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特表2024-542332データマイニングに基づいて、ファンの運転状況をリアルタイムでオンラインで予測する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】データマイニングに基づいて、ファンの運転状況をリアルタイムでオンラインで予測する方法
(51)【国際特許分類】
   F04D 27/00 20060101AFI20241108BHJP
   G06N 3/02 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
F04D27/00 101A
G06N3/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540848
(86)(22)【出願日】2023-04-24
(85)【翻訳文提出日】2023-07-03
(86)【国際出願番号】 CN2023090359
(87)【国際公開番号】W WO2024087552
(87)【国際公開日】2024-05-02
(31)【優先権主張番号】202211337037.4
(32)【優先日】2022-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520455014
【氏名又は名称】西安熱工研究院有限公司
【氏名又は名称原語表記】Xi’an Thermal Power Research Institute CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.136 Xingqing Road,Beilin District,Xi’an City,Shaanxi Province,China
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】石清▲シン▼
(72)【発明者】
【氏名】鄭金
(72)【発明者】
【氏名】孫大偉
(72)【発明者】
【氏名】馬翔
【テーマコード(参考)】
3H021
【Fターム(参考)】
3H021AA08
3H021BA20
3H021CA01
3H021CA03
3H021DA03
3H021EA03
(57)【要約】
本発明は、データマイニングに基づいて、ファンの運転状況をリアルタイムでオンラインで予測する方法を開示する。前記方法は、ユニット及びファンの過去の運転状況パラメータを取得するステップと、複数の正常で安定した運転モードでのデータを抽出し、サンプル集を構築するステップと、ユニットの負荷または主蒸気の流量によるファン入口流量の変動関係の予測モデルと、炉室から誘引ファン入口段までのシステムの抵抗と誘引ファン出口から煙突出口段までのシステムの抵抗の排ガス量の変動関係による予測モデルを取得するステップと、2つの予測モデルに基づいて、ファンの状況運転パラメータを取得するステップと、ファンの理論失速安全係数、圧力余裕係数及び流量余裕係数を計算するステップと、理論失速安全係数、圧力余裕係数及び流量余裕係数と閾値との間の偏差を比較することによって、排ガスシステムの状況パラメータの変動後におけるファンの運転状況が安全であるかどうかを評価するステップとを含む。本発明は、ファンの失速防止制御戦略の合理性を向上させ、ファンの運転安全性と経済性を向上させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データマイニングに基づいて、ファンの運転状況をリアルタイムでオンラインで予測する方法であって、
1)ファンのオンライン監視システム及びDCSシステムに基づいて、ユニット及びファンの過去の運転状況パラメータを取得するステップと、
2)データ分析技術を用いて、ファンの過去の運転状況パラメータを処理し、複数の正常で安定した運転モードでのデータを抽出し、サンプル集を構築するステップと、
3)抽出されたサンプル集を人工ニューラルネットワークに基づいて訓練を行い、ユニットの負荷または主蒸気の流量によるファン入口流量の変動関係の予測モデルと、排ガス量の変動関係による炉室から誘引ファン入口段までのシステムの抵抗と誘引ファン出口から煙突出口段までのシステムの抵抗との予測モデルを取得するステップと、
4)排ガスシステムの状況パラメータの変動予測値を与え、2つの予測モデルに基づいて、ファンの状況運転パラメータを取得するステップと、
5)ファンの性能曲線及びファンの運転パラメータの予測値に基づいて、ファンの理論失速安全係数、圧力余裕係数及び流量余裕係数を計算するステップと、
6)過去の失速運転モード分析及び大量の失速試験統計分析に基づいて、各失速余裕係数の閾値を設定し、理論失速安全係数、圧力余裕係数及び流量余裕係数と閾値との間の偏差を比較することによって、排ガスシステムの状況パラメータの変動後におけるファンの運転状況が安全であるかどうかを評価するステップとを含むことを特徴とする、データマイニングに基づいて、ファンの運転状況をリアルタイムでオンラインで予測する方法。
【請求項2】
ステップ1)において、ユニット及びファンの過去の運転状況パラメータは、
ユニットの負荷L、ボイラーの蒸発量D、ファンの入口温度Tin、ファンの入口体積流量Q、ファンの入口全圧Pt、in、ファンの出口全圧Pt、out、ファンの開度β、ファンの入口静圧Pe、in及びファンの出口静圧Pe、outを含み、時間周期tは10~30日であり、時間間隔は、△t=1~5分であることを特徴とする、請求項1に記載のデータマイニングに基づいて、ファンの運転状況をリアルタイムでオンラインで予測する方法。
【請求項3】
【請求項4】
ステップ3)において、サンプル点集に基づいて、人工ニューラルネットワークを用いてそれぞれ訓練を行い、ファンの入口体積流量Qと主蒸気の流量Dの変動関係モデルQ=f(D)、ファンの入口静圧Pe、inとファンの入口体積流量Qの変動関係モデルPe、in=f(Q)、ファンの出口静圧Pe、outとファンの入口体積流量Qの変動関係モデルPe、out=f(Q)、ファンの入口全圧Pt、inとファンの入口体積流量Qの変動関係モデルPt、in=f(Q)及びファンの出口全圧Pt、outとファンの入口体積流量Qの変動関係モデルPt、out=f(Q)を取得することを特徴とする、請求項3に記載のデータマイニングに基づいて、ファンの運転状況をリアルタイムでオンラインで予測する方法。
【請求項5】
ステップ3)において、排ガスシステムの状況変動を予測し、運転モードにおける誘引ファンの前後抵抗に対応する変動値、すなわち(D'、ΔPin)、(D'、ΔPout)を取得することを特徴とする、請求項4に記載のデータマイニングに基づいて、ファンの運転状況をリアルタイムでオンラインで予測する方法。
【請求項6】
【請求項7】
【請求項8】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石炭火力発電所の排ガスシステムに使用される軸流式ファン(静的ベーン調整式軸流ファン及び動的ベーン調整式軸流ファン等を含む)に関し、特に、データマイニングに基づいて、ファンの運転状況をリアルタイムでオンラインで予測する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、柔軟性の深層調整などの政策が深く実施されるにつれて、発電所のファンは幅負荷の頻繁な調節の要求に直面しているが、ユニットの超低排出改造を実施した後、環境保護指標の要求が益々高くなり、排ガスシステムの中で環境保護設備も益々多くなり、実際の運転において、環境保護要件の改善により、排ガスシステムのアンモニアの飛散量が増加し、排ガスシステムにおける各設備は、硫酸アンモニウムの存在により形成された設備の異常閉塞現象が益々深刻になり、排ガスシステムの運転パラメータがその設計パラメータから逸脱し、誘引ファンに高負荷運転モードの失速、ユニットの負荷能力の低下現象が頻繁に発生している。誘引ファンの高負荷失速現象に対して、通常、発電所の運転員はファンの失速を防止するために、ファンの開度と電流を制限する方法を使用しているが、排ガスシステムの閉塞状況と誘引ファンの運転状況を正確に予測できないため、ファンの開度と電流を制限するファンの失速防止方法にすることは保守的すぎて、さらに閉塞を取り除くために排ガスシステムを保守した後、排ガスシステムの抵抗が大幅に低下している。また、ファンの失速防止運転戦略により、ユニットの負荷能力が制限されている。従来の発電所のファン監視システムは、ファンの入口と出口の圧力、流量、電流と入口の温度などの状態パラメータをリアルタイムで監視し、ファンのリアルタイム性能状態をリアルタイムに評価できる。したがって、発電所ファンの過去の状態パラメータのデータマイニングに基づいて、発電所ファンの運転状態のオンライン予測方法を確立し、排ガスシステムの閉塞後のファンの運転状況を正確に評価し、ファンの失速防止運転戦略の制定及びファンの運転調整のために根拠を提供する。排ガスシステムに新しい設備を追加した後の排ガスシステムの状態パラメータの変化に対して、排ガスシステムに関連する技術改造解決策の制定に根拠を提供するために、ファンの出力状態を正確に予測することが必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、排ガスシステムの運転状況が変動した後のファンの運転状況を正確に予測するために、データマイニングに基づいて、ファン運転状況をリアルタイムでオンラインで予測する方法を提案する。
【0004】
本発明は、以下の技術的解決策により実現される。
【0005】
データマイニングに基づいて、ファン運転状況をリアルタイムでオンラインで予測する方法は、
1)ファンのオンライン監視システム及びDCSシステムに基づいて、ユニット及びファンの過去の運転状況パラメータを取得するステップと、
2)データ分析技術を用いて、ファンの過去の運転状況パラメータを処理し、複数の正常で安定した運転モードでのデータを抽出し、サンプル集を構築するステップと、
3)抽出されたサンプル集を人工ニューラルネットワークに基づいて訓練を行い、ユニットの負荷または主蒸気の流量によるファン入口流量の変動関係の予測モデルと、排ガス量の変動関係による炉室から誘引ファン入口段までのシステムの抵抗と誘引ファン出口から煙突出口段までのシステムの抵抗との予測モデルを取得するステップと、
4)排ガスシステムの状況パラメータの変動予測値を与え、2つの予測モデルに基づいて、ファンの状況運転パラメータを取得するステップと、
5)ファンの性能曲線及びファンの運転パラメータの予測値に基づいて、ファンの理論失速安全係数、圧力余裕係数及び流量余裕係数を計算するステップと、
6)過去の失速運転モード分析及び大量の失速試験統計分析に基づいて、各失速余裕係数の閾値を設定し、理論失速安全係数、圧力余裕係数及び流量余裕係数と閾値との間の偏差を比較することによって、排ガスシステムの状況パラメータの変動後におけるファンの運転状況が安全であるかどうかを評価するステップとを含む。
【0006】
本発明のさらなる改善は、ステップと1)において、ユニット及びファンの過去の運転状況パラメータが、
ユニットの負荷L、ボイラーの蒸発量D、ファンの入口温度Tin、ファンの入口体積流量Q、ファンの入口全圧Pt、in、ファンの出口全圧Pt、out、ファンの開度β、ファンの入口静圧Pe、in及びファンの出口静圧Pe、outを含み、時間周期tは10~30日であり、時間間隔は、△t=1~5分であることにある。
【0007】
【0008】
【0009】
本発明のさらなる改善は、ステップと3)において、サンプル点集に基づいて、人工ニューラルネットワークを用いてそれぞれ訓練を行い、ファンの入口体積流量Qと主蒸気の流量Dの変動関係モデルQ=f(D)、ファンの入口静圧Pe、inとファンの入口体積流量Qの変動関係モデルPe、in=f(Q)、ファンの出口静圧Pe、outとファンの入口体積流量Qの変動関係モデルPe、out=f(Q)、ファンの入口全圧Pt、inとファンの入口体積流量Qの変動関係モデルPt、in=f(Q)及びファンの出口全圧Pt、outとファンの入口体積流量Qの変動関係モデルPt、out=f(Q)を取得することにある。
【0010】
本発明のさらなる改善は、ステップと3)において、排ガスシステムの状況変動を予測し、運転モードにおける誘引ファンの前後抵抗に対応する変動値、すなわち(D'、ΔPin)、(D'、ΔPout)を取得することにある。
【0011】
本発明のさらなる改善は、ステップと4)において、ファンの状況運転パラメータは、
ボイラーの基本設計パラメータ及びユニットの実際の運転運転モードに基づいて、ユニットの幅負荷調整範囲内のボイラー蒸発量区間[Db、min,Db、BMCR]を決定し、前記区間において、m個の典型的な運転モードを選択し、ボイラー蒸発量の集合{Db、i}を取得し、各パラメータ関係モデルに基づいて、各々の運転モードでの状況パラメータ点の集合、すなわち{(D、Tin、Q、Pe、in、Pe、out、Pt、in、Pt、out、...)}を計算して取得し、ここで、i=1、2、3、..mで、m>=3であることにある。
【0012】
【0013】
ファンの入口煙温度、静圧の変動に基づいて、ファンの入口体積流量を補正し、各々の典型的な運転モードでのファンの状況パラメータの予測値に基づいて、ファンの全圧Pt及び比圧エネルギーYを計算して取得し、ファンの運転予測パラメータは、{(Q'、P'、Y')}である。
【0014】
本発明のさらなる改善は、ステップと5)において、ファンの運転推定点パラメータ{(Q'、P'、Y')}(i=1、2、3、...m)に基づいて、ファンの性能曲線上に表示し、各々の運転モードのファン運転点に対応する開度βを取得し、等開度線と理論失速線の交点{(Qv、s、Pt、s}を識別して取得することにある。
【0015】
【0016】
【0017】
各ファンにより、運転点パラメータが上記条件を満たさないと予測される場合、排ガスシステムの抵抗が増加しても、ファンは全負荷範囲条件を満たすことができないことを説明し、ファンの失速防止制御を行う必要があり、排ガスシステムの抵抗の増加値ΔPin及びΔPoutを下げることによって、条件を満たす運転状況パラメータを取得するまで再評価し、さらに、実際のファンの出入口静圧差ΔP及びファンの開度βを監視することによって、ファンの失速防止制御戦略を制定し、すなわち、
ΔP<(Pout+ΔPoutBMCR-(Pe、in-ΔPinBMCR、
β<0.8βmaxを満たす。
【効果】
【0018】
本発明は、少なくとも以下の有益な技術的効果を有する。
本発明は、データマイニングに基づいて、ファンの運転状況をリアルタイムでオンラインで予測する方法を提供する。ファンの過去の監視データをマイニングして利用することにより、各々の状況パラメータの予測モデルを構築し、典型的な運転モードにおけるファンの主な運転状況パラメータを取得することができる。また、排ガスシステムの抵抗の変動値を予測することにより、排ガスシステムの抵抗が変動した後のファンの運転状況パラメータを正確に予測し、ファンの設計性能曲線に基づいて、複数の運転モードにおけるファンの運転状況パラメータに対応する失速安全システム、失速圧力余裕係数及び失速流量余裕係数を計算し、ファンの失速余裕係数及び開度に基づいて、ファンの運転安全性を評価し、ファンが安全で安定して運転できるかどうかを判定し、ファンの運転調整に関する根拠を提供し、ファンの失速防止制御戦略の合理性を向上させ、ファンの運転安全性と経済性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の原理を示す模式図である。
図2】本発明のファンの運転点と対応する失速点がファンの性能曲線における分布を示す模式図である。
図3】典型的な運転モードにおける実際のファンの運転点と推定運転点がその性能曲線における分布を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本開示の例示的な実施形態について、添付図面を参照しながらより詳細に説明する。本開示の例示的な実施形態が添付図面に示されているが、本開示は、本明細書に記載された実施形態によって限定されるべきではなく、様々な形態で実現され得ることを理解されたい。対照的に、これらの実施形態は、本開示をより完全に理解し、本開示の範囲を完全に当業者に伝達することを可能にするために提供される。本発明の実施形態及び実施形態における特徴は、衝突しない場合には、互いに組み合わせることができることに留意されたい。以下、本発明は、添付の図面を参照し、実施形態と組合せて詳細に説明される。
【0021】
本発明は、データマイニングに基づいて、ファン運転状況をリアルタイムでオンラインで予測する方法を提供する。前記方法は、1)ファンのオンライン監視システム及びDCSシステムに基づいて、ユニット及びファンの過去の運転状況パラメータを取得するステップと、2)データ分析技術を用いて、ファンの過去の運転状況パラメータを処理し、複数の正常で安定した運転モードでのデータを抽出し、サンプル集を構築するステップと、3)抽出されたサンプル集を人工ニューラルネットワークに基づいて訓練を行い、ユニットの負荷または主蒸気の流量によるファン入口流量の変動関係の予測モデルと、排ガス量の変動関係による炉室から誘引ファン入口段までのシステムの抵抗と誘引ファン出口から煙突出口段までのシステムの抵抗との予測モデルを取得するステップと、4)排ガスシステムの状況パラメータの変動予測値を与え、2つの予測モデルに基づいて、ファンの状況運転パラメータを取得するステップと、5)ファンの性能曲線及びファンの運転パラメータの予測値に基づいて、ファンの理論失速安全係数、圧力余裕係数及び流量余裕係数を計算するステップと、6)過去の失速運転モード分析及び大量の失速試験統計分析に基づいて、各失速余裕係数の閾値を設定し、理論失速安全係数、圧力余裕係数及び流量余裕係数と閾値との間の偏差を比較することによって、排ガスシステムの状況パラメータの変動後におけるファンの運転状況が安全であるかどうかを評価するステップとを含む。本発明の具体的な実施方法は、以下の通りである。
【0022】
1、発電所ファンのオンライン監視システム及びDCSシステムから、ユニットの負荷L、ボイラーの蒸発量D、ファンの入口温度Tin、ファンの入口体積流量Q、ファンの入口全圧Pt、in、ファンの出口全圧Pt、out、ファンの開度β、ファンの入口静圧Pe、in及びファンの出口静圧Pe、outなどのパラメターを含む最近のボイラー及びファンの主要監視パラメータデータ集を抽出し、時間周期tは10~30日であり、時間間隔は、△t=1~5分であり、前記データ集は、通常の運転負荷領域の大部分をカバーする必要がある。
【0023】
2、過去に対してデータを整理し、複数の安定した負荷モードにおける主要監視パラメータを提出し、サンプル集を構築する。
【0024】
【0025】
【0026】
3、サンプル点集に基づいて、人工ニューラルネットワークを用いてそれぞれ訓練を行い、ファンの入口体積流量Qと主蒸気の流量Dの変動関係モデルQ=f(D)、ファンの入口静圧Pe、inとファンの入口体積流量Qの変動関係モデルPe、in=f(Q)、ファンの出口静圧Pe、outとファンの入口体積流量Qの変動関係モデルPe、out=f(Q)、ファンの入口全圧Pt、inとファンの入口体積流量Qの変動関係モデルPt、in=f(Q)及びファンの出口全圧Pt、outとファンの入口体積流量Qの変動関係モデルPt、out=f(Q)を取得する。
【0027】
4、ユニットの実際の運転状況及び予定されている改造解決策を組合わせて、排ガスシステム状況の変動を予測し、運転モードにおける誘引ファンの前後抵抗の変動値、すなわち(D'、ΔPin)、(D'、ΔPout)を取得する。
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
各ファンにより、運転点パラメータが上記条件を満たさないと予測される場合、排ガスシステムの抵抗が増加しても、ファンは全負荷範囲条件を満たすことができないことを説明し、ファンの失速防止制御を行う必要があり、排ガスシステムの抵抗の増加値ΔPin及びΔPoutを下げることによって、条件を満たす運転状況パラメータを取得するまで再評価し、さらに、実際のファンの出入口静圧差ΔP及びファンの開度βを監視することによって、ファンの失速防止制御戦略を制定し、すなわち、
ΔP<(Pout+ΔPoutBMCR-(Pe、in-ΔPinBMCR、
β<0.8βmaxを満たす。
【0032】
5、本方法は、高効率、信頼性が高く、ロバスト性が強い特徴があり、大型石炭火力ユニットの誘引ファンの失速防止監視及びファンの運転状態の予測に適用される。
【0033】
実施例
中国にある300MWユニットの誘引ファンは動的ベーン調製式軸流ファンがあり、排ガスシステムにおける各環境保護設備が、硫酸水素アンモニウムの存在により異なる程度で詰まり、これによって、高負荷運転モードで失速を引き起こしてしまう。そのため、ユニットの安全で安定した運転を確保するために、発電所では開度と電流を制限する調整方法を採用し、ユニットの負荷能力を制限している。また、ユニットの大修理と渋滞をクリアした後、信頼できる評価の根拠がないため、制定されたファンの調整方法でユニットを運転することによって、ユニットの出力を制限する。本発明の方法は、オブジェクト指向プログラミング言語を用いて実現し、この機能モジュールを誘引ファンのオンライン監視及び故障警報システムに組み込むことにより、リアルタイムで排ガスシステムの抵抗変動状況に応じて、ファンの運転状態を推定し、運転の安全性を評価し、早期警告を行う。本方法に基づいてより信頼できるファンの調製方法を制定し、排ガスシステムの主に渋滞しやすい設備の抵抗の変化、ファンの入口と出口の静圧差、ファンの開度及び電流等を総合的に監視することにより、ファンの調整の信頼できる根拠を提供し、ファンの出力とユニットの負荷能力を向上させる。本発明のアルゴリズムは効率的で、信頼性が高く、典型的な運転モード下で、その性能曲線上における実際のファン運転点と予測運転点の分布を図3に示しており、各運転点の状態評価計算結果を表1に示している。
【0034】
【0035】
以上、本発明は、一般的な説明と具体的な実施形態を用いて詳細に説明されたが、本発明に基づいて、いくつかの修正または改善が可能であることは、当業者にとって明らかである。したがって、本発明の精神から逸脱することなく行われたこれらの修正または改善は、いずれも本発明によって主張される保護範囲に属する。
【符号の説明】
【0036】
L ユニットの発電負荷で、単位は、kW
ボイラーの蒸発量で、単位は、t/h
in ファンの入口煙温度で、単位は、℃
ファンの入口体積流量で、単位は、m/s
t、in ファンの入口全圧で、単位は、Pa
t、out ファンの出口全圧で、単位は、Pa
e、in ファンの入口静圧で、単位は、Pa
e、out ファンの出口全圧で、単位は、Pa
ファン全圧で、単位は、Pa
Y ファン比圧エネルギーで、単位は、kJ/kg
β DCSファン開度のフィードバック値で、単位は、°
l データ点順番(l=1、2、...、n)
j 時間区間(j=1、2、...、n)
I 負荷モード数(i=1、2、...、m)
S 標準分散
失速安全係数
Kp 失速圧力余裕係数
kq 失速流量余裕係数
βmin ファンの最小開度値、単位は°
βmax ファンの最大開度値で、単位は°
βBMCR BMCR運転モードのファンの運転点に対応する開度値で、単位は、°
図1
図2
図3
【国際調査報告】