(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】可撓性バイオセンサ及び電極の改良
(51)【国際特許分類】
A61B 5/256 20210101AFI20241106BHJP
A61B 5/291 20210101ALI20241106BHJP
【FI】
A61B5/256 110
A61B5/291
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024552101
(86)(22)【出願日】2022-11-23
(85)【翻訳文提出日】2024-07-03
(86)【国際出願番号】 US2022050922
(87)【国際公開番号】W WO2023097014
(87)【国際公開日】2023-06-01
(32)【優先日】2021-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】524194023
【氏名又は名称】コグウェア, インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】デビッド ヨンス
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン アルカンド
(72)【発明者】
【氏名】ライアン テトロ
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA03
4C127LL13
(57)【要約】
EEG信号、他の使用者の信号、及び環境信号を受信及び分析するように構成された、可撓性で、快適で、容易に修理可能なEEG信号モニタリング装置、システム、及び方法。このEEG信号モニタリング装置、システム、及び方法は、使用者によって容易に操作及び修理され、使用者又は第三者が健康、仕事、警察、及び軍事行動に関する戦略的な決定を下すことができるように1人又は複数の使用者から受信した使用者のデータと環境データを関連付けることができる。
【選択図】
図10C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面及び第2の反対面を有する支持体;
該支持体に取り付けられた第1の取り付け部材;
該支持体の一部に接続され、該可撓性支持体からの信号を送信するように構成された信号通信装置;
該支持体の該第1の面に取り外し可能に接続可能なセンサ組立体であって:
導電性基板の一部を通る信号経路として機能し得る導電性材料成分を有する該導電性基板;
該基板に結合された第2の取り付け部材を含む、前記センサ組立体を備え;且つ
該第1及び第2の取り付け部材が、該センサ組立体を該支持体に対して取り外し可能に配置するために取り外し可能に接続可能である、修理可能なセンサヘッドセット。
【請求項2】
前記導電性材料が、銀ナノワイヤ又は銀-塩化銀コーティングを含む、請求項1記載の修理可能なセンサヘッドセット。
【請求項3】
前記第1の取り付け部材及び前記第2の取り付け部材が磁気吸引される材料である、請求項1記載の修理可能なセンサヘッドセット。
【請求項4】
前記第1の取り付け部材が、前記支持体の前記第2の反対面に配置されている、請求項3記載の修理可能なセンサヘッドセット。
【請求項5】
前記第2の取り付け部材が前記基板に収容されている、請求項4記載の修理可能なセンサヘッドセット。
【請求項6】
前記第2の取り付け部材が、前記支持体に近接して配置可能な前記基板の表面に取り付けられている、請求項4記載の修理可能なセンサヘッドセット。
【請求項7】
前記第2の取り付け部材が、前記導電性基板によって少なくとも部分的に包囲されている、請求項4記載の修理可能なセンサヘッドセット。
【請求項8】
前記導電性基板が、前記第2の取り付け部材の上に折り畳まれて、前記可撓性支持体に接続可能な第1の導電性基板部分及び使用者の頭部に接触可能な第2の導電性基板部分を形成している、請求項4記載の修理可能なセンサヘッドセット。
【請求項9】
前記導電性材料が、前記基板のすべての表面にわたって延在し、前記支持体への信号経路のブリッジのために該支持体の一部に接触するように構成されている、請求項1記載の修理可能なセンサヘッドセット。
【請求項10】
使用者の生体信号をモニタリングするための修理可能なセンサシステムであって:
第1の面、第2の面、及び該第1の面又は第2の面の一部に配置された少なくとも1つの導電性パッド領域を有する可撓性センサ支持体;
該可撓性センサ支持体の該第2の面に取り付けられた磁性部材;
該可撓性支持体からの生体信号を送信するために該可撓性支持体の一部及び該少なくとも1つのパッド領域に接続された信号通信装置;
該可撓性センサ支持体の該第1の面に接続可能な磁気センサ組立体であって:
該パッド領域への信号経路として機能できる導電性塩化銀コーティングを有するポリマー基板;
該ポリマー基板の一部に結合された磁気特性を有する取り付け部材を含む、前記磁気センサ組立体を備え;且つ
該取り付け部材及び磁性部材が、該磁気センサ組立体を該可撓性センサ支持体の該第1の面に磁気的に固定し、該導電性塩化銀コーティングが該導電性パッド領域に接触していて、生体信号を、使用者から該ポリマー基板に沿って該パッド領域に伝達することができ、該生体信号を該信号通信装置によって送信することができる、前記修理可能なセンサシステム。
【請求項11】
内部生体信号経路として機能するように前記ポリマー基板と混合された導電性ナノワイヤをさらに備える、請求項10記載の修理可能なセンサシステム。
【請求項12】
前記取り付け部材が、前記ポリマー基板に収容されている、請求項10記載の修理可能なセンサシステム。
【請求項13】
前記取り付け部材が、前記可撓性センサ支持体に近接して配置可能な前記ポリマー基板の表面に取り付けられている、請求項10記載の修理可能なセンサシステム。
【請求項14】
前記取り付け部材が、前記ポリマー基板によって少なくとも部分的に包囲されている、請求項10記載の修理可能なセンサシステム。
【請求項15】
前記ポリマー基板が、前記取り付け部材の上に折り畳まれて、前記可撓性センサ支持体に接触可能な第1のポリマー基板部分及び使用者の頭部に接触可能な第2のポリマー基板部分を形成している、請求項10記載の修理可能なセンサシステム。
【請求項16】
前記ポリマー基板のすべての表面が、前記導電性コーティングで被覆され、前記可撓性支持体への信号経路のブリッジのために前記パッド領域の一部に接触するように構成されている、請求項10記載の修理可能なセンサシステム。
【請求項17】
可撓性センサ支持体の表面の少なくとも1つに磁性部材が取り付けられた該可撓性センサ支持体上の生体信号センサを交換する方法であって:
該可撓性センサ支持体の表面に磁気的に接続された磁気センサ組立体を引っ張るステップであって、該磁気センサ組立体が:
該可撓性センサ支持体上の導電性領域への信号経路として機能し得る導電性塩化銀コーティングを有するポリマー基板;
該ポリマー基板の一部と嵌合する、磁気特性を有する取り付け部材を含む、前記ステップ;
取り付け部材を有する新しい磁気センサ組立体を、該可撓性センサ支持体上の磁気センサ組立体を取り外した位置の近傍に配置する、ステップ;
該磁性部材と該取り付け部材との間に磁気吸引力を感知するステップ;
該磁気吸引力により該磁気センサ組立体を該可撓性センサ基板に整合させるステップ;
該磁気センサ組立体を解放して該可撓性センサ支持体に磁気的に接続させるステップを含み;且つ
銀-塩化銀コーティングが導電性パッド領域に接触し、生体信号を、使用者から該ポリマー基板に沿って該パッド領域に伝達することができ、該生体信号を信号通信装置によって送信することができる、前記方法。
【請求項18】
前記取り付け部材が、前記ポリマー基板に埋め込まれている、請求項17記載の可撓性センサ支持体上の生体信号センサを交換する方法。
【請求項19】
前記取り付け部材が、前記可撓性センサ支持体に近接して配置可能な前記ポリマー基板の表面に取り付けられている、請求項17記載の可撓性センサ支持体上の生体信号センサを交換する方法。
【請求項20】
前記取り付け部材が、前記ポリマー基板によって少なくとも部分的に包囲されている、請求項17記載の可撓性センサ支持体上の生体信号センサを交換する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権)
本出願は、2021年11月23日に出願された、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国仮特許出願第63/282,550号の利益を主張する。
【0002】
(分野)
本発明は、一般に、対象の測定やモニタリングに関連する脳波(「EEG」)システム、アーキテクチャ、及び方法に関し、より詳細には、概ね可撓性のバイオセンサ、EEGシステム、アーキテクチャ、電極、並びにそれらに関連する使用方法及び治療方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
脳波計は、対象の脳の電気的活動を記録できる電気生理学的モニタリング装置である。少なくとも1800年代後半から、科学者が、ヒト及び動物の電気的活動を記録してきた。脳波計(「EEG」)は、典型的には、脳のニューロン内のイオン電流から発生する電圧の変動又は変化を記録するために、対象に、典型的には頭部に配置されるいくつかの電極を備える。
【0004】
脳の電圧変動には多くの用途があることが即座に見出された。用途には、てんかん、睡眠障害、意識状態、さらには脳死などの状態を診断するための診断又は臨床ツールとしてのEEGの使用が含まれていた。MRIの発明など医療技術の進歩が進む中でも、経時的に自然な変化をモニタリングするEEGの能力により、医学におけるその重要性を確固たるものにしている。
【0005】
脳波計の電極は、従来、電極を対象の頭部に固定する接着剤又はペーストを備える。電極はまた、従来、ヘッドバンド又はヘッドストッキングなどのホルダー又は基板に取り付けられる、又は結合される。電極は、典型的には、電圧変化を検出してその結果又は検査結果を医療従事者によって分析されるスクリーン又は1枚の紙に印刷する脳波計に結合されたワイヤを備える。
【0006】
脳波計は、一般に、電極が受信した電気信号を処理するための増幅器及び制御装置を含む電子回路からなる。脳波計はまた、従来、データを読み取り可能な形式に変換するためのオシログラフ又はつい最近では液晶ディスプレイなどの出力装置も備えていた。これらの装置はすべて、従来、大きくて重く、一般的には室内に固定する必要があった。
【0007】
対象が快適に装着できるEEGシステム、アーキテクチャ、及び方法を提供するために様々な試みがなされてきた。対象の快適性は向上したが、現代に必要とされるEEGシステム、アーキテクチャ、及び方法を提供することができていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が必要とし、提供するものには、広大な地域又は遠隔地で対象によって容易に持ち運び可能であり、かつ容易に使用され、しかもモーションアーチファクトがない又は最小の臨床グレードの信号品質も提供するEEGシステム、アーキテクチャ、及び方法が含まれる。本発明はまた、一般に衣類物品又は対象の解剖学的構造に適合可能な概ね可撓性の電極を有するEEGシステム、アーキテクチャ、及び方法を提供する。加えて、本発明は、対象によって容易に取り外され、修理され、又は交換される。本発明の別の利点は、対象のデータをリアルタイムで収集するリモートネットワーク内で動作できることである。本発明のさらに別の利点は、対象が屋外にいる間に個々の対象のデータを収集し、次いで対象が保護された地域又は場所に来たら、対象のデータを送信、アップロード、又はダウンロードできることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記は、本発明の範囲を限定することを意図するものでも、本発明のそれぞれの実施態様、態様、実施、特徴、又は利点を説明することを意図するものではない。本発明の詳細な技術及び好適な実施態様は、当業者が請求される発明の特徴を十分に理解するために添付の図面を参照する以下の段落で説明する。なお、本明細書で前述した特徴及び以下で論じる特徴は、本発明の範囲を逸脱することなく、特定の組み合わせだけでなく、他の組み合わせ又は単独でも使用できることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
(図面の簡単な説明)
【
図1】
図1は、本発明の実施態様による屋外可能型EEGヘッドバンドの透視図である。
【
図2A】
図2Aは、本発明の実施態様によるセンサの一例の上面図である。
【
図3A】
図3Aは、本発明の実施態様による被覆されたセンサユニットの透視図である。
【
図3B】
図3Bは、本発明の実施態様によるセンサユニットの異なる層を示す側面図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施態様によるセンサ組立体の側面図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施態様によるセンサユニットの別の例の上面図である。
【
図6A】
図6Aは、本発明の実施態様によるセンサ基板の一例の上面図である。
【
図7A】
図7Aは、本発明の実施態様によるセンサ組立体の側面図である。
【
図8A】
図8Aは、本発明の実施態様によるプラグアンドプレイ機能を有するセンサ基板の一例の上面図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施態様によるセンサ基板上に配置された複数のセンサの側面図である。
【
図10A】
図10Aは、本発明の実施態様によるプラグアンドプレイ機能を有するセンサ基板の一例の上面図である。
【
図12B】
図12Bは、本発明の実施態様による折り目を有するセンサ組立体の側面図である。
【
図14A】
図14Aは、本発明の実施態様によるセンサ組立体の一例の側面図である。
【
図14C】
図14Cは、本発明の実施態様による正方形又は長方形のセンサ組立体の上面図である。
【
図15】
図15は、本発明の実施態様によるセンサ組立体の一例の斜視図である。
【
図17A】
図17Aは、本発明の実施態様によるリング部材を備えたセンサユニットの側面図である。
【
図18B】
図18Bは、本発明の実施態様による磁石マウントを備えた円形リングセンサの上面図である。
【
図20A】
図20Aは、本発明の実施態様によるセンサ組立体の一例の断面図である。
【
図20B】
図20Bは、本発明の実施態様によるセンサ組立体の一例の断面図である。
【
図21A】
図21Aは、本発明の実施態様による開口を備えた円形リングセンサの上面図である。
【
図22】
図22は、本発明の実施態様によるセンサ組立体の一例の断面図である。
【
図23】
図23は、本発明の実施態様によるセンサ組立体の一例の断面図である。
【
図24】
図24は、本発明の実施態様によるセンサ組立体の一例の断面図である。
【
図25】
図25は、本発明の実施態様によるセンサ組立体の一例の断面図である。
【
図26】
図26は、本発明の実施態様によるセンサを取り囲むナノワイヤを有するセンサ組立体の一例の断面図である。
【
図27A】
図27Aは、本発明の実施態様による、内部磁石部材を有するセンサ組立体の一例の断面図である。
【
図27B】
図27Bは、本発明の実施態様による、内部磁石部材及び銀ダイコーティングを有するセンサ組立体の一例の断面図である。
【
図28A】
図28Aは、本発明の実施態様による磁気吸引される部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、様々な修正及び代替形態が可能であるが、その詳細は、例として図面に示し、詳細に説明する。しかしながら、本発明が、記載する特定の実施態様の例に限定されるものではないことを理解されたい。逆に、本発明は、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲内のすべての修正、等価物、及び代替物を包含する。
【0012】
(詳細な説明)
本発明は、限定されるものではないが、臨床現場から離れている又は遠隔であることを含む、様々な環境における神経活動の生成、構築、検出、解釈、及び応答に関連する技術及び方法の実施態様の例を概説する。本発明の実施態様の一例では、使用者は、本明細書に記載の方法に従って製造された1つ又は複数の電極を保持するように構成されたヘッドバンドなどの装置を装着する。
【0013】
したがって、実施態様の一例は、可撓性又は概ね可撓性のポリマー基板内にナノワイヤ導体を組み込んだ可撓性電極を含む。図示され、以下で議論され、
図1~
図29Cの例に例示される本発明は、ヘッドバンド、ヘッドギア、又は他の衣服若しくは衣類への電極(EEG電極など)の取り付け及び交換のより簡単な方法によって、新規な製造可能性、組み立ての容易性、及び改善された使用者の体験を例示する。
【0014】
図1は、使用者Aが装着するヘッドバンド12に組み込まれた本発明のセンサ組立体10を例示する。センサ組立体10は、本明細書に記載の様々な方法及び技術で製造される、且つ/又は組み立てられる1つ又は複数のセンサユニット14を含む。センサ組立体10はまた、1つ又は複数のセンサユニット14と電気通信して、少なくとも選択的な電力を該センサユニット14に供給する1つ又は複数の電源も含む。本発明のセンサ組立体の利点は、製造コストの削減とノイズの類を見ない低減を兼ね備えていることである。さらに、使用者が、個々のセンサ又はセンサ組立体を交換することができる。
【0015】
図2Aは、本発明のセンサユニット14の基本的な概略例の実施態様の一例を示す。センサユニット14は、EEGセンサとの関連で論じるが、他のセンサ及びセンサ技術も使用することができる。
図2Aは、センサ組立体10の残りの部分に接続するように構成されたテール部分又は接続部分15a、及び該テール部分15aに隣接し、使用者の皮膚に接触するように構成されたアクティブ部分15bを有するセンサユニット14の上面を示す。実施態様の一例では、センサユニット14のアクティブ部分15bは、使用者の皮膚との最適な接触を保証するために、一般に大きな表面積を有し得る。
【0016】
センサユニット14は、ノイズの低減及びセンサ組立体10を容易に修理する能力を最適化するように機能する1つ又は複数の層で製造される。
図2Bの実施態様の例に例示されているように、センサユニット14は、PDMS層又はポリマー層20a及び1つ又は複数の導電層20bを備える。導電層20bは、PDMS層に埋め込まれた、ナノワイヤ又は他の導電性材料20d、例えば、銀、金、銅、及びアルミニウムを含み得る。特に
図2Bに例示されているように、導電性材料20cは、導電層20bから少なくとも部分的に延出し得る。これは、使用者の皮膚との最適な接触を保証するために行われ得る。
【0017】
導電層20bは、アクティブ部分15bの一部又は全表面積にわたって延在し得る。導電層20b及び導電性材料20cは、PDMS/ポリマー層20aの厚さを部分的又は完全に通って延在し得る。センサユニット14の形状は、限定されるものではないが、円形、正方形、長方形、及び三角形などを含む任意の形状であり得る。導電性材料20cは、PDMS/ポリマー層20aの一部を通る導電性のセグメント又は部分を画定する構造に製造することができる。
【0018】
本発明の実施態様の別の例では、導電性材料20cは、所望の導電特性に必要な濃度まで水溶液22に入れることができる。
図3Aに例示されているように、センサユニット14のPDMS/ポリマー層20aは、水溶液22に浸す、浸漬する、又は被覆し、次いで取り出し、乾燥させることができる。乾燥すると、PDMS/ポリマー20aは、既にその上に導電層20bが堆積している。浸漬又は被覆プロセスは、PDMS/ポリマー層20a上の導電層20bの所望の厚さが達成されるまで数回繰り返してもよい。
【0019】
PDMS/ポリマー層20aを導電性水溶液22に浸漬又は被覆する方法は特定のニーズに依存する。例えば、実施態様の一例では、PDMS/ポリマー層20a全体が導電性材料20cの1つ又は複数の層で被覆されるように、センサユニット14全体を浸漬又は被覆することができる。実施態様の別の例では、PDMS/ポリマー層20aの一部のみが水溶液22に浸漬される、又は該水溶液22で被覆される。例えば、
図3Bは、PDMS/ポリマー層20aの下部のみが水溶液22に入れられたセンサユニット14を例示する。
【0020】
本発明の実施態様の別の例では、
図4及び
図5に例示されているように、導電性材料20cは、単独で、又は他の導電性材料20cと組み合わせて使用されるナノワイヤ20dも含む。例えば、ナノワイヤ20dは、Ag/AgClインクコーティング30で少なくとも部分的に被覆し、次いで、導電層20bに付加又は組み合わせることができる。別法では、Ag/AgClインクコーティング30で被覆されたナノワイヤ20dを、PDMS/ポリマー層20aの一部又はすべてと組み合わせることができる。Ag/AgClインクコーティング30をAgと共に使用することにより、センサユニット14が、皮膚-電極界面に蓄積するイオン電荷を取り除くと共に、可撓性を維持することができる。
【0021】
センサユニット14が上述の方法の1つに従って形成されたら、該センサユニット14は、センサ組立体10の残りの部分に結合又は接続される。
図4に例示されているように、センサユニット14は、ナノワイヤ20d又は他の導電性材料20cの表面に接着若しくは結合される、又は別の方法で直接つなげられたワイヤ26又は他の導電性部材を介して、1つ又は複数の増幅回路24に接続することができる。実施態様の一例では、ワイヤ24又は他の接続部材26は、銀エポキシなどの導電性結合剤28によって導電層20bに接続される。銀エポキシなどの導電性結合剤28は、より単純でより歩留まりの高い製造プロセス、より低い抵抗及びより信頼性の高い接続、及び改善されたストレインリリーフ能力を提供することを含め、PDMS 20a内にワイヤを埋め込むアプローチに勝るいくつかの利点を有する。加えて、銀エポキシ28は、導電層20b内のナノワイヤ20d又は他の導電性材料20cを損傷させずに、強力な機械的接触を形成する。その結果、センサユニット14は、高い電気的接続性及びより長い耐用期間又は寿命を有する。
【0022】
引き続き
図4を参照すると、センサユニット14は、本発明の可撓性プリント回路基板34への組み付けを助けるために、湾曲した又は「S」字状テール部分15aを備えるように製造することができる。以下でより詳細に論じるように、センサユニット14の「S」字状のテール部分15aは、基板又は支持部材34の裏面へと延在し(
図6A及び
図6B参照)、該テール部分15aを、導電性結合剤28(例えば、銀エポキシ又は別のタイプの結合部材若しくは結合機構)でパッド又はパッド領域36に結合することができる。組立体10は、テープ、ベルクロ、又は様々な締結方法などの締結装置を介してEEGヘッドギアに取り付けることができる。加えて、組立体10は、容易な取り外し及び交換のためにヘッドセット又はヘッドギアに取り付けることができる。
【0023】
図7A及び
図7Bを参照すると、可撓性センサ回路基板34を貫通して延在する「S」字状のテール部分15aを備えたセンサユニット14が例示されている。
図7Bに例示されているように、可撓性回路基板34は、テール部分15aの通過を可能にする、該可撓性回路基板34を貫通して形成された1つ又は複数のスロット又は開口40を備える。1つ又は複数のスロット又は開口40は、任意のサイズ及び/又は形状を有することができ、且つ、暖気が使用者の皮膚から流出し、冷気が使用者の皮膚に向かって流入するようにするベントとしても機能し得る。
【0024】
本発明のセンサ組立体10はまた、センサユニット14のアクティブ部分15bと可撓性プリントセンサ回路基板34との間に配置された1つ又は複数のクッション又はバッキング部材42を備え得る。クッション又はバッキング部材42は、任意の成形可能又は圧縮可能な材料(例えば、発泡体又はゴム)を含み得る。クッション又はバッキング部材42は、センサユニット14のアクティブ部分15bを支持するように機能する。それはまた、センサユニット14が使用者の皮膚の動きに合わせて移動することを可能にするクッションとしても機能する。本発明は、クッション又はバッキング部材42を有するものとして例示されているが、任意であって、ニーズ及びヘッドギアの構造に依存すると考えるべきである。
【0025】
図8A及び
図8Bに例示されているように、可撓性プリントセンサ回路基板34は、センサユニット14のテール部分15aが該可撓性プリントセンサ回路基板34を貫通している組み立てられた形態で示されている。可撓性プリントセンサ回路基板34は、その内部に、使用者のヘッドギア(ヘルメット、ヘッドバンド、帽子など)の一部又は別の可撓性プリントセンサ回路基板34と嵌合するように構成された1つ又は複数のノッチ44が形成されている。図示されていないが、他のタイプの締結又は結合部材(例えば、バックル、スナップ、クリップなど)を使用して、可撓性プリントセンサ回路基板34を使用者のヘッドギアの一部に固定する又は取り外し可能に固定することもできる。
【0026】
図8A~
図8B及び
図9から分かるように、センサユニット14のテール部分15aを可撓性プリントセンサ回路基板34の裏面又は反対側まで貫通させることにより、信号トレース46を一緒に保持することができて、センサユニット14のアクティブ部分15bのより広い面積を周回する必要がないため、該可撓性プリントセンサ回路基板34の幅を狭くすることができる。より幅の狭い可撓性プリントセンサ回路基板34により、より軽量で、より製造コストが低く、且つ使用者が装着するのに全体的により快適なユニットへと変わる。
【0027】
本発明の別の実施態様では、センサ組立体10は、屋外でのセンサユニット14の修理及び交換を可能にする着脱部材又は組立体50を含む。
図8Bに戻ると、着脱部材50は、センサユニット14に対して可撓性プリントセンサ回路基板34(以降、「PCB 34」)の反対側に配置されて示されている。この特定の実施態様では、着脱部材50は、PCB 34上のセンサユニット若しくは電極14を保持する別の磁石又は磁気吸引される材料を有する又は含む本発明のセンサユニット若しくは電極14に引き寄せられる磁石である。また、着脱部材50は、センサユニット14を、PCB 34の前面又は裏面に配置できるPCB 34上のパッド又はパッド領域36に電気的に接触させる。
図8Aでは、パッド領域を、15bとして示されるセンサユニット14の下に配置することができる。この取り付け方法により、電極又はセンサユニット14の簡単な取り外し及び交換が可能となる。また、電極は、2021年2月28日に出願された米国仮特許出願第63/154,751号に開示されているように形成することもできる。
【0028】
図10A及び
図10Bに例示されているように、着脱部材50の使用により、各センサユニット又は電極14をPCB 34から分離させることが可能となる。着脱部材50を採用する本発明の実施態様の別の例では、磁気吸引される部材52(例えば、ニッケルシート、磁石など)をセンサユニット14とPCB 34との間に配置することができ、着脱部材50をPCB 34の反対側に配置して、センサユニット14をPCB 34に対して保持することができる。磁気吸引される部材52は、クッション部材42とPCB 34との間に配置することもできる。
【0029】
磁気吸引される部材又は層52は、任意の取り付け方法(例えば、ベルクロ、テープ、接着剤など)によってセンサユニット14又はクッション部材42の一部に取り付けることができる。実施態様の別の例では、磁気吸引される部材又は層52を、PDMS層20a及び/又はクッション部材42に埋め込んで、PCB 34上のセンサユニット14の全体の厚さを減少させることができる。
【0030】
着脱部材50は、交換時に使用者がセンサユニット14を引き抜いたときに所定の位置に維持されるように、PCB 34に一時的又は恒久的に取り付けることができる。これにより、センサユニット14の交換プロセスが簡単になり、使用者は、ヘッドセット又はPCB 34を取り外すことなく、センサユニット14を交換することができる。磁気吸引される部材又は層52が、PCB 34に取り付けられたまま又は結合されたままであるため、センサユニット14位置の再配置は、該磁気吸引される部材又は層52が着脱部材50に自動的に引き寄せられるため簡単である。さらに、センサユニット14は、PCB 34に対して自己センタリング又は整合するため、使用者が該センサユニット14を該PCB 34上に正確に配置するためにかかる時間が節約される。
【0031】
図11A及び
図11Bを参照すると、PCB 34の一部又は後述する磁気取り付け部材の周りに折り畳まれた又は巻き付けられた導電層20bを示す包装センサユニット14の構造の一例が例示されている。この実施態様では、PCB 34は、その両側面に電気接点又はパッド36を備える。導電層20bは、銀ナノワイヤ20d又は他の導電性材料20cなどの導電性材料を含み、第1の又はより大きな平面の前面から第2の又はより大きな平面の裏面まで包み込んで、該導電層20bとPCB 34の導体パッド36との間に電気接点を形成する。
【0032】
包装センサユニット14の別の例では、
図12A及び12Bに例示されているように、PDMS層20a及び/又は導電層20bは、より小さい半径での折り畳みを促進するために、その内面又は裏面62に1つ又は複数の溝60が形成されるように製造される。溝60はまた、PDMS層20aの側面が曲げ部で膨らむ(
図11Aの破線で示されている)のを防止する。
【0033】
包装センサユニット14の実施態様の別の例では、
図12Aに例示されているように、PDMS層20a及び/又は導電層20b(溝60の有無にかかわらず)は、磁気吸引される部材又は層52の上又は周囲に折り畳まれる。本実施態様では、導電層20b及び/又は導電性材料20bは、センサユニット14の外面上にある。このようにして、センサユニット14がPCB 34上に配置されると、センサユニット14の中心にある磁気吸引される部材52が、導電層をPCB 34上の接点に押し付ける。
【0034】
1つ又は複数のセンサユニット14及び/又はセンサ組立体10を形成する方法が
図13A~
図13Eに例示されている。組立方法は、形成されてPCB 34に接続されたいくつかのセンサユニット14を例示する。
図13Aは、テーブル又はベンチなどの平面に配置された、1つ又は複数のウェル68が貫通しているセンサ治具又は型66を示す。
図13Bの断面図では、導電層20bが、ウェル68の底部に堆積している。次に、
図13Cに例示されているように、導電性であっても導電性でなくてもよいPDMSの層20aが、銀ナノワイヤ20dなどの導電性材料20cを含む導電層20bの上に積層されている。導電性PDMS層20aは、グラフェン又はカーボンナノチューブなどの導体と混合して形成される。導電性PDMS層20aは、ナノワイヤ20d又は導電層20bの表面とプリント回路基板34上のパッド36との間に導電路を形成する。
【0035】
PDMS導電層20aは、ウェル68を満たすまで注がれる。PDMS導電層20aが湿潤状態のままで、PCB 34がセンサ型66の上に配置される。PCB 34のパッド36が、ウェル68の各々の上に整合され、次いで、乾燥するまで、湿潤状態のままのPDMS導電層20a上に載せられる。乾燥したら、PCB 34を、センサ型66から持ち上げることができ、これにより、既に組み合わされた導電層20bとPDMS導電層20aがウェル68から引き抜かれる。Ag/AgClなどの導電性コーティングを、成型された導電性PDMS層20aに任意に適用することができる。センサユニット14は、この時点でPCB 34上に直接構築されている。
【0036】
実施態様の別の例では、センサ型66をPCB 34上に配置し、PDMS層20aを逆に成型することができる。非導電性PDMS 20aのバック層を最初に成型し、次いで、より大きな型穴又はウェル68を備えた別のセンサ型66を硬化したPDMSパッド36の周囲に配置することができる。より大きな型66の周辺空間により、非導電性PDMSパッドを包み込み、またPCB 34の下層表面パッド36との電気接点を形成するように導電性PDMS層20a+導電性「ナノワイヤ」層20bを成型することが可能となる。
【0037】
別法では、型66の壁の1つがPCB 34である(又は該PCB 34を保持している)場合に、ナノワイヤ+PDMS(それぞれ20b及び20ac(
図13C参照))の導電層を、大きな表面ではなく縁から充填してセンサ型66に成型することができる。これにより、PCB 34の表面(複数可)及び型66の皮膚に面する側を導電性ナノワイヤ+PDMS(それぞれ20b及び20ac)で被覆して、PCBパッド36との電気接点を形成することができる。次いで、導電性ナノワイヤ+PDMS(それぞれ20b及び20ac)の「ポケット」を非導電性PDMSで満たし、型66から取り出して電極を形成することになる。
【0038】
さらに別の実施態様は、ナノワイヤ+PDMS溶媒が浸透する閉じた型66の使用により、型の内面全体を導電性ナノワイヤ+PDMS層(それぞれ20b及び20ac)で被覆することが可能になる。次いで、ポート70を開けて、空間を非導電性PDMS 20aで満たすことができる。型の容積よりも少ない非導電性PDMS 20aが使用されると、非常に高い適合特性を有する中空電極14を形成することができる。型66を、電極14の一側の層(それぞれ20b及び20a)を優先的に厚くする重力に対する好ましい向きで静置することもできるし、又は該型66を、複数の回転軸で回転させて該型66の内部を均一に被覆することもできる(回転成形)。
【0039】
PCB 34は、パッド36がPCB 34表面上でより容易に曲がるようにするために、PDMS電極14の下及び周囲にスロット及びステント様パターンのスロットを有し得る。電極表面がより容易に曲がり、また追加の機能又は材料(例えば、フォームパッド)の表面で盛り上がって押されることができるように、PCB 34の下及びPDMS電極14の下に大きな開口を設けることもできる。
【0040】
簡潔に上述したように、センサユニット14は、該センサ電極14の側面のアクティブ面(例えば、底部及び鉛直部)全体を覆う均質な導電性又はナノワイヤ層20bを備えるように形成することができる。この実施態様は、
図14A~
図14Cに例示されている。
図14Aから分かるように、導電性材料20c及び/又は銀ナノワイヤ20dは、センサユニット14の底面74a及び鉛直面74bを覆っている。
図14B及び
図14Cに例示されているように、センサユニット又は電極14は、任意の形状に作製又は形成することができる。
【0041】
図15及び
図16を参照すると、プリント回路基板34のパッド36とその縁で直接接続できる本発明の別のセンサユニット又は電極14の構造が例示されている。別法では、銀エポキシなどの結合剤26を使用して、センサユニット又は電極14をPCB 34に結合して、信頼性が高く、高い導電性の接続を形成することができる。
【0042】
図17A~
図17Cを参照すると、センサユニット14は、PDMS層20a又は導電層20b内に配置される、又はこれらに接続されるリング部材80を用いて形成することができる。リング部材80は、凹状の下面及び凸状の上面を有することができ、該凸状の上面は、一般に、PDMS層20a又は導電層20bの上面と面一であるか、又はそれを超えて延在する。特に
図17Bに例示されているように、リング部材80は、開いた又は閉じた中心領域83cを有し得る。
【0043】
ここで、
図18A~
図18B及び
図19を参照すると、センサユニット14のリング部材80は、磁石又は取り付け部材50と共に使用することができる。リング部材80は、吸引される部材52を磁力で引き寄せて、センサユニット14をPCB 34に固定する。リング部材80はまた、PCB 34上のパッド36に当接して接続する導電性部材としても機能し得る。このパッドは、単一の固体電気パッド若しくは複数のパッドであってもよいし、又はリング部材80の寸法に一致する形状であってもよい。
【0044】
導電層20b又は銀ナノワイヤ20dは、センサユニット14の周囲に、及び/又はそれを貫通して延在し、リング部材80の一部に接触して、使用者の皮膚からPCB 34への専用経路を提供することができる。言い換えれば、金属リング部材80は、ナノワイヤ表面20dからPCB 34上の電気導体パッド36への電気的接続をブリッジする。論じられた実施態様は、丸いセンサユニット若しくは電極14及びリング部材80に関するが、該センサユニット若しくは電極14及び/又は該導電性リング部材80は、任意の形状及び構造をとることができる。加えて、センサユニット若しくは電極14及び/又は導電性リング部材は、任意の3次元形状及び構造を有し得る。
【0045】
リング部材80は、別法では、その底面まで開けられた穴84を備えるように構成することができる(
図20A.1を参照)。穴84により、PDMS 20aがリング部材80の両側に浸透して引き抜き強さを増大させることが可能となる。リング部材80はまた、PDMS 20a、導電性材料20b及び20cがメッシュ又は格子構造を少なくとも部分的に通過して延在することを可能にする該メッシュ又は格子構造を全体的に有し得る。リング部材80はまた、1つ又は複数の尖叉86(内側、外側、又は両方に放射状に延びている)を有し得、該尖叉86は、面外に曲がる又は湾曲して、PDMS層20aに接着力又は保持力を提供するだけではなく、導電層20bと外部ワイヤ26又は電極14との間の電気接点を提供することができる。
【0046】
リング部材80の代替としては、螺旋形状又は渦巻状のコイルばね状部材が挙げられる。螺旋形状は、リングの概念に対応する1本の軸を有する幅広で低いばねとして構成することができる。別法では、螺旋軸は、螺旋直径がリング部材80の厚さに対応し、螺旋軸曲率が該リング部材80の直径に対応するリングを形成するように全体的に曲げることができる。
【0047】
図21A~
図21B及び
図22を参照すると、本発明は、センサユニット14の中間部分又は中心部分に離間部を提供する変形リング部材80aaを用いて、該センサユニット又は電極14の快適性及び柔軟性を向上させる。この離間部は、使用者の体の寸法に高度に適合し、裏面に完全に結合されるより平坦な電極ユニット14での見込みよりも広い表面積の接触及び高い快適性を提供する。この構成では、センサユニット又は電極14は、撓む、曲がる、又は変形可能であり、使用者の解剖学的特徴又は衣服の特徴に対応することができる。センサユニット又は電極14の変形能は、使用者の快適性を高める。
【0048】
特に
図21Bに例示されているように、変形リング部材80aaは、凹面82aがPCB 34に面し、凸面82bがセンサユニット又は電極14のPDMS層20aに嵌合するように配置される。この構成では、変形リング部材80aaは、PCB 34とセンサユニット14との間に空間又は空隙88を形成する。変形リング部材80aaと空間又は空隙88の幾何学的配置により、センサユニット又は電極14が使用者に合わせて動いて撓むことが可能となる。
【0049】
この構成でセンサユニット又は電極14が可能な動きのタイプの一例を
図22に示す。図面から分かるように、センサユニット又は電極14は、空間又は空隙88内に撓む又は曲がって、少なくとも一時的に、該空間又は空隙88を占有することができる。加えて、変形リング部材80aaは、PCB 34との接触を維持しながら、縦方向及び/又はその幅に沿って撓むこともできる。本発明の他の実施態様と同様に、導電層20b又は導電性材料20c(例えば、ナノワイヤ20d)がセンサユニット又は電極14全体にわたって分散され、それにより、変形リング部材80aaと接触して、EEG信号のための通信経路が形成される。
【0050】
センサユニット又は電極14はまた、又は代わりに、導電層20b又は導電性材料20c(例えば、ナノワイヤ20d)と接触する3Dメッシュ構造又は接点90を含み得る。メッシュ接点90は、その上面が露出してPCB 34又は別の表面に接触するようにポリマー層20aに埋め込むことができる。3Dメッシュ接点90は、様々なニットパターンを有する銀含浸又は銀織物などの導電性織物から形成することができる。3Dメッシュ接点90は、限定されるものではないが、テール部分15aのワイヤ、接着剤、及びシリコーン樹脂などを含む本明細書に開示される任意の手段によって結合又は接続することができる。結合方法又は結合手段は、接続を絶縁するための絶縁体としても機能し得る。3Dメッシュ接点又は構造90は、PCB 34の一部に押し通して、該PCB 34に接続することもできる。実施態様の別の例では、結合手段は、先に論じた銀エポキシ結合剤28などの導電性材料も含む。
【0051】
また、
図24に例示されているように、メッシュ接点又は織物90は、可撓性織物テール92を介した回路への接続のためにポリマー/Agナノワイヤ層20cを超えて延在する、又はPDMS層20aに配置されたクリンプコネクタ94に挿入することもできる。
【0052】
より高いリング部材80bbを使用し、PDMS層20aに埋め込んで、導電層20b及びその中に含まれる導電性材料20c(例えば、銀ナノワイヤ)と直接接触させることができる。
図25から分かるように、高いリング部材80bbは、センサユニット又は電極14の裏面を貫通して延在してもよい。このようにして、高いリング部材80bbは、導電層20b及び銀ナノワイヤ20dからPCB 34に電流を流す。リング部材80bbはまた、上述したように、磁気取り付け部材50又は銀エポキシ結合剤28を介してPCB 34に取り付けることもできる。
【0053】
導電層20bは、センサユニット又は電極14の周囲に少なくとも部分的に延在するとして説明しているが、該導電層20bが、該センサユニット又は電極14の外面全体の周囲に完全に延在し得ることも本明細書では企図される。
図26に例示されているように、導電性材料20c又は銀ナノワイヤ20dは、アクティブ面、すべての鉛直側面94a、前面94b、及び裏面94cの少なくとも一部を完全に包囲する。EEG信号又は電流は、アクティブ表面94a及び94bのいずれかから裏面94cに流れ、そこでPCB 34の一部に接続して通信する。
【0054】
封入されたセンサユニット又は電極14は、ナノワイヤ20dの堆積後にPDMS層20aが満たされる片面金型又は両面金型で製造することができる(上記で論じたプロセスと同様)。
【0055】
図27A及び
図27Bに例示されているように、封入されたセンサユニット又は電極14は、磁気取り付け部材若しくは磁石50又は、その内部に埋め込まれた、磁気取り付けのための磁気吸引される部材52を有し得る。
【0056】
図28A~
図28Dに例示されているように、センサユニット又は電極14は、ポリマー層20a及び/又は導電層20bの中に導電性アンカー部材100を固定するのを助ける構造を有する該導電性アンカー部材100を備えることができる。
図28A及び
図28Bに例示されているように、アンカー部材100は、外側環状リップ102が開口103を画定している概ねJ字形の断面を有し得る。環状リップ102は、組み立てられると、ポリマー層20aの外側に露出し得る。外側リップ102は、機械的安定性のためにポリマー層20a及び/又は導電層20bを把持するのを助ける湾曲したリップ105を有するJ字形のフック部分又は周壁104に接続されている。湾曲リップ105は、開口103若しくは中心軸に向かって内側に又は外側に湾曲させることができる。
【0057】
導電層又はナノワイヤ層20aは、Jフック周壁104の湾曲リップ105並びにセンサ電極14の底部及び側面の両方を包囲することができ、それにより、該導電層20b又はナノワイヤ20dがアンカー部材100に電気的に接触するためのより大きな表面積が形成される。他の実施態様のいくつかと同様に、アンカー部材100は、導電層20b又はナノワイヤ表面20dからPCB 34上の電気接点パッド36への電気的接続をブリッジする。電極14は、磁気引力によってPCB 34に接続することができる。
【0058】
図29A~
図29Cに例示されているように、アンカー部材100は、内側に延びた導電性リング部分108が開口110を画定している概ね円錐形状を有し得る。ここでも同様に、リング部分108は、センサユニット又は電極14が組み立てられると、全体的にポリマー層20aの上に位置する。リング部分108は、該リング部分と概ね平行な内側リップ114を有する外周壁112に接続されている。リップ114は、機械的安定性のためにポリマー層20a及び/又は導電層20bに引っ掛けて該層20a及び20bを把持するのを助けることができる。加えて、アンカー部材100の円錐形状は、該アンカー部材100を層20a及び30bに固定するのを助ける。
【0059】
導電層20b又はナノワイヤ部材20dは、内側リップ114並びにセンサ電極14の底部及び側面の両方を包囲することができ、該ナノワイヤ20dが金属リング部108に電気的に接触するためのより大きな表面積が形成される。金属リング部分は、ナノワイヤ20dの表面からPCB 34上の電気接点パッド36への電気的接続をブリッジする。電極14は、磁気引力によってPCB 34に接続することができ、Ag/AgClコーティングで被覆することができる。
【0060】
リングは、「J字型」又は「円錐形状」であると説明しているが、任意の形状を使用できることを理解されよう。U字型、V字型、及びT字型などを含むが、これらに限定されるものではない。
【0061】
現在最も実用的で好ましい実施態様であると考えられるものに関連して本発明を説明してきたが、本発明が開示された実施態様に限定されるものではないことは、当業者には明らかであろう。本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、その多くの変更及び同等の構成が可能であることは、当業者には容易に明らかであり、そのような範囲は、すべての同等の構造及び製品を包含するように添付の特許請求の範囲の最も広い解釈が与えられる。さらに、様々な実施態様の例の特徴又は態様は、本発明の範囲から逸脱することなく、組み合わせて(そのような組み合わせが本明細書に明示的に記載されていなくても)適合させることができる。
【国際調査報告】