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特表2024-542301電柱アセンブリ及び電柱アセンブリ用積層構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-14
(54)【発明の名称】電柱アセンブリ及び電柱アセンブリ用積層構造
(51)【国際特許分類】
   E04H 12/02 20060101AFI20241107BHJP
   H02G 7/00 20060101ALI20241107BHJP
   E04H 12/00 20060101ALI20241107BHJP
   B32B 17/04 20060101ALI20241107BHJP
【FI】
E04H12/02
H02G7/00
E04H12/00 A
B32B17/04 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024518413
(86)(22)【出願日】2022-09-20
(85)【翻訳文提出日】2024-05-21
(86)【国際出願番号】 CA2022051392
(87)【国際公開番号】W WO2023044561
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】63/248,366
(32)【優先日】2021-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/305,078
(32)【優先日】2022-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523359180
【氏名又は名称】アールエステクノロジーズ インク
【氏名又は名称原語表記】RS TECHNOLOGIES INC.
【住所又は居所原語表記】22 Industrial Park Road, Tilbury, Ontario N0P 2L0 CANADA
(74)【代理人】
【識別番号】100117514
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 敦朗
(72)【発明者】
【氏名】ショーン ヴァン ホエクパターソン
(72)【発明者】
【氏名】ミンゾン チャン
(72)【発明者】
【氏名】ジョエル テニソン
(72)【発明者】
【氏名】マーク フォーゲット
(72)【発明者】
【氏名】スコット ティー ホームズ
【テーマコード(参考)】
4F100
5G367
【Fターム(参考)】
4F100AG00A
4F100AG00D
4F100AG00E
4F100AK01A
4F100AK01B
4F100AK51
4F100AK51A
4F100AK51B
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA04
4F100BA05
4F100BA07
4F100DA11
4F100DG01A
4F100DG01C
4F100DG01D
4F100DG01E
4F100DH02A
4F100DH02C
4F100GB41
4F100JA20A
4F100JL09
4F100YY00A
4F100YY00B
4F100YY00C
5G367AA02
(57)【要約】
【課題】 電柱アセンブリにおける樹脂の固有の紫外線安定性の限界を克服する。
【解決手段】電柱アセンブリには、内部コアを有する電柱が含まれ、さらにその内側コアを囲む積層構造が含まれる。積層構造には、繊維強化を有する強化構造体、強化構造体を囲む外側層、及び強化構造体と外側層とを少なくとも部分的に混合した樹脂が含まれている。 この樹脂は紫外線(UV)に耐性がある。外側層中の樹脂の濃度は、強化構造体中の樹脂の濃度よりも高くなっている。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内芯を備える電柱と、
内部コアを取り囲む積層構造と
を含む電柱アセンブリであって、
繊維強化材を含む強化構造体と、
前記強化構造体を取り囲む外層と、
前記強化構造体及び前記外層と少なくとも部分的に混合された樹脂と
を含み、
前記樹脂は紫外線(UV)放射に対して耐性があり、
前記外層内の前記樹脂の濃度は、前記強化構造体内の樹脂の濃度よりも高い
ことを特徴とする電柱アセンブリ。
【請求項2】
前記内部コアが中空であることを特徴とする請求項1に記載の電柱アセンブリ。
【請求項3】
前記繊維強化材がガラス繊維を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の電柱アセンブリ。
【請求項4】
前記強化構造体がさらに1つ以上の繊維強化層を含み、前記各繊維強化層が、
第1の方向に伸びる第1の繊維要素と、
第1の方向に対して角度を持って第2の方向に伸びる第2の繊維要素と
を含むことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の電柱アセンブリ。
【請求項5】
前記各繊維強化層がガラス繊維生地又はガラス繊維マットを含むことを特徴とする請求項4に記載の電柱アセンブリ。
【請求項6】
前記第1の方向が前記電柱によって定義される縦軸に平行であり、
前記第2の方向が前記第1の方向に垂直である
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の電柱アセンブリ。
【請求項7】
前記第2の方向が縦軸に対して周方向であることを特徴とする請求項6に記載の電柱アセンブリ。
【請求項8】
1つ以上の前記繊維強化層が外側繊維強化層及び内側繊維強化層を含むことを特徴とする請求項4~7のいずれかに記載の電柱アセンブリ。
【請求項9】
前記強化構造体がさらに1つ以上のガラス繊維ロビング層を含み、
外側及び内側の前記繊維強化層が1つ以上のガラス繊維ロビング層の少なくとも一方の反対側に配置されることを特徴とする請求項8に記載の電柱アセンブリ。
【請求項10】
外側及び内側の前記繊維強化層の少なくとも1つが1つ以上のガラス繊維ロビング層と接触していることを特徴とする請求項9に記載の電柱アセンブリ。
【請求項11】
1つ以上の前記繊維強化層のうちの少なくとも1つにおいて、前記第1の繊維要素の面積重量が前記第2の繊維要素の面積重量よりも小さいことを特徴とする請求項4~10のいずれかに記載の電柱アセンブリ。
【請求項12】
前記第1の繊維要素の面積重量と前記第2の繊維要素の面積重量の比率が約1:3であることを特徴とする請求項11に記載の電柱アセンブリ。
【請求項13】
前記第1の繊維要素と前記第2の繊維要素の面積重量の合計が約24オンス/平方ヤードであることを特徴とする請求項4~12のいずれかに記載の電柱アセンブリ。
【請求項14】
前記強化構造体がさらに1つ以上のガラス繊維ロビング層を含むことを特徴とする請求項1~13のいずれかに記載の電柱アセンブリ。
【請求項15】
前記強化構造体は、1つ以上の繊維強化層と1つ以上の連続フィラメントマット層をさらに含み、
前記1つ以上の連続フィラメントマット層の少なくとも1つが、1つ以上のガラス繊維強化層と1つ以上のガラス繊維ロービング層の少なくとも1つの間に挿入されていることを特徴とする請求項14に記載の電柱アセンブリ。
【請求項16】
1つ以上の前記連続フィラメントマット層の少なくとも1つが、1つ以上の前記ガラス繊維ロービング層の少なくとも1つと接触していることを特徴とする請求項15に記載の電柱アセンブリ。
【請求項17】
前記強化構造体はさらにガラス繊維生地層を含むことを特徴とする請求項1~16のいずれかに記載の電柱アセンブリ。
【請求項18】
前記ガラス繊維生地層の面積重量は、約4から約10オンス/平方ヤードであることを特徴とする請求項17に記載の電柱アセンブリ。
【請求項19】
前記ガラス繊維生地層は、約18×18本/平方インチから約24×24本/平方インチの織り方を有するガラス繊維生地を含むことを特徴とする請求項17又は18に記載の電柱アセンブリ。
【請求項20】
前記ガラス繊維生地層は前記外層に接触していることを特徴とする請求項17~19のいずれかに記載の電柱アセンブリ。
【請求項21】
前記積層構造は、外側表面から前記内部コアに向かう方向に、
ガラス繊維生地層と、
外側のガラス繊維ロービング層と、
外側繊維強化層と、
外側の連続フィラメントマット層と、
中央のガラス繊維ロービング層と、
内側繊維強化層と、
内側の連続フィラメントマット層と、
内側のガラス繊維ロービング層と
を含むことを特徴とする請求項1~20のいずれかに記載の電柱アセンブリ。
【請求項22】
前記積層構造は、外側表面から前記内部コアに向かう方向に、
ガラス繊維生地層と、
外側のガラス繊維ロービング層と、
繊維強化層と、
外側の連続フィラメントマット層と、
内側のガラス繊維ロービング層と、
内側の連続フィラメントマット層と
をさらに含むことを特徴とする請求項1~21のいずれかに記載の電柱アセンブリ。
【請求項23】
前記外層は樹脂のみからなることを特徴とする請求項1~22のいずれかに記載の電柱アセンブリ。
【請求項24】
繊維強化の重量割合と樹脂の重量割合の比率は、繊維強化が75%から82%であり、樹脂が18%から25%であることを特徴とする請求項1~23のいずれかに記載の電柱アセンブリ。
【請求項25】
前記積層構造が引抜き成形プロセスによって形成されることを特徴とする請求項1~24のいずれかに記載の電柱アセンブリ。
【請求項26】
前記樹脂が脂肪族ポリウレタン樹脂であることを特徴とする請求項1~25のいずれかに記載の電柱アセンブリ。
【請求項27】
前記電柱が前記積層構造を含むことを特徴とする請求項1~26のいずれかに記載の電柱アセンブリ。
【請求項28】
前記電柱アセンブリが前記電柱を囲むポールシールドを含まないことを特徴とする請求項27に記載の電柱アセンブリ。
【請求項29】
ポールシールドが前記電柱を囲むように構成され、前記ポールシールドが前記積層構造を含むことを特徴とする請求項1~26のいずれかに記載の電柱アセンブリ。
【請求項30】
前記ポールシールドが前記電柱に取り付けられる1つ以上の留め具を使用して固定されることを特徴とする請求項29に記載の電柱アセンブリ。
【請求項31】
前記ポールシールドが電柱の一部の長さにわたって延びることを特徴とする請求項29又は30に記載の電柱アセンブリ。
【請求項32】
前記ポールシールドが電柱の長さ全体にわたって延びることを特徴とする請求項29又は30に記載の電柱アセンブリ。
【請求項33】
前記電柱が、芳香族ポリウレタン樹脂をさらに含むことを特徴とする請求項29~32のいずれかに記載の電柱アセンブリ。
【請求項34】
前記電柱が、
前記内部コアを取り囲む追加積層構造をさらに含み、
この追加積層構造は、
追加繊維強化を含む追加強化構造体と、
前記追加強化構造体を囲む追加外側層と
を含み、
前記樹脂が、前記追加強化構造体及び前記追加外側層と少なくとも部分的に混合されたものであり、
前記追加外側層中の樹脂の濃度は、前記追加強化構造体中の樹脂の濃度よりも高い
ことを特徴とする請求項29~33のいずれかに記載の電柱アセンブリ。
【請求項35】
追加樹脂が芳香族ポリウレタン樹脂を含むことを特徴とする請求項34に記載の電柱アセンブリ。
【請求項36】
前記ポールシールドがフィラメント巻線プロセスによって形成され、かつ前記電柱が引抜き成形プロセスによって形成されることを特徴とする請求項35に記載の電柱。
【請求項37】
前記ポールシールドがフィラメント巻線プロセスによって形成されることを特徴とする請求項29~36のいずれかに記載の電柱アセンブリ。
【請求項38】
電柱アセンブリ用の積層構造であって、
繊維強化を含む強化構造体と、
前記強化構造体を覆う外側層と、
強化構造体及び外側層と少なくとも部分的に混合された樹脂とを含み、
前記樹脂は紫外線(UV)に対して耐性があり、かつ前記外側層中の樹脂の濃度は、前記強化構造体中の樹脂の濃度よりも高い
ことを特徴とする電柱アセンブリ用の積層構造。
【請求項39】
積層構造を作製する方法であって、
繊維強化材を含む繊維プリフォームを提供する工程と、
前記プリフォームを成形するために、金型の空洞内に配置されたマンドレル上で前記プリフォームを引っ張る工程と、
前記引っ張り中に、樹脂が前記プリフォームと少なくとも部分的に混合されるように前記プリフォームに樹脂を注入する工程と、
引っ張り及び射出の後、プリフォームを硬化させて、中空の内部コアを取り囲み、繊維強化材の1つ又は複数の層を覆う外層を含む積層構造を形成する工程と
を含み、
前記樹脂は紫外線(UV)放射に対して耐性を有し、
硬化後における外層の樹脂の濃度は、前記繊維強化材の1つ以上の層の樹脂の濃度よりも高い
ことを特徴とする積層構造を作製する方法。
【請求項40】
電柱アセンブリを修理する方法において、
前記電柱アセンブリは、
内部コアを有する電柱と、
前記電柱を囲むポールシールドと
を含み、前記ポールシールドは、
繊維強化を含む強化構造体と、
前記強化構造体を覆う外側層と、
前記強化構造体及び外側層と少なくとも部分的に混合された樹脂と
を含み、前記樹脂は、
紫外線(UV)に対して耐性があり、及び前記外側層中の前記樹脂の濃度は、強化構造体中の樹脂の濃度よりも高く、
前記方法では、
損傷を受けたポールシールドの少なくとも一部を取り外し、
損傷を受けていない新しいポールシールドの少なくとも一部で損傷を受けたポールシールドの少なくとも一部を交換する
ことを特徴とする電柱アセンブリの修理方法。
【請求項41】
電柱アセンブリを設置する方法であって、
内部コアと内部コアを囲む積層構造とを含ませて電柱を形成する工程と、
ポールシールドを形成するとともに、前記ポールシールドで前記電柱を囲むようにして当該電柱を設置する工程と
を含み、
前記積層構造は、
繊維強化を含む強化構造体と、
強化構造体を囲む外側層と、
前記強化構造体と前記外側層とともに少なくとも部分的に混合された樹脂と
を含み、
前記樹脂は紫外線(UV)に対して耐性があり、かつ外側層中の樹脂の濃度は、強化構造体中の樹脂の濃度よりも高くなっている
ことを特徴とする電柱アセンブリの設置方法。
【請求項42】
前記電柱を形成する工程は、引抜き成形プロセスに従って積層構造を形成する工程を含み、
前記ポールシールドを形成する工程は、フィラメント巻線プロセスに従って前記ポールシールドを形成する工程を含む
ことを特徴とする請求項41に記載の電柱アセンブリの設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電柱アセンブリ及び電柱アセンブリ用の積層構造に関連する。さらに、電柱アセンブリに適した積層構造を製造する方法にも関連する。
【背景技術】
【0002】
既存の引抜き成形(pultruded )製の電柱には一般的にいくつかの欠点があった。例えば、これらの電柱は通常、同等の木製製品と比較して、紫外線(UV)耐候性が低く、耐久性が低い、座屈安定性が低い、そしてたわみ性能が不十分である。その結果、寿命が25年から50年に限定されることがある。
【0003】
既存の引抜き成形製ポールの特徴的な樹脂材料には、ポリエステル、ビニルエステルエポキシ、及び紫外線阻害剤や紫外線吸収剤を加えなければならないハイブリッドシステムが含まれている。これらは紫外線や自然環境に晒されるのに耐えるためである。これらの樹脂は、スチレンのような低分子量モノマーを使用することがあり、生産時に追加の加工及び化学的曝露の危険をもたらす。また、余剰モノマーによって生産後に残留形態で存在し、時間が経つにつれて低分子量種が構造から移動出ることでさらなる劣化が起こる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらの樹脂の固有の紫外線安定性の限界を克服するために、既存の引抜き成形製電柱はしばしば、ポリエステルやナイロンなどの二次ポリマーベール材料を取り入れており、これがポールの積層の外側を覆って紫外線エネルギーが下層のガラス繊維に到達するのを反射、吸収、又はブロック又は遮蔽する。しかし、一度劣化又は損傷を受けると、これらのベールは下層のガラス繊維に対してほとんど紫外線保護を提供しない。
【0005】
既存の電柱には、ポール表面にインライン又は二次的に適用されるコーティングが使用されることもある。このようなコーティングは、ポールの予想される寿命にわたって性能を発揮するために、適切な表面準備と接着が必要である。しかし、屋外での産業用コーティングの性能は通常、15~25年の寿命に限定されており、環境条件によっては、この補強されていないコーティングが加速して劣化し、希望する寿命を達成する前に、ひび割れ、クレージング、ブリスタリング、又は剥離によって失敗することがある。このような早期のコーティングの劣化は、現場での製品の耐久性が悪化する原因となる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第一の側面によると、内部コアを含む電柱及び内部コアを囲む積層構造を含む電柱アセンブリが提供される。この積層構造は、繊維強化を含む強化構造体、強化構造体を囲む外層、及び少なくとも部分的に強化構造体及び外層と混合された樹脂を含む。ここで、樹脂は紫外線(UV)に対して耐性があり、外層における樹脂の濃度は強化構造体における樹脂の濃度よりも高くする。
【0007】
内部コアは空洞である可能性がある。
繊維強化は、ガラス繊維を含む可能性がある。
強化構造体は、1つ以上の繊維強化層をさらに含む可能性がある。各繊維強化層は、以下を含む可能性がある:第一の方向に伸びる第一の繊維要素;及び第一の方向と角度をなす第二の方向に伸びる第二の繊維要素。
各繊維強化層は、ガラス繊維生地又はガラス繊維マットを含む可能性がある。
第一の方向は、電柱によって定義される縦軸に平行である可能性がある。第二の方向は、第一の方向に対して垂直である可能性がある。
第二の方向は、縦軸に対する周方向である可能性がある。
1つ以上の繊維強化層は、外側の繊維強化層と内側の繊維強化層を含む可能性がある。
【0008】
強化構造体は、さらに1つ以上のガラス繊維ロービング層を含む可能性があり、外側及び内側の繊維強化層は、少なくとも1つのガラス繊維ロービング層の反対側に配置される可能性がある。
外側又は内側の繊維強化層の少なくとも1つが、1つ以上のガラス繊維ロービング層の少なくとも1つと接触している可能性がある。
1つ以上の繊維強化層のうち少なくとも1つにおいて、第一の繊維要素の面積当たりの重量が、第二の繊維要素の面積当たりの重量よりも少ない可能性がある。
第一の繊維要素の面積当たりの重量は、第二の繊維要素に対しておよそ1:3である可能性がある。
第一の繊維要素と第二の繊維要素の面積当たりの重量の合計が、約24オンス/平方ヤードである可能性がある。
【0009】
強化構造体は、さらに1つ以上のガラス繊維ロービング層を含む可能性がある。
強化構造体は、さらに1つ以上の繊維強化層及び1つ以上の連続フィラメントマット層を含む可能性がある。少なくとも1つの連続フィラメントマット層が、1つ以上のガラス繊維強化層と1つ以上のガラス繊維ロービング層の少なくとも1つの間に挿入される可能性がある。
【0010】
少なくとも1つの連続フィラメントマット層が、1つ以上のガラス繊維ロービング層の少なくとも1つと接触している可能性がある。
強化構造体は、さらにガラス繊維生地層を含む可能性がある。
ガラス繊維生地層の面積当たりの重量は、約4オンスから約10オンス/平方ヤードの範囲である可能性がある。
ガラス繊維生地層は、約18×18糸数から約24×24糸数/平方インチの織り方をしたガラス繊維生地を含む可能性がある。
ガラス繊維生地層は外層と接触している可能性がある。
【0011】
積層構造は、積層構造の外表面から内部コアに向かって以下の層をさらに含む可能性がある。
・外層
・ガラス繊維生地層
・外側ガラス繊維ロービング層
・外側繊維強化層
・外側連続フィラメントマット層
・中央ガラス繊維ロービング層
・内側繊維強化層
・内側連続フィラメントマット層、及び
・内側ガラス繊維ロービング層。
【0012】
積層構造は、積層構造の外表面から内部コアに向かって、外層及びガラス繊維をさらに含む可能性がある。
繊維強化の重量パーセンテージと樹脂の重量パーセンテージの比率は、75%~82%の繊維強化と18%~25%の樹脂の間である可能性がある。
積層構造は引抜き成形プロセスによって形成される可能性がある。
樹脂は脂肪族ポリウレタン樹脂を含む可能性がある。
【0013】
電柱は積層構造を含む可能性がある。
電柱アセンブリは電柱を囲むポールシールドを含まない可能性がある。
電柱アセンブリはさらに電柱を囲むポールシールドを含む可能性がある。ポールシールドは積層構造を含む可能性がある。
【0014】
ポールシールドは1つ以上のファスナーを使用して電柱に固定される可能性がある。
ポールシールドは電柱の長さの一部に沿って伸びる可能性がある。
ポールシールドは電柱の全長に沿って伸びる可能性がある。
電柱はさらに芳香族ポリウレタン樹脂を含む可能性がある。
【0015】
電柱はさらに、内部コアを囲むさらなる積層構造を含む可能性があり、これには:繊維強化を含む追加強化構造体;追加強化構造体を囲む追加外層;及び少なくとも部分的に追加強化構造体及び追加外層と混合された追加樹脂が含まれており、追加外層における追加樹脂の濃度は追加強化構造体における追加樹脂の濃度よりも高い。
【0016】
追加樹脂は芳香族ポリウレタン樹脂を含む可能性がある。
ポールシールドはフィラメント巻きプロセスによって形成され、電柱は引抜き成形プロセスによって形成される可能性がある。
【0017】
本開示のさらなる側面によると、繊維強化を含む強化構造体、強化構造体を覆う外層、及び少なくとも部分的に強化構造体及び外層と混合された樹脂を含む電柱アセンブリ用の積層構造が提供される。ここで、樹脂は紫外線(UV)に対して耐性があり、外層における樹脂の濃度は強化構造体における樹脂の濃度よりも高い。
【0018】
本開示のさらなる側面によると、積層構造を製造する方法が提供されている。この方法は、繊維強化を含む繊維プリフォームを提供すること、金型の空洞内に位置するマンドレルの上でプリフォームを引きながら成形すること、引き上げ中に、樹脂が少なくとも部分的にプリフォームと混合するようにプリフォーム内に樹脂を注入すること(この樹脂は紫外線(UV)に対して耐性がある)、引き上げと注入の後、プリフォームが空洞の内部コアを囲む積層構造に硬化し、1つ以上の繊維強化層を覆う外層を含むまで硬化を許すこと、を含む。硬化後、外層における樹脂の濃度は1つ以上の繊維強化層における樹脂の濃度よりも高くなる。
【0019】
本開示のさらなる側面によると、電柱アセンブリの修理方法が提供されている。この電柱アセンブリは、内部コアを含む電柱と、電柱を囲むポールシールド(繊維強化を含む強化構造体、強化構造体を囲む外層、及び少なくとも部分的に強化構造体と外層とが混合された樹脂を含む)を含んでいる。ここで、樹脂は紫外線(UV)に対して耐性があり、外層における樹脂の濃度は強化構造体における樹脂の濃度よりも高い。この方法には、損傷したポールシールドの少なくとも一部を取り除くこと、及び損傷していない新しいポールシールドの少なくとも一部で取り除いたポールシールドの少なくとも一部を置き換えることが含まれる。
【0020】
本開示のさらなる側面によると、電柱アセンブリの設置方法が提供されている。この方法には、内部コアを含む電柱を形成し、内部コアを囲む積層構造を含む電柱を形成することが含まれる。この積層構造は、繊維強化を含む強化構造体、強化構造体を囲む外層、及び少なくとも部分的に強化構造体と外層とが混合された樹脂を含んでおり、この樹脂は紫外線(UV)に対して耐性があり、外層における樹脂の濃度は強化構造体における樹脂の濃度よりも高い。ポールシールドを形成し、ポールシールドが電柱を囲むように電柱を設置することも含まれる。
【0021】
電柱を形成する際には、引抜き成形プロセスによって積層構造を形成する可能性がある。
ポールシールドを形成する際には、フィラメント巻きプロセスによってポールシールドを形成する可能性がある。
【0022】
この要約は必ずしも全ての側面の全範囲を説明するものではない。その他の側面、特徴、及び利点は、具体的な実施形態の以下の説明を検討することによって、通常の技術を持つ者に明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本開示の実施形態は、添付された図面とともに詳細に説明される。これには以下が含まれる。
図1A及び1Bは、本開示の実施形態による電柱の側面図及び断面図である。
図2は、本開示の実施形態による電柱の積層構造の断面図である。
図3は、図2の積層構造の一部の部分断面図である。
図4A及び4Bは、本開示の実施形態によるポールシールドで保護された電柱アセンブリの側面図及び断面図である。
図5A~5Cは、本開示の実施形態による異なるポールシールドの概略図である。
図6は、本開示の実施形態によるポールシールドの積層構造の断面図である。
図7は、本開示の実施形態により引抜き成形で形成される電柱アセンブリの積層構造の製造方法のフローダイアグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本開示は、改良された電柱アセンブリ及び電柱アセンブリを作るための改良された積層構造を提供することを目的としている。以下に様々な実施形態が説明されているが、この開示はこれらの実施形態に限定されるものではなく、これらの実施形態のバリエーションも開示の範囲内に含まれる可能性がある。この範囲は、添付の請求の範囲によってのみ制限されるべきである。
【0025】
一般的に、この開示全体で「電柱アセンブリ」とは、ポールシールドに囲まれた電柱(この場合、UV保護はポールシールドによって提供される)又は保護ポールシールドのない電柱(この場合、UV保護は電柱を形成する積層構造によって提供される)を指すことがある。
【0026】
少なくともいくつかの実施形態によれば、本開示は、本質的にUV耐性のあるポリマーコンポジット材料で作られた円形チューブを有する電柱を含む電柱アセンブリについて説明している。ポールは、引抜き成形プロセスによって形成された脂肪族ポリウレタン樹脂(「脂肪族樹脂」としても言及されることがある)及びガラス繊維強化材を含む可能性がある。したがって、ポールは先行技術で見られるコーティングの性能問題に悩まされることなく、組み込まれたUV保護の恩恵を受けることができる。このようなUV耐性は、ポールの寿命を80年から100年の間に延ばすことができるかもしれない。
【0027】
さらに、ポールの比較的高い性能は、同等の木製電柱と比較して同等の剛性、優れた強度、及び増加した耐久性、信頼性、及び回復力を持つポールをもたらす可能性のある複合積層構造の使用によって達成されるかもしれない。例えば、積層構造内の層の異なる繊維方向の比率、ロービングと繊維生地及び/又はマットの面積重量の比率、及びそれらの積層構造内での相対的な位置付けを制御することにより、ポールは同等の木製電柱と比較して剛性と強度の特性を両立させることができる。さらに、同等の木製電柱の強度を超える追加のポールたわみを、破損することなく耐える能力により、複合ポールは木製電柱よりも高い信頼性と回復力を達成することができる。ここで説明されている複合電柱は、頻繁に発生する激しい嵐や高い風荷重が、従来の木製電柱よりも信頼性と回復力の高い構造を必要とする場合に、同等の木製電柱の直接交換を可能にするかもしれない。
【0028】
少なくともいくつかの実施形態において、電柱及び電柱を囲む保護ポールシールドを含む電柱アセンブリが説明されている。電柱が比較的長い寿命の利点を得られるように必要な紫外線保護を提供するために、ポールシールドは脂肪族樹脂と引抜き成形プロセスによって形成されたガラス繊維強化材料を含む複合積層構造で形成される可能性がある。ポール自体は、芳香族ポリウレタン樹脂(「芳香族樹脂」として言及されることがある)と引抜き成形プロセスによって形成された細かく織られたガラス繊維材料を含む可能性がある。芳香族樹脂は脂肪族樹脂よりも紫外線保護が少ないが、一般的に芳香族樹脂はコストが低く、脂肪族樹脂よりも生産速度を速めることができる。火災への曝露、衝撃による表面損傷、又は外側保護シールドを破壊又は損傷する可能性のある他の事象が発生した場合、シールドは取り外して簡単に交換でき、公共サービスの中断なく行うことができる。
【0029】
少なくともいくつかの実施形態において、複合樹脂-ガラス繊維を使用した電柱アセンブリのための積層構造が説明されている。電柱アセンブリは、完全に空洞である可能性のある内部コアを囲む電柱を含んでいる。電柱アセンブリはさらに、内部コアを囲み、ガラス繊維のような繊維強化を含む強化構造体を含む積層構造を含んでいる。積層構造はまた、紫外線(UV)に耐性のある樹脂を含み、強化構造体及び積層構造の外層と少なくとも部分的に混合されている。例えば、強化構造体の少なくとも一部、又はほとんど全てが樹脂によって含浸されることがある。また、外層の少なくとも一部、又はほとんど全てが樹脂によって含浸されることがある。積層構造の外層における樹脂の濃度は、強化構造体における樹脂の濃度よりも大きい。
【0030】
ポールシールドがない場合、積層構造は電柱自体を形成するために使用されるかもしれない。ポールシールドが使用されている場合、積層構造はポールシールドを形成するために使用され、異なる積層構造(例えばUV耐性のない樹脂、例えば芳香族樹脂を使用して)が基礎となる電柱を形成するために使用されるかもしれない。
【0031】
ある実施形態によると、強化構造体は、1つ又は複数のガラス繊維生地層やガラス繊維マット層などの1つ以上の繊維強化層を含む。1つ以上の繊維強化層は、第一の方向(例えば、内部コアによって定義される縦軸に平行)に伸びる第一の繊維要素(例えば、ガラス繊維の糸やロービング)を含んでいる。1つ以上の繊維強化層は、第一の繊維要素と角度をなす(例えば、縦軸の周りに円周方向に)第二の繊維要素を含んでいる。したがって、第一及び第二の繊維要素は、積層構造に沿った2つの別々の方向に強度と剛性を提供することができる。追加の繊維要素は、積層構造内の他の角度に、必要に応じて配置することができる。例えば、追加の繊維糸やロービングは、第一の繊維要素及び/又は第二の繊維要素に対して±45度の角度で配置されるかもしれない。
【0032】
ある実施形態によると、強化構造体は、積層構造の外層に隣接する細かく織られたガラス繊維生地層を含む。したがって、ガラス繊維生地層は、紫外線耐性樹脂の大部分が積層構造の外表面に近い位置にあることを確実にするのに役立ち、その結果、積層構造を取り入れた電柱アセンブリの全体的な紫外線性能特性の向上に寄与するかもしれない。
【0033】
ここで説明された積層構造の結果として、木製電柱と比較した場合、ここで説明された電柱アセンブリは、紫外線による劣化に対する耐性を含む改善された耐候性を示す可能性があり、同様の性能特性を示す。さらに、複合材料は昆虫に対して不浸透であり、腐朽や他の自然な崩壊過程による影響を受けることはない。これは、屋外環境に晒される木製建築材料で見られるものである。
【0034】
図1A及び1Bについて説明すると、開示の一実施形態に従った電柱100の側面図及び断面図が示されている。特に、図1Bは線A-Aに沿って撮影された電柱100の断面図である。電柱100は、以下で詳細に説明される引抜き成形プロセスによって形成された外側の円筒形をなす積層構造10を含んでいる。例えば、積層構造10は、米国特許公開番号US 2009/0023870に記載された引抜き成形プロセスに従って形成される可能性があり、ここに全体として参照によって組み込まれている。ある実施形態において、積層構造10は、技術を有する者に知られている他の1つ以上のプロセスに従って形成される可能性がある。例えば、引抜き成形プロセスのみに従って形成されるのではなく、積層構造10は引抜き成形とフィラメント巻きの組み合わせ、又はフィラメント巻きのみによって形成される可能性がある。
【0035】
電柱100はさらに、電柱100の全長にわたって延びる中空の内部コア11と、積層構造10に囲まれたものを含んでいる。電柱100は、配布用途のために30フィートから60フィート、サブトランスミッション用途のために60フィートから100フィートなど、様々な長さにサイズ設定される可能性がある。図1Bでは積層構造10が円筒形をしているが、積層構造10は三角形、長方形、又は六角形など、他の適切な形状に従って形成される可能性がある。
【0036】
一般的に、追加の多くの層に加えて、積層構造10はガラス繊維強化と紫外線耐性樹脂の混合物を含んでいる。ある実施形態において、樹脂は脂肪族樹脂である。脂肪族樹脂は、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)で終端されたポリエーテルプレポリマー又はヘキサメチレンジイソシアネートに基づく脂肪族イソシアネート樹脂である可能性がある。
【0037】
ある実施形態によると、ガラス繊維の代わりに、玄武岩繊維やカーボン繊維など、他の種類の繊維を使用した繊維強化が使用される可能性がある。ある実施形態によると、樹脂はASTM G154(非金属材料の露出のための蛍光紫外線(UV)ランプ装置の操作に関する標準実施規程)に従って加速耐候試験で少なくとも8,000時間耐えることが求められ、ブリスタリング、クラック、チェッキング、フレーキングなどの顕著な劣化がないことが求められる。
【0038】
以下で詳述される引抜き成形プロセスに従って積層構造10を形成する際、ガラス繊維は樹脂によって含浸される。したがって、積層構造10の全て又はほぼ全ての表面に組み込まれたUV保護が存在する可能性がある。特に、樹脂によって提供されるUV耐性は、積層構造10の外表面から内部コア11にまで及ぶ可能性がある。ある実施形態によると、積層構造10の外表面近く(例えば、外表面から0.002インチから0.010インチの間)では、積層構造10の組成は100%樹脂である可能性がある。徐々に、積層構造10の外表面からの距離が増すにつれて、樹脂の濃度は約20%~35%(重量比)まで下がる。これは、樹脂が積層構造10の最外層下のガラス繊維生地層に入るときのことである。
【0039】
ある実施形態によると、上記のように積層構造を組み込んだ電柱は、直径が8インチから20インチの範囲で、積層構造の厚さが0.2インチから0.6インチの範囲の円筒形チューブを引抜き成形することによって形成される可能性がある。ある実施形態によると、積層構造10(図2に示され、以下でさらに詳しく説明される例)は、1~4層のガラス繊維ロービング層と連続フィラメントガラス繊維マット層を交互に配置した強化構造体12と、2~12層のガラス繊維強化層(ガラス繊維マット層又はガラス繊維生地層)を含む可能性がある。各ガラス繊維マット層は、電柱によって定義された縦軸に対して0度から90度の間の方向に配向された繊維を様々な割合で含む可能性がある。各ガラス繊維マット層には、ランダムな切断繊維又はランダムな連続繊維がマット形式で含まれている可能性がある。各ガラス繊維生地層には、加工性を向上させ、積層構造全体にわたって樹脂の湿潤を容易にするために、ランダムな切断繊維が含まれる可能性がある。
【0040】
図1A及び1Bは、電柱アセンブリにポールシールドが含まれず、そのため紫外線保護が電柱自体に組み込まれている実施形態に関連しているが、他の実施形態によると紫外線保護はポールシールドによって提供される可能性がある(例えば、以下の図4A及び4Bに関連して説明されている)。そのような場合、他の種類の樹脂が電柱の積層構造を形成するために使用される可能性がある。例えば、脂肪族樹脂を含む複合ポールシールドによって保護されている場合、電柱は芳香族樹脂を含む可能性がある。この芳香族樹脂は、ポリマー型ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、及び/又は2,4-ジフェニルメタンジイソシアネートに基づく芳香族樹脂である可能性がある。
【0041】
図2に移ると、図1Aで見られる線B-Bに沿って撮影された積層構造10の断面図が示されている。図2は説明目的のために使用されており、必ずしもスケールに基づいているわけではないことに注意してくれ。さらに、図の明瞭性を助けるために隣接する層の間にスペースが含まれている。
【0042】
図2に見られるように、積層構造10は外表面(例えば、外部環境に接触する積層構造10の表面)から内側表面(例えば、中空の内部コア11に接触する積層構造10の表面)にかけての層を含んでいる。特定の実施形態によると、層の総数は調整される可能性があり、積層構造10の特定の望ましい特性に応じて層の相対位置が調整される可能性がある。
【0043】
積層構造10の外表面から内側表面にかけて、積層構造10は次の層を含んでいる。
外側樹脂層13、細かく織られたガラス繊維生地層14、外側ガラス繊維ロービング層15、外側ガラス繊維生地層16、外側連続フィラメントガラス繊維マット層17、中央ガラス繊維ロービング層18、内側ガラス繊維生地層19、内側連続フィラメントガラス繊維マット層20、及び内側ガラス繊維ロービング層21である。
【0044】
ガラス繊維生地層16及び19は、面積当たり12から36オンスの範囲の重量がある。ガラス繊維生地層16及び19は追加の構造補強を提供し、以下でさらに詳しく述べるように、一方向性、双方向性、又はオフ軸繊維(つまり、電柱100の縦軸に対して角度を持つ繊維)を含むことができる。これは積層構造10の設計特性に応じたものである。異なる方向に延びる繊維の量と割合は、必要に応じて積層構造10の特性を変更するために変更される可能性がある。例えば、ある実施形態によると、一方の方向に延びる繊維と他の方向に延びる繊維の比率は1:1である可能性があるが、他の実施形態によると、比率が不均等であるため、一方の方向に延びる繊維の量が他の方向に延びる繊維の量に対して不釣り合いに多い可能性がある(例えば2:1、3:1、又は5:1など)。
【0045】
連続フィラメントガラス繊維マット層17及び20は、面積当たり0.5から3.0オンスの範囲の重量がある。連続フィラメントガラス繊維マット層17及び20は、積層構造10を通じて樹脂の流れを促進し、引抜き成形プロセス中には、金型内での圧縮時に適切なウェットアウトと閉じ込められた空気の排出を保証する。
【0046】
ガラス繊維ロービング層15、18、及び21の厚さは、積層構造10の望ましい強度と剛性を達成するために変更されることがあり、電柱100の曲げ剛性と強度に最も大きな影響を与える。図2に示されているように、ガラス繊維ロービング層15、18、及び21は、積層構造10全体に散在する異なる領域にグループ化されることがある。
【0047】
ガラス繊維生地層14は、例えば、1平方インチあたり約18×18糸から約24×24糸の比較的小さな糸を持つ生地を含むことがある。さらに、生地は面積当たり約4オンスから約10オンスの重量がある。
【0048】
積層構造10内で使用される樹脂が100%脂肪族でない場合でも、外側樹脂層13はできれば100%脂肪族であるべきである。これにより、電柱100が非常に耐久性があり、多様な環境や用途で延長された寿命の恩恵を受けることができる。外側樹脂層13の下にある積層構造10の下層は、ある実施形態によると、重量比で50~80%のガラス繊維強化と20~50%の樹脂を含んでいる。
【0049】
中央ガラス繊維ロービング層18は、隣接する外側及び内側のガラス繊維生地層16及び19によって安定化されている。ガラス繊維生地層16及び19には、電柱100によって定義される縦方向に延びる軸方向の繊維と、電柱100によって定義される縦軸に垂直に延びる周方向の繊維の両方が含まれている。周方向の繊維は、圧縮荷重の下で隣接する軸方向の繊維が早期に座屈しないように、積層構造10に与えられる径方向の剛性が適切であることを保証するかもしれない。ある実施形態によると、軸方向の繊維と周方向の繊維の面積当たりの重量比は1:3の範囲にあるかもしれない。ある実施形態によると、軸方向の繊維と周方向の繊維の合計面積当たりの重量は約18~36オンス/平方ヤードで、軸方向の繊維の面積当たりの重量が約4~12オンス/平方ヤード、周方向の繊維の面積当たりの重量が約9~18オンス/平方ヤードである可能性がある。
【0050】
図3は、積層構造10の最外層に近い部分の拡大図であり、樹脂が豊富な外側樹脂層13(これは100%の樹脂からガラス繊維生地層14との界面付近で20%~35%の樹脂に移行する可能性がある)が積層構造10を包み込み、積層構造10を環境劣化から保護する。
【0051】
したがって、図1A~3に関連して、耐久性のあるガラス繊維生地層(例:ガラス繊維生地層14)を備えた引抜き成形された電柱が記載されている。ガラス繊維生地層14は、微細な繊維(つまり、小さな繊維の糸)を使用した織られた軽量のガラス繊維布の統合に基づいている。これにより、電柱には、組み込み型のポリマー保護布層と、ガラス繊維生地層14の上にある樹脂が豊富な外層(例:外側樹脂層13)の両方が提供される可能性がある。樹脂が樹脂が豊富な外層から生地内の布を浸透して樹脂が豊富な表面仕上げと残りの積層構造と構造的に統合された封じ込め層を形成することで、ポールの耐久性が向上し、UV、衝撃、火災、及び電気アークフラッシュの状況に対して下部のガラス繊維ロービング層を保護する。これにより、物理的接触、風化効果、又は火災の影響で発生する可能性のある繊維生地の開花、ブルーミング、スプレー、又は軸方向のクラックの発生を排除又は軽減することができる。
【0052】
外側のガラス繊維布層を組み込むだけでなく、ポールの積層構造には、1つ以上の強化ガラス繊維生地層が含まれており、これにより、ポールは同等の木製電柱と同等の強度と剛性の利益を得ることができる。強化ガラス繊維生地層の配置場所は、追加の周方向の強度と剛性を提供する。さらに、積層構造の中央部の双方向ガラスロービング層に隣接して強化ガラス繊維生地層を配置することで、ポールの偏心安定性が向上し、ポールの楕円化が制限される。非クリンプ織物構造での周方向繊維の負荷が高い隣接することにより、積層構造の周方向の剛性が増加し、軸方向の繊維の列に対して支持を提供し、堅牢な中央ガラス繊維ロービング層に対する支えとして機能する。
【0053】
脂肪族樹脂を含む場合(図1A~2の実施例のように)、外側樹脂層13と微細なガラス繊維生地層14は、積層構造10の外周を形成し、ポールに統合される。一方、ポールが芳香族樹脂を含む場合(例えば、図4A、4B、及び6に関連して説明されているように)、最外部の樹脂層は依然として存在するが、その下にある微細なガラス繊維生地層が使用されるかどうかは異なる。
【0054】
さらなる開示の実施形態によれば、保護用ポールシールドに囲まれた電柱からなる電柱アセンブリが記載されている。このような実施形態では、電柱は、繊維強化及び樹脂複合体からなる積層構造を使用して形成されることがある。電柱用に使用される樹脂は芳香族樹脂である可能性がある。必要なUV及び環境保護を提供するために、ポールシールドは繊維強化及び樹脂複合体からなる積層構造を使用して形成される。ただし、ポールシールドに組み込まれたUV保護を提供するために、ポールシールド用に使用される樹脂は、上記で説明した脂肪族樹脂である場合がある。ポールシールドは、電柱アセンブリの全体の外表面を覆い、これにより、脂肪族樹脂を使用した電柱アセンブリと同じ利点を提供するが、ポールシールドはない。
【0055】
したがって、ポールシールドを使用する場合、UV及び火災保護は、電柱アセンブリの外部の樹脂豊富な表面ではなく、主にポールシールドによって提供される。このような実施形態によれば、積層構造の外表面は非脂肪族樹脂を含み、例えば芳香族樹脂のような他のタイプの樹脂を含むことがある。一方、保護シールド自体は、芳香族樹脂などの本質的にUV耐性のある樹脂で構成される場合がある。ポールシールド自体が引抜き成形された積層構造を構成し、これは、ポールシールドを電柱アセンブリに固定するための1つ以上のポスト加工技術、例えば、ポールシールドを通じて適用され、電柱アセンブリに延長される自己穿孔又は自己ドリルねじを使用することによって、電柱アセンブリにロックされ、芳香族樹脂を完全に隠すことができる。一部の実施形態によれば、引抜き成形される代わりに、ポールシールドは1つ以上の他の製造技術に従って形成される場合がある。例えば、ポールシールドは引抜き成形と糸巻きの組み合わせ、又は単に糸巻きによって形成される場合がある。例えば、ポールシールド用に使用される積層構造(以下で詳述する積層構造60など)は、糸巻きによって形成される場合がある。
【0056】
一部の実施形態によれば、ポールシールドで保護された電柱アセンブリは、芳香族樹脂と脂肪族樹脂の両方を含む場合がある。例えば、電柱アセンブリの第1部分は芳香族樹脂を使用して形成され、第2部分は脂肪族樹脂を使用して形成される場合がある。そのような場合、ポールシールドは、芳香族樹脂を含むポールの部分にのみ延びるように構成される場合がある。さらに、電柱アセンブリが芳香族樹脂のみを含む場合でも、ポールシールドがポールの全長にわたって延びる必要がない場合があり、代わりにポールシールドはポールの一部分だけに延びる場合がある。例えば、ポールシールドは、45フィートの高さの電柱アセンブリの地面から20フィートまで延びる場合がある。
【0057】
図4A及び4Bは、ポールシールドで保護された電柱アセンブリを含む電柱アセンブリアセンブリの例を示している。特に、図4Aに示されているように、保護用のポールシールド50は、地面55から基盤となるポール56まで延びている(図4B)。保護キャップ58がポール56の上端に配置されている。ポールシールド50は、ポールシールド50とポール56を貫通する適切な留め具57を使用してポール56に固定される。図4Bに示されているように、ポールシールド50は、互いに接続された2つ以上の別々の部品で形成されている場合がある。保護キャップ58は、その主な機能として、雨、生物、及び昆虫がポール56に侵入するのを防ぐことである。
【0058】
図5A~5Cは、基盤となる電柱アセンブリを保護するために使用される異なるタイプのポールシールドを示している。特に、図5Aは、2つの互いに連結し重なり合うシールド部品51及び52から構成される分割シールドを示している。図5Bは、単一の統一された部品53から形成されたポールシールドを示している。図5Cは、ポールシールド55とシールド部品56及び57との間に収められた小さな隙間54を有する分割シールド(図5Aと同様)を示している。
【0059】
図6を見ると、基盤となる電柱アセンブリを保護するために使用されることがある積層構造60が示されている。積層構造60は、交互に配置された複数の繊維ガラスロービング層と連続繊維ガラスマット層及び繊維ガラス層で構成される強化構造体62を覆う樹脂豊富な外層63を含む。特定の実施形態によっては、層の総数や層の相対的な位置は、積層構造60の特定の望ましい特性に応じて調整される可能性がある。
【0060】
図6から見ると、積層構造60の外表面から内部表面まで、積層構造60は次の層を含む。
外側樹脂層63、細かく織られた繊維ガラス生地層64、外側繊維ガラスロービング層65、外側繊維ガラス生地層66、外側連続繊維ガラスマット層67、内側繊維ガラスロービング層68、及び内側連続繊維ガラスマット層69。
積層構造60の層は、上述の積層構造10に関連する対応する層と同様の特性を有する場合がある。
【0061】
ポールシールドの下には、電柱アセンブリを形成する積層構造は、図2に示されている積層構造10と同じである場合があるが、脂肪族樹脂の代わりに芳香族樹脂を使用し、上述のように、細かく織られた繊維ガラス生地層614を省略することができる。
【0062】
いくつかの実施形態において、ポールシールドを形成する部品の重量配分は次の範囲になる。
・細かく織られた繊維ガラス生地の重量の約0.5~2.0%
・連続繊維ガラスマットの重量の約7~15%(一部の実施形態では11.9%)
・繊維ガラスロービングの重量の約50~65%
・ガラスの重量の約70~82%(一部の実施形態では77.4%)
・樹脂の重量の約18~30%(一部の実施形態では22.6%)。
【0063】
図4A~6に関連して、脂肪族樹脂からなるポールシールドが芳香族樹脂からなる複合繊維樹脂電柱アセンブリを覆い、保護する実施形態が記載されている。このような実施形態では、ポールシールドを形成するために使用される積層構造は、図1A~3の文脈で使用される電柱アセンブリを形成するために使用される積層構造とほぼ同様の方法で機能する(すなわち、保護ポールシールドのない実施形態)。ポールシールドが局所的な衝撃を受けて損傷した場合、シールドを部分的に取り外し、新しいシールドを電柱アセンブリに取り付けられ、ポールを取り外す必要はない。また、ポールを再インストールする必要もない。
【0064】
図7を見ると、開示の実施形態に基づいてファイバー樹脂積層構造を引抜き成形によって形成する方法を示すフローダイアグラムが示されている。ブロック71では、望ましい積層設計を達成するために繊維プリフォーム(成形前繊維体)が組み立てられる。ブロック72では、繊維プリフォームが固定された内側マンドレルを備えた外側プロファイルモールドキャビティ(外形金型空洞)に引き込まれる。ブロック73では、プリフォームを引き出しながら、樹脂が外側プロファイル金型と固定された内側マンドレルから繊維プリフォームに圧力をかけて注入される。ブロック74では、プリフォームを引き出しながら、金型の空洞内でファイバーと樹脂の混合物を徐々に加熱して硬化し、最終的なプロファイル形状に固体化させる。形状が完全に固体化し、十分な強度を持ち、その後金型から出すという段階で、構造は金型の外に出る。ブロック75では、構造物が金型から出た後に、冷却が続く。ブロック76では、構造物が十分に冷却され、十分な強度に達したため、所定の長さに切断される。ブロック77では、ブロック73で使用された樹脂が芳香族樹脂である場合、脂肪族樹脂ポールシールドが電柱アセンブリに取り付けられ、露出したポール表面にポールシールドが取り付けられる。脂肪族樹脂ポールシールドは、ブロック73で説明した引抜き成形プロセスによって同様に製造され、ブロック73で脂肪族樹脂が使用される。
【0065】
樹脂配合の開発では、構造的な性能の必要性と同時に、金型への注入用の適切な粘度、高い体積率でのガラス繊維の浸透用の適切な粘度、及び金型内の段階での適切な温度での硬化のための適切な反応性のバランスを取る必要がある。一部の実施形態では、ポリオールブレンドの粘度は、室温で500~2,000センチポイズの範囲内で、好ましくは750~1,350センチポイズの範囲内になる。一部の実施形態では、脂肪族イソシアネートの粘度は、室温で150~1,500センチポイズの範囲内であり、好ましくは室温で500センチポイズ未満の範囲になる。引抜き成形中に、樹脂豊富な表面は、表面張力、樹脂の流れと圧力、及び金型形状など、プロセスの1つ以上のパラメータを調整することによって達成される可能性がある。
【0066】
二次被覆プロセスには、複合材料と被覆物との間に固有の結合界面があり、これは時間とともに劣化する可能性がある。また、被覆物自体が樹脂と同じ材料で統合的に硬化されていないため、親の構造用樹脂と比較して劣る結合が生じる。一方、本開示の実施形態によれば、下部構造と同じ樹脂で原位に形成された最外層の樹脂豊富層が、剥離することなく、構造的に安定し、耐久性があり、(脂肪族樹脂の場合)高い紫外線耐性を備えた積層構造の保護外層を形成する。そのような外側の保護層は、積層構造の寿命を改善する樹脂豊富層を構造に統合することにより、二次的に被覆されたポールを凌駕する。二次被覆の例には、塗装、インラインコーティング、インラインペイント、金型を出た後の二次材料のカプセル化(ジャケット、パーツに樹脂を流し込む、熱可塑性コーティング、メルトスプッタリングコーティング、及びサーマルスプレーコーティングなど)がある。
【0067】
特許請求の記載又は明細書で用いられる用語「含む(comprising)」又は「含む(including)」に関連して使用される「1つ(a)」又は「1つ(an)」は、「単数(one)」を意味することがあるが、「1以上(one or more)」、「少なくとも1つ(at least one)」、「1又は複数(one or more than one)」という意味にも一貫している。内容が明らかに異なることを指定していない限り、「a」又は「an」は上記のいずれかの意味を持つ可能性がある。同様に、「他の(another)」という用語は、明らかに異なる内容が指定されていない限り、少なくとも2番目以上を意味する場合がある。
【0068】
ここで使用される用語「一組の(coupled)」、「coupling」又は「一連の(connected)」は、使用される文脈によって異なる意味を持つ場合がある。例えば、「coupled」、「coupling」、又は「connected」という用語には、機械的又は電気的な意味がある。例えば、ここで使用される「coupled」、「coupling」、又は「connected」という用語は、特定の文脈に応じて、2つの要素又はデバイスが直接相互に接続されていることを示す場合もあれば、1つ以上の中間要素又はデバイスを介して相互に接続されていることを示す場合もある。ここで使用される「及び/又は(and/or)」は、リストされた項目のいずれか1つ又は複数を意味する。
【0069】
ここで使用される「約(about)」又は「約(approximately)」の数値に関する言及や、「実質的に(substantially)」という数値に等しいことを意味する言及は、その数値の正確度を±10%以内に含むことを意味する。本明細書では特定の実施形態に関連して開示されているが、この開示はこれらの実施形態に限定されず、これらの実施形態の変更、修正、及び変更が、専門家によってなされることが理解されており、本開示の範囲を逸脱することなく実施されることができる。また、本明細書で議論されている任意の側面又は実施形態の一部が、本明細書で議論されている他の任意の側面又は実施形態の任意の部分と実装又は組み合わせることが検討されている。
【符号の説明】
【0070】
10…積層構造
11…内部コア
12…強化構造体
13…外側樹脂層
14…ガラス繊維生地層
15…外側ガラス繊維ロービング層
16…外側ガラス繊維生地層
17…外側連続フィラメントガラス繊維マット層
18…中央ガラス繊維ロービング層
19…内側ガラス繊維生地層
20…内側連続フィラメントガラス繊維マット層
21…内側ガラス繊維ロービング層
50…保護ポールシールド
51…シールド部品
53…部品
54…隙間
55…ポールシールド
56…シールド部品
58…保護キャップ
60…積層構造
62…強化構造体
63…外側樹脂層
64…繊維ガラス生地層
65…外側繊維ガラスロービング層
66…外側繊維ガラス生地層
67…外側連続繊維ガラスマット層
68…内側繊維ガラスロービング層
69…内側連続繊維ガラスマット層
71~77…ブロック
100…電柱
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-06-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内芯を備える電柱と、
内部コアを取り囲む積層構造と
を含む電柱アセンブリであって、
繊維強化材を含む強化構造体と、
前記強化構造体を取り囲む外層と、
前記強化構造体及び前記外層と少なくとも部分的に混合された樹脂と
を含み、
前記樹脂は紫外線(UV)放射に対して耐性があり、
前記外層内の前記樹脂の濃度は、前記強化構造体内の樹脂の濃度よりも高く、
前記強化構造体がさらに1つ以上の繊維強化層を含み、
前記各繊維強化層が、
第1の方向に伸びる第1の繊維要素と、
第1の方向に対して角度を持って第2の方向に伸びる第2の繊維要素と
を含み、
前記1つ以上の繊維強化層のうちの少なくとも1つについて、前記第1の繊維要素の総重量は、前記第2の繊維要素の総重量よりも小さい
ことを特徴とする電柱アセンブリ。
【請求項2】
前記内部コアが中空であることを特徴とする請求項1に記載の電柱アセンブリ。
【請求項3】
前記繊維強化材がガラス繊維を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の電柱アセンブリ。
【請求項4】
前記各繊維強化層がガラス繊維生地又はガラス繊維マットを含むことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の電柱アセンブリ。
【請求項5】
前記第1の方向が前記電柱によって定義される縦軸に平行であり、
前記第2の方向が前記第1の方向に垂直である
ことを特徴とする1~4のいずれか一項に記載の電柱アセンブリ。
【請求項6】
前記第2の方向が縦軸に対して周方向であることを特徴とする請求項に記載の電柱アセンブリ。
【請求項7】
1つ以上の前記繊維強化層が外側繊維強化層及び内側繊維強化層を含むことを特徴とする請求項のいずれかの項に記載の電柱アセンブリ。
【請求項8】
前記強化構造体がさらに1つ以上のガラス繊維ロビング層を含み、
外側及び内側の前記繊維強化層が1つ以上のガラス繊維ロビング層の少なくとも一方の反対側に配置されることを特徴とする請求項に記載の電柱アセンブリ。
【請求項9】
外側及び内側の前記繊維強化層の少なくとも1つが1つ以上のガラス繊維ロビング層と接触していることを特徴とする請求項に記載の電柱アセンブリ。
【請求項10】
前記第1の繊維要素の面積重量と前記第2の繊維要素の面積重量の比率が約1:3であることを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の電柱アセンブリ。
【請求項11】
前記第1の繊維要素と前記第2の繊維要素の面積重量の合計が約24オンス/平方ヤードであることを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載の電柱アセンブリ。
【請求項12】
前記強化構造体がさらに1つ以上のガラス繊維ロビング層を含むことを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載の電柱アセンブリ。
【請求項13】
前記強化構造体は、1つ以上の繊維強化層と1つ以上の連続フィラメントマット層をさらに含み、
前記1つ以上の連続フィラメントマット層の少なくとも1つが、1つ以上のガラス繊維強化層と1つ以上のガラス繊維ロービング層の少なくとも1つの間に挿入されていることを特徴とする請求項12に記載の電柱アセンブリ。
【請求項14】
1つ以上の前記連続フィラメントマット層の少なくとも1つが、1つ以上の前記ガラス繊維ロービング層の少なくとも1つと接触していることを特徴とする請求項13に記載の電柱アセンブリ。
【請求項15】
前記強化構造体はさらにガラス繊維生地層を含むことを特徴とする請求項1~14のいずれか一項に記載の電柱アセンブリ。
【請求項16】
前記ガラス繊維生地層の面積重量は、約4約10オンス/平方ヤードであることを特徴とする請求項15に記載の電柱アセンブリ。
【請求項17】
前記ガラス繊維生地層は、約18×18本/平方インチ約24×24本/平方インチの織り方を有するガラス繊維生地を含むことを特徴とする請求項15または16に記載の電柱アセンブリ。
【請求項18】
前記ガラス繊維生地層は前記外層に接触していることを特徴とする請求項15~17のいずれかに記載の電柱アセンブリ。
【請求項19】
前記積層構造は、外側表面から前記内部コアに向かう方向に、
ガラス繊維生地層と、
外側のガラス繊維ロービング層と、
外側繊維強化層と、
外側の連続フィラメントマット層と、
中央のガラス繊維ロービング層と、
内側繊維強化層と、
内側の連続フィラメントマット層と、
内側のガラス繊維ロービング層と
を含むことを特徴とする請求項1~18のいずれか1項に記載の電柱アセンブリ。
【請求項20】
前記積層構造は、外側表面から前記内部コアに向かう方向に、
ガラス繊維生地層と、
外側のガラス繊維ロービング層と、
繊維強化層と、
外側の連続フィラメントマット層と、
内側のガラス繊維ロービング層と、
内側の連続フィラメントマット層と
をさらに含むことを特徴とする請求項1~19のいずれかに記載の電柱アセンブリ。
【請求項21】
前記外層は樹脂のみからなることを特徴とする請求項1~20のいずれかに記載の電柱アセンブリ。
【請求項22】
繊維強化の重量割合と樹脂の重量割合の比率は、繊維強化が75%から82%であり、樹脂が18%から25%であることを特徴とする請求項1~21のいずれかに記載の電柱アセンブリ。
【請求項23】
前記積層構造が引抜き成形プロセスによって形成されることを特徴とする請求項1~22のいずれかに記載の電柱アセンブリ。
【請求項24】
前記樹脂が脂肪族ポリウレタン樹脂であることを特徴とする請求項1~23のいずれかに記載の電柱アセンブリ。
【請求項25】
前記電柱が前記積層構造を含むことを特徴とする請求項1~24のいずれかに記載の電柱アセンブリ。
【請求項26】
前記電柱アセンブリが前記電柱を囲むポールシールドを含まないことを特徴とする請求項25に記載の電柱アセンブリ。
【請求項27】
ポールシールドが前記電柱を囲むように構成され、前記ポールシールドが前記積層構造を含むことを特徴とする請求項1~24のいずれかに記載の電柱アセンブリ。
【請求項28】
前記ポールシールドが前記電柱に取り付けられる1つ以上の留め具を使用して固定されることを特徴とする請求項27に記載の電柱アセンブリ。
【請求項29】
前記ポールシールドが電柱の一部の長さにわたって延びることを特徴とする請求項2又は28に記載の電柱アセンブリ。
【請求項30】
前記ポールシールドが電柱の長さ全体にわたって延びることを特徴とする請求項27又は28に記載の電柱アセンブリ。
【請求項31】
前記電柱が、芳香族ポリウレタン樹脂をさらに含むことを特徴とする請求項2730のいずれかに記載の電柱アセンブリ。
【請求項32】
前記電柱が、
前記内部コアを取り囲む追加積層構造をさらに含み、
この追加積層構造は、
追加繊維強化を含む追加強化構造体と、
前記追加強化構造体を囲む追加外側層と
を含み、
前記樹脂が、前記追加強化構造体及び前記追加外側層と少なくとも部分的に混合されたものであり、
前記追加外側層中の樹脂の濃度は、前記追加強化構造体中の樹脂の濃度よりも高い
ことを特徴とする請求項2731のいずれかに記載の電柱アセンブリ。
【請求項33】
追加樹脂が芳香族ポリウレタン樹脂を含むことを特徴とする請求項32に記載の電柱アセンブリ。
【請求項34】
前記ポールシールドがフィラメント巻線プロセスによって形成され、かつ前記電柱が引抜き成形プロセスによって形成されることを特徴とする請求項33に記載の電柱。
【請求項35】
前記ポールシールドがフィラメント巻線プロセスによって形成されることを特徴とする請求項2734のいずれかに記載の電柱アセンブリ。
【請求項36】
電柱アセンブリ用の積層構造であって、
繊維強化を含む強化構造体と、
前記強化構造体を覆う外側層と、
強化構造体及び外側層と少なくとも部分的に混合された樹脂とを含み、
前記樹脂は紫外線(UV)に対して耐性があり、かつ前記外側層中の樹脂の濃度は、前記強化構造体中の樹脂の濃度よりも高く、
前記強化構造は1つ以上の繊維強化層を含み、
各繊維強化層は、第1の方向に延びる第1の繊維要素と、第1の方向に対してある角度で第2の方向に延びる第2の繊維要素とを含み、
1つ以上の繊維強化層のうちの少なくとも1つについて、第1の繊維要素の総重量は、第2の繊維要素の総重量よりも小さい
ことを特徴とする電柱アセンブリ用の積層構造。
【請求項37】
積層構造を作製する方法であって、
繊維強化材を含む繊維プリフォームを提供する工程と、
前記プリフォームを成形するために、金型の空洞内に配置されたマンドレル上で前記プリフォームを引っ張る工程と、
前記引っ張り中に、樹脂が前記プリフォームと少なくとも部分的に混合されるように前記プリフォームに樹脂を注入する工程と、
引っ張り及び射出の後、プリフォームを硬化させて、中空の内部コアを取り囲み、繊維強化材の1つ又は複数の層を覆う外層を含む積層構造を形成する工程と
を含み、
前記樹脂は紫外線(UV)放射に対して耐性を有し、
硬化後における外層の樹脂の濃度は、前記繊維強化材の1つ以上の層の樹脂の濃度よりも高く、
前記強化構造は1つ以上の繊維強化層を含み、
各繊維強化層は、第1の方向に延びる第1の繊維要素と、第1の方向に対してある角度で第2の方向に延びる第2の繊維要素とを含み、
1つ以上の繊維強化層のうちの少なくとも1つについて、第1の繊維要素の総重量は、第2の繊維要素の総重量よりも小さい
ことを特徴とする積層構造を作製する方法。
【請求項38】
電柱アセンブリを修理する方法において、
前記電柱アセンブリは、
内部コアを有する電柱と、
前記電柱を囲む、フィラメントワインディングによるポールシールドと
を含み、
前記ポールシールドは、
繊維強化を含む強化構造体と、
前記強化構造体を覆う外側層と、
前記強化構造体及び外側層と少なくとも部分的に混合された樹脂と
を含み、前記樹脂は、
紫外線(UV)に対して耐性があり、及び前記外側層中の前記樹脂の濃度は、強化構造体中の樹脂の濃度よりも高く、
前記方法では、
損傷を受けたポールシールドの少なくとも一部を取り外し、
損傷を受けていない新しいポールシールドの少なくとも一部で損傷を受けたポールシールドの少なくとも一部を交換する
ことを特徴とする電柱アセンブリの修理方法。
【請求項39】
電柱アセンブリを設置する方法であって、
内部コアと内部コアを囲む積層構造とを含ませて電柱を形成する工程と、
ポールシールドを形成するとともに、前記ポールシールドで前記電柱を囲むようにして当該電柱を設置する工程と
を含み、
前記積層構造は、
繊維強化を含む強化構造体と、
強化構造体を囲む外側層と、
前記強化構造体と前記外側層とともに少なくとも部分的に混合された樹脂と
を含み、
前記樹脂は紫外線(UV)に対して耐性があり、かつ外側層中の樹脂の濃度は、強化構造体中の樹脂の濃度よりも高く
前記強化構造は、1つ以上の繊維強化層をさらに含み、
各繊維強化層は、第1の方向に延びる第1の繊維要素と、第1の方向に対してある角度で第2の方向に延びる第2の繊維要素とを含み、
1つ以上の繊維強化層のうちの少なくとも1つについて、第1の繊維要素の総重量は、第2の繊維要素の総重量よりも小さい
ことを特徴とする電柱アセンブリの設置方法。
【請求項40】
前記電柱を形成する工程は、引抜き成形プロセスに従って積層構造を形成する工程を含み、
前記ポールシールドを形成する工程は、フィラメント巻線プロセスに従って前記ポールシールドを形成する工程を含む
ことを特徴とする請求項39に記載の電柱アセンブリの設置方法。
【請求項41】
内芯を備える電柱と、
内部コアを取り囲む積層構造と
を含む電柱アセンブリであって、
繊維強化材を含む強化構造体と、
前記強化構造体を取り囲む外層と、
前記強化構造体及び前記外層と少なくとも部分的に混合された樹脂と
を含み、
前記樹脂は紫外線(UV)放射に対して耐性があり、
前記外層内の前記樹脂の濃度は、前記強化構造体内の樹脂の濃度よりも高く、
前記強化構造体が
1つ以上のガラス繊維ロビング層と、
外側繊維強化層及び内側繊維強化層を含み、これら外側及び内側の繊維強化層が前記1つ以上のガラス繊維ロビング層の少なくとも一方の反対側に配置された1つ以上の繊維強化層と
を含むことを特徴とする電柱アセンブリ。
【国際調査報告】