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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-14
(54)【発明の名称】試験システム及び試験方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 29/10 20060101AFI20241107BHJP
   H04B 17/15 20150101ALI20241107BHJP
   H04B 17/29 20150101ALI20241107BHJP
【FI】
G01R29/10 A
G01R29/10 E
H04B17/15
H04B17/29
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533812
(86)(22)【出願日】2022-10-26
(85)【翻訳文提出日】2024-06-04
(86)【国際出願番号】 CN2022127610
(87)【国際公開番号】W WO2023103628
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】202111517330.4
(32)【優先日】2021-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524212811
【氏名又は名称】ジェネラル テスト システムズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】GENERAL TEST SYSTEMS INC.
【住所又は居所原語表記】Floor 3, Building B5, Taohuayuan Science and Technology Innovation Ecological Park, Tiegang Community, Xixiang Street, Bao’an District, Shenzhen, Guangdong 518000, China
(74)【代理人】
【識別番号】100104226
【弁理士】
【氏名又は名称】須原 誠
(72)【発明者】
【氏名】ユー ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】チー イーホン
(57)【要約】
本発明は、被試験デバイス(500)に対してワイヤレステストを行って電磁放射性能を得るための試験システム及び試験方法を提供する。試験システムは、被試験デバイスを支持するための支持台(100)、複数の試験用アンテナ(200)、及び少なくとも2つの移動ユニット(300)を含む移動機構を備えている。各移動ユニット(300)には試験用アンテナ(200)が取り付けられており、試験用アンテナ(200)は支持台(100)に対して所定角度間隔を有するように配置されている。移動機構は、試験用アンテナ(200)が複数のサンプリング点(600)に到達するように移動ユニット(300)を駆動するための駆動ユニットをさらに含む。サンプリング点(600)は支持台(100)に対して異なる複数の角度に位置し、支持台(100)に対するサンプリング点(600)の角度間隔は、前記所定角度間隔よりも小さい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被試験デバイスに対してワイヤレステストを行って電磁放射性能を得るための試験システムであって、支持台、複数の試験用アンテナ及び移動機構を備えており、
前記支持台は前記被試験デバイスを支持するために用いられ、
前記移動機構は、少なくとも2つの移動ユニットを含み、各前記移動ユニットには前記試験用アンテナが取り付けられており、前記試験用アンテナは、前記支持台に対して所定角度間隔を有するように配置されており、
前記移動機構は、前記試験用アンテナが複数のサンプリング点に到達するように、前記移動ユニットを駆動するための駆動ユニットをさらに含み、前記サンプリング点は前記支持台に対して異なる複数の角度に位置し、前記支持台に対する前記サンプリング点の角度間隔は、前記所定角度間隔より小さいことを特徴とする試験システム。
【請求項2】
前記移動ユニットの数は前記試験用アンテナの数に等しく、前記移動ユニットごとに1つの前記試験用アンテナが取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の試験システム。
【請求項3】
前記試験用アンテナが前記サンプリング点に到達したときにサンプリングを実行するための試験器をさらに含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の試験システム。
【請求項4】
隣接する前記試験用アンテナ間の距離は、試験周波数に対応する波長の半分より大きいことを特徴とする請求項1又は2に記載の試験システム。
【請求項5】
前記移動機構はガイドレールを含み、前記移動ユニットは前記ガイドレールに沿って移動可能なスライダであることを特徴とする請求項1又は2に記載の試験システム。
【請求項6】
前記支持台は1次元回転プラットフォームであることを特徴とする請求項1又は2に記載の試験システム。
【請求項7】
前記移動ユニットのうちの1つには、すべての前記試験用アンテナと接続された高周波スイッチが取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の試験システム。
【請求項8】
前記移動ユニットごとに高周波スイッチが取り付けられており、各前記高周波スイッチは対応する前記移動ユニット内の前記試験用アンテナと接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の試験システム。
【請求項9】
被試験デバイスに対してワイヤレステストを行って電磁放射性能を得るための試験方法であって、
前記被試験デバイスを支持台上に配置するステップと、
複数の試験用アンテナを少なくとも2つのグループに分け、各グループの前記試験用アンテナを1つの移動ユニットに取り付けるステップであって、前記支持台に対して所定角度間隔を有するように前記試験用アンテナを配置するステップと、
前記試験用アンテナが複数のサンプリング点に到達してサンプリングを実行するように前記移動ユニットを駆動するステップであって、前記サンプリング点が前記支持台に対して異なる複数の角度に位置し、前記支持台に対する前記サンプリング点の角度間隔が前記所定角度間隔より小さいステップとを含むことを特徴とする試験方法。
【請求項10】
隣接する前記試験用アンテナ間の距離を試験周波数に対応する波長の半分より大きくすることを特徴とする請求項9に記載の試験方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信テストの分野に関し、具体的には、被試験デバイスに対してワイヤレステストを行って電磁放射性能を得るための試験システム及び試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術では、アンテナ及び無線装置の試験システムは、試験用アンテナの数に応じて、シングルプローブ試験システム及びマルチプローブ試験システムに分類され得る。シングルプローブ試験システムは試験用アンテナを1つのみ有し、被試験デバイスの異なる方位角及び仰俯角でのサンプリングを実現するために、1つの実現方法は、試験用アンテナを固定し、被試験デバイスを2次元回転するように制御することであり、もう1つの実現方法は、試験用アンテナを制御し、被試験デバイスの水平方向の1次元回転に合わせて、被試験デバイスの仰俯角方向に移動させることである。マルチプローブ試験システムでは通常、被試験デバイスの周囲に複数の試験用アンテナが固定配置されており、試験中に被試験デバイスが1次元回転するだけであらゆる角度から電磁性能のサンプリングを実現することができる。
【0003】
シングルプローブ試験システムは構造が単純であるが、異なる複数の空間位置でのサンプリングを実現するには、試験用アンテナ又は被試験デバイスを複数回移動・回転させる必要があり、テスト時間が長くなる。マルチプローブ試験システムは、電子スイッチを通じてそれぞれの試験用アンテナを素早く切り替えることができ、テスト効率が高い。しかし、隣接する試験用アンテナ間にはカップリング(結合)干渉が存在し、特にハイレゾリューション(高解像度)サンプリングの場合、試験用アンテナの距離が狭く、カップリング干渉がより強いため、テスト精度に悪影響を及ぼす。
【発明の概要】
【0004】
本発明は主に、被試験デバイスに対してワイヤレステストを行って電磁放射性能を得るための試験システム及び試験方法を提供する。被試験デバイスは、アンテナ又はアンテナを有する無線装置である。
【0005】
本発明に係る実施形態の第1の態様によれば、支持台、複数の試験用アンテナ及び移動機構を備えた試験システムが提供される。支持台は被試験デバイスを支持するために用いられる。移動機構は少なくとも2つの移動ユニットを含み、各移動ユニットには試験用アンテナが取り付けられており、試験用アンテナは支持台に対して所定角度間隔を有するように配置されている。移動機構は、試験用アンテナが複数のサンプリング点に到達するように移動ユニットを駆動するための駆動ユニットをさらに含む。サンプリング点は支持台に対して異なる複数の角度に位置し、支持台に対するサンプリング点の角度間隔は、前記所定角度間隔よりも小さい。
【0006】
試験システムの1つの実施形態によれば、移動ユニットの数は試験用アンテナの数に等しく、移動ユニットごとに1つの試験用アンテナが取り付けられている。
【0007】
試験システムの1つの実施形態によれば、試験用アンテナがサンプリング点に到達したときにサンプリングを実行するための試験器がさらに含まれる。
【0008】
試験システムの1つの実施形態によれば、隣接する試験用アンテナ間の距離は試験周波数に対応する波長の半分より大きい。
【0009】
試験システムの1つの実施形態によれば、移動機構はガイドレールを含み、移動ユニットはガイドレールに沿って移動可能なスライダである。
【0010】
試験システムの1つの実施形態によれば、支持台は1次元回転プラットフォームである。
【0011】
試験システムの1つの実施形態によれば、移動ユニットのうちの1つには、すべての試験用アンテナと接続された高周波スイッチ(RFスイッチ)が取り付けられている。
【0012】
試験システムの1つの実施形態によれば、移動ユニットごとに高周波スイッチが取り付けられており、各高周波スイッチは対応する移動ユニット内の試験用アンテナと接続されている。
【0013】
本発明に係る実施形態の第2の様態によれば、試験方法が提供される。当該方法は、被試験デバイスを支持台上に配置するステップと、複数の試験用アンテナを少なくとも2つのグループに分け、各グループの試験用アンテナを1つの移動ユニットに取り付けるステップであって、支持台に対して所定角度間隔を有するように試験用アンテナを配置するステップと、試験用アンテナが複数のサンプリング点に到達してサンプリングを実行するように移動ユニットを駆動するステップであって、サンプリング点が支持台に対して異なる複数の角度に位置し、支持台に対するサンプリング点の角度間隔が試験用アンテナの前記所定角度間隔より小さいステップとを含む。
【0014】
試験方法の1つの実施例によれば、隣接する試験用アンテナ間の距離を試験周波数に対応する波長の半分より大きくする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】関連技術におけるシングルプローブ試験システムの概略図である。
図2】関連技術におけるシングルプローブ試験システムの概略図である。
図3】関連技術におけるシングルプローブ試験システムの概略図である。
図4】関連技術におけるマルチプローブ試験システムの概略図である。
図5】本発明の1つの実施形態による試験システムの概略図である。
図6】本発明の1つの実施形態による試験システムの概略図である。
図7】本発明の1つの実施形態による試験方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面を参照しつつ本発明の実施形態について以下に説明する。図面は必ずしも同じ縮尺ではないことを理解されたい。記述の実施形態は例示的なものであり、本発明を限定することを意図するものではなく、同じ又は同様の方法で実施形態の特徴と組み合わせたり置き換えたりすることができる。本発明及び添付の特許請求の範囲で使用される単数形の「一種」、「前記」及び「当該」は、文脈上明らかにほかの意味を示さない限り、多数形をも含むことを意味する。また、本明細書で使用される「及び/又は」という用語は、1つ又は複数の列挙された関連項目のいずれ若しくはあらゆる可能な組み合わせを意味し、これらを含むことも理解されたい。
【0017】
関連技術では、アンテナ及び無線装置の試験システムは、試験用アンテナの数に応じてシングルプローブ試験システム及びマルチプローブ試験システムに分類され得る。シングルプローブ試験システムは試験用アンテナを1つのみ有し、被試験デバイスの異なる方位角及び仰俯角でのサンプリングを実現するために、1つの実現方法は、試験用アンテナを動かないように保持させ、被試験デバイスを2次元回転するように制御することであり、もう1つの実現方法は、試験用アンテナを制御し、被試験デバイスの水平方向の1次元回転に合わせて、被試験デバイスの仰俯角方向に移動させることである。マルチプローブ試験システムでは通常、被試験デバイスの周囲に複数の試験用アンテナが固定配置されており、試験中に被試験デバイスを1次元回転させるだけであらゆる角度から電磁性能のサンプリングを実現することができる。シングルプローブ試験システム及びマルチプローブ試験システムはそれぞれ各自の長所と短所がある。
【0018】
大型アンテナ、ないし車両、航空機などの大型被試験デバイスの場合は、自身の2次元回転を実現することは困難であり、ワイヤレステストの関連技術では、被試験デバイスを動かないように保持させるか、水平方向に1次元回転させるのが一般的である。一例として、関連技術におけるシングルプローブ試験システムが図1~3に示されている。シングルプローブ試験システムでは、1つの試験アンテナ200を用いて被試験デバイス500を試験する。試験用アンテナ200は被試験デバイス500の仰俯角方向に円弧状に移動する。破線Lは試験用アンテナ200の移動軌跡を示している。被試験デバイス500の中心を原点として球面座標系を構築すると、被試験デバイス500の仰角方向における試験用アンテナ200の移動範囲は180°となる。試験用アンテナ200の動きは、被試験デバイス500の水平方向の180°の1次元回転に連動し、被試験デバイス500の上半球面のサンプリング試験を実現する。図2及び図3はそれぞれ、試験用アンテナ200がその移動軌跡Lの2つの端点に位置する状況を示している。理解できるように、試験用アンテナ200の移動範囲が非常に広く、これにより、試験用アンテナ200と試験器600とを接続する高周波ケーブル(RFケーブル)201が広い範囲で移動及び屈曲を繰り返すことが引き起こされる。高周波ケーブルが屈曲すると、その位相や振幅の安定性が低下し、試験精度に影響するおそれがある。また、高周波ケーブルは、一定期間使用すると、機械的疲労により性能障害が発生するおそれがある。一方では、もう一例として、関連する技術におけるマルチプローブ試験システムが図4に示されている。マルチプローブ試験システムでは、複数の試験用アンテナ200を用いて被試験デバイス500を試験する。この例では、複数の試験用アンテナ200は、被試験デバイス500を中心とした円弧状のアンテナラックに固定配置されており、試験用アンテナ200は被試験デバイス500の仰角方向に0°~90°の範囲に配置されている。試験用アンテナ200の配置密度は、被試験デバイス500の仰角方向のサンプリング解像度であり、被試験デバイス500自身の水平方向の360°の1次元回転に合わせて、被試験デバイス500の上半球面のサンプリング試験を実現することができる。この試験システムでは、試験用アンテナが動かないように固定されているため、高周波ケーブルの繰り返しの屈曲が回避されるが、隣接する試験用アンテナ間の結合干渉が存在し、特にサンプリング解像度が高い場合、試験用アンテナの間隔が狭く、結合干渉がより強いため、テスト精度に悪影響を及ぼす。
【0019】
上記の知見に基づいて、前述した技術的課題をある程度克服するために、本発明は試験システム及び試験方法を提供する。
【0020】
<実施形態1>
図5及び図6を参照されたい。本発明は、支持台100、9つの試験用アンテナ200及び移動機構を備えた試験システムを提供する。各部分について以下に詳述する。
【0021】
支持台100は被試験デバイス500を支持するために用いられる。
【0022】
移動機構は、3つの移動ユニット300を含む。各移動ユニット300のそれぞれには3つの試験用アンテナ200が取り付けられており、試験用アンテナ200は、支持台100に対して20°の所定角度間隔を有するように配置されている。
【0023】
移動機構は、移動ユニット300に取り付けられた試験用アンテナ200が複数のサンプリング点600に到達するように、移動ユニット300を駆動して所定の軌跡に沿って移動させるための駆動ユニット(不図示)をさらに含む。複数のサンプリング点600は支持台100に対して異なる複数の角度に位置し、サンプリング点600間の角度間隔(支持台100に対して)は、試験用アンテナ200間の所定角度間隔(支持台100に対して)よりも小さい。具体的な例として、図6に示されるサンプリング点600は等角度間隔に配置されており、支持台100に対する隣接するサンプリング点600の角度間隔は5°である。これは、支持台100に対する隣接する試験用アンテナ200の所定角度間隔20°よりも小さい。この例では、移動ユニット300について、支持台100に対して仰角方向の移動範囲が15°あれば、移動ユニット300内の試験用アンテナ200は、隣接する試験用アンテナ200間の3つのサンプリング点600に到達できることが分かる。各移動ユニット300内の3つの試験用アンテナ200は同期して移動するが、異なる移動ユニット300同士は互いに独立して移動してもよいし、同時に移動してもよく、試験のニーズに応じて柔軟に設定できることが理解できる。移動機構は、上記の機能を実現するために従来技術における機械装置を使用することができる。実施形態1では、移動機構はガイドレール400を含む。移動ユニット300は、ガイドレール400に沿って移動可能なスライダであり、駆動ユニットが移動ユニット300の移動のために動力を提供する。
【0024】
実施形態1における試験システムでは、試験用アンテナ間の距離が近すぎることによって引き起こされる結合干渉を低減するために、まばらに配置された複数の試験用アンテナが使用されている。ここの「まばらに配置」はサンプリング解像度と比較してという意味である。理論的には、移動ユニットの移動により試験用アンテナが隣接する試験用アンテナ間の任意の角度位置に到達することができ、それにより、より高解像度のサンプリングが実現される。実施形態1では、複数の試験用アンテナが移動及びサンプリングのために使用されており、試験用アンテナの移動範囲が単一のアンテナを使用してサンプリングを実施する場合より遙かに小さいため、高周波ケーブルの屈曲によって引き起こされる問題が大幅に軽減され、試験効率及び試験精度の両方が考慮されることが理解できる。また、実施形態1における試験システムでは、試験用アンテナのそれぞれが異なる移動ユニットに設置されているため、複数の試験用アンテナがグループごとに移動でき、以下のようにより有益な効果がもたらされる。1、大型被試験デバイスの一部の試験場面では、試験用アンテナが大きくて重く、実行すべきサンプリング範囲も広くなる。複数の試験用アンテナを全体として移動させると負荷が重くなり、高性能な駆動機構が必要なため、複数の試験用アンテナを異なる移動ユニットに割り当てることが良い解決策となる。2、各グループの試験用アンテナの動作を個別に制御することにより、試験用アンテナの少なくとも一部の動作が互いに独立して行われるため、試験システムはより多くの試験場面に適したものとなる。1つの例として、被試験デバイスの局所範囲の放射特性のみを測定する必要がある場合は、うちの1つ又は複数の移動ユニットのみを使用すればよい。もう1つの例として、サンプリング面の異なる領域において異なる解像度でサンプリングを実行する必要がある場合は、対応する領域の移動ユニットを個別に制御して、異なる移動を実行し、対応する領域においてサンプリングを実行させることができる。もう1つの例として、関連技術における放射2ステージ(Radiated Two-stage:RTS)方式を使用して被試験デバイスのMIMO(Multiple Input, Multiple Output)性能をテストする場合は、試験用アンテナ間の独立した移動は、高アイソレーションを有する空中伝送マトリックスを迅速に実現するのに寄与する。
【0025】
本発明における試験システムでは、特別な例として、移動ユニットの数が試験用アンテナの数に等しく、移動ユニットごとに1つの試験用アンテナが取り付けられている。対応するように、各移動ユニットを制御して試験用アンテナを互いに独立して移動させるか、又は、すべての移動ユニットを制御して試験用アンテナを同時に移動させることができる。これは、試験用アンテナがより大きくて重い場合、又は、より広いサンプリング範囲を実行する必要がある試験場面に適している。また、試験用アンテナ間の独立性が強化され、利用がより柔軟になる。
【0026】
試験用アンテナと高周波スイッチとの接続方式は2つの選択的方式を含むが、これらに限定されない。1つの方式は、うちの1つの移動ユニットに1つの高周波スイッチを取り付け、すべての試験用アンテナを当該高周波スイッチに接続し、高周波スイッチの他端を、高周波ケーブルを介し試験器に接続することである。もう1つの方式は、移動ユニットごとに1つの高周波スイッチを取り付け、各移動ユニット内に取り付けられた試験用アンテナを当該高周波スイッチに接続し、高周波スイッチの他端を、高周波ケーブルを介し試験器に接続することである。
【0027】
本発明で言及される支持台に対する試験用アンテナ間の所定角度間隔は、単一の移動ユニット内の試験用アンテナ間の角度間隔を表すものであることを理解されたい。なぜなら、移動ユニット内の試験用アンテナ間の相対位置は固定されているが、各移動ユニット間の試験用アンテナの相対位置は固定されているものではないからである。
【0028】
実施形態1は、1つの具体的な例を提供するだけにすぎず、本発明では、移動ユニットの数(すなわち、試験用アンテナのグループの数)は、サンプリング精度、試験内容、試験用アンテナの数量と重量、及び駆動ユニットの駆動能力など実際の状況に応じて設定されてよい。各移動ユニットに取り付けられる試験用アンテナの数は、同じであっても異なっていてもよい。試験用アンテナ間の所定角度間隔は等しくても等しくなくてもよい。すなわち、試験用アンテナは均等に配置されても不均等に配置されてもよい。
【0029】
なお、説明すべきものとして、本発明では、支持台を基準とした空間関係に関わる記載(「支持台に対する試験用アンテナ間の所定角度間隔」、「サンプリング点が支持台に対して異なる複数の角度位置に」など)において、支持台の位置を1つの点、より具体的には試験の中心点として理解すべきである。例えば、球面走査では、支持台の位置は球面走査の中心、つまり被試験デバイスの中心とみなされてよい。
【0030】
選択的に、試験システムは、試験用アンテナがサンプリング点に到達したときにサンプリングを実行するための試験器をさらに含む。試験器は、例えば、関連技術におけるベクトルネットワークアナライザ、ベクトルシグナルアナライザ、スペクトラムアナライザ、オシロスコープ、信号発生器のうちの少なくとも1つである。
【0031】
この選択的方式について、図5を参照されたい。試験用アンテナ200間の結合干渉を一定のレベル内に制御するために、試験用アンテナ200は、隣接する試験用アンテナ200間の距離Sが試験周波数に対応する波長の半分より大きくなるように設定されてよい。この間隔距離とすることによって、試験用アンテナ200間の結合干渉を一般に許容可能なレベルに制御することができる。例えば、試験周波数が600MHz、波長が50cmである場合、このとき、試験用アンテナ200は、隣接する試験用アンテナ200間の距離Sが25cmより大きくなるように設定する必要がある。
【0032】
実施形態1では、試験用アンテナは支持台を円心として円弧状に配置されており、被試験デバイスの仰角方向において1つの断面上の円弧状のサンプリングを実行することができる。被試験デバイスの球面走査をさらに得るために、1つの実現方式は、被試験デバイスが方位角方向に回転するように制御することである。具体的には、例えば、支持台は1次元回転のプラットフォームであり、被試験デバイスを支持して且つ水平面で一次元回転させるために用いられる。もう1つの実現方式は、複数の試験用アンテナが全体として被試験デバイスを取り囲んで水平面で移動することである。具体的には、例えば、複数の試験用アンテナは可動プラットフォームに搭載され、可動プラットフォームは被試験デバイスの周囲を移動することができる。
【0033】
本発明は球面走査に使用されることに限定されず、平面走査などの他の走査方法にも適用可能であることに留意されたい。
【0034】
<実施形態2>
上記の試験システムと同様に、本発明は試験方法を提供する。図7を参照すると、実施形態における試験方法は、
被試験デバイスを支持台上に配置するステップS1と、
複数の試験用アンテナを少なくとも2つのグループに分け、各グループの試験用アンテナを1つの移動ユニットに取り付けるステップであって、支持台に対して所定角度間隔を有するように試験用アンテナを配置するステップS2と、
試験用アンテナが複数のサンプリング点に到達してサンプリングを実行するように移動ユニットを駆動するステップであって、サンプリング点が支持台に対して異なる複数の角度に位置し、支持台に対するサンプリング点の角度間隔が上述の所定角度間隔より小さいステップS3とを含む。選択的に、隣接する試験用アンテナ間の距離は、試験周波数に対応する波長の半分より大きい。
【0035】
本発明の試験方法では、ステップS1及びステップS2の実行順序は限定されず、ステップS2を先に実行して、次にステップS1を実行することもできる。試験方法に含まれる技術的な詳細の説明については、試験システムに関する上述の説明を参照されたく、ここでは説明を省略する。
【0036】
本発明における図はすべて簡略化された概略図であり、実施形態における各部品間の位置関係及び接続関係を概略的に説明するために用いられているに過ぎないことに留意されたい。
【0037】
上記の説明において、「1つの実施形態」、「いくつかの実施形態」、「例」、「具体的な例」、又は「いくつかの例」などの参考用語は、当該実施形態又は実施例に合わせて記載した具体的な特徴、構造、材料又は特性が本発明の少なくとも1つの実施形態又は実施例に含まれることを意味する。本発明において、上記の用語の概略的な表現は、必ずしも同じ実施形態又は実施例を指すものではない。さらに、記載した具体的な特徴、構造、材料、又は特性について、実施形態若しくは実施例のいずれか1つ以上において、適切な方式で組み合わせることができる。
【0038】
また、「第1」、「第2」という用語は、説明の目的のみに使用されており、相対的な重要性を示したり暗示したりするもの、又は、示された技術的特徴の数を暗黙的に指定したりするものと理解されるものではない。従って、「第1」、「第2」と限定された特徴は、少なくとも1つの当該特徴を明示的又は暗示的に含むことができる。本発明の記載において、「複数」とは、特に明確且つ具体的に限定しない限り、例えば2つ、3つなど少なくとも2つを意味する。
【0039】
以上、本発明の実施形態を示したり説明したりしたが、上記の実施形態は例示的なものであり、本発明を限定するものとして解釈されるべきものではない。当業者であれば、本発明の範囲内で上述した実施形態についての変更、修正、置換及び変形を行うことができることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2024-06-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被試験デバイスに対してワイヤレステストを行って電磁放射性能を得るための試験システムであって、支持台、複数の試験用アンテナ及び移動機構を備えており、
前記支持台は前記被試験デバイスを支持するために用いられ、
前記移動機構は、少なくとも2つの移動ユニットを含み、各前記移動ユニットには前記試験用アンテナが取り付けられており、前記試験用アンテナは、前記支持台に対して所定角度間隔を有するように配置されており、
前記移動機構は、前記試験用アンテナが複数のサンプリング点に到達するように、前記移動ユニットを駆動するための駆動ユニットをさらに含み、前記サンプリング点は前記支持台に対して異なる複数の角度に位置し、前記支持台に対する前記サンプリング点の角度間隔は、前記所定角度間隔より小さく、
各移動ユニットには少なくとも2つの前記試験用アンテナが取り付けられており、同じ移動ユニットに取り付けられた前記少なくとも2つの試験用アンテナが同期して移動し、異なる移動ユニット同士は互いに独立して又は同時に移動することが可能であることを特徴とする試験システム。
【請求項2】
前記試験用アンテナが前記サンプリング点に到達したときにサンプリングを実行するための試験器をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の試験システム。
【請求項3】
隣接する前記試験用アンテナ間の距離は、試験周波数に対応する波長の半分より大きいことを特徴とする請求項1に記載の試験システム。
【請求項4】
前記移動機構はガイドレールを含み、前記移動ユニットは前記ガイドレールに沿って移動可能なスライダであることを特徴とする請求項1に記載の試験システム。
【請求項5】
前記支持台は1次元回転プラットフォームであることを特徴とする請求項1に記載の試験システム。
【請求項6】
前記移動ユニットのうちの1つには、すべての前記試験用アンテナと接続された高周波スイッチが取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の試験システム。
【請求項7】
前記移動ユニットごとに高周波スイッチが取り付けられており、各前記高周波スイッチは対応する前記移動ユニット内の前記試験用アンテナと接続されていることを特徴とする請求項1に記載の試験システム。
【請求項8】
被試験デバイスに対してワイヤレステストを行って電磁放射性能を得るための試験方法であって、
前記被試験デバイスを支持台上に配置するステップと、
複数の試験用アンテナを少なくとも2つのグループに分け、各グループの前記試験用アンテナを1つの移動ユニットに取り付けるステップであって、前記支持台に対して所定角度間隔を有するように前記試験用アンテナを配置するステップと、
前記試験用アンテナが複数のサンプリング点に到達してサンプリングを実行するように前記移動ユニットを駆動するステップであって、前記サンプリング点が前記支持台に対して異なる複数の角度に位置し、前記支持台に対する前記サンプリング点の角度間隔が前記所定角度間隔より小さいステップとを含み、
各移動ユニットには少なくとも2つの前記試験用アンテナが取り付けられており、同じ移動ユニットに取り付けられた前記少なくとも2つの試験用アンテナが同期して移動し、異なる移動ユニット同士は互いに独立して又は同時に移動することが可能であることを特徴とする試験方法。
【請求項9】
隣接する前記試験用アンテナ間の距離を試験周波数に対応する波長の半分より大きくすることを特徴とする請求項に記載の試験方法。
【国際調査報告】