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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】食品類似物の調製方法及び製品
(51)【国際特許分類】
   A23J 3/00 20060101AFI20241108BHJP
   A23L 13/00 20160101ALI20241108BHJP
   A23J 3/18 20060101ALI20241108BHJP
   A23J 3/16 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
A23J3/00 502
A23L13/00 Z
A23J3/18 501
A23J3/16 501
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527458
(86)(22)【出願日】2022-11-14
(85)【翻訳文提出日】2024-07-08
(86)【国際出願番号】 IL2022051214
(87)【国際公開番号】W WO2023084526
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】288107
(32)【優先日】2021-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522181522
【氏名又は名称】リデファイン ミート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トムソフ、アレクセイ
(72)【発明者】
【氏名】マンデリック,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】シャクター、セージ
(72)【発明者】
【氏名】イッツァコフ、ステラ
(72)【発明者】
【氏名】ディコブスキー、ダニエル
【テーマコード(参考)】
4B042
【Fターム(参考)】
4B042AC05
4B042AD36
4B042AE03
4B042AK10
(57)【要約】
本開示は、代替食品製品、好ましくは、代替全筋カット肉製品を生産するための方法、及びそのような食品製品を提供する。本方法は、(a)複数の細長い組織化植物性タンパク質(TVP)ストランドを提供することと、(b)本質的に平行に整列した細長いTVPストランドの第1の単層を形成することと、(c)本質的に平行に整列した細長いTVPストランドの少なくとも1つの追加の単層であって、前に形成された単層の上に形成される各追加の単層を形成することと、を含み、当該複数のTVPストランドが形成されるTVP押出物の再水和試料が、10rad/秒の一定周波数及び25Nの一定軸力において、3・10-2%~3・10%の振幅掃引モードで、25℃で決定される少なくとも2.5KPaのクロスオーバー弾性率を有する。本明細書に開示される製品は、複数の積層TVP含有単層を含み、各単層が、当該単層において互いに対して共通の公称方向に整列された細長いストランドを含み、生地ブレードを使用して当該製品を約30秒間せん断すると、製品が崩壊し、縦寸法及び厚さ寸法を有する個々の細長いTVPストランドを提供し、縦寸法は、厚さ寸法よりも大きく、当該製品は、当該公称方向に公称寸法を有し、個々の細長いTVPストランドの大部分の縦寸法が、当該公称寸法と概して同じである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
代替食品製品を生産するための方法であって、
- 複数の細長い組織化植物性タンパク質(TVP)ストランドを提供することと、
- 本質的に平行に整列した細長いTVPストランドの第1の単層を形成することと、
- 本質的に平行に整列した細長いTVPストランドの少なくとも1つの追加の単層であって、前に形成された単層の上に形成される各追加の単層を形成することと、を含み、
前記複数のTVPストランドが形成されるTVP押出物の再水和試料が、10rad/秒の一定周波数及び25Nの一定軸力において、3・10-2%~3・10%の振幅掃引モードで、25℃で決定される少なくとも2.5KPaのクロスオーバー弾性率を有する、方法。
【請求項2】
前記複数の細長いTVPストランドが、再水和TVPストランドである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の細長いTVPストランドの各々が、ストランド縦寸法及びストランド厚さ寸法を有し、前記ストランド縦寸法が、前記TVP押出物の押出方向と本質的に平行な方向で測定される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記厚さ寸法が、前記TVP押出物の押出方向と垂直な方向で測定される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記複数の細長いTVPストランドが、TVP押出物のシートからスライスされたストランドであり、前記スライスが、前記TVP押出物の押出方向と本質的に平行な方向である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の細長いTVPストランドの各々が、前記TVP押出物の押出方向と相関する縦方向を有する細長い細孔を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記スライスが、前記細長い細孔の前記縦方向と本質的に平行である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記細長いストランドの大部分における前記縦寸法が、前記厚さ寸法よりも少なくとも2倍大きい、請求項3~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記細長いストランドの大部分における前記縦寸法が、少なくとも2cmである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記細長いストランドの大部分における前記厚さ寸法が、0.2mm~10mmである、請求項3~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
単層中の複数のTVPストランドの前記厚さ寸法が、概して同じである、請求項3~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
単層が、異なる寸法のTVPストランドを含む、請求項3~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
TVP押出物を液体で再水和し、再水和された前記TVP押出物を前記TVPストランドにスライスすることを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
1:1.5~1:5の前記TVP押出物と前記液体との間の重量比において前記液体で再水和することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記TVPストランドが、水、マリネード、及びエマルションからなる群から選択される液体で再水和される、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記複数の細長いTVPストランドが、約30重量%~90重量%の含水量を有する、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記複数の細長いTVPストランドが、約60重量%~80重量%の含水量を有する、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
単層の上に後続の単層を適用する前に、食品等級結合組成物を前記単層の上に適用することを含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記複数の細長いTVPストランドから前記単層を形成する前に、前記複数の細長いTVPストランドのうちの1つ以上の上に食品等級結合組成物を適用することを含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記結合組成物が、グルテンを含む、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
前記TVPストランドを高水分押出(HME)からのタンパク質の少なくとも1つのストランドと組み合わせることを含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
少なくとも1つの単層に食用脂及び/又は食用ゲルを導入することを含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
少なくとも2つの単層の間に食用脂及び/又は食用ゲルを導入することを含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記クロスオーバー弾性率が、再水和TVP上で決定され、前記再水和が、水を用いたものである、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
多層製品が取得され、前記方法が、前記多層製品を、圧密化、硬化、熱処理、マリネ、加圧形成、陰圧を受けることからなる群から選択される少なくとも1つの構築後プロセスにかけることを含む、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
複数の積層TVP含有単層を含む代替食品製品であって、各単層が、前記単層において互いに対して共通の公称方向に整列された細長いストランドを含み、
生地ブレードを使用して前記製品を約30秒間せん断すると、前記製品が、崩壊し、縦寸法及び厚さ寸法を有する個々の細長いTVPストランドを提供し、前記縦寸法が、前記厚さ寸法よりも大きく、
前記製品が、前記公称方向に公称寸法を有し、前記個々の細長いTVPストランドの大部分の前記縦寸法が、前記公称寸法と概して同じである、代替食品製品。
【請求項27】
前記細長いストランドが、前記製品において互いに対して共通の公称方向に整列されている、請求項26に記載の代替食品製品。
【請求項28】
食品等級結合組成物を含む、請求項26又は27に記載の代替食品製品。
【請求項29】
前記結合組成物が、グルテンを含む、請求項28に記載の代替食品製品。
【請求項30】
食用脂を含む、請求項27~29のいずれか一項に記載の代替食品製品。
【請求項31】
食用ゲルを含む、請求項27~30のいずれか一項に記載の代替食品製品。
【請求項32】
少なくとも10Nの荷重が、50mm/分の速度で前記食品製品内に前進された厚さ1mmの金属プレートジグの66%貫通のために必要とされ、金属ジグが、前記製品内の細長いストランドの公称方向と垂直である配向にある、請求項26~31のいずれか一項に記載の代替食品製品。
【請求項33】
少なくとも25Nの荷重が、50mm/分の速度で前記食品製品内に前進された厚さ1mmの金属プレートジグの80%貫通のために必要とされ、金属ジグが、前記製品内の細長いストランドの公称方向と垂直である配向にある、請求項26~32のいずれか一項に記載の代替食品製品。
【請求項34】
前記製品の断面が前記製品内の前記細長いストランドの公称方向と垂直に得られたときに、前記断面の全体を通して光学的に可視の細孔を含み、前記細孔が、少なくとも0.2mmの少なくとも1つの寸法を有する、請求項26~33のいずれか一項に記載の代替食品製品。
【請求項35】
前記製品の崩壊時に、個々の細長いストランドの総重量が、崩壊前の製品の総重量の少なくとも50%である、請求項26~34のいずれか一項に記載の代替食品製品。
【請求項36】
前記厚さ寸法が、0.2mm~10mmである、請求項26~35のいずれか一項に記載の代替食品製品。
【請求項37】
前記製品の崩壊時に、個々の細長いストランドの総重量が、崩壊前の製品の総重量の少なくとも50%である、請求項26~36のいずれか一項に記載の代替食品製品。
【請求項38】
複数の積層TVP含有単層を含む代替食品製品であって、各単層が、前記単層において互いに対して共通の公称方向に整列された細長いストランドを含み、
前記製品が、前記公称方向に公称寸法を有し、個々の細長いTVPストランドの大部分の縦寸法が、前記公称寸法と概して同じであり、
少なくとも10N又は25Nの荷重が、それぞれ、50mm/分の速度で前記食品製品内に前進された厚さ1mmの金属プレートジグの66%又は80%貫通のために必要とされ、前記金属ジグが、前記製品内の細長いストランドの公称方向と垂直である配向にある、代替食品製品。
【請求項39】
前記細長いストランドが、前記製品において互いに対して共通の公称方向に整列されている、請求項38に記載の代替食品製品。
【請求項40】
食品等級結合組成物を含む、請求項38又は39に記載の代替食品製品。
【請求項41】
前記結合組成物が、グルテンを含む、請求項40に記載の代替食品製品。
【請求項42】
食用脂を含む、請求項38~41のいずれか一項に記載の代替食品製品。
【請求項43】
食用ゲルを含む、請求項38~42のいずれか一項に記載の代替食品製品。
【請求項44】
前記製品の断面が前記製品内の前記細長いストランドの公称方向と垂直に得られたときに、前記断面の全体を通して光学的に可視の細孔を含み、前記細孔が、少なくとも0.2mmの少なくとも1つの寸法を有する、請求項38~43のいずれか一項に記載の代替食品製品。
【請求項45】
前記製品の崩壊時に、個々の細長いストランドの総重量が、崩壊前の製品の総重量の少なくとも50%である、請求項28~44のいずれか一項に記載の代替食品製品。
【請求項46】
前記細長いストランドが、0.2mm~10mmの厚さ寸法を有する、請求項25~45のいずれか一項に記載の代替食品製品。
【請求項47】
代替全筋カットである、請求項25~46のいずれか一項に記載の代替食品製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、食品産業に関し、特に、アルトミート産業に関する。
【0002】
(参考文献)
現在開示されている主題の背景として関連するとみなされる参考文献を、以下に列挙する。
- 国際公開第2020/152689号
- 国際公開第2021/095034号
- 国際公開第2021/191906号
【0003】
本明細書における上記の参考文献の認識は、これらが現在開示されている主題の特許性にいかなる形でも関連していることを意味するものとして推論されるべきではない。
【背景技術】
【0004】
環境的及び道徳的要因に起因して、肉類似物(本明細書ではアルトミート又は代替肉とも称される)への大きな関心がある。ますます多くの人々が、本物の肉の味の好みを実際に放棄することなく、その消費選好を切り替えている。所望の代替製品の範囲は、ミンチ肉及びチキンナゲットから始まって、全筋カットを含む。
【0005】
アルトミート産業において再構成に困難である要素のうちの1つは、肉の線維性質である。畜肉では、筋線維は、その結合組織エンベロープとともに、全筋肉の噛み応えがある性質に関与する高度に異方性で頑丈な構造を形成する。
【0006】
国際公開第2020/152689号、及び国際公開第2021/095034号、及び国際公開第2021/191906号は各々、独立して、とりわけ、付加製造技術による肉類似物の製造におけるTVPの使用を記載している。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、組織化植物性タンパク質(texturized vegetable protein、TVP)含有生地材料から生産されるアルトミート製品とは対照的に、TVP押出物からのストランドからの代替肉製品、特に、全筋カット製品(本明細書では時として「アルトミート」又は「肉類似物」という用語によって称される)の開発に基づく。
【0008】
実際に、乾燥TVP押出物は、そのまま使用される、すなわち、細長いストランドにスライスされ、再水和され、次いで、それを生地に形成することなく、多層製品に構築され得ることが見出されている。
【0009】
したがって、現在開示されている主題の第1の態様によれば、代替食品製品、好ましくは、代替全筋カット製品を生産するための方法が提供され、本方法は、
- 複数の細長い組織化植物性タンパク質(TVP)ストランドを提供することと、
- 本質的に平行に整列した細長いTVPストランドの第1の単層を形成することと、
- 本質的に平行に整列した細長いTVPストランドの少なくとも1つの追加の単層であって、前に形成された単層の上に形成される各追加の単層を形成することと、を含み、
当該細長いTVPストランドが形成されるTVPの再水和試料は、10rad/秒の一定周波数及び25Nの一定軸力において、3・10-2%~3・10%の振幅掃引モードで、25℃で決定される少なくとも2.5KPaのクロスオーバー点(クロスオーバー弾性率点)を有する。
【0010】
現在開示されている主題の第2の態様によれば、複数の積層TVP含有単層を含む、代替食品製品、好ましくは、代替全筋カット肉製品が提供され、各単層は、当該単層において互いに対して共通の公称方向に整列された細長いストランドを含み、好ましくは、当該製品では、
生地ブレードを使用して当該代替肉製品を約30秒間せん断すると、代替肉製品は、崩壊し、縦寸法及び厚さ寸法を有する個々の細長いTVPストランドを提供し、縦寸法は、厚さ寸法よりも大きく、
当該製品は、当該公称方向に公称寸法を有し、個々の細長いTVPストランドの大部分の縦寸法は、当該公称寸法と概して同じである。
【0011】
更に、現在開示されている主題の第2の態様によれば、複数の積層TVP含有単層を含む、代替食品製品、好ましくは、代替全筋カット肉製品が提供され、各単層は、当該単層において互いに対して共通の公称方向に整列された細長いストランドを含み、好ましくは、当該製品では、
当該製品は、当該公称方向に公称寸法を有し、個々の細長いTVPストランドの大部分の縦寸法は、当該公称寸法と概して同じであり、
少なくとも10N又は25Nの荷重が、それぞれ、50mm/分の速度で当該食品製品内に前進された厚さ1mmの金属プレートジグの66%又は80%貫通のために必要とされ、金属ジグは、製品内の細長いストランドの公称方向と垂直である配向にある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本明細書に開示されている主題をより良く理解し、実際にそれがどのように実行され得るかを例示するために、添付の図面を参照して、非限定的な例としてのみ、実施形態をここで説明する。
図1A】本開示のいくつかの例による肉類似物を取得するための方法(図1A)、及び本開示のいくつかの例による肉類似物を取得するための方法で使用されるTVPストランドを提供するための方法(図1B)の対応するブロック図が並んだ概略図である。
図1B】本開示のいくつかの例による肉類似物を取得するための方法(図1A)、及び本開示のいくつかの例による肉類似物を取得するための方法で使用されるTVPストランドを提供するための方法(図1B)の対応するブロック図が並んだ概略図である。
図2A】具体的には、厚さ1mmの金属プレートジグ及び市販のTPAの金属プラットフォームを示し、その上に試験試料を有し(図2A)、試験試料のカットを操作する方向が、ストランドの方向(図2B)又はストランドの方向と垂直な方向(図2C)にある、修正咬合試験の画像を提供する。
図2B】具体的には、厚さ1mmの金属プレートジグ及び市販のTPAの金属プラットフォームを示し、その上に試験試料を有し(図2A)、試験試料のカットを操作する方向が、ストランドの方向(図2B)又はストランドの方向と垂直な方向(図2C)にある、修正咬合試験の画像を提供する。
図2C】具体的には、厚さ1mmの金属プレートジグ及び市販のTPAの金属プラットフォームを示し、その上に試験試料を有し(図2A)、試験試料のカットを操作する方向が、ストランドの方向(図2B)又はストランドの方向と垂直な方向(図2C)にある、修正咬合試験の画像を提供する。
図3】本明細書に記載される修正された咬合試験による、刻んだTVPストランドから、又はTVPストランド全体(KWN#1)から取得された試料の荷重対試料貫通を示すグラフである。
図4】本開示に従って実施された3点曲げ試験の概略図である。
図5A】曲げが試料中のストランドの方向と垂直な方向(図5A)又はストランドの方向と垂直な方向(図5B)であるときに、本開示による3点曲げ試験をTVPストランド全体からの試料及び刻んだトTVPストランド試料に実施すると取得される破壊の種類、及びストランド全体からの試料対畜肉ビーフテンダーロインの試料における破壊の種類(図5C)の画像である。
図5B】曲げが試料中のストランドの方向と垂直な方向(図5A)又はストランドの方向と垂直な方向(図5B)であるときに、本開示による3点曲げ試験をTVPストランド全体からの試料及び刻んだトTVPストランド試料に実施すると取得される破壊の種類、及びストランド全体からの試料対畜肉ビーフテンダーロインの試料における破壊の種類(図5C)の画像である。
図5C】曲げが試料中のストランドの方向と垂直な方向(図5A)又はストランドの方向と垂直な方向(図5B)であるときに、本開示による3点曲げ試験をTVPストランド全体からの試料及び刻んだトTVPストランド試料に実施すると取得される破壊の種類、及びストランド全体からの試料対畜肉ビーフテンダーロインの試料における破壊の種類(図5C)の画像である。
図6A】肉参照サーロイン(図6A)、テンダーロイン(図6B)、及びTVPストランド全体試料(図6C)の破損の形態の上面図画像である。各図のスケールは2mmである。
図6B】肉参照サーロイン(図6A)、テンダーロイン(図6B)、及びTVPストランド全体試料(図6C)の破損の形態の上面図画像である。各図のスケールは2mmである。
図6C】肉参照サーロイン(図6A)、テンダーロイン(図6B)、及びTVPストランド全体試料(図6C)の破損の形態の上面図画像である。各図のスケールは2mmである。
図7】圧縮試験における第1の圧縮後の再水和TVP押出物全体(KWN#1、KWN#2、KWN#3、及びKWN#4)であって、本質的に同じ化学組成を含むTVP押出物の試験された高さ(すなわち、弾性)の変化を示すグラフである。
図8A】振動歪みの関数としての異なる試験試料(KWN#1、KWN#2、KWN#3、KWN#4、KWN#6、及びQTQ)の貯蔵弾性率(G’)及び損失弾性率(G”)を示すグラフである。
図8B】振動歪みの関数としての異なる試験試料(KWN#1、KWN#2、KWN#3、KWN#4、KWN#6、及びQTQ)の貯蔵弾性率(G’)及び損失弾性率(G”)を示すグラフである。
図8C】振動歪みの関数としての異なる試験試料(KWN#1、KWN#2、KWN#3、KWN#4、KWN#6、及びQTQ)の貯蔵弾性率(G’)及び損失弾性率(G”)を示すグラフである。
図8D】振動歪みの関数としての異なる試験試料(KWN#1、KWN#2、KWN#3、KWN#4、KWN#6、及びQTQ)の貯蔵弾性率(G’)及び損失弾性率(G”)を示すグラフである。
図8E】振動歪みの関数としての異なる試験試料(KWN#1、KWN#2、KWN#3、KWN#4、KWN#6、及びQTQ)の貯蔵弾性率(G’)及び損失弾性率(G”)を示すグラフである。
図8F】振動歪みの関数としての異なる試験試料(KWN#1、KWN#2、KWN#3、KWN#4、KWN#6、及びQTQ)の貯蔵弾性率(G’)及び損失弾性率(G”)を示すグラフである。
図9】異なるTVP試料のクロスオーバー点における弾性率(クロスオーバー弾性率)を提示するグラフである。
図10A】それぞれ、2つの再水和TVPストランド全体(KWN#4及びKWN#2)の光学顕微鏡画像であり、断面は、TVP押出物方向(細長い細孔の方向)と垂直に試料を切断することによって露出され、TVP押出物の密度の差を示し、KWN#4がより高密度である。
図10B】それぞれ、2つの再水和TVPストランド全体(KWN#4及びKWN#2)の光学顕微鏡画像であり、断面は、TVP押出物方向(細長い細孔の方向)と垂直に試料を切断することによって露出され、TVP押出物の密度の差を示し、KWN#4がより高密度である。
図11A】2.0cmの厚さを有し、TVPストランド全体を含む代替ステーキ(図11A図11B)であって、細長いTVPストランドの方向と垂直な方向に厚切りの代替全筋カットから切断されたステーキから、TVPストランド全体を含む代替全筋カット肉製品(図11C)から、又は刻んだTVPストランドステーキ(図11D図11E)から調製された崩壊した代替肉試料の画像である。
図11B】2.0cmの厚さを有し、TVPストランド全体を含む代替ステーキ(図11A図11B)であって、細長いTVPストランドの方向と垂直な方向に厚切りの代替全筋カットから切断されたステーキから、TVPストランド全体を含む代替全筋カット肉製品(図11C)から、又は刻んだTVPストランドステーキ(図11D図11E)から調製された崩壊した代替肉試料の画像である。
図11C】2.0cmの厚さを有し、TVPストランド全体を含む代替ステーキ(図11A図11B)であって、細長いTVPストランドの方向と垂直な方向に厚切りの代替全筋カットから切断されたステーキから、TVPストランド全体を含む代替全筋カット肉製品(図11C)から、又は刻んだTVPストランドステーキ(図11D図11E)から調製された崩壊した代替肉試料の画像である。
図11D】2.0cmの厚さを有し、TVPストランド全体を含む代替ステーキ(図11A図11B)であって、細長いTVPストランドの方向と垂直な方向に厚切りの代替全筋カットから切断されたステーキから、TVPストランド全体を含む代替全筋カット肉製品(図11C)から、又は刻んだTVPストランドステーキ(図11D図11E)から調製された崩壊した代替肉試料の画像である。
図11E】2.0cmの厚さを有し、TVPストランド全体を含む代替ステーキ(図11A図11B)であって、細長いTVPストランドの方向と垂直な方向に厚切りの代替全筋カットから切断されたステーキから、TVPストランド全体を含む代替全筋カット肉製品(図11C)から、又は刻んだTVPストランドステーキ(図11D図11E)から調製された崩壊した代替肉試料の画像である。
図12A】本開示によるTVPストランド全体(図12A)から、又は刻んだストランド(図12B)から取得された代替全筋カット製品からの断面切断の顕微鏡画像であり、前者は、タンパク質塊中の細孔を示す。
図12B】本開示によるTVPストランド全体(図12A)から、又は刻んだストランド(図12B)から取得された代替全筋カット製品からの断面切断の顕微鏡画像であり、前者は、タンパク質塊中の細孔を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
現在開示されている主題は、その態様のうちの第1の態様によると、代替食品製品を生産するための方法を提供し、本方法は、
- 複数の細長い組織化植物性タンパク質(TVP)ストランドを提供することと、
- 本質的に平行に整列した細長いTVPストランドの第1の単層を形成することと、
- 本質的に平行に整列した細長いTVPストランドの少なくとも1つの追加の単層であって、前に形成された単層の上に形成される各追加の単層を形成することと、を含み、
当該細長いTVPストランドが形成されるTVPの再水和試料は、10rad/秒の一定周波数及び25Nの一定軸力において、3・10-2%~3・10%の振幅掃引モードで、25℃で決定される少なくとも2.5KPaのクロスオーバー弾性率(クロスオーバー点における弾性率)を有する。
【0014】
現在開示されている主題のいくつかの好ましい例では、代替食品製品は、代替全筋カット製品である。
【0015】
本開示の文脈では、代替全筋カット製品に言及する場合、それは、刻むこと、又はミンチにすること、若しくは粉砕することによって加工されていない任意の肉製品を包含すると理解されるべきである。これには、ステーキ、肉のぶつ切り、及び肉の立方体などの厚切り又は厚切りのカットが含まれるが、これらに限定されない。
【0016】
代替食品製品は、その成分のうちの1つとしてタンパク質を含有する。現在開示されている主題によるタンパク質は、組織化植物性タンパク質(TVP)であるか、又はそれを含む。
【0017】
本開示の文脈では、「組織化植物性タンパク質」又は「TVP」は、当該技術分野で公知である意味を有すると理解されるべきである。TVPは、ミートエキステンダー又はベジタリアンミートとして使用されることが当技術分野で知られており、通常、小麦、エンドウマメ、及びその他などの植物源から、高せん断、圧力、及び熱を使用して、タンパク質単離物、濃縮物、若しくは粉末、並びに/又は水及び/若しくはコーンスターチあるいは他の食用化合物などの添加剤とのその混合物を押出することによって作成される。したがって、本開示の文脈では、TVPに言及する場合、それは、押出の製品、又は言い換えれば押出物を指すと理解されるべきである。
【0018】
TVP押出物は、シート状構造及び大きなぶつ切りから小さなフレークまでの異なるサイズで市販されている。本開示の文脈では、TVPは、実際の押出プロセスから生じるTVPの固有の組織特性を変化させることなく(例えば、TVPを刻むことなく)、所望の細長いストランドが細長いTVPストランドにスライスされるか、若しくは別様に加工される、シート、ストライプ、若しくは大きなぶつ切りから取得されるか、又は取得可能である。
【0019】
本開示の文脈では、細長いTVPストランドに言及する場合、それは、ストランドの任意の他の寸法よりも少なくとも2倍大きい少なくとも1つの寸法を有するTVPを意味すると理解されるべきである。大きい方の寸法は、本明細書では縦寸法(ストランドの縦方向と相関する)と称される。他の寸法は、幅、高さ、厚さ、断面直径と称され得る。
【0020】
現在開示されている主題のいくつかの例は、少なくとも2cmの縦寸法、及び0.2mm~約10mm、時には0.2mm~約6mmの少なくとも1つの(より短い)寸法(例えば、縦寸法と垂直な寸法)を有する細長いストランドにスライスされた組織化植物性タンパク質(TVP)押出物が、付加製造技術における代替全筋カット製品の生産のために有利であるという認識に基づく。代替全筋カット製品の形成のために、細長いTVP押出物ストランドは、一方を他方の上に、層状に配置され、ストランドは、本質的に、又は概して同じ配向にある。いくつかの例では、ストランド又はストランドの単層は、少なくとも部分的に、食品等級結合組成物で実質的に覆われる。
【0021】
現在開示されている方法で、又は現在開示されているアルトミート製品全体の一部として使用することができる、異なるTVP押出物が存在する。
【0022】
本発明者らの認識に基づいて、現在開示されている主題の第1の態様によれば、TVPの層を含む代替食品製品を生産するための方法がここで提供される。本方法は、刻んだTVPから作製されたストランドの代わりにTVPストランド全体を利用する、付加製造技術に基づく。
【0023】
したがって、現在開示されている主題の文脈では、TVPストランド全体又は略してストランド全体に言及する場合、それは、TVP押出物から直接切り取られたストランド又はストリップを表すと理解されるべきである。
【0024】
TVPストランド全体で作製された代替全筋カット製品は、製品が更に穏やかなせん断力を受けた後のストランドの完全性によって、刻んだTVPストランド製品と識別可能又は区別可能である。具体的には、TVPストランド全体からの製品がそのようなせん断力を受けると、ストランドが、その細長いストランド構造を本質的に維持する一方で、刻んだTVPからの製品は、例えば、図11Eに示されるように、不規則な非晶質構造に崩壊した。
【0025】
本発明によって採用されるTVPストランド全体はまた、ストランドが形成されるTVP押出物の再水和試料上で決定されるクロスオーバー点におけるTVPの弾性率(クロスオーバー弾性率)によって他のTVPストランドと識別又は区別することができる。具体的には、現在開示されている主題による、ストランドが形成される再水和TVP押出物は、10rad/秒の一定周波数及び25Nの一定軸力において、3・10-2%~3・10%の振幅掃引モードで、25℃で決定される少なくとも2.5KPaのクロスオーバー弾性率を有する。クロスオーバー弾性率は、水で再水和されるTVPで決定されるものであることに留意されたい。
【0026】
TVP押出物のクロスオーバー点における弾性率を決定する目的のために、TVP押出物は、1:2.1の重量比で再水和される。この目的のために、再水和は、水に浸漬することによって達成される。
【0027】
現在開示されている主題のいくつかの例では、本開示によって採用されるTVPストランド全体は、本明細書で定義されるように再水和されると、上記に記載されるように決定される、約2.5kPa~kPa、時には約3KPa~20KPa、時には約5KPa~15KPa、時には約3KPa~15KPa、時には約2.5KPa~10KPa、時には約3KPa~12KPa、時には約5KPa~20KPa、時には約2.5KPa~12KPa、又は2.5kPa~25kPaの任意の範囲のクロスオーバー弾性率を有し、その範囲が本明細書に文字通り及び/又は明示的に列挙されていない場合でさえも、当該クロスオーバー弾性率を有する。
【0028】
更に、現在開示されている主題の文脈では、刻んだTVPストランド又は略して刻んだストランドに言及する場合、それは、TVP生地の押出によって取得されるストランド又はストリップを表すと理解されるべきであり、後者は、刻んだTVP押出物から取得される。
【0029】
したがって、本明細書に開示される方法は、
- 複数の細長い組織化植物性タンパク質(TVP)ストランドを提供することと、
- 本質的に平行に整列した細長いTVPストランドの第1の単層を形成することと、
- 本質的に平行に整列した細長いTVPストランドの少なくとも1つの追加の単層であって、前に形成された単層の上に形成される各追加の単層を形成することと、を含み、
当該複数のTVPストランドが形成される再水和TVPの試料は、10rad/秒の一定周波数及び25Nの一定軸力において、3・10-2%~3・10%の振幅掃引モードで、25℃で決定される少なくとも2.5KPaのクロスオーバー弾性率を有する。
【0030】
いくつかの例では、TVPストランドは、単層の形成の前に水和される。再水和は、TVP(それがストランドに切断される前又は後であるが、好ましくはストランド形成の前)を液体に浸漬することによって行うことができ、液体は、水、水性溶液、例えば、マリネード、及びエマルション(水中油)のうちのいずれか1つである。
【0031】
現在開示されている主題のいくつかの例では、再水和は、約1:1.5~約1:5のTVP押出物と液体との間の重量比にある。
【0032】
現在開示されている主題のいくつかの例では、再水和は、約1:1.8~約1:4、時には約1:2~1:4、時には約1:2~1:3のTVP押出物と液体との間の重量比にある。
【0033】
現在開示されている主題のいくつかの例では、再水和は、再水和前の乾燥物質の重量に対して約200重量%~350重量%の最終製品の重量の増加に達するように選択される液体の量にある。
【0034】
上記に記載される再水和は、再水和製品の総重量の30重量%~90重量%の水、時には再水和製品の総重量の約30重量%~70重量%の水、若しくは再水和製品の総重量の50重量%~80重量%の水、又は好ましくは再水和製品の総重量の60重量%~80重量%の水を有する再水和TVPを提供する。
【0035】
いくつかの例では、現在開示されている主題のTVPストランド全体は、タンパク質塊(すなわち、TVP塊)内の細孔の存在によって特徴付けられる。いくつかの例では、TVPストランド全体は、少なくともいくつかの細長い細孔を含む。
【0036】
それに限定されるものではないが、タンパク質塊中の細孔の存在は、結果として得られる製品の官能特性、例えば、その噛み応えに寄与すると考えられる。
【0037】
いくつかの例では、ストランドは、ストランドの縦方向が細長い細孔の縦方向と概して平行であるように切断される。
【0038】
現在開示されている主題の文脈では、細長い細孔に言及する場合、それは、細孔の任意の他の寸法よりも少なくとも2倍大きい少なくとも1つの寸法を有するタンパク質の塊内の連続気泡構造を意味することが理解されるべきである。大きい方の寸法は、本明細書では縦寸法(細孔の縦方向と相関する)と称される。他の寸法は、細孔の幅、高さ、厚さ、断面直径と称され得る。
【0039】
現在開示されている主題の文脈では、タンパク質(TVP)塊内の細孔に言及する場合、TVP塊は、本明細書に開示される定義の下で、細長くない細孔(連続気泡構造)も含み得ることが理解されるべきである。その上、タンパク質塊は、少なくとも1つの可視的な細長い細孔を含む。
【0040】
理論によって束縛されるものではないが、細長い細孔は、TVPストランド全体に存在する場合、TVP押出物の形成中のタンパク質塊の押出中に形成されると考えられる。したがって、TVP押出物内の細長い細孔の本質的に全てではないとしても大部分は、押出方向と相関する共通の公称方向を共有する。
【0041】
したがって、TVPストランド全体内の細長い細孔の縦方向を識別する場合、実際には、TVP押出の方向及び/又はTVP押出物内の線維性材料の方向を示し得ることが理解されるべきである。
【0042】
現在開示されている主題のいくつかの例では、TVPストランド全体又はTVPストランド全体から取得される製品が、製品のタンパク質塊内に細孔を含む場合、細孔は、少なくとも0.1mmである少なくとも1つの寸法を有する。いくつかの例では、細孔は、少なくとも0.2mm、時として少なくとも0.3mm、時として少なくとも0.4mm、時として少なくとも0.5mmである少なくとも1つの寸法を有する。
【0043】
現在開示されている主題のいくつかの例では、TVPストランド全体は、細長い細孔の縦方向/押出方向と概して平行である方向に再水和TVP押出物をスライスすることによって形成される。
【0044】
現在開示されている主題のいくつかの例では、再水和TVP押出物は、押出方向に沿って細長いストランドに分離される。再水和TVPは、TVPストランド全体にスライスする方向でもある押出方向と垂直な方向に頑丈であり、弾力性がある。
【0045】
上記のように、TVPストランド全体はまた、厚さ寸法も有する。現在開示されている主題の文脈では、厚さ寸法は、当該TVP押出物の押出方向と垂直及び/又は細長い細孔の縦寸法と垂直な方向に測定されることが理解されるべきである。
【0046】
現在開示されている主題のいくつかの例では、細長いストランドの大部分における縦寸法は、厚さ寸法よりも少なくとも2倍大きい。この文脈では、細長いストランドの大部分に言及する場合、細長いストランドの50%超は、縦寸法に垂直な寸法(すなわち、厚さ)よりも少なくとも2倍大きい縦寸法を有することが理解されるべきである。
【0047】
現在開示されている主題のいくつかの例では、複数の細長いストランドの大部分の縦寸法は、製品の少なくとも1つの寸法と本質的に同じである。これは、TVPストランドの少なくとも一部の縦寸法が、製品の少なくとも1つの寸法を画定することを意味すると理解することができる。
【0048】
現在開示されている主題のいくつかの例では、複数の細長いストランドの大部分における縦寸法は、少なくとも2cm、時として少なくとも2.5cm、時として少なくとも3cm、時として少なくとも3.5cm、時として少なくとも4cm、時として少なくとも4.5cm、時として少なくとも5cmである。
【0049】
現在開示されている主題のいくつかの例では、複数の細長いストランドの大部分における厚さ寸法は、約0.2mm~約10mmである。
【0050】
現在開示されている主題のいくつかの例では、複数の細長いストランドの大部分における厚さ寸法は、少なくとも0.2mm、時として少なくとも0.3mm、時として少なくとも0.4mm、時として少なくとも0.5mmである。
【0051】
現在開示されている主題のいくつかの例では、複数の細長いストランドの大部分における厚さ寸法は、最大で10mm、時として最大で9mm、時として最大で8mm、時として最大で7mm、時として最大で6mm、時として最大で5mm、時として最大で4mmである。
【0052】
現在開示されている主題の文脈では、0.2mm~10mmの任意の範囲は、その範囲が文字通り及び/又は明示的に列挙されていない場合でさえも、本開示の一部を形成する。
【0053】
現在開示されている主題のいくつかの例では、本方法は、大部分が本質的に同一の寸法を有する、TVPストランドを単層内に配置することを含む。
【0054】
現在開示されている主題のいくつかの例では、本方法は、本質的に同一の寸法を有するTVPストランドを単層内に配置することを含む。
【0055】
現在開示されている主題のいくつかの例では、単層中及び/又は製品中の複数の細長いストランドの大部分は、同じ長さを有する。
【0056】
現在開示されている主題のいくつかの例では、本方法は、異なる寸法を有するTVPストランドを単層内に配置することを含む。現在開示されている主題の文脈では、異なる寸法に言及する場合、それは、寸法の平均からの任意のレベルの偏差を包含すると理解される。言い換えれば、本質的に、各ストランドが別のストランドとは異なる寸法を有する場合があり、10%以下が本質的に同じ寸法を共有し、時として20%以下が本質的に同じ寸法を共有し、時として30%以下が本質的に同じ寸法を共有し、時として40%以下が本質的に同じ寸法を共有し、時として50%以下が本質的に同じ寸法を共有し、時として90%以下が本質的に同じ寸法を共有し、時として80%以下が本質的に同じ寸法を共有し、時として70%以下が本質的に同じ寸法を共有する場合がある。
【0057】
現在開示されている主題のいくつかの例では、本方法は、その厚さが異なるTVPストランドを単層内に配置することを含む。
【0058】
複数のTVPストランドは、水を含有する。いくつかの例では、TVPストランド全体は、先験的に水を含み、いくつかの他の例では、TVPストランド全体は、水によって、又は水性媒体、例えば、マリネード若しくはエマルションで再水和される。再水和は、浸漬、含浸、噴霧などを含む、当技術分野で公知である任意の方法によって達成することができる。
【0059】
現在開示されている主題のいくつかの例では、TVPストランド全体中の水の量は、約30%~約90%、時として約30%~約80%、時として約30%~70%、時として50%~80%、時として約40%~80%、時として約50%~80%、時として約60%~80%である。
【0060】
本開示の方法によって採用することができる、異なる種類のTVPが存在する。
【0061】
それに限定されるものではないが、本開示に従って使用されるTVP押出物の一例は、Henan Pinzheng Food Technology Co.Ltd.による市販の製品AP-40140(ZYKと称される)である。ZYK型TVP押出物は、表1に示される栄養成分を含む。
【0062】
【表1】
【0063】
それに限定されるものではないが、本開示に従って使用されるTVP押出物の別の例は、HUNG YANG FOODS CO.,LTD(Taiwan)による市販の製品TVP-D850である(KWNと称される)。KWN型TVP押出物は、非GMO単離大豆タンパク質、非GMO脱脂大豆粉、小麦粉、コーンスターチ、小麦タンパク質、炭酸カルシウムを含み、60%の最低限のタンパク質(乾燥基準)を有する。
【0064】
それに限定されるものではないが、本開示に従って使用されるTVP製品の別の例は、HUNG YANG FOODS CO.,LTD(Taiwan)による市販の製品TVP-D860である(FMBと称される)。D860 TVP押出物は、57%の最低限のタンパク質を含み、成分は、小麦タンパク質、非GMO脱脂大豆粉、コーンスターチ、小麦粉、炭酸カルシウムである。
【0065】
それに限定されるものではないが、本開示に従って使用されるTVP製品の別の例は、Yantai Shuangta Food Co.Ltdによる市販の製品TVP-QTQである(QTQと称される)。TVP押出物は、少なくとも80%のタンパク質(エンドウマメタンパク質)を含む。
【0066】
現在開示されている主題のいくつかの例では、本明細書に開示される方法で、又は最終アルトミート製品全体で出発材料として使用されるTVP押出物は、以下の特徴の1つ又は組み合わせによって特徴付けることができる:
- 少なくとも50%w/w又は50%w/w~90%w/wのタンパク質含有量、
- 15%w/w以下の水分含量(任意の再水和前)。
- 少なくとも100%、時として少なくとも200%、時として少なくとも300%、時として少なくとも400%、時として少なくとも500%、時として約100%~1,000%、時として200%~800%の再水和容量。再水和容量は、TVPを余分な水(重量で20倍)で再水和し、飽和に達した後(典型的には2時間後)にそれを加重することによって決定することができる。
- 5%未満である粗線維含有量。
【0067】
現在開示されている主題のいくつかの例では、本方法はまた、食品等級結合組成物を適用することも含む。
【0068】
いくつかの例では、食品等級結合組成物は、単層の上に後続の単層を適用する前に、単層の上に適用される。
【0069】
いくつかの例では、食品等級結合組成物は、1つ以上の複数の細長いTVPストランドから当該単層を形成する前に、細長いTVPストランドの少なくとも一部の上に適用される。
【0070】
いくつかの例では、食品等級結合組成物は、1つ以上の複数の細長いTVPストランドから当該単層を形成する前に、細長いTVPストランドの本質的に全周囲の上に適用される。
【0071】
いくつかの例では、食品等級結合組成物は、1つ以上の複数の細長いTVPストランドから当該単層を形成する前に細長いTVPストランドのうちのいくつかの上に、及び/又は後続の単層を形成する前に単層のうちのいくつかの上に適用される。
【0072】
現在開示されている主題の文脈では、食品等級結合組成物に言及する場合、それは、当該技術分野で許容される意味、すなわち、タンパク質ベースの材料の結合を促進するか、又は容易にすることができる組成物を有すると理解されるべきである。
【0073】
いくつかの例では、結合組成物は、タンパク質性物質間の接着を容易にするものとして当技術分野で認識されている少なくとも1つの結合材料を含む。
【0074】
現在開示されている主題のいくつかの例では、結合材料は、トランスグルタミナーゼ(transglutaminase、TG)、カラギーナン、ローカストビーンガム(locust bean gum、LBG)、植物系/植物由来タンパク質、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0075】
いくつかの例では、結合組成物は、グルテンを含むか、又はグルテンである。
【0076】
いくつかの例では、結合組成物は、TGを含む。
【0077】
いくつかの例では、結合組成物は、カラギーナンを含む。
【0078】
いくつかの例では、結合組成物は、LBGを含む。
【0079】
いくつかの例では、結合組成物は、大豆タンパク質などの植物由来タンパク質を含む。
【0080】
現在開示されている主題のいくつかの例では、結合組成物は、1つの他の結合材料とのグルテンの組み合わせを含む。
【0081】
現在開示されている主題のいくつかの例では、結合組成物は、トランスグルタミナーゼ(TG)、カラギーナン、ローカストビーンガム(LBG)、植物系/植物由来タンパク質のうちの少なくとも1つとのグルテンの組み合わせを含む。
【0082】
現在開示されている主題のいくつかの例では、結合組成物は、約40%のグルテン、約30%のトランスグルタミナーゼ(TG)、約2.5%のLBG-カラギーナン、及び約2.5%の大豆タンパク質の重量で、グルテン、大豆タンパク質、LBG、カラギーナン、及びTGの組み合せを含む。
【0083】
時として、TGを使用する場合、その量は、最大65ppmとなることに留意されたい。現在開示されている主題のいくつかの例では、本方法はまた、高水分押出(high moisture extrusion、HME)からのタンパク質の少なくとも1つのストランドを適用することを含むことができる。
【0084】
HMEからのタンパク質のストランドは、TVP全体からストランドを取得する方法と同様に、HMEシートからスライスすることによって取得することができる。
【0085】
現在開示されている主題のいくつかの例では、本方法はまた、少なくとも1つの単層に食用脂を導入することも含む。
【0086】
本開示の文脈では、食用脂に言及する場合、それは、動物性脂肪を含まず、その上、動物性脂肪を模倣するために好適である脂肪を包含すると理解されるべきである。いくつかの例では、食用脂は、植物由来脂肪である。
【0087】
いくつかの例では、植物由来脂肪は、食品等級油、脂肪、及び/又はトリグリセリドである。
【0088】
現在開示されている主題のいくつかの例では、本方法はまた、少なくとも1つの単層に食用ゲルを導入することを含む。
【0089】
全ての単層が適用されると、多層製品は、構築後プロセスを受けることができる。これらには、カートリッジ又は金型への圧入、マリネーション、熱処理(例えば、光調理)、圧密化、陰圧を受けること、硬化などが含まれるが、これらに限定されない。
【0090】
現在開示されている主題のいくつかの例では、多層製品は、バッグ、例えばプラスチックバッグ内で、約5mBarにおいて真空化することを介した圧密化及び硬化を受ける。
【0091】
現在開示されている主題のいくつかの例では、多層製品は、室温未満の温度、例えば、-4℃以下で、少なくとも一晩保管される。いくつかの例では、現在開示されている方法のパラメータは、TVP及び/又は結合組成物の特性によって操作することができる。
【0092】
現在開示されている主題のいくつかの例では、方法パラメータは、結合された再水和TVPストランド全体から生産される20mm立方体標本の硬度を特性評価することによって決定付けることができる。
【0093】
具体的には、上部固定具で平坦な金属プレートに接続された1KN又は100Nロードセル及び平坦な金属底部固定具を備えたLLOYD TPA器具を使用することができ、20mm立方体試験標本は、上部プレートが試験試料の中心に配向されるように、底部プレートの中心に配置される。試験を、上部プレートが試料の高さの50%に達するまで50mm/分の速度で実施した。
【0094】
例示的なTVP押出物及び異なる結合組成物からの20mm立方体標本で取得された圧縮試験結果が、表2に提供される。
【0095】
具体的には、パラメータを、本明細書に記載されるように生産された多層製品(代替製品)から調製された立方体標本で試験した。本製品は、TVP源(TVP型)、TVPストランド全体の寸法、接着剤の種類のうちの少なくとも1つにおいて異なる。多層製品を、そのコアにおいて70℃に達するまでフライパンで調理した。次いで、各調理した製品を、異なるTVP源、異なる接着剤、及び/又は異なるTVPストランド全体の厚さを有する20mmの立方体に切断した。
【0096】
この文脈では、TVP型に言及する場合、それは、少なくともそのクロスオーバー点におけるその弾性率によって定義されるTVP押出物を指すと理解されるべきである。
【0097】
(硬度を決定するための)圧縮試験を、2つの方向で実施した。第1の方向である、「ストランドを横断する」は、荷重が20cm立方体標本中のTVPストランド全体の縦方向と垂直に印加されている状態で行われ、「ストランドに沿った」は、荷重が標本中のTVPストランド全体の縦方向と平行に印加されている状態で行われた。言い換えれば、試験を、2つの構成で実施した:1.TPA中の標本を、ストランドがプレートの移動方向と平行な(すなわち、ストランドが上から下に進む)状態で配置した2.TPA中の標本を、ストランドがプレートの移動方向と垂直な状態で配置した。
【0098】
表2は、3つのパラメータが、畜肉(例えば、ビーフステーキ)をより良好に模倣し、(硬度に関して)それに匹敵するように、代替肉製品の特性の最適化に寄与し得ることを示す。これらには、以下が含まれるが、これらに限定されない:
1.タンパク質ストランドを結合する接着剤の種類
2.再水和TVP押出物のクロスオーバー弾性率によって定義されるTVP型。
3.TVPストランド断面寸法(短い寸法)。
【0099】
【表2】
【0100】
表2では、フランクステーキを畜肉の参照として選択した。フランクステーキの20cm立方体試料に適用された試験条件下で、畜肉標本は、試料の肉ストランドが圧縮方向と垂直に(ストランドを横断する)配向されるように立方体試料が配置されたときに70.6N、及び試料のストランドが圧縮方向と平行に(ストランドに沿って)配向されるように立方体試料が配置されたときに35.5Nの硬度を有していた。
【0101】
表2は、TVPの種類、接着剤の種類、及び試験立方体標本におけるストランド断面寸法が、圧縮試験用の試験標本の硬度に影響を及ぼし得ることを示す。したがって、これらのパラメータを制御することは、畜肉試料、例えば、フランクステーキをより良好に模倣する製品をもたらすように、代替肉製品において望ましい、より高い硬度値を可能にし得る。
【0102】
更に、表2は、硬度などの畜肉組織特性を有する製品を取得するために、これらのパラメータの組み合せを考慮することが好ましくあり得ることを示す。
【0103】
例えば、表2は、TVPストランド全体の厚さ(ストランドの短軸に沿った寸法)が、好ましくは調整されるべきであり、任意に設定することができないことを示す。試験試料では、1~3mm、例えば、約2.5mmの厚さが、参照畜肉の硬度値に類似する硬度値を可能にすることが見出された。
【0104】
表2はまた、TVP型の差が代替肉製品の硬度にも影響を及ぼし得ることも示す。
【0105】
更に、表2は、TVPスライス状ストランドを接着するために使用される接着剤の種類もまた、製品の組織に影響を及ぼすことを示す。例えば、3070接着剤(30%のm-トランスグルタミナーゼ及び70%のグルテン)とともにZYKの2.5mmストランドを利用することは、圧縮がストランドの縦方向に沿っていたときに38.4Nの硬度を生じ、これは、参照フランクステーキの値(35.8N)に近い。その上、接着剤としてグルテンのみを使用した場合、より低い硬度が、同じ圧縮試験について取得された(17.1N)。
【0106】
表2から、接着剤の使用が有利であると結論付けることが可能である。
【0107】
表2に提示されるデータのセットから生じ得る結論としては、TVPストランド全体を使用する場合、組織を改善して畜肉特性を取得するために、様々なパラメータを適切に更に調整することが可能である。
【0108】
いくつかの例では、TVPストランド全体は、本明細書の上記に記載される圧縮試験用の20cm標本上で、ストランドを横断して、すなわち、ストランドの方向と垂直に測定されたときに、少なくとも25N又は25N~70Nの硬度を有する代替肉試料を提供するように選択されるべきである。
【0109】
それに限定されるものではないが、図1A及び図1Bは、現在開示されている方法のいくつかの例による、代替食品製品、好ましくは、代替全筋カット製品を取得するために講じられる方法ステップを例証するブロック図を提供する。
【0110】
具体的には、図1Aは、複数の細長いTVPストランド全体102から代替全筋カット製品を生産するための方法100を例証する。最初に、細長いTVPストランド全体102が、ステップ120において、互いに対して本質的に平行な様式で整列されて、単層104を形成する。
【0111】
次いで、複数のTVPストランド全体102の単層104が、ステップ122において、前述のグルテンなどの結合組成物106で少なくとも部分的に覆われる。1つ以上の単層104及び結合組成物106の適用が、ステップ124において継続し、それにより、多層製品108が構築される。このステップは、ステップ126に示されるように、所望の多層厚さ製品がステップ126において取得されるまで繰り返され、それにより、使用できる状態である厚切り108が取得される。
【0112】
図1Aに示される例では、第2の単層中のストランドは、第1の単層中のストランドと本質的に平行であるが、そうである必要はないことに留意されたい。前の単層の上に配置された単層中のストランドは、前の単層のストランドと角度を形成することができる。いくつかの例では、第2の単層中のストランドは、前の単層と本質的に垂直である。そのような配列は、現在開示されている代替全カット筋肉製品に追加強度を提供し得ることが見出され、現在開示されている。
【0113】
ここで図1Bを参照すると、図1AのTVPストランド全体102などのTVPストランド全体を生産するためのステップが例証されている。具体的には、TVP押出物130が、ステップ140において再水和されて、全TVP再水和物132を提供する。再水和は、水、マリネード、エマルションなどにおいてであり得る。TVP再水和物132は、ステップ142において、線Aに沿って濾過され、TVPストランド全体の所望の厚さに調節された厚さを有する再水和TVPシート134を提供する。次いで、再水和TVPシートが、ステップ144においてスライスされ、スライスは、TVP押出物の押出方向に沿っている(これは、視覚(目視)検査によっても確認される)。したがって、ステップ144におけるスライスは、複数のTVPストランド全体102を提供する。
【0114】
現在開示されている主題はまた、代替食品製品も提供する。
【0115】
現在開示されている主題のいくつかの例では、代替食品製品は、代替全筋カット製品である。
【0116】
食品製品又は代替全筋カット製品は、現在開示されている方法によって取得されるか、又は取得可能である。
【0117】
現在開示されている主題のいくつかの例では、複数の積層全TVP含有単層を含む、代替食品製品、好ましくは、代替全筋カット製品が提供され、各単層は、細長いTVPストランド全体を含み、それらの大部分は、単層又は更には製品全体/最終製品において互いに対して共通の公称方向に整列され、
生地ブレードを使用して製品を約30秒間せん断すると、本製品は、崩壊し、縦寸法及び厚さ寸法を有する個々の細長いTVPストランドを提供し、縦寸法は、厚さ寸法よりも大きく、
本製品は、公称方向に公称寸法を有し、個々の細長いTVPストランドの大部分の縦寸法は、公称寸法と概して同じである。
【0118】
現在開示されている主題の代替食品製品は、好ましくは、食品製品が代替全筋カット製品である場合、複数の積層TVP含有単層を含むものとして定義することもでき、各単層は、当該単層において互いに対して共通の公称方向に整列された細長いストランドを含み、好ましくは、当該製品では、
本製品は、公称方向に公称寸法を有し、個々の細長いTVPストランドの大部分の縦寸法は、当該公称寸法と概して同じであり、
少なくとも10N又は25Nの荷重が、それぞれ、50mm/分の速度で当該食品製品内に前進された厚さ1mmの金属プレートジグの66%又は80%貫通のために必要とされ、金属ジグは、製品内の細長いストランドの公称方向と垂直である配向にある。
【0119】
現在開示されている方法の定義に関して一般的であるか、又は同様に使用される、現在開示されている製品を定義するために使用される用語は、必要な変更を加えて、本明細書に開示される方法に関して提供されるものと同じ意味を有すると理解されるべきである。
【0120】
現在開示されている製品のいくつかの例では、細長い全TVPストランド全体の大部分は、当該製品において互いに対して共通の公称方向に整列されている。時として、ストランドの70%超が整列され、時として、80%超、又は更には90%超が、概して、共通の公称方向に整列されている。
【0121】
現在開示されている主題のいくつかの例では、本製品は、食品等級結合組成物を含む。
【0122】
現在開示されている主題のいくつかの例では、本製品は、食用脂を含む。
【0123】
現在開示されている主題のいくつかの例では、本製品は、食用ゲルを含む。
【0124】
現在開示されている主題のいくつかの例では、個々の細長いTVPストランド全体(製品の分解時)は、以下に記載されるように実施される3点曲げ試験中に、その細長い寸法を維持する。
【0125】
本明細書に開示される製品は、現在開示されている主題のいくつかの例によれば、プレートジグ及び50mm/分の貫通速度を使用して製品全体に貫通するために必要な荷重によって更に特徴付けられる。
【0126】
現在開示されている主題のいくつかの例では、貫通に必要とされる荷重は、本明細書に開示される修正咬合試験に従って決定される。本開示の文脈では、修正咬合試験は、立方体標本(15mm×15mm×15mm)を金属プラットフォーム上に配置することと、標本を貫通するまで厚さ1mmの金属プレートジグをプラットフォームに向かって前進させることと、異なる貫通深度(貫通%)で荷重を測定することと、を含む。貫通速度は、95%の貫通に達するまで50mm/分である。貫通の配向は、金属プレートジグがTVPストランド全体の配向と垂直であるようなものである。
【0127】
現在開示されている主題のいくつかの例では、好ましくは代替全筋カット製品である代替食品製品は、(図2Cに例証されるように)プレートジグがTVPストランド全体の方向と本質的に垂直に配向されるときに66%貫通を達成するために少なくとも10Nの荷重を必要とする。
【0128】
現在開示されている主題のいくつかの例では、好ましくは代替全筋カット製品である代替食品製品は、プレートジグがTVPストランド全体の方向と本質的に垂直に配向されるときに66%貫通を達成するために少なくとも11N、時として少なくとも12N、時としてプレートジグがTVPストランド全体の方向と本質的に垂直に配向されるときに66%貫通を達成するために少なくとも13Nの荷重を必要とする。
【0129】
現在開示されている主題のいくつかの例では、好ましくは代替全筋カット製品である代替食品製品は、(図2Cに例証されるように)プレートジグがTVPストランド全体の方向と本質的に垂直に配向されるときに80%貫通を達成するために少なくとも25Nの荷重を必要とする。
【0130】
現在開示されている主題のいくつかの例では、好ましくは代替全筋カット製品である代替食品製品は、プレートジグがTVPストランド全体の方向と本質的に垂直に配向されるときに80%貫通を達成するために少なくとも30N、時として少なくとも35N、時としてプレートジグがTVPストランド全体の方向と本質的に垂直に配向されるときに80%貫通を達成するために少なくとも40Nの荷重を必要とする。
【0131】
結果として得られる食品製品、好ましくは本明細書に開示されるか、又は本明細書に開示される方法によって生産される代替全筋カット製品は、以下のうちの少なくとも1つ、時には少なくとも1つより多くを含む、独特な特性を示した:(i)以下に更に記載されるストランドの縦方向と垂直な方向における高い耐咬合強度、(ii)高い異方性(これは、とりわけ、耐咬合強度によって示される)、(iii)ストランドの縦寸法がストランド(すなわち、細長いストランド)の1つの他の寸法よりも少なくとも2倍大きい、分解したときのストランドへの崩壊、(iv)凍結試料がTVPの細長いストランドの方向と垂直な方向に曲げられるときに、曲げ点に壊滅的な破壊がない、(v)3点曲げ試験を使用して分解されたときの高粒子形態(LLOYD TPA機器を使用する。具体的には、異なる試料を-18℃まで凍結させ、その後、以下の手順に従って3点曲げ試験を行った:15×10×150mm標本を60mmスパン(支持点間の距離)で固定具に配置し、1KNロードセルを備えたLLOYD TPA機器を使用して破壊するまで10mm/分のたわみ率で力を印加した、(vi)訓練された官能パネルによって決定される畜肉の官能特性に類似する官能特性。
【0132】
現在開示されている主題の文脈では、「壊滅的な破壊」が、3点曲げ試験において試料に力を印加すると、試験試料の2つの部分間の完全な分離をもたらすものである一方で、「非壊滅的な破壊」は、部分的に接続され、力が印加された領域に隣接する、試験試料の2つの側面を有することをもたらすものであることが理解されるべきである。
【0133】
本明細書及び請求項で使用される場合、「a」、「an」、及び「the」という形式は、文脈が明確に別段の指示をしない限り、単数形及び複数形を含む。例えば、「タンパク質」という用語は、例えば、組織化植物性タンパク質(TVP)の一部を形成する1つ以上のタンパク質を含む。
【0134】
本明細書及び請求項で使用される場合、「及び/又は」という形式は、そのように結合された要素、すなわち、いくつかの場合では接続的に存在し、他の場合では離接的に存在する要素の「いずれか一方又は両方」を意味すると理解されるべきである。「及び/又は」で列挙された複数の要素は、同じ様式で、すなわち、そのように結合された要素のうちの「1つ以上」と解釈されるべきである。
【0135】
更に、本明細書で使用される場合、「含む」という用語は、列挙された要素、例えば、単層が、列挙された構成要素、例えば、TVPストランドを含むが、非TVP要素、例えば、結合組成物などの他の要素を除外しないことを意味することを意図している。「から本質的になる」という用語は、列挙された構成要素を含むが、要素の機能性に本質的な重要性を有し得る他の要素を除外する要素を定義するために使用される。したがって、「からなる」は、要素中の微量を超える他の構成要素を除外することを意味するものとする。これらの移行用語の各々によって定義される実施形態は、本発明の範囲内である。
【0136】
更に、本明細書で使用される場合、「本質的に」又は「概して」又は「実質的に」という用語は、定義された特性又は要素が、列挙された値から10%偏差を有し得ることを意味することを意図している。例えば、本質的に平行であるストランドは、ストランドの少なくとも90%が整列されていることを意味すると理解されるべきである。
【0137】
更に、本明細書で使用される場合、「大部分」という用語は、50%を上回る、時として60%を上回る、時として70%を上回る、時として80%を上回る、時として90%を上回る任意の量を意味することを意図している。
【0138】
更に、本明細書で使用される場合、「約」という用語は、全ての数値、例えば、量又は範囲が、列挙された値から最大20%、時として最大10%(+)又は(-)変動する近似値であることを意味することを意図している。
【0139】
ここで、本発明は、本発明に従って実施された実験の以下の説明において例示される。これらの例は、限定ではなく、例解の性質で意図されていると理解されたい。上記の教示を鑑み、これらの例には多くの修正及び変形が可能であることは明らかである。したがって、添付の特許請求の範囲内で、本発明は、以下に具体的に説明されるよりも、無数の可能な方法で、別様に実施され得ることが理解されるべきである。
【実施例
【0140】
代替肉製品の調製
TVP押出物(製造業者Hung Yang Foods)を出発材料として使用し、ZYK、KWN、及びQTQ(Yantai Shuangta Food Co.,Ltdによって製造された)として識別した。
【0141】
異なるTVPシートを、以下の表3で定義されるTVP対液体比で、水、又は約13重量%の植物系油及び約80重量%の水(残りは塩及び香味料である)を含むマリネードに浸漬することによって再水和した。
【0142】
【表3】
【0143】
再水和TVP押出物についてのレオロジー試験のために、各再水和TVPシートを、1:2.1の重量比において水で再水和した。
【0144】
加えて、主要なタンパク質源として大豆を含有するHMEタンパク質シートを使用した。
【0145】
結果として得られる肉類似物製品に対する細長い乾燥TVPの使用の効果を決定するために、以下の異なる試験試料を調製した。以下の非限定的な実施例における全てのストランドは、約5cm及び20cmの長さ、並びに約2±1mmの厚さを有していた:
【0146】
ZYK TVP(Henan Pinzheng Food Technology Co.Ltd.による市販の製品AP-40140)を使用して、本開示のプロセス(図1B)に従って調製されたストランド全体ZYK。
【0147】
KWN TVPを使用して本開示のプロセス(図1B)に従って調製されたストランド全体KWN#1
KWN TVPを使用して本開示のプロセス(図1B)に従って調製されたストランド全体KWN#2。
【0148】
KWN TVPを使用して本開示のプロセス(図1B)に従って調製されたストランド全体KWN#3。
【0149】
KWN TVPを使用して本開示のプロセス(図1B)に従って調製されたストランド全体KWN#4。
【0150】
KWN TVPを使用して本開示のプロセス(図1B)に従って調製されたストランド全体KWN#6。
【0151】
KWN#1、KWN#2、KWN#3、及びKWN#4、並びにKWN#6は、本質的に同じ化学組成を有することに留意されたい。その上、これらの異なるTVP押出物は、少なくとも、本明細書に記載されるように決定されるそのクロスオーバー弾性率において異なる。
【0152】
QTQ TVPを使用して本開示のプロセス(図1B)に従って調製されたストランド全体QTQ。
【0153】
TVPの代わりにHMEを使用して本開示のプロセス(図1B)に従って調製されたHMEの厚切り。
【0154】
HME/TVPの厚切りを、TVPの代わりに50/50 HME/TVPを使用して本開示のプロセス(図1B)に従って調製した。
【0155】
加えて、比較のために、以下の参照試料を使用した:
TVPが刻まれ、タンパク質ストランドが、刻んだTVPの押出によって作成される、国際公開第2020/152689号に従って調製された「刻んだストランド」試料。
【0156】
肉サーロイン-15mm×15mm×15mmの寸法に切断された畜肉サーロイン肉試料
【0157】
肉テンダーロイン-15mm×15mm×15mmの寸法に切断された畜肉テンダーロイン肉試料
【0158】
15mm×15mm×15mmの寸法に切断されたBeyond meat(登録商標)による市販のアルトバーガー製品。
【0159】
代替全筋カット類似物の調製-試験試料
厚切り(全筋カット類似物)の所望の寸法を受領するまで、結合組成物(典型的にはグルテン粉末)で先験的にコーティングされた、平行に整列したTVPストランド全体の単層を、他方の上に一方を層状にすることによって、代替全筋カット試料を調製した。次いで、厚切りを、圧密化のために5mBarの陰圧を受けた真空バッグに入れた。次いで、圧密化製品を、それに任意の試験を実施する前に4℃で一晩保管した。
【0160】
異なる全筋カット試料を試験するために、各試料の内部が70℃に達するまで170℃で焼くことによって、各々を調理した。次いで、試料を室温(RT)まで冷却し、15mm×15mm×15mmの立方体に切断した。ストランド全体試料を使用する場合、ストランドを立方体の直交軸と整列させた。
【0161】
外皮が形成された場合、それは、好ましくは除去される。
【0162】
修正咬合試験
上部固定具で厚さ1mmの金属プレートジグに接続された1KNロードセル及び平坦な金属底部固定具を備えた組織プロファイル分析器(texture profile analyzer、TPA)機器(Lloyd instruments、TA1)を用いて、修正咬合試験を実施した(図2A)。
【0163】
動作中、各試験又は参照試料270を、(TPAの)金属底部プラットフォーム272の中心に配置し、上部プレートを、試験試料の中心に配向し、厚さ1mmの金属プレートジグ274を、試料270を貫通するまでプラットフォーム272に向かって前進させた。様々な貫通深度における荷重をTPAセンサによって測定した。より具体的には、貫通は、95%の歪みに達するまで50mm/分の速度であった。荷重を測定し、66.6%又は80%歪みで記録した。
【0164】
異なる試料の試験を、金属プレートジグに関連して2つの異なる配向で実施した-(a)金属プレートジグが、代替全筋カット試料中のタンパク質ストランド(ストランド全体若しくは刻んだストランドのいずれか)の方向と平行な方向に、又は畜肉試料中のタンパク質ストランドの方向に試料を切断した、「ストランドに沿った」、及び(b)プレートジグが、タンパク質ストランドの方向に対して90°の方向に試料を切断した、「ストランドを横断する」(図2B)。
【0165】
結果:
以下に列挙される試料の挙動
測定を、66.6%及び80%である2つの貫通深度について、15mm×15mm×15mmの立方体試料で実施し、表4及び5は、両方の貫通深度において、刻んだTVPのストランド(すなわち、国際公開第2020/152689号にも記載されている刻んだTVPストランド)を用いて生産された肉代替試料の特性と、本明細書に開示されるTVPストランド全体を用いて生産された代替全筋カットの特性との比較を提供する。表4及び5は、ストランド全体から取得された代替全筋カット製品が、同じレベルの貫通、すなわち、66.6%又は80%貫通に達するために、著しく高い荷重を必要とすることを示す。
【0166】
加えて、表4及び5は、金属プレートジグに関連して2つの異なる配向で必要とされる荷重に差がある、すなわち、金属プレートジグがタンパク質ストランドの配向を横断する配向を有するときに、より高い荷重があることを示す。
【0167】
【表4】
【0168】
【表5】
【0169】
更に、図3は、TVP全体KWN#1からのストランド全体試料の貫通曲線、及び刻んだストランド試料の貫通曲線を提供する。
【0170】
具体的には、図3は、TVPストランド全体試料について、荷重の急激な増加、次いで、プラトーを示し、これは、試料内へのプレートの円滑な貫通に起因すると考えられる。66%貫通深度(すなわち、試料内へ深さ約10mm)では、おそらく試料の圧縮モードの変化に起因して、測定された荷重の大幅な増加があり、ストランドは、横に滑ることができず、せん断又は切断された。図3にも提示される刻んだストランド試料(国際公開第2020/152689号に基づく試料)の貫通曲線は、初期貫通中の高い貫通荷重(6Nの荷重)、次いで、試料の破損を示し得る降下を示す。
【0171】
要約すると、表4及び5並びに図3は、TVPストランド全体から取得された本明細書に開示される全筋カット類似物が、ストランドの方向と垂直な方向に、80%貫通において24Nを上回り、66.6%貫通において10Nを上回る耐咬合性を提供することを教示する。
【0172】
更に、ストランドの方向と垂直な測定値とストランドの方向と平行な測定値との間の比として定義することができる異方性度は、この比が著しく低かった、刻んだTVPストランド又はHMEのみから調製された他の試料とは対照的に、表5(80%貫通時の荷重)では約10以上であることが示されている。
【0173】
凍結試料の破損挙動
異なる試料を-18℃まで凍結し、その後、以下の手順に従って3点曲げ試験を行った:15×10×200mm標本を60mmスパンで固定具に配置し、破壊するまで10mm/分のたわみ率で荷重を印加した。
【0174】
3点曲げ試験を適用する前に試料を凍結する理由は、試験試料の引裂現象の代わりに破損現象を確実にするためであったことに留意されたい。言い換えれば、曲げ試験を適用する前の凍結は、曲げ軸の周囲の試料の伸長(伸長は引裂現象に特徴的である)を伴わずに、3点曲げ軸に沿って壊滅的な破壊を可能にする。
【0175】
3点曲げ試験は、図4に概略的に例証されている。
【0176】
図5Aは、試料を形成するストランドの方向と垂直な方向に3点曲げ試験を適用した後の異なる試料の画像を提供する。具体的には、図5Aは、壊滅的な破壊に達するまでの異なる試験試料間の破損/破壊挙動を示し、刻んだTVPのストランドから構築された試料では、完全な破損がある一方で、「刻んだTVPストランド」と同じ条件下で、TVP全体のストランドから構築された試料に試験を適用した場合、試料は、壊滅的な破壊に到達せず、ストランドは、本質的に無傷のままであった。TVP全体ストランド試料は、実際に、図5Bに示されるように、ビーフテンダーロイン試料と同様に挙動する。
【0177】
この挙動の差は、TVPストランド全体から直接スライスされたストランドを使用することの直接的結果であると考えられ、すなわち、元のTVPシート中のタンパク質塊の押出方向が維持され、したがって、TVP生地をTVPストランドに実際に押出する必要なく線維状組織を維持する。
【0178】
図5Cは、ストランドの方向と平行な方向に試験を適用する場合、2つの試験試料、すなわち、TVPストランド全体試料と刻んだTVPストランド試料との間に差がないことを示す。
【0179】
ストランド全体からの代替肉試料の組織と、畜肉の組織との間の類似性の更なる例証のために、肉サーロイン参照試料(図6A)、肉テンダーロイン参照試料(図6B)、及びストランド全体を含む代替食試料(図6C)における3点曲げ試験破壊領域の上面図写真を提供する、図6A図6Cが参照される。TVPストランド全体試料と、畜肉試料、すなわち、サーロイン及びテンダーロイン肉参照試料との間の類似性は、明確に可視的であり、形態学的に、破損軸において、同様に「プレート様構造」に類似している、一方が他方の上にあるタンパク塊の内部層を示す。
【0180】
レオメーター
異なるレオロジー試験を、30mm直径の円板に切断されたTVP押出物全体試料に行った。
【0181】
図8A図8Fに関して記載されるように、本質的に同じタンパク質組成を有するが、そのクロスオーバー弾性率が異なるTVP押出物から、試験例を調製した。
【0182】
試験試料を以下のように調製した:
乾燥TVPシート(製造者から入手した押出物)を、1:2.1のTVP対水の重量比を含むプラスチックバッグ内で含浸した。プラスチックバッグを真空密封し、乾燥TVPを水に浸漬させるために室温で2時間放置した。次いで、水和TVP試料を水から取り出し、30mm直径の円形カッターを使用して円板に切断した。
【0183】
再水和TVP円板試料は、2つの異なるレオロジー試験:圧縮試験及び振幅掃引試験(クロスオーバー弾性率を決定するため)を受けた。
【0184】
圧縮試験
以下の条件下でLLOYD組織分析器を使用することによって、圧縮試験を行った:30mm×30mm×30mmの立方体試料が、120mm/分の速度で、各々80%の2回の圧縮サイクルを受けた。
【0185】
圧縮試験は、最初の圧縮後に測定される試料の高さの変化に従って、異なる試料の弾性を決定することを目的としている。変化の程度がより大きい場合に、より可塑性の試料が決定される(すなわち、低弾性試料)。特に、試料が畜肉に類似するために、それは、低可塑性である、すなわち、圧縮時に元の寸法に戻るべきである。
【0186】
図7は、1:2.1の比における水を用いた再水和時の異なる試料の高さの変化%を示すグラフである。結果は、KWN#1及びKWN#4が、KWN#2又はKWN#3と比較して、より弾性(より良好な組織)であることを示す。
【0187】
クロスオーバー弾性率
これらのレオロジー試験を、いくつかの修正を伴って、Valerie Louise Pietsch、Fritz Soergel、及びMattia GianniniによってThermoFisher Scientific No.WP04 0321に記載されているように行った。具体的には、全ての測定を室温で実行し、40mm幾何形状の平行プレート、上部幾何形状のサンドブラストされたステンレス鋼、及びペルチェプレートを備えた底部アルミニウムを備えたレオメーターを用いて行った。振幅掃引試験のために、25Nの一定の垂直抗力を印加することによって、円板試料を測定幾何形状に装填した。一定の垂直抗力に達した後、3・10-2~3・10%の歪みγ及び10rad/秒の一定周波数fを使用して、振動測定を行った。
【0188】
クロスオーバー弾性率は、弾性率及び粘性率が交差する周波数であり、通常、末端(粘性)領域からゴム状プラトー(弾性)領域への遷移を示す。言い換えれば、それは、G’=G”である平衡点である。この点に達する前に、試験試料は、固体様(G’>G”)とみなされ、この点に達すると、試験試料は、液体様(G’<G”)とみなされる。
【0189】
理論によって束縛されるものではないが、クロスオーバー点の決定は、TVPの種類を区別することを可能にし、組織、噛み応えなどに関して畜肉を模倣する最終製品を提供すると考えられる。
【0190】
図8A図8Fは、KWN#1、KWN#2、KWN#3、KWN#4、KWN#6、及びQTQ試料の貯蔵弾性率(G’)及び損失弾性率(G”)を提供する。特に、各曲線は、4~5回の測定の平均である。
【0191】
一般に、線形粘弾性領域(Linear Viscoelastic Region、LVR)では、貯蔵弾性率G’及び損失弾性率G”は、一定であり、印加された変形とは無関係である。LVRの幅は、材料の構造強度に依存する。貯蔵弾性率及び損失弾性率の変化は、印加された変形がLVRを超え、試料構造の変化を引き起こすことを示す。ある特定の変形後、非線形変形が、損失弾性率G”の非線形増加とともに開始し、次いで、G’及びG”のクロスオーバーが続く。したがって、クロスオーバー点は、G’=G”の平衡によって定義される。この時点の前に、試料は、固体様(G’>G”)であり、その後、それらは、液体様(G’<G”)である。
【0192】
表6は、異なる試料のクロスオーバー点を提供する。
【0193】
【表6】
【0194】
図9は、上記のデータを棒グラフで示す。表1及び図9から明らかなように、KWN#1及び#4のクロスオーバー弾性率は、類似し、KWN#2及び#3のクロスオーバー弾性率よりも有意に高かった。一般に、弾性率は、剛性と相関する。したがって、KWN#1及び#4はまた、より剛性/より高密度であり(おそらく図10A図10Bに示されるより高密度の構造に起因する)、これは、そのクロスオーバー弾性率値と一致することが理解されるべきである。
【0195】
上記の結果はまた、訓練された官能パネルの結論と一致した。官能パネルは、KWN#1及びKWN#4から生産された厚切りが、KWN#2及びKWN#3と比較して、より高い噛み応え及び硬度を有し、したがって、畜肉組織により良好に類似することを決定した。
【0196】
KWN#2(あまり好ましくないTVP型とみなされる)とKWN#4(より好ましいTVP型とみなされる)との間の差を更に例証するために、2つのストランドの光学顕微鏡画像を撮影した。画像は、KWN#4からのストランドがより高密度であり、低多孔質である(より小さい細孔径)ことを示し、これはおそらく、図10A図10Bに示される改善された組織に寄与した。
【0197】
崩壊試験
崩壊試験の目標は、試験試料がせん断力下に置かれたときに形成されるサブ構造を識別することであった(低速で30秒間運転される、生地ブレードを有するNinjaブレンダーモデルCT-683is、低速は製造業者によって定義される)。
【0198】
具体的には、TVP全体ストランドからの試料及び刻んだTVPストランドからの試料を解凍し、25℃にした。20mmのスライスをストランドの方向と垂直に切断し、試料の重量を記録した。臨床パラメータが、表6に要約される:
【0199】
【表7】
【0200】
次いで、各スライスを、生地ブレードを備えたCT683is Ninjaブレンダーの2Lボウル内に入れた。1リットルの水道水を添加し、ブレンダーを低速で作動させた。したがって、ボウル内の試料は、せん断力を30秒間受けた。
【0201】
ブレンドした後、結果として得られるブレンドされた物質を、1mmのキッチンフィルターに注ぎ、水道水で洗浄した。濾過した塊を作業表面上に移した。
【0202】
図11Aは、TVPストランド全体から調製された試料では、試験が、約20±2mmの平均長さを有する個々の細長いTVPストランドをもたらすように(図11A図11B)、せん断力がTVPストランド全体の崩壊を引き起こしたことを示す。刻んだTVPストランドから形成された、すなわち、TVP押出物を刻んだ後に作製され、刻んだTVPからストランドを調製する試料は、ミンチ肉に類似するTVPの高密度非晶質片に崩壊した(図11D図11E)。
【0203】
TVPストランド全体から作製された試料は、製品の崩壊時のストランドの完全性によって特徴付けられる。
【0204】
図11Bは、TVPストランド全体から調製された全筋カット類似物製品がステーキのサイズに切断された場合でさえも、(上記に記載されるプロセスにおいて)ステーキの厚さに等しい長さを有する個々の本質的に同一のストランドに崩壊したことを示す。
【0205】
図11Cは、崩壊した代替全筋カット類似物の画像を提供し、ストランド全体は、約6cm~15cmの範囲の長さを有する。
【0206】
撮像
TVPストランド全体製品内の細孔の存在、及び他方では、刻んだTVPからの製品内の細孔の非存在を検証するために、本開示に従って生産されたTVPストランド全体から、及び刻んだTVPからの厚切りの断面切断を行った。
【0207】
図12A及び図12Bは、TVPストランド全体(図12A)から、及び刻んだTVP(図12B)から取得された製品の断面の顕微鏡画像である。TVPストランド全体製品内の細孔の存在が、図12Aから明らかである一方で、そのような細孔の非存在は、図12Bから明らかである。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図12A
図12B
【国際調査報告】