(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】自動二輪車用タイヤ
(51)【国際特許分類】
B60C 11/03 20060101AFI20241108BHJP
B60C 11/11 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
B60C11/03 E
B60C11/03 300C
B60C11/11 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525579
(86)(22)【出願日】2022-11-11
(85)【翻訳文提出日】2024-06-27
(86)【国際出願番号】 IB2022060876
(87)【国際公開番号】W WO2023099996
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】102021000030455
(32)【優先日】2021-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598164186
【氏名又は名称】ピレリ・タイヤ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】マリアーニ,マリオ
(72)【発明者】
【氏名】ボナッコルシ,ジュリアーノ
(72)【発明者】
【氏名】カサリ,アレッシオ
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131BB06
3D131BB12
3D131BC12
3D131BC13
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3D131EC12X
3D131EC15V
3D131EC15X
3D131EC16V
(57)【要約】
車両の車輪用のタイヤは、複数のブロックおよび溝を含むトレッドバンドを備え、複数のブロックおよび溝は、トレッドバンドにおいて、0.4~0.65に含まれる空隙/固体比を定め、タイヤの赤道面(X-X)に対して対称であるトレッドパターンを形成する。トレッドパターンは一対の周方向溝(20)を含み、一対の周方向溝(20)は、赤道面に対して両側に配置され、トレッドバンドの中央環状部分と、前記中央環状部分に対して両側に配置されたトレッドバンドの一対の側方環状部分とを画定する。トレッドバンドの中央環状部分は、複数の周方向に連続する中央ブロック(30、60)を備え、複数の周方向に連続する中央ブロック(30、60)は、赤道面にまたがって配置され、タイヤの半径方向断面最大幅の50%以上の最大幅を有する。中央ブロック(30、60)は、周方向に隣り合う中央ブロック(30、60)の周方向長さよりも短い周方向長さを有するそれぞれの中央横断方向溝(45、50)によって互いに分離されている。トレッドバンドの各側方環状部分は、それぞれの側方横断方向溝(85、95)によって互いに分離された、複数の周方向に連続する側方ブロック(80、90)を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のブロックおよび溝を含むトレッドバンド(8)を備える自動二輪車用タイヤ(1)であって、前記複数のブロックおよび溝が、前記トレッドバンド(8)において、0.4~0.65に含まれる空隙/固体比を定め、前記タイヤ(1)の赤道面(X-X)に対して対称であるトレッドパターンを形成し、前記トレッドパターンが、前記赤道面(X-X)に対して両側に配置された一対の周方向溝(20)を含み、前記一対の周方向溝(20)が、トレッドバンドの中央環状部分(A)と、前記中央環状部分(A)に対して両側に配置されたトレッドバンドの一対の側方環状部分(B)とを画定し、
- トレッドバンドの前記中央環状部分(A)が、前記赤道面(X-X)にまたがって配置されかつ前記タイヤ(1)の半径方向断面最大幅(C)の50%以上の最大幅(Lmax)を有する複数の連続する周方向中央ブロック(30、60)を備え、前記中央ブロック(30、60)が、周方向に隣り合う中央ブロック(30、60)の周方向長さ(T1、T2)よりも短い周方向長さ(I1、I2)を有するそれぞれの中央横断方向溝(45、50)によって互いに分離されており、
- トレッドバンドの各側方環状部分(B)が、それぞれの側方横断方向溝(85、95)によって互いに分離された、複数の周方向に連続する側方ブロック(80、90)を備える、自動二輪車用タイヤ(1)。
【請求項2】
中央横断方向溝(45、50)の前記周方向長さ(I1、I2)が、前記中央ブロック(30、60)の前記最大幅(Lmax)の20%~50%に含まれる、請求項1に記載のタイヤ(1)。
【請求項3】
中央横断方向溝(45、50)の前記周方向長さ(I1、I2)と、周方向に隣り合う中央ブロック(30、60)の前記周方向長さ(T1、T2)との比が、0.6~0.9に含まれる、請求項1または2に記載のタイヤ(1)。
【請求項4】
周方向に連続する2つの中央ブロック(30、60)が異なる周方向長さ(T1、T2)を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のタイヤ(1)。
【請求項5】
周方向に連続する2つの中央横断方向溝(45、50)が異なる周方向長さ(I1、I2)を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のタイヤ(1)。
【請求項6】
前記中央ブロック(30、60)が、前記側方ブロック(80、90)に対して周方向にずらされている、請求項1~5のいずれか一項に記載のタイヤ(1)。
【請求項7】
各中央ブロック(30、60)が、前記赤道面(X-X)に垂直な軸方向中央部分(32a、62a)と、前記赤道面(X-X)に直交する面に対して、90°とは異なる予め定められた角度で傾斜した両側の軸方向外側部分(32b、62b)とを有する、対向する周方向外側面(32、62)を備える、請求項1~6のいずれか一項に記載のタイヤ(1)。
【請求項8】
各中央ブロック(30、60)が、前記赤道面(X-X)に対して予め定められた角度で傾斜した両側の軸方向外側面を備える、請求項1~7のいずれか一項に記載のタイヤ(1)。
【請求項9】
中央ブロック(30)の前記軸方向外側面が、周方向に連続する中央ブロック(60)の前記軸方向外側面に対して、前記赤道面(X-X)に垂直な平面に関して反対側に傾斜している、請求項8に記載のタイヤ(1)。
【請求項10】
各側方ブロック(80、90)が、前記赤道面(X-X)に対して90°とは異なる予め定められた角度で傾斜した両側の周方向外側面を備える、請求項1~9のいずれか一項に記載のタイヤ(1)。
【請求項11】
前記側方環状部分(B)のそれぞれの側方ブロック(80、90)の少なくとも1つの第1の周方向外側先端を通る、前記赤道面(X-X)に垂直な平面が、中央ブロック(30、60)を横切り、前記側方ブロック(80、90)の少なくとも1つの第2の周方向外側先端を通る、前記赤道面に垂直な別の平面が、別の中央ブロック(30、60)を横切り、前記少なくとも1つの第2の周方向外側先端が、前記少なくとも1つの第1の先端とは周方向反対側に配置されている、請求項1~10のいずれか一項に記載のタイヤ(1)。
【請求項12】
各側方ブロック(80、90)が、前記赤道面(X-X)に対して傾斜した少なくとも1つの部分を有する軸方向内側面(83、93)を備える、請求項1~11のいずれか一項に記載のタイヤ(1)。
【請求項13】
前記側方ブロック(80)の少なくとも一部の前記少なくとも1つの傾斜部分(83a、83b)が、前記中央ブロック(30、60)の前記軸方向外側面(35、65)の少なくとも1つと実質的に平行である、請求項7または8に従属するときの請求項12に記載のタイヤ(1)。
【請求項14】
第1の複数の側方ブロック(80)の前記軸方向内側面が、第2の複数の側方ブロック(90)の前記軸方向内側面に対して軸方向により内側であり、前記第1の複数の側方ブロック(80)の各側方ブロック(80)が、前記第2の複数の側方ブロック(90)の2つの側方ブロック(90)の間に周方向に配置されている、請求項12または13に記載のタイヤ(1)。
【請求項15】
各周方向溝(20)がそれぞれの正弦波状の経路に沿って延在する、請求項1~14のいずれか一項に記載のタイヤ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動二輪車用タイヤに関する。
【0002】
本発明のタイヤは、「ビッグエンデューロ」(または「ビッグアドベンツーリング」または「デュアルパーパス」)自動二輪車の前輪および/または後輪に取り付けられることを意図している。これらの自動二輪車は、知られているように、アスファルト道路およびオフロードの両方を走行するように設計された、大きなピストン排気量、出力、および質量を有する自動二輪車である。このような自動二輪車は一般に、1000cm3以上のピストン排気量、100cv以上の出力、100Nm以上の最大トルク、および180Kg以上の質量を有する。
【0003】
「ビッグエンデューロ」自動二輪車の例としては、BMW(登録商標) GS 1300、KTM 1290Super Adventure R、およびHonda(登録商標) CRF1100L Africa Twinがある。
【0004】
このタイプの自動二輪車は、スーパースポーツにも進むスポーツツーリングに匹敵する、主に一般道路での使用から、単純な舗装道路よりもさらにより極端なオフロードでの使用、例えば、全地形サーキット、いわゆるダートトラック、または、河床、軟らかい地面、泥、砂、および様々な種類および困難さのある不整地を含むトラックでの走行のような使用まで、非常に広い使用範囲を有している。
【0005】
すべてのこれらのタイプの使用を満足させるために、市場では、明確に定められたタイプの使用、例えば、一般道路でのスポーツ走行、一般道路でのツーリング走行、未舗装路と組み合わさった行程、容易なオフロードと組み合わさった一般道路での走行、一般道路と組み合わさった極端なオフロード走行、にそれぞれ焦点を当てた異なるタイヤ製品が提供されている。
【0006】
典型的には、一般道路での走行と組み合わさった極端なオフロードでの使用に主に意図された「ビッグエンデューロ」自動二輪車用タイヤはM+Sと表示され、例えば、最高速度160Km/h(ETRTO速度記号Q)まで認められている。このようなタイヤは一般に、90~170(例えば、フロントタイヤでは90~120、リアタイヤでは130~170)に含まれる半径方向断面最大幅を有し、典型的には、約17インチ~約21インチ(例えば、フロントタイヤでは19~21インチ、リアタイヤでは17~18インチ)に含まれる取付径を有するホイールリムに取り付けられる。
【0007】
本発明のタイヤは、一般道路での使用に承認されたタイプであり、主にオフロードでの使用を意図している。
【背景技術】
【0008】
「ビッグエンデューロ」自動二輪車用タイヤは、周方向および横断方向の溝によって分離された複数のブロックによって画定されたトレッドパターンを有するトレッドバンドを備え、このようなブロックは、トレッドバンドの中央環状部分およびトレッドバンドの両側の環状ショルダー部分の両方に配置されている。このようなタイヤは典型的には、約0.4~約0.65に含まれる空隙/固体比を有する。
【発明の概要】
【0009】
本明細書を通して、および以下の特許請求の範囲において、特定の角度の特定の値に言及するとき、特記なければ、これらは絶対値であるとみなされ、すなわち基準の平面または方向に対して正の値および負の値の両方であるとみなされる。
【0010】
さらに、最小値~最大値に含まれる値の任意の範囲に言及するとき、反することが明記されない限り、前述の最小値および最大値は前述の範囲に含まれるものとみなされる。
【0011】
さらに、これらの範囲のすべては、記述された最小値と最大値の任意の組み合わせを含み、特に明記されていない場合でも、任意の中間の範囲を含む。
【0012】
明記されていない場合でも、いかなる数値も、例えば、参照分野に典型的な寸法公差を考慮に入れるために、記載されたものとわずかに異なる任意の数値も示すように、「約」という用語が前に付いているとみなされる。
【0013】
以下、次の定義が適用される。
【0014】
「エラストマー材料」という用語は、加硫可能な天然ポリマーまたは合成ポリマーと補強充填材とを含む材料を示すために使用され、室温においてこのような材料は、加硫された後、力によって変形させることができ、変形させる力を除去した後、迅速かつ力強く実質的に元の形状および大きさに戻ることができる(規格ASTM D1566-11 ゴムに関する標準用語の定義による)。
【0015】
「自動二輪車用タイヤ」という用語は、大きな曲率比(典型的には、0.20より大きい)を有し、コーナリング時に大きなキャンバー角を達成することができるタイヤを示すために使用される。
【0016】
「曲率比」という用語は、タイヤの断面において、トレッドバンドの半径方向最高点とタイヤの半径方向断面最大幅との間に含まれる距離(このような距離は「矢印」としても示されている)と、タイヤの最大幅との比を示すために使用される。
【0017】
「半径方向断面最大幅」または「最大弦長」という用語は、タイヤのプロファイルの最大幅、すなわちトレッドバンドのプロファイルの軸方向最も外側の2点を端として有する線分の大きさを示すために使用される。
【0018】
タイヤの「赤道面」という用語は、タイヤの回転軸線に垂直で、タイヤを対称的に2等分する平面を示すために使用される。
【0019】
「トレッドパターン」という用語は、タイヤの赤道面に垂直で、タイヤの最大直径に接する平面におけるトレッドバンドのすべての箇所(溝を含む)を表すために使用される。トレッドパターンは、溝によって分離された複数のブロックによって画定され、場合によっては凹部を含む。
【0020】
「ブロック」という用語は、溝によって境界を定められたトレッドバンドの部分を示すために使用される。ブロックがトレッドバンドの軸方向最も外側の部分に配置された場合、ブロックはトレッドバンドの軸方向最も外側の面によって軸方向に境界が定められ、軸方向内側の位置では少なくとも1つの溝によって境界が定められる。
【0021】
「溝」という用語は、ブロック部分の境界を定めるためにトレッドバンドに形成された窪みを示すために使用される。
【0022】
「凹部」という用語は、ブロックに形成され、溝の深さよりも浅い深さを有する溝を示すために使用される。
【0023】
角度、および/または直線量(距離、幅、長さ、振幅、軸方向および/または周方向部分など)、および/または表面の大きさは、上記で定義したようなトレッドパターンについて言及される。
【0024】
「幅」という用語は、赤道面に垂直な方向に沿って測定された寸法を示すために使用される。
【0025】
「周方向長さ」という用語は、赤道面上、または赤道面に平行な方向に沿って測定された寸法を示すために使用される。
【0026】
ブロックについて言及される「最大長さ」という用語は、赤道面に垂直な方向、または赤道面に平行な方向、もしくは赤道面上に沿って測定されたそれぞれブロックの軸方向または周方向の最も外側の2点間の距離を示す。
【0027】
「半径方向」および「軸方向」という用語、ならびに「半径方向内側/外側」および「軸方向内側/外側」という用語は、それぞれ、タイヤの赤道面に実質的に平行な方向、およびタイヤの赤道面に実質的に垂直な方向、すなわち、それぞれ、タイヤの回転軸線に実質的に垂直な方向、およびタイヤの回転軸線に実質的に平行な方向を指して使用される。
【0028】
「周方向の」および「周方向に」という用語は、タイヤの周方向に延びる方向、すなわちタイヤの転がり方向を指して使用され、タイヤの赤道面と一致する平面または実質的に平行な平面上の方向に相当する。
【0029】
タイヤ、またはトレッドバンドもしくはその一部の「周方向延長部」という用語は、タイヤ、またはトレッドバンドもしくはその一部の、半径方向最も外側の表面の、タイヤに接する平面上における平面延長部(extension in plan)を示すために使用される。
【0030】
「軸方向内側」および「軸方向外側」という用語は、参照要素に対して赤道面に近い位置および赤道面から遠い位置をそれぞれ示す。したがって、例えば、赤道面からブロックの第1の面の軸方向距離がブロックの第2の面の軸方向距離よりも短い場合、ブロックの第1の面はブロックの第2の面に対して軸方向内側である。同様に、赤道面からブロックの第1の面の軸方向距離がブロックの第2の面の軸方向距離よりも長い場合、ブロックの第1の面はブロックの第2の面に対して軸方向外側である。
【0031】
ブロックの箇所について言及される「周方向外側」という用語は、ブロックの他の箇所に対して、周方向に沿ってブロックの中心から遠いブロックの箇所の位置を示す。
【0032】
「実質的に軸方向」という用語は、タイヤの赤道面に対して、70°~90°に含まれる角度で傾斜した方向を示すために使用される。
【0033】
「実質的に周方向」という用語は、タイヤの赤道面に対して、0°~20°に含まれる角度を向く方向を示すために使用される。
【0034】
「周方向溝」という用語は、実質的に周方向に沿って延在する溝の少なくとも一部分を備える溝を示すために使用される。
【0035】
「横断方向溝」という用語は、実質的に軸方向に沿って延在する溝の少なくとも一部分を含む溝を示すために使用される。
【0036】
タイヤの赤道面に対する溝またはブロックまたはブロックの面(またはそのような面の一部分)の角度について言及するとき、そのような角度は、溝またはブロックまたはブロックの面(またはそのような面の一部分)の各点に対して、トレッドパターンの赤道面によって定められた方向から、そのような点を通る溝またはブロックに接する方向まで回転させることによって形成される、0°~90°の絶対値に含まれる角度とみなされる。自動二輪車の前輪に取り付けられるように意図されたタイヤの場合、前述の回転はタイヤの回転方向を向くベクトルから行われるとみなされ、自動二輪車の後輪に取り付けられるように意図されたタイヤの場合、前述の回転はタイヤの回転方向とは反対方向を向くベクトルから行われるとみなされる。基準平面が赤道面ではなく、赤道面に垂直な平面である場合、角度の値は赤道面を基準として測定された値の余角である。
【0037】
タイヤの赤道面と交差する溝またはブロックの周方向長さの測定値は、タイヤの赤道面で測られる。
【0038】
「実質的に平行」という用語は、完全に平行な状態だけでなく、完全な平行から10°以下の角度だけずれた状態も示す。
【0039】
「空隙/固体比」という用語は、タイヤのトレッドパターンの予め定められた環状部分(場合によってはトレッドバンド全体またはトレッドパターン全体)の溝の全表面と、トレッドパターンの予め定められた部分(場合によってはトレッドバンド全体またはトレッドパターン全体)の表面との比を示すために使用される。
【0040】
タイヤの「フットプリント」という用語は、タイヤがホイールリムに取り付けられ、予め定められた鉛直方向荷重がタイヤに作用したときに、地面または路面と接触するタイヤの部分を示すために使用される。
【0041】
以下では、ブロックの面またはその一部分もしくは一部は、そのような面の表面の少なくとも50%(またはそのような面の表面の少なくとも50%に等しい一部分もしくは一部)が、例えば赤道面のような基準面に対して傾斜している場合に、基準面に対して「傾斜している」と考えられる。傾斜した面(またはそのような面の一部分もしくは一部)は、必ずしも平坦である必要はなく、わずかに湾曲していてもよく、そのような湾曲部は、その任意の点において湾曲部に接する平面によって、またはそのような湾曲部の両端を含む平面によって置き換えることができる。ブロックの両側の周方向外側面を傾斜させた結果、ブロックの2つの両側の周方向外側の箇所を識別することができる。
【0042】
以下、2つのブロックの周方向中心点がタイヤの赤道面に垂直な同じ平面上にないとき、ブロックは別のブロックに対して「周方向にずらされている」と考えられる。
【0043】
トレッドバンド、特にトレッドパターンについて言及される「モジュール」という用語は、トレッドバンドの周方向延長部全体に沿って連続して同じように繰り返されるトレッドパターンの一部分を示すために使用される。モジュールは、同じパターン形状を保ちながら、異なる周方向長さを有することができる。
【0044】
本出願人は、すでに述べたように、非常に広い使用範囲を有する「ビッグエンデューロ」自動二輪車という自動二輪車のタイプについて検討している。
【0045】
本出願人は、「ビッグエンデューロ」自動二輪車は、その全使用範囲を最適な態様でカバーするためには、一般道路(主に高速での安定性、乾いた道路および濡れた道路でのロードホールディング、ハンドリング)およびオフロード(主にトラクション、制御性、および方向維持性)の両方で高い性能を可能にし、さらに何キロメートルもの走行が可能であるように構成されたタイヤを装着しなければならないことに気付いている。
【0046】
しかしながら、本出願人は、一方では一般道路での極端な性能、他方ではオフロードでの極端な性能を得ようとする、現在の、およびさらに一般的になっている傾向を考慮すると、前述の性能特性は、少なくとも部分的に互いに対照的であることを見出した。
【0047】
本出願人は、一般道路で高い性能を可能にするタイヤは、通常、オフロードでの性能には厳しい制限を受け、その逆もまた同様であることを実際気付いた。
【0048】
本出願人はまた、一般道路とオフロードでの使用を良好な妥協策でバランスをとるタイヤは、2つの環境(一般道路とオフロード)のいずれにおいても満足のいく極端な性能を得ることができないことに気付いた。
【0049】
本出願人は、最近、市場が、「ビッグエンデューロ」自動二輪車用の多くのタイプのタイヤを提供し、そのようなタイプのそれぞれが、自動二輪車の特定の用途に焦点を当てることによって、顧客の要求と一致したより専門的な解決策に移行していることに気付いた。
【0050】
したがって、本出願人は、主に一般道路での使用に適した「ビッグエンデューロ」自動二輪車用タイヤ、および、主にオフロードでの使用に適した「ビッグエンデューロ」自動二輪車用タイヤを提案している。
【0051】
主に一般道路で使用するためのタイヤは、高速での安定性、乾いた道路および濡れた道路でのロードホールディング、ハンドリング、燃費、濡れた道路でのトラクションおよび制動、アスファルト路面での走行時の快適性および標準的な摩耗に関する性能を最大化するように作られている。このようなタイヤは、年間を通じてあらゆる気候条件で使用されることが多く、例えば濡れた路面のようなグリップの低い路面での高い信頼性および性能も可能とならなければならない。
【0052】
一方、主にオフロードで使用されるタイヤは、極端なオフロードでの使用であっても、高い駆動トルクと制動トルクとを効果的に地面に伝えることができるように、荒れた、滑りやすい、および/または不規則な地形(例えば砂、泥、砂利)におけるグリップ、トラクション、制御性、および方向維持性に関する性能を最大化するように作られている。このようなタイヤでまた、濡れた地形で前述の性能を可能にしなければならない。
【0053】
本出願人は、主にオフロードでの使用のために設計された「ビッグエンデューロ」自動二輪車用のタイプのタイヤに注目している。
【0054】
このようなタイヤは、主に、オフロードトラックでの性能を求めるユーザ、およびオフロードトラックへの/オフロードトラックからの行程に限定される一般道路での使用を考えているユーザによって選ばれる。
【0055】
本出願人は、優れたオフロード性能を達成することができ、オフロードトラックへの/オフロードトラックからの単純な行程よりもさらに長くより複雑な一般道路の行程を、特に濡れた路面、したがってグリップが特に重要になるところを、ユーザが安全で快適な状態で走ることができるのに適した一般道路での挙動を有するタイヤを作ることを考えた。
【0056】
本出願人は、オフロードでの挙動を犠牲にすることなく前述の一般道路での挙動を得るためには、タイヤが直進およびカーブ(左および右へのカーブの両方)において転がっているとき、タイヤのフットプリントには、地面との望ましいグリップ状態を得るのに十分な量の、地面と接触するブロックおよび/またはブロックの部分があり、地面をグリップする多くの前面を提供し、オフロードトラックでの泥や砂(またはより一般的には柔らかい土)、および濡れた路面上の水を即座に排出することを可能にするのに十分な量の溝があるように、ブロックと溝との相互の配置および大きさを有するトレッドパターンを提供することが望ましいと気付いた。
【0057】
本出願人は、タイヤの赤道面に対して対称であり、赤道面に対して両側に配置された2つの周方向溝の間に画定された中央環状部分を備え、中央環状部分が、現在市販されている同じタイプのタイヤの中央環状部分よりも広い幅、特にタイヤの半径方向断面最大幅の50%以上の幅を有する複数のブロックと、周方向に隣り合う中央ブロックの周方向長さよりも短い周方向長さを有する複数の横断方向溝とを備える、トレッドパターンを提供することによって、これらすべてが可能であるに気付いた。
【0058】
本出願人は、上記のようにブロックと溝とを相互に配置することにより、地面との接触圧力の分布を最適化することができ、フットプリント全体にわたって接触圧力がより均等になり、また、上記のようなブロックの大きさにより、ドリフト剛性を上げることができ、乾いた路面および濡れた路面でのグリップおよび運転安定性のすべての利点が得られ、また、オフロードトラックの典型である柔らかい地形での望ましいロードホールディングも確実になることを実際信じている。さらに、赤道面に対してトレッドバンドの両側に周方向溝を設けることによって、直線走行時および左または右に曲がっているときの両方で、オフロードトラックでは泥または砂を、濡れた路面では水を即座に排出することができ、したがって、タイヤはトレッドパターンの対称性のおかげで、左に曲がるときと右に曲がるときで実質的に同じ挙動を有する。
【0059】
本出願人は、このようなトレッドパターンによって、オフロード性能、特にトラクションに関して予想外の改善も得られることを見出した。
【0060】
本出願人によれば、オフロードにおけるトラクションの予想外の改善は、トレッドバンドの中央部分に設けられたブロックの周方向長さおよび横断方向溝の周方向長さ、ならびにそのようなブロックの軸方向大きさが、オフロードトラックに典型的な柔らかい地形における接着効果を向上させるが、横断方向溝が土でしっかりと満たされることを回避するようなものであるという事実に少なくとも部分的に起因することができる。
【0061】
本発明は、複数のブロックおよび溝を含むトレッドバンドを備える自動二輪車用タイヤに関する。
【0062】
好ましくは、トレッドバンドは、トレッドバンドにおいて、0.4~0.65に含まれる空隙/固体比を定める複数のブロックおよび溝を含む。
【0063】
好ましくは、ブロックおよび溝は、タイヤの赤道面に対して対称であるトレッドパターンを形成する。
【0064】
好ましくは、トレッドパターンは、赤道面に対して両側に配置され、トレッドバンドの中央環状部分と、前記中央環状部分に対して両側に配置されたトレッドバンドの一対の側方環状部分とを画定する一対の周方向溝を含む。
【0065】
好ましくは、トレッドバンドの中央環状部分は、赤道面にまたがって周方向に配置された複数の連続する中央ブロックを備える。
【0066】
好ましくは、中央ブロックは、タイヤの半径方向断面最大幅の50%以上の最大幅を有する。
【0067】
好ましくは、中央ブロックは、それぞれの中央横断方向溝によって互いに分離されている。
【0068】
好ましくは、このような中央横断方向溝は、周方向に隣り合う中央ブロックの周方向長さよりも短い周方向長さを有する。
【0069】
好ましくは、トレッドバンドの各側方環状部分は、それぞれの側方横断方向溝によって互いに分離された、複数の周方向に連続する側方ブロックを備える。
【0070】
本出願人は、上記に従って作られたトレッドパターンによって、主にオフロードでの使用に意図された「ビッグエンデューロ」自動二輪車用タイヤが、市販されているタイヤによって今日提供されている性能に対して、優れたオフロード性能を一般道路でのより良い挙動と組み合わせることができることを見出した。
【0071】
本発明は、以下に説明する好ましい特徴の少なくとも1つを有することができる。
【0072】
好ましくは、空隙/固体比は0.5以上である。
【0073】
好ましくは、空隙/固体比は0.6以下である。
【0074】
好ましい実施形態では、空隙/固体比は0.5~0.6に含まれ、例えば、サイズ170/60/R17のリアタイヤでは0.51に等しく、サイズ150/70/R18のリアタイヤでは0.56に等しい。
【0075】
本出願人は、前述の空隙/固体比の値によって、一般の道路で同じ性能を維持しながら、タイヤのオフロード性能を最大化することができることを見出した。
【0076】
好ましくは、中央横断方向溝の周方向長さは、中央ブロックの最大幅の20%以上であり、例えば、サイズ170/60/R17のリアタイヤでは21%以上、サイズ150/70/R18のリアタイヤでは25%以上である。
【0077】
好ましくは、中央横断方向溝の周方向長さは中央ブロックの最大幅の50%以下であり、例えば、サイズ170/60/R17のリアタイヤでは34%以下、サイズ150/70/R18のリアタイヤでは41%以下である。
【0078】
好ましい実施形態では、中央横断方向溝の周方向長さは中央ブロックの最大幅の20%~50%に含まれ、例えば、サイズ170/60/R17のリアタイヤでは21%~34%、サイズ150/70/R18のリアタイヤでは25%~41%に含まれる。
【0079】
本出願人は、ブロックの大きさが同じであっても、オフロードトラックの地面にブロックが食い込む能力は、様々なブロックを分離する横断方向溝の周方向長さが長くなるにつれて増大することに気付き、前述のパーセンテージの値によって、オフロード性能に有利な、このような食い込む能力を最適化することができることを見出した。
【0080】
好ましくは、中央ブロックの最大幅は95mm以上である。
【0081】
好ましくは、中央ブロックの最大幅は120mm以下である。
【0082】
好ましい実施形態では、中央ブロックの最大幅は95mm~120mmに含まれ、例えば、サイズ170/60/R17のリアタイヤでは104.5mmに等しく、サイズ150/70/R18のリアタイヤでは100.5mmに等しい。
【0083】
好ましくは、中央横断方向溝の周方向長さと、周方向に隣り合う中央ブロックの周方向長さとの比は0.6以上である。
【0084】
好ましくは、前記比は0.9以下である。
【0085】
好ましくは、前記比は0.6~0.9に含まれ、より好ましくは、サイズ170/60/R17のリアタイヤでは0.6~0.8、サイズ150/70/R18のリアタイヤでは0.7~0.9に含まれる。
【0086】
例えば、前記比は、サイズ170/60/R17のリアタイヤでは0.65に等しく、サイズ150/70/R18のリアタイヤでは0.82に等しい。
【0087】
好ましくは、周方向に連続する2つの中央ブロックは異なる周方向長さを有する。
【0088】
好ましくは、第1の中央ブロックは、前記周方向長さとタイヤの周方向延長部との比が0.013以上となるような周方向長さを有する。
【0089】
好ましくは、前記比は0.018以下である。
【0090】
好ましい実施形態では、前記比は0.013~0.018に含まれ、例えば、サイズ170/60/R17のリアタイヤでは0.017に等しく、サイズ150/70/R18のリアタイヤでは0.015に等しい。
【0091】
好ましくは、前記第1の中央ブロックの周方向長さは28mm以上である。
【0092】
好ましくは、前記第1の中央ブロックの周方向長さは36mm以下である。
【0093】
好ましい実施形態では、前記第1の中央ブロックの周方向長さは28mm~36mmに含まれ、例えば、サイズ170/60/R17のリアタイヤでは34.3mmに等しく、サイズ150/70/R18のリアタイヤでは30.5mmに等しい。
【0094】
好ましくは、第2の中央ブロックは、前記周方向長さとタイヤの周方向延長部との比が0.017より大きくなるような周方向長さを有する。
【0095】
好ましくは、前記比は0.022より小さい。
【0096】
好ましい実施形態では、前記比は0.017~0.022に含まれ、例えば、サイズ170/60/R17のリアタイヤでは0.021に等しく、サイズ150/70/R18のリアタイヤでは0.019に等しい。
【0097】
好ましくは、前記第2の中央ブロックの周方向長さは35mm以上である。
【0098】
好ましくは、前記第2の中央ブロックの周方向長さは44mm以下である。
【0099】
好ましい実施形態では、前記第2の中央ブロックの周方向長さは35mm~44mmに含まれ、例えば、サイズ170/60/R17のリアタイヤでは42.2mmに等しく、サイズ150/70/R18のリアタイヤでは37.9mmに等しい。
【0100】
好ましくは、前記第2の中央ブロックは、第1の中央ブロックに周方向に連続している。
【0101】
好ましくは、周方向に連続する2つの中央横断方向溝は、異なる周方向の長さを有する。
【0102】
好ましくは、第1の中央横断方向溝は、前記周方向長さとタイヤの周方向延長部との比が0.008以上となるような周方向長さを有する。
【0103】
好ましくは、前記比は0.015以下である。
【0104】
好ましい実施形態では、前記比は0.008~0.014に含まれ、例えば、サイズ170/60/R17のリアタイヤでは0.011に等しく、サイズ150/70/R18のリアタイヤでは0.012に等しい。
【0105】
好ましくは、前記第1の中央横断方向溝の周方向長さは18mm以上、より好ましくは21mm以上である。
【0106】
好ましくは、前記第1の中央横断方向溝の周方向長さは30mm以下、より好ましくは26mm以下である。
【0107】
好ましい実施形態では、前記第1の中央横断方向溝の周方向長さは、18mm~30mm、好ましくは21mm~26mmに含まれ、例えば、サイズ170/60/R17のリアタイヤでは22.3mmに等しく、サイズ150/70/R18のリアタイヤでは25mmに等しい。
【0108】
好ましくは、第2の中央横断方向溝は、前記周方向長さとタイヤの周方向延長部との比が0.011以上となるような周方向長さを有する。
【0109】
好ましくは、前記比は0.018以下である。
【0110】
好ましい実施形態では、前記比は0.011~0.018に含まれ、例えば、サイズ170/60/R17のリアタイヤでは0.013に等しく、サイズ150/70/R18のリアタイヤでは0.015に等しい。
【0111】
好ましくは、前記第2の中央横断方向溝の周方向長さは23mm以上、より好ましくは26mm以上である。
【0112】
好ましくは、前記第2の中央横断方向溝の周方向長さは35mm以下、より好ましくは32mm以下である。
【0113】
好ましい実施形態では、前記第2の中央横断方向溝の周方向長さは、23mm~35mm、好ましくは26mm~32mmに含まれ、例えば、サイズ170/60/R17のリアタイヤでは27.5mmに等しく、サイズ150/70/R18のリアタイヤでは30.9mmに等しい。
【0114】
好ましくは、前記第2の中央横断方向溝は、第1の中央横断方向溝に周方向に連続している。
【0115】
好ましくは、トレッドパターンは複数のモジュールを備え、各モジュールは少なくとも2つの中央ブロックおよび少なくとも2つの中央横断方向溝を備え、後者のそれぞれは2つのそれぞれの中央ブロックの間に配置される。
【0116】
特に好ましい実施形態では、各モジュールは、前記第1の中央ブロックのうちの1つと、前記第2の中央ブロックのうちの1つとを備える。
【0117】
代替の実施形態では、各モジュールは、前記第1の中央ブロックのうちの2つと前記第2の中央ブロックのうちの1つとを備え、または前記第1の中央ブロックのうちの1つと前記第2の中央ブロックのうちの2つとを備え、2つの第1の中央ブロックおよび2つの第2の中央ブロックとは周方向に連続している。
【0118】
好ましくは、中央ブロックは側方ブロックに対して周方向にずらされている。
【0119】
この配置によって、直線走行時、および、例えばカーブを走行するためにタイヤが横方向に傾斜しているときの両方で、多くのブロックを地面と接触させることができ、一方、タイヤの様々な走行状態において連続的で可能な限り均一な地面へのグリップと、地面とフットプリントの最も応力のかかる様々な領域との間での横方向および長手方向の応力の効果的な伝達とが確実になる。特に、本出願人は、ドリフトによる横方向の応力、およびトラクションによる長手方向の応力は、フットプリントの出口前部で最大値に達するが、キャンバーによる横方向の応力は、フットプリントの中央部で最大値に達することを考慮した。前述のずらされた配置によって、本出願人は、走行中にタイヤが地面に対してとるすべての位置において、フットプリントの出口前部とフットプリントの中央部の両方に係合するブロックが存在することを確実にした。これらはすべて、特に一般路面での性能に有利になる。
【0120】
好ましくは、各中央ブロックは、赤道面に垂直な軸方向中央部分を有する、対向する周方向外側面を備える。
【0121】
好ましくは、前記軸方向中央部分は、そのような幅とタイヤの半径方向断面最大幅との比が0.25以上となるような幅を有する。
【0122】
好ましくは、前述の比は0.35以下である。
【0123】
好ましくは、前述の比は0.25~0.35に含まれ、例えば0.30に等しい。
【0124】
好ましくは、前記軸方向中央部分の幅は50mm以上であり、例えば、サイズ170/60/R17のリアタイヤでは55mmに等しく、サイズ150/70/R18のリアタイヤでは52mmに等しい。
【0125】
好ましくは、前記軸方向中央部分の幅は65mm以下であり、例えば、サイズ170/60/R17のリアタイヤでは60mmに等しく、サイズ150/70/R18のリアタイヤでは56mmに等しい。
【0126】
好ましい実施形態では、前記軸方向中央部分の幅は、50mm~65mmに含まれる。
【0127】
好ましくは、第1の複数の中央ブロックの対向する周方向外側面の軸方向中央部分は、異なる幅を有する。例えば、サイズ170/60/R17のリアタイヤでは、前記ブロックの第1の周方向外側面の軸方向中央部分の幅は55mmに等しく、前記ブロックの他の周方向外側面の軸方向中央部分の幅は60mmに等しく、一方、サイズ150/70/R18のリアタイヤでは、前記ブロックの第1の周方向外側面の軸方向中央部分の幅は52mmに等しく、前記ブロックの他の周方向外側面の軸方向中央部分の幅は56mmに等しい。
【0128】
好ましくは、前述の第1の複数の中央ブロックの対向する周方向外側面の前述の第1の面は、タイヤのフットプリントにおける中央ブロックの入口面であり、前述の第1の複数の中央ブロックの対向する周方向外側面の前述の他の面は、タイヤのフットプリントにおける中央ブロックの出口面である。
【0129】
好ましくは、第2の複数の中央ブロックの対向する周方向外側面の軸方向中央部分は、等しい幅を有し、例えば、サイズ170/60/R17のリアタイヤでは60mmに等しく、サイズ150/70/R18のリアタイヤでは56mmに等しい。
【0130】
好ましくは、前記第1の複数の中央ブロックの各ブロックは、前記第2の複数の中央ブロックの2つのブロックの間に周方向に挟まれている。
【0131】
好ましくは、前記側方環状部分のそれぞれの側方ブロックの少なくとも第1の周方向外側の点を通る、赤道面に垂直な平面は、中央ブロックを横切る。
【0132】
より好ましくは、前述の側方ブロックに属し、前記少なくとも第1の点に対して周方向反対側に配置された少なくとも第2の周方向外側の点を通る、赤道面に垂直な別の平面は、別の中央ブロックを横切るか、または中央横断方向溝を横切り、さらにより好ましくは、前記他の中央ブロックを横切る。
【0133】
このように、タイヤの各側にある各中央横断方向溝の出口は、それぞれの側方ブロックによって遮られる。
【0134】
好ましくは、前記対向する周方向外側面は、前記軸方向中央部分に対して両側に配置された軸方向外側部分を備える。
【0135】
好ましくは、前記軸方向外側部分は、赤道面に垂直な面に対して90°とは異なる予め定められた角度で傾斜している。
【0136】
好ましくは、前記角度は50°以上、より好ましくは55°以上、さらにより好ましくは60°以上である。
【0137】
好ましくは、前記角度は89°以下、より好ましくは85°以下、さらにより好ましくは80°以下である。
【0138】
好ましい実施形態では、前記角度は50°~89°、より好ましくは55°~85°、さらにより好ましくは60°~80°に含まれ、例えば75°に等しい。
【0139】
好ましくは、各中央ブロックの第1の周方向外側面の各軸方向外側部分は、同じ中央ブロックの対向する周方向外側面の軸方向外側部分と実質的に平行である。
【0140】
好ましくは、赤道面に対してトレッドバンドの同じ側に配置された前述の軸方向外側部分のすべては、互いに実質的に平行である。
【0141】
好ましくは、各中央ブロックは、赤道面に対して予め定められた角度で傾斜した両側の軸方向外側面を備える。
【0142】
好ましくは、前記角度は5°以上である。
【0143】
好ましくは、前記角度は20°以下である。
【0144】
好ましい実施形態では、前記角度は5°~20°に含まれ、例えば15°に等しい。
【0145】
好ましくは、中央ブロックの軸方向外側面は、周方向に連続する中央ブロックの軸方向外側面に対して、赤道面に垂直な面に関して反対側に傾斜している。
【0146】
好ましくは、各側方ブロックは、赤道面に対して90°とは異なる予め定められた角度で傾斜した対向する周方向外側面を備える。
【0147】
好ましくは、前記角度は45°以上、より好ましくは55°以上である。
【0148】
好ましくは、前記角度は80°以下、より好ましくは70°以下である。
【0149】
好ましい実施形態では、前記角度は45°~80°、好ましくは55°~70°に含まれ、例えば60°または65°に等しい。
【0150】
好ましくは、各側方ブロックは、赤道面に対して同じまたは異なる傾斜を有する対向する周方向外側面を備える。
【0151】
好ましくは、各側方ブロックは、赤道面に対して傾斜した少なくとも一部を有する軸方向内側面を備える。
【0152】
好ましくは、側方ブロックの少なくとも一部の傾斜部分は、前記中央ブロックの前記軸方向外側面の少なくとも1つと実質的に平行である。
【0153】
好ましくは、第1の複数の側方ブロックの軸方向内側面は、第2の複数の側方ブロックの軸方向内側面に対して軸方向内側にある。
【0154】
好ましくは、第1の複数の側方ブロックの各側方ブロックは、第2の複数の側方ブロックの2つの側方ブロックの間に周方向に挟まれている。
【0155】
このように、各周方向溝は、それぞれのジグザグ経路または実質的に正弦波の経路に沿って延在している。
【0156】
特に好ましい実施形態では、周方向溝は、それぞれの実質的に正弦波状の経路に沿って延在している。
【0157】
これにより、排出される物質(例えば、オフロードでは泥または砂、一般道路では水)の流れが、タイヤが転がっている間、ブロックの周方向外側面の部分によって遮られることがなく、その結果、不連続のジグザグ配置よりも、そのような物質のより連続的で規則的な排出が得られる。さらに、フットプリントにおいて、常に中央ブロックおよび側方ブロックの2つの方向の変形があり、それによって、ブロックを自然の地形により広く適応させることができ、オフロードおよび一般道路での横方向のグリップと方向安定性の利点が得られる。
【0158】
好ましくは、このような実質的に正弦波状の経路のそれぞれは、2つの両側の母線の間に定められ、これらの母線のそれぞれは、周方向に沿って、すべての単一のモジュール内で、第1の中央ブロックの軸方向外側面または第1の側方ブロックの軸方向内側面と、第1の中央ブロックに周方向に隣り合う第1の中央横断方向溝の実質的に周方向部分、または第1の側方ブロックに周方向に隣り合う第1の側方横断方向溝の実質的に周方向部分と、第1の中央ブロックに周方向に隣り合う第2の中央ブロックの軸方向外側面、または第1の側方ブロックに周方向に隣り合う第2の側方横断方向溝の実質的に周方向部分と、第2の中央ブロックに周方向に隣り合う第2の中央横断方向溝の実質的に周方向部分、または第1の側方ブロックに周方向に連続する第2の側方ブロックの軸方向内側面とを連続して含む。
【0159】
正弦波の構成はまた、中央ブロックの軸方向外側面の傾斜と、側方ブロックの軸方向内側面の少なくとも部分的な傾斜との結果でもある。
【0160】
好ましくは、各周方向溝は、中央ブロックと側方ブロックとの間に軸方向に挟まれたその領域において、タイヤの半径方向断面最大幅の6%以上の幅を有する。
【0161】
好ましくは、前記幅は、タイヤの半径方向断面最大幅の10%以下である。
【0162】
好ましい実施形態では、前記幅はタイヤの半径方向断面最大幅の6%~10%に含まれ、例えば8%に等しい。
【0163】
本発明のタイヤのさらなる特性および利点は、添付の図面を参照してなされるその好ましい実施形態の以下の詳細な説明からより明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0164】
【
図1】本発明によるリアタイヤの半径方向断面の概略図であり、図示を簡単にするために、トレッドバンドは溝およびブロックなしで示されている。
【
図4】
図2のタイヤのトレッドパターンの一部分の概略図である。
【
図5】いくつかの寸法参照符号を追加した、
図4のトレッドパターンの部分の概略図である。
【
図7】前述の屋内比較試験に関する別のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0165】
図1および
図2を参照すると、参照数字1は、本発明による自動二輪車用タイヤを示している。
【0166】
タイヤ1はリアタイヤであるが、以下の説明は、リアタイヤについて特に言及するときを除いて、フロントタイヤにも同じく適用される。
【0167】
タイヤ1は、大きなピストン排気量(例えば1000cm3に等しい)、出力(例えば100cvに等しい)、および例えば200Kg以上の乗車形態での自動二輪車の質量の「ビッグエンデューロ」と規定された自動二輪車用タイヤである。
【0168】
タイヤ1は一般に、90~170(例えば、フロントタイヤの場合には90~120、リアタイヤの場合には130~170)に含まれる半径方向断面最大幅を有し、典型的には、約17インチ~約21インチ(例えば、フロントタイヤの場合には19~21インチ、リアタイヤの場合には17~18インチ)に含まれる取付径を有するホイールリムに取り付けられるように構成されている。
【0169】
赤道面「X-X」(
図2および
図3)および回転軸線R(
図3)がタイヤ1に定められる。タイヤ1の回転方向に従って配置され、したがって赤道面X-Xに平行な周方向、ならびに赤道面「X-X」に垂直な、および/または回転軸線Rに平行な軸方向も定められる。
【0170】
タイヤ1は、図示していない繊維状の織物材料から作られた複数の補強コードを組み込んだエラストマー材料のシートからなる少なくとも1つのカーカスプライ3によって形成されたカーカス構造2を備える。
【0171】
図2のタイヤでは、カーカス構造2はラジアルタイプであり、すなわち、前記少なくとも1つのカーカス層3の補強コードは、互いに実質的に平行で半径方向に配置され、すなわち、周方向に対して70°~110°、より好ましくは80°~100°に含まれる角度に従って配置されている。
【0172】
図示していない実施形態では、カーカス構造は、互いに半径方向に並置された少なくとも2つのカーカスプライを備える。この場合、補強コードは、各カーカスプライにおいて実質的に互いに平行であり、各カーカスプライにおいてタイヤの赤道面に対して傾斜した方向で、半径方向に隣り合うカーカスプライ3(交差プライを有するカーカス)のコードに対して対向方向に向けられている。
【0173】
カーカス構造2は、典型的には、その内壁を、膨らまされたときにタイヤ1自体の気密封止を確実にするように構成された、実質的にエラストマー材料の気密層からなるシール層100、いわゆる「ライナー」によって被覆されている。
【0174】
(各)カーカスプライ3は、実質的にトロイダル形態に従って形づくられ、軸方向に対向する側縁3aを有し、側縁3aは、タイヤ1を、対応する取付けリム(図示せず)に保持するように構成されたそれぞれの環状補強構造4の周りに折り返されている。環状補強構造4は、典型的には、「ビードコア」と呼ばれる。
【0175】
ビードコア4の外周縁に、テーパ状のエラストマー充填材5が付与され、それぞれのカーカスプライ3と、対応するカーカスプライ3の折り返された側縁3aとの間に画定された空間を占める。
【0176】
さらなる代替の実施形態では、図示していないが、各カーカスプライは対向する側縁を有し、それらは折り返すことなく、2つの金属環状インサートを備えた特定の環状補強構造と関連付けられている。
【0177】
ビードコア4およびエラストマー充填材5を備えるタイヤ1の領域は、いわゆるビード9を形成し、ビード9は、図示していないリムにタイヤ1を固定するように意図されている。
【0178】
好ましくは、カーカス補強構造は、カーカス構造に対して半径方向外側位置に設けることができる(ラジアルカーカスの場合、および交差プライを有するカーカスの場合の両方)。このようなカーカス補強構造は、半径方向最も外側のカーカスプライに対して半径方向外側位置に配置されたクラウンプライと、半径方向最も外側のカーカスプライの少なくとも1つのクラウン部分とを備える。クラウンプライは、互いに平行に配置された補強要素を備える。クラウンプライは、クラウンプライの補強要素が赤道面を基準として半径方向最も外側のカーカスプライの補強要素とは反対の角度を有するように、半径方向最も外側のカーカスプライ上に配置される。任意選択で、カーカス補強構造はまた、クラウンプライに対して両側に配置され、それぞれのビードとは関連しない2つのプライを備える。
【0179】
その実施形態では、(各)カーカスプライ3は、前述のコードで補強されたエラストマー材料の複数の片を結合させることによって作られる。
【0180】
典型的にはゴム被覆された織物または金属コードで形成された少なくとも1つのベルト層6aを備えるベルト構造6が、カーカス構造2に、その半径方向外側位置で周方向に貼り付けられる。
【0181】
好ましくは、ベルト構造6はゼロ度タイプであり、すなわち、ベルト層6aは、複数の巻きを形成するように実質的に平行で並列に配置されたコードによって作られる。このような巻きの向きは実質的に周方向(典型的には0°~5°の間の角度)であり、このような方向は、通常、タイヤ1の周方向に対する配置を基準として「ゼロ度」と呼ばれる。
【0182】
好ましくは、典型的に「ゼロ度」と呼ばれるベルト層6aは、単一コードの、、または軸方向に隣り合うコードを備えるゴム被覆の布のバンドの、軸方向に隣り合う巻きを備えることができる。
【0183】
ゼロ度ベルト層6aのコードは、典型的には、高炭素含有量を有する鋼線、すなわち少なくとも0.6~0.7%の炭素含有量を有する鋼線によって作られた金属コードである。好ましくは、このような金属コードは高い伸び(HE:high elongation)を有する。
【0184】
ベルト構造6とカーカス構造2との間の接着性を向上させるために、エラストマー材料から作られた接着層7を前述の2つの構造の間に挟むことができる。
【0185】
異なる実施形態では、ベルト構造は2つ以上の半径方向に並置されたベルト層を備え、各層は互いに平行に配置されたコードで補強されたエラストマー材料からなる。これらの層は、第1のベルト層のコードがタイヤの赤道面に対して斜めに向けられ、一方、半径方向に隣り合うベルト層のコードもまた斜めに向けられているが、第1の層のコードに対して交差する(いわゆる「交差ベルト」)ように配置され、他のベルト層があれば、それらに対しても同様である。交差ベルトは、典型的には、テキスタイルコードを有する。
【0186】
トレッドバンド8は、ベルト構造6上に周方向に並置されている。典型的には、タイヤ1の加硫ステップと同時に行われる成形作業の後、トレッドバンド8に周方向および横断方向の溝が形成され、これらの溝は、本明細書で以下に詳述する形状に従って、複数のブロックの境界を定めるように配置される。
【0187】
好ましい実施形態によれば、トレッドバンド8は(タイヤの他の構成要素と同様に)、上記で定義したようなエラストマー材料によって作られる。
【0188】
タイヤ1はまた、前記カーカス構造2の両側に横方向に施された一対のサイドウォール10を備えることができる。
【0189】
図1を参照すると、タイヤ1は、赤道面「X-X」において、トレッドバンド8の頂部と、タイヤ1のビード9を通る基準線「r」によって特定される取付径との間で測定される断面高さ「H」を有する。
【0190】
タイヤ1はまた、トレッドバンド8の横方向の両端部「E」間の距離によって定義される半径方向断面最大幅「C」と、タイヤ1の赤道面「X-X」において測定される、前記横方向の両端部「E」を通る線からのトレッドバンド8の頂部の距離によって定義される矢印「f」とを有する。トレッドバンド8の横方向の両端部「E」は、エッジを有して形成することができる。
【0191】
タイヤ1は、矢印「f」と前述の半径方向断面最大幅「C」との比によって定義される「曲率比」(f/C)を有する。
【0192】
タイヤ1は、矢印「f」と断面高さ「H」との比で与えられる「全高に対する矢印」の比(f/H)を有する。
【0193】
示された参照符号(「H」、「X-X」、「r」、「C」、「f」、「E」)は、
図1ではリアタイヤに対して示したが、フロントタイヤに対しても同じである。
【0194】
好ましくは、タイヤ1の矢印「f」は約40mm~約60mmに含まれる。
【0195】
タイヤ1は、約0.25~約0.35に含まれる曲率比「f/C」、例えば約0.26に等しい曲率比「f/C」を有する。
【0196】
タイヤ1は、約0.40~約0.60に含まれる全高に対する矢印の比「f/H」、例えば約0.43に等しい「f/H」を有する。
【0197】
フロントタイヤの場合、矢印「f」は約35mm~約60mmに含まれ、曲率比「f/C」は約0.30~約0.40に含まれ、例えば0.38に等しい。
【0198】
フロントタイヤの場合もまた、全高に対する矢印の比「f/H」は約0.40~約0.60に含まれ、例えば約0.53に等しい。
【0199】
図2に示すように、本発明によるタイヤ1はブロックタイプであり、すなわち、互いに間隔をあけて配置された複数のブロックの境界を定める複数の横断方向および周方向の溝を備える。
【0200】
これらのブロックおよび溝は、0.4~0.65、好ましくは0.5~0.6に含まれる空隙/固体比、例えば、サイズ170/60/R17のリアタイヤの場合は0.51、サイズ150/70/R18のリアタイヤの場合は0.56に等しい空隙/固体比を有するトレッドパターンを画定する。
【0201】
図3~
図5を参照して以下にこれらのブロックおよび溝について説明する。
【0202】
図3は、
図2のタイヤ1の拡大部分の正面図であり、一方、
図4および
図5は、前述のタイヤ1のトレッドバンド8のトレッドパターンの一部分を示す。特に、
図4は、タイヤ1の周方向延長部全体に沿って周方向に繰り返されるステップモジュールPを示す。このようなモジュールは、
図5にも同じく再現されており、特に注目すべきいくつかの寸法参照符号も示されている。
図4および
図5は概略図であり、ブロックおよび溝の相互の正確な配置を必ずしも反映していないことに留意すべきである。
【0203】
図1~
図5に示すように、トレッドバンド8は赤道面X-Xに対して対称である。
【0204】
トレッドバンド8は、赤道面X-Xに対して両側に配置されかつタイヤ1の周方向延長部全体に沿って途切れることなく周方向に延在する2つの周方向溝20を備える。
【0205】
周方向溝20は、トレッドバンド8に、ブロック化された中央環状部分Aと、2つの両側のブロック化された側方環状部分Bとを画定する。
【0206】
中央環状部分Aは、赤道面X-Xにまたがって配置された複数の周方向に連続する中央ブロック30、60と、それぞれが、2つのそれぞれの周方向に連続する中央ブロック30、60の間に配置された複数の周方向に連続する中央横断方向溝45、50とを備える。
【0207】
タイヤ1の転がる方向に沿って見ると、各中央ブロック30は、2つの中央ブロック60の間、および中央横断方向溝45と中央横断方向溝50との間に挟まれている。同様に、各中央ブロック60は、2つの中央ブロック30の間、および中央横断方向溝50と中央横断方向溝45との間に挟まれている。
【0208】
各側方環状部分Bは、複数の周方向に連続するの側方ブロック80、90と、複数の周方向に連続する側方横断方向溝85、95とを備え、複数の側方横断方向溝85、95のそれぞれは、周方向に連続する2つの側方ブロック80、90の間に配置されている。
【0209】
タイヤ1の転がる方向に沿って見ると、各側方ブロック80は、2つの側方ブロック90の間、および側方横断方向溝85と側方横断方向溝95との間に挟まれている。同様に、各側方ブロック90は、2つの側方ブロック80の間、および側方横断方向溝95と側方横断方向溝85との間に挟まれている。
【0210】
好ましくは、中央ブロック30、60および側方ブロック80、90はすべて、中央横断方向溝45、50、側方溝85、95、および周方向溝20の底面から、中央ブロック30、60の頂面に垂直な方向に沿って測定される高さ(または深さ)を有する。
【0211】
好ましくは、
図1~
図5のようなリアタイヤ1に対しては、ブロック30、60の高さは約7mm~約11mmに含まれ、例えば約10mmに等しく、一方、フロントタイヤに対しては、ブロック30、60の高さは約5mm~約8.5mmに含まれ、例えば約7mmに等しい。
【0212】
図3に示すように、各中央ブロック30、60は、赤道面X-Xにまたがって配置されたそれぞれの周方向凹部31、61を備え、一方、側方ブロック80、90には凹部が設けられていない。
【0213】
好ましくは、周方向凹部31、61の高さは約4mm~約9mmに含まれ、例えば、リアタイヤでは約7mmに等しく、フロントタイヤでは約6mmに等しい。
【0214】
特に
図5を参照すると、すべての中央ブロック30、60は等しい最大幅Lmaxを有する。
【0215】
このような最大幅Lmaxは、タイヤ1の半径方向断面最大幅Cの50%以上であり、例えば半径方向断面最大幅Cの53%に等しい。
【0216】
いくつかの実施形態では、最大幅Lmaxは約95mm~約120mmに含まれ、例えば、サイズ170/60/R17のリアタイヤでは約104.5に等しく、サイズ150/70/R18のリアタイヤでは約100.5mmに等しい。
【0217】
本明細書に示す例示的な実施形態では、中央ブロック30は、中央ブロック60の周方向長さT2とは異なる周方向長さT1を有する。同様に、中央横断方向溝45は、中央横断方向溝50の周方向長さI2とは異なる周方向長さI1を有する。
【0218】
特に、周方向長さT1およびI1は、周方向長さT2およびI2よりも長い。
【0219】
より詳細には、各中央横断方向溝45、50の周方向長さI1、I2は、周方向に隣り合う中央ブロック30、60の周方向長さT1、T2よりも短い。
【0220】
好ましい実施形態では、任意の中央横断方向溝45、50の周方向長さI1、I2と、周方向に隣り合う中央ブロック30、60の周方向長さT1、T2との比は、サイズ170/60/R17のリアタイヤでは約0.6~約0.8に含まれ、例えば約0.6に等しく、サイズ150/70/R18のリアタイヤでは約0.7~約0.9に含まれ、例えば約0.82に等しい。
【0221】
好ましくは、任意の中央横断方向溝45、50の周方向長さI1、I2は、中央ブロック30、60の最大幅T1、T2の約20%~約50%に含まれ、例えば、サイズ170/60/R17のリアタイヤでは21%~34%に含まれ、サイズ150/70/R18のリアタイヤでは25%~41%に含まれる。
【0222】
好ましくは、中央ブロック30の周方向長さT1は、周方向長さT1とタイヤの周方向延長部との比が0.017~0.022に含まれるような長さであり、例えば、サイズ170/60/R17のリアタイヤでは0.021に等しく、サイズ150/70/R18のリアタイヤでは0.019に等しいような長さである。
【0223】
いくつかの実施形態では、中央ブロック30の周方向長さT1は、約35mm~約44mmに含まれ、例えば、サイズ170/60/R17のリアタイヤでは約42.2mmに等しく、サイズ150/70/R18のリアタイヤでは約37.9mmに等しい。
【0224】
好ましくは、中央ブロック60の周方向長さT2は、周方向長さT2とタイヤの周方向延長部との比が0.013~0.018に含まれるような長さであり、例えば、サイズ170/60/R17のリアタイヤでは0.017に等しく、サイズ150/70/R18のリアタイヤでは0.015に等しいような長さである。
【0225】
いくつかの実施形態では、中央ブロック60の周方向長さT2は約28mm~約36mmに含まれ、例えば、サイズ170/60/R17のリアタイヤでは約34.3mmに等しく、サイズ150/70/R18のリアタイヤでは約30.5mmに等しい。
【0226】
好ましくは、中央横断方向溝45の周方向長さI1は、周方向長さI1とタイヤの周方向延長部との比が0.011~0.018に含まれるような長さであり、例えばサイズ170/60/R17のリアタイヤでは0.013に等しく、サイズ150/70/R18のリアタイヤでは0.015に等しいような長さである。
【0227】
いくつかの実施形態では、中央横断方向溝45の周方向長さI1は、約23mm~約55mm、より好ましくは26mm~32mmに含まれ、例えば、サイズ170/60/R17のリアタイヤでは約27.5mmに等しく、サイズ150/70/R18のリアタイヤでは約30.9mmに等しい。
【0228】
好ましくは、中央横断方向溝50の周方向長さI2は、周方向長さI2とタイヤの周方向延長部との比が0.008~0.014に含まれるような長さであり、例えば、サイズ170/60/R17のリアタイヤでは0.011に等しく、サイズ150/70/R18のリアタイヤでは0.012に等しいような長さである。
【0229】
いくつかの実施形態では、中央横断方向溝50の周方向長さI2は、18mm~約30mm、より好ましくは21mm~26mmに含まれ、例えば、サイズ170/60/R17のリアタイヤでは22.3mmに等しく、サイズ150/70/R18のリアタイヤでは25mmに等しい。
【0230】
図4に示すように、各中央ブロック30、60は、対向する周方向外側面32、62を備える。
【0231】
前記面32、62のそれぞれは、赤道面X-Xに対して垂直な軸方向中央部分32a、62aと、軸方向中央部分32a、62aに対して両側に配置され、赤道面X-Xに対して傾斜した一対の軸方向外側部分32b、62bとを備える。図示を明瞭にするために、
図4では、参照数字32b、62bは、1つの中央ブロック30の面32のうちの一方と、1つの中央ブロック60の面62のうちの一方にのみ示されている。
【0232】
図5に示すように、中央ブロック30の対向する周方向外側面32の軸方向中央部分32aは、異なる幅Lc1iおよびLc1uを有し、ここで、Lc1iはタイヤ1のフットプリントへの入口面の幅を示し、Lc1uはタイヤ1のフットプリントからの出口面の幅を示し、一方、中央ブロック60の対向する周方向外側面62の軸方向中央部分32aは等しい幅Lc2を有する。
【0233】
好ましくは、中央ブロック30の周方向外側面32の軸方向中央部分32aの幅Lc1i、Lc1u、および中央ブロック60の周方向外側面62の軸方向中央部分62aの幅Lc2は、このような幅とタイヤ1の半径方向断面最大幅Cとの比が約0.25~約0.35に含まれるような幅である。
【0234】
例えば、幅Lc1iと半径方向断面最大幅Cとの比は約0.28に等しく、幅Lc1uと半径方向断面最大幅Cとの比は約0.30に等しく、幅Lc2と半径方向断面最大幅Cとの比は030に等しい。
【0235】
好ましくは、幅Lc1i、Lc1u、およびLc2は約50mm~約65mmに含まれる。
【0236】
例えば、サイズ170/60/R17のリアタイヤでは、幅Lc1iは約55mmに等しく、幅Lc1uは約60mmに等しく、幅Lc2は約60mmに等しく、サイズ150/70/R18のリアタイヤでは、幅Lc1iは約52mmに等しく、幅Lc1uは約56mmに等しく、幅Lc2は約56mmに等しい。
【0237】
中央ブロック30、60の対向する周方向外側面32、62の軸方向外側部分32b、62bは、それぞれの軸方向中央部分32a、62aの幅よりも短い幅を有する。特に、これらのそれぞれは、軸方向中央部分32a、62aの幅の半分よりも短い幅を有する。
【0238】
本明細書に図示した特定の例では、赤道面X-Xに対してトレッドバンド8の同じ側にあるすべての軸方向外側部分32b、62bは、互いに実質的に平行であり、赤道面X-Xに対して90°とは異なる同じ角度αで傾斜している。
図5のこのような角度αは、前述の軸方向外側部分32b、62bのうちの一方にのみ示されている。
【0239】
好ましくは、角度αは50°~89°、より好ましくは55°~85°、さらに好ましくは60°~80°に含まれ、例えば75°に等しい。
【0240】
図4に示すように、各中央ブロック30、60は、赤道面X-Xに対して予め定められた角度γで傾斜した両側の軸方向外側面35、65を備え、
図5では、角度γは、前述の軸方向外側面35、65のうちの一方、特に中央ブロック60の軸方向外側面65にのみ示されている。
【0241】
好ましくは、角度γは5°~20°に含まれ、例えば15°に等しい。
【0242】
中央ブロック30の軸方向外側面35は、赤道面X-Xに対してトレッドバンド8の同じ側にある中央ブロック60の軸方向外側面65に対して、赤道面X-Xに垂直な面に関して反対側に傾斜している。
【0243】
中央ブロック30、60のそれぞれの面積は、好ましくは2400mm2~4500mm2、より好ましくは3100mm2~2500mm2に含まれる。
【0244】
図1~
図5に示すタイヤ1の特定の実施形態では、中央ブロック30、60は、側方ブロック80、90に対して周方向にずらされている。
【0245】
特に、
図4を参照すると、各側方ブロック80の2つの対向する周方向外側の点81および各側方ブロック90の2つの対向する周方向外側の点91は、周方向に連続する2つの中央ブロック30、60を横切る、赤道面X-Xに垂直なそれぞれの平面上にある。図示を明瞭にするために、
図4では、参照数字81および91は、側方ブロック80のうちの一方および側方ブロック90のうちの一方にのみ示されている。
【0246】
上記のブロックの大きさおよび溝の大きさは、側方ブロック80の周方向最大延長部を赤道面X-Xに投影した長さが中央横断方向溝45の周方向長さI1よりも長く、側方ブロック90の周方向最大延長部を赤道面X-Xに投影した長さが中央横断方向溝50の周方向長さI2よりも長いような大きさである。このように、それぞれの中央横断方向溝45の、赤道面X-Xに垂直な方向のタイヤ1の両側における出口は、側方ブロック80によって遮られ、それぞれの中央横断方向溝50の、赤道面X-Xに垂直な方向のタイヤ1の両側における出口は、側方ブロック90によって遮られている。
【0247】
図4に示すように、各側方ブロック80、90は、赤道面に対して90°とは異なる予め定められた角度で傾斜した、対向する周方向外側面82、92を備える。図示を明瞭にするために、
図4では、参照数字82および92は、側方ブロック80のうちの一方および側方ブロック90のうちの一方にのみ示されている。
【0248】
本明細書に図示した特定の例では、任意の側方ブロック80、90の周方向外側面82、92の傾斜角度は、同じ側方ブロック80、90の他の周方向外側面82、92の傾斜角度とは異なる。
【0249】
特に、
図5を参照すると、フットプリントへの周方向外側入口面82、92は、約65°に等しい角度β1で傾斜し、一方、フットプリントからの周方向外側出口面82、92は、約60°に等しい角度β2で傾斜している。
【0250】
図4に示すように、各側方ブロック80、90は、赤道面X-Xに対して傾斜した少なくとも一部を有する軸方向内側面83、93を備える。図示を明瞭にするために、
図4では、参照数字83および93は、側方ブロック80のうちの一方および側方ブロック90のうちの一方にのみ示されている。
【0251】
側方ブロック80の軸方向内側面83は、側方ブロック90の軸方向内側面93に対して軸方向内側(すなわち赤道面X-Xにより近く)にある。同様に、側方ブロック80の軸方向外側面84は、側方ブロック90の軸方向外側面94に対して軸方向内側(すなわち赤道面X-Xにより近く)にある。
【0252】
側方ブロック90の軸方向内側面93は、赤道面X-Xに対して実質的に凹面に沿って延在している(すなわち、赤道面X-Xの方を向く凹部を有している)のに対し、側方ブロック80の軸方向内側面83は、赤道面X-Xに対して実質的に凸面に沿って延在している(すなわち、赤道面X-Xの方向とは反対方向を向く凹部を有している)。
【0253】
特に、側方ブロック80の軸方向内側面83は、中央ブロック30の軸方向外側面35に実質的に平行な部分83a、および中央ブロック60の軸方向外側面65に実質的に平行な部分83bを備える。
【0254】
中央ブロック30、60に対する側方ブロック80、90の配置、および中央ブロック30、60の軸方向外側面35、65に対する側方ブロック80、90の軸方向内側面83、93の形状および相対位置は、各周方向溝20がそれぞれの実質的に正弦波状の経路に沿って延在することを確実にするようなものである。
【0255】
このような経路は、
図5を参照すると、軸方向内側母線および軸方向外側母線として以下に示す2つの両側の母線の間に画定される。
【0256】
すべての単一モジュールにおいて、各周方向溝20の軸方向内側母線は、中央ブロック30の軸方向外側面35と、中央ブロック30から中央ブロック60への中央横断方向溝50の実質的に周方向の部分と、中央ブロック60の軸方向外側面65と、中央ブロック60から中央ブロック30への中央横断方向溝45の実質的に周方向の部分とを連続的に備える。前述の中央横断方向溝50の実質的に周方向の部分は、側方ブロック90の軸方向内側面93と実質的に平行であり、一方、前述の中央横断方向溝45の実質的に周方向の部分は、側方ブロック80の軸方向内側面83の部分83bと実質的に平行である。
【0257】
すべての単一モジュールにおいて、各周方向溝20の軸方向外側母線は、側方ブロック80の軸方向内側面83の部分83aと、側方ブロック80から側方ブロック90への側方横断方向溝85の実質的に周方向の部分と、側方ブロック90の軸方向内側面65と、側方ブロック90から側方ブロック70への側方横断方向溝95の実質的に周方向の部分と、前述の側方ブロック80に周方向に連続する側方ブロック90の軸方向内側面83の部分83bとを連続的に備える。前述の側方横断方向溝85の実質的に周方向の部分は、中央ブロック30の軸方向外側面35と実質的に平行であり、一方、前述の側方横断方向溝90の実質的に周方向部分は、中央ブロック60の軸方向外側面65と実質的に平行である。
【0258】
図5を参照すると、各周方向溝20は、中央ブロック30、60と側方ブロック80、90との間に軸方向に挟まれた領域に幅Leを有するが、これは、図示を明瞭にするために、
図5では、中央ブロック30と側方ブロック80との間に軸方向に挟まれた領域にのみ示されている。
【0259】
好ましくは、幅Leはタイヤの半径方向断面最大幅の6%~10%に含まれ、例えばサイズ170/60/R17のリアタイヤでは8%に等しく、サイズ150/70/R18のリアタイヤでは9%に等しい。
【0260】
比較試験
本出願人は、本発明の実施形態による、特に
図2~
図5に示すトレッドパターンを有するリアタイヤ1の試供品を作った。以下、このようなタイヤをINVで示す。
【0261】
タイヤINVは、主にオフロードで使用し現在市販されている自動二輪車用の本出願人のリアタイヤと同一の構造およびサイズを有する。以下、このようなタイヤをRefで示す。
【0262】
オフロードでの優れた挙動と、乾いた路面および濡れた路面での許容可能以上の挙動により顧客から評価されているタイヤRefを用いて屋外比較試験が実行された。
【0263】
試験は、BMW R1250 GS自動二輪車の後輪に(同じタイヤ空気圧で膨張された)タイヤを取り付け、前輪にも同一のタイヤを取り付けて、実質的に同じ環境条件で行われた。
【0264】
2つのタイヤINVおよびRefの挙動が、(乾いたおよび濡れた)道路とオフロードの両方で、ドライバーの判断により評価された。特に、以下の表1、表2、および表3に列挙した項目が評価され、ドライバーが述べた意見も記載した。
【0265】
道路での試験は、乾いた道路と濡れた道路の両方で、直線部分およびカーブ部分を有する行程を走行することによって行われた。
【0266】
オフロードでの試験は、実際に遭遇する可能性のある条件を再現した泥濘地および砂地を有して準備された予め定められた長さの直線に沿って何度も走行することによって実施され、試験ごとにできるだけ地面を同じように保って行われた。この直線には、自動二輪車の入る時間と出る時間を測定するために2つのセンサが設置され、自動二輪車には適切な計器(GPSセンサ、エンジンのバタフライ弁の開度センサ、両輪の速度センサ)が装備された。
【0267】
表1は乾いた道路での試験に関する。
【0268】
表2は濡れた道路での試験に関する。
【0269】
表3は、後述するように、オフロードでの試験に関する。
【0270】
前述の表において、「=」は、タイヤRefによって得られた肯定的な意見を示し、「+」はタイヤRefに対する改善を示す。
【0271】
【0272】
表1および表2は、タイヤINVは、概して、タイヤRefに対して路面での改善された性能を提供し、特に、乾いた路面との接触に関する快適性および濡れた路面でのハンドリングに関して改善されており、他の評価項目に関する限りタイヤRefと同様な挙動を有していることを示している。したがって、本出願人は、本発明のタイヤに採用された特定のトレッドパターンによって、路面での性能の所望の改善を効果的に得ることができるという事実を確認した。
【0273】
一方、表3は、オフロード性能、特にトラクションに関しても予想外の改善があったことを示している。出願人の目標が基準タイヤの優れたオフロード性能を維持することであったので、このような改善は期待されもせず、求められてもいなかった。
【0274】
特に、オフロードでのトラクションを評価するために、道を横切る速度が測定され、道に入る速度が同じ場合、本発明のタイヤを装着した自動二輪車が道から出る速度が、基準タイヤを装着した自動二輪車の出る速度に対して(1秒当たり数メートル)速くなることが見出された(例えば、15m/sに対して18m/s)。
【0275】
オフロードでのトラクションのこの予想していなかった改善はまた、
図6および
図7のグラフからも推測することができる。このようなグラフは、自動二輪車に備えられた計測器によって得られた。
【0276】
図6において、X軸は自動二輪車の走行速度を示し、Y軸は自動二輪車の車輪の回転速度を示す。本発明のタイヤを装着した自動二輪車に関する曲線(実線の曲線)は、自動二輪車の走行速度が上昇するにつれて実質的に直線的に上昇する傾向を有し、これは、エンジンによって供給され車輪に伝達される動力が自動二輪車の実質的な実際の前進に変換され、したがって、自動二輪車の走行速度が上昇したとき、自動二輪車の車輪がスリップしないという事実を示し、一方、基準タイヤを装着した自動二輪車に関する曲線(破線の曲線)は、自動二輪車の予め定められた走行速度からの車輪の回転速度の低下があり、これは、自動二輪車が予め定められた走行速度に達した後、自動二輪車の車輪がブロック間に存在する泥を排出することができず、泥にはまり込むほど減速されるという事実によって、エンジンによって供給された動力の一部が失われるという事実を示していることに留意すべきである。
【0277】
図7において、X軸はエンジンのバタフライ弁の開弁速度(したがってアクセルハンドルの回転速度)を示し、Y軸は自動二輪車の車輪の回転速度を示す。本発明のタイヤを装着した自動二輪車に関する曲線(実線の曲線)は、自動二輪車の走行速度が上昇するにつれて実質的に一定の傾向を有し(実際、特定の時点で、自動二輪車の特定の走行速度を保つためにスロットルを緩めることが可能である)、これは、エンジンによって供給される動力のすべてが実際に自動二輪車の前進運動に変換されているという事実を示していることに留意すべきである。これとは異なり、基準タイヤを装着した自動二輪車に関する曲線(破線の曲線)は、エンジンのバタフライ弁の予め定められた開弁速度からの車輪の回転速度の上昇を有し、これは、自動二輪車の走行速度が上昇したとき、スロットルを回した状態に保つ必要があることを示している。
【0278】
もちろん、当業者であれば、特定および臨時の適用要件を満たすために、上記のタイヤ1にさらなる修正および変形を加えることができ、これらの変形および修正は、いかなる場合にも、以下の特許請求の範囲によって規定されるような保護範囲に包含される。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のブロックおよび溝を含むトレッドバンド(8)を備える自動二輪車用タイヤ(1)であって、前記複数のブロックおよび溝が、前記トレッドバンド(8)において、0.4~0.65に含まれる空隙/固体比を定め、前記タイヤ(1)の赤道面(X-X)に対して対称であるトレッドパターンを形成し、前記トレッドパターンが、前記赤道面(X-X)に対して両側に配置された一対の周方向溝(20)を含み、前記一対の周方向溝(20)が、トレッドバンドの中央環状部分(A)と、前記中央環状部分(A)に対して両側に配置されたトレッドバンドの一対の側方環状部分(B)とを画定し、
- トレッドバンドの前記中央環状部分(A)が、前記赤道面(X-X)にまたがって配置されかつ前記タイヤ(1)の半径方向断面最大幅(C)の50%以上の最大幅(Lmax)を有する複数の連続する周方向中央ブロック(30、60)を備え、前記中央ブロック(30、60)が、周方向に隣り合う中央ブロック(30、60)の周方向長さ(T1、T2)よりも短い周方向長さ(I1、I2)を有するそれぞれの中央横断方向溝(45、50)によって互いに分離されており、
- トレッドバンドの各側方環状部分(B)が、それぞれの側方横断方向溝(85、95)によって互いに分離された、複数の周方向に連続する側方ブロック(80、90)を備える、自動二輪車用タイヤ(1)。
【請求項2】
中央横断方向溝(45、50)の前記周方向長さ(I1、I2)が、前記中央ブロック(30、60)の前記最大幅(Lmax)の20%~50%に含まれる、請求項1に記載のタイヤ(1)。
【請求項3】
中央横断方向溝(45、50)の前記周方向長さ(I1、I2)と、周方向に隣り合う中央ブロック(30、60)の前記周方向長さ(T1、T2)との比が、0.6~0.9に含まれる、請求項1または2に記載のタイヤ(1)。
【請求項4】
周方向に連続する2つの中央ブロック(30、60)が異なる周方向長さ(T1、T2)を有する、
請求項1に記載のタイヤ(1)。
【請求項5】
周方向に連続する2つの中央横断方向溝(45、50)が異なる周方向長さ(I1、I2)を有する、
請求項1に記載のタイヤ(1)。
【請求項6】
前記中央ブロック(30、60)が、前記側方ブロック(80、90)に対して周方向にずらされている、
請求項1に記載のタイヤ(1)。
【請求項7】
各中央ブロック(30、60)が、前記赤道面(X-X)に垂直な軸方向中央部分(32a、62a)と、前記赤道面(X-X)に直交する面に対して、90°とは異なる予め定められた角度で傾斜した両側の軸方向外側部分(32b、62b)とを有する、対向する周方向外側面(32、62)を備える、
請求項1に記載のタイヤ(1)。
【請求項8】
各中央ブロック(30、60)が、前記赤道面(X-X)に対して予め定められた角度で傾斜した両側の軸方向外側面
(35、65)を備える、
請求項1に記載のタイヤ(1)。
【請求項9】
中央ブロック(30)の前記軸方向外側面が、周方向に連続する中央ブロック(60)の前記軸方向外側面に対して、前記赤道面(X-X)に垂直な平面に関して反対側に傾斜している、請求項8に記載のタイヤ(1)。
【請求項10】
各側方ブロック(80、90)が、前記赤道面(X-X)に対して90°とは異なる予め定められた角度で傾斜した両側の周方向外側面を備える、
請求項1に記載のタイヤ(1)。
【請求項11】
前記側方環状部分(B)のそれぞれの側方ブロック(80、90)の少なくとも1つの第1の周方向外側先端を通る、前記赤道面(X-X)に垂直な平面が、中央ブロック(30、60)を横切り、前記側方ブロック(80、90)の少なくとも1つの第2の周方向外側先端を通る、前記赤道面に垂直な別の平面が、別の中央ブロック(30、60)を横切り、前記少なくとも1つの第2の周方向外側先端が、前記少なくとも1つの第1の先端とは周方向反対側に配置されている、
請求項1に記載のタイヤ(1)。
【請求項12】
各側方ブロック(80、90)が、前記赤道面(X-X)に対して傾斜した少なくとも1つの
傾斜部分を有する軸方向内側面(83、93)を備える、
請求項1に記載のタイヤ(1)。
【請求項13】
各中央ブロック(30、60)が、前記赤道面(X-X)に対して予め定められた角度で傾斜した両側の軸方向外側面(35、65)を備え、
前記側方ブロック(80)の少なくとも一部の前記少なくとも1つの傾斜部
分が、前記中央ブロック(30、60)の前記軸方向外側面(35、65)の少なくとも1つと実質的に平行である、
請求項12に記載のタイヤ(1)。
【請求項14】
第1の複数の側方ブロック(80)の前記軸方向内側面
(83)が、第2の複数の側方ブロック(90)の前記軸方向内側面
(93)に対して軸方向により内側であり、前記第1の複数の側方ブロック(80)の各側方ブロック(80)が、前記第2の複数の側方ブロック(90)の2つの側方ブロック(90)の間に周方向に配置されている、
請求項12に記載のタイヤ(1)。
【請求項15】
各周方向溝(20)がそれぞれの正弦波状の経路に沿って延在する、
請求項1に記載のタイヤ(1)。
【国際調査報告】