(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】カメラベースの追跡システム
(51)【国際特許分類】
A61B 34/20 20160101AFI20241106BHJP
【FI】
A61B34/20
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529870
(86)(22)【出願日】2022-11-28
(85)【翻訳文提出日】2024-05-21
(86)【国際出願番号】 EP2022083393
(87)【国際公開番号】W WO2023099368
(87)【国際公開日】2023-06-08
(32)【優先日】2021-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】スプリートフ ヤリヒ ウィレム
(72)【発明者】
【氏名】ヘンドリクス ベルナルドス ヘンドリクス ウィルヘルムス
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア トルモ アルベルト
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー マンフレッド
(57)【要約】
より早い段階で正確な追跡を提供するために、カメラベースの追跡システムの動作のための制御装置が提供される。制御装置はコントローラ及び制御信号出力部を有する。コントローラは、追跡システムの開始フェーズ中に、較正補償命令を有する、追跡システムのための動作信号を生成する。較正補償命令は、i)カメラベースの追跡システムの温度を能動的に調整すること、及びii)追跡計算に使用される、カメラベースの追跡システムの較正関連カメラ出力を適応させることのうちの少なくとも1つのための命令を有する。制御信号出力部は、動作信号を追跡システムに提供する。1つのアプローチでは、予熱が、高熱エネルギ生成モードでの動作のためにカメラに制御信号を提供することによって(定常)較正状態を達成するために提供される。別のアプローチでは、較正が、定常状態外のシステムの状態についても較正を可能にする動的較正モデルとして提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラベースの追跡システムの動作のための制御装置であって、前記制御装置は、
コントローラと、
制御信号出力部と、
を有し、
前記コントローラは、少なくとも前記追跡システムの開始フェーズ中に、少なくとも1つの較正補償命令を有する、前記追跡システムに対する少なくとも1つの動作信号を生成するように構成され、
前記少なくとも1つの較正補償命令は、i)前記カメラベースの追跡システムの温度を能動的に調整すること、及びii)追跡計算に使用される、前記カメラベースの追跡システムの較正関連のカメラ出力を適応させること、のグループのうちの少なくとも1つに対する命令を有し、
前記制御信号出力部は、前記少なくとも1つの動作信号を前記追跡システムに提供するように構成される、
制御装置。
【請求項2】
前記較正補償命令は、前記カメラベースの追跡システムを高熱生成モードで一時的に動作させるための少なくとも1つの制御信号を有する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記高熱生成モードで前記カメラベースの追跡システムを一時的に動作させるために、前記較正補償命令は、前記少なくとも2つのカメラのうちの少なくとも1つによって熱を生成させる加熱モードで、前記少なくとも2つのカメラのうちの少なくとも1つを一時的に動作させるための少なくとも1つの制御信号を有し、 前記少なくとも1つの制御信号は、前記カメラが前記追跡のために動作される通常の追跡モードよりも、前記カメラによるより高いエネルギ消費が行われる高エネルギ消費モードで前記少なくとも2つのカメラのうちの前記少なくとも1つを動作させるように構成され、
前記制御信号出力部は、前記少なくとも2つのカメラのうちの前記少なくとも1つを前記高エネルギ消費モードで動作させ、それによって、前記通常の追跡モードと比較してより高いエネルギ消費によって少なくとも前記カメラを加熱するために、前記少なくとも1つの動作信号を前記追跡システムに提供するように構成される、
請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記高熱生成モードについて、前記較正補償命令は、前記カメラベースの追跡システムの加熱素子を一時的に動作させるための少なくとも1つの制御信号を有する、請求項2に記載の制御装置。
【請求項5】
前記コントローラは、前記動作信号を生成するときに、前記制御信号に対して、測定された外部条件を考慮するように構成され、前記外部条件は、
周囲温度と、
照明条件と、
屋内気流と、
のグループのうちの少なくとも1つを有する、
請求項2、3又は4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記追跡システムのための前記少なくとも1つの動作信号を生成するために、前記コントローラは、前記システムのウォームアップのモデル及びその動的熱挙動を提供し、これらを前記少なくとも1つの制御信号に対して考慮に入れるように構成され、
前記少なくとも1つの制御信号は、複数の変化する制御サブ信号を有する信号シーケンスを有する、
請求項2乃至5のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記コントローラは、前記カメラベースの追跡システムに対する動的較正モデルを提供するように構成され、前記動的較正モデルは、前記システムの温度関連状態に応じて複数の較正係数を有し、
前記カメラベースの追跡システムの現在の温度関連状態について、前記コントローラは、前記複数の較正係数からマッチする較正係数を決定するように構成され、
前記制御信号出力部は、前記カメラベースの追跡システムの動作中に適用するために前記マッチする較正係数を提供するように構成される、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項8】
複数の少なくとも2つのカメラと、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の制御装置と、
を有するカメラベースの追跡システムにおいて、
前記少なくとも1つの動作信号は、前記少なくとも2つのカメラのうちの少なくとも1つを動作させるために提供され、
前記カメラベースの追跡システムは、病院又は他の医療関連設定で使用するためのカメラベースの医療追跡システムである、
カメラベースの追跡システム。
【請求項9】
前記高エネルギ消費モードは、前記システムの通常の追跡モード中のエネルギ消費よりも少なくとも50%高いエネルギ消費を有する画像取得を有し、
前記高エネルギ消費モードは、
フレームレートと、
露光時間と、
ビット深度と、
ビットパッキングと、
関心領域と、
クロッキング周波数と、
色フォーマットと、
画像圧縮と、
オンボード画像前処理と、
のグループのうちの少なくとも1つが、前記システムの通常の追跡モードと比較して少なくとも50%の増大である、画像取得を有する、
請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記システムの熱挙動を監視する複数のセンサが、設けられ、
前記センサによって監視される前記熱挙動は、前記システムのウォームアップのより正確なモデルを提供するために使用され、
前記システムのウォームアップの前記モデルは、前記システムの較正を動的に調整するために、ウォームアップ中にセンサからの複数の温度読取値と組み合わせて使用され、
前記システムの温度履歴が、提供され、前記システムが通常の動作段階に到達する前に残り時間が、予測され、前記残り時間が、示される、
請求項8又は9に記載のシステム。
【請求項11】
前記コントローラは、前記ウォームアップ中の異なる時点からの少なくとも2つの画像を分析し、現在の変位速度を決定し、それに応じて前記高エネルギ消費モードを調整するように構成される、請求項8乃至10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記システムによって追跡されることができるマーカのセットが、提供され、
前記マーカは、対象、物体、及び装置のグループのうちの少なくとも1つに取り付け可能である、
請求項8乃至11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
カメラベースの追跡システムの動作のための方法において、
少なくとも前記追跡システムの開始フェーズ中に、少なくとも1つの較正補償命令を有する、前記追跡システムのための少なくとも1つの動作信号を生成するステップであって、
前記少なくとも1つの較正補償命令は、i)前記カメラベースの追跡システムの温度を能動的に調整すること、及びii)追跡計算に使用される、前記カメラベースの追跡システムの較正関連のカメラ出力を適応させることのグループのうちの少なくとも1つのための命令を有する、ステップと、
前記追跡システムに前記少なくとも1つの動作信号を提供するステップと、
少なくとも1つの較正補償命令を有する前記動作信号に基づいて、前記カメラベースの追跡システムを動作させるステップと、
を有する方法。
【請求項14】
プロセッサが請求項13に記載の方法を実行することを可能にするコンピュータプログラム。
【請求項15】
請求項14に記載のコンピュータプログラムを記憶したコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラベースの追跡システムの動作のための制御装置、カメラベースの追跡システム、及びカメラベースの追跡システムを動作させるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーションシステムは、器具を追跡するために医学的介入において使用される。例えば、器具は、追跡システムによって検出されるマーカを設けられる。追跡マーカの一例は、カメラがカメラによって提供される画像データ内のマーカを追跡する光学追跡システムの使用である。一例として、外科医が器具を動かすと、患者の解剖学的構造に対する追跡される器具の位置が、患者の画像上に示される。したがって、外科医は、器具の位置を「ナビゲート」するためにシステムを使用する。システムによって提供される器具位置のフィードバックは、外科医が器具の先端を実際に見ることができない状況、例えば低侵襲手術において有用であり得る。追跡装置は、また、コンピュータ支援手術(CAS)システムにも提供され、このCASシステムは、術前計画のために、また、外科的処置中の器具のナビゲーションのために、ますます使用されている。
【0003】
一例として、外科ナビゲーションシステムを使用して、外科医は、ナビゲーションシステムによって追跡される特別な器具を使用する。
【0004】
更なる例として、米国特許出願公開第2018/235715(A1)号は、コンピュータ支援整形外科手術及びロボット化されたコンピュータ支援手術における骨及びツール追跡に関する。この目的のために、追跡装置は、レンジ撮像を実行するための3Dカメラを含んでもよい。そのようなレンジ追跡は、3Dカメラが、例えば較正パターンを使用して、追跡の適切な正確さ及び精度を達成するように較正されることを必要とする。
【0005】
追跡又はナビゲーションシステムは、手術室間で移動されてもよい。臨床使用及びスケジュールは、システムがセットアップしやすく、迅速に起動し、数分以内に使用する準備ができていることを要求し得る。しかしながら、外科ナビゲーションに使用される光学追跡システムが、コールドスタート後にウォームアップし、安定化するのに、30分又は1時間もかかり得ることが示されている。この始動挙動のために、患者及び手術器具に取り付けられたマーカを追跡するシステムの能力は、一時的に損なわれ、結果が不正確になる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、例えば、より早い段階での、改善された正確な追跡が必要とされ得る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、独立請求項の主題によって解決され、更なる実施形態は、従属請求項に組み込まれる。本発明の以下に説明する態様は、カメラベースの追跡システムの動作のための装置、カメラベースの追跡システム、及びカメラベースの追跡システムを動作させるための方法にも適用されることに留意されたい。
【0008】
本発明によれば、カメラベースの追跡システムの動作のための制御装置が、提供される。制御装置は、コントローラ及び制御信号出力部出部を有する。コントローラは、少なくとも追跡システムの開始フェーズ中に、少なくとも1つの較正補償命令を有する、追跡システムのための少なくとも1つの動作信号を生成するように構成される。少なくとも1つの較正補償命令は、i)カメラベースの追跡システムの温度を能動的に調整すること、及びii)追跡計算に使用される、カメラベースの追跡システムの較正関連カメラ出力を適応させることのグループのうちの少なくとも1つのための命令を有する。制御信号出力部は、少なくとも1つの動作信号を追跡システムに提供するように構成される。
【0009】
効果として、補償命令は、カメラベースの追跡システムの現在の状態と、システムの較正のために仮定されるシステムの所定条件との間の相違を少なくとも部分的に補償するために提供される。これは、追跡システムの精度を向上させる。
【0010】
一例によれば、較正補償命令は、カメラベースの追跡システムを高熱(increased heat)生成モードで一時的に動作させるための少なくとも1つの制御信号を有する。
【0011】
一例によれば、高熱生成モードでカメラベースの追跡システムを一時的に動作させるために、較正補償命令は、少なくとも2つのカメラのうちの少なくとも1つによって熱を生成させるために、加熱モードで少なくとも2つのカメラのうちの少なくとも1つを一時的に動作させるための少なくとも1つの制御信号を有する。少なくとも1つの制御信号は、少なくとも2つのカメラのうちの少なくとも1つを、高エネルギ消費モードで動作させるように構成され、このモードではカメラが追跡のために動作されるときの通常の追跡モードより、カメラによるより高いエネルギ消費が、行われる。制御信号出力部は、高エネルギ消費モードで少なくとも2つのカメラのうちの少なくとも1つを動作させ、それによって、通常の追跡モードと比較してより高いエネルギ消費のために少なくともカメラを加熱するために、少なくとも1つの動作信号を追跡システムに提供するように構成される。
【0012】
一例によれば、高熱モードのために、較正補償命令は、カメラベースの追跡システムの加熱素子を一時的に動作させるための少なくとも1つの制御信号を有する。
【0013】
一例では、マーカが、追跡のために使用される。別の例では、マーカレス追跡が、提供される。
【0014】
これは、光学追跡システムの場合、ウォームアップ時間を減少し、コールドスタート中のシステムの一時的な精度低下を最小化することが望ましいことに対処する。更なる利点は、カメラが外部コンピュータから構成されることができることである。更に、これは、カメラの電力消費がカメラによる熱の生成と、その後の、カメラ(ヒートシンク)に熱的に接続されたシステムの部分へのこの熱の放散とに直接的に関連することに基づく。カメラにおけるより多くの発熱は、カメラ及び熱的に接続された構成要素のより急激な温度上昇をもたらす。熱的安定化処理の多くは、カメラの内部で行われることに留意されたい。例えば、カメラハウジングが拡張し、センサの位置が移動するなど、カメラに対する大きな変更の必要なしに、本解決策によって対処される。システムの安定動作のために必要とされるレベルまでのカメラのウォームアップは、実際の通常動作のために必要とされるよりも多くの電力消費を要求するカメラパラメータのセットを使用することによって、更に加速されることができる。
【0015】
例えば、患者及び装置又は器具上のマーカの追跡は、追跡システムに関連するそれらの正確な空間的位置を決定することによって達成される。手術室内の、局所的基準グリッド又は空間基準系内の追跡システムの空間的位置の知識は、マーカを局所的基準グリッドにリンクし、埋め込むことを可能にする。マーカの空間的位置の決定は、基本的に三角法によって達成される。例えば、マーカまでの距離は、異なるソース、すなわち、異なるカメラから測定される。三角計算によって、カメラに対する空間的位置が、決定されることができる。三角計算は、カメラによって提供される画像を空間的に位置合わせすることを可能にする。しかしながら、これは、カメラの実際の(空間的)位置及びそれらの(空間的)向きの正確な知識を必要とする。この正確な幾何学的知識は、カメラシステムの較正によって提供される。カメラシステムを実装するために、いくつかのカメラが、提供され、これらのカメラは、基準に固定されなければならない。この理由のため、カメラは、物理的に共通の支持構造に取り付けられる。支持構造は、材料、設計、及びサイズに応じて、常に熱膨張を受けるので、カメラの位置及び向きに影響を及ぼす幾何学的変化が常に存在し、その結果、マーカを検出する精度に影響を及ぼす。熱膨張は、主に、カメラの動作によって生成される内部熱によって与えられる。熱は、カメラ自体(画像検出素子に対する光学システム)、カメラが支持構造体に固定されるマウント、及び支持構造体自体の熱膨張をもたらす。結果的に、安定していると仮定される状態を考慮するシステムの較正が、提供される。このような状態は、追跡システムの通常動作中の状況、すなわち、システムの使用中の状況に対してとられる。
【0016】
本発明は、現在の状態と、較正のために仮定された状態との適合性を提供するための手段によって、これに対処する。追加の熱を提供することによって、システムの状態は、較正のために適用される仮定された状態とよりよくマッチする。
【0017】
一例によれば、コントローラは、動作信号を生成するときに、制御信号について、測定された外部条件を考慮に入れるように構成される。外部条件は、周囲温度、照明条件、及び屋内気流のグループのうちの少なくとも1つを含む。
【0018】
一例によれば、コントローラは、カメラベースの追跡システムのための動的較正モデルを提供するように構成される。動的較正モデルは、システムの温度関連状態に応じて複数の較正係数を含む。カメラベースの追跡システムの現在の温度関連状態について、コントローラは、また、複数の較正係数からマッチする較正係数を決定するように構成される。更に、制御信号出力部は、カメラベースの追跡システムの動作中に、アプリケーションのためのマッチする較正係数を提供するように構成される。
【0019】
一例では、コントローラは、少なくとも2つのカメラのうちの少なくとも1つを高エネルギ消費モードで動作させるための動作命令を含む較正補償命令を提供するように構成される。コントローラは、また、カメラベースの追跡システムのための動的較正モデルを提供し、マッチする較正係数を決定し、提供するように構成される。更に、コントローラは、高エネルギ消費モードでカメラを動作させながら、少なくとも2つのカメラを撮像モードで動作させるように更に構成される。コントローラは、生成された画像にマッチする較正係数を適用するように更に構成される。
【0020】
本発明によれば、カメラベースの追跡システムも、提供される。システムは、複数の少なくとも2つのカメラと、前述の例のうちの1つによる制御装置とを有する。少なくとも1つの動作信号は、少なくとも2つのカメラのうちの少なくとも1つを動作させるために提供される。
【0021】
オプションでは、カメラベースの追跡システムは、病院又は他の医療関連設定で使用するためのカメラベースの医療追跡システムである。
【0022】
一例によれば、高エネルギ消費モードは、システムの通常の追跡モード中のエネルギ消費よりも少なくとも50%高いエネルギ消費を有する画像取得を含む。
【0023】
オプションでは、高エネルギ消費モードは、システムの通常の追跡モードと比較して少なくとも50%の増加である以下のグループ、すなわち、フレームレート、露光時間、ビット深度、ビットパッキング、関心領域、クロッキング周波数、色フォーマット、画像圧縮、及びオンボード画像前処理のうちの少なくとも1つを有する画像取得を含む。
【0024】
一例によれば、システムによって追跡されることができるマーカのセットが、提供される。マーカは、被験体、物体、及び装置のグループのうちの少なくとも1つに取り付け可能である。
【0025】
別の例では、マーカレス追跡が、提供される。
【0026】
本発明によれば、カメラベースの追跡システムを動作させるための方法も、提供される。この方法は、以下のステップを有する。
・少なくとも追跡システムの開始段階中に、少なくとも1つの較正補償命令を含む、追跡システムのための少なくとも1つの動作信号を生成するステップ。少なくとも1つの較正補償命令は、i)カメラベースの追跡システムの温度を能動的に調整すること、及びii)追跡計算に使用される、カメラベースの追跡システムの較正関連カメラ出力を適応させることのグループのうちの少なくとも1つのための命令を有する。
・少なくとも1つの動作信号を追跡システムに提供するステップ。
・少なくとも1つの較正補償命令を含む動作信号に基づいて、カメラベースの追跡システムを動作させるステップ。
【0027】
一態様によれば、未だ実施されていない較正状態に起因する追跡誤差は、追跡誤差を補償するための対抗手段を提供することによって最小化される。
【0028】
1つのアプローチによれば、予熱が、高熱エネルギ生成モードでの動作のためにカメラに制御信号を提供することによって(システムの較正のために適用される)(定常)較正状態を達成するために提供される。したがって、既存の機器は、熱を生成させるために使用される。したがって、熱エネルギは、それが最大の効果を有する場所、すなわち、カメラ位置において正確に提供される。予熱は、通常の動作中に生成された熱を模倣しているが、例えば、より速いブーストモードである。
【0029】
別のアプローチによれば、予熱によって静的較正の基礎を形成する定常状態を達成しようとする代わりに、較正は、定常状態外のシステムの状態についても較正を可能にする動的較正モデルとして提供される。動作温度がまだ到達されない場合でも、それぞれ適合された較正が、動的モデルによって提供される。
【0030】
上記の2つのアプローチを組み合わせる、更なるアプローチによれば、動的モデルは、カメラのための特別な動作信号による加熱手順と組み合わせて提供される。オプションの温度センサと組み合わせて、精度が、更に向上されることができる。
【0031】
本発明のこれら及び他の態様は、以下に記載される実施形態から明らかになり、それを参照して説明される。
【0032】
本発明の例示的な実施形態は、以下の図面を参照して以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】カメラベースの追跡システムの動作のための制御装置の例を概略的に示す。
【
図2】カテーテル検査室の文脈におけるカメラベースの追跡システムの一例を示す。
【
図3a】ハウジング構造内のカメラベースの追跡システムの一例を示す。
【
図3b】ハウジング構造のない
図3aのカメラベースの追跡システムの例を示す。
【
図4】カメラベースの追跡システムを動作させるための方法の一例のステップを示す。
【
図5】開始後の時間に対する追跡誤差を示すグラフである。
【
図6】開始後の時間に対するシステムの温度を示すグラフである。
【
図7】異なる動作モードに対して経時的にシステム温度を示すグラフを示す。
【
図8】経時的にシステム温度及びカメラ電力消費に対するウォームアップパターンの例を示すグラフを示す。
【
図9】経時的にシステム温度及びカメラ電力消費に対するウォームアップパターンの別の例を示すグラフを示す。
【
図10】経時的にシステム温度及びカメラ電力消費に対するウォームアップパターンの更なる例を示すグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
ここで、特定の実施形態が、添付の図面を参照して詳細に説明される。以下の説明では、同様の図面参照番号が、異なる図面においても、同様の要素に対して使用される。詳細な構成及び要素のような、本明細書で規定される事項は、例示的な実施形態の包括的な理解を助けるために提供される。また、周知の機能又は構成は、不必要な詳細で実施形態を不明瞭にするので、詳細には説明されない。更に、「のうちの少なくとも1つ」などの表現は、要素のリストに先行する場合、要素のリスト全体を修飾し、リストの個々の要素を修飾しない。
【0035】
光学カメラに依存する外科的ナビゲーションシステムは、0.5乃至1mmの範囲のマーカ追跡の固有の精度を有し得る。システムの固有の3Dマーカ追跡精度は、システムが較正されたときと同じ「状態」にあるときに最適(最小)である。システムが異なる状態にある場合、これは、より正確でないマーカ追跡をもたらし、したがって、より大きな3D誤差をもたらす。一例は、光学カメラの相対的な幾何学的位置及び/又は向きが、機械的な力(衝撃、振動)によって変化したことである。これは、システムの再較正を必要とし得る。更に、光学カメラシステムを使用するとき、温度は、所望の精度の大きさの同じオーダーの追加の追跡誤差をもたらす実際の画像の変化を導入する可能性がある重要な要因である。一例として、ナビゲーションシステムの始動中、追跡精度は、ハードウェアが、温度に関連する効果のために「異なる状態」にあると、一時的に低下されることができる。測定可能な熱誘導誤差を引き起こす2つの主な効果が存在する。第1に、光学カメラを懸架するフレームは、ある程度、温度に関連する膨張を受け、カメラ間の一時的な異なる幾何学的関係を引き起こす。第2に、カメラハウジング及びレンズシステムの熱関連変化は、カメラ撮像センサ上の画像の投影において測定可能な差異を生じさせる。両方の効果は、システムが熱定常状態にあるときに及びシステムが(一時的に)異なる過渡状態の間に、較正が実行されるので、精度の一時的な減少に寄与する。
【0036】
概して、光学追跡システムの始動は、2つの段階に分けられることができる。段階1とも称される第1の段階では、システムのウォームアップが、行われる。開始時に、カメラの温度は、システムの周囲温度に近い。それは、能動部品、例えばカメラプロセッサ、撮像チップ等の熱放散により増加する。温度に関連する追跡誤差は、このフェーズの開始時に最大であり、このフェーズの終了時に最小である。段階2とも称される第2の段階では、システムの定常状態が、到達される。ハードウェアは、熱平衡に到達し、光学追跡精度は、較正状態と同じレベルである。
【0037】
一例では、熱的に接続され、ヒートシンクとしての機能するシステムの他の部分へのカメラからの熱伝達において特定の遅延が存在し得るので、光学追跡システムの熱挙動は、より複雑であり得る。更に、好ましくは、ナビゲーションシステムのウォームアップ挙動は、熱応答が最小であり、始動後に定常状態に到達するのに必要な時間が最小であるようなものである。本解決策は、必ずしも、システムのスマートハードウェア選択及び/又は設計を必要とせず、したがって、更なる構造関連コストを回避する。変化に影響を及ぼす較正を引き起こすための別の態様は、例えば、カメラを高温貯蔵室から空調手術室に移動させることによって、周囲温度の差によって提供されることができる。
【0038】
光学追跡システムがその周囲の周囲温度からウォーミングアップしている場合、その内部構成要素は、必然的に寸法及び形状を変化させ、始動挙動をもたらす。本解決策は、光学追跡システムのウォームアップを定常状態レベルに高速化し、追跡精度の温度関連差を減少させ、その結果、追跡が、システムにハードウェア及び/又はハードウェアの複雑さを追加することなく、始動後すぐに(より早く)最適なレベルの精度で実行されることができる。
【0039】
図1は、カメラベースの追跡システムの動作のための制御装置10の一例を概略的に示す。制御装置は、コントローラ12及び制御信号出力部14を有する。コントローラ12は、少なくとも追跡システムの開始フェーズ中に、少なくとも1つの較正補償命令を含む、追跡システムのための少なくとも1つの動作信号を生成するように構成される。少なくとも1つの較正補償命令は、i)カメラベースの追跡システムの温度を能動的に調整すること、及びii)追跡計算に使用される、カメラベースの追跡システムの較正関連カメラ出力を適応させることのグループのうちの少なくとも1つのための命令を有する。制御信号出力部14は、カメラベースの追跡システムを動作させるために、少なくとも1つの動作信号を追跡システムに提供するように構成される。
【0040】
破線によって
図1に示されるオプションでは、信号入力部16が、提供される。信号入力部16は、少なくとも2つのカメラを有するカメラベースの追跡システムを起動するための信号を受信するように構成される。起動信号に基づいて、コントローラは、少なくとも1つの動作信号を生成するように構成される。
【0041】
したがって、少なくとも1つの較正補償命令は、システムの始動時に提供され、システムのより速い使用を可能にする。
【0042】
別のオプションでは、信号入力部16は、カメラベースの追跡システムの進行中の動作のための信号を受信するように構成される。進行中の動作信号に基づいて、コントローラは、較正のチェックとして少なくとも1つの動作信号を生成するように構成される。
【0043】
したがって、少なくとも1つの較正補償命令は、システムの始動時にシステムの使用中に提供され、例えば、変化する環境条件での動作中に改善された精度を可能にする。
【0044】
第1の矢印18は、カメラベースの追跡システムを起動するための信号を示す。第2の矢印20は、例えば点線のフレーム22で示されるカメラベースの追跡システムに対する、少なくとも1つの動作信号の出力を示す。更なるフレーム24は、コントローラ12、制御信号出力部14、及び信号入力部16がハウジングのような共通構造内に提供されることができることを示す。しかしながら、それらは、別々に配置されることができるが、データ接続されることができる。
【0045】
補償命令は、カメラベースの追跡システムの現在の状況と、システムの較正のために仮定されるシステムの所定の状況との間の相違を少なくとも部分的に補償するために提供される。
【0046】
カメラベースの追跡システムの温度の能動的な調整は、相違を少なくとも部分的に補償するために提供される。
【0047】
カメラ出力の適応は、相違を少なくとも部分的に補償するために提供される。
【0048】
制御信号出力部14は、少なくとも1つの較正補償命令を含む動作信号に基づいてカメラベースの追跡システムを動作させるために、少なくとも1つの動作信号を追跡システムに提供するように構成され、それによって、カメラベースの追跡システムの現在の状況と、システムの較正のために仮定されるシステムの所定の状況との間の相違を低減する。
【0049】
較正補償命令は、較正修正命令とも称されることができる。この命令は、較正に関するシステムの設定を調整又は修正するために提供される。
【0050】
較正補償命令は、較正が基づく仮定された状態とシステムの現在の状態との間のオフセットを最小化するように提供する。
【0051】
効果として、システムは、開始段階の間のように、静的較正状態がまだ達成されていない状況においてさえ、改善された精度を提供される。
【0052】
開始段階は、システムの動作を開始してから、システムの較正のために仮定されるシステムの所定の条件が到達されるまでの動作の一部を指す。
【0053】
図1に更に詳細に示されていない第1のオプションでは、較正補償命令は、カメラベースの追跡システムを高熱生成モードで一時的に動作させるための少なくとも1つの制御信号を含む。
【0054】
図1に更に詳細に示されていないオプションでは、高熱生成モードでカメラベースの追跡システムを一時的に動作させるために、較正補償命令は、少なくとも2つのカメラのうちの少なくとも1つによって熱を生成させるために、加熱モードで少なくとも2つのカメラのうちの少なくとも1つを一時的に動作させるための少なくとも1つの制御信号を含む。少なくとも1つの制御信号は、少なくとも2つのカメラのうちの少なくとも1つを、高エネルギ消費モードで動作させるように構成され、このモードでは、カメラによるより高いエネルギ消費が、マーカを追跡するためにカメラが動作されるときの通常の追跡モードよりも行われる。制御信号出力部14は、少なくとも2つのカメラのうちの少なくとも1つを高エネルギ消費モードで動作させ、それによって、通常の追跡モードと比較してより高いエネルギ消費のために少なくともカメラを加熱するために、少なくとも1つの動作信号を追跡システムに提供するように構成される。
【0055】
相違は、不整合と称されることもできる。
【0056】
1つのオプションでは、加熱モードが、熱エネルギを生成するための加熱モードで(既に存在する)カメラを動作させることによって提供される。
【0057】
別のオプションでは、加熱モードが、熱エネルギを生成するための別個の加熱素子を動作させることによって提供される。別個の加熱素子は、追跡システムと共に提供される。加熱素子は、別個に取り付けられた加熱素子によって、又はカメラと一体的に形成された加熱素子によって、カメラ用のマウント又は支持構造体とともに提供されることができる。加熱素子は、また、指定された熱エネルギ生成モードで動作されることができるシステム内の回路のような動作要素を識別することによって提供されることができる。
【0058】
一例では、高熱生成モードの場合、較正補償命令は、カメラベースの追跡システムの加熱素子を一時的に動作させるための少なくとも1つの制御信号を含む。
【0059】
一例では、加熱素子が、少なくとも1つの一体型加熱素子を有する。例えば、加熱素子は、動作モードにあるカメラが熱エネルギを支持構造体に伝達する位置で熱エネルギを提供するように、カメラマウント内に提供される。
【0060】
別の例では、一体型加熱素子は、カメラがその動作モードにあるときに熱を生成する電気回路の場所の隣にカメラ内に提供される。
【0061】
そのような追加の発熱素子の例は、既存の構造に取り付けられた抵抗ストライプである。したがって、ターゲットとされる熱生成(及び予熱又はウォームアップ)は、例えば、手術室のウォームアップ領域内又は分離されたウォームアップ室内でさえ、システムの完全な装置を加熱することと比較して、より少ないエネルギ消費で可能である。
【0062】
一例では、より高いエネルギ消費が、動作による増加された熱生成によって提供される。例えば、通常の動作中に他の部品と同じエネルギを使用する電気回路の特定の部品が起動されるが、この部品又は構成要素は、より多くの温度、すなわち、システムの放熱及び加熱に利用可能なより多くの熱を生成する。
【0063】
効果として、(較正が基づく動作条件に到達するための)熱は、それが生成されるべき場所において正確に生成される。経済性及び低減されたシステムの複雑さに関する利点として、これは、すでに利用可能なハードウェアを使用することによって達成される。別の利点は、追跡システムの機能性が維持される結果になる。加熱処理の開始時であっても、追跡は、あまり正確ではない可能性があり、システムは、そのような問題ではないかもしれない、例えば、外科医が適切な視線などを維持しながら、介入装置を便利な場所に配置することを可能にするために関心領域の視覚化を既に提供する他の目的のために利用可能である。
【0064】
「起動する」という用語は、システムが開始されたとき、例えば、OFFモードからONモードに変換又は遷移されたときの、追跡システムの動作の開始に関する。これは、開始とも称される。起動又は開始は、システムをスタンバイモード又はスリープモードからONモードに遷移させることも含む。ONモードは、システムが使用できる状態、すなわち、通常の指定動作の準備ができているモードである。ONモードは、動作モードとも称されることができる。動作という用語は、この文脈におけるシステムに関連し、(医療)動作が行われることを必ずしも意味しないことに留意されたい。
【0065】
「高エネルギ消費モード」は、高エネルギ消費モードのための動作信号がない場合よりも高い、カメラのエネルギ消費をもたらすモードに関する。高エネルギ消費モードは、より高いエネルギ消費モードとも称されることができる。エネルギ消費は、(電気)電力の使用とも称されることができる。
【0066】
「高エネルギ消費モード」は、人工的又はトリガされたウォームアップモード、又はブーストされたウォーミングアップモードと称されることもできる。
【0067】
その結果、高エネルギ使用モードでの動作により、ウォームアップ期間が、減少される。
【0068】
本文脈において、用語「通常動作」は、例えば追跡目的のために、カメラで通常の画像を作成するときに適用されるシステム設定に関する。
【0069】
「通常動作」という用語は、例えば、カメラフレームレート、すなわち、毎秒の画像などの要件に関する。一例として、手術ナビゲーション作業を「滑らかに」するために、現在の要件に従って、カメラは、少なくとも12フレーム毎秒(fps)を提供するように調整される。
【0070】
一例では、用語「高エネルギ消費モード」は、カメラが、ウォームアップ中に「より激しく」、例えば30フレーム毎秒で作動させられることに関する。これは、ウォームアップ時間を大幅に減少させる。
【0071】
一例では、始動中に、システム内の光学カメラが通常動作中よりも多くの電力を消費するように構成された光学追跡システムが、提供される。これは、カメラパラメータ、例えば、フレームレート、取得時間、色フォーマット、画像圧縮、オンボード画像前処理、カメラの計時を、より多くのオンボード画像処理、したがってより多くの電力消費を必要とする値/状態に設定することによって達成される。より多くの電力消費は、より多くの熱放散をもたらし、これは、より低い電力消費設定の場合よりも、カメラ及び熱的に接続された構成要素のより迅速なウォームアップにつながる。低電力消費設定で通常到達される温度に対応する温度が到達されると、それに応じてカメラ設定が調整される。その結果、より少ない時間が、光学システムを動作温度にするのに必要とされる。
【0072】
図1に詳細には示されていない一例では、カメラベースの追跡システムの動作のための制御装置が、提供される。制御装置は、信号入力部と、コントローラと、制御信号出力部とを有する。信号入力部は、少なくとも2つのカメラを有するカメラベースの追跡システムを起動するための信号を受信するように構成される。起動信号に基づいて、コントローラは、少なくとも2つのカメラのうちの少なくとも1つによって熱を生成する加熱モードで少なくとも2つのカメラのうちの少なくとも1つを一時的に動作させるための少なくとも1つの制御信号を有する、追跡システムのための少なくとも1つの動作信号を生成するように構成される。少なくとも1つの制御信号は、少なくとも2つのカメラのうちの少なくとも1つを、高エネルギ消費モードで動作させるように構成され、このモードでは、カメラによるより高いエネルギ消費が、マーカを追跡するためにカメラが動作されるときの通常の追跡モードよりも行われる。制御信号出力部は、高エネルギ消費モードで少なくとも2つのカメラのうちの少なくとも1つを動作させ、それによって、通常の追跡モードと比較してより高いエネルギ消費のために少なくともカメラを加熱するために、少なくとも1つの動作信号を追跡システムに提供するように構成される。
【0073】
一例では、コントローラは、所定の熱条件が到達されるまで、高エネルギ消費モードで少なくとも1つのカメラを動作させるための動作信号を提供するように構成される。
【0074】
オプションでは、コントローラは、少なくとも1つのカメラ及びシステムのグループのうちの少なくとも1つが、システムの較正の基礎であるその通常動作温度に到達するまで、高エネルギ消費モードを維持するための動作信号を提供するように構成される。
【0075】
別のオプションでは、コントローラは、少なくとも1つのカメラがその通常動作温度に到達した時点を超えて、高エネルギ消費モードを提供するための動作信号を提供するように構成される。
【0076】
一例では、コントローラは、高エネルギ消費モードにおける少なくとも2つのカメラのうちの少なくとも1つのカメラの動作によって少なくとも1つのカメラを加熱した後、通常条件下で少なくとも1つのカメラを動作させるための通常動作信号を提供するように構成される。
【0077】
オプションでは、コントローラは、較正時のシステム温度と、リアルタイム環境下でのシステムの期待される定常状態温度との間の差に基づいて、通常動作のための設定を修正するように構成される。
【0078】
図1に更に示されていない一例では、コントローラは、動作信号を生成するときに、制御信号について測定された外部条件を考慮に入れるように構成される。外部条件は、周囲温度、照明条件、及び屋内気流のグループのうちの少なくとも1つを含む。
【0079】
一例では、外部温度条件が、測定され、考慮される。例えば、周囲温度が高い場合、光学システムの熱平衡温度も、高くなる。その場合、高電力から低電力消費に切り替えるための閾値温度は、それに応じて、例えばより早く、調整されるべきである。
【0080】
一例では、照明条件が、測定され、考慮される。照明の輝度は、より高い(2乃至3℃)定常状態のカメラ温度を引き起こすことがあり、輝度は、カメラで記録された画像から直接的に差し引かれることができ、したがって、追加の入力としての機能することができ、同様に、外部照明が制御されることができない場合、キャプチャされた画像の輝度は、依然として、カメラパラメータ(例えば、露光時間)を介して調整されることができる。
【0081】
一例では、屋内気流が、考慮され、空気流とも称され、清浄空気の供給のために又は冷却もしくは加熱の目的のために提供され、検出されるか又は既知のパラメータとして提供されるかのいずれかであり、空気の移動は対流効果に起因してカメラにも影響を及ぼす。
【0082】
一例では、信号入力部16が、測定された外部条件を提供するように構成されて提供される。
【0083】
図1に更に示されていない一例では、追跡システムのための少なくとも1つの動作信号を生成するために、コントローラは、システムのウォームアップのモデル及びその動的熱挙動を提供し、これらを少なくとも1つの制御信号に対して考慮するように構成される。少なくとも1つの制御信号は、複数の変化する制御サブ信号を有する信号シーケンスを有する。
【0084】
一例では、システムの動的熱挙動が、システムのウォームアップのモデルを使用することによって考慮される。閾値温度に基づいて高電力消費から低電力消費設定に単に切り替えるのではなく、システム熱挙動の先験的な知識が、電力消費に影響を及ぼすカメラパラメータがウォームアップ中に変化する正確な瞬間を微調整するのに使用されることができる。
【0085】
図1に更に詳細に示されていない別のオプションでは、コントローラ12が、カメラベースの追跡システムのための動的較正モデルを提供するように構成される。動的較正モデルは、システムの温度関連状態に応じて複数の較正係数を有する。カメラベースの追跡システムの現在の温度関連状態について、コントローラ12は、複数の較正係数からマッチする較正係数を決定するように構成される。制御信号出力部14は、カメラベースの追跡システムの動作中に適用するためのマッチする較正係数を提供するように構成される。
【0086】
このオプションの基本バージョンでは、カメラベースの追跡システムの現在の温度関連状態が、OFF状態からON状態に切り替わるシステムの起動に関する情報である。別のバージョンでは、システムが起動されてからの時間期間に関する情報が、提供される。更なるバージョンでは、1つ又は複数の温度測定値、例えば、内部及び/又は外部センサからの温度読取値が、提供される。
【0087】
更なるオプションでは、コントローラ12は、高エネルギ消費モードで少なくとも2つのカメラのうちの少なくとも1つを動作させるための動作命令を有する較正補償命令を提供するように構成される。コントローラ12は、また、カメラベースの追跡システムのための動的較正モデルを提供し、マッチする較正係数を決定して提供するように構成される。コントローラ12は、高エネルギ消費モードでカメラを動作させながら、少なくとも2つのカメラを撮像モードで動作させるように更に構成される。コントローラ12は、生成された画像にマッチする較正係数を適用するように構成される。
【0088】
一例では、カメラベースの追跡システムの現在の温度関連状態を提供するように構成された信号入力部16が、提供される。コントローラは、カメラベースの追跡システムのための動的較正モデルを提供するように構成される。コントローラは、また、複数の較正係数からマッチする較正係数を決定するように構成される。制御信号出力部は、カメラベースの追跡システムの動作中に適用するためのマッチする較正係数を提供するように構成される。
【0089】
一例では、上記の第1及び第2のオプションも参照すると、コントローラ12は、少なくとも2つのカメラのうちの少なくとも1つを高エネルギ消費モードで動作させるための動作命令を有する較正補償命令を提供するように構成される。コントローラ12は、また、カメラベースの追跡システムのための動的較正モデルを提供し、マッチする較正係数を決定し、提供するように構成される。コントローラ12は、高エネルギ消費モードでカメラを動作させながら、少なくとも2つのカメラを撮像モードで動作させるように更に構成される。コントローラ12は、生成された画像にマッチする較正係数を適用するように更に構成される。
【0090】
図2は、カテーテル検査室の文脈におけるカメラベースの追跡システム50の一例を示す。カメラベースの追跡システム50は、複数の少なくとも2つのカメラ52を有する。上記及び下記の例のうちの1つによる制御装置10の例が、提供される。少なくとも1つの動作信号は、少なくとも2つのカメラのうちの少なくとも1つを動作するために提供される。
【0091】
オプションでは、カメラベースの追跡システム50が、病院又は他の医療関連設定で使用するためのカメラベースの医療追跡システムである。
【0092】
別のオプションでは、カメラベースの追跡システム50は、非医療設定で使用するためのカメラベースの追跡システムである。
【0093】
一例では、医療機器/対象を撮像することができるカメラベースのシステムを有し、過渡ウォームアップ期間を直接的又は間接的に測定するための手段をも有する医用光学追跡システムが、提供される。
【0094】
図2は、リング状の支持構造54に取り付けられた4つのカメラ52を示す。概略的に示されるデータ接続56は、4つのカメラ及び制御装置10を接続する。例えば、制御装置10は、カテーテル検査室内の異なる機器の動作のために設けられたコンソール58に接続される。一例として、X線撮像システム60は、Cアーム62の両端に取り付けられたX線源64及びX線検出器66を有するCアーム62を設けられる。Cアーム62は、天井レール構造に移動可能に取り付けられる。更に、対象70を受け入れるための、患者台とも称される対象支持体68が、提供される。更に、表示装置72が、示される。
【0095】
図3aは、4つのカメラ52a、52b、52c、及び52dを有するハウジング構造74内のカメラベースの追跡システム50の例を示す。また、より少ないカメラ、例えば2つもしくは3つ、又はより多いカメラ、例えば5つ、6つ、7つ、8つ、9つもしくは10以上のカメラが、設けられることができることに留意されたい。
【0096】
図3bは、ハウジング構造74のない
図3aの例を示す。4つのカメラ52a、52b、52c及び52dが取り付けられたリング支持体76が、示される。更に、接続フランジ78も、設けられる。カメラの下の線80は、それらの重複する視野を示す。
【0097】
一例では、高エネルギ消費モードは、システムの通常の追跡モード中のエネルギ消費よりも少なくとも50%高いエネルギ消費を有する画像取得を有する。オプションとして、高エネルギ消費モードは、フレームレート、露光時間、ビット深度、ビットパッキング、関心領域、クロッキング周波数、色フォーマット、画像圧縮、及びオンボード画像前処理のグループの少なくとも1つが、システムの通常の追跡モードと比較して、少なくとも50%増加された画像取得を有することが提供される。
【0098】
露光時間は、取得時間とも称されることができる。
【0099】
画像圧縮は、また、ディベイヤ処理(debayering)に関してもよい。
【0100】
一例として、増加されたフレームレートは、システムの通常の追跡モードに使用されるフレームレートよりも少なくとも50%高い。
【0101】
一例では、増加されたフレームが、通常の追跡フレームレートの(1+1/2)倍である。
【0102】
一例では、高エネルギ消費モードが、システムの通常の追跡モード中のエネルギ消費の少なくとも(2+1/2)倍であるエネルギ消費を有する画像取得を含む。
【0103】
一例では、増加されたフレームレートが、通常の追跡フレームレートの2倍以上、例えば、通常の追跡フレームレートの(2+1/2)倍として提供される。
【0104】
一例では、露光時間、ビット深度、ビットパッキング、関心領域、クロッキング周波数、色フォーマット、画像圧縮、及びオンボード画像前処理のグループのうちの少なくとも1つは、2倍又は(2+1/2)倍の量で提供される。
【0105】
装置又はシステムの一例では、制御信号は、所定の熱条件が到達されるまで、少なくとも1つのカメラが高エネルギ消費モードで動作されるように構成される。
【0106】
オプションとして、制御信号は、少なくとも1つのカメラ及びシステムのグループのうちの少なくとも1つが、システムの較正の基礎である通常動作温度に到達するまで、高エネルギ消費モードが維持されるように構成される。
【0107】
更なるオプションとして、制御信号は、少なくとも1つのカメラがその通常動作温度に到達した時点を超えて、高エネルギ消費モードが提供されるように構成される。
【0108】
装置又はシステムの一例では、制御信号は、少なくとも2つのカメラのうちの少なくとも1つを高エネルギ消費モードで動作させることによって少なくとも1つのカメラを加熱した後、通常動作信号が提供され、少なくとも1つのカメラが通常条件下で動作されるように構成される。
【0109】
オプションとして、制御信号は、通常動作のための設定が、較正時のシステム温度とリアルタイム状況下でのシステムの期待される定常状態温度との間の差に基づいて修正されるように構成される。
【0110】
装置又はシステムの一例では、追跡システムのための少なくとも1つの動作信号を生成するためのコントローラは、システムのウォームアップのモデル及びその動的熱挙動を提供し、これらを少なくとも1つの制御信号に対して考慮するように構成される。オプションとして、少なくとも1つの制御信号が、複数の変化する制御サブ信号を有する信号シーケンスを有することが提供される。
【0111】
一例では、少なくとも1つの温度センサが、カメラ温度を監視するために設けられる。カメラ温度は、動作信号の生成のために考慮される。オプションとして、コントローラは、更新された動作信号を生成するように構成される。
【0112】
一例では、カメラの内蔵温度センサが、カメラ温度を監視するために使用される。センサは、追加の温度測定システムを必要とせずに、既存のコンピュータ・カメラ通信インターフェースを使用して読み出されることができる。
【0113】
図示されていない一例では、コントローラ12は、センサデータ及びシステム状態のグループのうちの少なくとも1つに基づいて、動作信号を修正するように構成される。
【0114】
例えば、内部温度センサは、システム温度を測定し、次いで、コントローラは、追加の加熱が有益であるかどうかを決定する。
【0115】
例えば、システムが、1つの手術室から次の手術室に移動するために数分間だけ切断され、較正のために仮定される定常状態温度にまだ近い場合、更なる追加の加熱は、必要とされなくてもよい。
【0116】
例えば、システムが、熱波中に空調されていない保管室に保管された場合、更なる追加の加熱は、必要とされなくてもよい。
【0117】
別のオプションでは、温度センサが、システムの通常動作全体を通して温度読取値を提供し、コントローラは、読取値を閾値と比較する。閾値を下回ると、コントローラは、少なくとも2つのカメラのうちの少なくとも1つが高エネルギ消費モードで動作され、それによって、通常の追跡モードと比較してより高いエネルギ消費のためにカメラにおいて加熱する、中間ウォーミングアップ手順の起動を提供する。これは、システムが較正の基礎となる条件で動作していることを保証する。
【0118】
図示されていない一例では、システムの熱挙動を監視する複数のセンサ84(
図2参照)が、設けられる。センサによって監視される熱挙動は、システムのウォームアップのより正確なモデルを提供するために使用される。
【0119】
オプションでは、システムのウォームアップのモデルが、ウォームアップ中にセンサからの複数の温度読取値と組み合わせて使用されて、システムの較正を動的に調整することが提供される。
【0120】
オプションでは、システムの温度履歴が提供され、システムが通常動作段階に到達する前に残り時間が予測され、オプションとして残り時間が示される。
【0121】
一例では、ウォームアップ中及び通常動作中の温度読取値と組み合わせたシステムの熱挙動のモデルが、システムの光学較正を動的に調整するために使用される。一例では、光学較正ルックアップテーブルが、様々な周囲温度条件下でのシステムのウォームアップ中の様々な時点で光学較正(内部及び外部カメラパラメータ)を計算することによって作成される。オプションでは、このルックアップテーブルが、その後、システムの熱状態に基づいてシステムの光学較正を動的に調整するために使用される。
【0122】
一例では、より正確なモデルがシステムの動的熱挙動に対して適用されることができるように、光学追跡システム上の様々な場所で複数の温度センサが使用される。カメラ内では、温度は、最も劇的に(典型的には、70℃までの周囲温度)、かつ急速に(カメラ内で熱が生成することにつれて)変化するが、カメラハウジングは、大幅に異なる温度範囲(50℃までの周囲温度)及び遅延されたウォームアップをすでに示している。カメラに熱的に接続される光学追跡システムの他の構成要素(例えば、カメラマウント、フレーム)のウォームアップは、遅れており、熱平衡温度は、他の熱源が存在しない場合、より低くなる。システムの様々な部分の温度を監視するために複数のセンサを使用することは、システムのモデル包括的な熱挙動モデルを構築し、ウォームアップ設定をより正確に微調整するのに役立つ。
【0123】
一例では、カメラ・レンズシステムが、熱的にモデル化される。別の例では、完全な装置、すなわち、システム、フレーム、カバー及びカメラは、熱的にモデル化される。モデル化に基づいて、システムの先験的な知識を有することなく、システムの応答(伝達関数)を決定することが可能である。一例では、モデルに対する主な入力が、温度センサからの信号、カメラ撮像パラメータ、例えばフレームレート、システム電力消費及び画像ベースのパラメータ、例えば、画像の輝度の組み合わせである。
【0124】
一例では、温度履歴が、現在の温度履歴として提供される。温度履歴は、熱履歴とも称されることができる。
【0125】
一例では、温度履歴に基づくシステムの熱状態は、システムが通常の動作に使用されることができる前に残っている時間を予測するために使用される。好ましくは、その情報が、フィードバックとして、例えばカウントダウンタイマ、プログレスバーなどとして提供されることができる。
【0126】
別のオプションでは、修正されたパラメータセットが、始動フェーズの後に提供される。例えば、システムは、較正中よりも大幅に低い周囲温度で動作される。したがって、より低い周囲温度を補償するために、わずかに増加されたフレームレートでカメラを実行する、すなわち動作することが提供される。
【0127】
図示されていない実施例では、コントローラは、ウォームアップ中の異なる時点からの少なくとも2つの画像を分析し、現在の変位速度を決定し、それに応じて高エネルギ消費モードを調整するように構成される。
【0128】
一例では、
図2にオプションとして示されるように、システムによって追跡されることができるマーカ82のセットが、提供される。マーカ82は、被験者、物体、及び装置のグループのうちの少なくとも1つに取り付け可能である。
【0129】
マーカ82は、基準とも称される。
【0130】
本解決策は、ナビゲーションシステムの高コストを回避する。更に、ナビゲーション技術の使用が、促進され、また、その加速されたウォームアップのために臨床ルーチンに良好に適合するので、外科的ナビゲーションシステムの臨床的採用も、支持される。そのような医療、例えば手術ナビゲーションシステムは、簡略化された手順で迅速かつ容易に機能し、したがって、ワークフローをあまり複雑にしない。ナビゲーションシステムは、また、手術室間を移動されるのに適している。システムは、セットアップするのが容易であり、迅速に起動し、数分以内に使用できるようになる。
【0131】
上記の動作スキームを適用することは、特定のエネルギ消費パターンをもたらし、これは、例えば所与の光学追跡システムにおけるカメラの電力消費を、例えばUSB電力計を使用して、又はハードウェアにおける電圧及び電流を測定することによって、検出され得る。
【0132】
一例では、温度測定システムが、カメラ及び/又はシステムの他の部分の温度を測定するために提供される。
【0133】
一例では、プロセッサが、少なくとも2つの画像を分析し、現在の変位速度を決定するために提供される。
【0134】
一例では、ウォームアップ期間の長さを監視するためのタイマが、提供される。
【0135】
一例では、過渡ウォームアップ期間測定情報を処理し、カメラを設定し、カメラから画像データを受信し、処理することができるプロセッサが、提供される。
【0136】
光学追跡システムの熱安定化は、通常の動作中よりもウォームアップ中により多くの電力を消費するようにカメラを設定することによって加速されることが提供される。更に、所望の熱状態が到達されると、カメラは、可能な限り最小の電力消費で所望の性能を提供するように構成される。
【0137】
光学追跡システムのウォームアップに関して、おおよそ2つの段階が、区別されることができる。段階1では、システムの温度が、カメラ内の能動構成要素の自己加熱により急激に上昇する。段階2では、システムが、熱平衡に近づいているか、又は到達している。段階2は、(支持された(ブーストされた)加熱によって著しくより短い、30分と1時間との間、支持された加熱なしで)段階1よりも(数時間)長く提供されてもよい。
【0138】
一例では、2つの固定セットの画像取得パラメータが、使用され、すなわち、第1の設定は、カメラを加熱するためのカメラの高電力需要と関連する。第2の設定は、カメラによる通常の画像取得に関連する。
【0139】
一例では、カメラのウォームアップの第1段階の間、高電力設定が、通常の電力設定(
図8、曲線II)を使用して到達されたものであろう温度レベルまでカメラのウォームアップをスピードアップする(
図8、曲線I)ために使用される。プリセット温度が到達されると、システムは、カメラによる通常の画像取得に必要とされる設定に切り替わる。
【0140】
一例では、マシンビジョンカメラが、フレームレート、露光時間、ビニング、ビット深度、ビットパッキング、関心領域、クロッキング周波数、及びオンボード画像前処理、たとえば画像圧縮、ディベイヤ処理のレベルなどの画像取得パラメータを設定することによって制御されることができる。一例が、
図7に示される。カメラ撮像チップ及びカメラハウジングのウォームアップ時間は、始動の最初の部分に対してより高いフレームレートを使用することによって、それぞれ約3.5倍及び約1.4倍で加速される。
【0141】
一例では、カメラの通常の使用のための画像取得パラメータが固定値を有さないことを除いて、前の例と同様に、フェーズ2が到達されると、パラメータは、較正の瞬間における温度に近い又は等しい温度が到達されるまで、動的に変更される。この特徴の主な利点は、システムが外部条件(例えば、周囲温度、手術用ライトなどの他の熱源への曝露)の影響をある程度緩和することができることである。
【0142】
段階2中の通常の使用のための画像取得パラメータ動的に調整されることを除いて、前の例と同様の、更なる例では、外部条件、例えば周囲温度、取得パラメータは、較正温度に近いシステム温度を維持するために変化する。
【0143】
所望の熱段階/システム温度が到達され、維持されることができるように画像取得パラメータをどのようにして調整するかを予測するために、システムが、システムの熱挙動のモデルを使用することを除いて、以前の例と同様な更なる例が、提供される。好ましくは、システムは、自己学習し、以前のウォームアップサイクルの記録されたデータに基づいて、及び/又は様々なソース、例えば温度センサ、撮像センサからの入力に基づいて、そのモデルを調整している。
【0144】
カメラが最小時間制御(又は最適制御)に従ってモデル化され、制御されることを除いて、以前の例と同様な、他の例では、システムは、2つの制御アクションのみ(例えば、可能な限り速い過渡現象)で平衡に到達する。そのような場合、カメラは、最初に可能な限り多くの電力を消費するように構成され、ある状態が到達されると、カメラは、所望の状態(定常状態)が到達されるまで、可能な限り少ない電力を消費するように構成される。その後、カメラは、定常状態として構成される。
【0145】
図4は、カメラベースの追跡システムの動作のための方法100の一例のステップを示す。方法100は、以下のステップを有する。
- 第1のステップ102において、少なくとも1つの動作信号が、追跡システムの開始フェーズ中に生成され、少なくとも追跡システムの開始フェーズ中に、少なくとも1つの較正補償命令を有する。少なくとも1つの較正補償命令は、i)カメラベースの追跡システムの温度を能動的に調整すること、及びii)追跡計算に使用される、カメラベースの追跡システムの較正関連カメラ出力を適応させることのグループのうちの少なくとも1つのための命令を有する。
- 第2のステップ104において、少なくとも1つの動作信号が、追跡システムに提供される。
- 第3のステップ106において、カメラベースの追跡システムは、少なくとも1つの較正補償命令を有する動作信号に基づいて動作される。
【0146】
カメラベースの追跡システムを能動的に調整することは、その幾何学的セットアップにおいてシステムを調整することに関する。能動的な調整は、実際の構成設定を修正する。カメラ出力を適応させることは、カメラによって提供される画像の空間的位置合わせに関して画像処理を修正することに関する。カメラ出力の適応は、較正によって提供される仮想セットアップを修正する。
【0147】
図3のハッシュ線によって示される一例では、初期ステップ108において、カメラベースの追跡システムを起動するための信号が、受信される。
【0148】
一例では、方法のオプションとして、追跡システムのための少なくとも1つの動作信号を生成することは、少なくとも2つのカメラのうちの少なくとも1つによって熱を生成するために、加熱モードでシステムの少なくとも2つのカメラのうちの少なくとも1つを一時的に動作させるための少なくとも1つの制御信号を生成することを含むことが提供される。少なくとも1つの制御信号は、少なくとも2つのカメラのうちの少なくとも1つを、高エネルギ消費モードで動作させるように構成され、このモードでは、カメラがマーカを追跡するように動作されるときの通常の追跡モードよりも、カメラによるより高いエネルギ消費が、行われる。この例では、カメラベースの追跡システムを動作させることは、高エネルギ消費モードで少なくとも2つのカメラのうちの少なくとも1つを動作させ、それによって、通常の追跡モードと比較してより高いエネルギ消費によって少なくともカメラを加熱することを含む。
【0149】
カメラベースの追跡システムの現在の状態と、システムの較正のために仮定されるシステムの所定条件との間の相違の低減は、通常の追跡モードと比較してより高いエネルギ消費による、少なくとも1つのカメラの加熱によって提供される。
【0150】
一例では、カメラベースの追跡システムを動作させるための方法が、提供される。この方法は、
少なくとも2つのカメラを有するカメラベースの追跡システムを起動するための信号を受信するステップと、
起動信号に基づいて、少なくとも2つのカメラのうちの少なくとも1つによって熱を生成させるために、加熱モードで少なくとも2つのカメラのうちの少なくとも1つを一時的に動作させるための少なくとも1つの制御信号を有する、追跡システムのための少なくとも1つの動作信号を生成するステップであって、
少なくとも1つの制御信号は、少なくとも2つのカメラのうちの少なくとも1つを高エネルギ消費モードで動作させるように構成され、カメラがマーカを追跡するために動作される通常の追跡モードよりも、カメラによるより高いエネルギ消費が、起こる、ステップと、
少なくとも1つの動作信号を前記追跡システムに提供するステップと、
少なくとも2つのカメラのうちの少なくとも1つを、高エネルギ消費モードで動作させ、それによって、通常の追跡モードと比較して、より高いエネルギ消費によって少なくともカメラを加熱するステップと、
を有する。
【0151】
したがって、ウォームアップ曲線の高速化は、光学システムにおける温度依存性による誤差が最小となるように、少なくとも本質的に較正温度に類似する温度に到達するように提供される。
【0152】
本方法の一例では、少なくとも1つのカメラは、所定の熱条件が到達されるまで、高エネルギ消費モードで動作される。
【0153】
オプションでは、高エネルギ消費モードは、少なくとも1つのカメラ及びシステムのグループのうちの少なくとも1つが、システムの較正の基礎であるその通常動作温度に到達するまで、維持される。
【0154】
別のオプションでは、高エネルギ消費モードは、少なくとも1つのカメラがその通常動作温度に到達した時点を超えて提供される。
【0155】
通常動作温度は、システムの較正温度とも称されることができる。
【0156】
一例では、少なくとも1つのカメラは、カメラの所定の温度が到達されるまで、高エネルギ消費モードで動作される。
【0157】
別の例では、少なくとも1つのカメラは、所定の期間、高エネルギ消費モードで動作される。
【0158】
一例では、高電力消費は、ヒートシンクとして機能するシステムの部分、例えばカメラホルダ又はフレームが、より迅速に目標温度に到達するように、カメラの通常動作温度に到達するのに必要とされるよりも長く維持される。その後、システムは、低消費電力設定に切り替わる。
【0159】
一例では、カメラのヒートシンクとして機能するシステムの部分は、システムの熱平衡が可能な限り早く到達されるように設計される。例えば、フレームのウォームアップにおける遅延、及び関連する準最適なシステム性能が最小化されるように、カメラからフレームへの熱の流れを最適化することが、提供される。
【0160】
好ましくは、カメラのヒートシンクとして機能するシステムの部分は、システムの熱平衡が可能な限り早く到達されるように、設計される。一例は、フレームのウォームアップ(及び関連する準最適なシステム性能)における遅延が最小化されるように、カメラからフレームへの熱の流れを最適化することであることができる。
【0161】
本方法の一例では、少なくとも2つのカメラのうちの少なくとも1つを高エネルギ消費モードで動作させることによって少なくとも1つのカメラを加熱した後、通常動作信号が、提供され、少なくとも1つのカメラが、通常条件下で動作される。
【0162】
オプションでは、通常動作のための設定は、較正時のシステム温度と、リアルタイム状況下でのシステムの期待される定常状態温度との間の差に基づいて、修正される。
【0163】
一例では、通常動作に使用される設定は、固定されないが、1)較正時のシステム温度と2)リアルタイム状況下でのシステムの期待される定常状態温度との間の差に基づいて調整される。例えば、通常動作時のシステム温度が較正時の温度よりも高い又は低い場合、カメラパラメータは、カメラがより少ない又はより多い電力を消費するように選択され、それによって、システムを較正状態により近い状態にする。
【0164】
一例では、通常動作のためのカメラ設定は、適切な画像データを提供しながら、最小の電力消費のために最適化される。これは、通常動作中の光学システムの定常状態温度に役立ち、したがって、コールドスタート条件(カメラは室温にある)と熱平衡が到達された温度との間の温度差を減少させる。その結果、通常の動作温度に到達するのに必要な時間が短くなるだけでなく、システムが始動中に受ける温度変動(及び関連する性能低下)が少なくなる。
【0165】
本方法の一例では、追跡システムのための少なくとも1つの動作信号を生成するために、システムのウォームアップのモデル及びその動的熱挙動が、提供され、少なくとも1つの制御信号に対して考慮される。少なくとも1つの制御信号は、複数の変化する制御サブ信号を有する信号シーケンスを有する。
【0166】
本方法の一例では、ウォームアップ中の異なる時点からの少なくとも2つの画像を分析し、現在の変位速度を決定し、それに応じて高エネルギ消費モードを調整することが、提供される。
【0167】
本方法の一例では、システムの熱挙動を監視する複数のセンサが、提供される。センサによって監視される熱挙動は、システムのウォームアップのより正確なモデルを提供するために使用される。オプションとして、システムのウォームアップのモデルは、システムの較正を動的に調整するために、ウォームアップ中にセンサからの複数の温度読取値と組み合わせて使用される。更なるオプションとして、システムの温度履歴が、提供され、残り時間は、システムが通常動作段階に到達する前に予測される。任意選択で、残り時間が、示される。
【0168】
本方法の別のオプションとして提供される例では、
カメラベースの追跡システムのための動的較正モデルを提供するステップであって、動的較正モデルは、システムの温度関連状態に依存する複数の較正係数を有する、ステップと、
カメラベースの追跡システムの現在の温度関連状態を提供するステップと、
複数の較正係数からマッチする較正係数を決定するステップと、
カメラベースの追跡システムの動作中に適用するためにマッチする較正係数を提供するステップと、
が、提供される。
【0169】
したがって、光学システムにおける温度依存性に起因する誤差が最小となるように、少なくとも本質的に動的較正温度に類似するマッチする温度を提供する修正された較正が、開始段階中に提供される。
【0170】
一例では、温度関連状態が、センサからの温度測定値を含む。例えば、センサは、システム内に設けられる。オプションでは、センサは、一体化され、他のシステム動作態様に対しても温度信号を提供する。オプションでは、センサが、排他的に較正調整のために設けられる。一態様によれば、光学システムの温度依存挙動が、測定され、モデル化される。変化する特性を前もって知ることに加えて(例えば、シミュレーションに基づいて、又は経験的データに基づいて)、カメラ及び支持ハードウェアの温度をリアルタイムで監視するために、追加の温度センサが、提供されることができる。
【0171】
定常状態に関連する静的較正を使用するのではなく、動的較正モデルが、提供される。一例では、動的較正モデルは、始動から経過する時間に依存する。一例では、動的較正は、例えば温度センサ読取値を使用して、現在の温度条件に依存する。一例では、動的較正モデルは、始動から経過する時間及び現在の温度条件を考慮して使用される。
【0172】
一例では、ルックアップテーブルが、前もって提供される。
【0173】
1つの基本的なアプローチでは、始動からの時間のみが、ルックアップテーブルから較正パラメータの正しいセットをピックアップするために使用される。
【0174】
別の基本的なアプローチでは、ルックアップテーブルから較正パラメータの正しいセットをピックアップするために使用される、温度センサからの測定値が、提供される。
【0175】
例えば、カメラチップのうちの1つの内部温度センサは、おそらく最良の結果を与える較正パラメータのセットを選択するように使用される。
【0176】
別のより進んだアプローチでは、カメラの開始温度は、周囲温度と組み合わせて、ウォームアップ曲線を推定し、したがって、正しい較正係数を提供するのに使用される。
【0177】
一例では、現在の温度関連状態が、システムのウォームアップ中に2つ以上の更新された較正係数を提供するために、例えばコンスタントに又は変化する間隔で、更新される。
【0178】
図5は、開始後の時間に関する追跡誤差を示す曲線200を有するグラフを示す。縦軸202は、追跡誤差E
TRをミリメートルで示し、横軸204は、始動後の時間t
ASTを分で示す。光学追跡システムのウォームアップ中、追跡誤差は、システムの温度が安定すると、システムのベースラインレベル206(固有精度)に到達するまで、徐々に小さくなる。好ましくは、最大誤差レベル208から定常状態に到達するのに必要とされる時間Aは、ユーザが始動後すぐにシステムを使用することを可能にするように短い。システムの異なる温度状態、例えば、コールドスタート又は動作温度に関連する追跡誤差の差Bは、温度変動に対するシステムのロバスト性の尺度である。垂直線210は、段階1とも称される第1の段階S1を、段階2とも称される第2の段階S2から分離する。
【0179】
図6は、開始後の時間に対するシステムの温度を示す曲線220を有するグラフを示す。縦軸222は、温度Tを℃(摂氏)で示し、横軸224は、始動後の時間t
ASTを分で示す。グラフは、ウォームアップフェーズ、例えば段階S1、及びより定常的な動作フェーズ、例えば段階S2に分割されることができる。分離は、垂直線226で示される。
【0180】
図7は、異なる動作モードについてシステム温度を経時的に示す異なる曲線を有するグラフ230を示す。縦軸232は、温度Tを℃で示し、横軸234は、時間tを分で示す。工業規格のマシンビジョンカメラを有する光学追跡システムでは、カメラの測定された電力消費が、画像取得パラメータを変更することによって増加されることができる。この特定の例では、フレームレートを15フレーム/秒(fps)から30フレーム/秒(fps)に増加させることによって、電力消費が、2.6Wから2.96Wに増加される。カメラ撮像チップ及びカメラハウジングのウォームアップは、より高いフレームレートを使用してウォームアップをブーストすることによって、それぞれ3.5倍及び1.4倍で加速された。第1の曲線236は、30fpsに対するカメラ内部温度を示し、第2の曲線238は、15fpsに対するカメラ内部温度を示す。第3の曲線240は、30fpsに対する外部温度、すなわち、カメラの外側の温度を示し、第4の曲線242は、15fpsに対する外部温度、すなわち、カメラの外側の温度を示す。更なる曲線244は、空気温度を示す。見て分かるように、フレームレートの増加は、温度が急激に上昇する初期段階中に、温度の著しい増加をもたらし、次いで定常状態温度に向かって平坦化する。
【0181】
図8は、経時的なシステム温度及びカメラの消費電力のウォームアップパターンの例を示すグラフを示す。上側のグラフでは、縦軸250は、温度Tを℃で示し、横軸252は、始動後の時間t
ASTを分で示す。下側のグラフにおいて、縦軸254は、カメラの消費電力PをWで示し、始動後の分単位の時間t
ASTは、横軸256に再度示される。段階S1の間、第1の曲線258で示される、デフォルトの高電力要求設定D
EF H-PSは、システムのウォームアップを加速するために使用される。段階S2が到達されると、システムは、温度曲線T
Sの定常線部260で示される、カメラの通常使用に対するデフォルト設定に切り替わる。比較のために、更なる曲線262は、デフォルトの通常電力設定、D
EFN-PSを示す。上側のグラフにおいて、水平線284は、較正温度T
Cを示す。見て分かるように、高電力要求カメラ設定の適用は、温度の上昇をもたらし、動作温度を達成するより早い時間をもたらす。
【0182】
図9は、経時的なシステム温度及びカメラ消費電力のウォームアップパターンの別の例を示すグラフを示す。上側のグラフにおいて、縦軸270は、温度Tを℃で示し、横軸272は、時間tを分で示す。下側のグラフにおいて、縦軸274は、カメラの電力消費PをWで示し、横軸276は、時間tを分で示す。段階S2の開始時に、画像取得パラメータ及び関連するカメラ電力消費は、較正温度に到達するまで動的に調整される。曲線の第1の部分278は、デフォルトの高電力設定、D
EF H-PSの適用を示し、曲線の第2の部分280は、動的電力設定、D
YN PSの適用を示す。下側のグラフの曲線282は、変化するカメラ電力消費CPCを示す。上側のグラフにおいても、水平線310は、較正温度T
Cを示す。見て分かるように、電力消費の動的適応は、第1の段階S1及び第2の段階S2の境界における遷移期間において提供される。
【0183】
図10は、経時的なシステム温度及びカメラ電力消費のウォームアップパターンの更なる例を示すグラフを示す。上側のグラフでは、縦軸290は、システム温度T
Sを℃で示し、横軸292は、始動後の時間t
ASTを分で示す。中央のグラフにおいて、縦軸294は、周囲温度T
Aを℃で示し、横軸296は、始動後の時間t
ASTを分で示す。下側のグラフにおいて、縦軸298は、カメラの消費電力PをWで示し、横軸300は、始動後の時間t
ASTを分で示す。段階S2の間、画像取得パラメータ(及び関連するカメラ電力消費)は、較正時におけるシステム温度に近い温度が維持されるように、外部条件、例えば周囲温度の変動の影響を緩和するように動的に調整される。第1の部分302は、デフォルト高電力設定、D
EFH-PSの適用を示し、曲線の第2の部分304は、動的電力設定、D
YNPSの適用を示す。中央のグラフの曲線306は、周囲温度の低下を示す。下側のグラフの曲線308は、変化するカメラ電力消費CPCを示す。見て分かるように、初期加熱の後でさえ、システム温度の更なる調整は、動作中の較正を考慮して対処され得る。一例として、周囲温度の変化が、示される。反応として、カメラの消費電力が、これに応じて調整される。
【0184】
用語「対象」は、個体とも称され得る。「対象」は、更に、患者とも称され得るが、この用語は、任意の疾患又は病気が対象に実際に存在するかどうかを示さないことに留意されたい。
【0185】
一例では、上記の例のうちの1つによる装置を制御するためのコンピュータプログラム又はプログラム要素が、提供され、このプログラム又はプログラム要素は、処理ユニットによって実行されるとき、上記の方法例のうちの1つの方法ステップを実行するように構成される。
【0186】
したがって、コンピュータプログラム要素は、コンピュータユニットに記憶されてもよく、又は本発明の実施形態の一部であってもよい2つ以上のコンピュータユニットにわたって分散されてもよい。この計算ユニットは、上述の方法のステップを実行する又はその実行を誘導するように構成されてもよい。更に、それは、上述の装置の構成要素を動作させるように構成されてもよい。計算ユニットは、自動的に動作するように及び/又はユーザのオーダを実行するように構成されることができる。コンピュータプログラムは、データプロセッサのワーキングメモリにロードされてもよい。従って、データプロセッサは、本発明の方法を実行するように構成され得る。
【0187】
本発明の態様は、コンピュータによって実行され得るコンピュータ可読記憶装置上に記憶されたコンピュータプログラム命令の集合であってもよい、コンピュータプログラム製品において実施されてもよい。本発明の命令は、スクリプト、解釈可能プログラム、ダイナミック・リンク・ライブラリ(DLL)又はJavaクラスを含むが、これらに限定されない、任意の解釈可能又は実行可能コードメカニズムあってもよい。命令は、完全な実行可能プログラム、部分的な実行可能プログラム、既存のプログラムに対する修正(例えば、アップデート)又は既存のプログラムに対する拡張(例えば、プラグイン)として提供されることができる。更に、本発明の処理の一部は、複数のコンピュータ又はプロセッサに分散されてもよい。
【0188】
上述のように、処理ユニット、例えばコントローラは、制御方法を実施する。このコントローラは、必要とされる様々な機能を実行するために、ソフトウェア及び/又はハードウェアを用いて、様々な方法で実施されることができる。プロセッサは、必要とされる機能を実行するために、ソフトウェア(例えば、マイクロコード)を使用してプログラムされ得る1つ以上のマイクロプロセッサを用いるコントローラの一例である。しかしながら、コントローラは、プロセッサの有無にかかわらず実施されてもよく、幾つかの機能を実行するための専用ハードウェアと、他の機能を実行するためのプロセッサ(例えば、1つ以上のプログラムされたマイクロプロセッサ及び関連する回路)との組み合わせとして実施されてもよい。
【0189】
本開示の様々な実施形態に用いられるコントローラの構成要素の例は、従来のマイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を含むが、これらに限定されない。
【0190】
本発明のこの例示的な実施形態は、最初から本発明を使用するコンピュータプログラムと、アップデートの手段によって既存のプログラムを本発明を使用するプログラムに変えるコンピュータプログラムとの両方を包含する。
【0191】
更に、コンピュータプログラム要素は、上述の方法の例示的な実施形態の手順を満たすために必要なすべてのステップを提供することができてもよい。
【0192】
本発明の更なる例示的な実施形態によれば、CD-ROMなどのコンピュータ可読媒体が、提示され、コンピュータ可読媒体は、その上に記憶されたコンピュータプログラム要素を有し、そのコンピュータプログラム要素は、前のセクションによって説明される。コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共に又は他のハードウェアの一部として供給される光記憶媒体又はソリッドステート媒体などの適切な媒体上に記憶及び/又は配布され得るが、インターネット又は他の有線もしくは無線通信システムを介してなど、他の形態で配布されてもよい。
【0193】
しかしながら、コンピュータプログラムは、ワールドワイドウェブのようなネットワーク上で提示されてもよく、そのようなネットワークからデータプロセッサのワーキングメモリにダウンロードされることができる。本発明の更なる例示的な実施形態によれば、コンピュータプログラム要素をダウンロードのために利用可能にするための媒体が、提供され、このコンピュータプログラム要素は、本発明の前述の実施形態のうちの1つによる方法を実行するように構成される。
【0194】
本発明の実施形態は、それぞれ異なる主題を参照して説明されることに留意されたい。特に、いくつかの実施形態は、方法タイプの請求項を参照して説明され、他の実施形態は、装置タイプの請求項を参照して説明される。しかしながら、当業者は、上記及び下記の説明から、別段の通知がない限り、1つのタイプの主題に属する特徴の任意の組み合わせに加えて、異なる主題に関する特徴間の任意の組み合わせも、本出願で開示されることを理解するであろう。しかしながら、全ての特徴が、組み合わされて、特徴の単純な合計よりも高い相乗効果を提供することができる。
【0195】
本発明は、図面及び前述の説明において詳しく図示及び説明されてきたが、そのような図示及び説明は、例示的又は説明的であり、限定的ではないと考えられるべきである。本発明は、開示された実施形態に限定されない。開示された実施形態に対する他の変形は、図面、開示及び従属請求項の検討から、請求項に記載の発明を実施する際に当業者によって理解され達成されることができる。
【0196】
請求項において、単語「有する」は、他の要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は、複数性を排除するものではない。単一のプロセッサ又は他のユニットは、特許請求の範囲に記載されたいくつかの項目の機能を満たしてもよい。特定の手段が相互に異なる従属請求項において言及されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示すものではない。請求項におけるいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【国際調査報告】