(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】可撓性のウェハ・プローブ・アセンブリ
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20241108BHJP
G01R 31/28 20060101ALI20241108BHJP
G01R 31/26 20200101ALI20241108BHJP
【FI】
H01L21/66 B
G01R31/28 K
G01R31/26 J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527369
(86)(22)【出願日】2022-07-28
(85)【翻訳文提出日】2024-05-09
(86)【国際出願番号】 CN2022108547
(87)【国際公開番号】W WO2023098119
(87)【国際公開日】2023-06-08
(32)【優先日】2021-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】オウデッテ、デイヴィッド、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ワーグナー、グラント
(72)【発明者】
【氏名】ムーア、ジェイコブ、ルイス
(72)【発明者】
【氏名】ネフ、ピーター、ウィリアム
【テーマコード(参考)】
2G003
2G132
4M106
【Fターム(参考)】
2G003AA10
2G003AG03
2G003AG04
2G132AA00
2G132AB00
2G132AF02
2G132AF07
2G132AL03
2G132AL11
4M106AA01
4M106DD03
4M106DD09
4M106DD10
(57)【要約】
本発明の態様は、コンフォーマルな積層体と、検査対象のマイクロ回路との電気接続を形成するために積層体から延びる硬質プローブとを有するウェハ検査デバイスを含む。ウェハ検査デバイスはまた、硬質プローブが延びる側とは反対の積層体の側にばねプレートを含む。ばねプレートは、コンフォーマルな内側フレームと、硬質の外側フレームとを含む。積層体は、ばねプレートの内側フレームに取り付けられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェハ検査デバイスであって、
コンフォーマルな積層体と、
前記積層体から延び、検査対象のマイクロ回路との電気接続を形成するように構成された、硬質プローブと、
前記硬質プローブが延びる側とは反対の前記積層体の側にあるばねプレートであって、前記ばねプレートが、コンフォーマルな内側フレームと硬質の外側フレームとを含み、前記積層体は前記ばねプレートの前記内側フレームに取り付けられる、前記ばねプレートと、を備えるウェハ検査デバイス。
【請求項2】
前記ばねプレートの前記内側フレームと前記外側フレームとの間の接続部の数および位置が、前記外側フレームに対する前記内側フレームの動きの自由度を制御するように構成されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記硬質プローブが延びる前記側とは反対の前記積層体の前記側にインターポーザをさらに備え、前記インターポーザは、フレーム内のピン部分を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記インターポーザの前記ピン部分から延びる浮動ピンをさらに備える、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記浮動ピンが、前記硬質プローブが延びる前記側とは反対の前記積層体の前記側で前記積層体に接触する、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記浮動ピンが、前記ばねプレートの前記内側フレームの開口部を通って延び、プリント回路基板(PCB)に接触するように構成されている、請求項4に記載のデバイス。
【請求項7】
前記浮動ピンが、前記PCBに結合された検査装置からの電気信号を前記積層体に、そして前記硬質プローブを通じて前記検査対象のマイクロ回路に伝達するように構成されている、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記ばねプレートの前記外側フレームと前記PCBとの間に、前記ばねプレートの前記内側フレームと前記PCBとの間に隙間を作り出すように構成されたシムをさらに備える、請求項6に記載のデバイス。
【請求項9】
前記積層体と前記インターポーザとの間に配置されたエラストマーをさらに備える、請求項4に記載のデバイス。
【請求項10】
前記浮動ピンが、前記エラストマーを貫通して前記積層体まで延びている、請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記エラストマーは、前記硬質プローブを前記マイクロ回路に接続する工程中に、前記エラストマーの局部的可撓性を許容しつつ前記積層体の変形を阻止するために、弾性係数、サイズ、形状、および位置によって構成される、請求項9に記載のデバイス。
【請求項12】
前記エラストマーが2つ以上の構成部分として構成される、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
ウェハ検査デバイスを組み立てる方法であって、
コンフォーマルな積層体であって、検査対象のマイクロ回路との電気接続を形成するための硬質プローブが前記積層体から延びている、前記コンフォーマルな積層体を組み立てることと、
前記硬質プローブが延びる側とは反対の前記積層体の側にばねプレートを配置し、前記ばねプレートが、コンフォーマルな内側フレームと硬質の外側フレームとを含み、前記積層体を前記ばねプレートの前記内側フレームに取り付けることと、を含む方法。
【請求項14】
前記外側フレームに対する前記内側フレームの動きの自由度を制御するように、前記ばねプレートの前記内側フレームと前記外側フレームとの間の接続部の数および位置を選択することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記硬質プローブが延びる前記側とは反対の前記積層体の前記側にインターポーザを配置することをさらに含み、前記インターポーザが、フレーム内のピン部分を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記インターポーザの前記ピン部分から延びるように浮動ピンを配置することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記浮動ピンを前記配置することは、前記浮動ピンが、前記硬質プローブが延びる前記側とは反対の前記積層体の前記側で前記積層体に接触することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記浮動ピンを前記配置することは、前記浮動ピンが、前記ばねプレートの前記内側フレームの開口部を通って延び、プリント回路基板(PCB)に接触することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記浮動ピンを前記配置することは、前記PCBに結合された検査装置からの電気信号を前記積層体に、そして前記硬質プローブを通じて前記検査対象の前記マイクロ回路に伝達するように前記浮動ピンを構成することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ばねプレートの前記内側フレームと前記PCBとの間に隙間を作り出すために、前記ばねプレートの前記外側フレームと前記PCBとの間にシムを配置することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記積層体と前記インターポーザとの間にエラストマーを配置することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記浮動ピンを前記配置することは、前記浮動ピンが、前記エラストマーを貫通して前記積層体まで延びることを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記エラストマーを前記配置することは、前記硬質プローブを前記マイクロ回路に接続する工程中に、前記エラストマーの局部的可撓性を許容しつつ前記積層体の変形を阻止するために、前記エラストマーを弾性係数、サイズ、形状、および位置によって構成することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記エラストマーを前記配置することは、前記エラストマーを2つ以上の構成部分として配置することである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
コンピュータ上で実行されたときに、請求項13ないし24のいずれかに記載の方法を実行するように適合されたプログラム・コードを含む、コンピュータ・プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にウェハ検査に関し、より具体的には、可撓性のウェハ・プローブ・アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
ウェハは、集積回路の製造に使用される半導体層である。ウェハは、ウェハの中および上に構築されて集積回路を構成するマイクロエレクトロニクス・デバイスのマイクロ回路の基板の役目を果たす。製造中にウェハ検査を実施して、マイクロエレクトロニクス・デバイスに機能的欠陥がないかどうかを特定する。ウェハ・プローブとも呼ばれるプローブ装置が、自動化された検査を実行するために使用される。電気的検査のために、プローブ・デバイスの接点またはプローブの組が、各マイクロ回路のマイクロエレクトロニクス・デバイスの接点またははんだバンプと電気接触状態にされる。
【0003】
検査装置は、ウェハ・プローブを通じて検査対象のマイクロ回路に電気接触する。検査装置は、検査対象のマイクロ回路に実施される検査パターンを制御し、その結果生じるマイクロ回路の挙動を評価して、マイクロ回路が検査に合格するかどうかを判定する。検査が完了すると、ダイシングと呼ばれる工程によって個々の集積回路が得られる。ダイシングによって、各マイクロ回路がダイとして分離され、ダイは次いで集積回路としてパッケージされる。
【0004】
マイクロ回路の正確な検査には、マイクロ回路の各はんだバンプとプローブ・デバイスの各対応するプローブとの間の電気的接触が完全で確実であることが必要である。この接触は、はんだバンプの輪郭の非平面性がプローブ・デバイスのプローブと一致しないことによって問題が生じることがある。
【発明の概要】
【0005】
本発明の実施形態は、可撓性のウェハ・プローブ・アセンブリを対象とする。非限定的な例としてのウェハ検査デバイスは、コンフォーマルな積層体と、積層体から延びて検査対象のマイクロ回路との電気接続を形成する硬質プローブとを含む。ウェハ検査デバイスはまた、硬質プローブが延びる側とは反対の積層体の側にばねプレートを含む。ばねプレートは、コンフォーマルな内側フレームと、硬質の外側フレームとを含む。積層体は、ばねプレートの内側フレームに取り付けられる。
【0006】
ウェハ検査デバイスはまた、硬質プローブが延びる側とは反対の積層体の側にインターポーザを含む。このインターポーザは、浮動ピンがそこから延びるフレーム内のピン部分を含む。
【0007】
ウェハ検査デバイスはさらに、積層体とインターポーザとの間にエラストマーを含む。エラストマーは、2つ以上の構成部分として形成されてよい。エラストマーは、検査対象のマイクロ回路上のはんだバンプの非平面領域への積層体の共形性を助ける。
【0008】
本発明の他の実施形態は、ウェハ検査デバイスを組み立てる方法に関し、コンフォーマルな積層体であって、検査対象のマイクロ回路との電気接続を形成するための硬質プローブが積層体から延びている、コンフォーマルな積層体を組み立てることを含む。方法はまた、硬質プローブが延びる側とは反対の積層体の側にばねプレートを配置することを含む。ばねプレートは、コンフォーマルな内側フレームと、硬質の外側フレームとを含む。積層体は、ばねプレートの内側フレームに取り付けられる。
【0009】
硬質プローブが延びる側とは反対の積層体の側に、インターポーザが配置される。このインターポーザは、浮動ピンがそこから延びるフレーム内のピン部分を含む。
【0010】
エラストマーが、積層体とインターポーザの間に配置される。エラストマーは、検査対象のマイクロ回路のはんだバンプの非平面領域への積層体の共形性を助ける。
【0011】
さらなる技術的特徴および利益が、本発明の技術を通じて実現される。本発明の実施形態および態様は、本明細書に詳細に説明され、請求される主題の一部とみなされる。さらなる理解のために、詳細な説明および図面を参照する。
【0012】
本明細書に記載される排他的権利の詳細は、本明細書の末尾にある特許請求の範囲において具体的に指摘され、明瞭に請求される。本発明の実施形態の上記および他の特徴および利点は、以下の添付図面と併せて解釈される以下の詳細な説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】ウェハと、本発明の1つまたは複数の実施形態によるウェハ・プローブ・アセンブリを含む対応するウェハ検査部品とを示す図である。
【
図2】本発明の1つまたは複数の実施形態によるウェハ・プローブ・アセンブリの態様の分解図である。
【
図3A】本発明の1つまたは複数の実施形態によるウェハ・プローブ・アセンブリの態様の断面図である。
【
図3B】本発明の1つまたは複数の実施形態によるウェハ・プローブ・アセンブリの断面図である。
【
図3C】本発明の1つまたは複数の実施形態によるウェハ・プローブ・アセンブリの態様の断面図である。
【
図3D】本発明の1つまたは複数の実施形態によるウェハ・プローブ・アセンブリの態様の断面図である。
【
図4A】本発明の例示的な実施形態によるエラストマーの配置を示す図である。
【
図4B】本発明の例示的な実施形態によるエラストマーの配置を示す図である。
【
図4C】本発明の例示的な実施形態によるエラストマーの配置を示す図である。
【
図5】本発明の1つまたは複数の実施形態によるウェハ・プローブ・アセンブリから利益を得る例示的なシナリオを示す図である。
【
図6】本発明の1つまたは複数の実施形態によるエラストマーを含むウェハ・プローブとともに使用される検査装置の態様のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書に示される図は例示的なものである。本発明の範囲から逸脱することなく、図またはその中に説明される動作に多くの変形例があり得る。例えば、動作は、異なる順序で行われ得、または動作が追加、削除、もしくは変更され得る。また、用語「結合される」およびその変形は、2つの要素の間に通信経路を有することを表し、それらの間に介在する要素/接続がない、要素間の直接の接続を示唆するものではない。これらの変形例はすべて、本明細書の一部とみなされる。
【0015】
前述の通り、ウェハ検査は、集積回路としてパッケージ化するために各マイクロ回路を分離するダイシングの前に行われる。ウェハ検査はウェハ・プローブを利用し、ウェハ・プローブのプローブが、各マイクロ回路のマイクロエレクトロニクス・デバイスのはんだバンプと電気接触状態にされる。ウェハ・プローブは、座屈ビーム針のような垂直型プローブを含む場合があり、または硬質基板に実装された硬質プローブのアレイを含む場合もある。硬質プローブは銅であってよく、メッキ(例えば、ニッケル・メッキまたは金メッキ)されていてもよい。可撓性の(すなわち、個々に屈曲する)垂直型プローブとは異なり、硬質プローブは、プローブがウェハの各マイクロ回路のマイクロエレクトロニクス・デバイスに伝達できる電力に制限がない。加えて、硬質プローブ・デバイスの製造コストは、例えば垂直型プローブ・カードの製造コストと比べて低い。これは、硬質プローブは、垂直型プローブと異なり、フォトリソグラフィーを使って製造することができるためである。
【0016】
硬質プローブは、柔軟な垂直型プローブよりも多くの電力を伝達するのが容易であるが、プローブ・デバイスのどの態様においても変形しないことが、完全に平坦ではないマイクロ回路への十分な結合に問題を生じさせる可能性がある。従来の手法によれば、ウェハ・プローブの支持構造によって、硬質プローブが取り付けられる硬質基板がジンバリングに基づいて傾くのを容易にすることができる。これにより、硬質プローブとマイクロ回路のはんだバンプとの間の電気的接触を実現するために、マイクロ回路の傾斜を一致させることが容易になる。しかし、例えば、マイクロ回路のはんだバンプのうち縁部ではない領域が他の領域のはんだバンプよりも高いもしくは低い場合、または、はんだバンプがマイクロ回路表面の一部(例えば、周囲)のみしか占めない場合、このような傾きは、検査対象のマイクロ回路にウェハ・プローブを結合するには不十分である可能性がある。
【0017】
本発明の実施形態は、可撓性のウェハ・プローブ・アセンブリに関する。一方の側に、ウェハ・プローブ・アセンブリは、マイクロ回路のはんだバンプに結合する硬質プローブを保持する可撓性の積層体を含む。反対側で、ウェハ・プローブ・アセンブリは、プリント回路基板(PCB:printed circuit board)と検査アセンブリとに結合する。ウェハ・プローブ・アセンブリは、マイクロ回路のはんだバンプを硬質プローブを介してPCBを通じて検査アセンブリに結合する浮動ピンを有したインターポーザを含む。詳述されるように、ウェハ・プローブ・アセンブリのばねプレートが、はんだバンプから検査アセンブリへのその結合を可能にするインターポーザの位置合わせを容易にする。また、これも詳述されるように、積層体とインターポーザとの間のエラストマーが支持を提供し、積層体の局部的な可撓性を促進して、硬質プローブをはんだバンプに密に結合させる。本発明の実施形態によれば、ばねプレートおよびエラストマーを含むウェハ・プローブは、マイクロ回路の傾きを容易にすることにより、硬質プローブとはんだバンプとの間の密な結合を容易にするとともに、はんだバンプの局部的な非平面性を容易にするという利点を有する。
【0018】
図1は、ウェハ100と、本発明の1つまたは複数の実施形態によるウェハ・プローブ・アセンブリ200を含む、対応するウェハ検査部品130とを示している。ウェハ100は、検査される複数のマイクロ回路110を含み得る。マイクロ回路110は、例えば1平方インチ(6.45平方センチメートル)のオーダーであり、マイクロ回路110を検査するための接点として機能する複数のはんだバンプ120を含むものと示されている。ウェハ100は、ウェハ・プローバ(図示せず)によって支持され、検査のために適所に移動されてよい。
【0019】
ウェハ・プローブ・アセンブリ200の断面図および他のウェハ検査部品130のブロック図が、分解図として示されている。ウェハ・プローブ・アセンブリ200は
図2に詳細に示される。ウェハ検査部品130のウェハ・プローブ・アセンブリ200は、検査対象のマイクロ回路110と、検査を制御する検査装置150との間の電気・機械的インターフェースとして機能する。すなわち、検査装置150は、PCB140およびウェハ・プローブ・アセンブリ200を介して検査対象のマイクロ回路110に適用される検査パターンを決定し、制御する。
【0020】
検査装置150は、検査対象の各マイクロ回路110に実施される検査パターンを制御する、プロセッサ、メモリ、およびその他の構成要素を指す。例えば、検査装置150は、ウェハ・プローブ・アセンブリ200を介して検査対象のマイクロ回路110に一連の信号を印加する自動検査パターン生成器(ATPG:automatic test pattern generator)を含むことができる。検査装置150は、一連の信号によって引き起こされる適正な回路挙動と、検査対象のマイクロ回路110の欠陥を示す不良な回路挙動とを区別する。前述したように、検査装置150は、ウェハ・プローブ・アセンブリ200に結合するPCB140に接続してよい。検査装置150は、ウェハ・プローブ・アセンブリ200、より具体的には各硬質プローブ205、を通じて検査対象のマイクロ回路110に与えられる信号を制御してよい。マイクロ回路110の各はんだバンプ120は、硬質プローブ205に接触して変形する。ウェハ・プローブ・アセンブリ200の反対側では、浮動ピン235が、ウェハ・プローブ・アセンブリ200をPCB140に結合する。
【0021】
一般に、ウェハ検査を実施するために、ウェハ100は、マイクロ回路110のはんだバンプ120とウェハ・プローブ・アセンブリ200の硬質プローブ205との間に接触を確立するように移動される。検査を高精度に行うために、マイクロ回路110の各はんだバンプ120とウェハ・プローブ・アセンブリ200の各対応する硬質プローブ205との間に電気的接触が確立されなければならない。具体的には、各硬質プローブ205は、対応するはんだバンプ120に接触してそれを変形させなければならない。十分な接触を確立することの課題は、はんだバンプ120が完全に平坦ではなく、代わりに多少の非平坦性を呈する場合があることである。
【0022】
前述したように、従来の手法には、検査部品の傾きをマイクロ回路110の傾きと一致させる支持構造を使用することが含まれる。本発明の1つまたは複数の実施形態によれば、ウェハ・プローブ・アセンブリ200は、傾きだけでなく、マイクロ回路110上のはんだバンプ120の局部的変形も容易にする。
【0023】
図2は、本発明の1つまたは複数の実施形態によるウェハ・プローブ・アセンブリ200の態様の分解図である。ウェハ・プローブ・アセンブリ200の向きは、
図1に示す向きと比べて
図2では上下逆になっている。ウェハ・プローブ・アセンブリ200の一方の側にあるマイクロ回路110と、ウェハ・プローブ・アセンブリ200の他方の側である反対側にあるPCB140および検査装置150との相対的な位置が示されている。
【0024】
硬質プローブ205(
図1に示す)は、積層体210から、具体的には内側部分215から延びて、検査対象のマイクロ回路110のはんだバンプ120と結合する。
図2では見えない接点パッドのランド・グリッド・アレイ(LGA)が、硬質プローブ205がある側とは反対側の積層体210の側、具体的には内側部分215にある。積層体210の厚さは、厚さが減少するにつれて増大する柔軟性と、厚さが増加するにつれて増大する強度とのバランスを取るように選択される。すなわち、積層体210は、積層体およびしたがって硬質プローブ205がはんだバンプ120の非平面特性に順応するよう、十分に柔軟になるように選択される。同時に、積層体210は、プロービング荷重(すなわち、ウェハ・プローブ・アセンブリ200がマイクロ回路110に押し付けられるとき)を支持するのに十分な強度となるように選択されるのに加えて、ウェハ・プローブ・アセンブリ200の形成中(すなわち、積層体210がインターポーザ230およびエラストマー220と合体されるとき)に予荷重の支持を与えるように選択される。
【0025】
浮動ピン235(
図1に示す)は、インターポーザ230の一部である。インターポーザ230は、浮動ピン235がそこを通って延びているフレーム240内のピン部分245を含む。浮動ピン235は、ピン部分245の一方の側でPCB140に結合する。ピン部分245の反対側では、硬質プローブ205が延びる側とは反対の積層体210の側で、浮動ピン235が積層体210に結合する。浮動ピン235はエラストマー220を貫通して積層体210に達する。浮動ピン235は各々、硬質プローブ205が延びる側とは反対の積層体210の側にある対応する接点パッドに接触して、マイクロ回路110のはんだバンプ120に結合する硬質プローブ205から、浮動ピン235を通じてPCB140への電気的接触を確立する。
【0026】
また、ばねプレート250とシム(shim)270が、ウェハ・プローブ・アセンブリ200の一部として
図2に示されている。ばねプレート250は、硬質である外側フレーム255と、コンフォーマルである内側フレーム260とを含む。積層体210は、インターポーザ230およびエラストマー220が積層体210とばねプレート250との間に保持された状態でばねプレート250に取り付けられ、インターポーザ230の浮動ピン235は、ばねプレート250およびシム270に示された開口部261を通って延びてPCB140と接続する。
図2に示す例示的な実施形態では、積層体210の孔211が、ばねプレート250の内側フレーム260の孔251と一致する。ばねプレート250は、積層体210とインターポーザ230との、具体的には、インターポーザ230の浮動ピン235と積層体210上の対応する接点パッド(図示せず)との、位置合わせを容易にする。ばねプレート250は、ねじ360(
図3D)またはその他の締結具によって補強材305(
図3B)に取り付けられてもよい。
【0027】
位置合わせに加えて、ばねプレート250は可撓性も促進する。
図2が示すように、ばねプレート250の可撓性の内側フレーム260は、その隅部(接続部310(
図3A))のみで硬質外側フレーム255に接続されている。したがって、内側フレーム260は、外側フレーム255に対して傾き得る。この傾きは、シム270によって促進される。シム270は、ばねプレート250の外側フレーム255とPCB140との間にあるが、ばねプレート250の内側フレーム260とPCB140との間にはない。したがって、シム270は、ばねプレート250の内側フレーム260とPCB140との間に隙間g(例えば、
図3D参照)を生じさせ、それが、接続部310における柔軟性に基づいて外側フレーム255に対する内側フレーム260の動きを容易にする。隙間gは、内側フレーム260が傾き、それにより、取り付けられた積層体を傾かせることを可能にする。
【0028】
エラストマー220は、積層体210の内側部分215のサイズに応じたサイズにされてよい。エラストマー220の他の例示的な実施形態については、
図4A、
図4B、および
図4Cを参照して解説する。ウェハ・プローブ・アセンブリ200は、プリローディングと呼ばれる工程でマイクロ回路110と結合する前に組み立てられる。最初の段階で、ばねプレート250がシム270に取り付けられ、インターポーザ230がPCB140に取り付けられ、エラストマー220がインターポーザ230上に配置され、積層体210がばねプレート250に取り付けられる。エラストマー220は、この段階に、それを超えるとさらなる圧縮に必要な荷重が指数関数的に増大する点までエラストマー220が圧縮されるように、圧縮-荷重曲線を用いて選択されてよい。別法として、エラストマー220は、後の段階でのさらなる圧縮が実施可能になるように選択されてもよい。後の段階で、ウェハ・プローブ・アセンブリ200がマイクロ回路110内に押し入れられる(すなわち、ウェハ・プローブ・アセンブリ200の硬質プローブ205がマイクロ回路110のはんだバンプ120に接触する)とき、エラストマー220は、選択されたエラストマー220に応じて剛性の支持を提供するかまたは可撓性を促進することができる。積層体210の柔軟性はインターポーザ230に伝達されるのではなく、浮動ピン235が積層体210の可撓性の一部を吸収することができる。
【0029】
考慮され得るエラストマー220の例示的な特性は、厚さ、弾性係数、およびサイズである。加えて、エラストマー220は、
図4A、
図4B、および
図4Cを参照してさらに説明されるように、単一の構成部分としてではなく、いくつかの構成部分として形成されてよい。その場合、各構成部分の位置は、積層体210のうち最も支持を必要とするエリアに基づいて決定されてよい。例えば、マイクロ回路110は、特定の領域にのみはんだバンプ120を含むことがある。この場合、ウェハ・プローブ・アセンブリ200がマイクロ回路110に結合される段階中に、積層体210は、対応する領域(すなわち、存在するはんだバンプ120に接触する硬質プローブ205を含む積層体210の部分)においてより多くの荷重を受ける。エラストマー220と積層体210は、積層体210の変形を阻止しながら、すべての硬質プローブ205が対応するはんだバンプ120に確実に接触するよう、協働するように設計される。
【0030】
図3A、
図3B、
図3Cおよび
図3Dは、ウェハ検査部品130の様々な態様の断面図である。
図3Aは、本発明の1つまたは複数の実施形態によるウェハ・プローブ・アセンブリ200の断面図である。
図3Aは、ばねプレート250の内側フレーム260と外側フレーム255との間の接続部310のうち2つを示す。内側フレーム260と外側フレーム255との間の接続部310の数およびそれらの位置が、内側フレーム260の取り得る傾斜角(すなわち、外側フレーム255に対する内側フレーム260の動きの自由度)を制御する。
図2および
図3Aに示す例示的なウェハ・プローブ・アセンブリ200では、内側フレーム260は、内側フレーム260の4つの隅部に外側フレーム255との4つの接続部310を有する。その結果、内側フレーム260と、ひいては内側フレーム260に取り付けられる積層体210が、これら接続部310の1つまたは複数における圧縮に基づいて傾き得る。傾きを達成するために使用される平坦化ねじ350については、
図3Cを参照して説明する。積層体210の孔211とばねプレート250の内側フレーム260の孔251とは、位置合わせされて示されている。これらの孔211、251を介してばねプレート250に積層体を接合するねじ320を
図3Bに示す。
【0031】
図3Bは、本発明の1つまたは複数の実施形態によるウェハ・プローブ・アセンブリ200の断面図である。
図3Bは、PCB140の下方の補強材305を示す。追加の補強材が、補強材305と検査装置150との間に配置されてもよい。積層体210をばねプレート250に接合するねじ320のうち2本を
図3Bに示す。また、ばねプレート250の外側フレーム255をPCB140に接合するダボ330のうち2つも示されている。
【0032】
図3Cは、本発明の1つまたは複数の実施形態によるウェハ・プローブ・アセンブリ200の断面図である。
図3Cの図は、インターポーザ230を通ってPCB140に至るダボ340のうち2つを示す。ダボ340は、ばねプレート250と相互作用するのではなく、ばねプレート250とシム270の開口部261を通る。
図3Cはまた、ばねプレート250の内側フレーム260を通ってPCB140の表面に至る、平坦化設定ねじ350を示す。平坦化設定ねじ350は、ばねプレート250の内側フレーム260の傾きを生じさせるように制御されてよい。具体的には、所与の平坦化設定ねじ350が下へ移動されると(すなわち、PCB140の表面に押し付けられると)、ばねプレート250の内側フレーム260の対応する部分が上へ移動する。前述したように、内側フレーム260のこの動きは、内側フレーム260とPCB140との間の隙間gによって容易にされるが、これについては
図3Dを参照してさらに説明する。
【0033】
図3Dは、本発明の1つまたは複数の実施形態によるウェハ・プローブ・アセンブリ200の断面図である。
図3Dは、ばねプレート250の内側フレーム260とPCB140との間の隙間gを示す。この隙間gは、シム270がばねプレート250の外側フレーム255の下方にしかないことに起因する。隙間gは、はんだバンプ120の外形の非平面性に対応するためにマイクロ回路110の表面における対応する傾斜に積層体210が順応できるよう、必要に応じて内側フレーム260がわずかに傾斜することを容易にする。
【0034】
図4A、4Bおよび
図4Cは、本発明の例示的な実施形態によるエラストマー220の様々な配置を示す。
図4Aが示すように、エラストマー220は、
図3に示されるように浮動ピン235上ではなく、インターポーザ147の浮動ピン145の周囲に配置されてもよい。この例は、浮動ピン235の周囲全体にエラストマー220を含むが、本発明の代替実施形態によれば、浮動ピン235の周囲のフレーム240の一部のみがエラストマー220で覆われてもよい。
【0035】
図4Bは、浮動ピン235上のエラストマー220を示すが、長方形ではなく楕円形であり、また浮動ピン235の中心にあるのではなく、中心から外れている。エラストマー220の具体的な位置、形状、および大きさは、マイクロ回路110の1つの部分または一方の側が別の部分または側よりも多くのはんだバンプ120を有するという事実に基づいてよい。すなわち、より高密度のはんだバンプ120に対応しているためにより高い荷重が必要とされる硬質プローブ205の領域は、高密度のはんだバンプ120の側に対応する浮動ピン235の側に、エラストマー220が配置されることを要求し得る。
【0036】
図4Cは、3つの構成部分として配置されたエラストマー220を示している。エラストマー220を構成する構成部分は、同じ厚さを有してよいが、各自の位置に基づいて異なる弾性係数を有してよい。示されるように、エラストマー220の各異なる構成部分は、異なる形状および大きさを有してもよい。
【0037】
図5は、本発明の1つまたは複数の実施形態によるウェハ・プローブ・アセンブリから利益を得る例示的なシナリオを示す。マイクロ回路110のはんだバンプ120の組と、積層体210に実装された対応する硬質プローブ205とが示されている。各硬質プローブ205は、円筒形状を有し、ブレード510を含むものと示されている。マイクロ回路110を移動してウェハ・プローブ・アセンブリ200と接触させると、各硬質プローブ205のブレード510が、電気的接触を確立するために、対応するはんだバンプ120と接触し、それを変形させる。
【0038】
図5が示すように、マイクロ回路110のはんだバンプの外形は非平面である。はんだバンプ120がマイクロ回路110の表面上に均一に分布していて、マイクロ回路110が傾けられた場合、ばねプレート250の内側フレーム260によって促進される対応する傾きは、硬質プローブ205とはんだバンプ120との間の密な結合を確実にするのに十分なものとなる。
図5に示す例示的なシナリオでは、非平面のマイクロ回路110は、はんだバンプ120yにおいて下降を呈する。したがって、ばねプレート250の内側フレーム260によって促進される傾きは、積層体210から延びる硬質プローブ205をはんだバンプ120に順応させるには不十分である。この場合は、積層体210の柔軟性が、マイクロ回路110の外形に対する積層体210の十分な共形性を可能にし得る。エラストマー220は、この例示的なシナリオでは、積層体210を支持して、硬質プローブ205xおよび205zを含む積層体210の縁部がマイクロ回路110から離れる方へ変形しないようにする。同様に、はんだバンプ120yが存在しない場合には、エラストマー220により、はんだバンプ120xおよび120zを圧縮する荷重が
図5に示す積層体210の中心部のたるみを生じさせないことが確実になる。
【0039】
図6は、検査装置150の態様のブロック図である。前述のように、検査装置150は、検査装置150が検査相互接続200を介して結合されるマイクロ回路110の検査に使用される検査パターンを生成する。検査装置150は、1つまたは複数の中央処理装置(プロセッサ)21a、21b、21c等(総称してまたは一般的にプロセッサ21または処理装置あるいはその両方と呼ばれる)を含む。本発明の1つまたは複数の実施形態によれば、各プロセッサ21は、縮小命令セット・コンピュータ(RISC)・マイクロプロセッサを含むことができる。プロセッサ21は、システム・バス33を介してシステム・メモリ(例えば、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)24)および様々な他の構成要素に結合されている。読出し専用メモリ(ROM)22が、システム・バス33に結合され、検査装置150の特定の基本機能を制御する基本入出力システム(BIOS)を含むことができる。
【0040】
さらに図示されているのは、システム・バス33に結合された入出力(I/O)アダプタ27および通信アダプタ26である。I/Oアダプタ27は、ハード・ディスク23またはテープ記憶ドライブ25あるいはその両方、または任意の他の同様の構成要素と通信する、スモール・コンピュータ・システム・インターフェース(SCSI)・アダプタであり得る。I/Oアダプタ27、ハード・ディスク23、およびテープ記憶デバイス25は、本明細書ではまとめて大容量ストレージ34と呼ぶ。検査装置150で実行されるためのオペレーティング・システム40が、大容量ストレージ34に記憶され得る。RAM22、ROM24、および大容量ストレージ34は、検査装置150のメモリ19の例である。ネットワーク・アダプタ26が、システム・バス33を外部ネットワーク36と相互接続して、検査装置150が他の同様のシステムと通信することを可能にする。
【0041】
ディスプレイ(例えば、ディスプレイ・モニタ)35が、ディスプレイ・アダプタ32によってシステム・バス33に接続され、ディスプレイ・アダプタ32は、グラフィックを多用するアプリケーションの性能を向上させるグラフィック・アダプタおよびビデオ・コントローラを含み得る。本発明の1つまたは複数の実施形態によると、アダプタ26、27、または32、あるいはその組合せは、中間バス・ブリッジ(図示せず)を介してシステム・バス33に接続される1つまたは複数のI/Oバスに接続され得る。ハード・ディスク・コントローラ、ネットワーク・アダプタ、およびグラフィック・アダプタなどの周辺デバイスを接続するための好適なI/Oバスは、通例、Peripheral Component Interconnect(PCI)などの一般的なプロトコルを含む。さらなる入力/出力デバイスが、ユーザ・インターフェース・アダプタ28およびディスプレイ・アダプタ32を介してシステム・バス33に接続されるものと示されている。キーボード29、マウス30、およびスピーカ31は、ユーザ・インターフェース・アダプタ28を介してシステム・バス33に相互接続されることが可能であり、ユーザ・インターフェース・アダプタ28は、例えば、複数のデバイス・アダプタを単一の集積回路に組み込むスーパーI/Oチップを含むことができる。
【0042】
本発明の1つまたは複数の実施形態によると、検査装置150は、グラフィック処理装置37を含む。グラフィック処理装置37は、ディスプレイに出力するためのフレーム・バッファ内での画像の作成を高速化するためにメモリを操作・改変するように設計された、特殊化された電子回路である。一般に、グラフィック処理装置37は、コンピュータ・グラフィックの操作および画像処理に非常に効率的であり、大きいデータのブロックの処理が並列に行われるアルゴリズムのための汎用CPUよりもそれを効果的にする、高度に並列な構造を有する。
【0043】
よって、本明細書において構成される場合、検査装置150は、プロセッサ21、システム・メモリ(例えば、RAM22)、および大容量ストレージ34を含む記憶能力、キーボード29およびマウス30などの入力手段、ならびにスピーカ31およびディスプレイ35を含む出力能力の形態の処理能力を有する。本発明の1つまたは複数の実施形態によると、システム・メモリ(例えば、RAM24)の一部および大容量ストレージ34は、検査装置150に示される様々な構成要素の機能を連携させるための、IBMコーポレーションのAIX(R)オペレーティング・システムなどのオペレーティング・システムを共同して記憶する。
【0044】
本発明の様々な実施形態は、関連する図面を参照して本明細書に説明される。本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の代替の実施形態を考案することが可能である。様々な接続および位置関係(例えば、上、下、隣等)が、以下の説明および図面中の要素間で述べられる。そのような接続または位置関係あるいはその両方は、特に断らない限り、直接的なものでも間接的なものでもあり得、本発明はこれに関して制限的であることは意図されない。したがって、存在物の結合は、直接的な結合または間接的な結合のいずれをも指し得、存在物間の位置関係は、直接的または間接的な位置関係であり得る。さらに、本明細書に記載される様々なタスクおよびプロセス・ステップは、本明細書に詳細には説明されない追加的なステップまたは機能を有する、より統合的な手順またはプロセスに一体化され得る。
【0045】
本明細書に記載される方法の1つまたは複数は、それぞれ当技術分野でよく知られている以下の技術、すなわち、データ信号に対して論理機能を実施するための論理ゲートを有する離散論理回路、適当な組合せ論理ゲートを有する特定用途集積回路(ASIC)、プログラム可能ゲートアレイ(PGA)、フィールド・プログラム可能ゲートアレイ(FPGA)等、のうちの任意のものまたは組合せを用いて実装され得る。
【0046】
簡潔のために、本発明の態様を作製し、使用することに関係する従来技術は、本明細書で詳細に説明されることもあるし、説明されないこともある。詳細には、本明細書に記載される様々な技術的特徴を実装するためのコンピューティング・システムおよび特定のコンピュータ・プログラムの様々な態様はよく知られている。したがって、簡潔のために、多くの従来の実装の詳細は、本明細書においては簡単にのみ言及するか、周知のシステムまたはプロセスあるいはその両方の詳細を提供することなく、完全に省略される。
【0047】
一部の実施形態では、様々な機能または動作は、所与の場所で、または1つまたは複数の装置もしくはシステムの動作との関係で、あるいはその両方で発生し得る。一部の実施形態では、所与の機能または動作の一部が、第1のデバイスまたは場所で行われ、機能または動作の残りが1つまたは複数の追加的なデバイスまたは場所で行われることができる。
【0048】
本明細書で使用される術語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、制限的である意図はない。本明細書で使用される場合、単数形の「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかに他のように示さない限り、複数形も包含することが意図される。さらに、語「~を備える」または「~を備えている」あるいはその両方は、本明細書で使用される場合、述べられる特徴、整数、ステップ、動作、要素、または構成要素、あるいはそれらの組合せの存在を明示するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素構成要素、またはそれらの群、あるいはそれらの組合せの存在または追加を排除しないことが理解されよう。
【0049】
下記の特許請求の範囲における、すべての手段またはステップに機能を加えた要素の、対応する構造、材料、動作、および相当物は、明確に特許請求される他の特許請求される要素との組合せで機能を行うための任意の構造、材料、または動作を包含することが意図される。本開示は、例示および説明の目的で提示されたものであり、網羅的であるまたは開示される形態に制限される意図はない。本開示の範囲から逸脱することなく、多くの変更および変形が当業者に明らかとなろう。実施形態は、本開示の原理および実際的な応用を最もよく説明し、当業者が、様々な実施形態に関して、企図される特定の用途に適する様々な変更と共に本開示を理解することを可能にするために選択および記載された。
【0050】
本明細書に示される図は例示的なものである。本明細書に記載された図またはステップ(もしくは動作)には、本開示の範囲から逸脱することなく、多くの変形形態があり得る。例えば、動作は、異なる順序で行われ得、または動作が追加、削除、もしくは変更され得る。また、用語「結合される」は、2つの要素間の信号経路を有することを表し、間に介在する要素/接続がない、要素間の直接の接続は示唆しない。これらの変形形態はすべて本開示の一部とみなされる。
【0051】
以下の定義および省略語が、請求項および明細書の解釈のために使用されるものとする。本明細書において使用される場合、用語「~を備える(comprises、comprising)」、「~を含む(includes、including)」、「~を有する(has、having)」、または「~を含んでいる(containsまたはcontaining)」、またはそれらの変形は、非排他的な包含をカバーすることが意図される。例えば、要素の列挙を含む、配合、混合物、プロセス、方法、物品、または装置は、必ずしもそれらの要素だけに限定されず、明示的に列挙されない、またはそのような配合、混合物、プロセス、方法、物品、もしくは装置に本質的に伴う、他の要素を含み得る。
【0052】
加えて、用語「例示的な」は、本明細書において、「例、実例、または例示の役割を果たす」を意味するように使用される。本明細書に「例示的」であるとして記載される実施形態や設計は、必ずしも他の実施形態や設計よりも好ましいまたは有利であると解釈されるべきでない。用語「少なくとも1つの」および「1つまたは複数の」は、1以上の任意の整数、すなわち、1、2、3、4等を含むものと理解される。用語「複数の」は、2以上の任意の整数、すなわち、2、3、4、5等を含むものと理解される。用語「接続」は、間接的な「接続」と直接的な「接続」の両方を含み得る。
【0053】
用語「約」、「実質的に」、「およそ」およびそれらの変形は、本出願の出願時において利用可能な機器に基づく、特定の数量の測定に伴う度合いの誤差を含むことが意図される。例えば、「約」は、所与の値の±8%、または5%、または2%の範囲を含み得る。
【0054】
本発明は、任意の可能な技術的詳細の統合レベルにおけるシステム、方法、またはコンピュータ・プログラム製品、あるいはその組合せであってよい。コンピュータ・プログラム製品は、プロセッサに本発明の態様を実施させるためのコンピュータ可読プログラム命令を有している(1つまたは複数の)コンピュータ可読記憶媒体を含んでよい。
【0055】
コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行デバイスによって使用するための命令を保持および記憶することが可能な有形のデバイスであり得る。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、これらに限定されないが、電子記憶デバイス、磁気記憶デバイス、光学記憶デバイス、電磁気記憶デバイス、半導体記憶デバイス、または上述の任意の好適な組合せであってよい。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例の非網羅的リストには、携帯型コンピュータ・ディスケット、ハード・ディスク、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、消去可能プログラム可能読出し専用メモリ(EPROMまたはフラッシュ・メモリ)、静的ランダム・アクセス・メモリ(SRAM)、携帯型コンパクト・ディスク読出し専用メモリ(CD-ROM)、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)、メモリ・スティック、フロッピー(R)・ディスク、パンチ・カードや、命令が記録されている溝内の隆起構造などの機械的に符号化されたデバイス、または上述の任意の好適な組合せが含まれる。本発明において使用されるコンピュータ可読記憶媒体は、電波または他の自由伝搬する電磁波、導波管もしくは他の伝送媒体を通って伝搬する電磁波(例えば、光ファイバ・ケーブルを通る光パルス)、または電線を通じて伝送される電気信号などの一過性の信号自体であると解釈されるべきではない。
【0056】
本明細書に記載されるコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読記憶媒体からそれぞれのコンピューティング/処理デバイスに、または、ネットワーク、例えば、インターネット、ローカル・エリア・ネットワーク、ワイド・エリア・ネットワークまたはワイヤレス・ネットワーク、あるいはその組合せを介して、外部コンピュータもしくは外部記憶デバイスにダウンロードされ得る。ネットワークは、銅伝送ケーブル、光伝送ファイバ、ワイヤレス伝送、ルータ、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイ・コンピュータ、またはエッジ・サーバ、あるいはその組合せを含んでよい。各コンピューティング/処理デバイス内のネットワーク・アダプタ・カードまたはネットワーク・インターフェースが、ネットワークからコンピュータ可読プログラム命令を受け取り、そのコンピュータ可読プログラム命令を、それぞれのコンピューティング/処理デバイス内部のコンピュータ可読記憶媒体内に記憶するために転送する。
【0057】
本発明の動作を実施するためのコンピュータ可読プログラム命令は、Smalltalk(R)、C++等のオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語などの手続き型プログラミング言語を含む、1つまたは複数のプログラミング言語の任意の組合せで書かれた、アセンブラ命令、命令セット・アーキテクチャ(ISA)命令、機械命令、機械依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、集積回路の構成データ、または、ソース・コードもしくはオブジェクト・コードのいずれかであってよい。コンピュータ可読プログラム命令は、スタンドアロンのソフトウェア・パッケージとして、全体がユーザのコンピュータ上で、一部がユーザのコンピュータ上で、一部がユーザのコンピュータ上で一部がリモート・コンピュータ上で、または全体がリモート・コンピュータもしくはサーバ上で実行されてよい。後者のシナリオでは、リモート・コンピュータは、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)またはワイド・エリア・ネットワーク(WAN)を含む任意タイプのネットワークを通じてユーザのコンピュータに接続されてよく、または接続は外部コンピュータになされてもよい(例えばインターネット・サービス・プロバイダを使用してインターネットを通じて)。一部の実施形態では、例えば、プログラム可能論理回路、フィールド・プログラム可能ゲートアレイ(FPGA)、またはプログラム可能論理アレイ(PLA)を含む電子回路が、本発明の態様を実施するために、コンピュータ可読プログラム命令の状態情報を利用して電子回路を個別設定することによって、コンピュータ可読プログラム命令を実行してよい。
【0058】
本発明の態様は、本明細書において、本発明の実施形態による方法、装置(システム)、およびコンピュータ・プログラム製品のフローチャート図またはブロック図あるいはその両方を参照して記載される。フローチャート図またはブロック図あるいはその両方の各ブロック、ならびにフローチャート図またはブロックあるいはその組合せの中のブロックの組合せは、コンピュータ可読プログラム命令によって実施され得ることが理解されるであろう。
【0059】
それらのコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサを介して実行される命令が、フローチャートまたはブロック図あるいはその両方の1つまたは複数のブロックに指定される機能/動作を実施するための手段を作り出すように機械を制作すべく、汎用コンピュータ、特殊目的コンピュータ、または他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサに提供されてよい。それらのコンピュータ可読プログラム命令は、命令が記憶されているコンピュータ可読記憶媒体が、フローチャートまたはブロック図あるいはその両方の1つまたは複数のブロックに指定される機能/動作の態様を実施する命令を含む製造品を構成するように、コンピュータ、プログラム可能データ処理装置、または他のデバイス、あるいはその組合せに特定の様態で機能するように指示することができるコンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよい。
【0060】
コンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ、他のプログラム可能装置、または他のデバイスで実行される命令が、フローチャートまたはブロック図あるいはその両方の1つまたは複数のブロックに指定される機能/動作を実施するように、コンピュータ、他のプログラム可能データ処理装置、または他のデバイスにロードされて、コンピュータ、他のプログラム可能装置、または他のデバイス上で一連の動作ステップを行わせて、コンピュータにより実施されるプロセスを発生させてもよい。
【0061】
図におけるフローチャートおよびブロック図は、本発明の様々な実施形態によるシステム、方法、およびコンピュータ・プログラム製品の可能な実装形態のアーキテクチャ、機能、および動作を説明している。これに関して、フローチャートまたはブロック図中の各ブロックは、モジュール、セグメント、または命令の一部を表し得、それは、指定される論理機能を実施するための1つまたは複数の実行可能命令を含む。一部の代替実装形態では、ブロックに記される機能は、図に記される順序から外れて行われてよい。例えば、連続して示される2つのブロックが、実際には実質的に同時に実行されてよく、またはそれらブロックは、時に、関与する機能に応じて逆の順序で実行されてもよい。また、ブロック図またはフローチャート図あるいはその両方の各ブロック、およびブロック図またはフローチャート図あるいはその両方の中のブロックの組合せは、指定される機能を行うか、または特殊目的ハードウェアとコンピュータ命令との組合せを動作させるもしくは実施する、特殊目的のハードウェア・ベース・システムによって実施され得ることが気づかれよう。
【0062】
本発明の様々な実施形態の説明は、説明の目的で提示されたものであり、網羅的である、または開示される実施形態に制限されることは意図されない。記載される実施形態の範囲から逸脱することなく、多くの変更および変形が当業者に明らかとなろう。本明細書で使用される用語は、実施形態の原理、実際的な応用、もしくは市場に見られる技術に対する技術的向上を最も良く説明するために、または当業者が本明細書に記載される実施形態を理解できるようにするために選択されたものである。
【国際調査報告】