IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大▲連▼大学の特許一覧

特表2024-542325抗炎症活性を有するポリケチド化合物及びその製造方法と使用
<>
  • 特表-抗炎症活性を有するポリケチド化合物及びその製造方法と使用 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-14
(54)【発明の名称】抗炎症活性を有するポリケチド化合物及びその製造方法と使用
(51)【国際特許分類】
   C07C 49/255 20060101AFI20241107BHJP
   C12N 1/14 20060101ALI20241107BHJP
   C12P 1/02 20060101ALI20241107BHJP
   C12P 17/00 20060101ALI20241107BHJP
   C07D 303/23 20060101ALI20241107BHJP
   C07D 493/04 20060101ALI20241107BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20241107BHJP
   A61K 31/336 20060101ALI20241107BHJP
   A61K 31/352 20060101ALI20241107BHJP
   A61K 31/085 20060101ALI20241107BHJP
   A61K 36/062 20060101ALI20241107BHJP
   A61K 31/12 20060101ALI20241107BHJP
   C07C 43/23 20060101ALI20241107BHJP
   C07C 45/79 20060101ALI20241107BHJP
   C07C 41/36 20060101ALI20241107BHJP
【FI】
C07C49/255 B
C12N1/14 A
C12P1/02 Z
C12P17/00
C07D303/23 CSP
C07D493/04 101A
A61P29/00
A61K31/336
A61K31/352
A61K31/085
A61K36/062
A61K31/12
C07C43/23 D
C07C45/79
C07C41/36
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533328
(86)(22)【出願日】2022-06-28
(85)【翻訳文提出日】2024-06-04
(86)【国際出願番号】 CN2022101718
(87)【国際公開番号】W WO2023240678
(87)【国際公開日】2023-12-21
(31)【優先権主張番号】202210666466.X
(32)【優先日】2022-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517234538
【氏名又は名称】大▲連▼大学
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】唐 川
(72)【発明者】
【氏名】戚 竣凱
(72)【発明者】
【氏名】盧 軒
(72)【発明者】
【氏名】馮 偉星
(72)【発明者】
【氏名】馮 宝民
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C086
4C087
4C206
4H006
【Fターム(参考)】
4B064AE43
4B064CA05
4B064CC15
4B064CD22
4B064CD30
4B064CE02
4B064CE08
4B064CE10
4B064CE20
4B064DA08
4B064DA20
4B065AA67X
4B065AC14
4B065BB26
4B065BB40
4B065CA18
4B065CA44
4B065CA60
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA01
4C086BA08
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB11
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA05
4C087BC07
4C087CA10
4C087CA24
4C087CA25
4C087NA14
4C087ZB11
4C206AA01
4C206AA02
4C206CA17
4C206CA27
4C206CB14
4C206MA01
4C206MA04
4C206NA14
4C206ZB11
4H006AA01
4H006AA02
4H006AA03
4H006AB22
4H006AD17
4H006BB12
4H006BB14
4H006BB15
4H006BB17
4H006BB21
4H006BB31
4H006BD60
4H006GP03
(57)【要約】
本発明は、抗炎症活性を有するポリケチド化合物及びその製造方法と使用を開示し、医薬技術分野に属する。本発明は、チベットイワベンケイRhodiola tibeticaの根部位からアオカビ属内生菌(Penicillium sp.)HJT-A-10を分離し、得られたアオカビ属内生菌(Penicillium sp.)HJT-A-10に対して固体発酵を行い、一連の分離精製方法で分離して4つの新規活性化合物を得、その4つの化合物はいずれも良好な抗炎症活性を有し、抗炎症薬剤の開発のための新たなアプローチを提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下式に示す構造を有するポリケチド化合物又はその薬学的に許容される塩。
【化1】
【請求項2】
2022年5月6日に中国微生物菌種保蔵管理委員会普通微生物センターに寄託され、寄託番号がCGMCC No.40167で、寄託機関の住所が北京市朝陽区北辰西路一号院三号である、アオカビ属内生菌(Penicillium sp.)HJT-A-10。
【請求項3】
請求項2に記載のアオカビ属内生菌(Penicillium sp.)HJT-A-10を固体培地に接種して培養し、固体発酵生成物を得るステップ(1)と、
ステップ(1)で得られた固体発酵生成物の抽出液を正相シリカゲルカラムにロードし、体積比100:0~100:100のジクロロメタン/メタノールを移動相として勾配溶出を行い、TLCの結果に基づき、画分1~5を順次に得、次いで画分5を正相シリカゲルカラムにロードし、体積比15:1~2:1の石油エーテル/酢酸エチルを移動相として勾配溶出を行い、TLCの結果に基づき、画分5-1~5-7を順次に得、画分5-3をSephadex LH-20ゲルカラムにロードし、体積比1:1のジクロロメタン/メタノール混合液を移動相して溶出を行い、TLCの結果に基づき、画分5-3-2を得、画分5-3-2をAgilent C18高速液体クロマトグラフィーカラムにロードし、35%のメタノール水溶液を移動相として溶出を行って、化合物1を得、画分5-7をSephadex LH-20ゲルカラムにロードし、体積比1:1のジクロロメタン/メタノール混合液を移動相として溶出を行い、TLCの結果に基づき、画分5-7-3を得、画分5-7-3をAgilent C18高速液体クロマトグラフィーカラムにロードし、25%のアセトニトリル水溶液を移動相として溶出を行って、化合物2と化合物3を得、画分5-4をSephadex LH-20ゲルカラムにロードし、体積比1:1のジクロロメタン/メタノール混合液を移動相として溶出を行い、TLCの結果に基づき、画分5-4-2を得、画分5-4-2をAgilent C18高速液体クロマトグラフィーカラムにロードし、35%のアセトニトリル水溶液を移動相として溶出を行って、化合物4を得るステップ(2)と、を含む、請求項1に記載のポリケチド化合物の製造方法。
【請求項4】
ステップ(1)における前記固体培地は、米と純水を80:80~120g/mLの質量体積比で調製して得られる、請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
ステップ(2)における前記ロードの過程において、固体発酵生成物の抽出液に100-200メッシュのシリカゲルを加えて撹拌し、溶媒を揮発させて乾燥させ、カラムに充填する、請求項3に記載の製造方法。
【請求項6】
ステップ(2)における前記勾配溶出の過程において、ジクロロメタン/メタノールの体積比は、100:0、100:1、100:2、100:3、100:4、100:5、100:7、100:10、100:20、100:50、100:100である、請求項3に記載の製造方法。
【請求項7】
ステップ(2)における前記勾配溶出の過程において、石油エーテル/酢酸エチルの体積比は、15:1、10:1、8:1、6:1、4:1、2:1である、請求項3に記載の製造方法。
【請求項8】
請求項1に記載のポリケチド化合物又はその薬学的に許容される塩及び薬学的に許容される添加剤を含む、医薬組成物。
【請求項9】
請求項1に記載のポリケチド化合物又はその薬学的に許容される塩又は請求項8に記載の医薬組成物の、抗炎症薬物の製造のための使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬技術分野に関し、具体的には、抗炎症活性を有するポリケチド化合物及びその製造方法と使用に関する。
【背景技術】
【0002】
薬用植物内生菌には多様性があり、内生菌のそれぞれに豊富な二次代謝産物があり、現在、内生菌の二次代謝産物から生物活性を有するアルカロイド、ポリペプチド、ポリケチド類、テルペノイドなどの物質が多数発見され、これらの二次代謝産物は、例えば抗菌、抗炎症、抗腫瘍、抗高血糖、抗寄生虫など、寄主植物と同じ又は似た生物活性を持つだけでなく、新たな生物活性を多数有する。そのため、薬用植物内生菌の二次代謝産物は、膨大な潜在の薬用物質資源庫となり、良好な開発見込みがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、抗炎症活性を有するポリケチド化合物及びその製造方法と使用を提供することを目的とする。本発明は、植物内生菌資源を十分に活用するよう植物内生菌に対して研究を行い、チベットイワベンケイ(Rhodiola tibetica)の根部位からアオカビ属内生菌(Penicillium sp.)HJT-A-10を分離し、これは2022年5月6日に中国微生物菌種保蔵保存管理委員会普通微生物センターに寄託され、寄託番号はCGMCC No.40167で、寄託機関の住所は北京市朝陽区北辰西路一号院三号であり、得られたアオカビ属内生菌(Penicillium sp.)HJT-A-10に対して固体発酵を行い、一連の分離精製方法を用いて分離して4つの新規活性化合物を得、薬剤の開発のための新たなリード化合物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の目的は以下の技術的手段により達成することができる。
【0005】
本発明の一態様によれば、下式に示す構造を有するポリケチド化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【化1】
【0006】
本発明の他の態様によれば、アオカビ属内生菌(Penicillium sp.)HJT-A-10を提供し、該HJT-A-10は、2022年5月6日に中国微生物菌種保蔵管理委員会普通微生物センターに寄託され、寄託番号がCGMCC No.40167で、寄託機関の住所が北京市朝陽区北辰西路一号院三号である。
【0007】
本発明の他の態様によれば、前記ポリケチド化合物の製造方法をさらに提供し、主に以下のステップ(1)とステップ(2)と、を含む。
ステップ(1):上記アオカビ属内生菌(Penicillium sp.)HJT-A-10を米固体培地に接種して培養し、固体発酵生成物を得る。
ステップ(2):ステップ(1)で得られた固体発酵生成物の抽出液を正相シリカゲルカラムにロードし、体積比100:0~100:100のジクロロメタン/メタノールを移動相として勾配溶出を行い、TLCの結果に基づき、画分1~5を順次に得、次いで画分5を正相シリカゲルカラムにロードし、体積比15:1~2:1の石油エーテル/酢酸エチルを移動相として勾配溶出を行い、TLCの結果に基づき、画分5-1~5-7を順次に得、画分5-3をSephadex LH-20ゲルカラムにロードし、体積比1:1のジクロロメタン/メタノール混合液を移動相して溶出を行い、TLCの結果に基づき、画分5-3-2を得、画分5-3-2をAgilent C18高速液体クロマトグラフィーカラムにロードし、35%のメタノール水溶液を移動相として溶出を行って、化合物1を得、画分5-7をSephadex LH-20ゲルカラムにロードし、体積比1:1のジクロロメタン/メタノール混合液を移動相として溶出を行い、TLCの結果に基づき、画分5-7-3を得、画分5-7-3をAgilent C18高速液体クロマトグラフィーカラムにロードし、25%のアセトニトリル水溶液を移動相として溶出を行って、化合物2と化合物3を得、画分5-4をSephadex LH-20ゲルカラムにロードし、体積比1:1のジクロロメタン/メタノール混合液を移動相として溶出を行い、TLCの結果に基づき、画分5-4-2を得、画分5-4-2をAgilent C18高速液体クロマトグラフィーカラムにロードし、35%のアセトニトリル水溶液を移動相として溶出を行って、化合物4を得る。
【0008】
さらに、ステップ(1)における上記米固体培地は、米と純水を80:80~120g/mLの質量体積比で調製して得られる。
【0009】
さらに、ステップ(2)における上記ロードの過程において、固体発酵生成物の抽出液に100-200メッシュのシリカゲルを加えて撹拌し、溶媒を揮発させて乾燥させ、カラムに充填する。
【0010】
さらに、ステップ(2)における上記勾配溶出の過程において、ジクロロメタンとメタノールとの体積比は、100:0、100:1、100:2、100:3、100:4、100:5、100:7、100:10、100:20、100:50、100:100である。
【0011】
さらに、ステップ(2)における上記勾配溶出の過程において、石油エーテルと酢酸エチルとの体積比は15:1、10:1、8:1、6:1、4:1、2:1である。
【0012】
本発明は、さらに、上記ポリケチド化合物又はその薬学的に許容される塩と薬学的に許容される添加剤とを含む医薬組成物を提供する。
【0013】
本発明は、さらに、上記ポリケチド化合物又はその薬学的に許容される塩又は医薬組成物の、抗炎症薬物の製造のための使用を提供する。
【発明の効果】
【0014】
従来技術と比べると、本発明は、以下のメリットがある。
1.本発明は、植物内生菌を研究することにより、植物内生菌資源を活用し、4つの新規活性化合物が分離され、薬剤の開発のための、新たなリード化合物を提供する。
2.本発明によって分離された4つの化合物は、濃度によって、NOの放出を異なる程度に抑制し、化合物3は濃度が10μMの場合、陽性対照群よりも優れた抑制活性を示し、これにより、本発明の4つの化合物はいずれも良好な抗炎症活性を有することが明らかであり、抗炎症薬剤の開発のための新たなアプローチを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
以下、本発明の実施例をより明確に説明するために、実施例に係る図面を簡単に説明する。
【0016】
図1】実施例1で分離された化合物1~4の抗炎症効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施例に関連して本発明を詳細に説明するが、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。以下に説明する実施例は本発明の実施例の一部に過ぎず、当業者にとって創造的労働を行うことなく得た他の同様の実施例は本発明が保護する範囲に含まれることは明らかである。特に説明がない限り、本発明で使用される実験方法は全て通常の方法であり、使用される実験器具、材料、試薬等はすべて市販されているものである。
【0018】
(実施例1)
ポリケチド化合物の製造方法は、主にステップ(1)とステップ(2)を含む。
【0019】
ステップ(1):アオカビ属内生菌(Penicillium sp.)HJT-A-10を、米と純水を80g:100mlの質量体積比で調製された固体培地に接種して培養し、固体発酵生成物を得る。
【0020】
ステップ(2):ステップ(1)で得られた固体発酵生成物を、体積比1:1のメタノール/ジクロロメタンで溶解してから100-200メッシュのシリカゲルを加えて撹拌し、溶媒を揮発させて乾燥させ、正相シリカゲルカラムにより分離し、ここで、移動相がジクロロメタン/メタノールで、ジクロロメタンとメタノールとの体積比が100:0、100:1、100:2、100:3、100:4、100:5、100:7、100:10、100:20、100:50、100:100で、流速が1L/時であり、勾配溶出により20個の画分を得、TLCの結果によって瓶を合わせて、順次に画分1~5を得、次いで画分5を正相シリカゲルカラムにより分離し、ここで、移動相が石油エーテル/酢酸エチルで、石油エーテルと酢酸エチルとの体積比が15:1、10:1、8:1、6:1、4:1、2:1で、流速が0.5L/時であり、TLCの結果によって順次に画分5-1~5-7を得、画分5-3をSephadex LH-20ゲルカラムにロードして分離し、ここで、移動相はジクロロメタンとメタノールとの体積比が1:1である混合液であり、TLCの結果によって、画分5-3-2を得、画分5-3-2をAgilent C18高速液体クロマトグラフィーカラムにロードして分離し、ここで、移動相が35%のメタノール水溶液で、流速が3mL/分であり、検出器が210、254nmの紫外線検出器であり、単量体化合物1を得、保持時間が28分である。画分5-7をSephadex LH-20ゲルカラムにロードして分離し、ここで、移動相はジクロロメタンとメタノールとの体積比が1:1である混合液であり、TLCの結果によって、画分5-7-3を得、画分5-7-3をAgilent C18高速液体クロマトグラフィーカラムにロードして分離し、ここで、移動相が25%のアセトニトリル水溶液で、流速が3mL/分で、検出器が210、254nmの紫外線検出器であり、単量体化合物2と単量体化合物3を得、保持時間がそれぞれ30分と28分である。画分5-4をSephadex LH-20ゲルカラムにロードして分離し、ここで、移動相はジクロロメタンとメタノールとの体積比が1:1である混合液であり、TLCの結果によって、画分5-4-2を得、画分5-4-2をAgilent C18高速液体クロマトグラフィーカラムにロードして分離し、ここで、移動相が35%のアセトニトリル水溶液で、流速が3mL/分で、検出器が210、254nmの紫外線検出器であり、単量体化合物4を得、保持時間が31分である。
【0021】
単量体化合物1のスペクトルデータは、以下に示すとおりである。
H NMR (500 Hz, DMSO-d) δ : 9.26 (1H, s), 6.30 (1H, d, J = 1.85 Hz), 6.21 (1H, d, J = 1.85 Hz), 3.67 (2H, s), 3.64 (3H, s), 2.08 (3H, s) 1.86 (3H, s)。
13C HMR (125 Hz, DMSO-d) δ : 136.0 (C-1), 115.7 (C-2), 156.6 (C-3), 100.1 (C-4), 157.9 (C-5), 107.7 (C-6), 49.1 (C-7), 206.4 (C-8), 29.7 (C-9), 11.5 (C-10), 55.2 (C-11)。
【0022】
単量体化合物1のHMBCスペクトルの結果は、以下に示すとおりである。
【化2】
【0023】
単量体化合物2のスペクトルデータは、以下に示すとおりである。
H NMR (500 Hz,DMSO-d) δ : 8.91 (1H, s),6.32 (1H, s), 4.57 (1H, d, J = 4.7 Hz) 3.73 (1H, m), 3.66 (3H, s), 2.73 (1H, dd, J = 13.4, 6.3 Hz), 2.60 (1H, dd, J = 13.4, 6.3 Hz), 2.03 (3H, s), 2.02 (3H, s), 1.01 (3H, d, J = 6.2 Hz)。
13C HMR (125 Hz,DMSO-d) δ : 138.5 (C-1), 115.0 (C-2), 155.7 (C-3), 97.1 (C-4), 153.8 (C-5), 114.8 (C-6), 39.7 (C-7), 67.2 (C-8), 23.7 (C-9), 12.2 (C-10), 55.5 (C-11), 12.4 (C-12)。
【0024】
単量体化合物2のHMBCスペクトルの結果は、以下に示すとおりである。
【化3】
【0025】
単量体化合物3のスペクトルデータは、以下のように示す。
H NMR (500 Hz,DMSO-d) δ : 8.69 (1H, s), 6.62 (1H, d, J = 8.7 Hz), 6.66 (1H, d, J = 8.7 Hz), 4.45 (1H, s), 3.67 (3H, s), 2.59 (2H, m), 1.46 (2H, m), 0.91 (3H, t, J = 7.3 Hz)。
13C HMR (125 Hz,DMSO-d) δ : 130.1 (C-1),129.1 (C-2,), 151.0 (C-3), 109.8 (C-4), 114.4 (C-5), 149.6 (C-6), 28.6 (C-7), 23.6 (C-8), 14.9 (C-9), 54.6 (C-10), 56.5 (C-11)。
【0026】
単量体化合物3のHMBCスペクトルの結果は、以下に示すとおりである。
【化4】
【0027】
単量体化合物4のスペクトルデータは、以下に示すとおりである。
H NMR (500 Hz,DMSO-d) δ : 7.07 (1H, s),6.88 (1H, s), 4.50 (1H, d, J = 15.5 Hz),4.74 (1H, d, J = 15.5 Hz), 3.83 (3H, s),3.73 (1H, m), 2.86 (1H, d, J = 15.7 Hz),2.49 (1H, d, J = 15.7 Hz), 1.30 (3H, d, J = 6.1 Hz)。
13C HMR (125 Hz,DMSO-d) δ : 111.7 (C-1), 130.6 (C-2), 120.6 (C-3), 155.5 (C-4), 96.7 (C-5), 149.7 (C-6), 112.7 (C-7), 139.8 (C-8), 159.0 (C-9), 32.1 (C-10), 69.9 (C-11), 21.8 (C-12), 63.9 (C-13), 56.6 (C-14)。
【0028】
単量体化合物4のHMBCスペクトルの結果は、以下に示すとおりである。
【化5】
【0029】
(実施例2)
実施例1で製造された化合物1~4の抗炎症活性に対する研究
マウスRAW 264.7マクロファージの培養:RAW 264.7マクロファージを、10%のウシ胎仔血清(<0.5EU/ml)、1%のペニシリンとストレプトマイシンを含む高糖質DMEMの培地に接種し、37℃、5%のCOインキュベーターに置いて培養する。細胞被覆率が約90%に達すると、上清を捨て、直接37℃の培地を加えて吹き付け、継代培養する。対数増殖期の細胞を取って、後の実験に用いる。
【0030】
LPS誘発によるRAW 264.7マクロファージ炎症モデルの作成:対数増殖期のRAW 264.7細胞を取って、一ウェル当たり1×10個の細胞を96ウェル細胞培養プレートに接種し、24時間経って細胞が接着されてから、正常対照群、LPSモデル群、陽性対照群及び化合物群を設置し、各群は6ウェルずつ設ける。正常対照群とLPSモデル群は、まず無血清DMEM培地で細胞を培養し、化合物群はそれぞれ終濃度が80、40、20、10μMの化合物1~4を含む無血清DMEMで細胞を培養し、陽性対照群は終濃度が200μMのL-NAME(一酸化窒素シンターゼ阻害剤)を含む無血清DMEMで細胞を培養する。上記のようにして細胞を4時間培養してから、正常対照群を無血清DMEMで引き続き培養する他、ほかの群に終濃度が1μg/mLのLPSを加えて細胞を刺激し、24時間後に各ウェル当たり50μLの培地を収集し、一酸化窒素スクリーニングキットでNOの分泌状況を検出し、且つ各ウェルに濃度が5g/LのMTTを10μL加え、引き続き4時間培養してから上清を捨て、各ウェルにDMSOを150μL加え、10分振とうし、570nm下で各ウェルの吸光度を測定する。
【0031】
MTTの結果は、実施例1で製造された化合物1~4のIC50が100μMより大きい(IC50>100μM)ことを示し、抗炎症実験の結果は図1に示し、本発明の4つの化合物は、異なる濃度によって、NOの放出を異なる程度で抑制し、その中、化合物3は、濃度が10μMの場合、陽性対照群よりも優れた抑制活性を示し、これにより、その4つの化合物は程度が異なる抗炎症活性を有することは明らかである。
【0032】
最後に以下のことを説明すべきである。以上の各実施例は本発明の技術的手段を説明するためのものにすぎなく、それを限定するものではない。上述した各実施例を参照しながら本発明を詳細に説明したが、上述した各実施例に記載の技術的手段を修正するか、またはその技術的特徴の一部または全部に同等な取り替えを実施することも可能であり、それらの修正や取り替えによって、対応する技術的手段の本質が本発明の各実施例の技術的手段の範囲から逸脱しないことは当業者に理解されよう。
【0033】
[付記]
[付記1]
下式に示す構造を有するポリケチド化合物又はその薬学的に許容される塩。
【化6】
【0034】
[付記2]
2022年5月6日に中国微生物菌種保蔵管理委員会普通微生物センターに寄託され、寄託番号がCGMCC No.40167で、寄託機関の住所が北京市朝陽区北辰西路一号院三号である、アオカビ属内生菌(Penicillium sp.)HJT-A-10。
【0035】
[付記3]
付記2に記載のアオカビ属内生菌(Penicillium sp.)HJT-A-10を固体培地に接種して培養し、固体発酵生成物を得るステップ(1)と、
ステップ(1)で得られた固体発酵生成物の抽出液を正相シリカゲルカラムにロードし、体積比100:0~100:100のジクロロメタン/メタノールを移動相として勾配溶出を行い、TLCの結果に基づき、画分1~5を順次に得、次いで画分5を正相シリカゲルカラムにロードし、体積比15:1~2:1の石油エーテル/酢酸エチルを移動相として勾配溶出を行い、TLCの結果に基づき、画分5-1~5-7を順次に得、画分5-3をSephadex LH-20ゲルカラムにロードし、体積比1:1のジクロロメタン/メタノール混合液を移動相して溶出を行い、TLCの結果に基づき、画分5-3-2を得、画分5-3-2をAgilent C18高速液体クロマトグラフィーカラムにロードし、35%のメタノール水溶液を移動相として溶出を行って、化合物1を得、画分5-7をSephadex LH-20ゲルカラムにロードし、体積比1:1のジクロロメタン/メタノール混合液を移動相として溶出を行い、TLCの結果に基づき、画分5-7-3を得、画分5-7-3をAgilent C18高速液体クロマトグラフィーカラムにロードし、25%のアセトニトリル水溶液を移動相として溶出を行って、化合物2と化合物3を得、画分5-4をSephadex LH-20ゲルカラムにロードし、体積比1:1のジクロロメタン/メタノール混合液を移動相として溶出を行い、TLCの結果に基づき、画分5-4-2を得、画分5-4-2をAgilent C18高速液体クロマトグラフィーカラムにロードし、35%のアセトニトリル水溶液を移動相として溶出を行って、化合物4を得るステップ(2)と、を含む、付記1に記載のポリケチド化合物の製造方法。
【0036】
[付記4]
ステップ(1)における前記固体培地は、米と純水を80:80~120g/mLの質量体積比で調製して得られる、付記3に記載の製造方法。
【0037】
[付記5]
ステップ(2)における前記ロードの過程において、固体発酵生成物の抽出液に100-200メッシュのシリカゲルを加えて撹拌し、溶媒を揮発させて乾燥させ、カラムに充填する、付記3に記載の製造方法。
【0038】
[付記6]
ステップ(2)における前記勾配溶出の過程において、ジクロロメタン/メタノールの体積比は、100:0、100:1、100:2、100:3、100:4、100:5、100:7、100:10、100:20、100:50、100:100である、付記3に記載の製造方法。
【0039】
[付記7]
ステップ(2)における前記勾配溶出の過程において、石油エーテル/酢酸エチルの体積比は、15:1、10:1、8:1、6:1、4:1、2:1である、付記3に記載の製造方法。
【0040】
[付記8]
付記1に記載のポリケチド化合物又はその薬学的に許容される塩及び薬学的に許容される添加剤を含む、医薬組成物。
【0041】
[付記9]
付記1に記載のポリケチド化合物又はその薬学的に許容される塩又は付記8に記載の医薬組成物の、抗炎症薬物の製造のための使用。
図1
【国際調査報告】