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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】パターン化レンズの耐摩耗性
(51)【国際特許分類】
   G02C 7/06 20060101AFI20241106BHJP
   G02C 13/00 20060101ALI20241106BHJP
   G02B 1/14 20150101ALI20241106BHJP
   G02B 1/04 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
G02C7/06
G02C13/00
G02B1/14
G02B1/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531073
(86)(22)【出願日】2022-11-23
(85)【翻訳文提出日】2024-07-22
(86)【国際出願番号】 US2022080445
(87)【国際公開番号】W WO2023097288
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】63/264,502
(32)【優先日】2021-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523005380
【氏名又は名称】ホーヤ オプティカル ラブス オブ アメリカ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】HOYA OPTICAL LABS OF AMERICA,INC.
【住所又は居所原語表記】651 E.Corporate Drive,Lewisville,Texas 75057 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100109634
【弁理士】
【氏名又は名称】舛谷 威志
(74)【代理人】
【識別番号】100160831
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 元
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】オランド,デヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ブ,ハナ
(72)【発明者】
【氏名】オロースコ ロドリゲス,ホセ ア.
(72)【発明者】
【氏名】アルトマン,グリフ
【テーマコード(参考)】
2H006
2K009
【Fターム(参考)】
2H006BD01
2H006DA01
2K009AA15
2K009BB22
2K009BB24
2K009CC24
2K009CC35
2K009CC42
2K009DD05
(57)【要約】
ベース層硬質コーティングおよび最上部硬質コーティングを備える耐摩耗性を有したパターン化レンズである。ベース層硬質コーティングは、フィルムまたはシート上に形成され、パターン化レンズを成形する際に使用されるようにしてもよい。最上部硬質コーティングは、成形後に付着させるようにしてもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
向上した耐摩耗性を有するパターン化レンズを形成する方法であって、
ベースレンズを用意するステップと、
前記ベースレンズの前面にフィルムまたはシートを形成するステップと、
前記フィルムまたはシートにコーティングを付着させるステップと、
射出成形プロセスを適用するステップと、
前記コーティングに1つまたは複数の特徴を複製するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記ベースレンズは、ポリカーボネートからなる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フィルムまたはシートは、前記射出成形プロセスの前に、前記コーティングがプレコートされる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記コーティングは、完全には硬化していない材料から形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記コーティングを硬化させるステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記フィルムまたはシートは、ポリカーボネートからなる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記コーティングは、耐摩耗性および/または耐引掻性コーティングからなる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記コーティングは、シロキサン、アクリレート、およびウレタンからなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記コーティングを前記フィルムまたはシートに付着させた後に、前記コーティングを硬化光源に曝露するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記硬化光源は、低線量のUV光源、LED光源、または可視光源からなる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記1つまたは複数の特徴は、1つまたは複数のマイクロレンズを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記フィルムまたはシートの厚さは、0.1~2.0ミリメートルであり、前記コーティングの厚さは、0.5~20ミクロンである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記ベースレンズと前記フィルムまたはシートとは、それぞれナイロン材料からなる、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記コーティングを前記フィルムまたはシートに付着させるステップは、溶媒を含む液体を前記フィルムまたはシート上に塗布するステップと、前記溶媒を含む液体を蒸発させてコーティング層を形成するステップとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
向上した耐摩耗性を有するパターン化レンズを形成する方法であって、
ベースレンズを用意するステップと、
前記ベースレンズの前面にフィルムまたはシートを形成するステップと、
前記フィルムまたはシートに第1のコーティングを付着させるステップと、
射出成形プロセスを適用するステップと、
前記第1のコーティングに第2のコーティングを付着させるステップと、
前記第1のコーティングおよび前記第2のコーティングに1つまたは複数の特徴を複製するステップと
を含む方法。
【請求項16】
前記第2のコーティングは、スピンコーティングによって前記第1のコーティングに塗布される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第2のコーティングの厚さは、前記第1のコーティングの厚さよりも小さい、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記第1のコーティングと前記第2のコーティングとは、それぞれ耐摩耗性および/または耐引掻性コーティングからなる、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記フィルムまたはシートは、ウエハからなる、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
向上した耐摩耗性を有するパターン化レンズを形成する方法であって、
ポリカーボネートからなるベースレンズを用意するステップと、
前記ベースレンズの前面にフィルムまたはシートを形成するステップと、
前記フィルムまたはシートに第1の耐摩耗性コーティングを付着させるステップと、
前記第1の耐摩耗性コーティングを硬化光源に曝露するステップと、
射出成形プロセスを適用するステップと、
前記射出成形プロセスを適用した後、前記第1の耐摩耗性コーティングに第2の耐摩耗性コーティングを付着させるステップと、
前記第1の耐摩耗性コーティングおよび前記第2の耐摩耗性コーティングに1つまたは複数のマイクロレンズを複製するステップと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、「パターン化レンズの耐摩耗性」の名称で2021年11月23日に出願された米国仮出願第63/264502号の恩恵および優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
パターンを有したレンズは、着用者の眼に対する特定の作用についての有用性をもたらすことが知られている。例えば、マイクロレンズがパターン化されたレンズは、小児における急速な近視進行の開始を抑制する効果的な治療を提供することがわかっている。そのようなマイクロレンズパターン化レンズの例は、米国特許第11029540号に開示されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
このようなパターン化レンズは、一般的に、射出成形によって形成されることで、成形型インサートからの光学的特徴の精密な複製が可能となる。成形プロセスは、ポリカーボネートまたはナイロンなどの熱可塑性樹脂を使用して行われる。しかしながら、これらの材料は、一部のユーザが求めるレベルの耐摩耗性を提供せず、いくつかの種類の取扱いの際にレンズが損傷する可能性がある。
【0004】
眼用レンズの耐摩耗性を高めるために、レンズの表面に硬質コーティングを塗布することが、当業者にとって一般的となっている。これは、浸漬コーティングプロセスまたはスピンコーティングプロセスのいずれかによって行われるのが一般的である。このような硬質コーティングは、特に3~5ミクロンの厚さの範囲で付着させた場合に、ポリマレンズ表面の耐摩耗性を劇的に向上させることができる。
【0005】
しかしながら、このような硬質コーティングをパターン化レンズに使用すると、特に、そのパターンが、米国特許第11029540号に記載されるようなマイクロレンズから構成される場合、硬質コーティングは、パターン、例えばマイクロレンズの光学性能に影響を及ぼし、それによって、レンズの効力を低下させる可能性がある。
【0006】
このような硬質コーティングの望ましくない影響を抑制する1つの方法は、硬質コーティングの厚さを減少させることである。但し、厚さを減少させると、硬質コーティングによってもたらされる耐摩耗性の特性も低下する。従って、パターン化レンズの必要な光学性能を維持しながら、パターン化レンズの耐摩耗性を最大限とするレンズを開発することが望ましい。また、パターン化レンズに限らず、一般的にそのようなレンズを開発することも望ましい。
【発明の概要】
【0007】
本明細書では、特に、小児などの患者における急速な近視進行の開始を抑制するための複数のマイクロレンズを組み込んだパターン化レンズ要素に関して、レンズ要素の必要とされる光学性能を維持しながら、レンズ要素の耐摩耗性を最大限とするためのシステム、デバイス、および方法を開示する。
【0008】
例示的な態様において、コーティングされたフィルムを、パターン化レンズの射出成形プロセスで使用して、成形型インサートの特徴を正確に複製しながら、表面硬度を増加させるベース層を生成するようにしてもよい。
【0009】
例示的な態様において、レンズの耐摩耗性を向上させるベース層を、従来の硬質コーティングと組み合わせてもよい。
【0010】
例示的な態様において、硬化途中のコーティングまたは部分的に硬化したコーティングをフィルム上に用いて、射出成形の際の成形性を高めるようにしてもよい。
【0011】
例示的な態様において、コーティングが熱処理によって部分的に硬化される二重熱硬化コーティングおよび/または光硬化コーティングを用いて、フィルムへの十分な接着能力および熱形成能力をもたらすようにしてもよい。
【0012】
例示的な態様において、光硬化コーティングを用いてもよく、この場合、コーティングは、フィルム上に付着後に、UV光源、LED光源、または可視光源などの硬化用光源に低照射量で曝露される。
【0013】
例示的な態様において、十分な可撓性を有して成形可能なコーティングされたフィルムを用いることにより、成形ウエハに熱成形された後、または射出成形プロセスでパターン化レンズに成形された後に、平坦なフィルム上のコーティングがひび割れないようにしてもよい。
【0014】
例示的な態様において、射出成形後のパターン化レンズを、UV光源、LED光源、または可視光源などの様々な光源に曝露してコーティング/硬化を完了し、それにより耐摩耗性を向上させるプロセスを用いてもよい。
【0015】
例示的な態様において、射出成形後のパターン化レンズに熱処理プロセスを用いてコーティングを完全に硬化させ、それにより耐摩耗性が向上するようにしてもよい。
【0016】
例示的な態様において、単層フィルムに加え、コーティングされた積層体を用いてもよい。フィルムの厚さは、約0.1mm~2.0mmの範囲であってもよく、コーティングの厚さは、約0.5ミクロン~20ミクロンの範囲であってもよい。
【0017】
例示的な態様において、硬化途中のコーティングをフィルム上に用い、レンズを成形した後に付着される硬質コーティングの接着性を改善するようにしてもよい。
【0018】
例示的な態様において、ポリカーボネートのフィルムおよびレンズ材料を用いるようにしてもよい。
【0019】
例示的な態様において、ナイロンのレンズ材料およびフィルムを用いるようにしてもよい。
【0020】
例示的な態様において、コーティングされたフィルムは、射出成形の前に予め成形してもよい。
【0021】
例示的な態様において、完成レンズに耐摩耗性コーティングを付着させるようにしてもよい。
【0022】
例示的な態様において、コーティングされたフィルムは、射出成形後に追加の硬質コーティングなしで使用してもよい。
【0023】
例示的な態様において、単層の硬質コーティングを用いてもよい。
【0024】
例示的な態様において、下塗り層および硬質コーティング層を用いてもよい。
【0025】
例示的な態様において、スピンコーティングを使用し、フィルム上にコーティングを塗布してもよい。
【0026】
例示的な態様において、グラビアまたはスロットダイなどのロールツーロールコーティングを使用し、フィルム上にコーティングを塗布してもよい。
【0027】
例示的な態様において、平坦なウエハの形状のフィルム上にコーティングを付着させるようにしてもよい。
【0028】
例示的な態様において、成形ウエハの形状のフィルム上にコーティングを付着させるようにしてもよい。
【0029】
例示的な態様において、溶媒を含有する液体をフィルム上に塗布し、溶媒の蒸発によってフィルム上にコーティング層を形成するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本発明の具現化により可能となるこれらおよびその他の態様、特徴、および利点は、本発明の実施形態について添付の図面を参照して行う以下の説明から明らかになり、解明されるはずである。
【0031】
図1図1は、例示的な一実施形態に係る、マイクロレンズを備えたパターン化レンズの断面図である。
【0032】
図2図2は、例示的な一実施形態に係る、付着した硬質コーティングを有するマイクロレンズを備えたパターン化レンズの断面図である。
【0033】
図3図3は、例示的な一実施形態に係る、プレコートされたフィルムを備えるパターン化レンズの断面図である。
【0034】
図4図4は、例示的な一実施形態に係る、ベース層と硬質コーティングとの組み合わせを備えたパターン化レンズの断面図である。
【0035】
図5図5は、例示的な一実施形態に係る、耐摩耗性の向上を示すグラフである。
【0036】
図6図6は、例示的な一実施形態に係る、焦点ずれテストの結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の具体的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。但し、本発明は、多くの異なる形態で具現化し得るものであり、本明細書に記載する実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が綿密で完全なものとなり、本発明の範囲が当業者に十分に伝わるように提供されるものである。添付の図面に示す実施形態の詳細な説明において使用する用語は、本発明の限定を意図するものではない。図面において、同様の番号は同様の要素を指す。
【0038】
本明細書では様々な実施形態を説明しているかもしれないが、様々な実施形態の特徴のいずれも、任意の組み合わせで互いに組み合わせることができることが具体的に想定される。言い換えれば、様々な実施形態の特徴は、混在させて、互いに組み合せ得るものである。従って、様々な実施形態の特徴のあらゆる置換が明示的に示されるわけではないが、本明細書は、そのような組み合わせをいずれも包含することを意図している。
【0039】
本明細書の意図するものとして、値について言及する際の「約」、「およそ」、または「だいたい」という用語の使用は、包括的に、記載された値の5%(大きいかまたは小さいかのいずれか)以内を意味すると理解することができる。
【0040】
図1は、パターン化された眼科用レンズ100であり、例えば、その表面上に複数のマイクロレンズ120を有したレンズ要素110の例示的な実施形態の断面を示している。図1に示すように、パターン化された眼用レンズ100は、眼用レンズ110の表面上に複数のマイクロレンズ120を備えることができる。複数のマイクロレンズ120の各々は、球面、トーリック、または非球面を含むがこれらに限定されない、様々な形状または構成を備えていてもよい。複数のマイクロレンズ120の各々は、単一の焦点(例えば、円柱度数)を有していてもよいし、また焦点を有さなくてもよい(例えば、近視または遠視の進行を防止するのに使用)。
【0041】
眼用レンズ110の表面上に複数のマイクロレンズ120を用いることにより、可変屈折力の構成を得ることができる。例えば、眼科用レンズ110の表面は、第1の屈折力をもたらすことができ、複数のマイクロレンズ120は、第1の屈折力とは異なる第2の屈折力をもたらすことができる。いくつかの例示的な実施形態において、複数のマイクロレンズ120は、眼用レンズ110の表面の第1の屈折力とは異なる複数または多数の屈折力をもたらすことができる。従って、複数のマイクロレンズ120は、眼用レンズ110の表面と複数のマイクロレンズ120の表面との間の曲率の差により、眼用レンズ110の処方によって提供される補正を変更または変化させることが可能となる。
【0042】
本明細書には、マイクロレンズ120を備えたレンズ素子110の例示的な実施形態の様々な寸法を説明する非限定的な実施例がいくつか開示されている。このような非限定的な実施例は、単に例示を目的とするものであり、従って、範囲を限定するものとして解釈されるべきではないことを理解されたい。
【0043】
いくつかの非限定的な実施例において、眼用レンズ110の表面上の複数のマイクロレンズ120の各マイクロレンズ120は、0.5mm~1.5mmなど、約0.1mm~2mmの範囲の直径(D)を有していてもよい。いくつかの非限定的な実施例において、複数のマイクロレンズ120の各マイクロレンズ120の高さHは、約0.01~0.8mmの範囲にあってもよい。いくつかの別の実施例において、複数のマイクロレンズ120の各マイクロレンズ120の高さHは、約0.0008~0.8mmの範囲にあってもよい。各マイクロレンズ120の高さHは、そのマイクロレンズ120から予期される所望の第2の屈折力に基づいて決定されるようにしてもよい。
【0044】
一例として、米国特許第11029540号は、その内容の全体が参照により本明細書に組み込まれるが、眼鏡レンズの表面上に複数のマイクロレンズを備えた眼鏡レンズを記載しており、各マイクロレンズは、2~5ジオプトリの追加屈折力を生成するのに十分な曲率を伴う0.8mm~2mmの直径を有している。
【0045】
いくつかの非限定的な実施例において、各マイクロレンズ120の観察者側表面は、凸球面形状に形成してもよく、眼用レンズ110の観察者側表面の曲率よりも大きい曲率を有していてもよい。従って、各マイクロレンズ120の凸球面の屈折力は、眼用レンズ110の観察者側表面の屈折力よりも高くてもよい。マイクロレンズ120が表面上にパターン化された眼科用レンズ110の性能は、マイクロレンズ120の凸球面の曲率と眼科用レンズ110の観察者側表面の曲率との急激な相違に依存し得る。
【0046】
図1からわかるように、各マイクロレンズ120は、眼用レンズ110の観察者側表面よりも大きな曲率を有して観察者側に向かって凸状の球面形状を備えていてもよい。図1に示すように、2つのマイクロレンズ120の間の範囲は、眼用レンズ110の観察者側表面となり得る。図1から、マイクロレンズ120の凸球面形状の表面と眼用レンズ110の観察者側表面との間には、曲率の急激な低下が存在し得ることがわかる。
【0047】
前述のように、眼用レンズの耐摩耗性を高めるために、レンズ110の表面に硬質コーティング130を付着させてもよい。但し、マイクロレンズ120を有した眼科用レンズ110の表面を耐摩耗性コーティング130でコーティングすることにより、マイクロレンズ120の曲率からベースレンズ110の曲率への遷移の「鋭さ」が低下する可能性がある。マイクロレンズ120の曲率からの遷移における曲率の逸脱が大きくなると、所望の焦点ずれの制御が弱まり、パターン化レンズ100の性能が低下する可能性がある。その結果、マイクロレンズ120の屈折力、およびマイクロレンズ120によって得られる効果の両方が低減し、それによって、急速な近視進行を治療するための有効性が低下する可能性がある。
【0048】
コーティング130の付着によるマイクロレンズ120の曲率からベースレンズ110の曲率への遷移の「鋭さ」の低下は、硬質コーティング130が存在しないときのマイクロレンズ120の曲率から、遷移における曲率を望ましくないほどに逸脱させ、それによって、パターン化レンズ100の性能を低下させる可能性がある。このような影響の一例を図2に示す。
【0049】
図2に示すように、ベースレンズ110の表面は、限定されるものではないが、例えば「d」のコーティング厚さを有し得る硬質コーティング130でコーティングされていてもよい。厚みの高さは、眼科用レンズ110の観察者側表面と、眼科用レンズ110の観察者側表面の上の硬質コーティング130の外表面との間の高さとして測定することができる。マイクロレンズ120の凸球面形状の表面の上方の硬質コーティング130の厚さは、「d」の高さよりも小さいが、それでも、マイクロレンズ120の凸球面形状の表面の上方に硬質コーティング130が存在することで、マイクロレンズ120の曲率から眼用レンズ110の観察者側表面の曲率への遷移の「鋭さ」が低下する可能性がある。
【0050】
硬質コーティング130の厚さdが増加するにつれて、マイクロレンズ120からベースレンズ110への遷移の「鋭さ」または「特徴明確性」におけるこのような損失が悪化する可能性がある。いくつかの実施例において、特徴、例えばマイクロレンズ120の高さは、典型的な硬質コーティング130の厚さと同様の大きさとなり得る。これは、特徴を「ぼかし」、パターン化レンズ100の機能の目的を無効にする可能性がある。その結果、光学的品質の劣化を補償するために、硬質コーティング130の厚さを最小限に抑えることが必要となる場合がある。
【0051】
このようなマイクロレンズ120上の硬質コーティング130の望ましくない影響を抑制するための1つの可能性のある選択肢は、硬質コーティング130の厚さの減少かもしれない。但し、硬質コーティング130の厚さの減少は、硬質コーティング130によってもたらされる耐摩耗性の特性を低下させる可能性もある。
【0052】
このような影響を軽減するため、いくつかの実施例において、射出成形プロセス中に、ベースレンズ110の前面にフィルムまたはシート140を形成してもよい。いくつかの非限定的な実施例において、シートまたはフィルム140は、厚さ「T」を有していてもよい。様々な実施形態において、様々なタイプのフィルムまたはシート140を用ることができる。非限定的な一例の実施形態において、フィルムまたはシート140は、ポリカーボネート(例えば、ポリカーボネートフィルム)からなっていてもよい。
【0053】
いくつかの例示的な実施形態において、フィルムまたはシート140は、レンズ110に用いる前に、その表面に付着された成形可能な耐摩耗性および/または耐引掻性硬質コーティング130を有していてもよい。いくつかの実施例において、フィルムまたはシート140上に付着された耐摩耗性および/または耐引掻性硬質コーティング130の厚みは、図3に示すように、高さd'を有していてもよい。厚みの高さd'は、フィルムまたはシート140の観察者側表面と、フィルムまたはシート140の観察者側表面の上にある耐摩耗性および/または耐引掻性硬質コーティング130の外表面との間の高さとして測定することができる。
【0054】
例示的な一実施形態において、耐摩耗性および/または耐引掻性硬質コーティング130は、シロキサン、アクリレート、およびウレタンを含むがこれらに限定されない様々な材料の一群から選択されたものであってもよい。いくつかの非限定的な実施例において、耐摩耗性および/または耐引掻性硬質コーティング130は、硬化性または架橋性の組成物から調製してもよく、硬化は、熱硬化またはUV硬化によって達成してもよい。
【0055】
いくつかの例示的な実施形態では、耐摩耗性および/または耐引掻性硬質コーティング130をフィルムまたはシート140に付着させてフィルムまたはシート140の表面の硬度を高めることによって、その耐摩耗性を向上させるようにしてもよい。耐摩耗性および/または耐引掻性硬質コーティング130は、成形前にフィルムまたはシート140上に付着させることができるので、図3に概略的に示すように、耐摩耗性および/または耐引掻性硬質コーティング130の表面に成形型の特徴を複製することができる。
【0056】
引き続き図3を参照すると、厚さTのフィルムまたはシート140、例えばポリカーボネートフィルムを、成形されたポリカーボネートレンズ110の前面に備えていてもよいことがわかる。フィルムまたはシート140の前面、即ち観察者側表面は、射出成形プロセスから分離して処理し得るものであり、従って、厚さd'の硬質コーティング130でプレコートされていてもよい。このような硬質コーティング130は、ベース層(BL)130と呼ばれることがある。
【0057】
いくつかの例示的な実施形態において、ベースレンズ110をフィルムまたはシート140と共に射出成形プロセスに導入する前に、フィルムまたはシート140を観察者側表面にコーティングするようにしてもよい。射出成形中、BLまたは硬質コーティング130は、図1に示す場合のように、成形型の特徴を複製することができ、この場合、特徴またはパターン、例えばマイクロレンズ120を、熱可塑性レンズ材料に複製するようにしてもよい。
【0058】
例示的な一実施形態において、BL130は、完全には硬化していない材料から形成することにより、射出成形/造形プロセスの際に、より高い可撓性が得られるようにしてもよい。このような構成は、ひび割れることなく成形型インサートのパターンを複製する際の一助となる。硬度を最大限にするために、硬質コーティング130の硬化は、射出成形後に完了するようにしてもよい。
【0059】
いくつかの例示的な実施形態において、マイクロレンズ120は、BL130または第1の硬質コーティング層130上に形成してもよい。このとき、最終的な耐摩耗性および/または耐引掻性硬質コーティング130'を、所定レベルの耐摩耗性を達成するために通常必要とされる厚さより薄い厚さdで、マイクロレンズ上に付着させるようにしてもよい。必要な耐摩耗性を依然として達成しながら、最終の硬質コーティング130'の必要な厚さを低減可能とすることによって、マイクロレンズ機能の光学性能をより良好に維持することができる。
【0060】
いくつかの例示的な実施形態において、厚さdの最終の硬質コーティング130'は、例えば、浸漬コーティングを使用することによって、複数のマイクロレンズ120上に塗布するようにしてもよい。このような構成を、図4に模式的に示す。
【0061】
上面の一番外側にある硬質コーティング130'の厚さdは、特徴、例えばマイクロレンズ120などの特徴とベースレンズ曲線形状との間の遷移の鈍化を最小限に抑えるように、十分薄くすることができる。更に、最初の硬質コーティング130のBL130は、下にあるレンズ材料110と比較して表面硬度を高めることにより、更なる耐摩耗性を提供することができる。
【0062】
マイクロレンズ120の領域において、下にあるシートもしくはフィルム140、またはポリカーボネートレンズ材料110の変形がある限り、一実施形態における様々な層に使用される材料は、関連する誤差を最小限に抑える上で十分な程度に類似するような屈折率を有していてもよい。例えば、マイクロレンズ120上の最終の硬質コーティング130'は、屈折率が1.5であり、ベース層BL硬質コーティング130も、屈折率が1.5であり、シートまたはフィルム140およびレンズ110の材料、例えばポリカーボネートは、屈折率が1.59であってもよい。このような例示的な実施形態では、最大屈折率段差が、ポリカーボネートフィルムと最終の硬質コーティング130'またはBL硬質コーティング130層との間の0.09とすることができる。このような屈折率段差は、屈折効果を支配し得るフィルム、例えばマイクロレンズ120がない場合の、空気から硬質コーティングされたパターン化特徴部分に至る位置における屈折率段差の1.5と比較すると、はるかに小さなものとすることができる。場合によっては、異なる屈折率を有した下方のレンズ材料ではなく、ベース層(BL)を成形するときに、屈折率の差を考慮して、マイクロレンズ要素の構成の修正が必要となることがある。
【0063】
ベース層BL130の利点の1つは、優れたベース層を設けることによって耐摩耗性が向上することである。このような利点の1つを図5に示す。
【0064】
耐摩耗性は、バイエル(Bayer)摩耗試験やスチールウール摩耗試験を含む様々な方法で測定することができる。図5のデータは、例示を目的とするものであり、従って、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。目標耐摩耗性値が5の場合、硬質コーティングだけでは、2.75ミクロン近くの厚さが必要となる場合がある。このような厚さは、上述のように、レンズの光学特性に望ましくない劣化をもたらす可能性がある。しかしながら、上述のようなBLの使用により、目標耐摩耗性値が5の場合、硬質コーティングの厚さを1.3ミクロンに低減することが可能となり、依然として所望の耐摩耗性および所望の光学性能を達成することができる。
【0065】
米国特許第7500749号は、射出成形プロセスを用いて光学製品を製造する方法を開示しており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0066】
以下、例示的な実施形態について、より詳細に説明する。但し、以下に開示および/または説明する方法、手順、システム、デバイス、および/または値は、いずれも、単に例示して説明することを目的とするものであることを理解されたい。従って、本発明の範囲は、以下の例示的な実施形態によって限定されると解釈されるべきではない。
【0067】
例示的な実施形態において、ポリカーボネートフィルムの一方の面を、熱成形可能なコーティングでプレコートするようにしてもよい。例示的な実施形態では、可撓性コーティングポリマを有したコーティングを使用してもよい。別の例示的な実施形態は、米国特許第7500749号に記載されているように、インモールド射出成形の前にコーティングを部分的に硬化させることによるものであってもよい。
【0068】
別の例示的な実施形態では、熱成形可能なコーティングを、UV硬化コーティングと組み合わせて二重熱硬化させるようにしてもよい。コーティング溶液をポリカーボネートフィルム上に塗布した後、コーティングされたフィルムを熱硬化させることができ、その結果、ポリカーボネートに対する良好な接着性を保持しながら、初期クロスハッチ接着テープ試験に合格する、透明なコーティングが得られる。このような熱硬化のみのコーティングは可撓性があり、熱成形可能とすることができる。
【0069】
このようなプレコートされたポリカーボネートフィルムをインモールド射出成形プロセスで使用して、プレコートされた物品を製造することができる。射出成形時のコーティングは、可撓性を有していてもよく、それにより、コーティングにひび割れを生じることなく物品形状に成形することが可能となる。二重硬化コーティングを使用する場合、コーティングは、次に、UV硬化で耐引掻性コーティングを形成することによって完成するようにしてもよい。
【0070】
市販のコーティングされたポリカーボネートフィルムの非限定的な例には、例えば、サビック(Sabic)のLexan HP92SおよびLexan HP92T、テックプラスト(TechPlast)の5X36 Indoor AR PCおよびPoly 12323、コベストロ(Covestro)のMakrolon HF312およびMakrolon HF278、ならびに帝人のPlanlite PC-710AおよびPC-SB50が含まれる。
【0071】
第1の例示的な実施形態は、プレコートされたHF312フィルムを有するポリカーボネートレンズの射出成形と、約1.7のバイエル比を有する従来の硬質コーティングの付加とを含んでいてもよい。このような第1の例示的な実施形態は、14ミクロンのコーティング厚さを有した15ミルのプレコートポリカーボネートフィルムを用いてもよい。ポリカーボネートフィルムは、熱硬化を完了せずにUV硬化させてもよい。
【0072】
HF312フィルムを、別の12ミルのポリカーボネートフィルムと積層して、フォトクロミック積層体を形成するようにしてもよい。次に、このフォトクロミック積層体を、平坦で丸い形状のウエハに切断し、インモールド射出成形プロセスを用い、コーティングがレンズの凸面上にあるようにして、6ベースのフォトクロミックレンズに製造するようにしてもよい。このような例示的な実施形態では、コーティングが曇っていない場合があり、目視検査では、コーティングのひび割れの兆候が示されない可能性がある。次に、例えば、2000mJ/cm2のUVA線量で水銀D電球ランプを用い、レンズをUV光に曝露して、コーティングの硬化を完了するようにしてもよい。
【0073】
その後、0.2ミクロンの下塗り層および1.8ミクロンの硬質コーティング層を含む耐引掻性コーティングを、浸漬コーティングプロセスを用いて上述のレンズ上に塗布してから、華氏235度で6時間硬化させてもよい。レンズに対して耐摩耗性試験を実行することができ、その結果、約1.7のバイエル比が得られる。
【0074】
第2の例示的な実施形態は、コーティングされていないポリカーボネートフィルムを有するポリカーボネートレンズの射出成形、および約0.9のバイエル比を有する従来のレンズ硬質コーティングの付加を含んでいてもよい。コーティングされていない、平坦で丸い形状の6ベースフォトクロミックポリカーボネートウエハを射出成形することにより、レンズにすることができる。レンズ自体を、Crystalcoat 1165およびCrystalcoat 1154でコーティングしてもよく、耐摩耗性試験の結果、約0.9のバイエル比が得られる。従って、第1の例示的な実施形態は、第2の例示的な実施形態に含まれるレンズ製造の標準的な方法と比較した場合、約89%の改善を示し得る。
【0075】
第3の例示的な実施形態は、プレコートされたHF278フィルムを有するポリカーボネートレンズの射出成形と、約1.9のバイエル比を有するポリカーボネートレンズの従来の硬質コーティングとを含んでいてもよい。このような例示的な実施形態では、第1の例示的な実施形態と同様に、15ミルのプレコートポリカーボネートフィルムを用いてもよい。15ミルのプレコートポリカーボネートフィルムがプレコートHF278フィルムである点を除き、第2の例示的な実施形態で説明したものと同一または類似のプロセスを用いて、6ベースポリカーボネートレンズを製造してもよい。耐摩耗性試験では、約1.9のバイエル比を得ることができ、第2の例示的な実施形態に含まれるレンズ製造の標準的な方法と比較した場合、約100%の改善を示し得る。
【0076】
第4の例示的な実施形態は、プレコートポリカーボネートレンズの射出成形を含んでいてもよい。このような例示的な実施形態では、ポリカーボネートフォトクロミックラミネートサンプルに付着される追加のUV硬化性コーティングを使用して、サンプルを調製してもよい。UV硬化性コーティングは、同一施設内で付着させる(例えば、プレコートされない)ことにより、コーティング硬度および成形時の係数に影響を及ぼす硬化度をより詳細に制御可能としてもよい。コーティングされたフィルムは、厚さ1ミクロンのコーティング樹脂を採用してもよく、このコーティング樹脂は、UV光で部分的に硬化させてから、熱硬化サイクル(例えば、100℃超)または追加のUV硬化が行われるようにしてもよい。付着された硬質コーティングは、約0.2ミクロンの下塗り層を伴い、約2ミクロンの厚さを有していてもよい。硬質コーティングは、成形レンズに(積層体の有無にかかわらず)適用されてもよい。
【0077】
硬質コーティングのみを用いたような実施形態のバイエル試験では、約3.1のバイエル比を得ることができる。積層体(例えば、レンズに成形された)上のみにウエハコーティングを有するような実施形態のバイエル試験では、約1.3のバイエル比を得ることができる。積層体(例えば、レンズに成形された)上に硬質コーティングおよびウエハコーティングを用いたような実施形態のバイエル試験では、約5.6のバイエル比を得ることができる。このような3つの実施形態の全てにおいて、クロスハッチ接着は試験に合格し得るものである。
【0078】
ウエハコーティング自体は、ある程度の基本的な摩耗耐性を提供することが分かる。しかしながら、硬質コーティングとの組み合わせによって、ウエハコーティング単独での使用、または硬質コーティング単独での使用を含め、バイエル摩耗値が著しく増加し得る。従って、上述の例示的な実施形態の有効性は、耐摩耗性を向上させるための有効性を明確に実証している。
【0079】
第5の例示的な実施形態は、特徴の複製を実証し得るものである。パターン化された成形型からのレンズの幾何学的形状を比較するために、コーティングされたフィルムがある場合とない場合との、一連のレンズを調製することができる。コーティングされたフィルムは、上述の例示的な実施形態のものと一致するものであってもよい。成形型のパターンは、米国特許第11397335号に開示および/または記載されるものと同様であってもよく、当該米国特許は、成形型インサートのベースカーブ(即ち、「小型レンズ」)よりも大きい曲率の独立した島状領域の配列を開示しており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0080】
小型レンズは、典型的な約0.98mmの公称直径を有し、約0.75ミクロンの高さを有していてもよい。コーティングされたフィルムは、約1ミクロンの厚さのコーティング樹脂を使用してもよく、このコーティング樹脂は、UV光で部分的に硬化されてから、熱硬化サイクル(例えば、100℃超)または追加のUV硬化を行ってもよい。成形レンズの幾何学的形状は、ザイゴ(Zygo)のNuviewなどの干渉計を使用して測定することができる。
【0081】
このような例示的な実施形態の結果を図6に示しており、「Fit R Seg 径平均」は、マイクロレンズの直径を表し、「Fit R Seg 高さ平均」は、マイクロレンズの平均高さを表し、「Calib Fit R 焦点ずれ(D)」は、マイクロレンズの屈折力をジオプトリで表し、「ベースカーブ」は、同様にジオプトリで測定されたレンズの有効ベースカーブを表している。p値は、単一因子ANOVA試験から得られる、コーティングされた積層体を用いて形成されたレンズとコーティングされた積層体を用いずに形成されたレンズとの比較結果を表し得る。
【0082】
直径および高さは、p値に基づいて統計的に同等であってもよいが、ジオプトリで表される曲線度数は、統計的に異なる可能性がある。但し、得られた結果の間の偏差は、いずれも小さく、必要に応じ、インサートの設計に対する修正によって容易に補正し得るものである。成形後のレンズは、透明なままとすることができ、レンズに組み込んだ後の積層体表面上のコーティングにひび割れまたは損傷の兆候は見られない。従って、図6に示すような組み合わせデータは、プレコートされた積層体を使用することで、最終的なレンズの幾何学形状でパターン化された表面の複製を依然として可能にしつつ、レンズの耐摩耗性を向上させることができることを明確に示している。
【0083】
特定の実施形態および用途に関して本発明を説明したが、当業者であれば、本教示に照らし、請求された発明の意図から逸脱したり、範囲を超えたりすることなく、更なる実施形態および変更を得ることができる。従って、本明細書の図面および説明は、本発明の理解を促進するために一例として提供されるものであって、その範囲を限定すると解釈されるべきではないことを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-07-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
向上した耐摩耗性を有するパターン化レンズを形成する方法であって、
ベースレンズを用意するステップと、
前記ベースレンズの前面にシートを形成するステップと、
前記シートにコーティングを付着させるステップと、
射出成形プロセスを適用するステップと、
前記コーティングおよび前記シート前記ベースレンズの1つまたは複数の特徴を複製するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記ベースレンズは、ポリカーボネートからなる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記シートは、前記射出成形プロセスの前に、前記コーティングがプレコートされる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記コーティングは、完全には硬化していない材料から形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記シートは、フィルムからなる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記シートは、ポリカーボネートからなる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記コーティングは、耐摩耗性および/または耐引掻性コーティングからなる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記コーティングは、シロキサン、アクリレート、およびウレタンからなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記コーティングを前記シートに付着させた後に、前記コーティングを硬化光源に曝露するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記硬化光源は、低線量のUV光源、LED光源、または可視光源からなる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記1つまたは複数の特徴は、1つまたは複数のマイクロレンズを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記シートの厚さは、0.1~2.0ミリメートルであり、前記コーティングの厚さは、0.5~20ミクロンである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記ベースレンズと前記シートとは、それぞれナイロン材料からなる、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記コーティングを前記シートに付着させるステップは、溶媒を含む液体を前記シート上に塗布するステップと、前記溶媒を含む液体を蒸発させてコーティング層を形成するステップとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
向上した耐摩耗性を有するパターン化レンズを形成する方法であって、
ベースレンズを用意するステップと、
前記ベースレンズの前面にシートを形成するステップと、
前記シートに第1のコーティングを付着させるステップと、
射出成形プロセスを適用して、前記シートおよび前記第1のコーティングの両方に前記ベースレンズの1つまたは複数の特徴を複製するステップと、
前記第1のコーティングに第2のコーティングを付着させるステップ
含む方法。
【請求項16】
前記第2のコーティングは、スピンコーティングによって前記第1のコーティングに塗布される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第2のコーティングの厚さは、前記第1のコーティングの厚さよりも小さい、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記第1のコーティングと前記第2のコーティングとは、それぞれ耐摩耗性および/または耐引掻性コーティングからなる、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記シートは、ウエハからなる、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
向上した耐摩耗性を有するパターン化レンズを形成する方法であって、
ポリカーボネートからなるベースレンズを用意するステップと、
前記ベースレンズの前面にシートを形成するステップと、
前記シートに第1の耐摩耗性コーティングを付着させるステップと、
前記第1の耐摩耗性コーティングを硬化光源に曝露するステップと、
射出成形プロセスを適用して、前記シートおよび前記第1の耐摩耗性コーティングの両方に成形型の1つまたは複数の特徴を複製するステップと、
前記射出成形プロセスを適用した後、前記第1の耐摩耗性コーティングに第2の耐摩耗性コーティングを付着させるステップ
含む方法。
【国際調査報告】