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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】チャイルド安全シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/28 20060101AFI20241108BHJP
【FI】
B60N2/28
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527599
(86)(22)【出願日】2022-11-14
(85)【翻訳文提出日】2024-07-08
(86)【国際出願番号】 EP2022081792
(87)【国際公開番号】W WO2023084079
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】202111342785.7
(32)【優先日】2021-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517042092
【氏名又は名称】ワンダーランド スイツァーランド アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヂァオ、グワンフゥイ
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087CE06
(57)【要約】
【課題】チャイルド安全シートの提供。
【解決手段】本出願は、シート本体、シートベルト、および第1のバリアを含むチャイルド安全シートに関する。シート本体は、座席空間を画定する。シートベルトは、シート本体の前側およびシート本体の後側に配置される。第1のバリアは、シート本体の後側に配置されている。シートベルトは第1のバリアに当接し、第1のバリアはシート本体の変形を防ぐように構成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着座空間(110)を画定するシート本体(100)と、
前記シート本体(100)の前側および前記シート本体(100)の後側に配置されたシートベルト(200)と、
前記シート本体(100)の後側に配置された第1のバリア(300)と、を備え、
前記シートベルト(200)は前記第1のバリア(300)に当接し、前記第1のバリア(300)は前記シート本体(100)の変形を防止するように構成されている、チャイルド安全シート(10)。
【請求項2】
前記シート本体(100)は、シートベース(120)と背もたれ(130)とを備え、前記シートベース(120)と前記背もたれ(130)とは、前記着座空間(110)を画定するように囲み、前記シートベルト(200)は、前記シートベース(120)及び前記背もたれ(130)の前側と、前記シートベース(120)及び前記背もたれ(130)の後側とに配置されている、請求項1に記載のチャイルド安全シート(10)。
【請求項3】
前記第1のバリア(300)は、前記シートベース(120)の後側に配置され、前記シートベルト(200)が前記シートベース(120)の後側から間隔をあけて配置されることを可能にする、請求項2に記載のチャイルド安全シート(10)。
【請求項4】
前記第1のバリア(300)は、前記シートベース(120)の硬度よりも高い硬度を有する、請求項2または3に記載のチャイルド安全シート(10)。
【請求項5】
前記第1のバリア(300)が棒状の形状を有し、前記シートベース(120)の後側に少なくとも部分的に埋め込まれている、請求項2から4のいずれか1項に記載のチャイルド安全シート(10)。
【請求項6】
前記シートベルト(200)は、第1の連結部(210)と第2の連結部(220)とを備え、
前記第1の連結部(210)は第1の端部(211)と第2の端部(212)とを有し、前記第1の端部(211)は、前記背もたれ(130)の後側に配置され、前記第2の端部(212)は、前記背もたれ(130)の前側に配置され、
前記第2の連結部(220)は前記シートベース(120)の周囲を通り、第3の端部および第4の端部(222)を有し、前記第3の端部は前記シートベース(120)の前側に配置され、前記第4の端部(222)は前記第1の端部(211)に連結される、請求項2から5のいずれか1項に記載のチャイルド安全シート(10)。
【請求項7】
前記シートベルト(200)を前記背もたれ(130)の後側に制限して固定するように構成された制限部材(510)と、
前記背もたれ(130)の後側に固定され、前記制限部材(510)が回動可能に連結された固定ロッド(520)と、を備えている、
請求項2から6のいずれか1項に記載のチャイルド安全シート(10)。
【請求項8】
前記制限部材(510)は、前記シートベルト(200)を前記背もたれ(130)の後側に押し付けるように構成された制限部(511)を備えている、請求項7に記載のチャイルド安全シート(10)。
【請求項9】
前記制限部(511)は、複数の制限歯(511a)を備えている、請求項8に記載のチャイルド安全シート(10)。
【請求項10】
前記背もたれ(130)に穿孔(131)が設けられ、前記シートベルト(200)が前記背もたれ(130)の後側から前記穿孔(131)を通って前記背もたれ(130)の前側を回り込み、前記固定ロッド(520)が前記穿孔(131)に対向して配置されている、請求項7から9のいずれか1項に記載のチャイルド安全シート(10)。
【請求項11】
前記背もたれ(130)の後側に横方向に配置され、前記チャイルド安全シート(10)の変形を防止するように構成された第2のバリア(600)をさらに備えている、請求項2から10のいずれか1項に記載のチャイルド安全シート(10)。
【請求項12】
前記背もたれ(130)の後側は、その対向する2つの側に配置された第1の取付リブ(132)と第2の取付リブ(133)とを備え、前記第2のバリア(600)の2つの端部は、前記第1の取付リブ(132)と前記第2の取付リブ(133)とにそれぞれ固定されている、請求項11に記載のチャイルド安全シート(10)。
【請求項13】
第2のバリア(600)は、円形の管状構造を有する,請求項11または12に記載のチャイルド安全シート(10)。
【請求項14】
前記円形管状構造は、12mm~13mmの外径を有し、1mm~1.6mmの厚さを有する、請求項13に記載のチャイルド安全シート(10)。
【請求項15】
前記背もたれ(130)の前側に配置され、車両の車載安全ベルト(20)をクランプして固定するように構成されたクランプ部材(700)をさらに備えている、請求項11から14のいずれか1項に記載のチャイルド安全シート(10)。
【請求項16】
前記第1のバリア(300)に回動可能に連結され、前記シートベルト(200)を前記シート本体(100)の後側に制限するように構成された制限部材(510)をさらに備えている、請求項1から15のいずれか1項に記載のチャイルド安全シート(10)。
【請求項17】
着座空間(110)を画定するように互いに連結されたシートベース(120)および背もたれ(130)を含むシート本体(100)と、
前記背もたれ(130)に固定され、前記背もたれ(130)の変形を防止するように構成された第2のバリア(600)と、を備えている、
チャイルド安全シート(10)。
【請求項18】
前記第2のバリア(600)が、前記背もたれ(130)の後側に横方向に配置されている、請求項17に記載のチャイルド安全シート(10)。
【請求項19】
前記背もたれ(130)の後側が、その対向する2つの側に配置された第1の取付リブ(132)および第2の取付リブ(133)を備え、第2のバリア(600)の2つの端部が、第1の取付リブ(132)および第2の取付リブ(133)にそれぞれ固定されている、請求項17または18に記載のチャイルド安全シート(10)。
【請求項20】
前記第2のバリア(600)が円形の管状構造を有する、請求項17から19のいずれか1項に記載のチャイルド安全シート(10)。
【請求項21】
前記円形管状構造は、12mm~13mmの外径を有し、1mm~1.6mmの厚さを有する、請求項20に記載のチャイルド安全シート(10)。
【請求項22】
前記着座空間(110)に面する前記背もたれ(130)の側に配置され、車両の車載安全ベルト(20)をクランプして固定するように構成されたクランプ部材(700)をさらに備えている、請求項17から21のいずれか1項に記載のチャイルド安全シート(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年11月12日に出願された中国特許出願第2021113427857号の利益を主張するものであり、その内容全体が本明細書に組み込まれる。本出願は、チャイルドキャリアの技術分野に関し、特にチャイルドシートに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、市販されているチャイルド安全シートは、衝突や急ブレーキなどの事故が発生した場合、自身の慣性力や受けた衝撃力によって一定の加速度が発生し、その結果、チャイルド安全シートに着座している子供の頭部が一定の変位をすることが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、頭部の変位が大きすぎると、子供の身体に傷害を与える可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
チャイルド安全シートが提供される。このチャイルド安全シートは、着座空間を画定するシート本体と、シート本体の前側およびシート本体の後側に配置されたシートベルトと、シート本体の後側に配置された第1のバリアとを含む。シートベルトは第1のバリアに当接し、第1のバリアはシート本体の変形を防ぐように構成されている。
【0005】
上記チャイルド安全シートでは、シートベルトがシート本体の前側と後側とに配置され、子供を着座空間に固定する。また、シート本体の後側に第1のバリアが配置され、シートベルトが第1のバリアに当接し、第1のバリアがシート本体の変形を防止するように構成されている。このようにすれば、車両が衝突や急ブレーキ等の事故に遭遇した際に、シートベルトの衝撃力を受けてシート本体が引っ張られて引きずられて変形し、着座空間におけるシートベルトの長さが長くなって子供の頭部が上方に変位し過ぎることを回避することができ、子供の身体への傷害を効果的に軽減することができる。
【0006】
実施形態のひとつでは、シート本体はシートベースと背もたれを含む。シートベースと背もたれとは、座席空間を画定するように囲む。シートベルトは、シートベース及び背もたれの前側と、シートベース及び背もたれの後側とに配置される。
【0007】
実施形態のひとつでは、シートベルトがシートベースの後側から間隔をあけて配置されるように、第1のバリアがシートベースの後側に配置されている。
【0008】
実施形態のひとつでは、第1のバリアはシートベースの硬度よりも高い硬度を有する。
【0009】
実施形態のひとつでは、第1のバリアは棒状の形状を有し、シートベースの後側に少なくとも部分的に埋め込まれている。
【0010】
実施形態のひとつでは、シートベルトは、第1の連結部と第2の連結部とを含む。第1の連結部は、第1の端部と第2の端部とを有する。第1の端部は背もたれの後側に配置され、第2の端部は背もたれの前側に配置される。第2の連結部は、シートベースの周囲を通り、第3の端部と第4の端部とを有する。第3の端部はシートベースの前側に配置され、第4の端部は第1の端部に連結される。
【0011】
実施形態のひとつでは、チャイルド安全シートは、第1のバリアに回動可能に連結され、シートベルトをシート本体の後側に制限するように構成された制限部材をさらに含む。
【0012】
実施形態のひとつでは、チャイルド安全シートは、シートベルトを背もたれの後側に制限して固定するように構成された制限部材と、背もたれの後側に固定され、制限部材がそれに回動可能に連結された固定ロッドとをさらに含む。
【0013】
実施形態のひとつでは、制限部材は、シートベルトを背もたれの後側に押し付けるように構成された制限部を含む。
【0014】
実施形態のひとつでは、制限部は複数の制限歯を含む。
【0015】
実施形態のひとつでは、背もたれには穿孔(perforation hole)が設けられ、シートベルトは背もたれの後側から穿孔を通って背もたれの前側を回り込み、固定ロッドは穿孔に対向して配置される。
【0016】
実施形態のひとつでは、チャイルド安全シートは、第2のバリアをさらに含む。第2のバリアは、背もたれの後側に横方向に配置され、チャイルド安全シートが変形するのを防止するように構成されている。
【0017】
実施形態のひとつでは、背もたれの後側は、その対向する2つの側に配置された第1の付けブと第2の取付リブとを備え、第2のバリアの2つの端部は、第1の取付リブと第2の取付リブとにそれぞれ固定される。
【0018】
実施形態のひとつでは、第2のバリアは円形の管状構造を有する。
【0019】
実施形態のひとつでは、上記円形管状構造は12mmから13mmの外径を有し、該円形管状構造は1mmから1.6mmの厚さを有する。
【0020】
実施形態のひとつにおいて、チャイルド安全シートは、背もたれの前側に配置され、車両の車載安全ベルトをクランプして固定するように構成されたクランプ部材をさらに含む。
【0021】
チャイルド安全シートは、着座空間を画定するように互いに連結されたシートベースおよび背もたれを含むシート本体と、背もたれ上に固定され、背もたれの変形を防止するように構成された第2のバリアとを含む。
【0022】
実施形態のひとつでは、第2のバリアは、背もたれの後側に横方向に配置されている。
【0023】
実施形態のひとつでは、背もたれの後側は、その対向する2つの側に配置された第1の取付リブと第2の取付リブとを備え、第2のバリアの2つの端部は、第1の取付リブと第2の取付リブとにそれぞれ固定される。
【0024】
実施形態のひとつでは、第2のバリアは円形の管状構造を有する。
【0025】
実施形態のひとつでは、上記円形管状構造は12mmから13mmの外径を有し、該円形管状構造は1mmから1.6mmの厚さを有する。
【0026】
実施形態のひとつにおいて、チャイルド安全シートは、着座空間に面する背もたれの側面に配置され、車両の車載安全ベルトをクランプして固定するように構成されたクランプ部材をさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、本願発明の第1の実施形態によるチャイルド安全シートの概略図である。
図2図2は、図1に示すチャイルド安全シートを別の視点から見た概略図である。
図3図3は、図1に示すチャイルド安全シートをさらに別の視点から見た概略図であり、シートベルトが省略されている。
図4図4は、図3におけるAの部分の拡大図である。
図5図5は、本願発明の第2の実施形態によるチャイルド安全シートの概略図である。
図6図6は、図5に示すチャイルド安全シートを別の視点から見た概略図である。
図7図7は、図5に示すチャイルド安全シートをさらに別の視点から見た概略図である。
図8図8は、本願発明の第3の実施形態によるチャイルド安全シートの概略図である。
図9図9は、図8に示すチャイルド安全シートの側面の部分断面図である。
図10図10は、図8に示した制限部材の概略図である。
図11図11は、図6に示した第2のバリアの概略図である。
図12図12は、本願発明の第4の実施形態によるチャイルド安全シートの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本願発明の目的、技術的解決手段、および利点をより明らかにするために、添付の図面および具体的な実施形態を参照して、以下に本願発明をさらに詳細に説明する。なお、本明細書で説明する具体的な実施形態は、本願発明を説明するためのものであって、本願発明の保護範囲を限定するものではないことを理解されたい。
【0029】
ある要素が他の要素に「固定」されていると称される場合、その要素は他の要素上に直接存在することもあれば、中間的な要素が存在することもあることに留意すべきである。ある要素が他の要素に「連結」されていると称される場合、他の要素に直接連結されていることもあれば、同時に中間的な要素が存在することもある。本明細書で使用される「垂直」、「水平」、「左」、「右」、および同様の表現は、説明のためのものである。
【0030】
特に定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本願発明が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本願発明の説明において本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的のみのためのものであり、本願発明を限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、用語「および/または」は、関連する列挙された項目の1つまたは複数の任意のおよびすべての組み合わせを含む。
【0031】
第1の実施形態
【0032】
図1から図4に示すように、本願発明の第1の実施形態は、シート本体100、シートベルト200、第1のバリア300、制限部材510、第2のバリア600、およびクランプ部材700を含むチャイルド安全シート10を提供する。
【0033】
具体的には、図1に示すように、シート本体100は、互いに連結されて着座空間110を画定するシートベース120と背もたれ130とを含む。着座空間110には、子供が着座することができる。シートベース120は子供の臀部を支える役割を果たし、背もたれ130は子供の背中を支える役割を果たす。本実施形態では、シートベース120および背もたれ130はプラスチック材料で作られているが、これに限定されない。
【0034】
図1および図2に示すように、シートベルト200は、第1の連結部210、第2の連結部220、および第3の連結部230を含む。第1の連結部210は、第1の端部211と第2の端部212とを有する。第1の端部211は背もたれ130の後側に配置され、第2の端部212は背もたれ130の前側に配置され、第1の連結部210が子供を着座空間110に固定できるようになっている。本実施形態において、チャイルド安全シート10は、第1の連結部材410及び第2の連結部材420を更に含む。第1の連結部材410は、背もたれ103の後側に配置されている。第2の連結部材420は、着座空間110に配置される。図1及び図2に示す実施形態では、第1の連結部210は、並んで配置される第1の肩ベルト201及び第2の肩ベルト202を含む。第1の肩ベルト201の第1の端部211と第2の肩ベルト202の第1の端部211は共に第1の連結部材410に固定され、第1の肩ベルト201の第2の端部212と第2の肩ベルト202の第2の端部212は共に第2の連結部材420に連結され、第1の肩ベルト201と第2の肩ベルト202は背もたれ130の後側を回って着座空間110に通過するようになっている。このようにして、第1の肩ベルト201と第2の肩ベルト202は、それぞれ子供の肩をチャイルド安全シート10に固定する。第2の連結部220は、第3の端部(図面には示されていない)と第4の端部222とを有する。第3の端部は、シートベース120の前面に配置される。第4の端部222は、2つの肩ベルトの第1の端部211と第2の連結部材420とに連結されている。従って、第2の連結部220は、シートベース120の前側とシートベース120の後側とを通過する。第3の連結部230は、第5の端部231と第6の端部232とを有する。第5の端部231は、第2の連結部材420に連結される。第6の端部232は、バックル(例えば、スライドバックル)に連結されることを通じてシートベース120の内部に配置される。このようにして、シートベルト200は、着座空間110内の子供をチャイルド安全シート10に固定することができる。この実施形態では、第1の連結部材410は、例えば、5方向安全バックルであり、第2の連結部材420は、例えば、織金属(woven metal)バックルである。もちろん、他の実施形態では、第1の連結部材410および第2の連結部材420は、他の形態であることもできる。さらに、他の実施形態では、シートベルト200は他の態様で構成することもできる。
【0035】
本明細書で説明する「前側」および「後側」は、特に着座空間110に言及するものであることを理解されたい。例えば、背もたれ130の前側とは、着座空間110に面する背もたれ130の側部を指し、背もたれ130の後側とは、着座空間110から離れる方向に面する背もたれ130の側部を指すなどである。
【0036】
図2から図4に示すように、第1のバリア300は、シートベース120の後側に固定されている。具体的には、シートベース120には細長い収容部121が設けられており、この収容部121に第1のバリア300がネジ等の締結具によって取り付けられている。シートベルト200は第1のバリア300に当接し、第1のバリア300はシートベース120の変形を防止するように構成されている。このようにすることで、車両が衝突や急ブレーキ等の事故を起こした際に、シートベース120がシートベルト200の衝撃力を受けて引っ張られて引きずられ、着座空間110におけるシートベルト200の長さが長くなって子供の頭部が上方に変位し過ぎるように変形することを回避することができ、子供の身体への傷害を効果的に軽減することができる。もちろん、他の実施形態においても、第1のバリア300を背もたれ130の後側に固定し、シートベルト200が第1のバリア300に当接し、第1のバリア300が背もたれ130の変形を防止するように構成してもよい。チャイルド安全シートは、事故発生時にチャイルド安全シート内で子供の頭部が上方に変位する度合いを効果的に低減することができ、子供の身体に怪我を負わせないようにすることができる。
【0037】
さらに、シートベルト200がシートベース120の後側から離間するように、第1のバリア300がシートベース120の後側から突出していてもよい。このようにすると、シートベルト200はシートベース120に直接接触せず、第1のバリア300に直接接触する。車両が衝撃や急ブレーキなどのアクシデントに遭遇したとき、シートベルト200に加わる衝撃力を第1のバリア300で受けることができるので、シートベース120がシートベルト200によって変形するのを防止することができ、シートベルト200の着座空間110にある部分が長くなるのを防止して、子供の頭部の上方への変位の程度を小さくすることができる。
【0038】
さらに、第1のバリア300は、シートベース120の硬度よりも高い硬度を有する。このように、第1のバリア300がシートベース120上に配置されることにより、シートベース120の構造強度を高めることができる。また、車両が衝突や急ブレーキ等の事故に遭遇した際、シートベルト200による引っ張りや引きずりによってシートベース120が変形し難くなり、着座空間110におけるシートベルト200の部分が長くなることを防止することができ、子供の頭部の上方への変位の度合いを小さくすることができる。
【0039】
任意選択で、第1のバリア300は棒状の形状を有し、シートベース120の後側に完全に埋め込まれるか、部分的に埋め込まれる。この実施形態では、第1のバリア300は、シートベルト200が第1のバリア300に直接当接するように、シートベース120の後側に部分的に埋め込まれており、シートベルト200は、シートベース120の後側から間隔を空けて配置されている。
【0040】
さらに、図2に示すように、制限部材510は、シートベルト200を背もたれ130の後側に制限して固定するように構成されている。このようにすれば、着座空間110におけるシートベルト200の部分の長さをさらに制限することができ、車両が衝突や急ブレーキ等の事故に遭遇した際に、着座空間110におけるシートベルト200の部分が長く引っ張られ過ぎることを防止することができ、子供の頭部の上方への変位の程度を低減することができる。
【0041】
さらに、一実施形態では、第1のバリア300および第2のバリア600は、その上に配置された少なくとも1つの制限部材510も有することができる。別の実施形態では、図2および図10に示すように、チャイルド安全シート10は、固定ロッド520(実際の要求に応じて選択的に設けることができる)をさらに含み、固定ロッド520は、背もたれ130の後側に固定され、制限部材510は、固定ロッド520に回動可能に連結される。
【0042】
制限部材510は、制限部511を含み、制限部材510が背もたれ130に接近する方向に回転することにより、制限部511を介してシートベルト200を背もたれ130の後側に押し付けることができる。このように、制限部材510を背もたれ130に接近する方向に回動させることにより、制限部511を介してシートベルト200を背もたれ130の後側に押し付けることができるので、事故発生時にシートベルト200の着座空間110内の部分が長くなるのを防止することができ、子供の頭部の上方への変位の程度を小さくすることができる。この実施形態では、制限部511は、複数の制限歯511aを含む。制限部材510が背もたれ130に接近する方向に回転すると、制限歯511aがシートベルト200を背もたれ130の後側に突き当て、制限歯511aとシートベルト200との間に大きな摩擦力を発生させることができ、より良好な制限効果が得られる。着座空間110内の子供の大きさに応じて着座空間110内のシートベルト200の長さを調節する必要がある場合、制限部材510を背もたれ130から離れる方向に回転させて、制限部511のシートベルト200に対する付勢を解除し、それによって着座空間110内のシートベルト200の長さの調節を容易にすることができる。
【0043】
この実施形態では、図2および図10に示すように、制限部材510は、実質的にU字形の構造を有する制限ボディー512と、制限ボディー512の中間部分に配置された制限部511とを含む。制限ボディー512の両端部は、第1のバリア300または固定ロッド520と回動可能に連結されるための回動部512aを形成する。もちろん、他の実施形態では、制限部材510は他の形態を有することもできる。
【0044】
さらに、図1及び図2に示すように、背もたれ130には穿孔131が形成されており、シートベルト200の第2の端部212は、背もたれ130の後方から穿孔131を通って背もたれ130の前方を回り込み、すなわち着座空間110内に入り込んでいる。固定ロッド520は、穿孔131に対向して配置されている。このようにして、シートベルト200を良好に制限固定することができる。この実施形態では、背もたれ130の横方向に沿って、第1の肩ベルト201および第2の肩ベルト202がそれぞれ通過するために、2つの穿孔131が配置され、互いに間隔をあけて配置されている。これに対応して、2つの制限部材510が、背もたれ130の後側に対して第1の肩ベルト201及び第2の肩ベルト202をそれぞれ付勢するように配置されている。
【0045】
さらに、図1および図2に示すように、車両は、車載安全ベルト20を含み、車載安全ベルト20は、チャイルド安全シート10を車両に固定するために、背もたれ130の前側を通過するように適合されている。第2のバリア600は、背もたれ130に固定され、背もたれ130の変形を防止するように構成されている。チャイルド安全シート10は、車載安全ベルト20を介して車両に固定されており、背もたれ部130に固定された第2のバリア600は、背もたれ部130の変形を防止することができるので、車両が衝撃や急ブレーキなどの事故に遭遇した際に、背もたれ部130が変形する(例えば、横方向の寸法が小さくなる)ことを回避することができる。これにより、車載安全ベルト20の引っ張り作用によって背もたれ130が変形(例えば、横方向の寸法が小さくなる)して車載安全ベルト20とチャイルド安全シート10との固定が緩み、チャイルド安全シート10が変位するのを防止することができ、子供の頭部の上方への変位の程度を小さくすることができる。
【0046】
さらに、図1および図2に示すように、車載安全ベルト20は、背もたれ130の前側を横方向に貫通するように用いられ、第2のバリア600は、背もたれ130の後側に横方向に配置されている。第2のバリア600の具体的な取り付け態様としては、背もたれ130の後側に第1の取リブ132と第2の取り付リブ133とが横方向に間隔をおいて配置され、第2のバリア600の両端部がそれぞれ第1の取付リブ132と第2の取付リブ133とに固定される。このようにして、第2のバリア600は、背もたれ130が変形するのを防止し、車載安全ベルト20が緩むのを防止する役割を果たすことができる。もちろん、第2のバリア600は、他の態様によって背もたれ130の後側に固定することもできる。例えば、第2のバリア600は、背もたれ130の後側に完全に埋め込まれていてもよいし、部分的に埋め込まれていてもよい。
【0047】
この実施形態では、図2および図11に示すように、第2のバリア600は、好ましくは、構造が簡単で製造に便利な円形管状構造を有する。任意選択で、円形管状構造は12mm~13mmの外径を有し、1mm~1.6mmの厚さを有する。本実施形態では、円形管状構造は12.7mmの外径を有し、1.5mmの厚さを有する。しかし、円管に限定されるものではなく、第2のバリア600は角管であってもよい。
【0048】
さらに、図1に示すように、背もたれ130の前面にはクランプ部材700が配置され、車載安全ベルト20をクランプ固定するように構成されている。このようにすれば、クランプ部材700による車載安全ベルト20の挟持固定効果を高めることができる。
【0049】
第2の実施形態
【0050】
本願発明の第2の実施形態は、シート本体100と、第2のバリア600と、クランプ部材700とを含むチャイルド安全シート10を提供する。図5図7に示すように、第2の実施形態によるチャイルド安全シートは、シートベルト200、第1のバリア300、制限部材510、及び固定ロッド520が省略されていることを除いて、第1の実施形態によるチャイルド安全シートと実質的に同じ構造を有する。
【0051】
第3の実施形態
【0052】
本願発明の第3の実施形態は、シート本体100、シートベルト200、制限部材510、及び固定ロッド520を含むチャイルド安全シート10を提供する。図1図2、及び図8図10に示すように、第3の実施形態によるチャイルド安全シートは、第1のバリア300、第2のバリア600、及びクランプ部材700が省略されていることを除いて、第1の実施形態によるチャイルド安全シートと実質的に同じ構造を有する。
【0053】
第4の実施形態
【0054】
本願発明の第4の実施形態は、シート本体100、シートベルト200、第1のバリア300、第2のバリア600、及びクランプ部材700を含むチャイルド安全シート10を提供する。図1及び図12に示すように、第4の実施形態によるチャイルド安全シートは、制限部材510及び固定ロッド520が省略されていることを除いて、第1の実施形態によるチャイルド安全シートと実質的に同じ構造を有する。
【0055】
上記チャイルド安全シート10は、少なくとも以下の技術的効果を有する。
【0056】
上記チャイルド安全シート10では、シートベルト200がシート本体100の前側とシート本体100の後側とに巻回され、子供を着座空間10に固定する。また、シート本体100の後側に第1のバリア300が配置され、シートベルト200が第1のバリア300に当接し、第1のバリア300によってシート本体100の変形を防止することができる。このようにすることで、車両が衝突や急ブレーキなどの事故に遭遇した際に、シート本体100がシートベルト200の衝撃力を受けて引っ張られて引きずられ、着座空間110におけるシートベルト200の長さが長くなって子供の頭部が上方に変位しすぎるように変形することを回避することができ、子供の身体への傷害を効果的に軽減することができる。
【0057】
上述した実施形態の技術的特徴は、任意に組み合わせることができる。説明を簡略化するために、上述の実施形態における技術的特徴の全ての可能な組み合わせが記載されているわけではない。しかしながら、これらの技術的特徴の組み合わせは、そのような組み合わせが互いに矛盾しない限り、全て本願発明の範囲内に含まれると考えられるべきである。
【0058】
前述の実施形態は、単に本願発明のいくつかの実施形態を例示するものであり、その説明は比較的具体的かつ詳細なものである。しかしながら、本出願の特許範囲を限定するものとして理解されるべきではない。当業者であれば、本願発明の概念から逸脱することなく、さらにいくつかの変形および改良を加えることができ、その変形および改良は本願の保護範囲に属することに留意すべきである。したがって、本願発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲に従うものとする。
【符号の説明】
【0059】
10 チャイルド安全シート
100 シート本体
110 着座空間
120 シートベース
121 収容部
130 背もたれ
131 穿孔
132 第1の取付リブ
133 第2の取付リブ
200 シートベルト
210 第1の連結部
211 第1の端部
212 第2の端部
201 第1の肩ベルト
202 第2の肩ベルト
220 第2の連結部
222 第4の端部
230 第3の連結部
231 第5の端部
232 第6の端部
300 第1のバリア
410 第1の連結部材
420 第2の連結部材
510 制限部材
511 制限部
511a 制限歯
512 回動部
520 固定ロッド
600 第2のバリア
700 クランプ部材
20 車載安全ベルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2024-07-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着座空間(110)を画定するシート本体(100)と、
前記シート本体(100)の前側および前記シート本体(100)の後側に配置されたシートベルト(200)と、
前記シート本体(100)の後側に配置された第1のバリア(300)と、を備え、
前記シートベルト(200)は前記第1のバリア(300)に当接し、前記第1のバリア(300)は前記シートベルト(200)に加わる衝撃力による応力を受けて前記シート本体(100)の変形を防止するように構成されている、チャイルド安全シート(10)。
【請求項2】
前記シート本体(100)は、シートベース(120)と背もたれ(130)とを備え、前記シートベース(120)と前記背もたれ(130)とは、前記着座空間(110)を画定するように囲み、前記シートベルト(200)は、前記シートベース(120)及び前記背もたれ(130)の前側と、前記シートベース(120)及び前記背もたれ(130)の後側とに配置されており、
前記第1のバリア(300)は、前記シートベース(120)の後側に配置され、前記シートベルト(200)が前記シートベース(120)の後側から間隔をあけて配置されることを可能にする、
請求項1に記載のチャイルド安全シート(10)。
【請求項3】
前記第1のバリア(300)は、前記シートベース(120)の硬度よりも高い硬度を有する、請求項に記載のチャイルド安全シート(10)。
【請求項4】
前記第1のバリア(300)が棒状の形状を有し、前記シートベース(120)の後側に少なくとも部分的に埋め込まれている、請求項に記載のチャイルド安全シート(10)。
【請求項5】
前記シートベルト(200)を前記背もたれ(130)の後側に制限して固定するように構成された制限部材(510)と、
前記背もたれ(130)の後側に固定され、前記制限部材(510)が回動可能に連結された固定ロッド(520)と、を備えている、
請求項に記載のチャイルド安全シート(10)。
【請求項6】
前記制限部材(510)は、前記シートベルト(200)を前記背もたれ(130)の後側に押し付けるように構成された制限部(511)を備えている、請求項に記載のチャイルド安全シート(10)。
【請求項7】
前記背もたれ(130)の後側に横方向に配置され、前記チャイルド安全シート(10)の変形を防止するように構成された第2のバリア(600)をさらに備えている、請求項に記載のチャイルド安全シート(10)。
【請求項8】
前記背もたれ(130)の後側は、その対向する2つの側に配置された第1の取付リブ(132)と第2の取付リブ(133)とを備え、前記第2のバリア(600)の2つの端部は、前記第1の取付リブ(132)と前記第2の取付リブ(133)とにそれぞれ固定されている、請求項に記載のチャイルド安全シート(10)。
【請求項9】
前記第2のバリア(600)は円形の管状構造を有し、前記円形管状構造は、12mm~13mmの外径を有し、1mm~1.6mmの厚さを有する、請求項7または8に記載のチャイルド安全シート(10)。
【請求項10】
前記背もたれ(130)の前側に配置され、車両の車載安全ベルト(20)をクランプして固定するように構成されたクランプ部材(700)をさらに備えている、請求項に記載のチャイルド安全シート(10)。
【請求項11】
着座空間(110)を画定するように互いに連結されたシートベース(120)および背もたれ(130)を含むシート本体(100)と、
前記背もたれ(130)に固定され、前記背もたれ(130)の変形を防止するように構成された第2のバリア(600)と、を備え
前記背もたれ(130)は、その両側に穿孔を備え、前記穿孔は、車両の車載安全ベルト(20)が前記背もたれ(130)の前側を横方向に通過できるように構成され、チャイルド安全シート(10)を車両に固定し、前記第2のバリア(600)は、前記車載安全ベルト(20)が前記背もたれ(130)を変形させることを防止するために、前記穿孔の近くに配置される、
チャイルド安全シート(10)。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0050】
本願発明の第2の実施形態は、シート本体100と、第2のバリア600と、クランプ部材700とを含むチャイルド安全シート10を提供する。図5図7に示すように、第2の実施形態によるチャイルド安全シートは、シートベルト200、第1のバリア300、制限部材510、及び固定ロッド520が省略されていることを除いて、第1の実施形態によるチャイルド安全シートと実質的に同じ構造を有する。この第2の実施形態では、背もたれ130は、その両側に穿孔が設けられている。この穿孔は、車両の車載安全ベルト20が背もたれ130の前側を横方向に通過できるように構成されており、チャイルド安全シート10を車両に固定するようになっている。さらに、第2のバリア600は、車載安全ベルト20が背もたれ130を変形させるのを防止するために、穿孔の近くに配置されている。
【国際調査報告】