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特表2024-542312有効な針の長さ調整を備えた血管アクセスデバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-14
(54)【発明の名称】有効な針の長さ調整を備えた血管アクセスデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/46 20060101AFI20241107BHJP
   A61M 5/32 20060101ALI20241107BHJP
   A61M 5/178 20060101ALI20241107BHJP
【FI】
A61M5/46
A61M5/32 500
A61M5/178 500
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527479
(86)(22)【出願日】2021-11-11
(85)【翻訳文提出日】2024-07-10
(86)【国際出願番号】 US2021058953
(87)【国際公開番号】W WO2023086092
(87)【国際公開日】2023-05-19
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サジャイエシュ ヴィジャヤチャンドラン
(72)【発明者】
【氏名】スデーヴ グス
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA10
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD08
4C066EE14
4C066FF05
4C066LL15
(57)【要約】
針の長さ調整機能を有し、針の全長でストッパーのバイアルを貫通し、針の全長より短い所望の針の長さで患者の皮膚を貫通する、血管アクセスデバイスに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管アクセスデバイスであって、
近位端および遠位端を有する円筒形ベースであって、前記近位端は、近位壁および前記近位壁から延びる細長い先端を有し、前記細長い先端は、1つまたは複数の長手方向スロットを有し、前記円筒形ベースは、外側円筒形壁および前記外側円筒形壁と前記細長い先端との間の外側空洞をさらに有し、前記外側円筒形壁は、前記遠位端から前記近位壁まで延びる切り欠きを有する、円筒形ベースと、
タブであって、前記タブを前記外側円筒形壁に接続するリビングヒンジを有する前記外側円筒形壁の前記遠位端に接続され、前記タブが前記リビングヒンジの周りを枢動するように構成され、前記タブが閉位置で前記円筒形ベースの前記切り欠きを覆い、前記タブがステムおよび遠位ピークを有する三日月形カムをさらに備え、前記遠位ピークが前記閉位置で遠位方向に延びる、タブと、
前記外側空洞内に配置された可動カラーであって、前記可動カラーは、近位端および遠位端を有し、前記遠位端は、前記1つまたは複数の長手方向スロット内を移動するように構成された1つまたは複数のスナップロックを含み、前記可動カラーは、前記遠位端から前記可動カラーに沿った距離に延びるクリアランスカットアウトをさらに含み、前記クリアランスカットアウトは、カム接触面を有する、可動カラーと、を備える、血管アクセスデバイス。
【請求項2】
前記細長い先端は、近位部分および遠位部分を含み、前記遠位部分は、外面を有し、前記細長い先端は、それを通って延びる開口をさらに含み、前記1つまたは複数の長手方向スロットは、前記近位部分上に延びる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記細長い先端の前記近位部分と遠位部分との間に接触面が形成される、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
滅菌キャップが前記細長い先端の上に挿入され、前記接触面と接触する、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記リビングヒンジは、前記近位壁に配置された対応するスロットとのスナップフィットを作成するように構成された1つまたは複数の長手方向突起をさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記近位壁が、血管アクセスデバイスの遠位端を受け入れるための空洞を備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記可動カラーは、遠位フランジをさらに備え、前記遠位フランジは、前記円筒形ベース内で前記可動カラーが完全に前進すると、前記外側円筒形壁の前記遠位端に当接するように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記可動カラーは、初期位置、吸引位置、および注入位置を有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記血管アクセスデバイスの針カニューレが、前記初期位置で前記可動カラーによって完全に覆われている、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記血管アクセスデバイスの針カニューレが、前記吸引位置で距離Dfだけ完全に露出する、請求項8に記載のデバイス。
【請求項11】
前記距離Dfが6mmである、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記血管アクセスデバイスの針カニューレが、前記注入位置で距離Dnだけ部分的に露出する、請求項8に記載のデバイス。
【請求項13】
前記距離Dnが4mmである、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記可動カラーを前記初期位置から前進させることにより、前記可動カラーの前記カム接触面が前記タブの前記三日月形カムに当接し、前記タブが前記リビングヒンジの周りを外向きに枢動する、請求項8に記載のデバイス。
【請求項15】
前記タブを押し下げることは、前記可動カラーを前記注入位置に前進させる、請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
血管アクセスデバイスであって、
近位端、遠位端、近位壁、および前記近位壁から延びる細長い先端を有する円筒形ベースであって、細長い先端は、それを通って延びる開口をさらに備え、前記円筒形ベースは、外側円筒形壁、および前記細長い先端、外側円筒形壁、および前記近位壁によって画定される空洞を有し、前記円筒形ベースは、前記外側円筒形壁の外面に配置されたカム経路をさらに有し、前記遠位端は、スナップ要素を有する、円筒形ベースと、
近位端、遠位端、および内面を有する前記円筒形ベースの上に配置されたカム付きスライドであって、前記遠位端が遠位壁を有し、前記内面が内側に延びるペグおよびスロットを有し、前記ペグが前記カム経路内を移動するように構成された、カム付きスライドと、
前記カム付きスライドの前記遠位壁と前記円筒形ベースの前記近位壁との間に配置された付勢要素であって、付勢力を加えるように構成された、付勢要素と、を備え、
前記ペグは、前記カム経路に沿って、少なくとも3つの点の間で前進し、第1の点は、初期位置を画定し、第2の点は、吸引位置を画定し、第3の点は、注入位置を画定し、針カニューレは、前記初期位置で完全に覆われ、前記針カニューレは、前記吸引位置で、距離D1で完全に露出し、前記針カニューレは、前記注入位置で、距離D2で部分的に露出する、血管アクセスデバイス。
【請求項17】
前記近位壁が、血管アクセスデバイスの遠位端を受け入れるための空洞を備える、請求項16に記載のデバイス。
【請求項18】
前記カム付きスライドの前記遠位壁は、近位方向に延びる内側カラーを備える、請求項16に記載のデバイス。
【請求項19】
前記ペグは、前記スロットに対して直角平面に配置され、前記ペグは、前記スロットに対して近位に配置される、請求項16に記載のデバイス。
【請求項20】
前記ペグは、時計回りまたは反時計回りの方向に前進することができる、請求項16に記載のデバイス。
【請求項21】
前記スナップ要素は、平坦面と、前記傾斜面の反対側の傾斜面とを備える、請求項16に記載のデバイス。
【請求項22】
前記距離D1は6mmであり、前記距離D2は4mmである、請求項16に記載のデバイス。
【請求項23】
前記付勢要素は、前記針カニューレが覆われるように、前記カム付きスライドを前記初期位置に連続的に保持するように構成される、請求項16に記載のデバイス。
【請求項24】
前記付勢力よりも大きい押し下げ力で前記円筒形ベースに対して近位方向に前記カム付きスライドを押し下げると、前記カム付きスライドが前記吸引位置に可逆的に前進する、請求項16に記載のデバイス。
【請求項25】
前記付勢力よりも大きい押し下げ力で前記円筒形ベースに対して近位方向に前記カム付きスライドを押し下げると、前記カム付きスライドが前記吸引位置に不可逆的に前進する、請求項16に記載のデバイス。
【請求項26】
前記押し下げ力を引き抜くことにより、前記カム付きスライドが前記注入位置に入る、請求項25に記載のデバイス。
【請求項27】
前記カム付きスライドが、前記カム付きスライドの前記スロットと交差する前記円筒形ベースの前記スナップ要素によって前記注入位置に保持される、請求項26に記載のデバイス。
【請求項28】
前記カム付きスライドが、回転解放力を加えると前記初期位置に戻る、請求項27に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、針の長さの調節可能な血管アクセスデバイスに関し、特に、本開示は、インスリンバイアルと患者の皮膚の両方を貫通するための針の長さの調節を有するインスリン注射器に関する。
【背景技術】
【0002】
注射器は、バイアルから薬剤を引き出し、患者の皮膚に薬剤を注射するために当技術分野で一般的に使用される。注射器用の針カニューレには、用途、患者の皮膚への挿入深さ、および他の要因に応じて、さまざまな針ゲージおよび針の長さがある。バイアルから薬剤を引き出すときは、より厚い針ゲージを使用することができる。注射器は、バレルの遠位端に固定された一体型の取り外し不可能な針カニューレを有することができ、または取り外し可能で交換可能な針ハブに取り付けることができる無針コネクタを有することができる。
【0003】
当技術分野で一般的なインスリン注射器は、6mmの標準的な針カニューレの長さを有する。インスリン注射器の針カニューレは、注射器に取り外し不可能に取り付けることができるか、またはインスリン注射器の無針コネクタに針ハブを介して取り付けることができる。6mmの針カニューレは、標準的なインスリンバイアルのストッパーを任意の角度で貫通し、インスリンの吸引のためにバイアル内のインスリンに到達することができるため、6mmの針カニューレの長さが使用される。
【0004】
インスリンは、患者の体内のインスリンの迅速かつ均一な分散を確実にするために、皮膚の下の皮下層に一般的に注射される。6mmの長さを有する針カニューレは、皮下層を通ってその下の筋肉層に入ることができ、これは望ましくない。この発生を回避するために、インスリンショットを投与する施術者は、一般的に、6mm針カニューレが筋肉層に貫通するのを回避するために、インスリンショット/注射を行う部位を挟まなければならない。この方法は、患者の不快感、針刺し傷害、および一貫性のない結果につながる可能性のある面倒なプロセスである可能性がある。代替として、交換可能なニードルハブは、最初に6mmのニードルカニューレを使用してバイアルから薬剤を引き出し、その後、より短い針の長さを使用して薬剤を投与するために使用することができる。この代替案は、さらなる廃棄物をもたらす。
【0005】
したがって、バイアルから薬剤を適切に引き出し、その後、薬剤を皮膚の下の皮下層に投与することができる使い捨ての針血管アクセスデバイスを提供する必要がある。
【発明の概要】
【0006】
本開示の第1の態様は、円筒形のベース、タブ、および可動カラーを有する血管アクセスデバイスに関する。円筒形ベースは、近位端および遠位端を有する。円筒形ベースの近位端は、近位壁と、近位壁から延びる細長い先端とを有し、細長い先端は、1つまたは複数の長手方向スロットを有する。円筒形ベースは、外側円筒形壁と、外側円筒形壁と細長い先端との間の外側空洞とをさらに有し、外側円筒形壁は、遠位端から近位壁まで延びる切り欠きを有する。タブは、タブを外側円筒形壁に接続するリビングヒンジを有する外側円筒形壁の遠位端に接続される。タブは、リビングヒンジを中心に旋回するように構成されている。タブは、閉位置で円筒形ベースの切り欠きを覆う。タブは、ステムおよび遠位ピークを有する三日月形カムをさらに含み、遠位ピークは、閉位置で遠位方向に延びる。外側空洞内に配置された可動カラーは、近位端および遠位端を有し、遠位端は、前記1つまたは複数の長手方向スロット内を移動するように構成された1つまたは複数のスナップロックを含み、可動カラーは、遠位端から可動カラーに沿った距離に延びるクリアランスカットアウト(clearance cutout)をさらに含み、クリアランスカットアウトは、カム接触面を有する。
【0007】
いくつかの実施形態では、細長い先端は、近位部分および遠位部分を含み、遠位部分は、外面を有する。細長い先端は、それを通って延びる開口をさらに含み、1つまたは複数の長手方向スロットは、近位部分上に延びる。
【0008】
いくつかの実施形態では、接触面は、細長い先端の近位部分と遠位部分との間に形成される。いくつかの実施形態では、無菌キャップは、細長い先端の上に挿入され、接触面と接触する。
【0009】
いくつかの実施形態では、リビングヒンジは、近位壁に配置された対応するスロットとのスナップフィットを作成するように構成された1つまたは複数の長手方向突起を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、近位壁は、血管アクセスデバイスの遠位端を受け入れるための空洞を有する。
【0011】
いくつかの実施形態では、可動カラーは、遠位フランジを含み、遠位フランジは、円筒形ベース内の可動カラーの完全な前進時に外側円筒形壁の遠位端に当接するように構成される。いくつかの実施形態では、可動カラーは、初期位置、吸引位置、および注入位置を有する。
【0012】
いくつかの実施形態では、血管アクセスデバイスの針カニューレは、初期位置にある可動カラーによって完全に覆われる。いくつかの実施形態では、血管アクセスデバイスの針カニューレは、吸引位置で距離Dfだけ完全に露出される。いくつかの実施形態では、距離Dfは6mmである。
【0013】
いくつかの実施形態では、血管アクセスデバイスの針カニューレは、注入位置で距離Dnだけ部分的に露出される。いくつかの実施形態では、距離Dnは4mmである。
【0014】
いくつかの実施形態では、可動カラーを初期位置から前進させると、可動カラーのカム接触面がタブの三日月形カムに当接し、タブがリビングヒンジの周りを外向きに枢動する。
【0015】
いくつかの実施形態では、タブを押し下げると、可動カラーが注入位置に前進する。
【0016】
本開示の第2の態様は、円筒形ベース、円筒形ベースの上に配置されたカム付きスライド、およびカム付きスライドの遠位壁と円筒形ベースの近位壁との間に配置された付勢要素を有する血管アクセスデバイスに関する。
【0017】
いくつかの実施形態では、円筒形ベースは、近位端、遠位端、近位壁、および近位壁から延びる細長い先端を有する。いくつかの実施形態では、細長い先端は、それを通って延びる開口をさらに含む。いくつかの実施形態では、円筒形ベースは、外側円筒形壁、および細長い先端、外側円筒形壁、および近位壁によって画定される空洞を有する。いくつかの実施形態では、円筒形ベースはまた、外側円筒形壁の外面に配置されたカム経路を有し、遠位端はスナップ要素を有する。
【0018】
いくつかの実施形態では、カム付きスライドは、近位端、遠位端、および内面を有する円筒形ベースの上に配置される。遠位端は、遠位壁を有する。内面は、内側に延びるペグおよびスロットを有し、ペグは、カム経路内を移動するように構成される。
【0019】
付勢要素は、付勢力を加えるように構成される。
【0020】
いくつかの実施形態では、ペグは、カム経路に沿って、少なくとも3つの点、初期位置を画定する第1の点、吸引位置を画定する第2の点、および注入位置を画定する第3の点の間で前進し、針カニューレは、初期位置で完全に覆われ、針カニューレは、吸引位置で、距離D1で完全に露出し、針カニューレは、注入位置で、距離D2で部分的に露出する。いくつかの実施形態では、距離D1は6mmであり、距離D2は4mmである。
【0021】
いくつかの実施形態では、近位壁は、血管アクセスデバイスの遠位端を受け入れるための空洞を含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、カム付きスライドの遠位壁は、近位方向に延びる内側カラーを含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、ペグは、スロットに対して直角平面に配置され、ペグは、スロットの近位に配置される。
【0024】
いくつかの実施形態では、ペグは、時計回りまたは反時計回りの方向に前進することができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、スナップ要素は、平坦面と、傾斜面と反対側の傾斜面とを含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、付勢要素は、針カニューレが覆われるように、カム付きスライドを初期位置に連続的に保持するように構成される。
【0027】
いくつかの実施形態では、付勢力よりも大きい押し下げ力で円筒形ベースに対して近位方向にカム付きスライドを押し下げると、カム付きスライドが可逆的に吸引位置に前進する。いくつかの実施形態では、付勢力よりも大きい押し下げ力で円筒形ベースに対して近位方向にカム付きスライドを押し下げると、カム付きスライドが吸引位置に不可逆的に前進する。
【0028】
いくつかの実施形態では、押し下げ力を引き抜くと、カム付きスライドが注入位置に入る。
【0029】
いくつかの実施形態では、カム付きスライドは、カム付きスライドのスロットと交差する円筒形ベースのスナップ要素によって注入位置に保持される。いくつかの実施形態では、カム付きスライドは、回転解放力を加えたときに初期位置に戻る。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、注射器に取り付けられた血管アクセスデバイスの側面図を示す。
図2図2は、本開示の1つまたは複数の実施形態による血管アクセスデバイスの分解側面図を示す。
図3図3は、本開示の1つまたは複数の実施形態による血管アクセスデバイスの詳細な断面図を示す。
図4図4は、本開示の1つまたは複数の実施形態による血管アクセスデバイスの基部の斜視図を示す。
図5図5は、本開示の1つまたは複数の実施形態による血管アクセスデバイスの基部の斜視図を示す。
図6図6は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、血管アクセスデバイスの可動インサートの斜視図を示す。
図7図7は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、血管アクセスデバイスの可動インサートの斜視図を示す。
図8図8は、本開示の1つまたは複数の実施形態による血管アクセスデバイスの初期位置を示す。
図9図9は、本開示の1つまたは複数の実施形態による血管アクセスデバイスの吸引位置を図示する。
図10図10は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、血管アクセスデバイスの注入位置を示す。
図11図11は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、初期位置にある血管アクセスデバイスを示す。
図12図12は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、吸引位置にある血管アクセスデバイスを示す。
図13図13は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、吸引位置にある血管アクセスデバイスを示す。
図14図14は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、注入位置にある血管アクセスデバイスを示す。
図15図15は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、注射器に取り付けられた血管アクセスデバイスの側面図を示す。
図16図16は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、血管アクセスデバイスの分解側面図を示す。
図17図17は、本開示の1つまたは複数の実施形態による血管アクセスデバイスの詳細な断面図を示す。
図18図18は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、血管アクセスデバイスのベースの斜視図を示す。
図19図19は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、血管アクセスデバイスのベースの側面図を示す。
図20図20は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、血管アクセスデバイスのベースの詳細図を示す。
図21図21は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、血管アクセスデバイスのスライドの斜視図を示す。
図22図22は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、血管アクセスデバイスのスライドの斜視図を示す。
図23図23は、本開示の1つまたは複数の実施形態による血管アクセスデバイスの初期位置を示す。
図24図24は、本開示の1つまたは複数の実施形態による血管アクセスデバイスの吸引位置を示す。
図25図25は、本開示の1つまたは複数の実施形態による血管アクセスデバイスの注入位置を示す。
図26A図26Aは、本開示の1つまたは複数の実施形態による、血管アクセスデバイスの使用方法を示す。
図26B図26Bは、本開示の1つまたは複数の実施形態による、血管アクセスデバイスの使用方法を示す。
図26C図26Cは、本開示の1つまたは複数の実施形態による、血管アクセスデバイスの使用方法を示す。
図26D図26Dは、本開示の1つまたは複数の実施形態による、血管アクセスデバイスの使用方法を示す。
図26E図26Eは、本開示の1つまたは複数の実施形態による、血管アクセスデバイスの使用方法を示す。
図26F図26Fは、本開示の1つまたは複数の実施形態による、血管アクセスデバイスの使用方法を示す。
図26G図26Gは、本開示の1つまたは複数の実施形態による、血管アクセスデバイスの使用方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本開示のいくつかの例示的な実施形態を説明する前に、本開示は、以下の説明に示される構成またはプロセス工程の詳細に限定されないことを理解されたい。本開示は、他の実施形態であることができ、様々な方法で実施または実行することができる。
【0032】
以下の説明の目的のために、用語「近位」、「遠位」、「長手方向」、およびそれらの派生語は、図面で示されているように、本開示に関連するものとする。しかしながら、本開示は、それとは反対に明示的に特定されない限り、代替的な変形を前提としてもよいことは理解されよう。また、添付の図面に示され、および以下の明細書に記載される具体的なデバイスおよびプロセスは、本開示の単なる例示的な実施形態であることも理解されるべきである。そのため、本明細書に開示される実施形態に関連する具体的な寸法、及び、他の物理的な特徴は、限定的であるとしてみなされるべきではない。
【0033】
本明細書で使用される場合、「a」、「an」、および「the」の使用は、単数形および複数形を含む。
【0034】
本明細書で使用する場合、「ルアーコネクタ」という用語は、注射器、カテーテル、ハブ付き針、IVチューブなどを互いに取り付ける標準的な方法である接続カラーを指す。ルアーコネクタは、単純な圧力/ねじり嵌め/摩擦嵌めで固定するためにわずかに先細りになった1つ以上のインターロックチューブで構成されている。ルアーコネクタは、オプションでねじ山の外側の周縁を追加することができ、より安全性を高めることができる。ルアーコネクタのオス側は、血管アクセスデバイス(VAD)にあるメス側にインターロックして接続できる。ルアーコネクタは、遠位端、近位端、不規則な形状の外壁、注射器のバレルのチャンバからVADのハブへの流体連通のためのプロファイルされた中央通路から構成される。また、ルアーコネクタは、VADのハブに、取り外し可能に取り付ける遠位端チャンネルと、注射器のバレルに取り外し可能に取り付ける近位端チャンネルと、を有する。本明細書で使用される場合、「ルアーコネクタ」という用語は、雄ルアーコネクタまたは雌ルアーコネクタを指す。
【0035】
本明細書では、「医療機器」という用語は、ねじ式又はインターロック式の接続部を有する一般的な医療機器を指し、接続部は対応する嵌合要素を有する。例として、注射器は、カテーテルやIVラインなどの雄型ルアー接続部などの二次医療機器と解放可能にインターロックする雄型ねじ接続部を有するが、これに限定されない。ねじ接続部は、二次医療機器に取り付けるためのねじ手段を有する突出した壁によって囲まれた流体経路を画定する管腔を含む。
【0036】
関連技術分野の当業者によって容易に理解されるように、「ねじ」、「テーパ」、「タブ」、「壁」、「近位」、「側面」、「遠位」などの説明的な用語は、理解を容易にするために本明細書全体にわたって使用されるが、本開示の実施形態の様々な態様を実施するために、組み合わせてまたは個別に使用することができる任意の構成要素を限定することは意図されない。
【0037】
本開示の実施形態は、完全な針の長さでストッパーのバイアルを貫通し、完全な針の長さ未満である所望の針の長さで患者の皮膚を貫通するための針の長さ調整機能を有する血管アクセスデバイスに関する。本明細書に記載の血管アクセスデバイスは、注射器バレルに一体化することができ、または注射器バレルの不要なコネクタに取り付けることができる。本明細書に記載の血管アクセスデバイスは、バイアルから薬剤を引き出しまたは注射し、患者の皮膚に注射するための任意の医療デバイスに一体化させることができる。いくつかの実施形態では、血管アクセスデバイスは、インスリン注射器に一体的であるか、または取り外し可能に接続可能である。
【0038】
インスリン投与では、針カニューレは、そのような長さが任意の角度で標準的なインスリンバイアルのストッパーを貫通し、インスリンの吸引のためにバイアル内のインスリンに到達することができるため、一般的に6mmの長さを有する。バイアルから薬剤を引き出すために使用されるのと同じ針カニューレを、その後、患者の皮膚に薬剤を注射するために使用する。インスリン投与の場合、インスリン薬剤は、患者の体内のインスリンの迅速かつ均一な分散を確実にするために、皮膚の下の皮下層に投与される。しかしながら、6mmのカニューレの長さは、皮下層を通ってその下の筋肉層に入ることをもたらし、これは望ましくない。本開示の実施形態は、(例として、限定されないが、6mmの針カニューレ)の針カニューレが、任意の角度でバイアルに完全に挿入されることを可能にするが、所望の皮膚深さ(例として、限定されないが、皮膚の下の皮下層に)で患者の皮膚に部分的にのみ挿入されることを可能にする受動的特徴を有する。
【0039】
図1図14は、所望の皮膚深さで固定長の針カニューレを患者の皮膚に部分的に挿入するためのスライド機構を有する血管アクセスデバイス100の実施形態を示す。図15図26は、所望の皮膚深さで固定長の針カニューレを患者の皮膚に部分的に挿入するためのカム付きスライドを有する血管アクセスデバイス200の実施形態を示す。
【0040】
図面全体を通して(図1図26)、従来のバイアル40が示されている。バイアル40は、薬剤を貯蔵するための空洞を有する円筒形本体42を有する。円筒形本体42は、閉鎖ベースおよび閉鎖ベースの反対側のネック44を有する。ネック44は、ゴムストッパー50が挿入された開口46を有し、シール状態を形成する。いくつかの実施形態では、ネック44は、フランジ48をさらに備える。いくつかの実施形態では、ゴムストッパー50は、台形形状を有する。いくつかの実施形態では、ゴムストッパー50は、フランジ48の幅に実質的に等しい幅を有する。図に示されるように、針カニューレは、ゴムストッパー50の上面52を貫通して、バイアル40から薬剤を引き抜く。
【0041】
図面全体を通して(図1図26)、従来の注射器70が示されている。注射器70は、遠位端76を有するバレル72を含む。注射器は、バレル72から部分的に引き抜くことができ、流体または薬剤がバレル72に引き込まれることができるように、バレル72内に内部負圧を引き起こすプランジャーロッド74をさらに含む。同様に、プランジャーロッド74は、バレル72内に押し込まれることができ、流体または薬剤がバレル72から排出されることができるように内部正圧の蓄積を引き起こす。いくつかの実施形態では、遠位端76は、以下でさらに詳細に説明されるように、血管アクセスデバイス(100、200)のうちの1つまたは複数に一体である。いくつかの実施形態では、遠位端76は、以下でさらに詳細に説明されるように、血管アクセスデバイス(100、200)の1つまたは複数に取り外し可能に取り付け可能である。いくつかの実施形態では、遠位端76は、無針接続によって血管アクセスデバイス(100、200)の1つまたは複数に取り外し可能に取り付け可能である。
【0042】
図1から図14に示されるように、1つまたは複数の実施形態による血管アクセスデバイス100は、円筒形ベース110および可動カラー150を備える。図1は、注射器70上の血管アクセスデバイス100の組み立て図を示し、図2は、血管アクセスデバイスの分解図を示す。図1および2に示されるように、いくつかの実施形態では、血管アクセスデバイスは、滅菌キャップ190をさらに含む。以下でさらに詳細に説明するように、可動カラー150は、針カニューレ80の有効長を減少または増加させるために、円筒形ベース内で近位および遠位に並進可能である。
【0043】
図2から図4に示されるように、ベース110は、近位端112と、遠位面142を有する遠位端140とを含む円筒形状を有する。近位端112は、近位壁114を含み、近位壁114は、遠位方向に延びる細長い先端116を有する。いくつかの実施形態では、細長い先端116は、遠位端140および遠位面142を越えて遠位に延びる。いくつかの実施形態では、細長い先端116は、遠位端140に延び、遠位端140と共通の遠位面142を共有する。いくつかの実施形態では、空洞は、近位壁114から遠位方向に延び、空洞120は、細長い先端内まで一定の距離延びる。空洞120は、注射器70の遠位端76を受け入れるように構成される。細長い先端116は、細長い先端116を通って延び、空洞120と流体連通する開口122を含む。
【0044】
図5に最もよく示されるように、細長い先端116は、近位部分117および遠位部分118を有し、近位部分117は、近位壁114に隣接し、遠位部分118よりも大きい直径を有する。図5に示されるように、空洞120は、近位部分117内に延びる。近位部分117は、1つまたは複数の長手方向スロット124を有する外面119を有する。1つまたは複数の長手方向スロット124は、近位壁114から細長い先端116の近位部分117に沿って遠位にある距離まで延びる。1つまたは複数の長手方向スロット124は、以下でさらに詳細に説明されるように、可動カラー150のスナップロック(snap locks)156と交差するように構成される。1つまたは複数の長手方向スロット124の距離は、スナップロック156が近位壁114から1つまたは複数の長手方向スロット124の距離まで移動することができるので、可動カラー150に長手方向移動距離制限を提供する。
【0045】
図5に最もよく示されるように、ベース110の外側空洞126は、細長い先端116が外側円筒形壁128によって囲まれるように、細長い先端116を外側円筒形壁128から分離する。外側円筒形壁128は、近位壁114から遠位端140まで延びる。別の言い方をすれば、外側円筒形壁128は、外側空洞126および細長い先端116を取り囲む。細長い先端116は、遠位部分118の直径よりも大きい直径を有する近位部分117を有するため、接触面130は、細長い先端の近位部分117と遠位部分118との間に形成される。図3に示されるように、滅菌キャップ190は、細長い先端116の上に配置されると、接触面130に対して着座される。滅菌キャップ190は、細長い先端116の遠位部分118との締まり嵌めを作成するように構成された中空の円筒形本体を有する。さらに、滅菌キャップ190は、滅菌キャップ190の外面192が近位部分117を越えて横方向に突出する(protrude)かまたは突出(project)しないように、細長い先端116の近位部分117の直径以下の外径を有する。以下でさらに詳細に説明するように、可動カラー150は、近位および遠位方向に長手方向に移動することができ、可動カラー150は、外側円筒形壁128と、滅菌キャップ190の組み合わせ外面192と、細長い先端116の近位部分117との間を移動することができる。
【0046】
図4に最もよく示されるように、外側円筒形壁128は、遠位面142から少なくとも部分的に外側円筒形壁128の長さまで近位方向に距離を延びる切り欠き132を有する。いくつかの実施形態では、切り欠き132は、近位壁114に延びる。切り欠き132は、タブ134が遠位面142に対して回転するためのピボットを提供するリビングヒンジ136によって遠位端140および外側円筒形壁128の遠位面142に接続されたタブ134によって少なくとも部分的に覆われている。
【0047】
図4は、開位置にあるタブ134を示し、図5は、閉位置にあるタブ134を示す。示されるように、タブ134は、切り欠き132を実質的に覆う。いくつかの実施形態では、タブ134の内面137は、近位壁114内の対応するスロット139との締まり嵌めまたはスナップフィットを作成するように構成された長手方向突起138を有する。図4および5に示されるように、タブ134の内面137は、遠位に配置された三日月形カム144をさらに備える。三日月形カム144のステム146は、内側に延びており、三日月形カム144の遠位ピーク148は、図3に示されるような閉位置にあるとき、遠位に向けられる。以下でさらに詳細に説明するように、可動カラー150を近位方向に前進させると、可動カラー150の接触面が遠位ピーク148を押し、タブ134がリビングヒンジ136の周りを回転し、図4に示されるように開位置に入る。以下でさらに詳細に説明されるように、タブ134は、可動カラー150の相対的な位置の視覚的な表示を開業医に提供する。
【0048】
図3図6及び図7に示されるように、可動カラー150は、近位端152及び遠位端154を有する中空の円筒形本体を備える。遠位端154から、外側円筒形壁128に対して着座するように構成されたフランジ158が延びる。いくつかの実施形態では、フランジ158は、フランジ158が外側円筒形壁128に着座しているときに、フランジ158がタブ134およびリビングヒンジ136と干渉しないように、リリーフカットアウト(relief cutout)160をさらに備える。近位端152は、細長い先端116の1つまたは複数の長手方向スロット124とのスナップフィットを作成する1つまたは複数のスナップロック156を備える。1つまたは複数のスナップロック156は、可動カラー150が近位および遠位方向に移動することを可能にするが、可動カラー150が円筒形ベース110から完全に取り外されるのを防ぐ。いくつかの実施形態では、クリアランスカットアウト162は、近位端152から可動カラー150に沿った距離まで延びる。クリアランスカットアウト162は、三日月形カム144と干渉しないように構成される。
【0049】
図3に示されるように、クリアランスカットアウト162は、カム接触面164を備える。可動カラー150が外側空洞126内で近位に前進すると、カム接触面164は、三日月形カム144の遠位ピーク148と接触し、タブ134をリビングヒンジ136の周りで枢動させる。
【0050】
図8から図10は、血管アクセスデバイスの初期位置、吸引位置、及び注入位置を示す。図8に示されるように、初期位置では、タブ134は閉じられ、可動インサート150は針カニューレ(図示せず)を完全に変換する。図9に示されるように、可動インサート150の近位方向への前進は、カム接触面164を三日月形カム144の遠位ピーク148と接触させ、タブ134をリビングヒンジ136の周りで枢動させる。これは、針カニューレ80が距離Dfで完全に露出している吸引位置である。いくつかの実施形態では、距離Dfは6mmである。6mmの距離Dfは、インスリンバイアルの吸引に好ましい。タブ134が外側に枢動することによって、使用者は、血管アクセスデバイス100が吸引位置にあるという視覚的な表示を有する。血管アクセスデバイスを注入位置にするには、使用者はタブ134を閉じて、タブを閉位置にする。三日月形カム144は、可動カラー150を遠位方向に距離Dcだけ押し、それによって、針カニューレ80の距離Dfを有効距離Dnまで減少させる。いくつかの実施形態では、距離Dfが6mmであり、距離Dcが2mmであり、有効針カニューレ80の距離Dnが4mmである。4mmは、患者の皮膚20の皮下層を貫通するが、筋肉層には貫通しない。
【0051】
図11は、初期位置にある血管アクセスデバイス100を示す。図12及び図13は、吸引位置にある血管アクセスデバイス100を示し、図14は、注入位置にある血管アクセスデバイス100を示す。
【0052】
図11および12に示されるように、血管アクセスデバイス100の使用方法は、滅菌キャップ190を取り外すステップと、可動インサート150が三日月形カム144に対して付勢するまで、可動インサート150をバイアル40のゴムストッパー50に押し付けるステップと、したがって、タブ134を外向きに枢動させるステップとを含む。図13および14に示されるように、方法は、血管アクセスデバイス100をバイアル40から取り外すステップと、タブ134を内側に押し込むステップと、血管アクセスデバイスを注入位置にもたらすステップとをさらに含む。次いで、血管アクセスデバイス100は、注入位置で患者の皮膚に挿入され得る。
【0053】
図15から図25に示されるように、1つまたは複数の実施形態による血管アクセスデバイス200は、円筒形ベース210、カム付きスライド250、および付勢要素280を備える。図15は、注射器70上の血管アクセスデバイス200の組み立て図を示し、図16は、血管アクセスデバイス200の分解図を示す。図15および16に示されるように、いくつかの実施形態では、血管アクセスデバイスは、滅菌キャップ290をさらに含む。以下でさらに詳細に説明するように、カム付きスライド250は、針カニューレ80の有効長を減少または増加させるために、円筒形ベース上で近位および遠位に並進可能である。
【0054】
図16から図20に示されるように、ベース210は、近位端212と、遠位面242を有する遠位端240とを含む円筒形状を有する。いくつかの実施形態では、近位壁214は、近位端212に配置される。いくつかの実施形態では、近位壁214は、近位端212から距離を置いて配置される。近位壁214は、遠位方向に延びる細長い先端216を有する。いくつかの実施形態では、細長い先端216は、遠位端240および遠位面242を超えて遠位に延びる。いくつかの実施形態では、細長い先端216は、遠位端240に延び、遠位端240と共通の遠位面242を共有する。いくつかの実施形態では、空洞は、近位壁214から遠位方向に延び、空洞220は、細長い先端内まで一定の距離延びる。空洞220は、注射器70の遠位端76を受け入れるように構成される。細長い先端216は、細長い先端216を通って延び、空洞220と流体連通する開口222を含む。
【0055】
図17に最もよく示されるように、ベース210の外側空洞226は、細長い先端216が外側円筒形壁228によって囲まれるように、細長い先端216を外側円筒形壁228から分離する。外側円筒形壁228は、近位壁214から遠位端240まで延びる。別の言い方をすれば、外側円筒形壁228は、外側空洞226および細長い先端216を取り囲む。図17に示されるように、滅菌キャップ290は、細長い先端216の上に配置されると、近位壁214に対して着座される。滅菌キャップ290は、細長い先端216との締まり嵌めを作成するように構成された中空の円筒形本体を有する。
【0056】
図17図20に示されるように、外側円筒形壁228は、外側円筒形壁228の外面230に配置されたカム経路232を備える。いくつかの実施形態では、カム経路232は、以下でさらに詳細に説明するように、カム付きスライド250のペグ252を受け入れるように構成された外側円筒形壁228の厚さにおけるS字形の切り欠きである。カム経路232は、外側円筒形壁228の周りに延び、(図19に最もよく示されるように)カム付きスライド250のペグ252が少なくとも部分的に内部に停止する少なくとも3つの点(234、236、238)を備える。初期位置を画定する第1の点234、吸引位置を画定する第2の点236、注入位置を画定する第3の点238。以下でさらに詳細に説明するように、カム付きスライド250のペグ252は、少なくとも3つの点(234、236、238)の間を時計回りまたは反時計回りの方向に移動することができる。別の言い方をすれば、位置は可逆的であり、したがって、カム付きスライド250のペグ252は、第1の点234(初期位置)から第3の点238(注入位置)まで第2の点236(注入位置)を通って移動することができ、第3の点238(注入位置)から第1の点234(初期位置)まで第2の点236(注入位置)を通って可逆的に移動することもできる。
【0057】
外側円筒形壁228は、遠位端240で外側または外側円筒形壁228から横方向に延びるスナップ要素244をさらに備える。いくつかの実施形態では、スナップ要素244は、傾斜面249に対向する平坦面246を含む。カム付きスライド250が少なくとも3つの点(234、236、238)の間を反時計回りに移動している実施形態では、平坦面246は、傾斜面249の前方にある(図20に示されるように)。カム付きスライド250が少なくとも3つの点(234、236、238)の間を時計回り方向に移動している実施形態では、傾斜面249は平坦面246の前方にある。以下でさらに詳細に説明するように、スナップ要素は、カム付きスライドのスロットと交差するように構成される。カム付きスライド250のスナップ要素244及びスロットは、使用者が少なくとも3つの点(234、236、238)の隣接位置に前進するためにカム付きスライド250に追加の力を加えなければならないソフトストップを作成するように構成される。
【0058】
図21及び22に示されるように、カム付きスライド250は、近位端253及び遠位端254を有する中空の円筒形本体を備える。遠位端254は、遠位端254および遠位壁256に対して近位方向に延びる内側カラー248を備える遠位壁256を有する。内側カラー248は、滅菌キャップ290を受け入れるための内径を有する。カム付きスライド250の中空円筒形本体の内面258は、内側に延びるペグ252と、スロット260とを備える。図22に示されるように、ペグ252は、スロット260に対して直角平面に配置され、ペグ252は、スロット260の近位に配置される。
【0059】
カム付きスライド250は、ペグ252がカム経路232内にあるように、円筒形ベース210の上に配置される。ペグ252がカム経路232内で回転すると、カム付きスライド250全体は、円筒形ベース210の周りを回転し、少なくとも3つの点(234、236、238)の間で時計回りまたは反時計回りの方向に並進する。言い換えれば、位置は可逆的であり、したがって、カム付きスライド250のペグ252は、第1の点234から第2の点236を通って第3の点238に移動することができ、また、第3の点238から第2の点236を通って第1の点234に可逆的に移動することができる。
【0060】
図23から図25は、円筒形ベース210上に少なくとも部分的に配置されたカム付きスライド250、及び円筒形ベース210のカム経路232内に配置され、回転可能に前進可能なカム付きスライド250のペグ252を示す。図23は初期位置を示し、図24は吸引位置を示し、図25は注入位置を示す。
【0061】
図23に示されるように、第1の点234は、第2の点236及び第3の点238の両方から遠位に位置する。第1の点234の位置は、カム付きスライド250を、カム付きスライド250が針カニューレ80を完全に覆う完全に伸長した位置にする。カム付きスライド250の遠位端254は、円筒形ベース210の遠位端240から距離D1にある。距離D1(本質的に、円筒形ベース210の遠位端240を通過するカム付きスライド250の遠位端254の突起距離)は、針カニューレ80を完全に覆う。
【0062】
図24に示されるように、第2の点236は、第1の点234及び第3の点238の両方から近位に位置する。第2の点236の位置は、カム付きスライド250を、針カニューレ80が距離Dだけ完全に露出している完全に格納された位置にする。いくつかの実施形態では、吸引位置では、遠位壁256は、円筒形ベース210の遠位端240に当接する。いくつかの実施形態では、吸引位置では、距離Dは6mmであり、これは、インスリンバイアルから薬剤を吸引するための標準的な針サイズである。
【0063】
図25に示されるように、第3の点238は、第1の点234の近位及び第2の点236の遠位に位置する。第3の点238の位置は、カム付きスライド250を、針カニューレ80が距離D2だけ部分的に露出している部分的に格納された位置にする。いくつかの実施形態では、距離D2は、患者の皮膚の皮下層を貫通するが、筋肉層には貫通しないように構成される。距離Dが6mmであるいくつかの実施形態では、距離D2は4mmである。さらに、注入位置では、カム付きスライド250のスロット260は、以下でさらに詳細に説明するように、スナップ要素244を克服するために必要な力なしに、カム付きスライド250が近位または遠位にさらに回転または並進することができないように、スナップ要素244と交差する。
【0064】
図16、17、23および25に示されるように、付勢要素280は、円筒形ベース210の近位壁214およびカム付きスライド250の遠位壁256に対して付勢される。付勢要素は、外側空洞226内、より具体的には、カム付きスライド250の内側カラー248と円筒形ベース210の外側円筒形壁228との間に配置される。付勢要素280は、円筒形ベース210に対して遠位方向にカム付きスライド250に対して付勢力を加える。前述のように、位置は可逆的であり、したがって、カム付きスライド250のペグ252は、第1の点234から第2の点236を通って第3の点238に移動することができ、また、第3の点238から第2の点236を通って第1の点236に可逆的に移動することができる。いくつかの実施形態では、付勢要素280は、針カニューレ80が常に覆われるように、カム付きスライド250を初期位置に連続的に保持するように構成される。付勢力よりも大きい押し下げ力で円筒形ベース210に対して近位方向にカム付きスライド250を押し下げると、カム付きスライド250が可逆的に吸引位置に前進する。
【0065】
いくつかの実施形態では、カム付きスライド250および血管アクセスデバイス200は、施術者または使用者が、カム付きスライド250を、押し下げ力を有するバイアルのゴムストッパーなどの表面に対して遠位方向に前進させるまで、吸引位置に留まる。カム付きスライド250が押し下げ力で表面に押し下げられている限り、血管アクセスデバイス200は吸引位置に留まり、針カニューレ80がゴム製ストッパー内にある間にのみ針カニューレ80を完全に露出させる。カム付きスライド250を表面から引き抜くと、カム付きスライド250および血管アクセスデバイス200が注入位置に入る。前述のように、カム付きスライド250は、カム付きスライド250のスロット260と交差する円筒形ベース210のスナップ要素244によって注入位置に保持される。針カニューレが距離D2(図25に示されるように)露出するようにカム付きスライド250が保持されているため、使用者または施術者は、カム付きスライド250をさらに動かすことなく、針カニューレ80を患者の皮膚に挿入することができる。別の言い方をすれば、スナップ要素244及びスロット260は、ソフトストップとして構成される。患者の皮膚の皮下層に薬剤を投与した後、使用者または施術者は、血管アクセスデバイス200を完全に処分するか、または血管アクセスデバイスが依然として注入位置にある間に滅菌キャップ290を再取り付けすることができ、血管アクセスデバイス200および滅菌キャップ290を処分することができる。いくつかの実施形態では、スナップ要素244は、平坦面246および傾斜面249を含み、カム付きスライド250が反対方向に回転して移動するのを防ぎ、したがって、血管アクセスデバイス200が初期位置に戻るのを防ぐように構成される
【0066】
いくつかの実施形態では、カム付きスライド250を押し下げ力から解放すると、カム付きスライド250が可逆的に初期位置に戻る。付勢力は、円筒形ベース210に対して遠位方向に向けられ、押し下げ力は、円筒形ベース210に対して近位方向で付勢力と反対である。付勢力および押し下げ力は、カム付きスライド250の長手方向の移動を引き起こし、これもまた、初期位置と吸引位置との間で回転する。(施術者または使用者の手による)回転力を加えた場合にのみ、カム付きスライド250は注入位置に入る。回転力は、時計回りまたは反時計回りであり得る。前述のように、カム付きスライド250は、カム付きスライド250のスロット260と交差する円筒形ベース210のスナップ要素244によって注入位置に保持される。カム付きスライド250は、カム経路232が本質的にウォームギアであるため、長手方向の力によって注入位置から解放することができない。注入位置から解放するために、使用者は、いくつかの実施形態では、注入位置に入るのに必要な回転力以上の回転解放力を加えなければならない。別の言い方をすれば、スナップ要素244及びスロット260は、ソフトストップとして構成される。回転解放力を加えることによって注入位置から解放されると、付勢要素は、カム付きスライド250を初期位置に入り、針カニューレ80を完全に覆う。
【0067】
動作中、図23に示されるような初期位置では、針カニューレ80は、カム付きスライド250によって完全に覆われ、血管アクセスデバイス200は、付勢要素280のために初期位置に留まる。バイアルのゴムストッパーなどの表面に対する血管アクセスデバイス200の前進は、吸引位置で針カニューレ80を完全に露出させるために必要な押し下げ力を加える。吸引位置では、施術者または使用者は、バイアルから薬剤を引き出すことができる。
【0068】
いくつかの実施形態では、血管アクセスデバイス200をバイアルから取り外すと、血管アクセスデバイス200が注入位置に前進する。いくつかの実施形態では、血管アクセスデバイス200をバイアルから取り外すと、血管アクセスデバイス200が初期位置に戻る。いくつかの実施形態では、回転力を加えると、血管アクセスデバイス200が注入位置に入り、部分的にロックされたままになる。
【0069】
注入位置では、針カニューレ80は、針カニューレが患者の皮膚の皮下層内の患者の皮膚のみを貫通するが、筋肉層には貫通しないように、距離D2によって部分的に露出される。注入位置では、施術者または使用者は、患者の皮膚の皮下層に薬剤を注射することができる。血管アクセスデバイス200を処分するために、滅菌キャップ90を戻して処分することができる。
【0070】
図21及び22に戻って参照すると、いくつかの実施形態では、カム付きスライド250は、使用者が血管アクセスデバイス200を作動させるために使用しなければならない回転運動の方向を使用者に示すマーキング262をさらに備える。いくつかの実施形態では、カム付きスライド250は、血管アクセスデバイス200の操作を支援するための把持くぼみをさらに含む。
【0071】
図26Aから図26Dに示されるように、血管アクセスデバイス200の使用方法は、血管アクセスデバイス200が初期位置から吸引位置に前進するようにストッパー50に圧縮力を加えることによって、血管アクセスデバイス200のカム付きスライド250をバイアル40のストッパー50に前進させるステップと、バイアル40から薬剤を引き抜くステップと、血管アクセスデバイス200を吸引位置からバイアス力により注入位置に前進させるバイアル40から血管アクセスデバイス200を引き抜くステップと、血管アクセスデバイス200を患者の皮膚に挿入するステップと、患者の皮膚の皮下層に薬剤を注射するステップと、患者の皮膚から血管アクセスデバイスを引き抜くステップと、血管アクセスデバイス200を初期位置に回転させるステップとを含む。
【0072】
本開示は、その特定の例示的な実施形態を参照して示され、説明されてきたが、本開示の実施形態の精神及び範囲から逸脱することなく、形態及び詳細の様々な変更がその中でなされ得ることが、当業者には理解されるであろう。また、キャップの内側及び/又は外側ハウジングは、単発成形することができ、又は、他の適切なプロセスによって作製することができる。さらに、上述し、図面に示した本開示の実施形態の例示的な実施の特徴または要素は、本開示の実施形態の精神および範囲から逸脱することなく当業者が容易に理解できるように、個別にまたは任意の組み合わせで実施することができる。
【0073】
さらに、添付の図面は、本開示の特定の例示的な実施形態の非限定的な例をさらに説明し、それに関連する技術の説明を助けるものである。上記の図面などで示される特定のまたは相対的な寸法または測定は例示であり、発明の関連分野の当業者によって理解されるような発明の設計または方法の範囲または内容を限定することを意図したものではない。
【0074】
本明細書全体における「一実施形態」、「ある特定の実施形態」、「1つまたは複数の実施形態」または「ある実施形態」に対する言及は、実施形態に関連して記載されている特定の特色、構造、材料、または特徴が本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれていることを意味する。すなわち、「1つまたは複数の実施形態において」、「特定の実施形態において」、「1つの実施形態において」または「実施形態において」のような語句の、本明細書全体の様々な場所における出現は、必ずしも、本開示の同一の実施形態を指しているとは限らない。さらに、特定の特徴、構造、材料、または特色は、1つまたは複数の実施形態において任意の適当な様式で組み合わされ得る。
【0075】
本開示は特定の実施形態を参照して記載されているが、これらの実施形態は本開示の原理及び応用の例示に過ぎないことが理解されるべきである。本発明の精神および範囲から逸脱することなく、様々な修正および変形を本開示の方法およびデバイスに対して行うことができることは、当業者にとって明らかであろう。従って、本開示は、添付の特許請求の範囲およびその等価物の範囲内である修正および変形を含むことが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26A
図26B
図26C
図26D
図26E
図26F
図26G
【国際調査報告】