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特表2024-542438色変換材料及び光抽出構造を含む発光素子及びその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】色変換材料及び光抽出構造を含む発光素子及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/50 20100101AFI20241108BHJP
   H01L 33/52 20100101ALI20241108BHJP
【FI】
H01L33/50
H01L33/52
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527789
(86)(22)【出願日】2022-11-04
(85)【翻訳文提出日】2024-07-12
(86)【国際出願番号】 US2022048961
(87)【国際公開番号】W WO2023086274
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】63/278,571
(32)【優先日】2021-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000186762
【氏名又は名称】昭栄化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116713
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 正己
(74)【代理人】
【識別番号】100179844
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 芳國
(72)【発明者】
【氏名】キム,ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】アントニアディス,ホーマー
【テーマコード(参考)】
5F142
【Fターム(参考)】
5F142BA32
5F142CB12
5F142CD02
5F142CD15
5F142CD16
5F142CG03
5F142CG25
5F142DA13
5F142DA36
5F142DA73
5F142DB20
5F142GA11
(57)【要約】
発光素子が、青色放射または紫外線放射の入射光子を射出するべく構成された発光ダイオードと、前記発光ダイオード上に配置され、前記発光ダイオードによって射出された前記入射光子を吸収し、前記入射光子のピーク波長よりも長いピーク波長を有する変換光子を生成するべく構成された色変換材料と、前記発光ダイオードと前記色変換材料との間に配置された少なくとも1つの光抽出機構と、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子であって、
青色放射または紫外線放射の入射光子を射出するべく構成された発光ダイオードと、
前記発光ダイオード上に配置され、前記発光ダイオードによって射出された前記入射光子を吸収し、前記入射光子のピーク波長よりも長いピーク波長を有する変換光子を生成するべく構成された色変換材料と、
前記発光ダイオードと前記色変換材料との間に配置された少なくとも1つの光抽出機構と、
を備える発光素子。
【請求項2】
キャビティ壁で境界を囲まれた光キャビティをさらに備え、前記発光ダイオードは前記光キャビティ内に配置される、
請求項1に記載の発光素子。
【請求項3】
前記少なくとも1つの光抽出機構は、前記発光ダイオードと前記色変換材料との間の前記光キャビティ内に配置された第1の光抽出材料層を備える、
請求項2に記載の発光素子。
【請求項4】
前記発光ダイオードは、III族窒化物活性領域を含み、
前記第1の光抽出材料層は、約1.5から約2.5の範囲にある第1の屈折率を有する、
請求項3に記載の発光素子。
【請求項5】
前記第1の光抽出材料層は、前記第1の光抽出材料層と前記色変換材料との間の粗い界面を含む光抽出機構を備える、
請求項3に記載の発光素子。
【請求項6】
前記第1の光抽出材料層は、前記第1の光抽出材料層の光学モードと前記色変換材料の光学モードとをカップリングするナノスケールフォトニック結晶を含むナノスケールのフィーチャの周期的配列を含む光抽出機構を備える、
請求項3に記載の発光素子。
【請求項7】
前記第1の光抽出材料層の上に配置され波形の高さプロファイルを含む第2の光抽出材料層をさらに備える、
請求項3に記載の発光素子。
【請求項8】
前記第2の光抽出材料層は、前記第1の光抽出材料層の第1の屈折率とは異なる第2の屈折率を含む、
請求項7に記載の発光素子。
【請求項9】
前記光キャビティを複数のサブセルに分割する、前記第1の光抽出材料層上に形成された複数の仕切り構造をさらに備え、
前記色変換材料は前記複数のサブセル内に形成される、
請求項3に記載の発光素子。
【請求項10】
前記複数の仕切り構造の各々は、テーパ形状を含む、
請求項9に記載の発光素子。
【請求項11】
前記第1の光抽出材料層は、マトリックス中に分散された複数の光散乱ナノ粒子を含む、
請求項3に記載の発光素子。
【請求項12】
前記複数の光散乱ナノ粒子は、TiO、ZrO、またはAlNナノ粒子を含み、
前記マトリックスはエポキシまたはUV硬化性ポリマーを含む、
請求項11に記載の発光素子。
【請求項13】
前記キャビティ壁の上に形成された反射材料と、前記反射材料の上に形成された透明材料と、をさらに含む、
請求項3に記載の発光素子。
【請求項14】
前記透明材料は、前記透明材料の表面に垂直な方向に対して臨界角より大きい角度で入射する光子の全内部反射を起こすように構成されている、
請求項13に記載の発光素子。
【請求項15】
前記透明材料は、反射光子に関連するエバネッセント場の透過深さよりも大きい厚さを有し、
前記反射材料は、前記キャビティ壁の上に形成された金属材料を含む、
請求項13に記載の発光素子。
【請求項16】
前記透明材料は、分布ブラッグ反射体を含む、
請求項13に記載の発光素子。
【請求項17】
発光素子であって、
キャビティ壁に境界を囲まれた光キャビティと、
前記光キャビティ内に配置され、青色または紫外線の入射光子を射出するように構成された発光ダイオードと、
前記発光ダイオードの上に配置され、前記発光ダイオードによって射出された入射光子を吸収し、前記入射光子のピーク波長よりも長いピーク波長を有する変換光子を生成するように構成された色変換材料と、
前記キャビティ壁の上に配置された反射材料と、
前記反射材料の上に配置された透明材料と、
を備える発光素子。
【請求項18】
前記透明材料は、前記透明材料の表面に垂直な方向に対して臨界角より大きい角度で入射する光子の全内部反射を起こすように構成される、
請求項17に記載の発光素子。
【請求項19】
前記透明材料は、反射光子に関連するエバネッセント場の透過深さよりも大きい厚さを有し、
前記反射材料は、前記キャビティ壁の上に形成された金属材料を含む、
請求項17に記載の発光素子。
【請求項20】
前記透明材料は、分布ブラッグ反射体を含む、
請求項17に記載の発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年11月12日に出願された、米国仮特許出願番号第63/278,571に対する優先権を主張するものであり、当該仮特許出願の全容を参照により本願に繰り入れるものとする。
本開示は、発光素子に関し、特に、色変換材料を用いて光キャビティ内に形成された発光ダイオード、および光抽出構造、ならびにそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子は、ノートパソコンやテレビの液晶ディスプレイのバックライトなど、電子ディスプレイに使用されている。発光素子には、発光ダイオード(LED)をはじめ、光を発するように構成されたさまざまな種類の電子デバイスが含まれる。
【0003】
発光ダイオード(LED)などの発光素子の場合、発光波長は、サイズに依存する量子閉じ込め効果とともに、LEDの活性領域のバンドギャップによって決定される。多くの場合、活性領域には1つ以上のバルク半導体層や量子井戸(QW)が含まれる。GaNベースの素子のようなIII-窒化物系LED素子の場合、活性領域(例えば、バルク半導体層またはQW井戸層)の材料は、InGa1-xNのような組成を有する三元系であってもよく、ここで0<x<1である。
【0004】
このようなIII族窒化物材料のバンドギャップは、活性領域に混入されるInの量に依存する。インジウムの混入量が多いほどバンドギャップが小さくなり、発光波長が長くなる。本明細書では、「波長」という用語はLEDのピーク発光波長を指す。半導体LEDの典型的な発光スペクトルは、ピーク波長を中心とした狭帯域の波長であることを理解されたい。
【発明の概要】
【0005】
発光素子の実施形態としては、青色放射または紫外線放射の入射光子を射出するべく構成された発光ダイオードと、発光ダイオード上に配置され、発光ダイオードによって射出された入射光子を吸収し、入射光子のピーク波長よりも長いピーク波長を有する変換光子を生成するべく構成された色変換材料と、発光ダイオードと色変換材料との間に配置された少なくとも1つの光抽出機構とが含まれる。
【0006】
発光素子の更なる実施形態としては、キャビティ壁によって境界を囲まれた光キャビティと、光キャビティ内に配置され、青色放射または紫外線放射の入射光子を射出するように構成された発光ダイオードと、発光ダイオードの上に配置され、発光ダイオードによって射出された入射光子を吸収し、入射光子のピーク波長よりも長いピーク波長を有する変換光子を生成するべく構成された色変換材料と、キャビティ壁の上に配置された反射材料と、金属材料の上に配置された透明材料とが含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A図1Aは、様々な実施形態による、発光素子アレイの構成に使用され得る中間構造の垂直断面図である。
図1B図1Bは、様々な実施形態による、発光素子アレイの構成に使用され得る更なる中間構造の垂直断面図である。
図1C図1Cは、様々な実施形態による、発光素子アレイの構成に使用され得る更なる中間構造の垂直断面図である。
図1D図1Dは、様々な実施形態による、発光素子アレイの垂直断面図である。
図1E図1Eは、様々な実施形態による、更なる発光素子アレイの垂直断面図である。
図2A図2Aは、様々な実施形態による、第1のパターニングされたマトリックスの上面透視図であって、前記第1のパターニングされたマトリックスはその中に形成された複数のビアを有する。
図2B図2Bは、様々な実施形態による、第2のパターニングされたマトリックスの上面透視図であって、前記第1のパターニングされたマトリックスはその中に形成された複数のビアを有する。
図3図3は、様々な実施形態による、ランバート放射パターンを放射するマイクロLEDの垂直断面図である。
図4図4は、比較実施形態による、比較の発光素子アレイの垂直断面図である。
図5図5は、様々な実施形態による、光抽出材料層を含む更なる発光素子アレイの垂直断面図である。
図6A図6Aは、様々な実施形態による、光抽出材料層および光抽出機構を含む更なる発光素子アレイの垂直断面図である。
図6B図6Bは、様々な実施形態による、光抽出材料層および光抽出機構を含む更なる発光素子アレイの垂直断面図である。
図6C図6Cは、様々な実施形態による、光抽出材料層および光抽出機構を含む更なる発光素子アレイの垂直断面図である。
図7A図7Aは、様々な実施形態による、各画素が複数のサブセルに分割された発光素子アレイの垂直断面図である。
図7B図7Bは、様々な実施形態による、各画素が複数のサブセルに分割された更なる発光素子アレイの垂直断面図である。
図7C図7Cは、様々な実施形態による、各画素が複数のサブセルに分割された発光素子アレイの上面図である。
図8図8および図10は、様々な実施形態による、キャビティ壁が反射材料を含むように構成され得る更なる発光素子アレイの垂直断面図である。
図9A図9Aは、様々な実施形態による、金属反射体を有する反射キャビティ壁に当たる光子の反射パターンの垂直断面図である。
図9B図9Bは、様々な実施形態による、金属反射体上に形成された透明材料を有する反射キャビティ壁に当たる光子の反射パターンの垂直断面図である。
図10図8および図10は、様々な実施形態による、キャビティ壁が反射材料を含むように構成され得る更なる発光素子アレイの垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
直視型ディスプレイのような表示装置は、画素の配列から形成され得る。各画素は、それぞれのピーク波長で発光するサブ画素の集合を含んでもよい。例えば、画素は、赤色サブ画素、緑色サブ画素及び青色サブ画素を含んでもよい。各サブ画素は、特定の波長の光を射出する1つ以上の発光ダイオードを含んでもよい。従来は、各画素内に赤、緑、青(RGB)のサブピクセルを有するという配置である。各画素は、色域内の任意の色の組み合わせが各画素に対してディスプレイに表示されるように、バックプレーン回路によって駆動される。ディスプレイパネルは、LEDサブ画素をバックプレーン上のボンドパッドにはんだ付けする、またはその他の方法で電気的に取り付けるプロセスによって形成することができる。ボンドパッドは、バックプレーン回路および他の駆動電子機器によって電気的に駆動されてもよい。
【0009】
様々な実施形態は、垂直キャビティ構造内の光量子的励起量子ドットを使用して、より短い波長の励起源から高効率の赤、緑、青、および/または他の色のピクセル化された光を生成するように構成された発光素子を提供する。実施例でのミクロスケールの発光ダイオード(マイクロLED)は、長さおよび幅が100ミクロン未満、例えば5~20ミクロンであり、ディスプレイ装置に使用することができる。この新技術により、ディスプレイ装置の各画素位置に個々のLEDを使用することで究極の黒レベルを得られる。さらに、各画素は単一色の光を生成するように構成することも可能である。個々のLEDが取り付けられるバックプレーンは、各LEDに独立して電圧または電流を印加するように構成される薄膜トランジスタ(TFT)構造、シリコンCMOS、または他のドライバ回路を備えた基板(プラスチック、ガラス、半導体など)を含んでもよい。例えば、バックプレーンには、ガラス基板やプラスチック基板上のTFTや、バルクシリコン基板上またはSOI(シリコン・オン・インシュレータ)基板上のバルクシリコントランジスタ(CMOS構成のトランジスタなど)が含まれてもよい。以下の実施形態ではマイクロLEDについて説明するが、マイクロLEDの代わりに、またはマイクロLEDに加えて、100ミクロンより大きいサイズ(例えば、幅および長さ)を有する他のタイプのLED(例えば、ナノワイヤまたは他のナノ構造LED)またはマクロLEDを使用可能であることに留意すべきである。
【0010】
いくつかの実施形態では、各マイクロLEDのサイズは、直視型ディスプレイ装置や他のディスプレイ装置などの特定のディスプレイ装置で使用されるピクセルのピッチよりも小さくてもよい。例えば、300ppiのディスプレイは、約85ミクロンのピッチのピクセルを有し得るが、そのようなディスプレイに対する典型的なマイクロLEDは幅が約20ミクロンであり得る。インジウムドープGaN材料を含むマイクロLED(すなわち、GaNのインジウムドープに依存する色を発光するLED)は、GaN結晶構造のインジウムドープに伴う困難さにより、LEDサイズ(例えば、10ミクロン未満のサイズ)が小さくなるにつれて、効率と均一性の劣化に見舞われる可能性がある。従って、活性領域でより高いインジウム含有量を利用する、ピーク波長がより長波長の発光III-窒化物マイクロLED(例えば、赤色LED)は、劣化したインジウムドープのために効率と均一性が不十分となることがある。
【0011】
本開示の実施形態のいくつかには、光量子的励起色変換材料とカップリングされた非ドープGaN活性領域(例えば、GaN発光活性層を有するマイクロLED)または低インジウム・ドープInGaN活性領域(例えば、低インジウム含有InGaN発光活性層を有するマイクロLED)を有するLEDを基にしたフォトニックエミッタが含まれてもよい。このようなLEDは、紫外(UV)放射または青色光スペクトル領域(例えば、370~460nm、例えば390~420nm、例えば400~410nm)にピーク発光波長を有する紫外(UV)放射または青色光放射マイクロLEDであってもよい。本明細書で使用されるように、青色光スペクトル領域には人間の観察者によって知覚される青色および紫色が含まれる。
【0012】
ある実施形態には、色変換材料には量子ドットが含まれてもよい。量子ドットは、GaN系のLEDによって生成された光子を吸収し、量子ドットの特性(例えば、量子ドットのサイズおよび材料組成)に応じて様々な色の光を生成するように構成され得る。このような構造により、小さなGaN構造のインジウムドープに伴う問題を回避することができる。あるいは、色変換材料には、無機蛍光体または有機色素が含まれてもよい。
【0013】
拡張現実(AR)ディスプレイ(例えば、スマートグラス)および他の用途に適切なサイズ領域(すなわち、10ミクロン未満のサイズ)では、様々な色を作り出すために、非ドープGaNまたは低インジウムドープGaN LED活性領域および光励起量子ドットの使用により、マイクロLEDのアレイ全体にわたってより良好な均一性を有するディスプレイ装置が提供され得る。このようなアレイはまた、インジウムドープが比較的高いGaN(例えば、青色LEDよりも多量のインジウムを含む赤色LED)を基にした着色LEDを有するシステムよりも高い効率を示す可能性がある。サイズ及び材料組成の高度な均一性で量子ドットが製造することができることから、効率及び均一性の向上を達成することが可能である。こうした均一な量子ドットは、それに対応し均一な(すなわち、スペクトル線幅が狭い)発光特性を有する。
【0014】
マイクロLEDによって射出された光の抽出は、画素ピッチおよびマイクロLEDサイズが小さくなるにつれて、ますます困難となる可能性がある。開示される実施形態では、吸収表面への光子の損失を回避することによって高効率を維持しつつ、量子ドットによって生成された光子(例えば、特定の方向に沿って)の光抽出が改善される。また、開示されるシステムでは、励起光子が素子から逃げるのを防止または低減し、それによって所定のマイクロLEDによって射出される色の純度を保証することができる。これは、光抽出材料層を含み、また以下でより詳細に説明するように、マイクロレンズ、分布ブラッグ反射体(DBR)、テクスチャー界面または波形界面などの他の光抽出構造を含む、反射性の光キャビティ壁を形成することによって達成が可能である。
【0015】
図1Aは、様々な実施形態による、発光素子アレイの形成に使用され得る中間構造100aの垂直断面図である。中間構造100aには、基板104上に形成された複数のマイクロLED102が含まれてもよい。上述したように、マイクロLEDs102には、UV放射または青色光スペクトル領域にピーク発光波長を有するマイクロLEDs(例えば、UVまたは青色発光マイクロLEDs、UVまたは青色LEDsとも呼ばれる)が含まれてもよい。このようなLEDには、紫外線(UV)光子および/または青色スペクトル領域の光子を射出するように構成された非ドープGaN活性領域が含まれてもよい。
【0016】
ある実施形態では、マイクロLED102は、LEDの上部に配置され、基板104に対し反対側を向いた少なくとも1つの電極103を有してもよい。電極103は、陽極電極または陰極電極から構成されてもよい。ある実施形態では、マイクロLED102は、第2の電極(明瞭化のため図示せず)が基板104とマイクロLED102の底面との間に位置する垂直LEDから構成されてもよい。別の実施形態では、マイクロLEDは、両方の電極がLEDの同じ側(例えば、LEDの上側または下側)に位置する横型LEDを含んでもよい。
【0017】
基板104は、電極(電極103を含む)を介してマイクロLED102に電圧および電流を供給し、それによってマイクロLED102により発光を制御するように構成された電気回路(例えば、TFT回路および/またはCMOS回路)を有するバックプレーンであってもよい。バックプレーンは、LED駆動用のアクティブマトリックスまたはパッシブマトリックスバックプレーン基板であってもよい。本明細書で使用する「バックプレーン基板」とは、複数の素子をその上に貼り付けるように構成された任意の基板を指す。ある実施形態では、バックプレーンには、シリコン、ガラス、プラスチック、および/または、少なくともそれに取り付けられた素子に構造的支持を与えることができる他の材料を含む基板が含まれてもよい。ある実施形態では、バックプレーン基板は、メタライゼーション線を含む金属相互接続構造(図示せず)が例えば十字格子状に存在し、各LED用の専用アクティブ素子(例えば、TFT)が存在しないパッシブバックプレーン基板であってもよい。別の実施形態では、バックプレーン基板はアクティブバックプレーン基板であってもよく、このアクティブバックプレーン基板には、導電ラインの十字格子としての金属相互接続構造を含み、さらに、導電ラインの十字格子の1つまたは複数の交差点に各LED用の専用アクティブ素子(例えば、CMOSトランジスタまたはTFT)が含まれ得る。
【0018】
図1Bは、様々な実施形態による、発光素子アレイの形成に使用され得る更なる中間構造100bの垂直断面図である。中間構造100bには、マイクロLED102の上に形成された複数の光キャビティ106が含まれてもよい。各光キャビティは、キャビティ壁108によって境界を囲まれてもよい。光キャビティ106は、比較的薄いキャビティ壁108を有する高アスペクト比のキャビティ(例えば、直径が1~2ミクロン等の5ミクロン以下、高さが20~30ミクロン等の10ミクロン以上)を形成するのに適した機械的特性を有する反射材料を用いて形成してもよい。キャビティ壁108は、1~2ミクロンを含む0.5~5ミクロンなど、10ミクロン未満の厚さを有してもよい。キャビティ壁108は、絶縁マトリックスを形成してもよい。
【0019】
マトリックス材料は、熱蒸発処理工程と溶媒系の流体堆積よび蒸発の両方に対応するように選択してもよい。このようなマトリックス材料の1つはアルミナであるが、シリカ、チタニア、または他の絶縁性金属酸化物材料を使用することもできる。マイクロ電気機械(MEMS)デバイスの製造に一般的に使用される様々な材料を使用して、電気絶縁材料(例えば、アルミナ)で作成されたキャビティ壁108で境界を囲まれた光キャビティ106を形成することができる。このような材料は比較的高い屈折率を有し、高いアスペクト比を有する構造を形成するのに適している。このようなマトリックス材料の層(図1Bには図示せず)は、基板104上に配置されたマイクロLED102アレイ上に成長または堆積させることができ、エッチングや他の微細加工アプローチなどの技術を使用して、前記材料に光キャビティ106を生成することができる。図2Aは、キャビティ壁108によって境界を囲まれた複数の円筒形光キャビティ106を有するマトリックス200aの上面透視図である。図2Bは、キャビティ壁108によって境界を囲まれた複数の六角形光キャビティ106を有するマトリックス200bの上面透視図である。
【0020】
ある実施形態では、マイクロLED102の陽極または陰極電極103に電圧を印加して、それによってエッチングバイアスの片側を形成することができる。例えば、マトリックス200aまたは200b(すなわち、キャビティ壁108)がアルミナを含む場合、陽極酸化によって多孔質アルミナが形成されてもよい。この実施形態では、アルミニウム金属層をマイクロLED102上に堆積させ、次いで電気化学的に陽極酸化して、陽極酸化アルミナキャビティ壁108によって境界を囲まれた光キャビティ(すなわち、細孔)106を有する多孔性陽極酸化アルミナマトリックスを形成することができる。アルミニウム層を含む基板104を酸電解質(例えば、シュウ酸、クロム酸、硫酸、および/または、リン酸)中に置き、マイクロLED102の電極103および/または外部電極に電圧を印加して、アルミナキャビティ壁108によって境界を囲まれた光キャビティ(すなわち、細孔)106を含む多孔性陽極アルミナマトリックスを形成してもよい。光キャビティ106は、陽極アルミナマトリックス中に六角形アレイ状に配置することができる。
【0021】
図1Cは、様々な実施形態による、発光素子アレイの形成に使用され得る更なる中間構造100cの垂直断面図である。中間構造100cには、マイクロLED102のアレイ上の光キャビティ106に形成された光抽出材料層110および色変換材料(112a、112b、112c、112d)が含まれてもよい。光抽出材料層110は、キャビティ壁108を形成する材料の屈折率よりも低い屈折率を有してもよい。例えば、光抽出材料層110は屈折率が1.7未満、例えばアルミナキャビティ壁108の場合は1.3~1.5の屈折率であってもよい。光抽出材料層110の屈折率が低いと、励起光子(すなわち、マイクロLED102によって生成された光子)がキャビティ壁108に吸収されたり、キャビティ壁108を透過したりするのではなく、キャビティ壁108から反射される可能性がある。このような反射により光子の損失が防がれ、素子の量子効率が高められる。
【0022】
光抽出材料層110として、様々なポリマー材を使用することができる。そのようなポリマーの1つとして、Jet-144(すなわち、インクジェット適合ポリマー)があり、これは1.44の屈折率を有し、インクジェットシステムを使用して光キャビティ106に堆積することができる。キャビティ壁108の厚さは、キャビティ壁108から反射しない光子が隣接するキャビティに侵入しないように吸収される(すなわち、消滅する)確率を高めるために、可能な限り厚くなるように構成されてもよい。
【0023】
光抽出材料層110は、インクジェット、真空、圧力、および/または、重力堆積を含む様々な技術を用いて堆積させることができる。堆積後、ポリマーは、例えば紫外線(UV)放射の露光によって架橋してもよい。他の実施形態では、ポリマーが溶解している溶媒を蒸発によって排出し、残留架橋ポリマーを残置し、各キャビティ内の光抽出材料層110としとすることも可能である。様々な実施形態において、光抽出材料層110は、様々な厚さで形成されてもよく、以下でより詳細に説明されるように、ZrO、TiOまたはSiOのナノまたはマイクロビーズ、テクスチャーまたは波形の界面などの光散乱材料を追加的に含んでもよいし含まなくてもよい。光抽出材料層110は、各キャビティの光抽出材料層110の上部に空のキャビティ空間が残るように、光キャビティ106を部分的に充填してもよい。
【0024】
次いで、色変換材料(112a、112b、112c、112d)は、光キャビティ106(例えば、図1B参照)内、光抽出材料層110(例えば、図1C参照)上に形成されてもよい。色変換材料(112a、112b、112c、112d)は、様々な異なる色に対応する量子ドットを含んでもよい。この例では、色変換材料(112a、112b、112c、112d)は、複数の第1の量子ドット112a、複数の第2の量子ドット112b、複数の第3の量子ドット112c、及び複数の第4の量子ドット112dを含んでもよく、これらはUV励起光子をそれぞれ第1、第2、第3、及び第4の色を有する光子に変換するように構成される。第2及び第3の色は、緑色スペクトル範囲内の異なるピーク波長から構成されてもよい。あるいは、3つの量子ドット色のみが使用されてもよい。
【0025】
量子ドットは、各々、例えばIII-V族半導体材料(例えば、米国特許9,884,763B1に記載されるリン化インジウム、この引例は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、II-VI族半導体材料(例えば、ZnSe、ZnS、ZnTe、CdS、CdSeなどのコアシェル量子ドット、米国特許出願公開2017/0250322A1に記載、この引例は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、および/または、I-III-VI族半導体材料(例えば、AgInGaS/AgGaSコアシェル量子ドット、米国特許10,927,294B2に記載、この引例は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)といった化合物半導体材料の2~8nmのナノ結晶など、1~10nmの直径を有するナノ結晶として形成されてもよい。量子ドットは、その直径によって異なる色の光(例えば、赤、緑、青)を発することができる。ドットは大きければ大きいほどより長い波長の光を射出し、ドットが小さければ小さいほどより短い波長の光を射出する。量子ドットは、光抽出材料層110の屈折率とは異なる(例えば、より高い)屈折率を有する材料(例えば、ポリイミドなどのポリマー)中に懸濁させてもよい。例として、ポリイミド材料の屈折率は1.6~1.75、例えば約1.7であってもよい。
【0026】
様々な色に対応する量子ドットは、それぞれのキャビティに選択的に堆積させることができる。例えば、第1のキャビティは、マトリックス材料に第1のビアをエッチングすることによって形成することができる。次に、第1の色に対応する第1の量子ドットを第1のキャビティに導入し、保護材料の層を第1の量子ドット上に形成することができる。次に、このプロセスを繰り返して、第2のキャビティ、第3のキャビティ等のように形成し、それぞれのキャビティに第2の量子ドット、第3の量子ドット等をそれぞれ導入してもよい。
【0027】
他の実施形態では、フォトレジストが、複数の第1のキャビティを除く全てのキャビティ上に堆積されてもよい。次いで、第1の色(例えば、赤色)を生成するように構成された量子ドットの第1の層が、第1の色を有するサブピクセルに対応する複数の第1のキャビティに堆積されてもよい。次いで、第1の量子ドットが懸濁されたポリマーが、蒸発またはUV光への露光によって架橋されてもよい。その後、他の光キャビティに対してこのプロセスを繰り返し、他の色の光(例えば、緑色および青色)を発生するように構成された量子ドットをそれぞれ蒸着させてもよい。
【0028】
あるいは、色変換材料(112a、112b、112c、112d)には、無機蛍光体または有機色素が含まれてもよい。任意の有機平坦化層が色変換材料上に形成されてもよい。色変換材料および任意の有機平坦化層が、光キャビティ106に部分的に充填されてもよい。
【0029】
図1Dは、様々な実施形態による、発光素子アレイ100dの垂直断面図である。図示されるように、アレイ100dは、光キャビティ106内及び/又は光キャビティ106上に形成された色セレクタ114を含んでもよい。色セレクタ114には、色フィルタアレイおよび/または分布ブラッグ反射体が含まれてもよい。ある実施形態では、色セレクタ114は、光キャビティ内に形成されてもよく、光キャビティ106が上記の材料で完全に充填されるようにキャビティ壁108の頂部まで達してもよい。
【0030】
色変換材料(112a、112b、112c、112d)は、励起光子118を吸収し、射出変換光子(例えば、赤、緑又は青などの可視光)120に変換するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、色変換材料(112a、112b、112c、112d)は、全ての励起光子118を変換光子120に完全に変換するのに十分な厚さ及び/又は密度を有さない場合がある。このように、色変換材料(112a、112b、112c、112d)上に形成された色セレクタ114は、色変換材料によって射出された変換光子120を吸収及び/又は反射することなく、色変換材料(112a、112b、112c、112d)によって変換されなかった励起光子118の全て又は一部を吸収及び/又は反射する。
【0031】
各マイクロLED102は、共通の波長もしくはターゲット波長の範囲内の励起光子118を射出するように構成されてもよい。例えば、GaN系のマイクロLED102は、約400~410nm、例えば約405nm(すなわち、電磁スペクトルの青色または近紫外部分)の波長を有する励起光子118を射出することができる。
マイクロLED102は高い均一性を示し、高い効率を示し得る。しかしながら、そのようなマイクロLED102の波長のわずかな変動は、容易に視認できない可能性がある。さらに、色変換材料(112a、112b、112c、112d)を介した励起光子118の漏れにより、変換光子120の色純度の劣化を最小限に抑えることができる。
【0032】
ある実施形態では、色セレクタ114には、有機ポリマーに埋め込まれた有機色素を含む色フィルタアレイが含まれる。色素は、励起光子118の紫外線を吸収するが、変換光子の青、緑、または赤色光を吸収しないように色素を構成してもよい。任意選択として、異なる色素を各着色サブピクセル(例えば、赤、緑、および青のサブピクセル)上に与えてもよい。例えば、主に赤色光を透過するように構成された第1の色素フィルタ材料を赤色サブピクセルに与え、主に緑色光を透過するように構成された第2の色素フィルタ材料を緑色サブピクセルに与え、主に青色光を透過するように構成された第3の色素フィルタ材料を青色サブピクセルに与えてもよい。色フィルタは、更なるフォトリソグラフィ工程を用いて形成することができる。様々な実施形態において、次に、薄膜封止(TFE)層または層スタックを色フィルタ材料上に適用して、色変換材料の量子ドット層への空気または湿気の侵入に対する保護を提供してもよい。ある実施形態では、TFEには、ポリマー層によって分離された2つの窒化ケイ素層の3層スタックが含まれてもよい。
【0033】
代替の実施形態として、色セレクタ114には、色変換材料(112a、112b、112c、112d)上に形成されたDBRが含まれてもよい。DBRは、色変換材料を透過した励起光子118を反射して、反射光子122(例えば、紫外または濃青色光子)として光キャビティ106に戻し、変換光子120を光キャビティ106から透過させるように構成してもよい。DBRは、異なる屈折率を有する材料(図示せず)の交互多層スタックとして形成することができる。例えば、DBRは、TiO(n=2.5)とSiO(n=1.5)とを交互に積層したN層のスタックとして形成することができ、ここでNは2以上である。他の実施形態では、それぞれの屈折率を有する他の様々な材料をDBRの作成に使用してもよい。
【0034】
DBRがTiOとSiOを含み、またN=2である実施形態では、中心波長405nmにおいて帯域幅が164nmであり最大反射率Rが84%であり得る。DBRスタックがより多くの層数(すなわち、N>2)を含む実施形態では、反射率が増加する可能性がある。そのため、UV励起光子118がDBRを通過する確率が低下し得る。DBRから反射されて光キャビティ106に戻るUV光子122は、色変換材料(112a、112b、112c、112d)を通って循環し、それによってまた、目的の波長(例えば、緑、青、または赤)を有する変換光子120に変換される確率が増加し得る。このようにして、色変換材料(112a、112b、112c、112d)によって最初に吸収されなかった任意のUV反射光子122は、最終的に吸収され、目的の発光波長を有する変換光子120に変換される可能性がある。「光子リサイクル」と呼ばれることもあるこのプロセスは、デバイスの量子効率を高める可能性がある。
【0035】
マイクロLED102が短波長の青色発光LEDを含む場合、DRB114は、マイクロLED102の短波長の青色光(すなわち、励起光子118)を遮断するが、色変換材料の青色量子ドットから射出される長波長の変換光子120は透過させることができる。あるいは、DBR114は、青色光を射出するサブピクセル上では省略することも可能である。
【0036】
DBRは、すべてのサブピクセル上への多層スタック(図示せず)の蒸着(例えば蒸発)によって形成することができる。このように、DBRにより、量子ドット層への水分および酸素の侵入に対してさらなる保護が可能となる。Nの値が高いほど、DBRの反射率および湿気や酸素からの保護がさらに向上し、システム全体の性能および耐久性が向上する。
【0037】
追加としての様々な実施形態では、素子の様々な構成要素に他の材料を使用してもよい。例えば、DBRには、例えば窒化物(TiN、AlN、TiNなど)、ポリシリコンなど、それぞれが各々の屈折率を有する広範囲の材料が含まれてもよい。いくつかの実施形態は、量子ドットの複数の層、複数のDBR構造などを含んでもよい。上述した光抽出材料層110は、いくつかの実施形態では省略してもよいし、複数の光抽出材料層110を用いてもよい。より効果的なDBR114を使用することにより、色変換材料(112a、112b、112c、112d)の層厚および密度を低減することができる。更なる実施形態では、光キャビティ106は様々な方法で形成することができる。例えば、光キャビティ106は、光キャビティ106が形成された後にマイクロLED102のアレイに取り付けられる別個のマトリックス層に形成されてもよい。更なる実施形態では、横方向への光子伝播に起因する性能劣化を緩和するために、光コリメート素子を含めることもできる。
【0038】
図1Eは、様々な実施形態による、更なる発光素子アレイ100eの垂直断面図である。そこに示されるように、発光素子アレイ100eは、光キャビティ106上に形成されたマイクロレンズ124を含む。各マイクロレンズ124は、各マイクロLED構造からの光抽出の改善に役立ち、それによってアレイ100eの効率を改善することが可能である。一般に、マイクロLEDによって射出される光の抽出は、画素ピッチおよびマイクロLEDサイズが小さくなるにつれて、ますます困難になる可能性がある。この点に関して、色変換材料(112a、112b、112c、112d)は、励起光子118の全てを各々が特定の色を有する変換光子120に変換するのに十分な厚さにするべく選択してもよい。色変換材料(112a、112b、112c、112d)の厚さは、サブピクセルの横方向の寸法に比べて非常に大きくてもよい。このような構造において、光子はマイクロLEDサブピクセルから弾道的ではなく拡散的に移動し得る。こうした拡散的に移動する光子は、隣接するサブピクセルに拡散し、光学的クロストークを引き起こす可能性がある。
【0039】
本開示の実施形態により、吸収表面への光子の損失を回避することによって高効率を維持しながら、量子ドットによって生成された光子(例えば、特定の方向に沿って)の光抽出が改善される。上述したように、これは、反射性のキャビティ壁108を含むマトリックス構造を形成すること、光抽出材料層110を含めること、および/またはDBRなどの色セレクタ114を含めることによって達成し得る。
【0040】
マイクロLEDディスプレイ用の色変換材料(112a、112b、112c、112d)としての量子ドットの使用には、非常に小さなフィーチャサイズでの高密度量子ドット層の堆積およびパターニングが含まれてもよい。量子ドット層における励起光子118(例えば、図1D及び図1E参照)が十分に吸収されるためには、アスペクト比が1:1を超えるサブピクセルが使用されてもよい。このようなサブピクセルはまた、ディスプレイにおける色のクロストーク(すなわち、あるマイクロLEDからの光子が隣接するサブピクセルに伝搬すること)を防止するために、不透明なマトリックス材料で形成されたキャビティ壁108によって分離されてもよい。
【0041】
様々な実施形態には、マトリックス200aまたは200b(例えば、図2Aおよび図2B参照)などのマトリックスが含まれ、これにより各サブピクセルからのより良好な光抽出が可能になり、フォトニック色クロストークが緩和される可能性がある。マトリックスをテンプレートとして使用し、異なる色のサブピクセルに対応するビアを順次開口することにより、高解像度の光パターン形成可能な樹脂組成に依存することなく、量子ドットインクの堆積および硬化が可能になる。他の実施形態では、他の技術を使用してLED構造を作製することができる。
【0042】
図3は、様々な実施形態による、基板104上に形成されたマイクロLED102の放射パターンを示す中間構造300の垂直断面図である。マイクロLED102は、ランバート放射パターンを射出するように構成されてもよい。これに関して、射出される放射の強度(すなわち、単位面積当たりの単位時間当たりの光子数)は、射出面に垂直な方向に対する射出角の余弦により変化する。図3の様々な矢印はそれぞれ、その長さが矢印の方向に射出される放射の強度に比例する。例えば、角度θで射出される放射は、I=I0cos(θ)によって与えられる強度を有し、ここでI0は表面に垂直に射出される強度である。円308は、マイクロLED102の上面から射出される放射の連続的な角度余弦依存性を示す。ここで示されるように、射出される強度は上面に垂直な方向で最大であり、表面に垂直な方向から離れるにつれて減少し、表面に平行な方向ではゼロである(すなわち、上面に平行な上面からの射出はゼロである)。
【0043】
図4は、比較実施形態による、比較の発光素子アレイ400の垂直断面図である。発光素子アレイ400には、キャビティ壁108によって境界を囲まれる複数のキャビティ内に形成される複数のLED102aが含まれてもよい。LED102aは、基板(例えば、バックプレーン)104にカップリングされてもよく、この基板はLED102を制御するべく構成された電気回路を含んでもよい。各キャビティには色変換材料112が含まれてもよい。
【0044】
発光素子アレイ400は、上述した(図1Cを参照)中間構造体100cと同様であってもよい。しかしながら、中間構造100cとは対照的に、発光素子アレイ400では光抽出材料層110が除外される。この比較実施形態では、LED102aと色変換材料との間の接触面積を拡大するために、LED102aは大きな上部発光面を有するように選択されてもよい。このような大きな接触面積により、射出された光子と色変換材料との間のカップリングが改善され得る。しかしながら、LED102aの面積が大きくなると、サブピクセルサイズが大きくなりデバイスコストが増加する。
【0045】
本開示の実施形態では、以下の図5図7Cの参照により詳細に説明するように、より小型のマイクロLED102を、光抽出材料層110および様々な光抽出機構と併せて使用することができる。より小型オンマイクロLED102により、各サブピクセルのサイズが小さくなりデバイスのコストが低減される。
【0046】
図5は、様々な実施形態による、光抽出材料層110を含む発光素子アレイ500の垂直断面図である。発光素子アレイ500は、キャビティ壁108によって境界を囲まれる複数のキャビティ内に形成される複数のマイクロLED102を含んでもよい。マイクロLED102は、基板(例えば、バックプレーン)104にカップリングされてもよく、この基板はマイクロLED102を制御するように構成された電気回路を含んでもよい。各キャビティには、色変換材料112および光抽出材料層110が含まれてもよい。キャビティ壁108には、キャビティ壁108の反射特性を向上させる角度のついた表面402が含まれてもよい。角度の付いた表面402には、反射性の表面(例えば、アルミニウム表面などの金属表面)が含まれてもよい。
【0047】
光抽出材料層110には、マイクロLEDによって射出される光子のための導波路として作用し得る高屈折率材料を選択してもよい。光抽出材料層の導波効果は、射出光子の角度分布を広げ、それによって光子の分布をより均一にするように作用し得る。上述したように、均一な分布の射出光子は、光抽出材料層110が存在しない場合に比べ、色変換材料112へより効果的にカップリングされ得る。
【0048】
光抽出材料層110には、マイクロLED102の屈折率に近い屈折率を有するように選択してもよい。様々な実施形態において、マイクロLEDは、約2.4~2.5の範囲の屈折率を有するGaNを含んでもよい。このように、光抽出材料層110は、マイクロLEDから射出された光子が光抽出材料層110の導波路モードにカップリングされるように、同様の屈折率(または約1.5から約2.5などのより広い範囲)を有するように選択されてもよい。さらに、光抽出材料層110のために選択された材料は、透明でかつ小さな消散係数を有するように(すなわち、光子の吸収を避けるように)選択されてもよい。様々な実施形態において、様々な透明ポリマー樹脂を光抽出材料層110に使用することが可能である。
【0049】
追加として様々な実施形態において、光抽出材料層110は光抽出および散乱機構を有する高屈折率マトリックスを有する複合材料であってもよい。例えば、マトリックスはエポキシまたはUV硬化性ポリマーを含んでもよく、光抽出および散乱機構にはマトリックス全体に分散された複数の散乱粒子が含まれてもよい。散乱粒子にはTiO、ZrO、またはAlNなどの高屈折率を有する材料が含まれてもよく、その粒子はナノ粒子(例えば、1nm~1ミクロンの直径を有する)として形成されてもよい。他の実施形態には、他の材料および他のサイズの粒子が含まれる。ナノ粒子と相互作用する光子は複数の散乱を経る可能性があり、これにより光子の空間分布がランダムとなり得る。上述したように、より均一な光子分布は、色変換材料112による光子のより効率的な変換につながる可能性がある。光抽出材料層110を形成するため、高屈折率ナノ粒子と組み合わせたマトリックスに対し、様々な透明ポリマーバインダーまたは樹脂を選択することができる。
【0050】
しかしながら、光抽出材料層110と色変換材料112との間の屈折率の差は、光抽出材料層110と色変換材料112との間のカップリングを低下させる可能性がある。この点に関して、光抽出材料層110と色変換材料112との間の屈折率の差に起因して生じる全内部反射により、光子の一部が光抽出材料層110に捕捉される可能性がある。光抽出材料層110と色変換材料112との間の界面に臨界角(屈折率の差に依存する)より大きい角度で入射した光子は、内部反射され、その結果、光抽出材料層110内に捕捉される可能性がある。この問題に対処するために、更なる実施形態において、以下の図6Aから7Cの参照により詳細に説明するように、光抽出材料層110と色変換材料112との間のカップリングを改善するために、様々な光抽出機能を含めることができる。
【0051】
図6Aは、様々な実施形態による、光抽出材料層110および光抽出機構602を含む更なる発光素子アレイ600aの垂直断面図である。発光素子アレイ600は、キャビティ壁108によって境界を囲まれる複数のキャビティ内に形成される複数のマイクロLED102を含んでもよい。マイクロLED102は、基板104にカップリングされてもよく、この基板104はマイクロLED102を制御するように構成された電気回路を含んでもよい。各キャビティには、色変換材料112および光抽出材料層110が含まれてもよい。キャビティ壁108には、キャビティ壁108の反射特性を向上させる角度のついた表面402が含まれてもよい。上述のように、光抽出材料層110には、マイクロLEDによって射出される光子のための導波路として作用し得る高屈折率材料が選択されてもよい。
【0052】
光抽出機構602は、色変換材料112の堆積前に光抽出材料層110の上面を粗面化することによって形成することができる。このように、光抽出材料層110と色変換材料112との間の界面は、界面において山と谷とを含む機構602を含むように粗面化される。光抽出機構602に入射した光子は、光抽出材料層110から色変換材料112に透過しやすくなる可能性がある。この点に関して、光抽出機構602は、光抽出材料層110と色変換材料112との間の界面に対して垂直な方向に対してある範囲の角度を有する複数の表面を呈するので、全内部反射の基準(すなわち、界面に垂直な方向に対して臨界角より大きい角度で入射する光子)が満たされにくくなる可能性がある。このように、光抽出機構602の存在により、光抽出材料層110から色変換材料112への光子の透過が増加し得る。このようにして、光抽出効率を高めることができる。
【0053】
図6Bおよび図6Cは、様々な実施形態による、各々が光抽出材料層110および光抽出機構(604、606)を含む更なる発光素子アレイ(600b、600c)の垂直断面図である。発光素子アレイ(600b、600c)はそれぞれ、キャビティ壁108によって境界を囲まれる複数のキャビティ内に形成される複数のマイクロLED102を含んでもよい。マイクロLED102は、基板104にカップリングされてもよく、この基板104はマイクロLED102を制御するように構成された電気回路を含んでもよい。各キャビティには、色変換材料112および光抽出材料層110が含まれてもよい。キャビティ壁108には、キャビティ壁108の反射特性を向上させる角度のついた表面402が含まれてもよい。上述のように、光抽出材料層110には、マイクロLEDによって射出される光子のための導波路として作用し得る高屈折率材料が選択されてもよい。
【0054】
アレイ(600b、600c)の光抽出機構(604、606)には、光抽出材料層110上に形成された波形構造が含まれてもよい。例えば、光抽出機構(604、606)はそれぞれナノスケールのフォトニック結晶を形成してもよい。アレイ600bの光抽出機構604は、光抽出材料層110の表面をパターニングしてナノスケールのフィーチャの周期的アレイを形成することによって形成することができる。アレイ600bの光抽出機構604を生成するために、ナノインプリントリソグラフィなどの様々なパターニング技術を使用してもよい。光抽出機構604には、光抽出材料層110の上面にエッチングまたはスタンプされた狭間胸壁形状の突起および凹部の周期的(すなわち、規則的)なアレイが含まれてもよい。
【0055】
アレイ600cの光抽出機構606の形成には、光抽出材料層110上に第2の材料を堆積させ、第2の材料をパターニングして光抽出機構606を形成することによってなされ得る。第2の材料は、光抽出材料層110の屈折率とは異なる屈折率を有するように選択してもよい。例えば、第2の材料は、光抽出材料層110と色変換材料112との中間の屈折率を有するように選択されてもよい。これにより、光抽出特徴部606の存在によって、光抽出材料層110と色変換材料112との間の屈折率の不連続性を低減するように作用することが可能となる。アレイ600cの光抽出機構606を生成するために、ナノインプリントリソグラフィなどの様々なパターニング技術を使用してもよい。光抽出機構606には、光抽出材料層110の上面上に形成された狭間胸壁形状の突出部および凹部の周期的(すなわち、規則的)なアレイが含まれてもよい。
【0056】
光抽出機構(604、606)の空間的変動によって引き起こされる屈折率の周期的変動は、光抽出材料層110内の光学モードと色変換材料112内の光学モードとのカップリングを変化させ得る。このようにして、光抽出機構(604、606)の存在により、光抽出材料層110から色変換材料112への光子の透過が増加し、それによって光抽出効率が増加する可能性がある。
【0057】
以下の図7A図7Cの参照により詳細に説明するように、追加としての実施形態では、光抽出機構を形成する際に様々な追加的な幾何学的形状を使用してもよい。様々な実施形態による、各サブピクセルが複数のサブセルに分割された発光素子アレイの形態を図7A図7Cに示す。これに関して、図7Aは第1発光素子アレイ700aの垂直断面図であり、図7Bは第2発光素子アレイ700bの垂直断面図であり、図7Cは第3発光素子アレイ700cの上面図である。各アレイ(700a、700b、700c)において、複数の仕切り構造608が光抽出材料層110上に形成されてもよい。しかし、光抽出材料層110を貫通して延在し、表示装置の各サブピクセルの境界を形成し得るキャビティ壁108とは異なり、仕切り構造608は各サブピクセルにおいて光抽出材料層110の上面上に配置され、キャビティ壁108によって境界を囲まれてもよい。サブピクセルは、発光素子の単一色(例えば、赤、緑または青色)発光領域を含んでもよく、一方、ピクセルは複数のサブピクセル(例えば、赤色サブピクセル、緑色サブピクセルおよび青色サブピクセルのような3つまたは4つのピクセル)を含んでもよい。仕切り構造608には、金属(例えば、アルミニウム)、金属酸化物(例えば、酸化アルミニウム)またはポリマー材料が含まれてもよい。
【0058】
図示されるように、第1のアレイ700aにおいて、仕切り構造608は、高さが周囲の色変換材料112の高さとほぼ等しくてもよく、一方、第2のアレイ700bにおいて、仕切り構造608は、色変換材料112よりも高さが小さくてもよい。図7Cに示すように、仕切り構造608は、第1の方向(例えば、図7Cにおいて左から右に示される)に沿って延びる第1の複数の平行構造と、第2の方向(例えば、図7Cにおいて上から下に示される)に沿って延びる第2の複数の平行構造とを有する周期的な格子として形成されてもよい。したがって、各サブピクセルは、例えば9~12個の領域といった、4つ以上の領域(例えば、サブセル)に分割されてもよい。
【0059】
仕切り構造608は、光抽出材料層110および色変換材料112の屈折率とは異なる屈折率を有するように選択されてもよい。例えば、仕切り構造608は、光抽出材料層110の屈折率よりも小さく、色変換材料112の屈折率よりも大きい屈折率を有するように選択されてもよい。このようにして、仕切り構造608は、光抽出材料層110からの光子を色変換材料112へカップリングさせる導波路として機能することができる。
【0060】
こうして、それぞれの仕切り構造608により、色変換材料112が複数の別個の領域に分割される。本実施形態では、仕切り構造608はテーパ状を有し、したがって、色変換材料112を複数のテーパ状の領域に分割し、これらの領域はそれぞれ、長細いテーパ状光源として機能し得る。このような長細いテーパ状の光源は、太くて短い光源と比較してカップリング効率が向上する可能性がある。この現象は、上述したように、各パーティション構造608(すなわち、色変換材料112)を取り囲む材料の屈折率をパーティション構造608の屈折率よりも低く選択することによって強化され得る。
【0061】
様々な実施形態において、マイクロLED102は有機発光ダイオード(OLED)含んでもよい。そのようなOLEDは活性層が非常に薄い場合があり、そのため各OLEDは本質的に二次元構造(すなわち、図7Aおよび図7Bの基板104の上面に平行な面内)として作用し得る。このようなOLEDの効率は、発光領域の大きさ(例えば、図3における上面発光面の大きさ)に依存せず、ほぼ一定となり得る。しかし、マイクロLED102と色変換材料112が組み合わされたディスプレイシステムでは、光抽出効率は素子の厚さに起因する光源の形状に依存する可能性がある。様々な実施形態において、各マイクロLED102の厚さは、およそ数ミクロン(例えば、20ミクロン未満)であってもよく、光抽出効率は、発光角度(例えば、図3参照)、仕切り構造608に使用される材料の種類、および仕切り構造608を取り囲む材料(例えば、色変換材料112)の屈折率に応じて変化し得る。
【0062】
上述したように、長細いテーパ状光源(例えば、仕切り構造608によって分離された色変換材料112のテーパ状領域)の光抽出効率は、太くて短い光源(例えば、仕切り構造608のない色変換材料112)よりも大きくなり得る。図7A図7Cに示すように、例えば細いテーパ状の色変換材料112を有する光源は、各画素を複数のサブセルに分割することによって形成されてもよい。図7Cに示すように、1つのサブピクセルを12個のサブセルに分割してもよい。他の実施形態では、様々なサブピクセルのサブセルへの分割が含まれてもよい。さらに、他の実施形態において、各サブセルは円、正方形、多角形、または他の不規則な形状といった、様々な断面形状を有する構造によって境界を囲まれてもよい。他の実施形態では、多くの異なる形状(例えば、円、正方形、多角形、または他の不規則な形状)を有するサブセルが含まれてもよい。
【0063】
所定のサブピクセルサイズで複数のサブセルを作成することにより、複数の細長い光源が作成される。光抽出効率は、形状だけでなく、各仕切り構造608の側壁を囲む封止材料の屈折率にも依存する場合がある。したがって、上述したように、色変換材料112を仕切り構造608および光抽出材料層110よりも低い屈折率を有するように構成することによって、光抽出効率を高めることができる。
【0064】
図8は、様々な実施形態による、キャビティ壁108が反射材料を含むように構成される更なる発光素子アレイ800の垂直断面図である。発光素子アレイ800は、キャビティ壁108によって境界を囲まれる複数のキャビティ内に形成される複数のマイクロLED102を含んでもよい。マイクロLED102は、基板104にカップリングされてもよく、この基板104はマイクロLED102を制御するように構成された電気回路を含んでもよい。各キャビティには色変換材料112が含まれてもよい。
【0065】
上述した他の実施形態と同様に、キャビティ壁108には、キャビティ壁108の反射特性を改善し得る角度のついた表面402が含まれてもよい。さらに、キャビティ壁108には反射材料が含まれてもよい。例えば、キャビティ壁108は、いくつかの実施形態では、金属材料802によって覆われてもよい。更なる実施形態では、図8に示すように、金属材料802の上に透明材料804を形成してもよい。反射材料は、光子を色変換材料112に反射させることによって光抽出効率を高めることができる。
【0066】
図9Aは、表面に金属材料(すなわち、金属反射体)802を有する反射キャビティ壁108に当たった光子の反射パターンの垂直断面図である。図9Bは、様々な実施形態による、図8の領域9Bにおいて金属材料(すなわち、金属反射体)802の上に形成された透明材料804を有する反射キャビティ壁108に当たった光子の反射パターンの垂直断面図である。色変換材料112には、複数の離散的色変換体902(例えば、量子ドット)が含まれてもよい。複数の離散的色変換体902の各々は、全方向に変換光子を放射することができる。放射された光子の一部904は、金属材料802に当たって色変換材料112に反射され得る。他の光子906は、光子906が金属材料802に当たらず、それゆえに反射せずに色変換材料112から出るような角度で、離散的色変換体902によって射出されてもよい。
【0067】
金属反射体(例えば、金属材料802)は、照明用途や光学部品に使用することができる。金属材料802は一般に反射率がかなり高く、アルミニウム反射体の反射率は85%を超え、銀の反射体の反射率は90%を超える。しかしながら、比較的高い屈折率を有する材料(例えば、色変換材料112)内を伝搬する光子は、容易に抽出されない場合があり、その材料を出る前に複数の反射を経ることがある。金属材料802は完全には反射しないため、反射のたびに光子が吸収され得る。こうして、反射の都度反射率が指数関数的に低下する。そのため、図9Aに示すように、キャビティ壁108を覆う金属材料802の実効反射率は、空気中の金属材料802の反射率よりも著しく低くなる可能性がある。図9Bの参照により詳細に説明するように、入射光子の一部が実質的に損失がない全内部反射を起こすように透明材料(例えば、DBRなど)で金属材料802を覆うことによって、反射率を増加させることが可能である。
【0068】
図8および図9Bに示すように、金属材料802は透明材料804で被覆されていてもよい。透明材料804は、低屈折率材料、全内部反射体(TIR)、全方向性反射体(ODR)、またはDBRであるように選択されてもよい。キャビティ壁108に垂直な方向に対して小さな角度で入射する光子908は、金属材料802によって反射され得る。より大きな角度で入射する他の光子910は、金属材料802と相互作用することなく、透明材料804によって反射され得る。この点において、臨界角以上の角度で入射する光子910は、透明材料804からの全内部反射を経る可能性がある。したがって、これらの光子910は、透明材料804がない場合に受けるであろう指数関数的な減衰を起こさない。このようにして、金属材料802からの反射による減衰を受ける反射光子の割合を減少させることができる。そのため、空洞壁108の全体的な反射率が増加し得る。
【0069】
内部全反射の効率は100%に近くなるように構成することができる。このように、光子が複数の内部全反射を経たとしても、光子の損失(すなわち、減衰)は無視できるほど小さくなる。光子に関連する電界の境界条件は、電界が透明材料804内のある深さまで浸透することを規定する。透明材料804内では、電界は、透明材料804の表面からの距離とともに指数関数的に減少する振幅を有するエバネッセント波である。金属材料802による吸収を防止するために、透明材料804は厚さが貫通深さよりも大きくなるように選択してもよい。例えば、ある実施形態では、光子の吸収を避けるために、透明材料804は約1ミクロン以上、例えば1~10ミクロンの厚さとなるように選択してもよい。
【0070】
上述したように、透明材料804はDBRとして形成してもよい。この点において、DBRは交互の屈折率を有する複数の層として形成してもよい。交互層の屈折率を適切に選択することで、DBRは高い反射率を有するように構成することができ、金属材料802上に配置した場合、単一の金属層のみよりも著しく高い反射率を有する反射構造を形成することができる。例として実施形態では、DBRにはTiOとSiOの交互層が含まれてもよい。さらに、交互層の数および個々の層の厚さは、マイクロLED102の中心波長に対応する波長で高い反射率を達成するように最適化することができる。このようにして、DBRは、マイクロLED102によって射出される紫外線および/または青色光を反射するように構成することができる。このように、DBRにより、反射された光子が色変換材料112によってより長波長の光子に変換される確率を高めることができる。透明材料804を構成するために、様々な屈折率を有する誘電体材料、ポリマー、樹脂などを含む様々な材料を使用することができる。
【0071】
図8に示す実施形態では、光抽出材料層110は省略されてもよい。図10に示す別の実施形態では、光抽出材料層110は上述の透明材料804と組み合わせて使用される。図10は、キャビティ壁108上の金属材料802上に配置される光抽出材料層110および透明材料804の両方を含む更なる発光素子アレイ1000の垂直断面図である。
【0072】
本開示の実施形態の前述の説明は、当業者が開示された実施形態を製造または使用できるようにするために提供される。これらの実施形態への様々な修正は、当業者には容易に明らかであり、本明細書で定義される一般的な原理は、本開示の精神または範囲から逸脱することなく、他の実施形態に適用することが可能である。したがって、本開示は、本明細書に示される実施形態に限定されることを意図するものではなく、以下の請求の範囲、および本明細書に開示される原理および新規な特徴と一致する最も広い範囲が与えられるものである。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8
図9A
図9B
図10
【国際調査報告】