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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】ハンドヘルドレーザー溶接装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/00 20140101AFI20241106BHJP
   B23K 26/21 20140101ALI20241106BHJP
【FI】
B23K26/00 M
B23K26/21 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529321
(86)(22)【出願日】2022-11-16
(85)【翻訳文提出日】2024-05-16
(86)【国際出願番号】 US2022050110
(87)【国際公開番号】W WO2023091489
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】63/281,116
(32)【優先日】2021-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/974,711
(32)【優先日】2022-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
(71)【出願人】
【識別番号】510202156
【氏名又は名称】リンカーン グローバル,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【弁理士】
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】チェノット,ジリアン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ウレイ,シェルドン エイ.
(72)【発明者】
【氏名】スケルベック,ジョセフ ジェイ.
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168AD07
4E168BA34
4E168BA37
4E168CA00
4E168CB00
4E168FB01
4E168KA16
(57)【要約】
レーザー溶接システムは、パワーサプライによるレーザー光の起動を制御するコントローラを有するレーザーパワーサプライを含む。センスリードが被加工物に装着可能である。ハンドヘルドレーザー溶接トーチがレーザー光を受け取るためにパワーサプライに接続されている。トーチは、電気絶縁性外側表面を有するノズルと、ノズルに印加された圧力レベルを計測する且つ圧力レベル信号を生成する圧力センサと、を含む。近接センサは、センスリード及びトーチに動作自在に接続され、且つ、トーチが被加工物に隣接しているかどうか判定するように且つ近接信号を生成するように構成されている。コントローラは、圧力レベル信号及び近接信号を受け取っている。コントローラは、ノズルに印加された圧力レベルが閾値を充足又は超過しており且つ近接信号がトーチが被加工物に隣接していることを通知している際にレーザー光を起動している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザー溶接システム(100)であって、
レーザーパワーサプライ(110)であって、前記レーザーパワーサプライ(110)によるレーザー光(118)の起動を制御するコントローラ(114)を有するレーザーパワーサプライ(110)と、
溶接対象である被加工物(W)に装着可能であるセンスリード(142)と、
前記レーザーパワーサプライ(110)から前記レーザー光(118)を受け取るために前記レーザーパワーサプライ(110)に動作自在に接続されたハンドヘルドレーザー溶接トーチ(130)と、
を有し、
前記ハンドヘルドレーザー溶接トーチ(130)は、
電気絶縁性外側表面を有するノズル(136)と、
前記ノズル(136)に印加された圧力レベルを計測する且つ対応する圧力レベル信号を生成する圧力センサ(139)と、
を含み、
前記レーザー溶接システム(100)は、前記センスリード(142)及び前記ハンドヘルドレーザー溶接トーチ(130)に動作自在に接続された且つ前記ハンドヘルドレーザー溶接トーチ(130)が前記被加工物(W)に隣接しているかどうかを判定するように且つ対応する近接信号を生成するように構成された近接センサ(138)を更に含み、
前記コントローラ(114)は、前記圧力センサ(139)から前記圧力レベル信号を受け取り、且つ、前記近接センサ(138)から前記近接信号を受け取っており、且つ、前記コントローラ(114)は、前記ノズル(136)に印加された前記圧力レベルが閾値を充足又は超過しており且つ前記近接信号が前記ハンドヘルドレーザー溶接トーチ(130)が前記被加工物(W)に隣接していることを通知している際に前記レーザー光(118)を起動するように構成されている、システム。
【請求項2】
消耗ワイヤ(122)を前記ハンドヘルドレーザー溶接トーチ(130)に供給するワイヤフィーダ(120)を更に有する、請求項1に記載のレーザー溶接システム(100)。
【請求項3】
前記センスリード(142)は、ワーククランプ(140)を有する、請求項1又は2に記載のレーザー溶接システム(100)。
【請求項4】
前記圧力センサ(139)は、歪ゲージを有する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のレーザー溶接システム(100)。
【請求項5】
前記圧力センサ(139)は、前記ノズル(136)に印加される前記圧力レベルが前記閾値を充足又は超過した際に作動するスイッチを有し、且つ、前記スイッチの作動は、前記対応する圧力レベル信号を生成している、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のレーザー溶接システム(100)。
【請求項6】
前記ハンドヘルドレーザー溶接トーチ(130)は、反射されたレーザー光をブロックするレーザー光ガード(134)を含む、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のレーザー溶接システム(100)。
【請求項7】
前記レーザーパワーサプライ(110)は、前記コントローラ(114)に動作自在に接続されたユーザーインターフェイス(116)を更に有し、前記ユーザーインターフェイス(116)は、操作者コードの入力を受け取るように構成され、且つ、前記コントローラ(114)は、前記操作者コードを検証するように且つ前記操作者コードが検証された後に前記レーザー光(118)の起動を有効化するように構成されている、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のレーザー溶接システム(100)。
【請求項8】
前記ユーザーインターフェイス(116)は、チェックリストを表示するように構成され、且つ、前記コントローラ(114)は、前記チェックリストの個々の要素に対応する複数のアクノリッジ入力を検証するように且つ前記複数のアクノリッジ入力が検証された後に前記レーザー光(118)の起動を有効化するように構成されている、請求項7に記載のレーザー溶接システム(100)。
【請求項9】
レーザー溶接システム(100)であって、
レーザーパワーサプライ(110)であって、前記レーザーパワーサプライ(110)によるレーザー光(118)の起動を制御するコントローラ(114)を有するレーザーパワーサプライ(110)と、
溶接対象の被加工物(W)に装着可能であるセンスリード(142)と、
前記レーザーパワーサプライ(110)から前記レーザー光(118)を受け取るために前記レーザーパワーサプライ(110)に動作自在に接続されたハンドヘルドレーザー溶接トーチ(130)と、
を有し、
前記ハンドヘルドレーザー溶接トーチ(130)は、
ノズル(136)と、
前記ノズル(136)に印加された圧力レベルを検知する且つ対応する圧力信号を生成する圧力センサ(139)と、
を含み、
前記レーザー溶接システム(100)は、前記センスリード(148)及び前記ハンドヘルドレーザー溶接トーチ(130)に動作自在に接続された且つ前記ハンドヘルドレーザー溶接トーチ(130)が前記被加工物(W)に隣接しているかどうかを判定するように且つ対応する近接信号を生成するように構成された近接センサ(138)を更に有し、
前記コントローラ(114)は、前記圧力センサ(139)から前記圧力信号を受け取り、且つ、前記近接センサ(138)から前記近接信号を受け取っており、且つ、前記コントローラ(114)は、前記ノズル(136)に印加された前記圧力レベルが閾値を充足又は超過しており且つ前記近接信号が前記ハンドヘルドレーザー溶接トーチ(130)が前記被加工物(W)に隣接していることを通知している際に前記レーザー光(118)を起動するように構成されている、システム。
【請求項10】
消耗ワイヤ(122)を前記ハンドヘルドレーザー溶接トーチ(130)に供給するワイヤフィーダ(120)を更に有する、請求項9に記載のレーザー溶接システム(100)。
【請求項11】
前記センスリード(142)は、ワーククランプ(140)を有し、且つ、前記ノズル(136)は、電気絶縁性外側表面を有する、請求項9又は10に記載のレーザー溶接システム(100)。
【請求項12】
前記センスリード(142)は、磁石を有し、且つ、前記ノズル(136)は、非磁性外側表面を有する、請求項9乃至11のいずれか1項に記載のレーザー溶接システム(100)。
【請求項13】
前記圧力センサ(139)は、歪ゲージを有する、請求項9乃至12のいずれか1項に記載のレーザー溶接システム(100)。
【請求項14】
前記圧力センサ(139)は、前記ノズル(136)に印加された前記圧力レベルが前記閾値を充足又は超過している際に作動するスイッチを有し、且つ、前記スイッチの作動は、前記対応する圧力レベル信号を生成している、請求項9乃至13のいずれか1項に記載のレーザー溶接システム(100)。
【請求項15】
前記ハンドヘルドレーザー溶接トーチ(130)は、反射されたレーザー光をブロックするレーザー光ガード(134)を含む、請求項9乃至14のいずれか1項に記載のレーザー溶接システム(100)。
【請求項16】
前記レーザーパワーサプライ(110)は、前記コントローラ(114)に動作自在に接続されたユーザーインターフェイス(116)を更に有し、前記ユーザーインターフェイス(116)は、操作者コードの入力を受け取るように構成され、且つ、前記コントローラ(114)は、前記操作者コードを検証するように且つ前記動作者コードが検証された後に前記レーザー光(118)の起動を有効化するように構成されている、請求項9乃至15のいずれか1項に記載のレーザー溶接システム(100)。
【請求項17】
前記ユーザーインターフェイス(116)は、チェックリストを表示するように構成され、且つ、前記コントローラ(114)は、前記チェックリストの個々の要素に対応する複数のアクノリッジ入力を検証するように且つ前記複数のアクノリッジ入力が検証された後に前記レーザー光(118)の起動を有効化するように構成されている、請求項16に記載のレーザー溶接システム(100)。
【請求項18】
レーザー溶接システム(100)であって、
レーザーパワーサプライ(110)であって、前記レーザーパワーサプライ(110)によるレーザー光(118)の起動を制御するコントローラ(114)を有するレーザーパワーサプライ(110)と、
前記レーザーパワーサプライ(110)から前記レーザー光(118)を受け取るために前記レーザーパワーサプライ(110)に動作自在に接続されたハンドヘルドレーザー溶接トーチ(130)と、
を有し、
前記ハンドヘルドレーザー溶接トーチ(130)は、
ノズル(136)と、
前記ノズル(136)に印加される圧力レベルに基づいて圧力信号を生成する圧力センサ(139)と、
前記ハンドヘルドレーザー溶接トーチ(130)が溶接対象の被加工物(W)に隣接していることを判定する且つ対応する近接信号を生成する手段と、
を含み、
前記コントローラ(114)は、前記圧力信号及び前記近接信号の両方を受け取り、且つ、前記コントローラ(114)は、前記ノズル(136)に印加された前記圧力レベルが閾値を充足又は超過しており且つ前記近接信号が前記ハンドヘルドレーザー溶接トーチ(130)が前記被加工物(W)に隣接することを通知している際に前記レーザー光(118)を起動するように構成されている、システム。
【請求項19】
消耗ワイヤ(122)を前記ハンドヘルドレーザー溶接トーチ(130)に供給するワイヤフィーダ(120)を更に有する、請求項18に記載のレーザー溶接システム(100)。
【請求項20】
前記被加工物(W)に装着可能なセンスリード(142)を更に有し、前記センスリード(142)は、ワーククランプ(140)を有し、且つ、前記ノズル(136)は、電気絶縁性外側表面を有する、請求項18又は19に記載のレーザー溶接システム(100)。
【請求項21】
前記被加工物(W)に装着可能であるセンスリード(142)を更に有し、前記センスリード(142)は、磁石を有し、且つ、前記ノズル(136)は、非磁性外側表面を有する、請求項18乃至20のいずれか1項に記載にレーザー溶接システム(100)。
【請求項22】
前記圧力センサ(139)は、歪ゲージを有する、請求項18乃至21のいずれか1項に記載のレーザー溶接システム(100)。
【請求項23】
前記圧力センサ(139)は、前記ノズル(136)に印加された前記圧力レベルが前記閾値を充足又は超過している際に作動するスイッチを有し、且つ、前記スイッチの作動は、前記対応する圧力レベル信号を生成している、請求項18乃至22のいずれか1項に記載のレーザー溶接システム(100)。
【請求項24】
前記レーザーパワーサプライ(110)は、前記コントローラ(114)に動作自在に接続されたユーザーインターフェイス(116)を更に有し、前記ユーザーインターフェイス(116)は、操作者コードの入力を受け取るように構成され、且つ、前記コントローラ(114)は、前記操作者コードを検証するように且つ前記操作者コードが検証された後に前記レーザー光(118)の起動を有効化するように構成されている、請求項18乃至23のいずれか1項に記載のレーザー溶接システム(100)。
【請求項25】
前記ユーザーインターフェイス(116)は、チェックリストを表示するように構成され、且つ、前記コントローラ(114)は、前記チェックリストの個々の要素に対応する複数のアクノリッジ入力を検証するように且つ前記複数のアクノリッジ入力が検証された後に前記レーザー光(118)の起動を有効化するように構成されている、請求項24に記載のレーザー溶接システム(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年11月19日付けで出願された米国仮特許出願第63/281,116号の優先権及び利益を主張する、2022年10月27日付けで出願された米国特許出願第17/974,711号の優先権を主張するものであり、これらの特許文献の開示内容は、引用により、そのすべてが本明細書に包含される。
【0002】
本発明の実施形態は、レーザー装置に関する。更に詳しくは、本発明の実施形態は、例えば、溶接及び切断用のハンドヘルドレーザー装置、システム、及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ハンドヘルドレーザー装置は、被加工物に対して特定のタイプの溶接又は切断手順を実行する際に非常に有効であり得る。但し、このような装置を使用する際には、一般的に、自由空間内への又はさもなければ被加工物から離れる望ましくない又は意図しない方向におけるレーザー光の偶発的な放出は、望ましいものではない。更には、ハンドヘルドレーザー装置の特定の態様との関係における性能改善が望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
以下の概要は、本明細書において開示されている装置、システム、及び/又は方法のいくつかの態様の基本的な理解を提供するために簡潔な概要を提示している。この概要は、本明細書において開示されている装置、システム、及び/又は方法の広範な概要ではない。重要な要素を識別すること又はこのような装置、システム、及び/又は方法の範囲を線引きすることを意図したものではいない。その唯一の目的は、以下において提示されている更に詳細な説明に対する前置きとしていくつかの概念を簡潔な形態において提示するというものである。
【0005】
本発明の一態様によれば、レーザー溶接システムが提供されている。レーザー溶接システムは、レーザーパワーサプライによるレーザー光の起動を制御するコントローラを有するレーザーパワーサプライを含む。センスリードが溶接対象の被加工物に装着可能である。ハンドヘルドレーザー溶接トーチがレーザーパワーサプライからレーザー光を受け取るためにレーザーパワーサプライに動作自在に接続されている。ハンドヘルドレーザー溶接トーチは、電気絶縁性外側表面を有するノズルと、ノズルに印加される圧力レベルを計測する且つ対応する圧力レベル信号を生成する圧力センサと、を含む。レーザー溶接システムは、センスリード及びハンドヘルドレーザー溶接トーチに動作自在に接続された且つハンドヘルドレーザー溶接トーチが被加工物に隣接しているかどうかを判定するように且つ対応する近接信号を生成するように構成された近接センサを更に含む。コントローラは、圧力センサから圧力レベル信号を受け取り且つ近接センサから近接信号を受け取っている。コントローラは、ノズルに印加されている圧力レベルが閾値を充足又は超過しており且つ近接信号がハンドヘルドレーザー溶接トーチが被加工物に隣接していることを通知している際にレーザー光を起動するように構成されている。
【0006】
本発明の別の態様によれば、レーザー溶接システムが提供されている。レーザー溶接システムは、レーザーパワーサプライによるレーザー光の起動を制御するコントローラを有するレーザーパワーサプライを含む。センスリードが溶接対象の被加工物に装着可能である。ハンドヘルドレーザー溶接トーチがレーザーパワーサプライからレーザー光を受け取るためにレーザーパワーサプライに動作自在に接続されている。ハンドヘルドレーザー溶接トーチは、ノズルと、ノズルに印加された圧力レベルを検知し且つ対応する圧力信号を生成する圧力センサと、を含む。レーザー溶接システムは、センスリード及びハンドヘルドレーザー溶接トーチに動作自在に接続された且つハンドヘルドレーザー溶接トーチが被加工物に隣接しているかどうかを判定するように且つ対応する近接信号を生成するように構成された近接センサを更に含む。コントローラは、圧力センサからの圧力信号を受け取り、且つ、近接センサから近接信号を受け取っている。コントローラは、ノズルに印加される圧力レベルが閾値を充足又は超過しており且つ近接信号がハンドヘルドレーザー溶接トーチが被加工物に隣接していることを通知している際にレーザー光を起動するように構成されている。
【0007】
本発明の別の態様によれば、レーザー溶接システムが提供されている。レーザー溶接システムは、レーザーパワーサプライによるレーザー光の起動を制御するコントローラを有するレーザーパワーサプライを含む。センスリードが溶接対象の被加工物に装着可能である。ハンドヘルドレーザー溶接トーチがレーザーパワーサプライからレーザー光を受け取るためにレーザーパワーサプライに動作自在に接続されている。ハンドヘルドレーザー溶接トーチは、ノズルと、ノズルに印加される圧力レベルに基づいて圧力信号を生成する圧力センサと、を含む。レーザー溶接システムは、ハンドヘルドレーザー溶接トーチが溶接対象の被加工物に隣接していることを判定するための且つ対応する近接信号を生成するための手段を更に含む。コントローラは、圧力センサから圧力信号を受け取り、且つ、近接センサから近接信号を受け取っている。コントローラは、ノズルに印加される圧力レベルが閾値を充足又は超過しており且つ近接信号がハンドヘルドレーザー溶接トーチが被加工物に隣接していることを通知している際にレーザー光を起動するように構成されている。
【0008】
本発明の上述の且つその他の態様については、以下の図を含む添付図面を参照する以下の説明を参照した際に本発明が関係している技術分野の当業者に明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】レーザー溶接システムの一実施形態を示すシステムブロック図である。
図2】ハンドヘルドレーザー溶接トーチを示す。
図3】レーザーパワーサプライのユーザーインターフェイスを示す。
図4】例えば、図1のレーザー溶接システムにおいて使用され得るコントローラの例示用の一実施形態のブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、溶接及び切断用のハンドヘルドレーザー装置に関する。以下、本発明については、同一の参照符号が全体を通じて同一の要素を参照するために使用されている図面を参照して説明することとする。様々な図面は、必ずしも、1つの図から別のものへ又は所与の図の内側において正確な縮尺で描かれてはおらず、且つ、具体的には、コンポーネントのサイズが図面の理解を促進するために任意に描かれていることを理解されたい。以下の記述においては、説明を目的として、多数の特定の詳細事項が本発明の十分な理解を提供するために記述されている。但し、本発明は、これらの特定の詳細事項を伴うことなしに実施され得ることが明らかであろう。これに加えて、本発明のその他の実施形態も可能であり、且つ、本発明は、記述されているものとは別の方法で実施及び実行される能力を有する。本発明の説明において使用されている用語及ぶフレーズは、本発明の理解の促進を目的として利用されており、且つ、限定として解釈してはならない。
【0011】
本明細書において使用されている「少なくとも1つ(at least one)」、「1つ又は複数(one or more)」、及び「及び/又は(and/or)」は、動作の際に接続的及び離接的の両方であるオープンエンド型の表現である。例えば、「A、B、及びCの少なくとも1つ」、「A、B、又はCの少なくとも1つ」、「A、B、及びCの1つ又は複数」、「A、B、又はCの1つ又は複数」、及び「A、B、及び/又はC」という表現のそれぞれは、Aのみ、Bのみ、Cのみ、一緒にA及びB、一緒にA及びC、一緒にB及びC、又は一緒にA、B、及びCを意味している。実施形態の説明、請求項、又は図面中に含まれているかどうかを問わず、2つ以上の代替用語を提示している任意の離接的用語又はフレーズは、用語の1つ、用語のいずれか、又は用語の両方を含む可能性を想定しているものとして理解されたい。例えば、「A又はB」というフレーズは、「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を含むものと理解されたい。
【0012】
本明細書において記述されている本発明の実施形態は、レーザー溶接の文脈において記述されているが、本発明のその他の実施形態は、これに限定されるものではない。例えば、実施形態は、レーザー切断動作において利用することができる。本明細書において使用されている「溶接」又は「レーザー溶接」という用語は、レーザー溶接及び切断の両方を包含することが意図されている。効率性の利益を目的として、「溶接」という用語が以下においては例示用の実施形態の説明において使用されているが、これは、溶接及び切断の両方を含むものと解釈されたい。
【0013】
図1は、レーザー溶接及び切断システム100の一実施形態を示すシステムブロック図である(説明の容易性を目的として、以下においては、レーザー溶接システムと呼称する)。レーザー溶接システム100は、ハンドヘルドレーザー溶接/切断トーチ130又はガンを含み、且つ、操作者による手動動作のために構成されている。レーザー溶接システム100は、その他のものに加えて、レーザー発振器112、コントローラ114、及びユーザーインターフェイス116を有するレーザーパワーサプライ110を含む。コントローラ114は、レーザーパワーサプライ110によるレーザー光118の起動を制御するためにレーザー発振器112に動作自在に接続されている。また、コントローラ114は、ユーザーインターフェイス116にも動作自在に接続されている。ユーザーインターフェイス116は、操作者がレーザーパワーサプライ110の様々な動作パラメータを設定及び観察することを許容している。レーザーパワーサプライの構造及び動作については、当技術分野において既知であり、且つ、本明細書において詳細に記述する必要はない。
【0014】
また、特定の実施形態においては、レーザー溶接システム100は、ワイヤフィーダ120をも含む。ワイヤフィーダ120は、消耗ワイヤ122をトーチ130に供給している。消耗ワイヤ122は、溶接の際にレーザーエネルギーによって溶解されるフィラーワイヤとして機能し得る。特定の実施形態において、消耗ワイヤ122は、被加工物W上の溶接ゾーンに向かうトーチからの放出の前に、ワイヤフィーダ120又はトーチ130によって事前加熱される所謂ホットワイヤであり得る。事前加熱された消耗ワイヤ122は、レーザー光118によって後から溶解されている。電気アークが加熱された消耗ワイヤ122と被加工物Wの間において生成されている場合には、レーザー光118は、自動的に無効化することができる。同様に、ホットワイヤパワーサプライ及びワイヤフィーダ120も、トーチ130が被加工物Wから除去された際には、無効化することができる。
【0015】
ハンドヘルドレーザー溶接トーチ130は、レーザーパワーサプライからレーザー光118を受け取るためにレーザーパワーサプライ110に動作自在に接続されている。トーチ130は、レーザーパワーサプライ110からのレーザー光を溶接ゾーンに向かって導くために且つ/又は合焦するためにレーザーオプティクスを含むことができる。レーザー溶接システム100は、溶接ワーククランプ140及びセンスリード142、シールドガスのシリンダ150、保護ヘルメット160、及び保護ヘルメット160の下方において装用されるように構成されたレーザーシールドガラス170を更に含むことができる。レーザーエネルギー(例えば、レーザー光118)は、一実施形態によれば、レーザーパワーサプライ110からトーチ130にワイヤフィーダ120を介して提供されている。或いは、この代わりに、レーザーエネルギーは、適切な光配線を介してトーチ130に対して直接的にレーザーパワーサプライ110から提供されている。本明細書には様々な態様がレーザー溶接の観点において記述されているが、レーザー切断に対する適用も同様に有効である。
【0016】
図2は、ハンドヘルドレーザー溶接トーチ130を更に詳細に示している。トーチ130は、溶接の際にレーザー光を起動及び起動停止するためのトリガ132を含み得る。特定の実施形態において、トーチ130は、(例えば、溶接の際に被加工物から反射されたものなどの)反射されたレーザー光をブロックするレーザー光ガード134を含み得る。レーザー光ガード134は、トーチのノズル136の近傍などのトーチ130の遠端において取り付けることができる。特定の実施形態において、レーザー光ガード134は、操作者が、ガード上のレンズを通じてなどのように、レーザー光ガードを通じて溶接ゾーンを観察することを許容しつつ、レーザー反射を減衰させる又はフィルタリングすることができる。レーザー光ガード134は、溶接/切断の際のレーザー反射からの操作者の眼の保護を支援し得る。保護ヘルメット160及び/又はレーザーシールドガラス170は、操作者用の更なる眼の保護を提供することができる。望ましい場合に、レーザー溶接システム100は、トーチ130から放出されたレーザー光118からの更なる保護を提供するために溶接ワークエリアの周りにおいてバリア/カーテンを含むことができる。
【0017】
レーザー溶接システム100は、トーチ130が被加工物Wの近傍に位置している又は隣接している又はこれに向けられている際にのみのレーザー光118の起動の保証を支援するために様々な特徴を含み得る。このような特徴は、自由空間内への又はさもなければ望ましくない又は意図しない方向における(例えば、操作者に向かう又は傍観者に向かう)レーザー光の偶発的な放出を防止することができる。一実施形態において、トーチ130のノズル136の外側表面は、電気絶縁性を有する。ノズル136は、例えば、セラミックなどの非伝導性材料(導電性を有していない)から製造することが可能であり、或いは、電気絶縁性被覆を有し得るであろう。レーザー溶接システム100は、レーザーパワーサプライ110からのセンスリード142を含み得る。センスリード142は、その遠端においてワーククランプ140を有する。ワーククランプ140は、レーザーパワーサプライ110からのセンスリードを被加工物Wに装着するために使用することができる。ワーククランプ140は、被加工物Wにクランプするために顎部又はボルト装置を含み得る。また、レーザー溶接システム100は、センスリード142及びハンドヘルドレーザー溶接トーチ130に動作自在に接続された近接センサ138をも含み得る。近接センサ138は、トーチが被加工物から所定の距離に位置している間にレーザー光が起動されないように、トーチ130が被加工物Wに隣接しているかどうかを判定するように且つ対応する近接信号を生成するように構成されている。近接信号は、コントローラがトーチ130が被加工物の近傍に位置している又はこれに隣接している際が認知されるように、レーザーパワーサプライ110内のコントローラ114に送信されている。近接センサの例示用のタイプは、限定を伴うことなしに、磁気近接センサ、誘導性近接センサ、静電容量性近接センサ、などを含み得る。近接センサ138は、図2においては、トーチ130の内部又は上部に配置されるものとして概略的に示されている。近接センサ138は、トーチ130が被加工物Wに隣接しているかどうかを判定するためにセンスリード142及びワーククランプ140との関連において機能するように意図されている。例えば、ワーククランプ140は、トーチ130が被加工物に隣接していることを近接センサ138が検出するために、被加工物Wに装着されなければならない。ノズル136の電気絶縁性材料又は外側表面は、被加工物Wに対するトーチ130の近接性を検出するシステムの能力を無効化するために、ワーククランプ140がノズルに直接的に接続されることを妨げることができる。ノズル136上のセラミック又はその他の電気絶縁性カバーは、センスリード142/ワーククランプ140を被加工物Wの代わりにトーチ130に直接的に接続することを妨げることが可能であり、且つ、ノズルが過熱することを防止することもできる。特定の実施形態において、センスリード142は、センスリードを被加工物Wに装着するために、その遠端においてワーククランプではなく磁石を含むことができる。このケースにおいては、ノズル136は、被加工物Wに対するトーチ130の近接性を検出するシステムの能力を無効化するためにセンスリード142からの磁石がノズル136に装着され得ないように、非磁性材料(例えば、アルミニウム、真鍮、セラミック、特定のステンレス鋼、など)から製造することができる。
【0018】
特定の実施形態において、トーチ130は、操作者が被加工物Wに圧接状態においてノズル136を押圧していない限りレーザー光118が起動されないように、トーチがネイルガンの鼻部に類似した圧力接触ノズルと共に動作することを許容するために圧力センサ139を含むことができる。圧力センサ139は、ノズル136に印加される軸方向の圧力レベルを検知又は計測する又はさもなければこれに応答することが可能であり、且つ、被加工物によってノズルに印加された軸方向の圧力に基づいて対応する圧力又は圧力レベル信号を生成することができる。例示用の一実施形態において、圧力センサ139は、ノズル136に印加された圧力を計測するための歪ゲージを含む。別の例示用の実施形態において、圧力センサ139は、ノズル136に印加された軸方向の圧力レベルが閾値レベルを充足又は超過した際に作動する(例えば、閉路又は開路する)スイッチを含む。当業者は、例えば、圧電又は静電容量性圧力センサ、ソリッドステートセンサ、光学センサ、又はMEMS装置などのネイルガンの鼻部に類似した機能をトーチ130に提供するために使用され得るその他のタイプの圧力センサについて理解するであろう。
【0019】
圧力センサ139からの圧力又は圧力レベル信号及び近接センサ138からの近接信号は、いずれも、レーザーパワーサプライ110内のコントローラ114に送信されている。コントローラ114は、トーチ130が被加工物Wの近傍に位置しているか又は隣接しているかどうか並びに被加工物に対して圧接状態において押圧されているかどうかを判定するためにこれらの信号を受け取っている。コントローラ114は、ノズル136に印加された圧力レベルが閾値圧力レベルを充足又は超過しており且つ近接信号がトーチ130が被加工物に隣接していることを通知している際にレーザー光118を起動するように構成されている。レーザー光118を起動するための更なる条件は、トーチ130上のトリガ132を引くというものであり得る。但し、特定の実施形態においては、トリガ132を引くことは、レーザー光118を起動するために必須ではなく、且つ、被加工物に装着されたセンスリード142によって被加工物Wに圧接状態においてノズル136を押圧することのみが、コントローラ114がレーザー光を起動するようにすることになる。コントローラ114は、トーチ130が被加工物Wに圧接状態において押圧されているかどうかを判定するために、圧力センサ139からの圧力レベル信号を保存されている閾値圧力レベルと比較することができる。或いは、この代わりに、比較は、トーチ130内の付勢メカニズムを介して機械的に実行することもできる。例えば、閾値を充足又は超過する十分な力によって被加工物Wに圧接状態においてノズル136を押圧することは、トーチ130内のスイッチを作動させることが可能であり、その結果、これが圧力レベル信号を生成している。このケースにおいては、コントローラ114が圧力レベル信号を保存されている閾値と比較する必要はなくなり、その理由は、圧力レベル信号の存在が、十分な圧力がノズル136に印加されたことを通知することになるからである。また、コントローラ114は、トーチ130が被加工物Wに隣接しているかどうかを判定するために、近接センサ138からの近接信号を保存されている閾値近接性レベルと比較することもできる。
【0020】
特定の実施形態において、レーザーパワーサプライ110は、認可されていない人物がレーザートーチ130を動作させることを防止するソフトウェアロックアウトを含み得る。一実施形態において、操作者は、まず、安全トレーニングクラスに出席しなければならず、安全トレーニングクラスに合格しなければならず、且つ、次いで、レーザー溶接システム100を有効化するために操作者が使用する操作者コードを受け取らなければならない。操作者は、安全トレーニングクラスに合格する時点まで操作者コードを受け取ることはない。コードは、任意の数の異なる方法のうちの1つにおいて提供することができる(例えば、テキストメッセージにおいて、電子メールにおいて、RFIDタグにおいてエンコーディングされた状態において、又はエンコーディングされたバッジとして、など)。レーザーパワーサプライのユーザーインターフェイス116は、操作者と関連するRFIDタグ又はQRコードをスキャニングする又は操作者によるコードの手動入力(例えば、英数コードの手動入力)を受け取るなどにより、操作者コードの入力を受け取るように構成することができる。コントローラ114は、操作者コードを検証し、且つ、操作者コードが検証された後にのみレーザー光の起動を有効化している。
【0021】
図3において観察され得るように、特定の実施形態において、ユーザーインターフェイス116は、チェックリストを表示するように構成することができる。コントローラ114は、チェックリストの個々の要素に対応する操作者からの複数のアクノリッジ入力を検証し、且つ、複数のアクノリッジ入力が検証された後にのみレーザー光の起動を有効化している。図3において、ユーザーインターフェイス116上において表示されている例示用のチェックリストは、3つの要素(チェックリストアイテムA、B、及びC)を有し、これらの最初の2つは、アクノリッジ入力を受け取っている。チェックリストの要素は、操作者がレーザー溶接を実行する前に実行しなければならないステップ又はアクションに対応し得る。一実施形態においては、レーザー溶接ワークエリアの周りの様々な安全性機能を提供するためにセットアップされ得る安全キットの全体が提供されている。安全キットは、例えば、安全PPE、バリア、及びセンサを含み得る。ユーザーインターフェイス116上において表示されているチェックリストは、操作者が、レーザー溶接動作が進捗し得る前に、(例えば、接触感知表示エリアに対するボタンを押圧することにより)チェックリスト内のそれぞれのアイテムを閲覧し且つアクノリッジしなければならないように、提供することができる。チェックリストは、操作者が、例えば、レーザー安全PPE(例えば、レーザー安全ガラス(又は、均等物)、レーザー安全グローブ)が適切に装用されている且つレーザー安全責任者が存在していることをアクノリッジすることを必要とし得る。一実施形態において、チェックリストは、反射防止被覆が被加工物に適用されることを必要とし得る。反射防止被覆は、液体として被加工物上において塗布され且つ溶接が開始される前に乾燥している。反射防止被覆は、被加工物からの(レーザービームによって生成された)赤外線エネルギーの反射を軽減している。同様に、チェックリストは、反射防止シールドガス(例えば、水蒸気、CO2)の使用を必要とし得る。反射防止シールドガスは、溶接パドルにおける又はその近傍における(レーザービームによって生成された)赤外線エネルギーの反射を軽減している。
【0022】
レーザー溶接システムのいくつかの実施形態において、システムは、レーザーエネルギーの反射からの安全性を保証するために溶接エリアの周りにおいてRFIDタグについてスキャニングするエリアスキャナを含み得る。例えば、人物がレーザー溶接が発生しているエリアに進入した場合に、レーザー溶接システムのスキャナは、人物によって装用されているRFIDタグを検出することになり、且つ、レーザー溶接装置のレーザーをシャットダウンすることになる。このような一実施形態においては、レーザー溶接施設に対するアクセスを有する人物は、安全プロセスの一部としてこのようなRFIDタグを装用することが必要とされている。特定の実施形態において、レーザー溶接システム100は、非レーザー操作者が有効なレーザーから離れた状態を維持するための非操作者近接センサを含み得る。これは、ビデオ監視システムが溶接エリア内において任意の人間を検出するようにすることにより、実現することができる。非レーザー操作者が溶接エリア内において又はその近傍において検出された際には、(例えば、ビデオ監視システムとレーザーパワーサプライ110の間の無線通信を介して)レーザー光を自動的にシャットダウンすることができる。例えば、熱監視システム、接触検知監視システム、又はRFID監視システムを含むその他の監視システムをその他の実施形態に従って同様の方式で利用することができる。
【0023】
いくつかの実施形態において、ヘルメット160は、レーザー光の存在を検知することができる。レーザー光の反射(レーザーエネルギー)は、レーザー溶接プロセスの際にユーザーの頭部及び眼に対する損傷をもたらし得る。レーザーエネルギーを検出する能力を有するセンサをユーザーの保護溶接ヘルメット160内に(例えば、こちらもレーザー光フィルタを有するヘルメットの内側上に)内蔵することができる。溶接ヘルメット160は、レーザーパワーサプライ110又はトーチ130と通信するように更に構成されている。一実施形態において、溶接ヘルメット160内のセンサがレーザー溶接プロセスの際にレーザーエネルギーを検出した際には、信号が、レーザーパワーサプライ110(例えば、コントローラ114)又はトーチ130に送信され、且つ、レーザーをシャットダウンしている。問題をユーザーに通知するために、エラーシンボル又はテキストを溶接ヘルメット160の又はレーザーパワーサプライ110のディスプレイ上において提示することができる。レーザー光がヘルメットの首部分の周りなどのヘルメット160の内部に進入してしまった場合には、ヘルメット内のレーザー光センサは、レーザー光をシャットオフすることができる。また、レーザー溶接システム100は、ワークエリアの直接外側において発生するレーザーエネルギーを検知するように構成された少なくとも1つのセンサを含むことが可能であり、且つ、安全性を理由として相応してレーザー溶接システムをシャットダウンすることができる。
【0024】
一実施形態においては、溶接継手を追跡するために、トーチ130のレーザービームが使用されている。レーザービームが溶接継手から外に移動した場合には、システムは、レーザービームをシャットダウンすることが可能であり、且つ/又は、警告をユーザーに提供することができる。
【0025】
特定の実施形態において、トーチ130は、ユーザーにとっての溶接及び溶接パドルの可視性を改善するために、溶接動作の際に溶接パドルを照明するように、1つ又は複数の発光ダイオード(LED)を含み得る。また、トーチ130は、特にトーチがレーザー光を起動するためのトリガを欠いている場合にレーザーを無効化するための緊急停止(E-Stop)装置を含み得る。一実施形態においては、トーチ130内の可視(例えば、赤色)レーザーガイドライトが、まず、トリガ132を第1トリガ位置に引いた際に起動されている。ガイドライトは、トリガ132を第2トリガ位置に引くのに伴ってレーザーが起動された際に、ターンオフしている。赤色レーザーガイドライトは、溶接対象の被加工物上の継手との間におけるハンドヘルドレーザー装置の先端の特定及びアライメントを支援するために使用することができる。また、溶接パドルを照明するための又は溶接の際に継手との関係において溶接の実際の方向を常に照明するための可視レーザー又はLEDの使用をトーチ130内に内蔵することもできる。
【0026】
特定の実施形態において、トーチ130は、レーザービームを揺動させるために且つ相対的に幅広の且つ/又は調節可能な溶接パドルを提供するためにミラーを含むことができる。調節可能な揺動設定は、適切な制御装置を介してトーチ130上において提供することができる。或いは、この代わりに、レーザービームは、相対的に幅広のレーザービームを提供するために脱合焦させることもできる。また、トーチ130は、形成対象の異なるタイプの溶接に対応する異なる相互交換可能なノズルタイプ及びサイズを含むことができる。
【0027】
ハンドヘルドレーザー溶接システムの一実施形態は、ハンドヘルドレーザー装置が安全に使用されていることを保証するために角度モニタ及びビジョンシステムを含む。例えば、角度監視装置には、安全を保証するために特定の用途用のハンドヘルドレーザー装置の適切な角度及び位置が(例えば、レーザーオフ状態のハンドヘルドレーザー溶接トーチを使用した溶接のドライランを介して)プログラミング又は「教授」されている。一実施形態においては、ユーザーによるハンドヘルドレーザー装置の適切な使用を保証するために、(カメラ、などを有する)ビジョンシステムが使用されている。レーザーは、ハンドヘルドレーザー装置が(例えば、カメラ又は慣性センサを使用した位置監視を介して)特定の溶接手順用の位置から(なんらかの許容範囲内において)逸脱した場合に、シャットオフされている。
【0028】
一実施形態において、トーチ130は、光学ポートマウントを含み、これは、デジタルカメラがレーザーのオプティクスに取り付けられることを許容し、これにより、ユーザーが近接状態において溶接する必要性を伴うことなしに相対的に良好に溶接パドルエリアを観察することを許容している。トーチ130は、ユーザーがデジタルカメラによって収集された画像(例えば、ビデオ)を観察することを許容するために、デジタルカメラに動作自在に接続されたディスプレイ装置を更に含む。この結果、ユーザーは、発生している内容を観察するために、溶接パドルエリアに過剰に近接する必要がない。更なる実施形態においては、トーチ130は、溶接パドルを観察し得るように、レーザービューファインダとして機能するトーチの前端又は遠端において取り付けられたカメラを含む。トーチ130は、ユーザーがカメラによって収集された画像(例えば、ビデオ)を観察することを許容するために、カメラに動作自在に接続された表示装置を更に含む。
【0029】
一実施形態においては、溶接の最中に操作者の頭の位置を検知するために、ビジョン検知及びRFID技術が使用されている。位置は、ハンドヘルドレーザー装置の使用と関連するレーザー光反射のレーザー視準線及び/又は角度と比較することができる。比較が操作者に対する潜在的な危険を通知した際には、警告を提供することが可能であり且つ/又はレーザーをシャットダウンすることができる。また、一実施形態においては、溶接の際にハンドヘルド溶接ガンの視準線とアライメントされるカメラを有する非操作者近接センサも提供されている。非操作者がその視準線内に到来した際にレーザーがシャットダウンされている。更には、操作者及びエリア内のその他の人物がパーソナル保護機器(PPE)について監視されてもよく、且つ、誰かがPPE規制に準拠していない際には、レーザーをシャットダウンすることが可能であり、且つ、アラームを起動することができる。
【0030】
一実施形態においては、溶接継手の場所を通知するARシンボルを溶接ヘルメットのヘッドアップディスプレイ(HUD)上において表示する拡張現実(AR)能力を有する溶接ヘルメット160が提供されている。また、溶接継手を実際に見出す/追跡する且つ視野内の適切な場所においてARシンボルを表示するために溶接ヘルメットと通信する別のシステムを提供することもできる。例えば、一実施形態においては、トーチ130からのレーザーが溶接継手を追跡しており、且つ、トーチが追跡情報を溶接ヘルメット160に対して伝達している。例えば、別の実施形態において、角度監視装置には、ヘルメット160がARを介して溶接継手の場所を表示するために使用する溶接継手の経路が(例えば、レーザーがオフ状態であるレーザー溶接トーチ130を使用した溶接のドライランを介して)プログラミング又は「教示」されている。
【0031】
図4は、例えば、図1のハンドヘルドレーザー溶接システム100において使用され得るコントローラ114の例示用の一実施形態のブロック図を示している。例えば、コントローラ114は、図1に示されているように、レーザーパワーサプライ110内において配置されている。図4を参照すれば、コントローラ114は、バスサブシステム312を介していくつかの周辺装置と通信している少なくとも1つのプロセッサ314(例えば、マイクロプロセッサ、中央処理ユニット、グラフィクス処理ユニット)を含む。これらの周辺装置は、例えば、メモリサブシステム328及びファイルストレージサブシステム326を含むストレージサブシステム324、ユーザーインターフェイス入力装置322、ユーザーインターフェイス出力装置320、及びネットワークインターフェイスサブシステム316を含むことができる。入力及び出力装置は、コントローラ114との間のユーザーのやり取りを許容し且つ図1に示されているユーザーインターフェイス116に対応している。ネットワークインターフェイスサブシステム316は、外側ネットワークに対するインターフェイスを提供し且つその他の装置内の対応するインターフェイス装置に結合されている。
【0032】
ユーザーインターフェイス入力装置322は、キーボード、マウス、トラックボール、タッチパッドなどのポインティング装置、又はグラフィクスタブレット、スキャナ、ディスプレイ内に内蔵されたタッチスクリーン、音声認識システム、マイクロフォンなどのオーディオ入力装置、及び/又はその他のタイプの入力装置を含むことができる。一般に、「入力装置」という用語の使用は、コントローラ114内に又は通信ネットワーク上に情報を入力するためのすべての可能なタイプの装置及び方法を含むものと解釈されたい。
【0033】
ユーザーインターフェイス出力装置320は、ディスプレイサブシステム、プリンタ、又はオーディオ出力装置などの非視覚的ディスプレイを含むことができる。ディスプレイサブシステムは、陰極線管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)などのフラットパネル装置、プロジェクション装置、又は可視画像を生成するためのなんらかのその他のメカニズムを含み得る。また、ディスプレイサブシステムは、オーディオ出力装置などを介した非視覚的ディスプレイを提供することもできる。一般に、「出力装置」という用語の使用は、コントローラ114からユーザーに又は別の装置又はコンピュータシステムに情報を出力するためのすべての可能なタイプの装置及び方法を含むものと解釈されたい。
【0034】
ストレージサブシステム324は、本明細書において記述されている機能のいくつか又はすべてを提供するプログラミング及びデータ構造を保存している。例えば、コンピュータ実行可能命令及びデータは、一般に、単独で又はその他のプロセッサとの組合せにおいてプロセッサ314によって実行されている。ストレージサブシステム324内において使用されているメモリ328は、プログラム実行の際の命令及びデータの保存用のメインランダムアクセスメモリ(RAM)330と、固定された命令が保存される読み出し専用メモリ(ROM)332と、を含むいくつかのメモリを含み得る。ファイルストレージサブシステム326は、プログラム及びデータファイル用の永続的な保存を提供することが可能であり、且つ、ハードディスクドライブ、半導体装置、関連する着脱自在の媒体を有するフロッピーディスクドライブ、CD-ROMドライブ、光ドライブ、又は着脱自在の媒体カートリッジを含み得る。特定の実施形態の機能を実装するコンピュータ実行可能命令及びデータは、ストレージサブシステム324内のファイルストレージサブシステム326により、或いは、1つ又は複数のプロセッサ314によってアクセス可能であるその他の装置内において、保存することができる。
【0035】
バスサブシステム312は、コントローラ114の様々なコンポーネント及びサブシステムが意図されているように互いに通信するようにするためのメカニズムを提供している。バスサブシステム312は、単一バスとして概略的に示されているが、バスサブシステムの代替実施形態は、複数のバスを使用することができる。
【0036】
コントローラ114は、様々なタイプのものであり得る。演算装置及びネットワークの変わり続ける特性に起因して、図4に描かれているコントローラ114の説明は、いくつかの実施形態を例示することを目的として特定の例としてのみ意図されている。図4に描かれているコントローラ114よりも多くの又は少ない数のコンポーネントを有するコントローラの多くのその他の構成が可能である。
【0037】
本開示は、例示を目的としたものであり、且つ、本開示に含まれている教示の公正な範囲を逸脱することなしに、詳細を追加、変更、又は除去することにより、様々な変更が実施され得ることが明らかであろう。従って、本発明は、添付の請求項が必然的に限定されている範囲を除いて、本開示の特定の詳細に限定されるものではない。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】