(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】径方向内側に停止ダンパを備える遠心力振り子
(51)【国際特許分類】
F16F 15/14 20060101AFI20241108BHJP
F16B 21/06 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
F16F15/14 Z
F16B21/06 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527373
(86)(22)【出願日】2022-11-10
(85)【翻訳文提出日】2024-05-09
(86)【国際出願番号】 DE2022100834
(87)【国際公開番号】W WO2023093936
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】102021131102.0
(32)【優先日】2021-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515009952
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Industriestr. 1-3, 91074 Herzogenaurach, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】エフゲニー フランツ
【テーマコード(参考)】
3J037
【Fターム(参考)】
3J037AA02
3J037DA02
3J037DA12
3J037DB02
3J037DC01
(57)【要約】
本発明は、径方向内面(25)上に、振り子質量体(6)の停止プロセスを振り子フランジ(2、3)の一方において減衰させることができる停止ダンパ(11)を有する遠心力振り子(1)に関する。停止ダンパ(11)は、2つの貫通開口部(19)を有し、これらの貫通開口部(19)内に、またはそれらを通って固定要素(17、8)が延在する。結果として、停止ダンパ(11)は、振り子質量体(6)に対して取り付けおよび予備取り付けが容易である。振り子質量体(6)が1つまたは2つの摩擦要素(12)を同時に有する場合、停止ダンパ(11)は、好ましくは摩擦要素(12)上に形成されている固定要素(17、18)によって振り子質量体に固定することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠心力振り子(1)であって、2つの振り子フランジ(2、3)であって、相対回転不能に固定されており、回転軸(4)を中心に回転可能であり、前記回転軸(4)の方向において前記振り子フランジ(2、3)の間に振り子質量体受容空間(5)を画定する、2つの振り子フランジ(2、3)と、前記振り子質量体受容空間(5)内に配置されている少なくとも1つの振り子質量体(6)であって、前記振り子フランジ(2、3)および前記振り子質量体(6)における切欠き部(7、8)によって画定された少なくとも1つの移動経路(10)上で前記振り子フランジ(2、3)に対して移動可能である、少なくとも1つの振り子質量体(6)と、を備え、ローラ体(9)は、前記切欠き部(7、8)を通って延在し、停止ダンパ(11)は、それぞれの振り子質量体(6)上に形成されている、遠心力振り子(1)において、前記停止ダンパ(11)は、前記振り子質量体(6)の径方向内面(25)上に配置され、少なくとも2つの貫通開口部(19)を有し、前記停止ダンパ(11)を前記振り子質量体(6)に接続する固定要素(17、18)は、前記貫通開口部(19)内に延在することを特徴とする、遠心力振り子(1)。
【請求項2】
前記固定要素(17)は、ピン接続部を含む、請求項1に記載の遠心力振り子(1)。
【請求項3】
前記固定要素(17、18)は、スナップフィット接続を形成する、請求項1に記載の遠心力振り子(1)。
【請求項4】
それぞれの振り子質量体(6)は、少なくとも1つの摩擦要素(12)を有し、前記少なくとも1つの摩擦要素(12)は、前記回転軸(4)の前記方向において前記振り子質量体(6)の一方の側に形成され、前記振り子質量体(6)の上に載置されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の遠心力振り子(1)。
【請求項5】
それぞれの摩擦要素(12)は、前記停止ダンパ(11)の前記貫通開口部(19)内に延在する固定要素(17)としてスナップフィット要素(18)を有する、請求項4に記載の遠心力振り子(1)。
【請求項6】
前記スナップフィット要素(18)は、前記摩擦要素(12)と一体に形成されている、請求項5に記載の遠心力振り子(1)。
【請求項7】
それぞれの摩擦要素(12)は、前記振り子質量体(6)の対応する切欠き部(15)に係合する少なくとも2つのピン(14)を有する、請求項4~6のいずれか一項に記載の遠心力振り子(1)。
【請求項8】
前記停止ダンパ(11)は、少なくとも部分的に弾性材料から形成されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の遠心力振り子(1)。
【請求項9】
入力部(101)と、出力部(102)と、ばね装置(103)と、を備える、ねじり振動ダンパ(100)であって、前記入力部(101)および前記出力部(102)は、前記ばね装置(103)の作用に抗して回転軸(104、4)を中心に互いに対して回転可能であり、前記入力部(101)および/または前記出力部(102)は、請求項1~8のいずれか一項に記載の遠心力振り子(1)に回転不能に固定される様式で接続されている、ねじり振動ダンパ(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、径方向内側に停止ダンパを備える遠心力振り子に関する。本発明による遠心力振り子は、特に自動車のドライブトレインに使用されて、ねじり振動を減衰または相殺する。
【背景技術】
【0002】
自動車のドライブトレインに使用するための遠心力振り子が知られている。これらの遠心力振り子は、ドライブトレインにおける振動を減衰する働きをし、ねじり振動ダンパと連動して使用されることが多い。遠心力振り子は、少なくとも1つの振り子フランジと、遠心力の下で所定の移動経路上で振り子フランジに対して移動することができる振り子質量体と、を有する。振り子質量体および移動経路の構成により、ドライブトレインにおける特定のねじり振動周波数を確実に減衰させることができる。振り子質量体が移動経路の一端に達すると、その移動経路の端部に衝突する。これにより、ドライブトレインに騒音が発生し、移動経路の端部に応力が加えられ、場合によっては摩耗する可能性がある。
【0003】
停止ダンパは、この問題を低減することが知られている。例えば、独国特許出願公開第102015212737号明細書号には、振り子質量体の径方向内面に配置された弾性ボールとして構成されている停止ダンパが開示されている。この実施形態には、ボールのサイズが振り子質量体の厚さによって制限されるという欠点がある。特に振り子質量体が比較的重い場合、それによって達成可能な減衰はもはや十分ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこから進んで、本発明の課題は、先行技術から知られている問題を少なくとも部分的に解消することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本課題は、独立請求項1の特徴によって達成される。従属請求項には、本発明の有利なさらなる実施形態が特定される。従属請求項に個別に記載されている特徴を互いに、技術的に意味のある様態で組み合わせることができ、それにより、本発明のさらなる実施形態を定義することができる。加えて、請求項に示される特徴は、本発明のさらなる好ましい実施形態が示される、明細書の説明において特定されかつ詳述される。
【0006】
本発明による遠心力振り子は、相対回転不能に固定されており、回転軸を中心に回転可能であり、回転軸の方向において振り子フランジの間に振り子質量体受容空間を画定する、2つの振り子フランジと、振り子質量体受容空間内に配置されており、振り子フランジおよび振り子質量体における切欠き部によって画定された少なくとも1つの移動経路上で振り子フランジに対して移動可能である、少なくとも1つの振り子質量体と、を備え、ローラ体は、切欠き部を通って延在し、停止ダンパは、それぞれの振り子質量体上に形成されている。遠心力振り子は、停止ダンパが、振り子質量体の径方向内面上に配置され、少なくとも2つの貫通開口部を有し、停止ダンパを振り子質量体に接続する固定要素が、貫通開口部内に、またはさらには貫通開口部を通って延在することを特徴とする。
【0007】
遠心力振り子は、特に、トルク源として内燃機関を有する自動車のドライブトレインに使用される。加えて、ドライブトレインはまた、トルク源として1つ以上の電気モータを有することができる。遠心力振り子は、ドライブトレインにおけるねじり振動の特定の振動周波数を減衰または相殺する。停止ダンパは、振り子質量体が振り子フランジに衝突し、振り子フランジおよび/または振り子質量体に騒音および/または摩耗が発生するのを防止する。振り子質量体の径方向内面上における停止ダンパの配置、および貫通開口部内に、またはそれらを通って延在する固定要素による振り子質量体への接続に起因して、振り子質量体の厚さ、すなわち、振り子質量体の回転軸方向における広がりの範囲に依存しない減衰効果を達成することができる。
【0008】
停止ダンパは、別の構成部品、具体的には振り子フランジのうちの1つの接触部分に衝突する。停止ダンパは、振り子質量体上に容易に取り付けることができ、具体的には予備取り付けを行うことができ、その結果、次いで、停止ダンパを取り付けた状態で振り子質量体を取り付けることができる。振り子質量体は、好ましくは、回転軸に対して径方向内面上に取り付け切欠き部を有し、取り付け切欠き部は、停止ダンパの切欠き部に対応するように構成されている。
【0009】
固定要素は、好ましくは、ピン接続部を含む。これらの固定要素は、ピンと貫通開口部との間に圧力フィット接続および形状フィット接続が形成されるように、貫通開口部と比較して大きめのサイズであるピンによって形成されている。
【0010】
固定要素は、好ましくは、スナップフィット接続を形成する。これは、両側から貫通開口部に係合し、互いにスナップフィット接続を形成する、2つの固定要素があるときに特に好ましい。この場合、それぞれの固定要素は、好ましくはスナップフィットフックを有する。
【0011】
それぞれの振り子質量体は、好ましくは、少なくとも1つの摩擦要素を有し、この少なくとも1つの摩擦要素は、回転軸の方向において振り子質量体の一方の側に形成され、振り子質量体の上に載置されている。摩擦要素は、具体的には、弾性プラスチックで作製されており、振り子フランジに対する振り子質量体の制動をもたらすために、振り子フランジのうちの1つの上の対応する摩擦要素と規則正しく相互作用する。さらに、有利な実施形態では、2つの摩擦要素が形成され、これらの摩擦要素は、回転軸に対して振り子質量体の反対側に形成される。
【0012】
それぞれの摩擦要素は、好ましくは、停止ダンパの貫通開口部内に延在する、又はそれらを通って延在する固定要素としてスナップフィット要素を有する。2つの摩擦要素が振り子フランジの反対側に形成されている場合、2つの摩擦要素のスナップフィット要素は、好ましくは、それぞれの貫通開口部においてスナップフィット接続を形成するように協働する。これにより、停止ダンパと摩擦要素との容易な取り付けが可能になる。
【0013】
スナップフィット要素は、好ましくは、摩擦要素と一体に形成されている。これにより、停止ダンパの容易な取り付けが可能になる。摩擦要素は、例えば、射出成形プロセスを用いてプラスチックで作製されたスナップフィット要素で容易に製造することができる。
【0014】
それぞれの摩擦要素は、好ましくは、振り子質量体の対応する切欠き部に係合する少なくとも2つのピンを有する。これにより、摩擦要素を振り子質量体に固定するためのピン接続を形成することができる。ピンは、好ましくは、振り子質量体の対応する切欠き部と比較して、回転軸に垂直な平面において大きめのサイズである。
【0015】
停止ダンパは、好ましくは、少なくとも部分的に弾性材料から形成されている。特に、停止ダンパの減衰部分、または代替的に停止ダンパ全体がエラストマーで作製されている。
【0016】
さらに、入力部と、出力部と、ばね装置と、を備える、ねじり振動ダンパが提案され、入力部および出力部は、ばね装置の作用に抗して回転軸を中心に互いに対して回転可能であり、入力部および/または出力部は、本発明による遠心力振り子に回転不能に固定される様式で接続されている。
【0017】
本明細書では、入力部は、好ましくは、例えば、内燃機関をドライブトレインに結合し、ドライブトレインから結合解除するための摩擦クラッチを介して、内燃機関に直接または間接的に接続されるか、または接続可能である。出力部は、好ましくは、遠心力振り子に回転不能に固定される様式で接続されている。ねじり振動ダンパは、好ましくは、トルクリミッタとして径方向内面上にスリップクラッチを備える。
【0018】
注意事項として、本明細書で使用される数字表示(「第1」、「第2」など)は、主に(これらのみ)、いくつかの類似した物体、サイズ、またはプロセスを区別する役割を果たしており、特に、これらの物体、サイズ、またはプロセスの互いの依存関係および/または順序を指定してはいないということに留意されたい。依存関係および/または順序が必要な場合は、本明細書で明示されるか、具体的に記述された実施形態を検討するときに、当業者にとって明らかな様態になっている。
【0019】
本発明および技術分野の両方は、図を参照して以下でより詳細に説明される。本発明は、示された例示的な実施形態によって限定されることを意図していないことに留意されたい。特に、明示的に別段の記載がない限り、図に示された主題の部分的な側面を抽出し、本明細書および/または図からの他の構成要素および知識と組み合わせることも可能である。特に、図、および、特に、示された比率は、本質的に概略的なものに過ぎないことに留意されたい。同一の参照記号は同じ物体を示しており、その結果、適用可能である場合、他の図からの説明も使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】遠心力振り子の一例を有するねじり振動ダンパの断面図である。
【
図3】摩擦要素を有する遠心力振り子の振り子質量体の様々な部分の図である。
【
図4】摩擦要素を有する遠心力振り子の振り子質量体の様々な部分の図である。
【
図5】摩擦要素を有する遠心力振り子の振り子質量体の様々な部分の図である。
【
図9】摩擦要素および停止ダンパを有する振り子質量体の分解図である。
【
図10】取り付けられた摩擦要素および停止ダンパを有する振り子質量体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、ねじり振動ダンパ100の断面図である。ねじり振動ダンパ100は、入力部101と、出力部102と、を含む。入力部101および出力部102は、ばね装置103の作用に抗して回転軸104を中心に互いに対して回転することができる。入力部は、好ましくは、内燃機関(図示せず)の出力シャフト(図示せず)に直接または間接的に接続されている。直接接続は、例えば、入力部101を内燃機関のクランクシャフトまたはフライホイールに回転不能に固定される様式で接続することによって行うことができる。間接接続は、内燃機関とねじり振動ダンパ100との間に摩擦クラッチなどの少なくとも1つのさらなる要素を形成することによって達成することができる。
【0022】
遠心力振り子1は、ねじり振動ダンパ100の出力部102に回転不能に固定される様式で接続されている。遠心力振り子1は、第1の振り子フランジ2と、第2の振り子フランジ3と、を備え、これらは、回転軸104に相当する回転軸4を中心に回転することができる。第1の振り子フランジ2および第2の振り子フランジ3は、回転不能に固定される様式で互いに接続されており、第1の振り子フランジ2と第2の振り子フランジ3との間の回転軸4の方向において振り子質量体受容空間5を画定する。
【0023】
図2は、
図1の遠心力振り子1の上面図であり、見る方向は、
図1の右からである。
図2は、振り子質量体6が、第1の振り子フランジ2と第2の振り子フランジ3との間の回転軸4の方向において位置するように、第2の振り子フランジ3の一部のみを示している。全体として、この遠心力振り子1の例は、3つの振り子質量体6を有し、これらの振り子質量体6は、円周上に、回転軸4に対して均等に分布され、回転軸4に垂直である共通の平面に位置する。第1の振り子フランジ2と同様に第2の振り子フランジ3も切欠き部7を有し、一方で、それぞれの振り子質量体6は、切欠き部8を有する。ローラ体9は、切欠き部7、8に形成されており、これらのローラ体は、特定の周波数を減衰させるために、第1の振り子フランジ2および第2の振り子フランジ3に対する振り子質量体6の移動を可能にする。ローラ体9は、移動経路10を形成する切欠き部7、8内を移動し、移動経路10は、振り子フランジ2、3に対する振り子質量体6の遠心力から誘導された所望の振り子移動を可能にするような方法で画定されている。
【0024】
径方向内面上には、それぞれの振り子質量体6が停止ダンパ11を有する。振り子質量体6、停止ダンパ11、および第2の振り子フランジ3は、振り子質量体6の最大偏位時に、停止ダンパ11が振り子質量体6の移動を減衰させるような方法で構成されている。径方向内面上の構成とは、
図2に示すような非偏位状態において、回転軸4に対して、停止ダンパ11が振り子質量体6を越えて径方向内側に突出し、その結果、径方向内面上に停止ダンパ11とのみ接触が生じる可能性があるが、振り子質量体6との接触は生じる可能性がないような構成を意味する。停止ダンパ11は、好ましくは、弾性材料で作製されている。
【0025】
停止ダンパ11、およびその振り子質量体6への取り付けの好ましい例は、特に
図3~
図8を参照して以下で説明される。明示的に別段の記載がない限り、これらの図は、以下で一緒に説明される。
図3~
図6は、振り子質量体6の様々な部分を示す。
図3は、
図4の「III-III」で示される部分を示し、
図4は、
図3の「IV-IV」で示される部分を示し、
図5は、
図3の「V-V」で示される部分を示す。
【0026】
この例では、振り子質量体6には、2つの摩擦要素12が設けられており、これらの摩擦要素12は、回転軸4の方向で反対側である、振り子質量体の長手方向側面13の上に載置されている。摩擦要素12は、
図6の斜視図において示されている。摩擦要素12は、ピン14、この例では3つのピン14を有する。摩擦要素12は、ピン14を介して振り子質量体6に接続され、ピン14は、振り子質量体6の対応する切欠き部15に圧入され、したがって、摩擦要素12と振り子質量体6との間に形状フィット接続および圧力フィット接続が形成される。ピン14は、対応する切欠き部15に対して適切に大きめのサイズになっている。また、摩擦要素12は、移動経路10を形成するために振り子質量体の切欠き部8に対応する切欠き部16を有する。
【0027】
さらに、摩擦要素12は、径方向内面27上に2つの固定要素17を有する。これらは、対応するスナップフィットフック26を有するスナップフィット要素18として構成されている。停止ダンパ11(特に
図7および
図8を参照)は、貫通開口部19を有し、これらの貫通開口部19の位置および間隔は、摩擦要素12が停止ダンパ11とともに振り子質量体6上に取り付けられたときに、固定手段17が貫通開口部19を通して係合するように選択される。 本実施例では(特に
図5を参照)、2つの摩擦要素12が振り子質量体6ごとに形成されており、その結果、組み立て中に2つの摩擦要素12のスナップフィットフック18が停止ダンパ11の貫通開口部19を通って延在し、スナップフィット接続を形成する。
【0028】
設置されたとき、停止ダンパ11は、回転軸4に対して径方向において凸状の外面20および内面21を有する。外面20は、振り子質量体6の取り付け切欠き部22に対応している(具体的には
図3を参照)。内面21は、減衰部分23を有し、減衰部分23は、特に第2の振り子フランジ3の接触部分24と接触して減衰機能をもたらす(
図1を参照)。減衰部分23は、2つの窪み28を有し、これらの位置は、貫通開口部19の位置に対応している。これにより、衝撃ダンパ11の衝撃時に、貫通開口部19の領域、ひいては貫通開口部19に形成された固定要素17の領域内に導入される力が低減され、その結果、固定要素17は、動作中に保護される。
【0029】
図9は、摩擦要素12、停止ダンパ11、およびローラ体9を有する振り子質量体6の分解図である。取り付け切欠き部22が形成されている径方向内面25は、振り子質量体6上に示されている。
図10は、取り付けられた摩擦要素12およびローラ体9を有する振り子質量体6の斜視図である。
【0030】
遠心力振り子1は、その径方向内面25上に停止ダンパ11を有し、この停止ダンパ11によって、振り子フランジ2、3のうちの一方における振り子質量体6の停止プロセスが減衰される。停止ダンパ11は、2つの貫通開口部19を有し、これらの貫通開口部19内に、またはそれらを通って固定要素17、18が延在する。これにより、停止ダンパ11は、振り子質量体6に対して取り付けおよび予備取り付けが容易である。振り子質量体6が1つまたは2つの摩擦要素12を同時に有する場合、停止ダンパ11は、好ましくは、摩擦要素12上に形成されている固定要素17、18によって振り子質量体に固定することができる。
【符号の説明】
【0031】
1 遠心力振り子
2 第1の振り子フランジ
3 第2の振り子フランジ
4 回転軸
5 振り子質量体受容空間
6 振り子質量体
7 切欠き部
8 切欠き部
9 ローラ体
10 移動経路
11 停止ダンパ
12 摩擦要素
13 長手方向側面
14 ピン
15 切欠き部
16 径方向内面
17 固定要素
18 スナップフィットフック
19 貫通開口部
20 外面
21 内面
22 取り付け切欠き部
23 減衰部分
24 接触部分
25 径方向内面
26 スナップフィットフック
27 径方向内面
28 窪み
100 ねじり振動ダンパ
101 入力部
102 出力部
103 ばね装置
104 回転軸
【手続補正書】
【提出日】2024-05-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠心力振り子(1)であって、2つの振り子フランジ(2、3)であって、相対回転不能に固定されており、回転軸(4)を中心に回転可能であり、前記回転軸(4)の方向において前記振り子フランジ(2、3)の間に振り子質量体受容空間(5)を画定する、2つの振り子フランジ(2、3)と、前記振り子質量体受容空間(5)内に配置されている少なくとも1つの振り子質量体(6)であって、前記振り子フランジ(2、3)および前記振り子質量体(6)における切欠き部(7、8)によって画定された少なくとも1つの移動経路(10)上で前記振り子フランジ(2、3)に対して移動可能である、少なくとも1つの振り子質量体(6)と、を備え、ローラ体(9)は、前記切欠き部(7、8)を通って延在し、停止ダンパ(11)は、それぞれの振り子質量体(6)上に形成されている、遠心力振り子(1)において、前記停止ダンパ(11)は、前記振り子質量体(6)の径方向内面(25)上に配置され、少なくとも2つの貫通開口部(19)を有し、前記停止ダンパ(11)を前記振り子質量体(6)に接続する固定要素(17、18)は、前記貫通開口部(19)内に延在することを特徴とする、遠心力振り子(1)。
【請求項2】
前記固定要素(17)は、ピン接続部を含む、請求項1に記載の遠心力振り子(1)。
【請求項3】
前記固定要素(17、18)は、スナップフィット接続を形成する、請求項1に記載の遠心力振り子(1)。
【請求項4】
それぞれの振り子質量体(6)は、少なくとも1つの摩擦要素(12)を有し、前記少なくとも1つの摩擦要素(12)は、前記回転軸(4)の前記方向において前記振り子質量体(6)の一方の側に形成され、前記振り子質量体(6)の上に載置されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の遠心力振り子(1)。
【請求項5】
それぞれの摩擦要素(12)は、前記停止ダンパ(11)の前記貫通開口部(19)内に延在する固定要素(17)としてスナップフィット要素(18)を有する、請求項4に記載の遠心力振り子(1)。
【請求項6】
前記スナップフィット要素(18)は、前記摩擦要素(12)と一体に形成されている、請求項5に記載の遠心力振り子(1)。
【請求項7】
それぞれの摩擦要素(12)は、前記振り子質量体(6)の対応する切欠き部(15)に係合する少なくとも2つのピン(14)を有する、請求項
4に記載の遠心力振り子(1)。
【請求項8】
前記停止ダンパ(11)は、少なくとも部分的に弾性材料から形成されている、請求項
1に記載の遠心力振り子(1)。
【請求項9】
入力部(101)と、出力部(102)と、ばね装置(103)と、を備える、ねじり振動ダンパ(100)であって、前記入力部(101)および前記出力部(102)は、前記ばね装置(103)の作用に抗して回転軸(104、4)を中心に互いに対して回転可能であり、前記入力部(101)および/または前記出力部(102)は、請求項
1に記載の遠心力振り子(1)に回転不能に固定される様式で接続されている、ねじり振動ダンパ(100)。
【国際調査報告】