IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ソルティア・インコーポレーテッドの特許一覧

特表2024-542376ポリ(ビニルブチラール)ポリマーの回収
<>
  • 特表-ポリ(ビニルブチラール)ポリマーの回収 図1A
  • 特表-ポリ(ビニルブチラール)ポリマーの回収 図1B
  • 特表-ポリ(ビニルブチラール)ポリマーの回収 図2A
  • 特表-ポリ(ビニルブチラール)ポリマーの回収 図2B
  • 特表-ポリ(ビニルブチラール)ポリマーの回収 図3
  • 特表-ポリ(ビニルブチラール)ポリマーの回収 図4
  • 特表-ポリ(ビニルブチラール)ポリマーの回収 図5
  • 特表-ポリ(ビニルブチラール)ポリマーの回収 図6
  • 特表-ポリ(ビニルブチラール)ポリマーの回収 図7
  • 特表-ポリ(ビニルブチラール)ポリマーの回収 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】ポリ(ビニルブチラール)ポリマーの回収
(51)【国際特許分類】
   B29B 17/00 20060101AFI20241108BHJP
   C08J 11/08 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
B29B17/00 ZAB
C08J11/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525047
(86)(22)【出願日】2022-10-27
(85)【翻訳文提出日】2024-06-07
(86)【国際出願番号】 US2022047972
(87)【国際公開番号】W WO2023076442
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】63/263,162
(32)【優先日】2021-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/368,383
(32)【優先日】2022-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/377,410
(32)【優先日】2022-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/377,402
(32)【優先日】2022-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/377,405
(32)【優先日】2022-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503316891
【氏名又は名称】ソルティア・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100168066
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 雄太
(72)【発明者】
【氏名】マ,イーノン
【テーマコード(参考)】
4F401
【Fターム(参考)】
4F401AA15
4F401AD01
4F401BA13
4F401CA02
4F401CA03
4F401CA25
4F401CA43
4F401CA50
4F401CA54
4F401CA91
4F401CB01
4F401DC00
4F401EA08
4F401EA58
4F401EA76
4F401EA77
4F401EA78
4F401FA07Z
4F401FA10Z
4F401FA11X
4F401FA11Y
4F401FA20X
(57)【要約】
ポリ(ビニルブチラール)(PVB)を回収する方法。方法は、PVB供給組成物を溶媒、触媒、及び場合によりブチルアルデヒドと混合して平衡化PVB含有組成物を生成するステップを含む。PVB供給組成物は、少なくとも2種の異なるPVB含有組成物を含む。追加のステップは、平衡化PVB含有組成物の残留ポリビニルアルコール(PVOH)含量を決定することを含む。さらなるステップは、決定された残留PVOH含量に基づき、混合するステップで使用されるブチルアルデヒドの量を調整することを含む。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ(ビニルブチラール)(PVB)を回収するための方法であって、
(a)PVB供給組成物を、溶媒、触媒、及び場合によりブチルアルデヒドと混合して平衡化PVB含有組成物を生成するステップであり、PVB供給組成物が少なくとも2種の異なるPVB含有組成物を含むステップと;
(b)平衡化PVB含有組成物の残留ポリビニルアルコール(PVOH)含量を決定するステップと;
(c)ステップ(b)で決定された残留PVOH含量に基づき、ステップ(a)の前記混合で使用されるブチルアルデヒドの量を調整するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
平衡化PVB含有組成物の標的残留PVOH含量を設定するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(b)で決定された残留PVOH含量が標的残留PVOH含量よりも大きい場合、ステップ(c)の前記調整が、ステップ(a)の前記混合で使用されるブチルアルデヒドの量を増加させることを含むか、又はステップ(b)で決定された残留PVOH含量が標的残留PVOH含量未満である場合、ステップ(c)の前記調整が、ステップ(a)の前記混合で使用されるブチルアルデヒドの量を減少させることを含み、ステップ(a)の前記混合で使用されるブチルアルデヒドの量を減少させることが、ブチルアルデヒドを抽出することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
平衡化PVB含有組成物が溶液であり、ステップ(b)の前記決定が曇点測定によって実施されるか、又は平衡化PVB含有組成物がPVB樹脂であり、ステップ(b)の前記決定が、赤外線センサーを使用して、又は滴定によって実施される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ステップ(a)の前記混合が、PVB供給組成物、溶媒、触媒、及び/若しくはブチルアルデヒドを加熱することを含むか、又はステップ(a)の前記混合が、PVB供給組成物、溶媒、触媒、及び/若しくはブチルアルデヒドをかき混ぜることを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ポリ(ビニルブチラール)(PVB)を回収するための方法であって、
(a)標的残留ポリビニルアルコール(PVOH)含量を確立するステップと;
(b)PVB供給組成物を、溶媒、触媒、及び場合によりブチルアルデヒドと組み合わせて平衡化PVB含有組成物を生成するステップであり、PVB供給組成物が少なくとも2種の異なるPVB含有組成物を含むステップと;
(c)平衡化PVB含有組成物の残留PVOH含量を測定するステップと;
(d)標的残留PVOH含量とステップ(c)で測定された残留PVOH含量との比較に基づき、ステップ(b)の前記組み合わせで使用されるブチルアルデヒドの量を調整するステップと
を含む、方法。
【請求項7】
ステップ(c)で測定された残留PVOH含量がステップ(a)で確立された標的残留PVOH含量よりも大きい場合、ステップ(d)の前記調整が、ステップ(b)の前記組み合わせで使用されるブチルアルデヒドの量を増加させることを含むか、又はステップ(c)で測定された残留PVOH含量がステップ(a)で確立された標的残留PVOH含量未満である場合、ステップ(d)の前記調整が、ステップ(b)の前記組み合わせで使用されるブチルアルデヒドの量を減少させることを含み、ステップ(b)の前記組み合わせで使用されるブチルアルデヒドの量を減少させることが、ブチルアルデヒドを抽出することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
平衡化PVB含有組成物が溶液であり、ステップ(c)の前記測定が曇点測定によって実施されるか、又は平衡化PVB含有組成物がPVB樹脂であり、ステップ(c)の前記測定が赤外線センサーを使用して実施されるか、又は平衡化PVB含有組成物がPVB樹脂であり、ステップ(c)の前記測定が滴定によって実施される、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
ステップ(b)の前記組み合わせが、PVB供給組成物、溶媒、触媒、及び/若しくはブチルアルデヒドを加熱することを含むか、又はステップ(b)の前記組み合わせが、PVB供給組成物、溶媒、触媒、及び/若しくはブチルアルデヒドをかき混ぜることを含む、請求項6から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
標的残留PVOH含量が14~50wt.%、15~25wt.%、16~22wt.%、18.0~19.0wt.%、又は約18.7wt.%である、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも2種の異なるPVB含有組成物が、第1のPVB含有組成物及び第2のPVB含有組成物を含み、第1のPVB含有組成物が第2のPVB含有組成物とは異なるPVOH含量を有し、第1のPVB含有組成物の残留PVOH含量と第2のPVB含有組成物の残留PVOH含量との相対差が2~10wt.%であるか、又は少なくとも2種の異なるPVB含有組成物が第1のPVB含有組成物及び第2のPVB含有組成物を含み、第1のPVB含有組成物が第2のPVB含有組成物とは異なるアルデヒド含量を有するか、又は少なくとも2種の異なるPVB含有組成物が第1のPVB含有組成物及び第2のPVB含有組成物を含み、第1のPVB含有組成物が第2のPVB含有組成物とは異なる酢酸ビニル含量を有するか、又は少なくとも2種の異なるPVB含有組成物が第1のPVB含有組成物及び第2のPVB含有組成物を含み、第1のPVB含有組成物が第2のPVB含有組成物とは異なる可塑剤含量を有するか、又は少なくとも2種の異なるPVB含有組成物が第1のPVB含有組成物及び第2のPVB含有組成物を含み、第1のPVB含有組成物が第2のPVB含有組成物とは異なる可塑剤の種類を有するか、又は少なくとも2種の異なるPVB含有組成物が第1のPVB含有組成物及び第2のPVB含有組成物を含み、第1のPVB含有組成物が第2のPVB含有組成物とは異なる分子量を有するか、又は少なくとも2種の異なるPVB含有組成物が第1のPVB含有組成物及び第2のPVB含有組成物を含み、第1のPVB含有組成物が第2のPVB含有組成物とは異なる添加剤を有し、添加剤が、以下:接着制御剤、UV安定剤、抗酸化剤、IR吸収剤、及び着色剤のうちの1種又は複数から選択される、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
平衡化PVB含有組成物を20phrの可塑剤と混合してPVB樹脂を形成し、PVB樹脂を0.772mmのPVB層へと形成し、2.3mmの2枚のガラスの間に配置して合わせガラスパネルを形成する場合、合わせガラスパネルが5%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、又は0.25%未満のヘイズを有する、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
ポリ(ビニルブチラール)(PVB)を回収するための方法であって、
(a)PVB供給組成物を、溶媒、触媒、及び場合によりブチルアルデヒドと混合して平衡化PVB含有組成物を生成するステップであり、PVB供給組成物が200Kダルトンより大きい分子量を有するステップと;
(b)平衡化PVB含有組成物からPVB樹脂を生成するステップであって、PVB樹脂がPVB供給組成物の分子量より少なくとも25Kダルトン小さい分子量を有するステップと
を含む、方法。
【請求項14】
ステップ(a)の前記混合が、PVB供給組成物、溶媒、触媒、及び/若しくはブチルアルデヒドを加熱することを含むか、又はステップ(a)の前記混合が、PVB供給組成物、溶媒、触媒、及び/若しくはブチルアルデヒドをかき混ぜることを含むか、又はステップ(b)の前記生成が、平衡化PVB含有組成物を沈殿させてPVB樹脂を得ることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ポリ(ビニルブチラール)(PVB)を回収するための方法であって、
(a)PVB供給組成物、溶媒、触媒、及び場合によりブチルアルデヒドを組み合わせ、加熱して平衡化PVB含有組成物を生成するステップであり、PVB供給組成物が200Kダルトンより大きい分子量を有するステップと;
(b)平衡化PVB含有組成物を沈殿させてPVB樹脂を生成するステップであって、PVB樹脂がPVB供給組成物の分子量より少なくとも25K小さい分子量を有するステップと
を含む、方法。
【請求項16】
ステップ(a)の前記組み合わせ及び加熱が、PVB供給組成物、溶媒、触媒、及び/又はブチルアルデヒドをかき混ぜることを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
PVB供給組成物が、225Kより大きい、250Kより大きい、275Kより大きい、若しくは300Kより大きい分子量を有するか、又はPVB樹脂が、PVB供給組成物の分子量より少なくとも30K、少なくとも40K、少なくとも50K、少なくとも60K、少なくとも70K、少なくとも80K、少なくとも90K、若しくは少なくとも100Kダルトン小さい分子量を有するか、又はPVB樹脂が230cps未満、220cps未満、210cps未満、及び/若しくは200cps未満の粘度を有するか、又はPVB樹脂が、14~50%、15~25%、16~22%、18.0~19.0%、又は約18.7%の残留ポリビニルアルコール(PVOH)含有パーセントを有する、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
PVB供給組成物が、第1のPVB含有組成物及び第2のPVB含有組成物を含む少なくとも2種の異なるPVB含有組成物を含み、第1のPVB含有組成物が第2のPVB含有組成物とは異なるPVB含量を有するか、又はPVB供給組成物が、第1のPVB含有組成物及び第2のPVB含有組成物を含む少なくとも2種の異なるPVB含有組成物を含み、第1のPVB含有組成物が第2のPVB含有組成物とは異なるPVOH含量を有するか、又はPVB供給組成物が、第1のPVB含有組成物及び第2のPVB含有組成物を含む少なくとも2種の異なるPVB含有組成物を含み、第1のPVB含有組成物が第2のPVB含有組成物とは異なる酢酸ビニル含量を有するか、又はPVB供給組成物が、第1のPVB含有組成物及び第2のPVB含有組成物を含む少なくとも2種の異なるPVB含有組成物を含み、第1のPVB含有組成物が第2のPVB含有組成物とは異なる可塑剤含量を有するか、又はPVB供給組成物が、第1のPVB含有組成物及び第2のPVB含有組成物を含む少なくとも2種の異なるPVB含有組成物を含み、第1のPVB含有組成物が第2のPVB含有組成物とは異なる可塑剤の種類を有するか、又はPVB供給組成物が、第1のPVB含有組成物及び第2のPVB含有組成物を含む少なくとも2種の異なるPVB含有組成物を含み、第1のPVB含有組成物が第2のPVB含有組成物とは異なる分子量を有するか、又はPVB供給組成物が第1のPVB含有組成物及び第2のPVB含有組成物を含む少なくとも2種の異なるPVB含有組成物を含み、第1のPVB含有組成物が第2のPVB含有組成物とは異なる添加剤を有し、添加剤が、以下:接着制御剤、UV安定剤、抗酸化剤、IR吸収剤、及び着色剤のうちの1種又は複数から選択されるか、又はPVB樹脂を0.772mmのPVB層へと形成し、2.3mmの2枚のガラスの間に配置して合わせガラスパネルを形成する場合、合わせガラスパネルが5%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、又は0.25%未満のヘイズを有する、請求項15から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
PVB供給組成物がポストコンシューマーリサイクルPVBを含むか、又はPVB供給組成物がポストインダストリアルリサイクルPVBを含むか、又はPVB供給組成物がリサイクル切り落としPVBを含むか、又はPVB供給組成物が未使用PVBを含むか、又は溶媒がアルコールを含むか、又は触媒が硫酸を含む、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
平衡化PVB含有組成物をろ過して固形物を除去するステップをさらに含むか、又は塩基を添加することによって平衡化PVB含有組成物を中和するステップであって、塩基が水酸化カリウムを含むステップをさらに含むか、又は平衡化PVB含有組成物を沈殿させてPVB樹脂を得るステップをさらに含むか、又はPVB樹脂を乾燥させるステップをさらに含むか、又はPVB樹脂を洗浄して塩不純物を除去するステップをさらに含む、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
請求項1から20のいずれか一項に記載の方法によって形成された、リサイクルされたPVB。
【請求項22】
請求項21に記載のリサイクルされたPVBを含む樹脂層。
【請求項23】
請求項22に記載の樹脂層を含む中間層。
【請求項24】
第2の樹脂層をさらに含むか、又は樹脂層がコア層であり、中間層が第2の樹脂層及び第3の樹脂層をさらに含み、コア層が第2の樹脂層と第3の樹脂層の間にある、請求項23に記載の中間層。
【請求項25】
第1の基材、請求項23又は24に記載の中間層、及び第2の基材を含む積層体であって、中間層が第1の基材と第2の基材の間にある、積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[001]本発明は、ポリ(ビニルブチラール)樹脂製造の分野に関し、具体的には本発明は、ポストインダストリアル及びポストコンシューマーのポリ(ビニルブチラール)の回収、リサイクル及び再使用の分野にある。
【背景技術】
【0002】
[002]自動車用フロントガラス及び建築用安全ガラスなどの合わせガラスパネルは、典型的には、間に挟まれた可塑化ポリマー層と共に積層された2枚のガラスで構成される。ポリ(ビニルブチラール)(「PVB」)は、典型的には自動車のフロントガラス及び建築用安全ガラスの大多数のポリマー中間層における主要成分をなす、一般的なポリマーである。一般に、PVB樹脂は、天然ガスから又は石油精製プロセスから直接エタンを分離することから始まる合成プロエスによって製造される。次いでエタンを水蒸気分解してエテン(エチレン)を生成させ、これを酢酸原料と共に使用して酢酸ビニルモノマーを得る。酢酸ビニルモノマーをフリーラジカル重合により重合してポリ(酢酸ビニル)とする。ポリ(酢酸ビニル)を加水分解してポリ(ビニルアルコール)とし、次いでこれをブチルアルデヒドと反応させてポリ(ビニルブチラール)を得る。
【0003】
[003]上述の合成プロセスはエネルギー集約的であり、非再生可能原料の使用に依存する。したがって、ポストインダストリアルPVB材料及びポストコンシューマーPVB材料に由来するリサイクルPVB樹脂の見通しは、未使用PVB樹脂よりも製造するのにあまりコストがかからずPVB製造の環境フットプリントを大幅に低減することができる、PVBの潜在的に価値の高い原料と当技術分野で長く考えられてきた。ポストインダストリアルPVB材料の例となる原料としては、リサイクルされたPVB切り落とし、及び仕様外であるか、損傷したか、又はその他において使用不可能であるPVBロールが挙げられる。ポストコンシューマーのPVB材料の例となる原料としては、過去に使用された自動車用フロントガラス及び建築用安全ガラス、並びに他の過去に使用された消費者製品、例えば電力デバイス(例えば、太陽光発電デバイス)及び電子ディスプレイデバイスなどが挙げられる。
【0004】
[004]当技術分野における長年の切実な必要性にもかかわらず、リサイクルPVBに関連するいくつかの問題が存在する。例えば、ポストインダストリアル及びポストコンシューマーPVB材料は共に、一般には、様々な製品及び/又は異なる製造業者から得られるような異なるPVB組成の混合物、並びに可塑剤、UV吸収剤、太陽光吸収剤などの異なる添加剤を含む。その結果として、ポストインダストリアル及び/又はポストコンシューマーPVB混合物は、様々なポリビニルアルコール(PVOH)含量を含む様々なポリ(ビニルブチラール)組成のPVBを含むことがある。リサイクルPVBの混合物内のそのような組成の違いは、PVBから他の不純物が除去されているにもかかわらず、常に回収PVBの許容不可能な高いヘイズ及び/又は変色をもたらす。具体的には、著しく組成の異なるPVB材料が共に混合されると、化学的な不適合性が異なる屈折率を有する非混和性マイクロドメインに起因する濁った又は曇った材料をもたらし、これはリサイクルにおけるその有用性を大きく制限する。
【0005】
[005]さらに、異なる組成を有するPVB材料をリサイクルする場合、特定の最終用途に必要な特定の組成を有する回収PVB材料を生成することが困難な可能性がある。例えば、2種の異なるPVB含有組成物から構成されるPVB供給組成物をリサイクルし、防音3層中間層のスキン層として使用できる回収PVB材料を生成する必要がある場合がある。あるいは、回収PVB材料を防音3層中間層のコア層として使用する必要がある場合がある。しかし、いくつかの中間層では、スキン層に使用されるPVB材料の残留PVOH含量が、コア層に使用されるPVB材料の残留PVOH含量と大きく異なる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[006]したがって、新規の合わせガラスパネルの中間層中で使用するのに必要な特定の組成を有する(例えば、均一な残留PVOH含量を有する)回収PVBが生成されるように、回収PVBの組成(例えば、残留PVOH含量)を正確に制御することができる様態で、ポストインダストリアル及び/又はポストコンシューマーPVBを加工する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[007]本発明の一態様は、ポリ(ビニルブチラール)(PVB)を回収する方法に関する。方法は、PVB供給組成物を溶媒、触媒、及び場合によりブチルアルデヒドと混合して平衡化PVB含有組成物を生成するステップを含む。PVB供給組成物は、少なくとも2種の異なるPVB含有組成物を含む。追加のステップは、平衡化PVB含有組成物の残留ポリビニルアルコール(PVOH)含量を決定することを含む。さらなるステップは、決定された残留PVOH含量に基づき、混合するステップで使用されるブチルアルデヒドの量を調整することを含む。
【0008】
[008]本発明の別の態様は、ポリ(ビニルブチラール)(PVB)を回収する方法に関する。方法は、標的残留ポリビニルアルコール(PVOH)含量を確立するステップを含む。追加のステップは、PVB供給組成物を溶媒、触媒、及び場合によりブチルアルデヒドと組み合わせて、平衡化PVB含有組成物を生成することを含む。PVB供給組成物は、少なくとも2種の異なるPVB含有組成物を含む。追加のステップは、平衡化PVB含有組成物の残留PVOH含量を測定することを含む。さらなるステップは、標的残留PVOH含量と測定された残留PVOH含量との比較に基づき、組み合わせるステップで使用されるブチルアルデヒドの量を調整することを含む。
【0009】
[009]本発明の別の態様は、ポリ(ビニルブチラール)(PVB)を回収する方法に関する。方法は、PVB供給組成物を溶媒、触媒、及び場合によりブチルアルデヒドと混合して、平衡化PVB含有組成物を生成するステップを含む。PVB供給組成物は、200Kダルトンより大きい分子量を有する。追加のステップは、平衡化PVB含有組成物からPVB樹脂を生成することを含み、PVB樹脂は、PVB供給組成物の分子量より少なくとも25K小さい分子量を有する。
【0010】
[010]本発明の別の態様は、ポリ(ビニルブチラール)(PVB)を回収する方法に関する。方法は、PVB供給組成物を、溶媒、触媒、及び場合によりブチルアルデヒドと組み合わせ、加熱して平衡化PVB含有組成物を生成するステップを含む。PVB供給組成物は、200Kダルトンより大きい分子量を有する。追加のステップは、PVB含有組成物を沈殿させてPVB樹脂を生成することを含み、PVB樹脂はPVB供給組成物の分子量より少なくとも25K小さい分子量を有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A】[011]本発明の実施形態によるPVBを回収するための方法のフローチャートの図である。
図1B】[012]本発明の実施形態によるPVBを回収するための別の方法のフローチャートの図である。
図2A】[013]本発明の実施形態によるPVB再生システムの概略図である。
図2B】[014]本発明の実施形態による別のPVB再生システムの概略図である。
図3】[015]ポリマー中間層に対向した一対のガラス板を含む合わせガラスパネルの概略図であり、ポリマー中間層はコア層に対向した一対のスキン層を有する3層を含む。
図4】[016]ポリマー中間層に対向した一対のガラス板を含む合わせガラスパネルの別の概略図であり、ポリマー中間層はくさび形を有する。
図5】[017]本発明の実施形態によるPVBを回収するための別の方法のフローチャートの図である。
図6】[018]本発明の実施形態によるPVBを回収するためのさらに別の方法のフローチャートの図である。
図7】[019]本発明の実施形態によるPVBを回収するためのさらに別の方法のフローチャートの図である。
図8】[020]本発明の実施形態によるPVBを回収するためのさらに別の方法のフローチャートの図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[021]本発明の実施形態は、ポリ(ビニルブチラール)(「PVB」)を回収、リサイクル、及び/又は再使用する方法に向けられている。より詳細には、本発明の実施形態は、ポリマー中間層及び/又はポリマー中間層を含む合わせガラスパネルを形成するのに使用することができる十分な品質のPVBポリマーを得るために、ポストインダストリアル及び/又はポストコンシューマーPVB材料をリサイクルする方法に向けられている。いくつかの実施形態において、ポストインダストリアル及び/又はポストコンシューマーPVB材料からリサイクルされたPVBポリマーは、他の用途に使用することができる。
【0013】
[022]より詳細には、図1Aは、本発明の実施形態によるPVBをリサイクルするための例示的なPVB回収方法100を示す。方法は、ポストインダストリアル及び/又はポストコンシューマーPVB材料を再生システムに提供するステップS110を含む。再生システム10の例示的な実施形態が図2Aに概略的に示され、これは、相互接続された槽の連続的な再生システムの形態であってもよく、その中で本明細書で検討される様々なステップ及び方法が行われてもよい。しかし、実施形態は、単一のバッチ反応器再生システムなどの様々な再生システムの使用を企図することが理解されるべきである。例えば、単独のバッチ反応器は、連続撹拌槽反応器(CSTR)又は別の同様の反応器、例えば対向流スクリュープレス抽出器又は当業者に既知の他の装置などの形態の槽を含んでもよい。本明細書に記載の方法100のステップの1つ又は複数(又はすべて)は単独のバッチ反応器内で行われてもよい。あるいは、再生システム10によって例示される連続再生システムが使用されてもよく、連続再生システムは複数の相互に連結した槽(例えばCSTR)又は管状の配置にある複数の区画を含む。連続再生システムにおいて、ステップの各々は独立に、複数の槽又は区画のうちの1つ又は複数において行われてもよい。連続再生システムの有益としては、単独のバッチ反応器と比較してより高い処理量及びより高い効率を挙げることができる。
【0014】
[023]再生システム10に添加されるPVB材料は、本明細書で「PVB供給組成物」と称されてもよく、上述のように、ポストインダストリアル及び/又はポストコンシューマーPVB材料を含んでもよい。しかし、いくつかの実施形態において、新しい又は未使用PVB材料が使用されてもよい。それにもかかわらず、PVB供給組成物は、再生システム10の混合槽12に添加されてもよい。混合槽12は、槽12に添加された材料を組み合わせる、混合する及び/又はかき混ぜるのに必要な様々な機構と共に構成されてもよい。いくつかの実施形態において、混合槽12はまた、混合槽12に添加された材料に熱を加えるように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、ステップS120として、再生システム10の混合槽12に溶媒を添加してPVB供給組成物を溶解し、PVB溶液を形成してもよい。いくつかの実施形態において、溶媒は、PVB供給組成物が混合槽12に添加される前に混合槽12に添加されてもよい。他の実施形態において、溶媒は、PVB供給組成物が混合槽12に添加された後に混合槽12に添加されてもよい。
【0015】
[024]追加のステップS130は、混合槽12に触媒を添加し、PVB溶液(すなわち、PVB供給組成物及び溶媒)からPVB反応混合物を形成することを含んでもよい。様々な実施形態において、触媒は、PVB供給組成物の添加前又は後に混合槽12に添加されてもよい。追加のステップS140は、場合により、PVB溶液からPVB反応混合物を形成するのを助けるために、ブチルアルデヒドを混合槽12に添加することを含んでもよい。様々な実施形態において、ブチルアルデヒドは、PVB供給組成物の添加前又は後に混合槽12に添加されてもよい。ステップS140の間及び/又は前に、PVB反応混合物を混合槽12内で加熱して混合を促進し、及び/又はPVB供給組成物内の異なるPVB含有組成物のある程度の初期平衡化を可能にすることができる。PVB反応混合物を混合槽12から保持槽14に移してもよく、ここでPVB反応混合物は、ステップS150において、PVB反応混合物を均一なPVB組成物に平衡化する時間にわたって加熱される。本明細で使用する場合、「平衡化された」という用語は、平衡化された組成物が、少なくとも概ね均一な残留ポリビニルアルコール(PVOH)含量を含むように加工されたことを意味するように使用される。
【0016】
[025]PVB反応混合物が平衡化されると(均一なPVB組成物を形成するように)、平衡化PVB反応混合物をろ過槽16に移してもよく、そこで平衡化PVB反応混合物を、ステップS160でろ過して塩及び他の残存固形物を除去することができる。このようなろ過は、メッシュスクリーン、遠心ろ過システム、又は他の好適な方法によって実施されてもよい。いくつかの実施形態において、PVB反応混合物は、ろ過の前に遠心分離を受けてもよい。いくつかの実施形態において、ステップS160は、平衡化PVB反応混合物に塩基を添加することをさらに含んでもよい。そのような実施形態において、塩基は、平衡化PVB反応混合物のろ過の前又は後に添加されてもよい。例えば、塩基をろ過及び/又は遠心分離の前に添加して触媒を中和してもよく、それにより次いで触媒をろ過及び/又は遠心分離によって抽出してもよい。
【0017】
[026]ろ過された平衡化PVB反応混合物は、溶媒カラム18に移されてもよく、そこでステップS170において、蒸発などによって残存溶媒が抽出されてもよい。特定の実施形態において、溶媒は、溶媒カラム18から混合槽12に添加され戻されることにより、PVB回収方法100で再使用されてもよい。平衡化PVB反応混合物から溶媒が除去されると、残存する固形物は固形の平衡化PVB材料を含み、これを押出機20に供給し、ポリマー中間層及び/又はポリマー中間層を含む合わせガラスパネルの製造など、様々なPVB製品を形成する押出プロセスで使用してもよいか、又は樹脂製造プロセスで使用し、再アセタール化してPVB樹脂を形成してもよい。回収PVBは、他の用途において、例えば回収PVBにより形成させることができる接着剤など、並びにフローリング、セラミック組成物、バインダー、コーティング、インク、分散液、及び他の用途においても使用することができる。
【0018】
[027]本発明の実施形態によるPVBをリサイクルするための代替的なPVB回収方法100’を図1Bに示す。方法100’は、一般に、方法100に関して上記で検討したのと同じステップS110~S150を含む。方法100’は、図2Bに概略的に示される再生システム10’を使用して実施されてもよい。しかし、方法100とは対照的に、PVB反応混合物が方法100’で(均一なPVB組成物を形成するように)保持槽14内で平衡化された後、平衡化PVB反応混合物は、ろ過槽16の代わりに、図2Bに例示される沈殿槽22に移されてもよい。沈殿槽22では、固形の平衡化PVB材料が平衡化PVB反応混合物から沈殿してもよい。いくつかの実施形態において、PVB反応混合物は、沈殿前、間又は後に塩基によって中和されてもよい。いずれにせよ、図1BのステップS170’で示されるように、得られた固形の平衡化PVB材料を沈殿槽22から洗浄槽24に移し、残存する塩及び他の不純物を洗浄し除去してもよい。さらに、溶媒を洗浄槽24から除去及び回収して、前述のように混合槽12に(例えば、溶媒カラム18を介して)再導入してもよい。
【0019】
[028]図2Bを継続すると、固形の平衡化PVB材料を洗浄槽24から乾燥槽26に移してもよく、そこで残存する水及び他の流体を除去することができる。得られる生成物は回収PVBポリマーであり、これを押出機20に供給して、ポリマー中間層及び/若しくはポリマー中間層を含む合わせガラスパネルの製造などの様々なPVB製品を形成する押出プロセスで使用するか、又は樹脂製造プロセスで使用し、再アセタール化してPVB樹脂を形成することができる。回収PVBは、他の用途において、例えば回収PVBにより形成させることができる接着剤など、並びにフローリング、セラミック組成物、バインダー、コーティング、インク、分散液及び他の用途においても使用することができる。
【0020】
[029]以下の説明は、上述のPVB回収方法100及び/又は100’にさらなる特異性を与える。いくつかの実施形態において、PVB供給組成物は、少なくとも2種の異なるPVB含有組成物を含んでもよい。例えば、PVB供給組成物は、第1のPVB含有組成物及び第2のPVB含有組成物を含んでもよく、第1のPVB含有組成物は、第2のPVB含有組成物とは異なるPVB含量(例えば、重量パーセント(wt.%)に基づく)を有する。あるいは又は加えて、第1のPVB含有組成物は、第2のPVB含有組成物とは異なるPVOH含量(例えば、重量パーセント(wt.%)に基づく)を有してもよい。あるいは又は加えて、第1のPVB含有組成物は、第2のPVB含有組成物とは異なる酢酸ビニル含量(例えば、重量パーセント(wt.%)に基づく)を有してもよい。あるいは又は加えて、第1のPVB含有組成物は、第2のPVB含有組成物とは異なる可塑剤含量(例えば、樹脂100部に対する部(「phr」)に基づく)を有してもよい。あるいは又は加えて、第1のPVB含有組成物は、第2のPVB含有組成物とは異なる可塑剤の種類を有してもよい。あるいは又は加えて、第1のPVB含有組成物は、第2のPVB含有組成物とは異なる分子量を有してもよい。あるいは又は加えて、第1のPVB含有組成物は、第2のPVB含有組成物よりも様々な追加の(又はより少ない)添加剤を有してもよい。そのような添加剤としては、例えば、接着制御剤、UV安定剤、抗酸化剤、IR吸収剤、及び着色剤が挙げられてもよい。
【0021】
[030]最初にPVB供給組成物のPVOH含量を参照すると、PVB供給組成物は一般に約9~約25wt.%以上の残留PVOH含量を有するが、特定の出発材料に応じて他の量も可能である。例えば、PVB供給組成物の様々なPVB含有組成物は、それぞれ約0~8wt.%、約8~12wt.%、約12~16wt.%、約16~20wt.%、約20~26wt.%、約26~32wt.%、約32~40wt.%、約40~90wt.%、又は約90~100wt.%の残留PVOH含量を含んでもよい。あるいは又はそれに加えて、PVB供給組成物の様々なPVB含有組成物は、それぞれ少なくとも8、少なくとも9、少なくとも9.5、少なくとも10、少なくとも10.5、少なくとも11、少なくとも11.5、少なくとも12、少なくとも12.5、少なくとも13、少なくとも13.5、少なくとも14、少なくとも14.5、少なくとも15、少なくとも15.5、少なくとも16、少なくとも16.5、少なくとも17、少なくとも17.5、少なくとも18、少なくとも18.5、少なくとも19、少なくとも19.5、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも26、少なくとも30、少なくとも32、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、若しくは少なくとも90wt.%、及び/又は100wt.%以下、90wt.%以下、80wt.%以下、70wt.%以下、60wt.%以下、50wt.%以下、40wt.%以下、35wt.%以下、32wt.%以下、30wt.%以下、25wt.%以下、22wt.%以下、20wt.%以下、19wt.%以下、18wt.%以下、17wt.%以下、16wt.%以下、15wt.%以下、14wt.%以下、13wt.%以下、12wt.%以下、11wt.%以下、10wt.%以下、9wt.%以下、若しくは8wt.%以下の残留PVOH含量を含んでもよい。
【0022】
[031]上記で検討したように、PVB供給組成物は、複数の異なるPVB含有組成物を含んでもよく、それぞれが異なるPVOH含量を有する。例えば、PVB供給組成物の第1のPVB含有組成物は、約9~15wt.%の残留PVOH含量を有してもよく、一方でPVB供給組成物の第2のPVB含有組成物は、約15~25wtの残留PVOH含量を有してもよい。それにもかかわらず、このような例示的なPVOH量は例示目的で提供されるに過ぎず、使用される材料及び材料の原料に応じて、他の範囲の残留PVOH含量(又は異なるPVOH範囲)も可能であり得る。例えば、所与のPVB供給組成物の複数の異なるPVB含有組成物は、それぞれ前段落で上記に列挙された残留PVOH含量(又はPVOH範囲)のいずれかを有してもよい。さらに、いくつかの具体的な実施形態において、PVB供給組成物からの第1及び第2のPVB含有組成物は、少なくとも0.5wt.%、少なくとも1wt.%、少なくとも2wt.%、少なくとも4wt.%、少なくとも6wt.%、少なくとも8wt.%、少なくとも10wt.%、少なくとも12wt.%、少なくとも14wt.%、若しくは少なくとも16wt.%、及び/又は0.5~16wt.%、0.5~14wt.%、1~12wt.%、2~10wt.%、若しくは4~8wt.%の残留PVOH含量の相対差を有してもよい。
【0023】
[032]PVB供給組成物はまた、様々な量及び種類の可塑剤を含んでもよく、これは一般にPVBを軟らかくするため及び/又はPVBのガラス転移温度(T)を下げるために使用される。考えられる可塑剤の種類としては、限定はされないが、多塩基酸のエステル、多価アルコール、トリエチレングリコールジ-(2-エチルブチレート)、トリエチレングリコールジ-(2-エチルヘキソネート)(「3-GEH」として知られる)、トリエチレングリコールジヘプタノエート、テトラエチレングリコールジヘプタノエート、ジヘキシルアジペート、ジオクチルアジペート、ヘキシルシクロヘキシルアジペート、ヘプチルアジペート及びノニルアジペートの混合物、ジイソノニルアジペート、ヘプチルノニルアジペート、ジブチルセバケート、及び高分子可塑剤、例えば油変性セバシン酸アルキド、並びにホスフェート及びアジペートの混合物など、並びにそれらの混合物及び組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態において、3-GEHが特に好ましい。適切な可塑剤の他の例としては、限定はされないが、テトラエチレングリコールジ-(2-エチルヘキサノエート)(「4-GEH」)、ジ(ブトキシエチル)アジペート、及びビス(2-(2-ブトキシエトキシ)エチル)アジペート、ジオクチルセバケート、ノニルフェニルテトラエチレングリコール、及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0024】
[033]他の好適な可塑剤としては、これに限定されないが上記の可塑剤を含む2種以上の別個の可塑剤のブレンドを挙げることができる。さらに他の好適な可塑剤、又は可塑剤のブレンドは、芳香族基、例えばポリアジペート、エポキシド、フタレート、テレフタレート、ベンゾエート、トルエート、メリテート、及び他の特殊可塑剤から形成されてもよい。さらなる例として、これらに限定されないが、ジプロピレングリコールジベンゾエート、トリプロピレングリコールジベンゾエート、ポリプロピレングリコールジベンゾエート、イソデシルベンゾエート、2-エチルヘキシルベンゾエート、ジエチレングリコールベンゾエート、プロピレングリコールジベンゾエート、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールジベンゾエート、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールベンゾエートイソブチレート、1,3-ブタンジオールジベンゾエート、ジエチレングリコールジ-o-トルエート、トリエチレングリコールジ-o-トルエート、ジプロピレングリコールジ-o-トルエート、1,2-オクチルジベンゾエート、トリ-2-エチルヘキシルトリメリテート、ジ-2-エチルヘキシルテレフタレート、ビス-フェノールAビス(2-エチルヘキサオネート)、エトキシル化ノニルフェノール、及びこれらの混合物が挙げられる。いくつかの実施形態において、可塑剤は、ジプロピレングリコールジベンゾエート、トリプロピレングリコールジベンゾエート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0025】
[034]上述のように、PVB供給組成物(例えば、樹脂又はリサイクルされたPVB)の可塑剤含量は、重量当たりの重量基準で、phrで測定される。例えば、100グラムのポリマー樹脂に30グラムの可塑剤が添加される場合、得られる可塑化ポリマーの可塑剤含量は30phrである。PVB供給組成物は、様々な量及び/又は種類の可塑剤を有してもよい。例えば、PVB供給組成物の様々なPVB含有組成物は、それぞれ約0~10phr、約10~20phr、約20~30phr、約30~40phr、約40~50phr、約50~60phr、約60~70phr、約70~80phr、約80~90phr、又は約90~100phrの可塑剤含量を含んでもよい。あるいは又は加えて、PVB供給組成物の様々なPVB含有組成物は、それぞれ少なくとも約20phr、少なくとも約25phr、少なくとも約30phr、少なくとも約35phr、少なくとも約38phr、少なくとも約40phr、少なくとも約45phr、少なくとも約50phr、少なくとも約55phr、少なくとも約60phr、少なくとも約65phr、少なくとも約67phr、少なくとも約70phr、少なくとも約75phrの可塑剤含量の1種又は複数の可塑剤を含んでもよい。いくつかの実施形態において、PVB供給組成物の様々なPVB含有組成物は、それぞれ約100phr以下、約85phr以下、80phr以下、約75phr以下、約70phr以下、約65phr以下、約60phr以下、約55phr以下、約50phr以下、約45phr以下、約40phr以下、約38phr以下、約35phr以下、又は約30phr以下の1種又は複数の可塑剤も含んでもよい。
【0026】
[035]さらに、PVB供給組成物は、様々なPVB含量を有してもよい。このようなPVB含量は、ブチラール又はアセタール含量として定義されてもよい。PVB供給組成物の様々なPVB含有組成物は、それぞれ少なくとも約50wt.%、少なくとも約55wt.%、少なくとも約60wt.%、少なくとも約65wt.%、少なくとも約70wt.%、少なくとも約75wt.%、少なくとも80wt.%、少なくとも85wt.%、少なくとも90wt.%、少なくとも95wt.%、若しくは最大100wt.%、及び/又は50~100wt.%、50~90wt.%、50~80wt.%、50~70wt.%、50~60wt.%、60~100wt.%、60~90wt.%、60~80wt.%、60~70wt.%、70~100wt.%、70~90wt.%、70~80wt.%、80~100wt.%、80~90wt.%、又は90~100wt.%のPVB含量及び/又はブチラール/アセタール含量を含んでもよい。
【0027】
[036]PVB供給組成物は、様々な酢酸ビニル含量を有してもよい。PVB供給組成物の様々なPVB含有組成物は、それぞれ最大約15wt.%、最大約10wt.%、若しくは最大約5wt.%、及び/又は5~15wt.%、5~10wt.%、若しくは10~15wt.%の酢酸ビニル含量を含んでもよい。
【0028】
[037]さらに、PVB供給組成物は、様々な分子量を有してもよい。PVB供給組成物の様々なPVB含有組成物は、低角レーザー光散乱を使用したサイズ排除クロマトグラフィーにより測定される、それぞれ約50,000~約600,000、約70,000~約450,000、約100,000~約425,000、約150,000~350,000、及び/又は200,000~300,000ダルトンの分子量を含んでもよい。本明細書で使用する「分子量」という用語は、重量平均分子量を意味する。あるいは又は加えて、特定の具体的な実施形態において、PVB供給組成物の様々なPVB含有組成物は、それぞれ約100,000~約175,000ダルトン、約120,000~約150,000ダルトン、約200,000~約250,000、約250,000~約350,000ダルトン、及び/又は約275,000~約325,000ダルトンの分子量を含んでもよい。
【0029】
[038]さらに、PVB供給組成物は、様々な他の添加剤又は不純物を有してもよい。PVB供給組成物の様々なPVB含有組成物はそれぞれ、当業者に公知の数ある添加剤の中でも、異なる量の接着制御剤(ACA)、UV安定剤、抗酸化剤、IR吸収剤又は遮断剤(例えば、酸化インジウムスズ、酸化アンチモンスズ、六ホウ化ランタン(LaB)及び酸化セシウムタングステン)、着色剤(例えば、染料及び顔料)、ブロッキング防止剤、難燃剤、加工助剤、流動向上添加剤、滑剤、衝撃改良剤、核形成剤、熱安定剤、UV吸収剤、分散剤、界面活性剤、キレート剤、カップリング剤、接着剤、プライマー、補強添加剤、及び充填剤を含んでもよい。
【0030】
[039]PVB回収方法100及び/又は100’におけるステップS110で示されるように、再生システム10及び/又は10’にPVB供給組成物を添加する前に、PVB供給組成物の材料を切断する、切り刻む、及び/又は細断してPVB材料の小径(例えば2~20mmなどであるが、装置及び他の要因に応じて最大で1cmまでを含めた他のサイズを使用できる)のチップ、顆粒、ペレット、又はフレークを形成させてもよい。上述のように、PVB供給組成物は、複数の異なるPVB含有組成物を含んでもよい。したがって、PVB材料のフレーク、チップ及び/又はペレットを一緒に組み合わせて、混合組成物(例えば、混合量のPVOH又は他の要素を有する)を形成させてもよい。このようなPVB供給組成物は、次いで再生システム10及び/又は10’に供給されてもよく、この再生システムは、前述のように、単一バッチ反応器リサイクルシステム又は連続再生リサイクルシステムの形態であってもよい。
【0031】
[040]PVB回収方法100及び/又は100’のステップS120を再び参照すると、再生システム10及び/又は10’に添加される溶媒は、PVB供給組成物の成分を選択的に溶解させ、溶液又は混合物を形成させるのに十分な様々な溶媒を含んでもよい。適切な溶媒の例としては、1つ又は複数のアルコール、例えば、エタノール、メタノール又はイソプロパノールの混合物を挙げることができる。溶媒は、PVB供給組成物を溶解して、濁った粘性溶液の形態を有するPVB溶液を形成するように構成される。いくつかの実施形態において、PVB供給組成物の溶解を補助するために、溶媒及び/又はPVB供給組成物にある程度の量の水が添加されてもよい。他のアルコール、例えばn-ブタノールなどの3つより多くの炭素原子を有するアルコール、又は1つより多くのヒドロキシル基を有するアルコール(すなわち、ジオール及びトリオール)も使用されてもよい。
【0032】
[041]ステップS130を参照すると、触媒は、硫酸、スルホン酸、スルホン化酸、メタンスルホン酸、又はp-トリルスルホン酸(p-トルエンスルホン酸)などの様々な触媒を含んでもよい。ステップS140を参照すると、PVB反応混合物の形成を補助し、平衡化PVBを作るために、ブチルアルデヒドを場合により使用することもできる。以下により詳細に説明するように、本発明者らは、PVB回収方法100及び/又は100’で使用されるブチルアルデヒドの量が、得られる平衡化PVBの残留PVOH含量に影響を及ぼす可能性があることを見出した。したがって、本発明の実施形態は、得られる平衡化PVBの残留PVOH量を正確に制御するために、PVB回収方法100及び/又は100’で使用されるブチルアルデヒドの量を調整する特徴を含む。
【0033】
[042]上述の材料が混合槽12に添加されると(すなわち、PVB供給組成物、溶媒、触媒、及び場合によりブチルアルデヒド)、混合槽12は、PVB反応混合物を形成するように材料を組み合わせる、混合する、及び/又はかき混ぜることができる。いくつかの実施形態において、混合槽12はまた、混合槽12に添加された材料に熱を加えるように構成されてもよい。触媒及びブチルアルデヒドを添加すると、PVB反応混合物は、約15~25wt.%のPVB材料(若しくは17wt.%~23wt.%、若しくは18wt.%~22wt.%、若しくは約20wt.%のPVB材料)、約75~85wt.%の溶媒(若しくは77wt.%~83wt.%、若しくは78wt.%~82wt.%、若しくは約80wt.%の溶媒)、約1wt.%のブチルアルデヒド(若しくは0.25wt.%~2.0wt.%、若しくは0.5wt.%~1.5wt.%、若しくは0.75wt.%~1.25wt.%のブチルアルデヒド)、約0.3wt.%の水(若しくは0.1wt.%~0.5wt.%、若しくは0.2wt.%~0.4wt.%の水)、及び/又は約0.05wt.%の触媒を含む場合がある。しかし、上述のように、また以下でより詳細に検討するように、PVB回収方法100及び/又は100’で使用されるブチルアルデヒドの量は、得られる平衡化PVBの標的残留PVOH含量を達成するために必要に応じて調整されてもよい。
【0034】
[043]ステップS150では、PVB供給組成物(現在はPVB反応混合物の形態)中の個々のPVB含有組成物の平衡化を促進するために、PVB反応混合物が保持槽14に移されてもよい。より詳細には、PVB反応混合物は、一定期間加熱されてもよい。混合物は、65℃~85℃、70℃~80℃、70℃~78℃、又は約78℃の温度に加熱されてもよい。加熱の期間は、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、及び/又は1~5時間、2~4時間、又は約3時間であってもよい。加熱、触媒及びブチルアルデヒドは、PVB反応混合物がPVB供給組成物の様々なPVB含有組成物を均一な組成物へと平衡化することを可能にする。例えば、PVB反応混合物は、混合物のPVB部分が均一な残留PVOH含量に到達するように平衡化する。
【0035】
[044]PVB回収方法100のステップS160を参照すると、平衡化PVB反応混合物はろ過槽16に移され、そこで混合物が冷却され、塩及び他の不純物を除去するためにろ過されてもよい。いくつかの実施形態において、PVB反応混合物は、ステップS150で混合物が加熱された温度より低い温度まで冷却されてもよい。いくつかの実施形態において、塩基を平衡化PVB反応混合物に添加し、ろ過前に混合物を中和する。いくつかの実施形態において、塩基は、水酸化カリウム(「KOH」)、水酸化ナトリウムなどを含んでもよい。いくつかの実施形態において、混合物に添加される塩基の量は、混合物の約0.05wt.%を構成してもよい。いくつかの具体的な実施形態において、塩基の量は、平衡化PVB反応混合物の少なくとも0.02wt.%、少なくとも0.03wt.%、少なくとも0.04wt.%、少なくとも0.05wt.%、少なくとも0.06wt.%、少なくとも0.07wt.%、少なくとも0.08wt.%であってもよい。他の実施形態において、塩基は、平衡化PVB反応混合物の0.02wt.%~0.08wt.%、0.03wt.%~0.07wt.%、0.04wt.%~0.06wt.%、又は約0.05wt.%を形成してもよい。いずれにせよ、実施形態は、平衡化PVB反応混合物のpH(中和前は約2.0~2.5である)が、約5.0~約7.0、又は少なくとも約5、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.7、6.8、6.9若しくは7.0、又は約5.1~約6.9、若しくは約5.2~約6.8、若しくは約5.3~約6.7、若しくは約5.4~約6.7、若しくは約5.5~約6.7、若しくは約5.6~約6.7、若しくは約5.7~約6.7、若しくは約5.8~約6.7、若しくは約5.9~約6.7に到達するように、十分な量の塩基が添加されることを規定してもよい。
【0036】
[045]ステップS160は、平衡化PVB反応混合物(例えば、上記のように中和された)を遠心分離及びろ過して、混合物から塩及び他の固形物を除去することをさらに含んでもよい。いくつかの実施形態において、フィルターは、スクリーン、メッシュ、布、又は他の類似のろ過要素を含んでもよい。ろ過された平衡化PVB反応混合物は、ステップS170で溶媒カラム18に供給されてもよく、ここで溶媒が抽出されてもよい(例えば、蒸発蒸留、水蒸気ストリッピング、押出蒸発などを介して)。特定の実施形態において、溶媒は、溶媒カラム18から混合槽12に添加して戻すことにより、PVB回収方法100で再使用することができる。溶媒及び触媒が除去されると、残存する固形物は固形の平衡化PVBを含み、これを押出機20に供給することができる(例えば、ポリマー中間層の形成に使用するため)。
【0037】
[046]あるいは、PVB回収方法100’で示されるように、PVB反応混合物が保持槽14内で平衡化された(均一なPVB組成物を形成するように)後、平衡化PVB反応混合物を沈殿槽22に移し、そこでステップS160’に示されるように、平衡化PVB反応混合物から固形PVBを沈殿させてもよい。いくつかの実施形態において、平衡化PVB反応混合物は、沈殿前、間又は後に塩基で中和されてもよい。得られた固形平衡化PVBは、ステップS170’に示されるように、塩及び他の不純物を除去するために、沈殿槽22から洗浄槽24に移されてもよい。さらに、先に説明したように、洗浄槽24から溶媒を回収し、混合槽12に(例えば、溶媒カラム18を介して)再導入してもよい。具体的には、溶媒は、洗浄槽24から溶媒カラム18に除去されてもよい(例えば、蒸発蒸留、水蒸気ストリッピング、押出蒸発などを介して)。
【0038】
[047]固形の平衡化PVBは、洗浄槽24から乾燥槽26に移されてもよく、そこで残存する水及び他の流体が除去されてもよい。得られる生成物は回収PVBポリマーであり(均一な残留PVOH含量を有するように平衡化されている)、これを押出機20に供給し、ポリマー中間層及び/若しくはポリマー中間層を含む合わせガラスパネルの製造など、様々なPVB製品を形成する押出プロセスで使用するか、又は樹脂製造プロセスで使用し、再アセタール化してPVB樹脂を形成してもよい。回収PVBは、他の用途において、例えば回収PVBにより形成させることができる接着剤など、並びにフローリング、セラミック組成物、バインダー、コーティング、インク、分散液及び他の用途においても使用することができる。
【0039】
[048]特定の実施形態において、上述の方法100のステップS110~S170(又は方法100’のステップS110~S170’)に対して変更、追加及び/又は削除を行ってもよい。さらに、回収PVBポリマーには、特定の最終用途に必要とされる場合、さらなる処理を行ってもよい。
【0040】
[049]上記のPVB回収方法100及び/又は100’を使用して回収されたPVBを使用して、樹脂、樹脂層、ポリマー中間層、及び/又はポリマー中間層を含む合わせガラスパネルを形成させることができる。本明細書において使用される「ポリマー中間層シート」、「中間層」、「ポリマー層」、及び「ポリマー溶融シート」という用語は、単層シート又は多層中間層を示してもよい。「単層シート」は、その名称が暗に意味するように、1層として押出しされる単独のポリマー層である。多層中間層は他方で、別々に押出しされた層、共押出層、又は別々に押出しされた層及び共押出層の任意の組み合わせを含めた、複数の層を含んでもよい。したがって、多層中間層は、例えば互いに組み合わされた2つ以上の単層シート(「複層シート」);共に共押出しされた2つ以上の層(「共押出シート」);互いに組み合わされた2つ以上の共押出シート;少なくとも1つの単層シート及び少なくとも1つの共押出シートの組み合わせ;並びに少なくとも1つの複層シート及び少なくとも1つの共押出シートの組み合わせを含む可能性がある。本発明の様々な実施形態において、多層中間層は互いに直接接触して配置された少なくとも2つのポリマー層(例えば、単層又は共押出しされた多層)を含み、各層はポリマー樹脂を含む。本明細書において使用される「樹脂」という用語は、酸触媒反応及びその後のポリマー前駆体の中和から生じる混合物から除去されるポリマー成分(例えば、PVB)を指す。一般に、可塑剤、例えば、上記でさらに検討されたものなどを樹脂に加えて、可塑化ポリマーが得られる。さらに、樹脂はポリマー及び可塑剤に加えて、例えばアセテート、塩、及びアルコールを含めた他の成分を有してもよい。
【0041】
[050]PVB回収方法100の上記のステップを行って少なくともいくらかの固有の可塑剤(例えば、3~5phrの可塑剤、10~20phrの可塑剤、35~45phrの可塑剤、又は様々な他の量の可塑剤)を有する回収PVBを得ることができるが、PVBを使用してポリマー中間層及び/又はポリマー中間層を含む合わせガラスパネルを形成させる前に、実施形態はさらなる可塑剤をPVBへ加えることを必要とする場合がある。例えば、いくつかの実施形態において、ポリマー中間層及び/又は合わせガラスパネルが製造される前に、25~50phr、25~45phr、30~40phr、又は33~35phrのさらなる量を得られるPVBに加えてもよい。他の実施形態において、ポリマー中間層及び/又は合わせガラスパネルが製造される前に、25phr未満、又は20phr未満、又はそれよりも少ない、又は50phrを超える、又は55phrを超える、又は60phrを超える、又は65phrを超える、又は70phrを超える、又はそれよりも多い、さらなる量を得られるPVBに加えてもよい。所望の特性及び用途に応じて、より高い又は低い量の可塑剤を所望の通りに加えてもよい。回収PVB樹脂(又は複数の樹脂)は、典型的に30,000ダルトンより多い、又は500,000ダルトン未満、又は約30,000~約500,000ダルトン、又は約100,000~約400,000ダルトン、又は100,000~約175,000ダルトン、又は約200,000~約250,000ダルトン、又は約250,000~約350,000ダルトンの分子量を有する。
【0042】
[051]十分な量の可塑剤が回収PVBへ加えられると、多層パネル(ガラス積層体など)において使用することが可能であるポリマー中間層シートの製造の業者に既知の任意の適切なプロセスにより、ポリマー中間層シートを生産することができると考えられる。例えば、溶液流延、圧縮成型、射出成形、溶融押出、メルトブロー、又は当業者に既知のポリマー中間層シートを生産及び製造するための任意の他の手段によって、ポリマー中間層シートを形成することができると考えられる。さらに、複数のポリマー中間層が利用される実施形態において、これらの複数のポリマー中間層を、共押出、インフレーションフィルム、浸漬塗工、溶液コーティング、ブレード、パドル、エアナイフ、印刷、粉末コーティング、スプレーコーティング、又は当業者に既知の他の方法によって形成させることができると考えられる。当業者に既知のポリマー中間層シートを生産するためのあらゆる方法が、本明細書に記載のポリマー中間層シートを生産するための可能な方法として考えられるが、この応用は押出及び/又は共押出プロセスによって生産されるポリマー中間層シートに焦点を当てることになる。
【0043】
[052]押出成形プロセスでは、上記の樹脂及び可塑剤のいずれかを含む熱可塑性物質樹脂及び可塑剤は、一般には予備混合され、押出デバイスに供給される。着色剤及びUV阻害剤などの添加剤(液体、粉末、又はペレットの形態)を使用してもよく、押出デバイスに到達する前に熱可塑性物質樹脂又は可塑剤に混合することができる。これらの添加剤は、ポリマー中間層シートの特定の特性及び最終的な多層ガラスパネル製品におけるその性能を向上させるために、熱可塑性ポリマー樹脂、ひいては得られるポリマー中間層シートに組み込まれる。
【0044】
[053]押出デバイスでは、樹脂、可塑剤、及び上記の他の添加剤のいずれかを含む、熱可塑性原料及び可塑剤の粒子をさらに混合及び溶融させ、一般に温度及び組成が均一である溶融物が得られる。本発明の実施形態は、およそ200℃である溶融温度を提供し得る。溶融物が押出デバイスの末端に到達すると、溶融物は押出ダイに押し出される。押出ダイは、最終的なポリマー中間層シート製品にそのプロファイルを与える、押出デバイスの部材である。ダイは、一般にはリップにより画定される開口部を有し、これは1つの寸法が垂直の寸法よりも実質的に大きい。一般にダイは、溶融物がダイから生じる円筒形のプロファイルから製品の最終プロファイル形状へと均一に流れるように設計されている。連続プロファイルが存在する限り、ダイによって複数の形状を最終ポリマー中間層シートに与えることができる。一般に、最も基本的な意味において、押出成形は固定された断面プロファイルの物体を作るために使用される方法である。これは、最終製品のための所望の断面のダイを通して材料を押す又は引くことにより実現される。
【0045】
[054]いくつかの実施形態において、共押出法を利用してもよい。共押出は、多層のポリマー材料が同時に押し出される方法である。一般に、このタイプの押出は、2つ以上の押出機を利用して、一定体積の処理量の、異なる粘度又は他の特性の異なる熱可塑性溶融物を溶融させ、共押出ダイを通して送り出して所望の最終形態とする。例えば、本発明の多層中間層(例えば、3層の中間層の形態)は好ましくは、第1のダイマニホールド、第2のダイマニホールド、及び第3のダイマニホールドを含むマルチマニホールド共押出デバイスを使用して共押出されてもよい。共押出デバイスは、ポリマー溶融物を各マニホールドからダイを通し開口部から同時に押出しすることにより作動させることができ、多層中間層は3つの個々のポリマー層の複合材として押出しされる。コア層がスキン層の間に挟まれている3層の中間層の製造をもたらすために、ポリマー溶融物はコア層がスキン層の間に配置されるようにダイを通って流れ得る。ダイの開口部は、開口部の両側に位置する一対のリップを含んでもよい。ポリマー溶融物の配置を考慮すると、スキン層はリップと接触し得る。ともかく、中間層厚さはダイ開口部に位置するダイリップ間の距離を調整することにより変化させることができる。
【0046】
[055]多くの場合、3層を有するポリマー中間層は合わせガラスパネルの製造において使用されることになる。例えば、この用途のいくつかの実施形態において、軟質層の向上した音響減衰特性を硬質/堅質層の機械的強度と組み合わせて多層中間層を作る。これらの実施形態において、中央の軟質層は2つの硬質/堅質な外層の間に挟まれている。(硬質)//(軟質)//(硬質)のこの構成は、取り扱いが容易であり、従来のラミネーション法において使用でき、比較的薄く軽い層により構築できる多層中間層を作り出す。軟質のコア層は一般に、比較的硬質のスキン層よりも、低い残留ヒドロキシル含量、高い可塑剤含量、及び/又は低いガラス転移温度により特徴づけられる。
【0047】
[056]以下は、多層ガラスパネルが上記のプロセスにしたがって形成される中間層と組み合わせて一般に生産される方法の簡略化した説明を提示する。最初に、上記のように、マルチマニホールド共押出デバイスを使用して多層中間層を共押出することができる。デバイスは、各マニホールドから押出開口部に向かってポリマー溶融物を同時に押出すことにより作動する。押出開口部のダイリップの特性(例えば、温度及び/又は開口部の寸法)を調整することにより、層の特性を変化させることができる。形成されたら、中間層シートを2枚のガラス基材の間に置くことができ、余分な中間層を縁から切り落とし、組立体を作る。複数のポリマー中間層シート又は多層を有するポリマー中間層シート(又はその両方の組み合わせ)が2枚のガラス基材の内側に置かれ、複数のポリマー中間層を有する多層ガラスパネルが作られることは珍しいことではない。次いで、当業者に既知の適用可能なプロセス又は方法により;例えば、ニップローラー、真空バッグ、又は別の脱気メカニズムにより、組立体から空気を除去する。さらに、中間層は当業者に既知の任意の方法により基材に部分的に圧着される。最終ステップにおいて、最終的な一体的構造を形成するために、高温及び高圧のラミネーションプロセス、又は限定はされないがオートクレーブ処理などの、当業者に既知の任意の他の方法により、この予備的な接合をより永久的にする。
【0048】
[057]上記を考慮して、多層パネルはガラス、又は他の適用可能な基材の2枚のシートを含み、ポリマー中間層シート(1つ又は複数)がその間に挟まれている。多層パネルは一般に、少なくとも1つのポリマー中間層シートを2枚の基材の間に置いて組立体を作ることにより生産される。図3は、多層中間層がその間に挟まれている一対のガラスシート52を含む多層パネル50を示す。多層中間層は、3つの個々のポリマー中間層シートを有する防音3層中間層として構成され、軟質コア層54及びコア層54の両側に配置された2枚の比較的硬質なスキン層56を含む。そのような3層を組み込むそのようなガラスパネルは、上記で論じたように、軟質のコア層によりもたらされる減音に起因するより優れた音響特性を有し得る。
【0049】
[058]いくつかの実施形態において、中間層(例えば、コア層54及びスキン層56)は、一般に中間層の長さに関して一定の又は均一の厚さを有する(例えば図3を参照)。しかし、代替的実施形態において、図4の多層パネル60に示すように、中間層は不均一な厚さの少なくとも1つの領域を有してもよい。例えば、コア層54及びスキン層56を含む中間層は、中間層の厚さが中間層の長さに関して変化する(例えば直鎖的に)ように、くさび形であってもよい。いくつかのそのような実施形態において、中間層の厚さはコア層54の厚さの変化に起因して変化してもよい(すなわち、スキン層56は一般には一定の厚さを有する)。あるいは、中間層の厚さはスキン層56の厚さの変化に起因して変化してもよい(すなわち、コア層54は一般に一定の厚さを有する)。さらなる代替的形態において、中間層の厚さはコア層54及びスキン層56の両方の厚さの変化に起因して変化してもよい。さらなる実施形態において(図示せず)、不均一な厚さの少なくとも1つの領域を有する中間層、例えばくさび形の中間層などを維持しながら、1つ又は複数の層は中間層の幅方向において厚さが増加してもよく、一方で1つ又は複数の層は同時に厚さが減少する。そのような3層を組み込むそのようなガラスパネルは、上記で論じたように、軟質のコア層によりもたらされる減音に起因するより優れた音響特性を有し得る。さらに、3層の不均一な厚さに起因して、ガラスパネルは望ましくない画像投影欠陥を低減させる(例えば、ゴースト像を低減する)ことによりヘッドアップディスプレイ(「HUD」)での使用に有益な特性をもたらすことができる。
【0050】
[059]有益なことに、上記で検討されたPVB回収方法100及び/又は100’から得られた回収PVBを含む少なくとも1つのポリマー層/中間層を用いて形成された合わせガラスパネルは、優れた光学的品質を有してもよい。このような品質は、一般に、回収PVBが均一な残留PVOH含量を有するように平衡化されていることに起因する。例えば、回収PVB(すなわち、平衡化PVB含有組成物)を20phrの可塑剤と混合してPVB樹脂を形成し、PVB樹脂を0.772mmのPVB層へと形成し、2.3mmの2枚のガラスの間に配置して合わせガラスパネルを形成する場合、合わせガラスパネルは、5%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、又は0.25%未満のヘイズを有してもよい。ヘイズは、散乱される透過光のパーセンテージであり、そのためその方向は入射ビームの方向から指定の角度よりも大きくそれる。当業者に既知のヘイズメーター又は分光光度計を使用して、光源Cを使用する2度の観測角度におけるASTM D1003-手順Bに準拠して、ヘイズを測定することができる。
【0051】
[060]しかし、ポリマー中間層の特定の層へと形成されるのに必要な残留PVOH含量を有するポリマー層/中間層を生成するのは困難な場合がある。例えば、上述のように、防音3層中間層の場合、一般に軟質コア層は残留PVOH含量がより低いことを特徴とする一方で、比較的より硬質のスキン層は、一般に残留PVOH含量がより高いことを特徴とする。PVB回収方法100及び/又は100’で使用されるPVB供給組成物が複数の異なるPVB含有組成物を含む場合があることを考慮すると、回収PVB(上述のPVB回収方法100及び/又は100’によってリサイクルされた後)は、様々なレベルの残留PVOH含量を用いて形成されてもよく、それにより3層中間層のスキン層又はコア層としての使用に適さない可能性がある。しかし、本発明者らは、PVB回収方法100及び/又は100’で使用されるブチルアルデヒドの量を制御することにより、回収PVBの残留PVOH含量を正確に制御できることを発見した。例えば、PVB回収方法100及び/又は100’で使用されるブチルアルデヒドの量を増加させることにより、回収PVBの残留PVOH含量を低減させることができ、一方でPVB回収方法100及び/又は100’で使用されるブチルアルデヒドの量を減少させることにより、回収PVBの残留PVOH含量を増加させることができる。
【0052】
[061]上記の観点から、図5に示されるように、本発明の実施形態は、回収PVBの残留PVOH含量の量を制御するためのさらなるPVB回収方法200を含む。方法200は、PVB供給組成物を溶媒、触媒、及び場合によりブチルアルデヒドと混合して、平衡化PVB含有組成物を生成する最初のステップS210を含む。いくつかの実施形態において、PVB供給組成物は、少なくとも2種の異なるPVB含有組成物を含む。追加のステップS220は、平衡化PVB含有組成物の残留PVOH含量を決定することを含む。さらなるステップS230は、決定された残留PVOH含量に基づき、混合するステップS210で使用されるブチルアルデヒドの量を調整することを含む。
【0053】
[062]より詳細には、PVB供給組成物は、ステップ210で示されるように、PVB回収方法100及び/又は100’に関して先に記載したように、再生システム10の混合槽12及び/又は保持槽14内で、溶媒、触媒、及び場合によりブチルアルデヒドと混合され、平衡化PVB含有組成物を生成してもよい。さらに先に記載したように、PVB供給組成物は、少なくとも2種の異なるPVB含有組成物、例えば、第2のPVB含有組成物とは異なる残留PVOH含量を有する第1のPVB含有組成物を含んでもよい。それにもかかわらず、PVB供給組成物が平衡化されると、平衡化PVB含有組成物の残留PVOH含量は均一であってもよく、ステップS220で示されるように決定されてもよい。
【0054】
[063]いくつかの実施形態において、残留PVOH含量は、平衡化PVB含有組成物が溶液形態にあるとき、例えば平衡化PVB含有組成物が保持槽14、ろ過槽16、及び/又は沈殿槽22内にあるときに決定されてもよい。いくつかの実施形態において、溶液形態の平衡化PVB含有組成物の残留PVOH含量は、曇点測定によって試験されてもよい。このような曇点測定は、保持槽14、ろ過槽16、及び/又は沈殿槽22から抽出された平衡化PVB含有組成物溶液の試料で実施されてもよい。あるいは、雲点測定は、保持槽14、ろ過槽16、及び/又は沈殿槽22内の平衡化PVB含有組成物溶液で直接実施されてもよい。
【0055】
[064]他の実施形態において、残留PVOH含量は、平衡化PVB含有組成物が固体又は樹脂形態であるとき、例えば、溶媒カラム18内、沈殿槽22内(例えば、沈殿後)、洗浄槽24内(例えば、蒸発後)、乾燥槽26内で固体PVBが平衡化PVB反応混合物から得られたとき、及び/又はそうでなければ回収PVBが押出機20に導入するための樹脂に形成された後に決定されてもよい。いくつかの実施形態において、固体又は樹脂形態の平衡化PVB含有組成物の残留PVOH含量は、赤外線センサー及び/又は滴定によって試験されてもよい。このような試験は、溶媒カラム18から、沈殿槽22から、洗浄槽24から、乾燥槽26から抽出された、及び/又はそうでなければ押出機20に導入する前の平衡化PVB含有組成物(固体又は樹脂形態)の試料で実施されてもよい。あるいは、試験は、溶媒カラム18内、沈殿槽22内、洗浄槽24内、乾燥槽26内、及び/又はPVB樹脂を押出機20に供給するフィードライン内で、平衡化PVB含有組成物(固体又は樹脂形態)で直接実施されてもよい。
【0056】
[065]平衡化PVBの測定された残留PVOH含量に基づき、実施形態は、残留PVOH含量が調整されることを規定する。上述のように、本発明者らは、PVB回収方法100及び/又は100’で使用されるブチルアルデヒドの量を増加させることにより、回収PVBの残留PVOH含量を低減させることができ、一方でPVB回収方法100及び/又は100’で使用されるブチルアルデヒドの量を減少させることにより、回収PVBの残留PVOH含量を増加させることができることを見出した。したがって、平衡化PVBの標的残留PVOH含量を確立することができ、PVB回収方法100及び/又は100’で使用されるブチルアルデヒドの量を調整して、そのような標的を達成することができる。
【0057】
[066]いくつかの実施形態において、平衡化PVBの標的残留PVOH含量は、14~50wt.%、15~25wt.%、16~22wt.%、又は18.0~20.0wt.%に設定されてもよい。このような標的は、例えば、平衡化PVBが防音3層のスキン層に使用される樹脂へと形成される実施形態に使用されてもよい。他の実施形態において、平衡化PVBの標的残留PVOH含量は、5~15wt.%、7~13wt.%、又は9~11wt.%に設定されてもよい。このような標的は、例えば、平衡化PVBが防音3層のコア層に使用される樹脂へと形成される実施形態に使用されてもよい。
【0058】
[067]PVB回収方法100で使用されるブチルアルデヒドの量は、混合槽12で使用されるブチルアルデヒドの量を変更することによって調整することができる。例えば、例えばPVB回収方法100から回収される平衡化PVBの残留PVOH含量が標的よりも大きい状況では、混合槽12で使用されるブチルアルデヒドの量を増加させてもよい(すなわち、ブチルアルデヒドは、溶媒カラム18から、又は新鮮なブチルアルデヒド原料から混合槽12に添加される)。対照的に、例えばPVB回収方法100及び/又は100’から回収される平衡化PVBの残留PVOH含量が標的よりも少ない状況では、混合槽12で使用されるブチルアルデヒドの量を減少させてもよい(すなわち、ブチルアルデヒドは、混合槽12から抽出されてもよい)。
【0059】
[068]いくつかの実施形態において、(i)平衡化PVBの残留PVOH含量の決定、(ii)標的残留PVOH含量との比較、及び(iii)PVB回収方法で使用されるブチルアルデヒド量の調整のうちの1つ又は複数は、自動化されてもよい。例えば、実施形態は、自動的に(i)PVB回収方法内で平衡化PVBの残留PVOH含量を決定すること、(ii)決定された残留PVOH含量を標的残留PVOH含量と比較すること、及び(iii)PVB回収方法で使用されるブチルアルデヒドの量を自動的に調整するための制御システム(例えば、記憶要素、処理要素、及び/又は入力/出力要素を含む)を含んでもよい。したがって、制御システムは、再生システム10及び/又は10’の一部であってもよく、システム10及び/又は10’内の平衡化PVBの残留PVOH含量の試験(例えば、曇点、赤外線、滴定試験)を実施する試験装置(例えば、センサー)と通信してもよい。平衡化PVBの残留PVOH含量を示すデータを受け取ると、制御システムは、そのようなデータを、確立され、制御システム内に保存されている標的残留PVOH含量と比較してもよい。このような比較に基づき、制御システムは、PVB回収方法で使用されるブチルアルデヒドの量(例えば、システム10及び/又は10’の混合槽12で使用される量)を自動的に調整してもよい。制御システムは、制御システムの記憶要素(例えば、非一過性のコンピュータ可読保存媒体)上に保存されたコンピュータ実装命令を実施する処理要素に基づき、このようなステップを実施してもよい。
【0060】
[069]上記の観点から、実施形態は、図6に示されるPVBを回収する別の方法300を提供する。方法300は、標的残留PVOH含量を決定するステップ310を含む。追加のステップ320は、PVB供給組成物を溶媒、触媒、及び場合によりブチルアルデヒドと組み合わせて、平衡化PVB含有組成物を生成することを含む。PVB供給組成物は、少なくとも2種の異なるPVB含有組成物を含んでもよい。追加のステップ330は、平衡化PVB含有組成物の残留PVOH含量を測定することを含む。さらなるステップ340は、標的残留PVOH含量と測定された残留PVOH含量との比較に基づき、組み合わせるステップ310で使用されるブチルアルデヒドの量を調整することを含む。
【0061】
[070]さらなる利点として、上記で検討されたPVB回収方法100及び/又は100’から得られる回収PVBは、防音3層中間層に使用するために好ましい分子量で形成されてもよい。より詳細には、本発明者らは、PVB回収方法100及び/又は100’から得られる回収PVBが、方法に供給されるPVB供給組成物に対して低減された分子量を有し得ることを見出した。いくつかの例では、PVB供給組成物は、防音3層中間層から形成されたリサイクルPVBを含んでもよい。このような防音3層中間層は、スキン層とコア層の組み合わせを含んでもよく、コア層は一般にスキン層よりも高分子量を有する。回収PVBが新しい防音3層中間層のスキン層に使用される場合、回収PVBの分子量は、一般にPVB供給組成物未満である必要がある。有利なことに、PVB回収方法100及び/又は100’は、PVB回収方法100のステップがPVB供給組成物の鎖間連結を解き、溶解し、及び/又は切断することにより、回収PVBがPVB供給組成物に対して低減された分子量を有することを規定する。回収PVBが(PVB供給組成物に対して)低減された分子量を有することのさらなる利点は、回収PVBが(PVB供給組成物に対して)より低い粘度も有することであり、これにより押出機及び/又はオートクレーブを通るPVB樹脂の流動が改善される。
【0062】
[071]上記の観点から、本発明の実施形態は、図7に示されるように、PVBを回収するための別の方法400を提供する。方法400は、PVB供給組成物を溶媒、触媒、及び場合によりブチルアルデヒドと混合して平衡化PVB含有組成物を生成する最初のステップS410を含み、PVB供給組成物は、200,000(200K)ダルトンより大きい分子量を有する。他の実施形態において、PVB供給組成物は、225Kより大きい、250Kより大きい、275Kより大きい、及び/又は300Kダルトンより大きい分子量を有してもよい。加えて、PVB供給組成物は、230cpsより大きい粘度を有してもよい。追加のステップS420は、平衡化PVB含有組成物からPVB樹脂を生成することを含んでもよく、PVB樹脂は、PVB供給組成物の分子量よりも少なくとも25K小さい分子量を有する。他の実施形態において、PVB樹脂は、PVB供給組成物の分子量より少なくとも30K、少なくとも40K、少なくとも50K、少なくとも60K、少なくとも70K、少なくとも80K、少なくとも90K、又は少なくとも100Kダルトン小さい分子量を有してもよい。さらに、PVB樹脂は、PVB供給組成物の粘度よりも少なくとも10cps、少なくとも15cps、及び/又は少なくとも20cps小さい粘度を有してもよい。あるいは又は加えて、PVB樹脂は、PVB供給組成物の粘度よりも少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、又は10~20%小さい粘度を有してもよい。例えば、PVB樹脂は、230cps未満、220cps未満、210cps未満、及び/又は200cps未満の粘度を有してもよい。
【0063】
[072]最後に、本発明の実施形態は、図8に示される、PVBを回収するための別の方法500を提供することができる。方法500は、PVB供給組成物を溶媒、触媒、及び場合によりブチルアルデヒドと組み合わせて加熱して、平衡化PVB含有組成物を生成する最初のステップS510を含み、PVB供給組成物は200Kダルトンより大きい分子量を有する。追加のステップS520は、平衡化PVB含有組成物を沈殿させてPVB樹脂を生成することを含んでもよく、PVB樹脂は、PVB供給組成物の分子量より少なくとも25K小さい分子量を有する。
【実施例
【0064】
実施例1
[073]SD29アルコール(190プルーフエタノール)850部、PVOH含量10.50wt.%のPVB樹脂150部(本明細書では「出発PVB樹脂」と称する)、水3部及び硫酸0.4部の混合物を、1リットル三つ口ジャケット付きガラス反応器内に装入した。混合物を撹拌し、78℃に加熱し、そこで4時間保持した。得られた混合物を65℃に冷却し、混合物がpH6に達するまで0.46部のKOHで中和した。得られた混濁混合物を、高強度ミキサーで8当量の水とさらに混合してPVBスラリーを形成した。アルコール及び残留ブチルアルデヒドを、脱イオン水による充填及び排出洗浄によってPVBスラリーから除去し、得られたスラリーをろ過して乾燥した。乾燥後、「回収PVB樹脂」134部を得た。回収PVB樹脂は、Bomem MB160 FT-(近赤外線)NIR Analyzerを使用して測定して、PVOH含量が18.38wt.%であった。Bomem MB160 FT-NIR Analyzerは、滴定を使用して決定した既知の残留PVOH含量を有するPVB樹脂試料を使用して校正されたことに留意されたい。
【0065】
[074]さらに、出発PVB樹脂及び回収PVB樹脂のそれぞれを、以下の「粘度試験」による粘度測定に供した。始めに、20℃の脱イオン水中50mlの92wt.%イソプロパノールを118ml(4オンス)試験瓶に分注した。1.9084gmの樹脂試料を試験瓶に添加し、30分間激しく振とうした。試験瓶を45℃の浴中に少なくとも60分間入れた。試験瓶を浴から取り出し、完全な溶解が達成されるまで再び振とうした。その後、試験瓶を20℃の浴に60分間入れた。粘度計管を20℃の浴に入れ、約5分間平衡化させた。高速フローピペットを使用して、10mlの溶液を試験瓶から粘度計管(例えば、Cannon Fenske Viscometer No.400)に移した。圧力弁を使用して、流体を粘度計の上部マークに押し付けた。圧力を解放して、液面が粘度計の上部マークを越えて流れるようにした。タイマーを使用して、粘度計内の液体が上部マークと下部マークの間を通過する時間を計算した。センチストークス単位の粘度を、測定された時間に粘度計に関連する管係数を乗じることによって決定した。センチポアズ単位の粘度を、センチストークス単位の粘度にgm/cc単位の溶液密度を乗じることによって決定した。粘度試験を使用して、出発PVB樹脂の粘度は234cpsであることが決定されたが、回収PVB樹脂の粘度は213cpsに低減されていることが見出された。
【0066】
[075]さらに、出発PVB樹脂及び回収PVB樹脂の分子量を、後述の「分子量試験」を使用して測定した。出発PVB樹脂の分子量は273,031ダルトンであったが、回収PVB樹脂の粘度は245,203ダルトンの分子量に低減していたことが見出された。より詳細には、分子量試験は、Biosolve製ヘキサフルオロイソプロパノールARをGPC移動相として使用する(0.8ml/分)ゲル浸透クロマトグラフィー(「GPC」)を含む。各試料は、PVB樹脂約20mgを25mlフラスコに秤量し、移動相10mlを添加することによって調製した。その後、PVB樹脂が完全に溶解するまでフラスコを自動振とうデバイスに入れた。分析は、Viscotek GPCmax(オートサンプラー、ポンプ及び脱気装置)、Viscotek三重検出器TDA302(RALL/LALLS、粘度計及びDRIの組み合わせ)、並びにカラムオーブンからなる3検出器システムで実施した。分離は、45℃に維持された3本のViscotek混合床カラムI-MB型(低、中及び高範囲の分子量)によって実施した。検出器装置一式は、分子量64,368ダルトン、固有粘度0.615、及びdn/dc値0.189と報告されるViscotek製の狭いPMMA標準を使用して校正した。移動相の屈折率は、事前の実験により1,2649g/mlと決定した。
【0067】
実施例2
[076]SD29アルコール(190プルーフエタノール)800部、防音3層中間層(PVOH含量10.50wt.%のスキン層及びPVOH含量18.70wt.%のコア層を有する)から形成されたリサイクルPVB樹脂200部、水3部及び硫酸0.5部の混合物を、1リットル三つ口ジャケット付きガラス反応器内に装入した。混合物を撹拌し、78℃に加熱し、そこで4時間保持した。得られた混合物を65℃に冷却し、混合物がpH6に達するまで0.46部のKOHで中和した。得られた混濁混合物をろ過し、透明な粘性溶液を得た。溶液をフィルムにキャストし、乾燥させて透明なフィルムを得た。フィルムを、回収PVB樹脂の厚さ0.772mmのフィルムへとプレスした。回収PVB樹脂は、前述のBomem MB160 FT-NIR Analyzerを使用して、23.08wt.%のPVOH含量を有することが見出された。
【0068】
実施例3
[077]SD29アルコール800部、防音3層中間層(PVOH含量10.50wt.%のスキン層及びPVOH含量18.70wt.%のコア層を有する)から形成されたリサイクルPVB200部、ブチルアルデヒド15部、水3部及び硫酸0.5部の混合物を、1リットル三つ口ジャケット付きガラス反応器内に装入した。混合物を撹拌し、78℃に加熱し、そこで4時間保持した。得られた混合物を65℃に冷却し、混合物がpH6に達するまで0.46部のKOHで中和した。得られた混濁混合物をろ過し、透明な粘性溶液を得た。溶液をフィルムにキャストし、乾燥させて透明なフィルムを得た。フィルムを、回収PVB樹脂の厚さ0.772mmのフィルムへとプレスした。回収PVB樹脂は、前述のBomem MB160 FT-NIR Analyzerを使用して、18.77wt.%のPVOH含量を有することが見出された。
【0069】
[078]本発明は、現在のところ好ましい実施形態であると考えられるものを含めた特定の実施形態の説明と併せて開示されるが、詳細な説明は例示的なものであることを意図しており、本開示の範囲を限定すると理解されるべきではない。当業者であれば理解するように、本明細書において詳細に説明されるもの以外の実施形態は本発明により包含される。本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、説明される実施形態の修正及び変更を行うことができる。
【0070】
[079]本開示の任意の単独成分について示される範囲、値、又は特性のいずれかは、適合する場合、本開示の他の成分のいずれかについて示される任意の範囲、値、又は特性と交換可能に使用して、本明細書の全体を通して示されるように、成分の各々について規定の値を有する実施形態をなすことができることがさらに理解されるであろう。例えば、残留ヒドロキシル含量について示される範囲のいずれかに加えて示される範囲のいずれかにある可塑剤含量を含むポリマー層を形成して、必要に応じて、本発明の範囲内であるがリストアップするのが煩雑となる多くの変更を行うことができる。
【0071】
[080]番号をつけた項目1~114に関して、本発明及びその好ましい実施形態をここでさらに説明する。
【0072】
[081]項目1.ポリ(ビニルブチラール)(PVB)を回収するための方法であって、
(a)PVB供給組成物を、溶媒、触媒、及び場合によりブチルアルデヒドと混合して平衡化PVB含有組成物を生成するステップであり、PVB供給組成物が少なくとも2種の異なるPVB含有組成物を含むステップと;
(b)平衡化PVB含有組成物の残留ポリビニルアルコール(PVOH)含量を決定するステップと;
[082]ステップ(b)で決定された残留PVOH含量に基づき、ステップ(a)の前記混合で使用されるブチルアルデヒドの量を調整するステップと
を含む、方法。
【0073】
[083]項目2.平衡化PVB含有組成物の標的残留PVOH含量を設定するステップをさらに含む、項目1の方法。
【0074】
[084]項目3.ステップ(b)で決定された残留PVOH含量が標的残留PVOH含量よりも大きい場合、ステップ(c)の前記調整が、ステップ(a)の前記混合で使用されるブチルアルデヒドの量を増加させることを含む、項目2の方法。
【0075】
[085]項目4.ステップ(b)で決定された残留PVOH含量が標的残留PVOH含量未満である場合、ステップ(c)の前記調整が、ステップ(a)の前記混合で使用されるブチルアルデヒドの量を減少させることを含む、項目2の方法。
【0076】
[086]項目5.ステップ(a)の前記混合で使用されるブチルアルデヒドの量を減少させることが、ブチルアルデヒドを抽出することを含む、項目4の方法。
【0077】
[087]項目6.平衡化PVB含有組成物の標的残留PVOH含量が、14~50%、15~25%、16~22%、18.0~19.0%、又は約18.7%である、項目2の方法。
【0078】
[088]項目7.平衡化PVB含有組成物が溶液であり、ステップ(b)の前記決定が曇点測定によって実施される、項目1の方法。
【0079】
[089]項目8.平衡化PVB含有組成物がPVB樹脂であり、ステップ(b)の前記決定が赤外線センサーを使用して実施される、項目1の方法。
【0080】
[090]項目9.平衡化PVB含有組成物がPVB樹脂であり、ステップ(b)の前記決定が滴定によって実施される、項目1の方法。
【0081】
[091]項目10.PVB供給組成物がポストコンシューマーリサイクルPVBを含む、項目1の方法。
【0082】
[092]項目11.PVB供給組成物がポストインダストリアルリサイクルPVBを含む、項目1の方法。
【0083】
[093]項目12.PVB供給組成物が未使用PVBを含む、項目1の方法。
【0084】
[094]項目13.少なくとも2種の異なるPVB含有組成物が、第1のPVB含有組成物及び第2のPVB含有組成物を含み、第1のPVB含有組成物が、第2のPVB含有組成物とは異なるPVOH含量を有する、項目1の方法。
【0085】
[095]項目14.第1のPVB含有組成物の残留PVOH含量と第2のPVB含有組成物の残留PVOH含量との相対差が2~10wt.%である、項目13の方法。
【0086】
[096]項目15.少なくとも2種の異なるPVB含有組成物が、第1のPVB含有組成物及び第2のPVB含有組成物を含み、第1のPVB含有組成物が第2のPVB含有組成物とは異なるアルデヒド含量を有する、項目1の方法。
【0087】
[097]項目16.少なくとも2種の異なるPVB含有組成物が、第1のPVB含有組成物及び第2のPVB含有組成物を含み、第1のPVB含有組成物が第2のPVB含有組成物とは異なる酢酸ビニル含量を有する、項目1の方法。
【0088】
[098]項目17.少なくとも2種の異なるPVB含有組成物が、第1のPVB含有組成物及び第2のPVB含有組成物を含み、第1のPVB含有組成物が第2のPVB含有組成物とは異なる可塑剤含量を有する、項目1の方法。
【0089】
[099]項目18.少なくとも2種の異なるPVB含有組成物が、第1のPVB含有組成物及び第2のPVB含有組成物を含み、第1のPVB含有組成物が第2のPVB含有組成物とは異なる可塑剤の種類を有する、項目1の方法。
【0090】
[0100]項目19.少なくとも2種の異なるPVB含有組成物が、第1のPVB含有組成物及び第2のPVB含有組成物を含み、第1のPVB含有組成物が第2のPVB含有組成物とは異なる分子量を有する、項目1の方法。
【0091】
[0101]項目20.少なくとも2種の異なるPVB含有組成物が、第1のPVB含有組成物及び第2のPVB含有組成物を含み、第1のPVB含有組成物が第2のPVB含有組成物とは異なる添加剤を有し、添加剤が、以下:接着制御剤、UV安定剤、抗酸化剤、IR吸収剤、及び着色剤のうちの1種又は複数から選択される、項目1の方法。
【0092】
[0102]項目21.平衡化PVB含有組成物を20phrの可塑剤と混合してPVB樹脂を形成し、PVB樹脂を0.772mmのPVB層へと形成し、2.3mmの2枚のガラスの間に配置して合わせガラスパネルを形成する場合、合わせガラスパネルが5%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、又は0.25%未満のヘイズを有する、項目1の方法。
【0093】
[0103]項目22.溶媒がアルコールを含む、項目1の方法。
【0094】
[0104]項目23.触媒が硫酸を含む、項目1の方法。
【0095】
[0105]項目24.ステップ(a)の前記混合が、PVB供給組成物、溶媒、触媒、及び/又はブチルアルデヒドを加熱することを含む、項目1の方法。
【0096】
[0106]項目25.ステップ(a)の前記混合が、PVB供給組成物、溶媒、触媒、及び/又はブチルアルデヒドをかき混ぜることを含む、項目1の方法。
【0097】
[0107]項目26.平衡化PVB含有組成物をろ過して固形物を除去するステップをさらに含む、項目1の方法。
【0098】
[0108]項目27.塩基を添加することによって平衡化PVB含有組成物を中和するステップをさらに含む、項目1の方法。
【0099】
[0109]項目28.塩基が水酸化カリウムを含む、項目27の方法。
【0100】
[0110]項目29.平衡化PVB含有組成物を沈殿させてPVB樹脂を得るステップをさらに含む、項目1の方法。
【0101】
[0111]項目30.PVB樹脂を乾燥するステップをさらに含む、項目29の方法。
【0102】
[0112]項目31.PVB樹脂を洗浄して塩不純物を除去するステップをさらに含む、項目30の方法。
【0103】
[0113]項目32.ポリ(ビニルブチラール)(PVB)を回収するための方法であって、
(a)標的残留ポリビニルアルコール(PVOH)含量を確立するステップと;
(b)PVB供給組成物を、溶媒、触媒、及び場合によりブチルアルデヒドと組み合わせて平衡化PVB含有組成物を生成するステップであり、PVB供給組成物が少なくとも2種の異なるPVB含有組成物を含むステップと;
(c)平衡化PVB含有組成物の残留PVOH含量を測定するステップと;
(d)標的残留PVOH含量とステップ(c)で測定された残留PVOH含量との比較に基づき、ステップ(b)の前記組み合わせで使用されるブチルアルデヒドの量を調整するステップと
を含む、方法。
【0104】
[0114]項目33.ステップ(c)で測定された残留PVOH含量が、ステップ(a)で確立された標的残留PVOH含量よりも大きい場合、ステップ(d)の前記調整が、ステップ(b)の前記組み合わせで使用されるブチルアルデヒドの量を増加させることを含む、項目32の方法。
【0105】
[0115]項目34.ステップ(c)で測定された残留PVOH含量が、ステップ(a)で確立された標的残留PVOH含量未満である場合、ステップ(d)の前記調整が、ステップ(b)の前記組み合わせで使用されるブチルアルデヒドの量を減少させることを含む、項目32の方法。
【0106】
[0116]項目35.ステップ(b)の前記組み合わせで使用されるブチルアルデヒドの量を減少させることが、ブチルアルデヒドを抽出することを含む、項目34の方法。
【0107】
[0117]項目36.標的残留PVOH含量が、14~50wt.%、15~25wt.%、16~22wt.%、18.0~19.0wt.%、又は約18.7wt.%である、項目32の方法。
【0108】
[0118]項目37.平衡化PVB含有組成物が溶液であり、ステップ(c)の前記測定が曇点測定によって実施される、項目32の方法。
【0109】
[0119]項目38.前記平衡化PVB含有組成物がPVB樹脂であり、ステップ(c)の前記測定が赤外線センサーを使用して実施される、項目32の方法。
【0110】
[0120]項目39.平衡化PVB含有組成物がPVB樹脂であり、ステップ(c)の前記測定が滴定によって実施される、項目32の方法。
【0111】
[0121]項目40.PVB供給組成物がポストコンシューマーリサイクルPVBを含む、項目32の方法。
【0112】
[0122]項目41.PVB供給組成物がポストインダストリアルリサイクルPVBを含む、項目32の方法。
【0113】
[0123]項目42.PVB供給組成物が未使用PVBを含む、項目32の方法。
【0114】
[0124]項目43.少なくとも2種の異なるPVB含有組成物が、第1のPVB含有組成物及び第2のPVB含有組成物を含み、第1のPVB含有組成物が第2のPVB含有組成物とは異なるPVOH含量を有する、項目32の方法。
【0115】
[0125]項目44.第1のPVB含有組成物の残留PVOH含量と第2のPVB含有組成物の残留PVOH含量との相対差が2~10wt.%である、項目43の方法。
【0116】
[0126]項目45.少なくとも2種の異なるPVB含有組成物が、第1のPVB含有組成物及び第2のPVB含有組成物を含み、第1のPVB含有組成物が第2のPVB含有組成物とは異なるPVB含量を有する、項目32の方法。
【0117】
[0127]項目46.少なくとも2種の異なるPVB含有組成物が、第1のPVB含有組成物及び第2のPVB含有組成物を含み、第1のPVB含有組成物が第2のPVB含有組成物とは異なる酢酸ビニル含量を有する、項目32の方法。
【0118】
[0128]項目47.少なくとも2種の異なるPVB含有組成物が、第1のPVB含有組成物及び第2のPVB含有組成物を含み、第1のPVB含有組成物が第2のPVB含有組成物とは異なる可塑剤含量を有する、項目32の方法。
【0119】
[0129]項目48.少なくとも2種の異なるPVB含有組成物が、第1のPVB含有組成物及び第2のPVB含有組成物を含み、第1のPVB含有組成物が第2のPVB含有組成物とは異なる可塑剤の種類を有する、項目32の方法。
【0120】
[0130]項目49.少なくとも2種の異なるPVB含有組成物が、第1のPVB含有組成物及び第2のPVB含有組成物を含み、第1のPVB含有組成物が第2のPVB含有組成物とは異なる分子量を有する、項目32の方法。
【0121】
[0131]項目50.少なくとも2種の異なるPVB含有組成物が、第1のPVB含有組成物及び第2のPVB含有組成物を含み、第1のPVB含有組成物が第2のPVB含有組成物とは異なる添加剤を有し、添加剤が、以下:接着制御剤、UV安定剤、抗酸化剤、IR吸収剤、及び着色剤のうちの1種又は複数から選択される、項目32の方法。
【0122】
[0132]項目51.平衡化PVB含有組成物を20phrの可塑剤と混合してPVB樹脂を形成し、PVB樹脂を0.772mmのPVB層へと形成し、2.3mmの2枚のガラスの間に配置して合わせガラスパネルを形成する場合、合わせガラスパネルが5%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、又は0.25%未満のヘイズを有する、項目32の方法。
【0123】
[0133]項目52.溶媒がアルコールを含む、項目32の方法。
【0124】
[0134]項目53.触媒が硫酸を含む、項目32の方法。
【0125】
[0135]項目54.ステップ(b)の前記組み合わせが、PVB供給組成物、溶媒、触媒、及び/又はブチルアルデヒドを加熱することを含む、項目32の方法。
【0126】
[0136]項目55.ステップ(b)の前記組み合わせが、PVB供給組成物、溶媒、触媒、及び/又はブチルアルデヒドをかき混ぜることを含む、項目32の方法。
【0127】
[0137]項目56.平衡化PVB含有組成物をろ過して固形物を除去するステップをさらに含む、項目32の方法。
【0128】
[0138]項目57.塩基を添加することによって平衡化PVB含有組成物を中和するステップをさらに含む、項目32の方法。
【0129】
[0139]項目58.塩基が水酸化カリウムを含む、項目57の方法。
【0130】
[0140]項目59.平衡化PVB含有組成物を沈殿させてPVB樹脂を得るステップをさらに含む、項目32の方法。
【0131】
[0141]項目60.PVB樹脂を乾燥するステップをさらに含む、項目59の方法。
【0132】
[0142]項目61.PVB樹脂を洗浄して塩不純物を除去するステップをさらに含む、項目60の方法。
【0133】
[0143]項目62.ポリ(ビニルブチラール)(PVB)を回収するための方法であって、
(a)PVB供給組成物を、溶媒、触媒、及び場合によりブチルアルデヒドと混合して平衡化PVB含有組成物を生成するステップであり、PVB供給組成物が200Kダルトンより大きい分子量を有するステップと;
(b)平衡化PVB含有組成物からPVB樹脂を生成するステップであって、PVB樹脂がPVB供給組成物の分子量より少なくとも25Kダルトン小さい分子量を有するステップと
を含む、方法。
【0134】
[0144]項目63.PVB供給組成物が、225Kより大きい、250Kより大きい、275Kより大きい、又は300Kより大きい分子量を有する、項目62の方法。
【0135】
[0145]項目64.PVB樹脂が、PVB供給組成物の分子量より少なくとも30K、少なくとも40K、少なくとも50K、少なくとも60K、少なくとも70K、少なくとも80K、少なくとも90K、又は少なくとも100Kダルトン小さい分子量を有する、項目62の方法。
【0136】
[0146]項目65.PVB樹脂が、230cps未満、220cps未満、210cps未満、及び/又は200cps未満の粘度を有する、項目62の方法。
【0137】
[0147]項目66.PVB樹脂が、14~50%、15~25%、16~22%、18.0~19.0%、又は約18.7%の残留ポリビニルアルコール(PVOH)含有パーセントを有する、項目62の方法。
【0138】
[0148]項目67.PVB供給組成物がポストコンシューマーリサイクルPVBを含む、項目62の方法。
【0139】
[0149]項目68.PVB供給組成物がリサイクル切り落としPVBを含む、項目62の方法。
【0140】
[0150]項目69.PVB供給組成物が未使用PVBを含む、項目62の方法。
【0141】
[0151]項目70.PVB供給組成物が、第1のPVB含有組成物及び第2のPVB含有組成物を含む少なくとも2種の異なるPVB含有組成物を含み、第1のPVB含有組成物が第2のPVB含有組成物とは異なるPVB含量を有する、項目62の方法。
【0142】
[0152]項目71.PVB供給組成物が、第1のPVB含有組成物及び第2のPVB含有組成物を含む少なくとも2種の異なるPVB含有組成物を含み、第1のPVB含有組成物が第2のPVB含有組成物とは異なるPVOH含量を有する、項目62の方法。
【0143】
[0153]項目72.PVB供給組成物が、第1のPVB含有組成物及び第2のPVB含有組成物を含む少なくとも2種の異なるPVB含有組成物を含み、第1のPVB含有組成物が第2のPVB含有組成物とは異なる酢酸ビニル含量を有する、項目62の方法。
【0144】
[0154]項目73.PVB供給組成物が、第1のPVB含有組成物及び第2のPVB含有組成物を含む少なくとも2種の異なるPVB含有組成物を含み、第1のPVB含有組成物が第2のPVB含有組成物とは異なる可塑剤含量を有する、項目62の方法。
【0145】
[0155]項目74.PVB供給組成物が、第1のPVB含有組成物及び第2のPVB含有組成物を含む少なくとも2種の異なるPVB含有組成物を含み、第1のPVB含有組成物が第2のPVB含有組成物とは異なる可塑剤の種類を有する、項目62の方法。
【0146】
[0156]項目75.PVB供給組成物が、第1のPVB含有組成物及び第2のPVB含有組成物を含む少なくとも2種の異なるPVB含有組成物を含み、第1のPVB含有組成物が第2のPVB含有組成物とは異なる分子量を有する、項目62の方法。
【0147】
[0157]項目76.PVB供給組成物が、第1のPVB含有組成物及び第2のPVB含有組成物を含む少なくとも2種の異なるPVB含有組成物を含み、第1のPVB含有組成物が第2のPVB含有組成物とは異なる添加剤を有し、添加剤が、以下:接着制御剤、UV安定剤、抗酸化剤、IR吸収剤、及び着色剤のうちの1種又は複数から選択される、項目62の方法。
【0148】
[0158]項目77.PVB樹脂を0.772mmのPVB層へと形成し、2.3mmの2枚のガラスの間に配置して合わせガラスパネルを形成する場合、合わせガラスパネルが5%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、又は0.25%未満のヘイズを有する、項目62の方法。
【0149】
[0159]項目78.溶媒がアルコールを含む、項目62の方法。
【0150】
[0160]項目79.触媒が硫酸を含む、項目62の方法。
【0151】
[0161]項目80.ステップ(a)の前記混合が、PVB供給組成物、溶媒、触媒、及び/又はブチルアルデヒドを加熱することを含む、項目62の方法。
【0152】
[0162]項目81.ステップ(a)の前記混合が、PVB供給組成物、溶媒、触媒、及び/又はブチルアルデヒドをかき混ぜることを含む、項目62の方法。
【0153】
[0163]項目82.平衡化PVB含有組成物をろ過して固形物を除去するステップをさらに含む、項目62の方法。
【0154】
[0164]項目83.塩基を添加することによって平衡化PVB含有組成物を中和するステップであって、塩基が水酸化カリウムを含むステップをさらに含む、項目62の方法。
【0155】
[0165]項目84.ステップ(b)の前記生成が、平衡化PVB含有組成物を沈殿させてPVB樹脂を得ることを含む、項目62の方法。
【0156】
[0166]項目85.PVB樹脂を乾燥するステップをさらに含む、項目62の方法。
【0157】
[0167]項目86.PVB樹脂を洗浄して塩不純物を除去するステップをさらに含む、項目62の方法。
【0158】
[0168]項目87.ポリ(ビニルブチラール)(PVB)を回収するための方法であって、
(a)PVB供給組成物、溶媒、触媒、及び場合によりブチルアルデヒドを組み合わせ、加熱して平衡化PVB含有組成物を生成するステップであり、PVB供給組成物が200Kダルトンより大きい分子量を有するステップと;
(b)平衡化PVB含有組成物を沈殿させてPVB樹脂を生成するステップであって、PVB樹脂がPVB供給組成物の分子量より少なくとも25K小さい分子量を有するステップと
を含む、方法。
【0159】
[0169]項目88.PVB供給組成物が、225Kより大きい、250Kより大きい、275Kより大きい、又は300Kダルトンより大きい分子量を有する、項目87の方法。
【0160】
[0170]項目89.PVB樹脂が、PVB供給組成物の分子量より少なくとも30K、少なくとも40K、少なくとも50K、少なくとも60K、少なくとも70K、少なくとも80K、少なくとも90K、又は少なくとも100Kダルトン小さい分子量を有する、項目87の方法。
【0161】
[0171]項目90.PVB樹脂が、230cps未満、220cps未満、210cps未満、及び/又は200cps未満の粘度を有する、項目87の方法。
【0162】
[0172]項目91.PVB樹脂が、14~50%、15~25%、16~22%、18.0~19.0%、又は約18.7%の残留ポリビニルアルコール(PVOH)含有パーセントを有する、項目87の方法。
【0163】
[0173]項目92.PVB供給組成物がポストコンシューマーリサイクルPVBを含む、項目87の方法。
【0164】
[0174]項目93.PVB供給組成物がリサイクル切り落としPVBを含む、項目87の方法。
【0165】
[0175]項目94.PVB供給組成物が未使用PVBを含む、項目87の方法。
【0166】
[0176]項目95.PVB供給組成物が、第1のPVB含有組成物及び第2のPVB含有組成物を含む少なくとも2種の異なるPVB含有組成物を含み、第1のPVB含有組成物が第2のPVB含有組成物とは異なるPVB含量を有する、項目87の方法。
【0167】
[0177]項目96.PVB供給組成物が、第1のPVB含有組成物及び第2のPVB含有組成物を含む少なくとも2種の異なるPVB含有組成物を含み、第1のPVB含有組成物が第2のPVB含有組成物とは異なるPVOH含量を有する、項目87の方法。
【0168】
[0178]項目97.PVB供給組成物が、第1のPVB含有組成物及び第2のPVB含有組成物を含む少なくとも2種の異なるPVB含有組成物を含み、第1のPVB含有組成物が第2のPVB含有組成物とは異なる酢酸ビニル含量を有する、項目87の方法。
【0169】
[0179]項目98.PVB供給組成物が、第1のPVB含有組成物及び第2のPVB含有組成物を含む少なくとも2種の異なるPVB含有組成物を含み、第1のPVB含有組成物が第2のPVB含有組成物とは異なる可塑剤含量を有する、項目87の方法。
【0170】
[0180]項目99.PVB供給組成物が、第1のPVB含有組成物及び第2のPVB含有組成物を含む少なくとも2種の異なるPVB含有組成物を含み、第1のPVB含有組成物が第2のPVB含有組成物とは異なる可塑剤の種類を有する、項目87の方法。
【0171】
[0181]項目100.PVB供給組成物が、第1のPVB含有組成物及び第2のPVB含有組成物を含む少なくとも2種の異なるPVB含有組成物を含み、第1のPVB含有組成物が第2のPVB含有組成物とは異なる分子量を有する、項目87の方法。
【0172】
[0182]項目101.PVB供給組成物が、第1のPVB含有組成物及び第2のPVB含有組成物を含む少なくとも2種の異なるPVB含有組成物を含み、第1のPVB含有組成物が第2のPVB含有組成物とは異なる添加剤を有し、添加剤が、以下:接着制御剤、UV安定剤、抗酸化剤、IR吸収剤、及び着色剤のうちの1種又は複数から選択される、項目87の方法。
【0173】
[0183]項目102.PVB樹脂を0.772mmのPVB層へと形成し、2.3mmの2枚のガラスの間に配置して合わせガラスパネルを形成する場合、合わせガラスパネルが5%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、又は0.25%未満のヘイズを有する、項目87の方法。
【0174】
[0184]項目103.溶媒がアルコールを含む、項目87の方法。
【0175】
[0185]項目104.触媒が硫酸を含む、項目87の方法。
【0176】
[0186]項目105.ステップ(a)の前記組み合わせ及び加熱が、PVB供給組成物、溶媒、触媒、及び/又はブチルアルデヒドをかき混ぜることを含む、項目87の方法。
【0177】
[0187]項目106.平衡化PVB含有組成物をろ過して固形物を除去するステップをさらに含む、項目87の方法。
【0178】
[0188]項目107.塩基を添加することによって平衡化PVB含有組成物を中和するステップであって、塩基が水酸化カリウムを含むステップをさらに含む、項目87の方法。
【0179】
[0189]項目108.PVB樹脂を乾燥するステップをさらに含む、項目87の方法。
【0180】
[0190]項目109.PVB樹脂を洗浄して塩不純物を除去するステップをさらに含む、項目87の方法。
【0181】
[0191]項目110.項目1~109のいずれかの方法によって形成された、リサイクルされたPVB。
【0182】
[0192]項目111.項目110のリサイクルされたPVBを含む樹脂層。
【0183】
[0193]項目112.項目111の樹脂層を含む中間層。
【0184】
[0194]項目113.第2の樹脂層をさらに含むか、又は樹脂層がコア層であり、中間層が第2の樹脂層及び第3の樹脂層をさらに含み、コア層が第2の樹脂層と第3の樹脂層の間にある、項目112の中間層。
【0185】
[0195]項目114.第1の基材、項目112又は113の中間層、及び第2の基材を含む積層体であって、中間層が第1の基材と第2の基材の間にある、積層体。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】