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特表2024-542187Qスイッチガスレーザーにおけるパルスイコライゼーション
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】Qスイッチガスレーザーにおけるパルスイコライゼーション
(51)【国際特許分類】
   H01S 3/117 20060101AFI20241106BHJP
【FI】
H01S3/117
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529345
(86)(22)【出願日】2022-10-27
(85)【翻訳文提出日】2024-05-22
(86)【国際出願番号】 US2022078772
(87)【国際公開番号】W WO2023091849
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】63/281,044
(32)【優先日】2021-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512095392
【氏名又は名称】コヒレント, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】シギーン, バーノン エー.
(72)【発明者】
【氏名】シュメルザー, デイビッド ピー.
(72)【発明者】
【氏名】フォンタネラ, ジョエル
(72)【発明者】
【氏名】ローセンタール, ピーター
【テーマコード(参考)】
5F172
【Fターム(参考)】
5F172AD05
5F172DD03
5F172NN13
5F172NP03
5F172NQ24
5F172NQ25
5F172ZA04
(57)【要約】
二変量パルスイコライゼーションを持つQスイッチガスレーザー装置は、ガスレーザー、センサーおよび電子回路を含む。Qスイッチは、パルスレーザービームを生成するために、高損失状態と低損失状態との間でレーザー共振器を切り替える。センサーは、レーザーパルスエネルギーを示すパルスレーザービームの測定結果を得る。電子回路は、(a)パルスレーザービームのレーザーパルスの繰り返しレートを設定するために、高損失状態と低損失状態との間でレーザー共振器を繰り返し切り替えることと、(b)目標レーザーパルスエネルギーを達成するために、パルスエネルギーの測定結果に基づいて、低損失状態の損失レベルを調整することと、(c)目標レーザーパルス持続時間を達成するために低損失状態の持続時間を調整することとを行うように、Qスイッチを動作させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルスイコライゼーションを有するQスイッチガスレーザー装置であって、前記Qスイッチガスレーザー装置は、
Qスイッチを有するレーザー共振器を含むガスレーザーであって、前記Qスイッチが、パルスレーザービームを生成するために高損失状態と低損失状態との間で前記レーザー共振器を切り替えるように動作可能である、ガスレーザーと、
レーザーパルスエネルギーを示す前記パルスレーザービームの第一の測定結果を得るための第一のセンサーと、
前記Qスイッチと前記第一のセンサーとの間で通信可能に結合されている電子回路であって、前記電子回路は、(a)前記パルスレーザービームのレーザーパルスの繰り返しレートを設定するために、前記高損失状態と前記低損失状態との間で前記レーザー共振器を繰り返し切り替えることと、(b)目標パルスエネルギーを達成するために、前記第一の測定結果に基づいて、前記低損失状態の損失レベルを調整することと、(c)目標レーザーパルス持続時間を達成するために、前記低損失状態の持続時間を調整することとを行うように、前記Qスイッチを動作させるように構成されている、電子回路と
を備えている、Qスイッチガスレーザー装置。
【請求項2】
レーザーパルス持続時間を示す前記パルスレーザービームの第二の測定結果を得るための第二のセンサーをさらに備え、前記電子回路が、前記第二の測定結果に基づいて、前記目標レーザーパルス持続時間を達成するために、前記低損失状態の前記持続時間を調整するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第一のセンサーおよび前記第二のセンサーが、前記レーザー共振器の外側で前記パルスレーザービームをサンプリングするように配置されている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記電子回路が、前記第一のセンサーと前記Qスイッチとの間でパルスエネルギーフィードバックループを完成させ、前記第二のセンサーと前記Qスイッチとの間でパルス持続時間フィードバックループを完成させる、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記パルス持続時間フィードバックループが、前記パルスエネルギーフィードバックループよりも高速である、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第一のセンサーが、複数の前記レーザーパルスにわたる平均として前記第一の測定結果を得るように構成される感光性検出器であり、前記第二のセンサーが、個々のレーザーパルスの波形として前記第二の測定結果を得るように構成される光学検出器である、請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記Qスイッチが、前記レーザー共振器中に設置される音響光学変調器を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記電子回路が、
ラジオ周波数信号を生成し、前記音響光学変調器へ供給するためのRFドライバーであって、前記ラジオ周波数信号は、0でない振幅のときに、前記音響光学変調器に、回折によって前記共振器中の損失を誘発させる、RFドライバーと、
指令信号を生成し、前記RFドライバーへ送信するためのコントローラーであって、前記指令信号が、先行エッジ、後行エッジおよび信号値をそれぞれ有する一連の指令パルスを含み、それぞれの先行エッジは、前記RFドライバーに、前記レーザー共振器を前記低損失状態にするより低い振幅を有する前記ラジオ周波数信号を生成させ、それぞれの後行エッジは、前記RFドライバーに、前記レーザー共振器を前記高損失状態にするより高い振幅を有する前記ラジオ周波数信号を生成させ、それぞれの信号値は、前記より低い振幅の値を設定する、コントローラーと
を含み、
前記コントローラーが、(a)連続的な先行エッジ間の周期を目標繰り返しレートの逆数とマッチするように設定することによって、前記繰り返しレートを設定することと、(b)前記目標レーザーパルスエネルギーを達成するために、前記第一の測定結果に基づいて、前記信号値を調整することと、(c)前記目標レーザーパルス持続時間を達成するために、前記先行エッジから前記対応する後行エッジまでの持続時間を調整することとを行うように構成されている
請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記パルスレーザービームを増幅させるためのレーザーパワー増幅器をさらに備え、前記第一のセンサーが、前記レーザーパワー増幅器による増幅の後に、前記第一の測定結果を前記パルスレーザービームから得るように配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
Qスイッチガスレーザーによって生成されるレーザーパルスをイコライズするための方法であって、前記方法は、
パルスレーザービームを生成するために高損失状態と低損失状態との間で前記Qスイッチガスレーザーのレーザー共振器を繰り返し切り替えるように前記QスイッチガスレーザーのQスイッチを動作させるステップと、
前記パルスレーザービームのレーザーパルスの、レーザーパルスエネルギーおよびレーザーパルス持続時間を、繰り返しステップを通してイコライズするステップであって、前記繰り返しステップが、
前記レーザーパルスエネルギーを示す第一の測定結果を得るために前記パルスレーザービームをサンプリングすることと、
目標レーザーパルスエネルギーに近づけるために、前記第一の測定結果に基づいて、前記低損失状態の損失レベルを調整することと、
目標レーザーパルス持続時間に近づけるために前記低損失状態の持続時間を調整することと
を行う、ステップと
を含む方法。
【請求項11】
前記サンプリングするステップが、前記レーザーパルス持続時間を示す前記レーザービームの第二の測定結果を得ることをさらに含み、前記持続時間を調節するステップが、前記第二の測定結果に基づく、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第一の測定結果のそれぞれのインスタンスが、複数の前記レーザーパルスにわたる平均として得られ、前記第二の測定結果のそれぞれのインスタンスが、個々のレーザーパルスから得られる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記動作させるステップが、前記レーザーパルスの繰り返しレートを、第一の値から、前記第一の値と異なる第二の値へ変化させるステップを含み、
前記イコライズするステップが、前記変化させるステップによって引き起こされる前記レーザーパルスエネルギーおよびレーザーパルス持続時間への変化を最小限にするように、前記変化させるステップに応答して前記調節するステップを行うことを含む
請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記イコライズするステップが、
前記繰り返しレートの前記第二の値において、前記繰り返しレートの前記第一の値と10%以内で同じである個々の、または平均されたレーザーパルスエネルギーを、維持することと、
前記繰り返しレートの前記第二の値において、前記繰り返しレートの前記第一の値と10%以内で同じであるレーザーパルス持続時間を、維持することと
を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記動作させるステップが、
指令信号を生成することであって、前記指令信号は、先行エッジ、後行エッジおよび信号値をそれぞれ有する一連の指令パルスを含み、それぞれの先行エッジは、前記レーザー共振器の前記低損失状態への遷移を開始し、それぞれの後行エッジは、前記レーザー共振器の前記高損失状態への遷移を開始し、それぞれの信号値は、前記低損失状態の間における前記レーザー共振器の前記損失レベルを画定することと、
連続的な先行エッジ間の周期を目標繰り返しレートの逆数とマッチするように設定することによって、前記レーザーパルスの繰り返しレートを設定することと
を含み、
前記損失レベルを調整するステップが、前記第一の測定結果に基づいて前記信号値を調整することを含み、
前記持続時間を調整するステップが、前記第二の測定結果に基づいて前記先行エッジから前記対応する後行エッジまでの持続時間を調整することを含む、
請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記パルスレーザービームを増幅させるステップをさらに備え、
前記サンプリングするステップが、前記パルスレーザービームについてその増幅後に行われる、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記Qスイッチが、音響光学変調器である、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記動作させるステップが、前記損失レベルが結果として前記低損失状態において0でないように前記レーザー共振器の外へレーザー光を回折させるために前記音響光学変調器を駆動することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記サンプリングするステップが、前記レーザー共振器の外側で行われる、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権)
本出願は、2021年11月18日に提出された米国仮特許出願第63/281,044号の優先権を主張し、その開示は、全体において参照によって組み込まれている。
【0002】
(発明の技術分野)
本発明は、Qスイッチ二酸化炭素(CO)レーザーおよびQスイッチ一酸化炭素(CO)レーザーのようなQスイッチガスレーザーに関連する。本発明は、パルス繰り返しレートの変更に対する、Qスイッチガスレーザーの出力のレーザーパルスエネルギーおよびレーザーパルス持続時間の変化に、特に関連する。
【背景技術】
【0003】
(背景技術の議論)
ガスレーザーのレーザー利得媒質は、ガス混合物である。レーザー作用を提供する光学活性体は、原子、イオンまたは分子である。これらの光学活性体は、普通、高電圧電場(ラジオ周波数(RF)か直流(DC)のどちらか)によってエネルギーを供給され、それは、ガス放電を生成し、それによって、光学活性体中に反転分布を提供する。多くのガスレーザーは、商業的利用において、固体レーザーによって、それらの概してより高効率、より小さいサイズ、より低コストおよびより単純な動作のために、取って代わられてきた。しかし、ある種のガスレーザーは、人気のままであり、いくつかのレーザー利用のための好ましい解法である。例えば、COレーザーおよびCOレーザーは、レーザー加工のように、赤外線(IR)波長および高平均パワーが有利である産業プロセスにおいてかなりの使用が見られる。
【0004】
COレーザーは、約9マイクロメートル(μm)から約11μmの波長範囲内でIRレーザー放射を送達することができ、一方、COレーザーは、約4.5μmから約6.0μmの波長範囲内でIRレーザー放射を送達することができる。最大約8キロワットの平均パワーが、COレーザーおよびCOレーザーで得られることができる。
【0005】
多くのレーザー加工利用は、レーザー放射がパルス状であることを必要とする。COレーザーおよびCOレーザーの場合、パルスレーザービームは、利得媒質中でガス放電をオンオフすることによって生成され得る。しかし、この技術によって生成されるレーザーパルスの立ち上がり時間および立ち下がり時間は、ガス混合物中におけるエネルギー伝達プロセスの速度論によって決められ、通常10マイクロ秒(μs)から200μsのオーダーである。これらの立ち上がり時間および立ち下がり時間は、結果として、レーザーパルス持続時間全体が何十から何百マイクロ秒もの範囲内になり、それは、ある利用にとっては長すぎる。特に、これらのレーザーパルス持続時間は、照射された物質中の熱影響部が小さいことが必要とされる多くのレーザー加工利用において長すぎる。レーザーパルス持続時間が数十マイクロ秒またはそれより長いとき、単一のレーザーパルスの間での照射された物質中の温度拡散は、熱影響部を照射された位置から離れる方向に大幅に拡大させる。たとえより短いレーザーパルスを必要としない利用のためであっても、ガス放電の変調は、関係する温度変動が光学不安定性を導くという追加の欠点を有する。
【0006】
Qスイッチングは、レーザー共振器の空洞内損失を変調することによりレーザーパルスを生成するための技術である。Qスイッチングは、レーザー利得媒質の安定したポンピングを維持しながら、レーザー共振器を高損失状態(低Q値)と低損失状態(高Q値)との間で切り替える。レーザーパルスは、第一に、レーザー発振作用を妨げるために高損失状態においてレーザー共振器を動作させることによって生成される。レーザー発振作用のない場合、利得媒質のポンピングは、結果として、レーザー利得媒質中に大量のエネルギーの蓄積となる。次に、共振器損失は、急に、レーザー作用を可能にする低い値へ降下する。ビルドアップ時間の後、循環レーザーパワーは、この低損失状態で急速に増加し、蓄えられたエネルギーは、即座に枯渇する。その結果が、通常ナノ秒範囲内の持続時間を持つレーザーパルスの生成である。最も一般的には、Qスイッチングは、パルス繰り返しレートによって特徴づけられる1列のレーザーパルスを生成するために、周期的に行われる。
【0007】
Qスイッチングは、アクティブまたはパッシブであり得る。アクティブQスイッチングにおいて、レーザー共振器は、アクティブ損失要素、例えば、音響光学変調器(AOM)または電気光学変調器(EOM)を含み、それは、レーザー共振器を高損失状態と低損失状態との間で切り替えるために、共振器からの放射を迂回させるか迂回させないように制御されている。アクティブQスイッチングは、通常、数百キロヘルツ(kHz)から1kHzまたはそれより低くに至るまでの範囲内のパルス繰り返しレートを持つレーザーパルスを生成するために使用される。アクティブQスイッチングは、要求に応じて単一のレーザーパルスを生成するために使用され得る。
【0008】
パルスレーザービームを用いて行われるレーザープロセスは、通常、最適なパルス繰り返しレートを有する。最適なパルス繰り返しレートは、プロセスに依存する。それゆえ、最も多用途なパルスレーザーシステムは、パルス繰り返しレートの範囲で、時々シングルショットから数百キロヘルツに跨って、動作可能である。レーザー加工プロセスが、それぞれの単一部分のプロセス中にパルス繰り返しレートを変動させることを伴い、パルス繰り返しレートのオンザフライ調整を必要とすることは、珍しいことではない。Qスイッチレーザーの場合、パルス繰り返しレートの調整は、結局、レーザー共振器の高損失状態の持続時間を変化させることと同じである。少なくとも比較的高いパルス繰り返しレートに対しては、このような変化は、低損失状態への切り替えの前に利得媒質中に蓄積されるエネルギーの量に影響することができる。その結果、パルス繰り返しレートの調整は、変化させられるレーザーパルスエネルギーに付随して起こり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の概要)
本明細書で開示されるのは、レーザーパルスエネルギーとレーザーパルス持続時間との両方の二変量パルスイコライゼーションを持つQスイッチガスレーザー装置および関係する方法である。本装置および方法は、アクティブQスイッチングを使い、パルス繰り返しレートの広い範囲にわたって、レーザーパルスエネルギーおよび持続時間をイコライズするように構成されている。1つのイコライゼーションのメカニズムは、レーザーパルスエネルギーに直接影響を与えるのに対し、他のイコライゼーションのメカニズムは、レーザーパルス持続時間に直接影響を与える。パルスエネルギーイコライゼーションのメカニズムは、レーザー共振器の低損失状態の損失を調整するのに対し、パルス持続時間イコライゼーションのメカニズムは、低損失状態の持続時間を調整する。例えば、QスイッチがAOMであるとき、パルス持続時間イコライゼーションのメカニズムは、低損失状態においてもある程度の回折を維持し、所望のパルスエネルギーを達成するためにこの程度の回折を調整することに基づいている。比較のために、従来のQスイッチは、レーザー共振器の損失を最小限にするために、低損失状態の間は、完全にオフになる。
【0010】
私たちは、パルスエネルギーと持続時間との両方のイコライゼーションが、一様なパルスエネルギーが達成され得るパルス繰り返しレートの範囲を延ばすことを実現した。パルスエネルギーイコライゼーションのメカニズムのみを使用することによって、比較的高いパルス繰り返しレートの制限された範囲にわたって、一様なパルスエネルギーを達成することは可能であり得るのに対して、パルス持続時間イコライゼーションのメカニズムは、より低いパルス繰り返しレートまでのこの範囲の延長を促進する。それ故、本二変量パルスイコライゼーションは、目的が単に、レーザーパルス持続時間に関わらず、パルス繰り返しレートの広い範囲にわたって一様なレーザーパルスエネルギーを維持することであるときでも有用である。パルス持続時間イコライゼーションのメカニズムは、パルス繰り返しレートの広い範囲にわたって所望のレーザーパルス持続時間を達成し、それにより最終的なレーザーパルス制御を提供することをさらに可能にする。
【0011】
1つの側面において、パルスイコライゼーションを持つQスイッチガスレーザー装置は、ガスレーザー、センサーおよび電子回路を含む。ガスレーザーは、パルスレーザービームを生成するために高損失状態と低損失状態との間でレーザー共振器を切り替えるように動作可能であるQスイッチを有するレーザー共振器を含む。センサーは、レーザーパルスエネルギーを示す、パルスレーザービームの測定結果を得るように構成されている。電子回路は、Qスイッチとセンサーとの間で通信可能に結合されており、(a)パルスレーザービームのレーザーパルスの繰り返しレートを設定するために高損失状態と低損失状態との間でレーザー共振器を繰り返し切り替えることと、(b)目標レーザーパルスエネルギーを達成するために、センサーによって得られる測定結果に基づいて、低損失状態の損失レベルを調整することと、(c)目標レーザーパルス持続時間を達成するために、低損失状態の持続時間を調整することとを行うようにQスイッチを動作させるように構成されている。
【0012】
他の側面において、Qスイッチガスレーザーによって生成されるレーザーパルスをイコライズするための方法は、パルスレーザービームを生成するために高損失状態と低損失状態との間でQスイッチガスレーザーのレーザー共振器を繰り返し切り替えるようにQスイッチガスレーザーのQスイッチを動作させることを含む。その方法は、繰り返しステップ((a)レーザーパルスエネルギーを示す測定結果を得るためにパルスレーザービームをサンプリングするステップ、(b)目標レーザーパルスエネルギーに近づけるために、レーザーパルスエネルギーを示す測定結果に基づいて、低損失状態の損失レベルを調節するステップ、および(c)目標レーザーパルス持続時間に近づけるために低損失状態の持続時間を調整するステップ)を通してパルスレーザービームのレーザーパルスのレーザーパルスエネルギーおよびレーザーパルス持続時間をイコライズすることをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
(図面の簡単な説明)
添付図面は、明細書の一部に組み込まれ、かつ明細書の一部を構成し、本発明の好ましい実施形態を概略的に図示し、上記で与えられる一般的な記載および下記で与えられる好ましい実施形態の詳細な記載と共に、本発明の原理を説明する役割を果たす。
【0014】
図1図1は、実施形態に従って、レーザーパルスエネルギーとレーザーパルス持続時間との両方のイコライゼーションを持つQスイッチガスレーザー装置を図示する。
【0015】
図2図2は、AOM Qスイッチを搭載するレーザー共振器をQスイッチングするための先行技術スキームのタイミング図である。
【0016】
図3図3は、AOM Qスイッチを実装し、図2の先行技術スキームに従って動作される図1の装置の実施形態によって生成される1組の例示的なレーザーパルスを示す。
【0017】
図4図4は、図3の実施形態と同じであるが、図2の先行技術スキームからずれたものにおいてパルストリミングを実装している図1の装置の実施形態によって生成される他の組の例示的なレーザーパルスを示す。
【0018】
図5図5は、固定されたパルス繰り返しレートにおけるレーザーパルスエネルギーおよび持続時間へのQスイッチを制御する指令パルス持続時間の効果をさらに呈するデータを表示する。
【0019】
図6図6は、実施形態に従って、Qスイッチガスレーザーによって生成されるレーザーパルスの二変量イコライゼーションのための方法のフローチャートである。
【0020】
図7図7は、実施形態に従って、二変量パルスイコライゼーションを持つガスレーザーをQスイッチするために図6の方法によって使われるスキームのタイミング図である。
【0021】
図8図8は、図7のスキームに従って、二変量パルスイコライゼーションを持つ図1の装置を動作させ、実施形態に従って、それぞれのセンサーからの測定結果に基づいてレーザーパルスエネルギーおよびレーザーパルス持続時間との両方の動的調整を実装するときに生成されるレーザーパルスの例を示す。比較のために、図8は、パルスイコライゼーションなしで生成されるレーザーパルスの例もまた図示する。
【0022】
図9図9Aおよび図9Bは、3つの異なるパルス繰り返しレートにおける、二変量パルスイコライゼーションがあるときおよびないときの、レーザーパルスエネルギーおよびレーザーパルス持続時間の例をそれぞれ示す。
【0023】
図10図10Aは、実施形態に従って、QスイッチがAOMである図1の装置の実施形態において実装され得るRFドライバーを図示する。図10Bは、このRFドライバーを制御するための例示的な指令信号を図示する。
【0024】
図11図11Aは、実施形態に従って、QスイッチがAOMである図1の装置の実施形態において実装され得る他のRFドライバーを図示する。このRFドライバーは、個別のタイミング入力および電圧入力を受け取るように構成されている。図11Bは、図11AのRFドライバーのタイミング面を制御するための例示的なタイミング指令信号を図示する。
【0025】
図12図12は、実施形態に従って、レーザーパルスエネルギーとレーザーパルス持続時間との両方のサーボ制御を持つ二変量パルスイコライゼーションのためのコントローラーを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(発明の詳細な説明)
ここで図を参照すると、同様の構成要素が同様の数字で指定されており、図1は、二変量パルスイコライゼーションを持つ1つのQスイッチガスレーザー装置100を図示する。装置100は、ガスレーザー110、センサー150および電子回路160を含む。ガスレーザー110は、Qスイッチ118を有するレーザー共振器116を含む。Qスイッチ118は、例えば、AOMまたはEOMである。
【0027】
ガスレーザー110は、本質的に、ガス利得媒質120もまた含む。1つの実施形態では、ガスレーザー110は、COレーザーまたはCOレーザーであり、利得媒質120は、対応してCOまたはCOを含む。少なくともガスレーザー110がCOレーザーまたはCOレーザーであるときは、ガスレーザー110は、その中でCOまたはCO分子をポンプする(エネルギーを供給する)ために、利得媒質120を通して高電圧電場をかける1つまたはそれより多くの電極をさらに含む。他の実施形態では、ガスレーザー110は、長い上位状態の寿命を持つ異なる種のガスレーザーであり得る。ガスレーザー110は、ガス利得媒質120中で放電を生成するために、利得媒質120の両側に位置する電極122および電極124を含み得る。電極122は、高電圧RF供給源と接続され、電極124は接地されている。
【0028】
図1に描写される例では、共振器116は、2つのエンドミラー112およびエンドミラー114を有するリニア共振器であり、レーザー放射190が、その間を行ったり来たりして伝搬している。エンドミラー114は、部分反射率を持つ出力カプラであり、部分反射率は、例えば、10%から90%の間の範囲内にある。エンドミラー112は、少なくとも99%の反射率を持つ高反射体であり得る。装置100の他の例では、共振器116は、2より多いミラーによって画定されるリニア共振器であり、レーザー放射190の伝搬経路が折り曲げられている。さらに他の例では、共振器116は、リング共振器である。
【0029】
Qスイッチ118は、循環レーザー放射190の伝搬経路中に置かれる。電子回路160は、ガスレーザー110がパルスレーザービーム192を出力するように、レーザー放射190をパルス化するためにQスイッチ118の動作を制御する。より具体的には、電子回路160は、高損失状態と低損失状態との間で共振器116を繰り返し切り替えるためにQスイッチを動作させることにより、レーザービーム192のレーザーパルス192Pの繰り返しレートを定める。電子回路160は、Qスイッチ118が高損失状態と低損失状態との間で共振器116を切り替えるレートを変動させることによって、レーザービーム192のパルス繰り返しレートを変動させることが可能である。言い換えると、電子回路160は、レーザーパルス192P間の周期Tの値の範囲を達成するために、Qスイッチ118を制御することが可能である。電子回路160は、レーザーパルス192Pの所望の繰り返しレートを示す繰り返しレート入力188を受け取り得る。電子回路160は、外部制御システムまたはユーザーから繰り返しレート入力188を受け取り得る。
【0030】
電子回路160は、レーザーパルス192Pの目標エネルギーを達成するために、共振器116の低損失状態において、Qスイッチ118によって課される損失を制御し変動させるようにも構成されている。Qスイッチ118、センサー150および電子回路160は、レーザーパルス192Pのエネルギーのサーボ制御を発揮するために、アクティブフィードバックループ中に配置されている。装置100は、レーザービーム192のフラクション196を分離し、レーザービームフラクション196をセンサー150へ方向づける。センサー150は、レーザーパルス192Pのエネルギーの測定値(またはそれを示す他のパラメータ)を得るために、レーザービームフラクション196のレーザーバルスのパルスエネルギーE(または関連するパラメータ)を測定する。センサー150は、このパルスエネルギーの測定結果を電子回路160に通信し、電子回路160は、それに応じて、少なくともある程度の許容値内に目標パルスエネルギーを達成するために、Qスイッチ118の動作を調整する。
【0031】
センサー150によって測定される特性は、レーザービームフラクション196の平均エネルギーであり得、いくつかまたは多くのレーザーパルス192P全体の平均として得られ得る。1つの実装において、センサー150は、サーモパイルセンサー、光伝導性もしくは光起電性半導体センサー、またはボロメータセンサーである。代替的に、センサー150は、レーザービームフラクション196中の個々のパルスのエネルギーを測定するのに十分な速度であり得る。装置100は、レーザービーム192からレーザービームフラクション196を得るために1またはそれより多くのビームスプリッターを含み得る。
【0032】
電子回路160は、レーザーパルス192Pの持続時間を調整するために、必要に応じて、Qスイッチ118によって画定される、共振器116の低損失状態の持続時間を制御するようにさらに構成されている。電子回路160は、この調整を、(a)レーザーパルス192Pの持続時間の測定結果に基づいて、または(b)パルス繰り返しレート、目標パルスエネルギー、センサー150から得られたパルスエネルギーの測定結果および目標パルス持続時間のうち1またはそれより多くの間の予め校正された関係に基づいて行い得る。
【0033】
図1には示さていないが、電子回路160は、目標パルスエネルギーおよび目標パルス持続時間を外部システムまたはユーザーから受け取り得る。電子回路160は、ディスクリート電子部品、集積回路、マイクロプロセッサおよびソフトウェア搭載のコンピュータのうち1またはそれより多くを含み得る。
【0034】
装置100のある実施形態は、センサー152を含み、レーザービーム192のフラクション198をセンサー152に方向づける。センサー152は、レーザービームフラクション198からレーザーパルス192Pの持続時間wの測定結果を得、このパルス持続時間の測定結果を電子回路160に通信する。次いで、電子回路160は、パルス持続時間の測定結果に基づいてQスイッチ118の動作を調整し得る。センサー152は、少なくともある程度の許容値内に目標パルス持続時間を達成するために、レーザーパルス192Pの持続時間のサーボ制御を可能にするアクティブフィードバックループを完成させ得る。センサー152は、例えば、個々のレーザーパルス192Pの波形を記録する高速光学検出器である。
【0035】
装置100は、センサー150に、および任意でセンサー152にもレーザービーム192のフラクションを分離する1またはそれより多くのビームスプリッターを含み得る。図1に描写される例では、装置100は、(a)センサー150およびセンサー152に向かってレーザービーム192のフラクション194を分離するビームスプリッター130および(b)フラクション194をレーザービームフラクション196および198に分けるビームスプリッター132を含む。ビームスプリッター132は、センサー152を含まない実施形態においては省略され得る。この範囲から逸脱することなく、装置100は、レーザービーム192からレーザービームフラクション196、および任意でレーザービームフラクション198を得るために、他のスキームを実装し得る。
【0036】
電子回路160は、コントローラー162およびドライバー164を含み得る。ドライバー164は、電気駆動信号182を生成し、共振器損失を変調させるためにQスイッチ118へ駆動信号182を供給する。例えば、Qスイッチ118がAOMであるとき、ドライバー164は、RFドライバーであり、駆動信号182は、高電圧RF信号である。ドライバー164による駆動信号182の生成は、コントローラー162から受け取る指令信号180によって決められる。指令信号180は、レーザーパルス192Pの繰り返しレート、低損失状態における共振器116の損失および低損失状態の持続時間を画定する。所与のパルス繰り返しレートに対して、コントローラー162は、センサー150から得られるパルスエネルギーの測定結果、および任意でセンサー152から得られるパルス持続時間の測定結果にも、少なくとも部分的に基づいて、指令信号180を生成する。コントローラー162による指令信号180の生成は、(例えば、繰り返しレート入力188によって画定されるように)所望のパルス繰り返しレートにさらに基づく。
【0037】
1つの実施形態では、装置100は、主発振器出力増幅器(MOPA)として構成される。このMOPAの実施形態では、ガスレーザー110は、主発振器であり、装置100は、レーザービーム192を増幅させるレーザー増幅器170をさらに含む。MOPAの実施形態では、センサー150および(含まれる場合)センサー152は、増幅器170による増幅の前または後に、レーザービーム192をサンプリングするために配置され得る。図1に描写されるように、増幅後にレーザービーム192をサンプリングすることは、概して有利である。(単数または複数の)センサーに向かって分離されるレーザービーム192のフラクションは、分離が増幅後であるとき、有意でなくあり得る。分離が増幅より前になされるとき、より大きいレーザービーム192のフラクションが、分離されなければならず、利用(例えばレーザー加工)へ送達されるレーザービーム192の最後のパワーへの衝撃は、有意になり得る。加えて、増幅されたレーザービーム192は、MOPAの実際の出力であるので、増幅されたレーザービーム192のサンプリングは、実際の出力のより直接的な評価を提供し、電子回路160により発揮される制御は、増幅器170中で誘発される効果を相殺し得る。
【0038】
図2は、AOM Qスイッチを装備するレーザー共振器をQスイッチングするための先行技術スキーム200のタイミング図である。図2は、レーザーパルス232の生成域に関する3つのグラフ210、220、230を示す。グラフ210は、AOMを駆動するためのRFドライバーへ供給される指令信号212の時間的進化を描写する。グラフ220は、RFドライバーによってAOMに供給されるRF駆動信号222の時間的進化を描写する。RF駆動信号222は、指令信号212によって画定される。指令信号212の値Vは、Vhighと0との2つの値の間で切り替わる。V=Vhighのとき、駆動振動222のRF電圧VRFは、振幅ΔVhighを有し、関係するAOMによる回折は、レーザー共振器が高損失状態になるように、共振器損失を与える。V=0のとき、AOMがオフになるように、VRFは0であり、それによってレーザー共振器を低損失状態に置く。
【0039】
グラフ230は、レーザー共振器中を循環するレーザーパワーPの時間的進化を描写する。スキーム200において、レーザーパルス232は、V=0まで降下している指令信号212の指令パルス214によって生成される。指令パルス214は、時刻tにおける先行エッジと時刻tにおける後行エッジとの間の持続時間Δtを有する。指令パルス214の持続時間Δtは、レーザー共振器の低損失状態の持続時間を画定する。音響および光学遅延は、時刻tからレーザーパルス232までの遅延Tdelayを課す。聴覚遅延は、AOM光学系中の音響波形に対応し、その音響波形は、時刻tまで生成されていき、レーザー放射190の経路を完全に通って変換器から伝搬する。光学遅延は、エネルギーを供給された共振器を通る何往復もの間における誘導放出による自然放出の「ビルドアップ」によって開始されるレーザー放射に対応する。図2に描写されるシナリオにおいて、音響遅延は、光学遅延より長く、それゆえ、レーザーパルス232は、時刻tの後に生成される。
【0040】
電子回路160は、先行技術スキーム200に従ってQスイッチ118を動作させることが可能である。しかし、先行技術スキーム200は、パルスイコライゼーションを提供せず、レーザーパルス192Pのエネルギーおよび持続時間は、パルス繰り返しレートと共に変動する。
【0041】
図3は、AOMのようなQスイッチ118を実装し、先行技術スキーム200に従って動作するように制限されている装置100の実施形態によって生成される1組の例示的なレーザーパルスを示す。レーザーパルス波形は、瞬間レーザーパワーを時間関数として検出し記録する高速光学検出器として実装されているセンサー152によって記録される、図3の例において、指令パルス214の持続時間Δtは、1.0μsである。図3は、1kHz、5kHz、10kHz、25kHz、50kHz、75kHzおよび100kHzのパルス繰り返しレートのそれぞれにおいて記録された結果のレーザーパルス波形を示す。レーザーパルス波形は、1kHzから25kHzの範囲内のパルス繰り返しレートに対してほとんど変化しないのに対して、パルス繰り返しレートが25kHzを過ぎて増加すると、実質的な変化が起こる。特に、25kHzを超えるパルス繰り返しレートに対して、パルスエネルギーは、パルス繰り返しレートと共に強い減少を呈する。加えて、パルス繰り返しレートが25kHzを超えて増加するとき、レーザーパルスの形状および持続時間は、変化する。1~25kHzの範囲のパルス繰り返しレートで生成されるレーザーパルスは、有意な尾部310が後に続く主パルスからなる。パルス繰り返しレートが25kHzを超えて増加すると、尾部310は、徐々に消え、レーザーパルス持続時間は、対応して減少する。
【0042】
図4は、図3のものと同じである装置100の実施形態によるが、より短い指令パルス214という先行技術スキーム200からずれたものを使用して生成される他の組の例示的なレーザーパルスを示す。この技術は、以下では「パルストリミング」と呼ぶ。図4の例では、指令パルス214の持続時間Δtは、0.8μsである。図4は、1kHz、5kHz、10kHz、25kHz、50kHz、75kHzおよび100kHzのパルス繰り返しレートのそれぞれで記録された結果のレーザーパルス波形を示す。1.0μsから0.8μsまでの指令パルス214の低下は、全ての測定されたパルス繰り返しレートにおいて尾部310を本質的に消去する。しかし、パルス繰り返しレートが25kHzを超えて増加するとき、レーザーパルスエネルギーは、やはり劇的に減少する。このように、パルストリミングは、パルス繰り返しレートの範囲全体にわたって、より一様なレーザーパルス持続時間および形状を達成するのを助けるのに対し、パルストリミングは、レーザーパルスエネルギーをイコライズしない。
【0043】
図5は、固定されたパルス繰り返しレートにおけるレーザーパルスエネルギーおよび持続時間への指令パルス持続時間の効果をさらに調査する。図5は、固定されたパルス繰り返しレートにおける異なる指令パルス持続時間で得られるレーザーパルス波形を示す。図5中のそれぞれのレーザーパルス波形は、指令パルス214の対応する持続時間Δtによってラベル付けされている。最も長い指令パルス持続時間である1.1μsから始めると、レーザーパルス波形は、実質的に台座のような尾部を呈する。主パルスは、約0.2μsの幅を有し、台座のような尾部は、最大約0.5μsまで合計レーザーパルス持続時間を延ばす。指令パルス持続時間が1.1μsから減少すると、この尾部は、切り捨てられ、指令パルス持続時間が0.7μsに達するとき、本質的に消去される。指令パルス持続時間が0.7μsを過ぎて低下するとき、レーザーパルス持続時間は、ここで主パルスの幅が減少する結果として、さらに減少する。加えて、レーザーパルスのピークパワーは、減少する。
【0044】
図5のデータは、少なくともあるパルス繰り返しレートのレジームにおいて、レーザーパルスエネルギーが、低損失状態の持続時間に敏感であることを実証する。図5のデータは、少なくともあるパルス繰り返しレートのレジームにおいて、指令パルス持続時間のかなり狭い範囲のみが、主パルスの全エネルギーを維持しつつ、台座のないクリーンなパルスを提供することもまた示す。言い換えると、「最適な」指令パルス持続時間があり、この最適な指令パルス持続時間からの比較的小さいずれでさえ、有意な効果を有する。私たちは、最適な指令パルス持続時間が、少なくとも、ある閾値レートを超えるパルス繰り返しレートに対して、パルス繰り返しレートと共に増加することを発見した。
【0045】
図3図4および図5のデータは、共に、ガスレーザー110のようなQスイッチガスレーザーによって生成されたレーザーパルスの繰り返しレート、エネルギーおよび持続時間の間の強く結合された関係を実証する。これらの関係の性質は、パルス繰り返しレート、エネルギーおよび持続時間に跨る三次元パラメータ空間における位置に依存する。加えて、その関係は、共振器116、利得媒質120および利得媒質120のポンピングの特性を含む他のパラメータに敏感である。
【0046】
図6は、Qスイッチガスレーザーによって生成されたレーザーパルスの二変量イコライゼーションのための1つの方法600のフローチャートである。方法600は、装置100へ適用され得、パルス繰り返しレートの広い範囲にわたって一様なレーザーパルスエネルギーおよび持続時間を提供するために、図3図5のデータによって図示される課題を克服する。方法600は、先行技術スキーム200よりも進歩したスキームに従ってQスイッチを動作させることを伴う。以下において、方法600は、装置100のコンテキスト内において述べられる。方法600は、並行して行われるステップ610およびステップ620を含む。
【0047】
ステップ610において、電子回路160は、図1を参照して上記で述べられるように、パルスレーザービーム192を生成するために、共振器116を高損失状態と低損失状態との間で繰り返し切り替えるようにQスイッチ118を動作させる。ステップ620において、電子回路160は、パルス繰り返しレートの範囲全体にわたってレーザーパルス192Pのエネルギーおよび持続時間をイコライズするために、センサー150と、および任意でセンサー152とも協働する。
【0048】
ステップ620は、ステップ630およびステップ632を含む。ステップ630において、センサー150は、図1を参照して上記で述べられるように、レーザーパルス192Pのエネルギーを示す測定結果を得るために、レーザービーム192をサンプリングする。ステップ630は、複数のレーザーパルス192Pにわたる平均としてのこのパルスエネルギーの測定結果を得るステップ634を実装し得る。ステップ632において、電子回路160は、目標パルスエネルギーを達成、または少なくとも近づけるために、ステップ630において得られるパルスエネルギーの測定結果に基づいて、共振器116の低損失状態の損失レベルを調整する。ステップ630およびステップ632は、目標パルスエネルギーを達成するために、アクティブフィードバックループにおいて反復して行われ得る。例のシナリオにおいて、ステップ620は、目標パルスエネルギーの10%以内であるレーザーパルスエネルギーを達成し、そのレーザーパルスエネルギーは、単一のレーザーパルスのエネルギーまたは複数のレーザーパルスの平均エネルギーとして評価される。
【0049】
図7は、ガスレーザー110をQスイッチするための方法600によって使われる1つのスキーム700のタイミング図である。スキーム700は、パルスエネルギーのイコライゼーションとパルス持続時間のイコライゼーションとの両方を可能にするスキーム200の変更である。図7は、QスイッチングがAOMを用いて行われる実施形態のためのスキーム700を示す。スキーム700は、他のタイプのQスイッチ(例えばEOM)に容易に適応する。図7のグラフ720およびグラフ730は、ステップ632のより詳細な例を提供する。グラフ720は、電子回路160によってAOMへ提供されるRF駆動信号722の時間的進化を描写する。スキーム200のRF駆動信号222と比較すると、共振器116の低損失状態の間、RF駆動信号722は、必ずしも0ではない。その代わりに、RF駆動信号722は、低損失状態の間、0でない振幅ΔVlowを概して有し、電子回路160は、ステップ630においてセンサー150によって得られるパルスエネルギーの測定結果に基づいて、ΔVlowの値を調整する。
【0050】
グラフ730は、共振器116中を循環するレーザーパワーPの時間的進化を描写する。AOMがRF駆動信号722によって駆動されるとき、RF駆動信号722の振幅ΔVhighから0でない振幅ΔVlowへの降下は、レーザーパルス732の生成を結果として生じる。RF駆動信号を0にまで降下させるときに生成されるレーザーパルス232(図2を参照)と比較すると、レーザーパルス732は、より低いピークパワーPpeakおよびより低いパルスエネルギーEを有する。パルスエネルギーE(およびピークパワーPpeak)の低下は、AOMが共振器116の低損失状態の間に0でない回折損失を課した結果である。ステップ632において、電子回路160は、目標パルスエネルギーを達成するために、必要に応じてΔVlowを調整する。例えば、センサー150から得られたパルスエネルギーの測定結果が、レーザーパルス192Pのエネルギーが目標パルスエネルギーを上回ることを示すとき、電子回路160は、共振器116の低損失状態の損失を増加させるために、ΔVlowを増加させ得る。対照的に、センサー150から得られたパルスエネルギーの測定結果が、レーザーパルス192Pのエネルギーが目標パルスエネルギーを下回ることを示すとき、電子回路160は、ΔVlowを減少させ得る。
【0051】
方法600のステップ620は、ステップ642もまた含み、ステップ642では電子回路160は、目標パルス持続時間を達成、または少なくとも近づけるために、共振器116の低損失状態の持続時間を調整する。図7のグラフ720およびグラフ730は、ステップ642のより詳細な例を提供する。この例において、電子回路160は、振幅ΔVlowを有するRF駆動信号722の持続時間Δtを調整する。他の例においては、電子回路160は、レーザーパルス732が尾部を有することを妨げるために持続時間Δtを低下させるか、またはレーザーパルス732の主パルスにおけるエネルギーを最大化するために持続時間Δtを増加させる。さらに他の例においては、電子回路160は、ある半値幅(FWHM)のパルス持続時間のような目標パルス持続時間を達成するために、持続時間Δtを調整する。
【0052】
ステップ620の1つの実施形態において、ステップ642は、ステップ640Aに先行し、ステップ640Aでは、センサー152は、図1を参照して上記で述べられるように、レーザーパルス192の持続時間を示す測定結果を得るためにレーザービーム192Pをサンプリングする。ステップ640Aは、単一のレーザーパルス192Pからの、またはいくつかの単一パルス持続時間の平均としてのこのパルス持続時間の測定結果を得るステップ644を実装し得る。ステップ620がステップ640Aを含むとき、ステップ642は、ステップ640Aにおいて得られるパルス持続時間の測定結果に基づいている。この実施形態は、アクティブフィードバックループにおいて、ステップ640Aおよびステップ642を反復して行い得る。ステップ640Aおよびステップ642によって実施されるパルス持続時間フィードバックループは、とりわけ、レーザーパルス持続時間が、単一またはごくわずかのレーザーパルス192Pの測定結果から得られるときに、ステップ630およびステップ632によって実施されるパルスエネルギーフィードバックループよりも速い速度であり得る。例のシナリオにおいて、ステップ620は、目標パルス持続時間の10%以内であるレーザーパルス持続時間を達成する。
【0053】
ステップ620の他の実施形態において、ステップ642は、ステップ640Bに先行し、ステップ640Bでは、電子回路160は、共振器116の低損失状態の所望の持続時間Δtを計算するか、ルックアップテーブルから所望の持続時間Δtを取得するかのどちらかを行う。電子回路160は、(a)目標パルス持続時間と、(b)ガスレーザー110の持続時間Δtとパルス繰り返しレート、および任意でガスレーザー110の1またはそれより多くの他のパラメータも、ならびに/または目標パルスエネルギーとの間の予め校正された関数関係から、所望の持続時間Δtを計算し得る。例えば、レーザーパルス192P間の周期T(パルス繰り返しレートの逆数に等しい)に線形に依存するように持続時間Δtを調整することによって、パルス繰り返しレートの範囲にわたって、一定なレーザーパルス持続時間を達成することが可能であり得る。代替的に、ガスレーザー110の目標パルス持続時間、パルス繰り返しレートおよび任意でガスレーザー110の1またはそれより多くの他のパラメータも、ならびに/または目標パルスエネルギーの関数としての予め校正された持続時間Δtは、電子回路160中に含まれるルックアップテーブルにおいてリスト化され得る。
【0054】
1つのシナリオにおいて、ステップ610は、レーザーパルス192Pの繰り返しレートを変化させるステップ612を含む。このシナリオにおいて、方法600は、繰り返しレートの変化によって引き起こされるレーザーパルスエネルギーおよびレーザーパルス持続時間への変化を最小限にするように、ステップ612においてもたらされる繰り返しレートの変化に応答して、ステップ632および任意でステップ642を行う。
【0055】
電子回路160がコントローラー162およびドライバー164を含む実施形態において、スキーム700の実行は、ドライバー164がRF駆動信号722(駆動信号182の例)を生成することを伴う。ドライバー164は、コントローラー162によって生成された指令信号180に従ってRF駆動信号722を生成する。図7のグラフ710は、指令信号712の時間的進化を示す。指令信号712は、ドライバー164にRF駆動信号722を生成させることができる指令信号の1つの例である。指令信号712は、高い値Vhighと低い値Vlowとの間を交替する電圧Vである。V=Vhighのとき、VRFは、振幅ΔVhighを有し、V=Vlowのとき、VRFは、振幅ΔVlowを有する。Vlowの値は、ΔVlowの値を決める信号値である。それぞれのレーザーパルス192Pは、信号値Vlowによって特徴づけられる指令パルス714の後に生成される。Vlowの値は、ΔVlowの値を制御し、それゆえレーザーパルス192Pのエネルギーを制御する。
【0056】
コントローラー162は、連続的な指令パルス714の先行エッジ714L間の周期を所望のパルス繰り返しレートの逆数に設定することによって、レーザーパルス192Pの繰り返しレートを設定し得る。この場合、コントローラー162は、指令パルス714の後行エッジ714Tの時間的位置づけを調整することによって、共振器116の低損失状態の持続時間Δtを調整する。
【0057】
指令信号712は、タイミング情報(時刻tおよび時刻t)と可変電圧Vlowとの両方を含有する。代替的に、コントローラー162は、2つの個別の構成要素であるタイミング信号および可変DC電圧として指令信号を生成し得る。タイミング信号は、指令パルス714と同様であるが、一定の信号値Vlowを持つTTLパルスを含有するトランジスタ-トランジスタロジック(TTL)信号であり得る。可変DC電圧は、アナログ信号であり得、例えば、振幅ΔVlowを決める値VlowのDC電圧、またはRF駆動信号722である。しばしば、商業的なRFドライバーは、アナログ制御よりもデジタル制御のために構成されている。指令信号は、デジタル的に符号化された時刻t、遅延Δt、電圧値ΔVhighおよび電圧値ΔVlowを備えるデジタル信号であり得る。
【0058】
図8は、スキーム700に従って二変量パルスイコライゼーションを持つ装置100を動作させ、センサー150およびセンサー152からの測定結果に基づくレーザーパルスエネルギーとレーザーパルス持続時間との両方の動的調整を実装するときに生成されるレーザーパルス192Pの例を示す。比較のために、図8は、パルスイコライゼーションなしで、先行技術スキーム200に従って装置100を動作させるときに生成されるレーザーパルスの例もまた示す。図8は、センサー152によって測定される6つのレーザーパルス波形のオシロスコープトレースを描写する。トレース810、トレース820およびトレース830は、先行技術スキーム200で使用している10kHz、50kHzおよび100kHzのそれぞれのパルス繰り返しレートにおいて得られる。それゆえ、トレース810、トレース820およびトレース830に対して、Vlowは、0で保たれ、持続時間Δtは、一定に保たれる。トレース812、トレース822およびトレース832もまた、10kHz、50kHzおよび100kHzのそれぞれのパルス繰り返しレートにおいて得られるが、信号値Vlowと持続時間Δtとの両方の動的調整を持つスキーム700に従うパルスイコライゼーションを使用する。
【0059】
トレース810、トレース820およびトレース830に対する測定されたパルスエネルギーは、それぞれ704マイクロジュール(μJ)、542μJおよび335μJであり、対応するFWHMパルス持続時間は、105ナノ秒(ns)、118nsおよび117nsである。パルスイコライゼーションがないと、パルス繰り返しレートが10kHzから100kHzまで増加するとき、パルスエネルギーは劇的に変化することが明らかである。対照的に、スキーム700に従ってパルスイコライゼーションを実装するとき、トレース812、トレース822およびトレース832から明白なように、本質的に同一のレーザーパルス波形が、3つの全てのパルス繰り返しレートに対して得られる。パルスイコライゼーションがあると、10kHz、50kHzおよび100kHzでの測定されたパルスエネルギーは、それぞれ250μJ、254μJおよび262μJである。さらに、3つのパルスのそれぞれは、99nsのFWHMパルス持続時間を有する。
【0060】
3つの異なるパルス繰り返しレート、10kHz、50kHzおよび100kHzに対する、二変量パルスイコライゼーションがあるときおよびないときの、図9Aは、レーザーパルスエネルギーの例を、図9Bは、レーザーパルス持続時間の例を、それぞれ示す。データセット910は、パルスイコライゼーションがないとき、つまりΔVlow=0かつΔtが一定のときに、得られる。データセット920およびデータセット930は、スキーム700に従って二変量パルスイコライゼーションを使用し、ΔVlowとΔtとの両方がセンサー150およびセンサー152から得られた測定結果に基づいて動的に調整されるとき、得られる。データセット920の場合、目標パルスエネルギーEtargetは、340μJであり、目標パルス持続時間wtargetは、99nsであった。データセット930の場合、目標パルスエネルギーEtargetは、250μJであり、目標パルス持続時間wtargetは、117nsであった。
【0061】
データセット910は、パルスイコライゼーションがないとき、レーザーパルスエネルギーは、パルス繰り返しレートと共に、10kHzから100kHzまで2倍の低下を伴って、急速に減少することを示す。加えて、レーザーパルス持続時間は、非自明なように、パルス繰り返しレートにかなり敏感である。対照的に、データセット920およびデータセット930を参照すると、二変量パルスイコライゼーションは、非常に効果的である。目標パルス持続時間は、3つの全てのパルス繰り返しレートにおいて達成されており、パルスエネルギー変動は、小さい。2つの異なる目標パルスエネルギー、340μJおよび250μJのそれぞれに対して、それぞれ測定されたレーザーパルスエネルギーは、目標パルスエネルギーの5%以内である。
【0062】
図10Aは、Qスイッチ118がAOMである、装置100の実施形態において、ドライバー164として実装され得る1つのRFドライバー1000を図示する。図10Bは、RFドライバー1000を制御する例示的な指令信号1080を図示する。RFドライバー1000は、RFオシレーター1010、ミキサー1020および増幅器1040を含む。RFオシレーター1010は、RF信号を生成する。ミキサー1020は、このRF信号を受け取り、ミキサー1020の「IF」ポートで指令信号1080をさらに受け取る。指令信号1080は、レーザーパルス192Pの繰り返しレート、Vlowおよび持続時間Δtを画定するための指令信号712(図7参照)の連続的なインスタンスからなる可変アナログ電圧VVAである。指令信号1080は、コントローラー162の例によって生成される。ミキサー1020は、指令信号1080に従って、RFオシレーター1010からのRF信号を変調する。増幅器1040は、AOM Qスイッチを駆動するためのRF駆動信号1082を生成するために、この変調されたRF信号を増幅する。RF駆動信号1082は、RF駆動信号722の連続的なインスタンスに等しい。RFドライバー1000は、ミキサー1020によって生成された所望でない高調波を取り除くローパスフィルター1030をさらに含み得る。
【0063】
図11Aは、個別のタイミング入力および電圧入力を受け取るように構成される他のRFドライバー1100を図示する。図11Bは、RFドライバー1100のタイミング面を制御する例示的なタイミング指令信号1180を図示する。RFドライバー1100は、ミキサー1020のIFポートに結合されるデジタル的に制御されるアナログスイッチ1150をさらに含むことを除けば、RFドライバー1000と同様である。アナログスイッチ1150は、2つのアナログ電圧入力ポートを有する。1つのポートは、電圧Vhighで保たれ、もう一方は、コントローラー62の例からVlowを受け取る。アナログスイッチ1150は、コントローラー162から個別のタイミング指令信号もまた受け取る。タイミング指令信号1180は、Vlowについての情報を運ばずに、低い値と高い値との2つの値のみを獲得するデジタル信号であることを除けば、指令信号1080と同様である。アナログスイッチ1150は、タイミング指令信号1180に従って、VhighとVlowとの間で切り替わり、それによって指令信号1080を生成する。
【0064】
図12は、二変量パルスイコライゼーションのための、レーザーパルスエネルギーとレーザーパルス持続時間との両方のサーボ制御を伴う1つのコントローラー1200を図示する。コントローラー1200は、コントローラー162の実施形態であり、電子回路160中にRFドライバー1100と共に実装され得る。コントローラー1200は、センサー150からレーザービーム192の平均パワーの測定結果PAVEを受け取り、センサー152からレーザーパルス192Pのレーザーパルス波形を受け取る。レーザーパルス波形は、時間関数PINST(t)としての瞬間レーザーパワーである。コントローラー1200は、PAVEおよびPINST(t)を処理することで、Vlowおよびタイミング指令信号1180をそれぞれ生成し、次いでVlowおよびタイミング指令信号1180をそれぞれRFドライバー1100へ通信する。PAVEの処理は、目標パルスエネルギーEtargetを達成する働きをし、PINST(t)の処理は、目標パルス持続時間wtargetを達成する働きをする。(図3図5に参照して上記で述べられるように、レーザーパルスエネルギーとレーザーパルス持続時間との間に、ある程度の結合があり得る。)
【0065】
パルスエネルギーイコライゼーションのために、コントローラー1200は、パルスエネルギー計算機1210、サミングノード1220および比例-積分-微分(PID)コントローラー1230を含む。パルスエネルギー計算機1210は、平均パワーの測定結果PAVEおよびパルス繰り返しレートfrepからパルスエネルギーEを計算する。パルス繰り返しレートfrepは、外部の、供給源/信号から受け取られ得るか、またはコントローラー1200において内部で画定され得る。サミングノード1220は、計算されたパルスエネルギーEと目標パルスエネルギーEtargetとの差ΔEを評価し、ΔEを示すエラー信号を生成する。PIDコントローラー1230は、次いで、ΔEを低下させるために、新しいVlowを決定し、出力する。
【0066】
PID制御は、装置100および方法600によって用いられ得るフィードバックアルゴリズムのほんの1つの例である。代替的に、装置100および方法600は、技術的に公知である異なるフィードバックアルゴリズムを用い得る。従って、PIDコントローラー1230は、エラー信号を最小化するための異なる原理を用いる他の種類のサーボコントローラーに置き換えられ得る。
【0067】
パルス持続時間イコライゼーションのために、コントローラー1200は、波形アナライザー1250およびタイミング信号生成器1260を含む。波形アナライザー1250は、レーザーパルス持続時間wを導き出すために、レーザーパルス波形PINST(t)を分析する。タイミング信号生成器1260は、次いで、この測定されたレーザーパルス持続時間wを目標パルス持続時間wtargetと比較し、それらの間の差を最小化するようにタイミング指令信号1180を調整する。具体的には、タイミング信号生成器1260は、図6および図7を参照して上記で述べられるように、持続時間Δtを調整する。タイミング信号生成器1260は、次いで、タイミング指令信号1180をRFドライバー1100へ通信する。
【0068】
lowの調整のそれぞれの反復は、一連のレーザーパルス192Pのサンプリングに基づいく一方、タイミング指令信号1180の調整のそれぞれの反復は、単一のレーザーパルス192Pに基づき得、ゆえに、さらに短いタイムスケール上で行われ得る。
【0069】
図7図10A図10B図11A図11Bおよび図12に基づく上記の記述は、AOMに基づくQスイッチングに関する。これらの実施形態は、Qスイッチに応じて駆動信号を変化させることによって、他の種類のQスイッチングへ変更され得る。例えば、Qスイッチ118がEOMであるとき、上記で述べられるRF駆動信号は、DC駆動信号によって置き換えられる。
【0070】
本発明は、好ましい実施形態および他の実施形態について、上記で記載されている。しかし、本発明は、本明細書において記載され、描写されている実施形態に制限されない。それよりも、本発明は、本明細書に添付される請求項によってのみ制限される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】