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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】ベローズ型アキュムレータ
(51)【国際特許分類】
   F15B 1/16 20060101AFI20241108BHJP
【FI】
F15B1/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526637
(86)(22)【出願日】2022-11-07
(85)【翻訳文提出日】2024-05-02
(86)【国際出願番号】 EP2022080975
(87)【国際公開番号】W WO2023083745
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】102021005656.6
(32)【優先日】2021-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591204333
【氏名又は名称】ハイダック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】HYDAC TECHNOLOGY GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ペーター クロフト
(72)【発明者】
【氏名】イェンス ホルガー ケーネ
(72)【発明者】
【氏名】トルステン クッセロー
【テーマコード(参考)】
3H086
【Fターム(参考)】
3H086AA30
3H086AB03
3H086AD15
3H086AD33
3H086AD44
3H086AD58
(57)【要約】
ベローズ型アキュムレータであって、第1の媒体側12、特に気体側と第2の媒体側14、特に液体側との間の可動分離要素10として機能するベローズ16が、その伸縮時にアキュムレータハウジング18内で軸方向に可動なベローズ端部20にベローズ16の内部22を媒体密に閉じている閉鎖体24を有し、他方のベローズ端部26でアキュムレータハウジング18に対して不動に固持されており、液体側46の圧力が低下すると閉鎖位置に達してアキュムレータハウジング18から液体が更に流出するのを防ぐ弁装置44を備えるベローズ型アキュムレータにおいて、弁装置44とベローズ16の閉鎖体24との間に配置された少なくとも1つのエネルギー蓄積手段48によって弁装置44の閉鎖過程が制御されて、いかなる場合もアキュムレータハウジング18内にベローズ16を伸長位置で支持する設定可能な量の液体が残っているようにすることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベローズ型アキュムレータであって、第1の媒体側(12)、特に気体側と第2の媒体側(14)、特に液体側との間の可動分離要素(10)として機能するベローズ(16)が、その伸縮時にアキュムレータハウジング(18)内で軸方向に可動なベローズ端部(20)に、前記ベローズ(16)の内部(22)を媒体密に閉じている閉鎖体(24)を有し、他方のベローズ端部(26)でアキュムレータハウジング(18)に対して不動に固持されており、液体側(46)の圧力が低下すると閉鎖位置に達してアキュムレータハウジング(18)から液体が更に流出するのを防ぐ弁装置(44)を備える、ベローズ型アキュムレータにおいて、前記弁装置(44)の閉鎖過程は、前記弁装置(44)と前記ベローズ(16)の前記閉鎖体(24)との間に配置された少なくとも1つのエネルギー蓄積手段(48)によって、いかなる場合もベローズ(16)をその伸長位置で支持する設定可能な量の液体がアキュムレータハウジング(18)内に残っているように制御されることを特徴とする、ベローズ型アキュムレータ。
【請求項2】
前記弁装置(44)は、ポペットバルブ(52)を有し、その弁体(54)は別のエネルギー蓄積手段(56)の作用に抗して液体を通過させる開放位置に保持されていて、作動されると液体を遮断する閉鎖位置に達することを特徴とする、請求項1に記載のベローズ型アキュムレータ。
【請求項3】
前記弁装置(44)は、液体供給と液体排出のための共通の接続部(60)を有しており、前記接続部(60)は少なくとも部分的に前記弁装置(44)によって貫入されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のベローズ型アキュムレータ。
【請求項4】
一方のエネルギー蓄積手段(48)と他方のエネルギー蓄積手段(56)がそれぞれ1つの圧縮ばね(50、58)から形成され、前記一方の圧縮ばね(50)のばね剛性が前記他方の圧縮ばね(58)のばね剛性よりも大きいことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のベローズ型アキュムレータ。
【請求項5】
一方の圧縮ばね(50)が前記ベローズ(16)の前記閉鎖体(24)に配置され、他方の圧縮ばね(58)が前記弁装置(44)の一部であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のベローズ型アキュムレータ。
【請求項6】
動作位置において、前記一方の圧縮ばね(50)は、その一方の端部で前記ポペットバルブ(52)の上側に支持され、他方の端部で前記ベローズ(16)の前記閉鎖体(24)の下側に支持されており、前記他方の圧縮ばね(58)は、その一方の端部で前記弁体(54)の下側に支持され、他方の端部で前記ポペットバルブ(52)の弁棒(68)を案内するための受容部(66)に支持されていることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のベローズ型アキュムレータ。
【請求項7】
前記弁体(54)は閉鎖位置において、前記弁装置(44)を包含する前記アキュムレータハウジング(18)の接続体(80)内に収容されている、特に環状ソフトシールの形態の密封装置(78)と当接していることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のベローズ型アキュムレータ。
【請求項8】
前記閉鎖体(24)は、前記ベローズ(16)が完全に伸長した状態で液体を受容するための定義されたチャンバ容積(82)を限定する半球状シェルの形態で形成されていることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のベローズ型アキュムレータ。
【請求項9】
前記下側ベローズ端部(20)は、前記アキュムレータハウジング(18)内で環状ガイド体(84)によって案内されており、前記ガイド体(84)は流体通路(86)を備えていて、前記弁装置(44)の領域におけるチャンバ容積(82)と、実質的に前記アキュムレータハウジング(18)の内側(30)と前記ベローズ(16)のベローズひだの外側によって限定された別のチャンバ容積(92)との間に恒久的な流体連通を確立することを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載のベローズ型アキュムレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ベローズ型アキュムレータであって、第1の媒体側、特に気体側と第2の媒体側、特に液体側との間の可動分離要素として機能するベローズが、その伸縮時にアキュムレータハウジング内で軸方向に可動なベローズ端部に、ベローズの内部を媒体密に閉じている閉鎖体を有し、他方のベローズ端部でアキュムレータハウジングに対して不動に固持されており、液体側の圧力が低下すると閉鎖位置に達してアキュムレータハウジングから液体が更に流出するのを防ぐ弁装置を備えるものに関する。弁装置は、周囲温度に起因して充填圧が上昇した場合も閉鎖位置に移動できる。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(欧州特許出願公開第2519748号明細書)により、ベローズ型アキュムレータとして設計された油圧アキュムレータが知られている。即ち、
-ガス側と流体側との間の可動分離要素として機能するベローズが伸縮時にアキュムレータハウジング内で軸方向に可動なベローズ端部に、ベローズの内部を媒体密に閉じている閉鎖体を有し、他方のベローズ端部でアキュムレータハウジングに対して不動に固持されており、
-アキュムレータハウジングに対して不動なベローズ端部でローズの内部を密封するシール配置が、密封作用を発揮する第1の機能領域に加えて、ベローズの内部に突出する突起の形態の第2の機能領域を有し、この第2の機能領域が完全に収縮した状態にあるベローズの閉鎖体の当接のための可撓緩衝部を形成し、
-ベローズとして、当該ベローズ端部と溶接された金属製の閉鎖体を備えた金属ベローズが設けられており、
-ベローズの内部に突出する突起は、閉鎖体の当接のための可撓緩衝部として、可動ベローズ端部に向かって軸方向に突出する少なくとも1つの膨出部を有し、
-不動ベローズ端部は流体密の溶接接続によりハウジングに固定された保持リングに固持されており、保持リングの内側のリング開口部が流体側を形成するベローズの内部に隣接し、
-シール配置がその第1の機能領域で保持リングの内側のリング開口部とアキュムレータハウジングとの間のシールを形成する。
【0003】
このベローズ型アキュムレータでは、アキュムレータをアキュムレータハウジング内の油圧供給回路の一部に接続するための液体接続部が、アキュムレータハウジングの接続ピース内を貫通する接続孔によって形成されており、この接続孔はベローズの閉鎖体によって直接制御されて上記の接続孔が開放又は遮断される。このような金属ベローズ型アキュムレータの解決策は、ベローズ全体の圧力差が数MPaと小さい場合に使用するのに適している。これに対して、圧力差が大きいと、ベローズの完全な故障に至るまで動的耐用年数の短縮が顕著になる。そのためベローズ型アキュムレータは、ガス側の高い予圧又は充填圧では運転できない。
【0004】
これらの問題点に対処するため、特許文献2(独国特許出願公開10116995号明細書)には、以下のような油圧装置が提案されている。即ち、
-油圧チャンバ内にベローズの可動端部として設計された可動要素を有する、油圧ハウジングに配置された油圧エネルギー蓄積手段と、
-可動要素の動作を誘導型変位センサに伝達する手段と接続された誘導型変位センサと、
-誘導型変位センサの信号を受信する制御ユニットと、を備え、
-少なくとも1つの電磁弁が設けられており、
-誘導型変位センサと電磁弁は直接、制御ユニットに取り付けられており、
-誘導型変位センサを制御ユニットに取り付けるために、電磁弁と同じタイプの機械的接続と電気的インターフェースが使用されている。
【0005】
このベローズ型アキュムレータの形態の公知の油圧装置の別の構成(図3)では、ベローズが強く膨張又は伸長した状態にあるときに、カバーとして機能するベローズの閉鎖体が、支持体を介してアキュムレータハウジング内の液体チャンバ又は油圧チャンバの底壁と接触するようにされており、このとき弁装置としてそこに配置されているばね付勢されたボトムバルブが閉じられて、上記油圧チャンバからボトムバルブ及びアキュムレータハウジングの接続箇所における液体開口部を介して作動油が更に流出することが防がれている。このようにして、油圧チャンバが完全に空になることが防止される。この公知のベローズ型アキュムレータは、アキュムレータハウジング内への作動油の独自の流入口を有しており、これは対応する流出口から弁装置によって空間的に分離されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2519748号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開10116995号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、この先行技術に基づき、先行技術と比較して改善されたベローズ型アキュムレータの解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題は、特許請求項1の特徴をその全体において有するベローズ型アキュムレータによって解決される。
【0009】
請求項1の特徴部分によれば、弁装置の閉鎖過程は、弁装置とベローズの閉鎖体との間に配置され少なくとも1つのエネルギー蓄積手段によって、いかなる場合もベローズをその伸長位置で支持する設定可能な量の液体がアキュムレータハウジング内に残っているように制御されることにより、ベローズをその第1の媒体側若しくは気体側で高い充填圧で運転することが可能である。なぜなら、ベローズは弁装置が完全に閉じられても、いかなる場合もアキュムレータハウジングの液体側で支持され得るからである。このようにして、ベローズ型アキュムレータの運転時の大きな圧力差もベローズによって確実に制御できる。即ち、動的な運転においても長い耐用年数が保証され、例えばベローズひだの破れによるベローズの故障が回避される。弁装置の開放時には、弁体が原則的に開放されることにより、永久的な圧力伝達は生じない。
【0010】
本発明によるベローズ型アキュムレータは、アキュムレータハウジングの液体側に単一の通路開口部しか必要とせず、そこに弁装置が挿入されて(作動)液の流入も流出も制御する。この場合、本発明によりこの弁装置とベローズの閉鎖体との間に導入された原則的に圧縮ばねの形態のエネルギー蓄積手段により、ますます動的な減衰の枠組みの中で、特に弁装置を用いて媒体又は液体の流れを絞ることによっても、ベローズをその伸長動作時に液体側で永久的に、弁装置が閉じるに連れて増大する支持作用によって、アキュムレータハウジングが支持流体の設定可能な残留量を除いて完全に空になるまで支持することが可能になる。このようにすることで、弁装置が閉じられた場合でもアキュムレータハウジング内に液体の残留量が封入されたまま残り、これによりベローズは充填ガス圧の作用下でその内側で支持されることができる。
【0011】
逆の場合、即ち弁装置が開かれて、アキュムレータの液体供給側で接続された油圧回路との流体接続部が完全に開放された通過位置に達するまで確立される場合、弁装置を開制御してベローズに穏やかに力が導入される。
【0012】
本発明によるベローズ型アキュムレータの好適な実施形態では、弁装置がポペットバルブを有し、その弁体は別のエネルギー蓄積手段の作用に抗して液体を通過させる開放位置に保持されていて、作動されると液体を遮断する閉鎖位置に達するようにされている。弁体の両側が設定可能な圧力の液体で加圧されていると、弁体の表面は、アキュムレータ内に残っている液体の圧力(気体側の充填圧に相当)と金属ベローズの終端部のばね力に抗して作用する。それゆえ取るに足る圧力伝達には至らない。金属ベローズのプレート状の終端部が直接弁体上に載っていないことで、弁体と終端プレートの異なる面のいずれにも圧力伝達が行われない。これに関連する別のエネルギー蓄積手段も、好ましくは圧縮ばねによって形成されている。このようにして理論的な観点からは、ベローズとポペットバルブの形態をした2つの個々の質量によって一種の二質量衝突振動系が形成されている。両質量はそれぞれ対向する端部で、質量の運動を加速させることも減衰させることもできるエネルギー蓄積手段若しくはばねによって支持されている。この場合、ばねは何よりも流体に支持されたベローズのガス側の予圧によって形成されている。この弁体は、対抗する反対側では、別の圧縮ばねの形態をした別のエネルギー蓄積手段によって支持されている。この圧ばねは、一方の端部ではポペットバルブの弁体の下面に作用し、他方の端部ではアキュムレータハウジングの部分に動かないように受容されている。
【0013】
液体が油圧回路からアキュムレータハウジングの液体側に圧力下で流れると、ポペットバルブはますます開き、開放動作において弁ばねとしての第2の圧縮ばねによって助長される。この弁装置の開放過程は、ベローズの内側に作用する作動ガスの予圧と、ベローズの下面とポペットバルブの上面との間のエネルギー蓄積手段若しくは第1の圧縮ばねによって減衰される。
【0014】
逆の場合、即ち油圧回路の圧力低下によりアキュムレータハウジングから液体が流出する場合、ポペットバルブの閉鎖過程はベローズと第1の圧縮ばねの内圧により助長される。この場合、閉鎖過程は、特に弁装置とベローズの間の第1の圧縮ばねと、ポペットバルブの第2の圧縮ばねとのばね作用により減衰されて実施され、弁装置の完全な閉鎖位置では、ベローズの外側とアキュムレータハウジングの内側との間に流体残留量が支持流体として残ってベローズを支持している。あらゆる動作状況においてベローズの個々のひだはすべて液体に取り囲まれ、したがってすべての側面で等しく支持されている。ベローズは手厚く運転されると共に、気体側でも液体側でも動的に発生する際立って高い圧力を受けることができる。更に二質量衝突振動系のばね減衰特性に基づき、例えば-55℃~100℃以上の非常に広い温度範囲でベローズ型アキュムレータを運転することも可能であり、ジグザグばねのみが温度補償を引き受ける。
【0015】
特に省スペース方式で、弁装置が液体の供給と排出のための共通の接続部を有し、この接続部が弁装置によって少なくとも部分的に貫入されていて、例えば乱流の発生による流動損失を回避するのを助けるようにされていることが有利である。
【0016】
本発明によるベローズ型アキュムレータの別の特に好適な実施形態では、一方のエネルギー蓄積手段と他方のエネルギー蓄積手段がそれぞれ1つの圧縮ばねから形成され、一方の圧縮ばねのばね剛性が他方の圧縮ばねのばね剛性よりも大きくなるようにされている。その結果としてベローズと弁装置との間のアキュムレータハウジングの液体側に存在するばね剛性は、ポペットバルブ側の圧縮ばねのばね剛性よりも大きくなり、二質量ばね系全体のばね減衰特性の改善につながる。
【0017】
更に好ましくは、アキュムレータの動作位置において一方の圧縮ばねがベローズの閉鎖体に配置され、他方の圧縮ばねが弁装置の一部であるようになっている。更に、この動作位置において、一方の圧縮ばねは少なくともポペットバルブの閉鎖位置で、その一方の端部でポペットバルブの上側に支持され、他方の端部でベローズの閉鎖体の下側に支持されており、他方の圧縮ばねはその一方の端部で弁体の下側に支持され、他方の端部でポペットバルブの弁棒を案内するための受容部に支持されていることが有利である。
【0018】
本発明によるベローズ型アキュムレータの特に好適な実施形態では、弁体は閉鎖位置において、弁装置を包含するアキュムレータハウジングの接続体内に収容されている、特に環状ソフトシールの形態の密封装置と当接しているようにされている。このようにすると、密封装置に基づいて、ベローズが可能な限り最大の伸長位置まで引き伸ばされたときに、アキュムレータハウジングの液体側に液体の残留量が残って、ベローズをより長く持続的に支持することも可能にする密封システムが提供されることが確保され、漏れのために場合によっては完全に密に閉じないポペットバルブを通って接続されている油圧回路の液体側に支持流体が到達することを懸念する必要はない。特に、例えばEPDM材料から形成されたソフトシールを使用することにより、弁装置が閉じた状態でベローズ型アキュムレータの運転時に強い温度変化が生じた場合でも流体残留量は確実に封入されている。
【0019】
本発明によるベローズ型アキュムレータの別の好適な実施形態で、閉鎖体は、ベローズが可能な限り完全に引き伸ばされた状態において、液体を受容するための定義されたチャンバ容積を限定する半球状シェルの形態で形成されている。半球状シェルを放物線状シェルに置き換えることもでき、それぞれのシェルの設計により、閉鎖体が属するベローズと、対応するシェル形に形成されたアキュムレータハウジングの内壁との間で、ベローズの伸長動作が増大するに連れて弁装置との接続領域に対抗流体力が形成されて、閉鎖体の外周に均等に分布し、そうして押しのけられた液体により関連する閉鎖体と共にベローズにますます支持力を及ぼす。支持力は、特に低い圧力では一定であることもできる。これは、従来技術には相当するものがない。
【0020】
本発明によるベローズ型アキュムレータの別の好適な実施形態では、下側ベローズ端部がアキュムレータハウジング内で環状ガイド体によって案内されており、このガイド体は流体通路を備えていて、弁装置の領域におけるチャンバ容積と、実質的にアキュムレータハウジングの内側とベローズのベローズひだの外側によって限定された別のチャンバ容積との間に恒久的な流体連通を確立するようにされている。上記の流体通路を介してそれぞれチャンバ容積間で個々の流体容積が均等に分配され、ひいてはベローズがアキュムレータハウジング内の設置スペース全体にわたって均等に支持される。
【0021】
以下に、本発明によるベローズ型アキュムレータの一実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。図面は原理図であり、縮尺通りに表現されていない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、ベローズ型アキュムレータの全体縦断面図である。
図2図2は、図1に示すベローズ型アキュムレータの底部領域の拡大図である。
図3図3は、付属のアキュムレータハウジング内でベローズを案内するための環状ガイド体の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1に示すベローズ型アキュムレータは、油圧アキュムレータの特殊な代表例であり、第1の媒体側12、特に気体側と第2の媒体側14、特に液体側との間の可動分離要素10として機能するベローズ16が、その伸縮時にアキュムレータハウジング18内で軸方向に移動可能なベローズ端部20に、ベローズ16の内部22を媒体密に閉じている閉鎖体24を有している。ベローズ16は、その他方のベローズ端部26ではアキュムレータハウジング18に対して不動に固定されている。この目的のために、ベローズ16の端部及びアキュムレータハウジング18の内側30と通常の方法で溶接された固定リング28が用いられる。この限りでアキュムレータハウジング18は、互いに結合若しくは溶接された3つの個々のハウジング部分からなり、上部ハウジング部分32と下部ハウジング部分34は半球状に形成されており、それらの間に配置された円筒形のハウジング部分36は、圧力安定化のために通常の方法で外周に繊維コイル38を備えることができる。
【0024】
第1の媒体側12には、例えば窒素ガスのような作動ガスの形態の圧縮性媒体が注入されており、従来技術の通例のベローズ型アキュムレータの解決策と比較して著しく高くなることができる設定可能な予圧又は充填圧下にある。サイトグラスの形態のガラスインサートを備えた金属部品40は、内部圧力が過度に高くなると開く。アキュムレータは、上部ハウジング部分32内の閉鎖部42を通して窒素ガスなどの作動ガスを充填することができる。更に、ベローズ16は、図1では可能な限り伸長した位置で示されており、ベローズ16の収縮時にそれに伴う移動動作は、ベローズ16の個々のひだが互いに当接することによって制限されている。ベローズ16はステンレス鋼材で作られていて、耐媒体性及び圧力安定性を有し、予圧下で媒体側12に導入された作動ガスが液体を入れた第2の媒体側14に入り込めないことが好ましい。このようなベローズ型アキュムレータは、その液体側で原則的に油圧供給回路(図示せず)に接続されており、第2の媒体側14には原則的にそのような供給回路からの油圧液が流体として存在する。
【0025】
更に、ベローズ型アキュムレータは、図2に詳細に示すように、全体として44と表示された弁装置を有している。ベローズ型アキュムレータの液体側46の圧力が低下すると、弁装置44は図2に示す閉鎖位置に達し、そうしてアキュムレータハウジング18から更に液体が流出するのを妨げる。このような閉鎖動作は、弁装置14とベローズ16の閉鎖体24との間に配置された少なくとも1つのエネルギー蓄積手段48によって助長される。エネルギー蓄積手段48は弁装置14の閉鎖過程を、いかなる場合も第2の媒体側12でアキュムレータハウジング18内に依然として設定可能な量の液体が残っているように制御する。そのような液体量は、ベローズ16を図1に示す伸長位置でその個々のひだで支持する。エネルギー蓄積手段48は、例えば皿ばね又は重ね皿ばねの形態の従来の圧縮ばね50から形成することができる。
【0026】
特に図2が示すように、弁装置44は円板弁52を有し、その弁体54は原則的に圧縮コイルばね58の形態の別のエネルギー蓄積手段56の作用に抗して液体を通過させる開放位置の方向で保持又は押圧されており、相応に作動されると図2に示す液体を遮断する閉鎖位置に達する。
【0027】
弁装置44は、液体供給と液体排出のための共通の接続部60を有しており、この接続部は貫通開口部としてその一方の端部は第2の媒体側14に開口し、その反対側の他方の端部は、詳細に図示されていない油圧回路に接続されている。ベローズ型アキュムレータは、上記の油圧回路の代わりに、適切に機能するためには加圧流体が供給されなければならない油圧作動シリンダのような他の油圧部品に接続することもできる。
【0028】
圧縮ばね50のばね剛性は、いかなる場合も弁ばね58のばね剛性よりも大きくなるように選択されている。更に図2から分かるように、一方の圧縮ばね50はベローズ16の閉鎖体24に配置され、他方の圧縮ばね58は弁装置44の一部である。圧縮ばね50を収容するために、半球状の閉鎖体24は外側にベローズ型アキュムレータの長手方向軸62と同心の円筒状凹部64を備えている。そのため圧縮ばね50は、一方の上部自由端で凹部64に支持され、他方の下部自由端で弁体54の上側に支持されている。これに対して別の第2の圧縮ばね58は、その一方の上部自由端で弁体54の下側に支持され、他方の下部自由端でポペットバルブ52の弁棒68の長手方向案内用の受容部66に支持されている。この目的のために、流体接続部60は壁側が中実に形成され、若干の長手方向孔70(合計4~8個)を備えている。これらの孔70とは別に、アキュムレータの長手方向軸62と同心状に弁棒68が貫通する中央ガイド72が設けられている。更に、弁棒68は、その下側に通常の方法で停止リミット74を有し、弁体54が最上部まで移動した位置で弁受容部66である中央ガイド72の下縁リミットで衝止する。したがって、第2の圧縮ばね58はその上部自由端で弁体54の下側に支持され、その反対側の下端部で受容部66又は中央ガイド72の段状突起部に支持される。
【0029】
図2に示すポペットバルブ52の閉鎖位置では、弁体54はその下面が、中央に配置され外側に突出する、シールビードの形態の環状シール突起76を介して密封装置78に当接する。密封装置78は、特に環状ソフトシール(EPDM)から形成されて、アキュムレータハウジング18の接続体80内に収容されている。接続体80は弁装置44を包含し、流体接続部60を外側に向かって限定している。この点で接続体80は、下部ハウジング部分34の一体的な構成要素である。
【0030】
更に、図1及び図2から分かるように、閉鎖体24は半球状シェルの形態で形成されていて、ベローズ16を可能な限り完全に伸長した状態で流体を収容するための定義されたチャンバ容積82を限定する。そのため、特に図2に示すように、下部ハウジング部分34の内周面は、閉鎖体24の半球形に追従して形成されており、したがって図示の弁装置44の閉鎖位置において、閉鎖体24と下部ハウジング部分34との間の壁面間隔は、図示のように互いに隣接して対向している限り一定である。ベローズ16が図1及び図2を見る方向で上方に持ち上げられると、弁装置44が開いて流体接続部60からアキュムレータハウジング18の第2の媒体側14に流入する流体の圧力の影響で対応するチャンバ容積82が増大する。ベローズ型アキュムレータは更に環状ガイド体84を有するが、これは簡略化のために図2では省略されており、図3に平面図で示されている。このガイド体84により下側ベローズ端部20は、図1及び図2に示すように、ベローズ型アキュムレータの動作位置においてアキュムレータハウジング18内で案内されており、環状ガイド体84は半径方向突起88により互いに等しい半径方向間隔で分離された個々のセグメント状凹部86を有する。そのため等しく外側に突出する突起88の外周面90が、アキュムレータハウジング18の内側30と当接するためのガイド面を形成する。これに対してセグメント状凹部86は、上記の第1のチャンバ容積82と、ガイド体84の上方の別の第2のチャンバ容積92との間の流体連通を可能にする。このようにして支持流体は、チャンバ容積82とチャンバ容積92との間で凹部86を介して双方向に圧力連通的に交換できるので、ベローズ16の個々のひだはいかなる動作状態でも支持流体によって取り囲まれている。
【0031】
閉鎖体24は半球状に形成されているので、その内側には作動ガスのための貯蔵スペースもあり、その点でベローズ型アキュムレータの作動能力は基体収容量の増加によって改善される。また、ガイド体84によって、ベローズ16のひだに沿って予期せず座屈を招くことも防止される。総じて、気体側の高い充填圧と、全体として高い作動圧力で、しかも故障なく運転できるアキュムレータの解決策が提供される。なぜなら、弁装置44が閉じているときでも液体側でベローズ16をその外周に沿って全面的に支持することができるからである。このことは、アキュムレータの液体がほとんど空になり、上述したように弁装置44が閉じた状態でベローズ16の外側とアキュムレータハウジング18の内周面との間に流体残留量のみが残る場合も該当する。これは先行技術には相当するものがない。
図1
図2
図3
【国際調査報告】