(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】左心耳装置のための偏向可能シース、そのシステム、及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/00 20060101AFI20241106BHJP
【FI】
A61B17/00 500
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533859
(86)(22)【出願日】2022-11-15
(85)【翻訳文提出日】2024-06-13
(86)【国際出願番号】 IB2022060989
(87)【国際公開番号】W WO2023105322
(87)【国際公開日】2023-06-15
(32)【優先日】2021-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509031165
【氏名又は名称】コヒーレックス メディカル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】COHEREX MEDICAL,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ビスカラット・マリー・エイ・ケイ
(72)【発明者】
【氏名】ディッター・トム
(72)【発明者】
【氏名】ソト・ファン・エム・アール
(72)【発明者】
【氏名】スウェインストン・カイル・ダブリュ
(72)【発明者】
【氏名】シェリダン・マシュー・エフ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160DD03
4C160DD55
4C160DD65
(57)【要約】
心臓の左心耳をインプラントで閉塞するための医療装置、システム、及び方法が提供される。一実施形態では、医療装置システムは、インプラントを送達するためのシースを含む。シースは、シースの遠位部分に、第1の枢動位置及び第2の枢動位置に対してそれぞれ独立して偏向可能である第1の偏向可能部分及び第2の偏向可能部分を含む。この構成では、第1の枢動位置及び第2の枢動位置の少なくとも1つは、シースの遠位部分の縦方向長さに沿って調整可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓の左心耳を閉塞するための医療装置システムであって、
送達カテーテルであって、医療装置が前記送達カテーテルの送達カテーテル遠位端に隣接して結合されている、送達カテーテルと、
遠位端と近位端との間の壁とともに延びるシースであって、前記シースの縦方向長さに沿って前記シース内に画定された中心管腔及び中心軸を有し、その結果前記医療装置及び前記送達カテーテルが前記シースの前記中心管腔を通って前進可能であり、前記シースが、前記壁に沿って延びるようにその中に同心管腔を画定し、前記シースが、前記シースの遠位部分に沿った第1の枢動位置に対して第1の偏向可能部分で偏向可能であり、前記シースが、前記シースの前記遠位部分に沿った第2の枢動位置に対して第2の偏向可能部分で偏向可能である、シースと、を含み、
前記第1の偏向可能部分及び前記第2の偏向可能部分それぞれの前記第1の枢動位置及び前記第2の枢動位置のうちの少なくとも1つが、前記シースの前記遠位部分の前記縦方向長さに沿って調整可能である、医療装置システム。
【請求項2】
前記第1の枢動位置及び前記第2の枢動位置のうちの前記少なくとも1つが調整されると、前記第1の偏向可能部分及び前記第2の偏向可能部分のうちの少なくとも1つの半径が調整される、請求項1に記載の医療装置システム。
【請求項3】
前記半径が、前記第1の枢動位置及び前記第2の枢動位置のうちの前記少なくとも1つが前記シースの前記長さに沿って近位に移動させられると増加し、前記半径が、前記第1の枢動位置及び前記第2の枢動位置のうちの前記少なくとも1つが前記シースの前記長さに沿って遠位に移動させられると減少する、請求項2に記載の医療装置システム。
【請求項4】
前記シースが、遠位端を有する摺動可能な管状部材を備え、前記摺動可能な管状部材が、前記シース内に画定された前記同心管腔内に配置され、前記摺動可能な管状部材の前記遠位端が、前記シースの前記第1の枢動位置及び前記第2の枢動位置のうちの少なくとも1つを画定する、請求項1に記載の医療装置システム。
【請求項5】
前記摺動可能な管状部材が、前記シースの前記第1の枢動位置及び前記第2の枢動位置のうちの前記少なくとも1つを変化させるように、前記同心管腔内で直線的に摺動可能である、請求項4に記載の医療装置システム。
【請求項6】
前記摺動可能な管状部材が、その中に画定された開口部を含み、前記開口部が、制御ワイヤをその中に保持するようにサイズ決定及び構成され、前記制御ワイヤが、それぞれ、前記第1の偏向可能部分及び前記第2の偏向可能部分のうちの少なくとも1つの偏向を制御するために、前記第1の枢動位置及び前記第2の枢動位置のうちの少なくとも1つの遠位に延びる、請求項4に記載の医療装置システム。
【請求項7】
前記第1の偏向可能部分及び前記第2の偏向可能部分が、複数の方向に偏向可能である、請求項1に記載の医療装置システム。
【請求項8】
前記シースが、前記シースに沿って前記第1の枢動位置及び前記第2の枢動位置に対して別々に独立して偏向可能である、請求項1に記載の医療装置システム。
【請求項9】
前記第1の偏向可能部分及び前記第2の偏向可能部分が、前記シースのシースハンドルに一体化された制御アクチュエータによって偏向可能であり、前記制御アクチュエータが、ラックアンドピニオンシステム、空気圧システム、及び油圧システムのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の医療装置システム。
【請求項10】
前記第1の偏向可能部分及び前記第2の偏向可能部分のうちの少なくとも1つが、前記シースの前記縦方向長さに沿って前記同心管腔を通って延びる複数のワイヤによって偏向可能であり、前記複数のワイヤが、第1の部分と第2の部分とを有し、前記第1の部分と前記第2の部分との間に移行点を有し、前記第1の部分が、前記第2の部分の遠位にあり、かつ前記第2の部分よりも可撓性が高く、前記複数のワイヤの前記移行点が、前記第1の偏向可能部分及び前記第2の偏向可能部分のうちの前記少なくとも1つの半径を変化させるように前記縦方向長さに沿って移動可能である、請求項1に記載の医療装置システム。
【請求項11】
心臓の左心耳をインプラントで閉塞するための医療装置システムであって、前記インプラントが、送達カテーテルに隣接して位置付けられ、医療装置システムが、
遠位端と近位端との間の壁とともに延びるシースであって、前記シースの縦方向長さに沿って前記シース内に画定された中心管腔及び中心軸を有し、その結果前記インプラント及び前記送達カテーテルが前記シースの前記中心管腔を通って前進可能であり、前記シースが、前記壁に沿って延びるようにその中に同心管腔を画定し、前記シースが、前記シースの遠位部分に沿った第1の枢動位置に対して第1の偏向可能部分で偏向可能であり、前記シースが、前記シースの前記遠位部分に沿った第2の枢動位置に対して第2の偏向可能部分で偏向可能である、シースを含み、
前記第1の偏向可能部分及び前記第2の偏向可能部分それぞれの前記第1の枢動位置及び前記第2の枢動位置のうちの少なくとも1つが、前記シースの前記遠位部分の前記縦方向長さに沿って調整可能である、医療装置システム。
【請求項12】
前記第1の枢動位置及び前記第2の枢動位置のうちの前記少なくとも1つが調整されると、前記第1の偏向可能部分及び前記第2の偏向可能部分のうちの少なくとも1つの半径が調整される、請求項11に記載の医療装置システム。
【請求項13】
前記半径が、前記第1の枢動位置及び前記第2の枢動位置のうちの前記少なくとも1つが前記シースの前記長さに沿って近位に移動させられると増加し、前記半径が、前記第1の枢動位置及び前記第2の枢動位置のうちの前記少なくとも1つが前記シースの前記長さに沿って遠位に移動させられると減少する、請求項12に記載の医療装置システム。
【請求項14】
前記シースが、遠位端を有する摺動可能な管状部材を備え、前記摺動可能な管状部材が、前記シース内に画定された前記同心管腔内に配置され、前記摺動可能な管状部材の前記遠位端が、前記シースの前記第1の枢動位置及び前記第2の枢動位置のうちの少なくとも1つを画定する、請求項11に記載の医療装置システム。
【請求項15】
前記摺動可能な管状部材が、前記シースの前記第1の枢動位置及び前記第2の枢動位置のうちの前記少なくとも1つを変化させるように、前記同心管腔内で直線的に摺動可能である、請求項14に記載の医療装置システム。
【請求項16】
前記摺動可能な管状部材が、その中に画定された開口部を含み、前記開口部が、制御ワイヤをその中に保持するようにサイズ決定及び構成され、前記制御ワイヤが、それぞれ、前記第1の偏向可能部分及び前記第2の偏向可能部分のうちの少なくとも1つの偏向を制御するために前記第1の枢動位置及び前記第2の枢動位置のうちの少なくとも1つの遠位に延びる、請求項14に記載の医療装置システム。
【請求項17】
前記第1の偏向可能部分及び前記第2の偏向可能部分が、複数の方向に偏向可能である、請求項11に記載の医療装置システム。
【請求項18】
前記シースが、前記シースに沿って前記第1の枢動位置及び前記第2の枢動位置に対して別々に独立して偏向可能である、請求項11に記載の医療装置システム。
【請求項19】
前記第1の偏向可能部分及び前記第2の偏向可能部分が、前記シースのシースハンドルに一体化された制御アクチュエータによって偏向可能であり、前記制御アクチュエータが、ラックアンドピニオンシステム、空気圧システム、及び油圧システムのうちの少なくとも1つを含む、請求項11に記載の医療装置システム。
【請求項20】
前記第1の偏向可能部分及び前記第2の偏向可能部分のうちの少なくとも1つが、前記シースの前記縦方向長さに沿って前記同心管腔を通って延びる複数のワイヤによって偏向可能であり、前記複数のワイヤが、第1の部分と第2の部分とを有し、前記第1の部分と前記第2の部分との間に移行点を有し、前記第1の部分が、前記第2の部分の遠位にあり、かつ前記第2の部分よりも可撓性であり、前記複数のワイヤの前記移行点が、前記第1の偏向可能部分及び前記第2の偏向可能部分のうちの前記少なくとも1つの半径を変化させるように前記縦方向長さに沿って移動可能である、請求項11に記載の医療装置システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、組織開口部又は心耳の閉塞に関し、より具体的には、例えば、左心耳を含む、そのような開口部及び左心耳などの心耳を閉塞するか、又は別の方法で構造的に改変するための装置、システム、及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
心臓の上方の室である心房の各々には、心耳が付いている。例えば、左心耳は、全てのヒトの心臓の一形体である。そのような心耳の生理学的機能は完全には理解されていないが、心臓が正常に拍動している間、充填槽としての機能を果たすことは確かである。心耳は、典型的には、心房から突出して心房の外側部分を覆っている。心耳は、互いに実質的に異なる。例えば、ある心耳が先細の突起として構成され得る一方で、別の心耳は、内側に凹んだ靴下状の孔として構成され得る。心耳の内側表面は、従来通りに、1つ以上の葉(lobe)とともにその表面を横断する心筋組織の索で肉柱化される。
【0003】
心臓が正常に機能している間は、血液が心耳を通って送り出されるが、心耳は不活性であるように見える。換言すれば、心臓が正常に機能している間、心耳は、それらを通って送り出される血液に顕著な影響を及ぼしているようには見えない。しかしながら、心房細動の場合、心房が不整脈になると、心耳の内側で血液が鬱血して血栓症を引き起こす可能性がある。とりわけ、これが左心耳に起こった場合に、脳卒中の危険性をもたらし得、不整脈事象後に正常洞調律が回復すると、血栓が心臓から送り出されて頭蓋の循環系に入り得るためである。
【0004】
歴史的に、心房細動によって引き起こされる危険性を低減するために、時には心耳に外科的な修正が施されてきた。近年では、左心耳に経皮的に送達され得る装置が導入されている。これらの装置の基本機能は、インプラントで心耳内の容積を排除することにより、心耳内の血液が、安全に血栓を形成し、その後、心臓組織内に徐々に取り込まれるのを可能にすることである。このプロセスでは、装置の面を覆う内皮の成長と相まって、心耳が位置する表面を滑らかな内皮化状態にしておくことが可能である。経皮的に埋め込まれる装置は、左心耳に関連する問題に対処する手段として、外科的処置と比較して侵襲性が低い。
【0005】
しかしながら、左心耳の心門のサイズ及び容積のばらつきが大きいことから、現在の埋め込み可能な装置の多くは、そのようなばらつきに対応することができない構造を含み、結果として、多くの左心耳の解剖学的構造には不適切な装置になっている。小孔サイズの変動性の影響を最小限にするための1つの重要な態様は、医療装置が小孔に対して適切に配向されることを確実にすることである。したがって、左心耳の修正の成功率を高めるために、例えば、左心耳内の埋め込み可能な装置の調整可能性及び配向に関する問題に対処するための経皮システム、方法、及び/又は装置を提供することが有利である。
【0006】
様々な特徴及び利益は、後述する様々な実施形態の説明を読むことで、当業者に明らかになるであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態は、医療装置を送達するための様々な装置、システム、及び方法を対象とする。一実施形態では、心臓の左心耳を閉塞するための医療装置が提供される。医療装置は、送達カテーテル及びシースを含み、送達カテーテルは、送達カテーテルの送達カテーテル遠位端に隣接して結合された医療装置を含む。シースは、遠位端と近位端との間の壁とともに延び、中心管腔及び中心軸が、シースの縦方向長さに沿ってシース内に画定され、それにより、医療装置及び送達カテーテルは、シースの中心管腔を通して前進可能である。更に、シースは、壁に沿って延びるように、その中に同心管腔を画定し、シースは、シースの遠位部分に沿った第1の枢動位置に対して第1の偏向可能部分で偏向可能であり、シースは、シースの遠位部分に沿った第2の枢動位置に対して第2の偏向可能部分で偏向可能である。この構成では、第1の偏向可能部分及び第2の偏向可能部分それぞれの第1の枢動位置及び第2の枢動位置のうちの少なくとも1つは、シースの遠位部分の縦方向長さに沿って調整可能である。
【0008】
別の実施形態では、第1の枢動位置及び第2の枢動位置のうちの少なくとも1つが調整されると、第1の偏向可能部分及び第2の偏向可能部分のうちの少なくとも1つの半径が調整される。更なる実施形態では、半径は、第1の枢動位置及び第2の枢動位置のうちの少なくとも1つがシースの長さに沿って近位に移動されると増加し、半径は、第1の枢動位置及び第2の枢動位置のうちの少なくとも1つがシースの長さに沿って遠位に移動されると減少する。
【0009】
別の実施形態では、シースは、遠位端を有する摺動可能な管状部材を含み、摺動可能な管状部材は、シース内に画定された同心管腔内に位置付けられ、摺動可能な管状部材の遠位端は、シースの第1の枢動位置及び第2の枢動位置のうちの少なくとも1つを画定する。更なる実施形態では、摺動可能な管状部材は、シースの第1の枢動位置及び第2の枢動位置のうちの少なくとも1つを変化させるように、同心管腔内で直線的に摺動可能である。
【0010】
別の実施形態では、摺動可能な管状部材は、その中に画定された開口部を含み、開口部は、制御ワイヤをその中に保持するようにサイズ決定及び構成され、制御ワイヤが、それぞれ、第1の偏向可能部分及び第2の偏向可能部分のうちの少なくとも1つの偏向を制御するために、第1の枢動位置及び第2の枢動位置のうちの少なくとも1つの遠位に延びる。別の実施形態では、第1の偏向可能部分及び第2の偏向可能部分は、複数の方向に偏向可能である。更に別の実施形態では、シースは、シースに沿って第1の枢動位置及び第2の枢動位置に対して別々に独立して偏向可能である。
【0011】
別の実施形態では、第1の偏向可能部分及び第2の偏向可能部分は、シースのシースハンドルに統合された制御アクチュエータによって偏向可能であり、制御アクチュエータは、ラックアンドピニオンシステム、空気圧システム、及び油圧システムのうちの少なくとも1つを含む。別の実施形態では、第1の偏向可能部分及び第2の偏向可能部分のうちの少なくとも1つは、シースの縦方向長さに沿って同心管腔を通して延びる複数のワイヤによって偏向可能であり、複数のワイヤは、第1の部分と第2の部分とを有し、第1の部分と第2の部分との間に移行点を有し、第1の部分は、第2の部分の遠位にあり、第2の部分より可撓性があり、複数のワイヤの移行点は、第1の偏向可能部分及び第2の偏向可能部分のうちの少なくとも1つの半径を変化させるように縦方向長さに沿って移動可能である。
【0012】
本発明の別の実施形態によれば、心臓の左心耳をインプラントで閉塞するための医療装置システムが提供され、インプラントは送達カテーテルに隣接して配置される。医療装置はシースを含み、その結果シースは遠位端と近位端との間に壁を伴って延び、シースの長手方向の長さに沿ってシース内に画定される中心管腔及び中心軸を有し、その結果インプラント及び送達カテーテルは、シースの中心管腔を通して前進可能である。シースは、壁に沿って延びるように、その中に同心管腔を画定し、シースは、シースの遠位部分に沿った第1の枢動位置に対して第1の偏向可能部分で偏向可能であり、シースは、シースの遠位部分に沿った第2の枢動位置に対して第2の偏向可能部分で偏向可能である。この構成では、第1の偏向可能部分及び第2の偏向可能部分それぞれの第1の枢動位置及び第2の枢動位置のうちの少なくとも1つは、シースの遠位部分の縦方向長さに沿って調整可能である。
【0013】
別の実施形態では、第1の枢動位置及び第2の枢動位置のうちの少なくとも1つが調整されると、第1の偏向可能部分及び第2の偏向可能部分のうちの少なくとも1つの半径が調整される。更なる実施形態では、半径は、第1の枢動位置及び第2の枢動位置のうちの少なくとも1つがシースの長さに沿って近位に移動されると増加し、半径は、第1の枢動位置及び第2の枢動位置のうちの少なくとも1つがシースの長さに沿って遠位に移動されると減少する。
【0014】
別の実施形態では、シースは、遠位端を有する摺動可能な管状部材を含み、摺動可能な管状部材は、シース内に画定された同心管腔内に位置付けられ、摺動可能な管状部材の遠位端は、シースの第1の枢動位置及び第2の枢動位置のうちの少なくとも1つを画定する。更に別の実施形態では、摺動可能な管状部材は、シースの第1の枢動位置及び第2の枢動位置のうちの少なくとも1つを変化させるように、同心管腔内で直線的に摺動可能である。別の実施形態では、摺動可能な管状部材は、その中に画定された開口部を含み、開口部は、制御ワイヤをその中に保持するようにサイズ決定及び構成され、制御ワイヤが、それぞれ、第1の偏向可能部分及び第2の偏向可能部分のうちの少なくとも1つの偏向を制御するために、第1の枢動位置及び第2の枢動位置のうちの少なくとも1つの遠位に延びる。
【0015】
別の実施形態では、第1の偏向可能部分及び第2の偏向可能部分は、複数の方向に偏向可能である。更に別の実施形態では、シースは、シースに沿って第1の枢動位置及び第2の枢動位置に対して別々に独立して偏向可能である。別の実施形態では、第1の偏向可能部分及び第2の偏向可能部分は、シースのシースハンドルに統合された制御アクチュエータによって偏向可能であり、制御アクチュエータは、ラックアンドピニオンシステム、空気圧システム、油圧システムのうちの少なくとも1つを含む。別の実施形態では、第1の偏向可能部分及び第2の偏向可能部分のうちの少なくとも1つは、シースの縦方向長さに沿って同心管腔を通して延びる複数のワイヤによって偏向可能であり、複数のワイヤは、第1の部分と第2の部分とを有し、第1の部分と第2の部分との間に移行点を有し、第1の部分は、第2の部分の遠位にあり、第2の部分より可撓性があり、複数のワイヤの移行点は、第1の偏向可能部分及び第2の偏向可能部分のうちの少なくとも1つの半径を変化させるように縦方向長さに沿って移動可能である。
【0016】
本発明の別の実施形態によれば、医療装置送達システムの遠位端を心臓の左心耳の小孔と軸方向に整列させるための方法が提供される。方法ステップは、シースの遠位端を心臓の左心耳に隣接して位置決めすることであって、シースは、遠位端と近位端との間の壁とともに延び、中心管腔及び中心軸がシースの縦方向長さに沿ってシース内に画定され、その結果インプラント及び送達カテーテルがシースの中心管腔を通して前進可能であり、シースは、壁に沿って延びるようにその中に同心管腔を画定し、シースは、シースの遠位部分に沿った第1の枢動位置に対して第1の偏向可能部分で偏向可能であり、シースは、シースの遠位部分に沿った第2の枢動位置に対して第2の偏向可能部分で偏向可能である、ことと、シースの遠位部分の縦方向長さに沿って、第1の偏向可能部分及び第2の偏向可能部分それぞれの第1の枢動位置及び第2の枢動位置のうちの少なくとも1つを調整することと、を含む。
【0017】
別の実施形態では、調整するステップは、第1の偏向可能部分及び第2の偏向可能部分のうちの少なくとも1つの半径を調整することを含む。更に別の実施形態では、半径を調整するステップは、第1の枢動位置及び第2の枢動位置のうちの少なくとも1つをシースの長さに沿って近位に移動させることによって、第1の偏向可能部分及び第2の偏向可能部分のうちの少なくとも1つの半径を増加させることを含む。更に別の実施形態では、調整するステップは、管状部材の遠位端が、第1の偏向可能部分及び第2の偏向可能部分それぞれの第1の枢動位置及び第2の枢動位置のうちの少なくとも1つと対応するように、同心管腔内で管状部材を摺動させることを含む。別の実施形態では、調整するステップは、1つ以上の制御ワイヤを近位又は遠位に移動させて、第1の枢動位置及び第2の枢動位置のうちの少なくとも1つをシースの長さに沿って移動させることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明の前述及び他の利益は、以下の詳細説明を読み、図面を参照することにより明らかになるであろう。
【
図1】本発明の一実施形態による、シース内で少なくとも部分的に収縮され、シースを通して延びるプッシャカテーテルに結合される、医療装置を示す、医療装置送達システムの斜視図である。
【
図2】本発明の別の実施形態による、医療装置からシースが引き抜かれた状態で部分的に展開された位置にある医療装置を示す、医療装置送達システムの斜視図である。
【
図3】本発明の別の実施形態による、展開位置にありプッシャカテーテルの遠位端に隣接して結合された医療装置を示す、医療装置送達システムの斜視図である。
【
図4】シースの遠位部分の側面図であり、本発明の別の実施形態による、予め規定された湾曲及び偏向可能部分を有するシースを示す。
【
図5】本発明の別の実施形態による、シースの偏向可能部分の偏向範囲を示す、
図4のシースの遠位部分の上面図である。
【
図6】本発明による、シースの遠位部分の別の実施形態の側面図であり、第1の偏向可能部分及び第2の偏向可能部分を有するシースを示す。
【
図7】本発明の別の実施形態による、シースの第1の偏向可能部分の第1の偏向範囲及びシースの第2の偏向可能部分の第2の偏向範囲を示す、
図6のシースの遠位部分の端面図である。
【
図8】本発明による、シースの第1の偏向可能部分及び/又は第2の偏向可能部分のための1つ以上の調整可能枢動位置を有するシースを示す、医療装置送達システムのシースの別の実施形態の側面図である。
【
図8A】本発明の別の実施形態による、非偏向位置におけるシースの遠位部分に沿った第1の偏向可能部分及び第2の偏向可能部分の長さを示す、シースの遠位部分の側面図である。
【
図9】本発明の別の実施形態による、シース内に画定される環状管腔内のリング構造を用いて調整可能である、第1の枢動位置を示す、シースの簡略断面図である。
【
図9A】本発明の別の実施形態による、シースを伴わない、第1の枢動位置に近接する構成要素のうちのいくつかを示す、
図9のシースの構成要素のうちのいくつかの簡略斜視図である。
【
図10】本発明による、シースの別の実施形態の簡略化された断面図であり、シースの環状管腔内の管構造とともに調整可能であるリング構造を有する第1の枢動位置を示す。
【
図10A】本発明の別の実施形態による、シースを伴わない、第1の枢動位置に近接する構成要素のうちのいくつかを示す、
図10のシースの構成要素のうちのいくつかの簡略斜視図である。
【
図11】本発明によるシースの別の実施形態の簡略化された断面図であり、第1の枢動位置が管構造とともに調整可能であることを示す。
【
図11A】本発明の別の実施形態による、シースを伴わない、第1の枢動位置に近接する構成要素のうちのいくつかを示す、
図11のシースの構成要素のうちのいくつかの簡略斜視図である。
【
図12】本発明による、シースの別の実施形態の簡略化された断面図であり、シースの第1の枢動位置が1つ以上のワイヤで調整可能であることを示す。
【
図13】本発明による、シースの別の実施形態の簡略化された断面図であり、シースの第1の枢動位置が1つ以上のばね部材で調整可能であることを示す。
【
図14A】本発明の別の実施形態による、ラックアンドピニオンシステムを有するシースハンドルを示す、シースハンドルの内部構造の正面図である。
【
図14B】本発明の別の実施形態による、シースハンドルのラックアンドピニオンシステムの構成要素を示す、
図14Aのシースハンドルの内部構造の側面図である。
【
図15A】本発明の別の実施形態による、空気圧又は油圧システムを有する内部構造を示す、シースハンドルの内部構造の別の実施形態の断面正面図である。
【
図15B】本発明の別の実施形態による、
図15Aのシースハンドルの内部構造の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1~
図3及び
図8を参照すると、医療装置12を送達するようにサイズ決め及び構成された医療装置送達システム10が提供されている。医療装置送達システム10は、例えば、心臓(図示せず)の内部の左心耳などの開口部又は空洞を経皮的に閉鎖し修正するための介入的な手技において用いられ得る。医療装置送達システム10は、プッシャカテーテル14を含んでもよく、医療装置12は、プッシャカテーテル14の遠位端16に隣接して取り外し可能に結合される。医療装置送達システム10はまた、プッシャカテーテル14及び医療装置12とともに採用されるようにサイズ決定及び構成されるシース20を含んでもよい。更に、そのようなシース20は、例えば、心臓の左心耳の小孔に埋め込まれる前に、医療装置12を適切に配向するようにサイズ決定及び構成されてもよい。シース20は、医療装置12及びプッシャカテーテル14がシース20の中心管腔24を通して前進可能であり得るように、縦方向長さ22を伴って延びてもよい。医療装置送達システム10は、シース20の中心管腔24に沿って中心に延びるように、プッシャカテーテル14及びシース20を通って縦方向に延びる軸35又は中心軸を画定してもよい。
【0020】
更に、シース20は、シース20が、シース20の遠位端部分26に沿って第1の枢動位置32に対して第1の偏向可能部分28を伴って延び得るとともに、シース20の遠位端部分26に沿って第2の枢動位置34に対して第2の偏向可能部分30を伴って延び得るように、遠位端部分26に沿って偏向可能に操作され得る。一実施形態では、シース20が医療装置12を埋め込むために適切に配向されることを更に支援するために、第1の偏向可能部分28及び第2の偏向可能部分30それぞれの第1の枢動位置32及び第2の枢動位置34のうちの少なくとも1つ(又は両方)は、シース20の遠位端部分26の縦方向長さ22に沿って調整可能であってもよい。
【0021】
ここで
図1~
図3を参照すると、前述したように、医療装置送達システム10は、プッシャカテーテル14を含む。プッシャカテーテル14は、遠位端16と近位端36との間に延びてもよく、医療装置12は、プッシャカテーテル14の遠位端16に隣接して取り外し可能に結合される。プッシャカテーテル14の近位端36は、プッシャカテーテルハンドル38に結合され得る。そのようなプッシャカテーテルハンドル38は、医療装置12が、シース20(
図2)から解放されると、少なくとも部分的に、自己拡張し得るように、収縮位置(
図1)から展開位置(
図3)に医療装置12を展開するようにサイズ決定及び構成されてもよい。収縮位置と展開位置との間の医療装置12のそのような移動は、アンカーアクチュエータ40が、それぞれ、矢印39及び41で示されるように、近位位置(
図2)と遠位位置(
図3)との間で移動させられ得るように、プッシャカテーテルハンドル38のアンカーアクチュエータ40とともに部分的に採用されてもよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、シース20及びプッシャカテーテル14とともに採用される医療装置12は、閉塞器部分42及びアンカー部分44を含んでもよい。閉塞器部分42及びアンカー部分44は、シース20及びプッシャカテーテル14からそれぞれ別々に独立して展開され得る。閉塞器部分42は、組織成長部材46を支持する閉塞器フレームセグメント(図示せず)を含むことができる。そのような組織成長部材46は、閉塞器フレームセグメントの側面に沿って延びてもよい。組織成長部材46は、閉塞部材の形態であり得るが、組織内方成長を促進するようにサイズ決定及び構成される、フィルタ部材、メッシュ部材、膜、若しくは任意の他の構造、又はそれらの組み合わせの形態でもあり得る。更に、組織成長部材46は、ePTFE及び/又はポリウレタンフォームなどの1つ以上のポリマー材料又は任意の他の適切な組織内方成長材料から形成され得る。
【0023】
医療装置12のアンカー部分44は、プッシャカテーテルハンドル38と関連付けられたアンカーアクチュエータ40を介して、収縮位置(
図1及び
図2)と展開位置(
図3)との間で作動され得る。収縮位置において、アンカー部分44は、プッシャカテーテル14の端部48内で枢動され、アンカーフレームセグメントの一部は、プッシャカテーテル14の外側に延び、閉塞器フレームセグメントに枢動可能に連結される。更に、収縮位置では、アンカーアクチュエータ40は、
図2に示すように、近位位置にあってもよい。アンカー部分44が展開位置にあるとき、アンカーアクチュエータ40は、
図2及び
図3に示されるように、アンカーアクチュエータを近位位置から遠位位置に手動で移動させることによって遠位位置にあってもよい。
【0024】
図1を参照すると、先に述べたように、医療装置送達システム10はシース20を含むことができる。そのようなシース20は、遠位端50と近位端52との間を延び得る。シース20の近位端52は、シースハンドル54及び弁56と関連付けられてもよい。シース20はまた、シース20の長さ22に沿って延びる中心管腔24を画定してもよく、中心管腔24は、それを通して医療装置12及びプッシャカテーテル14を前進させるようにサイズ決定及び構成される。医療装置12は、収縮され、シース20の遠位端50に隣接して位置付けられるように、中心管腔24を通して前進させられてもよい。いくつかの実施形態では、医療装置12の閉塞器部分42(
図2)の非外傷性部分58又はクッション部分は、シース20の遠位端50からわずかに遠位に延びてもよい。したがって、医療装置送達システム10の非外傷性部分58は、医療装置12の展開前及び展開中に、心臓又は他の解剖学的構造内の組織の穿刺を最小限に抑えるのを助けることができる。シース20の遠位端50(又はそれに隣接する部分)は、医師がシース20の遠位端部分26の配向を理解するのを補助するために、1つ以上のマーカー60を含んでもよい。したがって、シース20の遠位端部分26ならびに医療装置12が血管系を通して心臓の左心房の中へ前進させられると、医師は、配向が医療装置12を展開するために適切であるかどうかを決定することができる。医師が、遠位端部分26が異なるように配向されるべきであると決定する場合、医師は、シースハンドル54の種々の部分(本明細書で更に詳細に議論される)を作動させて、第1の偏向可能部分28及び第2の偏向可能部分30(
図8)をシース20の遠位端部分26に沿って、1つ以上のマーカー60を介して視認可能な所望の位置まで偏向させてもよい。医師がシース20の遠位端部分26の配向に満足すると、閉塞器部分42(
図2)は、シース20をプッシャカテーテル14に対して近位に移動させることによって、シース20の遠位端50から展開されてもよい。シース20がプッシャカテーテル14上を近位方向に移動すると、閉塞器部分42は、
図2に示すように、閉塞器展開位置まで直ちに自己拡張する。次に、医師は、閉塞器部分42を左心耳の小孔内に配置することができる。次に、アンカーアクチュエータを遠位方向に移動させることによってアンカー部分44を展開位置に移動させることができ、次いで、アンカーアクチュエータは、
図3に示すように、アンカー部分44を展開位置に移動及び枢動させることができる。更に、医療装置12、プッシャカテーテル14、及びシース20の一部など、本明細書に記載の構成要素の多くを含み得る医療装置送達システム10の一バージョンが、2017年2月21日に出願され、現在、「MEDICAL DEVICE FOR MODIFICATION OF LEFT ATRIAL APPENDAGE AND RELATED SYSTEMS AND METHODS」と題される米国特許第10,631,969号として発行された、同一出願人による米国特許出願第15/438,650号に開示され、その開示は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる。
【0025】
図4及び
図5を参照すると、一実施形態は、シース70の遠位端部分72は、シース70の縦方向長さ74に沿って少なくとも1つの偏向可能部分とともに延びてもよい。例えば、シース70の遠位端部分72は、所定の湾曲76及び偏向可能部分78を含んでもよい。シース70の弛緩状態では、所定の曲線76は、シース70の所定の曲線76の近位又は遠位であり得るシース70の他の部分に対して屈曲又は湾曲し得る。そのような他の部分は、弛緩状態において実質的に直線状に延びてもよい。更に、シース70は、その長さ74に沿って(所定の湾曲76に沿ってを含む)移動可能であるように可撓性であってもよく、例えば、シース70が脈管構造を通して前進させられているときに、必要に応じて、シース70が湾曲又は可撓性様式で移動することを容易にする。
【0026】
前述のように、シース70の遠位端部分72は、偏向可能部分78を含むことができる。そのような偏向可能部分78は、シース70の遠位端部分72に沿った枢動位置80又は枢動点において枢動してもよい。一実施形態では、偏向可能部分78は、シースハンドル54(
図1)において医師によって制御されてもよく、本明細書で更に議論されるように、シース70の壁に画定される1つ以上の管腔を通して延びるワイヤを介して偏向してもよい。偏向可能部分78は、
図4の矢印82によって示されるように、偏向可能部分78が枢動位置80から約90度まで枢動又は偏向し得るように、枢動位置80のすぐ近位の隣接部分に対して偏向可能であってもよい。シース70のそのような隣接部分は、遠位端部分72に沿ったシース70の偏向可能部分78よりも剛性であってもよい。更に、偏向可能部分78は、
図5に示されるように、シース70の遠位端84が、シース70の遠位端84上で下向きに見て360度の範囲88内の任意の方向に延びるように配向されることができるように、枢動位置80において複数の方向及び配向に偏向してもよい。このようにして、偏向可能部分78が破線で示されているように、そのような偏向可能部分は、
図5に示されているように、複数の方向及び配向で、
図4に示されているものと同様に、枢動位置80から約90度まで移動することができる。この構成では、シース80の所定の湾曲76は、シース70の遠位端84を左心耳に隣接して位置付けるように構成されてもよく、偏向可能部分78は、医師によって所望されるように、シース70の遠位端84を実質的に左心耳の小孔に向かって実質的に配向するように構成されてもよい。換言すれば、シース70の遠位端部分72における偏向可能部分78は、シース70の遠位端84から延びる軸86が左心耳の小孔の軸と実質的に又は全体的に整列され得るように、又は少なくとも、シース70の軸86が左心耳の小孔の軸と整列するように移動され得るように、その配向において操作され得る。
【0027】
ここで
図6及び7を参照すると、複数の偏向可能な部分を有するシース90の別の実施形態が提供される。この実施形態では、シース90内に所定の湾曲を有する代わりに、シース90は、追加の偏向可能部分を有してもよい。例えば、シース90の遠位端部分94などのシース90の長さ92に沿って、シース90は、第1の偏向可能部分96及び第2の偏向可能部分98を含むことができる。第1の偏向可能部分96は、シース90の遠位端部分94の長さ92に沿って、第2の偏向可能部分98よりも近位側の位置にあってもよい。第1の偏向可能部分96は、第1の枢動位置100を含んでもよく、そこから、第1の偏向可能部分96は、矢印101によって示されるように、枢動し、種々の位置及び配向に偏向してもよい。例えば、第1の枢動位置100において、及びそこから、シース90の第1の偏向可能部分96は、
図6に示されるように、最大約90度偏向し、範囲106内で複数の方向又は配向に移動可能であるように、種々の方向に移動可能であってもよい(破線で第1の偏向可能部分96によって示されるように)。このような範囲103は、
図7に示すように、360度まで延びることができる。
【0028】
引き続き
図6及び
図7を参照すると、第2の偏向可能部分98は、先の実施形態の偏向可能部分78(
図4)と同様に配置することができる。すなわち、第2の偏向可能部分98は、第2の枢動位置102又は枢動点を含んでもよく、そこで、第2の偏向可能部分98は、矢印104によって示されるように、第2の枢動位置102から約90度まで枢動してもよい。更に、先の実施形態と同様に、第2の偏向可能部分98は、360度の範囲(
図5の範囲88と同様)内で移動することができるように、
図6及び
図7に破線で示すように、第2の枢動位置102において複数の方向又は配向に枢動することができる。更に、本実施形態では、第1の偏向可能部分96及び第2の偏向可能部分98は、種々の位置及び配向に移動及び操作されてもよい。先の実施形態におけるように、シース90の操作は、シースハンドル54(
図1)から制御されてもよく、シース90の側壁に画定される環状管腔を通って延びるワイヤを用いて実装されてもよい。更に、シース90の第1の偏向可能部分96及び第2の偏向可能部分98は、シース90の遠位端部分94の近位にあり得るシース90の長さ92等のシース90の他の部分よりも可撓性であり得る。このように、シース90は、シース90の第1の偏向可能部分96及び第2の偏向可能部分98を操作して、それぞれの第1の枢動位置100及び第2の枢動位置102において枢動及び偏向させることによって、シース90の遠位端部分94の長さ92に沿って操作されてもよい。
【0029】
ここで
図8及び8Aを参照すると、シース20の長さ22に沿って複数の偏向可能部分及び偏向可能位置を有する遠位端部分26を備えたシース20の別の実施形態が提供される。シース20は、遠位端110と近位端112との間に延びてもよく、遠位端110は終端であり、近位端112はシースハンドル54と関連付けられる。先の実施形態と同様に、遠位端部分26は、第1の偏向可能部分28及び第2の偏向可能部分30を含んでもよく、その各々は、それぞれの第1の枢動位置32及び第2の枢動位置34から偏向可能に移動可能であってもよい。更に、シース20の遠位端部分26は、第1の偏向可能長さ114及び第2の偏向可能長さ116を画定するように延びてもよく、その各々は、それぞれ、第1の偏向可能部分28及び第2の偏向可能部分30に対応してもよい。この実施形態では、第1の枢動位置32及び第2の枢動位置34は、シース20の遠位端部分26のそれぞれの第1の偏向可能長さ114及び第2の偏向可能長さ116に沿って近位又は遠位に移動可能であってもよい。例えば、第1の枢動位置32は、矢印119によって示されるように、近位の第1の枢動位置118まで近位に移動されてもよく、矢印121によって示されるように、遠位の第1の枢動位置120まで遠位に移動されてもよい。したがって、第1の枢動位置32を近位又は遠位のいずれかに変化させると、第1の偏向可能長さ114は、それぞれ、より長く又はより短く効果的に変化し得る。同様に、第2の枢動位置30は、それぞれの近位第2の枢動位置122及び遠位第2の枢動位置124まで近位及び遠位に移動されてもよく、これは、第2の偏向可能部分30の第2の偏向可能長さ116の有効長を変化させてもよい。このようにして、第1の偏向可能長さ114及び第2の偏向可能長さ116は、第1の偏向可能部分28及び/又は第2の偏向可能部分30を作動させると、第1の偏向可能部分28及び第2の偏向可能部分30の半径もまた、それらの対応する有効な第1の偏向可能長さ114及び第2の偏向可能長さ116に対して調整され得るように、より長く又はより短くなるように調整可能であり得る。別の実施形態では、遠位端部分26に沿った、又は第1の偏向可能長さ114及び第2の偏向可能長さ116に沿ったシース20は、第1の偏向可能部分28及び第2の偏向可能部分30の作動を補助するために、シース20の他の部分よりも可撓性であってもよい。
【0030】
別の実施形態において、シース20の遠位端部分26は、1つ以上のマーカー60を含んでもよい。このようなマーカー60は、戦略的に配置された位置でシース20の遠位端部分26と一体化され得、その結果、医師は、隣接して配置された解剖学的構造(例えば、心臓の左心耳の小孔)に対するシース20の遠位端部分26の位置及び配向をより良好に理解し得る。このようにして、シースが脈管構造を通って心臓に向かって心臓の中に進められるとき、マーカー60は、当業者に知られているような撮像技術を使用することによって、医師がシースの遠位端及び遠位端部分の位置及び配向を見るのを助けることができる。そのようなマーカーは、当業者に知られているように、白金、金、タンタル、若しくはそれらの合金などの放射線不透過性材料、又は生体適合性である任意の他の好適な放射線不透過性材料から形成され得る。
【0031】
更に、シースハンドル54は、シース20の遠位端部分26を操作するようにサイズ決定及び構成された様々なアクチュエータ及びノブを含んでもよい。例えば、シースハンドル54は、第1のノブ126及び第2のノブ128を含んでもよく、第1のノブ126及び第2のノブ128は、シース20の第1の偏向可能部分28及び/又は第2の偏向可能部分30を作動又は偏向させるように移動可能であるようにサイズ決定及び構成される。更に、シースハンドル54は、フィンガ130を含んでもよく、フィンガ130は、矢印131によって示されるように近位に、又は矢印133によって示されるように遠位に移動可能であり、第1の偏向可能部分28及び第2の偏向可能部分30それぞれの第1の枢動位置32及び第2の枢動位置34のうちの1つを対応して移動させる。シースハンドル54はまた、スイッチ132を含んでもよい。そのようなスイッチ132は、例えば、内側に押されるか又は押し下げられることによって、第1の位置と第2の位置との間で移動され得る。一実施形態では、スイッチ132が第1の位置にあるとき、フィンガ130の移動は、シース20の長さ22に沿って第1の枢動位置32を移動させることに対応し得る。同様に、スイッチ132が第2の位置に移動されると、フィンガ130の移動は、シース20の長さ22に沿って第2の枢動位置34を移動させることに対応し得る。同様に、シースハンドル54は、第1の位置と第2の位置との間で移動され得る第2のスイッチ134を含んでもよい。例えば、第2のスイッチ134が第1の位置に移動させられると、第1のノブ126及び第2のノブ128の移動は、シースの第1の偏向可能部分28を作動又は偏向させることに対応し得る。更に、第2のスイッチ134が第2の位置に移動させられると、第1のノブ126及び第2のノブ128の移動は、シース20の第2の偏向可能部分30を作動又は偏向させることに対応し得る。この構成では、医師がシースハンドル54の遠位端部分26を操作することができるように、シースハンドル54の様々なアクチュエータ及びノブならびに他の構成要素を医師が動かすことができる。このようにして、医師は、シース20の遠位端部分26及び遠位端110を適切に位置決め及び配向することができるように、1つ以上のマーカー60を介して撮像技術でシース20の遠位端部分26を見ることができ、それにより、医療装置12(
図3)をそこから展開し、左心耳の小孔内などの標的位置に、より効果的に埋め込むことができる。
【0032】
一実施形態では、スイッチ132が第1の位置にあると、第1の枢動位置32は、近位又は遠位に移動されてもよい。第1の枢動位置32のそのような近位又は遠位移動は、第1の偏向可能部分28の半径が調整可能であり得るように、第1の偏向可能部分28の第1の偏向可能長さ114を効果的に変化させ得る。例えば、第1の枢動位置32を近位方向に移動させると、第1の偏向可能長さ114は、第1の偏向可能部分28の近位第1の半径136を画定し得る、近位第1の枢動位置118を画定するように増加され得る。一方、第1の枢動位置32を遠位方向に移動させると、第1の偏向可能長さ114は、遠位の第1の枢動位置120を画定するように減少することができ、この遠位の第1の枢動位置120は、第1の偏向可能部分28 28の遠位の第1の半径138を画定することができる。第1の偏向可能部分の有効長は、遠位の第1の枢動位置と比較して近位の第1の枢動位置に枢動があるときにより長いので、対応する近位の第1の半径136は、遠位の第1の半径138よりも大きくてもよい。換言すれば、医師は、第1の枢動位置32を近位又は遠位のいずれかに調整して、第1の偏向可能部分28の半径をそれぞれ増加又は減少させることによって、第1の偏向可能部分28の半径を操作することができる。同様に、第2の枢動位置34をシース20の長さ22に沿って近位又は遠位に移動させて、第2の偏向可能部分30の半径長さを操作することができる。このようにして、医師は、左心耳の小孔に対してシース20の遠位端部分26及び遠位端110を最良に位置決め及び配向して、その中に医療装置を埋め込むために、第1の偏向可能部分28及び第2の偏向可能部分30の半径を調整し得る。
【0033】
ここで
図8、
図9、及び
図9Aを参照すると、第1の枢動位置32が移動可能であるシース20の一実施形態が提供され、
図9Aは、シース20のないいくつかの構成要素を示す。この実施形態では、第1の枢動位置32に隣接して、シース20は、孔142が中に画定された第1のリング構造140と、第1の作動ワイヤ144と、第1の変位ワイヤ146と、を含むことができる。第1のリング構造140は、シース20の壁150内に画定される環状管腔148内に位置付けられてもよい。第1の作動ワイヤ144は、一端でシースハンドル54に動作可能に結合され、第1の偏向可能部分28の最遠位端157に隣接して結合されるように、孔142を通って延びてもよい。このような第1の作動ワイヤ144は、x成分ワイヤ152及びy成分ワイヤ154を含むことができ、これらは、x平面偏向制御ワイヤ及びy平面偏向制御ワイヤと呼ぶこともできる。x成分ワイヤ152はx平面を画定し、y成分ワイヤ154はy平面を画定する。そのようなx成分ワイヤ152及びy成分ワイヤ154は、シースハンドル54に動作可能に結合されてもよく、例えば、第1のノブ126及び第2のノブ128を用いてシースハンドル54において操作され、
図4~7に関連して前述及び図示されたものと同様に、第1の偏向可能部分28を種々の位置及び配向に作動させてもよい。例えば、x成分ワイヤ152の一端が、第1のx取付点153において第1の偏向可能部分の最遠位端157に結合され(シースの環状管腔内に対向して位置付けられ)、第1の偏向可能部分28の偏向は、x成分ワイヤ152によって画定されるx平面に沿った第1の偏向可能部分28の偏向を達成するために、シースハンドル54において、一方のx成分ワイヤ152を引っ張り、他方のx成分ワイヤ152を押すことによって実装されてもよい。同様に、第1の偏向可能部分28の偏向は、y成分ワイヤ154によって画定されるy平面に沿った第1の偏向可能部分28の偏向を達成するために、シースハンドル54において一方のy成分ワイヤ154を引っ張り、他方のy成分ワイヤ154を押すことによって実装されてもよい。また、第1偏向可能部分28の偏向は、x成分ワイヤ152及びy成分ワイヤ154のいずれか一方を引っ張ることと、x成分ワイヤ152及びy成分ワイヤ154の他方を押すこととを組み合わせることにより実装されてもよい。x成分ワイヤ152及びy成分ワイヤ154の各々は、x成分ワイヤ152及びy成分ワイヤ154の圧縮又は押圧を効果的に用いて第1の偏向可能部分28を偏向させることができるように、その周りに形成されたコイル構造などの補強構造を含むことができる。
【0034】
更に、x成分ワイヤ152及びy成分ワイヤ154の各々は、ガイド管156の管腔を通って縦方向に延び得、合計で、例えば、4つのガイド管であり、ガイド管156の各々はまた、シース20の長さ22に沿って縦方向に延び、そしてシース20の環状管腔148を通って延びる。そのようなガイド管156は、第1の作動ワイヤ144のための誘導及び支持を提供し得る。更に、別の実施形態では、第1の作動ワイヤ144は、圧縮特性を提供するために、それらのそれぞれの長さの少なくとも一部に沿ってワイヤの周りに巻き付けられた、又は巻かれたコイル配置を含んでもよい。この構成では、ガイド管156及び第1の作動ワイヤ144は、前述のように、第1の偏向可能部分28の作動を容易にするように、シースハンドル54に結合されてもよい。
【0035】
第1の変位ワイヤ146は、例えば、シースハンドル54のフィンガ130に動作可能に結合されるように、第1のリング構造140からシースハンドル54まで、又はシースハンドル54に隣接して縦方向に延びてもよい。そのような第1の変位ワイヤ146は、それぞれ、矢印119又は矢印121によって示されるように、第1のリング構造140がシース20の長さ22に沿って摺動し得るように、第1のリング構造140を近位方向又は遠位方向に移動させるようにサイズ決定及び構成されてもよい。第1のリング構造140の移動は、第1の枢動位置32を移動又は調整する。第1の枢動位置32は、第1のリング構造140の遠位側に対応し得る。更に、第1のリング構造140又は第1の枢動位置32の移動は、上述のように、医師が第1の偏向可能部分28の半径を調整することを可能にする。第1の枢動位置32が近位の第1の枢動位置118まで近位に移動されると、第1の偏向可能部分28は、近位の第1の半径136で作動され得る。同様に、第1の枢動位置32及び第1のリング構造体140が遠位の第1の枢動位置120まで遠位に移動されると、第1の偏向可能部分28は、遠位の第1の半径138で作動され得る。一実施形態では、近位の第1の半径136は、遠位の第1の半径138よりも大きい。別の実施形態では、第1の変位ワイヤ146は、コイル構造が第1の変位ワイヤ146の圧縮特性を促進するように、それと関連付けられたコイル構造を含んでもよい。更に、第1の枢動位置32に関して説明した様々な構成要素と同様に、第2の枢動位置34は、第2の偏向可能部分30の半径の調整を容易にするために第2の枢動位置34を近位及び遠位に調整することができるように、ならびに
図4~
図7及び
図9に関して説明及び図示したものと同様の様々な位置及び配向に作動させることができるように、同じ又は類似の構成要素を含むことができる。
【0036】
ここで
図8、10、及び10Aを参照すると、第1の枢動位置32が移動可能であるシース20の別の実施形態が提供され、
図10Aは、シース20を伴わないいくつかの構成要素を示す。第1の枢動位置32に隣接するシース20は、孔162が画定された第1のリング構造160と、第1の作動ワイヤ164と、第1の変位管166と、を含むことができる。この実施形態では、先の実施形態で説明したような第1の変位ワイヤ及びガイド管の代わりに、第1の変位管166は、第1のリング構造160に直接取り付けられてもよく、第1の変位管166を通って延びる第1の作動ワイヤ164のx成分ワイヤ168及びy成分ワイヤ170を有するガイドとして機能してもよい。先の実施形態で説明したように、第1の作動ワイヤ164は、第1の偏向可能部分328を作動させるようなサイズ及び構成であってもよい。第1の変位管166は、シース20の壁174内に画定される環状管腔172内で縦方向に延びてもよい。更に、シース20の環状管腔172内で、第1の変位管166は、それぞれの矢印119及び121によって示されるように、近位及び遠位に移動して、シース20内で第1のリング構造160を直接摺動させてもよい。先の実施形態と同様に、第1のリング構造160の遠位側が第1の枢動位置32に対応するので、第1のリング構造160の移動はまた、第1の枢動位置32を移動させる。この構成により、第1の枢動位置32は、第1の偏向可能部分28の近位の第1の枢動位置118と遠位の第1の枢動位置120との間で移動及び調整され得る。先の実施形態で説明したように、枢動位置を調整することにより、第1の偏向可能部分28の半径の大きさを調整することもできる。このようにして、シースハンドル54のフィンガ130を用いて第1の枢動位置32を近位又は遠位に調整して、第1の偏向可能部分28の半径を調整することを容易にするとともに、
図4~
図7に関連して前述したように、第1の作動ワイヤ164を用いて様々な位置及び配向に作動可能又は偏向可能である。また、第1の枢動位置32に関連して説明した第1のリング構造160、第1の変位管166などに関連して説明した様々な構成要素と同様に、第2の枢動位置34は、第2の偏向可能部分30の半径の調整を容易にするために第2の枢動位置34を近位方向及び遠位方向に調整することができるように、ならびに
図4~
図7に記載及び図示したものと同様の様々な位置及び配向に作動させることができるように、同じ又は同様の構成要素を含むことができる。
【0037】
図8、
図11、及び
図11Aを参照すると、第1の枢動位置32が移動可能であるシース20の別の実施形態が提供され、
図11Aは、シース20のない構成要素のいくつかを示す。この実施形態では、シース20は、シース20の壁184内に画定された環状管腔182内に摺動可能に位置決めされるようなサイズ及び構成の管状部材180を含むことができる。管状部材180は、管壁185を画定するように延びてもよく、複数のチャネル186が管壁185内に画定される。チャネル186の各々は、管状部材180を通って管状部材180の縦方向長さに沿って縦方向に直線的に延びてもよい。更に、一実施形態では、チャネル186は、2つのチャネル186が管壁185の両側を通って延びることができ、別の2つのチャネル186も管壁の両側を通って延びることができ、チャネル186の各々がチャネル186のうちの隣接するチャネルに対して約90度離間することができるように、互いに対して離間することができる。そのようなチャネル186は、第1の作動ワイヤ188を保持するようにサイズ決定及び構成されてもよく、第1の作動ワイヤ188は、前述の実施形態と同様に、x成分ワイヤ190及びy成分ワイヤ192を含む。第1の枢動位置32は、管状部材180の遠位端194に隣接して画定され得る。更に、管状部材180は、近位及び遠位の第1の枢動位置118、120の間で移動可能であるように、シース20の環状管腔182内で摺動可能であってもよい。例えば、前述の実施形態と同様に、管状部材180の遠位端194は移動可能であってもよく、したがって、シースハンドル54のフィンガ130を遠位に移動させて第1の枢動位置32を遠位の第1の枢動位置120に移動させることによって、第1の枢動位置32(遠位端194に隣接する)を遠位に移動させることができる。このようにして、医師は、第1の偏向可能部分28の近位の第1の枢動位置118と遠位の第1の枢動位置120との間のどこかで枢動位置を調整することができ、したがって、第1の偏向可能部分28の半径を調整することができる。更に、前述の実施形態と同様に、第2の枢動位置34は、第2の偏向可能部分30の枢動位置及び半径を調整するように、第1の枢動位置32と同様の構成要素及び機能を用いて調整されてもよい。このようにして、シース20の遠位端部分26は、第1の偏向可能部分28及び第2の偏向可能部分30が作動され得る半径を修正するようにそれぞれ調整され得る第1の偏向可能部分28及び第2の偏向可能部分30を含み得る。
【0038】
図8及び
図12を参照すると、シース20の遠位端部分26の別の実施形態が提供される。この実施形態では、シース20は、弛緩位置と拘束位置との間でその構成を変化させるようにサイズ決定及び構成される、複数のニチノールワイヤ200を含んでもよい。例えば、ニチノールワイヤの弛緩位置と拘束位置との間の移動は、シース20の遠位端部分26に沿った第1の偏向可能部分28及び第2の偏向可能部分30の偏向及び/又は曲率半径を制御するように、種々の所定のエネルギー設定を制御することによって採用されてもよい。複数のニチノールワイヤ200は、シース20の壁204内に画定された環状管腔182を通って延び得る。一実施形態では、第1の偏向可能部分28は、前述のものと同様に、異なる偏向可能長さ及び異なる半径に対応し得る、近位の第1枢動位置118と遠位の第1枢動位置120との間のその枢動位置において調整可能であってもよい。別の実施形態では、
図12に示されるように、第1の偏向可能部分28のニチノールワイヤ200は、第1のワイヤ206及び第2のワイヤ208を含んでもよく、第1のワイヤ206は、近位の第1の枢動位置118に対応してもよい第1の半径210を伴う拘束位置に移動するように構成される。同様に、第2のワイヤ208は、遠位の第1の枢動位置120に対応し得る第2の半径212を有する拘束位置に移動するように構成され得る。別の実施形態では、第1の偏向可能部分28について説明したものと同様に、シース20は、第3のワイヤ及び第4のワイヤ(図示せず)を含むことができ、第3のワイヤは、近位の第2の枢動位置に対応することができる1つの半径を示すように第2の偏向可能部分30を移動させるために所定のエネルギー設定で拘束位置に移動するように構成され、第4のワイヤは、遠位の第2の枢動位置(図示せず)に対応することができる別の半径を示すように第2の偏向可能部分を移動させるために所定のエネルギー設定で拘束位置に移動するように構成される。別の実施形態では、第1の偏向可能部分28及び第2の偏向可能部分30の更なる制御のために、前述の実施形態で説明及び示された作動ワイヤが、複数のニチノールワイヤ200とともに採用されてもよい。別の実施形態では、環状管腔202は、複数のニチノールワイヤ200を含んでもよく、その結果、ニチノールワイヤの各々は、エネルギー印加又は活性化されると、単一の所定の拘束形状に移動されるようにサイズ決定及び構成されてもよい。別の実施形態では、シース20の第1の偏向可能部分28及び第2の偏向可能部分30は、種々の所定の拘束形状に移動されてもよく、そのそれぞれは、少なくとも2つのニチノールワイヤ200によって実装されてもよい。別の実施形態では、ニチノールワイヤ200のうちの少なくともいくつかは、1つ以上のニチノールワイヤに印加されるエネルギーレベルに応じて、複数の所定の拘束形状に移動されてもよい。この構成では、第1の偏向可能部分28及び第2の偏向可能部分30は、シース20の遠位端110が、左心耳等の開口部に医療装置を埋め込むための適切な配向に医師によって操作され得るように、種々の位置及び配向、ならびに種々のサイズの半径、偏向可能長さ、及び種々の枢動位置に作動され得る。
【0039】
ここで
図8及び
図13を参照すると、シース20の遠位端部分26の別の実施形態が提供される。この実施形態では、第1の偏向可能部分28及び第2の偏向可能部分30はそれぞれ、シース20の環状管腔222内に延び得る、それらの長さに沿って剛性が変動する複数のワイヤ220を採用することによって、異なる半径で調整されてもよい。例えば、
図13に示されるように、シース20の遠位端部分26における第1の偏向可能部分28は、複数のワイヤ220を含んでもよく、その各々は、剛性部分224及び可撓性部分226を含んでもよい。剛性部分224と可撓性部分226との間の移行部228は、第1の枢動位置32に対応してもよく、ワイヤ220の可撓性部分226は、第1の偏向可能部分28の作動を容易にする。先の実施形態と同様に、そのような第1の枢動位置32は、近位の第1の枢動位置118と遠位の第1の枢動位置120との間で移動されてもよく、これは、移行部228が所望に応じて近位又は遠位に移動するようにワイヤ220を移動させることによって採用されてもよい。更に、前述の実施形態と同様に、近位及び遠位の第1の枢動位置118、120は、第1の偏向可能部分が作動され得る異なる半径に対応してもよい。
図13は、第1の偏向可能部分28の異なる半径のみを示しているが、シース20はまた、第2の偏向可能部分30に対応し、それに沿って実装され得る、剛性及び可撓性部分を伴うワイヤ220を含んでもよい。更に、先の実施形態で説明したように、第1の偏向可能部分28及び第2の偏向可能部分30は、
図4~
図7及び
図9に関して図示及び説明したものと同様に、x成分ワイヤ及びy成分ワイヤを有する作動ワイヤで作動させることができる。
【0040】
図8を参照すると、第1の偏向可能部分28及び第2の偏向可能部分30の作動は、例えば、第1のノブ126及び第2のノブ128を用いて、シースハンドル54において採用されてもよい。シースハンドル54の第1のノブ126及び第2のノブ128は、
図9、9A、10、10A、11、及び11Aに関連して説明される実施形態に記載されるように、シース20の縦方向長さ22に沿って作動ワイヤ144、164、188を移動させる(縦方向移動)ように、内部構造230(
図14A、14B参照)と一体化されてもよい。更に、本明細書に記載されるように、そのような作動ワイヤ144、164、188は、それぞれの第1の偏向可能部分28及び第2の偏向可能部分30とそれぞれ関連付けられるようにサイズ決定及び構成される、第1の作動ワイヤ及び第2の作動ワイヤを含んでもよい。また、第1の作動ワイヤ及び第2の作動ワイヤはそれぞれ、第1の偏向可能部分28及び第2の偏向可能部分30の両方と関連付けられ得るx成分ワイヤ及びy成分ワイヤを含んでもよい。このようにして、シースハンドル54の第1のノブ126及び第2のノブ128を回転させて、例えばシースハンドル54の内部構造230(
図14A、14B)を作動させることができる。シースハンドル54のそのような内部構造230は、当業者に公知であるように、作動ワイヤ144、164、188の縦方向移動を採用するために、機械的機構、電気的機構、空気圧機構、油圧機構、及び/又は磁気機構を含んでもよい。
【0041】
例えば、
図14A及び14Bを参照すると、第1のノブ126及び第2のノブ128を有するシースハンドル54の内部構造230の一実施形態が提供されている。この実施形態では、内部構造230は、シースハンドル54と一体化されたラックアンドピニオンシステム232などの機械的機構の形態であってもよい。ラックアンドピニオンシステム232は、第1のxラック234及び第2のxラック236と、第1のyラック238及び第2のyラック240と、xピニオン242と、yピニオン244と、を含んでもよい。第1のxラック234は、その表面に沿ってxラックねじ山246を含んでもよく、第1のyラック238もまた、yラックねじ山248を含んでもよい。更に、xピニオン242は、第1のxラック234と第2のxラック236との間に位置付けられてもよく、同様に、yピニオン244は、第1のyラック238と第2のyラック240との間に位置付けられてもよい。xピニオン242及びyピニオン244は、当業者に知られているように、第1のxラック234及び第2のxラック236ならびに第1のyラック238及び第2のyラック240の効果的な反対の直線運動のためにラック歯車装置に係合する歯車を含むことができる。更に、第1のxラック234及び第2のxラック236は、その遠位端において、それぞれの第1のx成分ワイヤ250及び第2のx成分ワイヤ252に結合されてもよい。同様に、第1のyラック238及び第2のyラック240は、その遠位端において、それぞれの第1のy成分ワイヤ254及び第2のy成分ワイヤ256に結合されてもよい。
図14A及び
図14Bに示される第1のx成分ワイヤ250及び第2のx成分ワイヤ252ならびに第1のy成分ワイヤ254及び第2のy成分ワイヤ256は、本明細書の先の実施形態、例えば、
図9、
図9A、
図10、
図10A、
図11、及び
図11Aにおいて議論及び説明されるx成分ワイヤ及びy成分ワイヤとして採用されてもよい。
【0042】
第1のノブ126(yノブとしても参照され得る)が回転させられ得るにつれて、第1のノブ126は、第1のノブ126の時計回り回転が、矢印258によって示されるように、第1のyラックを上方又は遠位に移動させ得、第1のノブの反時計回り回転が、矢印260によって示されるように、第1のyラックを下方又は近位に移動させ得るように、第1のyラックねじ山248に係合する。第1のyラック238が遠位に移動するにつれて、第2のyラック240は、第1のyラック238と第2のyラック240との間に位置付けられたyピニオン244を介して、矢印262によって示される反対方向に移動し得る。第1のyラック238が近位方向に移動する場合、第2のyラック240は、yピニオン244が第1のyラック238と第2のyラック240との間に配置されているため、矢印264によって示されるように反対方向に移動し得る。
【0043】
同様に、第2のノブ128(xノブとしても参照される)が回転させられると、第2のノブ128の時計回り回転が、矢印266によって示されるように、第1のxラック234を上向き又は遠位に移動させ得、第2のノブ128の反時計回り回転が、矢印268によって示されるように、第1のxラック234を下向き又は近位に移動させ得るように、第2のノブは、第1のxラックねじ山246に係合する。第1のxラック234が遠位又は近位に移動すると、第2のxラック236は、第1のxラック234と第2のxラック236との間に配置されたxピニオン242を介して反対方向に移動し得る(それぞれの近位矢印270及び遠位矢印272を参照)。第1のxラック234及び第2のxラック236が近位又は遠位に移動し、第1のyラック238及び第2のyラック240が近位又は遠位に移動するにつれて、第1のx成分ワイヤ250及び第2のx成分ワイヤ252ならびに第1のy成分ワイヤ254及び第2のy成分ワイヤ256のそれぞれも近位又は遠位に移動する。このようにして、ラックアンドピニオンシステム232は、シースハンドル20に対する内部構造230として採用され得、その結果、医師は、第1のノブ126及び第2のノブ128を回転させて、第1の偏向可能部分28をそれぞれ偏向させ得、そして同様に、例えば、本明細書中で先に記載されたように(
図8を参照のこと)、スイッチ132を移動させることによって、第2の偏向可能部分30を偏向させ得る。
【0044】
ここで
図15A及び15Bを参照すると、シース20に結合されたシースハンドル282の内部構造280の実施形態の別の例が提供されている。この実施形態では、シースハンドル282は、第1の偏向可能部分28及び第2の偏向可能部分30(
図8)を偏向させるための空気圧又は油圧機構を含む。シースハンドル282は、第1のxピストン288及び第2のxピストン290に関連付けられ得る第1のx注入ポート284及び第2のx注入ポート286と、第1のyピストン296及び第2のyピストン298に関連付けられ得る第1のy注入ポート292及び第2のy注入ポート294と、を含む。更に、各ピストンは、1つ以上の作動ワイヤ又は偏向ワイヤと関連付けられてもよい。例えば、第1のxピストン288は、第1のx成分ワイヤ300に結合されてもよく、第2のxピストン290は、第2のx成分ワイヤ302に結合されてもよい。同様に、第1のyピストン296及び第2のyピストン298は、第1のy成分ワイヤ304及び第2のy成分ワイヤ306に結合され得る。シースハンドル282の注入ポート及びピストンは、当業者に公知であるように、種々の弁、シール等の付加的構造とともに機能してもよい。
【0045】
図15Aを参照すると、第1のx注入ポート284が作動されると、矢印285によって示されるような流体流(空気又は油圧流体等)は、第1のxピストン288の近位側に対して移動し、変位矢印308によって示されるように、第1のxピストン288を遠位に変位させてもよい。更に、第1のx注入ポート284が作動されると、流体流は、第1のライン310を通って第2のxピストン290の遠位側に移動して、変位矢印312によって示されるように、第2のxピストンを近位に変位させることができる。第1のxピストンの遠位変位は、第1のx成分ワイヤ300を遠位方向に移動させ、第2のxピストン290の近位変位は、第2のx成分ワイヤ302を近位方向に移動させ、それは、偏向矢印314によって示されるように、第1の偏向可能部分28を一方向に偏向させ得る。同様に、第2のx注入ポート286が作動されると、矢印287によって示されるような流体流は、第2のxピストン290の近位側に対して移動し、変位矢印316によって示されるように、第2のxピストンを遠位に変位させ、第2のx注入ポート286が作動されると、流体は、矢印287によって示されるように、第2のライン318を通って第1のxピストン288の遠位側に流れ、変位矢印320によって示されるように、第1のxピストン288を近位に変位させ得る。第2のxピストン290の遠位変位及び第1のxピストン288の近位変位によって、そのような変位はまた、それぞれの第1のx成分ワイヤ300を近位に移動させ、第2のx成分ワイヤ302を遠位に移動させ、それは次に、偏向矢印322によって示されるように、第1の偏向可能部分28を別の方向に偏向させ得る。このようにして、第1の偏向可能部分28は、第1のx成分ワイヤ300及び第2のx成分ワイヤ302によって画定されるx平面内で移動可能であってもよい。
【0046】
ここで
図15Bを参照すると、x平面内で移動可能な第1の偏向可能部分28の移動に関して前述したものと同様に、第1の偏向可能部分28はまた、第1のy成分ワイヤ304及び第2のy成分ワイヤ306によって画定されるy平面内で移動可能であってもよい。例えば、第1のy注入ポート292が作動されると、矢印295によって示されるような流体流は、第1のyピストン296の近位側に対して移動し、変位矢印324によって示されるように、第1のyピストン292を遠位に変位させる。更に、第1のy注入ポート292が作動されると、矢印295によって示されるような流体流は、第1のyライン326を通って第2のyピストン298の遠位側に移動し、変位矢印328によって示されるように、第2のyピストン298を近位に変位させる。第1のyピストン296の遠位変位は、第1のy成分ワイヤ304を遠位方向に移動させ、第2のyピストン298の近位変位は、第2のy成分ワイヤ306を近位方向に移動させ、それは、偏向矢印330によって示されるように、第1の偏向可能部分28を一方向に偏向させ得る。同様に、第2のy注入ポート294が作動されると、矢印297によって示される流体流は、第2のyピストン298の近位側に対して移動して、変位矢印332によって示されるように第2のyピストン298を遠位に変位させ、第2のy注入ポート294が作動されると、流体は、矢印297によって示されるように、第2のyライン334を通って第1のyピストン296の遠位側に流れて、変位矢印336によって示されるように第1のyピストン296を近位に変位させることができる。第2のyピストン298の遠位変位及び第1のyピストン296の近位変位によって、そのような変位はまた、それぞれの第1のy成分ワイヤ304を近位に移動させ、第2のy成分ワイヤ306を遠位に移動させ、それは、次に、矢印338によって示されるように、第1の偏向可能部分28を別の方向に偏向させ得る。したがって、第1の偏向可能部分28は、第1のy成分ワイヤ304及び第2のy成分ワイヤ306によって画定されるy平面に沿って移動可能であってもよい。先の実施形態と同様に、第1のx注入ポート284及び/又は第2のx注入ポート286ならびに第1のy注入ポート292及び/又は第2のy注入ポート294の両方は、
図7に示される第1の偏向可能部分28の面外偏向240と同様に、x平面とy平面との間に位置付けられる配向に第1の偏向可能部分28を偏向させるように作動されてもよい。更に、別の実施形態では、第2の偏向可能部分30の偏向は、第2の偏向可能部分30(
図8)を偏向させるために、第1のxワイヤ242及び第2のxワイヤ244ならびに第1のyワイヤ246及び第2のyワイヤ248を移動させるために、上述したものと同様の方法で使用されるシースハンドル282内に組み込まれた追加のピストンを用いて実装されてもよい。別の実施形態では、シースハンドル282は、図示される第1のxピストン288及び第2のxピストン290ならびに第1のyピストン296及び第2のyピストン298のそれぞれを第2の偏向可能部分30と関連付けられるように変更することを容易にし得る、スイッチ(
図8のスイッチ132と同様)を含んでもよい。このようにして、医師は、シースハンドル282を用いて、
図4~
図8に示し説明したものと同様に、第1の偏向可能部分28及び第2の偏向可能部分30を偏向させる機能を有するシース20の遠位端部分26の配向を操作することができる。
【0047】
説明されるように、シースの部分を制御可能に偏向させるように作動ワイヤの縦方向移動を実装するためのシースハンドル内の機械機構(
図14A、14B)及び空気圧/油圧機構(
図15A、15B)の実施形態が説明されてきた。しかしながら、前述のように、シースハンドルは、当業者に知られているように、シースを制御可能に偏向させるために作動ワイヤの縦方向移動を容易にするために、電気構成要素及び/又は磁気機構ならびに他のタイプの機械機構などの他の機構を含むことができる。
【0048】
本発明には様々な修正及び代替的形態が考えられ得るが、特定の実施形態が図面に例として示されており、本明細書に詳細に記載されている。しかしながら、本発明は、開示された特定の形態に限定されることを意図したものではないことを理解されたい。寧ろ、本発明は、一実施形態の任意の部分と、別の実施形態、本発明の趣旨及び範囲に包含される全ての修正、均等物、及び代替物を組み合わせることを含む。
【0049】
〔実施の態様〕
(1) 心臓の左心耳を閉塞するための医療装置システムであって、
送達カテーテルであって、医療装置が前記送達カテーテルの送達カテーテル遠位端に隣接して結合されている、送達カテーテルと、
遠位端と近位端との間の壁とともに延びるシースであって、前記シースの縦方向長さに沿って前記シース内に画定された中心管腔及び中心軸を有し、その結果前記医療装置及び前記送達カテーテルが前記シースの前記中心管腔を通って前進可能であり、前記シースが、前記壁に沿って延びるようにその中に同心管腔を画定し、前記シースが、前記シースの遠位部分に沿った第1の枢動位置に対して第1の偏向可能部分で偏向可能であり、前記シースが、前記シースの前記遠位部分に沿った第2の枢動位置に対して第2の偏向可能部分で偏向可能である、シースと、を含み、
前記第1の偏向可能部分及び前記第2の偏向可能部分それぞれの前記第1の枢動位置及び前記第2の枢動位置のうちの少なくとも1つが、前記シースの前記遠位部分の前記縦方向長さに沿って調整可能である、医療装置システム。
(2) 前記第1の枢動位置及び前記第2の枢動位置のうちの前記少なくとも1つが調整されると、前記第1の偏向可能部分及び前記第2の偏向可能部分のうちの少なくとも1つの半径が調整される、実施態様1に記載の医療装置システム。
(3) 前記半径が、前記第1の枢動位置及び前記第2の枢動位置のうちの前記少なくとも1つが前記シースの前記長さに沿って近位に移動させられると増加し、前記半径が、前記第1の枢動位置及び前記第2の枢動位置のうちの前記少なくとも1つが前記シースの前記長さに沿って遠位に移動させられると減少する、実施態様2に記載の医療装置システム。
(4) 前記シースが、遠位端を有する摺動可能な管状部材を備え、前記摺動可能な管状部材が、前記シース内に画定された前記同心管腔内に配置され、前記摺動可能な管状部材の前記遠位端が、前記シースの前記第1の枢動位置及び前記第2の枢動位置のうちの少なくとも1つを画定する、実施態様1に記載の医療装置システム。
(5) 前記摺動可能な管状部材が、前記シースの前記第1の枢動位置及び前記第2の枢動位置のうちの前記少なくとも1つを変化させるように、前記同心管腔内で直線的に摺動可能である、実施態様4に記載の医療装置システム。
【0050】
(6) 前記摺動可能な管状部材が、その中に画定された開口部を含み、前記開口部が、制御ワイヤをその中に保持するようにサイズ決定及び構成され、前記制御ワイヤが、それぞれ、前記第1の偏向可能部分及び前記第2の偏向可能部分のうちの少なくとも1つの偏向を制御するために、前記第1の枢動位置及び前記第2の枢動位置のうちの少なくとも1つの遠位に延びる、実施態様4に記載の医療装置システム。
(7) 前記第1の偏向可能部分及び前記第2の偏向可能部分が、複数の方向に偏向可能である、実施態様1に記載の医療装置システム。
(8) 前記シースが、前記シースに沿って前記第1の枢動位置及び前記第2の枢動位置に対して別々に独立して偏向可能である、実施態様1に記載の医療装置システム。
(9) 前記第1の偏向可能部分及び前記第2の偏向可能部分が、前記シースのシースハンドルに一体化された制御アクチュエータによって偏向可能であり、前記制御アクチュエータが、ラックアンドピニオンシステム、空気圧システム、及び油圧システムのうちの少なくとも1つを含む、実施態様1に記載の医療装置システム。
(10) 前記第1の偏向可能部分及び前記第2の偏向可能部分のうちの少なくとも1つが、前記シースの前記縦方向長さに沿って前記同心管腔を通って延びる複数のワイヤによって偏向可能であり、前記複数のワイヤが、第1の部分と第2の部分とを有し、前記第1の部分と前記第2の部分との間に移行点を有し、前記第1の部分が、前記第2の部分の遠位にあり、かつ前記第2の部分よりも可撓性が高く、前記複数のワイヤの前記移行点が、前記第1の偏向可能部分及び前記第2の偏向可能部分のうちの前記少なくとも1つの半径を変化させるように前記縦方向長さに沿って移動可能である、実施態様1に記載の医療装置システム。
【0051】
(11) 心臓の左心耳をインプラントで閉塞するための医療装置システムであって、前記インプラントが、送達カテーテルに隣接して位置付けられ、医療装置システムが、
遠位端と近位端との間の壁とともに延びるシースであって、前記シースの縦方向長さに沿って前記シース内に画定された中心管腔及び中心軸を有し、その結果前記インプラント及び前記送達カテーテルが前記シースの前記中心管腔を通って前進可能であり、前記シースが、前記壁に沿って延びるようにその中に同心管腔を画定し、前記シースが、前記シースの遠位部分に沿った第1の枢動位置に対して第1の偏向可能部分で偏向可能であり、前記シースが、前記シースの前記遠位部分に沿った第2の枢動位置に対して第2の偏向可能部分で偏向可能である、シースを含み、
前記第1の偏向可能部分及び前記第2の偏向可能部分それぞれの前記第1の枢動位置及び前記第2の枢動位置のうちの少なくとも1つが、前記シースの前記遠位部分の前記縦方向長さに沿って調整可能である、医療装置システム。
(12) 前記第1の枢動位置及び前記第2の枢動位置のうちの前記少なくとも1つが調整されると、前記第1の偏向可能部分及び前記第2の偏向可能部分のうちの少なくとも1つの半径が調整される、実施態様11に記載の医療装置システム。
(13) 前記半径が、前記第1の枢動位置及び前記第2の枢動位置のうちの前記少なくとも1つが前記シースの前記長さに沿って近位に移動させられると増加し、前記半径が、前記第1の枢動位置及び前記第2の枢動位置のうちの前記少なくとも1つが前記シースの前記長さに沿って遠位に移動させられると減少する、実施態様12に記載の医療装置システム。
(14) 前記シースが、遠位端を有する摺動可能な管状部材を備え、前記摺動可能な管状部材が、前記シース内に画定された前記同心管腔内に配置され、前記摺動可能な管状部材の前記遠位端が、前記シースの前記第1の枢動位置及び前記第2の枢動位置のうちの少なくとも1つを画定する、実施態様11に記載の医療装置システム。
(15) 前記摺動可能な管状部材が、前記シースの前記第1の枢動位置及び前記第2の枢動位置のうちの前記少なくとも1つを変化させるように、前記同心管腔内で直線的に摺動可能である、実施態様14に記載の医療装置システム。
【0052】
(16) 前記摺動可能な管状部材が、その中に画定された開口部を含み、前記開口部が、制御ワイヤをその中に保持するようにサイズ決定及び構成され、前記制御ワイヤが、それぞれ、前記第1の偏向可能部分及び前記第2の偏向可能部分のうちの少なくとも1つの偏向を制御するために前記第1の枢動位置及び前記第2の枢動位置のうちの少なくとも1つの遠位に延びる、実施態様14に記載の医療装置システム。
(17) 前記第1の偏向可能部分及び前記第2の偏向可能部分が、複数の方向に偏向可能である、実施態様11に記載の医療装置システム。
(18) 前記シースが、前記シースに沿って前記第1の枢動位置及び前記第2の枢動位置に対して別々に独立して偏向可能である、実施態様11に記載の医療装置システム。
(19) 前記第1の偏向可能部分及び前記第2の偏向可能部分が、前記シースのシースハンドルに一体化された制御アクチュエータによって偏向可能であり、前記制御アクチュエータが、ラックアンドピニオンシステム、空気圧システム、及び油圧システムのうちの少なくとも1つを含む、実施態様11に記載の医療装置システム。
(20) 前記第1の偏向可能部分及び前記第2の偏向可能部分のうちの少なくとも1つが、前記シースの前記縦方向長さに沿って前記同心管腔を通って延びる複数のワイヤによって偏向可能であり、前記複数のワイヤが、第1の部分と第2の部分とを有し、前記第1の部分と前記第2の部分との間に移行点を有し、前記第1の部分が、前記第2の部分の遠位にあり、かつ前記第2の部分よりも可撓性であり、前記複数のワイヤの前記移行点が、前記第1の偏向可能部分及び前記第2の偏向可能部分のうちの前記少なくとも1つの半径を変化させるように前記縦方向長さに沿って移動可能である、実施態様11に記載の医療装置システム。
【国際調査報告】