(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】アンテナデカップリング方法、電子設備およびコンピュータ可読記憶媒体
(51)【国際特許分類】
H04B 7/06 20060101AFI20241106BHJP
H04B 7/08 20060101ALI20241106BHJP
H01Q 1/52 20060101ALI20241106BHJP
H01Q 21/06 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
H04B7/06 982
H04B7/08 982
H01Q1/52
H01Q21/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024530557
(86)(22)【出願日】2022-11-29
(85)【翻訳文提出日】2024-05-22
(86)【国際出願番号】 CN2022135109
(87)【国際公開番号】W WO2023124708
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】202111646534.8
(32)【優先日】2021-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511151662
【氏名又は名称】中興通訊股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZTE CORPORATION
【住所又は居所原語表記】ZTE Plaza,Keji Road South,Hi-Tech Industrial Park,Nanshan Shenzhen,Guangdong 518057 China
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】李遠勇
【テーマコード(参考)】
5J021
5J046
【Fターム(参考)】
5J021AA06
5J021FA30
5J021HA05
5J046UA01
(57)【要約】
本開示は、アンテナデカップリング方法、電子設備およびコンピュータ可読記憶媒体を提供する。前記方法は、送信アンテナを介して第1信号を送信するステップと、受信アンテナを介して第2信号を受信するステップと、前記第1信号と前記第2信号に基づいて、前記送信アンテナと前記受信アンテナとの間の相関係数を計算するステップと、計算によって得られた相関係数に基づいて、前記送信アンテナと前記受信アンテナの作動状態を調整するステップと、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体端末に用いられるアンテナデカップリング方法であって、
送信アンテナを介して第1信号を送信するステップと、
受信アンテナを介して第2信号を受信するステップと、
前記第1信号と前記第2信号に基づいて、前記送信アンテナと前記受信アンテナとの間の相関係数を計算するステップと、
計算によって得られた相関係数に基づいて、前記送信アンテナと前記受信アンテナの作動状態を調整するステップと、を含む
アンテナデカップリング方法。
【請求項2】
前記移動体端末は、m個のアンテナを有し、mは1より大きい正の整数であり、m個のアンテナを1つずつ前記送信アンテナとし、送信アンテナを介して第1信号を送信する前記ステップを順次実行し、
受信アンテナはm個のアンテナのうち、現在の送信アンテナを除くアンテナである
請求項1に記載のアンテナデカップリング方法。
【請求項3】
前記第1信号と前記第2信号に基づいて、前記送信アンテナと前記受信アンテナとの間の相関係数を計算する前記ステップは、
前記第1信号と各受信アンテナが受信した前記第2信号のパラメータ情報を取得するステップと、
前記パラメータ情報に基づいて、前記現在の送信アンテナと各前記受信アンテナとの間の相関係数を計算するステップと、を含む
請求項2に記載のアンテナデカップリング方法。
【請求項4】
前記パラメータ情報は、
信号の振幅、信号の位相における少なくとも1つの情報を含む
請求項3に記載のアンテナデカップリング方法。
【請求項5】
前記第1信号と前記第2信号に基づいて、前記送信アンテナと前記受信アンテナとの間の相関係数を計算する前記ステップは、
各アンテナを前記送信アンテナとする時、各前記送信アンテナと、対応する各前記受信アンテナとの間の相関係数から、m個のアンテナ間の相関係数のアレイを得るステップをさらに含む
請求項3に記載のアンテナデカップリング方法。
【請求項6】
計算によって得られた相関係数に基づいて、前記送信アンテナと前記受信アンテナの作動状態を調整する前記ステップは、
同調回路により前記送信アンテナと前記受信アンテナの作動状態を調整するステップを含み、
前記同調回路によって調整される内容は、
アンテナの長さの変更、抵抗容量の調整、アンテナマッチングの調整における少なくとも1つを含む
請求項1~5のいずれか一項に記載のアンテナデカップリング方法。
【請求項7】
計算によって得られた相関係数に基づいて、前記送信アンテナと前記受信アンテナの作動状態を調整する前記ステップは、
同調回路により前記送信アンテナと前記受信アンテナとの間の相関係数を調整し、調整後の前記相関係数が調整前の前記相関係数よりも低くなるようにするステップを含む
請求項1~5のいずれか一項に記載のアンテナデカップリング方法。
【請求項8】
計算によって得られた相関係数に基づいて、前記送信アンテナと前記受信アンテナの作動状態を調整する前記ステップは、
同調回路により前記送信アンテナと前記受信アンテナとの間の相関係数を調整し、調整後のデータ・スループット・レートが調整前の前記データ・スループット・レートよりも大きくなるようにするステップを含む
請求項1~5のいずれか一項に記載のアンテナデカップリング方法。
【請求項9】
1つまたは複数のプロセッサと、
1つまたは複数のプログラムが記憶されており、前記1つまたは複数のプログラムが前記1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、前記1つまたは複数のプロセッサが請求項1~8のいずれか1項に記載のアンテナデカップリング方法を実現するようにするメモリと、
前記プロセッサと前記メモリとの間に接続され、前記プロセッサとメモリとの情報インタラクションを実現するように構成された1つまたは複数のI/Oインターフェースと、
を含む電子設備。
【請求項10】
コンピュータプログラムが記憶されており、前記コンピュータプログラムがプロセッサによって実行される時、請求項1~8のいずれか1項に記載のアンテナデカップリング方法を実現する
コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、2021年12月29日に提出された発明の名称が「アンテナデカップリング方法、電子設備およびコンピュータ可読記憶媒体」である中国特許出願CN202111646534.8に基づくものであり、当該特許出願の優先権を請求し、その公開内容は参照により全て本開示に援用する。
【0002】
本開示は通信分野に関するものであり、特にアンテナデカップリング方法、電子設備およびコンピュータ可読記憶媒体に関するものである。
【背景技術】
【0003】
現在の5G端末では、多重アンテナに比較的低い相関係数があることを保証するために、一般的にはアンテナ間隔を大きくしてアンテナ空間隔離を増加させて実現するか、またはアンテナにデカップリングネットワークを増やしてデカップリングさせてアンテナ間の相関係数を低減させるという目的を達成する。例えば、
図2に示すように、アンテナ間に集中素子(Lumped ellment)を増やし、各ポート(Port)にネットワークマッチング(Match)を増加し、アンテナ空間隔離を増やすことでデカップリングを実現し、アンテナ間の相関係数を低減させる。
【0004】
しかし、現在の5G端末アンテナの数がますます増加しているため、アンテナ空間隔離により相関性を保証することはますます難しくなっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、アンテナのデカップリング方法、電子設備およびコンピュータ可読記憶媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つ目の態様において本開示は、移動体端末に用いられるアンテナデカップリング方法を提供する。前記方法は、
送信アンテナを介して第1信号を送信するステップと、
受信アンテナを介して第2信号を受信するステップと、
前記第1信号と前記第2信号に基づいて、前記送信アンテナと前記受信アンテナとの間の相関係数を計算するステップと、
計算によって得られた相関係数に基づいて、前記送信アンテナと前記受信アンテナの作動状態を調整するステップと、を含む。
【0007】
2つ目の態様において本開示は電子設備を提供する。前記電子設備は、
1つまたは複数のプロセッサと、
1つまたは複数のプログラムが記憶されており、前記1つまたは複数のプログラムが前記1つまたは複数のプロセッサにより実行されると、前記1つまたは複数のプロセッサが1つ目の態様のいずれか1項に記載のアンテナデカップリング方法を実現するようにするメモリと、
前記プロセッサとメモリとの間に接続され、前記プロセッサとメモリとの情報インタラクションを実現するように構成された1つまたは複数のI/Oインターフェースと、
を含む。
【0008】
3つ目の態様において本開示は、
コンピュータプログラムが記憶されており、前記コンピュータプログラムがプロセッサによって実行される時、1つ目の態様のいずれか1項に記載のアンテナデカップリング方法を実現する
コンピュータ可読記憶媒体を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本開示の実施例が提供するアンテナデカップリング方法のフローチャート図である。
【
図2】
図2は、従来技術においてアンテナ間相関係数を低減するための実施フレーム概略図である。
【
図3】
図3は、本開示の実施例が提供するアンテナデカップリング方法を実現するための実施フレーム概略図である。
【
図4】
図4は、本開示の実施例が提供するアンテナデカップリング方法を実現するための別の実施フレーム概略図である。
【
図5】
図5は、本開示の実施例が提供する電子設備の概略図である。
【
図6】
図6は、本開示の実施例が提供するコンピュータ可読記憶媒体の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に記載する具体的な実施例は本開示を説明するためのものに過ぎず、本開示を限定するものではない。
【0011】
後の説明において、素子を表すための「モジュール」、「部材」、または「ユニット」などの接尾辞を使用するのは、本開示の説明を容易にするためのものに過ぎず、それ自体に特有の意味はない。したがって、「モジュール」、「部材」、または「ユニット」を混合して使用することができる。
【0012】
関連技術において5G端末アンテナは一般的に12本以上あり、移動体端末優先の空間内でより大きな空間隔離を増やすことができず、アンテナ性能とそれらの間の隔離度の両立が難しい。アンテナ間にデカップリングネットワーク、プリント回路板(Printed Circuit Board、PCBと略称する)上に欠陥、電磁バンドギャップデカップリングなどの方式を追加してアンテナ相関性の問題を解決する場合、移動体端末上での応用には、例えば、アンテナレイアウトやPCBのレイアウトに厳しい要求があるなど、一定の限界がある。同時に、これらの方法はすべてリアルタイムでアンテナの状態を調整することができず、実際の応用において、移動端末アンテナの状態の変化は、リアルタイムで調整し、応答することにより好ましいアンテナの状態を達成して比較的に好ましい性能を実現することができない。
【0013】
上記課題に対し、本開示の発明者はインテリジェントなアンテナのデカップリング方法を提示し、同一の移動体端末内の複数のアンテナ間の相互検出により各アンテナの作動状態をリアルタイムで調整し、複数のアンテナ間に低い相関係数を有するようにすることで、アンテナのデカップリングの目的を達成し、移動体端末MIMO性能要求を満たし、移動体端末データ・スループット・レートを最適化するという目的を達成する。
【0014】
1つ目の態様において本開示の実施例はアンテナデカップリング方法を提供し、
図1に示すように、前記方法は、以下のステップを含む。
【0015】
ステップS100では、送信アンテナを介して第1信号を送信する。
【0016】
ステップS200では、受信アンテナを介して第2信号を受信する。
【0017】
ステップS300では、前記第1信号と前記第2信号とに基づいて、前記送信アンテナと前記受信アンテナとの間の相関係数を計算する。
【0018】
ステップS400では、計算によって得られた相関係数に基づいて、前記送信アンテナと前記受信アンテナの作動状態を調整する。
【0019】
移動体端末において、送受信機は一般的に、情報を送信する機能を有する送信機と情報を受信する機能を有する受信機とを組み合わせたものとみなすことができ、同時に受信、送信機能を有する送受信機の数は往々にしてアンテナの数よりも少ないため、各アンテナに送受信機をバインドする必要はない。移動体端末内の各アンテナに対してテストを行う時、アンテナ切替スイッチにより、テストの需要に応じて送信機を対応する送信アンテナに接続し、信号を送信し、受信機を受信アンテナに接続し、信号を受信することができる。
【0020】
信号を送信する必要がある場合は、アンテナ切替スイッチを調整し、送信機を、現在、送信アンテナとするアンテナに接続し、各受信アンテナを各受信機に接続する。送信機は送信アンテナに信号を送信し、送信アンテナから第1信号を送信し、受信アンテナはこの信号を受信する。第1信号は送信アンテナでの送信と受信アンテナでの受信の過程で減衰、干渉などの要素の影響を受け、信号の振幅、位相などが変化するため、受信アンテナでは第1信号を受信するが、実際に受信するのは変化した第1信号である。送信アンテナが送信する元の第1信号と区別するために、本文では受信アンテナが実際に受信する信号を第2信号と呼ぶ。すなわち、送信アンテナが送信するのは第1信号であり、受信アンテナが実際に受信するのは第2信号であり、両者は同じではない。両者の具体的なパラメータ情報の差異の比較、分析により、相関係数計算式に基づいて、送信アンテナと受信アンテナの間の相関係数を計算することができる。
【0021】
相関係数が低いほどMIMO性能は好ましくなるため、本開示の実施例は各アンテナの作動状態を調整することで、例えば、アンテナスイッチの増加、アンテナの長さの調整、抵抗または容量の調整、ネットワークマッチングの調整などの方式で、同調回路により、送信される信号を最大限効率的にアンテナに送信させ、さらにアンテナ間の相関係数を低減させる。
【0022】
本開示の実施例のアンテナデカップリング方法は、動的に、リアルタイムでアンテナを検出し、調整することができ、複数の起動方式があってよく、例えば、電源を入れるごとに、手動でトリガする時、タイミングでトリガする時、アンテナ間の相関係数がしきい値より高い時、データ・スループット・レートが予め設定されたレート値より低い時のいずれか1つまたは複数の状況でアンテナデカップリングをトリガすることができ、ここでは一々列挙しない。
【0023】
本開示の実施例は、別に隔離空間を増加させる必要はなく、2つのアンテナ間のデカップリングに限らず、限られた隔離空間内で、複数のアンテナの作動状態を調整することで、各アンテナ間の相関係数を全体的に低減させ、ひいてはアンテナのデカップリングという目的を達成し、最終的にデータ・スループット・レートを増加させるという効果を実現する。
【0024】
一部の実施例において前記移動体端末は、m個のアンテナを有し、mは1より大きい正の整数であり、m個のアンテナを1つずつ前記送信アンテナとし、送信アンテナを介して第1信号を送信する前記ステップを順次実行し、
受信アンテナはm個のアンテナのうち、現在の送信アンテナを除くアンテナである。
【0025】
現在の移動体端末には一般的に複数のアンテナがあるため、各アンテナ間の相関係数の関係も複雑になる。本開示の実施例は、ポーリング送信方式で第1~m個のアンテナを順次送信アンテナとし、送信機をアンテナ切替スイッチにより各アンテナにそれぞれ接続し、第1信号を送信し、この時現在の送信アンテナを除くすべての他のアンテナを受信アンテナとし、第2信号を受信し、第1信号と各受信アンテナが受信した第2信号に基づいて、現在の送信アンテナと各受信アンテナとの間の相関係数をそれぞれ計算する。
【0026】
一部の実施例では、前記第1信号と前記第2信号に基づいて、前記送信アンテナと前記受信アンテナとの間の相関係数を計算する前記ステップは、
前記第1信号と各受信アンテナが受信した前記第2信号のパラメータ情報を取得するステップと、
前記パラメータ情報に基づいて、前記現在の送信アンテナと各前記受信アンテナとの間の相関係数を計算するステップと、含む。
【0027】
一部の実施例では、前記パラメータ情報は、
信号の振幅、信号の位相における少なくとも1つの情報を含む。
第1信号と第2信号の信号振幅、信号位相などのパラメータ情報を取得し、第1信号と各受信アンテナが受信した前記第2信号に対して比較、分析を行い、予め設定された相関係数公式により、現在の送信アンテナと各受信アンテナとの間の相関係数を計算する。
【0028】
一部の実施例では、計算によって得られた相関係数に基づいて、前記送信アンテナと前記受信アンテナの作動状態を調整する前記ステップは、
同調回路により前記送信アンテナと前記受信アンテナの作動状態を調整するステップを含み、
前記同調回路により調整される内容は、
アンテナ長さの変更、抵抗容量の調整、アンテナマッチングの調整における少なくとも1つを含む。
【0029】
アンテナの作動状態は、例えば、アンテナスイッチの追加、アンテナ長さの調整、抵抗または容量の調整、ネットワークマッチングの調整などの複数の調整方式があってよい。同調回路により、送信された信号をアンテナに最大限効率的に送信し、さらにアンテナ間の相関係数を低減する。
【0030】
前記第1信号と前記第2信号に基づいて、前記送信アンテナと前記受信アンテナとの間の相関係数を計算する前記ステップは、
第1~m個のアンテナを前記送信アンテナ1つずつとする場合、各前記送信アンテナと対応する各前記受信アンテナとの相関係数から、m個のアンテナ間の相関係数のアレイを得るステップをさらに含む。
【0031】
移動体端末には複数のアンテナがあるため、アンテナ間の相互影響は2つだけでなく、各アンテナは同時に複数のアンテナの影響を受けるため、2つのアンテナ間の相関係数を調整する際に、その他のアンテナ間の相関係数に影響を与える可能性がある。相関係数の調整時に、一部の相関係数が低減すると、相関係数が最適化されたというわけではなく、相関係数全体のアレイに対して全体的な評価を行うべきである。すべてのポーリングが完了したら調整することもできるし、ポーリングしながら調整することもできる。1回の調整が完了した後、全体的な評価が改善されていない可能性があり、一部の相関係数が低減し、他の一部の相関係数が逆に上昇した場合、所望の結果を得るために、複数回の調整が必要になる可能性がある。
【0032】
例示的な実施例において計算によって得られた相関係数に基づいて、前記送信アンテナと前記受信アンテナの作動状態を調整する前記ステップは、
同調回路により前記送信アンテナと前記受信アンテナとの間の相関係数を調整し、調整後の前記相関係数が調整前の前記相関係数よりも低くなるようにするステップを含む。
【0033】
一実施例において、計算によって得られた相関係数に基づいて、前記送信アンテナと前記受信アンテナの作動状態を調整する前記ステップは、
同調回路により前記送信アンテナと前記受信アンテナとの間の相関係数を調整し、調整後のデータ・スループット・レートが調整前の前記データ・スループット・レートよりも大きくなるようにする。
【0034】
相関係数のアレイについていえば、各アンテナの間は互いに影響し、アンテナの作動状態を調整する時に、調整後アレイ内のすべての相関係数が調整前より低減するか、または一部の相関係数が低減していないが調整前と横ばいだと、相関係数は全体的に低減する。しかし、アレイにおいて一部の相関係数が低減しながら一部の相関係数が上昇する場合、一部相関係数が低減しているからといって相関係数が最適化されているとは考えられず、相関係数全体のアレイに対して全体的な評価を行うべきである。例えば、平均値全体の大きさ、均衡性、重要な業務の重みから総合的な判断を行う場合に限って、総合的な結論に基づいて、なされた調整によって最適化の目的が達成されたか否かを確定することができる。
【0035】
相関係数を調整する最終的な目的はデータ・スループット・レートを増加させることであるため、総合的なデータ・スループット・レートに直接基づいて判断することもでき、調整後のデータ・スループット・レートが前記調整前のデータ・スループット・レートよりも大きければ、調整は最適化の効果を奏したと考えられる。
以下、2つの実施例を組み合わせて、本開示の1つ目の態様に記載のアンテナデカップリング方法の移動体端末における具体的な動作過程について詳細に説明する。
【0036】
[実施例1]
図3に示すように、移動体端末においては送受信機1とアンテナ1により第1信号の送信を担当し、アンテナ2と送受信機2により第2信号の受信を担当する。プロセッサユニットは、第1信号と第2信号に対して比較、計算を行うことができ、アンテナ1とアンテナ2の作動状態を調整するように同調デバイスに指示することもできる。具体的な作動過程は以下の通りである。
【0037】
送受信機1が送信する第1信号はアンテナ1を介してアンテナ2に結合され、第1信号は減衰、干渉などの要素の影響を受け、信号の振幅、位相などが変化するため、アンテナ2が実際に受信するのは、第1信号が変化した後の信号である。送信アンテナ1が送信する元の第1信号と区別するために、本文では、送受信アンテナ2が実際に受信する信号を第2信号と呼ぶ。アンテナ2は、第2信号を送受信機2に送信する。
【0038】
プロセッサユニットは、送受信機1が送信する第1信号および送受信機2が受信する第2信号の振幅、位相等の情報を比較、計算し、アンテナ相関係数計算式に基づいて両アンテナ間の相関係数を計算する。
【0039】
同調デバイス1、同調デバイス2によりアンテナ1、アンテナ2の作動状態を調整することで、比較的好ましいアンテナ相関係数を得る。
【0040】
同様に、送受信機2により第1信号を送信してアンテナ2を介してアンテナ1に結合し、アンテナ1によりまた第2信号を送受信機1に転送し、相関係数を計算してアンテナを調整してもよい。役割が入れ替わるだけで過程は同じであるため、詳しく説明しない。
【0041】
[実施例2]
1送信多受信の無線周波数フレーム構造に対しては送信ポーリングでインテリジェント同調デカップリングの目的を達成することができる。以下では1送信4受信の無線周波数フレームを例とし、
図4に示すように、移動体端末には4つのアンテナがあり、アンテナと送受信機は1対1で対応するのではなく、受送信機1と3つの受信機はアンテナ切替スイッチを介して各アンテナにそれぞれ接続されてもよく、プロセッサユニットは結合器を介して電力の分配を制御する。
【0042】
4つのアンテナは、アンテナ切替スイッチによりポーリング送信を行い、例えば、アンテナ切替スイッチを介して送受信機1をアンテナ1に接続し、アンテナ1を介して第1信号を送信し、アンテナ2、アンテナ3およびアンテナ4は結合により第2信号を受信する。
【0043】
この時、アンテナ1も同様に受信者として、受信した信号と第1信号とを比較し、信号振幅、位相などの情報を分析し、相関係数を計算して参考とすることができる。
【0044】
同様に、アンテナ切替スイッチを介して受送信機1はアンテナ2、アンテナ3およびアンテナ4にそれぞれ切り替えることができ、ポーリング送信とそれぞれの計算により、4つのアンテナ間の相関係数アレイを計算して得ることができ、アンテナ前の同調デバイスを調整することによりアンテナ状態を変え、アンテナ相関係数アレイをリアルタイムで最適化、調整し、移動体端末のデータ・スループット・レートを最適化するという目的を達成する。同調デバイスの位置は需要に応じて設定することができ、
図4におけるデバイスが多く、画面を簡潔にするために、各同調デバイスを描画していない。
【0045】
2つ目の態様において本開示の実施形態は、
図5に示すように、
1つまたは複数のプロセッサ501と、
1つまたは複数のプログラムが記憶されており、1つまたは複数のプログラムが1つまたは複数のプロセッサによって実行されることで、1つまたは複数のプロセッサが上記1つ目の態様のいずれか1項に記載のアンテナデカップリング方法を実現するメモリ502と、
プロセッサとメモリの間に接続され、プロセッサとメモリの情報インタラクションを実現するように構成された1つまたは複数のI/Oインターフェース503と、
を含む電子デバイスを提供する。
【0046】
プロセッサ501はデータ処理能力を有するデバイスであり、中央プロセッサ(CPU)などを含むがこれらに限らない。メモリ502はデータ記憶能力を有するデバイスであり、ランダムアクセスメモリ(RAM、より具体的には例えばSDRAM、DDRなどである)、読み取り専用メモリ(ROM)、帯電消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ(FLASH)を含むが、これらに限らない。I/Oインターフェース(読み書きインターフェース)503はプロセッサ501とメモリ502との間に接続され、プロセッサ501とメモリ502との情報インタラクションを実現でき、データバス(Bus)などを含むがこれに限らない。
【0047】
一部の実施例では、プロセッサ501、メモリ502とI/Oインターフェース503は、バス504を介して互いに接続され、さらにコンピュータデバイスの他のコンポーネントと接続される。
【0048】
3つ目の態様において本開示の実施例はコンピュータ可読記憶媒体を提供し、
図6に示すように、コンピュータ可読記憶媒体にはコンピュータプログラムが記憶され、コンピュータプログラムがプロセッサによって実行される時、上記1つ目の態様のいずれか1つに記載のアンテナデカップリング方法を実現する。
【0049】
本開示が提示するインテリジェントアンテナデカップリング方法は、同一移動体端末内の複数のアンテナ間の相互検出およびリアルタイム調整により、複数のアンテナ間に比較的低い相関係数を有するようにして移動体端末MIMO性能要求を満たし、移動体端末データ・スループット・レートを最適化するという目的を達成する。
【0050】
上文で開示した方法のすべてまたは一部のステップ、システム、装置における機能モジュール/手段はソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、およびこれらの適切な組み合わせとして実施することができると当業者は理解できる。
【0051】
ハードウェアの実施形態において、上記の説明で言及した機能モジュール/手段との間の区分は必ずしも物理コンポーネントの区分に対応せず、例えば、1つの物理コンポーネントは複数の機能を有してもよく、あるいは1つの機能またはステップは若干のコンポーネントにより連携して実行することができる。一部の物理コンポーネントまたはすべての物理コンポーネントは、プロセッサ(例えば、中央処理器、デジタル信号処理器またはマイクロプロセッサ)によって実行されるソフトウェアとして実施されるか、またはハードウェアとして実施されるか、あるいは専用集積回路のような集積回路として実施されてよい。このようなソフトウェアは、コンピュータ記憶媒体(または非一時的媒体)と通信媒体(または一時的媒体)とを含むことができるコンピュータ可読媒体に配置することができる。当業者が周知しているように、コンピュータ記憶媒体という用語は、情報(例えば、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、または他のデータ)を記憶するための任意の方法または技術において実施される揮発性および不揮発性、取り外し可能および取り外し不可能な媒体を含む。コンピュータ記憶媒体は、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリまたは他のメモリ技術、CD-ROM、デジタル多機能ディスク(DVD)または他の光ディスク記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置または他の磁気記憶装置、または所望の情報を記憶するのに用いられ、且つコンピュータにてアクセスされ得る他の任意の媒体を含むが、これらに限らない。このほか、通信媒体は通常、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、もしくは搬送波または他の送信メカニズムといった変調データ信号内の他のデータを含み、任意の情報配信媒体を含むことができるということは当業者の公知事項である。
【0052】
以上では図面を参照して本開示の好ましい実施例を説明したが、これにより本開示の権利範囲は限定されない。当業者が本開示の範囲および実質を逸脱しない範囲で行ういかなる補正、均等置換および改善も、本開示の権利範囲内にあるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体端末に用いられるアンテナデカップリング方法であって、
送信アンテナを介して第1信号を送信するステップと、
受信アンテナを介して第2信号を受信するステップと、
前記第1信号と前記第2信号に基づいて、前記送信アンテナと前記受信アンテナとの間の相関係数を計算するステップと、
計算によって得られた相関係数に基づいて、前記送信アンテナと前記受信アンテナの作動状態を調整するステップと、を含む
アンテナデカップリング方法。
【請求項2】
前記移動体端末は、m個のアンテナを有し、mは1より大きい正の整数であり、m個のアンテナを1つずつ前記送信アンテナとし、送信アンテナを介して第1信号を送信する前記ステップを順次実行し、
受信アンテナはm個のアンテナのうち、現在の送信アンテナを除くアンテナである
請求項1に記載のアンテナデカップリング方法。
【請求項3】
前記第1信号と前記第2信号に基づいて、前記送信アンテナと前記受信アンテナとの間の相関係数を計算する前記ステップは、
前記第1信号と各受信アンテナが受信した前記第2信号のパラメータ情報を取得するステップと、
前記パラメータ情報に基づいて、前記現在の送信アンテナと各前記受信アンテナとの間の相関係数を計算するステップと、を含む
請求項2に記載のアンテナデカップリング方法。
【請求項4】
前記パラメータ情報は、
信号の振幅、信号の位相における少なくとも1つの情報を含む
請求項3に記載のアンテナデカップリング方法。
【請求項5】
前記第1信号と前記第2信号に基づいて、前記送信アンテナと前記受信アンテナとの間の相関係数を計算する前記ステップは、
各アンテナを前記送信アンテナとする時、各前記送信アンテナと、対応する各前記受信アンテナとの間の相関係数から、m個のアンテナ間の相関係数のアレイを得るステップをさらに含む
請求項3に記載のアンテナデカップリング方法。
【請求項6】
計算によって得られた相関係数に基づいて、前記送信アンテナと前記受信アンテナの作動状態を調整する前記ステップは、
同調回路により前記送信アンテナと前記受信アンテナの作動状態を調整するステップを含み、
前記同調回路によって調整される内容は、
アンテナの長さの変更、抵抗容量の調整、アンテナマッチングの調整における少なくとも1つを含む
請求項
1に記載のアンテナデカップリング方法。
【請求項7】
計算によって得られた相関係数に基づいて、前記送信アンテナと前記受信アンテナの作動状態を調整する前記ステップは、
同調回路により前記送信アンテナと前記受信アンテナとの間の相関係数を調整し、調整後の前記相関係数が調整前の前記相関係数よりも低くなるようにするステップを含む
請求項
1に記載のアンテナデカップリング方法。
【請求項8】
計算によって得られた相関係数に基づいて、前記送信アンテナと前記受信アンテナの作動状態を調整する前記ステップは、
同調回路により前記送信アンテナと前記受信アンテナとの間の相関係数を調整し、調整後のデータ・スループット・レートが調整前の前記データ・スループット・レートよりも大きくなるようにするステップを含む
請求項
1に記載のアンテナデカップリング方法。
【請求項9】
1つまたは複数のプロセッサと、
1つまたは複数のプログラムが記憶されており、前記1つまたは複数のプログラムが前記1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、前記1つまたは複数のプロセッサが請求項1~8のいずれか1項に記載のアンテナデカップリング方法を実現するようにするメモリと、
前記プロセッサと前記メモリとの間に接続され、前記プロセッサとメモリとの情報インタラクションを実現するように構成された1つまたは複数のI/Oインターフェースと、
を含む電子設備。
【請求項10】
コンピュータプログラムが記憶されており、前記コンピュータプログラムがプロセッサによって実行される時、請求項1~8のいずれか1項に記載のアンテナデカップリング方法を実現する
コンピュータ可読記憶媒体。
【国際調査報告】