド配列は、それらをコードする。
【0162】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、サイトカインをコードする少なくとも1つの核酸、及び/または少なくとも1つのサイトカインを含み、含まれるサイトカインは、IL-15スーパーアゴニスト及び/またはIL-21であり、及び/またはヌクレオチド配列は、それらをコードする。
【0163】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、サイトカインをコードする少なくとも1つの核酸、及び/または少なくとも1つのサイトカインを含み、含まれるサイトカインは、IL-15スーパーアゴニスト、IL-21、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、CCL4、CCL5、CXCL9、もしくはCXCL10であり、及び/またはヌクレオチド配列は、それらをコードする。ある特定の実施形態では、コードされる配列及び/またはサイトカインは、IL-15スーパーアゴニスト、IFN-α、IFN-β、またはIFN-γである。
【0164】
IL-15(インターロイキン15)は、IL-2と構造的に類似したサイトカインであり、ウイルス(複数可)による感染後に単核食細胞によって分泌される。IL-15は、ウイルス感染細胞を殺傷することを主たる役割とする細胞であるナチュラルキラー細胞の細胞増殖を誘導する。IL-15と可溶性IL-15Rαとの組み合わせは、IL-15スーパーアゴニスト(IL-15sa)と称される複合体を生成し、IL-15単独よりも高い生物学的活性を有する。IL-15saは、NK及びメモリーCD8+T(mCD8+T)リンパ球を選択的に増殖させる能力のため、抗腫瘍及び抗ウイルス剤である。
【0165】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、サイトカインをコードする少なくとも1つの核酸、及び/または少なくとも1つのサイトカインを含み、含まれるサイトカインは、ALT-803として知られるIL-15スーパーアゴニスであり、及び/またはヌクレオチド配列は、それをコードする。ALT-803は、メモリーCD8+T細胞の増殖を誘導し、自然免疫に関与する受容体を上方制御し、インターフェロンγを分泌し、抗原刺激の不在下で悪性細胞を殺傷する能力を獲得すると考えられている。したがって、ALT-803は、それらを堅牢な抗悪性腫瘍活性を示す自然免疫エフェクター細胞に変換しながら、メモリーCD8+T細胞の増殖及び活性化を促進し得る。ALT-803は、直接免疫調節剤として最近臨床試験に入ったIL-15変異体及びIL-15Rα/Fc複合体の融合タンパク質である。ALT-803は、IL-15と比較して、生物学的活性において25倍超の増強を示す。
【0166】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、サイトカインをコードする少なくとも1つの核酸、及び/または少なくとも1つのサイトカインを含み、含まれるサイトカインは、NIZ985(hetIL-15)であり、及び/またはヌクレオチド配列は、それをコードする。研究では、hetIL-15投与が、腫瘍特異的T細胞を含むCD8+T細胞の腫瘍浸潤及び持続の増加を促進し得、CD8+/Treg比の増加をもたらし得ることが示されている。腫瘍在中CD8+T細胞は、エフェクター細胞の特徴を示し、増殖の増加(Ki67+)及び高い細胞傷害能(グランザイムB+)を特徴とする。hetIL-15の不在下では、腫瘍浸潤性T細胞のより小さい集団は、高レベルの消耗マーカーPD-1を示し、潜在的にそれらの抗がん効果を制限する。hetIL-15の提供により、PD-1のリンパ球発現の有意な減少がもたらされ得、消耗表現型の1つの潜在的な機序を軽減する。前臨床のがん研究は、調節細胞よりもエフェクターを優先することにより抗腫瘍応答の発達を促進する腫瘍免疫療法アプローチにおけるhetIL-15の使用を支持している。
【0167】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、サイトカインをコードする少なくとも1つの核酸、及び/または少なくとも1つのサイトカインを含み、含まれるサイトカインは、インターフェロンα(IFN-α)であり、及び/またはヌクレオチド配列は、それをコードする。IFN-αタンパク質は、白血球によって産生される。それらは、ウイルス感染症に対する自然免疫応答に主に関与する。
【0168】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、サイトカインをコードする少なくとも1つの核酸、及び/または少なくとも1つのサイトカインを含み、含まれるサイトカインは、インターフェロンβ(IFN-β)であり、及び/またはヌクレオチド配列は、それをコードする。IFN-βは、線維芽細胞によって産生されるタンパク質を含み、自然免疫応答に関与する。IFN-βは、マクロファージ及びNK細胞の両方を刺激して抗ウイルス応答を誘発し、腫瘍に対しても活性である。マウスにおいて、IFN-βは、免疫細胞を阻害して成長因子を産生し、それによって腫瘍の成長を遅延させ、他の細胞が血管産生成長因子を産生することを阻害し、それによって腫瘍血管新生を遮断し、腫瘍が血管系に接続することを妨げる。
【0169】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、サイトカインをコードする少なくとも1つの核酸、及び/または少なくとも1つのサイトカインを含み、含まれるサイトカインは、インターフェロンγ(IFN-γ)であり、及び/またはヌクレオチド配列は、それをコードする。IFN-γ、またはII型インターフェロンは、自然免疫及び適応免疫に有用なサイトカインである。IFN-γは、マクロファージの重要な活性化因子であり、クラスII主要組織適合性複合体(MHC)分子発現の誘導剤である。がん細胞におけるIFN-γのインビトロ研究は広範であり、結果は、概してアポトーシスによって誘導されるが、時には自食作用によって誘導される、成長阻害または細胞死をもたらすIFN-γの抗増殖活性を示す。IFN-γの臨床投与により、卵巣癌、膀胱癌、黒色腫癌を有する患者の生存の改善がもたらされた。
【0170】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ケモカインをコードする少なくとも1つの核酸、及び/または少なくとも1つのケモカインを含む。ケモカインは、小さいサイトカインのファミリーである。ケモカインの主な役割は、細胞の遊走を誘導する化学誘引剤として作用することである。いくつかのケモカインは、リンパ球をリンパ節に指向するなど、免疫監視のプロセス中に免疫系の細胞を制御して、これらの組織に存在する抗原提示細胞と相互作用することによって病原体の侵入をスクリーニングし得る。これらは恒常性ケモカインとして知られており、それらの供給源細胞(複数可)を刺激する必要なしに産生及び分泌される。いくつかのケモカインは、発達において役割を果たし、血管新生(新しい血管の成長)を促進するか、または細胞の成熟に重要な特定のシグナルを提供する組織に細胞を誘導する。他のケモカインは炎症性であり、細菌、ウイルス、及び痛風で発生するシリカまたは尿酸結晶など物理的損傷を引き起こす薬剤に応答して多種多様な細胞から放出される。それらの放出は、多くの場合、インターロイキン1などの炎症誘発性サイトカインによって刺激される。炎症性ケモカインは、主に白血球の化学誘引剤として機能し、血液から感染または組織損傷の部位に単球、好中球、及び他のエフェクター細胞を動員する。特定の炎症性ケモカインは、細胞を活性化して免疫応答を開始するか、または創傷治癒を促進する。それらは、多くの異なる細胞型によって放出され、自然免疫系及び適応免疫系の両方の細胞を誘導するのに役立つ。
【0171】
更に、当該技術分野において現在、送達、投薬、及びスケジューリングの方法、ならびに毒性関連の問題は、多くのケモカインの免疫刺激機能が十分に利用されることを可能にするように対処される必要があることが、知られている。したがって、いくつかの実施形態では、提供される組成物は、免疫療法のためのケモカイン利用に対する既知の障壁の多くを解決し得る。
【0172】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ケモカインをコードする少なくとも1つの核酸、及び/または少なくとも1つのケモカインを含み、含まれるケモカインは、CCL1、CCL2、CCL3、CCL4、CCL5、CCL17、CCL19、CCL21、CCL22、CXCL9、CXCL10、CXCL11、CXCL13、CXCL16、またはCX3CL1であり、及び/またはヌクレオチド配列は、それらをコードする。
【0173】
ある特定の実施形態では、少なくとも1つの核酸を含む提供される組成物は、炎症誘発性経路の調節因子(例えば、阻害剤)をコードする核酸を含み得る。いくつかの実施形態では、炎症誘発性経路の核酸にコードされた阻害剤は、抗体を含む。いくつかの実施形態では、提供される組成物は、炎症誘発性経路の2つ以上の阻害剤を含み得る。いくつかの実施形態では、炎症誘発性経路の阻害剤は、免疫抑制性細胞の動員を予防し得る。いくつかの実施形態では、炎症誘発性経路の阻害剤は、急性炎症を予防し得る。いくつかの実施形態では、炎症誘発性経路の阻害剤は、例えば、1つ以上の炎症誘発性サイトカイン(例えば、TNF-アルファ、IL-1ベータ、及び/またはIL-6)の産生、Th1細胞の活性の増加及び/または増殖、骨髄性細胞の動員などを含む、炎症を誘導する免疫応答を阻害し得る。例えば、いくつかの実施形態では、炎症誘発性経路の阻害剤は、IL-1ベータの阻害剤であり得る。いくつかの実施形態では、炎症誘発性経路の阻害剤は、IL-6の阻害剤であり得る。
【0174】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、炎症誘発性経路の阻害剤として作用するか、または、炎症誘発性経路の阻害剤をコードする少なくとも1つの核酸を含み得る。いくつかの実施形態では、炎症誘発性経路の阻害剤は、本明細書に記載のp38マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)経路によって媒介される炎症誘発性免疫応答の阻害剤である。
【0175】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、免疫抑制性細胞の動員を予防する炎症誘発性経路の阻害剤として作用するか、またはその炎症誘発性経路の阻害剤をコードする少なくとも1つの核酸を含み得る。ある特定の実施形態では、炎症誘発性経路の阻害剤は、CCR2、CCR5、CXCR2、CXCR4、CXCL12、またはCCL2の阻害剤、アンタゴニスト、または部分アゴニストである。ある特定の実施形態では、炎症誘発性経路の阻害剤は、CCR5、CXCR2、CXCL12、またはCCL2の阻害剤、アンタゴニスト、または部分アゴニストである。
【0176】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、炎症誘発性経路の阻害剤として作用するか、または炎症誘発性経路の阻害剤をコードする少なくとも1つの核酸と、CCR2の阻害剤、アンタゴニスト、または部分アゴニストである炎症誘発性経路の任意選択の更なる阻害剤と、を含み得る。ある特定の実施形態では、CCR2は、p38MAPK経路に関連する(例えば、Montague,et al.,J.Inflammation 2018,15:101、及びXu,et al.,Am.J.Transl.Res.2017,9,2878-2890に記載され、これらは各々、本明細書に記載の目的のために参照により本明細書に組み込まれる)。ある特定の実施形態では、CCR2の任意選択の阻害剤、アンタゴニスト、または部分アゴニストは、PF-04136309、CCX872-B、またはプロザリズマブである。ある特定の実施形態では、炎症誘発性経路の阻害剤は、PF-04136309、CCX872-B、またはプロザリズマブである。ある特定の実施形態では、炎症誘発性経路の阻害剤は、CCR2の阻害剤、アンタゴニスト、または部分アゴニストではない。ある特定の実施形態では、炎症誘発性経路の阻害剤は、PF-04136309ではない。
【0177】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、炎症誘発性経路の阻害剤として作用するか、または炎症誘発性経路の阻害剤をコードする少なくとも1つの核酸を含み得、炎症誘発性経路の阻害剤は、CCR5の阻害剤、アンタゴニスト、または部分アゴニストである。ある特定の実施形態では、CCR5は、p38MAPK経路に関連する(例えば、Lei,et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.2005,329,610-615、及びManes,et al.,J.Exp.Med.2003,198,1381-1389に記載され、これらは各々、本明細書に記載の目的のために参照により本明細書に組み込まれる)。ある特定の実施形態では、CCR5の核酸にコードされた阻害剤、アンタゴニスト、または部分アゴニストは、任意選択で、マラビロク、DAPTA、GSK706769、INCB009471、GW873140、ビクリビロク、またはPRO140とカップリングされる。
【0178】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、炎症誘発性経路の阻害剤として作用するか、または炎症誘発性経路の阻害剤をコードする少なくとも1つの核酸を含み得、炎症誘発性経路の阻害剤は、CCR2及び/またはCCR5の阻害剤、アンタゴニスト、または部分アゴニストである。ある特定の実施形態では、CCR2及びCCR5の核酸にコードされた阻害剤、アンタゴニスト、または部分アゴニストは、任意選択で、PF-04634817、セニクリビロク、またはBMS-813160とカップリングされる。
【0179】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、炎症誘発性経路の阻害剤として作用するか、または炎症誘発性経路の阻害剤をコードする少なくとも1つの核酸を含み得、炎症誘発性経路の阻害剤は、CXCR2の阻害剤、アンタゴニスト、または部分アゴニストである。ある特定の実施形態では、CXCR2の核酸にコードされた阻害剤、アンタゴニスト、または部分アゴニストは、任意選択で、ダニリキシン、QBM076、SX-682、またはSB225002とカップリングされる。
【0180】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、炎症誘発性経路の阻害剤として作用するか、または炎症誘発性経路の阻害剤をコードする少なくとも1つの核酸を含み得、炎症誘発性経路の阻害剤は、CXCR4の阻害剤、アンタゴニスト、または部分アゴニストである。ある特定の実施形態では、CXCR4は、p38MAPK経路に関連する(例えば、Lei,et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.2005,329,610-615、及びTrushin,et al.,J.Immunol.2007,178,4846-4853に記載され、これらは各々、本明細書に記載の目的のために参照により本明細書に組み込まれる)。ある特定の実施形態では、CXCR4の核酸にコードされた阻害剤、アンタゴニスト、または部分アゴニストは、任意選択で、プレリキサホル、AMD070、AMD3465、AMD11070、LY2510924、MSX-122、TG-0054、CX-01、X4P-001、BL-8040、USL311、またはSP01Aとカップリングされる。ある特定の実施形態では、炎症誘発性経路の阻害剤は、CXCR4の阻害剤、アンタゴニスト、または部分アゴニストではない。
【0181】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、炎症誘発性経路の阻害剤として作用するか、または炎症誘発性経路の阻害剤をコードする少なくとも1つの核酸を含み得、炎症誘発性経路の阻害剤は、CXCL12の阻害剤、アンタゴニスト、または部分アゴニストである。ある特定の実施形態では、CXCL12は、p38MAPK経路に関連する(例えば、Gao,et al.,Int.J.Clin.Exp.Pathol.2018,11,3119-3125に記載され、これは、本明細書に記載の目的のために参照により本明細書に組み込まれる)。
【0182】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、炎症誘発性経路の阻害剤として作用するか、または炎症誘発性経路の阻害剤をコードする少なくとも1つの核酸を含み得、炎症誘発性経路の阻害剤は、CCL2の阻害剤、アンタゴニスト、または部分アゴニストである。ある特定の実施形態では、CCL2は、p38MAPK経路に関連する(例えば、Cho,et al.,J.Neuroimmunol.2008,199,94-103、及びMarra,et al.,Am.J.Physiol.Gastrointest.Liver Physiol.2004,287,G18-26に記載され、これらは各々、本明細書に記載の目的のために参照により本明細書に組み込まれる)。ある特定の実施形態では、CCL2の核酸にコードされた阻害剤、アンタゴニスト、または部分アゴニストは、任意選択でビンダリト(bindarit)とカップリングされる。
【0183】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、炎症誘発性経路の阻害剤として作用するか、または炎症誘発性経路の阻害剤をコードする少なくとも1つの核酸を含んでもよく、炎症誘発性経路の阻害剤は、任意選択で、PF-04136309、CCX872-B、プロザリズマブ、マラビロク、DAPTA、GSK706769、INCB009471、GW873140、ビクリビロク、PRO140、PF-04634817、セニクリビロク、BMS-813160、ダニリキシン、QBM076、SX-682、SB225002、プレリキサホル、AMD070、AMD3465、AMD11070、LY2510924、MSX-122、TG-0054、CX-01、X4P-001、BL-8040、USL311、またはSP01Aとカップリングされる。
【0184】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、炎症誘発性経路の阻害剤として作用するか、または炎症誘発性経路の阻害剤をコードする少なくとも1つの核酸を含んでもよく、炎症誘発性経路の阻害剤は、任意選択で、CCX872-B、プロザリズマブ、マラビロク、DAPTA、GSK706769、INCB009471、GW873140、ビクリビロク、PRO140、PF-04634817、セニクリビロク、BMS-813160、ダニリキシン、QBM076、SX-682、SB225002、プレリキサホル、AMD070、AMD3465、AMD11070、LY2510924、MSX-122、TG-0054、CX-01、X4P-001、BL-8040、USL311、またはSP01Aとカップリングされる。
【0185】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、炎症誘発性経路の阻害剤として作用するか、または炎症誘発性経路の阻害剤をコードする少なくとも1つの核酸を含み得、炎症誘発性経路の阻害剤は、急性炎症を予防する。ある特定の実施形態では、炎症誘発性経路の阻害剤は、抗IL-1α抗体、抗IL-1β抗体、抗IL-1R抗体、IL-1阻害剤、抗IL-6抗体、抗IL-6R抗体、抗IL17抗体、抗IL-17A抗体、抗IL-17RA抗体、抗IL-23/IL-12抗体、または抗IL-23抗体である。
【0186】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、炎症誘発性経路の阻害剤をコードする少なくとも1つの核酸を含み得、炎症誘発性経路の阻害剤は、抗IL-1α抗体である。ある特定の実施形態では、抗IL-1α抗体は、MABp1である。ある特定の実施形態では、炎症誘発性経路の阻害剤は、MABp1である。
【0187】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、炎症誘発性経路の阻害剤をコードする少なくとも1つの核酸を含み得、炎症誘発性経路の阻害剤は、抗IL-1β抗体である。ある特定の実施形態では、IL-1βは、p38MAPK経路に関連する(例えば、Kulawik,et al.,J.Biol.Chem.2017,292,6291-6302、Rovin,et al.,Cytokine 1999,11,118-126、Laporte,et al.,Am.J.Physiol.Lung Cell Mol.Physiol.2000,279,L932-L941、Baldassare,et al.,J.Immunol.1999,162,5367-5373、及びWeber,et al.Sci.Signal.2010,3,cm1に記載され、これらは各々、本明細書に記載の目的のために参照により本明細書に組み込まれる)。ある特定の実施形態では、抗IL-1β抗体は、カナキヌマブである。ある特定の実施形態では、炎症誘発性経路の阻害剤は、カナキヌマブである。
【0188】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、炎症誘発性経路の阻害剤をコードする少なくとも1つの核酸を含み得、炎症誘発性経路の阻害剤は、抗IL-1R抗体である。ある特定の実施形態では、IL-1Rは、p38MAPK経路に関連する(例えば、Weber,et al.,Sci.Signal.2010,3,cm1、及びJain,et al.,Nat.Commun.2018,9:3185に記載され、これらは各々、本明細書に記載の目的のために参照により本明細書に組み込まれる)。ある特定の実施形態では、抗IL-1R抗体は、アナキンラである。ある特定の実施形態では、炎症誘発性経路の阻害剤は、アナキンラである。
【0189】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、炎症誘発性経路の阻害剤をコードする少なくとも1つの核酸を含み得、炎症誘発性経路の阻害剤は、IL-1阻害剤である。ある特定の実施形態では、IL-1阻害剤は、リロナセプトである。ある特定の実施形態では、炎症誘発性経路の阻害剤は、リロナセプトである。
【0190】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、炎症誘発性経路の阻害剤をコードする少なくとも1つの核酸を含み得、炎症誘発性経路の阻害剤は、抗IL-6抗体である。ある特定の実施形態では、IL-6は、p38MAPK経路に関連する(例えば、Sinfield,et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.2013,430,419-424、Suzuki,et al.,FEBS Lett.2000,465,23-27、及びNishikai-Yan Shen,et al.,PLoS One 2017,12,1-17に記載され、これらは各々、本明細書に記載の目的のために参照により本明細書に組み込まれる)。ある特定の実施形態では、抗IL-6抗体は、オロキズマブ、クラザキズマブ、OPR-003、シルクマブ、ARGX-109、FE301、またはFM101である。ある特定の実施形態では、炎症誘発性経路の阻害剤は、オロキズマブ、クラザキズマブ、OPR-003、シルクマブ、ARGX-109、FE301、またはFM101である。
【0191】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、炎症誘発性経路の阻害剤をコードする少なくとも1つの核酸を含み得、炎症誘発性経路の阻害剤は、抗IL-6R抗体である。ある特定の実施形態では、抗IL-6R抗体は、トシリズマブ、サリルマブ、またはボバリズマブである。ある特定の実施形態では、炎症誘発性経路の阻害剤は、トシリズマブ、サリルマブ、またはボバリズマブである。
【0192】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、炎症誘発性経路の阻害剤をコードする少なくとも1つの核酸を含み得、炎症誘発性経路の阻害剤は、抗IL-17抗体である。ある特定の実施形態では、IL-17は、p38MAPK経路に関連する(例えば、Noubade,et al.,Blood 2011,118,3290-3300、Roussel,et al.,J.Immunol.2010,184,4531-4537、及びMai,et al.,J.Biol.Chem.2016,291,4939-4954に記載され、これらは各々、本明細書に記載の目的のために参照により本明細書に組み込まれる)。ある特定の実施形態では、抗IL-17抗体は、イキセキズマブ、ビメキズマブ、ALX-0761、CJM112、CNTO6785、LY3074828、SCH-900117、またはMSB0010841である。ある特定の実施形態では、炎症誘発性経路の阻害剤は、イキセキズマブ、ビメキズマブ、ALX-0761、CJM112、CNTO6785、LY3074828、SCH-900117、またはMSB0010841である。
【0193】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、炎症誘発性経路の阻害剤をコードする少なくとも1つの核酸を含み得、炎症誘発性経路の阻害剤は、抗IL-17A抗体である。ある特定の実施形態では、抗IL17A抗体は、セクキヌマブである。ある特定の実施形態では、炎症誘発性経路の阻害剤は、セクキヌマブである。
【0194】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、炎症誘発性経路の阻害剤をコードする少なくとも1つの核酸を含み得、炎症誘発性経路の阻害剤は、抗IL-17RA抗体である。ある特定の実施形態では、抗IL17RA抗体は、ブロダルマブである。ある特定の実施形態では、炎症誘発性経路の阻害剤は、ブロダルマブである。
【0195】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、炎症誘発性経路の阻害剤をコードする少なくとも1つの核酸を含み得、炎症誘発性経路の阻害剤は、抗IL-23/IL-12抗体である。ある特定の実施形態では、抗IL-23/IL-12抗体は、ウステキヌマブまたはブリアキヌマブである。ある特定の実施形態では、炎症誘発性経路の阻害剤は、ウステキヌマブまたはブリアキヌマブである。
【0196】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、炎症誘発性経路の阻害剤をコードする少なくとも1つの核酸を含み得、炎症誘発性経路の阻害剤は、抗IL-23抗体である。ある特定の実施形態では、IL-23は、p38MAPK経路に関連する(例えば、Tang,et al.,Immunology 2012,135,112-124、及びCanavese,et al.,J.Clin.Exp.Dermatol.Res.2011,S2:002.doi:10.4172/2155-9554に記載され、これらは各々、本明細書に記載の目的のために参照により本明細書に組み込まれる)。ある特定の実施形態では、抗IL-23抗体は、チルドラキズマブ、BI655066、またはグセルクマブである。ある特定の実施形態では、炎症誘発性経路の阻害剤は、チルドラキズマブ、BI655066、またはグセルクマブである。
【0197】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、炎症誘発性経路の阻害剤をコードする少なくとも1つの核酸を含み得、炎症誘発性経路の阻害剤は、MABp1、カナキヌマブ、アナキンラ、リロナセプト、オロキズマブ、クラザキズマブ、OPR-003、シルクマブ、ARGX-109、FE301、トシリズマブ、サリルマブ、ボバリリズマブ、イキセキズマブ、ビメキズマブ、ソネロキマブ(ALX-0761、MSB0010841)、CJM112、CNTO6785、ミリキズマブ(LY3074828)、SCH-900117、セクキヌマブ、ブロダルマブ、ウステキヌマブ、ブリアキヌマブ、チルドラキズマブ、リサンキズマブ(BI655066)、またはグセルクマブである。
【0198】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、炎症誘発性経路の阻害剤として作用するか、または炎症誘発性経路の阻害剤をコードする少なくとも1つの核酸を含み得、炎症誘発性経路の阻害剤は、TGFβR阻害剤である。ある特定の実施形態では、TGFβRは、p38MAPK経路に関連する(例えば、Yu,et al.,EMBOJ.2002,21,3749-3759、Sato,et al.,J.Invest.Dermatol.2002,118,704-711、及びHanafusa,et al.,J.Biol.Chem.1999,274,27161-27167に記載され、これらは各々、本明細書に記載の目的のために参照により本明細書に組み込まれる)。ある特定の実施形態では、核酸にコードされるTGFβR阻害剤は、任意選択で、ガルニセルチブとカップリングされる。ある特定の実施形態では、炎症誘発性経路の阻害剤は、ガルニセルチブである。
【0199】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、成長因子をコードする配列を含む少なくとも1つの核酸を含み得る。代替的には、いくつかの実施形態では、少なくとも1つの核酸を含む組成物は、成長因子を更に含み得る。
【0200】
成長因子は、細胞増殖、創傷治癒、及び時には細胞分化の刺激に寄与する分子の広範なカテゴリーである。成長因子は、タンパク質及びステロイドホルモンを含み得る。成長因子は、細胞間のシグナル伝達に関与し、免疫系において重要な役割を果たす。
【0201】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、成長因子をコードする少なくとも1つの核酸、及び/または少なくとも1つの成長因子を含み、ヌクレオチド配列は、アドレノメデュリン、アンジオポエチン(例えば、アンジオポエチン-1、アンジオポエチン-2)、自己分泌運動因子、骨形態形成タンパク質(BMP)(例えば、BMP1、BMP2、BMP3、BMP4、BMP5、BMP6、BMP7、BMP8a、BMP8b、BMP10、BMP11、またはBMP15)、毛様体神経栄養因子ファミリータンパク質(例えば、毛様体神経栄養因子(CNTF)、白血病抑制因子(LIF)、またはインターロイキン-6(IL-6))、コロニー刺激因子(例えば、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、インターロイキン-3(IL-3)、またはプロメガポエチン)、上皮成長因子(EGF)、エフリンリガンド(例えば、エフリンA1、A2、A3、A4、A5、B1、B2、及びB3)、エリスロポエチン、線維芽細胞成長因子(FGF)(例えば、FGF1、FGF2、FGF3、FGF4、FGF5、FGF6、FGF7、FGF8、FGF9、FGF10、FGF11、FGF12、FGF13、FGF14、FGF15、FGF16、FGF17、FGF18、FGF19、FGF20、FGF21、FGF22、またはFGF23)、ウシ成長ホルモン(BGH)、グリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)ファミリーリガンド(例えば、GDNF、ニューチュリン、アルテミン、またはペルセフィン)、成長分化因子9(GDF9)、肝細胞成長因子(HGF)、肝癌由来成長因子(HDGF)、インスリン、インスリン様成長因子(IGF)(例えば、IGF-1またはIGF-2)、インターロイキン(IL)(例えば、IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、またはIL-7)、ケラチノサイト成長因子(KGF)、マイトジェン刺激因子(MSF)、マクロファージ刺激タンパク質(MSP)、ミオスタチン(GDF-8)、ニューレグリン(NRG)(例えば、NRG1、NRG2、NRG3、またはNRG4)、ニューロトロフィン(例えば、脳由来神経栄養因子(BDNF)、神経成長因子(NGF)、ニューロトロフィン-3(NT-3)、またはニューロトロフィン-4(NT-4))、胎盤成長因子(PGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、レナラーゼ(RNLS)、T細胞成長因子(TCGF)、形質転換因子(TGF)(例えば、TGF-α、及びTGF-β1、TGF-β2、またはTGF-β3)、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)、血管内皮増殖因子(VEGF)、またはWNTファミリータンパク質(例えば、WNT1、WNT2、WNT3、WNT4、WNT5、WNT6、WNT7A、WNT7B、WNT8A、WNT8B、WNT9A、WNT9B、WNT10A、WNT10B、WNT11、またはWNT16)をコードし、及び/または含まれる成長因子は、それらである。
【0202】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ホルモンをコードする配列を含む少なくとも1つの核酸を含み得る。代替的には、いくつかの実施形態では、少なくとも1つの核酸を含む組成物は、ホルモンを更に含み得る。
【0203】
ホルモンは、多細胞生物と互いに離れた細胞間のシグナル伝達において機能することができるシグナル伝達分子のクラスである。ホルモンは、ペプチドホルモン、アミノ酸誘導体ホルモン、ステロイドホルモン、及びエイコサノイドホルモンを含む分子の広いカテゴリーである。ホルモンは、リンパ球の輸送の調節、T細胞集団の分化の促進、ならびにT細胞及び抗原提示細胞活性の調節を含む重要な免疫調節の役割を果たし、例えば、Luhder et al.,“Short but powerful:short peptide hormones and their role in autoimmune inflammation”J Neuroimmunol.(2009)271(1-2):1-7を参照されたく、その内容は、本明細書に記載の目的のために参照により本明細書に組み込まれる。ある特定の実施形態では、ホルモンは、天然に存在するホルモンまたは天然に存在するホルモンの合成類似体であり得る。
【0204】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ホルモンをコードする少なくとも1つの核酸、及び/または少なくとも1つのホルモンを含み、ヌクレオチド配列は、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、アミリン、アンジオテンシン、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、ブラジキニン、カルシトニン、コレシストキニン(CCK)、ガストリン、グレリン、グルカゴン、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)、グルカゴン様ペプチド-2(GLP-2)、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)、成長ホルモン、卵胞刺激ホルモン(FSH)、インスリン、カリジン、レプチン、黄体形成ホルモン(LH)、メラノサイト刺激ホルモン(MSH)、オキシトシン、副甲状腺ホルモン(PTH)、プロラクチン、レニン、ソマトスタチン、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)、バソプレスピン、または血管作動性腸管ペプチド(VIP)をコードし、及び/または含まれるホルモンは、それらである。ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ホルモンをコードする少なくとも1つの核酸、及び/または少なくとも1つのホルモンを含み、含まれるホルモンは、アバロパラチド、アバレリックス、アファメラノチド、アルビグルチド、アビプタジル、ブセレリン、カルベトシン、カルグトシン、カルペリチド、セトロレリックス、デガレリックス、デスロレリン、デスモプレシン、デュラグルチド、エルカトニン、エキセナチド、フェリプレシン、ガニレリックス、グレリン、ゴナドレリン、ゴセレリン、ヒストレリン、イカチバント、ランレオチド、リュープロレリン、リラグルチド、リキシセナチド、ナファレリン、ネシリチド、オクトレオチド、オルニプレシン、パシレオチド、プラムリンチド、サララシン、タルチレリン、テデュグルチド、テリパラチド、テルリプレシン、テサモレリン、テトラコサクチド、チモペンチン、またはトリプトレリンであり、及び/またはヌクレオチド配列は、それらをコードする。
【0205】
ある特定の実施形態では、ホルモンをコードする少なくとも1つの核酸、及び/または少なくとも1つのホルモンを含む提供される組成物は、がんの治療において有用である。ある特定の実施形態では、ホルモンをコードする少なくとも1つの核酸、及び/または少なくとも1つのホルモンを含む提供される組成物は、非増殖性疾患の治療に有用である。ある特定の実施形態では、ホルモンをコードする少なくとも1つの核酸、及び/または少なくとも1つのホルモンを含む提供される組成物は、末端肥大症、急性非代償性心不全、出血性食道静脈瘤、乳癌、クッシング病、尿崩症、子宮内膜症、勃起不全、赤血球生成性プロトポルフィリン症、遺伝性血管浮腫、HIV脂肪異栄養症、高カルシウム血症、低血糖症、神経内分泌腫瘍、夜間頻尿、骨粗鬆症、パジェット病、分娩後出血、思春期早発症、原発性無月経、前立腺癌、腎血管性高血圧、短腸症候群、脊髄小脳変性症、1型糖尿病、2型糖尿病、様々な自己免疫疾患、様々な感染症、様々な炎症疾患、血管拡張性ショック、またはウエスト症候群の治療に有用であり、例えば、Lau and Dunn.“Therapeutic peptides:historical perspectives,current development trends,and future directions”Bioorg Med Chem(2018)26(10):2700-2707を参照されたく、その内容は、本明細書に記載の目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0206】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、単一の免疫調節因子をコードする単一治療用核酸を含み得る。ある特定の実施形態では、提供される組成物は、複数の異なる免疫調節因子をコードする複数の核酸を含み得る。ある特定の実施形態では、提供される組成物は、同じ核酸鎖上で機能的に連結された複数の異なる免疫調節因子をコードする少なくとも1つの核酸を含み得る。ある特定の実施形態では、複数の核酸は各々、最終タンパク質またはRNA産物の一部分(portion)または一部分(part)をコードし得、最終産物は、相同組換え、スプライシング、及び/または三次または四次アミノ酸配列の結果として作製される。
【0207】
ポリヌクレオチド剤担体(複数可)
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、少なくとも1つのポリマー生体材料、少なくとも1つの核酸、及び任意選択で1つ以上のポリヌクレオチド剤担体を含み得る。いくつかの実施形態では、提供される組成物は、少なくとも1つの核酸及び1つ以上のポリヌクレオチド剤担体を含み得る。いくつかの実施形態では、提供される組成物の少なくとも1つの核酸は、ポリヌクレオチド剤担体に複合体化される。いくつかの実施形態では、提供される核酸は、ポリヌクレオチド剤担体に担持される。いくつかの実施形態では、提供される組成物は、脂質、リポプレックス、リポソーム、脂質ナノ粒子(LNP)、安定した核酸脂質粒子(SNALP)、イオン化可能な脂質に基づくSNALP、リピドイド、DOTAP、DOTMA、DOPE、DSPE、DODMA、DODAP、DOGS、DC-Chol、PC、Chol、カチオン性ポリマー、両親媒性コポリマー(複数可)、PEG、ポリアミノ酸、ポリ乳酸もしくはグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリ(ベータ-アミノエステル)、プロタミン、ポリエチレンイミン、金、銀、ならびにそれらの組み合わせ及び/または誘導体であり得る少なくとも1つのポリヌクレオチド剤担体を含み、例えば、Ni et al.Life(Basel)2019;9(3):59を参照されたく、これらの内容は本明細書に記載の目的のためにそれらの全体が本明細書に組み込まれる。ある特定の実施形態では、提供される組成物は、1つ以上のポリヌクレオチド剤担体を含有しない。
【0208】
いくつかの実施形態では、例示的な組成物の核酸は、エンドサイトーシスされることなく機能し得る。いくつかの実施形態では、提供される核酸は、エンドサイトーシス後に機能し得る。いくつかの実施形態では、提供される例示的な組成物の核酸は、エンドサイトーシスのためのポリヌクレオチド剤担体を必要としない。いくつかの実施形態では、例示的な組成物の核酸のエンドサイトーシスは、ポリヌクレオチド剤担体によって補助される。例示的な薬物送達組成物の核酸がエンドサイトーシスされる実施形態では、エンドサイトーシス細胞は、トランスフェクションされていると言うことができる。トランスフェクションは、核酸担体の補助の有無にかかわらず生じ得る。
【0209】
ポリヌクレオチドは、概して、巨大分子であり、比較的複雑な超分子集合体を示しながら、高親水性/アニオン性であり得る。無傷のポリヌクレオチドを成功裏に細胞に送達するためには、重要な細胞内及び細胞外の障壁を克服する必要がある。最初に、ポリヌクレオチドは、細胞外(例えば、血清及び組織特異的)ヌクレアーゼによる生分解から保護される必要がある。核酸が細胞に到達すると、活性剤をコードする場合、主に疎水性相互作用を介して一緒に保持されているリン脂質、膜タンパク質、及びコレステロールからなる動的構造であるアニオン性形質膜二重層を透過する必要がある。次いで、トランスフェクションの所望の結果は、核酸が細胞内分解を逃れ、その機能を実行する場合にのみ観察され得る(例えば、直接的、またはコードされた産物の作製を介して、自然免疫系を活性化する)。最小限または無視できるほどの毒性にしながら、ポリヌクレオチドを全ての標的細胞に送達する方法が望ましい。当業者は、トランスフェクションのために開発された数多のアプローチがあるが、全ての細胞において最適に機能する普遍的に有効な材料及び/または方法がないことを認識するであろう。
【0210】
ある特定の実施形態では、エンドサイトーシス及び/またはトランスフェクションを補助するために、提供される組成物の核酸は、核酸安定性及びトランスフェクション効率を促進するように作用し得る様々な塩基、骨格、または糖修飾を介して修飾され得る。ある特定の実施形態では、化学修飾は、1、2、または3個全ての核酸構成成分、糖-リン酸骨格、糖部分、及び複素環式塩基部分に対して用いられ得る。ある特定の実施形態では、例示的な組成物の核酸は、以下の変化のうちのいずれか、全てを包含してもよく、またはいずれも包含しなくてもよい。糖リン酸骨格の修飾には、以下が含まれるがこれらに限定されない:ホスホロチオエート(PS)、ボラノホスフェート(BP)、ホスホノアセテート(PACE)、モルホリノ(PMO)、及びペプチド核酸(PNA)。糖部分の修飾には、以下が含まれるがこれらに限定されない:2’-O-メチル(2’-O-ME)、2’-O-メトキシエチル(2’-MOE)、2’-フルオロ(2’-F)、2’-デオキシ-2’-フルオロ-β-d-アラビノ核酸(2’-FANA)、4’-チオ(4’-S)、4’-C-アミノメチル-2’-O-Me、ロック核酸(LNA)、トリシクロDNA(tcDNA)、ロック解除核酸(UNA)。複素環式塩基の修飾には、以下が含まれるがこれらに限定されない:5-ブロモ-ウラシル、5-ヨード-ウラシル、2,6-ジアミノ-プリン、及び5-メチルシトシン。
【0211】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、少なくとも1つの核酸、及び少なくとも1つのポリヌクレオチド化学担体を含み得る。化学担体は、多くの場合、核酸が細胞に侵入するのを防ぐ細胞外及び細胞内の障害物に打ち勝つように合理的に設計されている。ポリヌクレオチド担体は、核酸のアニオン電荷を利用して、それらを内在化に好適な比較的小さいサイズに静電的に凝縮させるか、または物理的障壁の背後にカプセル化し、及び/または場合によっては、それらを表面に吸着させるいずれかを行い得る。これらの効果は、核酸上の負の電荷をマスクし得る。要約すると、これらの効果は、核酸をエンドヌクレアーゼから保護し、インターナショナリゼーションを促進し、場合によっては転写及び/または翻訳を促進し得る。
【0212】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、少なくとも1つの核酸及び少なくとも1つの細胞膜透過性ペプチド(CPP)を含み得る。CPPは通常、細胞膜を越えてポリヌクレオチドを含む様々なカーゴを運ぶことができる多様な特性の比較的短い(5~30アミノ酸長)ペプチドである。CPPは、リジン及びアルギニンなどの塩基性アミノ酸が豊富なカチオン性ペプチド、ならびに親水性及び疎水性アミノ酸の両方を含有する両親媒性ペプチドに分類することができる。両親媒性ペプチドは、異なる周囲条件下での疎水性残基及び親水性残基の空間配置に応じて、異なる二次構造を取得し得る。当業者は、CPPの電荷数及び密度、サイズ、水素結合、ならびに二次構造が、細胞膜の異なる構成成分とのそれらの相互作用、したがってそれらの内在化を決定する際に重要な役割を果たし得ることを認識するであろう。担体として、CPPは、ポリヌクレオチドに直接コンジュゲートされるか、または核酸とイオン的に複合体化されるかのいずれかであり得る。共有コンジュゲーションアプローチにより、明確に定義された構造及び化学量論を有するコンジュゲートの生成が可能になる。インビボ安定性を更に改善するために、CPPは、脂肪酸またはコレステロールで修飾され得る。提供される組成物に含まれ得るCPPの例としては、オリゴアルギニン(R9)、ペネトラチン、ラクトフェリン、PepFect6ペプチド、pepR、pepM、アルギニン、システイン、ゼラチン、及びHIV-1タンパク質Tat由来ペプチドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0213】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、疎水性物質または脂質を含み得る。カチオン性疎水性分子は、比較的容易に合成され、異なる用途のために化学修飾され得るため、核酸送達のために一般的に使用されるビヒクルである。ある特定の実施形態では、例示的な組成物中に含まれるポリヌクレオチド剤担体は、市販のカチオン性脂質:N-[1-(2,3-ジオレオイルオキシ)-プロペル]-N,N,N-トリメチルアンモニウム(DOTMA、リポフェクチン)、2,3-ジオレイルオキシ-N-[2-スペルミンカルボキサミド]エチル-N,N-ジメチル-1-プロパンアンモニウムトリフルオロアセテート(DOSPA)、1,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(DOTAP)、N-[1-(2,3-ジミリスチルオキシ)プロピル]-N,N-ジメチル-N-(2-ヒドロキシエチル)アンモニウムブロミド(DMRIE)、3b-[N-(N,N-ジメチルアミノエタン)カルバモイル]コレステロール(DC-Chol)、ジオクタデシルアミドグリセリルスペルミン(DOGS、トランスフェクタム)、及び/またはジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(DDAB)を含み得るが、これらに限定されない。カチオン性脂質は、安定な核酸脂質粒子(SNALP)として核酸を用いて製剤化され得る。
【0214】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、核酸のポリマー担体を含み得る。ある特定の実施形態では、ポリマー担体は、標的細胞へのそれらの送達を容易にするために、静電相互作用を介して化学的にコンジュゲートされ得るか、もしくは複合体化され得るか、または核酸の周りで包み込まれ得る。いくつかの実施形態では、核酸のポリマー担体は、ポリエチレンイミン(PEI)、キトサン、PEG-PPL=PLLeu、PEI-CG-PEI、PgP、及び/またはそれらの任意の組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。
【0215】
自然免疫応答の調節因子
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、自然免疫応答の調節因子として作用するか、または自然免疫応答の調節因子をコードする少なくとも1つの核酸を含む。ある特定の実施形態では、提供される組成物は、自然免疫応答の調節因子として作用するか、またはその調節因子をコードする2つ以上の核酸を含み得る。自然免疫応答の主な機能は、特化された化学メディエーター(例えば、サイトカイン)を含む化学因子の産生を介して感染部位に免疫細胞を動員することと、細菌を特定し、細胞を活性化し、抗体複合体または死細胞のクリアランスを促進するための補体カスケードの活性化と、特化された白血球による臓器、組織、血液、及びリンパに存在する異物の特定及び除去と、抗原提示として知られるプロセスによる適応免疫系の活性化と、感染剤に対する物理的及び化学的障壁(例えば、上皮表面、胃腸管)として作用することと、を含む。典型的には、白血球は、自然免疫系の作用を実施する白血球である。これらの細胞には、ナチュラルキラー細胞、肥満細胞、好酸球、好塩基球、マクロファージ、好中球、及び樹状細胞が含まれる。これらの細胞は、感染を引き起こす可能性のある病原体を特定及び排除することによって、免疫系内で機能する。
【0216】
自然免疫応答の阻害剤
本開示は、とりわけ、炎症応答を阻害することにより、がん再発のリスクが低減し得、したがって生存を延長し得ることを認識する。本開示は、とりわけ、標的部位(例えば、腫瘍切除部位)で、(例えば、p38MAPK阻害剤として作用するか、またはp38MAPK阻害剤をコードする核酸の投与によって)p38マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)経路によって媒介される炎症誘発性免疫応答を阻害することにより、がん再発のリスクが低減し得、したがって生存を延長し得ることを認識する。MAPK標的化療法(例えば、BRAF/MEK/ERKモジュールの阻害)が、次いで、抗PD-1/L1がん療法に対する応答性に悪影響を及ぼし得る、抗PD-1免疫チェックポイント遮断療法に対する耐性に関連する転写シグネチャを誘導することが報告されたため、MAPKの阻害が抗腫瘍免疫を促進し得ることは予想外である(例えば、Hugo,et al.,Cell 2016,165,35-44を参照されたく、これは、本明細書に記載の目的のために参照により本明細書に組み込まれる)。
【0217】
したがって、いくつかの実施形態では、p38マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)経路によって媒介される炎症誘発性免疫応答の阻害剤として作用するか、またはその炎症誘発性免疫応答の阻害剤をコードする少なくとも1つの核酸を含む組成物が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される組成物は、p38マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)経路によって媒介される炎症誘発性免疫応答の阻害剤として作用するか、またはその炎症誘発性免疫応答の阻害剤をコードする2つ以上の核酸を含み得る。いくつかの実施形態では、該当する場合、p38マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)経路によって媒介される炎症誘発性免疫応答の阻害剤は、特異的阻害剤をコードする核酸として送達され得る。
【0218】
MAPKのp38ファミリーは、p38α、p38β、p38γ、及びp38δアイソフォームを含む。p38MAPKは、多数の免疫受容体によって活性化され、したがって、p38の上流または下流のいずれかで機能するシグナル伝達モジュールまたは調節標的の阻害は、それが媒介する分子経路及び炎症誘発性免疫応答を阻害する有効かつ選択的な方法を提供し得る。
【0219】
例えば、p38MAPKは、マイトジェン活性化プロテインキナーゼキナーゼ3(MAP2K3)、マイトジェン活性化プロテインキナーゼキナーゼ6(MAP2K6)、マイトジェン活性化プロテインキナーゼキナーゼキナーゼ1(MAP3K1)、及び/またはマイトジェン活性化プロテインキナーゼキナーゼキナーゼ4(MAP3K4)によって活性化され得る。したがって、p38MAPKの上流標的の阻害は、p38MAPK経路を阻害するのに有効であり得る。
【0220】
p38MAPKの下流標的の阻害はまた、p38MAPK経路を阻害する有効な手段であり得る。p38MAPKの下流、例えば、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ相互作用プロテインキナーゼ1及び2(MNK1及びMNK2)は、p38MAPK経路によって活性化される。MNKキナーゼは、mRNA翻訳の調節において重要な役割を果たし、その結果、発がん性進行、薬物耐性、炎症誘発性サイトカインの産生、及びサイトカインシグナル伝達の主要な媒介物である。マイトジェン及びストレス活性化キナーゼ1及び2(MSK1及びMSK2)もまた、p38MAPKの下流標的であり、炎症応答に影響を及ぼす。MAPキナーゼ活性化プロテインキナーゼ2、3、及び5(MK2、MK3、MK5)は、p38MAPKによって活性化され、細胞ストレス及び炎症応答に関与する。
【0221】
上記の観点から、p38MAPK経路の上流または下流の構成成分の阻害剤として作用するか、またはその阻害剤をコードする少なくとも1つの核酸を介したp38MAPK経路の阻害は、がんの治療のための治療戦略を提供し得る。特に、局所炎症性創傷応答及び全身性炎症プロセスは、一緒になって、休止状態の微小転移を活性化するか、または残存がん細胞の増殖を誘導する場合があり、したがって、がん再発のリスクを増加させる。したがって、腫瘍切除部位でp38MAPK経路によって媒介される炎症誘発性免疫応答を阻害することは、がん再発のリスクを低減し、対象の生存を延長し得る。
【0222】
ある特定の実施形態では、p38MAPK経路によって媒介される炎症誘発性免疫応答の阻害剤は、p38MAPキナーゼ阻害剤である。ある特定の実施形態では、提供される組成物は、p38α、p38β、p38γ、及び/またはp38δMAPキナーゼの阻害剤として作用するか、またはその阻害剤をコードする少なくとも1つの核酸を含み得る。ある特定の実施形態では、提供される組成物は、p38MAPキナーゼ阻害剤として作用するか、またはp38MAPキナーゼ阻害剤をコードする少なくとも1つの核酸を含み得、セマピモド、ペクスメチニブ、BMS-582949、ロスマピモド、パマピモド、ラリメチニブ、ドラマピモド、VX-702、VX-745、TAK-715、SB239063、SB202190、SB203580、SCIO469、PH-797804、AZD7624、ARRY-797、ARRY-614、AVE-9940、LY3007113、スケピノン-L、UM-164、SCIO323、SX-011、SK-F860002、SB706504、SB681323、CHF-6297、RWJ-67657、Org48762-0、ML3403、JX-401、EO-1428、DBM1285、AMG-548、AL-8697、PD-169316、PF-03715455、PH-797804、セロンセルチブ、ソラフェニブ、ジルマピモド、及び/またはこれらの任意の組み合わせを更に含み得る。ある特定の実施形態では、提供される組成物は、p38MAPキナーゼ阻害剤として作用するか、またはp38MAPキナーゼ阻害剤をコードする少なくとも1つの核酸を含み得、キナゾリノン、ピリミドピリミドン、ピリドピリミドン、ピラゾール、キノリノン、ナフチリジノンコア構造、及び/またはそれらの任意の組み合わせを更に含み得る。ある特定の実施形態では、提供される組成物は、p38MAPキナーゼ阻害剤ロスマピモドを更に含み得る。
【0223】
ある特定の実施形態では、p38MAPキナーゼ阻害剤は、p38MAPキナーゼのATP結合部位に結合する。ある特定の実施形態では、p38MAPキナーゼ阻害剤は、p38MAPキナーゼのアロステリック阻害剤である。
【0224】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、p38MAPK経路によって媒介される炎症誘発性免疫応答の阻害剤として作用するか、またはその炎症誘発性免疫応答の阻害剤をコードする少なくとも1つの核酸を含み得、阻害剤は、p38MAPKの上流エフェクターに作用する。ある特定の実施形態では、p38MAPK経路によって媒介される炎症誘発性免疫応答の阻害剤として作用するか、またはその炎症誘発性免疫応答の阻害剤をコードする少なくとも1つの核酸は、RIPK1、RIPK2、RIPK3、RIPK4、RAC1、CDC42、MTK1、TAK1、MEKK1、MEKK2、MEKK3、MEKK4、DLK、MLK2、TAO1、TAO2、TLP2、TPL2、ASK1、MKK3、MKK4、及び/またはMKK6の阻害剤である。ある特定の実施形態では、p38MAPK経路によって媒介される炎症誘発性免疫応答の阻害剤として作用するか、またはその炎症誘発性免疫応答の阻害剤をコードする少なくとも1つの核酸は、p38MAPKの下流エフェクターの阻害剤である。ある特定の実施形態では、p38MAPK経路によって媒介される炎症誘発性免疫応答の阻害剤として作用するか、またはその炎症誘発性免疫応答の阻害剤をコードする少なくとも1つの核酸は、MK2、MK3、MNK1、MNK2、MSK1、MSK2、MSK3、RSK、PP2A、及び/またはcPLA2の阻害剤である。
【0225】
自然免疫応答の活性化因子
いくつかの実施形態では、提供される組成物は、自然免疫応答の活性化因子を含み得る。いくつかの実施形態では、提供される組成物は、2つ以上の自然免疫応答の活性化因子を含み得る。いくつかの実施形態では、該当する場合、自然免疫応答の活性化因子は、特異的活性化因子として作用するか、または特異的活性化因子をコードする核酸として送達され得る。自然免疫応答の主な機能は、特化された化学メディエーター(例えば、サイトカイン)を含む化学因子の産生を介して感染部位に免疫細胞を動員することと、細菌を特定し、細胞を活性化し、抗体複合体または死細胞のクリアランスを促進するための補体カスケードの活性化と、特化された白血球による臓器、組織、血液、及びリンパに存在する異物の特定及び除去と、抗原提示として知られるプロセスによる適応免疫系の活性化と、感染剤に対する物理的及び化学的障壁(例えば、上皮表面、胃腸管)として作用することと、を含む。典型的には、白血球は、自然免疫系の作用を実施する白血球である。これらの細胞には、ナチュラルキラー細胞、肥満細胞、好酸球、好塩基球、マクロファージ、好中球、及び樹状細胞が含まれる。これらの細胞は、感染を引き起こす可能性のある病原体を特定及び排除することによって、免疫系内で機能する。
【0226】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、p38マイトジェン活性化タンパク質によって媒介される炎症誘発性自然免疫応答の活性化を更に含み得る。
【0227】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、少なくとも1つの自然免疫応答の活性化因子を更に含み得る。
【0228】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、パターン認識受容体(PRR)のリガンドである、自然免疫応答の活性化因子として作用するか、または自然免疫応答の活性化因子をコードする少なくとも1つの核酸を含む。ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子として作用するか、または自然免疫応答の活性化因子をコードする少なくとも1つの核酸は、パターン認識受容体(PRR)のアゴニストである。
【0229】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、自然免疫応答の活性化因子として作用するか、または自然免疫応答の活性化因子をコードする少なくとも1つの核酸を含み、活性化因子は、I型インターフェロンの誘導剤である。ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、組換えインターフェロンである。
【0230】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、自然免疫応答の活性化因子として作用するか、または自然免疫応答の活性化因子をコードする少なくとも1つの核酸を含み、活性化因子は、NK細胞の活性化及び/または増殖の有効な誘導剤である。ある特定の実施形態では、「有効な誘導剤」とは、NK細胞の活性化及び/または増殖を直接誘導する自然免疫応答の活性化因子を指す。
【0231】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、自然免疫応答の活性化因子として作用するか、または自然免疫応答の活性化因子をコードする少なくとも1つの核酸を含み、活性化因子は、樹状細胞の活性化及び/または成熟の有効な誘導剤である。ある特定の実施形態では、「有効な誘導剤」とは、樹状細胞の活性化及び/または成熟を直接誘導する自然免疫応答の活性化因子を指す。
【0232】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、自然免疫応答の活性化因子として作用するか、または自然免疫応答の活性化因子をコードする少なくとも1つの核酸を含み、活性化因子は、樹状細胞によるI型インターフェロンの有効な誘導剤である。ある特定の実施形態では、「有効な誘導剤」とは、樹状細胞によってI型インターフェロンを直接誘導する自然免疫応答の活性化因子を指す。
【0233】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、自然免疫の活性化因子として作用するか、またはその活性化因子をコードする少なくとも1つの核酸を含む。いくつかの実施形態では、提供される組成物は、自然免疫の活性化因子として作用するかまたはその活性化因子をコードする少なくとも1つの核酸と、自然免疫応答の任意選択の追加の活性化因子と、を含み、追加の活性化因子は、小分子または生物製剤である。ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、小分子である。ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、生物製剤である。
【0234】
ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、インターフェロン遺伝子刺激因子(STING)アゴニスト、細胞質DNAセンサー(CDS)アゴニスト、Toll様受容体(TLR)アゴニスト、C型レクチン受容体(CLR)アゴニスト、NOD様受容体(NLR)アゴニスト、RIG-I型受容体(RLR)アゴニスト、及び/またはインフラマソーム誘導剤である。
【0235】
ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、インターフェロン遺伝子刺激因子(STING)アゴニスト、Toll様受容体(TLR)アゴニスト、及び/またはNOD様受容体(NLR)アゴニストである。ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、インターフェロン遺伝子刺激因子(STING)アゴニスト及び/またはToll様受容体(TLR)アゴニストである。ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、インターフェロン遺伝子刺激因子(STING)アゴニスト、TLR7アゴニスト、及び/またはTLR8アゴニストである。
【0236】
ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、3´3´-cGAMP、2´3´-cGAMP、2´3´-cGAM(PS)2(Rp/Rp)、2´3´-cGAM(PS)2(Rp/Sp)、2´2´-cGAMP、c-di-AMP、2´3´-c-di-AMP、2´3´-c-di-AMP(PS)2(Rp/Rp)、2´3´-c-di-AMP(PS)2(Rp/Sp)、c-di-GMP、c-di-IMP、HSV-60、ISD、VACV-70、ポリ(dA:dT)、ポリ(dG:dC)、加熱死菌、リポグリカン、リポリ糖類(LPS)、リポテイコ酸、ペプチドグリカン(PGNs)、合成リポプロテイン、ポリ(A:U)、ポリ(I:C)、モノホスホリル脂質A(MPLA)、GSK1795091、G100、SD-101、MGN1703、CMP-001、フラゲリン(FLA)、ポリU、ポリ(dT)、ガルジキモド、イミキモド(R837)、塩基類似体、アデニン類似体、グアノシン類似体、プリン誘導体、ベノアゼピン類似体、イミダゾキノリン、チアゾキノリン、ロキソリビン、レシキモド(R848)、ダクトリシブ、スマニロール、N1-グリシニル[4-((6-アミノ-2-(ブチルアミノ)-8-ヒドロキシ-9H-プリン-9-イル)メチル)ベンゾイル]スペルミン(CL307)、CL264、CL097、CL075、CL347、CL401、CL413、CL419、CL531、CL553、CL572、MEDI9197、MEDI5083、ヒポキサンチン、TL8-506、PF-4878691、イサトリビン、SM-324405、SM-324406、AZ12441970、AZ12443988、CpGオリゴヌクレオチド、細菌DNA、ベータグルカン、真菌及び細菌細胞壁由来のベータグルカン、γ-D-Glu-mDAP(iE-DAP)、iE-DAP誘導体、ムラミルジペプチド(MDP)、MDP誘導体、5’三リン酸二本鎖RNA、ポリ(dA:dT)、ATP、キトサン、アルミニウム硫酸カリウム、ピロリン酸カルシウム二水和物、二酸化シリカ、MurNAc-L-Ala-γ-D-Glu-mDAP(M-TriDAP)、キサンテノン類似体(例えば、DMXAA、バジメザン)、TREX1阻害剤、環状ジヌクレオチド、LHC165、GSK-2245035、RG7854、GS-9620、GS-9688、EMD1201081、PF-3512676、BO-112、RGT-100、MK-1454、SB-11285、NKTR-262、CDX-301、2’3’-c-di-GMP、cAIMP、cAIM(PS)2(Rp/Sp)、それらの誘導体、及び/またはそれらの薬学的に許容される塩である。
【0237】
ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、本明細書に記載の自然免疫応答活性化因子のうちのいずれかのフッ素化誘導体である。ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、ジフルオロ化cAIMP(c-(2’FdAMP-2’FdIMP))である。ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、ジフルオロ化cAIM(PS)2(Rp/Sp)である。ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、上記活性化因子のうちのいずれかのO-メチル化誘導体である。
【0238】
ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、3´3´-cGAMP、2´3´-cGAMP、2´3´-cGAM(PS)2(Rp,Rp)、2´3´-cGAM(PS)2(Rp,Sp)、2´2´-cGAMP、c-di-AMP、2´3´-c-di-AMP、2´3´-c-di-AM(PS)2(Rp,Rp)、2´3´-c-di-AM(PS)2(Rp,Sp)、c-di-GMP、2´3´-c-di-GMP、2´3´-c-di-GM(PS)2(Rp,Rp)、2´3´-c-di-GM(PS)2(Rp,Sp)、c-di-IMP、レシキモド、CpGオリゴヌクレオチド、ポリイノシン酸:ポリシチジル酸、LHC165、GSK-2245035、RG7854、GS-9620、GS-9688、EMD1201081、PF-3512676、BO-112、RGT-100、MK-1454、SB-11285、NKTR-262、CDX-301、2’3’-c-di-GMP、cAIMP、cAIM(PS)2(Rp/Sp)、及び/またはそれらの薬学的に許容される塩である。
【0239】
ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、3´3´-cGAMP、2´3´-cGAMP、2´3´-cGAM(PS)2(Rp,Rp)、2´3´-cGAM(PS)2(Rp,Sp)、2´2´-cGAMP、c-di-AMP、2´3´-c-di-AMP、2´3´-c-di-AM(PS)2(Rp,Rp)、2´3´-c-di-AM(PS)2(Rp,Sp)、c-di-GMP、2´3´-c-di-GMP、2´3´-c-di-GM(PS)2(Rp,Rp)、2´3´-c-di-GM(PS)2(Rp,Sp)、c-di-IMP、2’3’-c-di-GMP、cAIMP、cAIM(PS)2(Rp/Sp)、及び/またはそれらの薬学的に許容される塩のフッ素化誘導体である。
【0240】
ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、3´3´-cGAMP、2´3´-cGAMP、2´3´-cGAM(PS)2(Rp,Rp)、2´3´-cGAM(PS)2(Rp,Sp)、2´2´-cGAMP、c-di-AMP、2´3´-c-di-AMP、2´3´-c-di-AM(PS)2(Rp,Rp)、2´3´-c-di-AM(PS)2(Rp,Sp)、c-di-GMP、2´3´-c-di-GMP、2´3´-c-di-GM(PS)2(Rp,Rp)、2´3´-c-di-GM(PS)2(Rp,Sp)、c-di-IMP、及び/またはそれらの薬学的に許容される塩のO-メチル化誘導体である。
【0241】
ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、2´3´-cGAMP、2´3´-c-di-AM(PS)2(Rp,Rp)、MurNAc-L-Ala-γ-D-Glu-mDAP(M-TriDAP)、c-di-GMP、及び/またはレシキモドである。ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、2´3´-cGAMP、2´3´-c-di-AM(PS)2(Rp,Rp)、MurNAc-L-Ala-γ-D-Glu-mDAP(M-TriDAP)、及び/またはレシキモドである。ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、2´3´-cGAMP、2´3´-c-di-AM(PS)2(Rp,Rp)、及び/またはレシキモドである。ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、2´3´-c-di-AM(PS)2(Rp,Rp)及び/またはレシキモドである。ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、cAIMP及び/またはそのフッ素化誘導体である。ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、二フッ素化cAIMPである。
【0242】
ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、2’3’-cGAMPまたはその薬学的に許容される塩である。特に、2’3’-cGAMP(環状[G(2’,5’)pA(3’,5’)p])は、内因性セカンドメッセンジャーとして機能し、STING依存性I型インターフェロン応答を誘導するように記載されている。2’3’-cGAMPはまた、マウスにおける抗原特異的抗体及びT細胞応答の産生を促進する効果的なアジュバントであることが示されている。2’3’-cGAMPは、それが産生される細胞において抗ウイルス機能を発揮するが、受動的拡散によって細胞膜を横断し、隣接する細胞に効果を及ぼし得る。
【化1】
【0243】
ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、2´3´-c-di-AM(PS)2(Rp,Rp)またはその薬学的に許容される塩である。2´3´-c-di-AM(PS)2(Rp,Rp)は、3’3’-環状アデノシンモノホスフェート(c-di-AMP)の2’3’ビスホスホロチオエート類似体のRp,Rp異性体である。それはまた、STINGアゴニストでもある。
【化2】
【0244】
ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、cAIMP、その二フッ素化誘導体、その二フッ素化ビスホスホロチエート誘導体(cAIM(PS)2(Rp/Sp))、及び/またはその薬学的に許容される塩である。cAIMP及びその誘導体もまた、STINGアゴニストである。
【化3】
【化4】
【化5】
【0245】
ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、STINGアゴニストであり、STINGアゴニストは、環状ジヌクレオチドである。ある特定の実施形態では、環状ジヌクレオチドは、2018年10月23日に付与された米国特許第10,106,574号に開示される任意の環状ジヌクレオチドであり、その全容は参照により本明細書に組み込まれる。ある特定の実施形態では、環状ジヌクレオチドは、2018年11月20日に付与された米国特許第10,131,686号に開示される任意の環状ジヌクレオチドであり、その全容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0246】
ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、MK-1454である。
【0247】
ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、細胞質DNAセンサー(CDS)アゴニストである。ある特定の実施形態では、CDSアゴニストは、環状GMP-AMPシンターゼ(cGAS)アゴニストである。
【0248】
ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、2019年7月2日に付与された米国特許第10,336,786号に開示される任意のSTINGアゴニストまたはcGASアゴニストであり、その全容は参照により本明細書に組み込まれる。ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、2014年5月2日に出願された米国特許出願第14/268,967号に開示される任意のSTINGアゴニストまたはcGASアゴニストであり、その全容は参照により本明細書に組み込まれる。ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、2017年12月12日に付与された米国特許第9,840,533号に開示される任意のSTINGアゴニストまたはcGASアゴニストであり、その全容は参照により本明細書に組み込まれる。ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、2019年1月8日に付与された米国特許第10,176,292号に開示される任意のSTINGアゴニストまたはcGASアゴニストであり、その全容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0249】
ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、2011年6月14日に出願された米国特許出願第13/057,662号に開示される任意のSTINGアゴニストであり、その全容は参照により本明細書に組み込まれる。ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、2017年7月4日に付与された米国特許第9,695,212号に開示される任意のSTINGアゴニストであり、その全容は参照により本明細書に組み込まれる。ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、2016年5月19日に出願された米国特許出願第15/035,432号に開示される任意のSTINGアゴニストであり、その全容は参照により本明細書に組み込まれる。ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、2018年1月11日に出願された米国特許出願第16/069,201号に開示される任意のSTINGアゴニストであり、その全容は参照により本明細書に組み込まれる。ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、2020年3月31日に付与された米国特許第10,604,542号に開示される任意のSTINGアゴニストであり、その全容は参照により本明細書に組み込まれる。ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、2014年5月18日に出願された国際特許出願第PCT/US2014/038525号に開示される任意のSTINGアゴニストであり、その全容は参照により本明細書に組み込まれる。ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、2017年9月26日に付与された米国特許第9,770,467号に開示される任意のSTINGアゴニストであり、その全容は参照により本明細書に組み込まれる。ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、2016年1月12日に出願された国際特許出願第PCT/IB2016/057265号に開示される任意のSTINGアゴニストであり、その全容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0250】
ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、MurNAc-L-Ala-γ-D-Glu-mDAP(M-TriDAP)またはその薬学的に許容される塩である。M-TriDAPは、主にグラム陰性細菌に見られるペプチドグリカン(PGN)分解産物である。M-TriDAPは、細胞内センサーNOD1(CARD4)及びより低い程度のNOD2(CARD15)によって認識される。NOD1/NOD2によるM-TriDAPの認識は、NF-κBの活性化ならびにTNF-α及びIL-6などの炎症性サイトカインの産生をもたらすIKKと相互作用するセリン/スレオニンRIP2(RICK、CARDIAK)キナーゼを伴うシグナル伝達カスケードを誘導する。M-TriDAPは、Tri-DAPと同様のレベルでNF-κBの活性化を誘導する。
【0251】
ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、TLR7アゴニストである。ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、TLR8アゴニストである。ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、TLR7アゴニスト及びTLR8アゴニストである。
【0252】
ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、免疫応答修飾因子(IRM)である。
【0253】
ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、1998年2月3日に付与された米国特許第5,714,608号に開示される任意のIRMであり、その全容は参照により本明細書に組み込まれる。ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、2000年3月21日に付与された米国特許第6,039,969号に開示される任意のIRMであり、その全容は参照により本明細書に組み込まれる。ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、2000年3月13日に付与された米国特許第6,200,592号に開示される任意のIRMであり、その全容は参照により本明細書に組み込まれる。ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、1987年8月25日に付与された米国特許第4,689,338号に開示される任意のIRMであり、その全容は参照により本明細書に組み込まれる。ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、1995年8月29日に付与された米国特許第5,446,153号に開示される任意のIRMであり、その全容は参照により本明細書に組み込まれる。ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、2001年2月2日に付与された米国特許第6,194,425号に開示される任意のIRMであり、その全容は参照により本明細書に組み込まれる。ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、2000年8月29日に付与された米国特許第6,110,929号に開示される任意のIRMであり、その全容は参照により本明細書に組み込まれる。ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、2009年6月9日に付与された米国特許第7,544,697号に開示される任意のIRMであり、その全容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0254】
ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、CL307(N1-グリシニル[4-((6-アミノ-2-(ブチルアミノ)-8-ヒドロキシ-9H-プリン-9-イル)メチル)ベンゾイル]スペルミン)またはその薬学的に許容される塩である。CL307は、非常に強力なTLR7アゴニストである。滴定実験では、CL307が、20nM(10ng/ml)という低濃度であっても、堅牢なNF-κB活性化を誘導することが示されている。
【化6】
【0255】
ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、CL264またはその薬学的に許容される塩である。CL264は、TLR7発現細胞におけるNF-κBの活性化及びIFN-αの分泌を誘導する。CL264は、TLR7特異的リガンドであり、高濃度(>10μg/ml)でさえもTLR8を刺激しない。TLR7でトランスフェクションされたHEK293細胞において、CL264は、イミキモドより5~10倍低い0.1μMの濃度でNF-κB活性化を誘発する。
【化7】
【0256】
ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、ロキソリビンまたはその薬学的に許容される塩である。ロキソリビンは、N
7位及びC
8位で誘導体化されたグアノシン類似体である。このヌクレオシドは、免疫系の非常に強力な刺激因子である。ロキソリビンは、TLR7を介して自然免疫系を活性化し、この活性化は、エンドソーム成熟を必要とする。ロキソリビン認識は、TLR7に限定される。
【化8】
【0257】
ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、ヒポキサンチンまたはその薬学的に許容される塩である。ヒポキサンチンは、天然に存在するプリン誘導体である。
【化9】
【0258】
ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、TL8-506またはその薬学的に許容される塩である。TL8-506は、Toll様受容体8(TLR8)アゴニストVTX-2337の類似体であるベンゾアゼピン化合物である。TL8-506は、R848及びCL075よりもTLR8をより強力に活性化する。TL8-506は、それぞれ、TLR8でトランスフェクションされたHEK293細胞におけるNF-κB活性化の誘導において、R848及びCL075よりも約50倍及び約25倍強力である。TL8-506は、TLR8の選択的アゴニストである。
【化10】
【0259】
ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、PF-4878691、イサトリビン、SM-324405、SM-324406、AZ12441970、AZ12443988、GSK-2245035、RG7854、GS-9620、LHC165、NKTR-262、GS-9688、VTX-2337、またはそれらの薬学的に許容される塩である。PF-4878691、イサトリビン、SM-324405、SM-324406、AZ12441970、AZ12443988、GSK-2245035、RG7854、及びGS-9620は、TLR7アゴニストである。LHC165及びNKTR-262は、TLR7及びTLR8アゴニストの両方のアゴニストである。GS-9688及びVTX-2337は、TLR8アゴニストである。
【0260】
ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、ダクトリシブ、イミキモド、ガルジキモド、レシキモド、スマニロール、及びそれらの薬学的に許容される塩を含むイミダゾキノリン誘導体である。
【0261】
ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、CL097またはその薬学的に許容される塩である。CL097は、高度に水溶性の誘導体レシキモド(≧20mg/ml)である。CL097は、TLR7及びTLR8リガンドである。TLR7がトランスフェクションされたHEK293細胞において、0.4μM(0.1μg/ml)、及びTLR8がトランスフェクションされたHEK293細胞において4μM(1μg/ml)で、NF-κBの活性化を誘導する。
【化11】
【0262】
ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、CL075またはその薬学的に許容される塩である。CL075(3M002)は、ヒト末梢血単核細胞におけるTLR8を刺激するチアゾロキノロン誘導体である。NF-κBを活性化し、優先的にTNF-α及びIL-12の産生を誘発する。CL075はまた、TLR7を介してIFN-αの分泌を誘導するが、それよりも少ない程度である。TLR8がトランスフェクションされたHEK293細胞において、0.4μM(0.1μg/ml)でNF-κBの活性化を誘導し、TLR7がトランスフェクションされたHEK293細胞において、NF-κBを活性化するためには、約10倍多いCL075が必要である。
【化12】
【0263】
ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、MEDI9197またはその薬学的に許容される塩である。MEDI9197(3M052)は、注射可能なTLR7及びTLR8アゴニストである。C18脂質部分を有するイミダゾキノリン免疫応答修飾因子(IRM)であり、適用部位からの流布が遅くなるように設計されている。
【化13】
【0264】
ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、レシキモド(R848)またはその薬学的に許容される塩である。特に、レシキモドは、免疫応答修飾因子として作用し、抗ウイルス及び抗腫瘍活性を有する薬剤である。単純ヘルペスウイルス及び皮膚T細胞リンパ腫によって引き起こされるものなどの皮膚病変の治療に局所用ゲルとして使用される。また、ワクチンの有効性を増加させるためのアジュバントとしても使用される。Toll様受容体7(TLR7)及び8(TLR8)のアゴニストであり、オピオイド成長因子受容体の上方調節因子であるいくつかの作用機序を有する。
【化14】
【0265】
ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、TLR7選択的アンテドラッグである。ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、SM-324405、AZ12441970、またはそれらの薬学的に許容される塩である。
【0266】
ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、GS-9620である。ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、PF-4878691である。ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、NKTR-262である。ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、LHC165である。
【0267】
ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、インフラマソーム誘導剤である。インフラマソームは、感染及び内因性危険シグナルに対する宿主の防御に不可欠である多量体タンパク質複合体である。それらは、炎症誘発性サイトカインインターロイキン(IL)-1β及びIL-18の分泌を促進し、パイロトーシスと呼ばれる急速かつ炎症誘発性形態の細胞死を引き起こす。
【0268】
ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、NLRP3、AIM2、NLRC4、またはNLRP1インフラマソームの誘導剤である。
【0269】
ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、
【化15】
またはその薬学的に許容される塩であり、式中、R
1が、Hであり、R
2が、Hであるか、R
1が、ブチル基であり、R
2が、Hであるか、R
1が、Hであり、R
2が、-CO
2CH
3であるか、またはR
1が、ブチル基であり、R
2が、-CO
2CH
3である。
【0270】
ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、イマダゾキノリン、イミダゾナフチリジン、ピラゾロピリジン、アリール置換イミダゾキノリン、1-アルコキシ1H-イミダゾ環系を有する化合物、オキサゾロ[4,5-c]-キノリン-4-アミン、チアゾロ[4,5-c]-キノリン-4-アミン、セレナゾロ[4,5-c]-キノリン-4-アミン、イミダゾナフチリジン、イミダゾキノリンアミン、1-置換、2-置換1H-イミダゾ[4,5-C]キノリン-4-アミン、縮合シクロアルキルイミダゾピリジン、1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-4-アミン、1-置換1H-イミダゾ-[4,5-c]キノリン-4-アミン、イミダゾ-[4,5-C]キノリン-4-アミン、2-エチル1H-イミダゾ[4,5-シキノリン-4-アミン]、オルフェン性1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-4-アミン、6,7-ジヒドロ-8-(イミダゾール-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ[ij]キノリジン-2-カルボン酸、ピリドキノキサリン-6-カルボン酸、6,7-ジヒドロ-8-(イミダゾール-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ[ij]キノリジン-2-カルボン酸、置換ナフト[ij]キノリジン、置換ピリドキノキサリン-6-カルボン酸、7-ヒドロキシ-ベンゾ[ij]キノリジン-2-カルボン酸誘導体、置換ベンゾ[ij]キノリジン-2-カルボン酸、7-ヒドロキシ-ベンゾ[ij]キノリジン-2-カルボン酸、置換ピリド[1,2,3,-de]-1,4-ベンゾオキサジン、テトラヒドロキノリンのN-メチレンマロネート、及び/またはその薬学的に許容される塩である。
【0271】
ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、2016年8月31日に出願された米国特許出願第15/253,215号に開示される任意のNLRP3アゴニストであり、その全容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0272】
ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、RORγアゴニストである。RORγアゴニストは、患者または細胞集団において、RORγに結合して活性化するか、またはRORγの発現を増加させることなどによって、RORγ活性を促進する薬剤である。RORγアゴニストは、例えば、小有機分子、ポリペプチド、または核酸であり得る。様々なRORγアゴニストは、米国特許第9,394,315号、Zhang et al.in Mol.Pharmacol.(2012)vol.82,pages 583-590、及びWang et al.in ACSChem.Biol.(2010),vol.5,pages1029-1034などの文献において報告されており、これらの各々は、本明細書に記載の目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0273】
ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、
【化16】
及びそれらの薬学的に許容される塩などのRORγアゴニストである。
【0274】
ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、以下の式(I)の化合物など、2016年7月19日に付与された米国特許第9,394,315号に記載の一般的または特異的化合物であり、その全容は参照により本明細書に組み込まれる:
【化17】
またはその薬学的に許容される塩であり、式中、
Aが、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、これらの各々が、ハロゲン、ヒドロキシル、C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、C
1-6ヒドロキシアルキル、C
1-6アルコキシ、C
1-6ハロアルコキシ、-N(R
4)(R
5)、-CO
2R
6、-C(O)R
6、-CN、-C
1-4アルキレン-C
1-4アルコキシ、-C
1-4アルキレン-N(R
4)(R
5)、-C
1-4アルキレン-CO
2R
6、-O-C
1-6アルキレン-N(R
4)(R
5)、-N(R
4)C(O)-C
1-6アルキレン-N(R
4)(R
5)、-S(O)
pC
1-6アルキル、-SO
2N(R
4)(R
5)、-N(R
4)SO
2(C
1-6アルキル)、-C(O)N(R
4)(R
5)、及び-N(R
4)C(O)N(R
4)(R
5)からなる群から独立して選択される1、2、または3個の置換基で任意選択で置換されており、
Xが、-O-[C(R
6)(R
7)]-[C(R
6)
2]
m-Ψ、-O-C(R
6)
2-C(R
6)(R
7)-C(R
6)
2-Ψ、-O-C(R
6)
2-C(R
6)(R
7)-Ψ、-C(R
6)
2-[C(R
6)(R
7)]-[C(R
6)
2]m-Ψ、-C(O)-[C(R
6)(R
7)]-[C(R
6)
2]m-Ψ、-C(R
6)
2-N(R
8)-[C(R
6)(R
7)]-[C(R
6)
2]m-Ψ、-C(R
6)=N-Ψ、-C(R
6)
2C(R
6)=N-Ψ、-N=C(R
6)-Ψ、または-N=C(R
6)C(R
6)
2-Ψであり、ψが、式Iにおけるスルホンアミド環窒素原子への結合であり、
Yが、-N(R
2)(R
3)または-O-アラルキルであり、当該アラルキルが、ハロゲン、ヒドロキシル、C
1-6アルコキシ、C
1-6ハロアルコキシ、C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、-N(R
4)(R
5)、-CN、-CO
2-C
1-6アルキル、-C(O)-C
1-6アルキル、-C(O)N(R
4)(R
5)、-S(O)
pC
1-6アルキル、-SO
2N(R
4)(R
5)、及び-N(R
4)SO
2(C
1-6アルキル)からなる群から独立して選択される1、2、または3個の置換基で任意選択で置換されており、
R
1が、各出現について独立して、水素、ハロゲン、またはC
1-6アルキルを表し、
R
2が、-C(O)-アリール、-C(O)-アラルキル、-C(O)-[C(R
6)
2]
m-シクロアルキル、-C(O)-[C(R
6)
2]
m-ヘテロシクリル、-C(O)-C
1-6アルキル、-C(O)-C
1-6アルキレン-C
1-6アルコキシル、-C(O)-C
1-6アルキレン-シクロアルキル、または-C(O)-C
1-6アルキレン-ヘテロシクロアルキルであり、これらの各々が、ハロゲン、ヒドロキシル、C
1-6アルコキシ、C
1-6ハロアルコキシ、C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、-N(R
4)(R
5)、-CN、-CO
2-C
1-6アルキル、-C(O)-C
1-6アルキル、-C(O)N(R
4)(R
5)、-S(O)
pC
1-6アルキル、-SO
2N(R
4)(R
5)、及び-N(R
4)SO
2(C
1-6アルキル)からなる群から独立して選択される1、2、または3個の置換基で任意選択で置換されており、
R
3が、水素またはC
1-6アルキルであり、
R
4及びR
5が各々、各出現について独立して、水素またはC
1-6アルキルを表すか、またはR
4及びR
5は、それらが結合する窒素原子と一緒になって、3~7員の複素環を形成し、
R
6が、各出現について独立して、水素またはC
1-6アルキルを表し、
R
7が、水素、ヒドロキシル、C
1-6ヒドロキシアルキル、C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、-CO
2R
6、C
1-6アルキレン-CO
2R
6、C
1-4ヒドロキシアルキレン-CO
2R
6、-N(R
4)(R
5)、C
1-6アルキレン-N(R
4)(R
5)、C
1-6ヒドロキシアルキレン-N(R
4)(R
5)、-N(R
4)C(O)R
9、C
1-6アルキレン-N(R
4)C(O)R
9、C
1-6アルキレン-C(O)N(R
4)(R
5)、-N(R
4)CO
2-C
1-6アルキル、もしくはC
1-6アルキレン-N(R
4)(C(O)N(R
4)(R
5)であるか、またはR
7が、ヘテロシクロアルキルもしくはC
1-4アルキレン-ヘテロシクロアルキルであり、そのヘテロシクロアルキルが、オキソ、ハロゲン、ヒドロキシル、C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、C
1-6ヒドロキシアルキル、C
1-6アルコキシ、及びC
1-6ハロアルコキシからなる群から独立して選択される1、2、または3個の置換基で任意選択で置換されており、
R
8が、水素、C
1-6アルキル、または-C(O)-C
1-6アルキルであり、
R
9が、水素、C
1-6アルキル、C
1-6ヒドロキシアルキル、C
1-6アルキレン-N(R
4)(R
5)、またはC
1-6アルキレン-N(R
4)C(O)-C
1-6アルキルであり、
nが、1または2であり、
m及びpが、各々、各出現について独立して、0、1、または2で表される。
【0275】
ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、2016年7月19日に付与された米国特許第9,394,315号に開示される任意のRORγアゴニストであり、その全容は参照により本明細書に組み込まれる。ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、2020年1月14日に付与された米国特許第10,532,088号に開示される任意のRORγアゴニストであり、その全容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0276】
ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、RIG-I様受容体(RLR)アゴニストである。ある特定の実施形態では、自然免疫応答の活性化因子は、RGT-100である。
【0277】
適応免疫の調節因子
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の組成物は、適応免疫応答の調節因子(複数可)をコードするか、または適応免疫応答の調節因子(複数可)として作用する核酸を含む。
【0278】
適応免疫応答系は、後天性免疫系としても知られ、高度に特化された全身性細胞及び病原体増殖を排除または予防するプロセスを含む、全体的な免疫系のサブシステムである。適応免疫系は、脊椎動物に見られる2つの主要な免疫戦略のうちの1つである(他は自然免疫系である)。適応免疫は、特定の病原体に対する最初の応答の後に免疫学的記憶を生成し、その病原体とのその後の遭遇に対する増強された応答をもたらす。この後天性免疫のプロセスは、ワクチン接種の基礎である。自然系と同様に、適応系は、体液性免疫構成成分及び細胞媒介性免疫構成成分の両方を含む。自然免疫系とは異なり、適応免疫系は特定の病原体に高度に特異的である。
【0279】
適応免疫応答系は、病原体が自然免疫応答系を回避し、閾値レベルの抗原を生成し、樹状細胞を活性化する「ストレンジャー」または「デンジャー」シグナルを生成するときに、脊椎動物において誘発される。後天性免疫系の主な機能には、抗原提示プロセス中の「自己」の存在下での特定の「非自己」抗原の認識、特定の病原体または病原体感染細胞を排除するように調整された応答の生成、及び病原体がメモリーB細胞及びメモリーT細胞を介して「記憶」される免疫学的記憶の開発が含まれる。
【0280】
適応免疫応答の活性化因子
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される組成物は、適応免疫応答の活性化因子をコードするか、または適応免疫応答の活性化因子として作用する1つ以上の核酸を含み得る。いくつかの実施形態では、適応免疫応答の活性化因子は、適応免疫系を直接活性化し得、及び/または適応免疫系の活性化因子をコードし得る核酸であるか、またはそれを含む。
【0281】
適応免疫応答系を活性化するための有用なアプローチ(例えば、治療用抗腫瘍免疫を活性化すること)には、免疫チェックポイントの遮断が含まれる。免疫チェックポイントは、自己耐性を維持し、側副組織損傷を最小限に抑えるために末梢組織における生理学的免疫応答の期間及び大きさを調節するために不可欠である免疫系に組み込まれた多数の阻害経路を指す。腫瘍は、ある特定の免疫チェックポイント経路を、特に腫瘍抗原に特異的なT細胞に対する免疫耐性の主要な機序として採用する。免疫チェックポイントの多くは、リガンド-受容体相互作用によって開始されるため、それらは、抗体によって容易に遮断され得るか、またはリガンドもしくは受容体の組換え形態によって調節され得る。細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA-4)抗体は、FDA承認を受けるこのクラスの免疫療法剤の最初のものであった(イピリムマブ)。プログラムされた細胞死タンパク質1(PD-1)などの追加の免疫チェックポイントタンパク質の遮断剤による予備的な臨床所見は、持続的な臨床応答を産生する可能性を有する抗腫瘍免疫を増強する幅広く多様な機会を示している。
【0282】
免疫チェックポイントとして機能するPD-1は、T細胞の活性化を予防することによって免疫系の下方調節における重要な役割を果たし、これにより自己免疫を低減し、自己耐性が促進される。PD-1の阻害効果は、リンパ節における抗原特異的T細胞におけるアポトーシス(プログラム細胞死)を促進すると同時に、調節T細胞(サプレッサーT細胞)におけるアポトーシスを低減させる二重の機序を介して達成される。PD-1を遮断する新しいクラスの治療薬、PD-1阻害剤(例えば、抗PD-1抗体)は、免疫系を活性化して腫瘍を攻撃し、したがって、いくつかのタイプのがんの治療に使用される。加えて、プログラムされた死リガンド1(PD-L1)の抗体は、適応免疫応答の活性化に対してPD-1を標的とする抗体と同様の影響を提供する。したがって、抗PD-L1抗体を含む組成物は、抗PD-1抗体を含む組成物と同様の治療効果を提供すると予想される。
【0283】
ある特定の実施形態では、適応免疫応答の活性化因子は、小分子である。ある特定の実施形態では、適応免疫応答の活性化因子は、生物製剤である。ある特定の実施形態では、生物製剤及び/または小分子は、核酸であるか、または核酸によってコードされるRNAもしくはタンパク質産物である。ある特定の実施形態では、生物製剤は、タンパク質である。ある特定の実施形態では、生物製剤は、抗体またはその断片である。ある特定の実施形態では、生物製剤は、適応免疫応答の活性化因子として作用し得るタンパク質またはRNAをコードする核酸である。
【0284】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、抗体をコードする少なくとも1つの核酸を含む。ある特定の実施形態では、提供される組成物は、少なくとも1つの核酸を含み、任意選択で抗体を含む。ある特定の実施形態では、核酸は、適応免疫応答の活性化因子をコードするか、または抗体は適応免疫応答の活性化因子であり、コードされた活性化因子は、抗体である。ある特定の実施形態では、適応免疫の活性化因子は、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗CTLA-4抗体、抗TIM3抗体、抗OX40抗体、抗GITR抗体、抗LAG-3抗体、抗CD137抗体、抗CD3抗体、抗CD27抗体、抗CD28抗体、抗CD28H抗体、抗CD30抗体、抗CD39抗体、抗CD40抗体、抗CD43抗体、抗CD47抗体、抗CD48抗体、抗CD70抗体、抗CD73抗体、抗CD96抗体、抗CD123抗体、抗CD155抗体、抗CD160抗体、抗CD200抗体、抗CD244抗体、抗ICOS抗体、抗TNFRSF25抗体、抗TMIGD2抗体、抗DNAM1抗体、抗BTLA抗体、抗LIGHT抗体、抗TIGIT抗体、抗VISTA抗体、抗HVEM抗体、抗Siglec抗体、抗GAL1抗体、抗GAL3抗体、抗GAL9抗体、抗BTNL2(ブトロフィリン)抗体、抗B7-H3抗体、抗B7-H4抗体、抗B7-H5抗体、抗B7-H6抗体、抗KIR抗体、抗LIR抗体、抗ILT抗体、抗CEACAM1抗体、抗CEACAM5抗体、抗CEACAM6抗体、抗MICA抗体、抗MICB抗体、抗NKG2D抗体、抗NKG2A抗体、抗A2AR抗体、抗C5aR抗体、抗TGFβ抗体、抗TGFβR抗体、抗CXCR4抗体、抗CXCL12抗体、抗CCL2抗体、抗IL-10抗体、抗IL-13抗体、抗IL-23抗体、抗ホスファチジルセリン抗体、抗ニューロピリン抗体、抗GalCer抗体、抗HER2抗体、抗VEGFA抗体、抗VEGFR抗体、抗EGFR抗体、抗Tie2抗体、抗CCR4抗体、抗TRAIL-DR5抗体、及び/またはそれらの任意の組み合わせをコードする核酸である。
【0285】
ある特定の実施形態では、適応免疫応答の活性化因子は、本明細書に列挙される抗体のうちのいずれかの断片をコードする少なくとも1つの核酸、及び/または本明細書に列挙される抗体のうちのいずれかの断片を含む。ある特定の実施形態。ある特定の実施形態では、適応免疫応答の活性化因子は、本明細書に列挙される抗体のうちのいずれかのヒト化形態をコードする核酸である。ある特定の実施形態では、適応免疫応答の活性化因子は、本明細書に列挙される抗体のうちのいずれかの一本鎖をコードする核酸である。ある特定の実施形態では、免疫応答の活性化因子は、本明細書に列挙される抗体のうちのいずれかの多量体形態(例えば、二量体IgA分子、五価IgM分子)をコードする核酸である。
【0286】
ある特定の実施形態では、適応免疫応答の活性化因子は、抗PD-1抗体、アゴニスト抗CD137抗体、アゴニスト抗CD40抗体、抗CTLA-4抗体、抗LAG-3抗体、抗TIM3、またはそれらの組み合わせをコードする核酸であるか、またはそれらである。ある特定の実施形態では、適応免疫応答の活性化因子は、抗PD-1抗体または抗CTLA-4抗体をコードする核酸である。ある特定の実施形態では、適応免疫応答の活性化因子は、抗PD-1抗体をコードする核酸である。ある特定の実施形態では、適応免疫応答の活性化因子は、抗CTLA-4抗体をコードする核酸である。ある特定の実施形態では、適応免疫応答の活性化因子は、アゴニスト抗CD137抗体をコードする核酸である。ある特定の実施形態では、適応免疫応答の活性化因子は、抗LAG-3抗体をコードする核酸である。ある特定の実施形態では、適応免疫応答の活性化因子は、抗TIM3抗体をコードする核酸である。
【0287】
ある特定の実施形態では、適応免疫応答の活性化因子は、抗体をコードする核酸であり、及び/または抗体である。ある特定の実施形態では、核酸は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、ピディリズマブ、イピリムマブ、トレメリムマブ、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、PF-06801591、ウトミルマブ、PDR001、PBF-509、MGB453、LAG525、AMP-224、INCSHR1210、INCAGN1876、INCAGN1949、サマリズマブ、PF-05082566、ウレルマブ、リリルマブ、ルリズマブ、BMS-936559、BMS-936561、BMS-986004、BMS-986012、BMS-986016、BMS-986178、IMP321、IPH2101、IPH2201、IPH5401、IPH4102、IPH4301、IPH52、IPH53、バリルマブ、ウロクプルマブ、モナリズマブ、MEDI0562、MEDI0680、MEDI1873、MEDI6383、MEDI6469、MEDI9447、AMG228、AMG820、CC-90002、CDX-1127、CGEN15001T、CGEN15022、CGEN15029、CGEN15049、CGEN15027、CGEN15052、CGEN15092、CX-072、CX-2009、CP-870893、ルカツムマブ、ダセツズマブ、Chi Lob 7/4、RG6058、RG7686、RG7876、RG7888、TRX518、MK-4166、IMC-CS4、エマクツズマブ、トラスツズマブ、ペルツズマブ、オビヌツズマブ、カビラリズマブ、マルゲツキシマブ、エノブリツズマブ、モガムリズマブ、パニツムマブ、カルルマブ、ラムシルマブ、ベバシズマブ、リツキシマブ、セツキシマブ、フレソリムマブ、デノスマブ、MGA012、AGEN1884、AGEN2034、LY3300054、JTX-4014、テプリズマブ、FPA150、PF-04136309、PF-06747143、AZD5069、GSK3359609、FAZ053、TSR022、MBG453、REGN2810、REGN3767、MOXR0916、PF-04518600、RO7009789、BMS986156、GWN323、JTX-2011、NKTR-214、GSK3174998、DS-8273a、NIS793、BGB-A317、及び/またはそれらの任意の組み合わせをコートするか、または抗体は、それらである。
【0288】
ある特定の実施形態では、適応免疫応答の活性化因子は、抗体をコードする核酸であり、及び/または抗体である。ある特定の実施形態では、核酸は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、ピディリズマブ、イピリムマブ、トレメリムマブ、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、REGN2810、MGA012、AGEN1884、AGEN2034、LY3300054、JTX-4014、アベルマブ、及び/またはそれらの任意の組み合わせをコードするか、または抗体は、それらである。
【0289】
ある特定の実施形態では、適応免疫応答の活性化因子は、抗体模倣物もしくは抗体融合物、または抗体模倣物もしくは抗体融合物のいずれかをコードする核酸である。
【0290】
ある特定の実施形態では、適応免疫応答の活性化因子は、二重特異性抗体をコードする核酸であり、及び/または二重特異性抗体である。ある特定の実施形態では、核酸は、RG7802(がん胎児性抗原(CEA)及びCD3受容体を標的とする抗体)、RG7828(B細胞上のCD20及びT細胞上のCD3を標的とする二重特異性モノクローナル抗体)、RG7221(VEGF及びアンジオポエチン2を標的とする二重特異性モノクローナル抗体)、RG7386(FAP及びDR5を標的とする二重特異性モノクローナル抗体)、ERY974(CD3及びグリピカン3を標的とする二重特異性モノクローナル抗体)、MGD012(PD-1及びLAG-3を標的とする二重特異性モノクローナル抗体)、AMG211(CD3及びCEAを標的とする二重特異性T細胞エンゲージャー)、MEDI573(IGF1及びIGF2を標的とする二重特異性モノクローナル抗体)、MEDI565(CD3及びCEAを標的とする二重特異性モノクローナル抗体)、FS17(非開示標的)、FS18(LAG3及び非開示標的を標的とする二重特異性モノクローナル抗体)、FS20(非開示標的)、FS22(非開示標的)、FS101(EGFR及びHGFを標的とする二重特異性モノクローナル抗体)、FS117(非開示標的)、FS118(LAG3及びPD-L1を標的とする二重特異性モノクローナル抗体)、RO6958688(CD3及びCEAを標的とする二重特異性モノクローナル抗体)、MCLA-128(HER2及びHER3を標的とする二重特異性モノクローナル抗体)、M7824(PD-L1及びTGFβを標的とする二官能性融合タンパク質)、MGD009(B7-H3及びCD3の両方を認識するヒト化抗体)、MGD013(二重特異性PD-1及びLAG-3抗体)、及び/またはこれらの任意の組み合わせをコードするか、または二重特異性抗体は、それらである。
【0291】
ある特定の実施形態では、適応免疫応答の活性化因子は、抗体-薬物コンジュゲートである。ある特定の実施形態では、抗体-薬物コンジュゲートは、トラスツズマブエムタンシン、イノツズマブオゾガマイシン、PF-06647020、PF-06647263、PF-06650808、RG7596、RG7841、RG7882、RG7986、DS-8201、ABBV-399、グレンバツムマブベドチン、イノツズマブオゾガイシン、MEDI4276、またはそれらの薬学的に許容される塩である。
【0292】
ある特定の実施形態では、適応免疫応答の活性化因子は、小分子である。ある特定の実施形態では、小分子は、IDO阻害剤、TGFβR阻害剤、BRAF阻害剤、KIT阻害剤、A2aR阻害剤、Tie2阻害剤、アルギナーゼ阻害剤、iNOS阻害剤、HIF1α阻害剤、STAT3阻害剤、PGE2阻害剤、PDE5阻害剤、RON阻害剤、mTOR阻害剤、JAK2阻害剤、HSP90阻害剤、PI3K-AKT阻害剤、β-カテニン阻害剤、GSK3β阻害剤、IAP阻害剤、HDAC阻害剤、DNMT阻害剤、BET阻害剤、COX2阻害剤、PDGFR阻害剤、VEGFR阻害剤、BCR-ABL阻害剤、プロテアソーム阻害剤、血管新生阻害剤、MEK阻害剤、BRAF+MEK阻害剤、pan-RAF阻害剤、EGFR阻害剤、PARP阻害剤、グルタミナーゼ阻害剤、WNT阻害剤、FAK阻害剤、ALK阻害剤、CDK4/6阻害剤、またはFGFR3阻害剤である。
【0293】
ある特定の実施形態では、小分子は、セレコキシブ、スニチニブ、イマチニブ、ベムラフェニブ、ダブラフェニブ、ボルテゾミブ、ボリノスタット、ポマリドマイド、サリドマイド、レナリドマイド、エパカドスタット、インドキシミド、GDC0919、BMS986205、AZD8055、AZD4635、CPI-444、PBF509、LCL161、CB-839、CB-1158、FPA008、BLZ945、IPI-549、ペキシダルチニブ、ガルニセルチブ、ビリナパント、トラメチニブ、コビメチニブ、ビニメチニブ、エンサルチブ、ゲフィチニブ、パゾパニブ、ソラフェニブ、ニンテダニブ、SYM004、ベリパリブ、オラパリブ、BGB-290、エベロリムス、LXH254、アザシチジン、デシタビン、グアデシタビン、RRX001、CC486、ロミデプシン、エンティノスタット、パノビノスタット、タモキシフェン、イブルチニブ、イデラリシブ、カプマチニブ、セルメチニブ、アベマシクリブ、パルボシクリブ、グラスデギブ、エンザルタミド、AZD9150、PF-06840003、SRF231、Hu5F9-G4、CC-900002、TTI-621、WNT974、BGJ398、LY2874455、またはそれらの薬学的に許容される塩である。
【0294】
追加の治療薬
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、「自然免疫応答の調節因子」または「適応免疫の調節因子」のセクションに特異的に開示されていない治療薬として作用するか、またはその治療薬をコードする核酸を含み得る。
【0295】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、マクロファージエフェクター機能の調節因子として作用するか、またはその調節因子をコードする少なくとも1つの核酸を含み得る。マクロファージは、循環する単球に由来し、全ての組織に存在し、病理学の多くの状態に関与する免疫細胞である。マクロファージは、腫瘍増殖を促進し得るが、治療用抗体の重要な免疫エフェクターとしての役割も果たし得るがんにおいて二分的な役割を果たす。マクロファージは、全てのクラスのFcγ受容体を発現し、抗体依存性細胞食作用のプロセスを介して腫瘍を破壊する可能性を有する。多くの研究が、マクロファージ食作用が、がんを治療するために承認された多くの抗体の主要な機序であることを示している。したがって、新しい標的の探索及び強化された機能を有する抗体の開発を含む、治療用抗体に対するマクロファージ応答を増強するためのいくつかのアプローチは、調査中である。抗体療法に対するマクロファージの応答は、操作されたFcバリアント、二重特異性抗体、または抗体-薬物コンジュゲートで増強され得る。マクロファージは、がん免疫療法のエフェクターとしての成功を示している。
【0296】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、マクロファージエフェクター機能の調節因子として作用するか、またはそれをコードする少なくとも1つの核酸を含み得、マクロファージエフェクター機能の調節因子は、骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)を含む、抑制性骨髄細胞の調節因子である。ある特定の実施形態では、マクロファージエフェクター機能の調節因子は、マクロファージ及び/またはMDSCを殺傷、枯渇、または増強し得る。ある特定の実施形態では、マクロファージエフェクター機能の調節因子は、抗CD40抗体、抗CD47抗体、抗CSF1抗体、または抗CSF1R抗体である。ある特定の実施形態では、マクロファージエフェクター機能の調節因子は、SRF231、Hu5F9-G4、CC-900002、またはTTI-621(抗CD47抗体)である。ある特定の実施形態では、マクロファージエフェクター機能の調節因子は、MCS-110(抗CSF1抗体)である。ある特定の実施形態では、マクロファージエフェクター機能の調節因子は、FPA008、RG7155、IMC-CS4、AMG820、またはUCB6352(抗CSF1R抗体)である。
【0297】
いくつかの実施形態では、提供される組成物は、エフェクター機能の調節因子として作用するか、またはエフェクター機能の調節因子をコードする少なくとも1つの核酸、及び任意選択で追加の小分子を含み得る。ある特定の実施形態では、マクロファージエフェクター機能の任意選択の調節因子は、CSF1Rの小分子阻害剤である。ある特定の実施形態では、マクロファージエフェクター機能の調節因子は、BLZ945、GW2580、またはPLX3397(CSF1Rの小分子阻害剤)である。
【0298】
いくつかの実施形態では、提供される組成物は、少なくとも生体材料と、エフェクター機能の調節因子として作用するか、またはエフェクター機能の調節因子をコードする少なくとも1つの核酸と、を含み得、調節因子は、BTK阻害剤、ITK阻害剤、PI3Kγ阻害剤、またはPI3Kδ阻害剤である。
【0299】
ある特定の実施形態では、少なくとも生体材料及び核酸を含む提供される組成物は、腫瘍溶解性ウイルスを更に含み得る。ある特定の実施形態では、腫瘍溶解性ウイルスには、単純ヘルペスウイルス(例えば、HSV1716、OncoVex GM-CSF)、アデノウイルス(例えば、H101、Onyx-15)、ポリオウイルス(例えば、PV1(RIPO))、レオウイルス(例えば、レオリジン)、セネカウイルス(例えば、NTX-010、SVV-001)、リグビルウイルス、マラバウイルス、麻疹、ニューカッスル病ウイルス、ワクシニア、またはECHOウイルスが含まれるが、これらに限定されない。
【0300】
ある特定の実施形態では、少なくとも生体材料及び核酸を含む提供される組成物は、(例えば、分子の一部として、またはビーズ上に)放射性同位体を更に含み得る。ある特定の実施形態では、放射性同位体は、イットリウム-90、パラジウム-103、ヨウ素-125、セシウム131、またはイリジウム192である。
【0301】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、少なくとも生体材料、及び化学療法剤であり得る核酸を含む。ある特定の実施形態では、提供される組成物は、少なくとも生体材料、核酸、及び追加の任意の化学療法剤を含む。ある特定の実施形態では、化学療法剤には、抗エストロゲン(例えば、タモキシフェン、ラロキシフェン、及びメゲストロール)、LHRHアゴニスト(例えば、ゴスクリン(goscrclin)及びリュープロリド)、抗アンドロゲン(例えば、フルタミド及びビカルタミド)、光力学療法(例えば、ベルトポルフィン(BPD-MA)、フタロシアニン、光増感剤Pc4、及びデメトキシ-ヒポクレリンA(2BA-2-DMHA))、窒素マスタード(例えば、シクロホスファミド、イホスファミド、トロホスファミド、クロラムブシル、エストラムスチン、及びメルファラン)、ニトロソウレア(例えば、カルムスチン(BCNU)及びロムスチン(CCNU))、アルキルスルホネート(例えば、ブスルファン及びトレオスルファン)、トリアゼン(例えば、ダカルバジン及びテモゾロミド)、白金含有化合物(例えば、シスプラチン、カルボプラチン、及びオキサリプラチン)、ビンカアルカロイド(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、及びビノレルビン)、タキソイド(例えば、パクリタキセルまたはナノ粒子アルブミン結合パクリタキセル(ABRAXANE)、ドコサヘキサエン酸結合パクリタキセル(DHA-パクリタキセル、タキソプレキシン)、ポリグルタミン酸結合パクリタキセル(PG-パクリタキセル、パクリタキセルポリグルメックス、CT-2103、XYOTAX)、腫瘍活性化プロドラッグ(TAP)ANG1005(パクリタキセルの3つの分子に結合したアンジオペプ-2)、パクリタキセル-EC-1(erbB2認識ペプチドEC-1に結合したパクリタキサキセル)、及びグルコース-コンジュゲートパクリタキセル、例えば、2’-パクリタキセル2-グルコピラノシルコハク酸メチル、ドセタキセル、タキソール)、エピポドフィリン(例えば、エトポシド、リン酸エトポシド、テニポシド、トポテカン、9-アミノカンプトテシン、カンプトイリノテカン、イリノテカン、クリスナトール、及びマイトマイシンC)、代謝拮抗剤、DHFR阻害剤(例えば、メトトレキサート、ジクロロメトトレキサート、トリメトレキサート、及びエダトレキサート)、IMPデヒドロゲナーゼ阻害剤(例えば、ミコフェノール酸、チアゾフリン、リバビリン、EICAR)、リボヌクロチドレダクターゼ阻害剤(例えば、ヒドロキシ尿素及びデフェロキサミン)、ウラシル類似体(例えば、5-フルオロウラシル(5-FU)、フロクスウリジン、ドキシフルリジン、ラチトレキセド、テガフールウラシル、及びカペシタビン)、シトシン類似体(例えば、シタラビン(ara C)、シトシンアラビノシド、及びフルダラビン)、プリン類似体(例えば、メルカプトプリン及びチオグアニン)、ビタミンD3類似体(例えば、EB1089、CB1093、及びKH1060)、イソプレニル化阻害剤(例えば、ロバスタチン)、ドーパミン作動性神経毒(例えば、1-メチル-4-フェニルピリジニウムイオン)、細胞周期阻害剤(例えば、スタウロスポリン)、アクチノマイシン(例えば、アクチノマイシンD、ダクチノマイシン)、ブレオマイシン(例えば、ブレオマイシンA2、ブレオマイシンB2、及びペプロマイシン)、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン、ドキソルビシン、PEG化リポソームドキソルビシン、イダルビシン、エピルビシン、ピラルビシン、ゾルビシン、及びミトキサントロン)、MDR阻害剤(例えば、ベラパミル)、Ca2+ATPase阻害剤(例えば、タプシガルジン)、オブリマーセン、ゲムシタビン、カルミノマイシン、ロイコボリン、ペメトレキセド、シクロホスファミド、ダカルバジン、プロカルビジン、プレドニゾロン、デキサメタゾン、カンパテシン、プリカマイシン、アスパラギナーゼ、アミノプテリン、メトプテリン、ポルフィロマイシン、メルファラン、ロイロシジン、ロイロシン、クロラムブシル、トラベクテジン、プロカルバジン、ディスコデルモリド、カルミノマイシン、アミノプテリン、ヘキサメチルメラミン、及び/またはその薬学的に許容される塩を含むが、これらに限定されない。
【0302】
ある特定の実施形態では、化学療法剤は、免疫調節化学療法剤である。ある特定の実施形態では、化学療法剤は、既知の免疫調節機能(例えば、免疫原性細胞死の誘導または免疫抑制性調節免疫細胞の枯渇)を有する。ある特定の実施形態では、化学療法剤は、従来のがん細胞固有細胞傷害性化学療法としての使用ではなく、その免疫療法の特性により薬物送達組成物に含まれる。ある特定の実施形態では、薬物送達組成物は、化学療法剤を含まない。ある特定の実施形態では、薬物送達組成物は、細胞傷害性剤を含まない。
【0303】
いくつかの実施形態では、提供される組成物は、少なくとも生体材料、及び標的化された薬剤として作用するか、または標的化された薬剤をコードする少なくとも1つの核酸を含み得る。ある特定の実施形態では、標的化された薬剤は、IDO阻害剤、TGFβR阻害剤、アルギナーゼ阻害剤、iNOS阻害剤、HIF1α阻害剤、STAT3阻害剤、CSF1R阻害剤、PGE2阻害剤、PDE5阻害剤、RON阻害剤、mTOR阻害剤、JAK2阻害剤、HSP90阻害剤、PI3K-AKT阻害剤、β-カテニン阻害剤、GSK3β阻害剤、IAP阻害剤、HDAC阻害剤、DNMT阻害剤、BET阻害剤、A2AR阻害剤、BRAF+MEK阻害剤、pan-RAF阻害剤、PI3Kγ阻害剤、PI3Kδ阻害剤、EGFR阻害剤、VEGF阻害剤、PARP阻害剤、グルタミナーゼ阻害剤、BTK阻害剤、ITK阻害剤、WNT阻害剤、FAK阻害剤、ALK阻害剤、CDK4/6阻害剤、またはFGFR3阻害剤を含むが、これらに限定されない。
【0304】
いくつかの実施形態では、提供される組成物は、少なくとも生体材料、及び標的化された薬剤として作用するか、または標的化された薬剤をコードする少なくとも1つの核酸を含み得る。いくつかの実施形態では、提供される組成物は、少なくとも生体材料、及び標的化された薬剤として作用するか、または標的化された薬剤をコードする少なくとも1つの核酸、ならびに任意選択で追加の標的化された薬剤を含み得る。いくつかの実施形態では、標的化された薬剤には、イマチニブ、サリドマイド、レナリドマイド、チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、アキシチニブ(AG013736)、ボスチニブ(SKI-606)、セジラニブ(RECENTINTM、AZD2171)、ダサチニブ(SPRYCEL(登録商標)、BMS-354825)、エルロチニブ(TARCEVA(登録商標))、ゲフィチニブ(IRESSA(登録商標))、イマチニブ(Gleevec(登録商標)、CGP57148B、STI-571)、ラパチニブ(TYKERB(登録商標)、TYVERB(登録商標))、レスタウルチニブ(CEP-701)、ネラチニブ(HKI-272)、ニロチニブ(TASIGNA(登録商標))、セマキサニブ(セマキニブ、SU5416)、スニチニブ(SUTENT(登録商標)、SU11248)、トセラニブ(PALLADIA(登録商標))、バンデタニブ(ZACTIMA(登録商標)、ZD6474)、バタラニブ(PTK787、PTK/ZK)、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標))、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))、リツキシマブ(RITUXAN(登録商標))、セツキシマブ(ERBITUX(登録商標))、パニツムマブ(VECTIBIX(登録商標))、ラニビズマブ(Lucentis(登録商標))、ニロチニブ(TASIGNA(登録商標))、ソラフェニブ(NEXAVAR(登録商標))、エベロリムス(AFINITOR(登録商標))、アレムツズマブ(CAMPATH(登録商標))、ゲムツズマブオゾガマイシン(MYLOTARG(登録商標))、テムシロリムス(TORISEL(登録商標))、ENMD-2076、PCI-32765、AC220、乳酸ドビチニブ(TKI258、CHIR-258)、BIBW2992(TOVOKTM)、SGX523、PF-04217903、PF-02341066、PF-299804、BMS-777607、ABT-869、MP470、BIBF1120(VARGATEF(登録商標))、AP24534、JNJ-26483327、MGCD265、DCC-2036、BMS-690154、CEP-11981、チボザニブ(AV-951)、OSI-930、MM-121、XL-184、XL-647、及び/またはXL228)、プロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ(VELCADE))、mTOR阻害剤(例えば、ラパマイシン、テムシロリムス(CCI-779)、エベロリムス(RAD-001)、リダフォロリムス、AP23573(Ariad)、AZD8055(AstraZeneca)、BEZ235(Novartis)、BGT226(Norvartis)、XL765(Sanofi Aventis)、PF-4691502(Pfizer)、GDC0980(Genetech)、SF1126(Semafoe)及びOSI-027(OSI))、エパカドスタット、インドキシミド、GDC0919、BMS986205、AZD4635、CPI-444、PBF509、LCL161、CB-839、CB-1158、FPA008、BLZ945、IPI-549、ペキシダルチニブ、ガルニセルチブ、ビリナパント、トラメチニブ、ダブラフェニブ、ベムラフェニブ、コビメチニブ、ビニメチニブ、エンサルチブ、パゾパニブ、ニンテダニブ、SYM004、ベリパリブ、オラパリブ、BGB-290、LXH254、アザシチジン、デシタビン、グアデシタビン、RRX001、CC486、ロミデプシン、エンティノスタット、ボリノスタット、パノビノスタット、タモキシフェン、イブルチニブ、イデラリシブ、カプマチニブ、セルメチニブ、アベマシクリブ、パルボシクリブ、グラスデジブ、エンザルタミド、AZD9150、PF-06840003、SRF231、Hu5F9-G4、CC-900002、TTI-621、WNT974、BGJ398、LY2874455、抗Tie2抗体、またはそれらの薬学的に許容されるその塩が含まれるが、これらに限定されない。
【0305】
薬物送達組成物の実施形態
いくつかの実施形態では、提供される組成物は、少なくとも1つのポリマー生体材料と、少なくとも1つの核酸と、を含む。ある特定の実施形態では、提供される組成物は、多ポリマー生体材料と、少なくとも1つの核酸と、を含む。
【0306】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、2つ以上の核酸と、を含む。
【0307】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、1つ以上の核酸と、1つ以上のポリヌクレオチド担体と、を含む。
【0308】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、少なくとも1つのポリマー生体材料と、ペプチドをコードする少なくとも1つの核酸と、を含む。
【0309】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、ペプチドをコードする少なくとも1つの核酸と、少なくとも1つのポリヌクレオチド担体と、を含む。
【0310】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、1つ以上の核酸と、ポリヌクレオチド担体と、炎症誘発性経路の阻害剤と、を含む。
【0311】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、1つ以上の核酸と、ポリヌクレオチド担体と、炎症誘発性経路の阻害剤と、自然免疫応答の活性化因子と、を含む。
【0312】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、1つ以上の核酸と、ポリヌクレオチド担体と、炎症誘発性経路の阻害剤と、自然免疫応答の活性化因子と、自然免疫応答の追加の活性化因子と、を含む。
【0313】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、1つ以上の核酸と、ポリヌクレオチド担体と、炎症誘発性経路の阻害剤と、自然免疫応答の活性化因子と、サイトカインと、を含む。
【0314】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、1つ以上の核酸と、ポリヌクレオチド担体と、炎症誘発性経路の阻害剤と、自然免疫応答の活性化因子と、自然免疫応答の追加の活性化因子と、サイトカインと、を含む。
【0315】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、1つ以上の核酸と、ポリヌクレオチド担体と、炎症誘発性経路の阻害剤と、自然免疫応答の活性化因子と、ケモカインと、を含む。
【0316】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、1つ以上の核酸と、ポリヌクレオチド担体と、炎症誘発性経路の核酸阻害剤または促進剤と、を含む。
【0317】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、炎症誘発性経路の核酸に基づく阻害剤または促進剤と、自然免疫応答の活性化因子と、を含む。
【0318】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、自然免疫応答の核酸に基づく阻害剤または促進剤と、炎症誘発性経路の阻害剤と、自然免疫の活性化因子と、を含む
【0319】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、ペプチドをコードする核酸と、炎症誘発性経路の阻害剤と、自然免疫応答の活性化因子と、サイトカインと、を含む。
【0320】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、ペプチドをコードする核酸と、炎症誘発性経路の阻害剤と、自然免疫応答の活性化因子と、サイトカインと、を含む。
【0321】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、ペプチドをコードする核酸と、炎症誘発性経路の阻害剤と、自然免疫応答の活性化因子と、ケモカインと、を含む。
【0322】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、炎症誘発性経路の阻害剤と、自然免疫応答の活性化因子と、自然免疫応答の追加の活性化因子と、ケモカインと、を含み、構成成分のうちの少なくとも1つは、核酸であるか、または核酸によってコードされる。
【0323】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、炎症誘発性経路の阻害剤と、サイトカインと、を含み、構成成分のうちの少なくとも1つは、核酸であるか、または核酸によってコードされる。
【0324】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、炎症誘発性経路の阻害剤と、ケモカインと、を含み、構成成分のうちの少なくとも1つは、核酸であるか、または核酸によってコードされる。
【0325】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、炎症誘発性経路の阻害剤と、適応免疫応答の活性化因子と、を含み、構成成分のうちの少なくとも1つは、核酸であるか、または核酸によってコードされる。
【0326】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、炎症誘発性経路の阻害剤と、自然免疫応答の活性化因子と、適応免疫応答の活性化因子と、を含み、構成成分のうちの少なくとも1つは、核酸であるか、または核酸によってコードされる。
【0327】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、炎症誘発性経路の阻害剤と、自然免疫応答の活性化因子と、自然免疫応答の追加の活性化因子と、適応免疫応答の活性化因子と、を含み、構成成分のうちの少なくとも1つは、核酸であるか、または核酸によってコードされる。
【0328】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、炎症誘発性経路の阻害剤と、適応免疫応答の活性化因子と、適応免疫応答の追加の活性化因子と、を含み、構成成分のうちの少なくとも1つは、核酸であるか、または核酸によってコードされる。
【0329】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、炎症誘発性経路の阻害剤と、適応免疫応答の活性化因子と、適応免疫応答の2つの追加の活性化因子と、を含み、構成成分のうちの少なくとも1つは、核酸であるか、または核酸によってコードされる。
【0330】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、炎症誘発性経路の阻害剤と、自然免疫応答の活性化因子と、サイトカインと、適応免疫応答の活性化因子と、を含み、構成成分のうちの少なくとも1つは、核酸であるか、または核酸によってコードされる。
【0331】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、炎症誘発性経路の阻害剤と、自然免疫応答の活性化因子と、自然免疫応答の追加の活性化因子と、サイトカインと、適応免疫応答の活性化因子と、を含み、構成成分のうちの少なくとも1つは、核酸であるか、または核酸によってコードされる。
【0332】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、炎症誘発性経路の阻害剤と、自然免疫応答の活性化因子と、サイトカインと、適応免疫応答の活性化因子と、適応免疫応答の追加の活性化因子と、を含み、構成成分のうちの少なくとも1つは、核酸であるか、または核酸によってコードされる。
【0333】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、炎症誘発性経路の阻害剤と、自然免疫応答の活性化因子と、自然免疫応答の追加の活性化因子と、サイトカインと、適応免疫応答の活性化因子と、適応免疫応答の追加の活性化因子と、を含み、構成成分のうちの少なくとも1つは、核酸であるか、または核酸によってコードされる。
【0334】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、炎症誘発性経路の阻害剤と、自然免疫応答の活性化因子と、ケモカインと、適応免疫応答の活性化因子と、を含み、構成成分のうちの少なくとも1つは、核酸であるか、または核酸によってコードされる。
【0335】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、炎症誘発性経路の阻害剤と、自然免疫応答の活性化因子と、自然免疫応答の追加の活性化因子と、ケモカインと、適応免疫応答の活性化因子と、を含み、構成成分のうちの少なくとも1つは、核酸であるか、または核酸によってコードされる。
【0336】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、炎症誘発性経路の阻害剤と、自然免疫応答の活性化因子と、ケモカインと、適応免疫応答の活性化因子と、適応免疫応答の追加の活性化因子と、を含み、構成成分のうちの少なくとも1つは、核酸であるか、または核酸によってコードされる。
【0337】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、炎症誘発性経路の阻害剤と、自然免疫応答の活性化因子と、自然免疫応答の追加の活性化因子と、ケモカインと、適応免疫応答の活性化因子と、適応免疫応答の追加の活性化因子と、を含み、構成成分のうちの少なくとも1つは、核酸であるか、または核酸によってコードされる。
【0338】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、炎症誘発性経路の阻害剤と、サイトカインと、適応免疫応答の活性化因子と、を含み、構成成分のうちの少なくとも1つは、核酸であるか、または核酸によってコードされる。
【0339】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、炎症誘発性経路の阻害剤と、サイトカインと、適応免疫応答の活性化因子と、適応免疫応答の追加の活性化因子と、を含み、構成成分のうちの少なくとも1つは、核酸であるか、または核酸によってコードされる。
【0340】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、炎症誘発性経路の阻害剤と、ケモカインと、適応免疫応答の活性化因子と、を含み、構成成分のうちの少なくとも1つは、核酸であるか、または核酸によってコードされる。
【0341】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、炎症誘発性経路の阻害剤と、ケモカインと、適応免疫応答の活性化因子と、適応免疫応答の追加の活性化因子と、ケモカインと、を含み、構成成分のうちの少なくとも1つは、核酸であるか、または核酸によってコードされる。
【0342】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、免疫応答を活性化する核酸と、を含む。
【0343】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、免疫応答を阻害する核酸と、を含む。
【0344】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、免疫応答を活性化するペプチドをコードする核酸と、を含む。
【0345】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、免疫応答を阻害するペプチドをコードする核酸と、を含む。
【0346】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、免疫応答を活性化する核酸と、ポリヌクレオチド担体と、を含む。
【0347】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、免疫応答を阻害する核酸と、ポリヌクレオチド担体と、を含む。
【0348】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、免疫応答を活性化するペプチドをコードする核酸と、ポリヌクレオチド担体と、を含む。
【0349】
ある特定の実施形態では、薬物送達は、ポリマー生体材料(複数可)と、免疫応答を阻害するペプチドをコードする核酸と、ポリヌクレオチド担体と、を含む。
【0350】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、インターロイキンをコードする核酸と、を含む。
【0351】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、インターロイキンをコードする核酸と、ポリヌクレオチド担体と、を含む。
【0352】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、抗IL-1β抗体をコードするヌクレオチドと、を含む。
【0353】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、抗IL-6抗体をコードするヌクレオチドと、を含む。
【0354】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、抗IL-6R抗体をコードするヌクレオチドと、を含む。
【0355】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、p38マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)経路によって媒介される炎症誘発性免疫応答の阻害剤をコードするか、またはその炎症誘発性免疫応答の阻害剤として作用する核酸と、を含む。
【0356】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、p38MAPK阻害剤をコードする核酸と、を含む。
【0357】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、p38MAPKのATP及び/またはアロステリック結合部位に結合するp38α/βMAPK阻害剤をコードする核酸と、を含む。
【0358】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、ロスマピモドをコードする核酸と、を含む。
【0359】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、TGFβR阻害剤をコードするか、またはTGFβR阻害剤として作用する核酸と、を含む。
【0360】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、CCR2阻害剤をコードするか、またはCCR2阻害剤として作用する核酸と、を含む。
【0361】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、CXCR4阻害剤をコードするか、またはCXCR4阻害剤として作用する核酸と、を含む。
【0362】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、抗IL-1β抗体をコードする核酸と、インターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)アゴニストと、を含む。
【0363】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、抗IL-6抗体をコードする核酸と、インターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)アゴニストと、を含む。
【0364】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、抗IL-6R抗体をコードする核酸と、インターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)アゴニストと、を含む。
【0365】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、TGFβR阻害剤をコードするか、またはTGFβR阻害剤として作用する核酸と、インターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)アゴニストと、を含む。
【0366】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、CCR2阻害剤をコードするか、またはCCR2阻害剤として作用する核酸と、インターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)アゴニストと、を含む。
【0367】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、CXCR4阻害剤をコードするか、またはCXCR4阻害剤として作用する核酸と、インターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)アゴニストと、を含む。
【0368】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、p38マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)経路によって媒介される炎症誘発性免疫応答の阻害剤をコードするか、またはその炎症誘発性免疫応答の阻害剤として作用する核酸と、TLR7/8アゴニストと、を含む。
【0369】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、p38MAPK阻害剤をコードするか、またはp38MAPK阻害剤として作用する核酸と、TLR7/8アゴニストと、を含む。
【0370】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、p38MAPKのATP及び/またはアロステリック結合部位に結合するp38α/βMAPK阻害剤をコードする核酸と、TLR7/8アゴニストと、を含む。
【0371】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、ロスマピモドをコードする核酸と、TLR7/8アゴニストと、を含む。
【0372】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、抗IL-1β抗体をコードする核酸と、2’3’-cGAMPと、を含む。
【0373】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、抗IL-6抗体をコードする核酸と、2’3’-cGAMPと、を含む。
【0374】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、抗IL-6R抗体をコードする核酸と、2’3’-cGAMPと、を含む。
【0375】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、抗IL-1β抗体をコードする核酸と、2´3´-c-di-AM(PS)2(Rp,Rp)と、を含む。
【0376】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、抗IL-6抗体をコードする核酸と、2´3´-c-di-AM(PS)2(Rp,Rp)と、を含む。
【0377】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、抗IL-6R抗体をコードする核酸と、2´3´-c-di-AM(PS)2(Rp,Rp)と、を含む。
【0378】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、コードする核酸と、p38マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)経路によって媒介される炎症誘発性免疫応答の阻害剤と、レシキモドと、を含む。
【0379】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、p38MAPK阻害剤をコードする核酸と、レシキモドと、を含む。
【0380】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、p38MAPKのATP及び/またはアロステリック結合部位に結合するp38α/βMAPK阻害剤をコードする核酸と、レシキモドと、を含む。
【0381】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、ロスマピモドをコードする核酸と、レシキモドと、を含む。
【0382】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマー生体材料(複数可)と、レシキモドをコードする核酸と、を含む。
【0383】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、アルギネート、COX-2阻害剤(例えば、セレコキシブ)、及び抗PD-1抗体を含まない。
【0384】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、1,3,-ビス(2-クロロエチル)-1-ニトロソウレア(BCNU)及びエチレン-ビニルアセテートコポリマーを含まない。
【0385】
例示的な組成物の特性
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、任意の活性化刺激(例えば、温度、濃度、架橋剤)に曝露された場合、ポリマーネットワークを形成する、本明細書に記載の少なくとも1つのポリマー生体材料を含む。ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料は、10分未満でポリマーネットワークを形成する。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の組成物のポリマー生体材料は、5分未満、10分、15分、20分、25分、30分、35分、40分、45分、50分、55分、または1時間でポリマーネットワークを形成する。
【0386】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の組成物内に含まれるポリマー生体材料は、1時間未満でポリマーネットワークを形成する。ある特定の実施形態では、本明細書に記載のポリマー生体材料は、1時間未満、1.5時間、2時間、2.5時間、3時間、3.5時間、または4時間でポリマーネットワークを形成する。
【0387】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の組成物のポリマー生体材料(複数可)は、投与時に液体であり、インサイチュまたはインビボでポリマーネットワークを形成する。ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料は、5分、10分、15分、20分、25分、30分、35分、40分、45分、50分、55分、または1時間未満でインビボでポリマーネットワークを形成する。
【0388】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の組成物のポリマー生体材料(複数可)は、投与時に液体であり、インサイチュまたはインビボでポリマーネットワークを形成する。ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料は、1時間未満、1.5時間、2時間、2.5時間、3時間、3.5時間、または4時間でインビボでポリマーネットワークを形成する。
【0389】
ある特定の実施形態では、少なくとも1つのポリマー生体材料及び少なくとも1つの核酸を含む提供される組成物は、少なくとも1つの核酸がポリマー生体材料から放出され、局所細胞によって取り込まれることを特徴とする。ある特定の実施形態では、少なくとも局所免疫細胞のサブセットが、核酸によってコードされる免疫調節ポリペプチドに応答し、及び/または発現するように、核酸は、ポリマー生体材料から放出され、局所細胞によって取り込まれる。ある特定の実施形態では、提供される組成物は、少なくとも局所免疫細胞のサブセットが核酸に応答し、及び/または核酸(複数可)によってコードされる免疫調節ポリペプチドを発現し、少なくとも局所免疫細胞のサブセットが、ポリヌクレオチド剤によって誘導される自然免疫刺激に応答して1型インターフェロンの発現の増加を有するように、核酸がポリマー生体材料から放出され、局所細胞によって取り込まれることを特徴とする。
【0390】
ある特定の実施形態では、少なくとも1つのポリマー生体材料及び少なくとも1つの核酸を含む提供される組成物は、核酸がポリマー生体材料から放出され、局所細胞によって認識されることを特徴とする。ある特定の実施形態では、提供される組成物は、核酸がポリマー生体材料から放出され、局所細胞によって認識され、当該細胞によって取り込まれることを特徴とする。ある特定の実施形態では、提供される組成物は、少なくとも局所免疫細胞のサブセットが、それらの免疫応答(例えば、RIG-1の活性化)を調節することによってポリヌクレオチドに応答するように、核酸がポリマー生体材料から放出され、局所細胞によって取り込まれることを特徴とする。ある特定の実施形態では、提供される組成物は、少なくとも局所免疫細胞のサブセットが、それらの免疫応答(例えば、RIG-1の活性化)を調節することによって核酸に応答し、少なくとも局所免疫細胞のサブセットが、核酸によって誘導される自然免疫刺激に応答して、1型インターフェロンの発現の増加を有するように、ポリヌクレオチド剤がポリマー生体材料から放出され、局所細胞によって取り込まれることを特徴とする。ある特定の実施形態では、提供される組成物は、少なくとも局所免疫細胞のサブセットが、それらの免疫応答(例えば、RIG-1の活性化)を調節することによって核酸に応答し、少なくとも局所免疫細胞のサブセットが、核酸によって誘導される自然免疫刺激に応答して、1型インターフェロンの発現の増加を有し、及び/または少なくとも局所免疫細胞のサブセットが、免疫調節ポリペプチドのレベル及び/または活性の変化を有するように、核酸がポリマー生体材料から放出され、局所細胞によって取り込まれることを特徴とする。
【0391】
ある特定の実施形態では、少なくとも1つの核酸を含む提供される組成物は、核酸を取り込む免疫細胞が、以下の生物学的活性のうちの少なくとも1つを示すことを特徴とする:放出された核酸によってコードされる免疫調節ポリペプチドを発現すること、放出された核酸に応答して免疫調節経路を活性化すること、放出された核酸によって誘導される自然免疫刺激に応答して1型インターフェロンの発現の増加を示すこと、及び/または免疫調節ポリペプチドのレベル及び/または活性の変化を示すこと。
【0392】
ある特定の実施形態では、少なくとも1つの核酸を含む提供される組成物は、放出された核酸を取り込む免疫細胞が、骨髄性及び/または形質細胞様樹状細胞を含むことを特徴とする。ある特定の実施形態では、放出された核酸を取り込む細胞は、非免疫細胞を含む。ある特定の実施形態では、放出された核酸を取り込む細胞は、非免疫細胞を含み、非免疫細胞は、線維芽細胞及び/または内皮細胞を含む。
【0393】
粘弾性材料における貯蔵弾性率は、材料の弾性部分の貯蔵エネルギーを測定する。貯蔵弾性率は、レオメータで測定され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される測定は、TA Instruments AR-G2 Magnetic Bearing Rheometerを用いて室温で行った。薬物送達組成物の貯蔵弾性率は、組成物の構成成分に基づいて変化する。
【0394】
概して、チオール修飾ヒアルロン酸(例えば、GLYCOSIL(登録商標))及びチオール反応性PEGDA架橋剤(例えば、EXTRALINK(登録商標))の貯蔵弾性率及び濃度の関係は、直線的である(感度の限界を除く)。例えば、0.8%のGLYCOSIL(登録商標)及び0.2%のEXTRALINK(登録商標)の製剤は、約100Paの貯蔵弾性率を有し、1.3%のGLYCOSIL(登録商標)及び2%のEXTRALINK(登録商標)の製剤は、約1600Paの貯蔵弾性率を有する。ある特定の実施形態では、提供される組成物は、液体または粘性ポリマー溶液である。ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ポリマーネットワークまたはゲルである。
【0395】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、50Pa未満、少なくとも50Pa、少なくとも100Pa、少なくとも200Pa、少なくとも300Pa、少なくとも400Pa、少なくとも500Pa、少なくとも600Pa、少なくとも700Pa、少なくとも800Pa、少なくとも900Pa、少なくとも1000Pa、少なくとも1100Pa、少なくとも1200Pa、少なくとも1300Pa、少なくとも1400Pa、少なくとも1500Pa、少なくとも1600Pa、少なくとも1700Pa、少なくとも1800Pa、少なくとも1900Pa、少なくとも2000Pa、少なくとも2100Pa、少なくとも2200Pa、少なくとも2300Pa、少なくとも2400Pa、少なくとも2500Pa、少なくとも2600Pa、少なくとも2700Pa、少なくとも2800Pa、少なくとも2900Pa、または少なくとも3000Paの貯蔵弾性率を有する。ある特定の実施形態では、提供される組成物は、約10Pa~約500Paの貯蔵弾性率を有する。
【0396】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、約50Pa~約100,000,000Pa、約50Pa~約100,000Pa、約50Pa~約10,000Pa、約50Pa~約3,000Pa、約100Pa~約3,000Pa、約100Pa~約2,000Pa、約500Pa~約3,000Pa、約500Pa~約2,000Pa、約1,000Pa~約2,000Pa、約1,200Pa~約1,800Pa、約1,300Pa~約1,700Pa、または約1,400Pa~約1,600Paの貯蔵弾性率を有する。
【0397】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、最大約600Pa、最大約700Pa、最大約800Pa、最大約900Pa、最大約1,000Pa、最大約1,100Pa、最大約1,200Pa、最大約1,300Pa、最大約1,400Pa、最大約1,500Pa、最大約1,600Pa、最大約1,700Pa、最大約1,800Pa、最大約1,900Pa、最大約2,000Pa、最大約2,500Pa、最大約3,000Pa、最大約5,000Pa、最大約10,000Pa、最大約100,000Pa、最大約1,000,000Pa、最大約10,000,000Pa、または最大約100,000,000Paの貯蔵弾性率を有する。
【0398】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、少なくとも1つの活性/治療薬(例えば、核酸)と、マトリックスまたはデポとして作用するポリマーネットワークを形成する少なくとも1つのポリマー生体材料と、を含み、活性剤(複数可)の少なくともいくつか(例えば、自然免疫系の活性化因子もしくは調節剤、または適応免疫系の活性化因子もしくは調節剤として作用するかまたはそれをコードする核酸)は、ポリマーネットワーク内に分散される。いくつかの実施形態では、提供される組成物は、体内などの生理学的条件下での1つ以上の治療薬の放出を促進する。いくつかの実施形態では、1つ以上の治療薬の放出は、組成物の構成成分(例えば、ポリマーネットワークの同一性及び濃度)に応じて様々な速度で生じ得る。例えば、いくつかの実施形態では、1つ以上の治療薬の放出速度(治療薬(複数可)がもはや組成物またはデバイスの一部ではない時間)は、数分、数時間、数日、数週間、数か月、または数年ほどであってもよい。いくつかの実施形態では、治療薬は、様々な機序、例えば、拡散、化学活性、酵素活性、または細胞機構によって放出され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、それらが好適な時間内に薬物を意図された標的に送達するように、インビボで安定である。
【0399】
ある特定の実施形態では、少なくとも1つのポリマー生体材料及び少なくとも1つの活性剤(例えば、核酸)を含む組成物は、ポリマー生体材料及び活性剤の組成物を緩衝液(例えば、PBSpH7.4)中に配置することによってインビトロで試験した場合、活性剤の100%未満がポリマー生体材料から3時間以内に放出されることを特徴とする。ある特定の実施形態では、活性剤の90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下、5%以下、または1%以下が、組成物またはデバイスの形成及びPBS(pH7.4)中への配置後、4週間、3週間、2週間、10日、7日、6日、5日、4日、3日、2日、1日、18時間、12時間、8時間、6時間、4時間、3時間、2時間、1時間、45分、30分、20分、15分、または10分以内にインビトロで放出される。
【0400】
ある特定の実施形態では、少なくとも1つのポリマー生体材料及び少なくとも1つの活性剤(例えば、核酸)を含む組成物は、提供された組成物をマウス対象の乳房脂肪パッドに投与することによってインビボで試験された場合、組成物は、投与の24時間後に評価された場合、活性剤が溶液中で投与された場合に観察されるよりも多くの活性剤が乳房脂肪パッドに存在するように、活性剤の放出を拡張することを特徴とする。ある特定の実施形態では、活性剤の90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下、5%以下、または1%以下が、組成物の投与(例えば、対象マウスの乳房脂肪体内への移植または注射)後、4週間、3週間、2週間、10日、7日、6日、5日、4日、3日、2日、1日、18時間、12時間、8時間、6時間、4時間、3時間、2時間、1時間、45分、30分、20分、15分、または10分以内にインビボで放出される。
【0401】
ある特定の実施形態では、少なくとも1つのポリマー生体材料及び少なくとも1つの核酸を含む組成物は、提供された組成物をマウス対象の乳房脂肪パッドに投与することによってインビボで試験された場合、組成物は、投与の24時間後に評価された場合、核酸が溶液中で投与された場合に観察されるよりも多くの核酸が乳房脂肪パッドに存在するように、核酸の放出を拡張することを特徴とする。ある特定の実施形態では、核酸の90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下、5%以下、または1%以下が、組成物の投与(例えば、対象マウスの乳房脂肪体内への移植または注射)後、4週間、3週間、2週間、10日、7日、6日、5日、4日、3日、2日、1日、18時間、12時間、8時間、6時間、4時間、3時間、2時間、1時間、45分、30分、20分、15分、または10分以内にインビボで放出される。
【0402】
ある特定の実施形態では、自然免疫系の活性化因子の90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下、5%以下、または1%以下が、組成物の投与(例えば、移植または注射)後、4週間、3週間、2週間、10日、7日、6日、5日、4日、3日、2日、1日、18時間、12時間、8時間、6時間、4時間、3時間、2時間、1時間、45分、30分、20分、15分、または10分以内にインビボで放出される。
【0403】
ある特定の実施形態では、自然免疫系の活性化因子の99%以上、95%以上、90%以上、80%以上、70%以上、60%以上、50%以上、40%以上、30%以上、20%以上、10%以上、5%以上、または1%以上が、組成物の投与(例えば、移植または注射)後、1日、18時間、12時間、8時間、6時間、4時間、3時間、2時間、1時間、45分、30分、20分、15分、または10分以内にインビボで放出される。
【0404】
ある特定の実施形態では、核酸にコードされた自然免疫系の活性化因子の90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下、5%以下、または1%以下が、組成物の投与(例えば、移植または注射)後、4週間、3週間、2週間、10日、7日、6日、5日、4日、3日、2日、1日、18時間、12時間、8時間、6時間、4時間、3時間、2時間、1時間、45分、30分、20分、15分、または10分以内にインビボで放出される。
【0405】
ある特定の実施形態では、核酸にコードされた自然免疫系の活性化因子の99%以上、95%以上、90%以上、80%以上、70%以上、60%以上、50%以上、40%以上、30%以上、20%以上、10%以上、5%以上、または1%以上が、組成物の投与(例えば、移植または注射)後、1日、18時間、12時間、8時間、6時間、4時間、3時間、2時間、1時間、45分、30分、20分、15分、または10分以内にインビボで放出される。
【0406】
ある特定の実施形態では、適応免疫系の活性化因子の90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下、5%以下、または1%以下が、組成物の投与(例えば、移植または注射)後、4週間、3週間、2週間、10日、7日、6日、5日、4日、3日、2日、1日、18時間、12時間、8時間、6時間、4時間、3時間、2時間、1時間、45分、30分、20分、15分、または10分以内にインビボで放出される。
【0407】
ある特定の実施形態では、適応免疫系の活性化因子の99%以上、95%以上、90%以上、80%以上、70%以上、60%以上、50%以上、40%以上、30%以上、20%以上、10%以上、5%以上、または1%以上が、組成物の投与(例えば、移植または注射)後、1日、18時間、12時間、8時間、6時間、4時間、3時間、2時間、1時間、45分、30分、20分、15分、または10分以内にインビボで放出される。
【0408】
ある特定の実施形態では、核酸にコードされた適応免疫系の活性化因子の90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下、5%以下、または1%以下が、組成物の投与(例えば、移植または注射)後、4週間、3週間、2週間、10日、7日、6日、5日、4日、3日、2日、1日、18時間、12時間、8時間、6時間、4時間、3時間、2時間、1時間、45分、30分、20分、15分、または10分以内にインビボで放出される。
【0409】
ある特定の実施形態では、核酸にコードされた適応免疫系の活性化因子の99%以上、95%以上、90%以上、80%以上、70%以上、60%以上、50%以上、40%以上、30%以上、20%以上、10%以上、5%以上、または1%以上が、組成物の投与(例えば、移植または注射)後、1日、18時間、12時間、8時間、6時間、4時間、3時間、2時間、1時間、45分、30分、20分、15分、または10分以内にインビボで放出される。
【0410】
ある特定の実施形態では、核酸の90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下、5%以下、または1%以下が、組成物の投与(例えば、移植または注射)後、4週間、3週間、2週間、10日、7日、6日、5日、4日、3日、2日、1日、18時間、12時間、8時間、6時間、4時間、3時間、2時間、1時間、45分、30分、20分、15分、または10分以内にインビボで放出される。
【0411】
ある特定の実施形態では、核酸の99%以上、95%以上、90%以上、80%以上、70%以上、60%以上、50%以上、40%以上、30%以上、20%以上、10%以上、5%以上、または1%以上が、組成物の投与(例えば、移植または注射)後、1日、18時間、12時間、8時間、6時間、4時間、3時間、2時間、1時間、45分、30分、20分、15分、または10分以内にインビボで放出される。
【0412】
ある特定の実施形態では、炎症性自然免疫応答の核酸の基づく調節因子(例えば、p38マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)経路によって媒介される炎症誘発性免疫応答の阻害剤、あるいはインターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)アゴニストであるか、もしくはそれを含むか、またはToll様受容体(TLR)7及び/またはTLR8(「TLR7/8」)アゴニストであるか、もしくはそれを含む自然免疫の活性化因子として作用するか、あるいはそれをコードする核酸)の90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下、5%以下、または1%以下が、組成物の投与(例えば、移植または注射)後、4週間、3週間、2週間、10日、7日、6日、5日、4日、3日、2日、1日、18時間、12時間、8時間、6時間、4時間、3時間、2時間、1時間、45分、30分、20分、15分、または10分以内にインビボで放出される。
【0413】
ある特定の実施形態では、炎症性自然免疫応答の核酸の基づく調節因子(例えば、p38マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)経路によって媒介される炎症誘発性免疫応答の阻害剤、あるいはインターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)アゴニストであるか、もしくはそれを含むか、またはToll様受容体(TLR)7及び/またはTLR8(「TLR7/8」)アゴニストであるか、もしくはそれを含む自然免疫の活性化因子として作用するか、あるいはそれをコードする核酸)の99%以上、95%以上、90%以上、80%以上、70%以上、60%以上、50%以上、40%以上、30%以上、20%以上、10%以上、5%以上、または1%以上が、組成物の投与(例えば、移植または注射)後、1日、18時間、12時間、8時間、6時間、4時間、3時間、2時間、1時間、45分、30分、20分、15分、または10分以内にインビボで放出される。
【0414】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の提供される組成物に有用なポリマー生体材料は、生体適合性である。いくつかの実施形態では、ポリマー生体材料は、生分解性である。いくつかの実施形態では、提供される組成物は、体内などの生理学的環境内で、化学的及び/または生物学的に分解されることができる。いくつかの実施形態では、提供される組成物の分解は、使用される構成成分及びポリマーネットワークまたはヒドロゲルに応じて、様々な速度で生じ得る。例えば、いくつかの実施形態では、組成物の半減期(組成物の50%がモノマー及び/または他の非ポリマー部分に分解される時間)は、数日、数週間、数か月、または数年ほどであり得る。いくつかの実施形態では、提供される組成物は、例えば、酵素活性または細胞機序によって、場合によっては、例えば、リゾチームへの曝露(例えば、比較的低いpHを有する)によって、または単純な加水分解によって生物学的に分解され得る。いくつかの実施形態では、提供される組成物は、細胞に顕著な毒性作用を及ぼすことなく細胞が再利用または処分のいずれかを行うことができるモノマー及び/または他の非ポリマー部分に分解され得る。ある特定の実施形態では、提供される組成物は、好適な長さの時間内に薬物を意図する標的に送達するように、インビボで安定である。
【0415】
ある特定の実施形態では、提供される組成物の投与(例えば、移植または注射)の12か月後に、インビボで、組成物の90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、1%以下、0.5%以下、または0.1%以下が残存する。
【0416】
ある特定の実施形態では、提供される組成物の投与(例えば、移植または注射)の6か月後に、インビボで、組成物の90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、1%以下、0.5%以下、または0.1%以下が残存する。
【0417】
ある特定の実施形態では、提供される組成物の投与(例えば、移植または注射)の5か月後に、インビボで、組成物の90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、1%以下、0.5%以下、または0.1%以下が残存する。
【0418】
ある特定の実施形態では、提供される組成物の投与(例えば、移植または注射)の4か月後に、インビボで、組成物の90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、1%以下、0.5%以下、または0.1%以下が残存する。
【0419】
ある特定の実施形態では、提供される組成物の投与(例えば、移植または注射)の3か月後に、インビボで、組成物の90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、1%以下、0.5%以下、または0.1%以下が残存する。
【0420】
ある特定の実施形態では、提供される組成物の投与(例えば、移植または注射)の2か月後に、インビボで、組成物の90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、1%以下、0.5%以下、または0.1%以下が残存する。
【0421】
ある特定の実施形態では、提供される組成物の投与(例えば、移植または注射)の1か月後に、インビボで、組成物の90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、1%以下、0.5%以下、または0.1%以下が残存する。
【0422】
ある特定の実施形態では、提供される組成物の投与(例えば、移植または注射)の1週間後に、インビボで、組成物の90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、1%以下、0.5%以下、または0.1%以下が残存する。
【0423】
ある特定の実施形態では、提供される組成物の投与(例えば、移植または注射)の1日後に、インビボで、組成物の90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、1%以下、0.5%以下、または0.1%以下が残存する。
【0424】
提供される組成物の調製及び投与
ある特定の実施形態では、本開示は、本明細書に記載の治療薬(例えば、核酸)を含む組成物を提供する。ある特定の実施形態では、治療薬は、疾患(例えば、がんなどの増殖性疾患)を治療及び/または予防するために、薬物送達組成物中に有効量で提供される。ある特定の実施形態では、有効量は、特定の治療薬の治療上有効量である。ある特定の実施形態では、有効量は、特定の治療薬の予防上有効量である。
【0425】
本明細書に記載の組成物は、薬理学の分野において既知の任意の方法によって調製され得る。ある特定の実施形態では、そのような調製方法は、ポリマー生体材料(例えば、チオール修飾ヒアルロン酸)をモールドに添加するステップと、治療薬(例えば、免疫系の調節因子として作用するか、またはそれをコードする核酸)を添加するステップと、任意選択で、適応免疫応答の活性化因子をモールドに添加するステップと、任意選択で、ケモカインまたはサイトカインをモールドに添加するステップと、任意選択で、自然免疫応答の活性化因子をモールドに添加するステップと、任意選択な薬剤のいずれも、核酸を含み、架橋剤をモールドに添加するステップ(例えば、チオール反応性PEGDA架橋剤)と、組成物を固化のために、少なくとも10分、少なくとも15分、少なくとも20分、少なくとも25分、少なくとも30分、少なくとも35分、少なくとも40分、少なくとも45分、少なくとも50分、少なくとも55分、少なくとも1時間、少なくとも90分、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、または少なくとも6時間静置させるステップと、を含む。
【0426】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、少なくとも1つの核酸及び少なくとも1つの非正電荷ポリマー生体材料の粘性溶液を含む。ある特定の実施形態では、非正電荷ポリマー生体材料は、ヒアルロン酸である。ある特定の実施形態では、非正電荷ポリマー生体材料は、中性ポリマー(例えば、メチルセルロース、PEGなど)である。
【0427】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、少なくとも1つの核酸と、少なくとも1つの正電荷ポリマー生体材料との間のイオン架橋を受ける溶液を含む。ある特定の実施形態では、提供される組成物は、注射のための調製物中に予め混合されるか、または二重バレルシリンジシステムを使用して注射され、架橋はインサイチュで生じる。ある特定の実施形態では、正電荷ポリマーは、キトサンである。ある特定の実施形態では、提供される組成物は、注射時に混合され、インサイチュでイオン架橋され、組成物は、少なくとも1つの正電荷ポリマー生体材料(例えば、キトサンまたはアルギネート)、少なくとも1つの核酸、及び少なくとも1つの架橋促進剤(例えば、トリポリホスフェート、またはCa2+)を含む。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの核酸は、標的部位での注射の前に、架橋剤、またはポリマー生体材料のいずれかと溶液中で混合され得る。
【0428】
ある特定の実施形態では、少なくとも1つのポリマー生体材料(例えば、ポロキサマー)及び少なくとも1つの核酸を含む提供される組成物は、標的部位において注射後にインサイチュで熱誘導架橋を受ける。
【0429】
ある特定の実施形態では、ポリマー生体材料は、チオール修飾ヒアルロン酸(例えば、GLYCOSIL(登録商標))を含む。ある特定の実施形態では、チオール修飾ヒアルロン酸は、ポリマーネットワークまたはヒドロゲルの調製に好適な濃度で含まれ、重量/体積で、約1%~約10%、約1%~約5%、約1%~約3%、または約1.5%~約2.5%であり、ポリマーネットワークまたはヒドロゲルの調製に使用されるチオール反応性PEGDA架橋剤(例えば、EXTRALINK(登録商標))の量は、重量/体積で、約0.5%~約2%、約1%~約3%、約1%~約20%、約10%~約20%、約5%~約15%、または約10%~約15%である。ある特定の実施形態では、チオール修飾ヒアルロン酸の濃度は、約2%w/vであり、チオール反応性PEGDA架橋剤の濃度は、約12.5%w/vである。ある特定の実施形態では、2%のチオール修飾ヒアルロン酸及び12.5%の製剤は、約1000Pa~約2000Paの貯蔵弾性率を有するポリマーネットワークまたはヒドロゲルを提供する。ある特定の実施形態では、チオール修飾ヒアルロン酸の濃度は、約1%w/vであり、チオール反応性PEGDA架橋剤の濃度は、約0.5%w/vである。
【0430】
当該技術分野において既知の標準的な組織工学的応用の調製の場合、チオール修飾ヒアルロン酸(例えば、GLYCOSIL(登録商標))の典型的な濃度は、約1%w/vであり、チオール反応性PEGDA架橋剤(例えば、EXTRALINK(登録商標))の典型的な濃度は、約1%w/vである。したがって、2%w/vのチオール修飾ヒアルロン酸(例えば、GLYCOSIL(登録商標))及び12.5%w/vのチオール反応性PEGDA架橋剤(例えば、EXTRALINK(登録商標))の使用は、開示された薬物送達組成物において予想外に有用で有利な生体材料を提供する。
【0431】
ある特定の実施形態では、ポリマーネットワークまたはヒドロゲルの調製に使用されるアルギネートの濃度は、重量/体積で、約0.5%~約2.5%、約0.75%~約2.0%、または約1.0%~約1.5%である。ある特定の実施形態では、ポリマーネットワークまたはヒドロゲルの調製に使用される1Mの塩化カルシウム架橋剤溶液の量は、約5μL~25μL、約10μL~20μL、または約15μLである。ある特定の実施形態では、目的のペイロードは、約10μL~70μLの溶媒(PBSまたはDMSO)、20μL~60μLの溶媒(PBSまたはDMSO)、約30μL~50μLの溶媒(PBSまたはDMSO)、または約40μLの溶媒(PBSまたはDMSO)中に担持され得る。
【0432】
いくつかの実施形態では、提供される組成物は、少なくとも1つの賦形剤を更に含み得る。ある特定の実施形態では、賦形剤は、リン酸緩衝生理食塩水、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、重炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、硝酸カルシウム、グルコース、ラクトース、トレハロース、スクロース、またはそれらの組み合わせである。ある特定の実施形態では、賦形剤は、リン酸緩衝生理食塩水、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、塩化ナトリウム、またはそれらの組み合わせである。ある特定の実施形態では、賦形剤は、リン酸緩衝生理食塩水である。
【0433】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ナノ粒子または微粒子を含まない。ある特定の実施形態では、薬物送達組成物は、シリカ微粒子、ポリエチレン微粒子、ポリスチレン微粒子、ポリエステル微粒子、ポリ無水物微粒子、ポリカプロラクトン微粒子、ポリカーボネート微粒子、またはポリヒドロキシブチレート微粒子を含まない。ある特定の実施形態では、提供される組成物は、多孔質シリカ微粒子を含まない。
【0434】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、1つ以上の有機溶媒を含む。ある特定の実施形態では、組成物は、ジメチルスルホキシド(DMSO)を含む。
【0435】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、有機溶媒を含まない。ある特定の実施形態では、有機溶媒は組成物の調製に使用されない。ある特定の実施形態では、提供される組成物は、有機溶媒を含有しない。ある特定の実施形態では、組成物は、有機溶媒を実質的に含有しない。ある特定の実施形態では、組成物は、10重量%未満、5重量%未満、4%未満、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、0.5重量%未満、0.1重量%未満、0.01重量%未満、0.001重量%未満、または0.0001重量%未満の有機溶媒を含む。ある特定の実施形態では、組成物は、重量で、1000ppm未満、500ppm未満、400ppm未満、300ppm未満、200ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、40ppm未満、30ppm未満、20ppm未満、10ppm未満、1ppm未満、10ppb未満、または1ppb未満の有機溶媒を含む。ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ジメチルスルホキシド(DMSO)を含まない。
【0436】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、有機溶媒(複数可)を含む。ある特定の実施形態では、有機溶媒は、シクロデキストリン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、及び/またはそれらの組み合わせである。
【0437】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、単回の単位用量として、及び/または複数回の単一単位用量として、バルクで調製、パッケージング、及び/または販売され得る。「単位用量」は、所定量の治療薬及び/または所定量の組成物を含む組成物の別個の量である。治療薬の量は、概して、対象に投与される治療薬の投薬量及び/またはそのような投薬量の好都合な画分、例えば、そのような投薬量の2分の1、3分の1、または4分の1などに等しい。
【0438】
いくつかの実施形態では、本開示の組成物中のポリマー生体材料(複数可)、治療薬(複数可)、賦形剤(複数可)、及び/または任意の追加の成分の相対量は、治療される対象の同一性、サイズ、及び/または状態に応じて変化する。例として、組成物は、0.1%~99%(w/w)、0.1%~90%(w/w)、0.1%~80%(w/w)、0.1%~70%(w/w)、1%~50%(w/w)、10%~80%(w/w)、10%~90%(w/w)、10%~80%(w/w)、20%~80%(w/w)、30%~80%(w/w)、30%~70%(w/w)、または40%~60%(w/w)の少なくとも1つの治療薬を含み得る。
【0439】
いくつかの実施形態では、追加の薬学的に許容される賦形剤は、提供される組成物の製造に使用され得る。例えば、いくつかの実施形態では、これらは、不活性希釈剤、分散剤及び/または造粒剤、表面活性剤及び/または乳化剤、崩壊剤、結合剤、防腐剤、緩衝剤、潤滑剤、及び/または油を含む。カカオバター及び坐剤ワックス、着色剤、及び/またはコーティング剤などの賦形剤も、提供される組成物中に存在し得る。
【0440】
例示的な希釈剤としては、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸ナトリウムラクトース、スクロース、セルロース、微結晶セルロース、カオリン、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、塩化ナトリウム、乾燥デンプン、トウモロコシデンプン、粉末糖、及び/またはそれらの混合物が挙げられる。
【0441】
例示的な造粒剤及び/または分散剤としては、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、タピオカデンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、粘土、アルギン酸、グアーガム、柑橘類パルプ、寒天、ベントナイト、セルロース、及び木材製品、天然スポンジ、カチオン交換樹脂、炭酸カルシウム、ケイ酸塩、炭酸ナトリウム、架橋ポリ(ビニルピロリドン)(クロスポビドン)、カルボキシメチルデンプンナトリウム(デンプングリコール酸ナトリウム)、カルボキシメチルセルロース、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(クロスカルメロース)、メチルセルロース、アルファゲル化デンプン(デンプン1500)、微結晶デンプン、水不溶性デンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(VEEGUM)、ラウリル硫酸ナトリウム、四級アンモニウム化合物、及び/またはそれらの混合物が挙げられる。
【0442】
例示的な表面活性剤及び/または乳化剤としては、天然乳化剤(例えば、アカシア、寒天、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、トラガカント、コンドラックス、コレステロール、キサンタン、ペクチン、ゼラチン、卵黄、カゼイン、ウール脂肪、コレステロール、ワックス、及びレシチン)、コロイド粘土(例えば、ベントナイト(ケイ酸アルミニウム)及びVeegum(ケイ酸アルミニウムマグネシウム))、長鎖アミノ酸誘導体、高分子量アルコール(例えば、ステアリルアルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール、トリアセチンモノステアレート、エチレングリコールジステアレート、モノステアレートグリセリル、及びモノステアレートプロピレングリコール、ポリビニルアルコール)、カルボマー(例えば、カルボキシポリメチレン、ポリアクリル酸、アクリル酸ポリマー、及びカルボキシビニルポリマー)、カルギーナン、セルロース誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、粉末セルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース)、ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(Tween(登録商標)20)、ポリオキシエチレンソルビタン(Tween(登録商標)60)、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween(登録商標)80)、ソルビタンモノパルミテート(Span(登録商標)40)、ソルビタンモノステアレート(Span(登録商標)60)、ソルビタントリステアレート(Span(登録商標)65)、グリセリルモノオレエート、ソルビタンモノオレエート(Span(登録商標)80))、ポリオキシエチレンエステル(例えば、ポリオキシエチレンモノステアレート(MYRJ45)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリエトキシル化ヒマシ油、ポリオキシメチレンステアレート、及びソルトール)、スクロ-ス脂肪酸エステル、ポリエチエチレングリコール脂肪酸エステル(例えば、Cremophor(商標))、ポリオキシエチレンエーテル(例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(BRIJ(登録商標)30))、ポリ(ビニルピロリドン)、ジエチレングリコールモノラウレート、トリエタノールアミンオレエート、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、エチルオレエート、オレイン酸、エチルラウレート、ラウリル硫酸ナトリウム、PLURONIC F-68、Poloxamer-188、臭化セトリモニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、ドークサートナトリウム、及び/またはそれらの混合物が挙げられる。
【0443】
例示的な結合剤としては、デンプン(例えば、トウモロコシデンプン及びデンプンペースト)、ゼラチン、糖(例えば、スクロース、グルコース、デキストロース、デキストリン、糖蜜、ラクトース、ラクチトール、マンニトールなど)、天然及び合成ガム(例えば、アカシア、アルギン酸ナトリウム、アイルランドモスの抽出物、パンワーガム(panwar gum)、ガティガム、イサポール殻の粘液、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶セルロース、酢酸セルロース、ポリ(ビニルピロリドン)、ケイ酸アルミニウムマグム(VEEGUM)、及びラークアラボガラクタン)、アルギネート、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、無機カルシウム塩、ケイ酸、ポリメタクリレート、蝋、水、アルコール、及び/またはそれらの混合物が挙げられる。
【0444】
例示的な防腐剤としては、酸化防止剤、キレート剤、抗菌防腐剤、抗真菌防腐剤、アルコール防腐剤、酸性防腐剤、及び/または他の防腐剤が挙げられる。ある特定の実施形態では、防腐剤は、酸化防止剤である。他の実施形態では、防腐剤は、キレート剤である。
【0445】
例示的な酸化防止剤としては、アルファトコフェロール、アスコルビン酸、パルミチン酸アコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、モノチオグリセロール、メタ重亜硫酸カリウム、プロピオン酸、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、及び/または亜硫酸ナトリウムが挙げられる。
【0446】
例示的なキレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)ならびにその塩及び水和物(例えば、エデト酸ナトリウム、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸二ナトリウム、エデト酸二カリウムなど)、クエン酸ならびにその塩及び水和物(例えば、クエン酸一水和物)、フマル酸ならびにその塩及び水和物、リンゴ酸ならびにその塩及び水和物、リン酸ならびにその塩及び水和物、及び/またはそれらの任意の組み合わせ、ならびに酒石酸ならびにその塩及び水和物が挙げられる。例示的な抗菌防腐剤としては、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、ブロノポール、セトリミド、塩化セチルピリジニウム、クロルヘキシジン、クロロブタノール、クロロクレゾール、クロロキシレノール、クレゾール、エチルアルコール、グリセリン、ヘキセチジン、イミド尿素、フェノール、フェノキシエタノール、フェニルエチルアルコール、硝酸フェニル水銀、プロピレングリコール、及び/またはチメロサールが挙げられる。
【0447】
例示的な抗真菌防腐剤としては、ブチルパラベン、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、安息香酸カリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、及び/またはソルビン酸が挙げられる。
【0448】
例示的なアルコール防腐剤としては、エタノール、ポリエチレングリコール、フェノール、フェノール化合物、ビスフェノール、クロロブタノール、ヒドロキシ安息香酸塩、及び/またはフェニルエチルアルコールが挙げられる。
【0449】
例示的な酸性防腐剤としては、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、ベータカロチン、クエン酸、酢酸、デヒドロ酢酸、アスコルビン酸、ソルビン酸、及び/またはフィチン酸が挙げられる。
【0450】
他の防腐剤としては、トコフェロール、酢酸トコフェロール、メシル酸デテロキシム、セトリミド、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、エチレンジアミン、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)、亜硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸カリウム、GLYDANT PLUS、PHENONIP、メチルパラベン、GERMALL115、GERMABENII、NEOLONE、KATHON、及び/またはEUXYLが挙げられる。
【0451】
例示的な緩衝剤としては、クエン酸緩衝液、酢酸緩衝液、リン酸緩衝液、塩化アンモニウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、グルビオン酸カルシウム、グルセプト酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、D-グルコン酸、グリセロリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、プロパン酸、レブリン酸カルシウム、ペンタン酸、二塩基性リン酸カルシウム、リン酸、三塩基性リン酸カルシウム、水酸化リン酸カルシウム、酢酸カリウム、塩化カリウム、グルコン酸カリウム、カリウム混合物、二塩基性リン酸カリウム、一塩基性リン酸カリウム、リン酸カリウム混合物、酢酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、二塩基性リン酸ナトリウム、一塩基性リン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム混合物、トロメタミン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、アルギン酸、パイロジェンフリー水、等張生理食塩水、リンガー溶液、エチルアルコール、及び/またはそれらの混合物が挙げられる。
【0452】
例示的な潤滑剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、シリカ、タルク、麦芽、ベヘン酸グリセリル、水素化植物油、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ロイシン、ラウリル硫酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、及び/またはそれらの混合物が挙げられる。
【0453】
例示的な天然油としては、アーモンド、アプリコットカーネル、アボカド、ババス、ベルガモット、ブラックカレントシード、ルリジサ、ケード、カモミール、キャノーラ、キャラウェイ、カルバナ、ヒマシ、シナモン、ココアバター、ココナッツ、タラ肝、コーヒー、トウモロコシ、綿実、エミュー、ユーカリ、マツヨイグサ、魚、亜麻仁、ゲラニオール、ひょうたん、ブドウの種、ヘーゼルナッツ、ヒソップ、ミリスチン酸イソプロピル、ホホバ、ククイナッツ、ラバンジン、ラベンダー、レモン、リツェアクベバ、マカデミアナッツ、マロウ、マンゴーシード、メドウフォームシード、ミンク、ナツメグ、オリーブ、オレンジ、オレンジラフィー、パーム、パームカーネル、ピーチカーネル、ピーナッツ、ポピーシード、パンプキンシード、菜種、米ぬか、ローズマリー、ベニバナ、サンダルウッド、サスカナ、セイボリー、シーバックソーン、ゴマ、シアバター、シリコーン、ダイズ、ひまわり、ティーツリー、アザミ、ツバキ、ベチバー、クルミ、及び小麦胚芽の油が挙げられる。例示的な合成油としては、ステアリン酸ブチル、カプリル酸トリグリセリド、カプリン酸トリグリセリド、シクロメチコン、セバシン酸ジエチル、ジメチコン360、ミリスチン酸イソプロピル、鉱油、オクチルドデカノール、オレイルアルコール、シリコーン油、及び/またはそれらの混合物が挙げられる、これらに限定されない。
【0454】
本明細書で提供される組成物の説明は、主に、ヒトへの投与に好適な組成物を対象とするが、そのような組成物は、概して、あらゆる種類の動物への投与に好適であることが当業者によって理解されるであろう。いくつかの実施形態では、ヒトへの投与に好適な提供される組成物は、様々な動物への投与に好適な組成物を提供するために修飾されてもよく、このプロセスの方法論はよく理解されており、通常の熟練した獣医薬理学者は、通常の実験を用いてそのような修飾を設計及び/または実施し得る。
【0455】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される組成物は、典型的には、投与を容易にするために、意図される使用(例えば、外科的移植または注射)に適切なサイズ(例えば、体積)及び重量で製剤化される。しかしながら、本開示の組成物の総量(例えば、移植または注射される組成物の数または量)は、健全な医学的判断の範囲内で主治医によって決定されることが理解されるであろう。任意の特定の対象または生物に対する特定の治療上有効な用量レベルは、治療されている疾患及び障害の重症度、用いられる特定の活性成分の活性、用いられる特定の組成物、対象の年齢、体重、全般的な健康、性別、及び食生活、用いられる特定の活性成分の投与時間、投与経路、及び排出速度、治療の期間、用いられる特定の活性成分と組み合わせてまたは同時に使用される薬物、ならびに医学分野で周知の同様の因子を含む様々な因子に依存するであろう。
【0456】
いくつかの実施形態では、提供される組成物は、外科的移植及び/または注射によって投与され得る。例えば、いくつかの実施形態では、提供される組成物は、腫瘍切除手術時に切除された腫瘍の空隙体積に外科的移植によって投与され得る。いくつかの実施形態では、切除された腫瘍の空隙体積における外科的移植は、原発性腫瘍切除術後に一度に行う。いくつかの実施形態では、提供される組成物は、腫瘍切除時に切除された腫瘍の空隙体積に注射することによって投与され得る。いくつかの実施形態では、提供される組成物は、腫瘍切除後の切除された腫瘍の空隙体積への注射によって投与され得る。いくつかの実施形態では、提供される組成物は、腫瘍切除後1日未満、2日未満、3日未満、4日未満、5日未満、6日未満、または7日未満で標的部位(例えば、腫瘍切除部位)に注射される。いくつかの実施形態では、提供される組成物は、腫瘍切除後1週間未満、2週間未満、3週間未満、4週間未満、1か月未満、3か月未満、6か月未満、または12か月未満で標的部位(例えば、腫瘍切除部位)に注射される。
【0457】
いくつかの実施形態では、提供される組成物は、外科的移植によって投与され、生体接着剤で固定され得る。ある特定の実施形態では、組成物は、切除された腫瘍の空隙体積に生体接着剤で固定される。
【0458】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、切除された腫瘍の空隙体積の100cm、90cm、80cm、70cm、60cm、50cm、40cm、30cm、20cm、10cm、9cm、8cm、7cm、6cm、5cm、4cm、3cm、2cm、1cm、9mm、8mm、7mm、6mm、5mm、4mm、3mm、2mm、または1mm以内で、外科的移植または注射によって投与される。ある特定の実施形態では、切除された腫瘍の空隙体積は、腫瘍(例えば、肺、腎臓、膵臓、肝臓、結腸、精巣、卵巣、乳房、虫垂、膀胱)を有する切除された臓器の空隙体積である。ある特定の実施形態では、切除された腫瘍の空隙体積は、腫瘍(例えば、肺、腎臓、膵臓、肝臓、結腸、精巣、卵巣、乳房、虫垂、膀胱)を有する臓器の切除された部分の空隙体積である。
【0459】
ある特定の実施形態では、前駆体組成物構成成分、例えば、少なくとも1つのポリマー生体材料、少なくとも1つの核酸、及び任意選択の架橋剤(複数可)は、対象(例えば、腫瘍切除部位に)に別々に投与され、前駆体構成成分は、インビボで組成物を形成する。前駆体組成物構成成分、例えば、少なくとも1つのポリマー生体材料、少なくとも1つの核酸、及び任意選択の架橋剤(複数可)は、連続的に投与される。ある特定の実施形態では、前駆体組成物構成成分、例えば、少なくとも1つのポリマー生体材料、少なくとも1つの核酸、及び任意選択の架橋剤(複数可)は、同時に投与される。前駆体組成物構成成分、例えば、少なくとも1つのポリマー生体材料、少なくとも1つの核酸、及び任意選択の架橋剤(複数可)は、混合物として投与される。ある特定の実施形態では、投与は、注射によるものである。
【0460】
有効量を達成するために必要な治療薬の正確な量は、例えば、対象の種、年齢、及び一般的な状態、副作用または障害の重症度、特定の薬剤(複数可)の同一性などに応じて、対象ごとに変化するであろう。
【0461】
ある特定の実施形態では、70kgの成人ヒトへの投与のために提供される組成物の有効量は、約0.0001mg~約3000mg、約0.0001mg~約2000mg、約0.0001mg~約1000mg、約0.001mg~約1000mg、約0.01mg~約1000mg、約0.1mg~約1000mg、約1mg~約1000mg、約1mg~約100mg、約10mg~約1000mg、または約100mg~約1000mgを含み得る。
【0462】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、組成物中に存在する治療薬のうちのいずれかの1日当たり対象の体重の約0.001mg/kg~約100mg/kg、約0.01mg/kg~約50mg/kg、約0.1mg/kg~約40mg/kg、約0.5mg/kg~約30mg/kg、約0.01mg/kg~約10mg/kg、約0.1mg/kg~約10mg/kg、または約1mg/kg~約25mg/kgを送達して、所望の治療効果を得るのに十分な投薬量であり得る。
【0463】
本明細書に記載の用量範囲は、提供される組成物を成人に投与するためのガイダンスを提供することを理解されたい。例えば、小児または青年に投与される量は、医師または当業者によって決定され得、成人に投与される量より少ないか、または同じであり得る。
【0464】
また、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、1つ以上の追加の医薬品と組み合わせて投与され得ることも理解されるであろう。例えば、いくつかの実施形態では、提供される組成物は、それらの代謝を低減及び/または修飾し、それらの排泄を阻害し、及び/または体内でのそれらの分布を修飾する追加の医薬品と組み合わせて投与され得る。いくつかの実施形態で、用いられる追加の療法は、同じ障害に対して所望の効果を達成し得、及び/または異なる効果を達成し得ることも理解されよう。
【0465】
いくつかの実施形態では、提供される組成物は、例えば、併用療法として有用であり得る、1つ以上の追加の医薬品と同時に、それより前に、またはそれより後に投与され得る。医薬品は、治療活性剤を含む。医薬品はまた、予防活性剤も含む。各追加の医薬品は、その医薬品について決定された用量及び/または時間スケジュールで投与され得る。追加の医薬品は、異なる用量及び/または異なる投与経路で別々に投与される。レジメンにおいて用いる特定の組み合わせは、提供される組成物と、追加の医薬品及び/または達成されるべき所望の治療及び/または予防効果との適合性を考慮に入れる。概して、組み合わせて利用される追加の医薬品は、それらが個々に利用されるレベルを超えないレベルで利用されることが予想される。いくつかの実施形態では、組み合わせて利用されるレベルは、個別に利用されるレベルよりも低いであろう。
【0466】
例示的な追加の医薬品としては、抗増殖剤、抗がん剤、抗炎症剤、免疫抑制剤、及び鎮痛剤が挙げられるが、これらに限定されない。医薬品としては、薬物化合物(例えば、Code of Federal Regulations(CFR)に規定されているU.S.Food and Drug Administrationによって承認された化合物)、ペプチド、タンパク質、炭水化物、単糖、オリゴ糖、多糖、核タンパク質、ムコタンパク質、リポタンパク質、合成ポリペプチドもしくはタンパク質、タンパク質に連結された小分子、糖タンパク質、ステロイド、核酸、DNA、RNA、ヌクレオチド、ヌクレオシド、オリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、脂質、ホルモン、ビタミン、及び/または細胞などの小分子治療薬が挙げられる。
【0467】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、細胞を含まない。ある特定の実施形態では、組成物は、養子移入された細胞を含まない。ある特定の実施形態では、組成物は、T細胞を含まない。ある特定の実施形態では、追加の医薬品は、養子移入された細胞ではない。ある特定の実施形態では、追加の医薬品は、T細胞ではない。ある特定の実施形態では、組成物は、腫瘍抗原を含まない。ある特定の実施形態では、組成物は、エクスビボで担持された腫瘍抗原を含まない。
【0468】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、インビボ移植の直前に(例えば、手術室または近接で)調製される。ある特定の実施形態では、提供される組成物は、インビボ移植の24時間、18時間、12時間、11時間、10時間、9時間、8時間、7時間、6時間、5時間、4時間、3時間、2時間、1時間、30分、20分、10分、5分、または1分以内に調製される。
【0469】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、インビボ移植の前に調製される。ある特定の実施形態では、組成物は、インビボ移植の31日、28日、21日、14日、7日、6日、5日、4日、3日、2日、または1日以内に調製される。
【0470】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、治療的環境におけるその使用の1年、10か月、8か月、6か月、4か月、3か月、2か月、31日、28日、21日、14日、7日、6日、5日、4日、3日、2日、または1日以内に調製される。
【0471】
キットもまた、本開示に包含される。提供されるキットは、本明細書に記載の組成物と、容器(例えば、バイアル、アンプル、ボトル、シリンジ、及び/またはディスペンサーパッケージ、または他の好適な容器)と、を含み得る。いくつかの実施形態では、提供されるキットは、任意選択で、本明細書に記載の医薬組成物または化合物を希釈または懸濁するための薬学的賦形剤を含む第2の容器を更に含み得る。いくつかの実施形態では、キットは、組成物前駆体構成成分(例えば、ポリマー生体材料(複数可)及び核酸(複数可))を含む。
【0472】
ある特定の実施形態では、提供されるキットは、少なくとも1つのポリマー生体材料及び少なくとも1つの核酸から構成される組成物を含む。ある特定の実施形態では、提供されるキットは、少なくとも1つのポリマー生体材料、少なくとも1つの核酸、及び少なくとも1つのポリヌクレオチド担体剤から構成される組成物を含む。ある特定の実施形態では、提供されるキットは、少なくとも1つのポリマー生体材料、少なくとも1つの核酸から構成される組成物を含む。少なくとも1つのポリヌクレオチド担体剤、及び少なくとも1つの追加の免疫調節構成成分。ある特定の実施形態では、提供されるキットは、ポリマー生体材料(複数可)と、炎症誘発性経路の活性化因子(例えば、RIG-1アゴニストまたは免疫系の調節因子をコードする核酸)とから構成される組成物を含む。ある特定の実施形態では、提供されるキットは、ポリマー生体材料(複数可)と、炎症誘発性経路の活性化因子(例えば、RIG-1アゴニストまたは免疫系の調節因子をコードする核酸)と、ポリヌクレオチド剤担体とから構成される組成物を含む。ある特定の実施形態では、提供されるキットは、ポリマー生体材料(複数可)と、炎症誘発性経路の阻害剤(例えば、p38MAPK経路によって媒介される炎症誘発性免疫応答の阻害剤)と、自然免疫応答の活性化因子とから構成される組成物を含む。ある特定の実施形態では、提供されるキットは、ポリマー生体材料(複数可)と、炎症誘発性経路の阻害剤(例えば、p38MAPK経路によって媒介される炎症誘発性免疫応答の阻害剤)と、サイトカインとから構成される組成物を含む。ある特定の実施形態では、提供されるキットは、ポリマー生体材料(複数可)と、炎症誘発性経路の阻害剤(例えば、p38MAPK経路によって媒介される炎症誘発性免疫応答の阻害剤)と、適応免疫応答の活性化因子とから構成される組成物を含む。ある特定の実施形態では、キットは、自然免疫機能の活性化因子を更に含む。ある特定の実施形態では、キットは、サイトカインを更に含む。ある特定の実施形態では、キットは、核酸担体を更に含む。ある特定の実施形態では、キットは、適応免疫応答の活性化因子を更に含む。ある特定の実施形態では、キットは、マクロファージエフェクター機能の調節因子を更に含む。ある特定の実施形態では、キットは、適応免疫応答の追加の活性化因子を更に含む。ある特定の実施形態では、キットは、腫瘍溶解性ウイルス、放射性同位体、免疫調節化学療法剤、標的化された薬剤、またはそれらの組み合わせを更に含む。ある特定の実施形態では、キットは、本明細書に記載の任意の組成物を含む。
【0473】
ある特定の実施形態では、キットは、化学療法剤を含まない。ある特定の実施形態では、キットは、細胞傷害性剤を含まない。
【0474】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載のキットは、キットを使用するための説明書を更に含む。本明細書に記載のキットはまた、U.S.Food and Drug Administration(FDA)などの規制当局によって要求される情報を含み得る。ある特定の実施形態では、キットに含まれる情報は、処方する情報である。ある特定の実施形態では、キット及び説明書は、がんを治療するために提供する。ある特定の実施形態では、本明細書に記載のキットは、別個の組成物として本明細書に記載の1つ以上の追加の医薬品を含み得る。
【0475】
治療方法及び使用方法
本開示は、対象におけるがん(例えば、肉腫、癌腫、リンパ腫、胚細胞腫瘍、または芽細胞腫)などの増殖性疾患の治療及び/または予防のために、本明細書に記載の組成物を使用する方法を提供する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、切除に適している腫瘍の治療における使用のためのものである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、脾臓またはリンパ系の外側の組織、例えば、甲状腺または胃に存在するリンパ腫の治療における使用のためのものである。
【0476】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、転移性癌を含むがんの治療において有用である。いくつかの実施形態では、提供される組成物は、がんの発病を遅延させるか、がんの進行を遅らせるか、またはがんの症状を改善するのに有用である。いくつかの実施形態では、提供される組成物は、がんを予防するため、及び/または原発性腫瘍再成長を予防するために有用である。いくつかの実施形態では、提供される組成物は、腫瘍転移を予防するのに有用である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、がんを治療するために、他の化合物、薬物、または治療薬と組み合わせて投与される。
【0477】
ある特定の実施形態では、がんは、固形腫瘍である。いくつかの実施形態では、がんは、また転移性癌細胞を脱落させ得る固形腫瘍である。ある特定の実施形態では、がんは、肉腫、癌腫、リンパ腫、胚細胞腫瘍、芽細胞腫、またはそれらの組み合わせである。ある特定の実施形態では、腫瘍は、肉腫、癌腫、リンパ腫、胚細胞腫瘍、芽細胞腫、またはそれらの組み合わせである。
【0478】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、転移性癌を含むがんの治療に有用である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、聴神経腫、腺癌、副腎癌、肛門癌、血管肉腫(例えば、リンパ管肉腫、リンパ管内皮腫(lymphangioendotheliosarcoma)、血管肉腫)、虫垂癌、良性単クローン性γグロブリン異常症、胆道癌(例えば、胆管癌(cholangiocarcinoma))、胆管癌(bile duct cancer)、膀胱癌、骨癌、乳癌(breast cancer)(例えば、乳房の腺癌、乳房の乳頭癌、乳癌(mammary cancer)、乳房の髄様癌)、脳癌(例えば、髄膜腫、神経膠芽腫、神経膠腫(例えば、星状細胞腫、乏突起神経膠腫、髄芽腫)、気管支癌、カルチノイド腫瘍、心臓腫瘍、子宮頸癌(例えば、子宮頸部腺癌)、絨毛癌、脊索腫、頭蓋咽頭腫、結腸直腸直癌(例えば、結腸癌、直腸癌、結腸直腸腺癌)、結合組織癌、上皮癌、非浸潤性乳管癌、上衣腫、内皮肉腫(endotheliosarcoma)(例えば、カポジ肉腫、多発性特発性出血性肉腫)、子宮内膜癌(例えば、子宮癌、子宮肉腫)、食道癌(例えば、食道の腺癌、バレット腺癌)、ユーイング肉腫、眼癌(例えば、眼内黒色腫、網膜芽細胞腫)、家族性過好酸球増加症(familiar hypereosinophilia)、胆嚢癌、胃癌(例えば、胃腺癌)、消化管間質腫瘍(GIST)、胚細胞癌、頭頸部癌(例えば、頭頸部扁平上皮癌、口腔癌(例えば、口腔扁平上皮癌)、喉の癌(例えば、喉頭癌、咽頭癌、上咽頭癌、中咽頭癌)、造血癌(例えば、リンパ腫、原発性肺リンパ腫、気管支関連リンパ組織リンパ腫、脾臓リンパ腫、結節辺縁帯リンパ腫、小児B細胞非ホジキンリンパ腫)、血管芽腫、組織球症、下咽頭癌、炎症性筋線維芽細胞性腫瘍、免疫細胞性アミロイドーシス、腎臓癌(例えば、腎芽腫、別名ウィルムス腫瘍、腎細胞癌)、肝臓癌(例えば、肝細胞癌(HCC)、悪性肝癌)、肺癌(例えば、気管支原性癌、小細胞肺癌(SCLC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、肺の腺癌)、平滑筋肉腫(LMS)、黒色腫、正中線路癌、多発性内分泌腫瘍症候群、筋肉癌、中皮腫、鼻咽頭癌、神経芽細胞腫、神経線維腫(例えば、神経線維腫症(NF)1型または2型、神経鞘腫症)、神経内分泌癌(例えば、胃腸膵神経内分泌腫瘍(GEP-NET)、カルチノイド腫瘍)、骨肉腫(例えば、骨癌)、卵巣癌(例えば、嚢胞腺癌、卵巣胎児性癌、卵巣腺癌)、乳頭腺癌、膵臓癌(例えば、膵臓腺癌、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)、膵島細胞腫瘍)、副甲状腺癌、乳頭腺癌、陰茎癌(例えば、陰茎と陰嚢のパジェット病)、咽頭癌、松果体腫、下垂体癌、胸膜肺芽腫、原始神経外胚葉性腫瘍(PNT)、形質細胞腫瘍、腫瘍随伴症候群、上皮内腫瘍、前立腺癌(例えば、前立腺腺癌)、直腸癌、横紋筋肉腫、網膜芽腫、唾液腺癌、皮膚癌(例えば、扁平上皮癌(SCC)、角化棘細胞腫(KA)、黒色腫、基底細胞癌(BCC))、小腸癌(例えば、虫垂瘍)、軟部組織肉腫(例えば、悪性線維性組織球腫(MFH)、脂肪肉腫、悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)、軟骨肉腫、線維肉腫、粘液肉腫)、脂腺癌、胃癌、小腸癌、汗腺癌、滑膜腫、精巣癌(例えば、精上皮腫、精巣胎児性癌)、胸腺癌、甲状腺癌(例えば、甲状腺の乳頭癌、甲状腺乳頭癌(PTC)、甲状腺髄様癌)、尿道癌、子宮癌、膣癌、及び外陰癌(例えば、外陰のパジェット病)、またはそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されないがんの治療に有用である。
【0479】
ある特定の実施形態では、がんは、乳癌である。ある特定の実施形態では、がんは、皮膚癌である。ある特定の実施形態では、がんは、黒色腫である。ある特定の実施形態では、がんは、肺癌である。ある特定の実施形態では、がんは、腎臓癌である。ある特定の実施形態では、がんは、肝臓癌である。ある特定の実施形態では、がんは、膵臓癌である。ある特定の実施形態では、がんは、大腸癌である。ある特定の実施形態では、がんは、膀胱癌である。ある特定の実施形態では、がんは、リンパ腫である。ある特定の実施形態では、がんは、前立腺癌である。ある特定の実施形態では、がんは、甲状腺癌である。
【0480】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、腺癌、副腎癌、肛門癌、血管肉腫、虫垂癌、胆管癌、膀胱癌、骨癌、脳癌、乳癌、気管支癌、カルチノイド腫瘍、心臓腫瘍、子宮頸癌、絨毛癌、脊索腫、結腸直腸直癌、結合組織癌、頭蓋咽頭腫、非浸潤性乳管癌、内皮肉腫、子宮内膜癌、上衣腫、上皮癌、食道癌、ユーイング肉腫、眼癌、家族性過好酸球増加症(familiar hypereosinophilia)、胆嚢癌、胃癌、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、胚細胞癌、頭頸部癌、血管芽腫、組織球症、ホジキンリンパ腫、下咽頭癌、炎症性筋線維芽細胞性腫瘍、上皮内腫瘍、免疫細胞性アミロイドーシス、カポジ肉腫、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、平滑筋肉腫(LMS)、黒色腫、正中線路癌、多発性内分泌腫瘍症候群、筋肉癌、中皮腫、骨髄増殖性障害(MPD)、鼻咽頭癌、神経芽細胞腫、神経線維腫、神経内分泌癌、非ホジキンリンパ腫、骨肉腫、卵巣癌、膵臓癌、腫瘍随伴症候群、副甲状腺癌、乳頭腺癌、陰茎癌、咽頭癌、褐色細胞腫、松果体腫、下垂体癌、胸膜肺芽腫、原始神経外胚葉性腫瘍(PNT)、形質細胞腫瘍、前立腺癌、直腸癌、網膜芽細胞腫)、横紋筋肉腫、唾液腺癌、脂腺癌、皮膚癌、小腸癌(small bowel cancer)、小腸癌(small intestine cancer)、軟部組織肉腫、胃癌、汗腺癌、滑膜腫、精巣癌、胸腺癌、甲状腺癌、尿道癌、子宮癌、膣癌、血管癌、外陰癌、またはそれらの組み合わせの治療において有用である。
【0481】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、固形腫瘍及び転移の治療及び/または予防に有用である。
【0482】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、標的に投与される。いくつかの実施形態では、標的は、最近腫瘍切除を受けた対象における部位を含む。いくつかの実施形態では、腫瘍切除術の対象は、転移性癌に罹患している。いくつかの実施形態では、腫瘍切除部位は、肉眼的な残留腫瘍抗原の不在を特徴とする。いくつかの実施形態では、投与標的部位は、腫瘍切除部位である。いくつかの実施形態では、標的部位は、腫瘍切除部位の近くの部位である。いくつかの実施形態では、腫瘍切除部位の近く部位は、腫瘍切除部位から4インチ以内である。いくつかの実施形態では、標的部位は、センチネルリンパ節である。いくつかの実施形態では、標的部位は、センチネルリンパ節の近くにある。いくつかの実施形態では、標的部位は、排液リンパ節である。いくつかの実施形態では、標的部位は、がん細胞が以前のがん療法、例えば、化学療法または放射線療法によって治療または殺傷された部位である。いくつかの実施形態では、更なる治療は、投与後、腫瘍切除対象における少なくとも1つの転移部位を監視するステップを含むことを含む。
【0483】
いくつかの実施形態では、標的部位に投与される提供される組成物は、予め形成されたゲルまたは半固体ポリマーネットワークとして投与され、組成物は、移植によって標的部位に投与され得る。いくつかの実施形態では、標的部位に投与される提供される組成物は、注射可能な形態(例えば、液体またはコロイド溶液)である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の投与は、本明細書に記載のゲルまたはコロイド溶液組成物を形成するために、インサイチュで相互作用または反応する1つ以上のポリマー生体材料前駆体構成成分の投与を伴い、いくつかのそのような実施形態では、そのような相互作用または反応は、いくつかの実施形態では、自発的に生じ得、いくつかの実施形態では、薬剤(例えば、触媒及び/または反応物)及び/または条件(例えば、熱、pH、圧力、特定の波長であり得る電磁放射のうちの1つ以上など)の適用によって引き起こされ得る架橋を伴う。
【0484】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法は、対象において、(例えば、本明細書に記載のポリマー生体材料ネットワークまたはその前駆体のセットの投与を介して)本明細書に記載の組成物の有効量を移植することを含む。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法は、対象において、本明細書に記載の組成物の有効量を外科的に移植することを含む。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法は、提供される組成物を腫瘍の外科的切除後に移植することを更に含む。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法は、提供される組成物を腫瘍切除部位に移植することを更に含む。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法は、提供される組成物を切除された腫瘍の空隙体積に移植することを更に含む。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法は、提供される組成物を腫瘍切除手術中に腫瘍切除部位に移植することを更に含む。
【0485】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法は、切除された腫瘍の50重量%以上、55重量%以上、60重量%以上、65重量%以上、70重量%以上、75重量%以上、80重量%以上、85重量%以上、90重量%以上、95重量%以上、96重量%以上、97重量%以上、98重量%以上、または99重量%以上の除去後に、提供された組成物を投与すること(例えば、移植または注射すること)を含む。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法は、切除された腫瘍の50体積%以上、55体積%以上、60体積%以上、65体積%以上、70体積%以上、75体積%以上、80体積%以上、85体積%以上、90体積%以上、95体積%以上、96体積%以上、97体積%以上、98体積%以上、または99体積%以上の除去後に、提供された組成物を投与すること(例えば、移植または注射すること)を含む。
【0486】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法は、提供される組成物を腫瘍に隣接する部位に投与すること(例えば、移植または注射すること)を含まない。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法は、腫瘍を切除することなく、提供される組成物を腫瘍に隣接する投与すること(例えば、移植または注射すること)を含まない。
【0487】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の組成物は、本明細書に記載の1つ以上の追加の治療薬と組み合わせて投与される。ある特定の実施形態では、追加の治療薬は、抗がん剤である。
【0488】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の組成物は、腫瘍切除術の対象への腫瘍抗原の投与を伴わず、投与するステップは、それを含まない。当業者は、腫瘍抗原が、限定されないが、以下を含むことを理解する:Mart-1、gp100、CEA、CD19、NY-ES01、MAGE-A3、hTERT、EGFR、メソテリン、HPV、EBV、MCC、Mum-1、ベータ-カテニン、CDK4、及びERBB2IP、例えば、Ilyas & Yang,“Landscape of tumor antigens in T-cell immunotherapy”J Immunol.(2015)195(11):5117-5122を参照されたく、その内容は、本明細書に記載の目的のために、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。ある特定の実施形態では、提供される組成物は、腫瘍切除術の対象への養子免疫細胞の移入を伴わず、投与するステップは、それを含まない。当業者は、養子免疫細胞の移入が、限定されないが、以下の移入を含むことを理解する:CD8+T細胞、CD4+T細胞、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞、ガンマデルタT細胞など。
【0489】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、ナノ粒子または微粒子を含まない。ある特定の実施形態では、例示的な組成物の投与ステップは、腫瘍切除術の対象への微粒子の投与を伴わない。ナノ粒子は、1~100nmのサイズの粒子を含む。微粒子は、0.1~100μmのサイズの粒子を含む。ある特定の実施形態では、提供される組成物は、シリカ微粒子、ポリエチレン微粒子、ポリスチレン微粒子、ポリエステル微粒子、ポリ無水物微粒子、ポリカプロラクトン微粒子、ポリカーボネート微粒子、またはポリヒドロキシブチレート微粒子を含まない。ある特定の実施形態では、提供される組成物は、多孔質シリカ微粒子を含まない。
【0490】
ある特定の実施形態では、提供される組成物による治療は、(i)候補ポリマー生体材料から放出された核酸(複数可)が非免疫細胞に取り込まれるかどうか、及び/または(ii)核酸(複数可)が非免疫細胞に悪影響を及ぼすかどうかを決定する更なるステップを含む。
【0491】
ある特定の実施形態では、治療されている対象は、哺乳動物である。ある特定の実施形態では、対象は、ヒトである。ある特定の実施形態では、対象は、ネオアジュバント(術前)化学療法を受けたヒト患者である。ある特定の実施形態では、対象は、ネオアジュバント放射線療法を受けたヒト患者である。ある特定の実施形態では、対象は、ネオアジュバント化学療法及び放射線療法を受けたヒト患者である。ある特定の実施形態では、対象は、ネオアジュバント分子標的療法を受けたヒト患者である。ある特定の実施形態では、対象は、免疫チェックポイント遮断(例えば、抗CTLA-4、抗PD-1、及び/または抗PD-L1)を含むネオアジュバント免疫療法を受けたヒト患者である。ある特定の実施形態では、対象は、免疫チェックポイント遮断(例えば、抗CTLA-4、抗PD-1、及び/または抗PD-L1)を含むネオアジュバント免疫療法を受けていないヒト患者である。ある特定の実施形態では、対象は、腫瘍がネオアジュバント療法に客観的に応答していない(Response Evaluation Criteria in Solid Tumors(RECIST)または免疫関連Response Criteria(irRC)によって定義される)(例えば、安定した疾患、進行性疾患)ヒト患者である。ある特定の実施形態では、対象は、標的病変がネオアジュバント療法に客観的に応答した(例えば、部分奏効、完全奏効)ヒト患者である。非標的病変は、不完全反応、安定疾患、または進行を示し得る。ある特定の実施形態では、対象は、アジュバント(術後)環境における標準のケアとして免疫療法を受ける資格があるヒト患者である。ある特定の実施形態では、対象は、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、またはヤギなどの飼育動物である。ある特定の実施形態では、対象は、イヌまたはネコなどのコンパニオン動物である。ある特定の実施形態では、対象は、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、またはヤギなどの家畜動物である。ある特定の実施形態では、対象は、動物園の動物である。別の実施形態では、対象は、げっ歯類、ブタ、イヌ、または非ヒト霊長類などの研究動物である。ある特定の実施形態では、対象は、トランスジェニックマウスまたはトランスジェニックブタなどの非ヒトトランスジェニック動物である。
【実施例】
【0492】
本明細書に記載の本発明をより十分に理解することができるようにするため、以下の実施例を記載する。これらの実施例は、例解的な目的のためだけのものであり、いかなる様式でも本発明を限定するものとして解釈されるべきではないことが理解されるべきである。
【0493】
実施例1.がん治療のための例示的な核酸送達組成物の調製
本実施例は、がん治療のための腫瘍切除部位への投与に好適な核酸免疫調節剤を含む持続放出性組成物の作製を説明する。いくつかの実施形態では、そのような核酸免疫調節剤は、自然免疫系のアゴニストであるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、そのような持続放出性組成物は、少なくとも1つのポリマー生体材料及び少なくとも1つの核酸、または少なくとも1つのポリマー生体材料、少なくとも1つの核酸、及び少なくとも1つの核酸担体を含む。
【0494】
本明細書のいくつかの実施形態内に記載の組成物を調製するために、自然免疫系アゴニスト(例えば、核酸)は、核酸担体(例えば、トランスフェクション剤)と複合体化される。いくつかの実施形態では、構成成分は、体積比(例えば、1:1の比)で混合される。いくつかの実施形態では、構成成分は、糖溶液(例えば、グルコース溶液)中で調製される。いくつかの実施形態では、次いで、混合物を一定期間インキュベーションする。
【0495】
本明細書のいくつかの実施形態内に記載の組成物を調製するために、自然免疫系アゴニスト(例えば、RIG-1アゴニスト、Invivogen#tlrl-hprna)を核酸担体(例えば、In vivo-jetPEI、PolyPlus#201-10G)と複合体化する。いくつかの実施形態では、構成成分は、体積比(例えば、1:1の比)で混合される。いくつかの実施形態では、これらのin vivo-jetPEI/RIG-Iアゴニスト複合体は、5%のグルコース溶液中のRIG-Iアゴニスト(Invivogen #tlrl-hprna)を、5%のグルコース溶液中のin vivo-jetPEI試薬(N/P=6)(PolyPlus、#201-10G)と体積比1:1で混合することによって調製される。いくつかの実施形態では、次いで、混合物を室温で適切な期間(例えば、約15分間)インキュベーションし、次いで、ポリマー生体材料またはポリマーネットワークに添加する。
【0496】
本明細書に記載のいくつかの実施形態による組成物を調製するために、ポリマーネットワークを、市販のキットを使用して調製した。本明細書に記載の代替実施形態では、ポリマーネットワークは、市販されていない独自のポリマーの組み合わせを使用して調製される。いくつかの実施形態では、ポリマーネットワークを作成する可能性を有するポリマー生体材料をモールド内に配置した。いくつかの実施形態では、次いで、核酸及び核酸担体成分をポリマー生体材料に添加した。いくつかの実施形態では、次いで、化学架橋剤を添加し、生成物をインキュベーションし、架橋ポリマーネットワークを作製した。いくつかの実施形態では、化学架橋剤は必要とされず、及びゲル化は、適切な条件(例えば、ゲル化を可能にする温度)下でのインキュベーション中に生じ、好適なポリマーネットワークを形成する。
【0497】
本明細書に記載のいくつかの実施形態による組成物を調製するために、Hystemヒドロゲルキット(ESI Bio、GS1004)を使用してポリマーネットワークを調製した。まず、120μLのグリコシル(架橋性ヒアルロン酸、例えば、チオール修飾ヒアルロン酸)をテフロン(登録商標)モールド(直径9mm)に添加し、次いで、In vivo-jetPEI/RIG-Iアゴニスト(2.5μg、7.5μg、または20μg)を添加し、30μLの化学架橋剤(例えば、ポリエチレンジアクリレート、例えば、EXTRALINK(登録商標)ポリエチレングリコールジアクリレート架橋剤などのチオール反応性架橋剤)を組み合わせ、生成物を1時間インキュベーションして、ポリマーネットワークが架橋するようにした。
【0498】
実施例2.インビボがん治療のための例示的な核酸送達組成物の使用
本実施例は、がん治療のための腫瘍切除部位での核酸免疫調節剤を含む持続放出性組成物の投与を説明する。いくつかの実施形態では、そのような核酸免疫調節剤は、自然免疫系のアゴニストであるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、そのような持続放出性組成物は、少なくとも1つのポリマー生体材料及び少なくとも1つの核酸、または少なくとも1つのポリマー生体材料、少なくとも1つの核酸、及び少なくとも1つの核酸担体を含む。
【0499】
いくつかの実施形態では、インビボ研究は、インビトロで成長した乳癌細胞株を利用した。いくつかの実施形態では、移植前に、ウシ胎仔血清及び適切な選択的薬剤を含有する培地中で乳癌細胞を培養した。いくつかの実施形態では、細胞を、既知の湿度、酸素、及びCO2濃度を有する生理学的温度で培養した。
【0500】
いくつかの実施形態では、4T1-Luc2乳癌細胞を、10%のウシ胎仔血清(FBS)及び1%のペニシリン/ストレプトマイシンを含む、RPMI-1640培地中で培養した。いくつかの実施形態では、細胞を、5%のCO2で、37℃加湿インキュベーター中で培養した。
【0501】
いくつかの実施形態では、インビボ動物研究は、マウスにおいて実施される。いくつかの実施形態では、マウスの乳房脂肪パッド中に乳癌細胞を同所的に接種する。いくつかの実施形態では、手術は、接種後の適切な時間に(例えば、腫瘍接種後約10日目に)実施される。いくつかの実施形態では、腫瘍切除と同時に、自然免疫応答アゴニストを担持したポリマー生体材料またはポリマーネットワークを含む本明細書に記載の組成物を腫瘍切除部位に投与する。いくつかの実施形態では、自然免疫応答アゴニストを有しないポリマー生体材料またはポリマーネットワークは、相対的な陰性対照として作用するように、腫瘍切除部位に投与される。いくつかの実施形態では、自然免疫アゴニストの局所放出が延長された場合に、延長された生存の利益が観察される。
【0502】
いくつかの実施形態では、インビボ動物試験をマウスにおいて実施した。いくつかの実施形態では、マウスの乳房脂肪パッド中に乳癌細胞を同所的に接種した。いくつかの実施形態では、手術は、腫瘍接種の10日後に実施された。いくつかの実施形態では、腫瘍切除と同時に、自然免疫応答アゴニストを担持したポリマー生体材料またはポリマーネットワークを含む本明細書に記載の組成物を腫瘍切除部位に投与した。いくつかの実施形態では、自然免疫応答アゴニストを有しないポリマー生体材料またはポリマーネットワークは、相対的な陰性対照として作用するように、腫瘍切除部位に投与された。いくつかの実施形態では、自然免疫アゴニストの局所放出が延長された場合に、延長された生存の利益が観察された。
【0503】
一実施形態では、インビボ動物研究は、6~8週齢の雌BALB/cJマウスで実施した。マウスの第4の乳房脂肪パッドに10
5個の4T1-Luc2乳癌細胞を同所的に接種した。マウスのサイズを一致させ、無作為に治療群に割り当て、腫瘍接種後10日目に手術を実施した。一次腫瘍切除については、マウスを2%イソフルランで麻酔し、腫瘍を切除した。同時に、自然免疫応答アゴニスト(例えば、RIG-1アゴニスト)を担持したポリマーネットワーク(例えば、架橋ヒアルロン酸)を含む本明細書に記載の組成物を腫瘍切除部位に移植した。空のポリマーネットワークを陰性対照として使用した。RIG-1アゴニストの延長された局所放出時に、延長された生存の利益が観察された(
図1)。生存曲線を、ログランク(Mantel-Cox)検定を用いたKaplan-Meier生存分析を使用して分析した。陰性対照と比較して、7.5μgのRIG-1アゴニストで治療した動物において、有意な生存の差が観察された(p=0.0064)。
【0504】
一実施形態では、インビボ動物研究は、6~8週齢の雌BALB/cJマウスで実施した。マウスの第4の乳房脂肪パッドに10
5個の4T1-Luc2乳癌細胞を同所的に接種し、腫瘍を増殖させた。腫瘍接種後10日目で、腫瘍のサイズを一致させ、マウスを治療群に無作為に割り当て、手術を実施した。一次腫瘍切除については、マウスを2%イソフルランで麻酔し、腫瘍を切除した。同時に、自然免疫応答アゴニスト(例えば、RIG-1アゴニスト、例えば、いくつかの実施形態では、7.5μgの用量で)を担持したポリマーネットワーク(例えば、ポロキサマー及びヒアルロン酸ヒドロゲルを含有する)を含む本明細書に記載の組成物を腫瘍切除部位に注射した。陰性対照として、ポリヌクレオチド剤担体(例えば、in vivo-jetPEI)と複合体を形成したRIG-1アゴニスト(例えば、いくつかの実施形態では、7.5μgの用量で)を腫瘍切除空洞に直接注射した。RIG-1アゴニストの延長された局所放出時に、延長された生存の利益が観察された(
図2)。
【0505】
実施例3.がん治療のための自然免疫アゴニスト送達組成物をコードする核酸から構成される例示的な組成物の調製。
本実施例は、がん治療のための腫瘍切除部位への移植に好適な核酸免疫調節剤を含む持続放出性組成物の作製について説明する。いくつかの実施形態では、そのような核酸免疫調節剤は、自然免疫系のアゴニストであるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、自然免疫系のアゴニストは、核酸によってコードされる。いくつかの実施形態では、そのような持続放出性組成物は、少なくとも1つのポリマー生体材料及び少なくとも1つの核酸、または少なくとも1つのポリマー生体材料、少なくとも1つの核酸、及び少なくとも1つの核酸担体を含む。
【0506】
本明細書のいくつかの実施形態内に記載の組成物を調製するために、自然免疫系アゴニストをコードする核酸を、核酸担体(例えば、トランスフェクション剤)と複合体化する。いくつかの実施形態では、構成成分は、体積比(例えば、1:1の比)で混合される。いくつかの実施形態では、構成成分は、糖溶液(例えば、グルコース溶液)中で調製される。いくつかの実施形態では、次いで、混合物を一定期間インキュベーションする。
【0507】
本明細書のいくつかの実施形態内に記載の組成物を調製するために、In vivo-jetPEI/IL-15 mRNA複合体を、IL-15 mRNA(Pharna、#1304001)の5%のグルコース溶液を、5%のグルコース溶液(PolyPlus、#201-10G)中のin vivo-jetPEI試薬(N/P=6)と体積比1:1で混合することによって調製した。次いで、混合物を室温で15分間インキュベーションしてから、ポリマーネットワークに添加した。
【0508】
本明細書に記載のいくつかの実施形態による組成物を調製するために、ポリマーネットワークを、市販のキットを使用して調製する。本明細書に記載の代替実施形態では、ポリマーネットワークは、市販されていない独自のポリマーの組み合わせを使用して調製される。いくつかの実施形態では、ポリマーネットワークを作成する可能性を有するポリマー生体材料をモールド内に配置する。いくつかの実施形態では、次いで、核酸及び核酸担体成分をポリマー生体材料に添加する。いくつかの実施形態では、次いで、化学架橋剤を添加し、生成物をインキュベーションし、架橋ポリマーネットワークを作製する。いくつかの実施形態では、化学架橋剤は必要とされず、及びゲル化は、適切な条件(例えば、ゲル化を可能にする温度)下でのインキュベーション中に生じ、好適なポリマーネットワークを形成する。
【0509】
本明細書に記載のいくつかの実施形態による組成物を調製するために、ポリマーネットワークを、市販のキットを使用して調製した。いくつかの実施形態では、ポリマーネットワークを作成する可能性を有するポリマー生体材料をモールド内に配置した。いくつかの実施形態では、次いで、核酸及び核酸担体成分をポリマー生体材料に添加した。いくつかの実施形態では、次いで、化学架橋剤を添加し、生成物をインキュベーションし、架橋ポリマーネットワークを作製した。
【0510】
本明細書に記載のいくつかの実施形態による組成物を調製するために、Hystemヒドロゲルキット(ESI Bio、GS1004)を使用してポリマーネットワークを調製した。まず、120μLのグリコシル(架橋性ヒアルロン酸、例えば、チオール修飾ヒアルロン酸)をテフロンモールド(直径9mm)に添加し、次いで、In vivo-jetPEI/IL-15(2.5μg、7.5μg、または75μg)を添加し、30μLの化学架橋剤(例えば、ポリエチレンジアクリレート、例えば、EXTRALINK(登録商標)ポリエチレングリコールジアクリレート架橋剤などのチオール反応性架橋剤)を組み合わせ、生成物を1時間インキュベーションして、ポリマーネットワークが架橋するようにした。
【0511】
実施例4.がん治療のための自然免疫アゴニストをコードする核酸から構成される例示的な核酸送達組成物の使用。
本実施例は、がん治療のための腫瘍切除部位での核酸免疫調節剤を含む持続放出性組成物の投与を説明する。いくつかの実施形態では、そのような核酸免疫調節剤は、自然免疫系のアゴニストであるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、自然免疫系のアゴニストは、核酸によってコードされる。いくつかの実施形態では、そのような持続放出性組成物は、少なくとも1つのポリマー生体材料及び少なくとも1つの核酸、または少なくとも1つのポリマー生体材料、少なくとも1つの核酸、及び少なくとも1つの核酸担体を含む。
【0512】
いくつかの実施形態では、インビボ研究は、インビトロで成長した乳癌細胞株を利用した。いくつかの実施形態では、移植前に、ウシ胎仔血清及び選択的薬剤を含有する培地中で乳癌細胞を培養した。いくつかの実施形態では、細胞を、既知の湿度、酸素、及びCO2濃度を有する生理学的温度で培養した。
【0513】
4T1-Luc2乳癌細胞を、10%のウシ胎仔血清(FBS)及び1%のペニシリン/ストレプトマイシンを含む、RPMI-1640培地中で培養した。全ての細胞を、5%のCO2で、37℃加湿インキュベーター中で培養した。
【0514】
いくつかの実施形態では、インビボ動物研究は、マウスにおいて実施される。いくつかの実施形態では、マウスの乳房脂肪パッド中に乳癌細胞を同所的に接種する。いくつかの実施形態では、手術は、腫瘍接種後の好適な時間後に(例えば、腫瘍接種後の約10日目に)実施される。いくつかの実施形態では、腫瘍切除と同時に、自然免疫応答アゴニストをコードする核酸を担持したポリマー生体材料またはポリマーネットワークを含む本明細書に記載の組成物を腫瘍切除部位に投与する。いくつかの実施形態では、自然免疫応答アゴニストをコードする核酸を有しないポリマー生体材料またはポリマーネットワークは、相対的な陰性対照として作用するように、腫瘍切除部位に投与される。いくつかの実施形態では、自然免疫応答アゴニストをコードする核酸の局所放出が延長された場合に、延長された生存の利益が観察される。
【0515】
いくつかの実施形態では、インビボ動物試験をマウスにおいて実施した。いくつかの実施形態では、マウスの乳房脂肪パッド中に乳癌細胞を同所的に接種した。いくつかの実施形態では、手術は、腫瘍接種の10日後に実施された。いくつかの実施形態では、腫瘍切除と同時に、自然免疫応答アゴニストをコードする核酸を担持したポリマー生体材料またはポリマーネットワークを含む本明細書に記載の組成物を腫瘍切除部位に投与した。いくつかの実施形態では、自然免疫応答アゴニストをコードする核酸を有しないポリマー生体材料またはポリマーネットワークを、相対的な陰性対照として作用するように、腫瘍切除部位に投与した。いくつかの実施形態では、自然免疫応答アゴニストをコードする核酸の局所放出が延長された場合に、延長された生存の利益が観察された。
【0516】
いくつかの実施形態では、インビボ動物研究は、6~8週齢の雌BALB/cJマウスで実施した。マウスの第4の乳房脂肪パッドに10
5個の4T1-Luc2乳癌細胞を同所的に接種した。マウスのサイズを一致させ、無作為に治療群に割り当て、腫瘍接種後10日目に手術を実施した。一次腫瘍切除については、マウスを2%イソフルランで麻酔し、腫瘍を切除した。同時に、自然免疫応答の活性化因子(例えば、IL-15 mRNA)を担持したポリマーネットワーク(例えば、架橋ヒアルロン酸)を含む本明細書に記載の組成物を腫瘍切除部位に移植した。空のポリマーネットワークを陰性対照として使用した。IL-15 mRNAの延長された局所放出時に、延長された生存の利益が観察された(
図3)。
【0517】
一実施形態では、インビボ動物研究は、6~8週齢の雌BALB/cJマウスで実施した。マウスの第4の乳房脂肪パッドに10
5個の4T1-Luc2乳癌細胞を同所的に接種し、腫瘍を増殖させた。腫瘍接種後10日目で、腫瘍のサイズを一致させ、マウスを治療群に無作為に割り当て、手術を実施した。一次腫瘍切除については、マウスを2%イソフルランで麻酔し、腫瘍を切除した。同時に、自然免疫応答の活性化因子(例えば、IL-15 mRNA、例えば、いくつかの実施形態では75μgの用量で)を担持したポリマーネットワーク(例えば、ポロキサマーヒドロゲルまたはポロキサマー及びヒアルロン酸ヒドロゲルを含有する)を含む本明細書に記載の組成物を腫瘍切除部位に注射した。ポロキサマー及びヒアルロン酸を含有する組成物による治療時に、延長された生存の有益が観察された(
図4)。特定の理論に拘束されることを望むものではないが、ポロキサマー及びヒアルロン酸を含有するポリマーネットワークは、ポロキサマーよりもヒアルロン酸によるより長いポリマー鎖の形成による、及び/またはヒアルロン酸の免疫刺激効果による、自然免疫応答の活性化因子(例えば、IL-15 mRNA)の延長された徐放放出により、ヒアルロン酸を含まず、ポロキサマーを含有するポリマーネットワークに対して、生存の増強をもたらすと仮定される。
【0518】
実施例5.がん治療のための免疫調節因子を含む例示的な核酸送達組成物の使用及び免疫応答分析。
本実施例は、がん治療のための腫瘍切除部位での本明細書に記載の核酸免疫調節剤を含む持続放出組成物の投与前、投与中、及び投与後の、免疫系に関連する分子の収集及び測定に関する。
【0519】
いくつかの実施形態では、インビボ研究は、インビトロで成長した乳癌細胞株を利用する。いくつかの実施形態では、移植前に、ウシ胎仔血清及び選択的薬剤を含有する培地中で乳癌細胞を培養する。いくつかの実施形態では、細胞を、既知の湿度、酸素、及びCO2濃度を有する生理学的温度で培養する。
【0520】
4T1-Luc2乳癌細胞を、10%のウシ胎仔血清(FBS)及び1%のペニシリン/ストレプトマイシンを含む、RPMI-1640培地中で培養する。全ての細胞を、5%のCO2で、37℃加湿インキュベーター中で培養する。
【0521】
いくつかの実施形態では、インビボ動物研究は、マウスにおいて実施される。いくつかの実施形態では、任意の追加の治療の前に、血液を、当該技術分野において既知である継続的な縦断的研究に好適な様式でマウスから採取し、血液を、当該技術分野において既知である後の分析のために保存する。次いで、マウスの乳房脂肪パッド中に乳癌細胞を同所的に接種した。固形腫瘍形成に適した期間(例えば、約6日、7日、8日、及び/または9日)の後、血液を、当該技術分野において既知である継続的な縦断的研究に好適な様式でマウスから採取し、血液を、当該技術分野において既知である後の分析のために保存する。腫瘍切除手術は、腫瘍接種後の好適な時間後に(例えば、腫瘍接種後の約10日目に)実施される。いくつかの実施形態では、腫瘍切除と同時に、免疫応答調節因子をコードする核酸を担持したポリマー生体材料またはポリマーネットワークを含む本明細書に記載の組成物を腫瘍切除部位に投与する。いくつかの実施形態では、免疫応答調節因子をコードする核酸を有しないポリマー生体材料またはポリマーネットワークは、相対的な陰性対照として作用するように、腫瘍切除部位に投与される。腫瘍切除及び生体材料配置後の適切な時点(例えば、約1週間、2週間、3週間、4週間、6週間、8週間、及び3か月)で、血液を、当該技術分野において既知である継続的な縦断的研究に好適な様式でマウスから採取し、血液を、当該技術分野において既知である後の分析のために保存する。自然免疫応答アゴニストをコードする核酸の局所放出が延焼された場合に、延長された生存の利益が観察される。
【0522】
実施例の生存部分の終了後、血液試料を分析し、免疫系に関連する分子及び細胞の測定を行う(例えば、フローサイトメトリー、ELISA、ウェスタンブロッティング、及び/またはMS/MS)。生存との相関について、免疫関連分子(例えば、IFN-α、IFN-βなどのサイトカイン)及び循環免疫細胞サブセットの測定値及びレベルを比較する。生存の延長を示す動物は、循環免疫細胞及び免疫関連分子の最適レベルを示す。
【0523】
均等物及び範囲
特許請求の範囲において、「a」、「an」、及び「the」などの冠詞は、反対の指示されない限り、またはそうでなければ文脈から明らかでない限り、1つまたは1つ超を意味し得る。ある群の1つ以上のメンバー間に「または」を含む特許請求の範囲または明細書は、反対の規定がない限り、または他のことが文脈から明らかでない限り、当該群のメンバーのうちの1つ、2つ以上、または全てが所与の製品またはプロセスに存在するか、用いられるか、またはそうでなければそれらに関連する場合に該当するとみなされる。本発明は、群のうちの厳密に1つのメンバーが所与の製品またはプロセスに存在するか、用いられるか、またはそうでなければそれらに関連する実施形態を含む。本発明は、群のメンバーのうちの2つ以上または全てが所与の製品またはプロセスに存在するか、用いられるか、またはそうでなければそれらに関連する実施形態を含む。
【0524】
更に本発明は、列挙された特許請求項のうちの1つ以上からの1つ以上の限定、要素、節、記述用語が別の特許請求項に導入されている全ての変形形態、組み合わせ、及び順列を包含する。例えば、別の特許請求項に従属する任意の特許請求項が、同じ基本特許請求項に従属する任意の他の特許請求項に見出される1つ以上の限定を含むように改変され得る。要素が、例えば、マーカッシュ群形式で列挙して提示される場合、要素の各下位群もまた開示されており、いずれの要素(複数可)も群から除去され得る。一般的に、本発明または本発明の態様が特定の要素及び/または特徴を含むとみなされる場合、本発明のある特定の実施形態または本発明の態様は、かかる要素及び/または特徴からなるか、または本質的にそれらからなることを理解すべきである。簡潔さのために、それらの実施形態は、本明細書においてこの通りの言葉で具体的に記載されていない。「含む(comprising)」及び「含有する(containing)」という用語は、オープンであることを意図し、追加の要素またはステップの包含を容認することにも留意されたい。範囲が与えられている場合、端点が含まれる。更に、別様に明記しない限り、または文脈及び当業者の理解から他のことが明らかでない限り、範囲として表現される値は、文脈が明らかに別様に指示しない限り、範囲の下限の単位の10分の1までの、本発明の異なる実施形態において明示される範囲内の任意の特定の値または部分範囲を想定し得る。
【0525】
本出願は、様々な発行された特許、公開された特許出願、ジャーナル論文、及び他の刊行物を参照し、これらの全ては参照により本明細書に組み込まれる。組み込まれた参考文献のいずれかと本明細書との間に矛盾がある場合、本明細書が優先するものとする。加えて、先行技術に該当する本開示の任意の特定の実施形態は、特許請求の範囲のうちのいずれか1つ以上から明示的に除外され得る。そのような実施形態は、当業者に既知であるとみなされるため、それらは、例外が本明細書に明示的に記載されていなくても除外され得る。本開示の任意の特定の実施形態は、先行技術の存在に関連するかどうかにかかわらず、任意の理由で、任意の特許請求の範囲から除外され得る。
【0526】
当業者は、日常的な実験のみを使用して本明細書に記載の特定の実施形態に対する多くの均等物を認識するか、または確認することができるであろう。本明細書に記載の本実施形態の範囲は、上記の説明に限定されることを意図するものではなく、むしろ添付の特許請求の範囲に記載される通りである。当業者は、以下の特許請求の範囲に定義される本開示の趣旨または範囲から逸脱することなく、本明細書に対する様々な変更及び修正が行われ得ることを理解するであろう。
【0527】
国際特許公開第2018/045058号の全容(例えば、組成物、デバイス、調製方法、使用方法、及びキット)は、本明細書に記載の目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【国際調査報告】