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特表2024-542278膜電極接合体及びそれを含む燃料電池
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  • 特表-膜電極接合体及びそれを含む燃料電池 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】膜電極接合体及びそれを含む燃料電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/1004 20160101AFI20241106BHJP
   H01M 8/0273 20160101ALI20241106BHJP
   H01M 8/0271 20160101ALI20241106BHJP
   H01M 8/10 20160101ALI20241106BHJP
   H01M 8/028 20160101ALI20241106BHJP
   H01M 8/0282 20160101ALI20241106BHJP
【FI】
H01M8/1004
H01M8/0273
H01M8/0271
H01M8/10 101
H01M8/028
H01M8/0282
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532545
(86)(22)【出願日】2022-12-01
(85)【翻訳文提出日】2024-05-30
(86)【国際出願番号】 KR2022019415
(87)【国際公開番号】W WO2023128335
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】10-2021-0190343
(32)【優先日】2021-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518215493
【氏名又は名称】コーロン インダストリーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【弁理士】
【氏名又は名称】鄭 元基
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100199004
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 洋
(72)【発明者】
【氏名】チョ ドンジュン
【テーマコード(参考)】
5H126
【Fターム(参考)】
5H126AA02
5H126AA13
5H126BB06
5H126GG12
5H126JJ03
(57)【要約】
本発明は、膜電極接合体及びこれを含む燃料電池に関し、より具体的に、高分子電解質膜、高分子電解質膜の周縁部を包んで形成されたサブガスケット、高分子電解質膜の中心部上にサブガスケットと互いに離隔して形成された電極層、サブガスケットと電極層の間及び高分子電解質膜上に形成された接着部、並びに前記電極層及び前記接着部上に形成された気体拡散層を含んで耐久性及び触媒使用率に優れた膜電極接合体及びこれを含む燃料電池に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子電解質膜;
前記高分子電解質膜の一部を包んで形成されたサブガスケット;
前記高分子電解質膜の他の一部上に、前記サブガスケットと互いに離隔して形成された電極層;
前記サブガスケットと前記電極層の間に介在され、前記高分子電解質膜のまた他の一部上に形成された接着部;及び
前記電極層及び前記接着部上に形成された気体拡散層を含む気体拡散層;を含む膜電極接合体。
【請求項2】
前記接着部は、それぞれの前記高分子電解質膜のまた他の一部、前記サブガスケット、前記電極層及び前記気体拡散層の全てと接する、請求項1に記載の膜電極接合体。
【請求項3】
前記サブガスケットは、前記高分子電解質膜の一部と接する、請求項1に記載の膜電極接合体。
【請求項4】
前記電極層と前記接着部は、前記高分子電解質上に同一の厚さで形成された、請求項1に記載の膜電極接合体。
【請求項5】
前記気体拡散層は前記電極層と接する、請求項1に記載の膜電極接合体。
【請求項6】
前記接着部を形成する接着物質の一部は、前記気体拡散層の一部に吸収された形態である、請求項1に記載の膜電極接合体。
【請求項7】
前記接着部は、セリア及び酸化イリジウムのうち1種以上の無機添加剤を含む接着物質で形成された、請求項1に記載の膜電極接合体。
【請求項8】
前記サブガスケット、前記電極層、前記接着部及び前記気体拡散層は前記高分子電解質膜の両面にそれぞれ形成された、請求項1に記載の膜電極接合体。
【請求項9】
請求項1の膜電極接合体を含む燃料電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膜電極接合体及びこれを含む燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、メタノール、エタノール、天然ガスのような炭化水素系列の燃料物質内に含まれている水素と酸素の酸化/還元反応のような化学反応エネルギーを直接電気エネルギーに変換させる発電システムを備えた電池であり、高いエネルギー効率性と汚染物排出が少ないという環境にやさしい特徴により化石エネルギーに代わる次世代クリーンエネルギー源として脚光を浴びている。
【0003】
このような燃料電池は、単位電池の積層によるスタック構成により多様な範囲の出力を出せる長所を有し、小型リチウム電池に比べて4ないし10倍のエネルギー密度を示すため、小型及び移動用携帯電源として注目を集めている。
【0004】
燃料電池から電気を実質的に発生させるスタックは、膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly、MEA)と分離板(Separator)(または、バイポーラプレート(Bipolar Plate)ともいう)からなる単位セルが数個から数十個が積層された構造を有し、膜電極接合体は一般的に電解質膜を挟んで両側に酸化極(アノードまたは燃料極)と還元極(カソードまたは空気極)が形成された構造をなす。
【0005】
燃料電池は、電解質の状態及び種類に応じてアルカリ電解質燃料電池、高分子電解質燃料電池(Polymer Electrolyte Membrane Fuel Cell、PEMFC)などに区分できるが、そのうち高分子電解質燃料電池は100℃未満の低い作動温度、速い始動と応答特性及び優れた耐久性などの長所により携帯用、車両用及び家庭用電源装置として脚光を浴びている。
【0006】
高分子電解質燃料電池の代表的な例としては、水素ガスを燃料として使用する水素イオン交換膜燃料電池(Proton Exchange Membrane Fuel Cell、PEMFC)、液状のメタノールを燃料として使用する直接メタノール燃料電池(Direct Methanol Fuel Cell、DMFC)などが挙げられる。
【0007】
高分子電解質燃料電池で起こる反応を要約すると、まず、水素ガスのような燃料が酸化極に供給されると、酸化極では水素の酸化反応により水素イオン(H)と電子(e)が生成される。生成された水素イオンは高分子電解質膜を介して還元極に伝達され、生成された電子は外部回路を介して還元極に伝達される。還元極では酸素が供給され、酸素が水素イオン及び電子と結合して酸素の還元反応により水が生成される。
【0008】
一方、燃料電池をFCV(Fuel Cell Vehicle)に適用するためには燃料電池システムの小型化が必須であり、そのためには単位面積当たり優れた出力密度を示す膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly、以下「MEA」という)の開発が要求され、特に、FCVの実際的な運行のためにはMEA触媒層の耐久性向上が必要な実情である。
【0009】
一般的な5レイヤ(layer)MEAの構造は、PEMと電極が結合された触媒コーティング膜(Catalyst Coated Membrane)の上に活性領域が開いているサブガスケットが接合された構造になっている。そして、7レイヤMEAの場合、活性領域周辺のサブガスケットの上に接着剤を塗布し、気体拡散層(GDL)を接合する構造で構成される。
【0010】
しかしながら、従来のMEAの構造はGDL接合部の段差に起因する応力集中現象により劣化加速及びGDLパーティクルによるスタック汚染の問題があり、サブガスケットと電極の低い接合力によりMEAの長期間運転時の脱離可能性及び耐久性の低下の問題があり、段差による活性領域の電極とGDL密着性の低下による抵抗増加及びウォータートラップサイト(water trap site)が発生する可能性があり、電極層の活性領域部に塗布された接着剤により触媒使用率が低下する問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、前記従来のMEAで発生する問題が改善された膜電極接合体を提供することである。
【0012】
本発明の他の目的は、前記膜電極接合体が適用されて性能及び耐久性が改善された燃料電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するための本発明の一実施例は、高分子電解質膜;前記高分子電解質膜の一部を包んで形成されたサブガスケット;高分子電解質膜の他の一部上に前記サブガスケットと互いに離隔して形成された電極層;前記サブガスケットと電極層の間に介在され、前記高分子電解質膜のまた他の一部上に形成された接着部;及び前記電極層及び前記接着部上に形成された気体拡散層;を含む膜電極接合体を提供する。具体的に、前記接着部はそれぞれの前記高分子電解質膜のまた他の一部、前記サブガスケット、前記電極層及び前記気体拡散層の全てと接することができる。より具体的に、前記サブガスケットは、前記高分子電解質膜の一部と接することができる。
【0014】
前記目的を達成するために、本発明の一実施例による膜電極接合体(MEA)は、高分子電解質膜、前記高分子電解質膜の周縁部を包んで形成されたサブガスケット、前記高分子電解質膜の中心部上に前記サブガスケットと互いに離隔して形成された電極層、前記サブガスケットと前記電極層の間及び前記高分子電解質膜上に形成された接着部、及び前記電極層及び前記接着部上に形成された気体拡散層を含む。具体的に、前記サブガスケットは、前記高分子電解質膜の周縁部の一部を包んでもよい。例えば、前記高分子電解質膜の周縁部の一部は電極層及び接着部の両方ともに接する高分子電解質膜の縁を除いた残りでありうる。
【0015】
前記接着部はそれぞれの前記高分子電解質膜、前記サブガスケット、前記電極層及び前記気体拡散層の全部と接してもよい。
【0016】
前記サブガスケットは、前記高分子電解質膜と接してもよい。具体的に、前記サブガスケットは前記高分子電解質膜の一部と接し、より具体的に、前記高分子電解質膜の周縁部の一部と接してもよい。
【0017】
前記電極層と前記接着部は前記高分子電解質上に同一の厚さで形成されてもよい。
【0018】
前記気体拡散層は前記電極層と接してもよい。
【0019】
前記接着部を形成する接着物質の一部は、前記気体拡散層の一部に吸収された形態であってもよい。
【0020】
前記接着部は、セリア及び酸化イリジウムのうち1種以上の無機添加剤を含む接着物質で形成されたものであってもよい。
【0021】
前記サブガスケット、前記電極層、前記接着部及び前記気体拡散層は前記高分子電解質膜の両面にそれぞれ形成されてもよい。
【0022】
本発明の他の一実施例による燃料電池は、前記膜電極接合体を含むものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一側面による膜電極接合体は、サブガスケットが高分子電解質膜と直接的に接合できて、サブガスケットと電極の接合による低い接合力の問題を解決することができるため、従来のMEAの脱離と耐久性低下の問題を解決した効果がある。
【0024】
本発明の他の側面による膜電極接合体の構造は、気体拡散層の段差が存在しなく、応力が集中しないため、応力集中によるMEA劣化加速及び気体拡散層パーティクルによるスタック汚染の問題を解決した効果がある。
【0025】
本発明のまた他の側面による膜電極接合体は電極と気体拡散層の優れた密着性によりスタック水管理が容易であり、電極に別途の接着物質を塗布する必要がないため、電極の触媒使用率が高い特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施例による膜電極接合体の断面図を概略的に示した図である。
【0027】
図2】前記燃料電池の全体的な構成を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるように図面を参照して本発明の実施例について詳しく説明する。しかしながら、本発明は、様々な異なる形態で実現することができ、ここで説明する実施例に限定されない。
【0029】
まず、本明細書及び請求範囲に使用された用語や単語は通常的または辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に基づいて本発明の技術的思想に符合する意味と概念と解釈されるべきである。
【0030】
従って、本明細書に記載された実施例と図面に示された構成は、本発明の最も好ましい実施例に過ぎず、本発明の技術的思想を全て代弁するものではないので、本出願時点において、これらは代替できる多様な均等物と変形例があり得ることを理解しなければならない。
【0031】
図1は、本発明の一実施例による膜電極接合体の断面を示した図である。図1を参照して説明すると、本発明の一実施例による膜電極接合体100は、高分子電解質膜1、高分子電解質膜1の周縁部を包んで形成されたサブガスケット2、2’、高分子電解質膜1の中心部上に前記サブガスケット2、2’と離隔して形成された電極層3、サブガスケット2、2’と電極層3の間及び前記高分子電解質膜1上に形成された接着部4並びに電極層3及び接着部4上に形成された気体拡散層5を含む。本発明の実施例による膜電極接合体は、気体拡散層による段差が存在しない構造であり、従来の気体拡散層による段差により発生する膜電極接合体の性能低下及び耐久性低下を防止でき、従来の燃料電池に含まれる膜電極接合体より耐久性及び性能が向上した特徴がある。前記接着部4は、接着物質を電極層3とサブガスケット2、2’の間の高分子電解質膜1が露出した部位に導入した後、気体拡散層5を覆った後に硬化させることにより形成することができ、接着部4は高分子電解質膜1、サブガスケット2、電極層3及び気体拡散層5の全てとそれぞれ接着されて膜電極接合体の優れた耐久性を実現することができる。
【0032】
サブガスケット2、2’は電解質膜の周縁部を包んで形成され、具体的に、サブガスケットが高分子電解質膜と直接的に接することができる。サブガスケットが高分子電解質膜と接する場合が、サブガスケットが電極と接する場合より優れた接合力の実現が可能である。従って、本発明の実施例による膜電極接合体を含む燃料電池の場合、サブガスケットと電極が接する場合より長時間駆動時に脱離可能性を大きく低下することができ、高い耐久性を発揮することができる。
【0033】
電極層3とサブガスケット2の間隙には接着部4が形成され、接着部4は電極層3の縁全体を連続的にシーリング(sealing)する形態で形成されることが、漏れ(Leak)防止及び気体拡散層5の接合力向上による膜電極接合体の耐久性向上に好ましい。この時、接着部4の幅は電極層3とサブガスケット2の間隙の幅と同じであってもよく、この時、電極層3の面積と気体拡散層5の厚さ(重さ)などを共に考慮して電極層とサブガスケットの間隙幅(接着部幅)が決定され、例えば、接着部4の幅は1~5mmで形成されてもよい。
【0034】
電極層3とサブガスケット2の間に高分子電解質膜1が露出した部位に接着物質を塗布して接着部4を形成する過程で、高分子電解質膜1の表面を基準に接着部4の高さが電極層3の高さと同一になるように接着部4を形成することが好ましい。接着部4の高さが電極層3の高さより低く形成された場合、接着部4と気体拡散層5の間に隙間が生じて膜電極接合体の耐久性が低下する問題が発生する可能性があり、接着部4の高さが電極層3の高さより高く形成された場合、電極層3と気体拡散層5の間に隙間が生じて膜電極接合体の抵抗が高くなり、膜電極接合体を含む燃料電池の効率に低下する問題を発生する。
【0035】
気体拡散層5は、電極層3と接することにより、膜電極接合体の抵抗値を低くすることができ、燃料電池駆動により発生する水が膜電極接合体の内部に溜まって発生するウォータートラップサイト(water trap site)を防止することができる。図1を参照すると、気体拡散層5が電極層3と接する構成のためにサブガスケット2、2’が形成されていない高分子電解質膜上にのみ気体拡散層5が形成されることが好ましく、気体拡散層5が電極層3と接しながらも接着部4により膜電極接合体100に安定的に接するようにすることができる。
【0036】
本発明の実施例による膜電極接合体の構造は、サブガスケット2と電極層3の間に別途の接着部4を形成したため、気体拡散層5を固定するためにサブガスケットまたは電極層上に接着物質を塗布する必要がない。サブガスケット上に接着物質を塗布してサブガスケットと気体拡散層が接合する場合、電極と気体拡散層の間に空間が発生して膜電極接合体の性能を低下させる可能性があり、電極層上に接着物質が塗布された場合、電極層内部に接着物質が染み込み電極層に含まれた触媒の効率を阻害させ、電極層の活性領域部分が減少する問題がありうる。従って、本発明の膜電極接合体構造は、別途の接着層配置により燃料電池の耐久性及び性能を向上させることができる効果がある。
【0037】
電極層とサブガスケットの間に露出された高分子電解質膜上に電極層の高さより少し高い厚さで接着物質を導入した後、気体拡散層を電極層と密着させる工程により、接着物質の一部が気体拡散層の一部に吸収されるようにすることができる。接着物質の一部が気体拡散層の一部に吸収され硬化された場合、接着部4が気体拡散層5をさらに強固に固定させることができ、膜電極接合体の耐久性をさらに向上させることができる。接着剤の導入はコーティング、ディスペンシング、転写、UV露光または固形タイプなどの多様な方式で可能であり、特に制限されない。
【0038】
接着部4を形成する接着物質は膜電極接合体を構成する素材と不必要な化学/物理的な反応がなく、100℃以下の高温多湿な環境で長時間運転しても耐えられる耐久性を有する物質であれば特に制限されないが、追加的にセリア及び酸化イリジウムのうち1種以上の無機添加剤をさらに含んでもよい。接着部に無機添加剤を導入する場合、膜電極接合体の耐久性をさらに向上させることができる。
【0039】
本発明の実施例による膜電極アセンブリは、図1を参照すると、前記高分子電解質膜、サブガスケット、電極層、接着部及び気体拡散層の構造が高分子電解質膜の一面に限定されるのではなく、高分子両面にそれぞれ形成された構造であってもよい。
【0040】
図1を参照すると、高分子電解質膜1の一面に配置されてガス拡散層5から伝達された燃料を水素イオンと電子に分離させ、酸化反応を起こす電極層3をアノード電極といい、高分子電解質膜1の他の一面に配置されて高分子電解質膜1を介して供給された水素イオンとガス拡散層5’に伝達された酸化剤から水を生成させる還元反応を起こす電極層3’をカソード電極という。
【0041】
高分子電解質膜1及び電極層3、3’はイオノマーを含み、イオノマーはフッ素系イオノマー及び炭化水素系イオノマーからなる群から選択される1種以上のイオノマーを含んでもよい。前記炭化水素系イオノマーは、公知の炭化水素系ポリマーをすべて使用することができ、例えば、sulfonated derivatives of poly(aryleneether)s(SPAEs)、poly(arylene sulfide)s(SPASs)、polyimides(SPIs)、polybenzimidazoles(PBIs)、polyphenylenes(PPs)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)でありうる。また、前記フッ素系高分子は公知のフッ素系高分子を全て使用することができ、例えば、過フッ素系スルホン酸、ポリビニリデンフルオライド、ヘキサフルオロプロピレン、トリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレンまたはこれらの共重合体の1つでありうる。
【0042】
ただし、イオノマーは単一物または混合物の形態で使用可能であり、また選択的に高分子電解質膜1と電極層3、3’の接着力をより向上させる目的で非導電性化合物と共に使用することもできる。その使用量は使用目的に適合するように調節して使用することが好ましい。
【0043】
非導電性化合物としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン/テトラフルオロエチレン(ethylene/tetrafluoroethylene(ETFE))、エチレンクロロトリフルオロ-エチレン共重合体(ECTFE)、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレンのコポリマー(pVdF-HFP)、ドデシルベンゼンスルホン酸及びソルビトール(sorbitol)からなる群から選択された1種以上のものが使用されてもよい。
【0044】
電極層3、3’は触媒を含む。触媒としては電池の反応に参加して、通常燃料電池の触媒として使用可能なものは何でも使用できる。具体的には、好ましくは白金系金属を使用してもよい。
【0045】
白金系金属は、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、白金-M合金(前記Mはパラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、ガリウム(Ga)、チタニウム(Ti),バナジウム(V)、クロム (Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅 (Cu)、銀(Ag)、金(Au)、亜鉛(An)、錫(Sn)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、ランタン(La)及びロジウム(Rh)からなる群から選択されるいずれか1つ以上)、非白金合金及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか1つを含んでもよく、より好ましくは、前記白金系触媒金属群から選択された2種以上の金属を組み合わせたものを使用してもよいが、これに限定されるものではなく、本技術分野で使用可能な白金系触媒金属であれば制限なく使用できる。
【0046】
具体的に、白金合金は、Pt-Pd、Pt-Sn、Pt-Mo、Pt-Cr、Pt-W、Pt-Ru、Pt-Ru-W、Pt-Ru-Mo、Pt-Ru-Rh-Ni、Pt-Ru-Sn-W、Pt-Co、Pt-Co-Ni、Pt-Co-Fe、Pt-Co-Ir、Pt-Co-S、Pt-Co-P、Pt-Fe、 Pt-Fe-Ir、Pt-Fe-S、Pt-Fe-P、Pt-Au-Co、Pt-Au-Fe、Pt-Au-Ni、Pt-Ni、Pt-Ni-Ir、Pt-Cr、Pt-Cr-Ir及びこれらの組み合わせからなる群から選択される単独または2種以上混合して使用できる。
【0047】
また、非白金合金は、Ir-Fe、Ir-Ru、Ir-Os、Co-Fe、Co-Ru、Co-Os、Rh-Fe、Rh-Ru、Rh-Os、Ir-Ru-Fe、Ir-Ru-Os、Rh-Ru-Fe、Rh-Ru-Os及びこれらの組み合わせからなる群から選択される単独または2種以上混合して使用することができる。
【0048】
このような触媒は触媒自体(black)として使用することもでき、担体に担持させて使用することもできる。担体は、炭素系担体、ジルコニア、アルミナ、チタニア、シリカ、セリアなどの多孔性無機酸化物、ゼオライトなどから選択できる。前記炭素系担体は、黒鉛、スーパーピー(super P)、炭素繊維(carbon fiber)、炭素シート(carbon sheet)、カーボンブラック(carbon black)、ケッチェンブラック(Ketjen Black)、デンカブラック(Denka black)、アセチレンブラック(acetylene black)、カーボンナノチューブ(carbon nanou tube、CNT)、炭素球体(carbon sphere)、炭素リボン(carbon ribbon)、フラーレン(fullerene)、活性炭素、カーボンナノファイバ、カーボンナノワイヤ、カーボンナノボール、カーボンナノホーン、カーボンナノケージ、カーボンナノリング、規則性ナノ多孔性炭素(ordered nano-/meso-porous carbon)、カーボンエアロゲル、メソポーラスカーボン(mesoporous carbon)、グラフェン、安定化カーボン、活性化カーボン、及びこれらの1つ以上の組み合わせから選択できるが、これに限定されるものではなく、本技術分野で使用可能な担体は制限なく使用できる。
【0049】
触媒粒子は担体の表面の上に位置してもよく、担体の内部気孔(pore)を満たしながら担体内部に浸透してもよい。
【0050】
担体に担持された貴金属を触媒として使用する場合には商用化された市販のものを使用してもよく、また、担体に貴金属を担持させて製造して使用してもよい。担体に貴金属を担持させる工程は当該分野において広く知られている内容であるので、本明細書において詳しい説明は省略しても、当該分野に従事する人々に簡単に理解できる内容である。
【0051】
気体拡散層5、5’は水素または酸素の円滑な供給が行われるように多孔性の導電性基材を使用してもよい。その代表的な例として、炭素ペーパー(carbon paper)、炭素布(carbon cloth)、炭素フェルト(carbon felt)または金属布(繊維状態の金属布で構成された多孔性のフィルムまたは高分子繊維で形成された布の表面に金属フィルムが形成されたものをいう)が使用できるが、これに限定されるものではない。また、気体拡散層5、5’はフッ素系樹脂で撥水処理したものを使用することが燃料電池の駆動時に発生する水による反応物拡散効率の低下を防止できるため好ましい。フッ素系樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリパーフルオロアルキルビニルエーテル、ポリパーフルオロスルホニルフルオライドアルコキシビニルエーテル、フルオリネイテッドエチレンプロピレン(Fluorinated ethylene propylene)、ポリクロロトリフルオロエチレンまたはこれらのコポリマーを使用することができる。
【0052】
また、気体拡散層5、5’での反応物拡散効果を増進させるための微細気孔層(microporous layer)をさらに含んでもよい。この微細気孔層は一般的に粒径の小さい導電性粉末、例えば、炭素粉末、カーボンブラック、アセチレンブラック、活性炭素、カーボンファイバ、フラーレン(fullerene)、カーボンナノチューブ、カーボンナノワイヤ、カーボンナノホーン(carbon nano-horn)またはカーボンナノリング(carbon nano ring)を含んでもよい。
【0053】
微細気孔層は、導電性粉末、バインダー樹脂及び溶媒を含む組成物を電極基材にコーティングして製造される。バインダー樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオロイド、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリパーフルオロアルキルビニルエーテル、ポリパーフルオロスルホニルフルオロイド、アルコキシビニルエーテル、ポリビニルアルコール、セルロースアセテートまたはこれらのコポリマーなどが好ましく使用される。溶媒としてはエタノール、イソプロピルアルコール、n-プロピルアルコール、ブチルアルコールなどのアルコール、水、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、テトラヒドロフランなどが好ましく使用される。
【0054】
本発明の他の一実施例による燃料電池は、本発明の一実施例による膜電極アセンブリを含む。
【0055】
図2は、前記燃料電池の全体的な構成を示した模式図である。
【0056】
図2を参照すると、燃料電池200は、燃料と水が混合された混合燃料を供給する燃料供給部210、混合燃料を改質して水素ガスを含む改質ガスを発生させる改質部220、改質部220から供給される水素ガスを含む改質ガスが酸化剤と電気化学的反応を起こして電気エネルギーを発生させるスタック230、及び酸化剤の改質部220及びスタック230に供給する酸化剤供給部240を含む。
【0057】
スタック230は、改質部220から供給される水素ガスを含む改質ガスと酸化剤供給部240から供給される酸化剤の酸化/還元反応を誘導して電気エネルギーを発生させる複数の単位セルを備える。
【0058】
それぞれの単位セルは電気を発生させる単位のセルを意味し、水素ガスを含む改質ガスと酸化剤中の酸素を酸化/還元させる膜電極アセンブリと、水素ガスを含む改質ガスと酸化剤を膜電極アセンブリに供給するための分離板(またはバイポーラプレート(bipolar plate)ともいい、以下、「分離板」という。)を含む。分離板は膜電極アセンブリを中心に置き、その両側に配置される。このとき、スタックの最外側にそれぞれ位置する分離板を特にエンドプレートと称することもある。
【0059】
分離板のうちエンドプレートは、改質部220から供給される水素ガスを含む改質ガスを注入するためのパイプ状の第1供給管231と、酸素ガスを注入するためのパイプ状の第2供給管232とを備え、他の1つのエンドプレートは、複数の単位セルにおいて最終的に未反応して残った水素ガスを含む改質ガスを外部に排出するための第1排出管233と、前記単位セルにおいて最終的に未反応して残った酸化剤を外部に排出するための第2排出管234とを備える。
【0060】
前記燃料電池において、本発明の一実施例による膜電極接合体100が使用されることを除いては電気発生部を構成するセパレータ、燃料供給部及び酸化剤供給部は通常の燃料電池において使用されるものであるため、本明細書で詳細な説明は省略する。
【0061】
【0062】
以上で本発明の好ましい実施例について詳しく説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、以下の請求範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形及び改良形態も本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0063】
100:膜電極アセンブリ 1:高分子電解質膜
【0064】
2、2':サブガスケット 3、3':電極層
【0065】
4、4’:接着部 5、5’:気体拡散層
【0066】
200:燃料電池 210:燃料供給部
【0067】
220:改質部 230:スタック
【0068】
231:第1供給管 232:第2供給管
【0069】
233:第1排出管 234:第2排出管
【0070】
240:酸化剤供給部
図1
図2
【国際調査報告】