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特表2024-542259プロゲリニンを含むナノ懸濁液及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】プロゲリニンを含むナノ懸濁液及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/353 20060101AFI20241106BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241106BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20241106BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20241106BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20241106BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20241106BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20241106BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
A61K31/353
A61P43/00 111
A61K9/10
A61K9/14
A61K47/38
A61K47/14
A61K47/12
A61K47/22
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024530513
(86)(22)【出願日】2021-12-08
(85)【翻訳文提出日】2024-05-22
(86)【国際出願番号】 KR2021018550
(87)【国際公開番号】W WO2023106447
(87)【国際公開日】2023-06-15
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519379835
【氏名又は名称】ピーアールジー エスアンドテック インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PRG S&TECH INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100181847
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 かおり
(72)【発明者】
【氏名】キム ミンジュ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA22
4C076AA29
4C076BB01
4C076CC50
4C076DD41
4C076DD59
4C076EE23E
4C076EE32F
4C076FF06
4C076FF34
4C076FF36
4C076FF63
4C076GG01
4C076GG03
4C086AA01
4C086AA02
4C086CA01
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA23
4C086MA52
4C086NA02
4C086NA03
4C086NA05
4C086NA11
4C086ZC52
4C086ZC54
(57)【要約】
本発明は、難溶性であるプロゲリニン薬物に適したナノ懸濁液剤形及びその製造方法に関するものである。具体的に、本発明によるプロゲリニンナノ懸濁液は、難溶性であるプロゲリニン薬物(a)の分散安定性を向上させるためのビヒクル組成物であって、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)(b)またはヒドロキシプロピルセルロース(HPC)(b’)、TPGS(c)またはコハク酸ジオクチルナトリウム(DOSS)(c’)及びソルビン酸カリウム(d)を使用し、これらの混合物をダイノーミルチャンバで湿式ボールミリングして平均粒径が100~300nmであるプロゲリニン薬物が含まれた白色ナノ懸濁液に製造した。このようなナノ懸濁液は、プロゲリニン薬物粒子の均一な分散性、低温または苛酷な環境でも薬物粒子のサイズ変化の最小化及び優れた薬物の生体吸収効率を有する。したがって、本発明によるプロゲリニンを含むナノ懸濁液は、早老症の治療効果を確認するための経口用ナノ懸濁液製剤として広く用いられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)下記化学式1で表されるプロゲリニン化合物1~10重量%と、
(b)高分子懸濁化剤であるヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)0.5~5重量%と、
(c)溶解増強剤であるD-α-トコフェロールポリエチレングリコールコハク酸(TPGS)0.5~5重量%と、
(d)保存剤であるソルビン酸カリウム0.1~0.5重量%と、を含むが、
前記プロゲリニン化合物は、湿式ボールミリングして平均粒径(D50)が100~300nmに形成された薬物粒子であることを特徴とする、プロゲリニンを含むナノ懸濁液。
【化1】
【請求項2】
(a)下記化学式1で表されるプロゲリニン化合物1~10重量%と、
(b’)高分子懸濁化剤であるヒドロキシプロピルセルロース(HPC)0.5~5重量%と、
(c’)界面活性剤であるコハク酸ジオクチルナトリウム(DOSS)0.1~0.5重量%と、
(d)保存剤であるソルビン酸カリウム0.1~0.5重量%と、を含むが、
前記プロゲリニン化合物は、湿式ボールミリングして平均粒径(D50)が100~300nmに形成された薬物粒子であることを特徴とする、プロゲリニンを含むナノ懸濁液。
【化2】
【請求項3】
前記難溶性プロゲリニン薬物は、平均粒径(D50)が150~250nmであることを特徴とする、請求項1または2に記載のプロゲリニンを含むナノ懸濁液。
【請求項4】
前記ナノ懸濁液は、粘度が2~8.5mPa・sであることを特徴とする、請求項1または2に記載のプロゲリニンを含むナノ懸濁液。
【請求項5】
前記ナノ懸濁液は、4℃の温度条件で20日以上薬物粒子の均一な分散性による安定性を有することを特徴とする、請求項1または2に記載のプロゲリニンを含むナノ懸濁液。
【請求項6】
(i)精製水にヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)(b)及びD-α-トコフェロールポリエチレングリコールコハク酸(TPGS)(c)を混合してビヒクル溶液を製造した後、下記化学式1で表されるプロゲリニン(a)を入れ、混合して懸濁液を製造する段階と、
(ii)前記懸濁液を湿式ボールミリングしてナノ懸濁液を製造する段階と、
(iii)前記ナノ懸濁液にソルビン酸カリウム(d)を混合して最終的に安定性が向上したナノ懸濁液を製造する段階と、を含むが、
前記(iii)段階のナノ懸濁液内のプロゲリニン化合物は、平均粒径(D50)が100~300nmである薬物粒子の形態であることを特徴とする、プロゲリニンを含むナノ懸濁液の製造方法。
【化3】
【請求項7】
(i)精製水にヒドロキシプロピルセルロース(HPC)(b’);及びコハク酸ジオクチルナトリウム(DOSS)(c’);を混合してビヒクル溶液を製造した後、下記化学式1で表されるプロゲリニン(a)を入れ、混合して懸濁液を製造する段階と、
(ii)前記懸濁液を湿式ボールミリングしてナノ懸濁液を製造する段階と、
(iii)前記ナノ懸濁液にソルビン酸カリウム(d)を混合して最終的に安定性が向上したナノ懸濁液を製造する段階と、を含むが、
前記(iii)段階のナノ懸濁液内のプロゲリニン化合物は、平均粒径(D50)が100~300nmである薬物粒子の形態であることを特徴とする、プロゲリニンを含むナノ懸濁液の製造方法。
【化4】
【請求項8】
前記(i)段階の精製水50~70℃の温度であることを特徴とする、請求項6または7に記載のプロゲリニンを含むナノ懸濁液の製造方法。
【請求項9】
前記(ii)段階で湿式ボールミリング時に、(i)段階の懸濁液とジルコニアビーズとを1:1~1:5の体積比で混合してミリングしてナノ懸濁液を製造することを特徴とする、請求項6または7に記載のプロゲリニンを含むナノ懸濁液の製造方法。
【請求項10】
前記(iii)段階のナノ懸濁液は、平均粒径が150~250nmであるプロゲリニン薬物ナノ粒子を含むことを特徴とする、請求項6または7に記載のプロゲリニンを含むナノ懸濁液の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、難溶性薬物であるプロゲリニン(Progerinin)を含むナノ懸濁液及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの有用な薬物は、水性媒質で低溶解度を有する疎水性であって、水性ビヒクルで懸濁液に剤形化することが難しい。特に、このような特性によって、湿潤剤が水性媒質で疎水性薬物粒子の懸濁を促進させるために度々必要である。表面活性湿潤剤(すなわち、界面活性剤)、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムが薬物粒子と懸濁液ビヒクルとの間の界面張力を減少させて、懸濁液ビヒクルが薬物凝集物及び/または薬物粒子気孔への浸透を可能にして、少なくとも部分的に水性媒質での疎水性薬物の懸濁性を増加させると知られている。しかし、有利な薬物-懸濁効果以外に、懸濁液での界面活性剤の使用は、また可溶された、及び/または溶解された遊離薬物の望ましくない結果を招く。
【0003】
可溶された、及び/または溶解された薬物は、化学的分解及び/または他の成分との相互作用に脆弱であるために、遊離薬物を含有する懸濁液は、化学的に不安定である。低溶解性薬物の懸濁を促進するために、相対的に高い界面活性剤の量を使用するさらに他の望ましくない結果は、界面活性剤が気泡を安定化させるために、このような懸濁液の均質化または振盪の間に伴される空気が捕獲された状態で残る傾向があるということである。このような捕獲された空気は、撹拌力、撹拌期間及び撹拌経過時間によって変わるために、懸濁液の体積が変化して経時的な均一な投与量で投与しにくくするか、不可能にする。
【0004】
もし、低水溶解性の薬物が懸濁液として投与されれば、懸濁液は、適した投与量の均一性を提供するために緩やかな沈降を示すことが望ましい。逆に、迅速な沈降が発生すれば、ビヒクルの場合でのように、懸濁液は投与量の均一性を果たすために、毎投与前に振盪させなければならない。その他の因子(例えば、薬物粒子サイズ、均一性及び密度)が同等であれば、特定の懸濁液ビヒクルの粘度が増加するにつれて、薬物粒子の沈降速度が減少する。したがって、懸濁液は、適当に粘性であって、薬物粒子の沈降を抑制するか、緩慢化させることが望ましい。しかし、このような増加した粘度は、物理的安定性を促進させる一方、これは、また懸濁液を注ぐか、または投与することを難しくする。
【0005】
一方、下記化学式1の構造を有するプロゲリニンは、優れたプロゲリン発現抑制効果及びプロゲリンとラミンAとの結合抑制効果を示し、早老症が誘導された動物モデルの生存期間を延長させる効果を有する薬物であって、早老症の予防または治療用薬学組成物として用いられる。
【0006】
【化1】
【0007】
前記プロゲリニンの化合物名は、(7S)-(+)-8,8-ジメチル-7-(3-フェニル-アリルオキシ)-7,8-ジヒドロ-6H-ピラノ[3,2-g]クロメン-2-オン((7S)-(+)-8,8-Dimethyl-7-(3-phenylallyloxy)-7,8-dihydro-6H-pyrano[3,2-g]chromen-2-one)(これは、「SLC-D011」と名付けられる)である。
【0008】
プロゲリニンは、早老症に効果があるということを明らかにした薬物であって、BCS(Biopharmaceutical Classification System)の基準による水溶性媒質(aqueous media)で高い見掛け透過性(high apparent permeability)及び低い溶解度を示すBCSクラスII分子である。
【0009】
プロゲリニン薬物の低い水溶解性の特性によって治療的応用は非常に制限的である。このような限界を克服するために、重合体ナノ粒子、固体脂質ナノ粒子、自己-エマルジョン化薬物伝達システム、ナノエマルジョン、リポソーム、ナノ懸濁液及びナノ繊維などの使用のような多数の方法が研究されてきた。そのうち、ナノ懸濁液は、高分子、界面活性剤、またはこの両方ともがいずれもある条件下での安定化された薬物粒子のコロイド性の分散液を言う。ナノ懸濁液は、低い水溶解性と脂質溶解性とを示す薬物物質の伝達に使われる。ナノ懸濁液の小さな粒子は、非常に大きな薬物表面積を提供して不溶性薬物の溶解比率を増加させる。結果として、BCSクラスII及びIV化合物は、向上した生体利用率、速い活性及び他の望ましい生物薬剤学上の効果を示す。
【0010】
このような背景下で、本発明者らは、オイル基盤の溶液であるモノオレイン(monoolein)及びトリカプリン(tricaprin)混合物を用いて動物実験の進行が可能であったが、疾患の特性上、高容量及び長期服用が必要に応じてオイルに溶かされた剤形の使用が不可能であるということが分かり、長期服用が可能な新たな剤形の開発が必要な状態であるということを認知した。特に、前述したプロゲリニンは、水に対する溶解度が0に近いほどに難溶性であり、既存の摂取可能な溶媒に対しても、溶解度が非常に低くて新たな技術導入を通じて長期服用と人体吸収とが可能な剤形の開発が必要な状況である。
【0011】
これにより、本発明者らは、早老症の予防または治療効果を有するプロゲリニン薬物に適したナノ懸濁液(nanosuspension)剤形及びその製造方法を開発しようとした。具体的に、生体吸収効率に優れたプロゲリニン薬物の粒径を最適化し、ナノ懸濁液の製造のための水溶性高分子、賦形剤などを選別して、優れた分散性または均一性及び向上した生体利用率を有する安定性が向上したプロゲリニン薬物を含有するプロゲリニン経口用ナノ懸濁液製剤を開発しようとした。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、優れた生体利用率を有するプロゲリニン薬物を含有するナノ懸濁液の製造方法を提供することである。本発明のさらに他の目的は、薬物の生体利用率と共に、安定性が向上した経口服用が容易な剤形を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を果たすために、本発明は、(a)下記化学式1で表されるプロゲリニン化合物1~10重量%;(b)高分子懸濁化剤であるヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)0.5~5重量%;(c)溶解増強剤(Solubility enhancer)であるD-α-トコフェロールポリエチレングリコールコハク酸(Tocopherol polyethyleneglycol succinate、TPGS)0.5~5重量%;及び(d)保存剤であるソルビン酸カリウム(Potassium sorbate)0.1~0.5重量%;を含むが、前記プロゲリニン化合物は、湿式ボールミリング(wet type ball milling)して平均粒径(D50)が100~300nmに形成された薬物粒子であることを特徴とするプロゲリニンを含むナノ懸濁液を提供する。
【0014】
前記他の目的を果たすために、本発明は、(a)下記化学式1で表されるプロゲリニン化合物1~10重量%;(b’)高分子懸濁化剤であるヒドロキシプロピルセルロース(HPC)0.5~5重量%;(c’)界面活性剤であるコハク酸ジオクチルナトリウム(DOSS)0.1~0.5重量%;及び(d)保存剤であるソルビン酸カリウム0.1~0.5重量%;を含むが、前記プロゲリニン化合物は、湿式ボールミリングして平均粒径(D50)が100~300nmに形成された薬物粒子であることを特徴とするプロゲリニンを含むナノ懸濁液を提供する。
【0015】
前記さらに他の目的を果たすために、本発明は、(i)精製水にヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)(b)及びD-α-トコフェロールポリエチレングリコールコハク酸(TPGS)(c)を混合してビヒクル溶液を製造した後、下記化学式1で表されるプロゲリニン(a)を入れ、混合して懸濁液を製造する段階;(ii)前記懸濁液を湿式ボールミリングしてナノ懸濁液を製造する段階;及び(iii)前記ナノ懸濁液にソルビン酸カリウム(d)を混合して最終的に安定性が向上したナノ懸濁液を製造する段階;を含むが、前記(iii)段階のナノ懸濁液内のプロゲリニン化合物は、平均粒径(D50)が100~300nmである薬物粒子の形態であることを特徴とするプロゲリニンを含むナノ懸濁液の製造方法を提供する。
【0016】
前記さらに他の目的を果たすために、本発明は、(i)精製水にヒドロキシプロピルセルロース(HPC)(b’);及びコハク酸ジオクチルナトリウム(DOSS)(c’);を混合してビヒクル溶液を製造した後、下記化学式1で表されるプロゲリニン(a)を入れ、混合して懸濁液を製造する段階;(ii)前記懸濁液を湿式ボールミリングしてナノ懸濁液を製造する段階;及び(iii)前記ナノ懸濁液にソルビン酸カリウム(d)を混合して最終的に安定性が向上したナノ懸濁液を製造する段階;を含むが、前記(iii)段階のナノ懸濁液内のプロゲリニン化合物は、平均粒径(D50)が100~300nmである薬物粒子の形態であることを特徴とするプロゲリニンを含むナノ懸濁液の製造方法を提供する。
【0017】
【化2】
【発明の効果】
【0018】
本発明は、難溶性であるプロゲリニン薬物に適したナノ懸濁液剤形及びその製造方法に関するものであって、本発明によるナノ懸濁液は、微粒化されたプロゲリニン薬物に水溶性高分子であるヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)またはヒドロキシプロピルセルロース(HPC);溶解増加剤であるD-α-トコフェロールポリエチレングリコールコハク酸(TPGS)または界面活性剤であるコハク酸ジオクチルナトリウム(DOSS);及び保存剤であるソルビン酸カリウム;を混合し、それをダイノーミル(Dyno-Mill)チャンバで所定の時間の間にボールミリングして得た平均粒径が200nm以下の薬物粒子を含むナノ懸濁液の場合、優れた生体利用率を示した(実施例1-1及び図1)。
【0019】
このように、本発明によるプロゲリニンを有効成分として含むナノ懸濁液は、均一な分散性及び安定性を有するが、実験の結果、4℃で20日以上(最長70日程度)200nm以下の粒子均質性を保持して分散安定性及び優れた生体吸収効率を有することを確認した。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】プロゲリニン懸濁液の薬物動態学(pharmacokinetic)の分析結果である。
図2】熱溶融押出法(HMT)を用いて製造した固体分散体の溶解度の測定結果である。
図3】高分子を多様な比率(1:1)で使用して熱溶融押出(Hot Melt Extusion)工程を用いて製造した固体分散体の溶解度の測定結果である。
図4】熱溶融押出工程を用いて製造した固体分散体に対する薬物動態学の分析結果である。
図5】噴霧乾燥(Spray drying)工程を利用した無定形固体分散体に対する溶解度の測定結果である(A:pH1.2、B:pH6.8)。
図6】噴霧乾燥工程を用いて製造した固体分散体に対する薬物動態学の分析結果である。
図7】ビーズを利用した湿式ボールミリングを用いて製造したナノ懸濁液の形状(上段)とプロゲリニン薬物の平均粒径を測定した結果(下段)である。
図8】本発明によるナノ懸濁液の製造過程を示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明をより詳しく説明する。
【0022】
本発明者らは、微粒化されたプロゲリニン薬物をヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、D-α-トコフェロールポリエチレングリコールコハク酸(TPGS)及びソルビン酸カリウムを含むビヒクル溶液に混合し、それをダイノーミルチャンバで所定の時間の間に湿式ボールミリングして得たナノ懸濁液の場合、平均粒径(D50)が200nm以下の粒子を含んでおり、粒子の均一な分散性を有し、4℃で20日以上分散性が保持されて安定性を有する生体利用率が向上したプロゲリニンナノ懸濁液の製造方法を完成した。
【0023】
したがって、本発明は、生体利用率が向上したプロゲリニンを含むナノ懸濁液を提供する。
【0024】
具体的に、1つの例として、本発明によるナノ懸濁液は、(a)下記化学式1で表されるプロゲリニン化合物1~10重量%;(b)高分子懸濁化剤であるヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)0.5~5重量%;(c)溶解増強剤であるD-α-トコフェロールポリエチレングリコールコハク酸(TPGS)0.5~5重量%;及び(d)保存剤であるソルビン酸カリウム0.1~0.5重量%;を含む。
【0025】
他の実施例として、本発明によるナノ懸濁液は、(a)下記化学式1で表されるプロゲリニン化合物1~10重量%;(b’)高分子懸濁化剤であるヒドロキシプロピルセルロース(HPC)0.5~5重量%;(c’)界面活性剤であるコハク酸ジオクチルナトリウム(DOSS)0.1~0.5重量%;及び(d)保存剤であるソルビン酸カリウム0.1~0.5重量%;を含む。
【0026】
【化3】
【0027】
前記プロゲリニン(a)は、デクルシン誘導体であって、(7S)-(+)-8,8-ジメチル-7-(3-フェニル-アリルオキシ)-7,8-ジヒドロ-6H-ピラノ[3,2-g]クロメン-2-オンである。本発明では、プロゲリニンを「SLC-D011」とも名付けることができる。
【0028】
プロゲリニン薬物は、優れたプロゲリン発現抑制効果及びプロゲリン及びラミンAの結合抑制効果を示し、早老症が誘導された動物モデルの生存期間を延長させる効果を有する薬物であって、老化関連疾患である早老症の予防または治療用薬学組成物として用いられる。プロゲリニンは、水に対する溶解度が0に近いほどに難溶性であるが、本発明では、溶解度を向上させ、長期服用と人体吸収とが可能な剤形を提供する。
【0029】
具体的に、本発明において、高分子懸濁化剤である水溶性高分子に該当するヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)(b)またはヒドロキシプロピルセルロース(HPC)(b’)は、溶液内のプロゲリニン薬物及びその他の成分の分散を助ける成分である。前記高分子懸濁化剤は、ナノ懸濁液全体に対して0.5~5重量%を含むことが望ましい。さらに望ましくは、1~3重量%である。
【0030】
前記範囲未満に高分子懸濁化剤を含む場合、懸濁液の沈降率が不良となり、前記範囲超過の高分子懸濁化剤を含む場合、撹拌が難しくて製造が難しくなる。特に、高分子懸濁化剤が前記範囲超過に含まれる場合、撹拌が均一になされず、懸濁液の分散性が低くなり、これにより、製品の生産時に、含量未達の不良製品の量が増加する問題がある。
【0031】
本発明において、溶解増強剤であるD-α-トコフェロールポリエチレングリコールコハク酸(TPGS)(c)は、難溶性薬物の溶解度を向上させる成分である。前記TPGSは、ナノ懸濁液全体に対して0.5~5重量%を含むことが望ましい。さらに望ましくは、1重量%である。前記範囲未満に溶解増強剤を含む場合、溶解度が低くなり、前記範囲超過の溶解増強剤を含む場合、毒性許容限界を超過することができて前記範囲内で使用することが望ましい。
【0032】
また、本発明において、溶解増強剤の代わりに、界面活性剤であるコハク酸ジオクチルナトリウム(DOSS)(c’)を使用することができる。この際、界面活性剤は、0.1~0.5重量%を使用することが望ましい。さらに望ましくは、0.25重量%である。前記範囲未満に界面活性剤を含む場合、溶解度が低くなり、前記範囲超過の界面活性剤を含む場合、毒性許容限界を超過することができて前記範囲内で使用することが望ましい。
【0033】
前記懸濁液内の難溶性薬物であるプロゲリニン薬物は、平均粒径(D50)が100~300nmであることが望ましい。さらに望ましくは、平均粒径が150~250nm、さらに望ましくは、平均粒径が200nm以下である。前記範囲内の平均粒径を有する場合、最も可溶性に優れ、ナノ粒子はさらに大きな表面積を有してさらに容易に溶解されるので、生体利用率または生体吸収効率を極大化することができる。これは、後述する実施例<1-1>を通じて確認した。また、前記平均粒径を有するナノ懸濁液の製造のためには、ダイノーミルを用いて湿式ボールミリングを通じて製造することができる。
【0034】
本発明において、「安定性(stablity)」とは、薬物粒子の均質性、分散性、沈殿安定性、貯蔵安定性をいずれも含みうる。特に、本発明によるナノ懸濁液は、4℃で20日以上均一な分散性を有し、懸濁液の製造容易性及び保管安定性を高めたという点で進歩した効果を有する。
【0035】
一方、「沈降率(sinking rate)」は、流体内で粒子が沈む速度と程度とを意味するものであって、懸濁液の場合、医薬品として販売される許可を受けるためには、一定のレベル以上の沈降度を満足(1が最大である場合、0.9以上であることが要求される)しなければならない。本発明によるナノ懸濁液は、プロゲリニン薬物に適したヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、TPGSまたはコハク酸ジオクチルナトリウム(DOSS)、及びソルビン酸カリウムを含むビヒクル溶液を使用することにより、沈降率が非常に優れているという長所を有する。
【0036】
また、本発明の懸濁液のpHは、5.5~8.5であり、望ましくは、6.0~7.0でもある。
【0037】
また、前記ナノ懸濁液は、粘度が2~8.5mPa・sであり、望ましくは、7~8.5mPa・sでもある。
【0038】
本発明のナノ懸濁液は、甘味剤、保存剤、香味剤、pH調節剤及び着色剤からなる群から選択された1つ以上の成分をさらに含みうる。
【0039】
本発明の用語「甘味剤」は、甘みを出すが(再現するが)、一般的にさらに少ない食品熱量を有する食品添加剤を称するものであって、天然または合成されたものをいずれも含む。前記甘味剤は、食品及び医薬分野で通常使われるものであれば、本発明に制限なしに適用可能である。
【0040】
本発明に使われる用語「保存剤」は、微生物の増殖または所望しない化学的変化による分解を防ぐ薬剤学的に許容可能な物質を意味する。前記保存剤は、殺菌性及び/または殺真菌性または抗酸化剤の特性を有し、本発明では、ソルビン酸カリウム(d)0.1~0.5重量%を使用することが望ましく、さらに望ましくは、0.2重量%である。前記範囲内で薬物の有効性を阻害せずとも、保存期間を向上させうる。ミリング(milling)前に添加する場合、含量が減少することにより、ミリング後、後添加してナノ懸濁液を完成することが望ましい。
【0041】
本発明に使われる用語「香味剤(flavor、flavor)、フレーバー」または「アロマ(aroma)」は、自然的または合成的由来であるかを問わず、食品産業で一般的に使われる香味剤成分または組成物を含む。これは、単一化合物または混合物を含む。
【0042】
本発明に使われる用語「pH調節剤」は、所望の値に懸濁液のpHを調整するために使われる賦形剤であり、例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウムまたはアスコルビン酸であるが、これに制限されるものではなく、本発明の技術分野で通常使われるものは制限なしに本発明に用いられる。
【0043】
本発明で使われる用語「着色剤」は、懸濁液の色を異ならせるために含まれるものであって、剤形に含んで所望の色を帯びる懸濁液を製造するために使用することができる。本発明の技術分野で通常使われるものであれば、制限なしに本発明に含まれる。
【0044】
また、本発明は、生体利用率と安定性とが向上した難溶性デクルシン誘導体薬物を含むナノ懸濁液の製造方法を提供する。
【0045】
具体的に、1つの実施例として、本発明によるナノ懸濁液の製造方法は、(i)精製水にヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)(b)及びD-α-トコフェロールポリエチレングリコールコハク酸(TPGS)(c)を混合してビヒクル溶液を製造した後、下記化学式1で表されるプロゲリニン(a)を入れ、混合して懸濁液を製造する段階;(ii)前記懸濁液を湿式ボールミリングしてナノ懸濁液を製造する段階;及び(iii)前記ナノ懸濁液にソルビン酸カリウム(d)を混合して最終的に安定性が向上したナノ懸濁液を製造する段階;を含む。
【0046】
他の実施例として、本発明によるナノ懸濁液の製造方法は、(i)精製水にヒドロキシプロピルセルロース(HPC)(b’);及びコハク酸ジオクチルナトリウム(DOSS)(c’);を混合してビヒクル溶液を製造した後、下記化学式1で表されるプロゲリニン(a)を入れ、混合して懸濁液を製造する段階;(ii)前記懸濁液を湿式ボールミリングしてナノ懸濁液を製造する段階;及び(iii)前記ナノ懸濁液にソルビン酸カリウム(d)を混合して最終的に安定性が向上したナノ懸濁液を製造する段階;を含む。
【0047】
【化4】
【0048】
各成分の役割とその使用量は、前述したところと同一であるので、重複された内容で追加的な説明は省略する。図8は、本発明による生体利用率と安定性とが向上した難溶性デクルシン誘導体薬物を含むナノ懸濁液の製造方法を示すフローチャートである。
【0049】
まず、本発明において、前記(i)段階は、微粒化されたプロゲリニン薬物をビヒクル溶液に混合する過程であって、具体的に、精製水に高分子懸濁化剤であるヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)またはヒドロキシプロピルセルロース(HPC)(b’);及びD-α-トコフェロールポリエチレングリコールコハク酸(TPGS)(c)またはコハク酸ジオクチルナトリウム(DOSS)(c’);を混合する段階である。この際、精製水は、50~70℃の温度を有するものを使用することができ、望ましくは、60℃の温度を有する。このように混合した懸濁液(coarse suspension)は、常温で冷やした後、ナノ懸濁液の製造のために、次の段階を行う。
【0050】
次いで、前記(ii)段階は、(i)の懸濁液を湿式ボールミリングしてナノ懸濁液を製造する段階である。ここで、湿式ボールミリングは、ダイノーミルを利用できる。ボールミリング条件は、薬物粒子の平均粒径が100~300nmになるまで進行することが望ましい。さらに望ましくは、平均粒径が150~250nm、さらに望ましくは、平均粒径が200nmである。前記範囲内の平均粒径を有する場合、最も可溶性に優れ、薬物の生体利用率または生体吸収効率を極大化することができる。
【0051】
本発明において、ボールミリングは、ナノ懸濁液の製造のための湿式ボールミリングであって、プロゲリニンナノ懸濁液の製造で重要な段階である。チャンバ内で適したビーズサイズ、粉砕媒体及びAPI比率の選択、粉砕機チャンバの温度制御などが重要であると見なされる。
【0052】
具体的に、ナノ懸濁液の製造時に、湿式ボールミリングは、(i)段階の懸濁液と平均粒径が0.1~1mmであるジルコニアビーズとを使用することができ、望ましくは、0.02~0.04mmであるものを使用することができる。また、(i)段階の懸濁液とジルコニアビーズは、1:1~1:5の体積比で使用することができるが、薬物の平均粒径(D50)を200nm以下に製造が可能であれば、条件に合わせて適切に変更可能である。
【0053】
次いで、前記(iii)段階は、(ii)段階で製造したナノ懸濁液にソルビン酸カリウムを混合して最終的に安定性が向上したナノ懸濁液を製造する段階である。ソルビン酸カリウムの添加は、薬物粒子を完全に分散させてナノ懸濁液の安定性をさらに向上させる。
【0054】
一方、前記あらゆる過程で、難溶性薬物と溶媒、水溶性高分子または界面活性剤を混合して混ぜる過程が含まれ、この際、500~1,000rpmの混合速度でナノ懸濁液を製造することができる。
【0055】
以下、本発明の理解を助けるために、実施例を挙げて詳細に説明する。但し、下記の実施例は、当業者に本発明をより完全に説明するために提供されるものであり、本発明の内容を例示するものであり、本発明の範囲が、下記の実施例に限定されるものではない。
【0056】
<実施例1>脂質基盤のプロゲリニン溶液の製造及び限界
本発明者らは、プロゲリニン薬物の劣悪な生体利用率を克服するために、前臨床研究で脂質基盤製剤(monoolein:tricaprylin=2:1)を使用してプロゲリニン溶液を製造した。しかし、脂質基盤製剤は、不適切な薬物ローディング及び提案された臨床容量と予想される多量の脂質摂取によって臨床環境で使用するのに不適であると判断された。非晶質固体分散液(ASD)を生産しようとする制限された試みは、水性媒質に分散される時、非晶質固体分散液(ASD)が迅速な結晶化によって難点を経験しているということを示した。また、このような脂質基盤製剤は、不適切な薬物ローディング及び提案された臨床容量と予想される多量の脂質摂取によって臨床環境で使用するのに不適であると見なされる。
【0057】
これにより、本発明者らは、難溶性薬物であるプロゲリニンをナノ懸濁液に製造し、薬物の安定性を向上させるビヒクル組成物を選択して臨床用として最適化されたナノ懸濁液を具現しようとする。
【0058】
ナノ懸濁液の製造工程は、熱力学的に不安定である。したがって、高分子や界面活性剤のような安定化剤が物理的に安定した状態の保持に必須的である。高分子のうち、HPMCまたはHPCは、薬物粒子の表面に固定されて吸着場所を占め、溶液内で薬物分子が結晶格子で結合されることを防ぐことができて、結晶化の機械的障壁を提供することができる。しかし、高分子濃度が十分でなければ、結晶は急激に成長して凝集される。高分子の濃度が増加し続ければ、粒子のサイズが粒子表面の厚い層のために共に増加し、溶媒及び半溶媒の間の拡散が凝集過程の間に抑制される。そして、高分子の濃度が増加するにつれて、浸透圧が増加してコロイド粒子間の引力を増加させる結果を引き起こす。これは、粒子の成長に繋がる。一方、界面活性剤は、固体-液体の界面で吸着されて界面の表面張力を減少させ、核生成の速度を増加させるが、このような結果が粒子サイズの初期減少に繋がる。しかも、界面活性剤の吸着は、疎水性相互作用と凝固とを減少させて、レスベラトロール粒子が疎水性を不十分に帯びるようにし、粒子成長を減少させる。特に、イオン性界面活性剤であるSLSが粒子表面に吸着される時、粒子表面は負電荷を帯びる。これは、粒子間の斥力を増加させてエネルギー障壁を増加させ、そうすることにより、粒子成長と凝集とを防ぐ。結果として、適切な濃度の安定化剤(stabilizing agent)の添加は、製造されるナノ粒子の過度に高い表面エネルギーを下げることができる。また、ナノ懸濁液内の薬物粒子のサイズは、生体吸収効率を決定するに当って、重要な要素である。
【0059】
したがって、本発明者らは、難溶性薬物ナノ懸濁液の製造において、高分子、界面活性化剤のような安定化剤の選択、懸濁液内の粒子サイズが重要な要素であると判断した。まず、薬物内の薬物粒子のサイズは、生体吸収効率を決定するに当って、重要な要素であるので、生体吸収効率に優れたプロゲリニン(SLC-D011)薬物の平均粒径サイズを選定し、ナノ懸濁液の製造のための高分子、界面活性剤、保存剤などを最適化した。
【0060】
<1-1>プロゲリニン薬物の平均粒径(D50)の決定
前述したように、薬物内の薬物粒子のサイズは、生体吸収効率を決定するに当って、重要な要素である。これにより、本発明者らは、プロゲリニン薬物の生体吸収が円滑である直径サイズを設計するために、マウスを用いて化合物薬物動態学(PK)分析した。具体的に、マイクロサイズのプロゲリニンを含むマイクロ懸濁液(D50=1.5mm)、ナノサイズのプロゲリニンを含むナノ懸濁液1(Nano suspenstion 1=200nm(D=50))、及びナノ懸濁液2(Nano suspenstion 2=350nm(D=50))を製造した。この際、マイクロ懸濁液は、Vivapur powerを用いて製造し、2個のナノ懸濁液は、ジルコニアビーズ(zirconia bead)を用いて製造した。このように製造した懸濁液をマウスに10mg/kg、30mg/kg、100mg/kgを経口投与し、生体内の懸濁液の薬物動態学(PK)分析して結果を確認した(図1)。
【0061】
図1の結果、平均粒子サイズが200nm以下である場合、薬物の生体吸収が円滑であると判断することができた。これにより、本発明者らは、200nm以下の平均粒径を有する薬物ナノ粒子を含む懸濁剤形に開発することにした。
【0062】
このような剤形を満たすことができる製造方法を考案するために、本発明者らは、熱溶融押出工程、噴霧乾燥工程、超高圧均質化器(Ultra-high pressure homogenizer)を利用した工程、ビーズを利用した湿式ボールミリングを利用した工程を行い、これらのうち、最も適したプロゲリニンナノ懸濁液の製造方法を選択しようとした。
【0063】
<1-2>熱溶融押出(HME)工程を利用した無定形固体分散体の製造
まず、熱溶融押出法を用いて多様な高分子(HPMCAS、HPC、HPMC、PVP VA64、Eudragit EPO、AEA)に対する固体分散体を製造した。この際、薬物と高分子との比率を1:3にして混合物を製造した。pH1.2緩衝液300mL(Eudragit EPO、AEA)またはpH6.8緩衝液300mL(HPMCAS、HPC、HPMC、PVP VA64)を溶出液にしてプロゲリニンとして100mgに該当する固体分散体に対する溶解度の試験を実施した(図2ないし図4)。溶出条件は、次の通りである:パドル法、温度:37℃、回転速度:150rpm。
【0064】
図2の結果、高分子としてHPMCASを使用した時、溶解度が最も高く向上することを確認した。
【0065】
次いで、溶解度が最も向上したHPMCASを再選定して多様な比率(1:2、1:2.5、1:3、1:4)で固体分散体を製造した。pH6.8緩衝液300mLを溶出液にしてプロゲリニンとして100mgに該当する固体分散体に対する溶解度の試験を実施した(図3)。溶出条件は、次の通りである:パドル法、温度:37℃、回転速度:150rpm。
【0066】
図3の結果、薬物とHPMCASとの比率が1:3である時、溶解度が最も高く表われるということを確認した。しかし、実際にHME方法を通じて明るい色の黄色粉(light yellow power)の形態が得られ、固体形態に無定形を保持することを確認することができた。また、図4の結果、HME方式で得られたパウダーの場合、水と合って直ちに沈殿で沈み、マウスを利用した生体吸収を確認した時、経口投与時に、生体内に吸収がほとんど起こっていない。
【0067】
したがって、現在、薬物の主要成分であるプロゲリニンは、熱溶融押出工程で剤形の開発が不可能であると判断することができた。
【0068】
<1-3>噴霧乾燥工程を利用した無定形固体分散体の製造
前記実施例<1-2>の高分子を利用するが、噴霧乾燥工程を利用した無定形固体分散体を製造した。噴霧乾燥工程を用いて多様な高分子(HPMCAS、HPC、HPMC、PVP VA64、Eudragit EPO、AEA)に対する固体分散体を製造した。この際、薬物と高分子との比率を1:3にして混合物を製造した。pH1.2緩衝液300mL(Eudragit EPO、AEA)及びpH6.8緩衝液300mL(HPMCAS、HPC、HPMC、PVP VA64)をそれぞれ溶出液にしてプロゲリニン100mgに該当する固体分散体に対する溶解度の試験を実施した(図5)。溶出条件は、次の通りである:パドル法、温度:37℃、回転速度:150rpm。
【0069】
図5の結果、熱溶融押出工程で製造した固体分散体と同様に高分子としてHPMCASを使用した時、pH1.2及びpH6.8で高分子の溶解度が最も高く向上することを確認した。
【0070】
しかし、マウスを利用した生体吸収(PK分析)を確認した時、HMEと類似に経口投与時に、生体内に吸収がほとんど起こっていない(図6)。また、以外の他の高分子に高温及び多湿な環境下で2週間の安定性を確認した結果、プロゲリニン粒子の再結晶化が観察されて満足できない結果を得た(表1)。
【0071】
【表1】
【0072】
したがって、現在、薬物の主要成分であるプロゲリニンは、噴霧乾燥方式で剤形の開発が不可能であると判断することができた。
【0073】
<1-4>超高圧均質化器を利用したナノ懸濁液の製造
本発明者らは、ナノ懸濁液を製造することができる他の方法として超高圧均質化器を用いてナノ懸濁液を製造した。具体的に、蒸留水が入っている100mLビーカーに高分子(HPMC 3cp)、界面活性剤(TPGS)を溶かした後、薬物(SLC-D011)を秤量して入れた後、2時間撹拌して懸濁液を製造した。超高圧均質化器に懸濁液を投入してナノ懸濁液を製造した(圧力:40000psi、1時間)。
【0074】
【表2】
【0075】
前記表2は、薬物粒径を測定したものであって、3日後に粒子のサイズが増加したことを確認することができた。したがって、超高圧均質化器を利用したナノ懸濁液の製造は、経時的に粒子が大きくなる限界があった。これもまた、プロゲリニンナノ懸濁液の製造に適した方法であると見にくい。
【0076】
<1-5>ビーズを利用した湿式ボールミリングを利用したナノ懸濁液の製造
他の方法として、本発明者らは、ビーズを利用した湿式ボールミリングを利用したナノ懸濁液を製造した。具体的に、蒸留水が入っている100mLビーカーに高分子(HPMC 3cp)、界面活性剤(TPGS)を溶かした後、プロゲリニンを秤量して入れた後、2時間撹拌して懸濁液を製造した。ビーズ(Bead)と懸濁液とを入れたチューブをDeltaVita(R)、Netzsch(Zentrimix 380R)装置に装着してナノ懸濁液を製造した(速度:1200rpm、温度:-10℃、6時間)。図7は、前記製造方法で製造されたナノ懸濁液の形状(上段)と平均粒径を測定した結果(下段)である。
【0077】
図7の結果、平均粒径が170nmである薬物ナノ粒子が含まれたナノ懸濁液を製造することができた。ナノ懸濁液の安定性で薬物粒子の平均粒径が200nm以下である場合、最も可溶性に優れ、ナノ粒子はさらに大きな表面積を有してさらに容易に溶解されるので、生体利用率を極大化することができるということを確認することができた。
【0078】
これにより、本発明者らは、ビーズを利用した湿式ボールミリングを利用したナノ懸濁液を製造するが、薬物の平均粒径が200nm以下であるナノ懸濁液の製造に適したビヒクル組成物を選別する必要性があると判断し、最適化された高分子、界面活性化剤のような表面安定化剤、及び保存剤を選別しようとした。
【0079】
<実施例2>最適化されたビヒクル溶液の選別
<2-1>プロゲリニンナノ懸濁液の製造
a)懸濁液製造(Suspension Preparation)((i)段階)
TPGS溶液は、TGPSを60℃のお湯に溶解させ、室温に冷却させて製造する。HPMC E3溶液は、HPMC E3を60℃のお湯に溶かし、室温に冷却させて準備する。その後、2つの溶液を撹拌して完全に混合する。懸濁液を準備するために、撹拌し続けながらAPI(Active Pharmaceutical Ingredient)としてプロゲリニンを徐々に混合された溶液に充填させる。
【0080】
b)ナノミリング(Nano Milling)((ii)段階)
ミキシングと湿式粉砕装備であるAgitator Bead Millのパラメータは、湿式ボールミリングを始めるために適切に設定され、定圧ポンプは、懸濁液が循環されるように調節する。Agitator Bead Millを抜け出る懸濁液は、既定の値35℃以下に保持しながら懸濁液容器に再び再循環される。薬物粒子がPSD(D50≦200nm)が達せられるまでダイノーミルで湿式ボールミリングを進行し続ける。目標PSD(D50≦200nm)が達せられれば、ポンプがオフになり、ミリングサスペンションラインがサスペンション容器から分離される。
【0081】
c)安定性が向上したナノ懸濁液の製造((iii)段階)
ナノミリングして得た懸濁液に保存剤としてソルビン酸カリウムを添加して完全に混合する。それを滅菌されたガラス瓶に入れて充填する。瓶充填作業は、100%肉眼点検及び充填重量点検で行われ、充填後に瓶はゴム仕上げ及びアルミニウムフリップ-オフシール(aluminum flip-off seal)で密封される。
【0082】
<2-2>最適化されたビヒクル溶液の選別
前記実施例<2-1>の方法で経口用プロゲリニンナノ懸濁液を製造した。具体的に、プロトタイプ1は、10.0重量%プロゲリニン、3.0重量% HPMC E3、1.0重量%界面活性剤TPGS及び0.2重量%ソルビン酸カリウムで構成されたものであって、TPGS及びHPMC溶液を混合し、プロゲリニンを入れて懸濁液を製造した。このように製造した混合物を0.3mm VHD ZrOビーズと1:1~5の体積比で混合してボールミリングを行った。容器の温度は、製造過程で綿密にモニタリングした。また、ミリングの間に、目標平均粒子サイズがD50≦200nmに到達するまで粒子サイズ分布をモニタリングした。プロトタイプ2ないしプロトタイプ5も、同じ方法で製造した。このように製造したナノ懸濁液を下記の方法で粒子直径、ゼータ電位、薬物の含量、分散性(Flowability)、粘度(Viscosity)を測定した。
【0083】
(1)粒子直径(D50)測定:約2μLのナノ懸濁液を1mLの水に分散させた後、サンプルチューブに入れて水性懸濁液に使われるゼータ電位(Zeta Potential)&パーティクルサイザー(Particle Sizer)(ZPPS)(Nicomp 380/ZLS、Nicomp)を用いて測定した。
(2)ゼータ電位測定:粒子表面の電気的電荷を測定したものであって、コロイドシステムの物理学的安定性を示す。ゼータ電位は、レーザドップラー(Laser-Doppler)方法を使用して測定した。
(3)薬物の含量測定:ナノ懸濁液総重量に対するプロゲリニンの含量を測定した。
(4)分散性測定:分散性は、懸濁液の沈殿の有無によって肉眼で観察して評価した。
(5)粘度測定:BROOKFIELD粘度計(TC-550MX-230)を用いてねじりモーメント(Torsional moment)32.9%、25℃の温度、200rpmのプローブ回転速度、13.03dyne/cmせん断力、264.0 S-1せん断速度で1分間測定した。
【0084】
【表3】
【0085】
前記表3を通じて、プロトタイプ1とプロトタイプ3との薬物粒子の平均粒径(D50)がそれぞれ165.8nm、146.3nmであって、いずれも平均粒径が200nm以下を満足し、不純物の検出なしに薬物含量は95%よりも高い値を示すということを確認することができた。したがって、プロトタイプ1とプロトタイプ3が、分散性、安定性、及び薬物の有効性の側面で最も適したビヒクル組成物であるということを確認することができた。一方、プロトタイプ4の場合、薬物の有効性の面で限界があって適したビヒクル組成物として選択することができなかった。プロトタイプ2の場合、経時的に粒子が増加する傾向があって候補群として不適切であった。プロトタイプ5の場合、ナノ懸濁液の形成自体が不可能であった。
【0086】
<実施例3>ローラーミキサー(Roller mixer)及びダイノーミルを利用した懸濁液の製造及び物性比較
<3-1>ローラーミキサーを利用した懸濁液の製造
ローラーミキサーを使用して目標濃度が100mg/gであるプロトタイプ1のナノ懸濁液を製造しようとした。具体的に、プロトタイプ1のナノ懸濁液を製造し、製造したナノ懸濁液を下記表2に示したジルコニアビーズと1:1の重量比で混合した。また、表4に示すように、サイズの減少傾向を観察するために、PSDを毎日モニタリングした。
【0087】
【表4】
【0088】
表4の結果、8日間ミリングした後には、粒子サイズはD90=500nmで停滞されてさらに減少しないと見られる。したがって、ローラーミキサーの場合、200nm以下の薬物粒子を含むナノ懸濁液を製造することは難しいと判断した。
【0089】
<3-2>ダイノーミルを利用した懸濁液の製造及びその物性評価
前記<3-2>の結果に基づいて、本発明者らは、ダイノーミルを使用して(5g API scale)、目標濃度が100mg/gであるプロトタイプ1のナノ懸濁液を製造しようとした。具体的に、ダイノーミルミリングチャンバに45mLの0.5mmのジルコニアビーズがローディングされた。準備したプロトタイプ1のナノ懸濁液(5g、10% w/w HPMC E3、3%/TPGS 1%)をミリングチャンバに上から満たした。機器を-19℃の循環冷却液体で2,200rpmで5時間作動させた。最終ナノ懸濁液として白色ナノ懸濁液(FR00497-3-190911-100)を収集した。
【0090】
また、前記と同様に6mg/gプロトタイプ1のナノ懸濁液(FR00497-3-190910-6)、20mg/gプロトタイプ1のナノ懸濁液(FR00497-3-190910-20)を製造するために同じ方法で収集した。このように収集した3個のナノ懸濁液は、外観、PSD、HPLC及びシリンジ通過能力(syringeability)を確認し、その結果を下記表5に示した。
【0091】
【表5】
【0092】
表5の結果、プロトタイプ1のナノ懸濁液は、粒子サイズ及びシリンジ通過能力などの物性特性をいずれも満足したということを確認することができた。追加的に、前記3個のナノ懸濁液の4℃での低温安定性を2週間観察した。具体的に、粒子サイズを測定(particle size measurement)して平均粒径(D50)が200nm以下であるか否かを確認することにより、安定性を評価し、シリンジ通過能力は、ナノ懸濁液が20GAシリンジ通過が容易であるか否かを確認して評価して、その結果を下記表6に示した。
【0093】
【表6】
【0094】
表6の結果、3個のナノ懸濁液いずれも4℃の低温で粒径の大きな変化なしに安定性を有し、シリンジ通過能力も優れていることを確認することができた。本発明において、平均粒径(D50)200nm以下の条件は、粒子の分散安定性の側面とプロゲリニン薬物の生体利用効率の側面とで最も理想的に要求される条件である。
【0095】
<3-3>スケールアップ(Scale up)を通じたナノ懸濁液の製造
本発明者らは、スケールアップして製造するために、30g API scaleのためにダイノーミルを用いて100mg/gの目標濃度を有するナノ懸濁液を製造しようとした。具体的に、ダイノーミルチャンバには、45mLの0.3mmのジルコニアビーズがローディングされた。準備した30gプロゲリニンを先にビヒクル溶液懸濁させて懸濁液を製造し(30g、10% w/w in the vehicle HPMC E3 3%/TPGS 1% in water)、その後、懸濁液は、上からミリングチャンバに満たされる。-19℃の低温で循環冷却液体が備えられた機器を2,200~2,500rpmで20時間作動させた。PSDは、表7に示すように、経時的にモニタリングされたと、最終的に白色ナノ懸濁液を収集した。また、収得した白色ナノ懸濁液を冷蔵条件で20~70日間粒子のサイズ変化などを観察して安定性を見た(表8)。
【0096】
【表7】
【0097】
前記表7の結果、ダイノーミルを用いてスケールアップしてナノ懸濁液を製造しても、平均粒径(D50)200nm以下であるプロゲリニン薬物粒子を成功的に製造することができるということを確認することができた。
【0098】
【表8】
【0099】
表8の結果、本発明によるナノ懸濁液は、冷蔵条件で20日以上、具体的に、20~70日間安定性が保持し続けるということを確認することができた。
【0100】
<実施例4>最適化賦形剤の選択
賦形剤との相溶性を評価するために、プロゲリニンをHPMC E3、TPGS及びソルビン酸カリウムと1:10の比率で混合し、2週にわたって40℃/75% RH条件で薬物(API)成分が有効であるか否かを測定して表9及び表10に示した。
【0101】
【表9】
【0102】
【表10】
【0103】
API:Active Pharmaceutical Ingredient(SLC-D001)
表9及び表10の結果、プロゲリニン薬物にHPMC E3、TPGS、ソルビン酸カリウムを追加しても、薬物に影響がないというを確認することができた。特に、保存剤の場合、ミリング前に添加する場合、含量が減少することにより、ミリング後、後添加して完成することが望ましい。このような予備賦形剤の相溶性の研究は、薬物が賦形剤と相溶性があるということを示唆する。
【0104】
<実施例5>安定性の確認
ビヒクル溶液選択過程で優れた粒子安定性を示したプロトタイプ1及びプロトタイプ3に対してプロゲリニンナノ懸濁液の安定化の研究をさらに行った。具体的に、2~8℃の条件、40℃/RH 75%の条件、または1.2Mのルクス露出下で3週にわたって評価した。プロゲリニンナノ懸濁液の安定化の研究は、3週間常温(25±5℃、60% RH)で行われた。プロゲリニンナノ懸濁液の粒子サイズと薬物含量と関連して特徴化した。その結果を表11及び表12に示した。
【0105】
【表11】
【0106】
【表12】
【0107】
表11及び表12の結果、低温または苛酷条件でも、平均粒子サイズが200nm以下であって、3週以上のナノ薬物粒子の安定性を有するということを確認することができた。
【0108】
<実施例6>最適化されたプロゲリニンナノ懸濁液の模擬腸液(SIF)及び模擬胃液(SGF)内の安定性の確認
実施例<2-1>と同じ方法で製造するが、下記表13の成分及び含量でプロトタイプ1のナノ懸濁液を製造した。このように製造したナノ懸濁液について模擬腸液(simulated intestinal fluids、SIF)及び模擬胃液(simulatedgastic fluids、SGF)内の分散安定性を確認した。具体的な実験方法は、下記の通りである。
【0109】
【表13】
【0110】
a)模擬腸液(SIF)
1000mLのボリュームフラスコに一塩基性リン酸カリウム(monobasic potassium phosphate)(6.8gm)及び水酸化ナトリウム(sodium hydroxide)(0.616gm)を250mLの蒸留水と共に添加した後、前記成分が溶解されるまで回転させた後、700mLの蒸留水をさらに添加してpHを測定した。0.2N 水酸化ナトリウムまたは0.2N 塩酸(hydrochloric acid)を添加してpHをpH6.8+/-0.1に調節した。
【0111】
b)模擬胃液(SGF)
1000mLのボリュームフラスコに塩化ナトリウム(sodium chloride)(2gm)、750mLの蒸留水、及び7.0mLの濃塩酸(concentrated hydrochloric acid)を添加した後、1000mLの蒸留水を添加し、成分を回転させて混合した。この溶液のpHが1.2になるようにした。
【0112】
c)分散液の製造
HDPE蓋を有した半透明HDPEバイアル(25mL)に適量でプロトタイプ1のナノ懸濁液を添加した。この際、模擬胃液または模擬腸液15mLに希釈させて最終プロゲニン濃度が0.5mg/mLになるようにした。次いで、分散剤(dispersant)を添加した後、前記製造された剤形が完全に分散されるまで振った。このバイアルを37℃のオイルバス(oil bath)に凝結(flocculation)が表われるまで置いておいた。前記沈殿された粒子のサイズをHoriba-LA-910粒子分析器を用いて測定した。大体前記物質を空腹のヒト胃液でほぼ3時間培養した。
【0113】
d)平均粒径測定(particle size measurement)
不溶解性の粒子を含むビーズコア(beadコア)でコーティングされたビーズを測定する場合、SIFまたはSGF実験でビーズコアの重量を計算し、SIFまたはSGFのような体積でビーズコアを分散させた。Horiba LA-910チャンバに蒸留水120gmを注いだ後、機器が空白になるように排水した。その後、蒸留水120gmを注ぎ、培養された剤形(15mLのSGFまたはSIFで)の全体量をHoriba LA-910チャンバに注いだ後、平均粒径を測定した。
【0114】
【表14】
【0115】
表14の結果、平均粒径(D50)200nm以下のプロゲニン薬物(プロトタイプ1)は、模擬腸液または模擬胃液内でも薬物の平均粒径(D50)が190~220nmに保持されたので、分散の安定性及び薬物の生体利用効率が保持されたということを確認することができた。
【0116】
以上、本発明の内容の特定の部分を詳しく記述したところ、当業者にとって、このような具体的な記述は、単に望ましい実施形態に過ぎず、これにより、本発明の範囲が制限されるものではないという点は明白である。すなわち、本発明の実質的な範囲は、特許請求の範囲とそれらの等価物とによって定義される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】