(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】眼の処置のための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
A61N 1/04 20060101AFI20241106BHJP
A61N 1/36 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
A61N1/04
A61N1/36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529461
(86)(22)【出願日】2022-11-17
(85)【翻訳文提出日】2024-07-17
(86)【国際出願番号】 US2022050319
(87)【国際公開番号】W WO2023091611
(87)【国際公開日】2023-05-25
(32)【優先日】2021-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522444058
【氏名又は名称】アイ-ルーメン サイエンティフィック,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マスコ,マーシャル ティー.
(72)【発明者】
【氏名】ベルーラ,ジョン シー.
(72)【発明者】
【氏名】ミノーグ,コナー エム.
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053BB02
4C053BB34
4C053BB35
4C053JJ02
4C053JJ04
4C053JJ21
4C053JJ40
(57)【要約】
患者の第1の眼に電気刺激信号を印加するように構成された1つ以上の刺激電極を有する第1の電極基板と、電気刺激療法の送達中に患者の神経細胞からの電気活動を検出するように構成された複数のセンサ電極であって、複数のセンサ電極は第1のセンサ電極および第2のセンサ電極を含む、複数のセンサ電極と、患者上の位置に置かれるように構成された第1のリターン電極であって、1つ以上の刺激電極の少なくとも1つと第1のリターン電極との間に電流が形成されることになる、第1のリターン電極と、電流が患者の第1の眼の網膜を通過して電気刺激療法を送達するように、1つ以上の刺激電極のうちの少なくとも1つと第1のリターン電極との間に形成される電流を制御するように構成された刺激コントローラとを含む、方法およびシステム。
【選択図】
図6A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気刺激療法を患者に送達するためのシステムであって、前記システムは、
第1の電極基板であって、
前記患者の第1の眼に電気刺激信号を印加するように構成された前記第1の電極基板上の1つ以上の刺激電極であって、前記第1の眼は上眼瞼および下眼瞼を有し、前記第1の電極基板は、前記患者の前記第1の眼の前記上眼瞼および前記下眼瞼のうち少なくとも一方の外面に前記1つ以上の電極を配置するように構成されている、1つ以上の刺激電極
を含む、第1の電極基板と、
前記電気刺激療法の送達中に前記患者の神経細胞からの電気活動を検出するように構成された複数のセンサ電極であって、前記複数のセンサ電極は、前記患者上の第1の選択された位置に置かれた第1のセンサ電極と、前記患者上の第2の選択された位置に置かれた第2のセンサ電極とを含む、複数のセンサ電極と、
前記1つ以上の刺激電極によって印加された前記電気刺激信号のリターン経路を提供する前記患者のリターン位置に置かれるように構成された第1のリターン電極であって、前記1つ以上の刺激電極のうちの少なくとも1つと前記第1のリターン電極との間に電流が形成されることになる、第1のリターン電極と、
前記1つ以上の刺激電極、前記複数のセンサ電極、および前記第1のリターン電極に動作可能に結合された刺激コントローラであって、前記刺激コントローラは、前記電流が前記患者の前記第1の眼の網膜を通過して前記電気刺激療法を送達するように、前記1つ以上の刺激電極のうちの前記少なくとも1つと前記第1のリターン電極との間に形成される前記電流を制御するように構成されており、前記刺激コントローラは、前記電気刺激療法の特性を決定するために、前記第1のセンサ電極と前記第2のセンサ電極との間の電圧の差を検出するように構成された差動増幅器を含む、刺激コントローラと
を備える、システム。
【請求項2】
前記1つ以上の刺激電極が、前記複数のセンサ電極のうちの1つとしても機能する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1のセンサ電極が、前記患者の前記第1の眼の結膜に接触するように構成された金箔電極を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1のセンサ電極が、前記患者の前記第1の眼の角膜に接触するように構成されたDawson-Trick-Litzkow(DTL)電極を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1のセンサ電極の前記第1の選択された位置が、前記患者の前記第1の眼の前記下眼瞼の前記外面である、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記第2のセンサ電極の前記第2の選択された位置が、前記患者の頭部の側面にある、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記複数のセンサが、コモンモード干渉を低減するように構成された第3のセンサ電極を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記刺激コントローラが、
前記電気刺激療法の電流レベルを第1の処置セッション中に第1の値に設定し、前記電流レベルの前記第1の値は前記第1の眼の刺激閾値を下回り、
前記第1の処置セッション中に前記電流レベルを前記第1の値から増加させ、前記刺激コントローラによって決定された前記電気刺激療法の前記特性は、前記第1の処置セッション中に前記患者の前記第1の眼に眼閃が見えるという第1の指示を含み、前記第1の指示が決定されると、前記第1の値からの前記電流レベルの増加は第2の値で停止される、
ようにさらに構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1の処置セッション中に前記患者からフィードバックを引き出して受信するように構成されたユーザインターフェースであって、前記刺激コントローラは、前記ユーザインターフェースによって受信された前記フィードバックに少なくとも部分的に基づいて前記第1の指示の前記決定のために較正される、ユーザインターフェース
をさらに備える、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記刺激コントローラが、前記第1の処置セッション中に前記電流レベルを前記第2の値から増加させ、前記電気刺激療法の前記特性は、前記患者が前記第1の処置セッション中に不快感を感じているという第2の指示を含み、前記第2の指示が決定されると、前記第2の値からの前記電流レベルの前記増加は第3の値で停止されるようにさらに構成されている、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記刺激コントローラが、
前記電気刺激療法の電流レベルを第1の処置セッション中に第1の値に設定し、前記電流レベルの前記第1の値は前記第1の眼の刺激閾値を下回り、
前記第1の処置セッション中に前記電流レベルを前記第1の値から増加させ、
前記患者から、眼閃が前記患者に見えるという第1の指示を引き出して受信し、前記第1の指示が受信されると、前記第1の値からの前記電流レベルの前記増加は第2の値で停止される
ようにさらに構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
第2の電極基板であって、
前記患者の第2の眼に電気刺激信号を印加するように構成された前記第2の電極基板上の1つ以上の刺激電極であって、前記第2の眼は上眼瞼および下眼瞼を有し、前記第2の電極基板は、前記患者の前記第2の眼の前記上眼瞼および前記下眼瞼のうち少なくとも一方の外面上に前記1つ以上の電極を配置するように構成されている、1つ以上の刺激電極を含む、第2の電極基板
をさらに備え、
前記第1のリターン電極は、前記第2の電極基板上の前記1つ以上の刺激電極のうちの少なくとも1つと前記第1のリターン電極との間に電流が形成されるように、前記第2の電極基板上の前記1つ以上の刺激電極によって印加された前記電気刺激信号のリターン経路を提供するようにさらに構成されており、
前記複数のセンサ電極は、前記患者の第3の選択された位置に置かれた第3のセンサ電極と、前記患者の第4の選択された位置に置かれた第4のセンサ電極とを含み、
前記刺激コントローラは、前記第2の電極基板上の前記1つ以上の刺激電極に動作可能に結合され、前記刺激コントローラは、前記第3のセンサ電極および前記第4のセンサ電極に動作可能に結合され、
前記刺激コントローラは、前記電流が前記患者の前記第2の眼の網膜を通過して前記電気刺激療法を送達するように、前記第2の電極基板上の前記1つ以上の刺激電極のうちの前記少なくとも1つと前記第1のリターン電極との間に形成される前記電流を制御するように構成されており、前記差動増幅器はさらに、前記電気刺激療法の前記特性を決定するために、前記第3のセンサ電極と前記第4のセンサ電極との間の電圧の差を検出するようにさらに構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
電気刺激療法を患者に送達するための方法であって、前記方法は、
第1の電極基板を提供することであって、前記第1の電極基板は、
前記患者の第1の眼に電気刺激信号を印加するように構成された前記第1の電極基板上の1つ以上の刺激電極であって、前記第1の眼は上眼瞼および下眼瞼を有する、
1つ以上の刺激電極を含む、第1の電極基板を提供することと、
前記1つ以上の刺激電極が前記患者の前記第1の眼の前記上眼瞼および前記下眼瞼のうち少なくとも一方の外面上にあるように、前記第1の電極基板を前記患者の皮膚に取り付けることと、
第1のセンサ電極および第2のセンサ電極を含む複数のセンサ電極を提供することと、
前記第1のセンサ電極を前記患者上の第1の選択された位置に置き、前記第2のセンサ電極を前記患者上の第2の選択された位置に置くことと、
第1のリターン電極を提供することと、
前記1つ以上の刺激電極のうちの少なくとも1つと前記第1のリターン電極との間に電流が形成されるように、前記1つ以上の刺激電極によって印加された前記電気刺激信号のリターン経路を提供する前記患者のリターン位置に前記第1のリターン電極を置くことと、
前記電気刺激療法を前記第1の眼に送達することであって、前記送達することは、前記電流が前記患者の前記第1の眼の網膜を通過するように、前記1つ以上の刺激電極の前記少なくとも1つと前記第1のリターン電極との間に形成される前記電流を制御することを含む、前記第1の眼に送達することと、
前記複数のセンサ電極を使用して、前記第1の眼への前記電気刺激療法の前記送達中に前記患者の神経細胞からの電気活動を検出することであって、前記電気活動を検出することは、
前記電気刺激療法の特性を決定するために、前記第1のセンサ電極と前記第2のセンサ電極との間の電圧差を検出することを含む、
電気活動を検出することと
を含む、方法。
【請求項14】
前記検出された電気活動に少なくとも部分的に基づいて網膜電図(ERG)データを生成すること
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記複数のセンサ電極は、コモンモード干渉を低減するように構成された第3のセンサ電極を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記電気刺激療法の前記特性が、前記第1の処置セッション中に前記患者の前記第1の眼に眼閃が見えるという第1の指示を含み、前記方法は、
前記電気刺激療法の電流レベルを第1の処置セッション中に第1の値に設定することであって、前記電流レベルの前記第1の値は前記第1の眼の刺激閾値を下回る、第1の値に設定することと、
前記第1の処置セッション中に前記第1の値から前記電流レベルを増加させることと、
前記第1の指示に基づいて前記第1の値から前記電流レベルを増加させることを第2の値で停止させることと
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の処置セッション中に前記患者からフィードバックを引き出して受信することであって、前記第1の指示を決定することが、前記受信したフィードバックに少なくとも部分的に基づいて較正される、フィードバックを引き出して受信すること
をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の処置セッション中に前記第2の値から前記電流レベルを増加させることであって、前記特性は、前記患者が前記第1の処置セッション中に不快感を感じているという第2の指示を含む、前記電流レベルを増加させることと、
前記第2の指示に基づいて前記第2の値から前記電流レベルを増加させることを第3の値で停止させることと
をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の選択された位置で前記患者に前記第1のセンサ電極を置くことが、前記患者の前記第1の眼の結膜を前記第1のセンサ電極の少なくとも一部と接触させることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の選択された位置で前記患者に前記第1のセンサ電極を置くことが、前記患者の前記第1の眼の角膜を前記第1のセンサ電極の少なくとも一部と接触させることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
適切にプログラムされた制御システムに、患者に電気刺激療法を送達するための方法を実行させるための命令が格納された非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記第1の眼は上眼瞼および下眼瞼を有し、前記方法は、第1の電極基板上に1つ以上の刺激電極を含む電気刺激システム上の前記制御システムであって、前記1つ以上の刺激電極は、前記患者の前記第1の眼に電気刺激信号を印加するように構成されており、前記1つ以上の刺激電極が前記患者の前記第1の眼の前記上眼瞼および前記下眼瞼のうち少なくとも一方の外面上にあるように、前記第1の電極基板は前記患者の皮膚に取り付けられている、制御システムと、前記患者上の第1の選択された位置に置かれた第1のセンサ電極と、前記患者上の第2の選択された位置に置かれた第2のセンサ電極とを含む複数のセンサ電極と、前記1つ以上の刺激電極によって印加された前記電気刺激信号のリターン経路を提供する前記患者のリターン位置に置かれるように構成された第1のリターン電極であって、前記1つ以上の刺激電極のうちの少なくとも1つと前記第1のリターン電極との間に電流が形成されることになる、第1のリターン電極とによって実行され、
前記方法は、
前記電気刺激療法を前記第1の眼に送達することであって、前記送達することは、前記電流が前記患者の前記第1の眼の網膜を通過するように、前記1つ以上の刺激電極の前記少なくとも1つと前記第1のリターン電極との間に形成される前記電流を制御することを含む、前記第1の眼に送達することと、
前記複数のセンサ電極を介して、前記第1の眼への前記電気刺激療法の前記送達中に前記患者の神経細胞からの電気活動を検出することであって、前記電気活動を検出することは、
前記電気刺激療法の特性を決定するために、前記第1のセンサ電極と前記第2のセンサ電極との間の電圧差を検出することを含む、電気活動を検出することと
を含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項22】
前記電気刺激療法の前記特性が、前記第1の処置セッション中に前記患者の前記第1の眼に眼閃が見えるという第1の指示を含み、前記非一時的コンピュータ可読媒体は、前記方法が、
前記電気刺激療法の電流レベルを第1の処置セッション中に第1の値に設定することであって、前記電流レベルの前記第1の値は前記第1の眼の刺激閾値を下回る、第1の値に設定することと、
前記第1の処置セッション中に前記第1の値から前記電流レベルを増加させることと、
前記第1の指示に基づいて前記第1の値から前記電流レベルを増加させることを第2の値で停止させることと
をさらに含むような命令をさらに含む、請求項21に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項23】
前記方法が、
前記検出された電気活動に関連する電気アーチファクトを抑制すること
をさらに含むような命令をさらに含む、請求項21に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項24】
前記検出された電気活動は検出された波形を含み、前記非一時的コンピュータ可読媒体は、前記方法が、
前記検出された波形の複数の成分の振幅および潜時を測定することであって、前記電流を制御することが、前記検出された波形の前記複数の成分のうちの選択された成分が前記振幅および前記潜時のうちの少なくとも1つの閾値レベルに達するまで前記電流の強度を増加させることを含む、振幅および潜時を測定すること
をさらに含むような命令をさらに含む、請求項21に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項25】
電気刺激療法を患者に送達するためのシステムであって、前記システムは、
第1の電極基板であって、
患者の第1の眼に電気刺激信号を印加するように構成された前記第1の電極基板上の1つ以上の刺激電極を含み、前記第1の眼は上眼瞼および下眼瞼を有し、前記第1の電極基板は、前記患者の前記第1の眼の前記上眼瞼および前記下眼瞼のうち少なくとも一方の外面に前記1つ以上の電極を配置するように構成されている、第1の電極基板と、
コントローラに動作可能に結合され、前記電気刺激療法の送達中に前記第1の眼の瞳孔の開口部を測定するように構成された瞳孔測定デバイスと、
前記1つ以上の刺激電極によって印加された前記電気刺激信号のリターン経路を提供する前記患者のリターン位置に置かれるように構成された第1のリターン電極であって、前記1つ以上の刺激電極のうちの少なくとも1つと前記第1のリターン電極との間に電流が形成されることになる、第1のリターン電極と、
前記1つ以上の刺激電極、前記複数のセンサ電極、および前記第1のリターン電極に動作可能に結合された刺激コントローラであって、前記刺激コントローラは、前記電流が前記患者の前記第1の眼の網膜を通過して前記電気刺激療法を送達するように、前記1つ以上の刺激電極のうちの前記少なくとも1つと前記第1のリターン電極との間に形成される前記電流を制御するように構成されている、刺激コントローラと
を備える、システム。
【請求項26】
前記刺激コントローラが、
前記電気刺激療法の電流レベルを第1の処置セッション中に第1の値に設定し、前記電流レベルの前記第1の値は前記第1の眼の刺激閾値を下回り、
前記第1の処置セッション中に前記第1の値から前記電流レベルを増加させ、
前記第1の眼の前記瞳孔の前記測定された開口部に少なくとも部分的に基づいて、前記第1の処置セッション中の前記電気刺激療法の特性を決定し、前記特性は、前記第1の処置セッション中に前記患者の前記第1の眼に眼閃が見えるという第1の指示を含み、前記第1の指示が決定されると、前記第1の値からの前記電流レベルの増加は第2の値で停止される、
ようにさらに構成されている、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記瞳孔測定デバイスが、前記第1の眼によって放出された赤外光を測定するように構成された赤外測定デバイスを含む、請求項25に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、Marshall T.Maskoらによって2021年11月19日に出願された「METHOD AND SYSTEM FOR EYE TREATMENT」と題する米国仮特許出願第63/281,558号の、35U.S.C.§119(e)に基づくものを含む、優先権の利益を主張するものであり、これは参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0002】
本出願は、
Moweryらによって2019年8月27日に発行された「APPARATUS AND METHOD FOR OCULAR MICROCURRENT STIMULATION THERAPY」と題する米国特許第10,391,312号明細書、
Moweryらによって2016年9月13日に出願された「APPARATUS AND METHOD FOR OCULAR MICROCURRENT STIMULATION THERAPY」と題するPCT特許出願PCT/US2016/051550(国際公開第2017/048731号として公開)、
Moweryらによって2015年9月15日に出願された「APPLIANCE FOR MICROCURRENT STIMULATION THERAPY USING A DISPOSABLE MATERIAL AFIXED TO THE UPPER AND LOWER EYE LID&OTHER BODY PARTS」と題する米国仮特許出願第62/283,870号、
Maskoらによって2015年9月15日に出願された「APPARATUS FOR A METHOD OF APPLICATION OF MICROCURRENT STIMULATION THERAPY,CONSISTING OF A GOGGLE DEVICE AFFIXED TO&ENCIRCLING THE UPPER AND/OR LOWER EYELIDS,AS WELL AS OTHER BODY PARTS」と題する米国仮特許出願第62/283,871号、
Tappらによって2016年7月22日に出願された「APPLIANCE FOR MICRO-CURRENT STIMULATION」と題する米国仮特許出願第62/365,838号、
Maskoらによって2021年6月17日に出願された「APPARATUS AND METHOD FOR MICROCURRENT STIMULATION THERAPY」と題する米国特許出願第17/415,508号(米国特許出願公開第2022/0047866号明細書として公開)、
Maskoらによって2021年6月18日に出願された「MICROCURRENT-STIMULATION-THERAPY APPARATUS AND METHOD」と題する米国特許出願第17/416,024号(米国特許出願公開第2022/0062634号として公開)、
Maskoらによって2019年11月26日に出願された「APPARATUS AND METHOD FOR MICROCURRENT STIMULATION THERAPY」と題するPCT特許出願PCT/US2019/063404(国際公開第2020/131329号として公開)、
Maskoらによって2019年12月19日に出願された「MICROCURRENT-STIMULATION-THERAPY APPARATUS AND METHOD」と題するPCT出願PCT/US2019/067627(国際公開第2020/132337号として公開)、
Maskoらによって2018年12月20日に出願された「APPARATUS AND METHOD FOR MICROCURRENT STIMULATION THERAPY」と題する米国仮特許出願第62/783,116号、
Moweryらによって2020年3月5日に出願された「VISION TESTING AND TREATMENT SYSTEM AND METHOD」と題するPCT特許出願PCT/US2020/021267(国際公開第2021/177968号として公開)、
Duncanらによって2021年5月11日に出願された「ELECTRODE SYSTEM FOR VISION TREATMENT AND METHOD」と題するPCT特許出願PCT/US2021/031869(国際公開第2021/231496号として公開)、
Duncanらによって2020年5月15日に出願された「ELECTRODE SYSTEM FOR VISION TREATMENT AND METHOD」と題する米国仮特許出願第63/025,987号、および
Maskoらによって2021年9月14日に発行された「SYSTEM AND METHOD FOR A MEDICAL DEVICE」と題する米国特許第11,116,973号明細書
に関連し、
それらの各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
技術分野
本発明は、概して、人体の電気刺激に関し、特に、黄斑変性(萎縮型もしくは滲出型AMD(加齢性黄斑変性))、網膜色素変性、糖尿病黄斑浮腫、網膜裂孔または網膜剥離、黄斑円孔、および網膜上膜を含む網膜疾患などの様々な眼の症状を処置するために眼に電気刺激を適用するための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0004】
様々な症状を処置するための眼の非侵襲的電気刺激の使用への関心が高まっている。治療戦略の基礎は、視覚経路に沿ったニューロンおよび/またはグリア細胞および上皮細胞などの非神経組織の刺激を含み得る。視力を改善する目的で患者に電気刺激を与える主な非侵襲的経路は、経眼瞼、経眼窩、および経角膜である。経眼瞼電気刺激は、後頭部、頸部もしくは肩部、側頭部、または電気刺激のリターン経路を提供する患者上の任意の他の適切な位置に配置され得るリターン電極を備えた眼瞼に置かれた小さな表面電極を使用する。
【0005】
電気刺激は、通常、閾値効果によって特徴付けられ、すなわち、標的組織における電流密度は、関与する特定の神経細胞または非神経細胞を活性化するのに十分に高くなければなく、十分に長く持続されなければならない。眼瞼、または角膜に送達された電流は、眼を通って眼の周囲に分散し、次いで頭部全体に分散した後、リターン電極に再び集まる。眼または頭部の任意の点における電流密度は、骨、脂肪、中間透光体、神経組織などの関与する異なる種類の組織の相対電気伝導度に依存する。任意の点での電流密度は、計算モデリングによって推定することができるが、実際には、標的組織で所望の閾値に達する眼瞼または角膜での電流振幅を選択することは困難である。
【0006】
Marko Hawlinaによる1992年10月13日に発行された「Electrode for electroretinography and method of use」と題する米国特許第5,154,174号明細書が、参照により本明細書に組み込まれる。米国特許第5,154,174号明細書は、可塑的に変形可能な自己支持型のフィラメント状導電性部材を備える網膜電図検査用の電極を記載しており、このフィラメント状導電性部材は、第1および第2の電気的絶縁領域を有し、それらの間で部材の一部が電気接点として露出している。部材は、好ましくは、エンドレスループを形成する。
【0007】
Larry B.Wallaceらによる1996年6月4日に発行された「Apparatus and method for ocular treatment」と題する米国特許第5,522,864号明細書が、参照により本明細書に組み込まれる。米国特許第5,522,864号明細書は、対象における黄斑変性および他の眼病状が、直流電源の正極を対象の閉じた眼瞼と電気的に接触させるステップと、電源の負極を対象の後頸部と電気的に接触させるステップと、対象を通して電極間に200μAの一定の直流を約10分間流すステップとによって処置されることを記載している。電源は、対象に取り付けられた可搬式のバッテリ駆動の定常直流発電機とすることができる。対象は処置中に歩行することができる。
【0008】
John B.Jardingらによる2000年3月7日に発行された「Methods and apparatus for electrical microcurrent stimulation therapy」と題する米国特許第6,035,236号明細書が、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。特許第6,035,236号明細書は、身体部分に微弱電流刺激療法を提供するために、身体部分に電気信号を供給するための装置を記載している。装置は、好ましくは、第1の掃引波信号を生成するように構成された第1の掃引波または掃引周波数信号発生器と、第1の掃引信号発生器から第1の掃引波信号を受信し、掃引波信号を増幅およびバッファリングしてバッファリングされた掃引波信号を生成するように構成されたバッファ増幅回路とを備える。さらに、装置は、好ましくは、バッファ増幅回路からバッファされた掃引波信号を受信し、身体部分に供給される電流の量を制限するように構成された電流制限回路を含む。最後に、装置は、好ましくは、掃引波信号を身体部分に印加するためのプローブを備える。装置はさらに、掃引波信号または非掃引波信号のいずれかを含み得る第2の信号を生成するための第2の信号発生器を備えることができる。装置はまた、第1および第2の信号発生器から第1および第2の信号を受信し、第1および第2の信号を合成掃引波信号に合成するように構成された信号合成回路を含む。
【0009】
John B.Jardingらによる2001年8月14日に発行された「Methods and apparatus for electrical microcurrent stimulation therapy」と題する米国特許第6,275,735号明細書が、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。特許第6,275,735号明細書は、身体部分に微弱電流刺激療法を提供するための方法および装置を記載している。一実施形態では、方法は、微弱電流信号の変調周波数のデジタル制御を可能にする。この方法は、第1のデジタルデータワードに関連する第1の周波数を生成するために使用される第1のデジタルデータワードを受信し、その結果、第1の周波数の第1の微弱電流信号が身体部分に印加されることを含む。第2のデジタルデータワードが受信され、第2のデジタルデータワードに関連する第2の周波数を生成するために使用される。第2の周波数の第2の微弱電流信号が身体部分に印加される。別の実施形態では、方法は、微弱電流刺激信号の直接デジタル合成を可能にする。第1のデジタルデータワードは、身体部分に印加される第1のアナログ電圧を生成するために使用される。第2のデジタルデータワードは、身体部分にも印加される第2のアナログ電圧を生成するために使用され、第1のアナログ電圧は第2のアナログ電圧とは異なる。さらに別の実施形態では、微弱電流刺激療法を提供するための装置は、デジタル-アナログ変換器と、コントローラと、複数のデータワードとを含む。コントローラは、デジタル-アナログ変換器に結合され、微弱電流刺激療法のための電気信号を生成するためにデジタル-アナログ変換器にデジタルデータワードを供給する。
【0010】
Jouni Ihmeらによる2006年6月13日に発行された「Method and arrangement for determining suitable treatment frequency and/or intensity」と題する米国特許第7,062,319号明細書が、参照により本明細書に組み込まれる。特許第7,062,319号明細書は、電気処置に使用される処置信号の適切な処置周波数および/または強度を決定するための方法および配置を記載している。この方法では、刺激電気信号が対象物に向けられて、刺激電気信号の異なる強度で対象物内に異なる反応タイプを生成する。少なくとも3つの異なる反応タイプについて、反応タイプが生じた刺激電気信号の強度が記憶される。少なくとも3つの異なる周波数で異なる反応タイプについて記憶された電気信号強度が基準値と比較され、信号強度が1つ以上の基準値から十分に逸脱する周波数および/または信号強度が決定される。この方法は、適切な処置周波数および/または信号強度を決定するプロセスにおいて見出される周波数および/または信号強度を利用する。
【0011】
Edward L.Paul,Jr.による2007年1月2日に発行された「Method and apparatus for performing microcurrent stimulation(MSC)therapy」と題する米国特許第7,158,834号明細書が、参照により本明細書に組み込まれる。特許第7,158,834号明細書は、微弱電流刺激(MSC)治療を提供するための方法および装置を記載している。特許第7,158,834号明細書は、特定の周波数の微弱電流信号を特定の期間にわたり眼に印加すると、黄斑変性および他の眼疾患の症状が安定し、さらには改善することが確かめられたと述べている。
【0012】
Jefferson J.Katimsによる2008年2月5日に発行された「Nervous tissue stimulation device and method」と題する米国特許第7,326,181号明細書が、参照により本明細書に組み込まれる。特許第7,326,181号明細書は、刺激される組織に十分な電圧または電気アーチファクトを残さず、監視システムが生理学的応答を記録するのを妨害または防止する神経選択的組織刺激のための正確に制御されたコンピュータプログラム可能刺激を使用して、研究されている組織の生理学的伝導を評価する方法を記載している。コンピュータは、刺激の波形、持続時間および強度の両方を制御する。神経応答記録成分への出力トリガは、その動作のタイミングを制御する。神経選択的神経組織応答潜時および振幅を決定することができる。コンピュータ制御刺激はまた、治療目的で投与されてもよい。
【0013】
Paul W.Wacnikらによる2014年9月23日に発行された「Ramping parameter values for electrical stimulation therapy」と題する米国特許第8,843,209号明細書が、参照により本明細書に組み込まれる。特許第8,843,209号明細書は、電気刺激の1つ以上のパラメータ値をランプアップさせるためのデバイス、システム、および技術を記載している。植込み型医療機器は、パラメータの目標値に達するために、経時的にパラメータ値、例えば、振幅またはパルス幅を増減することができる。一例では、メモリは、複数の振幅ランプスケジュールを格納するように構成され得る。少なくとも1つのプロセッサが、電気刺激療法を少なくとも部分的に定義する刺激パラメータセットを取得し、刺激パラメータセットの信号周波数に基づいて複数の振幅ランプスケジュールのうちの1つを選択し、選択された振幅ランプスケジュールによって定義されたランプ期間中に電気刺激療法の振幅を増加させるように構成され得る。
【0014】
Florian Gekelerらによる2015年12月1日に発行された「Method for treating an eye」と題する米国特許第9,199,080号明細書が、参照により本明細書に組み込まれる。特許第9,199,080号明細書によれば、パルス電気刺激信号でそのような処置を必要とする患者の少なくとも一方の眼を処置する方法において、最初に患者の個別パラメータが決定され、その後、パルス電気刺激信号の少なくとも一方の刺激パラメータが少なくとも一方の個別パラメータに応じて設定され、次いで、パルス電気刺激信号が少なくとも一方の眼に印加される。
【0015】
Paul Badawiによる2017年8月8日に発行された「Dry eye treatment apparatus and methods」と題する米国特許第9,724,230号明細書が、参照により本明細書に組み込まれる。特許第9,724,230号明細書は、概して、上眼瞼および/または下眼瞼の皮膚に貼り付けられたパッチまたはストリップを含み、熱または他の形態のエネルギー、圧力、薬物、水分などを(単独でまたは組み合わせて)、皮膚の下に含まれる1つ以上の複数のマイボーム腺に送達するドライアイ処置装置および方法を記載している。1つ以上の処置ストリップは、1つ以上のストリップが1つ以上のストリップからの制限なしに対象が自然にまばたきすることを可能にするように、対象の片眼または両眼に近接した皮膚の下にある領域に接着するように構成された1つ以上のストリップを含む。さらに、1つ以上のストリップは、皮膚の下にある領域にエネルギーを放出するように構成されてもよく、1つ以上のストリップは、皮膚の下にある領域に含まれる1つ以上のマイボーム腺の位置を追従するように成形されている。
【0016】
Takeshi Morimotoらによる「Evaluation of residual retinal function by pupillary constrictions and phosphenes using transcorneal electrical stimulation in patients with retinal degeneration」と題するGraefe’s Archive for Clinical and Experimental Ophthalmology,Vol.244,pp.1283-1292(2006)の刊行物が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0017】
Takashi Fujikadoらによる「Effect of transcorneal electrical stimulation in patients with nonarteritic ischemic optic neuropathy or traumatic optic neuropathy」と題するJapanese Journal of Ophthalmology,Vol.50,pp.266-273(2006)の刊行物が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0018】
Yousef Farrajらによる「Measuring pupil size and light response through closed eyelids」と題するBiomedical Optics Express,Vol.12,No.10,pp.6485-6495(2021)の刊行物が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0019】
電気刺激を使用して眼の症状を処置するための改善された方法およびシステムが必要とされている。
【発明の概要】
【0020】
いくつかの実施形態では、本発明は、眼の電気刺激を提供するための方法およびシステムを提供する(いくつかのそのような実施形態では、眼の電気刺激に使用される電流は、低周波数(約1000Hz未満)パルス列の形態をとり、個々のパルスは単相(いずれかの極性)または二相であり得る)。本明細書で使用される場合、パルス列の「パルス繰り返し数」または「パルスレート」は、「周波数」および/または「Hz」と非公式に呼ばれ、周波数および/またはHzの数値への言及は、パルストレインの1秒当たりのパルス数の値として理解されるべきである。いくつかの実施形態では、電気刺激は、サブトレインのシーケンスを含むパルストレインの形成を含み、各サブトレイン内のパルスは同じタイプおよび極性である。いくつかの実施形態では、パルスは電流制御され、すなわち、駆動回路は、回路インピーダンス、または電圧制御に関係なく選択された電流を送達するように設計され、電流は回路インピーダンスに依存する。
【0021】
いくつかの実施形態では、眼閃の患者報告は、電気刺激が標的網膜組織に達しているという指標として使用される。本明細書で使用される場合、「眼閃」は、網膜(例えば、双極細胞などの網膜内の特定の細胞の刺激)の刺激によって引き起こされる、光が眼に入らずに起こる眼内の光の印象(例えば、視覚閃光)である。いくつかの実施形態では、視力を回復または維持するための網膜疾患(例えば、黄斑変性)の処置における有効性は、患者の眼が閉じているときに眼閃の可視外観を誘発するレベルの眼刺激(例えば、電気刺激)を与えることと一体的に関連している。
【0022】
いくつかの実施形態では、本発明は、治療的刺激強度が達成され、過剰な刺激が回避されるように、治療中の眼の反応を監視するための客観的手段を提供する。いくつかのそのような実施形態では、本発明は、電気刺激に応反応して網膜、視神経、および/または脳における神経細胞の電気活動を観察するために、電気刺激中に眼および頭部の領域の電気信号を復元する。いくつかの実施形態では、電気刺激反応は、刺激パルスの送達後の期間に発生し、ノイズに埋め込まれた極めて低レベルの信号である。いくつかの実施形態では、電気刺激反応信号を抽出するために、複数の連続する同一のパルスからの波形記録がデジタル的に捕捉され、結果得られる波形は各時点で平均化され、そうすることで、ランダムノイズが相殺される一方で、基礎となる信号が現れる。
【0023】
いくつかの実施形態では、本発明は、眼の非侵襲的電気刺激を実行するためのシステムを提供し、このシステムは、眼の前面の角膜上または眼瞼上のいずれかに直接配置された第1の電極と、眼から後頭部または側頭部または頸部または肩部に配置された第2のリターン電極と、第1および第2の電極間に治療電流を流すパルス電流発生器と、対応する基準電極とともに頭部に配置された第3のセンシング電極と、第3の電極と基準電極との間の電位差を測定する差動増幅器と、電気刺激を眼に与え、その後の眼の電気反応を測定するように構成されたコントローラとを備える。
【0024】
いくつかの実施形態では、本発明は、患者の第1の眼に電気刺激療法を適用するように構成された第1の電極基板上の1つ以上の電極であって、第1の眼は上眼瞼および下眼瞼を有し、第1の電極基板は、患者の第1の眼の上眼瞼および下眼瞼のうち少なくとも一方の外面に1つ以上の電極を配置するように構成された、1つ以上の電極と、電気刺激療法を制御するように構成された刺激コントローラであって、1つ以上の電極の各々は、刺激コントローラに動作可能に結合され、刺激コントローラは、電気刺激療法の電流レベルを第1の処置セッション中に第1の値に設定し、電流レベルの第1の値は第1の眼の刺激閾値を下回っており、第1の処置セッション中に第1の値から電流レベルを増加させるようにさらに構成されており、第1の処置セッション中に患者の第1の眼に眼閃が見えるという指示を受信し、指示が受信されると、第1の値からの電流レベルの増加が第2の値で停止される、刺激コントローラとを含む第1の電極基板を備えるシステムを提供する。
【0025】
いくつかの実施形態では、本発明は、第1の電極基板を提供することであって、第1の電極基板は、患者の第1の眼に電気刺激療法を適用するように構成された第1の電極基板上の1つ以上の電極を含み、第1の眼は上眼瞼および下眼瞼を有し、第1の電極基板は、患者の第1の眼の上眼瞼および下眼瞼のうち少なくとも一方の外面に1つ以上の電極を配置するように構成されている、第1の電極基板を提供することと、1つ以上の電極が患者の第1の眼の上眼瞼および下眼瞼のうち少なくとも一方の外面にあるように、第1の電極基板を患者の皮膚に取り付けることと、第1の処置セッション中に第1の眼に電気刺激療法を適用することであって、第1の処置セッション中に第1の眼に治療を適用することが、第1の眼に適用される治療の電流レベルを第1の値に設定することであって、電流レベルの第1の値は第1の眼の刺激閾値を下回っている、第1の値に設定することと、第1の値から電流レベルを増加させることと、患者の第1の眼に眼閃が見えるという指示を受信することであって、指示が受信されると、第1の値から電流レベルを増加させることが第2の値で停止される、指示を受信することとを含む、電気刺激療法を適用することとを含む、方法を提供する。
【0026】
いくつかの実施形態では、本発明は、適切にプログラムされた制御システムに、患者の第1の眼に電気刺激療法を提供する方法を実行させるための命令を記憶した非一時的コンピュータ可読媒体であって、第1の眼は上眼瞼および下眼瞼を有し、方法は、1つ以上の電極を備える電気刺激システム上の制御システムによって実行され、1つ以上の電極は、第1の電極基板上にあり、第1の電極基板は、1つ以上の電極が患者の第1の眼の上眼瞼および下眼瞼のうち少なくとも一方の外面上にあるように患者の皮膚に取り付けられ、方法は、第1の処置セッション中に第1の眼に電気刺激療法を適用することであって、第1の処置セッション中に第1の眼に治療を適用することが、治療の電流レベルを第1の値に設定することであって、電流レベルの第1の値は第1の眼の刺激閾値を下回っている、第1の値に設定することと、第1の値から電流レベルを増加させることと、患者の第1の眼に眼閃が見えるという指示を受信することであって、指示が受信されると、第1の値から電流レベルを増加させることが第2の値で停止される、指示を受信することとを含む、電気刺激療法を適用することを含む、非一時的コンピュータ可読媒体を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1A】本発明のいくつかの実施形態による、眼刺激電極システム150を使用する眼刺激システム101の透視図である。
【
図1B】本発明のいくつかの実施形態による、眼刺激電極システム151を使用する眼刺激システム102の透視図である。
【
図1C】本発明のいくつかの実施形態による、眼刺激システム103の透視図である。
【
図2A】本発明のいくつかの実施形態による、ヒトの眼に適用される電気刺激のための眼刺激システムおよび方法201のブロック図/フローチャートである。
【
図2B】本発明のいくつかの実施形態による、ヒトの眼に適用される電気刺激のための眼刺激システムおよび方法202のブロック図/フローチャートである。
【
図3A】本発明のいくつかの実施形態による、有効でありかつ患者にとって不快感を与えすぎない信号の振幅を決定するために使用される初期サブセッション350中に患者の眼に印加される経時的な電気信号振幅のグラフ301である。
【
図3B】本発明のいくつかの実施形態による、信号の振幅および/または波形が有効でありかつ患者にとって不快感を与えすぎないように、患者の眼に適用される信号の振幅および/または波形を経時的に変化させることができるシステム303のブロック図である。
【
図4】閃光に反応して生成された例示的な網膜電図(ERG)401である。
【
図5】視性誘発反応(VER)の個々の成分を示すグラフ501である。
【
図6A】本発明のいくつかの実施形態による、患者99に位置決めされた電気刺激システム601の概略的な正面図である。
【
図6B】本発明のいくつかの実施形態による、患者99に位置決めされた電気刺激システム602の概略的な正面図である。
【
図6C】本発明のいくつかの実施形態による、患者99に位置決めされた電気刺激システム603の概略的な正面図である。
【
図6D】本発明のいくつかの実施形態による、患者99に位置決めされた電気刺激システム604の概略的な側面図である。
【
図7】本発明のいくつかの実施形態による、患者99に位置決めされた電気刺激システム701の概略的な正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下の詳細な説明は、例示の目的で多くの具体的な説明を含むが、当業者は、以下の詳細に対する多くの変形および変更が本発明の範囲内であることを理解するであろう。特定の実施形態を説明するために特定の例が使用される。しかしながら、特許請求の範囲に記載された発明は、これらの例のみに限定されることを意図するものではなく、むしろ添付の特許請求の範囲の全範囲を含む。したがって、本発明の以下の好ましい実施形態は、特許請求される発明の一般性を失うことなく、また特許請求される発明に制限を課すことなく記載される。さらに、好ましい実施形態の以下の詳細な説明では、本明細書の一部を形成し、本発明を実施することができる特定の実施形態を例示として示す添付の図面を参照する。本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用することができ、構造的変更を行うことができることが理解される。
【0029】
本発明は、本明細書で個別に説明される様々な実施形態および特徴の組み合わせおよび部分組み合わせを有する実施形態を含むことが特に企図される(すなわち、要素のすべての組み合わせを列挙するのではなく、本明細書は、代表的な実施形態の説明を含み、別の実施形態の特徴のいくつかと組み合わされた1つの実施形態の特徴のいくつかを含む実施形態を企図し、本出願に参照により組み込まれる特許および出願公開に記載されている実施形態の特徴のいくつかと組み合わされた1つの実施形態の特徴のいくつかを含む実施形態を含む)。さらに、いくつかの実施形態は、本明細書に記載の実施形態のいずれか1つの一部として記載されたすべての成分よりも少ない成分を含む。
【0030】
図に現れる参照番号の先頭の数字は、一般に、その成分が最初に導入される図の番号に対応し、複数の図に現れる同一の成分を指すために全体を通して同じ参照番号が使用される。信号および接続は、同じ参照番号またはラベルによって参照されてもよく、実際の意味は、説明の文脈におけるその使用から明らかであろう。
【0031】
本明細書で言及されるある特定のマークは、出願人または譲受人と関係しているまたは関係していない第三者のコモンローまたは登録商標であり得る。これらのマークの使用は、例として可能な開示を提供するためのものであり、特許請求される主題の範囲をそのようなマークに関連する材料に限定すると解釈されるべきではない。
【0032】
いくつかの実施形態では、本発明は、網膜疾患を処置するための電気刺激レベルを設定するために、眼に閃光する眼閃の患者報告の視力(または以下の
図6A~7に示す構成などの客観的に決定された眼閃の指示)を使用する。いくつかの実施形態では、眼閃の初期指示は、低処置設定の開始の閾値である。いくつかの実施形態では、電気刺激の処置範囲は、患者が眼閃(いくつかの実施形態では、電流を増加させることによって刺激強度を増加させる代わりに(またはそれに加えて)、パルス幅を増加させることによって刺激強度を増加させる。他の実施形態では、処置強度は、刺激電極間に送達される電圧を制御することによって制御され、いくつかのそのような実施形態では、眼閃閾値に達するまで、パルス電圧および/または電圧パルスの持続時間が増分される)を見続けるときに電気刺激の電流(例えば、マイクロアンペア)を増加させることによって増加される(すなわち、ランプアップされる)。いくつかの実施形態では、眼に送達される刺激レベルが増加するにつれて、眼閃が最初に見えるときの閾値は、そのための、そして潜在的にはその後の処置セッションのための刺激療法の開始点に関連付けられる。いくつかの実施形態では、処置セッションの刺激範囲は、眼閃の閾値で始まり、セッションまたは後続のセッションで、マイクロアンペアで測定した場合に閾値レベルの9倍までのレベルまで増加するように設定される。いくつかの実施形態では、電気刺激の閾値レベルおよび電気刺激の最高レベルは両方とも、約100~約1000マイクロアンペアの範囲内である。
【0033】
いくつかの実施形態では、患者が許容できる最高レベルの刺激は、患者が眼閃を見続けるが不快感を有しないときに起こる最高レベルの刺激に関連付けられる。いくつかの実施形態では、電気刺激は、患者の不快感が報告される(または客観的に観察される)までランプアップされ、次いで、そのような不快感なしに可能な限り高いレベルに後退する(いくつかの実施形態では、刺激レベルは、セッションにおける処置のための上限として使用される)。いくつかの実施形態では、電気刺激の各その後の処置セッションは、患者の眼閃の視認および不快感のレベルに基づいて再較正される。いくつかの実施形態では、各眼はまた、一方の眼が他方の眼よりも多くの刺激に耐えることができるため、処置セッション内で個別に較正される。他の実施形態では、電気刺激に関連する臨床手順を単純化するために、両眼が同じ設定で較正される。
【0034】
いくつかの実施形態では、本発明は、同じ電気刺激処置セッション内で、規則的に繰り返す単相性波形をオーバーレイされた二相性波形と組み合わせる。いくつかの実施形態では、単相性波形と二相性波形との組み合わせは、細胞の再活性化および細胞修復の両方を達成し、どちらも単独では達成できない双対関係であり、いくつかの実施形態では、細胞の再活性化および細胞修復の両方が、患者の視力を回復させ、萎縮型AMDなどの眼疾患の進行を食い止めるために必要である。いくつかの実施形態では、単相性波形は、同じ電気刺激処置セッションで二相性波形と同時に使用される。いくつかの実施形態では、単相性波形は、同じ電気刺激処置セッションで二相性波形と交互にされる。いくつかのそのような実施形態では、単相性波形および二相性波形は、互いに15分以内に交互にされる。いくつかの実施形態では、本発明で使用される波形は、約20パルス/秒~約100パルス/秒のパルス繰り返し数で動作する。いくつかの実施形態では、各波形は単一のパルス繰り返し数で動作する。本明細書で使用される場合、「パルス繰り返し数」は、本明細書では非公式に周波数および/またはHzと呼ばれる。
【0035】
図1Aは、本発明のいくつかの実施形態による、眼刺激電極システム150を使用する眼刺激システム101の透視図である。いくつかの実施形態では、眼刺激電極システム150は、リターン電極システム115(例えば、上記の参照により組み込まれるPCT特許出願公開WO2021/231496号に記載されている)と、患者の右目用および左目用の2つの眼電極システム170Aおよび170Bとを含む。いくつかの実施形態では、リターン電極システム115は、1つ以上のスナップ型電気接続110Aおよび110Bが組み立てられる1つ以上の開口部を有する単一の導電性金属電極130を含む。いくつかの実施形態では、導電性金属電極130は、絶縁性ポリマー基板120上に堆積される。いくつかの実施形態では、リターン電極システム115は、刺激信号が眼電極システム170Aおよび/または170Bからリターン電極システム115まで眼を通って流れる経路を提供するために、患者の後頭部または後頸部に置かれる。いくつかの実施形態では、電気コネクタ192は、コントローラ190とリターン電極システム115との間の電気接続を提供し、一方、電気コネクタ191は各々、コントローラ190と眼電極システム170Aおよび170Bとの間の電気的接続をそれぞれ提供する。いくつかの実施形態では、コントローラ190は、コネクタ192および患者の上眼瞼を通して電気刺激を提供する2つのコネクタ191にパルス信号を供給して、加齢性黄斑変性(AMD)などの眼疾患に対抗するように設計された治療的刺激を提供する。いくつかの実施形態では、信号の極性は、患者の組織内の電荷蓄積を低減するために周期的に反転される。いくつかの実施形態では、反転されたときの信号の大きさが変更される(例えば、より低い電流の大きさでより長い持続時間またはより多くのパルスが、より高い電流の大きさでより短い持続時間またはより少ない数のパルスの電荷蓄積を中和するために使用される)。いくつかの実施形態では、パルスエンベロープが、より高い周波数のより短いパルスのキャリアを振幅変調するために適用される。いくつかの実施形態では、不快な感覚神経刺激を回避すべく、パルスエンベロープはより高い強度の大きさに徐々にランプアップされる。いくつかの実施形態では、各眼電極サブシステム170A、170Bは、可撓性絶縁基板171上に金属層として堆積された上眼瞼電極173を含み、各電極は、それぞれのスナップ型電気コネクタ174(または他の適切なコネクタ)を有する。いくつかの実施形態では、コネクタ191は各々、コネクタ174ごとに対応するレシーバコネクタを有する。
【0036】
いくつかの実施形態では、眼刺激電極システム150の場合のように、3つの別個の部品を使用すると、一度に1つずつ適用することができ、異なる頭部サイズに容易に対応することができるため、部品の適用が容易になる。いくつかの実施形態では、3つの部品の各々は、個々のQRタイプコードが印刷されており(または、他の実施形態(図示せず)では、そのような符号化されたシリアル番号情報を有するチップ)、それにより、スマートフォンまたはタブレット99のカメラアプリケーション(「アプリ」)(または他の適切なソフトウェアアプリ)は、それぞれのQRコードを読み取って、治療の追跡(そのため、将来の治療セッションで調整を行うことができる)および/または患者/保険請求などの目的のために、どの電極がどの患者にどの日時に使用されたかを追跡することができる。いくつかの実施形態では、タブレット/PCコントローラ99は、有線または無線接続98を介してコントローラ190に結合される。
【0037】
図1Bは、本発明のいくつかの実施形態による、眼刺激電極システム151を使用する眼刺激システム102の透視図である。いくつかの実施形態では、眼刺激システム102は、眼刺激電極システム151が患者の右目用および左目用の眼電極システム170Cおよび170Dをそれぞれ含むことを除いて、上記の眼刺激システム101の動作と実質的に同様の方法で動作する。いくつかの実施形態では、各眼電極サブシステム170C、170Dは、可撓性絶縁基板171上に金属層として堆積された下眼瞼電極172および上眼瞼電極173を含み、各電極はそれぞれのスナップ型電気コネクタ174(または他の適切なコネクタ)を有する。いくつかの実施形態では、コネクタ191は各々、コネクタ174ごとに対応するレシーバコネクタを有する。
【0038】
図1Cは、本発明のいくつかの実施形態による、眼刺激システム103の透視図である。いくつかの実施形態では、システム103は、システム103が各々1つ以上のセンサ181(例えば、患者の眼瞼皮膚の神経の電気信号を検出する電極センサ)および1つ以上の発光素子182(例えば、発光ダイオード-LED)を含む、患者の右目用および左目用の眼電極システム170Eおよび170Fをそれぞれ含むことを除いて、
図1Aのシステム101と実質的に同様である。
【0039】
図2Aは、本発明のいくつかの実施形態による、ヒトの眼に適用される電気刺激のための眼刺激システムおよび方法201のブロック図/フローチャートである。いくつかの実施形態では、ブロック210において、電極システム(例えば、いくつかの実施形態では、それぞれ全体的な刺激システム101または102の一部である
図1Aの電極システム150または
図1Bの電極システム151)が患者の1つ以上の眼に取り付けられる。いくつかの実施形態では、ブロック211において、電気刺激療法が患者の眼の少なくとも一方に対して開始され、治療の開始の一部として、電流レベルが開始値に設定される。いくつかの実施形態では、ブロック212において、電流レベルが開始値からランプアップされる。いくつかの実施形態では、ブロック213において、刺激されている眼の中の患者に眼閃が見えるという指示が受信される(例えば、いくつかの実施形態では、眼閃指示は、患者から直接受信される。いくつかの実施形態では、眼閃指示は、
図1Cのセンサ181または
図6A~7に示すシステムによって送信された信号としてコントローラ190で受信される。さらに他の実施形態では、眼閃の存在が
図1Cのセンサ181によって検出され、信号がセンサ181から発光素子182に送信され、センサ181からの信号に基づいて発光素子182から光が放出される)。いくつかの実施形態では、眼閃指示が受信されると、ブロック214において、電流レベルのランプアップが停止され、電流レベルの新しい値が刺激閾値として較正データベース260に格納される(いくつかの実施形態では、データベース260は、
図1Aのコントローラ190および/またはタブレット/PC99に動作可能に結合される)。いくつかの実施形態では、ブロック215において、電流レベルは刺激閾値から増加される。いくつかの実施形態では、ブロック216において、患者の不快感の指示が受信される(例えば、いくつかの実施形態では、患者の不快感の指示は、患者から直接もたらされる。いくつかの実施形態では、患者の不快感の指示は、
図1Cのセンサ181または
図6A~7に示すシステムによって送信された信号としてコントローラ190で受信される。さらに他の実施形態では、患者の不快感の存在が
図1Cのセンサ181によって検出され、信号がセンサ181から発光素子182に送信され、センサ181からの信号に基づいて発光素子182から光が放出される)。いくつかの実施形態では、ブロック217において、患者不快感の指示が受信されると、電流レベルの増加が停止され、電流レベルの新しい値が最大(max)刺激値として較正データベース260に記憶される。いくつかの実施形態では、刺激療法は、ブロック218において、最大刺激値未満かつ刺激閾値以上の電流レベルで継続される。
【0040】
図2Bは、本発明のいくつかの実施形態による、ヒトの眼に適用される電気刺激のための眼刺激システムおよび方法202のブロック図/フローチャートである。いくつかの実施形態では、ブロック220において、電気刺激の所望の電流レベルが決定される(例えば、いくつかの実施形態では、所望の電流レベルは、
図2Aのブロック211~214で計算された刺激閾値レベル以上であり、
図2Aのブロック215~217で計算された最大刺激レベル未満であるように選択される)。いくつかの実施形態では、ブロック221において、所望の電流レベルで単相性波形を有する1つ以上の刺激信号が生成される。いくつかの実施形態では、ブロック222において、所望の電流レベルで二相性波形を有する1つ以上の刺激信号が生成される。いくつかの実施形態では、ブロック223において、刺激信号が患者の眼に送信される。いくつかの実施形態では、単相性波形信号は第1の時間に送信され、二相性波形信号は第2の時間に送信され、第1の時間は第2の時間と重複しない(例えば、いくつかの実施形態では、単相性波形信号は、二相性波形信号から15分以下だけ時間的に分離される)。いくつかの実施形態では、単相性波形信号は、二相性波形信号の送信と少なくとも部分的に同時に送信される。
【0041】
図3Aは、本発明のいくつかの実施形態による、有効でありかつ患者にとって不快感を与えすぎない信号の振幅を決定するために使用される初期サブセッション350中に患者の眼に印加される経時的な電気信号振幅のグラフ301である。いくつかの実施形態では、コントローラ190(例えば、
図1Aを参照されたい)が、眼瞼皮膚(または角膜からの直接の電気信号、脳の視覚野領域からなどの電気信号)の神経からの皮膚インピーダンスまたは電気信号に関するフィードバックおよび/または瞳孔の大きさを監視する光学センサからのフィードバックおよび/または眼閃が患者に見えることを示す患者生成フィードバックを受信するまで、徐々に増加する電流振幅(パルス321、322、および323などを参照されたい。各パルス(例えば、パルス321、322、323、331、332、333などである)に示されている細い斜線は、別個のマイクロパルスを示すのではなく、各単一パルスの単なる陰影である)を有する刺激閾値系列のパルス320が生成される。いくつかの実施形態では、このフィードバックが受信されると、電流振幅が刺激閾値レベルとして設定される。いくつかの実施形態では、次いで、コントローラ190が、皮膚インピーダンスに関するフィードバックまたは眼瞼皮膚の神経からの電気信号および/または患者の不快感(例えば、不快感レベル329を上回るパルス327を参照されたい)を示す患者生成フィードバック(音声コマンド(または不随意発声)または押しボタンスイッチ信号など)を受信するまで、電流振幅がさらに増加される。いくつかの実施形態では、不快感レベル329を決定すると、コントローラ190は、パルスの電流および/または電圧を、不快感を引き起こすレベルよりも良好に許容される治療レベル339に低下させる。いくつかの実施形態では、次いで、例えば治療パルス331、332、333などの一連のパルス330が印加される。いくつかの実施形態では、一連のパルス340の治療後にランプダウンの一連のパルス330が印加される。いくつかの実施形態では、初期サブセッション350は、刺激閾値シリーズのパルス320、治療シリーズのパルス330、およびランプダウンシリーズのパルス340を含む。
【0042】
図3Bは、本発明のいくつかの実施形態による、信号の振幅および/または波形が有効でありかつ患者にとって不快感を与えすぎないように、患者の眼に適用される信号の振幅および/または波形を経時的に変化させることができるシステム303のブロック図である。いくつかの実施形態では、システム303は、ベースステーション399と、コントローラ390と、フラッシュドライブ396と、電極370(例えば、いくつかの実施形態では、
図1Aの電極170Aおよび170B)と、(必要に応じて)接地パッチ(例えば、いくつかの実施形態では、
図1Aのリターン電極システム115)と、導電性ゲルと、洗浄ワイプとを備える。いくつかの実施形態では、ベースステーション399は、パラメータを選択し、性能を監視し、データを収集し、格納し、コントローラ390(例えば、いくつかの実施形態では、
図1Aのコントローラ190)と通信するための、ラップトップパーソナルコンピュータ(PC)、タブレットコンピュータ、デスクトップコンピュータなど(例えば、いくつかの実施形態では、
図1Aのタブレット/PCコントローラ99)のデバイスである。いくつかの実施形態では、コントローラ390は、眼の電極接点に電流を送達する電子機器を含む制御ユニットである。いくつかの実施形態では、電極接点は、使い捨てストリップ、ゴーグルまたは個々のプローブなどの一部である。いくつかの実施形態では、フラッシュドライブ396は、一定数のプリペイド式患者治療を提供するための暗号化データおよびプログラムコードを含むUSB「サムドライブ」であり、成功した治療が完了するたびに、フラッシュドライブから1つの治療単位が差し引かれる。いくつかの実施形態では、フラッシュドライブ396は、特定の患者治療の処方箋を提供するための暗号化データおよびプログラムコードを含むUSB「サムドライブ」であり、成功した治療が完了するたびに、フラッシュドライブから1つの治療単位が差し引かれる。いくつかの実施形態では、すべての利用可能な治療単位セッションが完了すると、フラッシュドライブ396を破棄することができ、新しいプリペイド式フラッシュドライブが使用される。他の実施形態では、フラッシュドライブ396はまた、セッションデータおよびパラメータを収集および記録するために使用され、セッションデータおよびパラメータは、様々な異なる治療のバリエーションの長期有効性を判定するために後で分析することができ、そのため、すべての利用可能な治療単位セッションが完了すると、フラッシュドライブ396は分析施設に戻され、データおよび処置セッションごとの料金と引き換えに、新しいプリペイド式フラッシュドライブが処置施設に送られる。いくつかの実施形態では、患者識別データは、何が機能し、何が機能しないかを分析するのに十分な情報で各セッションを維持しながら、患者のプライバシーおよび/または法的要件のために匿名化および暗号化される。いくつかの実施形態では、電極370は、第1の眼の上眼瞼および下眼瞼のうち少なくとも一方に置かれた第1の接着性ストリップ上の第1の電極と、第2の眼の上眼瞼および下眼瞼のうち少なくとも一方に置かれた第2の接着性ストリップ上の第2の電極とを含む。いくつかの実施形態では、上述の電極370、1つ以上のハンドヘルドプローブチップ、および/またはゴーグルならびにフラッシュドライブに加えて、キットが使い捨ての接地パッチ、導電性ゲルおよび洗浄ワイプなどのアイテムも含むキットが提供される。
【0043】
いくつかの実施形態では、コントローラ390は、マイクロプロセッサ361と、コントローラ390の残りの部分に電力を供給する電力システム(例えば電池、ウルトラキャパシタ)362と、電流およびインピーダンスセンサ369からの信号に基づいてマイクロプロセッサ361によって制御される電流源363と、マイクロプロセッサ361によって制御されるように、任意の瞬間に電気パルス信号を送信する電極を選択する電極シーケンサおよび電流バランサ364とを含み、これらのパルスは電極コネクタ366を介して電極370に送信される。いくつかの実施形態では、シーケンサおよび電流バランサ364はまた、電気刺激処置に関連するパルスエンベロープを制御/生成する。いくつかの実施形態では、電極370はまた、ストリップ内またはストリップ上に埋め込まれた1つ以上のステータスLED382を含み、ステータスLED382は、コネクタ366を介して送信された電気信号によって駆動される。他の実施形態では、1つ以上のステータスLED382は、コントローラ390内に配置され、コントローラ390から直接、および/またはストリップ内またはストリップ上に埋め込まれた光ファイバ371などを介して電極ストリップ上の発光点に光を放出し、これらのLED382は、マイクロプロセッサ361からの電気信号によって駆動される。いくつかの実施形態では、ステータスLED382は、医療専門家および/または患者に、システムが機能中でアクティブであることを伝えるためのステータスおよび患者フィードバック機能を提供する。いくつかの実施形態では、システム303は、刺激中に患者からの神経活動を検出し、検出された神経活動に基づくセンス信号383をコントローラ390に送信する、患者に配置された1つ以上のセンサ381を備える。いくつかの実施形態では、ステータスLED382は、センサ381に動作可能に結合され、刺激中に眼閃が患者に見えること、および/またはコントローラ390によって受信されたセンス信号383に基づいて患者が不快感を感じているという指示を提供する。いくつかの実施形態では、システム303は、患者によって操作されて患者生成フィードバック信号376をコントローラ390に提供する患者フィードバック入力デバイス375(例えば、押しボタン、スイッチ、または他の適切なユーザインターフェース入力デバイス)を備える。いくつかの実施形態では、患者生成フィードバック信号376は、眼閃が患者に見えること、および/または患者が不快感を感じていること(例えば、
図3Aの不快感レベル329を上回るパルス327を参照されたい)を示す。いくつかの実施形態では、ステータスLED382は、患者フィードバック入力デバイス375に動作可能に結合され、受信した患者生成フィードバック信号376に基づいて光を放出するように構成される。
【0044】
いくつかの実施形態では、無線通信デバイス368(例えば、Bluetooth(登録商標)、NFC、赤外線光通信など)は、ベースステーション399に一方向通信または双方向通信を提供する。いくつかの実施形態では、ベースステーション399は、例えばフラッシュドライブ396からのプリペイド式治療許可に基づいて、特定の患者に固有のプログラミング情報を送信し391、許可は、支払われた料金に基づく許可と、眼科医などによって処方された処置レジメンに基づいてこのセッションで処置される特定の識別された患者に合わせてカスタマイズされた患者固有の治療制御情報とを任意選択的に含む。いくつかの実施形態では、セッションパラメータは、ベースステーション399に通信される392(パルスの実際の数、極性、シーケンスおよび強度、測定されたインピーダンスおよび/または電流、指示となる患者の不快感などのパラメータを有する)。いくつかの実施形態では、システム303は、患者が不快感または懸念を感じた場合およびそのときに患者が押すように指示される患者起動可能スイッチ(例えば、コントローラ390上で、またはコントローラ390と無線または有線で通信する別個のハンドヘルドスイッチを介して)を備え、そのスイッチの起動時に、コントローラ390またはさらにはコントローラ390全体からの電気出力が直ちに遮断され、かつ/または患者によるスイッチの起動のタイミングが記録され、セッションからのパラメータの通信392において送信される。したがって、いくつかの実施形態では、患者自身からのこのフィードバックは、デバイスを完全にシャットダウンするために使用され(患者の快適さおよび安心感のために、ならびに電流源363が故障しており、電流を流しすぎている場合に備えて、患者の安全性をさらに高めるために)、次いで、将来のより良好な治療セッションの設計を可能にするために処置の特定の時間または他の実施形態に関係付けられ、かつ/またはセッションを直ちに終了するために使用することができる(マイクロコントローラ361は、患者への更なる電流をすべてブロックするためにすべての接続を「オフ」(または高インピーダンス)に直ちに変更し、かつ/またはコントローラ390全体は、次いで(すなわち、患者によるスイッチ押下のタイムスタンプを記憶した後で)シャットダウンされ、電源(例えば、バッテリ)362から切断される。いくつかの実施形態では、コントローラ390および/またはベースステーション399は、例えば、「オン/セッション開始」、「治療中」、「不十分または不適切な処置に関する警告」、および「オフ/セッション終了」を示すために、治療セッション状態に関連する音(ビープ音、チャイム、ビープ音など)および/または振動を提供するオーディオ/振動出力ユニット372を含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、システム303は、周波数、波形、電流レベル、治療期間および眼の周りの「サイクル」の数(いくつかの実施形態では、所与の眼上の接着性ストリップが複数の電極370を含む場合、一回のサイクルは、複数の電極370を構成する個々の電極の各々の独立した活性化である)を含むすべてのパラメータのプログラム可能性を提供するソフトウェア駆動システムである。いくつかの実施形態では、これらのパラメータは製造中にプログラムされるが、他の実施形態では、パラメータは臨床医または企業担当者によって現場でプログラムされる。いくつかの実施形態では、プログラミングパラメータおよび/またはソフトウェア(例えば、特定の識別された患者のために認可された医療専門家によって提供される処置プロトコルの処方箋によってカスタマイズされる)の修正は、プラグイン記憶デバイス396(USBフラッシュ記憶デバイスなど)ならびにパラメータおよび/またはプログラムに記憶され、ベースステーション399(次いで、マイクロプロセッサ361のメモリに記憶されるようにコントローラ390に(例えば、無線または有線接続によって)送信391される(プラグインデバイス396によって)ロードされる。他の実施形態では、プラグイン記憶デバイス396は、コントローラ390に直接差し込まれて、パラメータおよび/またはプログラムをマイクロプロセッサ361のメモリにロードして記憶する(いくつかのそのような実施形態では、ベースステーション399は省略されるが、他の実施形態では、ベースステーション399は、リアルタイムで各セッションのステータスを技術者/医療専門家に提供するために保持される)。いくつかの実施形態では、ベースステーション399は、複数の同時患者セッションの各セッションの状態をリアルタイムで技術者/医療専門家に提供するために使用される(例えば、いくつかの実施形態では、ベースステーション399として使用されるラップトップコンピュータは、複数の患者の各々の複数の処置セッションについて分割画面進捗モニタ(例えば、表示画面は、最大4人の患者が同時に処置された場合、例えば四分円に分割される)を提供するようにプログラムされる)。いくつかの実施形態では、ソフトウェアはまた、ベースステーション399への無線接続を使用して遠隔で修正されてもよい。いくつかの実施形態では、個々の患者の処置セッションの処方箋(電流量、パルス持続時間、パルス間間隔および何個のパルスを送信するかなどを制御するためのプロトコル、パラメータなど)が、認可された専門家によって作成およびチェックされ、この処方箋は、特定の患者に対して許可された治療のみを可能にするために、プリペイド式アクティベーションコードとともにベースステーション399またはUSBデバイス396にダウンロードおよび/または記憶される。いくつかの実施形態では、ベースステーション399内のソフトウェアおよび/またはコントローラ390内のソフトウェアは、特定の識別された患者に関連する特定の患者の処方箋と特定の識別された患者の患者識別情報との間の一致を検証して、その患者に正しい処方箋が使用されていることを検証する。
【0046】
いくつかの実施形態は、各電極に印加されるパルスの数、電流の量、および処置セッションが関与する他のすべての関連パラメータ(例えば、実際の処置セッションまたは偽の処置セッションが特定の患者に提供されたかどうかを含む)などの処置プロトコルを含む、すべての関連する患者および診療所のデータをキャプチャして記録するために、コントローラ390および/またはベースステーション399に大きなメモリを含む。いくつかの実施形態では、記録されたデータは、USBストレージデバイス396の永久メモリ部分に記憶される(例えば、データが永続的に記憶され、後で利用可能になるように、多くの読み出し動作が続く可能性がある単一の書き込み動作のみを可能にするメモリの一部を使用する)。いくつかの実施形態では、これらのデータは遠隔で収集され、会社および/またはクリニックの職員によってまとめられる。いくつかの実施形態では、患者と診療所との間の比較を提供するためにデータがまとめられ、研究に使用され得る。経時的に、このデータは、企業または分析施設が設計および臨床プロトコルを最適化することを可能にし、したがって転帰を改善する。
【0047】
いくつかの実施形態は、電流源363を介したより大きな電流駆動容量、ならびにセンサユニット369を介したより良好な電流およびインピーダンス測定を提供する。これにより、コントローラ390は、予想外のより高いいかなるインピーダンスレベルも克服する、より大きな、より慎重に制御された電流レベルを送達することができる。いくつかの実施形態では、システム303は、治療中に患者に350マイクロアンペア(μA)を超える送達を防止するための調整器(例えば、電流コントローラ)を有する。いくつかの実施形態では、ベースステーション399および/またはコントローラ390は、フラッシュドライブ396からの適切に符号化されたメッセージを介してのみ、またはいくつかの実施形態ではWI-FIを介してラップトップが特定の識別された患者のための治療セッションを実行するためにマイクロ刺激コントローラ361に信号を送ることを可能にする真正な暗号化コード(例えば、いくつかの実施形態では、インターネット上の企業ウェブサイトから受信される)を介してのみ起動されてもよい。いくつかの実施形態では、コントローラ390は、コントローラ390に差し込まれたフラッシュドライブ396を介して、または任意の他の適切なタイプの接続(ベースステーション399へのUSBケーブルなど)によって起動されてもよい。
【0048】
いくつかの実施形態は、インピーダンスの変化に対する自動調整を提供する。処置中に、接触ごとおよび眼ごとにインピーダンスが変化すると、制御ユニット390は、一貫した電流レベルを維持するように自動的に調整する。これにより、性能および転帰が改善される。処置は、臨床医の関与を最小限に抑えるために自動化されている。システム303は、治療を自動的に管理して、均一で再現可能な結果を保証する。
【0049】
いくつかの実施形態では、制御ユニット390は、接地パッチにうまく嵌合して接続するように設計されている。これは、治療中の患者の動きに起因して左右の接点セットへの信号を失う可能性を排除する。制御ユニットのサイズが小さいことにより、クラッタが低減され、患者の快適性が向上し、デバイスの一貫性およびコンプライアンスが向上する。いくつかの実施形態では、制御ユニット390は、改ざん防止(物理的および電子的の両方)であり、ハッキングを防ぐためにプログラミングおよび検知されたパラメータに暗号化を提供するように設計されている。
【0050】
いくつかの実施形態では、ベースステーション399は、患者をベースステーションに繋ぐ必要性を排除する無線接続を介して制御ユニット390と通信する。これは、コンプライアンスを改善し、セットアップおよび治療セッションを管理しやすくする。いくつかの実施形態では、ベースステーション399は、一度に複数の制御ユニットと通信することができ、必要なベースステーションの数を減らすことができ、したがって、複数の患者を管理するためのセットアップ時間および臨床医の時間を減らすことができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、複数レベルの保護は、接点に供給される電流がプログラムされた電流を超えないことを確実にするのに役立つ。この設計は、出力が短絡(0インピーダンス)されたとしても、棄権レベルの電流を達成できないことを保証する。いくつかの実施形態では、制御ユニット390は、小型直流(DC)ボタン電池によって電力供給され、治療中にベースステーションに接続されず、患者が傷害を受ける可能性を低減または排除する。いくつかの実施形態では、設計の低コストにより、システムの大部分またはすべてを使い捨てにすることができる。いくつかの実施形態では、ベースステーション399は、ゴーグルデバイスおよび/または上眼瞼および下眼瞼ならびに他の身体部分を部分的または完全に取り囲むストリップなどのデバイスと通信することができる。
【0052】
図6A~7は、眼の電気刺激中に患者の生理学的反応を監視するために使用される様々な構成を示す(例えば、いくつかの実施形態では、
図6A~6Dの構成は、電気刺激に反応した網膜、視神経、および/または脳内の神経細胞の電気活動を観察するために使用され、
図7の構成は、電気刺激に対する瞳孔反応を観察するために使用される)。いくつかの実施形態では、これらの構成のうちの1つ以上を使用して、治療的電気刺激を達成するのに必要な強度のレベルなどの電気刺激の特性を客観的に決定する(例えば、いくつかのそのような実施形態では、
図6A~7の構成のうちの1つ以上は、刺激中に客観的フィードバックを提供し、患者から直接フィードバックを引き出して受け取るという主観的アプローチに取って代わるか補完する)。いくつかの実施形態では、患者99の上眼瞼は、刺激/反応の監視中に閉じられる。他の実施形態では、刺激/反応監視中に眼は開いている。
【0053】
いくつかの実施形態では、本発明は、神経活動信号を取得および処理して、眼閃発生と強く相関する代理マーカを生成する。例えば、いくつかの実施形態では、眼閃発生の閾値電気刺激強度は周波数に依存し、いくつかのそのような実施形態では、最低閾値は、20ヘルツ(Hz)またはその付近で起こり、周波数が20Hzから増減するにつれて着実に増加する。誘発電位(すなわち、刺激に反応して生成される神経活動)に対する刺激周波数の影響は、眼閃発生と相関する有用な情報を提供する。いくつかの実施形態では、各周波数で記録された誘発電位を用いて、1Hz~40Hzの周波数掃引を行う。いくつかの実施形態では、周波数掃引内の特定の周波数は、約20Hzの周波数応答を最良にサンプリングするように選択される。例えば、いくつかの実施形態では、周波数掃引は、1Hz、10Hz、15Hz、17Hz、19Hz、20Hz、21Hz、23Hz、25Hz、30Hz、および40Hzの周波数を含む。いくつかのそのような実施形態では、誘発電位と刺激周波数との間の高度の相関が所与の刺激強度で得られる場合、その刺激強度で眼閃閾値が達成されたと仮定される。
【0054】
眼閃はまた、パルスが二相性または単相性か、そして角膜または眼瞼の活性電極がアノードまたはカソードかなどの他の刺激パルス特性に依存する。いくつかの実施形態では、二相性パルスの場合、定義により、電極極性はアノードとカソードとの間で切り替わり、眼閃の発生は、二相性パルスのリーディング相がアノードであるかカソードであるかに依存する。いずれの場合も、いくつかの実施形態では、刺激パルス特性を記録し、そのような記録を眼閃の発生と相関させることが重要である。頻度、振幅、および極性などの因子にわたる眼閃発生と電気誘発反応(すなわち、刺激に反応して生成される神経活動)との間の相関が高いほど、電気誘発反応が網膜構造の標的化の成功の信頼できる指標であるという確信が高くなる。例えば、いくつかの実施形態では、眼閃は、リーディングカソード相を有する二相性パルスで200μA(マイクロアンペア)の強度レベルで所与の周波数および位相持続時間で発生するが、眼閃の発生は、リーディング相がカソードである場合に250μAの強度レベルを必要とする。いくつかの実施形態では、対応する電気的誘発電位が、リーディング相の極性間の同様の差動感度に従う場合、眼閃発生の代用物としての電気的誘発電位の信頼性が向上する。
【0055】
本発明によって提供される刺激電流がマイクロアンペア範囲内であっても、いくつかの実施形態では、刺激電極は小さく、高い抵抗を有し、したがって、皮膚を通して刺激パルスを駆動するのに必要な電圧は10~20ボルト(V)に達することができる。対照的に、いくつかの実施形態では、誘発電位は、刺激パルスの100万分の1である数マイクロボルトになる。皮膚は静電容量を有し、したがって比較的長時間にわたって電荷を蓄積することができ、この期間中、いくつかの実施形態では、誘発電位を復元するために提供される高感度増幅器を圧倒することができる。いくつかの実施形態では、増幅器は飽和し、復元に時間がかかり、結果として生じる増幅器出力は、生理学的意味を持たないアーチファクトとなる。したがって、いくつかの実施形態では、本発明は、このアーチファクトを抑制する手段を提供する。いくつかのそのような実施形態では、平衡二相性刺激パルスを使用して、送達される正味電流が確実に0になるようにし、これにより皮膚静電容量に蓄積される電荷が最小になる。他のそのような実施形態では、増幅器の入力は、刺激パルス中、およびその直後に短絡されて、それが飽和モードに入るのを防止する。他のそのような実施形態では、例えば5~50ミリ秒(ms)のブランキング期間が提供され、その間、復元された信号は無視される。
【0056】
対象/患者は、眼閃の知覚を口頭で伝えることができ、実際にその位置およびフラッシュ、ストリーク、色などの他の特性を記述することができる。いくつかの実施形態では、これらの主観的観察をセンサデータと相関させることが有用である。いくつかの実施形態では、眼閃が報告されたときに記録すべき応答およびその特性を分類する音声処理ソフトウェアとともに、対象からの音声応答を捕捉するためにマイクロフォンが提供される。いくつかのそのような実施形態では、システムは、これらの報告を周波数、パルスタイプ、振幅、パルス位相電荷などの刺激特性と相関させる。このようにして、特定の眼閃タイプの発生間の関係は、特定の機会における個体の特定の刺激特性と相関させることができる。いくつかの実施形態では、異なる機会に回収された同じ対象からのデータを追跡変化と比較し、いくつかの実施形態では、対象の集団からのデータを統計分析のためにプールする。
【0057】
いくつかの実施形態では、対象が眼閃の発生を報告することを可能にするハンドスイッチが提供される。いくつかのそのような実施形態では、刺激システムは、眼閃が報告された瞬間を捕捉するための入力を含み、したがって上記の刺激パラメータと相関させる。いくつかの実施形態では、眼閃を記録するオプションを拡張するために複数のキーまたはボタンが提供される(いくつかの実施形態では、例えば、5つのキーのパターンが、ユーザが視野内の眼閃位置を上、下、左、右、および中央として報告することを可能にする)。
【0058】
いくつかの実施形態では、体内に由来する電気活動から生じる身体表面での電位の測定は、少なくとも2つの電極を必要とし、電位は、少なくとも2つの電極間の電圧差であり、通常は時間変化する。いくつかの実施形態では、コモンモード干渉に対抗するために第3の電極が使用される。2センサシステムのいくつかの実施形態では、2つのセンサ電極は、視覚システムの特定の神経応答を最もよく捕捉する位置に配置される。いくつかの実施形態では、センサ電極によって受信された電気信号の解釈は、少なくとも部分的に、センサ電極の特定の位置に依存する。
【0059】
視覚誘発反応(VER)は、網膜に提示された閃光または画像に反応して収集された電気活動を含み、したがって、視覚システムにおける光受容体および信号伝達に関する洞察を提供する。いくつかの実施形態では、本発明によって提供されるような網膜の電気刺激は、光受容体が機能していない場合でも、VERに似た視覚野で検出可能な電気信号をもたらし、これは、電気刺激が視覚経路のさらに下流の神経細胞を活性化できることを意味する。したがって、いくつかの実施形態では、電気刺激に反応して視覚野で生成された電気信号は、本発明によって監視される別の形態の神経活動または電気誘発反応(EER)を提供する。いくつかの実施形態では、例えば、本発明は、視覚野上の頭皮上に置かれたセンサ電極対を提供して、視神経(例えば、
図6Dを参照されたい)から入る信号から生じる脳内の電気活動を捕捉する。この捕捉された電気活動は、視覚経路の機能に関する貴重な情報を提供する。
【0060】
いくつかの実施形態では、本発明は、眼窩内で発生する電位を捕捉するために、角膜(または眼瞼上)に1つの電極と、例えばこめかみの側頭部に位置する第2の電極とを含むセンサ電極対を提供する(例えば、
図6A~6Cを参照されたい)。いくつかのそのような実施形態では、センサ電極対は網膜電図(ERG)データを提供する。
【0061】
図4は、閃光に応答反応して生成された例示的な網膜電図(ERG)401である。ERG401はまた、個々のERG成分の網膜細胞内の位置を提供する。ERG401のx軸はミリ秒(例えば、閃光からの待ち時間)単位の時間を表し、y軸はマイクロボルト(μV)単位のERGの振幅を表す。
図4に示すように、ERGのa波成分は網膜の外層上の桿体および錐体光受容体によって生成され、ERGのb波成分は網膜の双極細胞に由来する。
【0062】
いくつかの実施形態では、本発明によって捕捉される電気誘発反応は、いずれかの極性のいくつかのピークまたは成分を含み、いくつかの実施形態では、これらの成分は、それらを誘発した刺激事象に関してミリ秒範囲で測定される特徴的な潜時を有する。いくつかのそのような実施形態では、そのような潜時の正常範囲が確立されており、これらの範囲外の測定値はある特定の症状の診断に役立つ。いくつかの実施形態では、電気誘発反応の個々の成分は特定の神経構造に関連しているため、減少または遅延したピークはこれらの構造の欠陥を示す。いくつかの実施形態では、個々の成分には、正の場合P1、P2など、負の場合N1、N2などの番号が付けられている。いくつかの実施形態では、個々の成分は、文字a、b、cによって、またはそれらの予想される潜時によって参照される(例えば、75ミリ秒の潜時を有する正の成分の場合、P75)。いくつかの実施形態では、電気誘発反応の個々の成分は、電気誘発反応を分類するための指標を提供する。
【0063】
図5は、視覚誘発反応(VER)の個々の成分を示すグラフ501である。グラフ501に示すように、x軸はミリ秒単位の時間を表し、y軸はマイクロボルト(μV)単位のVERの振幅を表す。いくつかの実施形態では、グラフ501の成分N2、P2、N3、およびP3の潜時および相対振幅は、本発明の電気刺激によって引き起こされる電気誘発反応の平行成分と相関する。
【0064】
いくつかの実施形態では、本発明は、電気誘発反応を捕捉し、波形の選択された成分の振幅および潜時を測定することによって、復元された波形を分類する。いくつかの実施形態では、眼に印加される電気刺激パルスは、反応の特定の成分が特定の振幅または潜時閾値に達するまで強度が増加する。いくつかのそのような実施形態では、この閾値の達成は、網膜内の標的組織の刺激の成功と解釈される。いくつかの実施形態では、波形を復元および分類するための信号処理技術が提供され、典型的には、波形を検査して特徴的な成分を分離し、次いで、データに対するそれらの振幅および時間遅延を測定することを含む。例えば、いくつかの実施形態では、これは、復元された時間ドメイン波形をテンプレート波形と相互相関させることによって、または整合フィルタを使用することによって行われる。いくつかの実施形態では、周波数ドメイン手法を使用して、特性周波数の振幅および位相の変化を測定する。いくつかの実施形態では、他のパターン認識および機械学習技術が使用される。
【0065】
図6Aは、本発明のいくつかの実施形態による、患者99に位置決めされた電気刺激システム601の概略的な正面図である。刺激システム601のいくつかの実施形態では、各眼は、可撓性絶縁基板171上に金属層として堆積された上眼瞼電極173を含む。いくつかの実施形態では、刺激システム601は、患者99の後頸部もしくは後頭部に(または患者の任意の他の適切な接地位置に)置かれた1つ以上のリターン(接地)電極システム115と、リターン電極システム115および眼瞼電極173の両方にそれぞれ電気接続616および617を介して動作可能に結合された1つ以上の刺激コントローラ190とをさらに備える(例えば、いくつかの実施形態では、1つ以上のワイヤ、いくつかの実施形態では、基板171の一部であるかまたはそれに接続する基板上の印刷トラック)。いくつかの実施形態では、患者99の各眼のシステム601の成分は、単一の治療コントローラ190によって制御され、単一のリターン電極システム115に結合される。他の実施形態では、各眼の成分は、対応するリターン電極システム115に結合されたそれぞれの治療コントローラ190を含む。いくつかの実施形態では、コントローラ190は局所的に配置され(例えば、シャツポケットもしくは頭部装着型弾性バンド内、または、例えば、上記の参照により組み込まれている米国特許第11,116,973号明細書の
図15A~15Bのケーブルホルダシステム1501のようなケーブルホルダ内/上にあるなど、患者99によって携帯されるバッテリ操作式ユニット内にある)、他の実施形態では、コントローラ190は、ラップトップパーソナルコンピュータ、タブレットコンピュータ、デスクトップコンピュータ、スマートフォンなどのコンピュータ制御装置に取り付けられるか、またはその一部である。
【0066】
いくつかの実施形態では、システム601は、それぞれ電気接続618および619を介してコントローラ190に動作可能に結合された第1のセンサ電極660および第2のセンサ(基準)電極661を含む。いくつかの実施形態では、電気信号データは、眼瞼電極173によって提供される電気刺激中に第1のセンサ電極660および基準電極661を介して検出され、検出された電気信号データはコントローラ190に送信され、そこで処理され、かつ/またはさらに遠隔コンピュータデバイスに送信される。いくつかの実施形態では、第1のセンサ電極660は、第1のセンサ電極660が結膜に接触するように(いくつかのそのような実施形態では、第1のセンサ電極660の露出部分は、眼の下の皮膚に接着される)、下眼瞼の後ろに(少なくとも部分的に)挿入された金箔網膜電図(ERG)電極(例えば、いくつかの実施形態では、上記の参照により組み込まれる米国特許第5,154,174号明細書の背景技術に記載されているような金箔電極)を含む。いくつかの実施形態では、第1のセンサ電極660は、対象の内眼瞼または結膜に接触する電極を外面に有するコンタクトレンズを含む。いくつかの実施形態では、第1のセンサ電極660は、結膜と接触するように構成された任意の他の適切なERG電極、例えば、上記の参照により組み込まれる米国特許第5,154,174号明細書の図に記載され示されている電極を含む。
図6Aに示すように、基準電極661は患者99の側頭部に示されているが、他の実施形態では、基準電極661は、所望の電気信号データを検出するために第1のセンサ電極660と組み合わせるのに適した患者99の任意の位置に配置される。
【0067】
図6Bは、本発明のいくつかの実施形態による、患者99に位置決めされた電気刺激システム602の概略的な正面図である。いくつかの実施形態では、システム602は、第1のセンサ電極660が第1のセンサ電極670に置き換えられていることを除いて、システム601と実質的に同様である。いくつかの実施形態では、第1のセンサ電極670は、微細ワイヤ671(例えば、微細な銀ワイヤ)で角膜に接触するDawson-Trick-Litzkow(DTL)ERG電極を含む。いくつかの実施形態では、第1のセンサ電極670は、上記の参照により組み込まれる米国特許第5,154,174号明細書の背景技術に記載されているようなDTL細線電極またはDTL繊維電極を含む。いくつかの実施形態では、眼瞼電極173からの刺激中、上眼瞼は、第1のセンサ電極670のワイヤ671を覆って閉じる。いくつかの実施形態では、
図6Bに示すように、第1のセンサ電極670のワイヤ671は角膜の中央を横切って配置され、いくつかの実施形態では、ワイヤ671は、眼瞼電極173からの刺激中に上眼瞼がワイヤ671を覆って閉じるときにその位置に留まる。他の実施形態(図示せず)では、ワイヤ671は、眼瞼電極173からの刺激中にワイヤ671上で上眼瞼が閉じた状態で角膜の下部に載置され、さらに他の実施形態(図示せず)では、眼瞼電極173からの刺激中にワイヤ671上で上眼瞼が閉じると、ワイヤ671は下眼瞼の下をスライドする。
【0068】
図6Cは、本発明のいくつかの実施形態による、患者99に位置決めされた電気刺激システム603の概略的な正面図である。いくつかの実施形態では、システム603は、第1のセンサ電極660が患者99の下眼瞼に取り付けられた第1のセンサ電極680で置き換えられていることを除いて、システム601と実質的に同様である。いくつかの実施形態では、第1のセンサ電極680は、上眼瞼電極173と同じ可撓性絶縁基板171上にある。いくつかの実施形態では、上眼瞼電極173はまた、眼瞼電極173が刺激パルスを送達した後(いくつかの実施形態では、任意の刺激アーチファクトが抑制された後)に刺激に対する網膜反応を監視することによってセンシング電極として機能する。
【0069】
図6Dは、本発明のいくつかの実施形態による、患者99に位置決めされた電気刺激システム604の概略的な側面図である。いくつかの実施形態では、システム604は、第1のセンサ電極660が、患者99の脳の視覚野付近の患者99の後頭部に置かれた第1のセンサ電極690で置き換えられていることを除いて、システム601と実質的に同様である(いくつかのそのような実施形態では、第1のセンサ電極690は、患者99の後頭部頭皮上に置かれる)。いくつかの実施形態では、基準電極661はまた、患者99の脳の視覚野付近の患者99の後頭部の位置に移動され、他の実施形態では、基準電極661は、こめかみ、耳たぶ、乳様突起などを含む患者99の任意の他の適切な位置に置かれる。いくつかの実施形態では、第1のセンサ電極690および基準電極661は、眼瞼電極173によって提供される刺激に反応して患者99の脳内で(例えば、脳の視覚野において)生成される電気活動を検出する。
【0070】
図7は、本発明のいくつかの実施形態による、患者99に位置決めされた電気刺激システム701の概略的な正面図である。いくつかの実施形態では、システム701は、電気刺激中に患者が眼閃を見ているかどうかを判定するのを助けるように構成された瞳孔測定デバイス780を備える。いくつかの実施形態では、本発明によって提供される電気刺激に対する瞳孔反応は、眼閃発生と相関する。いくつかのそのような実施形態では、眼閃があたかも実際の光であるかのように、眼閃の発生により瞳孔が収縮する(いくつかの実施形態では、瞳孔反応(すなわち、瞳孔収縮)を誘発するための電気刺激の閾値強度は、実際の眼閃を誘発する強度よりもわずかに高いが、それにもかかわらず、瞳孔反応は信頼性の高い眼閃指標を提供する)。瞳孔反応が同感性反射であるため(例えば、一方の眼に向けられた光は、両方の眼に瞳孔収縮をもたらす)、刺激眼に眼閃が存在する場合、非刺激眼も収縮し、したがって、いくつかの実施形態では、刺激眼の刺激中に開いたままである反対の(非刺激)眼の瞳孔面積を測定して、電気刺激中の眼閃視認性の指示を提供する。
【0071】
いくつかの実施形態では、刺激目は刺激中に閉じられ、刺激目の瞳孔の直接測定が望まれ、いくつかのそのような実施形態では、閉じた眼瞼を通る瞳孔面積を推定するために赤外線測定が使用される。網膜は比較的強い赤外光源であり、虹彩は放出された光の一部を吸収するので、瞳孔の開口部は、眼によって放出された赤外光を測定することによって評価することができる(例えば、上記の参照により組み込まれるFarrajらの論文を参照されたい。この論文は、赤外LEDを用いてこめかみを通して眼窩を照明し、瞳孔から発せられる光を赤外線カメラで取り込む手段を記載している)。いくつかの実施形態では、本発明は、眼瞼に赤外線源を置き、後方散乱放射の程度を測定することによって、向上した赤外線測定技術を提供する。
【0072】
いくつかの実施形態では、瞳孔測定デバイス780は、瞳孔から放出された赤外線を測定するために眼瞼に位置決めされた赤外線センサデバイス781を含む。いくつかのそのような実施形態では、瞳孔の相対的な収縮を測定するだけでよく、瞳孔面積の絶対測定は必要ではない。いくつかの実施形態では、約3%以上の瞳孔収縮の閾値が、患者に眼閃が見えるという指示として使用される。
【0073】
いくつかの実施形態では、瞳孔測定デバイス780は、絶縁基板171上の刺激電極173と一体化された赤外線発光ダイオード(IR LED)782および赤外線(IR)センサ781を含む。いくつかの実施形態では、IR LED782は、電気刺激されている眼窩を照明するために使用される。いくつかの実施形態では、後方散乱光の量は、コントローラ190内で連続的に監視される。いくつかの実施形態では、安定した瞳孔は、センサ781からの安定した信号によって示され、瞳孔が眼閃によって収縮すると、センサ781からの信号は減少する。いくつかの実施形態では、瞳孔反応が比較的遅い場合、ノイズを低減し、なおかつ低周波の瞳孔反応を捕捉するために、信号は約2Hzまでローパスフィルタリングされる。いくつかの実施形態では、瞳孔反応を監視しながら、電気刺激を段階的に増分させ、各ステップを少なくとも1秒間維持して瞳孔反応の検出を可能にする。いくつかのそのような実施形態では、反応が生じた刺激レベルは眼閃閾値とみなされる。
【0074】
いくつかの実施形態(図示せず)では、IRカメラが眼の前に位置決めされ、瞳孔の面積が評価される。いくつかの実施形態では、約3%以上の面積の持続的な減少は、誘発された収縮とみなされ、眼閃が患者に見えるという指示として使用される。
【0075】
いくつかの実施形態では、本発明は、第1の電極基板を提供することであって、第1の電極基板は、患者の第1の眼に電気刺激療法を適用するように構成された第1の電極基板上の1つ以上の電極を含み、第1の眼は上眼瞼および下眼瞼を有し、第1の電極基板は、患者の第1の眼の上眼瞼および下眼瞼のうち少なくとも一方の外面に1つ以上の電極を配置するように構成されている、第1の電極基板を提供することと、1つ以上の電極が患者の第1の眼の上眼瞼および下眼瞼のうち少なくとも一方の外面にあるように、第1の電極基板を患者の皮膚に取り付けることと、第1の処置セッション中に第1の眼に電気刺激療法を適用することであって、第1の処置セッション中に第1の眼に治療を適用することが、第1の眼に適用される治療の電流レベルを第1の値に設定することであって、電流レベルの第1の値は第1の眼の刺激閾値を下回っている、第1の値に設定することと、第1の値から電流レベルを増加させることと、患者の第1の眼に眼閃が見えるという第1の指示を受信することであって、第1の指示が受信されると、第1の値から電流レベルを増加させることが第2の値で停止される、第1の指示を受信することとを含む、電気刺激療法を適用することとを含む、方法を提供する。
【0076】
本方法のいくつかの実施形態では、第1の指示を受信するステップは、患者から第1の指示を引き出して受信することを含む。いくつかの実施形態では、第1の指示を受信することは、第1の電極基板に動作可能に結合された1つ以上のセンサを提供することと、1つ以上のセンサを使用して、患者の第1の眼に眼閃が見えることを示す患者の眼瞼皮膚からの神経の電気信号を検出することと、を含む。いくつかの実施形態では、第1の指示を受信することは、第1の電極基板に動作可能に結合された1つ以上のセンサを提供することと、センサに動作可能に結合された第1の発光素子を提供することと、1つ以上のセンサを使用して、患者の第1の眼に眼閃が見えることを示す患者の眼瞼皮膚からの神経の電気信号を検出することと、検出された電気信号に少なくとも部分的に基づいて、第1の発光素子から光を放射することと、を含む。いくつかの実施形態では、電流レベルの第2の値は、第1の眼の刺激閾値以上である。
【0077】
本方法のいくつかの実施形態では、第1の処置セッション中に第1の眼に電気刺激療法を適用することは、電流レベルを第2の値から第3の値に増加させることであって、第3の値が第2の値の9倍以下である、電流レベルを第2の値から第3の値に増加させることをさらに含む。いくつかの実施形態では、第1の処置セッション中に第1の眼に電気刺激療法を適用することは、電流レベルを第2の値から第3の値に増加させることであって、第2の値および第3の値は両方とも約100マイクロアンペア~約1,000マイクロアンペアの範囲内である、電流レベルを第2の値から第3の値に増加させることをさらに含む。いくつかの実施形態では、第1の処置セッション中に第1の眼に電気刺激療法を適用することは、電流レベルを第2の値から増加させることと、患者が不快感を感じているという第2の指示を受信することであって、第2の指示が受信されると、第2の値から電流レベルを増加させることが第3の値で停止される、第2の指示を受信することと、をさらに含む。
【0078】
本方法のいくつかの実施形態では、第1の処置セッション中に第1の眼に電気刺激療法を適用することは、電流レベルを第2の値から増加させることと、患者が不快感を感じているという第2の指示を受信することであって、第2の指示が受信されると、第2の値から電流レベルを増加させるこが第3の値で停止される、第2の指示を受信することと、電流レベルを第3の値から、第3の値よりも小さく、第2の値以上である第4の値に減少させることと、をさらに含む。いくつかの実施形態では、第1の処置セッション中に第1の眼に電気刺激療法を適用することは、電流レベルを第2の値から増加させることと、患者が不快感を感じているという第2の指示を受信することであって、第2の指示が受信されると、第2の値から電流レベルを増加させることが第3の値で停止される、第2の指示を受信することと、をさらに含み、第2の指示を受信することは、第1の電極基板に動作可能に結合された1つ以上のセンサを提供することと、1つ以上のセンサを使用して、患者の不快感を示す患者の眼瞼皮膚からの神経の電気信号を感知することと、を含む。
【0079】
いくつかの実施形態では、本方法は、第2の処置セッション中に第1の眼に電気刺激療法を適用するステップをさらに含み、第2の処置セッション中に第1の眼に治療を適用するステップは、第1の眼に適用される治療の電流レベルを第2の値に設定することと、電流レベルを第2の値から第3の値に増加させることであって、第3の値は第2の値の9倍以下である、電流レベルを第2の値から第3の値に増加させることと、を含む。
【0080】
いくつかの実施形態では、本方法は、第2の処置セッション中に第1の眼に電気刺激療法を適用することをさらに含み、第2のセッション中に療法を適用することは、第1の眼に適用される療法の電流レベルを第4の値に設定することであって、電流レベルの第4の値は第1の眼の刺激閾値を下回る、電流レベルを第4の値に設定することと、電流レベルを第4の値から増加させることと、患者の第1の眼に眼閃が患者に見えるという第3の指示を受信することであって、第3の指示が受信されると、電流レベルを第4の値から増加させることが第5の値で停止される、第3の指示を受信することと、患者が不快感を感じているという第4の指示を受信することであって、第4の指示が受信されると、第5の値から電流レベルを増加させることが第6の値で停止されることと、を含む。
【0081】
いくつかの実施形態では、本方法は、第2の電極基板を提供することであって、第2の電極基板は、患者の第2の眼に電気刺激療法を適用するように構成された第2の電極基板上の1つ以上の電極を含み、第2の眼は上眼瞼および下眼瞼を有し、第2の電極基板は、患者の第2の眼の上眼瞼および下眼瞼のうち少なくとも一方の外面に1つ以上の電極を配置するように構成されている、第2の電極基板を提供することと、第2の電極基板の1つ以上の電極が患者の第2の眼の上眼瞼および下眼瞼のうち少なくとも一方の外面にあるように、第2の電極基板を患者の皮膚に取り付けることと、第2の処置セッション中に第2の眼に電気刺激療法を適用することであって、第2の処置セッション中に第2の眼に治療を適用することが、第2の眼に適用される治療の電流レベルを第2の値に設定することと、電流レベルを第2の値から第3の値に増加させることであって、第3の値が第2の値の9倍以下である、電流レベルを第2の値から第3の値に増加させることとを含む、電気刺激療法を適用することと、をさらに含む。
【0082】
いくつかの実施形態では、本方法は、第2の電極基板を提供することであって、第2の電極基板は、患者の第2の眼に電気刺激療法を適用するように構成された第2の電極基板上の1つ以上の電極を含み、第2の眼は上眼瞼および下眼瞼を有し、第2の電極基板は、患者の第2の眼の上眼瞼および下眼瞼のうち少なくとも一方の外面に1つ以上の電極を配置するように構成されている、第2の電極基板を提供することと、第2の電極基板の1つ以上の電極が患者の第2の眼の上眼瞼および下眼瞼のうち少なくとも一方の外面にあるように、第2の電極基板を患者の皮膚に取り付けることと、第1の処置セッション中に第2の眼に電気刺激療法を適用することであって、第1の処置セッション中に第2の眼に治療を適用することが、第2の眼に適用される治療の電流レベルを第7の値に設定することであって、電流レベルの第7の値は第2の眼の刺激閾値を下回っている、第7の値に設定することと、第7の値から電流レベルを増加させることと、患者の第2の眼に眼閃が見えるという第5の指示を受信することであって、第5の指示が受信されると、第7の値から電流レベルを増加させることが第8の値で停止される、第5の指示を受信することとを含む、電気刺激療法を適用することとを含む、方法をさらに提供する。
【0083】
いくつかの実施形態では、本方法は、第1のリターン電極を提供することと、第1のリターン電極を患者の頸部の一部に取り付けることとをさらに含み、第1の処置セッション中に第1の眼に電気刺激療法を適用することは、電流が患者の第1の眼の網膜を通過するように、第1の電極基板上の1つ以上の電極のうちの少なくとも1つと第1のリターン電極との間の電流を制御することをさらに含む。いくつかの実施形態では、第1の処置セッション中に第1の眼に電気刺激療法を適用することは、第1の刺激信号を生成することであって、第1の刺激信号は単相性波形を含む、第1の刺激信号を生成することと、第1の電極基板上の1つ以上の電極を介して第1の眼に第1の刺激信号を送信することと、第2の刺激信号を生成することであって、第2の刺激信号は二相性波形を含む、第2の刺激信号を生成することと、第1の電極基板上の1つ以上の電極を介して第2の刺激信号を第1の眼に送信することであって、第1の刺激信号を送信することは、第2の刺激信号の送信と少なくとも部分的に同時に行われる、第2の刺激信号を第1の眼に送信することと、を含む。いくつかの実施形態では、第1の処置セッション中に第1の眼に電気刺激療法を適用することは、第1の刺激信号を生成することであって、第1の刺激信号は単相性波形を含む、第1の刺激信号を生成することと、第1の電極基板上の1つ以上の電極を介して第1の期間中に第1の眼に第1の刺激信号を送信することと、第2の刺激信号を生成することであって、第2の刺激信号は二相性波形を含む、第2の刺激信号を生成することと、第1の電極基板上の1つ以上の電極を介して第2の期間中に第2の刺激信号を第1の眼に送信することであって、第2の期間は第1の期間と重複しない、第2の刺激信号を第1の眼に送信することと、を含む。
【0084】
本方法のいくつかの実施形態では、第1の処置セッション中に第1の眼に電気刺激療法を適用することは、第1の刺激信号を生成することであって、第1の刺激信号は単相性波形を含む、第1の刺激信号を生成することと、第1の電極基板上の1つ以上の電極を介して第1の期間中に第1の眼に第1の刺激信号を送信することと、第2の刺激信号を生成することであって、第2の刺激信号は二相性波形を含む、第2の刺激信号を生成することと、第1の電極基板上の1つ以上の電極を介して第2の期間中に第2の刺激信号を第1の眼に送信することであって、第2の期間は第1の期間と重複せず、第1の期間は第2の期間から15分以下離れている、第2の刺激信号を第1の眼に送信することと、を含む。
【0085】
本方法のいくつかの実施形態では、第1の処置セッション中に第1の眼に電気刺激療法を適用することは、複数の刺激信号を生成することであって、複数の刺激信号は、約20~約100Hzの周波数範囲で動作する、複数の刺激信号を生成することと、第1の電極基板上の1つ以上の電極を介して第1の眼に複数の刺激信号を送信することと、を含む。
【0086】
いくつかの実施形態では、本発明は、患者の第1の眼に電気刺激療法を適用するように構成された第1の電極基板上の1つ以上の電極であって、第1の眼は上眼瞼および下眼瞼を有し、第1の電極基板は、患者の第1の眼の上眼瞼および下眼瞼のうち少なくとも一方の外面に1つ以上の電極を配置するように構成された、1つ以上の電極と、電気刺激療法を制御するように構成された刺激コントローラであって、1つ以上の電極の各々は、刺激コントローラに動作可能に結合され、刺激コントローラは、電気刺激療法の電流レベルを第1の処置セッション中に第1の値に設定し、電流レベルの第1の値は第1の眼の刺激閾値を下回っており、第1の処置セッション中に第1の値から電流レベルを増加させるようにさらに構成されており、第1の処置セッション中に患者の第1の眼に眼閃が見えるという第1の指示を受信し、第1の指示が受信されると、第1の値からの電流レベルの増加が第2の値で停止される、刺激コントローラとを含む第1の電極基板を備えるシステムを提供する。
【0087】
システムのいくつかの実施形態では、刺激コントローラは、患者から第1の指示を引き出して受信するようにさらに構成されている。いくつかの実施形態では、システムは、刺激コントローラに動作可能に結合された1つ以上のセンサをさらに備え、1つ以上のセンサは、患者の第1の眼に眼閃が見えることを示す患者の眼瞼皮膚からの神経の電気信号を検出し、検出された電気信号を刺激コントローラに送信して第1の受信した指示を形成するように構成される。いくつかの実施形態では、刺激コントローラは、第1の処置セッション中に第2の値から電流レベルを増加させ、第1の処置セッション中に患者が不快感を感じているという第2の指示を受信するようにさらに構成されており、第2の指示が受信されると、第2の値からの電流レベルの増加を第3の値で停止し、システムは、刺激コントローラに動作可能に結合されたセンサをさらに備え、1つ以上のセンサは、患者の不快感を示す患者の眼瞼皮膚からの神経の電気信号を検出し、検出された電気信号を刺激コントローラに送信して第2の受信した指示を形成するように構成される。
【0088】
システムのいくつかの実施形態では、刺激コントローラは、第2の処置セッション中に第1の眼に適用される治療の電流レベルを第2の値に設定し、第2の処置セッション中に電流レベルを第2の値から第3の値に増加させるようにさらに構成されており、第3の値は第2の値の9倍以下である。いくつかの実施形態では、システムは、患者の頸部の一部に配置されるように構成された第1のリターン電極をさらに備え、刺激コントローラは、電流が患者の第1の眼の網膜を通過するように、第1の電極基板上の1つ以上の電極のうちの少なくとも1つと第1のリターン電極との間の電流を制御するようにさらに構成されている。
【0089】
いくつかの実施形態では、本発明は、適切にプログラムされた制御システムに、患者の第1の眼に電気刺激療法を提供する方法を実行させるための命令を記憶した非一時的コンピュータ可読媒体であって、第1の眼は上眼瞼および下眼瞼を有し、方法は、1つ以上の電極を備える電気刺激システム上の制御システムによって実行され、1つ以上の電極は、第1の電極基板上にあり、第1の電極基板は、1つ以上の電極が患者の第1の眼の上眼瞼および下眼瞼のうち少なくとも一方の外面上にあるように患者の皮膚に取り付けられ、方法は、第1の処置セッション中に第1の眼に電気刺激療法を適用することであって、第1の処置セッション中に第1の眼に治療を適用することが、治療の電流レベルを第1の値に設定することであって、電流レベルの第1の値は第1の眼の刺激閾値を下回っている、第1の値に設定することと、第1の値から電流レベルを増加させることと、患者の第1の眼に眼閃が見えるという指示を受信することであって、第1の指示が受信されると、第1の値から電流レベルを増加させることが第2の値で停止される、第1の指示を受信することとを含む、電気刺激療法を適用することを含む、非一時的コンピュータ可読媒体を提供する。
【0090】
いくつか実施形態では、本発明は、電気刺激療法を患者に送達するためのシステムであって、該システムは、第1の電極基板であって、患者の第1の眼に電気刺激信号を印加するように構成された第1の電極基板上の1つ以上の刺激電極であって、第1の眼は上眼瞼および下眼瞼を有し、第1の電極基板は、患者の第1の眼の上眼瞼および下眼瞼のうち少なくとも一方の外面に1つ以上の電極を配置するように構成されている、1つ以上の刺激電極を含む、第1の電極基板と、電気刺激療法の送達中に患者の神経細胞からの電気活動を検出するように構成された複数のセンサ電極であって、複数のセンサ電極は、電気活動データを生成するように構成された第1のセンサ電極と、基準電気活動データを生成するように構成された第2のセンサ電極とを含む、複数のセンサ電極と、1つ以上の刺激電極によって印加された電気刺激信号のリターン経路を提供する患者上の位置に置かれるように構成された第1のリターン電極であって、電流が1つ以上の刺激電極のうちの少なくとも1つと第1のリターン電極との間に形成されることになる、第1のリターン電極と、1つ以上の刺激電極、複数のセンサ電極、および第1のリターン電極に動作可能に結合された刺激コントローラであって、刺激コントローラは、電流が患者の第1の眼の網膜を通過して電気刺激療法を送達するように、1つ以上の刺激電極のうちの少なくとも1つと第1のリターン電極との間に形成される電流を制御するように構成されている、刺激コントローラと、を備えるシステムを提供する。
【0091】
システムのいくつかの実施形態では、複数のセンサ電極によって検出される電気活動は、網膜電図(ERG)データを含む。いくつかの実施形態では、第1のセンサ電極は、患者の第1の眼の結膜に接触するように構成された金箔電極を含む。いくつかの実施形態では、第1のセンサ電極は、患者の第1の眼の角膜に接触するように構成されたDawson-Trick-Litzkow(DTL)電極を含む。いくつかの実施形態では、第1のセンサ電極は、患者の第1の眼の下眼瞼の外面に置かれるように構成される。いくつかの実施形態では、第2のセンサ電極は、患者の側頭部に配置される。
【0092】
システムのいくつかの実施形態では、刺激コントローラは、電気刺激療法の特性を決定するために、第1のセンサ電極によって生成されたアクティブな電気活動データを、第2のセンサ電極によって生成された基準電気活動データと比較するようにさらに構成される(例えば、いくつかの実施形態では、刺激コントローラは、第1のセンサ電極と第2のセンサ電極との間の電圧の差を検出する差動増幅器を含む)。いくつかの実施形態では、刺激コントローラは、第1の処置セッション中に電気刺激療法の電流レベルを第1の値に設定することであって、電流レベルの第1の値が第1の眼の刺激閾値を下回る、電流レベルを第1の値に設定し、第1の処置セッション中に電流レベルを第1の値から増加させ、第1の処置セッション中に電気刺激療法の特性を決定するために、第1の処置セッション中に第1のセンサ電極によって生成されたアクティブな電気活動データを、第2のセンサ電極によって生成された基準電気活動データと比較することであって、特性は、第1の処置セッション中に患者の第1の眼に眼閃が見えるという第1の指示を含み、第1の指示が決定されると、第1の値からの電流レベルの増加が第2の値で停止される、アクティブな電気活動データを基準電気活動データと比較するようにさらに構成されている。
【0093】
いくつかの実施形態では、システムは、第1の処置セッション中に患者からフィードバックを引き出して受信するように構成されたユーザインターフェースであって、刺激コントローラは、ユーザインターフェースによって受信されたフィードバックに少なくとも部分的に基づいて第1の指示の判定のために較正される、ユーザインターフェースを備える。いくつかの実施形態では、刺激コントローラは、第1の処置セッション中に電流レベルを第2の値から増加させ、電気刺激療法の特性は、患者が第1の処置セッション中に不快感を感じているという第2の指示を含み、第2の指示が決定されると、第2の値からの電流レベルの増加が第3の値で停止されるようにさらに構成されている。いくつかの実施形態では、刺激コントローラは、電気刺激療法の電流レベルを第1の処置セッション中に第1の値に設定し、電流レベルの第1の値は第1の眼の刺激閾値を下回り、第1の処置セッション中に電流レベルを第1の値から増加させ、患者から、眼閃が患者に見えるという第1の指示を引き出して受信し、第1の指示が受信されたときに、第1の値からの電流レベルの増加は第2の値で停止されるようにさらに構成されている。
【0094】
いくつかの実施形態では、システムは、第2の電極基板であって、患者の第2の眼に電気刺激信号を印加するように構成された第2の電極基板上の1つ以上の刺激電極を含み、第2の眼は上眼瞼および下眼瞼を有し、第2の電極基板は、患者の第2の眼の上眼瞼および下眼瞼のうち少なくとも一方の外面に1つ以上の電極を配置するように構成されている第2の電極基板を備え、第1のリターン電極は、第2の電極基板上の1つ以上の刺激電極のうちの少なくとも1つと第1のリターン電極との間に電流が形成されるように、第2の電極基板上の1つ以上の刺激電極によって印加された電気刺激信号のリターン経路を提供するようにさらに構成されており、刺激コントローラは、第2の電極基板上の1つ以上の刺激電極に動作可能に結合され、刺激コントローラは、電流が患者の第2の眼の網膜を通過して電気刺激療法を送達するように、第2の電極基板上の1つ以上の刺激電極のうちの少なくとも1つと第1のリターン電極との間に形成される電流を制御するようにさらに構成されている。
【0095】
いくつかの実施形態では、本発明は、電気刺激療法を患者に送達するための方法であって、該方法は、第1の電極基板を提供することであって、第1の電極基板は、患者の第1の眼に電気刺激信号を印加するように構成された第1の電極基板上の1つ以上の刺激電極であって、第1の眼は上眼瞼および下眼瞼を有する、1つ以上の刺激電極を含む、第1の電極基板を提供することと、1つ以上の刺激電極が患者の第1の眼の上眼瞼および下眼瞼のうち少なくとも一方の外面上にあるように、第1の電極基板を患者の皮膚に取り付けることと、第1のセンサ電極および第2のセンサ電極を含む複数のセンサ電極を提供することと、第1のリターン電極を提供することと、1つ以上の刺激電極のうちの少なくとも1つと第1のリターン電極との間に電流が形成されるように、1つ以上の刺激電極によって印加された電気刺激信号のリターン経路を提供する患者上の位置に第1のリターン電極を置くことと、電気刺激療法を第1の眼に送達することであって、送達することは、電流が患者の第1の眼の網膜を通過するように、1つ以上の刺激電極の少なくとも1つと第1のリターン電極との間に形成される電流を制御することを含む、第1の眼に送達することと、複数のセンサ電極を使用して、第1の眼への電気刺激療法の送達中に患者の神経細胞からの電気活動を検出することであって、電気活動を検出することは、第1のセンサ電極を使用してアクティブな電気活動データを生成することと、第2のセンサ電極を使用して基準電気活動データを生成することとを含む、電気活動を検出することと、を含む方法を提供する。
【0096】
本方法のいくつかの実施形態では、電気活動を検出することは、網膜電図(ERG)データを生成することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、電気刺激療法の特性を決定するために、第1のセンサ電極からのアクティブな電気活動データを第2のセンサ電極からの基準電気活動データと比較することをさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法は、第1の処置セッション中に電気刺激療法の電流レベルを第1の値に設定することであって、電流レベルの第1の値が第1の眼の刺激閾値を下回る、電流レベルを第1の値に設定することと、第1の処置セッション中に電流レベルを第1の値から増加させ、第1の処置セッション中に、第1のセンサ電極からのアクティブな電気活動データと、第2のセンサ電極からの基準電気活動データとを比較することと、比較することに少なくとも部分的に基づいて、第1の処置セッション中に電気刺激療法の特性を決定することであって、特性は、第1の処置セッション中に患者の第1の眼に眼閃が見えるという第1の指示を含む、電気刺激療法の特性を決定することと、第1の指示に基づいて第1の値から電流レベルを増加させることを第2の値で停止させることと、をさらに含む。
【0097】
いくつかの実施形態では、本方法は、第1の処置セッション中に患者からフィードバックを引き出して受信することであって、第1の指示を決定することが、受信したフィードバックに少なくとも部分的に基づいて較正される、フィードバックを引き出して受信することをさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法は、第1の処置セッション中に第2の値から電流レベルを増加させることであって、特性は、患者が第1の処置セッション中に不快感を感じているという第2の指示を含む、電流レベルを増加させることと、第2の指示に基づいて第2の値から電流レベルを増加させることを第3の値で停止させることとをさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法は、第1のセンサ電極の少なくとも一部が患者の第1の眼の結膜に接触するように、第1のセンサ電極を患者に置くことをさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法は、第1のセンサ電極の少なくとも一部が患者の第1の眼の角膜に接触するように、第1のセンサ電極を患者に置くことをさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法は、患者の第1の眼の下眼瞼の外面に第1のセンサ電極を置くことをさらに含む。
【0098】
いくつかの実施形態では、本発明は、適切にプログラムされた制御システムに、患者に電気刺激療法を送達するための方法を実行させるための命令が格納された非一時的コンピュータ可読媒体であって、第1の眼は上眼瞼および下眼瞼を有し、本方法は、第1の電極基板上に1つ以上の刺激電極を含む電気刺激システム上の制御システムであって、1つ以上の刺激電極は、患者の第1の眼に電気刺激信号を印加するように構成されており、1つ以上の刺激電極が患者の第1の眼の上眼瞼および下眼瞼のうち少なくとも一方の外面上にあるように、第1の電極基板は患者の皮膚に取り付けられている、制御システムと、第1のセンサ電極および第2のセンサ電極を含む複数のセンサ電極と、1つ以上の刺激電極によって印加された電気刺激信号のリターン経路を提供する患者上の位置に置かれるように構成された第1のリターン電極であって、電流が1つ以上の刺激電極のうちの少なくとも1つと第1のリターン電極との間に形成されることになる、第1のリターン電極とによって実行され、本方法は、電気刺激療法を第1の眼に送達することであって、送達することは、電流が患者の第1の眼の網膜を通過するように、1つ以上の刺激電極の少なくとも1つと第1のリターン電極との間に形成される電流を制御することを含む、第1の眼に送達することと、複数のセンサ電極を介して、第1の眼への電気刺激療法の送達中に患者の神経細胞からの電気活動を検出することであって、電気活動を検出することは、第1のセンサ電極を使用してアクティブな電気活動データを生成することと、第2のセンサ電極を使用して基準電気活動データを生成することとを含む、電気活動を検出することと、を含む、非一時的コンピュータ可読媒体を提供する。
【0099】
いくつかの実施形態では、非一時的コンピュータ可読媒体は、本方法が、第1の処置セッション中に電気刺激療法の電流レベルを第1の値に設定することであって、電流レベルの第1の値が第1の眼の刺激閾値を下回る、電流レベルを第1の値に設定することと、第1の処置セッション中に電流レベルを第1の値から増加させ、第1の処置セッション中に、第1のセンサ電極からのアクティブな電気活動データと、第2のセンサ電極からの基準電気活動データとを比較することと、比較することに少なくとも部分的に基づいて、第1の処置セッション中に電気刺激療法の特性を決定することであって、特性は、第1の処置セッション中に患者の第1の眼に眼閃が見えるという第1の指示を含む、電気刺激療法の特性を決定することと、第1の指示に基づいて第1の値から電流レベルを増加させることを第2の値で停止させることと、をさらに含むような命令をさらに含む。
【0100】
いくつかの実施形態では、非一時的コンピュータ可読媒体は、本方法が、検出された電気活動に関連する電気アーチファクトを抑制することをさらに含むような命令をさらに含む。いくつかの実施形態では、検出された電気活動は検出された波形を含み、非一時的コンピュータ可読媒体は、本方法が、検出された波形の複数の成分の振幅および潜時を測定することであって、電流を制御することが、検出された波形の複数の成分のうちの選択された成分が振幅および潜時のうちの少なくとも1つの閾値レベルに達するまで電流の強度を増加させることを含む、振幅および潜時を測定することを含む。
【0101】
いくつかの実施形態では、本発明は、電気刺激療法を患者に送達するためのシステムであって、システムは、第1の電極基板であって、患者の第1の眼に電気刺激信号を印加するように構成された第1の電極基板上の1つ以上の刺激電極を含み、第1の眼は上眼瞼および下眼瞼を有し、第1の電極基板は、患者の第1の眼の上眼瞼および下眼瞼のうち少なくとも一方の外面に1つ以上の電極を配置するように構成されている、第1の電極基板と、コントローラに動作可能に結合され、電気刺激療法の送達中に第1の眼の瞳孔の開口部を測定するように構成された瞳孔測定デバイスと、1つ以上の刺激電極によって印加された電気刺激信号のリターン経路を提供する患者上の位置に置かれるように構成された第1のリターン電極であって、1つ以上の刺激電極のうちの少なくとも1つと第1のリターン電極との間に電流が形成されことになる、第1のリターン電極と、1つ以上の刺激電極、複数のセンサ電極、および第1のリターン電極に動作可能に結合された刺激コントローラであって、刺激コントローラは、電流が患者の第1の眼の網膜を通過して電気刺激療法を送達するように、1つ以上の刺激電極のうちの少なくとも1つと第1のリターン電極との間に形成される電流を制御するように構成されている、刺激コントローラとを備える、システムを提供する。
【0102】
システムのいくつかの実施形態では、刺激コントローラは、電気刺激療法の電流レベルを第1の処置セッション中に第1の値に設定し、電流レベルの第1の値は第1の眼の刺激閾値を下回り、第1の処置セッション中に第1の値から電流レベルを増加させ、第1の眼の瞳孔の測定された開口部に少なくとも部分的に基づいて、第1の処置セッション中の電気刺激療法の特性を決定し、特性は、第1の処置セッション中に患者の第1の眼に眼閃が見えるという第1の指示を含み、第1の指示が決定されると、第1の値からの電流レベルの増加は第2の値で停止される、ようにさらに構成されている。いくつかの実施形態では、瞳孔測定デバイスは、第1の眼によって放出された赤外光を測定するように構成された赤外測定デバイスを含む。
【0103】
いくつかの実施形態では、本発明は、電気刺激療法を患者に送達するためのシステムであって、該システムは、患者の第1の眼に電気刺激信号を印加するように構成された第1の電極基板上の1つ以上の刺激電極を含む第1の電極基板であって、第1の眼は上眼瞼および下眼瞼を有し、第1の電極基板は、患者の第1の眼の上眼瞼および下眼瞼のうち少なくとも一方の外面に1つ以上の電極を配置するように構成されている、第1の電極基板と、1つ以上の刺激電極に動作可能に結合された第1のリターン電極と、1つ以上の刺激電極のうちの少なくとも1つと第1のリターン電極との間に形成される電流を制御する手段と、第1の眼への電気刺激療法の送達中に、電気刺激療法に対する患者の生物学的反応を検出するための手段とを備える、システムを提供する。
【0104】
上記の説明は例示を意図しており、限定を意図していないことを理解されたい。本明細書に記載の様々な実施形態の多数の特徴および利点が、様々な実施形態の構造および機能の詳細とともに前述の説明に記載されているが、多くの他の実施形態および詳細に対する変更は、上記の説明を検討することにより当業者には明らかであろう。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して、かかる特許請求の範囲に与えられる均等物の全範囲と併せて決定されるべきである。添付の特許請求の範囲において、「・・・を含む(including)」および「・・・において(in which)」という用語は、それぞれ「・・・を備える(comprising)」および「ここで(wherein)」という用語の平易な英語の同義語として使用される。さらに、「第1の」、「第2の」、および「第3の」などの用語は、単にラベルとして使用され、それらの対象に数値的な要件を課すことを意図しない。
【国際調査報告】