(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料の製造方法、及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
B01J 20/20 20060101AFI20241108BHJP
B01J 20/30 20060101ALI20241108BHJP
C02F 1/28 20230101ALI20241108BHJP
B09B 3/35 20220101ALI20241108BHJP
B09B 3/38 20220101ALI20241108BHJP
B09B 3/40 20220101ALI20241108BHJP
C01B 32/05 20170101ALI20241108BHJP
B09B 101/30 20220101ALN20241108BHJP
B09B 101/85 20220101ALN20241108BHJP
【FI】
B01J20/20 D
B01J20/30
C02F1/28 D
B09B3/35 ZAB
B09B3/38
B09B3/40
C01B32/05
B09B101:30
B09B101:85
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526936
(86)(22)【出願日】2023-10-26
(85)【翻訳文提出日】2024-05-07
(86)【国際出願番号】 CN2023126748
(87)【国際公開番号】W WO2024083260
(87)【国際公開日】2024-04-25
(31)【優先権主張番号】202310101850.X
(32)【優先日】2023-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521088468
【氏名又は名称】生態環境部南京環境科学研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】林 暁晨
(72)【発明者】
【氏名】張 后虎
(72)【発明者】
【氏名】張 聖虎
(72)【発明者】
【氏名】許 一凡
(72)【発明者】
【氏名】孫 孜菲
(72)【発明者】
【氏名】郭 宏基
(72)【発明者】
【氏名】李 学健
(72)【発明者】
【氏名】許 元順
(72)【発明者】
【氏名】張 大鵬
(72)【発明者】
【氏名】王 莉莉
【テーマコード(参考)】
4D004
4D624
4G066
4G146
【Fターム(参考)】
4D004AA12
4D004AA16
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4G146BC23
4G146BC34B
4G146DA02
(57)【要約】
本発明は、赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料の製造方法及び使用を開示し、藁を自然乾燥させ、又は乾燥させてから粉砕し、バイエル法における赤泥を乾燥させ、粉状に破砕し、次いで、粉砕した藁と粉状の赤泥とをボールミルで混合して、藁-赤泥混合粉末を得、アルカリ金属に富むバイオマス灰を水と混合し、浸出してバイオマス灰抽出液及び脱アルカリ化したバイオマス灰固体残渣を得、藁-赤泥混合粉末とバイオマス灰抽出液とを均一に混合撹拌して、ペースト状混合物を得、保護雰囲気下で共熱分解し、共熱分解によって生成された磁性藁由来のバイオ炭を中性になるまで水洗して、赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料を得る。本発明は、藁由来のバイオ炭の典型的な抗生物質フルオロキノロン類への吸着速度及び吸着量を大幅に向上させて、藁由来のバイオ炭に磁性を付与し、後続の選別及びリサイクルに有利である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料の製造方法であって、
藁を自然乾燥させ、又は乾燥させてから粉砕する第1のステップと、
バイエル法における赤泥を乾燥させ、粉状に破砕する第2のステップと、
第1のステップで粉砕した藁と第2のステップでの粉状の赤泥とをボールミルで混合して、藁-赤泥混合粉末を得る第3のステップと、
アルカリ金属に富むバイオマス灰を水と混合し、浸出してバイオマス灰抽出液及び脱アルカリ化したバイオマス灰固体残渣を得る第4のステップと、
第3のステップでの藁-赤泥混合粉末と第4のステップで得られたバイオマス灰抽出液とを均一に混合撹拌して、ペースト状混合物を得る第5のステップと、
第5のステップでのペースト状混合物を保護雰囲気下で共熱分解し、熱分解温度が400~1000℃であり、保温時間が10分~5時間であり、共熱分解によって生成された磁性藁由来のバイオ炭を中性になるまで水洗して、赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料を得る第6のステップと、を含む、ことを特徴とする赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料の製造方法。
【請求項2】
第1のステップにおいて、藁を、含水率が、5wt%未満になるまで自然乾燥させ、又は乾燥させ、120メッシュ以下に粉砕し、第2のステップにおいて、前記赤泥中のFe
2O
3含有量を30wt%以上にし、含水率が、2wt%未満になるまで乾燥させる、ことを特徴とする請求項1に記載の赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料の製造方法。
【請求項3】
第3のステップにおいて、全混合物の5質量%~85質量%である粉状の赤泥を藁とボールミル混合し、混合時間が4~72時間である、ことを特徴とする請求項1に記載の赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料の製造方法。
【請求項4】
第4のステップにおいて、前記アルカリ金属に富むバイオマス灰は、広葉樹灰、麦藁灰、籾殻灰、綿茎灰、ヒマワリ茎灰のいずれか1種又は2種以上の混合物から選択され、バイオマス灰と、水と、は質量比1:0.5~4で混合され、浸出方法は固液混合後の濾過分離を用いるか、又は、カラム式透析濾過浸出を使用し、浸出後に生成された脱アルカリ化バイオマス灰固体残渣を肥料として利用する、ことを特徴とする請求項1に記載の赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料の製造方法。
【請求項5】
第5のステップにおいて、藁-赤泥混合粉末とバイオマス灰抽出液とを質量比1:0.2~4で混合し、藁-赤泥混合粉末とバイオマス灰抽出液とを均一に撹拌し、ペースト状混合物を形成し、0.5~2時間静置して十分に固液反応させ、バイオマス灰抽出液中のイオンと赤泥中の可溶性アルカリ金属とを水の助けを借りて藁粒子の内部に拡散させる、ことを特徴とする請求項1に記載の赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料の製造方法。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の製造方法により製造された、赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料。
【請求項7】
請求項6に記載の赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料を下水処理における吸着剤として使用する、使用方法。
【請求項8】
請求項6に記載の赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料を下水処理における吸着剤として、水中のフルオロキノロン系抗生物質を除去するために使用する、使用方法であって、
赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料と処理対象下水とを均一に混合し、下水中のフルオロキノロン系抗生物質を十分に吸着する、ステップS1と、
フルオロキノロン系抗生物質が吸着された赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料を磁力により処理終了後の廃水から分離する、ステップS2と、
分離されたフルオロキノロン系抗生物質が吸着された赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料を、保護雰囲気で300~700℃、保温時間10~60分間で熱分解し再生する、ステップS3と、
ステップS3で熱分解し再生した赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料を、下水中のフルオロキノロン系抗生物質の吸着に改めて用いる、ステップS4と、を含む、ことを特徴とする使用方法。
【請求項9】
前記フルオロキノロン系抗生物質には、オフロキサシン、ノルフロキサシン、シプロフロキサシン、ペフロキサシン、エノキサシンの少なくとも1種が含まれる、ことを特徴とする請求項8に記載の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形廃棄物資源化再利用の分野に属し、具体的には、赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料の製造方法、及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
中国では、年間約9億トンの藁が、生産されており、飼料として使用されるごく一部を除き、主に畑の肥料として利用されており、ほとんど価値を生み出していない。バイオ炭や活性炭は、価値の高い吸着材としてよく使われるが、通常の藁由来のバイオ炭は、吸着力が弱いため、価値が低い。藁や農林業廃棄物は、エネルギーを生成するバイオマス燃料として一部利用されており、その際の二次廃棄物は、主にバイオマス灰である。バイオマス灰は、アルカリ性で、リン、マグネシウム、可溶性ケイ素などの栄養素に富み、肥料として利用できるとともに、酸性土壌の改良にも利用できる。しかし、中国西部及び北部の広大な地域のアルカリ性土壌では、バイオマス灰を直接施用することで土壌の塩類化を悪化させ、バイオマス灰の総合的利用が、抑制される。
【0003】
赤泥は、中国で生産量の最も多い非鉄金属廃棄物残渣であり、赤泥の95%が、バイエル法によって生産され、年間生産量は、約1億2000万トンである。バイエル法における赤泥には、一定量の酸化鉄が含まれるが、選別・濃縮が難しく、精製価値がなく、総合利用率が、5%未満である。赤泥の堆積したものは、広大な土地を占有し、環境や安全上の危険を引き起こし、赤泥の総合的な利用方法を見つけることが、急務となっている。山東省や河南省などは、赤泥の主要な生産地域であるだけでなく、食糧の生産地域でもあるため、藁と赤泥を協同して利用できれば、固形廃棄物の処理負担を大幅に軽減できる。
【0004】
フルオロキノロン系抗生物質は、安価で広域抗菌性があり、薬剤耐性が発生しにくいため、ヒトや動物に汎用される薬物である。しかし、フルオロキノロン系抗生物質は、水中で分解しにくく、大量に使用することにより環境中にこれらの抗生物質が蓄積され、環境に大きな脅威をもたらす。一般的に使用されるフルオロキノロン系抗生物質には、オフロキサシン、ノルフロキサシン、シプロフロキサシン、ペフロキサシン、エノキサシンなどがある。吸着は、フルオロキノロン系抗生物質を除去する重要な手段である。
【0005】
藁由来のバイオ炭は、灰分の含有量が高く、比表面積が小さく、吸着能力が弱く、経済的価値が低い。赤泥中の鉄は、選別による濃縮が難しく、精錬する価値がなく、総合的に利用することが難しい。赤泥は、比表面積が小さく、抗生物質などの有機汚染物質に対する吸着能力が極めて低いため、赤泥により製造された吸着材は、主に重金属などの無機汚染物質に使用され、有機汚染物質への関与は、比較的少ない。
【0006】
中国特許第110586038号明細書及び中国特許第109847697号明細書には、バイオ炭にナノスケールのゼロ価鉄を担持させて、汚染物質を効率的に除去する方法が提案されているが、これらの方法では、ゼロ価鉄の原料として鉄塩又は第一鉄塩を使用する必要があり、製造コストが高くなる。中国特許第107051413号明細書及び中国特許第108543517号明細書には、赤泥、炭素源及びバインダーを混合して、酸素バリアで焼成して磁性材料を生成し、廃水中の重金属イオンを濃縮回収し、赤泥を用いて磁性吸着剤を製造することができる可能性が開示されている。中国特許出願公開第106362685号明細書には、赤泥と、バイオマスと、の共熱分解生成物により、水から砒素を除去する方法が開示される。中国特許出願公開第113522238号明細書では、廃水中の重金属を除去するための赤泥ベースの鉄-炭素複合材料及びその製造方法及び使用方法が紹介されているが、当該方法において赤泥を酸溶液で処理する必要があり、脱アルカリを予め行い、大量の酸性廃水を生成し、複合材料の吸着性能が元のバイオ炭よりも向上することは示されていない。前記バイオ炭材料は、製造過程が煩雑で、コストが高いという欠点があり、藁や、赤泥などの固形廃棄物の資源化利用に適さず、さらに、製造されたバイオ炭材料は、主に重金属を対象とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、以下のとおりである。本発明が解決しようとする技術的課題は、従来技術の欠点に対して、赤泥、バイオマス灰及び藁の協同利用によって、総合利用製品の品質及び価値を向上させ、固形廃棄物の再利用を実現し、経済的利益を生み出す赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の技術的手段を採用する。
【0009】
赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料の製造方法は、
藁を自然乾燥させ、又は乾燥させてから粉砕する第1のステップと、
バイエル法における赤泥を乾燥させ、粉状に破砕する第2のステップと、
第1のステップで粉砕した藁と、第2のステップでの粉状の赤泥と、をボールミルで混合して、藁-赤泥混合粉末を得る第3のステップと、
アルカリ金属に富むバイオマス灰を水と混合し、浸出してバイオマス灰抽出液及び脱アルカリ化したバイオマス灰固体残渣を得る第4のステップと、
第3のステップでの藁-赤泥混合粉末と、第4のステップで得られたバイオマス灰抽出液と、を均一に混合撹拌して、ペースト状混合物を得る第5のステップと、
第5のステップでのペースト状混合物を保護雰囲気下で共熱分解し、熱分解温度が400~1000℃(好ましくは500~850℃)であり、保温時間が10分~5時間(好ましくは30分~3時間)であり、共熱分解によって生成された磁性の藁由来のバイオ炭を中性になるまで水洗して、赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料を得る第6のステップと、を含む。
【0010】
具体的には、第1のステップにおいて、藁を、含水率が、5wt%未満になるまで自然乾燥させ、又は乾燥させ、120メッシュ以下に粉砕し、第2のステップにおいて、前記赤泥中のFe2O3含有量を30wt%以上にし、含水率が、2wt%未満になるまで乾燥させる。残留水分によるボールミルポットへの付着が発生して、効果に影響を与えることを防止するように、ボールミリング前に赤泥及び藁を乾燥させる。
【0011】
具体的には、第3のステップにおいて、全混合物の5質量%~85質量%、好ましくは、10質量%~65質量%である粉状の赤泥を藁とボールミル混合し、混合時間が4~72時間、好ましくは、12~24時間である。2種類の物質粒子の混合及び入れ子化が、ボールミルの機械的プロセスにおいて達成される。
【0012】
具体的には、第4のステップにおいて、前記アルカリ金属に富むバイオマス灰は、広葉樹灰、麦藁灰、籾殻灰、綿茎灰、ヒマワリ茎灰のいずれか1種又は2種以上の混合物から選択され、バイオマス灰と、水と、は、質量比1:0.5~4(好ましくは1:1~1.5)で混合され、浸出方法は、固液混合後の濾過分離、又は、カラム式透析濾過浸出を使用し、浸出後に生成されたバイオマス灰抽出液は、アルカリ性物質を豊富に含み、藁由来のバイオ炭の品質を改質により向上させ、残りのアルカリ性の低い固体は、リン、マグネシウム及び可溶性ケイ素に富み、易溶性物質が減少し、生成された脱アルカリ化バイオマス灰固体残渣を肥料として利用し、土壌の塩類化のリスクを低減する。
【0013】
好ましくは、第5のステップにおいて、藁-赤泥混合粉末と、バイオマス灰抽出液と、を質量比1:0.2~4で混合し、藁-赤泥混合粉末とバイオマス灰抽出液とを均一に撹拌し、ペースト状混合物を形成し、0.5~2時間静置して十分に固液反応させ、バイオマス灰抽出液中のイオンと、赤泥中の可溶性アルカリ金属と、を水の助けを借りて藁粒子の内部に拡散させる。
【0014】
好ましくは、第6のステップにおいて、前記保護雰囲気が、窒素ガスであり、窒素ガスの毎分流量が、炉の体積の3%~30%であり、酸素ガスが、炉内に入って生成物を酸化することを防止するとともに、高流速による生成量の低下を防止する。
【0015】
共熱分解反応の過程において、アルカリが、炭素と反応して、バイオ炭の細孔の発達を促進し、赤泥中の酸化鉄が、還元されて、材料の磁性の源でありバイオ炭材料に磁性を付与する四三酸化鉄及び鉄元素を生成する。そして、熱分解の過程においてアルカリ金属及び赤泥中のFe、Si、Al、Na、Tiなどの元素が、バイオ炭と固相反応して、サブミクロンレベルの均質構造を形成し、藁由来のバイオ炭の吸着サイトを向上させる。
【0016】
さらに、前記製造方法で製造された赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料も、本発明の保護範囲にある。
【0017】
さらに、本発明は、さらに赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料を下水処理における吸着剤として使用する、使用方法について保護を求める。
【0018】
よりさらに、本発明は、赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料を吸着剤として、下水処理において水中のフルオロキノロン系抗生物質を除去するために使用する、使用方法について保護を求め、具体的には、
赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料と、処理対象下水と、を均一に混合し、下水中のフルオロキノロン系抗生物質を十分に吸着するステップS1と、
フルオロキノロン系抗生物質が吸着された赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料を磁力により処理終了後の廃水から分離するステップS2と、
分離されたフルオロキノロン系抗生物質が吸着された赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料を、保護雰囲気で300~700℃、保温時間10~60分間で熱分解し再生するステップS3と、
ステップS3で熱分解し再生した赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料を、下水中のフルオロキノロン系抗生物質の吸着に改めて用いるステップS4と、を含む。
【0019】
ステップS3において、熱分解し再生する温度は、バイオ炭の本体構造を変化させることなく吸着されたフルオロキノロン系抗生物質を分解させるように、赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料の初回の製造温度より100℃以上低くする必要がある。さらに、使用した際に部分的に酸化された磁性粒子が、高温還元雰囲気下で再生される。
【0020】
具体的には、上記フルオロキノロン系抗生物質には、オフロキサシン、ノルフロキサシン、シプロフロキサシン、ペフロキサシン、エノキサシンなどの少なくとも1種が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【発明の効果】
【0021】
(1)本発明は、藁由来のバイオ炭及び赤泥の使用価値及び経済価値を向上させ、種々の固形廃棄物の協同利用を実現する。この方法で製造された藁由来のバイオ炭は、高価なナノスケールゼロ価鉄複合バイオ炭よりも安価であり、性能が高く、磁性を有し、吸着飽和後の磁気分離によるリサイクルを容易にし、さらに、熱分解によって再生利用し、再生利用性能に優れ、藁由来のバイオ炭の吸着材としての有用性及び商品価値を大幅に向上させる。山東省や河南省などは、食糧生産が盛んな地域であるだけでなく、アルミニウム産業が盛んな地域でもあり、藁及び赤泥の生産量が多いが、この方法は、藁及び赤泥に価値の高い資源化方法を提供するだけでなく、一般的な方法よりも藁の利用時の温室効果ガス排出量を削減し、バイオマス灰の利用時の土地の塩類化のリスクを低減する。
【0022】
(2)本発明は、藁及び赤泥という2種類の固形廃棄物をボールミル、バイオマス灰抽出+液体含浸、共熱分解などによって処理することにより、鉄、炭素元素のサブミクロンスケールでの均質な複合を実現し、多量の高効率な吸着ポイントを提供し、藁由来のバイオ炭のフルオロキノロン系抗生物質への吸着速度及び吸着量を大幅に向上させ、そして、藁由来のバイオ炭に磁性を付与し、選別及びリサイクルが容易になる。リサイクルされた吸着剤は、熱分解によって吸着されたフルオロキノロン系抗生物質を分解させることができ、複数回再生利用することができ、廃棄物で廃棄物を処理することを実現し、藁由来のバイオ炭の利用価値及び経済的価値を向上させる。
【0023】
(3)本発明で使用された藁由来のバイオ炭は、簡単な磁性によるリサイクルをされた後に、熱分解し再生することができ、リサイクルされた製品の性能の減衰が小さく、複数回繰り返し使用することができ、使用コストを著しく削減し、製品の価値を向上させる。300~700℃の温度で、吸着されたフルオロキノロン系抗生物質が分解し、藁由来のバイオ炭の吸着性能が回復し、10回繰り返し使用しても吸着性能の減衰が見られなかった。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明の上記及び/又は他の利点は、添付図面及び具体的な実施形態と合わせて以下で本発明をさらに詳細に説明することにより、より明らかになるであろう。
【0025】
【
図1】実施例1における赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料の抗生物質除去率の効果を示す図である。
【
図2】実施例1における赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料の磁性分離の効果を示す図である。
【
図3】実施例1における赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料の走査型電子顕微鏡写真と元素分布を示す図である。
【
図4】実施例2における赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料の10サイクル後の抗生物質除去率の効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下の実施例により、本発明をより良く理解することができる。
【0027】
(実施例1)
一、磁性藁由来のバイオ炭の製造
1.原料の準備
藁は、江蘇省連雲港の麦藁から採取し、赤泥は、山東省のある酸化アルミニウム企業の赤泥貯蔵場から採取し、使用した水は、実験室で作られた超純水である。藁を切断し、105℃のオーブンで一定の重量になるまで乾燥させ、ブレード型漢方薬粉砕機を用いて粉砕し、125μmの篩(120メッシュ)にかけた。赤泥を105℃のオーブンで一定の重量になるまで乾燥させ、ジョークラッシャーを用いて破砕した後、50メッシュの篩にかけた。藁と、赤泥と、をボールミルポットに9:1の割合で添加し、回転速度350rpmで16時間粉砕してから取り出し、原料混合物Aとした。
【0028】
麦藁をマッフル炉で一定の重量になるまで1000℃で燃焼させて、バイオマス灰を得た。ビーカーにバイオマス灰:水を1:4の割合で混合し、60℃に加熱して2時間撹拌混合した後、ろ過して固液分離させ、得られた溶液をバイオマス灰抽出液Bとした。
【0029】
2.磁性バイオ炭の製造
原料混合物Aと、バイオマス灰抽出液Bと、を質量比1:2で、石英ガラスボート内でガラス棒を用いて均一に混合撹拌し、石英ガラスボートを管状炉に送り込み、管状炉を密閉し、窒素ガスを300ml/minの速度で導入し、管内の酸素ガスを追い出し、60分間静置して固体と液体を十分に混合させる。次いで、10℃/minで500℃まで昇温し、120分間保温した。炉で室温まで冷めてから取り出し、赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料を得た。
【0030】
3.フルオロキノロン系抗生物質の吸着
比較として、(1)このステップで得られた赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料(MBC)と、(2)同じ熱分解条件で製造された麦藁由来のバイオ炭(BC)と、(3)この麦藁由来のバイオ炭上にゼロ価鉄ナノ粒子を化学的に沈殿させて得られた磁性バイオ炭素(BC+Fe
0-NP)と、(4)この藁由来のバイオ炭上に四三酸化鉄ナノ粒子を化学的に沈殿させて得られた磁性バイオ炭素(BC+Fe
3O
4-NP)と、を、濃度20mg/Lのオフロキサシン溶液50mlに加え、各グループで3つの並行試験を行い、シェーカーで混合し、オフロキサシン抗生物質濃度の変化を定期的にサンプリングしてモニターした。結果は、
図1に示した。
【0031】
磁性バイオ炭(BC+Fe0-NP)の製造方法は、以下のとおりである。75%エタノールに1.0gのBCと0.15gのFeCl3・6H2Oとを加え、60分間撹拌混合し、窒素ガス雰囲気下で10g/LのNaBH4溶液を10mlゆっくりと滴下し、30分間撹拌を続けた後、ろ過し分離してBC+Fe0-NPを得る。
【0032】
磁性バイオ炭(BC+Fe3O4-NP)の製造方法は、以下のとおりである。窒素ガス雰囲気下での蒸留水に0.1gのFeCl3・6H2Oと0.0368gのFeCl2・4H2Oを溶解して、1.0gのBCを加えて、30分間機械的に撹拌混合して、アンモニア水を滴下してpH値を10~11の間に調整して、80℃に加熱して、30分間撹拌し続けて、その間に窒素ガスを導入し続けてアンモニア水を加えてpH値を10~11の間に保持し、次いで、ろ過し、分離してBC+Fe3O4-NPを得、それぞれ0.1gのMBC、BC、BC+Fe0-NP及びBC+Fe3O4-NPを秤量した。
【0033】
直接熱分解して得られた麦藁由来のバイオ炭(BC)の抗生物質に対する除去率は、90%を超えることができず、平衡時間が長く、曲線の成長が遅く、高価なナノスケールのゼロ価鉄又は四三酸化鉄ナノ粒子を化学的に沈殿させることによって改質されたバイオ炭(BC+Fe
0-NPとBC+Fe
3O
4-NP)は、平衡時間を著しく短縮することができ、処理効率を向上させることができるが、除去率を向上させることができず、赤泥中の酸化鉄が還元されて四三酸化鉄及び鉄元素を生成し、四三酸化鉄及び鉄元素が材料の磁性の源であり、バイオ炭材料に磁性を付与することが分かった。そして、
図3からわかるように、熱分解の過程において、アルカリ金属及び赤泥中のFe、Si、Al、Na、Tiなどの元素が、バイオ炭と固相反応し、サブミクロンレベルの均質構造を形成し、藁由来のバイオ炭の吸着ポイントを向上させる。本発明によって得られた赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料(MBC)の使用において、吸着効率及び除去率の両方が、大幅に向上され、固形廃棄物原料を使用して高価なナノ材料よりも優れた効果を達成する。
【0034】
4.磁性分離
実験が完了した後に、磁石を用いて赤泥による藁由来のバイオ炭素磁性補強材料を固液分離し、リサイクルを容易にすることができる(
図2参照)。簡単な磁石から発生する磁性により、フルオロキノロン系抗生物質が吸着された赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料を水から分離することができることが分かった。
【0035】
(実施例2)
一、磁性藁由来のバイオ炭の製造
1.原料の準備
藁は、江蘇省南京の麦藁から採取し、赤泥は、河南省のある酸化アルミニウム企業のゲージプレスの赤泥排出口から採取し、使用した水は、実験室で作られた超純水である。藁を切断し、105℃のオーブンで一定の重量になるまで乾燥させ、ブレード型漢方薬粉砕機を用いて粉砕し、125μmの篩(120メッシュ)にかけた。赤泥を105℃のオーブンで一定の重量になるまで乾燥させ、ジョークラッシャーを用いて破砕した後、50メッシュの篩にかけた。藁と、赤泥と、をボールミルポットに2:1の割合で添加し、回転速度350rpmで5時間粉砕してから取り出し、原料混合物A’とした。
【0036】
プラタナスの枝と葉の混合物をマッフル炉で一定の重量になるまで900℃で燃焼させて、バイオマス灰を得た。バイオマス灰をプレキシガラスカラムに入れ、蠕動ポンプを用いて水を下から上にカラムに入れ、ダイアフィルトレーション方式で浸出し、前段のバイオマス灰と等重量の抽出液を集め、バイオマス灰抽出液B’と表記した。
【0037】
2.磁性バイオ炭の製造
原料混合物A’と、バイオマス灰抽出液B’と、を質量比1:0.5で、石英ガラスボート内でガラス棒を用いて均一に混合撹拌し、石英ガラスボートを管状炉に送り込み、管状炉を密閉し、窒素ガスを300ml/minの速度で導入し、管内の酸素ガスを追い出し、60分間静置して固体と液体を十分に混合させる。次いで、10℃/minで800℃まで昇温し、120分間保温した。炉で室温まで冷めてから取り出し、赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料を得た。
【0038】
3.フルオロキノロン系抗生物質の吸着
赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料0.3gを秤量して濃度20mg/Lのシプロフロキサシン抗生物質溶液50mlに加え、シェーカーで24時間平衡化した後、シプロフロキサシン抗生物質の濃度を測定し、除去率を計算した。
【0039】
4.リサイクルと再利用
吸着実験終了後、使用した赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料を磁力により分離し、管状炉内で、窒素ガス雰囲気下で、700℃で熱分解し再生した。再生した赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料を、シプロフロキサシン抗生物質の吸着に引き続き使用される。
【0040】
ステップ3、4を繰り返す。
図4からわかるように、10回繰り返し使用した後に、赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料の抗生物質に対する除去効率は明らかに低下せず、リサイクル性能が安定し、使用コストを著しく削減できることが示された。
【0041】
本発明は、赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料の製造方法及び使用方法を提供し、具体的にこの技術的手段を実現する方法やアプローチは多く、以上の説明は単に本発明の好ましい実施形態に過ぎず、当業者にとっては、本発明の原理から逸脱しない限り、更なる改良及び修飾を行うことができ、これらの改良及び修飾も本発明の保護範囲と見なされるべきであることを留意されたい。本実施例において明確にしていない各構成要素は、従来技術を用いて実現することができる。
【0042】
(付記)
(付記1)
赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料の製造方法であって、
藁を自然乾燥させ、又は乾燥させてから粉砕する第1のステップと、
バイエル法における赤泥を乾燥させ、粉状に破砕する第2のステップと、
第1のステップで粉砕した藁と第2のステップでの粉状の赤泥とをボールミルで混合して、藁-赤泥混合粉末を得る第3のステップと、
アルカリ金属に富むバイオマス灰を水と混合し、浸出してバイオマス灰抽出液及び脱アルカリ化したバイオマス灰固体残渣を得る第4のステップと、
第3のステップでの藁-赤泥混合粉末と第4のステップで得られたバイオマス灰抽出液とを均一に混合撹拌して、ペースト状混合物を得る第5のステップと、
第5のステップでのペースト状混合物を保護雰囲気下で共熱分解し、熱分解温度が400~1000℃であり、保温時間が10分~5時間であり、共熱分解によって生成された磁性藁由来のバイオ炭を中性になるまで水洗して、赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料を得る第6のステップと、を含む、ことを特徴とする赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料の製造方法。
【0043】
(付記2)
第1のステップにおいて、藁を、含水率が、5wt%未満になるまで自然乾燥させ、又は乾燥させ、120メッシュ以下に粉砕し、第2のステップにおいて、前記赤泥中のFe2O3含有量を30wt%以上にし、含水率が、2wt%未満になるまで乾燥させる、ことを特徴とする付記1に記載の赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料の製造方法。
【0044】
(付記3)
第3のステップにおいて、全混合物の5質量%~85質量%である粉状の赤泥を藁とボールミル混合し、混合時間が4~72時間である、ことを特徴とする付記1に記載の赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料の製造方法。
【0045】
(付記4)
第4のステップにおいて、前記アルカリ金属に富むバイオマス灰は、広葉樹灰、麦藁灰、籾殻灰、綿茎灰、ヒマワリ茎灰のいずれか1種又は2種以上の混合物から選択され、バイオマス灰と、水と、は質量比1:0.5~4で混合され、浸出方法は固液混合後の濾過分離を用いるか、又は、カラム式透析濾過浸出を使用し、浸出後に生成された脱アルカリ化バイオマス灰固体残渣を肥料として利用する、ことを特徴とする付記1に記載の赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料の製造方法。
【0046】
(付記5)
第5のステップにおいて、藁-赤泥混合粉末とバイオマス灰抽出液とを質量比1:0.2~4で混合し、藁-赤泥混合粉末とバイオマス灰抽出液とを均一に撹拌し、ペースト状混合物を形成し、0.5~2時間静置して十分に固液反応させ、バイオマス灰抽出液中のイオンと赤泥中の可溶性アルカリ金属とを水の助けを借りて藁粒子の内部に拡散させる、ことを特徴とする付記1に記載の赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料の製造方法。
【0047】
(付記6)
付記1~5のいずれか一つに記載の製造方法により製造された、赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料。
【0048】
(付記7)
付記6に記載の赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料を下水処理における吸着剤として使用する、使用方法。
【0049】
(付記8)
付記6に記載の赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料を下水処理における吸着剤として、水中のフルオロキノロン系抗生物質を除去するために使用する、使用方法であって、
赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料と処理対象下水とを均一に混合し、下水中のフルオロキノロン系抗生物質を十分に吸着する、ステップS1と、
フルオロキノロン系抗生物質が吸着された赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料を磁力により処理終了後の廃水から分離する、ステップS2と、
分離されたフルオロキノロン系抗生物質が吸着された赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料を、保護雰囲気で300~700℃、保温時間10~60分間で熱分解し再生する、ステップS3と、
ステップS3で熱分解し再生した赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料を、下水中のフルオロキノロン系抗生物質の吸着に改めて用いる、ステップS4と、を含む、ことを特徴とする使用方法。
【0050】
(付記9)
前記フルオロキノロン系抗生物質には、オフロキサシン、ノルフロキサシン、シプロフロキサシン、ペフロキサシン、エノキサシンの少なくとも1種が含まれる、ことを特徴とする付記8に記載の使用方法。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料の製造方法であって、
藁を自然乾燥させるか又は乾燥されてから粉砕する第1のステップと、
バイエル法における赤泥を乾燥させ、粉状に破砕する第2のステップと、
第1のステップで粉砕した藁と第2のステップでの粉状の赤泥とをボールミルで混合して、藁-赤泥混合粉末を得る第3のステップと、
アルカリ金属に富むバイオマス灰を水と混合し、浸出してバイオマス灰抽出液及び脱アルカリ化したバイオマス灰固体残渣を得る第4のステップと、
第3のステップでの藁-赤泥混合粉末と第4のステップで得られたバイオマス灰抽出液とを均一に混合撹拌して、ペースト状混合物を得る第5のステップと、
第5のステップでのペースト状混合物を保護雰囲気下で共熱分解し、熱分解温度が400~1000℃であり、保温時間が10分~5時間であり、共熱分解によって生成された磁性藁由来のバイオ炭を中性になるまで水洗して、赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料を得る第6のステップと、を含
み、
第1のステップにおいて、藁を、含水率が、5wt%未満になるまで自然乾燥させ、又は乾燥させ、120メッシュ以下に粉砕し、第2のステップにおいて、前記赤泥中のFe
2
O
3
含有量を30wt%以上にし、含水率が2wt%未満になるまで乾燥させ、
第3のステップにおいて、全混合物の5質量%~85質量%である粉状の赤泥を藁とボールミル混合し、混合時間が4~72時間である、
ことを特徴とする赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料の製造方法。
【請求項2】
第4のステップにおいて、前記アルカリ金属に富むバイオマス灰は、広葉樹灰、麦藁灰、籾殻灰、綿茎灰、ヒマワリ茎灰のいずれか1種又は2種以上の混合物から選択され、バイオマス灰、と水、とは質量比1:0.5~4で混合され、浸出方法は固液混合後の濾過分離を用いるか、又は、カラム式透析濾過浸出を使用し、浸出後に生成された脱アルカリ化バイオマス灰固体残渣を肥料として利用する、ことを特徴とする請求項1に記載の赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料の製造方法。
【請求項3】
第5のステップにおいて、藁-赤泥混合粉末とバイオマス灰抽出液とを質量比1:0.2~4で混合し、藁-赤泥混合粉末とバイオマス灰抽出液とを均一に撹拌し、ペースト状混合物を形成し、0.5~2時間静置して十分に固液反応させ、バイオマス灰抽出液中のイオンと赤泥中の可溶性アルカリ金属とを水の助けを借りて藁粒子の内部に拡散させる、ことを特徴とする請求項1に記載の赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料の製造方法。
【請求項4】
請求項1~
3のいずれか一項に記載の製造方法により製造された、赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料。
【請求項5】
請求項
4に記載の赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料を下水処理における吸着剤として使用する、使用方法。
【請求項6】
請求項
5に記載の赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料を下水処理における吸着剤として、水中のフルオロキノロン系抗生物質を除去するために使用する、使用方法であって、
赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料と処理対象下水とを均一に混合し、下水中のフルオロキノロン系抗生物質を十分に吸着する、ステップS1と、
フルオロキノロン系抗生物質が吸着された赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料を磁力により処理終了後の廃水から分離する、ステップS2と、
分離されたフルオロキノロン系抗生物質が吸着された赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料を、保護雰囲気で300~700℃、保温時間10~60分間で熱分解し再生する、ステップS3と、
ステップS3で熱分解し再生した赤泥による磁性を補強した藁由来のバイオ炭材料を、下水中のフルオロキノロン系抗生物質の吸着に改めて用いる、ステップS4と、を含む、ことを特徴とする使用方法。
【請求項7】
前記フルオロキノロン系抗生物質には、オフロキサシン、ノルフロキサシン、シプロフロキサシン、ペフロキサシン、エノキサシンの少なくとも1種が含まれる、ことを特徴とする請求項
6に記載の使用方法。
【国際調査報告】