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特表2024-542265デバイスを監視するための方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】デバイスを監視するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G01M 99/00 20110101AFI20241106BHJP
【FI】
G01M99/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531123
(86)(22)【出願日】2022-11-24
(85)【翻訳文提出日】2024-05-23
(86)【国際出願番号】 NL2022050681
(87)【国際公開番号】W WO2023096489
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】21210309.7
(32)【優先日】2021-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591211799
【氏名又は名称】ハイネケン サプライ チェーン ベー.フェー.
【氏名又は名称原語表記】Heineken Supply Chain B.V.
【住所又は居所原語表記】Tweede Weteringplantsoen21 1017 ZD Amsterdam The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】ヴィレム・ヘリット・デーレン
(72)【発明者】
【氏名】ミヒール・ヘルマン・マーヒト
(72)【発明者】
【氏名】シャオユン・ビン
(72)【発明者】
【氏名】ラモン・マリン・ラミレス
(72)【発明者】
【氏名】ダーフィット・パヴロヴィッチ
【テーマコード(参考)】
2G024
【Fターム(参考)】
2G024AD03
2G024AD08
2G024BA27
2G024CA13
2G024CA16
2G024CA18
2G024FA02
2G024FA06
2G024FA14
(57)【要約】
デバイスの動作状態を監視するための方法及びシステムが提供される。既定の時間間隔内でデバイスの少なくとも1つの動作パラメータを示すデータのセットが、受信される。データのセットに基づいて、データのセットを一意に識別する識別子が計算される。識別子とデバイスの少なくとも1つの動作パラメータについての少なくとも1つの参照識別子との間の少なくとも1つの偏差が、判定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子コンピュータ装置において、デバイスを監視する方法であって、
既定の時間間隔内で前記デバイスの少なくとも1つの動作パラメータを示すデータのセットを受信することと、
前記データのセットに基づいて、第1のアルゴリズムを使用して前記データのセットを一意に識別する識別子を計算することと、
前記識別子と前記デバイスの前記少なくとも1つの動作パラメータについての少なくとも1つの参照識別子との間の少なくとも1つの偏差の発生に関するデータを含む偏差データを判定することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記識別子が、前記既定の時間間隔内の前記データのセットのデジタルフィンガープリントを形成し、前記デジタルフィンガープリントが、前記少なくとも1つの動作パラメータに関連付けられた作業体制の一意の識別を表す、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記デジタルフィンガープリントが、入力として前記既定の時間間隔で前記データのセットの少なくとも一部分を受信するように構成されている統計モデルを使用して計算される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記識別子が、前記データのセット内の特徴のサブセットに基づいて判定され、1つ以上のロバスト特徴が、前記データのセットから抽出され、ロバストハッシュ署名が、前記抽出された1つ以上のロバスト特徴から判定される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記データのセットが、前記デバイスの複数の動作パラメータに関連付けられた多変量信号に対応する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記多変量信号内の前記複数の動作パラメータ間の相互作用及び/又は依存関係を識別するように構成されている訓練された機械学習モデルが採用されている、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの偏差のサイズを示す値が、事前設定された閾値よりも大きい場合に、動作異常の検出がトリガされる、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
動作異常の前記検出が、前記偏差の前記サイズを示す前記値が、既定の時間スパン内で前記事前設定された閾値を超えるときにのみトリガされる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記識別子を計算することが、アルゴリズムを使用して実行され、前記参照識別子が、前記デバイスの検証された正常動作下での参照データのセットに基づいて、同じアルゴリズムを使用して計算される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つの動作パラメータに関連付けられた過渡信号値が、複数の時間ステップで測定され、前記既定の時間間隔内の前記デバイスの少なくとも1つの動作パラメータを示す前記データのセットが、前記既定の時間間隔内の複数の連続した時間ステップにおける複数の測定ポイントを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
デバイスステータスデータを受信することと、
前記デバイスステータスデータと前記偏差との間の関係を判定することと、を更に含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記デバイスステータスデータが、ステータスタイミング情報を提供され、前記偏差データが、偏差タイミング情報を提供され、前記方法が、経時的に、ステータスデータと偏差データとの間の関係を判定することを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記デバイスステータスデータに基づいて、前記デバイスに関連するデバイスイベントを判定することと、
前記ステータスタイミング情報及び前記偏差タイミング情報に基づいて、前記デバイスイベントと前記偏差の発生との間の時間間隔を判定することと、を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記デバイスステータスデータに基づいて、前記デバイスに関連する多数のデバイスイベントを判定することと、
前記ステータスタイミング情報及び前記偏差タイミング情報に基づいて、前記デバイスイベントと1つ以上の偏差の発生との間の時間間隔を判定することと、
前記多数の判定されたデバイスイベントから、前記デバイスの特定の部分に関連する第1のデバイスイベント、及び前記デバイスの前記特定の部分に関連する第2のデバイスイベントを識別することと、
前記偏差データから、第1の偏差の第1の発生及び第2の偏差の第2の発生を識別することと、を更に含み、
前記第1のデバイスイベントと前記第1の発生との間の第1の時間間隔が、前記第2のデバイスイベントと前記第2の発生との間の第2の時間間隔から既定の関係時間間隔未満である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
デバイスを監視するためのシステムであって、
既定の時間間隔内で前記デバイスの少なくとも1つの動作パラメータを示すデータのセットを受信することと、
データのセットに基づいて、前記データのセットを一意に識別する識別子を計算することと、
前記識別子と前記デバイスの前記少なくとも1つの動作パラメータについての少なくとも1つの参照識別子との間の少なくとも1つの偏差を判定することと、を行うように構成されているコントローラを備える、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
その様々な態様及び変形は、デバイスを監視するための方法及びシステムに関する。更に、その様々な態様及び変形は、その動作状態を監視するためのシステムを備えるデバイスに関する。その様々な態様及び変形はまた、ソフトウェア命令及びコンピュータプログラム製品を有する非一時的コンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
デバイスの動作条件を監視することが、ますます重要になっている。例えば、予測的メンテナンスは、データ分析を実行することによって、デバイス、機械、又はシステムの動作上の異常を検出するために広く採用されている。目標は、機器及びプロセスの起こり得る欠陥を検出し、障害又は機能停止につながる前に修正することができるようにすることである。重要な機械コンポーネントの障害は、一部の部品が容易に入手可能ではないことが多いため、数時間、又は数日の生産ダウンタイムをもたらす可能性がある。例えば、充填機又は真空ポンプなど、醸造所の運営に不可欠な機械は、予想外に故障し得る。これは、修理に必要な資源及びスペアパーツの在庫がない場合があるため、生産プロセスの大部分で著しい量のダウンタイムを引き起こし得る。
【0003】
デバイスの異常な動作が早期にキャッチされると、関連するコストは、著しくより低くなり得る。時間が進行するにつれて、デバイスを修理することがより高価になり得、最終的には、機械が動作しないときにコストのピークに達する。早期検出の兆候は、ツール及びセンサの助けを借りなければ気づかないことが多いため、こうした問題が発生する前に検出することができるように、常に注意を払う必要がある。これには、特に生産ラインなどで多数の機械又はデバイスが連携して動作するときには、複雑なタスクであり得る定期的な検査の実施を伴うことがよくある。
【0004】
異常は、通常観測される信号、すなわちデバイスが正常に動作しているときの信号からかなり外れた信号の一部として見ることができる。したがって、関連する信号が調べられていることを考慮すると、異常は初期の機器の誤動作の効率的な指標となる可能性がある。
【0005】
その最も単純な形態では、異常は、センサ測定データの目視検査によって、ドメイン専門家(例えば、訓練を受けたオペレータ)によって検出される。専門家は、大きいピーク/ディップ、大きい変動、又はその他の大規模な傾向を観察し、それらがプロセスの予想される範囲内にあるかどうかを判定する。そのようなアプローチでは、機械コンポーネントの背後にある物理的原理の理解に基づき、何が測定され、その測定から何を予想することができるかを文脈的に理解する必要がある。明らかに、複数の測定値を定期的に観察することは、専門家にとって非常に時間がかかる可能性がある。加えて、選択された専門家グループのみが信号を解釈できるため、スケーラビリティにも限界がある。その結果、問題がタイムリーに検出されないことがよくある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
好ましくは、利用可能なデータを理解するための高度な専門知識を必要とせずに、事前にメンテナンスを実施すべき時期をより良好に示すことで、予想外の機能停止又は機器の障害による機器のダウンタイムを低減する必要がある。
【0007】
更に、既存の方法は、現場で実施するのが面倒かつ困難であり得、多くの場合、1つ以上の動作パラメータを正確に調整又は微調整するために、人間の専門オペレータを必要とする。様々なプロセスにおけるデバイスの機能のモニタリングを改善することが望まれている。更に、より複雑でなく、侵入的でなく、かつ/又は高価でない、そのような監視システム及び方法が望まれている。
【0008】
上記の欠点の少なくとも1つを解消する方法及びシステムを提供することが好ましい。
【0009】
追加的又は代替的に、デバイスの内部動作の監視の改善を提供することが好ましくあり得る。
【0010】
追加的又は代替的に、デバイスの1つ以上のコンポーネントの不規則的な動作の改善された検出を提供することが好ましくあり得る。
【0011】
追加的又は代替的に、デバイス又はその一部のメンテナンスを改善することができる方法を提供することが好ましくあり得る。
【0012】
追加的又は代替的に、デバイス又はその一部の内部機能の監視の効率を改善することが好ましくあり得る。
【0013】
そこで、第1の態様は、電子処理又は電子コンピューティングデバイスにおける実行のために、デバイスを監視する方法を提供し、この方法は、既定の時間間隔内でデバイスの少なくとも1つの動作パラメータを示すデータのセットを受信することと、データのセットに基づいて、データのセットを一意に識別する識別子を計算することと、識別子とデバイスの少なくとも1つの動作パラメータについての少なくとも1つの参照識別子との間の少なくとも1つの偏差の発生に関するデータを含む偏差データを判定することと、を含む。
【0014】
これにより、デバイスの挙動が何らかの方法で通常の動作から外れたときを検出する有利な方法が提供される。異常検出は、測定データの一意の識別子を計算することによって実行され、一意の識別子を、例えば、デバイスの検証された正常な状態下で判定された参照識別子と比較する。
【0015】
識別子とデバイスの少なくとも1つの動作パラメータの少なくとも1つの基準識別子との間の少なくとも1つの偏差に基づいて、デバイスの少なくとも1つの監視された動作パラメータが、デバイスの所望の基礎となる性能を提供するかどうかを判定することができる。方法は、計算された識別子を1つ以上の関連する参照識別子と体系的に比較することを伴い得る。
【0016】
識別子は、データのセットの識別のほぼ一意のマーカを提供するように計算され得る。任意選択的に、識別子は、それらの特性に従って識別子をグループ化するように構成されており、したがって、1つ以上の参照識別子に対する1つの識別子フィンガープリントのマッチングに役立つ識別ユニットによって計算される。いくつかの実施例では、一致を見つけるために複数の偏差が計算されるように、参照識別子のデータベースが使用される。照合される必要があるクエリ識別子は、既存のデータベース内の参照識別子のサブセットと比較することができる。これは、フィンガープリント分類システムで一致するフィンガープリントを識別するのと同じように機能する。識別子は、信号内の特定の特性パターンの有無を含む、データのセット内の特定のパターンを捕捉し得る。
【0017】
識別子は、コンテンツ信号から導出された数値構造であり得る。識別子は、登録された異なるコンテンツ信号ではなく、そのコンテンツ信号からのフィンガープリントに類似する信号の統計的に一意の識別子として機能し得る。識別子は、変換規則に基づいて計算され得る。いくつかの実施例では、変換ルールは、いくつかの識別されたパターンのみを考慮に入れるように構成されている。いくつかの実施例では、識別されたパターンは、識別子を計算する前に更に分解することができる。
【0018】
任意選択的に、既定の時間間隔内のデータのセットは、データストリームの一部である。計算された識別子は、デバイスの少なくとも1つの動作パラメータに関連付けられた監視された信号から導出されるか、又はそこから抽出されるか、その下にあり得るコンポーネントを含む、コンパクトで一意のデータストリーム識別子とすることができる。計算された識別子は、データフィンガープリントの形態に対応し得る。識別子又はデータフィンガープリントは、歪み、ノイズなどの信号の修正に対してロバストであり得る。データフィンガープリントは、効率的にデータベースに格納され、検索されて、信号識別を可能にすることができる。
【0019】
任意選択的に、識別子は、既定の時間間隔内でデータのセットのデジタルフィンガープリントを形成し、デジタルフィンガープリントは、少なくとも1つの動作パラメータに関連付けられた作業体制の一意の識別を表す。
【0020】
既定の時間間隔内のデバイスの少なくとも1つの動作パラメータを示すデータのセットは、識別子を使用して容易に捕捉及び比較することができる固有のプロファイルを有し得る。フィンガープリントと同様に、デバイスの同じ動作パラメータのデータの各連続的なセットに包含されるデータプリント特徴は、通常の動作条件下でほぼ一意であり得る。識別子は、データのセット内のデータ印刷の特性を使用することによって、データのセットの識別を認識することを可能にする。任意選択的に、監視された信号は、データのセットを取得するために前処理され、前処理は、例えば、特定のパターンに関連する、関連するデータのみが保持される特徴抽出ステップを伴う。
【0021】
識別子は、データのセット内のデータベース化された特徴に依存し得る。
【0022】
任意選択的に、デジタルフィンガープリントは、入力として既定の時間間隔でデータのセットの少なくとも一部分を受信するように構成されている統計モデルを使用して計算される。
【0023】
統計モデルは、特定のデータセットタイプの識別子を提供するように調整され得る。任意選択的に、識別子は、データのセットから抽出された複数の一意の特徴の値のセットである。データのセットは、センサを使用してデバイスの少なくとも1つの動作パラメータを示す信号を監視することによって取得され得る。
【0024】
識別子は、プロセッサモジュールを使用して生成され得る。いくつかの実施例では、プロセッサモジュールは、デバイスに統合され、デバイスは、自動自己診断を実行し、結果を他のデバイス又はシステムに通信することができる。デバイスは、他のデバイス又はシステムに通信可能に結合されたコントローラを有し得る。例えば、デバイスは、リモートデバイス又はシステムとの無線通信を可能にする無線ユニットを有し得る。有線接続もまた、想定されている。有線通信と無線通信の組み合わせも可能である。
【0025】
識別子は、受信されたデータのセットに関連する監視された信号の特定の一意の識別特性と一意に相関、対応、及び/又は関連し得る。いくつかの実施例では、データのセットは、既定の時間間隔内の時間における1つ以上のインスタンスにおける信号の1つ以上の性質に関連し得る。データのセットに基づいて、識別子が参照識別子と一意に相関、対応、及び/又は関連するか(又はしていない)を分析するために、識別子を判定され得る。いくつかの実施例では、偏差は、識別子を参照識別子として採用される1つ以上の過去の識別子と比較することによって判定される。偏差に基づいて、類似性の程度を判定することができ、一致がある場合、すなわち、データのセットが(例えば、過去の履歴データに関連する)参照データと相関、対応、及び/又は関連していることを意味し、それ故、デバイスの動作パラメータが通常/規則的なデバイス動作条件を提供することを確認する可能性がある。識別子と参照識別子との間の偏差の確認は、例えば、リモートデバイス又はシステムが、ユーザに出力又は命令を提供し、ユーザがデバイスのメンテナンス又は修理を開始することを可能にし得る。識別子の概念及び使用の多くの変形は、本開示の範囲内にある。
【0026】
任意選択的に、識別子は、データのセット内の特徴のサブセットに基づいて判定され、1つ以上のロバスト特徴は、データのセットから抽出され、ロバストハッシュ署名は、抽出された1つ以上のロバスト特徴から判定される。
【0027】
変換ルールは、ハッシュアルゴリズムを適用することを伴い得る。ハッシュアルゴリズムは、識別子を生成するために、コンテンツ信号の選択された部分(例えば、コンテンツ信号のいくつかの部分)に適用され得る。いくつかの実施例では、変換ルールが繰り返し適用され、健全な識別子のセット(例えば、ハッシュシーケンス)が生成される。これは、精度を改善し、誤検出のリスクを低減し得る。コンテンツは、シーケンスの指定されたサブセットで識別され得る。例えば、シーケンスは、データセットの各既定の部分(例えば、1/8番目)からのサブ識別子を使用し得、データのセットを識別するために既定の数のサブ識別子(例えば、16)を必要とし得る。より多くのサブ識別子を使用して、精度を改善することができる。
【0028】
識別子は、データのセットから抽出されたコンテンツ識別子であり得る。識別子の計算を支配する特定のルールを採用した、様々な種類の識別子リゾルバを使用することができる。
【0029】
いくつかの実施例では、各信頼できる識別子は、そのそれぞれのデータのセットから抽出されたデジタルハッシュであり、デジタルハッシュは、デジタル低減アルゴリズムを通してデータセットのサイズをデジタル的に低減するステップに従って生成される。
【0030】
いくつかの実施例では、識別子は、データ内の1つ以上の識別パターンを捕捉する。計算された識別子を参照識別子と比較することに基づいて、監視されたデータセット内の特定の識別パターンの少なくとも一部分が参照データセットに現れるかどうかを判定することができる。このようにして、監視されたデータセットは、デバイスの特定の動作モードにリンクすることができる。識別子と参照識別子との間の偏差に基づいて、類似性測度が生成され得る。
【0031】
任意選択的に、識別子と少なくとも1つの参照識別子との間の少なくとも1つの偏差は、後続の時間間隔について繰り返し計算される。
【0032】
任意選択的に、偏差は、計算された識別子及び参照識別子の一致パーセンテージを生成するために使用される。一致パーセンテージが既定の一致レベル以下であることに応答して、異常な動作のアラート、アラーム、及び/又は通知が生成され得る。
【0033】
任意選択的に、少なくとも1つの参照識別子は、より最近の参照データを使用して経時的に調整される。
【0034】
任意選択的に、参照識別子が判定される参照データの選択には、スライディングタイムウィンドウが使用される。このようにして、有利には、発生する長期的な変化に徐々に適応することが可能である。このような動的閾値化を行うと、デバイスが動作する条件が経時的にわずかに変化し得るため、著しい利点を提供し得る。モデルは、最近のデータからより多くを学ぶために適応的に調整することができる。
【0035】
任意選択的に、時間が進行するにつれて、既定の時間間隔は、より新しいデータが少なくとも1つの偏差を判定するために使用されるようにシフトされる。
【0036】
いくつかの実施例では、連続的な既定の時間間隔のためのそれぞれの複数のデータのセットからの複数の信頼できる識別子が生成される。連続的な既定の時間間隔は、部分的な重複を有し得る。しかしながら、連続的な既定の時間間隔の間に時間遅延が提供されることも可能である。また、時間間隔が互いにすぐ後に続いている可能性もある。複数の信頼できる識別子を、それぞれの偏差を判定するための1つ以上の参照識別子と比較することができる。
【0037】
任意選択的に、データのセットは、デバイスの単一の動作パラメータに関連付けられた単変量信号に対応する。
【0038】
方法は、異常を検出するために単変量信号を監視し得る。単変量時系列信号の異常な挙動は、識別子(デジタルフィンガープリントを参照)を使用して検出し得る。単変量信号は、少なくとも1つの動作パラメータを示す信号が単一の次元に沿ってのみ測定されることを示し得る。複数の測定値間の相互作用は、考慮されていない。各測定値は、参照識別子を判定するために、独立して分析され得、様々な統計は、参照ウィンドウに基づいて計算され得る。これは、通常の行動のデジタルフィンガープリントと考えることができる。同じプロセスを使用して、テストされるデータのフィンガープリントを計算することができ、すなわち、識別子を計算し、参照フィンガープリントと比較することができる。監視されたデータに基づいて計算される計算された識別子と、検証された通常のデバイス動作の下で判定される参照識別子との間の偏差は、専門家によって容易に解釈可能である。これにより、人間が読めるアラート又は通知を自動的に生成する能力が提供される。
【0039】
任意選択的に、データのセットは、デバイスの複数の動作パラメータに関連付けられた多変量信号に対応する。
【0040】
単一の測定だけでなく、複数の測定を使用することができる。この方法は、より高度な多変量時系列モデルで機能し得る。この目的のために、信号処理技法(例えば、フーリエ分析、ウェーブレット分析など)を使用することができる。例えば、データが高い粒度を有する場合、及び/又はデバイスの少なくとも1つの動作パラメータが周波数依存的である場合、例えば、1分当たりの回転数、機械内の歯車間の相互作用などに関連する動作パラメータなど、周波数領域分析で作業することが有益であり得る。
【0041】
有利には、複数の測定及びそれらの相互作用が考慮され、これは、精度及びロバスト性を増加させることができる。更に、複数の測定を採用することで、実装を成功させるために必要な領域の専門知識も少なくて済む場合がある。このようにして、本方法をより効率的に適用することができる。更に、このアプローチは、データのセットが生成される監視された信号の季節性傾向をより良好に扱い得る。追加的又は代替的に、このアプローチは、必要に応じて追加の特徴を含めることが容易であるため、より多くの柔軟性を提供し得る。
【0042】
任意選択的に、多変量信号内の複数の動作パラメータ間の相互作用及び/又は依存関係を識別するように構成されている訓練された機械学習モデルが採用される。
【0043】
参照データを使用して、モデルは、測定値間の相互作用及び依存関係を認識するように訓練することができる。訓練されたモデルを採用して、テストデータを再構築することができる。通常/規則的なデータの場合、再構築されたテストデータは実際のデータに似ている場合があり、再構築誤差は低い場合がある。異常/不規則的なデータの場合、再構築誤差が大きくなる場合があるため、通常/規則的なデータと区別することが可能である。モデルは、回帰モデルである可能性がある。いくつかのモデルは、複数の測定値によって捕捉された信号間の相互作用のタイプに基づいて、他のモデルよりも好適である可能性があるため、モデルは、複数の測定値に基づいて使用することができる。例示的なモデルは、ツリーベースの方法、ニューラルネットワークなどである。しかしながら、ベイズモデルなどの他のモデルも使用することができる。
【0044】
任意選択的に、デバイスの少なくとも1つの動作パラメータについての複数の参照識別子のインデックスが使用される。
【0045】
インデックスは、データベース内に形成することができ、インデックスは、複数の動作条件、例えば、不規則的な動作条件、異なるタイプ又はレベルの不規則的な動作条件などに相関する複数の一意の参照識別子を含むことが想定される。受信されたデータのセットに基づいて計算された識別子の各々は、データベース内の複数の一意の参照識別子と比較され得る。
【0046】
任意選択的に、複数のセンサは、デバイスの異なる動作パラメータを示す異なるデータセットを収集するために使用され、異なるデータセットから計算された識別子は、デバイスの動作を監視するために使用される複数の偏差を判定するために、それぞれの参照識別子と比較される。
【0047】
統計的識別子(フィンガープリント参照)は、異なる方法で計算され得る。計算された識別子と参照識別子との間の偏差を判定することによって、2つの「フィンガープリント」を比較することができる。このようにして、テストウィンドウの識別子が指定された閾値(すなわち、参照に対して絶対又は相対)の外にあるかどうかを判定することができる。識別子は、信号のフィンガープリントとして機能する。参照識別子(参照フィンガープリントを参照)を調整することができる。この目的のために、参照期間は、変更され得る。例えば、参照期間は、2週間の完全なデータを含み得る。時間が進行するにつれて、そのようなデータを抽出するための時間ウィンドウは、モデルがより最近の機械挙動と比較するように調整される。それ故、時間ウィンドウは、時間が進行するにつれてシフトされる可能性がある。有利には、このようにして、デバイスの動作の監視の精度及びロバスト性を著しく改善することができる。
【0048】
任意選択的に、少なくとも1つの偏差のサイズを示す値が、事前設定された閾値よりも大きい場合に、動作異常の検出がトリガされる。
【0049】
任意選択的に、通知は、1つ以上のオペレータのモバイルデバイスに無線で送信される。このようにして、機能停止が発生するのを防ぐために、特定の部品又はデバイスを修理、交換、又はメンテナンスする必要があるときに、オペレータにより効率的に通知することができる。異なる種類の警告メッセージがオペレータに送信され、初期評価がオペレータによってリモートで行われることができるように、異常に関する追加情報が提供され得る。
【0050】
任意選択的に、動作異常の検出は、偏差のサイズを示す値が、既定の時間スパン内で事前設定された閾値を超えるときにのみトリガされる。
【0051】
任意選択的に、閾値は、調整可能である。このようにして、モデルの再展開を必要とすることなく、閾値を変更することができる。有利なことに、オペレータは、閾値外の表示と同じデバイスで発生したインシデントとの間のパターン及び/又は共関係を理解するために、測定及び監視されたパラメータに閾値を設定することができる。静的条件下(例えば、公称速度において動作する充填デバイス)では、信号の値は、いくつかの中心値を中心に変動する傾向があり得る。オペレータは、モデルがフラグ又はアラーム(ユーザ通知を参照)を発生させるために、計算された識別子が参照識別子に対してどのくらい変化するかを定義することができる。
【0052】
任意選択的に、識別子を計算することは、アルゴリズムを使用して実行され、参照識別子は、デバイスの検証された正常動作下での参照データのセットに基づいて、同じアルゴリズムを使用して計算される。
【0053】
任意選択的に、方法は、参照データを集めることを含む。これは、異常検出に使用される測定値を決定し、この信号が通常及び/又は静止した挙動を有する条件を判定することを含み得る。この目的のために、データは、例えば分、時間、又は週などのいくつかの期間にわたって集めることができる。いくつかの実施例では、少なくとも数ヶ月のデータが収集され得る。データの最小量は、参照情報を計算するために所望される時間ウィンドウに依存し得る。参照データは、相対的に異常がないものと仮定する。
【0054】
任意選択的に、参照識別子は、経時的に繰り返し再計算される。
【0055】
任意選択的に、少なくとも1つの動作パラメータに関連付けられた過渡信号値は、複数の時間ステップで測定され、既定の時間間隔内のデバイスの少なくとも1つの動作パラメータを示すデータのセットは、当該既定の時間間隔内の複数の連続した時間ステップにおける複数の測定ポイントを含む。
【0056】
任意選択的に、動作異常は、識別子と少なくとも1つの参照識別子との間の少なくとも1つの偏差に基づいて、異常ファミリ及び異常タイプに分類される。
【0057】
信号特性(平均、中央値、揮発性など)を反映するパラメータをデータベースに保存し、プラットフォームを介してアクセスできるため、経時的に機械の信号挙動を調べることを可能にする。デバイス信号挙動が知られているとき、及び/又はデフォルトパラメータが使用されているとき、良好なスケーラビリティを得ることができる。
【0058】
参照識別子は、例えば、監視された信号が予想される値を中心に変動しなければならないという条件を容易に捕捉し得る(固定信号を参照)。更に、いくつかの実施例では、参照識別子は、信号が静的挙動を呈すると予想される条件を捕捉し得る。一意の識別子を使用して、様々な他の特性を容易に捕捉することができる。
【0059】
任意選択的に、デバイスは、機械又はその一部である。
【0060】
方法は、結合されたシステムを監視するために使用され得る。結合されたシステムは、複数のデバイスを有し得る。代替的又は追加的に、各デバイスは、デバイスの少なくとも1つの動作パラメータを示す複数のデータのセットを生成し得る。システムの1つ以上のデバイスには、複数のデータのセットを生成するための複数のセンサが提供されていることも想定されている。結合されたシステムの動作の一般的な概要を提供するユーザインターフェースが提供され得る。例えば、ユーザインターフェースは、監視方法が採用される結合システムの全てのデバイス、機械、サブシステム、ライン、コンポーネントなどにわたる動作状況を示し得る。
【0061】
任意選択的に、この方法は、プロアクティブなメンテナンスのために実行される。
【0062】
任意選択的に、方法は、異常検出を実行することを含み、異常検出は、パターンを検出するために提供される。そのような異常検出は、専門家のドメイン知識を捕捉し、専門家がより迅速に問題を見つけるのに役立ち得る。更に、異常検出は、人間の専門家によって容易に検出されない隠れたパターン又は非線形挙動を検出し得る。このアプローチは、メンテナンスの専門家がより効率的に仕事をこなせるように支援する、条件ベースのメンテナンスにつながる。
【0063】
任意選択的に、検出された偏差に基づいて、デバイスがいつ故障するかの予測が行われる。反応に要する時間は、測定のタイプと、基礎となる物理的プロセスを捕捉するためのその適切性と、に依存し得る。
【0064】
任意選択的に、偏差がフラグ付けされる理由についての人間が読める説明が提供される。
【0065】
いくつかの実施例では、識別子は、スペクトログラムを使用してデータのセットの特徴を抽出することによって生成される。生成された識別子を、偏差を判定するために1つ以上の参照識別子と比較することができる。いくつかの実施例では、データベースは、データのセットに基づいて生成された識別子と同様の参照識別子について検索される。方法は、検索の結果に基づいて、デバイスの動作挙動を認識することを含み得る。
【0066】
いくつかの実施例では、データのセットが参照識別子を判定するために使用される参照データのセットのサンプリングレートと一致するサンプリングレートで取得されるように、監視された信号を再サンプリングする前処理ステップが実行される。
【0067】
第2の態様によれば、デバイスを監視するためのシステムが提供され、システムは、既定の時間間隔内でデバイスの少なくとも1つの動作パラメータを示すデータのセットを受信することと、データのセットに基づいて、データのセットを一意に識別する識別子を計算することと、識別子とデバイスの少なくとも1つの動作パラメータについての少なくとも1つの参照識別子との間の少なくとも1つの偏差を判定することと、を行うように構成されているコントローラを備える。
【0068】
データのセット内の基礎となるデータコンテンツから識別子を抽出することは、データコンテンツのロバストな特徴の抽出を含み得る。例えば、ロバストハッシュ署名は、抽出された特徴から生成され得る。有利には、そのようなロバストな特徴を抽出することで、それらの特徴が、様々な処理動作の下でも不変で、基礎となる知覚コンテンツをコンパクトに表現することを可能にする。したがって、特徴値の相対的に小さい変化は、抽出されたハッシュビットに劇的な変化をもたらさず、フィンガープリントにロバスト性を付与し得る。更に、ロバストなハッシュ抽出により、抽出されたフィンガープリントビットが一意であることを可能にする。これは、必要な検索時間、すなわち、参照識別子との一致又は参照識別子のデータベース(参照フィンガープリントを参照)内での一致を見つけるのにかかる時間に著しく影響し得る。有利には、この方法で、非常に効率的なアルゴリズムを取得することができる。
【0069】
このシステムは、問題又は課題が発生した場所、又はそれがプロセスに最も影響する場所を理解するための改善方法を提供し得る。方法は、より大きいシステム内の複数のデバイス又はコンポーネントに適用され得る。重要な機械、コンポーネント、及びそれらの一般的な障害モードの高度な概要が、提供され得る。この方法では、障害モードの発生頻度、修理の応答時間、過去のデータに基づく製造元の設定ベンチマークとの比較を評価し得る。この方法は、状況がどのように進展しているかを評価するために、起こったことと現在進行中のことについての知識をより良好に得る方法を更に提供する。高度な専門知識を必要とせず、デバイスの動作がどの程度悪化しているかをより良好に判断し、状況がどの程度急速に進展しているかを評価することができる。更に、識別子を互いに比較することで、方法は、コンポーネントが誤動作する原因をより良好に判定することを可能にし得る。このようにして、デバイスを停止して介入するか、次のメンテナンスウィンドウまで待機するかどうかを判断することがより容易になり得る。判定された偏差に基づいて、1つ以上の障害モードを判定することができる。改善された警告時間ウィンドウが提供され得る。過去の実施例の分析を通じて、障害モードと選択された測定との間の関係をより簡単に評価することができる。
【0070】
例えば、参照識別子のデータベースは、データのセットに基づいて、計算された識別子との比較のために検索可能であり得る。ベストマッチは、クエリ識別子からの距離が最も小さいものから検索され得る。
【0071】
既定の時間間隔内のデバイスの少なくとも1つの動作パラメータを示すデータのセットに関連する特性情報を伝達する識別子を、1つ以上の事前設定された参照識別子と一致させることで、少なくとも1つの動作パラメータの挙動を効率的に評価することを可能にし得る。
【0072】
アクションは、識別子と参照識別子との間の高い偏差に起因して一致しなかったことに応答して実行され得、例えば、偏差は、事前設定された閾値を超える。アクションは、ユーザへの通知、アラートのトリガ、より多くの診断アクティビティの実行、デバイスのメンテナンスのスケジュール設定、デバイスの修理のスケジュール設定、デバイスの動作状態の調整(例えば、問題が解決するまで負荷を下げる)などを伴い得る。
【0073】
有利には、識別子と参照識別子を容易に比較することができ、受信されたデータのセットが、参照識別子が判定された参照データセットと十分に類似しているかどうかを迅速かつ効率的に判定することができる。
【0074】
様々な信号に関連付けられたデータセットは、識別子を計算するために監視及び受信することができることが認識されるであろう。例えば、電流、流量、消費指標、電力、圧力、加速度、振動、周波数、温度、電圧。様々な他の信号を使用することができる。異なる信号の組み合わせも想定される。
【0075】
第3の態様によれば、コントローラ上で実行されるときに、第1の態様に記載の方法のステップを実行するように構成されているコンピュータプログラム製品が提供される。
【0076】
異常なデバイスの挙動が検出されたとき、デバイスを確認するための動作を警告することができる。測定された信号値と参照値とを比較するように構成されている計算モデルを採用することができ、重要なイベントに関するアラートと警報の飽和を回避することとの間のバランスを達成するために、測定された信号値と参照値との間の相対的な差異量を指定することができる。
【0077】
既定の時間間隔内のデバイスの少なくとも1つの動作パラメータを示すデータのセットにおける異常な挙動が検出され得る。データのセットは、測定を実行して時系列信号を取得することによって取得され得る。時系列信号は、識別子を計算し、当該識別子を1つ以上の参照識別子と比較することによって、異常を検出するために分析され得る。
【0078】
最新のイベントが表示されるユーザインターフェースが提供され得る。方法は、選択された時間ウィンドウでほとんどの異常が検出された機器(例えば、ラベル、タグ名)を示すことを含み得る。選択された時間ウィンドウ内のイベントの合計数が表示され得る。また、ユーザインターフェースは、データのセットのどの部分に異常のフラグが立てられているかを示すように構成され得る。いくつかの実施例では、異常検出ダッシュボードが提供され得る。
【0079】
受信されたデータのセット、計算された識別子、判定された偏差、及び/又は参照識別子は、データベースに格納され得る。履歴データは、どの偏差がフラグ付けされるべきかをより正確に判定するために、モデルを微調整又はチューニングするために使用され得る。
【0080】
第4の態様によれば、非一時的コンピュータ可読媒体は、第1の態様に記載のコンピュータ実装方法を実行するためのソフトウェア命令が提供される。
【0081】
更なる態様によれば、デバイスを監視する方法であって、参照データを受信することと、それに基づいて参照フィンガープリントを生成することと、既定の時間間隔内にデバイスの少なくとも1つの動作パラメータにリンクされた監視されたデータに基づいて、動作フィンガープリントを計算することと、計算された動作フィンガープリントを参照フィンガープリントと比較することと、を含む、方法が提供される。
【0082】
任意選択的に、参照フィンガープリントは、監視中に更新され得る。例えば、参照フィンガープリントの定期的な更新が実行され得る。
【0083】
動作フィンガープリント及び参照フィンガープリントは、異なる持続時間で、異なる時間間隔にわたって計算され得る。動作フィンガープリントが特定の方法で参照フィンガープリントと異なる場合、これは、障害又はメンテナンスの別の理由を示し得る。このような異常検出は、予防的メンテナンスのために採用され得る。
【0084】
異なるタイプの信号を監視することができ、そこからデバイスの少なくとも1つの動作パラメータを示すデータのセットが判定される。信号は、例えば、モータの電流、振動、圧力、流量、速度などであり得る。
【0085】
デバイスは、デバイスの特定のコンポーネントにおいて監視される複数の信号を有し得る。どのデバイス、又はデバイスの一部で異常が検出されたかをユーザに知らせることができる。例えば、醸造所プロセスにおけるボトル充填機は、多数のサーボドライブを備え得る。ドライブの各々について、電流と位相の遅れを監視し得る。それに基づいて、既定の時間間隔内のデータのセットを使用して、偏差を判定するために参照識別子と比較することができる識別子(フィンガープリントを参照)を判定することができる。異常が検出されると、アクションが開始され得、例えば、ユーザは、この異常が検出された信号について通知され得る。いくつかの実施例では、デバイスの動作は、異常の検出に基づいて調整される。
【0086】
いくつかの実施例では、データを収集するための既定の時間間隔は、経時的に変化しない。したがって、既定の時間間隔は、固定されたままであり得る。任意選択的に、複数の時間間隔が同一の信号についてチェックされる。
【0087】
別の態様によれば、デバイスを監視する方法であって、第1の参照時間ウィンドウ内で機械の動作性質を示す信号の第1のデータ値のセットを受信することと、第1のアルゴリズムに従って、第1のセットに基づいて、参照信号データを判定することと、動作時間ウィンドウ内で、機械の動作性質を示す信号の第2のデータ値のセットを受信することと、第2のセットに基づいて、第1のアルゴリズムに従って、動作信号データを判定することと、参照信号データを動作信号データと比較することと、動作信号データと参照信号データとが第1の既定の閾値を超えて異なる場合に、その差異を異常として検出することを登録することと、を含む、方法が提供される。
【0088】
任意選択的に、参照信号データは、第2の参照時間ウィンドウにわたって再計算される。任意選択的に、参照信号データの再計算は、第1の参照時間ウィンドウの後の第1の既定の期間の経過後に実行される。追加的又は代替的に、動作データが、第2の既定の期間にわたって第2の既定の閾値未満で参照データと異なる場合、参照信号データの再計算が実行される。
【0089】
任意選択的に、第1の閾値データは、新しい参照データを計算した後に再計算される。
【0090】
任意選択的に、信号は、振動、回転運動、直線運動、応力、相対位置、又はそれに由来する実体のうちの少なくとも1つを表す。
【0091】
任意選択的に、第1のアルゴリズムは、受信されたデータの少なくとも一部の平均、中央値、標準偏差、ハッシュ値、フィンガープリント、チェックサムを判定することのうちの少なくとも1つを含む。
【0092】
任意選択的に、動作データが、第2の既定の期間にわたって第2の既定の閾値超で基準データと異なる場合、異常が検出される。
【0093】
任意選択的に、データ値には、時間的に連続したタイムスタンプが関連付けられている。
【0094】
任意選択的に、動作信号データが、既定の期間中に既定の回数超で信号参照データと異なる場合、異常が検出される。
【0095】
様々な態様及び更なる実施態様は、コンピュータ装置及びコンピュータ装置で実行されるプロセスを含み得るが、本開示はまた、本開示を実施するように適合された、コンピュータプログラム、特に、キャリア上又はキャリア内のコンピュータプログラムにも及ぶ。プログラムは、ソースコード又はオブジェクトコードの形態、又は開示されるプロセスの実装における使用に好適な任意の他の形態であり得る。キャリアは、プログラムを有することができる任意のエンティティ又はデバイスであり得る。
【0096】
「任意選択的」又は「任意選択的に」は、その後に記述されるイベント又は状況が発生する場合又はしない場合があり、その説明には当該イベント又は状況が発生する例及び発生しない例が含まれることを意味する。
【0097】
「結合された」、「関連付けられた」、及び「接続された」という用語は、それらの派生語とともに、本明細書では、コンポーネント間の機能的又は構造的関係を説明するために使用され得る。この用語は、2つ以上の要素が直接又は間接的に(それらの間に他の要素が介在して)物理的、光学的、通信的及び/又は電気的に互いに接触していること、及び/又は2つ以上の要素が(例えば、原因と結果の関係のように)互いに協働又は相互作用していることを示すために使用され得る。
【0098】
本方法を考慮して記載された態様、特徴、及び選択肢のいずれかが、システム及び記載されたデバイス及びコンピュータプログラム製品に等しく適用されることが理解されよう。上記の態様、特徴、及び選択肢のうちのいずれか1つ以上を組み合わせることができることも明らかであろう。特に、上記で提供された選択肢は、一般的な発明概念と、任意の1つ以上の選択肢と、任意の順列で組み合わせられ得る。
【0099】
様々な態様及びその変形は、図面に表される例示的な実施形態に基づいて更に解明される。例示的な実施形態は、非限定的な例解として与えられる。これらの図は、非限定的な実施例として示される態様及びその変形の単なる概略的な表現であることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0100】
図1】システムの実施形態の概略図を示す。
図2】例示的なデータの概略図を示す。
図3】例示的なデータの概略図を示す。
図4】例示的なデータの概略図を示す。
図5A】例示的な連続的な既定の時間間隔の概略図を示す。
図5B】例示的な連続的な既定の時間間隔の概略図を示す。
図5C】例示的な連続的な既定の時間間隔の概略図を示す。
図6】方法の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0101】
図1は、デバイス3を監視するためのシステム1の実施形態の概略図を示す。システムは、既定の時間間隔T内でデバイス3の少なくとも1つの動作パラメータを示すデータのセット7を受信することと、データのセット7に基づいて、データのセット7を一意に識別する識別子9を計算することと、識別子9とデバイス3の少なくとも1つの動作パラメータについての少なくとも1つの参照識別子13との間の少なくとも1つの偏差11を判定することと、を行うように構成されているコントローラ5を備える。
【0102】
このため、コントローラ5は、処理ユニット、記憶ユニット、データ入力ユニット、及びデータ出力ユニットとしての通信ユニットを備える。処理ユニットは、以下で更に詳細に考察されるように、第1の態様及びその任意の変形を実行するように構成されている。このように、処理ユニットは、コンピュータプログラム製品によってプログラムされるように構成され得る。データ入力ユニットは、デバイス3の動作パラメータを監視するように構成されたセンサからデータを受信するように構成される。センサは、デバイス3によって構成され得、コントローラ5又はセンサは、両方の外部に位置し得る。データ入力は、処理後又は生データとして、センサから受信された信号を処理ユニットに提供するように構成される。
【0103】
記憶モジュールは、受信されたデータ、データ入力ユニットによって処理されたデータ、及び/又は処理ユニットによって処理されたデータを記憶するように構成される。追加的又は代替的に、記憶モジュールは、好ましくは、第1の態様及び/又はその変形を実行するように処理ユニットをプログラミングするためのコンピュータプログラム製品を記憶するように構成された非一時的媒体を含み得る。
【0104】
通信ユニットは、センサから受信されたデータ、データ入力ユニットから受信されたデータ、処理ユニットによって処理されたデータ、他のデータ、又はそれらの組み合わせを、デバイス3から遠隔の場所にあるデータ処理デバイスに送信するように構成され得る。データ処理デバイスは、第1の態様又はその変形の1つ以上のステップを実行するように構成され得る。したがって、第1の態様及びその変形形態の一部又は全ての部分は、コントローラ5によって、並びにデータ処理デバイスによって、共同で、並列に、又は直列に実行され得る。
【0105】
識別子9及び参照識別子13は、デジタルフィンガープリントとして例解される。しかしながら、そのような識別子又はデジタルフィンガープリントは、様々な形態を有することができることが理解されよう。例えば、ハッシュ値である可能性がある。
【0106】
デバイスの特定の挙動にフラグを立てる理由は、エンドユーザ(例えば、オペレータ)にとって理解が容易であり得る。参照識別子に対する識別子の偏差の検出は、複雑なモデル知識及び/又は更なる分析を必要としないため、結果は、解釈することが容易である。どのデバイス、及び/又はデバイスのどの部分で異常が識別されたかという情報は、ユーザに表示することができ、例えば、通知又はアラームがもたらされる。
【0107】
使用されるアルゴリズムに応じて、識別子の計算は、データのセット内の不規則性に敏感であり得る。いくつかの実施例では、識別子(デジタルフィンガープリントを参照)の計算は、プラトーレベルに対するデータ値の不規則的な上昇及び/又は下降に特に敏感であり得、不規則的な上昇の間に、監視されたデータ値は、そのプラトーレベルに戻る前に瞬間的にスパイクし、不規則的な下降の間に、監視されたデータ値は、そのプラトーレベルに戻る前に瞬間的に低下する。識別子は、デバイスの1つ以上の動作上の不規則性にリンクされるデータのセット内の不規則性をロバストに検出するために使用され得る。例えば、データのセットが時間の関数でグラフに表されるとき、予想外のスパイク又はディップの変動が視認可能である。データのそのようなスパイク変動又はディップ変動は、少なくとも1つの動作パラメータに関連付けられたデバイスの1つ以上のコンポーネントの不規則的な動作を示すことができる。このような突発的な正のピーク又は負のピーク(グラフの谷)は、プラトーレベルから外れるため、計算された識別子と参照識別子との間に著しい偏差が生じ得る。
【0108】
プラトーレベルは、ベースライン、上限、及び下限を有する範囲(バンド/チャネル/エンベロープを参照)とすることができる。データのセットの不規則性は、データ値が突然プラトーレベルの範囲から外れる状況として見ることができる。データ値は、計算された識別子に著しい影響をもたらすことのないプラトーレベル内に収まる正及び/又は負のピークと、計算された識別子に著しい影響をもたらすプラトーレベルから外れる正及び/又は負のピークと、を有し得る。
【0109】
データのセット内のデータ値のスパイク又はピークは、急激な上昇(すなわち、突然の急激な増加)に続いて急激な減少と見なすことができることが認識されるであろう。このように、データ値又はデバイスの少なくとも1つの動作パラメータを示す値が瞬間的に急激に増加すると、計算された識別子が、参照データセット(通常の条件下で動作するデバイス)を使用して判定される参照識別子からの著しい偏差がもたらされる可能性がある。逆もまた、ディップ(負のピークを参照)に適用される。ディップは、プラトーレベルに戻る前のデータ値のレベルの一時的な低下と見なすことができる。ディップは、短い下向きの傾斜と、それに続く上向きの傾斜と、を含み得る。
【0110】
コントローラ5は、デバイス3に通信可能に結合され得る。これは、有線及び/又は無線で実行され得る。しかしながら、コントローラをデバイス内、又はデバイスのコンポーネント内に統合させることも可能である。コントローラ5は、デバイスの結合されたシステムの他のデバイス、例えば、多数のデバイス及びサブコンポーネントを有する醸造所生産ラインに関連付けられた他のコントローラと通信するように構成され得る。また、デバイスは、1つ以上の中央コントローラに通信可能に結合されていることも可能である。
【0111】
デバイス3は、別のデバイス、機械、システム、プロセスなどのサブコンポーネントであり得る。例えば、電気サーボドライブは、醸造所プロセスにおける充填機の動作にとって重要であり得る。障害は、醸造所プロセスが生産ダウンタイムを有することをもたらすであろう。更に、例として、充填機の真空ポンプは、残留酸素を除去する目的を有し得る。障害により、製品が無駄になり、莫大なコストと生産の遅れがもたらされる可能性がある。これらの例では、電気サーボドライブ、真空ポンプ、又は任意の他のコンポーネント又は機械は、異常な動作を検出するために監視され得る。
【0112】
様々な動作パラメータが、監視され得る。実施例としては、エンジンの作動を示すデータ、モータの電流を示すデータ、振動を示すデータ、加速度を示すデータ、可動部品の速度を示すデータ、電気信号の位相遅れを示すデータ、圧力を示すデータ、流体の流れを示すデータが挙げられるが、これらに限定されない。異なる動作パラメータの組み合わせも可能である。更に、例えば電気機械パラメータ、音、音声、映像などを伴う、より複雑な動作パラメータを監視することも想定される。
【0113】
任意選択的に、参照識別子は、定期的に判定される。これは、より最近の参照識別子を取得するために、参照識別子を再計算することを伴い得る。言い換えれば、「参照フィンガープリント」は、経時的に変更され得る。更新された参照識別子は、監視の改善を提供し得る。更新された参照識別子は、既定の時間間隔内のデバイスの少なくとも1つの動作パラメータを示す受信されたデータのセットに基づいて計算された識別子との比較に使用され得る。参照識別子は、挙動が監視される動作識別子を計算するために使用されるのと同じ又は同等のアルゴリズムを使用して計算されることが好ましい。
【0114】
実施例では、デバイス3は、圧力制御システムポンプである。圧力の急激な減少は、漏れを示す可能性がある。減少がより長い期間続く場合は、インペラ又はポンプの欠陥を示す可能性がある。圧力が急激に増加した場合は、配管内に障害物があり、取り除く必要がある可能性がある。そのような可能性のある技術的課題は、計算された識別子、参照識別子、及び計算された識別子と参照識別子との間の偏差に基づいてより良好に判定され得る。場合によっては、複数の参照識別子が使用される。例えば、参照識別子のインデックスが採用され得、計算された識別子と参照識別子のインデックス内の複数の参照識別子のうちの1つとの間の小さい偏差が、特定の異常を特定し得る。これは、異常を判定する効率的かつロバストな方法を提供する。更に、異常はより速く検出され得る。
【0115】
実施例では、デバイス3は、複数のサブコンポーネントを備えるビール濾過設備である。例えば、濾過設備のフィルタが詰まると、配管内の圧力が増加する。圧力が過度に増加すると、ポンプ、フィルタ、ガスケットの損傷につながる。デバイスは、圧力センサからのデータを使用して監視され得る。計算された識別子は、偏差を判定するために、1つ以上の参照識別子と比較され得る。偏差に基づいて、異常な動作をロバストな方法で検出することができる。
【0116】
実施例では、デバイス3は、流量制御シャフトである。例えば、デバイスは、フローを示すデータを監視するように構成し得る。
【0117】
実施例では、デバイス3は、リザーバである。例えば、デバイスは、リザーバ内の媒体のレベルを示すデータを監視するように構成され得る。例えば、レベルトランスミッタセンサを提供し得る。場合によっては、識別子を計算し、計算された識別子と参照識別子との間の偏差を判定することによって、電気干渉、電気アースの問題、トランスミッタの不良レベル、タンク内の汚れなどを検出することができる。
【0118】
図2は、既定の時間間隔T内におけるデバイスの動作パラメータを示す例示的なデータのセット7を示す概略図である。データのセット7では、データのセット7の一部分15が不規則的であることが観察され得る。この結果、計算された識別子は、参照識別子に対して顕著な偏差を有することになる。参照識別子は、参照データのセット内にそのような不規則性を有しないデータに対して計算され得る。したがって、偏差は、この受信されたデータのセットがフラグ付けされることをもたらし得る。デバイスの動作上の課題が診断され得る。結果として、重大な機能停止が発生する前に、例えば、ユーザに通知すること、スペアパーツを注文すること、修理をスケジュールすることなど、1つ以上のアクションがトリガされ得る。
【0119】
示される実施例では、プラトーレベルを観察することができる。プラトーレベルは、デバイスの通常動作中に、データ値が通常条件下で予想される帯域又は範囲を形成する。データ値に急激な異常が生じると、データ値がプラトーレベルの範囲から外れる可能性があり、計算された識別子に著しい変化がもたらされる可能性がある。得られた計算された識別子を参照識別子と比較すると、著しい偏差がもたらされ、これは、デバイスの異常な動作の指標となる可能性がある。
【0120】
図3は、既定の時間間隔T内のデバイスの動作パラメータを示す例示的なデータのセット7の概略図を示す。図2の実施例と同様に、データのセット7の一部分15は、不規則的である。結果として、計算された識別子及び参照識別子の偏差に基づいて、複雑なデータ処理モデルを必要とせずに、不規則性を効果的かつ正確に識別することができる。判定された偏差は、データのセットがフラグ付けされるように、閾値を超え得る。これにより、重大な機能停止の前に運用上の課題を修正することができるように、1つ以上のアクションを伴い得る。
【0121】
図4は、既定の時間間隔T内のデバイスの動作パラメータを示す例示的なデータのセット7の概略図を示す。図2及び図3の例解された実施例と同様に、データのセット7の一部分15は、不規則的である。データのセット7の一部分15は、相対的に狭いが、計算された識別子が参照識別子と比較されるとき、それは、大きい偏差をもたらす。このようにして、課題をタイムリーにフラグ付けして診断することができる。有利には、デバイスの機能停止、及び機能喪失が発生する前に、修復を行うために必要な措置を講じることができる。
【0122】
図5a、図5b、及び図5cは、例示的な連続的な既定の時間間隔の概略図を示す。デバイスの少なくとも1つの動作パラメータに関連付けられた信号を監視することができ、データのセットは、分析のために既定の時間間隔内に収集される。複数の連続的な既定の時間間隔内のデータの各セットについて、対応する識別子は、当該対応する識別子とデバイスの少なくとも1つの動作パラメータについての少なくとも1つの参照識別子との間の偏差を判定するために計算され得る。これは、異なる方法で実行することができる。図5aに例解されるように、場合によっては、連続的な既定の時間間隔は、それらの間に時間ギャップGを有し得る。とりわけデバイス、動作パラメータ、及びアプリケーションに応じて、数秒から数週間、又は数か月まで変化し得る。図5bに例解されるように、連続的な既定の時間間隔は、重複する間隔Oを有し得る。いくつかの場合において、これは、システムのロバスト性を著しく改善し得る。図5cに例解されるように、連続的な既定の時間間隔は、その間の時間間隔なしに逐次的であり得る。
【0123】
任意選択的に、方法は、定期的に実行され、各反復は、既定の時間間隔内のデバイスの少なくとも1つの動作パラメータを示すより最近のデータのセットを使用する。いくつかの実施例では、方法ステップは、特定の周波数において、例えば、10分ごと、15分ごとなどで実行される。
【0124】
図6は、デバイスを監視する方法100の概略図を示す。第1のステップ101では、既定の時間間隔内でデバイスの少なくとも1つの動作パラメータを示すデータのセットが受信される。これは、例えば、1つ以上のセンサによって取得され得る。しかしながら、データはまた、容易に利用可能であり得る。第2のステップ102では、データのセットを一意に識別する識別子が、データのセットに基づいて計算される。この目的のために、変換アルゴリズム、例えば、データのセットに関連付けられたデジタルフィンガープリントを判定するためのハッシュアルゴリズムが使用され得る。第3のステップ103では、識別子と、デバイスの少なくとも1つの動作パラメータについての少なくとも1つの参照識別子との間の少なくとも1つの偏差が判定される。
【0125】
様々な態様及びその変形によれば、メンテナンスを実行すべき時期をより良好に事前に示すことで、予想外の機能停止又は機器の障害によって引き起こされる機器のダウンタイムを低減することが可能である。有利には、本開示の事項により、オペレータからの高度な専門知識を必要とすることなく、これが可能となる。
【0126】
ユーザインターフェースは、最新のフラグ付けされた異常を提供し得る。特定の異常がフラグを立てられた時間(すなわち、フラグ時間)。他の情報、例えばユニット名(例えば、包装ライン)、機械/デバイス名、異常が検出されたタグ名、特定のフラグが生成された理由を詳しく説明する記述などを示すことができる。
【0127】
いくつかの実施例では、ユーザインターフェースは、タグ名ごとの異常の数を示し得る。このようにして、最も厄介なコンポーネントを容易に識別することができる。
【0128】
いくつかの実施例では、ユーザインターフェースは、デバイスごとにいくつかの異常を提供し得る。このようにして、異常検出が、他のコンポーネント、例えば、他のサブコンポーネント、デバイス、機械、ラインなどに水平にスケールするかどうかを判定することができる。有利には、最も厄介なデバイス又はデバイスのサブコンポーネントを容易に認識することができる。
【0129】
いくつかの実施例では、ユーザインターフェースは、デバイスに対して一定期間にわたって上昇したいくつかのフラグを提供し得る。有利には、これは、特定のデバイス(例えば、サーボドライブ、ポンプなど)に関連付けられた測定について、経時的にフラグ付けされた異常の数を追跡することを可能にする。閾値は、1時間ごとのフラグの数が閾値を超えるとアラーム、アラート、及び/又は通知が生成されるように定義され得る。
【0130】
いくつかの実施例では、ユーザインターフェースは、信号探索を可能にするように構成されている。ユーザインターフェースは、データのフィルタリングを可能にし得る。これは、測定された信号、参照信号、計算された識別子、参照識別子、一定期間にわたるフラグの概要などを探索するのに適した方法を提供することができる。これは、特定の信号の挙動をより深く掘り下げる機会を効果的に提供する。有利には、ユーザは、信号と障害イベントとの間の相関を探索し、閾値/アラーム基準が更なる調整を必要とするかどうかを理解することができる。したがって、デバイスの性質に合わせて調節可能な、高度に動的に調整可能なシステムを得ることができる。
【0131】
任意選択的に、参照識別子を判定するために使用されるデータの時間ウィンドウは、調整可能である。ユーザは、参照識別子を判定するために使用される参照データの時間ウィンドウを選択及び/又は適合させることが許可され得る。例えば、特定の時間ウィンドウは、デバイスが通常の条件下で動作していたことが知られているものである。
【0132】
デバイスの様々なパラメータを使用することができる。例えば、エンジンに供給される電力、エンジンに提供される電流、デバイスの速度、モータの電流の位相遅れ、デバイスの電気回路にわたる電圧などである。
【0133】
有利には、信号の挙動の変化に対する障害モードの影響は、識別子を使用してより良好に捕捉され得る。
【0134】
実施例では、監視されるデバイスは、サーボドライブである。監視される信号は、サーボドライブに提供される電流及び位相遅れを示す。障害モードの種類は、サーボドライブのミスアライメント、電圧サージ、サーボドライブ内のベアリングの課題などと定義できる。信号は、一般的に予想される障害モードの場合には、課題を早期に示し、対応するのに十分な時間(数日から数週間)を残すことが予想される。
【0135】
実施例では、監視されるデバイスは、真空ポンプである。監視される信号は、振動であり得る。これは、加速度計によって行うことができるが、振動を監視するための他の手段(例えば、レーザー振動計、ひずみゲージなど)も使用することができる。障害モードの種類は、ベアリング障害として定義することができる。信号は、深刻な障害の少なくとも数週間前に、真空ポンプの不規則的な動作を示すと予想される。
【0136】
方法は、コンピュータ実装ステップを含み得ることが理解されよう。上記の全てのステップは、コンピュータによって実装されるステップである可能性がある。実施形態は、コンピュータ装置を含み得、プロセスは、コンピュータ装置で実行される。本開示はまた、様々な態様及びその変形を実践するように適合された、コンピュータプログラム、特にキャリア上又はキャリア内のコンピュータプログラムにも及ぶ。プログラムは、ソースコード又はオブジェクトコードの形態、又は開示によるプロセスの実装における使用に好適な任意の他の形態であり得る。キャリアは、プログラムを有することができる任意のエンティティ又はデバイスであり得る。例えば、キャリアは、ROMなどの記憶媒体、例えば、半導体ROM又はハードディスクを備え得る。更に、キャリアは、電気又は光ケーブルを介して、又は無線若しくは他の手段、例えば、インターネット又はクラウドを介して伝達され得る、電気又は光信号などの伝送可能なキャリアであり得る。
【0137】
いくつかの実施形態は、例えば、機械によって実行された場合、実施形態に従った方法及び/又は動作を機械に実行させ得る、命令又は命令のセットを記憶し得る機械又は有形のコンピュータ可読媒体若しくは物品を使用して実施され得る。
【0138】
様々な実施形態は、ハードウェア要素、ソフトウェア要素、又はその両方の組み合わせを使用して実装され得る。ハードウェア要素の実施例は、プロセッサ、マイクロプロセッサ、回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ロジックゲート、レジスタ、半導体デバイス、マイクロチップ、チップセットなどを含み得る。ソフトウェアの実施例は、ソフトウェアコンポーネント、プログラム、アプリケーション、コンピュータプログラム、アプリケーションプログラム、システムプログラム、機械プログラム、オペレーティングシステムソフトウェア、モバイルアプリ、ミドルウェア、ファームウェア、ソフトウェアモジュール、ルーチン、サブルーチン、機能、コンピュータ実装方法、手順、ソフトウェアインターフェース、アプリケーションプログラムインターフェース(API)、方法、命令セット、コンピューティングコード、コンピュータコードなどを含み得る。
【0139】
本明細書では、様々な態様及びその変形は、様々な態様の実施形態の特定の実施例を参照して記載される。しかしながら、本開示の本質から逸脱することなく、様々な修正、変形、代替、及び変更が行われ得ることは明らかであろう。明確化及び簡潔な説明の目的のために、特徴は、同一又は別個の実施形態の一部として本明細書に記載されるが、これらの別個の実施形態で説明される特徴の全て又は一部の組み合わせを有する代替的な実施形態もまた、特許請求の範囲によって概説される本開示の枠組み内に含まれるよう想定及び理解される。したがって、明細書、図、及び実施例は、制限的な意味ではなく、例解的な意味で見なされるべきである。本開示は、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲内に入る全ての代替案、修正及び変形を包含することを意図している。更に、説明されている要素の多くは、個別又は分散コンポーネントとして、又は他のコンポーネントと組み合わせて、任意の好適な組み合わせ及び場所で実装され得る機能エンティティである。
【0140】
特許請求の範囲において、括弧内に置かれたいかなる参照符号も、特許請求の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。「含む」という単語は、特許請求の範囲に記載されているもの以外の他の特徴又はステップの存在を排除するものではない。更に、「a」及び「an」という語は、「1つのみ」に限定して解釈されるものではなく、「少なくとも1つ」という意味で使用されるものであり、複数を排除するものではない。ある特定の手段が互いに異なる請求項に記載されているという事実だけで、これらの手段の組み合わせが有利に使用できないことを示すものではない。
【符号の説明】
【0141】
1 システム
3 デバイス
5 コントローラ
7 セット
9 識別子
11 偏差
13 参照識別子
15 一部分
100 方法
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-06-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子コンピュータ装置において、デバイスを監視する方法であって、
既定の時間間隔内で前記デバイスの少なくとも1つの動作パラメータを示すデータのセットを受信することと、
前記データのセットに基づいて、第1のアルゴリズムを使用して前記データのセットを一意に識別する識別子を計算することと、
前記識別子と前記デバイスの前記少なくとも1つの動作パラメータについての少なくとも1つの参照識別子との間の少なくとも1つの偏差の発生に関するデータを含む偏差データを判定することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記識別子が、前記既定の時間間隔内の前記データのセットのデジタルフィンガープリントを形成し、前記デジタルフィンガープリントが、前記少なくとも1つの動作パラメータに関連付けられた作業体制の一意の識別を表す、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記デジタルフィンガープリントが、入力として前記既定の時間間隔で前記データのセットの少なくとも一部分を受信するように構成されている統計モデルを使用して計算される、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記識別子が、前記データのセット内の特徴のサブセットに基づいて判定され、1つ以上のロバスト特徴が、前記データのセットから抽出され、ロバストハッシュ署名が、前記抽出された1つ以上のロバスト特徴から判定される、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記データのセットが、前記デバイスの複数の動作パラメータに関連付けられた多変量信号に対応する、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記多変量信号内の前記複数の動作パラメータ間の相互作用及び/又は依存関係を識別するように構成されている訓練された機械学習モデルが採用されている、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの偏差のサイズを示す値が、事前設定された閾値よりも大きい場合に、動作異常の検出がトリガされる、請求項に記載の方法。
【請求項8】
動作異常の前記検出が、前記偏差の前記サイズを示す前記値が、既定の時間スパン内で前記事前設定された閾値を超えるときにのみトリガされる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記識別子を計算することが、アルゴリズムを使用して実行され、前記参照識別子が、前記デバイスの検証された正常動作下での参照データのセットに基づいて、同じアルゴリズムを使用して計算される、請求項に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つの動作パラメータに関連付けられた過渡信号値が、複数の時間ステップで測定され、前記既定の時間間隔内の前記デバイスの少なくとも1つの動作パラメータを示す前記データのセットが、前記既定の時間間隔内の複数の連続した時間ステップにおける複数の測定ポイントを含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
デバイスステータスデータを受信することと、
前記デバイスステータスデータと前記偏差との間の関係を判定することと、を更に含む、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記デバイスステータスデータが、ステータスタイミング情報を提供され、前記偏差データが、偏差タイミング情報を提供され、前記方法が、経時的に、ステータスデータと偏差データとの間の関係を判定することを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記デバイスステータスデータに基づいて、前記デバイスに関連するデバイスイベントを判定することと、
前記ステータスタイミング情報及び前記偏差タイミング情報に基づいて、前記デバイスイベントと前記偏差の発生との間の時間間隔を判定することと、を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記デバイスステータスデータに基づいて、前記デバイスに関連する多数のデバイスイベントを判定することと、
前記ステータスタイミング情報及び前記偏差タイミング情報に基づいて、前記デバイスイベントと1つ以上の偏差の発生との間の時間間隔を判定することと、
前記多数の判定されたデバイスイベントから、前記デバイスの特定の部分に関連する第1のデバイスイベント、及び前記デバイスの前記特定の部分に関連する第2のデバイスイベントを識別することと、
前記偏差データから、第1の偏差の第1の発生及び第2の偏差の第2の発生を識別することと、を更に含み、
前記第1のデバイスイベントと前記第1の発生との間の第1の時間間隔が、前記第2のデバイスイベントと前記第2の発生との間の第2の時間間隔から既定の関係時間間隔未満である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
デバイスを監視するためのシステムであって、
既定の時間間隔内で前記デバイスの少なくとも1つの動作パラメータを示すデータのセットを受信することと、
データのセットに基づいて、前記データのセットを一意に識別する識別子を計算することと、
前記識別子と前記デバイスの前記少なくとも1つの動作パラメータについての少なくとも1つの参照識別子との間の少なくとも1つの偏差を判定することと、を行うように構成されているコントローラを備える、システム。
【国際調査報告】