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特表2024-5424014つの切削部分と2つの凸状クランプ面とを有する切削ヘッド及び回転切削工具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】4つの切削部分と2つの凸状クランプ面とを有する切削ヘッド及び回転切削工具
(51)【国際特許分類】
   B23B 51/00 20060101AFI20241108BHJP
【FI】
B23B51/00 T
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526823
(86)(22)【出願日】2022-10-18
(85)【翻訳文提出日】2024-05-07
(86)【国際出願番号】 IL2022051097
(87)【国際公開番号】W WO2023089603
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】17/527,638
(32)【優先日】2021-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514105826
【氏名又は名称】イスカル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110004358
【氏名又は名称】弁理士法人NYTパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】シットリット,シモン
(72)【発明者】
【氏名】カブラン,ヒサム
【テーマコード(参考)】
3C037
【Fターム(参考)】
3C037BB08
3C037BB16
(57)【要約】
ヘッド軸線AH回りに回転可能な切削ヘッド(20)は、キャップ部分(22)と、キャップ部分に接合された剛体の装着突起(24)と、を有する。キャップ部分は、4つのヘッド縦溝(28)と周方向に交互に配列されたちょうど4つの切削部分(26)と、軸線方向後方向DRに面するヘッドベース面(30)と、を有する。装着突起は、ヘッドベース面から軸線方向後方に延在し、かつ、周方向に離間された2つの凸状クランプ面(38)を有する。ヘッド軸線に垂直で装着突起に交差する第1水平面PH1に沿った断面において、2つのクランプ面のみが、第1直径D1とヘッド軸線に一致する中心とを有する仮想第1円C1によって外接される。回転切削工具(56)は、その前端にヘッド受けポケット(60)を有する長尺の工具シャンク(58)を有し、前述したタイプの切削ヘッドがヘッド受けポケットに取り外し可能に固定される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッド軸線(AH)回りに第1回転方向(R1)に回転可能な切削ヘッド(20)であって、前記ヘッド軸線(AH)は、軸線方向前方向(DF)と、前記軸線方向前方向(DF)と反対の軸線方向後方向(DF)と、を確立し、前記切削ヘッドは、
4つのヘッド縦溝(28)と周方向に交互に配置されたちょうど4つの切削部分(26)と、前記軸線方向後方向(DR)に面するヘッドベース面(30)と、を有するキャップ部分(22)であって、
各切削部分(26)が、前記軸線方向前方向(DF)に面するとともに、前記第1回転方向(R1)に関して周方向に隣接して回転方向に前方にあるヘッド縦溝(28)に交差して、径方向に延在する切れ刃(34)を形成する前面(32)を有する、キャップ部分(22)と、
前記ヘッドベース面(30)から軸線方向後方に延在し、かつ、周方向に離間されたちょうど2つの凸状クランプ面(38)を有する剛体の装着突起(24)と、を備え、
前記ヘッド軸線(AH)に垂直で、かつ、2つの前記クランプ面(38)で前記装着突起(24)に交差する第1水平面(PH1)に沿った断面において、2つの前記クランプ面(38)のみが、第1直径(D1)と前記ヘッド軸線(AH)に一致する中心とを有する仮想第1円(C1)によって外接される、切削ヘッド(20)。
【請求項2】
4つの前記切れ刃(34)は同一である、請求項1に記載の切削ヘッド(20)。
【請求項3】
4つの前記切れ刃(34)が前記ヘッド軸線(AH)周りに周方向に等間隔で配置される、請求項1又は2に記載の切削ヘッド(20)。
【請求項4】
前記装着突起(34)は、前記ヘッド軸線(AH)を中心に2回回転対称性を示す、請求項1~3のいずれか1項に記載の切削ヘッド(20)。
【請求項5】
前記第1水平面(PH1)に沿った断面において、
2つの前記クランプ面(38)が、前記仮想第1円(C1)に一致する2つのクランプ円弧(40)を形成する、請求項1~4のいずれか1項に記載の切削ヘッド(20)。
【請求項6】
各切削部分(26)は、前記第1回転方向(R1)と反対に面するトルク伝達面(54)を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の切削ヘッド(20)。
【請求項7】
剛体の前記装着突起(24)は、周方向に離間された2つの凸状案内面(42)を有し、
2つの前記案内面(42)は、2つの前記クランプ面(38)と周方向に交互に配置され、
前記第1水平面(PH1)に沿った断面において、2つの前記案内面(42)は、前記仮想第1円(CL)の内側に配置される、請求項1~6のいずれか1項に記載の切削ヘッド(20)。
【請求項8】
前記第1水平面(PH1)に沿った断面において、
2つの前記案内面(42)は、第3直径(D3)と前記ヘッド軸線(AH)に一致する中心とを有する仮想第3円(C3)によって外接され、
前記第3直径(D3)は、前記第1直径(D1)より小さいが、前記第1直径(D1)の85%より大きい、請求項7に記載の切削ヘッド(20)。
【請求項9】
前記第1水平面(PH1)に沿った断面において、
2つの前記案内面(42)は、前記仮想第3円(C3)に一致する2つの案内円弧(37)を形成する、請求項8に記載の切削ヘッド(20)。
【請求項10】
前記装着突起(24)は、2つの前記クランプ面(38)の軸線方向後方に配置された、周方向に離間された4つの軸線方向ストッパ部分(39)を有し、
4つの前記軸線方向ストッパ部分(39)の各々は、2つの前記クランプ面(38)に外接する前記仮想第1円(C1)の軸線方向投影の径方向外側に延在する、請求項1~9のいずれか1項に記載の切削ヘッド(20)。
【請求項11】
前記ヘッド軸線(AH)に垂直で前記キャップ部分(22)に交差する第2水平面(PH2)に沿った断面において、
4つの前記ヘッド縦溝(28)は、第2直径(D2)と前記ヘッド軸線(AH)に一致する中心とを有する仮想第2円(C2)によって内接され、前記仮想第2円(C2)は、4つの径方向の最も内側のヘッド縦溝点(NH)を通過し、各ヘッド縦溝点(NH)は、4つの前記ヘッド縦溝(28)のうちの対応の1つに関連付けられ、
前記第2直径(D2)は前記第1直径(D1)より大きい、請求項1~10のいずれか1項に記載の切削ヘッド(20)。
【請求項12】
4つの前記切れ刃(34)は、切断円(CC)に対応する切断直径(DC)を規定し、
前記第1直径(D1)は前記切断直径(DC)の40%未満である、請求項1~11のいずれか1項に記載の切削ヘッド(20)。
【請求項13】
各ヘッド縦溝(28)上にその関連の切れ刃(34)に隣接してすくい面(44)が配置され、
前記ヘッド軸線(AH)に平行で、かつ、前記切れ刃(34)のうちの1つに対して横方向に、その少なくとも径方向外側部分に沿った、第3垂直面(PV3)に沿った断面において、前記すくい面(44)は正のすくい角(α1)で傾斜している、請求項1~12のいずれか1項に記載の切削ヘッド(20)。
【請求項14】
前記ヘッドベース面(30)は、中央ベース領域(46)と、4つの径方向外側ベース領域(48)と、を含み、
各ヘッド縦溝(28)は、4つの前記径方向外側ベース領域(48)のうちの1つと交差して径方向外側ベースエッジ(50)を形成し、
前記第3垂直面(PV3)は、前記径方向外側ベースエッジ(50)のうちの1つに交差する、請求項13に記載の切削ヘッド(20)。
【請求項15】
各ヘッド縦溝(28)上に、その関連の径方向外側ベースエッジ(50)に隣接して接合面(52)が配置され、
前記第3垂直面(PV3)に沿った断面において、前記接合面(52)に接する直線接線(LT)がゼロ又は正の接合角(β1)で傾斜し、
前記接合角(β1)がすくい角(α1)より小さい、請求項14に記載の切削ヘッド(20)。
【請求項16】
その前端(62)にヘッド受けポケット(60)と、前記前端(62)からシャンク軸線(AS)に沿って離れるように延在する4つのシャンク縦溝(64)と、を有する長尺の工具シャンク(58)と、
前記ヘッド受けポケット(60)に取り外し可能に固定された、請求項1~15のいずれか1項に記載の切削ヘッド(20)と、を備える回転切削工具(56)。
【請求項17】
前記ヘッド受けポケット(60)は、前記シャンク軸線(AS)に対して横方向のシャンク支持面(66)と、前記シャンク支持面(66)に形成された中央凹部(68)と、を有し、
前記中央凹部(68)は、周方向に離間された4つの弾性変位可能な当接部分(74)を有し、各当接部分(74)は、径方向内側に面する当接面(76)を有し、
前記装着突起(24)は、4つの割り出し位置のいずれか1つにおいて前記中央凹部(68)内に弾性的に保持され、
各割り出し位置において、
前記ヘッドベース面(30)は前記シャンク支持面(66)に面し、
2つの前記クランプ面(38)は、4つの前記当接面(76)のうちの2つの作動当接面(76’)にクランプ接触し、
剛体の前記装着突起(24)と4つの前記当接面(76)のうちの2つの非作動当接面(76’’)との間にはクランプ接触は発生しない、請求項16に記載の回転切削工具(56)。
【請求項18】
4つの前記当接部分(74)は独立して弾性変位可能である、請求項17に記載の回転切削工具(56)。
【請求項19】
剛体の前記装着突起(24)は、周方向に離間された2つの凸状案内面(42)を有し、
2つの前記案内面(42)は、2つの前記クランプ面(38)と周方向に交互に配置され、
前記第1水平面(PH1)に沿った断面において、2つの前記案内面(42)は、前記仮想第1円(CL)の内側に配置され、
2つの前記案内面(42)は2つの前記非作動当接面(76’)に面する、請求項17又は18に記載の回転切削工具(56)。
【請求項20】
前記ヘッドベース面(30)が前記シャンク支持面(66)に接触し、
2つの前記作動当接面(76’)にクランプ接触する2つの前記クランプ面(38)を除いて、前記装着突起(24)の他の部分は前記中央凹部(68)にクランプ接触しない、請求項17~19のいずれか1項に記載の回転切削工具(56)。
【請求項21】
前記ヘッドベース面(30)は、中央ベース領域(46)と、4つの径方向外側ベース領域(48)と、を含み、
前記シャンク支持面(66)は、中央支持領域(70)と、4つの径方向外側支持領域(72)と、を含み、
4つの前記径方向外側ベース領域(48)のうちの少なくとも3つは、4つの前記径方向外側支持領域(72)のうちの少なくとも3つに接触する、請求項20に記載の回転切削工具(56)。
【請求項22】
前記シャンク軸線(AS)に垂直で前記中央凹部(68)を通過する第3水平面(PH3)に沿った断面において、
第4直径(D4)と前記シャンク軸線(AS)に一致する中心とを有する仮想第4円(C4)が2つの前記作動当接面(76’)に内接し、
第5直径(D5)と前記シャンク軸線(AS)に一致する中心とを有する仮想第5円(C5)が2つの前記非作動当接面(76’’)に内接し、
前記第4直径(D4)が前記第5直径(D5)よりも大きい、請求項17~21のいずれか1項に記載の回転切削工具(56)。
【請求項23】
前記第1水平面(PH1)及び前記第3水平面(PH3)が一致し、
前記第1直径(D1)が前記第5直径(D5)より大きい、請求項22に記載の回転切削工具(56)。
【請求項24】
前記第1水平面(PH1)及び前記第3水平面(PH3)が一致し、
前記第1直径(D1)が前記第4直径(D4)に等しい、請求項22又は23に記載の回転切削工具(56)。
【請求項25】
請求項17~24のいずれか1項に記載の前記回転切削工具(56)の組み立て方法であって、
前記中央凹部(68)は、4つの前記当接部分(74)と周方向に交互に配置された4つの中間部分(78)をさらに備え、
前記方法は、
a)前記ヘッドベース面(30)を前記シャンク支持面(66)に面するように向けるステップと、
b)前記ヘッド軸線(AH)を前記シャンク軸線(AS)に位置合わせするステップと、
c)2つの前記クランプ面(38)を4つの前記中間部分(78)のうちの2つに回転方向に位置合わせするステップと、
d)前記ヘッドベース面(30)が前記シャンク支持面(66)に接触するまで、前記装着突起(24)を前記中央凹部(68)内に挿入するステップと、
e)2つの前記クランプ面(38)が4つの前記当接面(76)のうちの2つの作動当接面(76’)に対して弾性的に保持されるまで、前記第1回転方向(R1)と反対にそのヘッド軸線(AH)回りに前記切削ヘッド(20)を回転させるステップと、を含む、回転切削工具(56)の組み立て方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、金属切削プロセスに使用するための、特に穿孔作業のための、回転切削工具及びそれに関連付けられた工具シャンクに取り外し可能に固定された4つの切削部分を有する切削ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
穿孔作業に使用される切削工具の分野には、それに関連付けられた工具シャンクに取り外し可能に固定された3以上の切削部分を有する切削ヘッドの例がいくつかある。
【0003】
米国特許第10,173,271号明細書は、前端にヘッド受けポケットと、ヘッド受けポケットから長手方向軸線に沿って後方に延在する複数のチップ縦溝と、を有する工具シャンクを開示している。ヘッド受けポケットは、長手方向軸線に対して横方向の支持面を有する。中央凹部が、支持面に形成され、かつ、支持面から後方に延在している。中央凹部は、複数の中間部分と周方向に交互に配置されて複数の中間部分と離間された、弾性変位可能な複数の当接部分を有している。各当接部分は、径方向内側に面する当接面を有し、各中間部分は、周方向に隣接する2つの当接面に交差する中間面を有する。回転切削工具は、シャンクと、シャンクに取り外し可能に装着された切削ヘッドと、を含む。切削ヘッドは、ベース面と、ベース面から突出する係合部材と、が設けられた装着部分を有する。組立位置では、係合部材は、複数の当接面に対して中央凹部内に弾性的に保持される。
【0004】
米国特許第11,110,521号明細書は、キャップ部分と、キャップ部分に結合された剛体の装着突起と、を有する、第1軸線回りに回転可能な切削ヘッドを開示している。キャップ部分は、複数のヘッドチップ縦溝と周方向に交互に配置された複数の切削部分と、軸線方向後方向に面するヘッドベース面と、を有する。装着突起は、第1軸線回りに回転対称性を示し、ヘッドベース面から軸線方向後方に延在し、かつ、装着突起は、周方向に離間された複数の凸状クランプ面を有する。複数の切削部分は切削直径を規定し、複数のヘッドチップ縦溝は、第1直径を有する仮想第1円によって内接され、かつ、複数のクランプ面は、第2直径を有する仮想第2円によって外接される。第1直径は第2直径よりも大きく、第2直径は切削直径の40%未満である。
【0005】
本発明の目的は、4つの切削部分を有する改良された切削ヘッドを提供することである。
【0006】
また、本発明の目的は、工具シャンクに取り外し可能に固定された場合に良好な安定性を有する改良された切削ヘッドを提供することである。
【0007】
本発明のさらなる目的は、耐用年数が延長された改良された工具シャンクを提供することである。
【発明の概要】
【0008】
本発明によれば、第1回転方向にヘッド軸線回りに回転可能な切削ヘッドが提供され、前記ヘッド軸線は、軸線方向前方向と、前記軸線方向前方向と反対の軸線方向後方向と、を確立し、前記切削ヘッドは、
4つのヘッド縦溝と周方向に交互に配置されたちょうど4つの切削部分と、前記軸線方向後方向に面するヘッドベース面と、を有するキャップ部分であって、
各切削部分は、前記軸線方向前方向に面する前面を有し、かつ、各切削部分は、前記第1回転方向に対して周方向に隣接して回転方向前方のヘッド縦溝に交差して、径方向に延在する切れ刃を形成する、キャップ部分と、
前記ヘッドベース面から軸線方向後方に延在し、かつ、周方向に離間されたちょうど2つの凸状クランプ面を有する剛体の装着突起と、を備え、
前記ヘッド軸線に垂直で、かつ、2つの前記クランプ面で前記装着突起に交差する第1水平面に沿った断面において、2つの前記クランプ面のみが、第1直径と、前記ヘッド軸線に一致する中心と、を有する仮想第1円によって外接される。
【0009】
また、本発明によれば、回転切削工具が提供され、前記回転切削工具は、
その前端にヘッド受けポケットと、シャンク軸線に沿って前記前端から離れるように延在する4つのシャンク縦溝と、を有する長尺の工具シャンクと、
前記ヘッド受けポケットに取り外し可能に固定された前述したタイプの切削ヘッドと、を備える。
【0010】
より良い理解のため、添付の図面を参照して、例示のみを目的として本発明を説明する。図面において、鎖線は、部材の部分図の切断境界を表す。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明のある実施形態に係る切削ヘッドの斜視図である。
図2図1に示す切削ヘッドの側面図である。
図3図1に示す切削ヘッドの平面図である。
図4図2に示す切削ヘッドのIV-IV線に沿った断面図である。
図5図2に示す切削ヘッドのV-V線に沿った断面図である。
図6図2に示す切削ヘッドのVI-VI線に沿った断面図である。
図7図3に示す切削ヘッドのVII-VII線に沿った断面図である。
図8】本発明のある実施形態に係る回転切削工具の分解斜視図である。
図9】本発明のある実施形態に係る工具シャンクの端面図である。
図10図9に示す工具シャンクの側面図である。
図11図10に示す工具シャンクのXI-XI線に沿った断面図である。
図12図8に示す回転切削工具のクランプアセンブリの状態の側面図である。
図13図12に示す回転切削工具のXIII-XIII線に沿った断面図である。
図14図8に示す回転切削工具の非クランプアセンブリの状態の側面図である。
図15図14に示す回転切削工具のXV-XV線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の第1態様は、第1回転方向R1においてヘッド軸線AH回りに回転可能な切削ヘッド20に関し、ヘッド軸線AHは、軸線方向前方向DFと、軸線方向前方向DFとは反対の軸線方向後方向DRと、を確立する。
【0013】
本発明のある実施形態では、切削ヘッド20は、好ましくは、炭化タングステンなどの超硬合金を成形プレスして焼結することによって製造されてもよく、かつ、コーティングされていてもいなくてもよい。
【0014】
図1図3に示すように、切削ヘッド20は、キャップ部分22と、キャップ部分22に接合された剛体の装着突起24と、を備える。
【0015】
切削ヘッド20は単一の一体的な構造を有してもよく、かつ、装着突起24は、キャップ部分22と同じ剛性を有してもよく、かつ、弾性変位可能な要素を有していなくてもよい。
【0016】
以下に示すように、キャップ部分22は、装着突起24に設けられた複数の第2凸状クランプ面38の数のちょうど2倍の数である複数の第1切削部分26を有している。
【0017】
図1図3に示すように、キャップ部分22は、4つのヘッド縦溝28と周方向に交互に配置されたちょうど4つの切削部分26と、軸線方向後方向DRに面するヘッドベース面30と、を有する。
【0018】
また図1図3に示すように、各切削部分26は、軸線方向前方向DFに面する前面32を有し、各前面32は、第1回転方向R1に対して、周方向に隣接して回転方向前方のヘッド縦溝28に交差して、径方向に延在する切れ刃34を形成する。
【0019】
本発明のある実施形態では、4つの切れ刃34は同一であってもよい。
【0020】
また、本発明のある実施形態では、4つの切れ刃34は、ヘッド軸線AHを中心に周方向に等間隔に配置されてもよい。
【0021】
さらに、本発明のある実施形態では、2つの直径方向に対向する切削部分26に形成された1対のキースロット36を除いて、キャップ部分22は、ヘッド軸線AHを中心に4回回転対称性を示してもよい。
【0022】
図3に示すように、4つの切れ刃34は、仮想切断円CCに対応する切断直径DCを規定してもよい。
【0023】
本説明及び請求の範囲全体を通じて、4つの切れ刃34の4つの径方向最外点が、切断直径DCを規定し、かつ、仮想切断円CC上にあることに留意されたい。
【0024】
本発明のある実施形態では、切削ヘッド20は穿孔作業に使用されてもよい。
【0025】
図1図3に示すように、剛体の装着突起24は、ヘッドベース面30から軸線方向後方に延在しており、かつ、周方向に離間されたちょうど2つの凸状クランプ面38を有している。
【0026】
本発明のある実施形態では、ヘッド軸線AHを含む第1垂直面PV1が2つのクランプ面38に交差してもよく、2つのクランプ面38は、直径方向に対向する1対のクランプ面38として説明されてもよい。
【0027】
また、本発明のある実施形態では、2つのクランプ面38は部分的に円筒形状に形成されてもよく、図4に示すように、第1垂直面PV1に沿った断面において、2つのクランプ面38はヘッド軸線AHと平行に延在してもよい。
【0028】
本発明の他の実施形態(図示せず)では、2つのクランプ面38は部分的に円錐形状に形成されてもよく、ヘッド軸線AHを含み、かつ、2つのクランプ面38に交差する垂直面に沿った断面において、2つのクランプ面38は、軸線方向後方向DRにヘッド軸線AHから離れるように分岐する。言い換えれば、装着突起24の後方向では、2つのクランプ面38に外接する仮想円の径寸法が増加する。
【0029】
図1及び図2に示すように、装着突起24は、2つのクランプ面38の軸線方向後方に配置された、少なくとも2つの周方向に離間された軸線方向ストッパ部分39を有してもよい。
【0030】
本発明のある実施形態では、第1垂直面PV1は、少なくとも2つの周方向に離間された軸線方向ストッパ部分39のうちの2つに交差してもよく、かつ、図4に示すように、第1垂直面PV1に沿った断面において、前記2つの軸線方向ストッパ部分39は、2つのクランプ面38を越えて径方向に延在してもよい。
【0031】
本発明のある実施形態では、各軸線方向ストッパ部分39は、軸線方向前方向DFに面するストッパ面41を有してもよい。
【0032】
また、本発明のある実施形態では、装着突起24は、ヘッド軸線AH周りに周方向に等間隔に配置されてその遠位端に膨らみ43を形成する4つの軸線方向ストッパ部分39を有してもよい。
【0033】
図5に示すように、本発明の第1態様によれば、ヘッド軸線AHに垂直で、かつ、2つのクランプ面38で装着突起24に交差する第1水平面PH1に沿った断面において、2つのクランプ面38のみが、第1直径D1とヘッド軸線AHに一致する中心とを有する仮想第1円CLによって外接される。
【0034】
図4に戻り、かつ、図5を参照すると、4つの軸線方向ストッパ部分39の各々は、第1仮想円C1の軸線方向投影の径方向外側に延在している。言い換えれば、ヘッド軸線AHに垂直で、かつ、ヘッド軸線AHに一致する中心を有し、かつ、4つの軸線方向ストッパ部分39に外接する仮想円は、第1直径D1よりも大きい直径を有する。
【0035】
本発明のある実施形態では、第1水平面PH1に沿った断面において、装着突起24のどの部分も仮想第1円CLの外側に配置されていなくてもよく、かつ、本説明及び請求の範囲の全体を通じて、仮想第1円CLは2つのクランプ面38のみで装着突起24の全体を外接することに留意されたい。
【0036】
また、本発明のある実施形態では、第1水平面PH1に沿った断面において、2つのクランプ面38は、仮想第1円CLに一致する2つのクランプ円弧40を形成してもよい。
【0037】
さらに、本発明のある実施形態では、第1垂直面PV1は、その中点で2つのクランプ円弧40を二等分してもよい。
【0038】
またさらに、本発明のある実施形態では、第1垂直面PV1は、2つのクランプ面38を二等分してもよい。
【0039】
図5に示すように、第1直径D1は、切断直径DCの40%未満、すなわち、D1<0.40×DCであってもよい。
【0040】
図6に示すように、ヘッド軸線AHに垂直でキャップ部分22に交差する第2水平面PH2に沿った断面において、4つのヘッド縦溝28は、第2直径D2を有し、かつ、ヘッド軸線AHに一致する中心を有する仮想第2円C2によって内接されており、仮想第2円C2は、径方向の最も内側の4つのヘッド縦溝点NHを通過し、各ヘッド縦溝点NHは、4つのヘッド縦溝28のうちの対応の1つに関連付けられている。
【0041】
本発明のある実施形態では、第2直径D2は第1直径D1よりも大きい、すなわち、D2>D1であってもよい。
【0042】
図1図3に示すように、剛体の装着突起24は、周方向に離間された2つの凸状案内面42を有してもよく、2つの案内面42は、2つのクランプ面38と周方向に交互に配置されてもよい。
【0043】
図5に示すように、第1水平面PH1に沿った断面において、2つの案内面42は仮想第1円C1の内側に配置されてもよい。
【0044】
また図5に示すように、第1水平面PH1に沿った断面において、2つの案内面42は、第3直径D3を有し、かつ、ヘッド軸線AHに一致する中心を有する仮想第3円C3によって外接されてもよく、第3直径D3は、第1直径D1未満であるが、第1直径D1の85%より大きく、すなわち、D1>D3>0.85×D1であってもよい。
【0045】
本説明及び請求の範囲の全体を通じて、仮想第3円C3は、第1水平面PH1に沿った断面において2つの案内面42に外接するが、仮想第3円C3は、装着突起24の全体、特に2つのクランプ面38に外接しないことを理解されたい。
【0046】
図5に示すように、第1水平面PH1に沿った断面において、2つの案内面42は、仮想第3円C3に一致する2つの案内円弧37を形成してもよい。
【0047】
本発明のある実施形態では、ヘッド軸線AHを含む第2垂直面PV2が2つの案内面42に交差してもよく、2つの案内面42が、直径方向に対向する1対の案内面42として説明されてもよい。
【0048】
また、本発明のある実施形態では、第2垂直面PV2は、その中点で2つの案内円弧37を二等分してもよい。
【0049】
さらに、本発明のある実施形態では、第2垂直面PV2は、2つの案内面42を二等分してもよい。
【0050】
図5に示すように、第1垂直面PV1と第2垂直面PV2とは互いに垂直であってもよい。
【0051】
本発明のある実施形態では、装着突起24は、ヘッド軸線AHを中心に2回回転対称性を示してもよい。
【0052】
図1図2及び図5に示すように、剛体の装着突起24は、2つのクランプ面38と2つの案内面42とによって周方向に離間された4つの移行面45を有してもよい。
【0053】
本発明のある実施形態では、各移行面45は平面であってもよい。
【0054】
また、本発明のある実施形態では、各移行面45はヘッド軸線AHに平行であってもよい。
【0055】
図1及び図2に示すように、その関連の切れ刃34に隣接する各ヘッド縦溝28上にすくい面44が配置される。
【0056】
図7に示すように、ヘッド軸線AHに平行で、かつ、少なくともその径方向外側部分に沿って切れ刃34のうちの1つを横切る第3垂直面PV3に沿った断面において、すくい面44は、正のすくい角α1で傾斜してもよい。
【0057】
本説明及び請求の範囲の全体を通じて、「正のすくい角」という用語は、すくい面44と、ヘッド軸線AHに平行で関連の切れ刃34に交差する仮想基準線との間に形成された鋭角の外角を指すことに留意されたい。
【0058】
本発明のある実施形態では、すくい角α1は7度より大きく、すなわち、α1>7°であってもよい。
【0059】
図1及び図5に示すように、ヘッドベース面30は、中央ベース領域46と4つの径方向外側ベース領域48とを含み、各ヘッド縦溝28は、4つの径方向外側ベース領域48のうちの1つに交差して、径方向外側ベースエッジ50を形成する。
【0060】
図5に示すように、中央ベース領域46は、装着突起24を完全に囲んでもよい。
【0061】
本発明のある実施形態では、4つの径方向外側ベース領域48と中央ベース領域46とは同一平面上にあってもよい。
【0062】
図5に示すように、第3垂直面PV3は、径方向外側ベースエッジ50のうちの1つに交差する。
【0063】
本発明のある実施形態では、図1及び図5に示すように、接合面52が、その関連の径方向外側ベースエッジ50に隣接して各ヘッド縦溝28上に配置されてもよい。
【0064】
図7に示すように、第3垂直面PV3に沿った断面において、接合面52に接する直線接線LTは、ゼロ又は正の接合角β1で傾斜してもよい。
【0065】
本説明及び請求の範囲の全体を通じて、「ゼロの接合角」という用語は、直線接線LTがヘッド軸線AHに平行である構成を指し、かつ、「正の接合角度」という用語は、直線接線LTと、ヘッド軸線AHに平行で関連の径方向外側ベースエッジ50に交差する仮想基準線との間に形成される鋭角な内角を指すことに留意されたい。
【0066】
本発明のある実施形態では、接合角β1は傾斜角α1よりも小さく、すなわち、β1<α1であってもよい。
【0067】
接合角β1が傾斜角α1よりも小さい本発明の実施形態の場合、図7に示すように、第3垂直面PV3に沿った断面において、接合面52が凹面であってもよいことに留意されたい。
【0068】
また、接合角β1がすくい角α1よりも小さい本発明の実施形態の場合、4つのヘッド縦溝28の各々に最適な大きさの縦溝容積を提供しながら、4つの径方向外側ベース領域48の各々の表面積を有利に増加させ得ることに留意されたい。
【0069】
このような実施形態では、各径方向外側ベース領域48の表面積の増加は、切削ヘッド20が工具シャンクに取り外し可能に固定された場合に切削工具の安定性を高めるのに寄与し、各ヘッド縦溝28に最適な大きな縦溝容積を提供することは、例えば周方向に離間された2つ又は3つのヘッド縦溝のみを有する代替の切削ヘッド構成(図示せず)と比較して、切削ヘッド20が4つの周方向に離間されたヘッド縦溝28を有するように構成された場合により重要であることに留意されたい。
【0070】
図1図3に示すように、各切削部分26は、第1回転方向R1と反対に面するトルク伝達面54を有してもよい。
【0071】
各切削部分26がトルク伝達面54を有し、キャップ部分22がヘッド軸線AHを中心として実質的に4回回転対称性を示す本発明の実施形態の場合、切削ヘッド20は、4つの割り出し位置で工具シャンクに装着されてもよく、それによって、4つのトルク伝達面54の各々が4つのシャンク駆動面のうちの異なる1つに接触し、4つのトルク伝達面54及び4つの割り出し位置は、装着突起24上に設けられた複数の凸状第2クランプ面38の数のちょうど2倍であることに留意されたい。
【0072】
本発明のある実施形態では、各トルク伝達面54は、その関連の切削部分の前面32と径方向外側ベース領域48のうちの1つとの間に配置されてもよい。
【0073】
また、本発明のある実施形態では、各トルク伝達面54は平面であってもよい。
【0074】
さらに、本発明のある実施形態では、図2に示すように、各トルク伝達面54は、その関連の切削部分の前面32から離れて軸線方向後方向DRに延在するにつれて、第1回転方向R1に傾斜してもよい。
【0075】
図8図13に示すように、本発明の第2態様は、長尺の工具シャンク58に固定された切削ヘッド20を有する回転切削工具56に関する。工具シャンク58には、その前端62にヘッド受けポケット60が設けられ、前端62から離れるようにシャンク軸線ASに沿って延在する4つのシャンク縦溝64が設けられ、切削ヘッド20はヘッド受けポケット60に取り外し可能に固定される。
【0076】
ある実施形態では、クランプねじなどの追加の締結部材を必要とせずに、切削ヘッド20をヘッド受けポケット60に取り外し可能に固定してもよい。
【0077】
本説明及び請求の範囲の全体を通じて、切削ヘッド20がヘッド受けポケット60に取り外し可能に固定され、かつ、回転切削工具56が組み立て状態にある場合、4つのシャンク縦溝64が、工具シャンクの前端62から離れるように軸線方向後方向DRに延在することに留意されたい。
【0078】
図8図10に示すように、工具シャンク58の円筒状のシャンク周面65に4つのシャンク縦溝64が形成されてもよい。
【0079】
本発明のある実施形態では、ヘッド軸線AHはシャンク軸線ASに一致してもよい。
【0080】
また、本発明のある実施形態では、4つのシャンク縦溝64はシャンク軸線ASに沿って螺旋状に延在し、4つのヘッド縦溝28は、4つのシャンク縦溝64の対応の延長部分として機能してもよい。
【0081】
さらに、本発明のある実施形態では、工具シャンク58は、好ましくは、工具鋼から製造されてもよい。
【0082】
またさらに、本発明のある実施形態では、回転切削工具56は穿孔作業に使用されてもよい。
【0083】
図8及び図9に示すように、ヘッド受けポケット60は、シャンク軸線ASに対して横方向のシャンク支持面66と、シャンク支持面66に形成された中央凹部68と、を有している。
【0084】
本発明のある実施形態では、中央凹部68は、4つのシャンク縦溝64のいずれとも交差しなくてもよい。
【0085】
図9に示すように、シャンク支持面66は、中央支持領域70と、4つの径方向外側支持領域72と、を含む。
【0086】
本発明のある実施形態では、中央凹部68は中央支持領域70に形成されてもよい。
【0087】
また、本発明のある実施形態では、各径方向外側支持領域72は、シャンク周面65に交差してもよい。
【0088】
さらに、本発明のある実施形態では、4つの径方向外側支持領域72は、同一平面上にあってもよく、かつ、中央支持領域70の軸線方向前方に配置されてもよい。
【0089】
図9及び図11に示すように、中央凹部68は、周方向に離間された4つの弾性変位可能な当接部分74を有しており、各当接部分74は、径方向内側に面する当接面76を有している。
【0090】
本発明のある実施形態では、4つの当接部分74は同一であってもよく、4つの当接面76は、直径方向に対向する2対の当接面76として配列されてもよい。したがって、工具シャンク58は、複数の第3当接面76を有し、複数の第1切削部分26と同じ数であり、かつ、複数の凸状第2クランプ面38の数のちょうど2倍である。
【0091】
本発明のある実施形態では、4つの当接部分74は、独立して弾性変位可能であってもよく、このような実施形態では、4つの当接部分74のうちの1つの径方向の変位によって他の3つの当接部分74のいずれの径方向の変位も引き起こさないことに留意されたい。
【0092】
また、本発明のある実施形態では、中央凹部68は、4つの当接部分74と周方向に交互に配置された4つの中間部分78を含み、各中間部分78は、周方向に隣接する2つの当接面76に交差する中間面80を有してもよい。
【0093】
さらに、本発明のある実施形態では、各中間面80は、周方向に隣接する2つの当接面76から径方向外側に延在してもよい。
【0094】
4つの当接面76が4つの中間面80と周方向に交互に配置される本発明の実施形態では、ヘッド受けポケット60は「周方向に閉じ込められた」中央凹部68を有し、これにより、4つの当接部分74の弾性を向上させ、かつ、工具シャンク58の耐用年数を延ばす。
【0095】
図9及び図11に示すように、切削ヘッド20がヘッド受けポケット60に取り外し可能に固定される前、ヘッド受けポケット60は、シャンク軸線ASを中心に4回回転対称性を示してもよい。
【0096】
また、切削ヘッド20がヘッド受けポケット60に取り外し可能に固定される前、工具シャンク58は、シャンク軸線ASを中心に4回回転対称性を示してもよい。
【0097】
本発明の第2態様によれば、図12及び図13に示すように、装着突起24は、4つの割り出し位置のいずれか1つにおいて中央凹部68内に弾性的に保持され、各割り出し位置において、
ヘッドベース面30はシャンク支持面66に面し、
2つのクランプ面38は、4つの当接面76のうちの2つの作動当接面76’とクランプ接触し、
剛体の装着突起24と4つの当接面76のうちの2つの非作動当接面76’’との間にクランプ接触は発生しない。
【0098】
本説明及び請求の範囲の全体を通じて、2つのクランプ面38と2つの作動当接面76’との間のクランプ接触により、関連の2つの当接部分74が径方向外向きに変位するに留意されたい。
【0099】
また、本説明及び請求の範囲の全体を通じて、剛体の装着突起24と2つの非作動当接面76’’との間にクランプ接触は発生せず、装着突起の2つの案内面42は、2つの非作動当接面76’’にその間に最小限の間隔を有するように面してもよいことに留意されたい。
【0100】
本発明のある実施形態では、各割り出し位置において、ヘッド受けポケット60は、シャンク軸線ASを中心に2回回転対称を示してもよい。
【0101】
切削工具の工具シャンク58が2つの動作構成、すなわち、取り外し可能に固定された切削ヘッド20の装着突起24が、同じ第1対の直径方向に対向する当接面76が作動する、前記4つの割り出し位置のうちの第1割り出し位置又は第2割り出し位置で工具シャンクの中央凹部68内に弾性的に保持される第1作動構成と、取り外し可能に固定された切削ヘッド20の装着突起24が、同じ第2対の直径方向に対向する当接面76が作動する、前記4つの割り出し位置のうちの第3割り出し位置又は第4割り出し位置で工具シャンクの中央凹部68内に弾性的に保持される第2作動構成と、を有することに留意されたい。
【0102】
本発明の回転切削工具56では、工具シャンク58は、その中央凹部68内に、切削ヘッド20がその装着突起24上に有するクランプ面38の数のちょうど2倍の数の、径方向内側に面する当接面76を有している。したがって、完全に組み立てられた回転切削工具56では、工具シャンクの中央凹部68の周方向において、複数の第3当接面76のうち交互の当接面のみが作動する。より具体的には、切削ヘッドの装着突起24上の周方向に離間された複数の第2凸状クランプ面38は、工具シャンクの中央凹部68の周方向に離間され、径方向内側に面する複数の第3当接面76のうちの交互の当接面に当接する。
【0103】
また、2つの作動構成を有することによって、回転切削工具の工具シャンク58の耐用年数が有利に延び得ることにも留意されたい。
【0104】
さらに、工具シャンクの前端62に視覚マーキング又は表示(図示せず)を設けて、直径方向の反対側の第1当接面76及び第2当接面76の対を互いに区別することを可能にしてもよいことにさらに留意されたい。
【0105】
さらに、切削ヘッドのキャップ部分22に配置されたキースロット36は、切削ヘッドの装着突起24上の2つのクランプ面38の位置のための視覚表示を提供してもよく、工具シャンクの中央凹部68内で切削ヘッド20の所望の割り出し位置を選択する場合にこの視覚表示に依存してもことにも留意されたい。
【0106】
4つの当接部分74が独立して弾性変位可能である本発明の実施形態の場合、回転切削工具の工具シャンク58の耐用年数が2倍になり得ることに留意されたい。
【0107】
さらに、工具シャンクの第1作動構成及び第2作動構成の各々の耐用年数の間、複数の切削ヘッド20が、工具シャンクのヘッド受けポケット60に取り外し可能に固定されてもよく、かつ、摩耗後に交換される前に穿孔作業に使用されてもよいことに留意されたい。
【0108】
図12及び図13に示すように、切削ヘッド20がヘッド受けポケット60に取り外し可能に固定され、かつ、回転切削工具56がクランプアセンブリの状態にある場合、ヘッドベース面30はシャンク支持面66に接触し、2つの作動当接面76’にクランプ接触する2つのクランプ面38を除いて、装着突起24の他の部分は中央凹部68にクランプ接触しなくてもよい。
【0109】
本発明のある実施形態では、4つの径方向外側ベース領域48のうち少なくとも3つが、4つの径方向外側支持領域72のうち少なくとも3つに接触してもよい。
【0110】
穿孔作業中、軸線方向後方への切削力によって、通常、4つの径方向外側支持領域72の共平面性に関連する不正確さが克服され、結果として、4つの径方向外側ベース領域48のすべてと4つの径方向外側支持領域72のすべてとが接触することになることに留意されたい。
【0111】
また、本発明のある実施形態では、中央ベース領域46は、中央支持領域70から離間されていてもよい。
【0112】
図13に示すように、シャンク軸線ASに垂直で中央凹部68を通過する第3水平面PH3に沿った断面において、第4直径D4とシャンク軸線ASに一致する中心とを有する仮想第4円C4が2つの作動当接面76’に内接する一方で、第5直径D5とシャンク軸線ASに一致する中心とを有する仮想第5円C5が2つの非作動当接面76’’に内接し、かつ、第4直径D4が第5直径D5よりも大きく、すなわち、D4>D5である。
【0113】
本説明及び請求の範囲の全体を通じて、第3水平面PH3に沿った断面において、中央凹部の4つの当接部分74及び4つの中間部分78のいずれも、仮想第5円C5を横切らなくてもよいことに留意されたい。
【0114】
本発明のある実施形態では、第1水平面PH1及び第3水平面PH3は一致してもよく、第1直径D1は第5直径D5よりも大きい、すなわち、D1>D5であってもよい。
【0115】
また、第1水平面PH1及び第3水平面PH3が一致する本発明の実施形態の場合、第1直径D1は第4直径D4と等しい、すなわち、D1=D4であってもよい。言い換えると、クランプ面38の最も外側の部分の直径は、作動当接面76’の直径に一致してもよい。
【0116】
さらに、第1水平面PH1及び第3水平面PH3が一致する本発明の実施形態の場合、第3直径D3は第5直径D5よりも小さく、すなわち、D3<D5であってもよい。言い換えると、案内面42の最も外側の部分の直径は、非作動当接面76’’の直径よりも小さくてもよい。
【0117】
周方向に離間された4つの弾性変位可能な当接部分74が同一である本発明の実施形態では、図11に示すように、第3水平面PH3に沿った断面において、切削ヘッド20がヘッド受けポケット60に取り外し可能に固定される前、仮想第5円C5が4つの当接面76のすべてに内接していることに留意されたい。
【0118】
また、4つの周方向に離間された弾性変位可能な当接部分74が同一である本発明の実施形態の場合、図11に示すように、第3水平面PH3に沿った断面において、切削ヘッド20がヘッド受けポケット60に取り外し可能に固定される前、4つのシャンク縦溝64は、第6直径D6とシャンク軸線ASに一致する中心とを有する仮想第6円C6に4つの第1縦溝点N1で内接されていることに留意されたい。
【0119】
本発明のある実施形態では、シャンク軸線ASに垂直で、かつ、4つの第1縦溝点N1のうちの1つを含む径方向縦溝軸線AFが、4つの当接面76のうちの1つに交差し、各第1縦溝点N1は、その関連の径方向縦溝軸線AFに沿って、その隣接する当接面76から最小の第1壁厚T1に配置されてもよい。
【0120】
また、本発明のある実施形態では、第6直径D6は、第2直径D2の90パーセントから110パーセントの間、すなわち、D2×0.90<D6<D2×1.10であってもよい。
【0121】
図11に示すように、第3水平面PH3に沿った断面において、切削ヘッド20がヘッド受けポケット60に取り外し可能に固定される前、各シャンク縦溝64は、第1縦溝点N1から離間され、かつ、その隣接する中間面80から最小の第2壁厚T2に配置された第2縦溝点N2を有している。
【0122】
本発明のある実施形態では、最小の第2壁厚T2は、最小の第1壁厚T1と等しい又はそれ未満であり、すなわち、T2<T1であってもよい。
【0123】
最小の第2壁厚T2が最小の第1壁厚T1と等しい又はそれ未満である本発明の実施形態の場合、各シャンク縦溝64とその隣接する中間面80との近接性が、関連の当接部分74の弾性を調節するための主なパラメータであることに留意されたい。
【0124】
図8図10に示すように、工具シャンクの前端62は、シャンク支持面66から突出する4つの駆動突起82を有してもよく、各駆動突起82は、第1回転方向R1に面する径方向外側支持領域72のうちの1つに隣接する駆動面84を有してもよい。
【0125】
本発明のある実施形態では、各駆動面84はシャンク周面65に交差してもよい。
【0126】
切削ヘッド20がヘッド受けポケット60に取り外し可能に固定され、かつ、図12に示すように、回転切削工具56がクランプアセンブリの状態にある場合、4つの駆動面84のうちの少なくとも2つが、4つのトルク伝達面54のうちの少なくとも2つに接触してもよい。
【0127】
2つのクランプ面38と2つの作動当接面76’との間にクランプ接触が生じ、かつ、剛体の装着突起24と2つの非作動当接面76’’との間にはクランプ接触が生じないことによって、工具シャンクの前端62は、非常にわずかなねじりの曲がりを受け得、その結果、4つの駆動面84のうち2つの直径方向に対向する駆動面84のみが、4つのトルク伝達面54のうち2つの直径方向に対向するトルク伝達面54に接触し得るが、穿孔作業中、回転切削力が、通常、前記わずかなねじれの曲がりを克服し、その結果、4つの駆動面84のすべてと4つのトルク伝達面54のすべてとを接触させる。
【0128】
本発明のある実施形態では、4つの駆動面84と4つのトルク伝達面54とは、第1回転方向R1に対して対応して傾斜してもよい。
【0129】
図12に示すように、その関連の径方向外側支持領域72から離れるように延在するにつれて第1回転方向R1から離れて傾斜するように各駆動面84を構成することによって、回転切削力の成分が軸線方向後方に向けられ、かつ、4つの駆動突起82の堅牢性を向上させることに留意されたい。
【0130】
本発明はさらに、回転切削工具56を組み立てる方法に関し、当該方法は、
a)ヘッドベース面30をシャンク支持面66に面するように向けるステップと、
b)ヘッド軸線AHをシャンク軸線ASに位置合わせするステップと、
c)2つのクランプ面38を4つの中間部分78のうちの2つに回転的に位置合わせするステップと、
d)図14に示すように、ヘッドベース面30がシャンク支持面66に接触するまで、装着突起24を中央凹部68内に挿入するステップと、
e)図12に示すように、2つのクランプ面38が4つの当接面76のうちの2つの作動当接面76’に対して弾性的に保持されるまで、切削ヘッド20をそのヘッド軸線AHを中心に第1回転方向R1と反対方向に回転させるステップと、を含む。
【0131】
本発明のある実施形態では、ステップd)において、回転切削工具56は、非クランプアセンブリの状態にあり、これにより、4つの当接部分74のいずれも弾性変位しておらず、図15に示すように、第3水平面PH3に沿った断面において、第7直径D7とシャンク軸線ASに一致する中心とを有する仮想第7円C7が4つの当接面76のすべてに内接してもよい。
【0132】
第1水平面PH1及び第3水平面PH3が一致する本発明の実施例では、第1直径D1は第7直径D7よりも大きい、すなわち、D1>D7であるが、2つのクランプ面38が4つの中間部分78のうちの2つと回転方向に整列しているので、4つの当接部分74のいずれにも径方向外向きの力FRは作用せず、ヘッド受けポケット60は、切削ヘッド20がそこに取り外し可能に固定される前の状態と同一の構成を有する。
【0133】
また、本発明のある実施形態では、ステップd)において、ヘッド受けポケット60は、シャンク軸線ASを中心に4回回転対称性を示してもよい。
【0134】
ステップe)は、通常、切削ヘッドのキースロット36に係合する組立工具(図示せず)を使用して実行されることに留意されたい。
【0135】
本発明のある実施形態では、ステップe)において、回転切削工具56がクランプアセンブリの状態になるまで、切削ヘッド20は、工具シャンクの中央凹部68に対してそのヘッド軸線AH回りに約45度回転させられてもよい。
【0136】
また、ステップe)は、通常、4つの駆動面84のうちの少なくとも2つが4つのトルク伝達面54のうちの少なくとも2つに接触するまで実行されることに留意されたい。
【0137】
また、本発明のある実施形態では、ステップe)において、2つの作動当接面76’に関連する2つの当接部分74が弾性的に変位させられ、図13に示すように、第3水平面PH3に沿った断面において、仮想第4円C4が2つの作動当接面76’に内接し、第4直径D4が第7直径D7よりも大きく、すなわち、D4>D7である。
【0138】
さらに、ステップe)では、2つのクランプ面38によって、2つの作動当接面76’に関連付けられた前記2つの当接部分74に、径方向外向きの力FRが作用することに留意されたい。
【0139】
さらに、本発明のある実施形態では、ステップe)において、2つの非作動当接面76’’に関連付けられた2つの当接部分74は弾性的に変位させられず、図13に示すように、第3水平面PH3に沿った断面において、仮想第5円C5が2つの非作動当接面76’’に内接し、第5直径D5が第7直径D7に等しく、すなわち、D5=D7である。
【0140】
ステップe)では、2つの非作動当接面76’’に関連付けられた前記2つの当接部分74に、径方向外向きの力FRが作用しないことにもさらに留意されたい。
【0141】
さらにまた、本発明のある実施形態では、ステップe)において、ヘッド受けポケット60は、シャンク軸線ASを中心に2回回転対称性を示してもよい。
【0142】
本発明は、ある程度詳細に説明されたが、以下に特許請求される本発明の範囲から逸脱することなく、さまざまな変更及び修正が可能であることに留意されたい。

図1
図2
図3
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図5
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【国際調査報告】