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  • 特表-積層型パッチアンテナ 図1
  • 特表-積層型パッチアンテナ 図2
  • 特表-積層型パッチアンテナ 図3
  • 特表-積層型パッチアンテナ 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】積層型パッチアンテナ
(51)【国際特許分類】
   H01Q 13/08 20060101AFI20241106BHJP
   H01Q 5/40 20150101ALI20241106BHJP
   H01Q 19/13 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
H01Q13/08
H01Q5/40
H01Q19/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529407
(86)(22)【出願日】2021-11-17
(85)【翻訳文提出日】2024-07-12
(86)【国際出願番号】 ES2021070831
(87)【国際公開番号】W WO2023089207
(87)【国際公開日】2023-05-25
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517174522
【氏名又は名称】エアバス ディフェンス アンド スペース,エス.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エスピノサ アダムス,デビッド
【テーマコード(参考)】
5J020
5J045
【Fターム(参考)】
5J020AA03
5J020BA14
5J020BC13
5J020DA07
5J020DA08
5J045AA16
5J045DA10
5J045NA02
(57)【要約】
少なくとも放射素子を有する上部パッチアンテナ(2)と放射素子を有する下部パッチアンテナ(3)を備え、ここで、上部パッチアンテナ(2)は、放射素子を横方向に取り囲む壁(4)を有するキャビティバックパッチアンテナであり、下部パッチアンテナ(3)は、下部パッチアンテナ(3)の放射素子と上部パッチアンテナの放射素子の両方を横方向に取り囲む壁(4´)を有するキャビティバックパッチアンテナであり、上部パッチアンテナ(2)が寄生素子として1/4波長シャントスタブ(5)を備える、積層型パッチアンテナ(1)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも放射素子を有する上部パッチアンテナ(2)と放射素子を有する下部パッチアンテナ(3)とを備え、ここで、該下部パッチアンテナ(3)は、前記下部パッチアンテナ(3)の前記放射素子と該上部パッチアンテナ(2)の前記放射素子の両方を横方向に取り囲む壁(4´)を有するキャビティバックパッチアンテナであり、前記上部パッチアンテナ(2)が、前記放射素子を横方向に取り囲む壁(4)を有するキャビティバックパッチアンテナであり、前記上部パッチアンテナ(2)が寄生素子として1/4波長シャントスタブ(5)を備えることを特徴とする、積層型パッチアンテナ(1)。
【請求項2】
前記上部パッチアンテナ(2)がさらに、前記上部パッチアンテナの接地面上にステップインピーダンスの同心円状リング(6)を備える、請求項1に記載の積層型パッチアンテナ(1)。
【請求項3】
前記壁(4)及び前記壁(4´)が円筒形である、請求項1~請求項2のいずれかに記載の積層型パッチアンテナ(1)。
【請求項4】
前記積層型パッチアンテナ(1)が完全に金属である、請求項1~請求項3のいずれかに記載の積層型パッチアンテナ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層状に配置され、例えば衛星通信で使用可能なパッチアンテナの分野に属する。本積層は、少なくとも上部パッチアンテナと下部パッチアンテナとを備える。
【背景技術】
【0002】
パッチアンテナを積層状に配置する技術に関する特許文献がいくつかある。例えば、特許文献1は、積層状に配置されたそれぞれの動作周波数帯域を有する複数のパッチアンテナを備え、各アンテナが、放射導電パッチと、誘電体によって互いに分離された複数の同軸導体を有するケーブルとを備える、積層型パッチアンテナを開示している。本ケーブルの第1の導体は、最上部のアンテナの給電信号を伝送し、その放射導電パッチのヌルポイントに導電結合し、積層状にあるアンテナのうちの他のアンテナの放射導電パッチヌルポイントの開口部を通過する。積層状の連続的に低い位置にあるアンテナのそれぞれは、ケーブルの複数の導体のうちの別の1つに結合しており、その導体が、他のパッチをグランドに接続する。この配置により、周波数動作帯域間での高い分離度が維持される。上述した各アンテナの連続する組の間には、別のアンテナを追加することができるが、これらのアンテナでは、その上のアンテナとの寄生結合により、その上のアンテナと同じ給電導体によって給電される。
【0003】
特許文献2(「積層型自己ダイプレックスデュアルバンドパッチアンテナ(Stacked self-diplexed dual-band patch antenna)」)は、導電性ベースを有するアンテナを開示している。いくつかの実施形態では、第1の放射素子は導電性ベースの上にあってよく、第1の周波数帯域で動作可能である。第2の放射素子は、第1の放射素子の上にあってよく、第1の放射素子よりも小さい実装面積を有していてよい。第2の放射素子は第2の周波数帯域で動作してよい。第2の放射素子は、第1の周波数帯域及び第2の周波数帯域において、第1の放射素子及び第2の放射素子それぞれの給電線間の分離度が15dB以上となるような距離だけ、第1の放射素子の上にあってよい。
【0004】
特許文献3(「自己多重化アンテナ(Self-multiplexing antenas)」)は、基板、基板が担持する第1のアンテナ素子であって第1のアンテナ素子が第1のアンテナパッチと第1のアンテナ反射器とを含む第1のアンテナ素子、第1のアンテナパッチに接続された第1の信号給電、基板が担持する第2のアンテナ素子を含む、自己多重化アンテナを開示しており、ここで、第2のアンテナ素子は、第1のアンテナ素子と少なくとも部分的に垂直方向に整列しており、第2のアンテナ素子は、第2のアンテナパッチと第2のアンテナ反射器、第2のアンテナパッチに接続された第2の信号給電、第2のアンテナ反射器と第1のアンテナパッチとの間の第1の分離共振器を含む。
【0005】
ダイプレクサは、通常、信号を2つの周波数帯域に分離するのに採用される素子である。
通常、積層型パッチアンテナでは、下部アンテナが放射する電界が、上部アンテナの表面電流を誘起し、上部アンテナが放射する電界が、下部アンテナの表面電流を誘起する。
【0006】
従って、周波数帯域間の分離度を高める多重周波数性能を有する積層型パッチアンテナを提供する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許第1341259号明細書
【特許文献2】米国特許第20180358701号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2019252800号明細書
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、上述の欠点を克服する積層型パッチアンテナを提供することにある。
本発明は、少なくとも放射素子を有する上部パッチアンテナと放射素子を有する下部パッチアンテナとを備え、ここで、上部パッチアンテナは、放射素子を横方向に囲む壁を有するキャビティバックパッチアンテナであり、下部パッチアンテナは、下部パッチアンテナの放射素子と上部パッチアンテナの放射素子の両方を横方向に囲む壁を有するキャビティバックパッチアンテナであり、上部パッチアンテナは、寄生素子として1/4波長のシャントスタブを備える、積層型パッチアンテナを提供する。
【0009】
キャビティバックアンテナの内部にキャビティバックアンテナを使用するという考え方は、多重周波数帯域での高い分離度と大きな円偏波能力を持つ斬新でコンパクトな設計を提供する。上部パッチアンテナに寄生素子として1/4波長のシャントスタブを組み込むことで分離度が改善する。この素子により実効断面積が減少し、より高い分離度を提供する。
1/4波長のシャントスタブは、より純粋な円偏波とカバレージの軸比の平滑化が達成されるため、円偏波能力を最大限に発揮する。
1/4波長のシャントスタブは円形パッチよりも簡単には利用できないというのが事実だが、これによってリークを減らすことができる。誘電体を有する他のアンテナが帯域幅の獲得という点において達成することを、この寄生素子は達成する。
分離度という点では、上部アンテナの接地面上にステップインピーダンスの同心円状リングを組み込むことでさらに改善され、非常に優れた分離度能力を発揮することができる。
【0010】
本発明の他の特徴及び利点は、添付図に関連してその目的を例示するいくつかの実施形態についての以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の積層型パッチアンテナの斜視図を示す図である。
図2図1の積層型パッチアンテナの平面図を示す図である。
図3図1の積層型パッチアンテナの断面図を示す図である。
図4】本発明の積層型パッチアンテナの断面での図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、図1から図4に異なる図で示す積層型パッチアンテナ1を開示する。
図1図3の実施形態に見られるように、積層型パッチアンテナ1は、放射素子を有する上部パッチアンテナ2及び放射素子を有する下部パッチアンテナ3を備える。上部パッチアンテナ2は、放射素子を横方向に取り囲む壁4を有するキャビティバックパッチアンテナである。下部パッチアンテナ3は、下部パッチアンテナ3の放射素子と上部パッチアンテナ2の放射素子との両方を横方向に囲む壁4´を有するキャビティバックパッチアンテナである。上部パッチアンテナ2は、寄生素子として1/4波長シャントスタブ5を備える。
【0013】
積層型パッチアンテナ1のこの配置により、20dBを超える分離度を有する、コンパクトで統合されたソリューションを達成することができる。
【0014】
同軸サイズを小さくし、波長に対してサイズを小さくした2つの積層型キャビティバックパッチアンテナにより、帯域間の分離度が良く、2つの帯域で同時に動作することができる。これにより、低体積、低質量、及び高性能を実現する。
【0015】
積層型キャビティバックパッチアンテナは、送受信電気通信又は2つの送信信号(電気通信又はナビゲーション)に使用することができる。
分離度は、垂直軸(Z軸)に対して1/4波長シャントスタブ5を回転させることにより調整することができる。さらに、この寄生素子は、より優れた軸比の平坦性を提供するのに使用され、単一のノッチ付きパッチに対して円偏波の純正度を大幅に改善する。
【0016】
一実施形態では、積層型パッチアンテナ1は、(図4に示すように)上部パッチアンテナの接地面上にステップインピーダンスの同心円状リング(SICR)6をさらに備える。これらのリングは、より良い分離度性能(微調整)を提供するのに使用される。
本発明の積層型パッチアンテナ1では、下部パッチアンテナ3によって生じる電流は上部パッチアンテナ2に流入せず、上部パッチアンテナ2によって生じる電流は下部パッチアンテナ3に流入しない。電流の出入りがなく、またパッチアンテナ間の電磁結合もない。帯域を分離するためのダイプレクサ部は不要であり、質量を節約する。
一実施形態では、積層型パッチアンテナ1は誘電体基板を有しない完全な金属アンテナである。
【0017】
本積層は、2つ以上のパッチアンテナを備えてもよい。
本発明を好ましい実施形態に関連して十分に説明したが、これをこれらの実施形態によって限定されるとは考えず、以下の特許請求の範囲の内容によって限定されると考えて、その範囲内で変更を導入してよいことは、明らかである。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】