IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーションの特許一覧

特表2024-542366カップリング効果を低減したフォーク・シート
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】カップリング効果を低減したフォーク・シート
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/088 20060101AFI20241108BHJP
   H01L 21/8238 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
H01L27/088 331A
H01L27/092 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523425
(86)(22)【出願日】2022-11-04
(85)【翻訳文提出日】2024-04-18
(86)【国際出願番号】 EP2022080825
(87)【国際公開番号】W WO2023099115
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】17/541,529
(32)【優先日】2021-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】シエ、ルイロン
(72)【発明者】
【氏名】イエ、チュン-チェン
(72)【発明者】
【氏名】ウー、ヘン
(72)【発明者】
【氏名】レズニチェク、アレクサンダー
【テーマコード(参考)】
5F048
【Fターム(参考)】
5F048AC03
5F048BA16
5F048BB09
5F048BB11
5F048BD06
5F048BG00
(57)【要約】
エアギャップで隔離されたフォーク・シートFET装置が提供される。一態様では、フォーク・シートFET装置は、少なくとも第1のナノシートFETおよび第2のナノシートFETと、第1のナノシートFETと第2のナノシートFETの間に直接配置された誘電体ピラーと、を含み、誘電体ピラーはエアギャップを含む。例えば、第1のナノシートFETおよび第2のナノシートFETは、誘電体ピラーの両側に水平に延在するナノシートを有し得る。エアギャップで隔離されたフォーク・シートFET装置を形成する方法も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォーク・シート電界効果トランジスタ(FET)装置であって、
少なくとも第1のナノシートFETおよび第2のナノシートFETと、
前記第1のナノシートFETと前記第2のナノシートFETとの間に直接配設された誘電体ピラーであり、エアギャップを備える、前記誘電体ピラーと、を備える、フォーク・シートFET装置。
【請求項2】
前記第1のナノシートFETおよび前記第2のナノシートFETは前記誘電体ピラーの両側に水平に延在するナノシートを備える、請求項1に記載のフォーク・シートFET。
【請求項3】
前記誘電体ピラーは前記エアギャップを完全に取り囲んでいるライナを備え、前記ライナは酸化シリコン(SiOx)、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)、炭化窒化シリコン(SiCN)、およびこれらの組合せから成る群から選択される材料を含む、請求項2に記載のフォーク・シートFET。
【請求項4】
前記第1のナノシートFETはnチャネルFET(NFET)を備え、前記第2のFETはpチャネルFET(PFET)を備える、請求項1に記載のフォーク・シートFET。
【請求項5】
前記第1のナノシートFETおよび前記第2のナノシートFETは前記誘電体ピラーの互いに反対側の側面に接触している、請求項1に記載のフォーク・シートFET。
【請求項6】
前記誘電体ピラーは前記エアギャップを完全に取り囲んでいるライナを備える、請求項1に記載のフォーク・シートFET。
【請求項7】
前記ライナは酸化シリコン(SiOx)、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)、炭化窒化シリコン(SiCN)、およびこれらの組合せから成る群から選択される材料を含む、請求項1に記載のフォーク・シートFET。
【請求項8】
前記誘電体ピラーは前記第1のナノシートFETのゲートを前記第2のナノシートFETのゲートから分離している、請求項1または請求項2に記載のフォーク・シートFET。
【請求項9】
前記誘電体ピラーは前記第1のナノシートFETのソース/ドレイン領域を前記第2のナノシートFETのソース/ドレイン領域から分離している、請求項1または請求項2に記載のフォーク・シートFET。
【請求項10】
前記誘電体ピラーの下側部分は幅W1AIRGAP PILLARを有し、その開口部の上側部分は幅W2AIRGAP PILLARを有し、W2AIRGAP PILLAR<W1AIRGAP PILLARである、請求項1に記載のフォーク・シートFET。
【請求項11】
フォーク・シート電界効果トランジスタ(FET)装置を形成する方法であって、
間に犠牲ピラーが直接配設される少なくとも第1のナノシートFETおよび第2のナノシートFETを形成することと、
前記第1のナノシートFETと前記第2のナノシートFETとの間に開口部を形成するために前記犠牲ピラーを除去することであり、前記開口部の下側部分は幅W1OPENINGを有し、前記開口部の上側部分は幅W2OPENINGを有し、W2OPENING<W1OPENINGである、前記除去することと、
前記開口部内に誘電体ライナを堆積させ前記開口部をライニングすることであり、前記堆積中にW2OPENING<W1OPENINGであることに基づいて前記開口部の前記下側部分が完全に充填される前に前記誘電体ライナが前記開口部の前記上側部分を閉塞し、以って前記第1のナノシートFETと前記第2のナノシートFETとの間にエアギャップを有する誘電体ピラーが作り出される、前記堆積させライニングすることと、を含む、方法。
【請求項12】
前記犠牲ピラーの下側部分が幅W1SACRIFICIAL PILLARを有し、前記犠牲ピラーの上側部分が幅W2SACRIFICIAL PILLARを有し、W2SACRIFICIAL PILLAR<W1SACRIFICIAL PILLARとなるように、前記犠牲ピラーの前記上側部分をトリミングすることを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記犠牲ピラーは酸化アルミニウム(AlOx)、炭化シリコン(SiC)、酸化チタン(TiOX)、およびこれらの組合せから成る群から選択される材料を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記第1のナノシートFETはnチャネルFET(NFET)を備え、前記第2のFETはpチャネルFET(PFET)を備える、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記誘電体ライナは前記エアギャップを完全に取り囲んでいる、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記誘電体ライナは酸化シリコン(SiOx)、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)、炭化窒化シリコン(SiCN)、およびこれらの組合せから成る群から選択される材料を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記誘電体ピラーは前記第1のナノシートFETのゲートを前記第2のナノシートFETのゲートから分離している、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記誘電体ピラーは前記第1のナノシートFETのソース/ドレイン領域を前記第2のナノシートFETのソース/ドレイン領域から分離している、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォーク・シート電界効果トランジスタ(FET)装置に関し、より詳細には、キャパシタンス結合を低減するためのエアギャップで隔離されたフォーク・シートFET装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フォーク・シート電界効果トランジスタ(FET)装置は、従来のfinFETアーキテクチャおよびナノシート・アーキテクチャに更なるスケーリングの可能性をもたらす。フォーク・シート装置では、nチャンネルFET(NFET)装置とpチャンネルFET(PFET)装置との間の間隔が狭まり、更なる面積スケーリングが可能になる。
【0003】
しかしながら、フォーク・シートFET設計の実装では、いくつかの無視できない課題が生じ得る。例えば、フォーク・シートFET設計では、NFETソース/ドレイン領域はPFETソース/ドレイン領域に非常に接近することができ、NFETゲートはPFETゲートに非常に接近することができる。
【0004】
従来のアプローチでは、NFETおよびPFETのソース/ドレイン領域間ならびにゲート間には最小限の絶縁体が採用される。その結果、NFETおよびPFETのソース/ドレイン領域間またはNFETおよびPFETのゲート間あるいはその両方におけるキャパシタンス結合によって、トランジスタの誤作動が生じ得る、または、読み取り/書き込み安定度に影響が生じ得る、あるいはその両方である。
【0005】
したがって、キャパシタンス結合を低減した改良されたフォーク・シートFET装置設計が望ましいと考えられる。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、キャパシタンス結合を低減するためのエアギャップで隔離されたフォーク・シート電界効果トランジスタ(FET)装置を提供する。本発明の一態様では、フォーク・シートFET装置が提供される。フォーク・シートFET装置は、少なくとも第1のナノシートFET(例えばnチャネルFET(NFET))および第2のナノシートFET(例えばpチャネルFET(PFET))と、第1のナノシートFETと第2のナノシートFETとの間に直接配設された誘電体ピラーであって、誘電体ピラーがエアギャップを含む、誘電体ピラーと、を含む。例えば、第1のナノシートFETおよび第2のナノシートFETは、誘電体ピラーの互いに反対側の側面に接触している。
【0007】
本発明の別の態様では、別のフォーク・シートFET装置が提供される。フォーク・シートFET装置は、少なくとも第1のナノシートFETおよび第2のナノシートFETと、第1のナノシートFETと第2のナノシートFETとの間に直接配設された誘電体ピラーであって、エアギャップを含む誘電体ピラーと、を含み、第1のナノシートFETと第2のナノシートFETは、誘電体ピラーの両側に水平に延在するナノシートを有する。
【0008】
本発明の更に別の態様では、フォーク・シートFET装置を形成する方法が提供される。方法は、間に犠牲ピラーが直接配設される少なくとも第1のナノシートFETおよび第2のナノシートFETを形成することと、第1のナノシートFETと第2のナノシートFETとの間に開口部を形成するために犠牲ピラーを除去することであって、開口部の下側部分は幅W1OPENINGを有し、開口部の上側部分は幅W2OPENINGを有し、W2OPENING<W1OPENINGである、除去することと、開口部内に誘電体ライナを堆積させ開口部をライニングすることであって、堆積中にW2OPENING<W1OPENINGであることに基づいて開口部の下側部分が完全に充填される前に誘電体ライナが開口部の上側部分を閉塞し、以って第1のナノシートFETと第2のナノシートFETとの間にエアギャップを有する誘電体ピラーが作り出される、堆積させライニングすることと、を含む。
【0009】
以下の詳細な説明および図面を参照することで、本発明ならびに本発明の更なる特徴および利点のより完全な理解が得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態による、フォーク・シート電界効果トランジスタ(FET)装置構造および図に描かれた様々な切断の向きの全体的配置の上面図である。
図2A】本発明の一実施形態による、犠牲層と活性層の交互のスタックが基材上に形成されている状態を示すX-X′断面図であり、スタックはパターニングされている。
図2B】本発明の一実施形態による、犠牲層と活性層の交互のスタックが基材上に形成されている状態を示すY1-Y1′およびY2-Y2′断面図であり、スタックはパターニングされている。
図3A】本発明の一実施形態による、スタックを少なくとも1つのNFET装置のスタック204Nと少なくとも1つのPFET装置のスタックとに分割するnチャネルFET(NFET)-pチャネルFET(PFET)空間がスタックに開かれている状態を示す、X-X′断面図である。
図3B】本発明の一実施形態による、スタックを少なくとも1つのNFET装置のスタックと少なくとも1つのPFET装置のスタックとに分割するNFET-PFET空間がスタックに開かれている状態を示す、Y1-Y1′およびY2-Y2′断面図である。
図4】本発明の一実施形態による、犠牲材料がNFET-PFET空間内に堆積されこれを充填して、NFET装置のスタックとPFET装置のスタックを分離する犠牲ピラーを形成しており、NFET/PFET装置のスタックの基部にシャロー・トレンチ・アイソレーション(STI)領域が形成されている状態を示す、Y1-Y1′およびY2-Y2′断面図である。
図5A】本発明の一実施形態による、NFET装置のスタックおよびPFET装置のスタックの上に犠牲ゲート形成されており、第1の犠牲層が除去されてNFET装置のスタックおよびPFET装置のスタックの下にキャビティが形成されている状態を示す、X-X′断面図である。
図5B】本発明の一実施形態による、NFET装置のスタックおよびPFET装置のスタックの上に犠牲ゲートが形成されており、第1の犠牲層が除去されてNFET装置のスタックおよびPFET装置のスタックの下にキャビティが形成されている状態を示す、Y1-Y1′断面図である。
図5C】本発明の一実施形態による、NFET装置のスタックおよびPFET装置のスタックの上に犠牲ゲートが形成されており、第1の犠牲層が除去されてNFET装置のスタックおよびPFET装置のスタックの下にキャビティが形成されている状態を示す、Y2-Y2′断面図である。
図6A】本発明の一実施形態による、誘電体スペーサ材料が犠牲ゲートの上に堆積され、またキャビティ内に堆積されこれを充填しており、誘電体スペーサ材料がキャビティ内の底部誘電体隔離層へとおよび犠牲ゲートと並んだゲート・スペーサへとパターニングされている状態を示す、X-X′断面図である。
図6B】本発明の一実施形態による、誘電体スペーサ材料が犠牲ゲートの上に堆積され、またキャビティ内に堆積されこれを充填しており、誘電体スペーサ材料がキャビティ内の底部誘電体隔離層へとおよび犠牲ゲートと並んだゲート・スペーサへとパターニングされている状態を示す、Y1-Y1′断面図である。
図6C】本発明の一実施形態による、誘電体スペーサ材料が犠牲ゲートの上に堆積され、またキャビティ内に堆積されこれを充填しており、誘電体スペーサ材料がキャビティ内の底部誘電体隔離層へとおよび犠牲ゲートと並んだゲート・スペーサへとパターニングされている状態を示す、Y2-Y2′断面図である。
図7A】本発明の一実施形態による、犠牲ゲートおよびゲート・スペーサが犠牲ゲート間のNFET装置のスタックおよびPFET装置のスタックにトレンチをパターニングするためのマスクとして使用されている状態を示す、X-X′断面図である。
図7B】本発明の一実施形態による、犠牲ゲートおよびゲート・スペーサが犠牲ゲート間のNFET装置のスタックおよびPFET装置のスタックにトレンチをパターニングするためのマスクとして使用されている状態を示す、Y1-Y1′断面図である。
図8A】本発明の一実施形態による、NFET装置のスタックおよびPFET装置のスタックにおける第2の犠牲層と並んで内部スペーサが形成されており、犠牲ゲートの互いに反対の側で、NFET装置のスタックおよびPFET装置のスタックにおける第2の犠牲層および活性層に沿って、トレンチ内にNFETおよびPFETのソース/ドレイン領域が形成されている状態を示す、X-X′断面図である。
図8B】本発明の一実施形態による、NFET装置のスタックおよびPFET装置のスタックにおける第2の犠牲層と並んで内部スペーサが形成されており、犠牲ゲートの互いに反対の側で、NFET装置のスタックおよびPFET装置のスタックにおける第2の犠牲層および活性層に沿って、トレンチ内にNFETおよびPFETのソース/ドレイン領域が形成されている状態を示す、Y1-Y1′断面図である。
図9】本発明の一実施形態による、NFET/PFETのソース/ドレイン領域の上方に露出している犠牲ピラーの上側部分がトリミングされている状態を示す、Y1-Y1′断面図である。
図10A】本発明の一実施形態による、NFET/PFET装置のスタック(およびこれらの間の犠牲ピラー)、犠牲ゲートおよびゲート・スペーサ、ならびにNFET/PFETのソース/ドレイン領域の上に堆積されこれらを埋めている層間誘電体(ILD)を示す、X-X′断面図である。
図10B】本発明の一実施形態による、NFET/PFET装置のスタック(およびこれらの間の犠牲ピラー)、犠牲ゲートおよびゲート・スペーサ、ならびにNFET/PFETのソース/ドレイン領域の上に堆積されこれらを埋めているILDを示す、Y1-Y1′断面図である。
図10C】本発明の一実施形態による、NFET/PFET装置のスタック(およびこれらの間の犠牲ピラー)、犠牲ゲートおよびゲート・スペーサ、ならびにNFET/PFETのソース/ドレイン領域の上に堆積されこれらを埋めているILDを示す、Y2-Y2′断面図である。
図11A】本発明の一実施形態による、装置のゲート領域内で犠牲ピラーの上側部分を露出させるための犠牲ゲートの途中までの後退部が実現されている状態を示す、X-X′断面図である。
図11B】本発明の一実施形態による、装置のゲート領域内で犠牲ピラーの上側部分を露出させるための犠牲ゲートの途中までの後退部が実現されている状態を示す、Y2-Y2′断面図である。
図12】本発明の一実施形態による、トリミングされたNFET装置のスタックおよびPFET装置のスタックの上に露出している犠牲ピラーの上側部分を示す、Y2-Y2′断面図である。
図13A】本発明の一実施形態による、犠牲ゲートの残りの部分が選択的に除去されてNFET/PFETのソース/ドレイン領域間のNFET装置のスタックおよびPFET装置のスタックの上にあるILDにゲート・トレンチが形成されており、NFET装置のスタックおよびPFET装置のスタックから第2の犠牲層が除去されて活性層間にギャップが形成されている状態を示す、X-X′断面図である。
図13B】本発明の一実施形態による、犠牲ゲートの残りの部分が選択的に除去されてNFET/PFETのソース/ドレイン領域間のNFET装置のスタックおよびPFET装置のスタックの上にあるILDにゲート・トレンチが形成されており、NFET装置のスタックおよびPFET装置のスタックから第2の犠牲層が除去されて活性層間にギャップが形成されている状態を示す、Y2-Y2′断面図である。
図14A】本発明の一実施形態による、ゲート・トレンチおよびギャップの中に置換ゲートが形成されている状態を示すX-X′断面図である。
図14B】本発明の一実施形態による、ゲート・トレンチおよびギャップの中に置換ゲートが形成されている状態を示すY2-Y2′断面図である。
図15A】本発明の一実施形態による、置換ゲートを後退させてあり、(後退させた)置換ゲートの上に誘電体キャップが形成されている状態を示す、X-X′断面図である。
図15B】本発明の一実施形態による、置換ゲートを後退させてあり、(後退させた)置換ゲートの上に誘電体キャップが形成されている状態を示す、Y1-Y1′断面図である。
図15C】本発明の一実施形態による、置換ゲートを後退させてあり、(後退させた)置換ゲートの上に誘電体キャップが形成されている状態を示す、Y2-Y2′断面図である。
図16A】本発明の一実施形態による、犠牲ピラーが除去されて、フォーク・シートFET装置のソース/ドレイン領域内のNFETおよびPFETのソース/ドレイン領域間に、およびフォーク・シートFET装置のゲート領域内のNFETとPFET装置のスタックの上の置換ゲート間に、開口部が形成されている状態を示す、Y1-Y1′断面図である。
図16B】本発明の一実施形態による、犠牲ピラーが除去されて、フォーク・シートFET装置のソース/ドレイン領域内のNFETおよびPFETのソース/ドレイン領域間に、およびフォーク・シートFET装置のゲート領域内のNFETとPFET装置のスタックの上の置換ゲート間に、開口部が形成されている状態を示す、Y2-Y2′断面図である。
図17A】本発明の一実施形態による、共形の誘電体ライナが開口部内に堆積されこれをライニングして誘電体エアギャップ・ピラーが形成されている状態を示す、Y1-Y1′断面図である。
図17B】本発明の一実施形態による、共形の誘電体ライナが開口部内に堆積されこれをライニングして誘電体エアギャップ・ピラーが形成されている状態を示す、Y2-Y2′断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
上記したように、フォーク・シート電界効果トランジスタ(FET)設計には、いくつかの無視できない課題が生じ得る。すなわち、NFETソース/ドレイン領域がPFETソース/ドレイン領域に非常に接近して、かつNFETゲートがPFETゲートに非常に接近して設置されるとキャパシタンス結合のリスクが増大し、このことによりトランジスタの誤作動が生じ得る、または、読み取り/書き込み安定度に影響が生じ得る、あるいはその両方である。
【0012】
有利には、本明細書では、従来の設計と比較してキャパシタンス結合が大幅に低減される、エアギャップで隔離されたフォーク・シートFET装置が提供される。すなわち、従来の設計では、フォーク・シートFETにおけるNFET装置とPFET装置を分離するために、酸化シリコン(SiOx)または窒化シリコン(SiN)あるいはその両方などの誘電体材料が使用される。それでも、キャパシタンス結合が装置の性能に及ぼす影響は依然として大きい。他方で、空気はこれら従来の酸化物および窒化物の誘電体材料よりも誘電定数が著しく低い。例えば、単なる例として、室温(すなわち摂氏25度(℃))において、空気は1.00059の誘電定数を有するのに対し、SiNは約9.5の誘電定数を有する。したがって、フォーク・シートFETにおいてNFET装置とPFET装置との間にエアギャップ・スペーサを実装すれば、キャパシタンス結合が大幅に低減されると考えられる。
【0013】
次に、本技術によるエアギャップで隔離されたフォーク・シートFET装置を作製するための例示的な方法について、図1図17を参照して説明する。以下の各図では、フォーク・シートFET装置構造の一部を通る断面図を提供する。例えば、図に描かれることになる本フォーク・シートFET装置構造の全体的な配置の上面図と、図に描かれる様々なカットの向きを示す図1を参照されたい。図1に示すように、例示的な実施形態によれば、本シートフォークFET装置は、少なくとも1つのnチャネルFET(NFET)装置(「NFET」と表示)と、少なくとも1つのpチャネル(PFET)装置(「PFET」と表示)とを含み、エアギャップで隔離されたピラー(「エアギャップ・ピラー」と表示)によって分離されている。本明細書では、NFET装置およびPFET装置をそれぞれ指す場合、分かりやすくするために、「第1の」および「第2の」という用語を使用することもある。詳細は後述するが、各NFET/PFET装置は、エアギャップ・ピラーの両側で第1の方向(この場合X方向)に沿って水平に延在する層(例えばナノシート)のスタックを含む。詳細は後述するが、エアギャップ・ピラーは、NFETスタックとPFETスタックとの間に直接配設される垂直構造である。NFETスタックおよびPFETスタックの上に、フォーク・シートFET装置のゲート(「ゲート」と表示)が存在する。図1に示すように、ゲートは、第1の方向/X方向と直交する第2の方向(この場合Y方向)に沿って延在する。
【0014】
図1でゲートに使用されているパターンは、プロセスの初期にNFET装置のスタックおよびPFET装置のスタックの上に設置されることになる犠牲ゲートの代表的なものである。つまり、以下で詳細に説明するように、この例では、これら犠牲ゲートがソース/ドレイン領域形成中にプレースホルダとして機能し、後にフォーク・シートFET装置の最終的なゲート(本明細書では「置換ゲート」とも呼ぶ)と置換される、置換ゲート・プロセスが採用されている。しかしながら、NFETとPFET装置のスタックに対するゲートの向きが、犠牲ゲートと置換ゲートの両方で同じであることに注目すべきである。
【0015】
図1に示すように、断面X-X′は、PFET装置のスタックを通ってゲートに対して垂直に切断した図を提供する。PFET装置のスタックを通る断面切断X-X′を参照して描かれるプロセスは、NFET装置のスタックにおいて全く同じ様式で実行され、したがって同じに見えるであろうことに注目すべきである。断面Y1-Y1′は、ゲートのうちの2つの間でNFET装置のスタックおよびPFET装置のスタックを通ってこれに対して垂直に切断した図を提供する。もう1つの断面Y2-Y2′は、ゲートのうちの1つを通りNFET装置のスタックおよびPFET装置のスタックを通ってこれに対して垂直に切断した図を提供する。
【0016】
プロセスは基材202上に犠牲層と活性層を交互に配したスタック204を形成することで開始され、続いてスタック204のパターニングが行われる。図2A(X-X′断面図)および図2B(Y1-Y1′およびY2-Y2′断面図)を参照されたい。つまり、プロセスのこの段階において、Y1-Y1′断面図とY2-Y2′断面図は同じに、すなわち図2Bに示すように見えるであろう。
【0017】
例示的な実施形態によれば、基材202は、バルク・シリコン(Si)、バルク・ゲルマニウム(Ge)、バルク・シリコン・ゲルマニウム(SiGe)、またはバルクIII-V半導体ウェハ、あるいはその組合せなどの、バルク半導体ウェハである。別法として、基材202は半導体オン絶縁体(SOI)ウェハとすることができる。SOIウェハには、埋設された絶縁体によって下にある基材から分離されたSOI層が含まれる。埋設された絶縁体が酸化物である場合、これは本明細書では埋設酸化物またはBOXとも呼ばれる。SOIは、Si、Ge、SiGe、またはIII-V半導体、あるいはその組合せなど、任意の適切な半導体を含み得る。基材202は、トランジスタ、ダイオード、コンデンサ、抵抗、相互接続部、配線などの、事前構築された構造(図示せず)を予め有していてもよい。
【0018】
スタック204は、基材202上に犠牲層と活性層を互いに重ねて堆積させることによって形成される。例示的な実施形態によれば、スタック204における犠牲層および活性層はナノシートである。本明細書で使用する「ナノシート」という用語は一般に、ナノスケールの寸法を有するシートまたは層を指す。更に、「ナノシート」という用語は、ナノワイヤなどの他のナノスケール構造を包含するように意図されている。例えば、「ナノシート」という用語はより大きい幅を有するナノワイヤを指す可能性がある、または、「ナノワイヤ」という用語はより小さい幅を有するナノシートを指す可能性がある、あるいはその両方であり、これらの逆も成り立つ。
【0019】
本例では、スタック204は、基材202上に直接堆積された(第1の)犠牲層206と、第1の犠牲層206上に堆積された交互の(第2の)犠牲層208、208′、208′′、208′′′等および活性層210、210′、210′′等と、を含む。本明細書で使用する「犠牲」という用語は、フォーク・シートFET装置の製造中に全部または一部が除去される構造(犠牲層206/犠牲層208、208′、208′′、208′′′等)を指す。これに対して、以下で詳細に説明するように、活性層210、210′、210′′等は所定位置に留まり、フォーク・シートFET装置のチャネルとして機能することになる。図に示す犠牲層208、208′、208′′、208′′′等、および活性層210、210′、210′′等の数は、単に本技術を説明することを意図した例として提供されるものであり、本明細書では、図示されているよりも多いもしくは少ない犠牲層208、208′、208′′、208′′′等、または、多いもしくは少ない活性層210、210′、210′′等、あるいはその組合せが、スタック204中に存在する実施形態が企図されることに注目されたい。
【0020】
単なる例として、犠牲層206および犠牲層208、208′、208′′、208′′′等および活性層210、210′、210′′等の各々は、エピタキシャル成長プロセスを用いて基材202上に堆積させることができる。例示的な実施形態によれば、犠牲層206、ならびに犠牲層208、208′、208′′、208′′′等および活性層210、210′、210′′等の各々は、約6ナノメートル(nm)~約25nmおよびその間の範囲の厚さを有する。
【0021】
犠牲層および活性層に採用される材料は、犠牲層208、208′、208′′、208′′′等を、プロセスにおいて後から活性層210、210′、210′′等に対して選択的に除去できるようなものである。更に、第1および第2の犠牲層に採用される材料は、犠牲層206を、プロセスにおいて後から犠牲層208、208′、208′′、208′′′等に対して選択的に除去できるようなものである。このことにより下側誘電体隔離層の形成が可能になる。有利には、下側誘電体隔離層は、基材202を通したソース/ドレイン領域のリーク電流を防止する。
【0022】
例えば、例示的な実施形態によれば、犠牲層206および犠牲層208、208′、208′′、208′′′等の各々はSiGeから形成され、一方、活性層210、210′、210′′等の各々はSiから形成される。その場合、Si活性層に対するSiGe犠牲層の選択的除去のために、高温のウェットSC1、気相塩化水素(HCI)、気相三フッ化塩素(CIF)などのエッチャント、および他の反応性洗浄プロセス(RCP)を採用することができる。
【0023】
更に、高ゲルマニウム(Ge)含有量のSiGeを、ドライHCIなどのエッチャントを用いて、低Ge含有量のSiGeに対して選択的に除去することができる。したがって、例示的な実施形態によれば、犠牲層206は高いGe含有量を有するSiGeから形成され、一方、犠牲層208、208′、208′′、208′′′等の各々は、低いGe含有量を有するSiGeから形成される。単なる例として、高Ge含有量のSiGeは、本明細書では、約50%のGe~約100%のGeを有する(すなわち純粋なGe)、およびその間の範囲のSiGeであるとみなされる。例えば、非限定的な一例では、犠牲層206は、SiGe60(約60%のGe含有量を有するSiGe)から形成される。これに対して、低Ge含有量のSiGeは、本明細書では、約20%のGe~約50%のGeを有する、およびその間の範囲のSiGeであるとみなされる。例えば、1つの非限定的な例では、犠牲層208、208′、208′′、208′′′等の各々は、SiGe30(約30%のGe含有量を有するSiGe)から形成される。この構成により、犠牲層206を、下側誘電体隔離層(下記参照)の形成中に犠牲層208、208′、208′′、208′′′等に対して選択的に除去することが可能になる。
【0024】
上で強調したように、スタック204は次いでパターニングされる。スタック204のパターニングによって、NFETおよびPFETのスタックの底部にある基材202に浅いトレンチ分離(STI)領域を形成することが可能になる。標準的なリソグラフィ技術およびエッチング技術を採用して、スタック204をパターニングすることができる。標準的なリソグラフィ・プロセスおよびエッチング・プロセス(図示せず)では、スタック204上のハードマスク212をパターニングするために、リソグラフィ・スタック(図示せず)、例えば、フォトレジスト/反射防止コーティング(ARC)/有機平坦化層(OPL)が使用される。適切なハードマスク材料としては、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)、炭化窒化シリコン(SiCN)などの窒化物ハードマスク材料、または、酸化シリコン(SiOX)などの酸化物ハードマスク材料、あるいはその両方が挙げられるが、これらに限定されない。別法として、ハードマスク212は、側壁イメージ転写(SIT)、自己整合二重パターニング(SADP)、自己整合四重パターニング(SAQP)、および他の自己整合多重パターニング(SAMP)を含むがこれらに限定されない、他の適切な技術によって形成することができる。
【0025】
次いで、エッチングを用いて、ハードマスク212からスタック204の犠牲層および活性層に、および下にある基材板202の途中まで、パターンを転写する。スタック204/基材202のエッチングには、反応性イオン・エッチング(RIE)などの指向性(異方性)エッチング・プロセスを採用することができる。図2Bに示すように、この時点で、(パターニングされた)スタック204の基部において、基材202にトレンチ214が存在している。
【0026】
次いでスタック204にNFET-PFET空間304が開けられる。図3A(X-X′断面図)および図3B(Y1-Y1′およびY2-Y2′断面図)を参照されたい。そのために、まずスタック204上に、パターニングされたブロック・マスク302を形成することができる。次いでエッチングを用いて、ブロック・マスク302からハードマスク212および下にあるスタック204にパターンを転写し、スタック204にNFET-PFET空間304を形成することができる。ブロック・マスク302に適した材料としては、スピン・オン・コーティングもしくはスプレー・コーティングなどのキャスティング法、化学気相成長(CVD)、原子層堆積(ALD)、または物理気相成長(PVD)を使用してスタック204上に堆積させることのできる有機平坦化層(OPL)材料が挙げられるが、これらに限定されない。標準的なリソグラフィ技術およびエッチング技術(上記参照)を採用して、ブロック・マスク302をパターニングすることができる。
【0027】
NFET-PFET空間304のエッチングには、RIEなどの指向性(異方性)エッチング・プロセスを採用することができる。NFET-PFET空間304はスタック204を、少なくとも1つのNFET装置のスタック204Nと、少なくとも1つのPFET装置のスタック204Pとに分割する。図3Bに示すように、NFET装置のスタック204NおよびPFET装置のスタック204Pは、NFET-PFET空間304によって互いから分離されている。図3Aおよび図3Bに描かれているプロセスは、NFET-PFET空間304を形成するための、本明細書で企図される例示的かつ非限定的な一実施形態に過ぎないことに留意されたい。つまり、本技術によれば、NFET-PFET空間304は、任意の他の適切なリソグラフィ・プロセスまたは類似のパターニング・プロセスを用いて形成することができる。
【0028】
次いで犠牲材料をNFET-PFET空間304内に堆積させこれを充填して、NFET装置のスタック204NとPFET装置のスタック204Pを分離する犠牲ピラー402を形成し、その後、ブロック・マスク302を除去し、NFET/PFET装置のスタック204N/204Pの基部のトレンチ214にSTI領域404を形成する。図4(Y1-Y1′およびY2-Y2′断面図)を参照されたい。犠牲ピラー402に適した犠牲材料としては、CVD、ALD、またはPVDなどのプロセスを用いてNFET-PFET空間304内に堆積させることのできる、酸化アルミニウム(ALOx)、炭化ケイ素(SiC)、または酸化チタン(TiOx)、あるいはその組合せが挙げられるが、これらに限定されない。堆積後、プラズマ・ドライ・エッチング・プロセスを用いて、犠牲材料のエッチ・バックを行うことができる。上記したように、ブロック・マスク302はOPL材料から形成することができる。その場合、ブロック・マスク302はアッシング・プロセスを用いて除去することができる。
【0029】
例示的な実施形態によれば、STI領域404は、酸化物材料(本明細書では一般に「STI酸化物」とも呼ぶ)などの誘電体材料でトレンチ214を充填し、次いでSTI酸化物を後退させることによって形成される。図には明示されていないが、STI酸化物の前に、トレンチ214内にライナ(例えば、熱酸化物または窒化シリコン(SiN))を堆積させてもよい。適切なSTI酸化物としては酸化シリコン(SiOx)が挙げられるが、これに限定されない。トレンチ214内にSTI酸化物を堆積させるために、CVD、ALD、またはPVDなどのプロセスを採用することができる。堆積に続いて、次いで酸化物選択性エッチングを用いて、STI酸化物を後退させることができる。
【0030】
次いでハードマスク212を除去し、NFET装置のスタック204NおよびPFET装置のスタック204Pの上に犠牲ゲート504を形成し、犠牲層206を除去して、NFET装置のスタック204NおよびPFET装置のスタック204Pの下にキャビティ506を形成する。図5A(X-X′断面図)、図5B(Y1-Y1′断面図)、および図5C(Y2-Y2′断面図)を参照されたい。
【0031】
犠牲ゲート504を形成するために、まずNFET装置のスタック204NおよびPFET装置のスタック204Pの上に犠牲材料をブランケット堆積させる。適切な犠牲材料としては、CVD、ALD、またはPVDなどのプロセスを用いて堆積させることのできる、ポリ・シリコン(poly-Si)またはアモルファス・シリコン(a-Si)あるいはその両方が挙げられるが、これらに限定されない。図示されていないが、まずNFET装置のスタック204NおよびPFET装置のスタック204P上に酸化シリコン(SiOx)の薄い(例えば、約1ナノメートル(nm)~約5nmの)層を形成し、続いてpoly-Siまたはa-Siあるいはその両方を堆積させるのが好ましい。
【0032】
次いで標準的なリソグラフィ技術およびエッチング技術(上記参照)を用いて、犠牲材料上に犠牲ゲートのハードマスク502をパターニングして、犠牲ゲート504の各々のフットプリントおよび位置をマーキングする。犠牲ゲートのハードマスク502に適した材料としては、SiN、SiON、もしくは炭化窒化シリコン(SiCN)、またはその組合せなどの窒化物ハードマスク材料、あるいはSiOxなどの酸化物ハードマスク材料、あるいはその両方が挙げられるが、これらに限定されない。別法として、犠牲ゲートのハードマスク502は、SIT、SADP、SAQP、および他のSAMPを含むがこれらに限定されない、他の適切な技術によって形成することができる。次いでエッチングを用いて、犠牲ゲートのハードマスク502から犠牲材料へとパターンを転写し、個々の犠牲ゲート504を形成する。犠牲ゲートのエッチングには、RIEなどの指向性(異方性)エッチング・プロセスを採用することができる。
【0033】
上で強調したように、犠牲ゲート504はプロセスにおいて後から除去され、フォーク・シートFET装置の最終的なゲートとして機能する置換ゲートで置換されることになる。これは「ゲート・ラスト」アプローチと呼ばれるが、その理由は、置換ゲートがプロセスの終わり近くで最後に形成されるためである。ゲート・ラスト・アプローチの使用は、金属ゲート・スタックの材料がその後の処理ステップ中に損傷をもたらし得る状況に曝されるのを防止するので、有利である。例えば、置換ゲートに使用される高κ誘電体は、ソース/ドレイン領域の形成中に高温に曝されることで損傷する可能性がある。したがって、このスキームでは、金属ゲート・スタックの材料はプロセスの終わり近くに初めて設置される。
【0034】
NFET装置のスタック204NおよびPFET装置のスタック204Pの下のキャビティ506内に、下側誘電体隔離層が形成されることになる(下記参照)。下側誘電体隔離層は、基材202を通したソース/ドレイン領域のリーク電流を防止する役割を果たすものである。犠牲層206の選択的除去によってキャビティ506が形成される。上記したように、犠牲層206は、高Ge含有量のSiGe(例えば、約50%のGe~約100%のGe(すなわち純粋なGe)を有する、およびその間の範囲のSiGe、例えばSiGe60)から形成することができる。その場合、キャビティ506を形成するために、ドライHCIなどのエッチャントを使用して、犠牲層206を選択的に除去することができる。
【0035】
誘電体スペーサ材料を犠牲ゲート504の上に堆積させ、またキャビティ506内に堆積させてこれを充填し、続いてRIEなどの指向性(異方性)エッチング・プロセスを行うが、このエッチング・プロセスは、誘電体スペーサ材料を、キャビティ506内に下側誘電体隔離層602として、および、犠牲ゲートのハードマスク502/犠牲ゲート504と並んだゲート・スペーサ604としてパターニングするために使用される。図6A(X-X′断面図)、図6B(Y1-Y1′断面図)、および図6C(Y2-Y2′断面図)を参照されたい。適切な誘電体スペーサ材料としては、CVD、ALD、またはPVDなどのプロセスを用いて堆積させることのできる、SiOx、SiC、シリコン・オキシカーバイド(SiCO)またはSiN、あるいはその組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0036】
犠牲ゲートのハードマスク502/犠牲ゲート504およびゲート・スペーサ604は次いで、犠牲ゲート504間にあるNFET装置のスタック204NおよびPFET装置のスタック204Pのトレンチ702をパターニングするためのマスクとして使用される。図7A(X-X′断面図)、および図7B(Y1-Y1′断面図)を参照されたい。トレンチのエッチングには、RIEなどの指向性(異方性)エッチング・プロセスを採用することができる。図7Aおよび図7Bに示すように、トレンチ702は犠牲層208、208′、208′′、208′′′等および活性層210、210′、210′′等の各々を貫通して延び、下側誘電体隔離層602上で停止する。
【0037】
次に、まず犠牲層208、208′、208′′、208′′′等と並んで内部スペーサ802が形成され、その後、犠牲ゲート504の互いに反対の側で、NFET装置のスタック204NおよびPFET装置のスタック204Pの犠牲層208、208′、208′′、208′′′等および活性層210、210′、210′′等と並んで、トレンチ702内に、NFETソース/ドレイン領域804およびPFETソース/ドレイン領域806がそれぞれ形成される。図8A(X-X′断面図)、および図8B(Y1-Y1′断面図)を参照されたい。内部スペーサ802を形成するために、トレンチ702の側壁に沿って露出している犠牲層208、208′、208′′、208′′′等を後退させるための、選択的な側方エッチングを行う。図8Aに示すように、この後退部のエッチングによってトレンチ702の側壁に沿ってポケットを形成し、次いでこのポケットにスペーサ材料を充填して、ポケット内に内部スペーサ802を形成する。これらの内部スペーサ802は、NFET/PFETソース/ドレイン領域804/806から置換ゲートをずらす役割を果たすものである(下記参照)。
【0038】
上記したように、犠牲層208、208′、208′′、208′′′等は、SiGeから形成することができる。その場合、ポケットを形成するための後退部のエッチングには、ウェット化学エッチングまたは気相エッチングなどの、SiGe選択性のある無指向性(等方性)エッチング・プロセスを採用することができる。内部スペーサ802に適した材料としては、CVD、ALD、またはPVDなどのプロセスを使用してポケット内に堆積させることのできる、SiN、SiOx、SiC、またはSiCO、あるいはその組合せが挙げられるが、これらに限定されない。堆積に続いて、ウェット・エッチングまたは選択的ドライ・エッチングなどの等方性エッチング・プロセスを用いて、余分な内部スペーサ材料をトレンチ702から除去することができる。
【0039】
例示的な実施形態によれば、エピタキシャルSi、エピタキシャルSiGe等の、原位置でドープされた(つまり、成長中にドーパントが導入される)または原位置外でドープされた(例えば、イオン注入を介してドーパントが導入される)エピタキシャル材料から、NFET/PFETソース/ドレイン領域804/806が形成される。適切なn型ドーパントとしてはリン(P)またはヒ素(AS)あるいはその両方が挙げられるが、これらに限定されない。適切なp型ドーパントとしてはボロン(B)が挙げられるが、これに限定されない。内部スペーサ802がトレンチ702の側壁に沿った所定位置にある場合、NFET/PFETソース/ドレイン領域804/806のエピタキシャル成長は、トレンチ702の側壁に沿って露出しているNFET/PFET装置のスタック204N/204Pの活性層210、210′、210′′等の端部からのみテンプレート化されることに注目されたい。図8Aおよび図8Bに示すように、NFET/PFETソース/ドレイン領域804/806は、下側誘電体隔離層602によって基材202から分離されている。
【0040】
図8Bに示すように、NFET/PFETソース/ドレイン領域804/806は、犠牲ピラー402の互いに反対の側に配設されている。ただし、犠牲ピラー402はNFET/PFETソース/ドレイン領域804/806よりも背が高く、このため、NFET/PFETソース/ドレイン領域804/806は犠牲ピラー402の下側部分810と並んで存在し、NFET/PFETソース/ドレイン領域804/806よりも上にある犠牲ピラー402の上側部分812は露出している。別の見方をすると、NFET/PFETソース/ドレイン領域804/806は、犠牲ピラー402のその上側部分812と並んでは存在しない。
【0041】
次に、NFET/PFETソース/ドレイン領域804/806よりも上に露出している犠牲ピラー402の上側部分812をトリミングする。図9(Y1-Y1′断面図)を参照されたい。犠牲ピラー402の(トリミングされた)上側部分にはこの時点で、参照符号812aが与えられている。犠牲ピラー402の上側部分812aをトリミングするために、ウェット化学エッチングまたは気相エッチングなどの無指向性(すなわち等方性)エッチング・プロセスを採用することができる。犠牲ピラー402の上側部分812a
をトリミングすることで、その幅が、つまり犠牲ピラー402の下側部分810に対して、小さくなる。つまり、図9に示すように、犠牲ピラー402の下側部分810は幅W1SACRIFICIAL PILLARを有し、犠牲ピラー402の(トリミングされた)上側部分812aは幅W2SACRIFICIAL PILLARを有し、このとき、W2SACRIFICIAL PILLARはW1SACRIFICIAL PILLARよりも小さい、すなわち、W2SACRIFICIAL PILLAR<W1SACRIFCIAL PILLARである。詳細は後述するが、犠牲ピラー402をこの様式でこのようにトリミングすることによって、置換スペーサをエアギャップを含めてその場所に形成することが可能になり、有利である。より詳細には、犠牲ピラー402のトリミングされた上側部分812aは、下にある空間が完全に充填され得る前に閉塞されるボトル・ネックを作り出し、以ってエアギャップを作り出す役割を果たす。トリミング中、犠牲ピラー402の上側部分812aの高さに僅かな減少が生じる可能性のあることに留意されたい。ただしこの効果は取るに足らないものである。更に、犠牲ピラー402のトリミングはこの段階ではNFET/PFETソース/ドレイン領域804/806間で行われ、以って本エアギャップ・ピラーをNFET/PFETソース/ドレイン領域804/806間に形成することが可能になる。詳細は後述するが、NFET/PFETゲート間にも本エアギャップ・ピラーを形成できるように、犠牲ピラー402(この時点では犠牲ゲート504の下にある)のトリミングも実施される。
【0042】
次いで、NFET/PFET装置のスタック204N/204P(およびその間の犠牲ピラー402)、犠牲ゲート504およびゲート・スペーサ604、ならびにNFET/PFETソース/ドレイン領域804/806の上に層間絶縁体(ILD)1002を堆積させ、これらを埋める。図10A(X-X′断面図)、図10B(Y1-Y1′断面図)、および図10C(Y2-Y2′断面図)を参照されたい。適切なILD1002材料としては、SiOxなどの酸化物低κ材料、または例えば2.7よりも小さい誘電定数κを有する、酸化物超低κ層間絶縁体(ULK-ILD)材料、あるいはその両方が挙げられるが、これらに限定されない。比較すると、二酸化シリコン(SiO)は3.9の誘電定数κ値を有する。適切なULK-ILD材料としては多孔質有機ケイ酸塩ガラス(pSiCOH)が挙げられるが、これに限定されない。ILD1002の堆積には、CVD、ALD、またはPVDなどのプロセスを採用することができる。堆積に続いて、化学機械研磨(CMP)などのプロセスを用いてILD1002を研磨することができる。例示的な実施形態によれば、ILD1002は犠牲ゲート504まで研磨され、犠牲ゲートのハードマスク502が除去される。このようにすることで、犠牲ゲート504をILD1002に対して選択的に除去して、ゲートで置換することが可能になる(下記参照)。
【0043】
上で強調したように、NFET/PFETゲート間の犠牲ピラー402のトリミングも行われる。犠牲ピラー402のこの部分はこの時点で犠牲ゲート504の下にあるので、この領域において犠牲ピラー402の上側部分812を露出させるために、まず犠牲ゲート504の途中までの後退部が実現される。図11A(X-X′断面図)、および図11B(Y2-Y2′断面図)を参照されたい。犠牲ゲート504の後退部のエッチングには、RIEなどの選択的エッチング・プロセスを採用することができる。図11Aおよび図11Bに示すように、犠牲ゲート504を途中までだけ後退させると、下にあるNFET装置のスタック204NおよびPFET装置のスタック204Pは覆われたままとなり、したがって犠牲ピラー402のトリミングの間保護されることになる。
【0044】
図11Bに示すように、NFET装置のスタック204NおよびPFET装置のスタック204Pは、犠牲ピラー402の互いに反対の側に配設されている。ただし、犠牲ピラー402はNFET装置のスタック204NおよびPFET装置のスタック204Pよりも背が高く、このため、NFET装置のスタック204NおよびPFET装置のスタック204Pは犠牲ピラー402の下側部分810と並んで存在し、NFET装置のスタック204NおよびPFET装置のスタック204Pよりも上にある犠牲ピラー402の上側部分812は露出している。別の見方をすると、NFET装置のスタック204NおよびPFET装置のスタック204Pは、犠牲ピラー402のその上側部分812と並んでは存在しない。
【0045】
次に、NFET装置のスタック204NおよびPFET装置のスタック204Pよりも上に露出している犠牲ピラー402の上側部分812がトリミングされる。図12(Y2-Y2′断面図)を参照されたい。上記のように、犠牲ピラー402の(トリミングされた)上側部分には参照符号812aが与えられている。犠牲ピラー402の上側部分812aをトリミングするために、ウェット化学エッチングまたは気相エッチングなどの無指向性(すなわち等方性)エッチング・プロセスを採用することができる。上記したのと同じように、犠牲ピラー402の上側部分812aをトリミングすることで、その幅が、つまり犠牲ピラー402の下部の部分810に対して、小さくなる。つまり、図12に示すように、犠牲ピラー402の下側部分810は幅W1SACRIFICIAL PILLARを有し、犠牲ピラー402の(トリミングされた)上側部分812は幅W2SACRIFICIAL PILLARを有し、このときW2SACRIFICIAL PILLARはW1SACRIFICIAL PILLARよりも小さい、すなわち、W2SACRIFICIAL PILLAR<W1SACRIFICIAL PILLARである。詳細は後述するが、犠牲ピラー402をこの様式でこのようにトリミングすることによって、下にある空間が完全に充填され得る前に閉塞されるボトル・ネックを作り出すことで、置換スペーサをエアギャップを含めてその場所に形成することが可能になり、有利である。トリミング中、犠牲ピラー402の上側部分812aの高さに僅かな減少が生じる可能性のあることに留意されたい。ただしこの効果は取るに足らないものである。犠牲ピラー402の上側部分812aはこの時点で、フォーク・シートFET装置のソース/ドレイン領域において(つまり、NFET/PFETソース/ドレイン領域804/806間で)、およびフォーク・シートFET装置のゲート領域において(つまり、NFET装置のスタック204NとPFET装置のスタック204Pとの間で)の両方でトリミングされているが、このことは上で強調したように、NFET/PFETソース/ドレイン領域804/806間およびNFET/PFETゲート間での本エアギャップ・ピラーの形成を可能にして有利である。
【0046】
次いで犠牲ゲート504の残りの部分が選択的に除去されて、NFET/PFETソース/ドレイン領域804/806間の、NFET装置のスタック204NおよびPFET装置のスタック204Pの上のILD1002に、ゲート・トレンチ1302がそれぞれ形成される。図13A(X-X′断面図)、および図13B(Y2-Y2′断面図)を参照されたい。図13Aおよび図13Bに示すように、この時点でゲート・トレンチ1302を通してアクセス可能な犠牲層208、208′、208′′、208′′′等も除去される。犠牲層208、208′、208′′、208′′′等の除去によって、NFET装置のスタック204NおよびPFET装置のスタック204Pから、活性層210、210′、210′′等が解放される。ギャップ1304はこの時点で、NFET装置のスタック204NおよびPFET装置のスタック204Pにおいて、活性層210、210′、210′′等の間に存在する。活性層210、210′、210′′等は、フォーク・シートFET装置のチャネルとして機能するものである。NFET装置のスタック204NおよびPFET装置のスタック204Pから活性層210、210′、210′′等を解放することにより、ゲート・オール・アラウンドすなわちGAA構成でチャネル(すなわち活性層210、210′、210′′等)の少なくとも一部を取り囲む置換ゲートの形成が可能になる。
【0047】
次いで、ゲート・トレンチ1302およびギャップ1304の中に置換ゲート1402が形成される。図14A(X-X′断面図)、および図14B(Y2-Y2′断面図)を参照されたい。拡大図1404に示すように、例示的な実施形態によれば、置換ゲート1402の各々は、ゲート誘電体1408と、ゲート誘電体1408上に配設されたゲート導体1410とを含む。図には明示されていないが、まず薄い(例えば約0.3nm~約5nmの)界面酸化物(例えば、窒素(N)、ゲルマニウム(Ge)等の他の化学元素を中に含んでもよい酸化シリコン(SiOx))を、活性層210、210′、210′′等の露出表面上に形成することができ、次いでゲート誘電体1408を、CVD、ALD、またはPVDなどのプロセスを用いて、界面酸化物の上に堆積させることができる。
【0048】
ゲート誘電体1408に適した材料としては、酸化シリコン(SiOx)、SiN、酸窒化シリコン(SiOxNy)、高κ材料、またはそれらの任意の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で使用する「高κ」という用語は、シリコン二酸化物よりもはるかに高い相対誘電定数κを有する材料を指す(例えば、誘電定数κは、SiOの3.9ではなく、酸化ハフニウム(HfO)の約25である)。適切な高κ材料としては、HfO、酸化ハフニウム・シリコン(HfSiO)、酸化ハフニウム・シリコン窒化物(HfSiO)、酸化ランタン(La)、酸化ランタン・アルミニウム(LaAlO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化ジルコニウム・シリコン(ZrSiO)、酸化ジルコニウム・シリコン窒化物(ZrSiOxNy)、酸化タンタル(TaOx)、酸化チタン(TiO)、酸化バリウム・ストロンチウム・チタン(BaOSrTi)、酸化バリウム・チタン(BaTiO)、酸化ストロンチウム・チタン(SrTiO)、酸化イットリウム(Y)、酸化アルミニウム(Al)、酸化スカンジウム・タンタル鉛(Pb(Sc,Ta)O)、またはニオブ酸亜鉛鉛(Pb(Zn,Nb)O)、あるいはその組合せなどの金属酸化物が挙げられるが、これらに限定されない。高κ材料は、ランタン(La)、アルミニウム(Al)、またはマグネシウム(Mg)、あるいはその組合せなどのドーパントを更に含むことができる。ゲート誘電体1408は、限定されるものではないが、例えば、熱酸化、化学酸化、熱窒化、プラズマ酸化、プラズマ窒化、CVD、ALD等のプロセスまたはこれらのプロセスの組合せを用いて堆積させることができる。例示的な実施形態によれば、ゲート誘電体1408は、約1nm~約5nmおよびその間の範囲の厚さを有する。
【0049】
ゲート導体1410に適した材料としては、ドープ・ポリシリコンまたは少なくとも1つの仕事関数設定金属あるいはその両方が挙げられるが、これらに限定されない。適切な仕事関数設定金属としては、窒化チタン(TiN)、窒化アルミニウム・チタン(TiAlN)、窒化ハフニウム(HfN)、窒化ハフニウム・シリコン(HfSiN)、窒化タンタル(TaN)、窒化タンタル・シリコン(TaSiN)、窒化タングステン(WN)、窒化モリブデン(MoN)、窒化ニオブ(NbN)、炭化チタン(TiC)炭化アルミニウム・チタン(TiAlC)、炭化タンタル(TaC)、または炭化ハフニウム(HfC)、あるいはその組合せが挙げられるが、これらに限定されない。ゲート導体1410は、CVD、ALD、PVD、スパッタリング、めっき、蒸着、イオン・ビーム蒸着、電子ビーム蒸着、レーザ支援蒸着、化学溶液堆積等のプロセスまたはこれらのプロセスの組合せを用いて堆積させることができるが、これらに限定されない。例示的な実施形態によれば、ゲート導体1410は、約5nm~約15nmおよびその間の範囲の厚さを有する。図14Aおよび図14Bに図示され示されている例示的な実施形態では、ゲート導体1410は、上記の仕事関数設定金属の少なくとも1つの層1410aと、置換ゲート1402における残りのあらゆる空間を充填するように仕事関数設定金属の層1410aの上に配設された、(低抵抗の)充填金属1410bと、を含む。適切な低抵抗の充填金属としては、CVD、ALD、PVD、スパッタリング、めっき、蒸着、イオン・ビーム蒸着、電子ビーム蒸着、レーザ支援蒸着、化学溶液堆積等を含むがこれらに限定されないプロセスまたはこれらのプロセスの組合せを用いて堆積させることのできる、タングステン(W)またはアルミニウム(Al)あるいはその両方が挙げられるが、これらに限定されない。図14Aおよび図14Bに示すように、置換ゲート1402、すなわちゲート誘電体1408およびゲート導体1410は、ゲート・オール・アラウンド構成で、活性層210、210′、210′′等の各々の少なくとも一部を完全に取り囲む。
【0050】
次いで置換ゲート1402、すなわちゲート誘電体1408およびゲート導体1410を後退させ、(後退させた)置換ゲート1402の上に誘電体キャップ1502を形成する。図15A(X-X′断面図)、図15B(Y1-Y1′断面図)、および図15C(Y2-Y2′断面図)を参照されたい。適切な誘電体キャップ材料としては、CVD、ALD、またはPVDなどのプロセスを用いて堆積させることのできる、SiOxまたはSiNあるいはその両方が挙げられるが、これらに限定されない。堆積後、CMPなどのプロセスを用いて、誘電体キャップ材料を平坦化することができる。図15Bに示すように、誘電体キャップ1502の研磨中にILD1002も後退し、以ってフォーク・シートFET装置のソース/ドレイン領域において犠牲ピラー402の頂部が露出する。図15Cに示すように、誘電体キャップ1502の研磨によって、フォーク・シートFET装置のゲート領域において、犠牲ピラー402の頂部も露出している。犠牲ピラー402の頂部を露出させることによって、犠牲ピラー402を選択的に除去し、(置換)エアギャップ・ピラーと置換することが可能になる。
【0051】
つまり、次に犠牲ピラー402が選択的に除去されて、フォーク・シートFET装置のソース/ドレイン領域におけるNFETソース/ドレイン領域804とPFETソース/ドレイン領域806との間に、ならびに、フォーク・シートFET装置のゲート領域におけるNFET装置のスタック204NおよびPFET装置のスタック204Pの上にある置換ゲート1402間に、開口部1602が形成される。図16A(Y1-Y1′断面図)、および図16B(Y2-Y2′断面図)を参照されたい。上記したプロセスに基づくと、犠牲ピラー402の除去によって形成される開口部1602は、独自の形状を有する。つまり、上記したように犠牲ピラー402の上側部分をトリミングすることにより、開口部1602の下側部分1604は幅W1OPENINGを有し、開口部1602の上側部分1606は幅W2OPENINGを有し、このとき、W2OPENINGはW1OPENINGよりも小さい、すなわち、W2OPENING<W1OPENINGである。開口部1602の充填に利用される狭い頂部を有するこの構成は、開口部1602の下側部分1604が完全に充填され得る前に閉塞される、充填プロセス用のボトル・ネックを作り出し、以ってエアギャップを作り出す役割を果たす。
【0052】
例えば、次に開口部1602内に共形の誘電体ライナ1702を堆積させ、開口部1602をライニングする。図17A(Y1-Y1′断面図)、および図17B(Y2-Y2′断面図)を参照されたい。共形の誘電体ライナ1702を堆積させているときに利用される開口部1602の上側部分1606にある狭まった入口に基づいて、開口部1602の上側部分1606は、開口部1602の下側部分1604が誘電体ライナ1702によって完全に充填される前に閉塞されることになる。図17Aおよび図17Bに示すように、この様式で堆積された誘電体ライナ1702は開口部1602の下部部分1604をライニングし、開口部1602の下側部分1604の中央にあるエアギャップ1704を完全に取り囲んでいるが、これが本発明の誘電体エアギャップ・ピラー1706である。誘電体ライナ1702に適した材料としては、CVD、ALD、またはPVDなどのプロセスを用いて開口部1602内に堆積させることのできる、SiOx、SiN、SiC、SiON、またはSiCN、あるいはその組合せが挙げられるが、これらに限定されない。堆積に続いて、CMPなどのプロセスを用いて余分な材料を除去することができる。
【0053】
図17Aおよび図17Bに示すように、開口部1602の独自の形状に基づき、誘電体エアギャップ・ピラー1706の下側部分1708は幅W1AIRGAP PILLARを有し、このとき、W2AIRGAP PILLARはW1AIRGAP PILLARよりも小さい、すなわち、W2AIRGAP PILLAR<W1AIRGAP PILLARである。誘電体エアギャップ・ピラー1706は、この特定の例では誘電体エアギャップ・ピラー1706の右側と左側とにそれぞれ示されている、NFETナノシート装置とPFETナノシート装置との間に、直接配設されている。NFETナノシート装置およびPFETナノシート装置のナノシート(すなわち、活性層210、210′、210′′等)は、誘電体エアギャップ・ピラー1706の両側に水平に延在する。
【0054】
詳細には、図17Aに示すように、誘電体エアギャップ・ピラー1706はフォーク・シートFET装置のNFETソース/ドレイン領域804およびPFETソース/ドレイン領域806に直接接触し、これらを分離している。図17Bに示すように、誘電体エアギャップ・ピラー1706は、フォーク・シートFET装置のゲート領域におけるNFET装置のスタック204NおよびPFET装置のスタック204P(本明細書ではそれぞれ「NFETゲートおよびPFETゲート」とも呼ぶ)の上にある置換ゲート1402に直接接触し、これらを分離している。上記したように、NFET装置とPFET装置との間にこのような様式で誘電体エアギャップ・ピラー1706を実装することにより、本フォーク・シートFET設計においてキャパシタンス結合が大幅に低減される。
【0055】
本明細書において本発明の例示的な実施形態について説明したが、本発明はこれらの厳密な実施形態に限定されるものではないこと、ならびに、当業者によって本発明の範囲から逸脱することなく他の様々な変更および修正が行われ得ることを理解されたい。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図12
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B
図15C
図16A
図16B
図17A
図17B
【手続補正書】
【提出日】2024-11-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォーク・シート電界効果トランジスタ(FET)装置であって、
少なくとも第1のナノシートFETおよび第2のナノシートFETと、
エアギャップを備え、前記第1のナノシートFETと前記第2のナノシートFETとの間に直接配設された誘電体ピラーと、を備える、フォーク・シートFET装置。
【請求項2】
前記第1のナノシートFETおよび前記第2のナノシートFETは前記誘電体ピラーの両側に水平に延在するナノシートを備える、請求項1に記載のフォーク・シートFET装置
【請求項3】
前記誘電体ピラーは前記エアギャップを完全に取り囲んでいるライナを備え、前記ライナは酸化シリコン(SiOx)、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)、炭化窒化シリコン(SiCN)、およびこれらの組合せから成る群から選択される材料を含む、請求項2に記載のフォーク・シートFET装置
【請求項4】
前記第1のナノシートFETはnチャネルFET(NFET)を備え、前記第2のFETはpチャネルFET(PFET)を備える、請求項1に記載のフォーク・シートFET装置
【請求項5】
前記第1のナノシートFETおよび前記第2のナノシートFETは前記誘電体ピラーの互いに反対側の側面に接触している、請求項1に記載のフォーク・シートFET装置
【請求項6】
前記誘電体ピラーは前記エアギャップを完全に取り囲んでいるライナを備える、請求項1に記載のフォーク・シートFET装置
【請求項7】
前記ライナは酸化シリコン(SiOx)、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)、炭化窒化シリコン(SiCN)、およびこれらの組合せから成る群から選択される材料を含む、請求項に記載のフォーク・シートFET装置
【請求項8】
前記誘電体ピラーは前記第1のナノシートFETのゲートを前記第2のナノシートFETのゲートから分離している、請求項1または請求項2に記載のフォーク・シートFET装置
【請求項9】
前記誘電体ピラーは前記第1のナノシートFETのソース/ドレイン領域を前記第2のナノシートFETのソース/ドレイン領域から分離している、請求項1または請求項2に記載のフォーク・シートFET装置
【請求項10】
前記誘電体ピラーの下側部分は幅W1AIRGAP PILLARを有し、その開口部の上側部分は幅W2AIRGAP PILLARを有し、W2AIRGAP PILLAR<W1AIRGAP PILLARである、請求項1に記載のフォーク・シートFET装置
【請求項11】
フォーク・シート電界効果トランジスタ(FET)装置を形成する方法であって、
間に犠牲ピラーが直接配設される少なくとも第1のナノシートFETおよび第2のナノシートFETを形成することと、
前記第1のナノシートFETと前記第2のナノシートFETとの間に開口部を形成するために前記犠牲ピラーを除去することであり、前記開口部の下側部分は幅W1OPENINGを有し、前記開口部の上側部分は幅W2OPENINGを有し、W2OPENING<W1OPENINGである、前記除去することと、
前記開口部内に誘電体ライナを堆積させ前記開口部をライニングすることであり、前記堆積中にW2OPENING<W1OPENINGであることに基づいて前記開口部の前記下側部分が完全に充填される前に前記誘電体ライナが前記開口部の前記上側部分を閉塞し、以って前記第1のナノシートFETと前記第2のナノシートFETとの間にエアギャップを有する誘電体ピラーが作り出される、前記堆積させライニングすることと、を含む、方法。
【請求項12】
前記犠牲ピラーの下側部分が幅W1SACRIFICIAL PILLARを有し、前記犠牲ピラーの上側部分が幅W2SACRIFICIAL PILLARを有し、W2SACRIFICIAL PILLAR<W1SACRIFICIAL PILLARとなるように、前記犠牲ピラーの前記上側部分をトリミングすることを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記犠牲ピラーは酸化アルミニウム(AlOx)、炭化シリコン(SiC)、酸化チタン(TiOX)、およびこれらの組合せから成る群から選択される材料を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記第1のナノシートFETはnチャネルFET(NFET)を備え、前記第2のFETはpチャネルFET(PFET)を備える、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記誘電体ライナは前記エアギャップを完全に取り囲んでいる、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記誘電体ライナは酸化シリコン(SiOx)、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)、炭化窒化シリコン(SiCN)、およびこれらの組合せから成る群から選択される材料を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記誘電体ピラーは前記第1のナノシートFETのゲートを前記第2のナノシートFETのゲートから分離している、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記誘電体ピラーは前記第1のナノシートFETのソース/ドレイン領域を前記第2のナノシートFETのソース/ドレイン領域から分離している、請求項11に記載の方法。
【国際調査報告】