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特表2024-542201炭素捕捉を伴う別個の吸熱プロセスのための熱発生
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  • 特表-炭素捕捉を伴う別個の吸熱プロセスのための熱発生 図1
  • 特表-炭素捕捉を伴う別個の吸熱プロセスのための熱発生 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】炭素捕捉を伴う別個の吸熱プロセスのための熱発生
(51)【国際特許分類】
   F23C 9/08 20060101AFI20241106BHJP
   F23J 15/06 20060101ALI20241106BHJP
   F23L 7/00 20060101ALI20241106BHJP
   F23L 15/00 20060101ALI20241106BHJP
   F23L 15/04 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
F23C9/08 502
F23J15/06
F23L7/00 Z
F23L15/00 A
F23L15/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529512
(86)(22)【出願日】2022-11-18
(85)【翻訳文提出日】2024-06-25
(86)【国際出願番号】 IB2022061167
(87)【国際公開番号】W WO2023089572
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】63/280,822
(32)【優先日】2021-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】312000387
【氏名又は名称】8 リバーズ キャピタル,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】アラム,ロドニー ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,ジュニア.,グレン ウィリアム
【テーマコード(参考)】
3K023
3K070
3K091
【Fターム(参考)】
3K023JA01
3K023JD02
3K023QC08
3K070DA09
3K070DA50
3K091AA20
3K091CC06
3K091CC22
3K091GA32
(57)【要約】
熱エネルギーを別個の吸熱プロセスに伝達する方法は、(a)二酸化炭素(CO)流および炭素質燃料を加熱器に供給するステップと、(b)加熱器内で炭素質燃料を反応させて加熱流を生成するステップと、(c)加熱流から別個の吸熱プロセスに熱を伝達するステップと、(d)ステップ(c)の後に加熱流からCO流を分離するステップと、(e)ステップ(d)の後にCO流を加熱器に再循環させるステップとを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱エネルギーを別個の吸熱プロセスに伝達する方法であって、
(a)二酸化炭素(CO)流および炭素質燃料を加熱器に供給するステップと、
(b)前記炭素質燃料を前記加熱器内で酸化剤と反応させて加熱流を生成するステップと、
(c)前記加熱流から前記別個の吸熱プロセスに熱を伝達するステップと、
(d)ステップ(c)の後に前記加熱流から前記CO流を分離するステップと、
(e)ステップ(d)の後に前記CO流を前記加熱器に再循環させるステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記加熱流から前記CO流および前記炭素質燃料に熱を伝達するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記加熱流から前記CO流を分離するステップは、前記加熱流を冷却するステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記加熱流を冷却するステップは、前記加熱流を水と接触させるステップを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記加熱流を水と接触させるステップは、
前記加熱流から供給水を分離するステップと、
前記加熱流を前記供給水と接触させるステップと
を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
酸化剤を前記加熱器に供給するステップと、
前記加熱流から前記酸化剤に熱を伝達するステップと
をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記加熱器は、酸素イオン輸送膜加熱器を含み、前記方法はさらに、
酸化剤を含む空気流を前記加熱器内で受け取るステップと、
前記炭素質燃料を前記加熱器内の前記酸化剤に曝露させるステップと
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記加熱器は、膜を含み、前記方法はさらに、
前記膜の第1の側に前記炭素質燃料および前記CO流を通すステップと、
前記第1の側の反対側にある前記膜の第2の側に前記空気流を通すステップと、
前記空気流からの酸素を前記第2の側から前記第1の側に前記膜を横切って拡散させるステップと
を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
熱エネルギーを別個の吸熱プロセスに伝達するためのシステムであって、
炭素質燃料、酸化剤、および二酸化炭素(CO)流を受け取るように構成された1つまたは複数の入口を含み、さらに出口を含む加熱器であって、前記CO流の存在下で前記炭素質燃料を前記酸化剤と反応させて加熱流を生成するように構成された加熱器と、
前記出口に流体結合された熱伝達アセンブリであって、前記加熱流から前記別個の吸熱プロセスに熱を伝達するように構成された熱伝達アセンブリと、
前記熱伝達アセンブリに流体結合され、かつ前記熱伝達アセンブリの下流側にあり、前記加熱流から前記CO流を分離するように構成された分離器であって、前記CO流が前記分離器から前記加熱器の前記1つまたは複数の入口へと戻るように、前記加熱器の前記1つまたは複数の入口にさらに結合され、かつ前記加熱器の前記1つまたは複数の入口の上流側にある分離器と
を備えるシステム。
【請求項10】
前記熱伝達アセンブリと前記分離器との間に流体結合された熱交換器であって、前記加熱流から前記CO流および前記炭素質燃料に熱を伝達するように構成された熱交換器をさらに備える、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記分離器は、直接接触水冷却器である、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記分離器は、
前記分離器内で前記加熱流から分離された供給水を受け取るように構成された第2の出口と、
前記第2の出口に流体結合され、前記供給水を前記分離器内に戻して前記加熱流と接触させるように構成された入口と
を備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記加熱器の前記1つまたは複数の入口は、酸化剤流を受け取るように構成され、前記システムはさらに、
前記加熱器の上流側で前記酸化剤を加熱するように構成された第2の熱交換器を備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記加熱流は、前記第2の熱交換器に流体結合され、そのことにより、前記第2の熱交換器は前記加熱流から前記酸化剤流に熱を伝達するように構成される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記加熱器は、膜を含む酸素イオン輸送膜加熱器を含み、前記加熱器は、前記膜の第1の側に前記炭素質燃料および前記CO流を通すように構成され、前記第1の側の反対側にある前記膜の第2の側に空気流を通すように構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項16】
別個の吸熱プロセスのための熱エネルギーを発生させる方法であって、
(a)分離器の第1の出口からCO流を生成するステップと、
(b)前記CO流を加熱器に流すステップと、
(c)前記加熱器内で前記CO流の存在下で炭素質燃料を酸化剤と反応させるステップと、
(d)前記加熱器から加熱流を排出するステップと、
(e)前記加熱流から前記別個の吸熱プロセスに熱を伝達するステップと、
(f)ステップ(e)の後に前記加熱器の上流側で、前記加熱流によって前記炭素質燃料を加熱するステップと、
(g)ステップ(f)の後に、前記加熱流を前記分離器に流すステップと
を含む方法。
【請求項17】
前記分離器内で前記加熱流から供給水を分離するステップと、
前記供給水を前記分離器内に戻して再循環させるステップと
をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記加熱流を前記供給水と接触させるステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記加熱器は、膜を含む酸素イオン輸送膜加熱器を含み、前記方法はさらに、
前記膜の第1の側に前記炭素質燃料および前記CO流を通すステップと、
前記第1の側の反対側にある前記膜の第2の側に空気流を通すステップと、
前記空気流からの酸素を前記第2の側から前記第1の側に前記膜を横切って拡散させるステップと
を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
酸化剤を前記加熱器に供給するステップと、
前記加熱器の上流側で前記加熱流から前記酸化剤に熱を伝達するステップと
をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
吸熱プロセスは、外部供給源からプロセスに伝達される熱エネルギーによって駆動される。このような吸熱プロセスは、様々な産業において一般的であり、いくつかの例としては、ナフサおよびエタンクラッキングからのエチレン製造、蒸気および炭化水素の接触改質による水素および一酸化炭素製造、石油精製プロセス、スチレンの製造(例えば、脱水素またはエチルベンゼンを介して)、冶金熱処理プロセス、および蒸気製造(例えば、発電の状況において)が挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
吸熱プロセスのための熱源は、炭化水素(例えば、ディーゼル油、ガソリン、天然ガスなど)のような炭素質燃料の燃焼によって得られる。しかしながら、そのようなプロセスは二酸化炭素(CO)を放出するものであり、このことは、社会が世界的に見て、炭素削減の、カーボンニュートラルな、またはカーボンネガティブな運転に移行しようとしているため、ますます望ましくないものになっている。
【課題を解決するための手段】
【0003】
本明細書に開示する実施形態は、吸熱プロセスを駆動するかまたは吸熱プロセスに動力を供給するために熱エネルギーを発生させると同時に、運転中の正味の炭素排出を低減するために生成される炭素(例えば、COの形で)を捕捉するためのシステムおよび方法を対象とする。いくつかの実施形態では、本明細書に記載するシステムおよび方法は、天然ガスなどの炭素質燃料の酸化(燃焼を含む)から生成される炭素を捕捉するために利用され得る。したがって、本明細書に開示する実施形態の使用を通じて、熱エネルギーは、大気へのCO排出の対応する増加を伴わずに、吸熱プロセスに供給され得る。
【0004】
本明細書に開示するいくつかの実施形態は、熱エネルギーを別個の吸熱プロセスに伝達する方法を対象とする。一実施形態において、該方法は、(a)CO流および炭素質燃料を加熱器に供給するステップと、(b)炭素質燃料を加熱器内で酸化剤と反応させて加熱流を生成するステップとを含む。さらに、該方法は、(c)加熱流から別個の吸熱プロセスに熱を伝達するステップと、(d)ステップ(c)の後に加熱流からCO流を分離するステップと、(e)ステップ(d)の後にCO流を加熱器へと再循環させるステップとを含み得る。
【0005】
本明細書で使用される場合、「加熱器」は、加熱器を通過した燃料物質が、燃料物質を少なくとも部分的に酸化させ、熱を放出するのに有効な反応を受けることができるような条件下で動作可能な任意のユニットを指すものとする。酸化反応は、燃料の部分燃焼または完全燃焼、ならびに燃焼を伴わない燃料の酸化(例えば、燃料の自己発火温度未満での反応)を明示的に含むことが意図される。加熱器は、カール物質を少なくとも部分的に酸化させる、実質的に完全に酸化させる、少なくとも部分的に燃焼させる、または実質的に完全に燃焼させるのに有効な1つまたは複数の触媒物質を含む加熱器に燃料物質を通すことによって生じ得るような、自己燃焼または自己酸化を達成するように構成され得る。同様に、「反応する」という用語は、燃料が少なくとも部分的に酸化された、実質的に完全に酸化された、少なくとも部分的に燃焼された、または実質的に完全に燃焼されたことを示し得る。
【0006】
いくつかの実施形態において、該方法は、(a)分離器の第1の出口からCO流を生成するステップと、(b)CO流を加熱器に流すステップと、(c)加熱器内でCO流の存在下で炭素質燃料を酸化剤と反応させるステップとを含む。さらに、該方法は、(d)加熱流を加熱器から排出するステップと、(e)加熱流から別個の吸熱プロセスに熱を伝達するステップと、(f)ステップ(e)の後に加熱器の上流側で、加熱流によって炭素質燃料を加熱するステップとを含む。さらに、該方法は、(g)ステップ(f)の後に加熱流を分離器に流すステップを含む。
【0007】
本明細書に開示するいくつかの実施形態は、熱エネルギーを別個の吸熱プロセスに伝達するためのシステムを対象とする。いくつかの実施形態では、該システムは、炭素質燃料および二酸化炭素流を受け取るように構成された1つまたは複数の入口と、出口とを含む加熱器を含み、加熱器は、二酸化炭素流の存在下で炭素質燃料を酸化剤と反応させて加熱流を生成するように構成される。加えて、該システムは、出口に流体結合された熱伝達アセンブリを含み、熱伝達アセンブリは、加熱流から別個の吸熱プロセスに熱を伝達するように構成される。さらに、該システムは、熱伝達アセンブリに流体結合され、かつ熱伝達アセンブリの下流側にある分離器を含み、分離器は、加熱流からCO流を分離するように構成される。分離器は、CO流が分離器から加熱器の1つまたは複数の入口へと戻るように、加熱器の1つまたは複数の入口にその上流側でさらに結合される。
【0008】
本明細書に記載する実施形態は、特徴および特性の組み合わせを含む。以下の詳細な説明をよりよく理解することができるように、上記では、開示する実施形態の少なくともいくつかの特徴および技術的特性についてかなり大まかに説明した。上述の様々な特性および特徴、ならびに他の特性および特徴は、以下の詳細な説明を読み、添付図面を参照することによって、当業者には容易に明らかになるであろう。本開示は、開示する実施形態と同じ目的を達成するために他の構造を修正または設計するための基礎として容易に利用され得ることを理解されたい。また、そのような均等な構成は、本明細書に開示する実施形態の趣旨および範囲から逸脱しないことも理解されたい。
【0009】
様々な実施形態を詳細に説明するために、ここで添付図面について言及する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】いくつかの実施形態に係る、熱を別個の吸熱プロセスに伝達するためのシステムの概略図である。
図2】いくつかの実施形態に係る、熱を別個の吸熱プロセスに伝達するための別のシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は、熱を発生させ、別個の吸熱プロセスに伝達すると同時に、生成されたCOを捕捉するためのシステムおよび方法を対象とする。本明細書で使用される場合、「別個の吸熱プロセス」または「別個のプロセス」は、本明細書に記載する熱を伝達するためのシステムおよび方法とは別個であり、独立している工業プロセス(例えば、上述の例示的な工業吸熱プロセスのいずれか)を指す。したがって、本明細書に記載するように、「別個の吸熱プロセス」は、開示するシステムおよび方法を介して熱(熱エネルギー)を受け取ることができるが、それを除けば、開示するシステムおよび方法とは完全に別個であり、独立した別個の工業プロセスである。しかしながら、いくつかの実施形態では、「別個の吸熱プロセス」は、本明細書に開示するシステムからの1つまたは複数の他の排出流(例えば、排出CO流、排出水流など)を利用し得る。
【0012】
いくつかの実施形態では、炭素質燃料は、COの循環流の存在下で酸化剤と反応して熱を発生させ、その後、この熱は、好適なプロセスおよび/または構成部材を介して別個の吸熱プロセスに伝達され得る。炭素質燃料は、例えば、炭化水素燃料、または一酸化炭素(CO)などの非炭化水素の炭素質燃料などの任意の好適な燃料を含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、炭素質燃料は、天然ガスまたはその1つまたは複数の成分(例えば、エタン、メタン、プロパンなど)を含み得る。
【0013】
いくつかの実施形態では、炭素質燃料を反応させるときに、酸素(O)が酸化剤として使用され得る。いくつかの実施形態では、加熱器に供給される酸化剤流は、純粋なまたはほぼ純粋なOを含み得る。例えば、酸化剤流は、約95vol%~約100vol%のOを含み得る。いくつかの実施形態では、酸化剤は、約20モル%~約30モル%の範囲を含む、O濃度が低減された酸化剤流を加熱器に供給するために、CO、または加熱器の動作条件下で燃料との適切な低反応性を示す他の物質などの希釈剤で(例えば、循環流を介して)希釈され得る。この理論または他の理論に限定されることなく、このように酸化剤を希釈することにより、加熱器内の断熱火炎温度を緩和することができる。いくつかの実施形態では、加熱器に供給されるOの量は、完全反応(例えば、酸化または実際の燃焼)に必要とされる量を超えてもよく、そのことにより、加熱器からの排出流中の酸素濃度は、約0.5vol%~約10vol%Oとなる。この理論または他の理論に限定されることなく、このような過剰量の酸素を加熱器に供給することは、炭素質燃料の完全反応を確実にするのに役立ち得る。
【0014】
炭素質燃料の反応生成物は、COおよび水(HO)を含み得る。これらの生成物は、COの循環流と混合され、その後、熱エネルギー(例えば、熱)を別個の吸熱プロセスに伝達するように送られる。この理論または他の理論に限定されることなく、COの循環流は、反応プロセスから熱エネルギーを受け取り、その後その熱エネルギーを加熱器の下流側の別個の吸熱プロセスに伝達する作動流体として動作し得る。その結果、COの循環流は、運転中に熱エネルギーを反応プロセスから別個の吸熱プロセスにさらに効率的に伝達するのを可能にし得る。さらに、反応プロセス中に生成されるCOは、COの循環流に統合され得、その結果、炭素質燃料の反応からの大気中CO排出は、有意に低減され得るか、排除され得る。COの循環流は、本明細書に開示する実施形態で熱伝達媒体として利用され得るので、COの循環流は、「CO作動流」と称され得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、CO作動流は、高圧であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、CO作動流は、約30bar(3MPa)~約100bar(10Mpa)の圧力であり得る。いくつかの実施形態では、高圧のCO作動流は、物質の許容範囲であれば、約1000℃以下の温度(例えば、好適な熱交換装置およびシステムを介して)またはそれを上回る温度で、熱を別個の吸熱プロセスに送達し得る。したがって、いくつかの実施形態では、CO作動流は、超臨界COを含み得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、別個の吸熱プロセスへの熱伝達に続いて、追加の熱エネルギーがCO作動流(ここでは、前述したように炭素質燃料の反応生成物を含む)から伝達されて、他の流れ(例えば、加熱器の上流側のCO作動流、酸化剤、炭素質燃料など)を、それらが加熱器に進入する前に予熱してもよい。いくつかの実施形態では、単一の熱交換器または複数の熱交換器を使用して、CO作動流からの追加の熱を、記載されているような他の流れ(複数可)に伝達することができる。例えば、いくつかの実施形態では、第1の熱交換器を使用して、CO作動流から炭素質燃料に熱を伝達することができ、第2の熱交換器を使用して、CO作動流から酸化剤に熱を伝達することができる。この理論または他の理論に限定されることなく、酸化剤および炭素質燃料を別個の熱交換器(例えば、第1の熱交換器および第2の熱交換器)内で予熱することによって、意図しない反応のリスクをもたらす可能性がある単一の熱交換器内でのこれらの成分の加熱を回避することができる。いくつかの実施形態では、別個の吸熱プロセスへの熱伝達に続いて、CO作動流を介して1つまたは複数の流れを予熱するために使用される熱交換器(複数可)は、任意の物理的構成の1つまたは複数の熱交換器を備えてもよい(この実施形態は、プレートフィン熱交換器、および腐食の可能性がある物質、例えば、高ニッケル合金を用いた高温動作に好適な他の熱交換器を含む)。
【0017】
いくつかの実施形態では、熱を別個の吸熱プロセスに伝達した後、CO作動流(加熱器からの反応生成物を含む)は、加熱器内で生成されたHOがCO作動流から分離され得るように、(例えば、周囲温度まで、またはそれに近い温度まで)冷却されてもよい。過剰なまたは正味のCOは、プロセスから除去され、別個のプロセスまたはユニットに供給され得る。過剰のまたは正味のCOは、周囲温度(またはその付近)で、圧力制御下で除去され得る。例えば、CO作動流から除去される正味のCOは、約30bar(3MPa)~約100bar(10Mpa)の圧力であり得る。いくつかの実施形態では、CO作動流から除去された正味のCOは、加熱器からの過剰なOと、酸化剤流中に存在し得る追加の不純物(例えば、アルゴン、窒素など)とを含み得る。
【0018】
残りのCO作動流(例えば、HOおよび正味のCOの除去後)は、その後、加熱器へと再循環されて、流体回路を完成させ、上記のプロセスを再開し得る。いくつかの実施形態では、CO作動流は、加熱器(または前述したように予熱するための1つまたは複数の熱交換器)へと戻るその流れを開始するように加圧され得る。例えば、いくつかの実施形態では、CO作動流は、上述のプロセス中にその所望の圧力を維持するのに十分なレベル(例えば、前述のように約30bar~約100bar)まで加圧され得る。いくつかの実施形態では、CO作動流は、約20モル%~約30モル%の範囲を含む、低減されたO濃度で、Oおよび他のガス(空気中のガスを含み、COを含む)の低減された混合物から成る供給作動流から、半透過性障壁(静電的に帯電されてもされなくてもよい)を通して拡散されるOで富化されてもよく、供給作動流およびCO作動流の温度差および圧力差は、全て半透過性障壁上の電荷によって補助されてもされなくてもよいように、単一パスまたは複数パスで、OによるCO作動流の富化を促進する。
【0019】
いくつかの実施形態では、CO作動流は、加熱器へと送られ、加熱器に通され、そこで、Oは半透過性障壁(その一実施形態は、酸素イオン輸送膜(ITM)である)を通して拡散される。例えば、いくつかの実施形態では、CO作動流は、ITM加熱器の上流側に添加される予熱炭化水素蒸気を有し得る。大気圧付近の空気流は、熱交換器(例えば、レキュペレータ熱交換器)内で予熱され、その後、ITM膜の第1の側のITM加熱器を通過し得る。その後、空気中のOの一部は、膜を通って膜の第2の反対側に拡散し、そのことにより、循環CO流中の炭素質燃料と反応し得る。加熱器内で、CO作動流は、物質の許容範囲であれば、約400℃~約1000℃またはそれを上回る温度まで加熱され得る。(例えば、膜の第1の側の)加熱器から放出された減損空気流は、(例えば、前述したように流入空気流を予熱するために使用されるのと同じ熱交換器内で)冷却され、その後、大気に放出され得る。ITMユニットの動作は、ITM膜が空気流から炭素質燃料を含んだ再循環CO流へOを急速に拡散させることができるように、約800℃を超える空気入口温度を必要とし得る。約1000℃のITMからのCO出口では、動作中にITM膜を通して拡散される空気流中に約60vol%のOを有することが望ましい場合がある。さらに、流入空気流を予熱するため、かつ流出空気流を冷却するために使用され得る熱交換器は、約5℃~約15℃の低温端温度差で動作し得る。加えて、熱交換器は、ITMからの空気出口温度が約925℃を上回るとき、約800℃を上回る空気入口温度で動作し得る。
【0020】
ここで図1を参照すると、図1は、いくつかの実施形態に係る、熱を別個の吸熱プロセス2に伝達するためのシステム50の非限定的な例を示す図である。前述したように、システム50は、CO作動流16を循環させて、熱伝達アセンブリ37を介して別個の吸熱プロセス2に熱を伝達し得る。
【0021】
システム50は、酸化剤流15、CO作動流14、および炭素質燃料流20を受け取る加熱器1を含み得る。酸化剤流15は、O供給流10から得られ、O供給流10は、高純度のO(例えば、一部の実施形態では、約99.5モル%のような95モル%~100モル%)を有し得る。O供給流10は、極低温空気分離ユニットまたは他の好適な供給源から供給され得る。O供給流10は、加熱器1の上流側で(例えば、25を介して)CO作動流の一部と混合されて、酸化剤流15を形成し、その結果、酸化剤流15はO供給流10と比較して低減された濃度のOを含み得る。例えば、酸化剤流15は、およそ25vol%のOを含み、残り(例えば、およそ75vol%)は、循環CO流(他の潜在的不純物を含む)からのCOであり得る。
【0022】
炭素質燃料流20は、任意の好適な燃料を含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、炭素質燃料流20は、天然ガスまたはその1つまたは複数の成分(例えば、エタン、メタン、プロパンなど)のような炭化水素燃料、または一酸化炭素(CO)のような非炭化水素燃料を含み得る。いくつかの実施形態では、炭素質燃料流20は、メタン(CH)を含み得る。
【0023】
加熱器1内で、炭素質燃料流20は、酸化剤流15と混合され、CO作動流14の存在下で反応し、その結果、反応生成物(例えば、前述したようなCOおよびHO)は、CO作動流14と混合され、全加熱流16として加熱器1を出る。全加熱流16は、CO作動流14と、炭素質燃料流20の反応生成物と、酸化剤流15の任意の残留物とを含む。全加熱流16は、いくつかの実施形態では、例えば約950℃などの高温であり得る。いくつかの実施形態では、全加熱流16の圧力は、例えば、およそ50bar(5MPa)などの高圧であり得る。次いで、全加熱流16は、全加熱流16内の熱(熱エネルギー)が前述したように別個の吸熱プロセス2に伝達されるように、熱伝達アセンブリ37に送られる。
【0024】
熱伝達アセンブリ37は、任意の好適な熱伝達部材もしくは装置、またはそのような部材群または装置群を備え得る。いくつかの実施形態では、熱伝達アセンブリ37は、1つの熱交換器または複数の熱交換器を備え得る。加えて、いくつかの実施形態では、熱伝達アセンブリ37は、部分的または全体的に、別個の吸熱プロセス2内に組み込まれてもよい。
【0025】
熱伝達アセンブリ37の下流側で、全加熱流16は、第1の加熱流18と第2の加熱流19とに分割される。熱伝達アセンブリ37を介した別個の吸熱プロセス2への熱伝達により、第1の加熱流18および第2の加熱流19の温度は、全加熱流16の加熱器1からの最初の流出時の温度よりも低くなり得る。しかしながら、システム50内で使用するために、第1の加熱流18および第2の加熱流19から追加の熱がさらに回収され得る。例えば、いくつかの実施形態では、全加熱流16(したがって、第1の加熱流18および第2の加熱流19)は、熱伝達アセンブリ37の下流側で約450℃の温度であり得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、第1の加熱流18は、第1の熱交換器4を通して送られて、加熱器1の上流側で炭素質燃料流20およびCO作動流14を予熱する。加えて、いくつかの実施形態では、第2の加熱流19は、第2の熱交換器3を通して送られて、加熱器1の上流側の酸化剤流15を予熱する。いくつかの実施形態では、炭素質燃料流20および循環CO流14は、第1の熱交換器4内で約50bar(5MPa)の圧力で約440℃まで加熱され得、酸化剤流15は、第2の熱交換器3内で約440℃まで加熱され得る。第1の熱交換器4および第2の熱交換器3は、別個の吸熱プロセス2への熱伝達に続いて、全加熱流16から過剰な熱を回収または回復するので、熱交換器4、3は、本明細書では「レキュペレータ」熱交換器と称され得る。いくつかの実施形態では、酸化剤流15は、約25℃の温度で第2の熱交換器3に流入し、炭素質燃料流20は、約15℃の温度で第1の熱交換器4に流入し、CO作動流14は、約40℃の温度で第1の熱交換器4に流入し得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、第1の熱交換器4および第2の熱交換器3は、単一の熱交換器に結合され得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、第1の熱交換器4および第2の熱交換器3は、加熱器1の上流側の同じ熱交換器内で炭素質燃料流20および酸化剤流15を加熱することを回避するために、互いに分離され得る。この理論または他の理論に限定されることなく、第1の熱交換器4を第2の熱交換器3から分離することは、炭素質燃料流20と酸化剤流15との意図しない(および場合によっては制御されない)反応の可能性を低減し得る。
【0028】
第1の加熱流18および第2の加熱流19は、熱交換器4、3を通過した後、再結合加熱流22として再結合されて、分離器または冷却器5に送られ得、そこで、HOが、再結合加熱流22中のCOおよび他の成分から分離され、そのことにより、供給水29を生成する。供給水29(またはその一部)は、水生成物流13を介してプロセスから放出され得る。代替として(または追加として)、供給水29(またはその一部)は、ポンプ7を介して冷却器5へと再循環されてもよい。再循環供給水29は、最初に熱交換器8を通して送られ、その結果、再循環供給水29は、熱交換器8内の冷却水流33によって冷却され得る。その後、冷却された再循環供給水29は冷却器5に戻され、そこで再循環供給水29は冷却器5内に位置決めされた充填物6を洗浄する。流入する再結合加熱流22は、洗浄された充填物6と接触し、そのことにより、再結合加熱流22を周囲温度近くまで冷却する。その結果、HOは、再結合加熱流22から分離され、冷却器5の底部に溜まり、そこで、前述したように、供給水29として放出される。再結合加熱流22は、充填物6内の水と直接接触するので、冷却器5は、本明細書では直接接触水冷却器と称され得る。
【0029】
残りのCOおよび他の成分は、その後、CO作動流14として冷却器5から放出される。いくつかの実施形態では、冷却器5から放出されるCO作動流14は、約20℃の温度であり得る。加えて、いくつかの実施形態では、冷却器5から放出されるCO作動流14は、約49bar(4.9MPa)の圧力であり得る。
【0030】
冷却器5の下流側では、CO作動流は、駆動装置35(例えば、電気モータ、油圧モータ、内燃機関、タービンなど)によって駆動されるブロワ9を介して加圧され得る。いくつかの実施形態では、CO作動流は、ブロワ9によって約52bar(MPa)の圧力まで加圧され得る。
【0031】
システム50内で生成された正味のCOは、生成物流12を介してCO作動流14から除去され得る。生成物流12は、いくつかの実施形態では、およそ52bar(5.2MPa)の圧力であり得、パイプラインまたは他の目的地への送達のためにさらに圧縮され得る。例えば、いくつかの実施形態では、生成物流12は、約150bar(15Mpa)~約250bar(25Mpa)の圧力まで気体としてさらに圧縮され得る、または約6bar(0.6Mpa)の圧力で液体として加圧され得る。生成物流12の除去に続いて、残りのCO作動流14は、加熱器1へと戻されて、前述したように、熱を別個の吸熱プロセス2に伝達する。
【0032】
したがって、上述したようなシステム50の動作は、熱を別個の吸熱プロセス2に伝達すると同時に、加熱器1内の反応を介して生成されるCOの全て(または実質的に全て)を捕捉することを可能にする。いくつかの実施形態では、システム50は、物質の許容範囲であれば、約300℃~約1000℃またはそれを上回る温度範囲にわたって、熱を別個の吸熱プロセス2に効率的に送達し得る。
【0033】
ここで図2を参照すると、図2は、いくつかの実施形態に係る、熱を別個の吸熱プロセス2に伝達するための別のシステム100の非限定的な例を示す図である。前述したように、システム100は、CO作動流133を循環させて、熱伝達アセンブリ37を介して別個の吸熱プロセス2に熱エネルギーを伝達し得る。
【0034】
システム100は、直列動作する第1の加熱器101および第2の加熱器140を含む。いくつかの実施形態では、第1の加熱器101および第2の加熱器140はそれぞれ、膜102、142を含む酸素ITM加熱器を備え得、膜102、142はそれぞれ、膜102、142を通してOを拡散させるように構成される。第1の加熱器101および第2の加熱器140は、以下でより詳細に説明するように、CO作動流133、炭素質燃料流121、および酸化剤流115からの流入を受け取ることができる。
【0035】
酸化剤流115は、駆動装置112(例えば、電気モータ、油圧モータ、内燃機関、タービンなど)によって駆動される圧縮機111を介して圧縮される空気を含み得る。一部の実施形態において、圧縮機111は、酸化剤流115を約1.3bar(0.13MPa)に圧縮し得る。酸化剤流115は、圧縮機111によって排出された後、酸化剤流115の第1の部分116が第1の加熱器101に送られ、酸化剤流115の第2の部分117が第2の加熱器140に送られるように分割される。酸化剤流115の第1の部分116および第2の部分117をそれぞれ介した第1の加熱器101および第2の加熱器140への空気の量または流れは、第1の加熱器101および第2の加熱器140の下流側にそれぞれ位置決めされた一対の制御弁147、148を介して制御され得る。
【0036】
炭素質燃料流121は、任意の好適な燃料を含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、炭素質燃料流121は、天然ガスまたはその1つまたは複数の成分(例えば、エタン、メタン、プロパンなど)のような炭化水素燃料、または一酸化炭素(CO)のような非炭化水素燃料を含み得る。いくつかの実施形態では、炭素質燃料流121は、メタン(CH)を含み得る。炭素質燃料流121は、第1の部分122と第2の部分143とに分割される。炭素質燃料流121の第1の部分122は、第1の加熱器101に向けて送られ、炭素質燃料流121の第2の部分143は、第2の加熱器140に向けて送られる。炭素質燃料流121の第1の部分122および第2の部分143が、第1の加熱器101および第2の加熱器140にそれぞれどのように流入するかについて、さらに詳細に後述する。
【0037】
CO作動流133は、最初に第1の加熱器101に流入する。具体的には、炭素質燃料流121の第1の部分122は、CO作動流と混合され、その後、その混合物は、第1の加熱器101に送られる。第1の加熱器101内では、循環CO流133と炭素質燃料流121の第1の部分122との混合物は、膜102の第1の側102aを通過し、酸化剤流115の第1の部分116は、膜102の第2の側102bを通過する。図2に示すように、第1の側102aは、第2の側102bの反対側にある。酸化剤流115の第1の部分内のO(またはOの少なくとも一部)は、Oが炭素質燃料と混合され、CO作動流の存在下で反応し、そのことにより第1の加熱器101から排出される第1の加熱流134を形成するように、第2の側102bから第1の側102aへと膜102を横切って拡散される。いくつかの実施形態において、酸化剤流115の第1の部分116中のOの60vol%は、第1の加熱器101内の膜を横切って拡散する。第1の加熱流134は、CO作動流と、第1の加熱器101からの反応生成物(前述したようにCOおよびHOを含み得る)とを含む。いくつかの実施形態では、第1の加熱流134は、約1020℃の温度であり得る。
【0038】
加熱流134は、その後、熱交換器141を通過し、その結果、熱は、第1の加熱器101の上流側でCO作動流133と炭素質燃料流121の第1の部分122とが混合される前に、CO作動流133に伝達され得る。いくつかの実施形態では、炭素質燃料流121の第1の部分122とCO作動流133との混合点は、第1の加熱器101の上流側での著しいCHクラッキングまたはCH+CO改質を回避するように、出口熱交換器141に比較的近い点であり得る。いくつかの実施形態では、第1の加熱流134は、約800℃の温度で熱交換器141から流出し得る。
【0039】
加熱流134は、熱交換器141から排出された後、炭素質燃料流121の第2の部分143と混合され、その後、その混合物は、第2の加熱器140に送られる。第2の加熱器140内では、第1の加熱流134と炭素質燃料流121の第2の部分143との混合物は、膜142の第1の側142aを通過し、酸化剤流115の第2の部分117は、膜142の第2の側142bを通過する。第1の側142aは、第2の側142bの反対側にある。酸化剤流115の第2の部分117内のO(またはOの少なくとも一部)は、第2の側142bから第1の側142aへと膜142を横切って拡散され、その結果、Oは炭素質燃料と混合され、第1の加熱流134内でCOの存在下で反応し、そのことにより第2の加熱器140から排出される第2の加熱流136を形成する。いくつかの実施形態では、酸化剤流115の第2の部分117中のOの60vol%は、第2の加熱器140内の膜を横切って拡散する。第2の加熱流136は、CO作動流133と、第1の加熱器101および第2の加熱器140の両方からの反応生成物(前述したようにCOおよびHOを含み得る)とを含む。
【0040】
第2の加熱流136は、いくつかの実施形態では、例えば、約1000℃などの高温であり得る。いくつかの実施形態では、第2の加熱流136の圧力は、およそ50bar(5MPa)(例えば、51.5barすなわち5.15MPa)であり得る。次いで、第2の加熱流136は、第2の加熱流136中の熱(熱エネルギー)が前述したように別個の吸熱プロセス2に伝達されるように、熱伝達アセンブリ37に送られる。
【0041】
熱伝達アセンブリ37を介した別個の吸熱プロセス2への熱伝達により、第2の加熱流136の温度は、1つまたは複数の熱伝達部材37を通って流れるにつれて低下し得る。しかしながら、システム100内で使用するために、第2の加熱流136から追加の熱を依然として回収することができる。例えば、いくつかの実施形態では、第2の加熱流136は、熱伝達アセンブリ37から排出された後、約450℃の温度であり得る。加えて、いくつかの実施形態では、第2の加熱流136は、熱伝達アセンブリ37から排出された後、約49.5bar(4.95MPa)の圧力であり得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、第2の加熱流136は、第1の熱交換器104を通して送られて、加熱器1の上流側で炭素質燃料流121およびCO作動流133を予熱する。いくつかの実施形態では、炭素質燃料流121およびCO作動流133は、第1の熱交換器104内で約52bar(5.2MPa)の圧力で約440℃の温度まで加熱され得る。第1の熱交換器104は、別個の吸熱プロセス2への熱伝達に続いて、第2の加熱流136から過剰な熱を回収または回復するので、熱交換器104は、本明細書では「レキュペレータ」熱交換器と称され得る。いくつかの実施形態では、炭素質燃料流121は、約15℃の温度で第1の熱交換器104に流入し、CO作動流133は、約40℃の温度で第1の熱交換器104に流入し得る。CO作動流133は、第1の熱交換器104から出ると、前述したように熱交換器141を通して送られ、その結果、CO作動流133は、約800℃の温度までさらに加熱される。
【0043】
加えて、酸化剤流115の第1の部分116および第2の部分117は、第1の加熱器101および第2の加熱器140内でそれぞれ加熱される。したがって、第1の部分116および第2の部分117は、第1の加熱器101および第2の加熱器140からそれぞれ放出された後、第2の熱交換器103を通して送られて、第1の加熱器101および第2の加熱器140の上流側で酸化剤流115を予熱する。第2の熱交換器103は、酸化剤流115の第1の部分116および第2の部分117から過剰な熱を回収または回復するので、熱交換器103は、本明細書では「レキュペレータ」熱交換器と称され得る。いくつかの実施形態では、酸化剤流115は、約40℃の温度で第2の熱交換器103に流入し、約850℃(例えば、848℃)の温度で第2の熱交換器103から流出し得る。
【0044】
いくつかの実施形態では、第1の熱交換器104および第2の熱交換器103は、単一の熱交換器に結合され得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、第1の熱交換器104および第2の熱交換器103は、第1の加熱器101および第2の加熱器140の上流側の同じ熱交換器内で炭素質燃料流121および酸化剤流115(またはその第1の部分116または第2の部分117)を加熱することを回避するために、互いに分離され得る。したがって、第1の熱交換器104を第2の熱交換器103から分離することは、炭素質燃料流121と酸化剤流115との意図しない(および場合によっては制御されない)反応の可能性を低減し得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、第1の熱交換器104内では、第1の加熱流136は、約50℃の温度まで冷却され得る。第1の加熱流136は、第1の熱交換器104を通過した後、分離器または冷却器105に送られ、そこで、HOが、第2の加熱流136中のCOおよび他の成分から分離され、そのことにより、供給水129を生成する。供給水129(またはその一部)は、水生成物流128を介してプロセスから放出され得る。代替として(または追加として)、供給水129(またはその一部)は、ポンプ107を介して冷却器105へと再循環されてもよい。再循環供給水129は、最初に熱交換器108を通して送られ、その結果、再循環供給水129は、熱交換器108内の冷却水流131によって冷却され得る。いくつかの実施形態では、冷却水131は、約20℃の温度で熱交換器108に流入し、約30℃の温度で熱交換器108から流出し得る。その後、冷却された再循環供給水129は冷却器105に戻され、そこで再循環供給水129は冷却器105内に位置決めされた充填物106を洗浄する。いくつかの実施形態では、供給水129は、冷却器105へと再循環される前に、熱交換器108内で約25℃の温度まで冷却され得る。流入する第2の加熱流136は、洗浄された充填物106と接触し、そのことにより、第2の加熱流136を周囲温度近くまで冷却する。その結果、水は、第2の加熱流136から分離され、冷却器105の底部に溜まり、そこで、前述したように、供給水129として放出される。熱流136は、充填物106内の水と直接接触するので、冷却器105は、本明細書では直接接触水冷却器と称され得る。
【0046】
残りのCOおよび他の成分は、その後、CO作動流133として冷却器105から放出される。いくつかの実施形態では、冷却器105から放出されるCO作動流133は、約20℃の温度であり得る。加えて、いくつかの実施形態では、冷却器105から放出されるCO作動流133は、約49bar(4.9MPa)の圧力であり得る。
【0047】
冷却器105の下流側では、CO作動流133は、駆動装置110(例えば、電気モータ、油圧モータ、内燃機関、タービンなど)によって駆動されるブロワ109を介して加圧され得る。いくつかの実施形態では、CO作動流133は、ブロワ109によって約52bar(MPa)の圧力まで加圧され得る。システム100内で生成された正味のCOは、生成物流12(図1)について上述したのと同様の方法で、生成物流150を介してCO作動流14から除去され得る。前述したようにブロワ109を介して加圧し、正味のCOを除去した後、CO作動流133は、加熱器101、140へと戻されて、前述したように、熱を別個の吸熱プロセス2に伝達する。
【0048】
したがって、上述したようなシステム100の動作は、熱(熱エネルギー)を別個の吸熱プロセス2に伝達すると同時に、加熱器101、140内の反応を介して生成されるCOの全て(または実質的に全て)を捕捉することを可能にする。いくつかの実施形態では、システム100は、約300℃~約1000℃の温度範囲にわたって、熱を別個の吸熱プロセスに効率的に送達し得る。
【0049】
上述したように、本明細書に開示する実施形態は、吸熱プロセスを駆動するかまたは吸熱プロセスに動力を供給するために熱エネルギーを発生させると同時に、運転中の正味の炭素排出を低減するために生成される炭素(例えば、COの形で)を捕捉するためのシステムおよび方法を対象とする。いくつかの実施形態では、本明細書に記載するシステムおよび方法は、炭化水素または一酸化炭素のような炭素質燃料の反応から生成される炭素を捕捉するために利用され得る。したがって、本明細書に開示する実施形態の使用を通じて、熱エネルギーは、大気へのCOの排出の対応する増加を伴わずに、吸熱プロセスに供給され得る。
【0050】
前述の説明は、様々な例示的な実施形態を対象としている。しかしながら、当業者は、本明細書に開示されている例が広範な用途を有し、任意の実施形態の説明がその実施形態の例示に過ぎず、特許請求の範囲を含む本開示の範囲がその実施形態に限定されることを示唆するものではないことを理解するであろう。
【0051】
図面は必ずしも正確な縮尺率ではない。特定の特徴および部材は、縮尺または幾分概略的な構造において誇張して示されている場合があり、従来の要素のいくつかの細部は、明確および簡潔にするために図示されていない場合がある。
【0052】
本明細書内の説明および特許請求の範囲において、「含む(including)および(comprising)」という用語は、オープンエンド様式で使用され、したがって、「含むが、~に限定されない」ことを意味すると解するべきである。また、「結合する(couple)または(couples)」という用語は、間接的な接続または直接的な接続のいずれかを意味するものとする。したがって、第1の装置が第2の装置に結合する場合、その接続は、2つの装置の直接接続、または他の装置、部材、節点、および接続部を介して確立される間接接続を介するものであり得る。加えて、本明細書内で(特許請求の範囲を含めて)使用される場合、「約」、「概して」、「実質的に」、「およそ」などの単語は、記載された値に関して使用される場合、記載された値のプラスまたはマイナス10%の範囲内であることを意味する。
【0053】
例示的な実施形態が示され、説明されているが、本明細書の範囲または教示から逸脱することなく、当業者による修正が可能である。本明細書に記載されている実施形態は、例示的なものに過ぎず、限定するものではない。本明細書に記載されているシステム、装置、およびプロセスの多くの変更および修正が可能であり、本開示の範囲内である。したがって、保護の範囲は、本明細書に記載されている実施形態に限定されず、以下の特許請求の範囲によってのみ限定され、その範囲は、特許請求の範囲の主題の全ての均等物を含むものとする。明示的に別段の定めをした場合を除き、方法クレームにおけるステップは、任意の順序で実行されてもよい。方法クレームにおけるステップの前の(a)、(b)、(c)または(1)、(2)、(3)などの記号の列挙は、ステップに対する特定の順序を意図するものではなく、また特定の順序を指定するものではなく、むしろ、そのようなステップに対する後続の参照を簡略化するために使用されている。
図1
図2
【国際調査報告】