(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-14
(54)【発明の名称】燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
H01M 8/18 20060101AFI20241107BHJP
H01M 8/10 20160101ALI20241107BHJP
【FI】
H01M8/18
H01M8/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520879
(86)(22)【出願日】2022-10-03
(85)【翻訳文提出日】2024-05-09
(86)【国際出願番号】 EP2022077460
(87)【国際公開番号】W WO2023057383
(87)【国際公開日】2023-04-13
(32)【優先日】2021-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521229588
【氏名又は名称】サングル-フェリエール ブルーノ
【氏名又は名称原語表記】SANGLE-FERRIERE BRUNO
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【氏名又は名称】村上 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100160738
【氏名又は名称】加藤 由加里
(74)【代理人】
【識別番号】100166718
【氏名又は名称】石渡 保敬
(72)【発明者】
【氏名】サングル-フェリエール,ブルーノ
【テーマコード(参考)】
5H126
【Fターム(参考)】
5H126AA10
5H126BB10
5H126FF05
5H126GG02
5H126GG11
5H126GG12
5H126RR07
(57)【要約】
電気化学反応燃料電池システムであって、
カソード(8)、
アノード(1)、ここで、前記アノード及び前記カソードのうちの少なくとも一方が、溶融状態で、少なくとも1種の金属、少なくとも1種の金属水酸化物又は少なくとも1種の金属酸化物を含む、
前記カソードと前記アノードとの間に配置された固体電解質(7)、
前記アノード及び前記カソードのうちの少なくとも一方で回収された酸化還元反応生成物のうちの少なくとも一方から出発して、前記アノード若しくは前記カソードのうちの少なくとも一方を構成する少なくとも1つの生成物、又は前記アノード若しくは前記カソードのうちの少なくとも一方で消費された燃料若しくは酸化剤を、反応によって再生するための少なくとも1つの再生器(4)
を備えており、
ここで、再生生成物のうちの1つは、液体金属若しくは液体金属酸化物からなる電極として、又は燃料若しくは酸化剤の形態で、前記燃料電池システム内に再導入され、前記再生を可能にする反応のうちの1つ、又は酸化還元反応の反応物のうちの1つの再生を可能にする反応のうちの1つは吸熱性である、
前記燃料電池システム。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気化学反応燃料電池システムであって、
カソード(8)、
アノード(1)、ここで、前記アノード及び前記カソードのうちの少なくとも一方が、溶融状態で、少なくとも1種の金属、少なくとも1種の金属水酸化物又は少なくとも1種の金属酸化物を含む、
前記カソードと前記アノードとの間に配置された固体電解質(7)、
前記アノード及び前記カソードのうちの少なくとも一方で回収された酸化還元反応生成物のうちの少なくとも一方から出発して、前記アノード若しくは前記カソードのうちの少なくとも一方を構成する少なくとも1つの生成物、又は前記アノード若しくは前記カソードのうちの少なくとも一方で消費された燃料若しくは酸化剤を、反応によって再生するための少なくとも1つの再生器(4)
を備えており、
ここで、再生生成物のうちの1つは、液体金属若しくは液体金属酸化物からなる電極として、又は燃料若しくは酸化剤の形態で、前記燃料電池システム内に再導入され、前記再生を可能にする反応のうちの1つ、又は酸化還元反応の反応物のうちの1つの再生を可能にする反応のうちの1つは吸熱性である、
前記燃料電池システム。
【請求項2】
前記アノード(1)が、前記溶融状態で金属を含む、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記カソード(8)が、前記溶融状態で金属酸化物を含む、請求項1又は2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記溶融金属が、亜鉛、リチウム、マグネシウム、アルミニウム、鉛、ナトリウム、セシウム、ルビジウム、銅及びスズから選択される、請求項3に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
酸化亜鉛(ZnO)、酸化リチウム(Li
2O)、酸化マグネシウム(MgO)、アルミナ(Al
2O
3)、酸化鉛(PbO)、二酸化鉛(PbO
2)、酸化ナトリウム(Na
2O)、酸化セシウム(Cs
2O)、酸化ルビジウム(Rb
2O)、酸化銅(II)(CuO)、酸化銅(I)(Cu
2O)、酸化銅(III)(Cu
2O
3)、二酸化マンガン(MnO
2)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化マンガン(manganese hydroxide)、マンガナイト(MnOOH)、及び水酸化亜鉛(Zn(OH)
2)から選択される金属酸化物又は金属水酸化物を、前記アノード(1)で又は前記カソード(8)で生成又は消費するように構成されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
【請求項6】
(i) O
2-イオン交換膜、又は、
(ii) 固体の酸、又は、
(iii) アニオン交換膜、又は、
(iv) 金属イオン交換膜
から選択される固体電解質(7)を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
【請求項7】
前記アノード(1)と前記電解質(7)との間に分離膜を含み、ここで、前記分離膜がO
2-イオン交換体である、請求項6に記載の燃料電池システム。
【請求項8】
前記分離膜がセリアを含む、請求項7に記載の燃料電池システム。
【請求項9】
固体酸化物の形態で電解質(7)を含む、請求項7又は8に記載の燃料電池システム。
【請求項10】
280℃~1100℃の温度で作動するように構成されている、請求項7~9のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
【請求項11】
前記固体酸化物が、
イットリアで安定化されたジルコニア(YSZと呼ばれる)、
スカンジアで安定化されたジルコニア(ScSZと呼ばれる)、
セリア-塩セラミック複合材料(CSCsと呼ばれる)、
エルビア-カチオンで安定化されたビスマス(ERBと呼ばれる)、
ガドリニウムでドープされたセリア(GDCと呼ばれる)、
サマリアでドープされたセリア(SDCと呼ばれる)、
セリアでドープされたガドリニウムの層とエルビアで安定化されたビスマス酸化物の層とから形成されたセリア/ビスマス酸化物二層電解質(GDC-ESBと呼ばれる)、
ストロンチウム鉄酸化物SrFeO
2、
及びそれらの組み合わせ
から選択される、請求項9に記載の燃料電池システム。
【請求項12】
O
2-イオンが、分子状酸素を吸収する前記電池の前記電極に電子を供給することによって分子状酸素の解離に由来する、請求項1~11のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
【請求項13】
前記アノード(1)で及び/又は前記カソード(8)で消費される前記金属、前記金属水酸化物又は前記金属酸化物が少なくとも1つのリザーブに由来する、請求項1~12のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
【請求項14】
前記リザーブのうちの1つは、固体形態、特にはビーズの形態、であり、ここで、前記ビーズは、前記電極(1,8)に液体状態で導入される為に溶融される、請求項13に記載の燃料電池システム。
【請求項15】
前記電極(1,8)のうちの少なくとも一方での化学反応の生成物又はその一方が、反応生成物から分離されている、請求項1~14のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
【請求項16】
前記分離が、静的若しくは非静的沈降によって又は遠心分離によって行われる、請求項15に記載の燃料電池システム。
【請求項17】
酸化還元反応の反応物のうちの1つの再生を可能にする反応のうちの1つが吸熱性である、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項18】
電気分解の電気の全部又は一部が前記燃料電池(11)から供給される、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項19】
乗り物、住まい、産業又は公共の為に電気を作る為に、及び/又は核融合の為の装置に又は加速イオンによる中性子の生産の為の装置にエネルギーを供給又は共同供給する為の電気を作る為に、請求項1~18のいずれか1項に記載の燃料電池システムを使用する方法。
【請求項20】
前記燃料電池(11)から放出される熱は、上記された反応のうちの1以上の為に再利用されるが、マンガンの酸化の為にも再利用される可能性がある、請求項1~19のいずれか1項に記載の燃料電池システムを使用する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体電解質を有する電気化学セル(electrochemical cells)の使用による、熱からの電気の生成の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
今日まで、熱から電気エネルギーへの変換は、タービン、内燃機関(internal combustion engines)、又はランキンサイクル(Rankine cycles)によって行われることがほとんどである。これらの変換方法は効率が限られており、少なからぬエネルギー損失をもたらし、川内に、空気内に、又は海内に、ほとんどの場合消散する。その上、一方では、30%~60%というこれらの収率により、機能する為には大量の電気エネルギーが必要である或る新しいエネルギー源、特にはターゲット上のイオンの電気加速によって引き起こされる核融合、を使用することができず、一方では、これらの技術は電気に変換する際に熱の発生を伴う。
【0003】
慣用的な電気バッテリ(electric batteries)は、化学エネルギーを電気エネルギーに変換することが可能である。しかしながら、慣用的な設計は、固体電極で構成されており、消耗して、廃棄されるか、又は交換の為に取り外す必要があり、これらのバッテリが充電可能に設計されていない場合には、該慣用的な設計により、工業規模の電力生産(electricity production)の為にそれらを使用したり、又は乗り物にエネルギーを供給したりすることは困難である。
【0004】
その上、コーティングを施された固体電極を使用することにより、一般的に、電極に隣接して、エネルギーの生成の間に生じる酸化還元反応の生成物からなるデンドライト(dendrites)が形成される。これらのコーティング及びデンドライトは、ジュール効果による有意なエネルギー散逸を引き起こし、そして、バッテリの性能品質を低下させる。
【0005】
液体金属バッテリは、特にデンドライトの形成の問題を克服することが可能であり、それらの開発は、Na-Snタイプの溶融電極を有する最初のバッテリが提案された1960年代にさかのぼる。
【0006】
米国特許第US3,245,836は電池(cell)であって、該電池の電極が、多孔質セパレーターに含浸された液体NaCl電解液によって分離された溶融ナトリウムと溶融スズとから成る上記の電池を記載する。金属ナトリウムは負極で酸化され、及びナトリウムイオンは正極で還元され、ここで、金属ナトリウムはスズと混ざり合う。
【0007】
再生器により、熱処理によってスズをナトリウムから分離することができ、負極でのナトリウムの消費と正極でのナトリウムによるスズの汚染を補償する為に、純金属が該電池(cell)内に再注入されることができる。
【0008】
しかしながら、該電池(cell)の液体電解質、及びまた、各電極と電解質との間に固体セパレーターが存在することにより、該電池(cell)は非常にかさばり且つ効率が低下する。
【0009】
下記の論文:Next-Generation Liquid Metal Batteries Based on the Chemistry of Fusible Alloys, ACS Cent. Sci.,2020,6,1355-1366は、液体金属バッテリの開発の為の最近の幾つかの道筋を記載する。
【0010】
国際公開第WO2017/201228号は、炭化水素を燃料又は酸化剤として使用するSOFC(Solid Oxide Fuel Cell)(固体酸化物燃料電池)を開示する。
【0011】
米国特許出願公開第US2018/3745141号明細書及び米国特許出願公開第US2015/311545号明細書は、2つのSOFCを備えているシステムを開示する。
【0012】
国際公開第WO2008/138923号は、固体炭素ベースの基材を使用した燃料電池を開示する。
【0013】
国際公開第WO2008/044083号は、液体電解質を使用したガルバニ電池(galvanic cell)を開示する。
【0014】
米国特許出願公開第US2011014526号明細書は、炭素を含む燃料又は酸化剤を使用する燃料電池を開示する。
【0015】
国際公開第WO2014/201274号は、気体分離及び発生の為の金属を使用した電極を開示する。
【0016】
しかしながら、本発明者の知る限り、吸熱化学反応の実施による電極及び/又は燃料の再生方法を提案する解決策はほとんど存在しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
これらの開発が行われているにもかかわらず、多様な熱源から高効率で電気を発電することを可能にする、コンパクトで高性能な電池(cell)を備えているシステムの恩恵を受ける必要性が依然として残っている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、この必要性に応えることを目的とし、並びに、燃料電池システムであって、
カソード、
アノード、ここで、該アノード及び該カソードのうちの少なくとも一方が、溶融状態で、少なくとも1種の金属、少なくとも1種の金属水酸化物又は少なくとも1種の金属酸化物を含む、
該カソードと該アノードとの間に配置された固体電解質、
該アノード及び該カソードのうちの少なくとも一方を構成する少なくとも1つの生成物、又は該アノード又は該カソードのうちの少なくとも一方で消費された燃料若しくは酸化剤を、反応によって再生するための少なくとも1つの再生器
を備えている上記の燃料電池システムを提案することでこの目的を達成する。
【0019】
該再生器は、該電池(cell)による電気の生成の間に該アノード又は該カソードで生成した金属、金属合金又は金属酸化物からなる、該アノード又は該カソードで生じる酸化反応又は還元反応のうちの少なくとも一方の生成物のうちの少なくとも1つから、該生成物を再生することができる。
【0020】
本発明により、特には、電気を大量に消費し且つ高温で大量の熱を放出することができるところのエネルギー生産設備、例えば制御された核融合によるエネルギー生産施設、に電気を供給することを可能にする発電手段が利用可能である。本発明に従う電池(cell)は、相対的にコンパクトな体積のままでありながら、高い効率を示すことができる。
【0021】
本発明の意味において、語「電池システム」(cell system)は、連続的又は断続的に、電気と、再生の全て又は一部の生産を可能にするところのシステムを示す。
【0022】
該再生は、該アノード若しくは該カソードのうちの少なくとも一方を構成する生成物、又は該アノード若しくは該カソードのうちの少なくとも一方において吸熱反応により消費された燃料若しくは酸化剤のうちの少なくとも一方を再生することができる。該再生された燃料又は酸化剤は、分子状酸素(molecular oxygen)とは異なる場合がある。
【0023】
従って、この反応は、熱の供給のみを要求し、おそらくは分子状酸素以外の反応物の供給は必要ない。該アノード又は該カソードで生じる酸化反応又は還元反応のうちの少なくとも一方から回収される生成物以外の燃料を必要としない。特には、該再生には、該系の外部にある燃料を使用する必要はない。
【0024】
好ましくは、該電極、すなわち該アノード及び該カソードは、該区画の形態を有する。該再生器はまた、該電極の区画から分離された区画の形態であることができる。1以上の再生生成物は、該電極の区画の外部にあるパイプを介して該電極内に再注入されることができる。
【0025】
[発明の概要]
【0026】
溶融金属
【0027】
該アノードは好ましくは、溶融状態で金属を含む。該カソードは、溶融状態で金属、金属水酸化物又は金属酸化物を含むことができる。
【0028】
該溶融状態での金属は、燃料であることができ又は酸化剤であることができる。
にもなる。
【0029】
該金属は、亜鉛、リチウム、マグネシウム、アルミニウム、鉛、ナトリウム、セシウム、ルビジウム、銅、スズ及びそれらの合金から選択されることができる。好ましくは、該金属は亜鉛である。
【0030】
従って、該電池(cell)は、酸化亜鉛(ZnO)、酸化リチウム(Li2O)、酸化マグネシウム(MgO)、アルミナ(Al2O3)、酸化鉛(PbO)、二酸化鉛(PbO2)、酸化ナトリウム(Na2O)、酸化セシウム(Cs2O)、酸化ルビジウム(Rb2O)、酸化銅(II)(CuO)、酸化銅(I)(Cu2O)、酸化銅(III)(Cu2O3)、二酸化マンガン(MnO2)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化マンガン(manganese hydroxide)、マンガナイト(MnOOH)、水酸化亜鉛(Zn(OH)2)、及びそれらの組み合わせから選択される金属酸化物又は金属水酸化物を、該アノード又は該カソードで生成又は消費するように構成されることができる。
【0031】
特には、該カソードで二酸化マンガンを消費するように該電池(cell)が配置されることができる。
【0032】
固体電解質
【0033】
該固体電解質は、
(i) O2-イオン交換膜、又は、
(ii) 固体の酸、又は、
(iii) アニオン交換膜、又は、
(iv) 金属イオン交換膜
から選択されることができる。
【0034】
該O2-イオン交換膜は、固体酸化物であることができる。
【0035】
該電池システムは、該アノードと該電解質との間に分離膜を含むことができ、ここで、該分離膜は、O2-イオン交換体である。該分離膜は、セリアを含むことができる。
【0036】
固体酸化物電解質
【0037】
該電池(cell)は、SOFCとして知られる固体酸化物セルであることができる。該電解質は、固体酸化物の形態であることができる。
【0038】
該燃料電池システムは、280℃~100℃の温度で作動するように構成されることができる。
【0039】
該固体酸化物は、
イットリアで安定化されたジルコニア(yttria-stabilized zirconia)(YSZと呼ばれる)、
スカンジアで安定化されたジルコニア(scandia-stabilized zirconia)(ScSZと呼ばれる)、
セリア-塩セラミック複合材料(ceria-salt ceramic composites)(CSCsと呼ばれる)、
エルビア-カチオンで安定化されたビスマス(erbia-cation-stabilized bismuth)(ERBと呼ばれる)、
ガドリニウムでドープされたセリア(gadolinium-doped ceria)(GDCと呼ばれる)、
サマリアでドープされたセリア(samaria-doped ceria)(SDCと呼ばれる)、
セリアでドープされたガドリニウムの層とエルビアで安定化されたビスマス酸化物の層とから形成されたセリア/ビスマス酸化物に二層電解質(ceria/bismuth-oxide bilayered electrolyte)(GDC-ESBと呼ばれる)、
ストロンチウム鉄酸化物 SrFeO2、
及びそれらの組み合わせ
から選択されることが出来るが、これらに限定されるものでない。
【0040】
上記された最後の4つの固体酸化物は、例えば600℃~800℃の電池(cell)の動作温度で使用されることができ、それは、低い融点を有する金属の為に特に役に立つことができ、最後の電解液は500℃で使用されることができる。
【0041】
該固体酸化物は、式SrFeO2を有する、鉄とストロンチウムとから構成されることができ、それにより、280℃からO2-イオンが通過することができる。
【0042】
固体酸化物電池(cell)の場合、該アノードでの反応は下記の通りである:
M+O2- → MO+2e-
及び、該カソードでの反応は下記の通りである:
1/2O2+2e- → 2O2-
ここで、Mは、金属、例えば亜鉛Znである。
【0043】
O2-イオンが、分子状酸素を吸収する(absorb)該電池の該電極に電子を供給することによって分子状酸素の解離(separation)に由来することができる。分子状酸素は、空気から、又は空気から分子状酸素を抽出したゼオライト濃縮器から由来することができる。
【0044】
酸素を吸収する電極、特にはカソード、は、ランタンストロンチウムマンガナイト(lanthanum strontium manganite)又はランタンストロンチウムコバルトフェライト(lanthanum strontium cobalt ferrite)を含むことができる。ランタンストロンチウムマンガナイトは、イットリアで安定化ジルコニア(YSZと呼ばれる)を含む電解質から、ガドリニウムでドープされたセリア(GDCと呼ばれる)の膜によって保護されることができる。そのような膜は、およそ0.5μmの厚さを有することができる。
【0045】
次に、金属酸化物MO、例えば酸化亜鉛ZnO、は、溶融金属によって置換され、非酸化液体金属(nonoxidized liquid metal)と共に排出される。引き続き、該金属酸化物は好ましくは、沈降によって又は遠心分離機で該溶融金属から分離され、該金属酸化物が該溶融金属それ自体よりも密度が低い場合には、該溶融金属の中心部から抽出され、該溶融金属はまた、他端から抽出される。
【0046】
該金属酸化物は、好ましくは化学的手段と熱の供給とによって金属を与えるために再生され、該生成される可能性のある酸素は該カソードに供給するために再利用されることができる。
【0047】
固体の酸の電池(Solid Acid Cell)(SAFC)
【0048】
本発明の代替の実施態様において、該電解質は、固体の酸、例えばリン酸二水素セシウム(CsH2PO4)等、である。該カソードは、二酸化マンガン(MnO2)で構成されることができ、その電気伝導度を高めるために、有利には炭素分子と混合される。
【0049】
水は、該アノードの溶融金属の温度で、例えば、亜鉛の場合には440℃で、リチウムの場合には240℃で、好ましくは0.1気圧超、例えば1気圧、の水蒸気分圧下で、その分解を防ぐように、電解質の圧力が高く、例えば3GPa又は30気圧に、保たれるように、該アノードに高圧で運ばれる。
【0050】
次に、該アノードでの反応は下記の通りである:
M+H2O → MOH+H++2e-
及び、該カソードでの反応は下記の通りである:
1以上のMnO2+H++e- → 1以上のMnO(OH)
ここで、Mは、金属、例えばリチウムLiであり、及びMOHはその水酸化物、例えばLiOHであり、又は、また、例えば、Mは亜鉛であり、及びMOHはその水酸化物Zn(OH)2である。
【0051】
次に、金属水酸化物MOH、例えば水酸化リチウムLiOH、は、溶融金属によって置換され、非酸化液体金属(nonoxidized liquid metal)と共に排出される。金属酸化物は、その後、好ましくは、沈降又は遠心分離機で溶融金属から分離され、その中心から、金属水酸化物が金属自体よりも密度が低い場合には抽出され、その金属は他端からまた抽出される。
【0052】
該金属水酸化物は好ましくは、化学的手段と熱の供給と、場合によっては電気の供給とによって、例えば下記に記載された化学反応によって、金属を与える為に再生され、ここで、該電池(cell)によって生成された電気の一部が、金属水酸化物の再生の為に使用される反応の1つにおいて使用されて、金属を与えることができる。
【0053】
マンガナイトに変換された二酸化マンガンカソードは、溶融されることによって、例えば550℃で溶融されることによって、再使用されることができ、次に、該マンガナイトは、ろ過、沈殿又は遠心分離によって抽出され、次に、該酸化マンガンは、マンガナイトMnO(OH)を酸化して、およそ300℃で酸化マンガンMnO2を与えることによって、再生されることができる。
【0054】
陰イオン交換電解質
【0055】
本発明の代替の実施態様において、該電解質はOH-アニオンを伝導する膜であり、例えば、ヘキサメチルトリメチルアンモニウムで官能化されたディールス・アルダー・ポリフェニレン(hexamethyl trimethylammonium-functionalized Diels-Alder polyphenylene)(HTMA-DAPPと呼ばれる)、又は低密度ポリエチレン-ベンジルトリメチルアンモニウム(low density polyethylene-benzyltrimethylammonium)(LDPE-BTMAと呼ばれる)である。
【0056】
陰イオン交換電池(cell)の場合、該カソードは二酸化マンガン、好ましくは導電性を高める為にカーボンナノ粒子を含む二酸化マンガン、であることができ、及び該アノードは該電解質によって耐えられる温度の金属M液、例えば100℃のナトリウム等、であることができる。該カソードに水が導入される場合に、下記の電気化学反応が起こる:
該カソードで:MnO2+H2O+e- → MnOOH+OH-
及び、該アノードで:M+OH- → MOH+e-。
【0057】
次に、金属水酸化物MOH、例えば水酸化亜鉛Zn(OH)2、は、溶融金属によって置換され、非酸化液体金属と共に排出される。引き続き、金属水酸化物は好ましくは、沈降によって又は遠心分離機で溶融金属から分離され、該金属酸化物が該溶融金属それ自体よりも密度が低い場合には、該溶融金属の中心部から抽出され、該溶融金属はまた、他端から抽出される。
【0058】
二酸化マンガンカソード中及びその周囲で加圧下で循環する水は有利には、そこからマンガナイトを抽出する為に濾過されることができる。二酸化マンガナイトカソード(manganite dioxide cathode)は、マンガナイトをまた含むことができ、エンドレススクリュー(endless screw)の周りを循環し、そして、容器又は反応器に搬送されて、溶融され、例えば550℃で溶融され、そこで再使用されることができ、次に、該マンガナイトは、濾過、沈殿又は遠心分離によって抽出され、マンガナイトMnO(OH)の酸化によって、反応に従っておよそ300℃で酸化マンガンMnO2を与えることによって生成されうることができる。
MnO(OH)+1/2O2 → MnO2+1/2H2O
【0059】
該アノードの再生は、固体酸電池(solid acid cells)と同じ方法で達成されることができる。
【0060】
金属イオン交換膜電池(Metal ion exchange membrane cell)
【0061】
固体電解質は、金属イオン、例えば、Na3PS4、β-アルミナ、固体高分子電解質(solid-state polymer electrolytes)(SPEと呼ばれる)、の伝導体であることができ、特には、NaClO4及びTiO2ナノ粒子、ナトリウム超イオン伝導体(sodium superionic conductors)(NASICONと呼ばれる)、特にはNa3Zr2Si2PO12(NZSP)、Na11Sn2PS12又はNa2.88Sb0.88W0.12S4を包含する。β-アルミナは好ましくは、電解質として輸送しなければならない金属イオン、例えば、ナトリウムNa+イオン、カリウムK+イオン、リチウムLi+イオン、銀Ag+イオン、水素化物H+イオン、鉛Pb2+イオン、ストロンチウムSr2+イオン、バリウムBa2+イオン、のうちの1つと複合体化されている。
【0062】
一方の電極でイオン化された金属は、透過性のある膜を通過して他方の電極の金属と結合し、そして、それを組み合わせて、合金を形成する。
【0063】
該2つの金属は、例えばスズとナトリウムであることができ、ここで、該電池(cell)は好ましくは、2つの金属が液体である温度、例えばスズ/ナトリウム電池(cell)では240℃で操作される。
【0064】
代替的な形態において、該2つの金属は、電解質、例えばβ-アルミナからなる電解質、を用いて、例えば240℃で操作されるスズとカリウムであることができる。該合金は、金属に解離する温度、例えば870℃、まで加熱されることができ、この温度ではスズは液体であるが、カリウムは気体である。
【0065】
リザーブ(Reserve)
【0066】
アノードで及び/又はカソードで、電極のうちの少なくとも1つで、実際には電極の各々で、消費される金属、金属水酸化物又は金属酸化物は有利には、少なくとも1つのリザーブ、特にはこの金属又は酸化物のリザーブ、に由来することができる。
【0067】
該リザーブのうちの1つは固体形態、特にはビーズの形態、であることができ、ここで、該ビーズは該電極で液体状態で導入される為に溶融される。
【0068】
金属、金属水酸化物又は酸化物は、様々な形態で、特には固体形態で、例えば粉末、顆粒、ビーズ又はインゴットの形態で、このリザーブ内に存在することができ、例えば、金属又は酸化物は、ビーズの形態、例えば直径1mmのビーズの形態、である。液体材料の凝固に近い温度で溶融された該液体材料、例えば、溶融金属、溶融金属酸化物、溶融金属水酸化物、のパイプ内への希ガスの断続的注入により、例えば、これらの材料をビーズ状へと切断することができる。該リザーブ中に存在する金属は好ましくは、それを消費する電極で導入される前に溶融される。
【0069】
再生器(Regenerator)
【0070】
語「再生器」は、酸化還元反応生成物の少なくとも1つを、場合によっては反応生成物と混合して回収し、電極として又は該電極で導入される燃料若しくは酸化剤として使用されることができる1以上の化学体(chemical entities)を生成する為に処理することを可能にするシステムを示す。
【0071】
電極の少なくとも1つにおける化学反応の生成物又はそのうちの1つは、該反応生成物から分離されることができる。該分離は、静的若しくは非静的沈降によって、又は遠心分離によって行われることができる。
【0072】
該再生器は、物理的分離を使用することができる。
【0073】
物理的分離
【0074】
長時間の連続運転を可能にする為に、該電極のうちの少なくとも1つでの化学反応の生成物又はその1つは、反応生成物から分離される。
【0075】
この分離は好ましくは、物理的に、特には沈降によって又は遠心分離によって行われる。
【0076】
従って、該再生器は、電極から発生する混合物を遠心分離する為の遠心分離機を備えていることができる。従って、該金属酸化物は、該金属酸化物が金属よりも密度が低い場合に、遠心分離機の中央から抽出されることができ、該酸化物から解放された金属は、周辺部で回収される。
【0077】
必要に応じて、複数の遠心分離ステージが設けられることができる。
【0078】
電極のうちの少なくとも1つにおける化学反応の生成物のうち、混合又は分離されたものの少なくとも1つがタンク内に貯蔵されることができる。
【0079】
該再生器は、アノードの溶融金属から金属酸化物を抽出する為の遠心分離機を備えていることができる。代替的には、特に2つの物質が混和せず且つ異なる密度を有する場合に、例えば一方が液体で他方が液体上に浮遊する固体の場合に、該再生器は沈降によって作動することができる。
【0080】
タンク中に貯蔵された該製品は、特には、2つの電極のうちの一方に導入され且つ使用される製品とは逆向きに、予め冷やされることができ、次に、好ましくは、固化する前に丸いビーズへと切断される。
【0081】
水から抽出されたマンガナイト(Manganite)MnOOHは、粉末の形態で保存されることができる。
【0082】
化学再生
【0083】
物理的分離に加えて、又は物理的分離の代替として、電極のうちの少なくとも1つで消費された生成物のうちの少なくとも1つを再生するプロセスは、化学反応を含むことができる。
【0084】
該再生を可能にする反応又は反応物のうちの1つの再生を可能にする反応のうちの1つは吸熱性である。水素又は炭素の存在下で、熱を供給しながら酸化物を還元することができる。代替的には、この反応は水素又は炭素を必要としない場合がある。水素又は炭素を供給すること無しに酸化物を還元することにより、分子状酸素をまた生成することができる。好ましくは、再生工程が複数の反応を含む場合に、少なくとも1つの反応は吸熱性である。
【0085】
再生生成物のうちの一つは、金属又は金属酸化物からなる電極として、又は燃料若しくは酸化剤の形で、特には水素分子若しくは酸素分子が関係する場合に、該系内に再導入されることができる。
【0086】
例えば、酸化亜鉛が再生される必要がある場合に、反応に従って、およそ1000℃で水素化することによって金属亜鉛に変換されることができる:
ZnO+H2 → Zn+H2O。
【0087】
該反応は吸熱性であり、ここで、ZnO及びH2が、電極から又は再生プロセスに属する別の反応の生成物から回収される。
【0088】
酸化マグネシウムが再生されてマグネシウムを与える必要がある場合には、ピジョン還元(Pidgeon reduction)が用いられることができる:
MgO+C → Mg+CO
一酸化炭素は、高い温度、例えば650℃、で、発熱性のブードア反応(Boudouard reaction):2CO → CO2+Cによって炭素に変換されることが可能である。二酸化炭素は、例えば、オルトケイ酸リチウム(Li4SiO4)上に二酸化炭素を吸収させ、次に、二酸化炭素パイプライン内で、低圧、例えば0.04気圧で、脱着するサイクルによって、一酸化炭素と二酸化炭素との混合物から二酸化炭素を除去することが可能である。次に、該二酸化炭素は、高温の電気分解によって一酸化炭素と分子状酸素に変換される。
【0089】
該反応は吸熱性であり、ここで、MgO及びCが、該電極から又は再生プロセスに属する別の反応の生成物から回収される。
【0090】
該反応の1つにより、マンガナイト(MnOOH)を酸化して酸化マンガン(MnO2)を与えることができる:
MnOOH+1/2O2 → MnO2+1/2H2O,300℃で。
【0091】
該反応は吸熱性であり、ここで、MgOOH及びO2が電極から回収され又は空気に由来する。
【0092】
該反応のうちの1つは、酸化亜鉛を還元して亜鉛を与えることである:
ZnO → Zn+1/2O2。
【0093】
該反応は吸熱性であり、ここで、ZnOが電極から回収される。
【0094】
該反応のうちの1つは、水酸化亜鉛を変換して酸化亜鉛を与えること、又は水酸化リチウムを変換して酸化リチウムを与えることであることができる:
Zn(OH)2 → ZnO+H2O、
2LiOH → Li2O+H2O、例えば550℃超、120mmHg又は0.15気圧の水蒸気圧下。
【0095】
該反応のうちの1つは、酸化亜鉛を還元して、水素分子を消費して亜鉛を得ることである:
ZnO+H2 → Zn+H2O。
【0096】
該反応のうちの1つは、マグネシウムとの反応による酸化セシウムの還元である:
Cs2O+Mg → 2Cs+MgO
ここで、酸化マグネシウムは、例えば上記されたように再生される。
【0097】
該反応のうちの1つは、マグネシウムとの反応による酸化リチウムの還元である:
Li2O+Mg → 2Li+MgO
ここで、酸化マグネシウムは、例えば上記されたようにマグネシウムを与える為に再生される。
【0098】
該反応のうちの1つは、マグネシウムとの反応による酸化ルビジウムの還元である:
Rb2O+Mg → 2Rb+MgO
ここで、酸化マグネシウムは、例えば上記されたように再生される。
【0099】
該反応のうちの1つは、酸化亜鉛を一酸化炭素で還元する反応もあることができる:
ZnO+CO → Zn+CO2
【0100】
該反応は吸熱性であり、ここで、ZnO及びCOが、該電極から又は再生プロセスに属する別の反応の生成物から回収される。
【0101】
該反応のうちの1つは、水酸化ナトリウムを再生してナトリウムを与えることであり、それは、下記の反応から得られることができる:
4Fe+6NaOH → 2Fe2O3+6Na+3H2,500℃で吸熱性
Fe2O3+3CO → 2Fe+3CO2
ここで、高温電気分解によって一酸化炭素を与えて、二酸化炭素が再生される。
【0102】
鉄、水酸化ナトリウム及び一酸化炭素は電極から回収される。
【0103】
該再生器は、特には、例えば米国特許第US3,245,836号において示されているように、熱によって金属を与える合金の再生の為の装置を備えていることができる。ナトリウム-カリウム合金は、加熱することができ、好ましくは578℃超に加熱することができ、この温度超では、2つの金属間の合金は消失して、該2つの金属の為の空間のみが残る。
【0104】
該反応のうちの1つに炭素による還元がある。
【0105】
一酸化炭素の高温電気分解
【0106】
該反応のうちの1つは、高温の電気分解によって二酸化炭素を還元して一酸化炭素を与えることである:
CO2 → CO+1/2O2。
【0107】
二酸化炭素は、高温電解槽によって一酸化炭素に、例えば750℃で、変換されることができ、ここで、この電解槽の電解質は、O2-イオンの伝導体である。該電解質は、例えば、10Sc1CeSZ(分子の10%をSc2O3分子としてドープされ且つ分子の1%をCeO2分子としてドープされたZrO2)の150μmの厚い層で形成されることができる。電解質の各面は、35~50μmの多孔質GDC(セリアでドープされたガドリニウム)の厚い層で覆われることができ、酸素の出口側では、セリウムとプラセオジム(プラセオジム2分子当たりセリウム8分子のモル比)の3モル/Lの溶液が浸透させることができ、二酸化炭素及び一酸化炭素の側では、Ce:Gd比が8/2で硝酸セリウムと硝酸ガドリニウムの3モル/Lの溶液を浸透させることができる。該電極は、例えば、10μm間隔で形成された180ηmの厚さの白金又はニッケルの薄いストリップの1つとして形成され、白金ペーストによってGDC層に接着されることができる。代替的には、該高温電解槽は、Ny-YSZ型又はNi-SDC型であることができる。
【0108】
1~2V、好ましくは1.19V、の電圧が電極に印加されることができ、ここで、端子は二酸化炭素と一酸化炭素が流れる面に接合された電極に接続される。該流れは例えば、1気圧の圧力下、好ましくは層流(laminar flow)、で行われる。
【0109】
電気分解の電力の全部又は一部は、電池(cell)から供給される。
【0110】
金属硫化物の高温電解
【0111】
該反応のうちの1つは、金属イオン、例えばβ-アルミナ、伝導する電解質を用いた高温電解による金属硫化物の還元反応であることができる:
MxS → xM+S,金属硫化物が液体である温度で。
【0112】
導電性電極、例えば白金又は炭素、を使用してもよく、気体又は好ましくは液体における金属が一方の電極で放出され、一方、気体の硫黄が他方の電極で放出される。
【0113】
該電池(cell)は好ましくは、より低い温度で作動するが、硫黄と金属とが共に液体であるところの別の金属硫化物電池(cell)から放出される電気によって給電される。2つの電池(cell)の作動電圧の間の電圧差は有利には、外部装置に電流を供給する為に使用されることができ、該再生装置から抽出された金属及び硫黄は好ましくは、再生に向かう金属硫化物に対して向流的に冷やされることができる。
【0114】
該金属Mは例えば、カリウム、リチウム(後者の2つの場合には、反応はM2S → 2M+S)又は鉛(後者の場合には、反応はMS →M+S)である。該電池(cells)は、例えば夫々、120℃、180℃及び330℃で作動させることができ、再生温度は例えば夫々、850℃、950℃及び1150℃であることができる。
【0115】
該金属はナトリウムであることができ、及び再生温度は例えば、1177℃以上であることができる。該反応は下記の通りに記載することができる:
2Na+S → Na2S。
【0116】
貯蔵(Storage)
【0117】
電極のうちの少なくとも1つにおける反応生成物の少なくとも1つは特に、後者が連続的に実施されない場合、その後の処理を考慮してタンク内に貯蔵されることができる。この反応生成物は、反応生成物と混合して貯蔵されることができ、又は混合されずに貯蔵されることができる。
【0118】
該タンク内に貯蔵された生成物は、特には電極に到達する生成物と逆流するように、予め冷やされ、該電極での溶融又はその液体状態の維持を確実にするように後者を加熱することができる。
【0119】
該タンク内に貯蔵されることが意図される生成物は、固化する前に、取り扱いが容易である小さなサイズの非連続要素に形成されることができ、例えばビーズ状に形成されることができ、そして次に、該タンク内でこの形態で整えられる。
【0120】
例えば、水から抽出したマンガナイトが、粉末の形態で保存されることができる。
【0121】
分離から又は化学的再生からの結果生じた1以上の生成物は、上述されたように貯蔵されることができ、又は処理後に液体金属、液体金属水酸化物又は液体金属酸化物の電極として再導入されることができる。
【0122】
動作温度(Operating temperature)
【0123】
該電池(cell)の動作温度は、それが作られる材料の関数として選択される。それは、特には280℃~1100℃である。
【0124】
該電池(cell)の動作温度は、化学再生反応の1以上の温度と異なる可能性がある。該電池(cell)の温度は、使用される金属、酸化物及び水酸化物、特にはそれらの融点、に依存する。電解質の温度の動作範囲内で、且つ液体状態になるように選択された金属、酸化物又は水酸化物のいずれかの温度超に選択される。電解液の動作温度は、特には固体の酸タイプの固体電解質、例えばリン酸二水素セシウム、の場合に、該電解質を取り巻く大気の分水圧によって影響される場合がある。
【0125】
カソードでのカーボンの使用
【0126】
該カソードが二酸化マンガンMnO2を含む場合に、それは、炭素分子と混合されてもよく又は混合されなくてもよい。二酸化マンガンMnO2を炭素分子と混合することにより、該カソードの電気伝導度を高めることができる。
【0127】
熱源
【0128】
該電池(cell)の電極及び/又は酸化剤及び燃料の再生の為に必要な熱は、燃料、例えば、水素、ガソリン、ディーゼル、バイオディーゼル、エタノール、を空気中で、好ましくは酸素中で、燃焼させることによって、例えばゼオライト濾過システムによって該空気から抽出することによって、供給されることができる。
【0129】
これによって、熱エネルギーから電気エネルギーへの変換効率が、例えば熱機関(heat engine)と比較して3の倍数程度改善されることができる。加えて、再生反応の為に必要な熱を発生する燃料と、酸化剤、例えば、水素、アルコール又はバイオディーゼル、例えばゼオライトフィルターを使用して空気から酸素を抽出された酸化剤、とに依存して、特にはこれらが窒素を含まない場合に、NOxの生成を回避することができる。従って、水素の化学エネルギーから電気エネルギーへの変換効率が、慣用的な水素燃料電池と比較しておよそ50%向上させることができる。
【0130】
該熱は、例えば、太陽炉(solar furnace)に、又は十分に深い井戸が掘られ、そこから熱が抽出される場合には地底に、又は再生装置の全部若しくは一部がその中に設置される場合には地底に由来することができる。
【0131】
該熱はまた、化石エネルギーの燃焼に、バイオ燃料、例えば木材又は藁、の燃焼に、又は家庭ごみの燃焼に、由来することができる。
【0132】
該熱は、核エネルギー、例えば加速されたイオン融合核エネルギーを包含する上記の核エネルギー、に由来することができ、ここで、該電池(cell)によって生成された電気エネルギーの一部は有利なことに、該イオンの生成及び加速の為に使用される。
【0133】
実施例
【0134】
実施例1
【0135】
カソードでの酸素の分解とアノードでの液体亜鉛の酸化とによる発電、ここで、該カソードはランタンストロンチウムマンガナイトで作られており、及び電解質はイットリアで安定化されたジルコニア(YSZ)で作られており、例えば厚さ10μを有する。
【0136】
電池(cell)は例えば830℃で作動し、該電池によって放出される熱は、外部からの熱に加えて、硫黄-ヨウ素サイクルによる水素を製造する為に使用され、ここで、酸化亜鉛の水素化の為に必要な1000℃の温度は、外部の熱によって供給される。従って、外部由来の熱の93.5%が電気エネルギーへと変換されることができると推定される。
【0137】
亜鉛を金属として使用することにより、水素分子を消費する下記の反応により、酸化亜鉛を再生して亜鉛を与えることができる:ZnO+H2 → Zn+H2O
【0138】
この反応は、87%の分子状窒素と13%の水素との混合物中、およそ1000℃で行うことができる。分子状窒素を使用すること無しに、好ましくは水の不存在下で有利にまた行うことができる。
【0139】
代替的な形態において、上記の酸化亜鉛の水素化の為の反応は、空気中の水素の燃焼によって、又はゼオライトによる空気から有利に抽出された分子状酸素との燃焼によって放出されるエネルギーを熱として使用することによって使用されることができる。このオプションは、窒素酸化物の生成を避ける為に有利である可能性がある。燃料電池から放出される熱はまた、酸化亜鉛の水素化の為の反応及びマンガナイトの酸化の為の反応に再利用されることができる。
【0140】
更なる代替的な態様として、上記酸化亜鉛の水素化の為の反応は、硫黄-ヨウ素サイクルによって又は酸化物-セリウムサイクルによっても、水素の製造の為のプロセスから結果として得られる水素を使用することによって実施されることができる。該硫黄-ヨウ素サイクルにより、高熱を利用して、120℃で熱を少し逃がしながら水素を製造することができ、熱エネルギー損失はおよそ15%と見積もられる。これは、下記の反応I2+SO2+2H2O →2HI+H2SO4により、下記の2つの吸熱反応の為に必要な熱の15%を放出することができるからである:
2H2SO4 → 2SO2+2H2O+O2及び2HI →I2+H2。
【0141】
代替的には、酸化亜鉛が、外部熱で還元されて、高温で、特には1727℃超で、金属亜鉛を与えることができる。例えば、ガス状亜鉛が液体になる圧力、すなわちおよそ30GPa、にガス状亜鉛の部分圧力が達するような圧力にガス混合物をもたらすことによって、分子状酸素は亜鉛から分離されることができる。従って、熱を電気へと変換する効率が、燃料電池の効率と等しくなることができる。
【0142】
代替的にはまた、亜鉛は、1280℃~1320℃の温度での炭素による還元、又はおよそ950℃での一酸化炭素による還元によって再生されることができ、両方の反応は吸熱性であり、及び亜鉛と二酸化炭素を生成し、二酸化炭素が再生されて、高温電気分解による一酸化炭素を与え、それ自体により、発熱反応によって炭素と二酸化炭素へと変換される:
2CO → C+CO2,1atmで。
【0143】
高温の電気分解によって再生された一酸化炭素それ自体によって再生が行われる場合に、電極の再生に供給される全化学エネルギーにおける再生の電気分解に供給される電力の割合は、本発明者の計算に従うとおよそ34%である。
【0144】
代替的にはまた、熱は、例えば、太陽炉に、又は十分に深い井戸が掘られ、そこから熱が抽出される場合には地底に、又は再生装置の全部若しくは一部がその中に設置される場合には地底に、又は化石エネルギーに、又はバイオ燃料、例えば木材若しくは藁、に、又は家庭ゴミの燃焼に、又は核エネルギー、例えば加速されたイオン融合核エネルギーを包含する上記の核エネルギー、にまた、由来することができ、次に、発生した電気エネルギーの一部が有利には、該イオンの生成及び加速の為に使用される。
【0145】
実施例2
【0146】
カソードでの水の分解とアノードでの液体亜鉛の酸化とによる発電、ここで、該カソードは二酸化マンガンMnO2から作られており、及び電解質はリン酸二水素セシウムCsH2PO4から作られており、例えば厚さ10μmを有する。電池(cell)は、例えば440℃で作動する。電極の再生の為に、水酸化亜鉛が、例えば80℃以上で、酸化亜鉛へと変換され、それ自体は、高温で、例えば1727℃超で、外部の熱で金属に還元される。二酸化マンガンの還元により形成されたマンガナイト(manganite)は、酸化により二酸化マンガンへと変換され、該熱は該電池(cell)の作動により放出される熱と外部熱とにより供給される。従って、該電池(cell)によって放出される熱がマンガナイト(manganite)によって吸収される熱を上回らない場合には、該熱を電気へと変換する効率は1に近くなる可能性がある。
【0147】
実施例3
【0148】
カソードでの水の分解とアノードでの液体ルビジウムの酸化とによる発電、ここで、該カソードは二酸化マンガンMnO2から作られており、及び電解質はリン酸二水素セシウムCsH2PO4(固体の酸)から作られており、例えば厚さ10μmを有する。電池(cell)は、例えば300℃で作動する。再生の為に、水酸化ルビジウムは90℃で酸化ルビジウムに還元され、それ自体はマグネシウムとの酸化によってルビジウムへと変換され、酸化マグネシウムはピジョン反応(Pidgeon reaction)によってマグネシウムに還元され、引き続き、一酸化炭素は炭素と二酸化炭素へと変換され、次に、二酸化炭素は高温電気分解によって一酸化炭素へと変換される。二酸化マンガンの還元によって形成されたマンガナイトは、300℃での酸化によって二酸化マンガンへと変換され、ここで、該熱は該電池(cell)の作動によって放出される熱と、一酸化炭素の炭素及び外部熱への変換によって供給される。該電池(cell)によって放出される熱がマンガナイトによって吸収される熱を上回らなければ、該熱を電気へと変換する効率は1に近い。
【0149】
実施例4
【0150】
カソードでの水の分解とアノードでの液体ルビジウムの酸化とによる発電、ここで、該カソードは例えば白金ナノ粒子で含浸されたカーボンであり、電解質はナフィオン(Nafion)(登録商標)であり、それはプロトン交換膜である。電池(cell)は例えば100℃で作動する。再生の為に、水酸化ルビジウムは90℃で酸化ルビジウムに還元され、それ自体はマグネシウムとの酸化によってルビジウムへと変換され、酸化マグネシウムは例えばピジョン反応(Pidgeon reaction)によってマグネシウムに還元され、引き続き、一酸化炭素は例えば発熱反応によって炭素と二酸化炭素へと変換される。従って、熱を電気へと変換する効率は、該燃料電池の効率よりも高くすることができ、100℃で電池から放出される熱の全部又は一部と、一酸化炭素の炭素と二酸化炭素への変換は、水酸化ルビジウムの酸化ルビジウムへの変換の為に使用される。
【0151】
液体電極の循環
【0152】
液体金属、液体金属酸化物又は液体金属水酸化物は、好ましくは深さ1mm、幅2mm及び間隔0.5mmで、例えば二酸化ケイ素で、作られたミリ流体チャネル内を循環することができ、ここで、特には液体が、貧弱な電気伝導体、例えば金属酸化物、金属水酸化物又は硫黄、である場合に、一方の面は電解質として作用する1以上の膜で覆われ、又は好ましくは良好な電気伝導体、例えば炭素又はステンレス鋼、である材料で作られ、従って、チャネルが刻まれている材料の表面は、電解質と接触する部分を電気絶縁体で有利に覆われることができる。
【0153】
ミリ流体チャネルは、熱交換、特には向流熱交換(countercurrentwise heat exchanges)、の為に使用されることができる。
【0154】
溶融状態での金属は、溶融された金属インゴット、例えば電極の再生の為に使用されるのと同じ熱源で溶融された金属インゴット、から得られることができる。
【0155】
本発明の別の主題は、上記とは独立して又は上記と組み合わせて、発電の為の装置であり、該装置は、上述された燃料電池又は燃料電池システムと、アノードで生成された金属酸化物を再生して金属を与える為のシステムとを備えている。
【0156】
該再生された金属は、溶融状態での金属をアノードに供給する為に使用されることができる。
【0157】
該装置は、アノードの溶融状態での金属から金属酸化物を抽出する為に、遠心分離機を備えていることができる。
【0158】
本発明の別の主題は、上記とは独立して又は上記と組み合わせて、特には燃料電池によって又は上記された燃料電池システムによって電気を作る為のプロセスであり、ここで、金属酸化物がアノードで生成され、該アノードは溶融状態での金属を含む。
【0159】
該アノードで生成された金属酸化物は、溶融状態で金属を循環させることによって排出されることができる。
【0160】
該金属酸化物は、沈降又は遠心分離によって、溶融状態での非酸化金属から分離されることができる。
【0161】
該遠心分離は遠心分離機で行うことができ、該遠心分離器の中央から金属酸化物が抽出され、該金属酸化物が金属それ自体よりも低い密度である場合に、その金属はまた、もう一方の端で抽出される。
【0162】
引き続き、生成した金属酸化物は、上記で詳述されているように、再生されて金属を与えることができる。
【0163】
完全なサイクル
【0164】
本発明の別の主題は、上記とは独立して又は上記と組み合わせて、カソードでの酸素の分解とアノードでの液体亜鉛の酸化とによって電気を作ることを可能にするプロセスであり、ここで、該カソードはランタンストロンチウムマンガナイト(lanthanum strontium manganite)から作られており、及び電解質はイットリアで安定化されたジルコニア(YSZ)から作られており、厚さ10μmを有し、それは固体酸化物である。該電池(cell)は830℃で作動し、該電池(cell)によって放出される熱は、外部熱に加えて、硫黄-ヨウ素サイクルにより水素を製造する為に使用され、ここで、酸化亜鉛の水素化の為に必要な1100℃の熱は外部熱によって供給される。本発明者の計算に従うと、外部から由来する熱の89%が電気エネルギーへと変換されることができる。
【0165】
本発明の別の主題は、上記とは独立して又は上記と組み合わせて、カソードでの酸素の分解とアノードでの液体亜鉛の酸化とによって電気を作ることを可能にするプロセスであり、ここで、該カソードはランタンストロンチウムマンガナイトから作られており、及び電解質はイットリアで安定化されたジルコニア(YSZ)から作られており、厚さ10μmを有し、それは固体酸化物である。該電池(cell)は、例えば880℃で作動する。酸化亜鉛は、外部の熱を用いて1727℃で金属亜鉛に還元される。従って、熱を電気へと変換する効率は、該燃料電池の効率と等しくされることができる。
【0166】
本発明の別の主題は、上記とは独立して又は上記と組み合わせて、カソードでの水の分解とアノードでの液体ナトリウムのヒドロキシル化によって電気を作ることを可能にするプロセスであり、ここで、該カソードは二酸化マンガンMnO2から作られており、電解質はLDPE-BTMAから作られており、厚さ55μmを有し、それは陰イオン交換膜である。該電池(cell)は、例えば100℃で作動する。再生の為に、水酸化ナトリウムは500℃でナトリウムと酸化鉄(III)へと変換され、ここで、酸化鉄(III)は一酸化炭素によって鉄と二酸化炭素に還元され、二酸化炭素は高温電気分解によって酸化される。二酸化マンガンの還元によって生成したマンガナイトは、該電池(cell)の作動による熱の放出及び/又は外部熱からの供給により、300℃で酸素との酸化により二酸化マンガンへと変換される。従って、該電池(cell)によって放出される熱がマンガナイトによって吸収される熱を上回らなければ、該熱を電気へと変換する効率は1に近くなることができる。
【0167】
本発明の別の主題は、上記とは独立して又は上記と組み合わせて、カソードでの酸素の分解とアノードでの液体ルビジウムの酸化とによって電気を生成することを可能にするプロセスであり、ここで、該カソードはランタンストロンチウムマンガナイトから作られており、及び電解質はGDC-ESBであり、厚さ10μmを有し、それは固体酸化物電解質である。該電池(cell)は、例えば500℃で作動する。再生の為に、酸化ルビジウムはマグネシウムとの酸化によってルビジウムに還元され、ここで、酸化マグネシウムは、炭化によって、例えば2300℃での炭化によって、マグネシウムに還元され、引き続き、一酸化炭素は、吸熱高温電気分解反応によって炭素と分子状酸素へと変換される。
【0168】
用途
【0169】
本発明の別の主題は、上記とは独立して又は上記と組み合わせて、上述された燃料電池又は燃料電池システムの使用である。
【0170】
本発明による電池(cell)は、特には、乗り物、住まい、産業又は公共の為に電気を作ることを可能にする。
【0171】
本発明に従う燃料電池は、例えば工業の為の、家庭の為の、乗り物の為の、又は作動の為に高い電力を必要とするエネルギー生産装置、特には電気的なエネルギー装置、の為の電流を生成する為に使用されることができる。このことは、例えば、加速されたイオン核融合又はアルミナの電気分解に関することができる。
【0172】
電池(cell)によって放出される熱は、水素を生成する為に、特にはヨウ素-硫黄サイクルによって水素を生成する為に、使用されることができ、それにより、金属酸化物を再生して金属を与える為に有利に使用されることができる。
【0173】
本発明の別の主題は、上記とは独立して又は上記と組み合わせて、上述された燃料電池又は燃料電池システムの使用であり、該熱は下記によって供給される:
燃料(例えば、ゼオライト濾過システムによって空気から抽出される燃料)、例えば、水素、ガソリン、ディーゼル、バイオディーゼル、エタノール、の空気中又は好ましくは酸素中での燃焼、
太陽炉、又は十分に深い井戸が掘られ、そこから熱が抽出される場合には地底、又は再生器の全部若しくは一部がその中に設置される場合には地底、
化石エネルギーの燃焼、バイオ燃料、例えば木材若しくは藁、の燃焼、又は家庭ごみの燃焼、
核エネルギー、特には加速されたイオン融合核エネルギー、好ましくは、生成された電気エネルギーの一部、好ましくは、該イオンの生成及び加速の為に使用される生成された生成された電気エネルギーの一部。
【0174】
特に核融合核反応を目的としてイオンを加速する為に、核融合の為の装置又は加速されたイオンによる中性子を生成する為の装置にエネルギーを供給又は共給電する為に電気を作ることがまた可能である。
【0175】
燃料電池から放出される熱はまた、上記された反応の1以上に再利用されることができるが、マンガナイトの酸化の為に再利用されることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0176】
【
図1】
図1は、本発明に従うシステムの1つの例を図式的に且つ部分的に表す。
【
図2】
図2は、本発明に従うシステムの別の例を図式的に且つ部分的に表す。
【
図3】
図3は、本発明に従うシステムの別の例を図式的に且つ部分的に表す。
【発明を実施するための形態】
【0177】
図1において、本発明に従う電池(cell)システム11の一例が示されている。
【0178】
該電池(cell)システムは、個々の電気端子9及び10に接続された電極1及び8を有するバッテリを備えている。電極1及び8はコンパートメントの形態を有する。
【0179】
電極1及び電極8は、固体電解質7によって分離されている。
【0180】
電極1は、液体状態での金属又は金属酸化物からなり、再生器4で再利用され、ここで、熱3の供給によって再生され、そして次に、該電池(cell)の電極1の区画内に再注入される。
【0181】
電極8、又は電極8に供給された燃料は、電池(cell)11の端子10によって供給又は引き抜かれた電子によってイオン化される。加えて、該イオンは固体電解質7を通過して、端子9によって引き抜かれるか又は供給される電子と一緒になって液体電極1を反応させる。
【0182】
電池(cell)11、液体状態での金属又は金属酸化物を含むその電極1は、熱3の供給により1以上の化学反応器4において再利用され次に、パイプ5を介して液体電極1の容器内へと再注入される。
【0183】
再生生成物の一部、例えば電解質7を通過したイオンに対応する金属又は酸素は、パイプ6を介して電極8の区画内へと再導入されることができる。
【0184】
1つの例において、アノードは溶融亜鉛で形成され、それは、一方では消費される金属の供給を保証し且つ他方では酸化物の抽出を保証するところの回路内を循環する。
【0185】
該電池(cell)はまた、酸化物の金属への変換を連続的に行うことを可能にすることができ、又は別の形態では、この変換は非連続的に行われる。
【0186】
該電解質は、固体酸化物、例えばランタンストロンチウムコバルトフェライト(lanthanum strontium cobalt ferrite)、であり、有利にはセリアの層によって溶融金属から分離され、この電解質は、金属を酸化するO2-イオンの通過を可能にし、ここで、該O2-イオンは、該電池(cell)のカソードへの電子の供給による分子状酸素の分離に由来する。このカソードは例えば、ランタンストロンチウムマンガナイトからなり、例えば、周囲空気、若しくはゼオライト濃縮装置(zeolite concentrator)の酸素富化空気(oxygen-enriched air)、又は金属酸化物の再生から供給されて、金属を与える。
【0187】
該アノードでの反応は下記の通りであり:
M+O- → MO+e-
及び、該カソードでの反応は下記の通りであり:
1/2O2+2e- → O2-
ここで、Mは、金属、例えば亜鉛Zn、である。
【0188】
該再生器は、形成された酸化物から亜鉛を分離する。この再生器は、アノードに循環する溶融亜鉛から酸化亜鉛を抽出する為の遠心分離機を備えていることができる。
【0189】
該酸化物は、金属に還元されるまで保存されることができる。酸化物から解放された亜鉛はアノードに戻すことができる。
【0190】
2つの電極1及び8が異なる化学反応によって再生される代替的な形態が、
図2を参照してここで記載される。
【0191】
この
図2では、第2の電極8は、溶融金属又は金属酸化物、例えば二酸化マグネシウムMnO
2、を含む。この電極8はまた、1以上の反応器13内で熱14によって熱的に再生される。電極1の再生からの生成物は、パイプ12を介して電極8の区画内へと又は電極8の再生器13内へと再注入されることができる。
【0192】
液体硫黄を使用し、そして、金属硫化物を製造する代替の実施態様が、
図3を参照してここで記載される。
【0193】
該システムの区画101は、固体電解質102によって分離された液体金属と液体硫黄とを夫々含む。金属イオンM+又はM++は電解質102を通じて移動して、電極103の端子に電流を生じさせる。金属の酸化に続いて形成された固体の金属硫化物MxSは、フィルター、遠心分離機又は沈降器104によって抽出され、次に、熱交換器105において加熱され、そして次に、外部エネルギーが供給されるところの加熱装置107において加熱される。従って、金属硫化物MxSは、電解液109によって分離された再生器110の区画において電気分解によるその変換の為に使用される温度にもたらされる。再生電圧は、再生器110の電極108に印加される。
【0194】
再生された金属M、好ましくは液状での再生された金属M、は、熱交換器105で冷却されながら、該システムの区画101の金属区画にパイプ111を介して移送される。
【0195】
再生された硫黄S、好ましくはガス状での再生された硫黄S、は、熱交換器105を通過する間に、システムの区画101の硫黄区画にパイプ112を介して移送され、そこで、それは冷やされ、そして液化される。
【国際調査報告】