(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】偏心部材および内燃エンジン
(51)【国際特許分類】
F02B 75/04 20060101AFI20241106BHJP
F02D 15/02 20060101ALI20241106BHJP
F16C 3/22 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
F02B75/04
F02D15/02 C
F16C3/22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529653
(86)(22)【出願日】2022-07-21
(85)【翻訳文提出日】2024-06-27
(86)【国際出願番号】 EP2022070566
(87)【国際公開番号】W WO2023094039
(87)【国際公開日】2023-06-01
(32)【優先日】2021-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500532919
【氏名又は名称】ゴメクシス・ベーフェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ランベルトゥス・ヘンドリク・デ・ホーイエル
【テーマコード(参考)】
3G092
3J033
【Fターム(参考)】
3G092AA12
3G092DD06
3G092FA05
3J033AA02
3J033AA03
3J033BA02
3J033CA02
3J033CC03
(57)【要約】
可変圧縮比を含む内燃エンジン(1)のクランクシャフト(2)のクランクピン(4)と連接棒(7)の大端部との間に搭載される偏心部材(5)が、第1の中心線(10)を有する円筒形内壁(18)と、中心線(10)に平行に延びる第2の中心線(19)を有する円筒形外壁(6)と、外壁(6)の軸方向において外壁(6)の隣に位置付けられ、中心線(10)と一致する中心線を有する環状駆動体(5)とを備える。中心線(10、19)は、最大リフトの線(20)および最小リフトの線(21)において外壁(6)と交差する第1の平面にわたる。中心線(10)は第1の平面に対して垂直に延びる第2の平面の中にも位置し、第2の平面は偏心部材(5)を最大リフトの線(20)が位置付けられる高リフト区域(5a)と最小リフトの線(21)が位置付けられる低リフト区域(5b)に分ける。高リフト区域(5a)には、その周方向に延びるスロット(22、23、24、28)が設けられ、および/または低リフト区域(5b)には釣り合い錘(9、29)が設けられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可変圧縮比を含む内燃エンジン(1)のクランクシャフト(2)のクランクピン(4)と連接棒(7)の大端部との間に搭載される偏心部材(5)であって、前記偏心部材(5)は、第1の中心線(10)を有する円筒形内壁(18)と、前記第1の中心線(10)に平行に延びる第2の中心線(19)を有する円筒形外壁(6)と、前記円筒形外壁(6)の軸方向において前記円筒形外壁(6)の隣に位置付けられ、前記第1の中心線(10)と一致する中心線を有する環状駆動体(5)とを備え、前記第1および第2の中心線(10、19)は、最大リフトの線(20)および最小リフトの線(21)において前記外壁(6)と交差する第1の平面にわたり、前記第1の中心線(10)は、前記第1の平面に対して垂直に延びる第2の平面の中にも位置し、前記第2の平面は、前記偏心部材(5)を、前記最大リフトの線(20)が位置付けられる高リフト区域(5a)と、前記最小リフトの線(21)が位置付けられる低リフト区域(5b)とに分け、
前記高リフト区域(5a)には、その周方向において延びるスロット(22、23、24、28)が少なくも設けられる、および/または、前記低リフト区域(5b)には釣り合い錘(9、29)が設けられることを特徴とする、偏心部材(5)。
【請求項2】
前記釣り合い錘は、前記低リフト区域(5b)において前記環状駆動体(5)の幅広部分によって形成される、請求項1に記載の偏心部材(5)。
【請求項3】
前記幅広部分は、前記外壁(6)が位置付けられる前記環状駆動体(5)の側に位置付けられる、請求項2に記載の偏心部材(5)。
【請求項4】
前記環状駆動体は、外歯車である偏心部材歯車(9)である、請求項1から3のいずれか一項に記載の偏心部材(5)。
【請求項5】
前記幅広部分は、前記偏心部材歯車(9)のいくつかの歯の延在部を備える、請求項3または4に記載の偏心部材(5)。
【請求項6】
前記釣り合い錘は、前記外壁(6)が位置付けられる前記環状駆動体(5)の側に位置付けられる、請求項1に記載の偏心部材(5)。
【請求項7】
前記スロット(22、23、24)の長手方向において測定されるときの前記スロット(22、23、24)の最大部、好ましくは前記スロット(22、23、24、28)全体が、高リフト(5a)区域に位置付けられる、請求項1から6のいずれか一項に記載の偏心部材(5)。
【請求項8】
前記スロット(22、23、24)は前記外壁(6)にある、請求項1から7のいずれか一項に記載の偏心部材(5)。
【請求項9】
前記スロット(22、24)は前記外壁(6)の軸方向端部分に位置付けられる、請求項9に記載の偏心部材(5)。
【請求項10】
前記スロット(22)は前記環状駆動体(5)の隣に位置付けられる、請求項10に記載の偏心部材(5)。
【請求項11】
前記スロット(23)は前記外壁の軸方向端同士の間に位置付けられ、前記スロット(23)は前記内壁(18)と前記外壁(6)との間に開口を形成することができる、請求項9に記載の偏心部材(5)。
【請求項12】
前記偏心部材(5)の前記スロット(22、23、24、28)および/または前記釣り合い錘(9、29)は、前記偏心部材(5)の重心(CoG)が、前記第2の中心線(19)から見られるとき、前記第1の中心線を越えて位置するように適合させられる、請求項1から11のいずれか一項に記載の偏心部材(5)。
【請求項13】
可変圧縮比を含む内燃エンジン(1)であって、前記内燃エンジン(1)は、クランクシャフト軸(3)の周りに回転可能であり、クランクピン(4)を有するクランクシャフト(2)であって、前記クランクシャフト軸(3)および前記クランクピン(4)の中心線はクランク平面にわたる、クランクシャフト(2)と、大端部および小端部を含む連接棒(7)と、前記連接棒(7)の前記小端部に回転可能に接続されるピストン(8)と、請求項1から12のいずれか一項に記載の偏心部材(5)であって、前記クランクピン(4)の中心線が前記偏心部材(5)の前記第1の中心線(10)と一致するように前記偏心部材(5)は前記クランクピン(4)に回転可能に搭載され、前記連接棒(7)の前記大端部の中心線が前記偏心部材(5)の前記第2の中心線(19)と一致するように前記大端部は前記偏心部材(5)の前記外壁(6)に回転可能に搭載され、前記環状駆動体(9)は、前記偏心部材(5)を前記クランクピン(4)に対して回転させるために、駆動列(10)に駆動可能に連結される、偏心部材(5)とを備える、内燃エンジン(1)。
【請求項14】
前記駆動列(10)は、前記偏心部材(5)が、前記クランクピン(4)に対して、前記クランクシャフト(2)の速度の半分の速度で、前記クランクシャフト(2)の反対方向に回転するように適合される、請求項13に記載の内燃エンジン(1)。
【請求項15】
前記環状駆動体は、外歯車である偏心部材歯車(9)であり、前記駆動列は、前記偏心部材歯車(9)に駆動可能に連結され、作動シャフト(14)に固定される作動歯車(13)を備え、前記作動シャフト(14)は、前記クランクシャフト(2)に回転可能に搭載され、前記クランクシャフト軸(3)と一致する軸の周りに回転可能であり、動作条件の下で、前記作動シャフト(14)は固定の圧縮比に留まる、請求項13または14に記載の内燃エンジン(1)。
【請求項16】
前記外壁の軸方向における前記外壁の中心が、前記環状駆動体(5)から見られるとき、前記内壁の軸方向における前記内壁の中心を越えて位置する、請求項13から15のいずれか一項に記載の内燃エンジン(1)。
【請求項17】
前記偏心部材(5)の前記スロット(22、23、24、28)および/または前記釣り合い錘(9、29)は、前記偏心部材(5)および前記連接棒(7)の回転部の共通の重心(CoG)が、前記クランクピン(4)の前記中心線に、または、前記クランクピン(4)の直径の2%または5%の範囲内にある前記クランクピン(4)からの距離に位置付けられるように適合される、請求項13から16のいずれか一項に記載の内燃エンジン(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変圧縮比を含む内燃エンジンのクランクシャフトのクランクピンと連接棒の大端部との間に搭載される偏心部材であって、偏心部材は、第1の中心線を有する円筒形内壁と、第1の中心線に平行に延びる第2の中心線を有する円筒形外壁と、円筒形外壁の軸方向において円筒形外壁の隣に位置付けられ、第1の中心線と一致する中心線を有する環状駆動体とを備え、第1および第2の中心線は、最大リフトの線および最小リフトの線において外壁と交差する第1の平面にわたり、第1の中心線は、第1の平面に対して垂直に延びる第2の平面の中にも位置し、第2の平面は、偏心部材を、最大リフトの線が位置付けられる高リフト区域と、最小リフトの線が位置付けられる低リフト区域とに分ける、偏心部材に関する。
【背景技術】
【0002】
このような偏心部材を備える内燃エンジンは特許文献1から知られている。知られている内燃エンジンでは、偏心部材歯車が第1の段の歯車と噛み合う。第1の段の歯車は、第1の段の歯車より小さい直径を有する第2の段の歯車に固定される。第1および第2の中間の段の歯車は、エンジンのクランクシャフトに回転可能に搭載され、クランクシャフトのクランクシャフト軸に平行に延びる共通の回転の軸を有する。知られているエンジンは、第2の段の歯車と噛み合い、クランクシャフトを通じて延びる作動シャフトに固定される作動歯車をさらに備える。作動シャフトは、クランクシャフト軸の周りでクランクシャフトに対して回転可能である。作動シャフトは、内燃エンジンの圧縮比を変えるために、制御機構によって回動させられ得る。固定の圧縮比で運転する場合、作動シャフトは、エンジンのクランクケースに対して固定の角度位置を有する。偏心部材歯車の歯の数、第1および第2の段の歯車の歯の数、ならびに作動歯車の歯の数は、動作条件の下で、作動歯車の停止の場合に、偏心部材が、クランクピンに対して、クランクケースに対するクランクシャフトの速度の半分の速度で、クランクシャフトの反対方向に回転させられるようにされる。したがって、クランクシャフトがクランクシャフト軸の周りに2回回転する場合、偏心部材は、反対方向においてクランクピンの周りに1回回転し、クランクケースから見られるとき、偏心部材は、クランクシャフトと同じ回転方向においてクランクピンの中心線の周りに1回回転する。作動歯車の停止が、作動歯車が内燃エンジンのクランクケースに対して固定位置を有することを意味することは、留意されている。
【0003】
偏心部材の偏心のため、偏心部材の重心は第1の中心線からある距離に位置付けられ得る。偏心部材がエンジンのクランクピンに搭載される場合、これは、クランクシャフト軸から径方向に方向付けられる変動遠心力を偏心部材にもたらし、これは、このような遠心力の方向が、第1および第2の中心線がわたらされる平面に対して斜めにされるとき、動作状態の下でクランクピンの中心線の周りに変動トルクをもたらす。
【0004】
比較的小さい作動歯車のため、変動トルクは、作動歯車の歯に大きな力のピークをもたらす可能性がある。この欠点は、典型的には、例えば、6000rpmを越える速度で運転することができる小型の高速エンジンの場合に増大する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、先に記載されているような内燃機関を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的のために、本発明による偏心部材は、高リフト区域には、その周方向において延びるスロットが少なくも設けられる、および/または、低リフト区域には釣り合い錘が設けられることを特徴とする。
【0008】
高リフト区域における材料の除去と、低リフト区域における材料の追加とにより、偏心部材の重心が、先行技術による偏心部材に対して、高リフト区域から低リフト区域への方向にずらすことができる。これは、偏心部材をバランスさせる、またはバランスを失わせさえする機会を提供する。バランスを失わせる効果は、他のエンジン部品から偏心部材への他の慣性トルクの寄与を釣り合わせるために望まれる可能性がある。
【0009】
第1の平面は、重心の場所におけるスロットおよび/または釣り合い錘の効果が第1の平面からずれないように、偏心部材の対称の平面を形成することができる。
【0010】
釣り合い錘は、低リフト区域における環状駆動体の幅広部分によって形成することができる。
【0011】
幅広部分は、外壁が位置付けられる環状駆動体の側に位置付けられ得る。この場合、少なくとも低リフト区域において、環状駆動体は、外壁からその径方向に突出する。
【0012】
実用的な実施形態では、環状駆動体は、外歯車である偏心部材歯車である。それでもなお、環状駆動体は、例えばベルト、歯付きベルト、またはチェーンを用いて駆動されるといった、プーリまたはスプロケットであってもよい。
【0013】
環状駆動体が偏心部材歯車である場合、幅広部分は、偏心部材歯車のいくつかの歯の延在部を備え得る。これは、低リフト区域における少なくともいくつかの歯が、高リフト区域における少なくともいくつかの歯より幅広であることを意味する。幅広部分は低リフト区域だけにあり得るが、偏心部材歯車の歯の耐久性を増加させるために、高リフト区域の一部へと延ばされてもよい。高リフト区域の一部における幅広の歯は例えば、偏心部材が内燃エンジンに搭載されるとき、高負荷条件の下で別の歯車と係合することができる。高リフト区域の一部における幅広の歯が最大リフトの線の一方の側だけに位置付けられる場合、スロットが、高リフト区域の一部における幅広の歯が位置付けられる最大リフトの線の側において、最大リフトの線の反対の側においてよりも長くされるようにスロットを適合することで、非対称の釣り合い錘は相殺させることができる。
【0014】
代替の実施形態では、釣り合い錘は、外壁が位置付けられる環状駆動体の側に位置付けられる。釣り合い錘は、板から作られる部分的に環状の要素であり得る。釣り合い錘は別体の部品であってもよい。釣り合い錘は、偏心部材の軸方向において見られるとき、環状駆動体と外壁との間に位置付けられ得る。
【0015】
スロットの長手方向において測定されるときのスロットの最大部、好ましくはスロット全体が、高リフト区域に位置付けられ得る。低リフト区域へも延びるスロットは、最大リフトの線から最小リフトの線への方向において重心をずらそうとする意図と反対に作用する。
【0016】
スロットは外壁に存在し得る。
【0017】
実施形態では、スロットは外壁の軸方向端部分に位置付けられる。
【0018】
より具体的には、スロットは環状駆動体の隣に位置付けられ得る。これは、外壁が高リフト区域において局所的に細くされ得ることを意味する。
【0019】
具体的な実施形態では、スロットは外壁の軸方向端同士の間に位置付けられる。
【0020】
スロットの深さは、最大リフトの線に向かう方向において増加してもよい。これは、内壁と外壁との間の距離が最大リフトの線に向かう方向において増加するため可能である。
【0021】
スロットは、外壁の軸方向端同士の間に位置付けられる場合、クランクピンとエンジンの連接棒の大端部との間に設置されるときにオイル通路としても機能するような開口を内壁と外壁との間に形成することができる。
【0022】
好ましい実施形態では、スロットは、外壁において、環状駆動体の隣で外壁の軸方向端部分に位置付けられ、釣り合い錘は、偏心部材の軸方向において実質的に同じ場所に位置付けられる。この場合、スロットは、連接棒の大端部を担持するための支持面を狭めるが、小さくなった部分は釣り合い錘として使用され、つまり、小さくなった部分は、例えば、先に記載されているような部分的に環状の要素で満たすことができる、または、環状駆動体が外歯車である場合にはいくつかの幅広の歯で満たすことができる。これによって、コンパクトでバランスした偏心部材を提供する。
【0023】
スロットおよび/または釣り合い錘は、偏心部材の重心が、第2の中心線から見られるとき、第1の中心線に、または第1の中心線を越えて位置するように、適合される。第1の中心線を越えて位置する場合、重心は、偏心部材がバランスを失わされるように低リフト区域に位置し、第1の中心線に位置する場合、偏心部材は完全にバランスさせられる。
【0024】
代替の実施形態では、スロットは、例えば環状駆動体の中で、偏心部材の軸方向の側に設けられ得る。
【0025】
本発明は、可変圧縮比を含む内燃エンジンであって、内燃エンジンは、クランクシャフト軸の周りに回転可能であり、クランクピンを有するクランクシャフトであって、クランクシャフト軸およびクランクピンの中心線はクランク平面にわたる、クランクシャフトと、大端部および小端部を含む連接棒と、連接棒の小端部に回転可能に接続されるピストンと、先に記載されているような偏心部材であって、クランクピンの中心線が偏心部材の第1の中心線と一致するように偏心部材はクランクピンに回転可能に搭載され、連接棒の大端部の中心線が偏心部材の第2の中心線と一致するように大端部は偏心部材の外壁に回転可能に搭載され、環状駆動体は、偏心部材を、クランクシャフトの仮想的な停止において、クランクピンに対して回転させるために、駆動列に駆動可能に連結される、偏心部材とを備える内燃エンジンにも関する。
【0026】
駆動列は、偏心部材が、クランクピンに対して、クランクシャフトの速度の半分の速度で、クランクシャフトの反対方向に回転するように適合され得る。
【0027】
実施形態において、環状駆動体は、外歯車である偏心部材歯車であり、駆動列は、偏心部材歯車に駆動可能に連結され、作動シャフトに固定される作動歯車を備え、作動シャフトは、クランクシャフトに回転可能に搭載され、クランクシャフト軸と一致する軸の周りに回転可能であり、動作条件の下で、作動シャフトは固定の圧縮比に留まる。
【0028】
駆動列は、第2の段の歯車に固定され、第2の段の歯車より大きい直径を有する第1の段の歯車を備えてもよく、第2の段の歯車は作動歯車と噛み合い、第1の段の歯車は偏心部材歯車と噛み合う一方で、第2の段の歯車は作動歯車より大きい直径を有する。
【0029】
第1および/または第2の段の歯車は、それらの共通の重心が、例えばそれらにおける空洞を用いて、偏心して位置付けられるように適合され得る。これによって、第1および/または第2の段の歯車は、結果的に生じるより小さいトルクが動作条件の下で作動歯車へと伝達されるように、第1の段の歯車へと偏心部材によって発揮されるトルクへの逆トルクを発生させることができる。
【0030】
実際には、作動歯車は、偏心部材歯車と同じクランクシャフトのクランクアームの側に位置付けられ得る一方で、作動シャフトはクランクシャフトを貫いて延びる。
【0031】
偏心部材歯車の歯の数、第1および第2の段の歯車の歯の数、および作動歯車の歯の数は、動作条件の下で、偏心部材が、クランクピンに対して、クランクシャフトの速度の半分の速度で、クランクシャフトの反対方向に回転するようにされ得るが、これは、一方における偏心部材とクランクピンとの相対運動と、他方における偏心部材と連接棒との相対運動とが、比較的小さく、これが摩擦損失を最小にするためである。実際、外壁と連接棒との間の軸受と、偏心部材とクランクピンとの間の軸受とは、クランクシャフト速度の半分を経験する。
【0032】
外壁の軸方向における外壁の中心が、環状駆動体から見られるとき、内壁の軸方向における内壁の中心を越えて位置してもよい。
【0033】
具体的な実施形態において、偏心部材のスロットおよび/または釣り合い錘は、偏心部材および連接棒の回転部の共通の重心が、クランクピンの中心線に、または、クランクピンの直径の2%または5%の範囲内にあるクランクピンからの距離に位置付けられるように適合される。連接棒の回転部は、大端部が位置付けられる連接棒の側にあり、小端部が位置付けられる連接棒の側に往復部がある。回転部は、偏心部材と一緒にクランクピンの周りで回転する偏心部材の周りの環状要素として見なすことができる。バランスしない場合、連接棒の回転部の重心は、クランクシャフト軸から方向付けられる回転部への遠心力が、動作条件の下で、変化するトルクを偏心部材にもたらすように、クランクピンの中心線からある距離に位置する。環状駆動体が偏心部材歯車である場合、これは、偏心部材歯車および協働する歯車の歯に変化する力を結果的にもたらす。偏心部材と連接棒の大端部との間の任意の軸受が、連接棒の回転部の一部であると見なすこともできることは、留意されている。
【0034】
本発明は、以後において、例を用いて本発明の実施形態を示す概略図を参照して明らかにされることになる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明による内燃エンジンの実施形態の斜視図である。
【
図2】
図1と同様の図であるが、より大きな尺度で内燃エンジンの一部を示す図である。
【
図3】
図1と同様の図であるが、より大きな尺度で内燃エンジンの一部を示す図である。
【
図4】
図1に示されているような内燃エンジンに搭載される、本発明による偏心部材の実施形態の斜視図である。
【
図6】動作条件の下での異なる状況を示す、先行技術の内燃エンジンの側面図である。
【
図7】動作条件の下での異なる状況を示す、先行技術の内燃エンジンの側面図である。
【
図8】動作条件の下での異なる状況を示す、先行技術の内燃エンジンの側面図である。
【
図9】動作条件の下での異なる状況を示す、先行技術の内燃エンジンの側面図である。
【
図10】動作条件の下での異なる状況を示す、先行技術の内燃エンジンの側面図である。
【
図11】
図6と同様の図であるが、先行技術の内燃エンジンの拡大した一部を示す図である。
【
図12】
図8と同様の図であるが、先行技術の内燃エンジンの拡大した一部を示す図である。
【
図13】動作条件の下での異なる状況を示す、
図1に示されているような実施形態の一部の拡大断面図である。
【
図14】動作条件の下での異なる状況を示す、
図1に示されているような実施形態の一部の拡大断面図である。
【
図15】
図4と同様の図であるが、代替の実施形態を示す図である。
【
図16】
図4と同様の図であるが、代替の実施形態を示す図である。
【
図17】
図4と同様の図であるが、別の代替の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、本発明による可変圧縮比を含む4ストロークの内燃エンジン1を示しており、
図2および
図3は内燃エンジン1の部品を示している。エンジン1は、クランクケース(図示されていない)に回転可能に搭載され、クランクシャフト軸3の周りに回転可能であるクランクシャフト2を備える。クランクシャフト2は、偏心部材5が回転可能に搭載されるクランクピン4を有する。偏心部材5は、クランクピン4の中心線の周りに回転可能であり、連接棒7の大端部を担持する円筒形外壁6を有する。外壁6はクランクピン4に対して偏心して配置されている。
【0037】
内燃エンジン1には、連接棒7の小端部に回転可能に接続されるピストン8がさらに設けられる。この場合、エンジン1は単一のシリンダを有するが、多気筒エンジンも考えられる。
【0038】
偏心部材5には、外歯車であり、クランクピン4の中心線と一致する回転の軸を有する偏心部材歯車9が設けられる。偏心部材5は、偏心部材5を、クランクピン4に対して、クランクシャフト2の速度の半分の速度で、クランクシャフト2の反対方向に回転させるための歯車列10に駆動可能に連結される。これは、クランクシャフト2がクランクシャフト軸3の周りで時計回り方向に2回回転する場合、偏心部材5がクランクピン4の周りで反時計回り方向に1回回転することを意味する。
【0039】
図1~
図3に示されているような実施形態において、歯車列10は、偏心部材歯車9と噛み合い、偏心部材歯車9と同じ数の歯を有する第1の段の歯車11と、第1の段の歯車11に固定される第2の段の歯車12と、第2の段の歯車12と噛み合う作動歯車13とを備える。第1の段の歯車11および第2の段の歯車12は、クランクシャフト2に回転可能に搭載され、クランクシャフト軸3に平行である共通の回転の軸を有する。第1の段の歯車11は第2の段の歯車12より大きい直径とより多くの歯とを有し、一方、第2の段の歯車12は作動歯車13より大きい直径とより多くの歯とを有する。作動歯車13は、クランクシャフト2を貫いて延びる作動シャフト14の一端に固定されている。作動シャフト14は、クランクシャフト軸3の周りでクランクシャフト2に対して回転可能である。
【0040】
ウォームホイール15が、作動歯車13からある距離において作動シャフト14に固定されており、電気モータ17によって駆動可能であるウォーム16と噛み合っている。偏心部材5、第1の段の歯車11、および第2の段の歯車12はクランクピン4と同じクランクアームの側に位置付けられており、一方、ウォームホイール15はクランクピン4と反対の側に位置付けられている。作動シャフト14は、内燃エンジン1の圧縮比を変えるために、電気モータ17によって回動させられ得る。これは、内燃エンジン1の効率を向上させるために、内燃エンジン1を低負荷条件の下で高い圧縮比で動作させる機会を提供する。高負荷条件の下で、圧縮比は異常燃焼を回避するために低下させることができる。固定の圧縮比で運転する場合、作動シャフト14は、クランクケースに対して固定の角度位置を有する。
【0041】
図4および
図5は、偏心部材5を、クランクピン4と連接棒7の大端部との間に搭載される別体の部品として示している。偏心部材5は、第1の中心線10を有する円筒形内壁18を有する。円筒形外壁6は、円筒形内壁18を包囲しており、第1の中心線10に平行に延びる第2の中心線19を有する。
図1に示されているような組立状態において、偏心部材歯車9の中心線と第1の中心線10とはクランクピン4の中心線と一致し、連接棒7の大端部の中心線は第2の中心線19と一致する。偏心部材歯車9は、円筒形外壁6の軸方向において円筒形外壁6の隣に位置付けられる。
【0042】
第1の中心線10および第2の中心線19は、内壁18と外壁6との間の距離がその最大にある最大リフトの線20と、内壁18と外壁6との間の距離がその最小にある最小リフトの線21とにおいて外壁6と交差する第1の平面にわたる。第1の中心線10が中に位置し、第1の平面に対して垂直に延びる第2の平面が、
図5を見ると、偏心部材5を、最大リフトの線20が位置付けられる高リフト区域5aと、最小リフトの線21が位置付けられる低リフト区域5bとに分けている。
【0043】
図4および
図5は、高リフト区域5aには、外壁6において、3つの平行なスロット、すなわち、偏心部材歯車9の隣の外壁6の軸方向端部分に位置付けられる第1のスロット22と、外壁6の軸方向端同士の間に位置付けられる第2のスロット23と、偏心部材歯車9から離れた外壁6の軸方向端部分に位置付けられる第3のスロット24とが設けられている。第1~第3のスロット22~24の各々は、全体が高リフト区域5a位置付けられ、外壁6の周方向に延び、第1の平面に対して対称的である。第2のスロット23は、クランクピン4と連接棒7の大端部との間のオイル通路として機能することができるように、内壁18と外壁6との間に開口を形成している。第1のスロット22および第3のスロット24は、この場合、第2のスロット23より長くなっている。第1および第3のスロットの深さは、最大リフトの線20に向かう方向において増加する。
【0044】
図2は、偏心部材が第4のスロット28も有することを示しており、第4のスロット28は、外壁6に設けられていないが、高リフト区域5aにおいてクランク部材歯車9の中の偏心部材5の軸方向側に設けられている。
【0045】
図4および
図5は、偏心部材歯車9が高リフト区域5aにおいてより低リフト区域5bにおいて幅広であることを示している。幅広部分は釣り合い錘を形成する。この場合、幅広部分は、低リフト区域5bにおいて偏心部材歯車の歯の延在部を備える。
【0046】
高リフト区域5aにおける第1~第4のスロット22、23、24、および28の存在と、低リフト区域5bにおける幅広の偏心部材歯車9の存在とは、第1~第4のスロット22、23、24、および28と幅広の偏心部材歯車9とを伴わない偏心部材の先行技術の構成に対して、第2の中心線19から第1の中心線10に向かう方向において偏心部材5の重心をずらすように供する。これは、偏心部材歯車9の重心が低リフト区域5bに位置するように、偏心部材歯車9をバランスさせる、または偏心部材歯車9のバランスを失わせさえする機会を提供する。
【0047】
偏心部材歯車9をバランスさせる、または偏心部材歯車9のバランスを失わせることの利点は、
図1の実施形態に相当するが、先行技術の偏心部材5'および第1の段の歯車11'が設けられているエンジン1'を示す
図6~
図12を用いて、以下において説明されることになる。
【0048】
図6~
図10は、ピストン8が、点火が開始する上死点から、排気ストロークが開始する下死点まで移動し、排気ストロークが終了する上死点に向けて戻るときの、動作条件の下でのエンジン1'の連続的な状況を示している。図は、時計回りでのクランクシャフト2の1回転の間に、偏心部材5'がクランクピン4の周りで反時計回り方向に半回転だけ回転するところを示している。
図6~
図10は、内壁18と外壁6との間の距離がその最大を有する角度位置、つまり、
図4に示されているような最大リフトの線20における角度位置を指示している小さい円を偏心部材5'において示している。
【0049】
図11および
図12は、
図6および
図8において描写されているような状況を再び示している。これらの図では、偏心部材5'の重心の場所がCoGによって指示されており、重心CoGは、クランクピン4の中心線に対して偏心して位置する。内燃エンジン1'が運転しているとき、偏心した重心CoGは、クランクシャフト軸3から径方向に方向付けられる変動する遠心力を偏心部材5'に発生させる。クランクシャフト軸3とクランクピン4の中心線とが位置するクランク平面の外側に重心CoGが位置する期間の間、遠心力は、クランクピン4の中心線の周りに、偏心部材5'への変動トルクをもたらす。変動トルクは、第1の段の歯車11'および第2の段の歯車12を介して作動歯車13に伝達される。作動歯車13の比較的小さい直径のため、変動トルクは、具体的には高いエンジン速度において、作動歯車13の歯車の歯の過負荷をもたらす可能性がある。
【0050】
図11は、点火が開始するピストン8の上死点において、クランクシャフト軸3、クランクピン4の中心線、および偏心部材5'の重心CoGがクランク平面に位置する一方で、クランクピン4の中心線がクランクシャフト軸3と重心CoGとの間に位置する最も高い圧縮比における状態を示している。結果として、偏心部材5'への遠心力はクランクピン4の中心線を通じて方向付けられ、これは、この状況では、クランクピン4の中心線の周りにトルクを発生させないことを意味する。
【0051】
図12は、ピストン8が下死点にある状況を示している。この状況において、偏心部材5'の重心CoGは、クランクシャフト軸3およびクランクピン4の中心線によってわたられるクランク平面の外側に位置する。クランクシャフト軸3から径方向に方向付けられる重心CoGにおける遠心力は時計回りでのトルクを発生させ、そのトルクは、偏心部材歯車9を介して第1の段の歯車11'へと伝達させられる。
【0052】
図4および
図5に示されているような本発明による偏心部材5に戻ると、高リフト区域5aにおける第1~第4のスロット22、23、24、および28の存在と、低リフト区域5bにおける幅広の偏心部材歯車9の存在とが、先行技術の偏心部材歯車5'に対して、重心CoGを、高リフト区域5aから低リフト区域5bに向かう方向にずらすため、作動歯車13における変動力を低下させることになることは、明らかである。
【0053】
図2および
図3は、第1の段の歯車11に、その偏心した重心を作り出すように供する空洞25が設けられていることを示している。動作条件の下で、第1の段の歯車11の偏心した重心は、第1の段の歯車11への遠心力、つまり、第1の段の歯車11の回転の軸の周りでのトルクを発生させる。第1の段の歯車11と偏心部材歯車9とが同じ数の歯を有し、動作条件の下で互いと反対に回転するため、第1の段の歯車11は、結果的に生じるより小さいトルクが作動歯車13へと伝達されるように、偏心部材5によって第1の段の歯車11に発揮されるトルクに対する逆トルクを発生させる。この効果は、欧州特許出願20210071.5および20216846.4において、本出願者によってより詳細に説明されている。
【0054】
本発明は、例えば、ピストン8および/または連接棒7によって発生させられる慣性力といった、偏心部材5への異なる慣性力に抗する逆トルクを作り出すために、偏心部材5のバランスを失わせる機会を提供もする。例えば、動作条件の下で、連接棒7の大端部は、クランクシャフト軸3からその重心へと方向付けられ、大端部の中心線を通じて偏心部材5へと少なくとも部分的に作用する遠心力を発生させる。これは、この遠心力の方向がクランクピン4の中心線および大端部によってわたらされる平面に対して斜めにされるとき、偏心部材5へのトルクをもたらす。この条件は、例えば、
図12に示されているような状況において起こる。したがって、偏心部材5がその重心CoGを第1の中心線10において有することで完全にバランスされる場合であっても、大端部は、その遠心力のため、偏心部材5にトルクを発生させる可能性がある。
【0055】
本出願者は、歯車の歯における力が、偏心部材5と連接棒7との間のあらゆる軸受を含め、偏心部材5および連接棒7の回転部の共通の重心が、実質的にクランクピン4の中心線に位置付けられるように偏心部材5のバランスを失わせることで、最小限にされ得ることを見出した。これは、クランクシャフト軸3に対する偏心部材5および連接棒7の回転部の一緒での遠心力が、クランクシャフト軸3からクランクピン4の中心線へと方向付けられることを意味する。結果として、遠心力は、クランクピン4の中心線の周りでの偏心部材5へのトルクをもたらさず、したがって歯車の力を最小限にする。
【0056】
偏心部材5への他の慣性力の別の例は、ピストン8および連接棒7の往復動によるそれらの慣性であり、その慣性力はピストン8の上死点および下死点において最も高い。例えば、
図12に示されているような状況では、ピストン8および連接棒7の慣性力は、偏心部材5へと下方向に発揮され、大端部の中心線を通じて方向付けられる。これは、この慣性力の方向がクランクピン4の中心線および大端部によってわたらされる平面に対して斜めにされるため、偏心部材5へのトルクをもたらす。結果的に生じるトルクは、先に記載されているように、偏心部材5および/または第1の段の歯車11によって少なくとも部分的に相殺させることができる。
【0057】
図13および
図14は、偏心部材5が位置付けられるエンジン1の一部をより詳細に示している。偏心部材5が内側ニードル軸受26を通じてクランクピン4によって支持されていることと、大端部が外側ニードル軸受27を通じて偏心部材5によって支持されていることとが見て取れる。
図13は、点火が開始する上死点にピストン8がある状態を示しており、
図14は、排気ストロークが終了する上死点にピストン8がある状態を示している。低リフト区域5bにおける偏心部材歯車9の幅は、
図13を見ると、第1の段の歯車11の幅より若干大きくなっており、一方、高リフト区域5aにおける偏心部材歯車9の幅は、
図14を見ると、第1の段の歯車11の幅より小さくなっている。これは、
図11に示されているように、点火が開始し、最大リフトの線20がクランク平面にあり、第2の中心線19が第1の中心線10と最大リフトの線20との間にある上死点にピストン8がある場合といった、高い圧縮比において、偏心部材歯車9の幅広部分が、圧縮ストロークおよび燃焼ストロークの間に第1の段の歯車11と噛み合うことを意味する。点火が開始し、最大リフトの線20および第1の中心線10が、クランク平面に対して垂直に延びる平面にある、上死点にピストン8がある場合といった、より低い圧縮比において、偏心部材歯車9の幅広部分は、燃焼ストロークおよび排気ストロークの間に第1の段の歯車11と噛み合う。具体的には、偏心部材歯車9の幅広部分が圧縮ストロークの最後の部分および燃焼ストロークの最初の部分の間に第1の段の歯車11と噛み合うとき、これは、偏心部材歯車9の耐久性に有益な効果を有する。したがって、偏心部材歯車9の幅広部分は、作動歯車13の過負荷を防止するだけでなく、偏心部材歯車9の耐久性を向上させもする。
【0058】
図13および
図14は、外壁6の軸方向における外壁6の中心が、偏心部材歯車9から見られるとき、内壁18の軸方向における内壁18の中心を越えて位置することを示している。別の言い方をすれば、偏心部材5の軸方向において、外側ニードル軸受27の中心と、連接棒7の大端部とは、クランク部材歯車9から見られるとき、内側ニードル軸受26の中心に対して外方へずらされる。外側ニードル軸受27の歯車ケージが連接棒7の大端部に位置付けられ得ることは、留意されている。
【0059】
図15および
図16は、偏心部材5の代替の実施形態を示している。この実施形態には、第1~第4のスロット22、23、24、および28が同じく設けられているが、低リフト区域5bに偏心部材歯車9の幅広部分を有していない。幅広部分の代わりに、部分的に環状の要素29の形態での釣り合い錘が設けられており、部分的に環状の要素29は、クランクピン4に搭載されるときに偏心部材歯車9と連接棒7の大端部との間に位置付けられるように、偏心部材歯車9の軸方向側に別体の部品として搭載される。部分的に環状の要素29は低リフト区域5bに位置付けられる。部分的に環状の要素29の両端は、
図15を見ると、外壁6と同じ側に位置付けられるクランク部材歯車9の軸方向側において、協働する切り欠き31に嵌まるフック30をそれぞれ備える。
【0060】
先に記載されているような実施形態では、第1のスロット22は偏心部材歯車9の隣で外壁6の軸方向端部分に位置付けられ、一方、低リフト区域5bにおける環状要素29または偏心部材歯車の幅広部分は、偏心部材5の軸方向において実質的に同じ場所に位置付けられる。これは、第1のスロット22だけでなく、環状要素29またはクランク部材歯車9の幅広部分が、連接棒7の大端部を担持するための支持面を狭めるが、バランスさせる効果に一緒になって寄与するため、偏心部材5のその部分の効率的な使用である。
【0061】
図17は、第1~第4のスロット22、23、24、および28と、低リフト区域5bにおける偏心部材歯車9の幅広部分とが同じく設けられている偏心部材5の実施形態を示している。また、低リフト区域における幅広部分は、延長区域32に沿っての3つの幅広の歯によって、高リフト区域5aへと延長されている。偏心部材5の重心を第1の平面において維持するために、第2のスロット23は、延長区域32が位置付けられる最大リフトの線20の側において、最大リフトの線20の反対側においてより長く作られる。延長区域32は、特定の圧縮比における高負荷条件の下で第1の段の歯車11と係合することができ、偏心部材歯車9の耐久性を増加させるように供する。
【0062】
本発明は、図面に示されており、先に記載されている実施形態に限定されず、請求項およびそれらの技術的均等の範囲内で、異なる手法で変化させることができる。例えば、歯車列の偏心部材歯車および歯車の配置および寸法は、異なってもよい。さらに、スロットの数、スロットの場所、ならびにスロットの形および寸法は異なってもよく、同様に、偏心部材歯車または釣り合い錘の幅広部分の形および寸法は異なってもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 内燃エンジン
2 クランクシャフト
3 クランクシャフト軸
4 クランクピン
5 偏心部材、環状駆動体
5a 高リフト区域
5b 低リフト区域
6 円筒形外壁
7 連接棒
8 ピストン
9 クランク部材歯車、偏心部材歯車、釣り合い錘
10 歯車列、第1の中心線
11 第1の段の歯車
12 第2の段の歯車
13 作動歯車
14 作動シャフト
15 ウォームホイール
16 ウォーム
17 電気モータ
18 円筒形内壁
19 第2の中心線
20 最大リフトの線
21 最小リフトの線
22 第1のスロット
23 第2のスロット
24 第3のスロット
25 空洞
26 内側ニードル軸受
27 外側ニードル軸受
28 第4のスロット
29 部分的に環状の要素、釣り合い錘
30 フック
31 切り欠き
32 延長区域
CoG 重心
【国際調査報告】