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特表2024-542269ハイブリッド推進式のスクーター型鞍乗モーターサイクル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】ハイブリッド推進式のスクーター型鞍乗モーターサイクル
(51)【国際特許分類】
   B62M 23/02 20100101AFI20241106BHJP
   B62M 7/12 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
B62M23/02 110
B62M7/12 ZHV
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531161
(86)(22)【出願日】2022-11-24
(85)【翻訳文提出日】2024-05-23
(86)【国際出願番号】 IB2022061390
(87)【国際公開番号】W WO2023095055
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】102021000029699
(32)【優先日】2021-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521180854
【氏名又は名称】ピアッジョ アンド シー. エス.ピー.エー.
【氏名又は名称原語表記】PIAGGIO & C. S.P.A.
【住所又は居所原語表記】Viale Rinaldo Piaggio, 25, I-56025 Pontedera(PI), Italy
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100189429
【弁理士】
【氏名又は名称】保田 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213849
【弁理士】
【氏名又は名称】澄川 広司
(72)【発明者】
【氏名】マリオッティ,ウォルター
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つの駆動輪(2)とハイブリッドタイプ推進装置とを備える鞍乗モーターサイクル(1)に関し、推進装置が、熱機関(10)と、熱機関(10)の駆動軸(4)を駆動輪(2)に機械的に接続するトランスミッションアセンブリ(11)とを備える。トランスミッションアセンブリ(11)は、少なくとも部分的に第1のシェル(200)内に収容され、第1のシェル(200)から突出し、駆動輪(2)のハブ(21)に接続される少なくとも1つのトランスミッションシャフト(15)を備える。推進装置は、熱燃焼機関(10)と組み合わせて、または熱燃焼機関(10)とは独立して作動可能な電気機械(20)をさらに備える。本発明によれば、電気機械(20)が、駆動輪のリム(22)内に配置された第2のシェル(300)内に収容され、第2のシェル(300)が、第1のシェル(200)に堅く接続され、トランスミッションシャフト(15)によって横切られている。電気機械(20)が、第2のシェル(300)内で固定位置を保持するステータ(24)と、第2のシェル(300)内で回転するようにトランスミッションシャフト(15)に拘束されたロータ(25)とを備える。後者は、ステータ(24)とロータ(25)とを囲むように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの駆動輪(2)とハイブリッド推進装置とを備える鞍乗モーターサイクル(1)であって、前記推進装置が、
駆動軸(4)を含む熱燃焼機関(10)と、
前記駆動軸(4)を前記少なくとも1つの駆動輪(2)に機械的に接続するトランスミッションアセンブリ(11)であって、少なくとも部分的に第1のシェル(200)内に収容され、前記第1のシェル(200)から突出し、前記少なくとも1つの駆動輪(2)のハブ(21)に接続される少なくとも1つのトランスミッションシャフト(15)を備えるトランスミッションアセンブリ(11)と、
前記熱燃焼機関(10)と組み合わせて、または前記熱燃焼機関(10)とは独立して作動可能な電気機械(20)と、
を備え、
前記電気機械(20)が、前記駆動輪(2)のリム(22)内に配置された第2のシェル(300)内に収容され、
前記第2のシェル(300)が、前記第1のシェル(200)に堅く接続され、前記トランスミッションシャフト(15)によって横切られており、
前記電気機械(20)が、前記第2のシェル(300)内で固定位置を保持するステータ(24)と、前記第2のシェル(300)内で回転するように前記トランスミッションシャフト(15)に拘束されたロータ(25)とを備え、
前記第2のシェル(300)が、前記ステータ(24)と前記ロータ(25)とを囲むように構成されている鞍乗モーターサイクル。
【請求項2】
前記第1のシェル(200)は、互いに接続された少なくとも第1の部分(201)と第2の部分(202)とを備え、前記第2の部分(202)は、前記第2のシェル(300)と結合されている、請求項1に記載のモーターサイクル(1)。
【請求項3】
前記第1のシェル(200)と前記第2のシェル(300)との間に、前記第1のシェル(200)と前記第2のシェル(300)との間の相対回転を防止または減衰させる回転防止手段が設けられている、請求項2に記載のモーターサイクル(1)。
【請求項4】
前記第2のシェル(300)が、第1のハーフシェル(301)と、前記第1のハーフシェル(301)に堅く接続された第2のハーフシェル(302)とを備える、請求項1から3のいずれか1つに記載のモーターサイクル(1)。
【請求項5】
前記第1のハーフシェル(301)が、前記第1のシェル(200)の前記第2の部分(202)に堅く接続されている、請求項2または3に従属する場合の請求項4に記載のモーターサイクル(1)。
【請求項6】
前記第2のハーフシェル(302)が、前記トランスミッションシャフト(15)に回動可能に支持されている、請求項3から5のいずれか1つに記載のモーターサイクル(1)。
【請求項7】
前記ステータ(24)が、少なくとも1つの前記ハーフシェル(301、302)の一部に接続され、ステータ巻線(24A)を備える、請求項4、5または6に記載のモーターサイクル(1)。
【請求項8】
前記ロータ(25)は、複数のロータ巻線(25A)を支持する支持部(28)を備え、前記支持部(28)は、同じ速度で回転するように、前記トランスミッションシャフト(15)に直接的または間接的に接続されている、請求項1から7のいずれか1つに記載のモーターサイクル(1)。
【請求項9】
前記ロータ(25)は、前記第2のシェル(300)内に配置され、前記ステータ(24)に対して半径方向外側の位置で前記トランスミッションシャフト(15)を中心に回転する、請求項8に記載のモーターサイクル(1)。
【請求項10】
前記駆動輪(2)の前記リム(22)が、前記第2のシェル(300)および前記ロータ(25)が載っている前記トランスミッションシャフト(15)の第2の部分(L2)とは異なる前記トランスミッションシャフト(15)の第1の部分(L1)に接続されている、前記請求項のいずれか1つに記載のモーターサイクル(1)。
【請求項11】
前記トランスミッションシャフト(15)は、前記トランスミッションアセンブリ(11)に動作可能に接続された第3の部分(L3)を備え、前記第1の部分(L1)および前記第3の部分(L3)は、前記第2の部分(L2)に対して互いに対向している、請求項10に記載のモーターサイクル(1)。
【請求項12】
前記リム(22)と前記ロータ(25)とが互いにねじり拘束されている、前記請求項のいずれか1つに記載のモーターサイクル(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、鞍乗型車両の製造の分野に属する。特に、本発明は、ハイブリッド推進装置、すなわち、熱機関と、駆動輪に利用可能なトルクを増大させるための電気モータとして、または同じ電気機械に接続されたバッテリパックを再充電するための発電機として使用することができる、好ましくは可逆的な電気機械とを備えた推進装置を具備する2輪または3輪車両に関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術
ここ数年、一般的な内燃機関に電気機械を追加した、ハイブリッド推進式の2輪または3輪自動車が提案されている。この種の推進機の目的は、実質的に、高効率条件下で内燃機関を利用し、減速および制動時に電気機械を通じてエネルギーを回収することであり、場合によっては、電気機械を唯一の推進機として利用することである。ハイブリッド推進の一般的な目的は、内燃機関の運転に伴う汚染物質の排出を削減することである。
【0003】
ハイブリッド推進式の2輪車の例が、同じ出願人の特許EP1572486に記載され、示されている。特に、EP1572486は、スクータータイプの車両に関する。周知のように、他の車両と比較して、スクーターは、その中央領域が実質的に開放されたフレームと、2輪車運転者が直立姿勢で閉じた平行な脚で乗車姿勢を維持することを全体的に可能にするフットレストとが存在することによって区別される。スクーターでは、熱機関はフレーム上に設置されておらず、むしろリアサスペンションの一部となっている。実際、熱機関は、後輪を支持し、支点を介してフレームに枢着された支持アーム(スイングアーム)と一体になっている。後者は、リアサスペンションに作用する荷重に追従してフレームに対してアームがスイングすることを可能にする。フレームとサポートアームとの間に設けられた1つまたは複数のショックアブソーバーが、リアサスペンションを完成させる。
【0004】
同じ出願人のEP1572486に記載された解決策では、熱機関のシャフトと推進シャフトとの間にCVTタイプのトランスミッションが設けられており、このCVTトランスミッションは、熱機関のシャフトに取り付けられた駆動プーリと、ギア対を介して後輪に接続されたトランスミッションシャフトに取り付けられた従動プーリとを備えている。このCVTトランスミッションは、従動プーリとトランスミッションシャフトとの間に作動可能に介装されたクラッチを備え、このクラッチは、従動プーリに接続された第1のクラッチ要素と、トランスミッションシャフトに接続された第2のベル形クラッチ要素とを備える。EP1572486の解決策では、これら2つの要素を選択的に接続するように、すなわち電気機械のトランスミッションへの接続を許容または阻止するように、従動プーリと第1のクラッチ要素との間に介在されたカップリング手段を介して、ロータが(ベル形の)駆動要素に接続された電気機械も提供される。
【0005】
特許US5193634は、モーターサイクル用の別のハイブリッド推進システムを開示しているが、これは部分的には上述のシステムに遡ることができる。実際、熱機関によって生成された運動の後部駆動輪への伝達を許容または阻止するクラッチを備えたCVTトランスミッションが依然として存在する。この場合、電気機械の出力軸はトランスミッションを介してトランスミッションシャフトに接続され、電動機の回転数が同じ駆動軸の回転数よりも高い場合にのみ、電動機が発生するトルクがトランスミッションシャフトに伝達されるようになっている。
【0006】
本出願人は、上述の解決策は、動作の点では効果的であるが、かなり複雑な構成を有し、設計および建造コストに強く影響することを見出した。例えば、EP1572486に記載された解決策の場合、電気機械は、熱機関を後輪に接続するトランスミッションと強く一体化されている。このため、「融通のきかない(rigid)」生産ライン、すなわちハイブリッドシステムの組み立て専用の生産ラインとなり、単一のスクーターモデルの製造にしか使用できない。したがって、既知の解決策は、生産の汎用性という点で強い制約があるという特徴がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】EP1572486
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
概要
本発明の主な課題は、上述の欠点を克服するか、少なくとも制限することができる鞍乗型車両を提供することである。この課題の範囲内で、本発明の第1の目的は、既知の解決策と比較して、より簡単で汎用性の高い方法で組み立てることができるハイブリッド推進式の鞍乗型車両を提供することである。本発明の他の目的は、駆動輪へのトルク伝達の点で、熱機関と電気機械の運転を最適化できるハイブリッド推進式の鞍乗型車両を提供することである。最後になるが、本発明の目的は、信頼性が高く、コスト効率の良い方法で容易に製造できる鞍乗型車両を提供することである。
【0009】
本出願人は、熱機関によって発生されたトルクを駆動輪に伝達することを意図したトランスミッションアセンブリから電気機械を分離することによって、上述の課題および目的を達成できることを見出した。より正確には、この分離は、駆動輪のリムの内側に配置され、トランスミッションアセンブリを含む別のシェルの一部に取り付けられたシェル内に電気機械を配置することによって達成される。このようにして、電気機械はトランスミッションアセンブリに拘束されることなく、トランスミッションアセンブリの外部に配置される。
【0010】
特に、定められた課題および目的は、少なくとも1つの駆動輪とハイブリッドタイプの推進装置とを備える鞍乗型モーターサイクルによって達成される。後者は、駆動軸を含む熱燃焼エンジンと、前記駆動軸を前記少なくとも1つの駆動輪に機械的に接続するトランスミッションアセンブリとを備える。このトランスミッションアセンブリは、少なくとも部分的に第1のシェルに収容され、第1のシェルから突出し、駆動輪のハブに接続される少なくとも1つのトランスミッションシャフトを備える。ハイブリッド推進装置は、熱燃焼エンジンと組み合わせて、または熱燃焼エンジンとは独立して作動させることができる電気機械をさらに備える。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、電気機械は、駆動輪のリムの内側に配置された第2のシェルに収容され、前記第2のシェルは、第1のシェルに堅く(rigidly)接続され、トランスミッションシャフトによって交差される。電気機械は、第2のシェル内で固定位置を保持するステータ(固定子)と、代わりにトランスミッションシャフトに拘束されて第2のシェル内で回転するロータ(回転子)とを備える。従って後者は、ステータとロータを囲むように構成され、これらの構成部品を外部環境から隔離している。
【0012】
可能な実施形態では、第1のシェルは、互いに接続された少なくとも第1の部分と第2の部分とを備え、第2の部分は、前記第2のシェルと結合されている。
【0013】
好ましくは、モーターサイクルの走行中に第1のシェルと第2のシェルとの間の相対回転を防止または減衰させる回転防止手段(anti-rotation means)が、第1のシェルと第2のシェルとの間に設けられる。
【0014】
その好ましい実施形態では、第2のシェルは、互いに堅く接続された第1のハーフシェルと第2のハーフシェルとを備える。
【0015】
可能な変形例では、第1のハーフシェルは、第1のシェルの第2の部分に堅く接続される。
【0016】
好ましくは、第2のシェルは、前記トランスミッションシャフトに回動可能に支持される。
【0017】
可能な実施形態において、電気機械のステータは、第1のハーフシェルに接続され、ステータ巻線を備える。
【0018】
可能な実施形態によれば、電気機械のロータは、複数のロータ巻線を支持する支持部を備え、この支持部は、同じ速度で回転するように、直接または間接的に、トランスミッションシャフトに接続される。
【0019】
好ましくは、ロータは第2のシェル内に配置され、ステータに対して半径方向外側の位置でトランスミッションシャフトを中心に回転する。
【0020】
好ましい実施形態によれば、駆動輪のリムは、第2のシェルおよびロータが載っている第2の部分とは異なる前記トランスミッションシャフトの第1の部分に接続されている。好ましくは、トランスミッションシャフトは、前記トランスミッションアセンブリに動作可能に接続された第3の部分を含み、前記第1の部分と前記第3の部分とは、前記第2の部分に対して互いに反対側にある。
【0021】
好ましい実施形態によれば、駆動輪のリムと前記ロータとは互いにねじり拘束されている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図のリスト
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面を援用して示し、かつ非限定的な目的のために図示された、排他的ではないが、好ましい鞍乗型車両のいくつかの実施形態の以下の詳細な説明から、より明らかになるであろう:
- 図1は、本発明による自動車の駆動輪アセンブリの透視図である;
- 図2は、図1のアセンブリの分解図である;
- 図3は、図1のアセンブリの断面図である;
- 図4は、図3のアセンブリの分解図である;
- 図5は、図1のアセンブリの側面図である;
- 図6は、図5の断面平面VI-VIによる断面図である;
- 図7および図8は、図1の駆動輪アセンブリの構成部品の異なる観察点からの透視図である;
- 図9は、図7および図8に示す構成部品の断面図である。
図中の同じ参照数字および文字は、同じ要素または構成要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
詳細な説明
したがって、前述の図を参照すると、本発明は、鞍乗型車両に関するものであり、この表現によって、少なくとも2つの車輪、すなわち、少なくとも1つの前輪と少なくとも1つの後輪とを有する任意の2輪モータバイクまたはモーターサイクル(オートバイ)を意味する。したがって、2つの前部操舵輪と1つの後部駆動輪、または1つの前部操舵輪と1対の後部駆動輪を有する3輪のモーターサイクルも、この定義に含まれる。また、鞍乗型車両の定義には、例えば、2つの前部操舵輪と2つの後部駆動輪を有する4輪車も含まれる。以下では、鞍乗型車両1は、モーターサイクル1という用語でも示される。
【0024】
以下では、特に「スクータータイプ」の2輪モーターサイクルについて言及するが、以下の考察は、1つの後部駆動輪と、操舵および傾斜可能な2つの前輪とを有する3輪モーターサイクルについても有効である。
【0025】
図1は、本発明が適用されるスクーター型モーターサイクルの後部を示す透視図である。より正確には、この図は、後輪2(または駆動輪2)と、それ自体公知の解決策に従って、軸線101(図1および図4に描かれている)を中心に揺動するようにモーターサイクルのフレームに接続されているエンジンブロック3(以下によく示されるように、熱機関10およびトランスミッションアセンブリを備える)とを含む駆動輪アセンブリ100(またはアセンブリ100)を示している。図2は、代わりに、図1のアセンブリ100の分解図であり、本発明のいくつかの重要な構成要素をよりよく見ることができる。同様に、図3および図4は、図1のアセンブリの(それぞれ正面図および分解)断面図である。
【0026】
本発明によるモーターサイクル1は、駆動輪2に動力を供給するように構成された推進装置を備える。推進装置はハイブリッドタイプであり、内燃機関10(またはエンジン10)と、エンジン10と組み合わせてまたはエンジン10とは独立して作動させることができる電気機械20とを備えている。電気機械20は、好ましくはモーターサイクルのフレームに支持されたバッテリー(図示せず)に接続されている。好ましくは、電気機械20は、電動機として、あるいはバッテリーを再充電するための発電機として作動するための可逆式である。
【0027】
自動車1は、エンジン10の駆動軸4を駆動輪2に機械的に接続するトランスミッションアセンブリ11を備える。トランスミッションアセンブリ11は、少なくとも部分的に第1のシェル200に収容され、第1のシェル200から突出する少なくとも1つのトランスミッションシャフト15(以下、「シャフト15」という用語のみでも呼ぶ)を備える。このシャフト15は、エンジン10からの駆動トルクを伝達するように、駆動輪2のハブ21に接続されている。
【0028】
エンジン10の構成は本発明には関係ない。エンジン10のクランクケース10Bのみが図に示されており、すなわち、広く知られた原理に従って、相対するピストン(図示せず)を動かすコネクティングロッドの小端部が接続された駆動軸4を受ける部分が示されている。したがって、図にはエンジン10のシリンダヘッドは示されておらず、これも当業者には周知の原理に従って、スタッドボルト10C(図2参照)によってクランクケース10Bに接続される。
【0029】
トランスミッションアセンブリ11を含む第1のシェル200は、エンジンのクランクケース10Bに堅く接続されている。本発明の文脈では、エンジン10と第1のシェル200とからなるアセンブリは、既に上に示したように、エンジンブロック3として定義され、モーターサイクル1のフレームに対して揺動するようにヒンジ止めされている。
【0030】
トランスミッションアセンブリ11の構成も、本発明とは関係ない。断面図に見えるその可能な一実施形態では、トランスミッションアセンブリ11は、エンジン10のシャフトを第1の中間シャフト118に接続する無段トランスミッション(CVT)を備える。このトランスミッションは、駆動軸4に取り付けられた第1のプーリ111と、前記第1の中間シャフト118に取り付けられた第2のプーリ112とを有する。2つのプーリ111,112の間には可撓性トランスミッション要素114が介在され、一方、第2のプーリ112と第1の中間シャフト118との間にはクラッチ装置119が作動的に介在され、これも広く知られた原理に従って、所定の回転数を超えたときに2つの構成要素(112,118)の間で運動が伝達されるようになっている。図示の場合、トランスミッションアセンブリ11は、第1の中間シャフト118をトランスミッションシャフト15に接続するギアトランスミッション121-122-123をさらに備える(図4参照)。特に、図示の例では、第1の中間シャフト118と一体のピニオン121と、トランスミッションシャフト15と一体の歯車122と、中間シャフト118の回転軸線およびトランスミッションシャフト15の回転軸線Xに平行な軸線102(図4にも示す)を中心に回転する中間ギア123とが設けられている。このトランスミッションギヤ123は、ピニオン121に噛み合う第1の歯付き部分と、歯付きホイール122に噛み合う第2の歯付き部分とを備える。全体として、ギアトランスミッションは、2つのシャフト(中間シャフト118とトランスミッションシャフト15)間の減速ギア比を、やはりそれ自体公知の原理に従って発生させる。
【0031】
電気機械20は、ステータ24と、ステータ24に対して回転するロータ25とを備える。本発明によれば、電気機械20は、第1のシェル200とは異なる第2のシェル300に収容されており、当該第2のシェル300は、駆動輪2のリム22の内側に配置されている。本発明によれば、前記第2のシェル300は、第1のシェル200に接続され、トランスミッションシャフト15によって横切られている。電気機械20は、第2のシェル300の内部で、ステータ24が固定位置を保持するように構成されている。その代わりに、ロータ25は、第2のシェル300の内部でシャフト15と同期して一緒に回転するように、トランスミッションシャフト15に直接的または間接的に拘束される。したがって、ロータ25の回転軸は、トランスミッションシャフト15の回転軸線Xと一致する。
【0032】
したがって、本発明によれば、第2のシェル300は、電気機械20のステータ24とロータ25を収容するように構成されている。したがって、この第2のシェル300は、これらの構成部品(24、25)を分離し、外部環境から隔離する。
【0033】
従来技術の解決策とは異なり、ハイブリッド推進の電気部分は、したがって、機械的なものから分離されており、すなわち、トランスミッションアセンブリ11が収容されている第1のシェル200の外部にある。この解決策により、トランスミッションアセンブリ11の設計が容易になると同時に、第1のシェル200の横方向寸法、すなわちモーターサイクル1の後方部分の寸法を抑えることができる。これについて、横方向寸法の点で、第2のシェル300を後輪1のリム22の内側に配置することも極めて有利であることが分かる。
【0034】
可能な実施形態によれば、第1のシェル200は、トランスミッションアセンブリ11の構成要素およびその動作に必要な潤滑液を受容するために、互いに堅く接続された少なくとも第1の部分201および少なくとも第2の部分202を備える。第2のシェル300は、第2の部分202において第1のシェル200に拘束されている。言い換えれば、第1のシェル200の一部は、電気機械20を含む第2のシェル300の位置決めに有利に使用される。
【0035】
可能な実施形態(図示せず)によれば、第2のシェル300は、例えばねじ締結手段を介して第1のシェル200に堅く接続される。組立速度の点で好ましい代替実施形態では、第2のシェル300は、第1のシェル200の第2の部分202によって画定された取付面S1(図4参照)に係合される。一方、好ましくは、2つのシェル200、300の間に回転防止手段が配置され、この回転防止手段は、第1のシェル200に対する第2のシェル300の相対回転を防止または減衰させる。このような回転防止手段の一実施形態を以下に説明する。一般に、このような回転防止手段は、(モーターサイクル1の移動中および/または電気機械20の作動中に)第2のシェル300が第1のシェル200に対して実質的に安定した位置を維持できるように構成されており、しかしながら、当該2つのシェル200,300を互いに堅く拘束することはない。
【0036】
図3の断面図を参照すると、第2のシェル300は、第1のシェル200と後輪2のハブ21との間に介在するようにリム22の内側に配置されていることが分かる。したがって、好ましくは、後輪2のハブ21は、トランスミッションシャフト15の第1の部分L1に接続されており、この第1の部分L1は、第2のシェル300、したがってその中に含まれるロータ25が載っている(すなわち、それに沿って配置されている)第2の部分L2とは異なっている。さらに、図に示す解決策では、トランスミッションアセンブリ11に動作可能に接続され、第2の部分L2に対して第1の部分L1とは反対側にある、トランスミッションシャフト15の第3の部分L3も特定される。
【0037】
第2のシェル300がリム22の内側でトランスミッションシャフト15の異なる部分L1,L2に配置されることは、駆動輪アセンブリ100の組立および分解にも極めて有利である。この点に関して、図4を参照すると、このようなアセンブリは、最初に第2のシェル300をトランスミッションシャフト15に係合させることによって組み立てられ、特に、第2のシェル300は、第2の部分202に画定された取付面S1の助けによって第1のシェル200に結合される。位置決めが終了すると、電気機械20のロータ25は、トランスミッションシャフト15自体に機械的に接続される。その後、駆動輪2のハブ21は、第2のシェル300がリム22によって画定された内部空間に留まる(enclosed)ように、トランスミッションシャフト15に取り付けられる。
【0038】
図示の解決策では、アッセンブリは、トランスミッションシャフト15の端部において、第1のシェル200が配置されている側とは反対側に支持ブラケット400を取り付けることも含む。より正確には、この支持ブラケット400は、シャフト15の回転軸線Xを中心として回転するように、すなわち、シャフト15および駆動輪2に対して揺動するように取り付けられている。支持ブラケット400は、エンジン10のクランクケース10Bに接続されており、したがって、エンジンブロック3に堅く拘束された一種の「スイングアーム」を形成している。したがって、支持ブラケット400は、エンジンブロック3とともに、モーターサイクルフレーム1に対してスイングする。
【0039】
図に見える実施形態では、支持ブラケット400は、ねじ接続手段402を介してそれに接続されたブレーキキャリパ401を支持している。この接続は、トランスミッションシャフト15への支持ブラケット400の取り付けに続いて行われる。同じ支持ブラケット400は、モーターサイクル1のマフラー(図示せず)を支持するように構成された部品403、および/またはモーターサイクルのリアサスペンションに属する可能性のあるスプリング-ショックアブソーバアセンブリの接続部を提供するように構成された部品403も含んでいる。
【0040】
図2および図4から、また今説明したことから、駆動輪アセンブリ100の分解も容易にできることがわかる。後輪2を交換する必要がある場合、例えばパンクした場合、この作業は、まず支持ブラケット400を取り外し、次にトランスミッションシャフト15から駆動輪2を取り外すことによって容易に行うことができる。有利なことに、電気機械20はこの作業の影響を受けないため、その動作位置、すなわち、トランスミッションシャフト15に取り付けられ、第1のシェル200の第2の部分202と結合された第2のシェル200の内部に取り付けられた状態を維持することができる。同時に、駆動輪2の交換作業は、第1のシェル200に影響を与えない。
【0041】
第2のシェル300の好ましい実施形態(図7-9に見える)によれば、互いに堅く接続された第1のハーフシェル301と第2のハーフシェル302とを備える。第1のハーフシェル301は、第1のシェル200の第2の部分202と結合するように構成されている。2つのハーフシェル301、302はそれぞれ、第2のシェル300をトランスミッションシャフト15に係合させる中央開口部34A、34Bを構成する。第1のハーフシェル301は、図3図4の比較から分かるように、その中央開口部34Aで第1のシェル200の中心面と結合する。第2のハーフシェル302は、その代わりに、シャフト15に回動可能に支持されている。換言すれば、第2のハーフシェル302は、シャフト15に対して回転的に拘束されることはなく、逆に、シャフト15の回転の間、静止していることができる。
【0042】
図示の実施形態では、第1のハーフシェル301は、組立後に、第1のシェル200の第2の部分202の領域が少なくとも部分的に受容される座部28を画定するように構成されている。第1のハーフシェル301は、電気機械20のステータ24が接続される内側部分39をさらに備える(図9参照)。特に、この部分39は実質的に円筒形であり、トランスミッションシャフト15の回転軸と同軸である。第1のハーフシェル301は、電気機械20の運転に必要な電気ケーブルを受け入れるための内部空間44を画定するようにさらに構成される。好ましくは、第1のハーフシェル301は、電気ケーブルが第2のシェル300から出て電気バッテリまたは電気機械20の作動を可能にする他の構成要素に接続され得る開口部47を備える。
【0043】
図示しない代替実施形態では、電気機械20のステータ24は、第2のハーフシェル302の一部によって支持され得る。同時に、電気ケーブルの出口開口も第2のハーフシェル302に画定することができる。
【0044】
特に図9を参照すると、電気機械20のロータ25は、複数のロータ巻線25Aを支持する支持部28を備える。この支持部分28は、シャフト自体と係合した歯付きスリーブ29を介してトランスミッションシャフト15と間接的に接続されており、したがって、ロータ25がシャフト15と同じ速度で回転することを可能にしている。
【0045】
第2のハーフシェル302は、少なくとも1つの軸受29Bを介して前記歯付きスリーブ29の外面29Aに取り付けられており、これにより、ロータ25またはシャフト15の回転中、同じハーフシェル302が固定位置を維持することができる。
【0046】
より正確には、本発明の好ましい、しかし排他的ではない実施形態によれば、ロータ25は、ステータ24に対して半径方向外側の位置でシャフト15を中心に回転するように第2のシェル300の内部に配置される。これにより、ステータ巻線24Aが、トランスミッションシャフト15とロータ巻線25Aとの間に半径方向に配置されるような配置を意味する。
【0047】
別の実施形態(図示せず)では、ステータとロータの半径方向の位置を逆にし、ロータがステータ内で回転することもできる。
【0048】
上に示したように、好ましい実施形態によれば、モーターサイクル1の走行時、すなわち駆動輪2が回転するときに、2つのシェル200,300間の相対回転を防止するか、少なくとも減衰させる第2のシェル300の回転防止手段が設けられている。
【0049】
図5と6を参照すると、その可能な実施形態において、これらの回転防止手段は、第1のシェル200の第2の部分202に面し且つ隣接する第2のシェル300の外面300Aに関連する第1の(例えば雌型)結合要素を備える。第2の(例えば雄型の)カップリング要素は、前記第2の部分202に関連付けられ、第2のシェル300と第1のシェル200との結合後に第1のカップリング要素と係合するように構成される。
【0050】
図示の実施形態では、第1のカップリング要素は、例えばゴム製の一対のインサート56によって画定され、それぞれ第2のシェル300の外面300Aに画定された対応するハウジング57内に配置されている。第2のカップリング要素は、代わりに、第1のシェル200の第2の部分202の一対の突起67で構成され、各突起は、前記インサート56の対応する1つを貫通して画定されたスロット56Aに挿入されるように突出している。したがって、2つのシェル200、300間の結合に続いて、第2のシェル300の回転防止効果が得られる。その結果、2つのシェル200、300が互いに解放されたときに、第1および第2の結合要素間の係合が解除される。図示された解決策では、前記インサート56を作るために使用されるゴムの剛性が増加するにつれて、減衰の程度が増加する。
【0051】
本発明によるモーターサイクル1は、意図された作業と目的を十分に達成することができる。特に、トランスミッションアセンブリと電気機械との間の物理的な分離は、設計の点でも、生産の融通性の点でも、極めて有利である。実際、第1のシェル200およびその中に含まれるトランスミッション群11は、本発明によるハイブリッドタイプのスクータと、従来のスクータ、すなわち電動部のないスクータの両方を製造するために有利に使用することができる。したがって、エンジンブロックだけのためにラインを設けてもよく、このラインは、それぞれ特定のスクータータイプ(ハイブリッドおよび非ハイブリッド)のための少なくとも2つの他のラインに供給することができる。
【0052】
さらに、トランスミッションアッセンブリから切り離された外部に電気機械を配置することで、熱機関とトランスミッションシャフト間の機械的伝達の影響を受けないため、機械自体の作動を最適化することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】