IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ケーエムダブリュ・インコーポレーテッドの特許一覧

特表2024-542448アンテナ用RFモジュールおよびこれを含むアンテナ装置
<>
  • 特表-アンテナ用RFモジュールおよびこれを含むアンテナ装置 図1
  • 特表-アンテナ用RFモジュールおよびこれを含むアンテナ装置 図2
  • 特表-アンテナ用RFモジュールおよびこれを含むアンテナ装置 図3
  • 特表-アンテナ用RFモジュールおよびこれを含むアンテナ装置 図4
  • 特表-アンテナ用RFモジュールおよびこれを含むアンテナ装置 図5
  • 特表-アンテナ用RFモジュールおよびこれを含むアンテナ装置 図6a
  • 特表-アンテナ用RFモジュールおよびこれを含むアンテナ装置 図6b
  • 特表-アンテナ用RFモジュールおよびこれを含むアンテナ装置 図7a
  • 特表-アンテナ用RFモジュールおよびこれを含むアンテナ装置 図7b
  • 特表-アンテナ用RFモジュールおよびこれを含むアンテナ装置 図7c
  • 特表-アンテナ用RFモジュールおよびこれを含むアンテナ装置 図7d
  • 特表-アンテナ用RFモジュールおよびこれを含むアンテナ装置 図8a
  • 特表-アンテナ用RFモジュールおよびこれを含むアンテナ装置 図8b
  • 特表-アンテナ用RFモジュールおよびこれを含むアンテナ装置 図9
  • 特表-アンテナ用RFモジュールおよびこれを含むアンテナ装置 図10
  • 特表-アンテナ用RFモジュールおよびこれを含むアンテナ装置 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】アンテナ用RFモジュールおよびこれを含むアンテナ装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/24 20060101AFI20241108BHJP
   H01Q 23/00 20060101ALI20241108BHJP
   H01Q 21/06 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
H01Q1/24 Z
H01Q23/00
H01Q21/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024528596
(86)(22)【出願日】2022-11-23
(85)【翻訳文提出日】2024-05-14
(86)【国際出願番号】 KR2022018552
(87)【国際公開番号】W WO2023096319
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】10-2021-0164765
(32)【優先日】2021-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0156986
(32)【優先日】2022-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508112782
【氏名又は名称】ケーエムダブリュ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドゥク ヨン キム
(72)【発明者】
【氏名】スン ホヮン ソ
(72)【発明者】
【氏名】ジェ ホン キム
(72)【発明者】
【氏名】ボ スン キム
(72)【発明者】
【氏名】スン ホ ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ユン ホ リ
(72)【発明者】
【氏名】ジ フン リ
(72)【発明者】
【氏名】ヨン フン クォン
(72)【発明者】
【氏名】ヨン ウォン セオ
(72)【発明者】
【氏名】ジン シク パク
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン ソク ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ベ モーク ジョン
(72)【発明者】
【氏名】キョ スン ジ
(72)【発明者】
【氏名】チ バク リュ
【テーマコード(参考)】
5J021
5J047
【Fターム(参考)】
5J021AA05
5J021AA09
5J021AA11
5J021AB03
5J021AB06
5J021BA01
5J021FA13
5J021FA23
5J021FA26
5J021HA05
5J021JA05
5J021JA06
5J021JA08
5J021JA09
5J047AA13
5J047AB03
5J047AB07
5J047AB13
5J047FD00
(57)【要約】
【課題】全体的なPIM問題を改善できるアンテナ用RFモジュールを提供する。
【解決手段】アンテナ用RFモジュールは、メインボードの前面に配列された単位RFフィルタボディと、前記単位RFフィルタボディの前面に配置される放射素子部と、前記単位RFフィルタボディの前面を形成すると同時に、前記単位RFフィルタボディの垂直断面の面積よりも広いように形成され、前記放射素子部を接地(GND)するリフレクタパネルとを含む。前記単位RFフィルタボディの左右には、それぞれ左右外側に開口した複数のキャビティが形成され、前記それぞれのキャビティに共振器が内蔵されて異なる周波数フィルタリングを行う左側フィルタ部および右側フィルタ部が備えられる。前記左側フィルタ部および右側フィルタ部は、前記リフレクタパネルを貫通して前記放射素子部と電気的に連結される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メインボードの前面に配列された単位RFフィルタボディと、
前記単位RFフィルタボディの前面に配置される放射素子部と、
前記単位RFフィルタボディの前面を形成すると同時に、前記単位RFフィルタボディの垂直断面の面積よりも広いように形成され、前記放射素子部を接地(GND)するリフレクタパネルと、を含み、
前記単位RFフィルタボディの左右には、それぞれ左右外側に開口した複数のキャビティが形成され、前記それぞれのキャビティに共振器が内蔵されて異なる周波数フィルタリングを行う左側フィルタ部および右側フィルタ部が備えられ、
前記左側フィルタ部および右側フィルタ部は、前記リフレクタパネルを貫通して前記放射素子部と電気的に連結された、アンテナ用RFモジュール。
【請求項2】
前記リフレクタパネルには、前記左側フィルタ部および右側フィルタ部と前記放射素子部の送信信号および受信信号の伝達を媒介する第3コネクティングピン端子が貫設される一対のピン端子設置ホールが形成された、請求項1に記載のアンテナ用RFモジュール。
【請求項3】
前記放射素子部は、多重偏波の少なくとも一偏波を発生させるように備えられた、請求項1に記載のアンテナ用RFモジュール。
【請求項4】
前記放射素子部は、
前記リフレクタパネルの前面に配置されたベースパネルと、
前記ベースパネルに付着し、前記左側フィルタ部および前記右側フィルタ部と電気的に連結される給電フィードベースと、
前記給電フィードベースの前端部に備えられた放射用ディレクタパネルと、を含む、請求項2に記載のアンテナ用RFモジュール。
【請求項5】
前記第3コネクティングピン端子は、前記ベースパネルにハンダ固定される、請求項4に記載のアンテナ用RFモジュール。
【請求項6】
前記単位RFフィルタボディの前後の厚さ部である上面および下面のいずれか1つに備えられ、少なくとも1つのアナログ増幅素子が実装されたLNA基板部を含む増幅素子部、をさらに含む、請求項1に記載のアンテナ用RFモジュール。
【請求項7】
前記増幅素子部は、前記単位RFフィルタボディの前後の厚さ部を形成する上面または下面に設けられた基板設置空間上に前記LNA基板部が配置され、
前記LNA基板部は、前記単位RFフィルタボディの左右に形成された前記左側フィルタ部および前記右側フィルタ部の各キャビティと電気的に連結される、請求項6に記載のアンテナ用RFモジュール。
【請求項8】
前記LNA基板部には、前記メインボードに対するソケットピン結合方式で結合されるための雄ソケット部が形成され、
前記基板設置空間には、前記LNA基板部の雄ソケット部が貫通する貫通スリットが形成された、請求項7に記載のアンテナ用RFモジュール。
【請求項9】
前記LNA基板部には、前記放射素子部から前記左側フィルタ部または前記右側フィルタ部を経て受信された受信信号を増幅させる少なくとも1つのLNA素子が実装され、
前記メインボードには、前記LNA素子が除かれた少なくとも1つのPA素子が実装され、
前記少なくとも1つのPA素子から発生した熱は、前記メインボードが積層されたアンテナハウジングの後方に放熱される、請求項6に記載のアンテナ用RFモジュール。
【請求項10】
前記単位RFフィルタボディには、前記基板設置空間と前記左側フィルタ部のキャビティおよび前記右側フィルタ部のキャビティを貫通するピン設置ホールが形成され、
前記LNA基板部と前記左側フィルタ部および前記右側フィルタ部は、それぞれ前記ピン設置ホールに設けられる少なくとも1つの第2コネクティングピン端子によって電気的に連結され、
前記第2コネクティングピン端子は、前記LNA基板部にハンダ固定される、請求項7に記載のアンテナ用RFモジュール。
【請求項11】
前記単位RFフィルタボディには、前記左側フィルタ部および前記右側フィルタ部を介して送信信号を伝達するための少なくとも1つの入出力ポートがそれぞれ備えられ、
前記少なくとも1つの入出力ポートは、少なくとも1つの第1コネクティングピン端子を介在して前記メインボードと前記左側フィルタ部および前記右側フィルタ部とが電気的に連結される、請求項1に記載のアンテナ用RFモジュール。
【請求項12】
前記少なくとも1つの第1コネクティングピン端子は、前記メインボードの前面にハンダ固定される、請求項11に記載のアンテナ用RFモジュール。
【請求項13】
前面が開口した函体形状に形成されたアンテナハウジング部と、
前記アンテナハウジング部の内面に密着するように積層配置されたメインボードと、
前記メインボードの前面に配列された複数のアンテナ用RFモジュールと、を含み、
前記複数のアンテナ用RFモジュールは、
前記メインボードの前面に配列された単位RFフィルタボディと、
前記単位RFフィルタボディの前面に配置される放射素子部と、
前記単位RFフィルタボディの前面を形成すると同時に、前記単位RFフィルタボディの垂直断面の面積よりも広いように形成され、前記放射素子部を接地(GND)するリフレクタパネルと、を含み、
前記単位RFフィルタボディの左右には、それぞれ左右外側に開口した複数のキャビティが形成され、前記それぞれのキャビティに共振器が内蔵されて異なる周波数フィルタリングを行う左側フィルタ部および右側フィルタ部が備えられ、
前記左側フィルタ部および右側フィルタ部は、前記リフレクタパネルを貫通して前記放射素子部と電気的に連結された、アンテナ装置。
【請求項14】
前記複数のアンテナ用RFモジュールは、
前記単位RFフィルタボディの前後の厚さ部である上面および下面のいずれか1つに備えられ、少なくとも1つのアナログ増幅素子が実装されたLNA基板部を含む増幅素子部、をさらに含む、請求項13に記載のアンテナ装置。
【請求項15】
前記放射素子部は、前記リフレクタパネルの前面に配置されたベースパネル、を含み、
前記左側フィルタ部および右側フィルタ部は、少なくとも1つの第1コネクティングピン端子を介在して前記メインボードと電気的に連結されるように前記メインボードにハンダ固定され、
前記左側フィルタ部および右側フィルタ部は、少なくとも1つの第2コネクティングピン端子を介在して前記LNA基板部と電気的に連結されるように前記LNA基板部にハンダ固定され、
前記左側フィルタ部および右側フィルタ部は、少なくとも1つの第3コネクティングピン端子を介在して前記ベースパネルと電気的に連結されるように前記ベースパネルにハンダ固定される、請求項14に記載のアンテナ装置。
【請求項16】
左右両端部が前記アンテナハウジング部の左右側壁に固定され、前記単位RFフィルタボディをそれぞれ固定させる固定部材、をさらに含み、
前記固定部材は、非導電性材質からなる、請求項13に記載のアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ用RFモジュールおよびこれを含むアンテナ装置(RF MODULE AND ANTENNA APPARATUS INCLUDING THE SAME)に関し、より詳しくは、放射素子モジュールおよびRF素子をメインボードから完全分離し、前方外気に露出するように配置するとともに、従来放射素子が備えられた前方側への放熱設計の難しさを解消できるアンテナ用RFモジュール、RFモジュール組立体およびこれを含むアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
移動通信システムに用いられる中継器を含めた基地局アンテナは多様な形態と構造を有し、通常、長手方向に直立する少なくとも1つの反射板上に複数の放射素子が適切に配置される構造を有する。
【0003】
最近は、多重入出力(MIMO)ベースのアンテナに対する高性能要求を満足すると同時に、小型化、軽量化および低費用構造を達成しようとする研究が活発に行われている。特に、線形偏波または円形偏波を実現するためのパッチタイプの放射素子が適用されたアンテナ装置の場合、通常、プラスチックやセラミック素材の誘電体基板からなる放射素子にメッキをし、PCB(印刷回路基板)などにハンダ付けにより結合する方式が広く使用されている。
【0004】
図1は、従来技術によるアンテナ装置の一例を示す分解斜視図である。
【0005】
従来技術によるアンテナ装置1は、図1に示されるように、複数の放射素子35が所望の方向に出力されてビームフォーミングが容易となるように、ビーム出力方向であるアンテナハウジング本体10の前面側に配列され、外部環境からの保護のために、レドーム(radome)50がアンテナハウジング本体10の前端部に複数の放射素子35を挟んで装着される。
【0006】
より詳しくは、従来技術によるアンテナ装置1は、前面が開口した薄い直方体函体形状に備えられ、後面には複数の放熱フィン11が一体に形成されたアンテナハウジング本体10と、アンテナハウジング本体10の内部のうち後面に積層配置されたメインボード20と、アンテナハウジング本体10の内部のうち前面に積層配置されたアンテナボード30とを含む。
【0007】
アンテナボード30の前面には、パッチタイプの放射素子またはダイポールタイプの放射素子35が実装され、アンテナハウジング本体10の前面には、内部の各部品を外部から保護しつつ放射素子35からの放射が円滑に行われるようにするレドーム50が設けられる。
【0008】
しかし、従来技術によるアンテナ装置の一例(1)は、メインボード20に各種デジタル素子(FPGA素子など)およびアナログ増幅素子(PA素子およびLNA素子など)が集中実装されて、アンテナハウジング本体10の後方に放熱させる構造を有する。
【0009】
ここで、アナログ増幅素子のうちLNA素子は発熱量が少ないながらもメインボード20に共に実装されていることから、他の発熱素子のメインボードに対する設置分布の密集度を高めることはもちろん、他の発熱素子の発熱によって直接的な性能低下要因を有する問題点がある。
【0010】
また、一般的なアンテナ装置は、PIM(Passive Intermodulation)問題を抱えており、PIMは受動素子の非線形特性によって発生するスプリアス(spurious)信号で、通信経路上で信号対雑音特性を低下させて通信品質を劣化させる現象をいう。
【0011】
分散アンテナシステム(DAS:Distributed Antenna System)の装置内でのPIM特性は、生産時に一定の品質以上に維持されるが、フィールドではリモート装置のアンテナポートの後端から最終アンテナまでの分配網に用いられた受動素子によってPIM問題が発生することがある。
【0012】
特に、アンテナ素子などの内部部品をモジュール化して装着するように構造設計された場合であって、各モジュールが安定的に固定されない場合、前記PIM問題は統合設置(Integrated Mounting)の場合よりも大きく発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記の技術的課題を解決するためになされたものであって、発熱素子のうち発熱量がやや小さいLNA素子が実装されたLNA基板部をメインボードと分離して単位RFフィルタボディ側に結合させることにより、熱的分散が可能なアンテナ用RFモジュールおよびこれを含むアンテナ装置を提供することを目的とする。
【0014】
これとともに、本発明は、RFフィルタボディの前面および左右側面と上下面の少なくともいずれか1つに放射素子部、左側フィルタ部と右側フィルタ部および増幅素子部をモジュール単位で製造して組立てるようにモジュール化することにより、製品の生産性を向上させることができるアンテナ用RFモジュールおよびこれを含むアンテナ装置を提供することを他の目的とする。
【0015】
また、本発明は、PIM特性の維持が可能にモジュール化単位で製造されたアンテナ用RFモジュールを安定的に固定および支持できるアンテナ装置を提供することをさらに他の目的とする。
【0016】
本発明の技術的課題は以上に言及した課題に制限されず、言及されていない他の技術的課題は以下の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明によるアンテナ用RFモジュールの一実施例は、メインボードの前面に配列された単位RFフィルタボディと、前記単位RFフィルタボディの前面に配置される放射素子部と、前記単位RFフィルタボディの前面を形成すると同時に、前記単位RFフィルタボディの垂直断面の面積よりも広いように形成され、前記放射素子部を接地(GND)するリフレクタパネルとを含み、前記単位RFフィルタボディの左右には、それぞれ左右外側に開口した複数のキャビティが形成され、前記それぞれの複数のキャビティに共振器が内蔵されて異なる周波数フィルタリングを行う左側フィルタ部および右側フィルタ部が備えられ、前記左側フィルタ部および右側フィルタ部は、前記リフレクタパネルを貫通して前記放射素子部と電気的に連結される。
【0018】
ここで、前記リフレクタパネルには、前記左側フィルタ部および右側フィルタ部と前記放射素子部の送信信号および受信信号の伝達を媒介する第3コネクティングピン端子が貫設される一対のピン端子設置ホールが形成される。
【0019】
また、前記放射素子部は、少なくとも2以上の多重偏波の一偏波を発生させるように備えられる。
【0020】
また、前記放射素子部は、前記リフレクタパネルの前面に配置されたベースパネルと、前記ベースパネルに付着し、前記左側フィルタ部および前記右側フィルタ部と電気的に連結された給電フィードベースと、前記給電フィードベースの前端部に備えられた放射用ディレクタパネルとを含む。
【0021】
また、前記第3コネクティングピン端子は、前記ベースパネルにハンダ固定される。
【0022】
また、前記単位RFフィルタボディの前後の厚さ部である上面および下面のいずれか1つに備えられ、少なくとも1つのアナログ増幅素子が実装されたLNA基板部を含む増幅素子部をさらに含むことができる。
【0023】
また、前記増幅素子部は、前記単位RFフィルタボディの前後の厚さ部を形成する上面または下面に設けられた基板設置空間上に前記LNA基板部が配置され、前記LNA基板部は、前記単位RFフィルタボディの左右に形成された前記左側フィルタ部および前記右側フィルタ部の各キャビティと電気的に連結可能である。
【0024】
また、前記LNA基板部には、前記メインボードに対するソケットピン結合方式で結合されるための雄ソケット部が形成され、前記基板設置空間には、前記LNA基板部の雄ソケット部が貫通する貫通スリットが形成される。
【0025】
また、前記LNA基板部には、前記放射素子部から前記左側フィルタ部または前記右側フィルタ部を経て受信された受信信号を増幅させる少なくとも1つのLNA素子が実装され、前記メインボードには、前記LNA素子が除かれた少なくとも1つのPA素子が実装され、前記少なくとも1つのPA素子から発生した熱は、前記メインボードが積層されたアンテナハウジングの後方に放熱される。
【0026】
また、前記単位RFフィルタボディには、前記基板設置空間と前記左側フィルタ部のキャビティおよび前記右側フィルタ部のキャビティを貫通するピン設置ホールが形成され、前記LNA基板部と前記左側フィルタ部および前記右側フィルタ部は、それぞれ前記ピン設置ホールに設けられる少なくとも1つの第2コネクティングピン端子によって電気的に連結され、前記第2コネクティングピン端子は、前記LNA基板部にハンダ固定される。
【0027】
また、前記単位RFフィルタボディには、前記左側フィルタ部および前記右側フィルタ部を介して送信信号を伝達するための少なくとも1つの入出力ポートがそれぞれ備えられ、前記少なくとも1つの入出力ポートは、少なくとも1つの第1コネクティングピン端子を介在して前記メインボードと前記左側フィルタ部および前記右側フィルタ部とが電気的に連結可能である。
【0028】
また、前記少なくとも1つの第1コネクティングピン端子は、前記メインボードの前面にハンダ固定される。
【0029】
本発明の一実施例によるアンテナ用RFモジュールを含むアンテナ装置は、前面が開口した函体形状に形成されたアンテナハウジング部と、前記アンテナハウジング部の内面に密着するように積層配置されたメインボードと、前記メインボードの前面に配列された複数のアンテナ用RFモジュールとを含み、前記複数のアンテナ用RFモジュールは、前記メインボードの前面に配列された単位RFフィルタボディと、前記単位RFフィルタボディの前面に配置される放射素子部と、前記単位RFフィルタボディの前面を形成すると同時に、前記単位RFフィルタボディの垂直断面の面積よりも広いように形成され、前記放射素子部を接地(GND)するリフレクタパネルとを含み、前記単位RFフィルタボディの左右には、それぞれ左右外側に開口した複数のキャビティが形成され、前記それぞれのキャビティに共振器が内蔵されて異なる周波数フィルタリングを行う左側フィルタ部および右側フィルタ部が備えられ、前記左側フィルタ部および右側フィルタ部は、前記リフレクタパネルを貫通して前記放射素子部と電気的に連結可能である。
【0030】
ここで、前記複数のアンテナ用RFモジュールは、前記単位RFフィルタボディの前後の厚さ部である上面および下面のいずれか1つに備えられ、少なくとも1つのアナログ増幅素子が実装されたLNA基板部を含む増幅素子部をさらに含むことができる。
【0031】
また、前記放射素子部は、前記リフレクタパネルの前面に配置されたベースパネルを含み、前記左側フィルタ部および右側フィルタ部は、少なくとも1つの第1コネクティングピン端子を介在して前記メインボードと電気的に連結されるように前記メインボードにハンダ固定され、前記左側フィルタ部および右側フィルタ部は、少なくとも1つの第2コネクティングピン端子を介在して前記LNA基板部と電気的に連結されるように前記LNA基板部にハンダ固定され、前記左側フィルタ部および右側フィルタ部は、少なくとも1つの第3コネクティングピン端子を介在して前記ベースパネルと電気的に連結されるように前記ベースパネルにハンダ固定される。
【0032】
また、左右両端部が前記アンテナハウジング部の左右側壁に固定され、前記単位RFフィルタボディをそれぞれ固定させる固定部材をさらに含み、前記固定部材は、非導電性材質からなる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によるアンテナ用RFモジュールおよびこれを含むアンテナ装置の一実施例によれば、次のような多様な効果を達成することができる。
【0034】
第一、アンテナ装置の発熱素子のうち相対的に発熱量が少なくて全体システムに影響を与えない受信信号経路上に備えられたLNA素子をメインボードから分離して配置されるように備えることにより、全体的な放熱性能を向上させることができる効果を有する。
【0035】
第二、単位RFフィルタボディの左側および右側にそれぞれ相互独立した周波数フィルタリングを行うことができる左側フィルタ部および右側フィルタ部を備えることにより、デュアルバンドフィルタの生産性を向上させることができる効果を有する。
【0036】
第三、フィルタ部と放射素子部および増幅部を1つのモジュール単位で製作して組立て、メインボードとフィルタ部および増幅部とフィルタ部、そしてフィルタ部と放射素子部との間をそれぞれコネクティングピン端子を介在して電気的に連結させかつハンダ固定されるように備えられ、固定部材をさらに備えて、アンテナ装置の一般的なPIM特性を維持できる効果を有する。
【0037】
本発明の効果は以上に言及した効果に制限されず、言及されていない他の効果は特許請求の範囲の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】従来技術によるアンテナ装置の一例を示す分解斜視図である。
図2】本発明の一実施例によるアンテナ装置を示す斜視図である。
図3図2の全体分解斜視図である。
図4図2の構成のうちアンテナ用RFモジュールのメインボードに対する設置過程を説明するための分解斜視図である。
図5図2の構成のうち固定部材の設置過程を説明するための分解斜視図である。
図6A図2の構成のうちアンテナ用RFモジュールの前方部を示す斜視図である。
図6B図2の構成のうちアンテナ用RFモジュールの後方部を示す斜視図である。
図7A図6Aの左側方向の分解斜視図である。
図7B図6Aの右側方向の分解斜視図である。
図7C図6Bの左側方向の分解斜視図である。
図7D図6Bの右側方向の分解斜視図である。
図8A】アンテナ用RFモジュールの構成のうち放射素子部の単位RFフィルタボディに対する結合関係を説明するための分解斜視図である。
図8B】アンテナ用RFモジュールの構成のうち放射素子部の単位RFフィルタボディに対する結合関係を説明するための分解斜視図である。
図9図8Aおよび図8Bに示された第3コネクティングピン端子による相互電気的連結の様子を示す切開斜視図および部分拡大図である。
図10】アンテナ用RFモジュールの構成のうち増幅素子部の単位RFフィルタボディに対する結合関係を説明するための分解斜視図である。
図11図10に示された第2コネクティングピン端子による相互電気的連結の様子を示す切開斜視図および部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の一実施例によるアンテナ用RFモジュールおよびこれを含むアンテナ装置を、添付した図面を参照して詳細に説明する。
【0040】
各図面の構成要素に参照符号を付すにあたり、同一の構成要素については、たとえ他の図面上に表示されてもできるだけ同一の符号を有するようにしていることに留意しなければならない。また、本発明の実施例を説明するにあたり、かかる公知の構成または機能に関する具体的な説明が本発明の実施例に対する理解を妨げると判断された場合、その詳細な説明は省略する。
【0041】
本発明の実施例の構成要素を説明するにあたり、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使用することができる。このような用語はその構成要素を他の構成要素と区別するためのものに過ぎず、その用語によって当該構成要素の本質や順番または手順などが限定されない。また、他に定義されない限り、技術的または科学的な用語を含む、ここで使用されるすべての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般的に理解されるのと同一の意味を有する。一般的に使用される辞書に定義されているような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有すると解釈されなければならず、本出願において明らかに定義しない限り、理想的または過度に形式的な意味で解釈されない。
【0042】
図2は、本発明の一実施例によるアンテナ装置を示す斜視図であり、図3は、図2の全体分解斜視図であり、図4は、図2の構成のうちアンテナ用RFモジュールのメインボードに対する設置過程を説明するための分解斜視図であり、図5は、図2の構成のうち固定部材の設置過程を説明するための分解斜視図である。
【0043】
本発明の一実施例によるアンテナ装置100は、図2図5に示されるように、アンテナ装置100の左右側方および後方外観を形成するアンテナハウジング部110と、アンテナ装置100の前方外観を形成し、アンテナハウジング部110の開口した前面を遮蔽するように備えられて、アンテナハウジング部110の内部空間110Sに備えられた内部部品(後述するメインボード120およびアンテナ用RFモジュール200を含む)を外部から保護するレドームパネル300とを含む。
【0044】
また、本発明の一実施例によるアンテナ装置100は、図2図5に示されるように、アンテナハウジング部110の内部空間110Sに密着設置されたメインボード120と、メインボード120の上側に配置されたPSUボード部130と、一対のメインボード120の間に備えられたRFIC基板部140と、メインボード120の下部にサージ基板部150とをさらに含み、メインボード120の前面に積層配置されるアンテナ用RFモジュール(Radio Frequency Module)200(以下、「RFモジュール」と略称する)をさらに含むことができる。
【0045】
アンテナハウジング部110は、図示しないが、アンテナ装置100の設置のために設けられた支柱ポールに対する結合を媒介する役割を果たすことができる。
【0046】
アンテナハウジング部110は、全体的に熱伝導による放熱が有利となるように熱伝導性に優れた金属材質で備えられ、後述するRFモジュール200の前端が収容可能な程度の前後方向の厚さを有する直方体函体形状に形成される。
【0047】
一方、アンテナハウジング部110の内側面は、メインボード120の後面に実装されたデジタル素子(FPGA素子など)および/またはPSUボード部130の後面に実装されたPSU素子など、そしてサージ基板部150の後面に実装されたサージ部品素子による外形突出形状に型合わせされる形状に形成される。これは、メインボード120、PSUボード部130およびサージ基板部150の背面との熱接触面積を最大に増大させて放熱性能を極大化するためである。
【0048】
これとともに、メインボード120の前面には、後述するモジュール単位で製造されたアンテナ用RFモジュール200の構成のうち増幅素子部230のLNA基板部231に形成された雄ソケット部235がソケットピン結合方式で結合されるための雌ソケット部125が設けられるとともに、アンテナ用RFモジュール200の構成のうち左側フィルタ部240Aおよび右側フィルタ部240Bの第1コネクティングピン端子281が端子ピン結合方式で結合されるためのピン結合部123が設けられる。
【0049】
アンテナハウジング部110の左右両側には、図面に示さないが、現場で作業者が本発明の一実施例によるアンテナ装置100を運んだり、支柱ポール(図示せず)に対して手動装着が容易となるように把持できる取っ手部がさらに設けられる。
【0050】
これとともに、アンテナハウジング部110の下端部外側には、図示しない基地局装置とのケーブル連結および内部部品の調整のための各種外側装着部材400が貫通組立てられる。外側装着部材400は、少なくとも1つ以上の光ケーブル連結端子(ソケット)形態で備えられ、それぞれの連結端子には同軸ケーブル(図示せず)の連結端子が相互連結される。
【0051】
図2図5を参照すれば、アンテナハウジング部110の背面には、複数の後方放熱フィン111が所定のパターン形状を有するように一体に形成される。しかし、必ずしも複数の後方放熱フィン111がアンテナハウジング部110の背面に一体に形成されるべきではなく、個別部品として製造されて、アンテナハウジング部110の背面にレーザ溶接方式などを含む多様な結合方式で結合できることは言うまでもない。
【0052】
ここで、アンテナハウジング部110の内部空間110Sに設けられたメインボード120、PSUボード130、RFIC基板部140およびサージ基板部150の各発熱素子から生成された熱は、複数の後方放熱フィン111を介して後方に直接放熱される。
【0053】
複数の後方放熱フィン111は、図2図5に示されるように、左右幅の真ん中を結ぶ上下部分を基準として左側端および右側端へいくほど上向き傾斜して配置されて、アンテナハウジング部110の後方に放熱される熱がそれぞれ左側および右側方向に分散した上昇気流を形成して、より迅速に熱が分散するように設計できる。しかし、複数の後方放熱フィン111の形状が必ずしもこれに限定されない。例えば、図面に示さないが、アンテナハウジング部110の背面側に外気の流動を円滑にするために、送風ファンモジュール(図示せず)がさらに備えられた場合には、送風ファンモジュールによって放熱された熱がより迅速に排出されるように、複数の後方放熱フィン111は、真ん中に配置された送風ファンモジュールにおいてそれぞれ左側端および右側端に平行に形成されるものが採用可能である。
【0054】
一方、レドームパネル300は、アンテナハウジング部110の前端部に結合されかつ、レドームパネル300の周縁に沿って形成されたフック結合部310がアンテナハウジング部110の前端係止リブ(図面符号不表記)側にフック結合される。
【0055】
ここで、アンテナハウジング部110の前端縁とレドームパネル300との間にはゴム材質の防水ガスケットリング180が介在され、レドームパネル300のアンテナハウジング部110に対するフック結合時に提供される結合力によって防水ガスケットリング180が弾性変形しながら密閉機能を行うことができる。
【0056】
一方、本発明の一実施例によるアンテナ装置100は、図3図5に示されるように、アンテナ用RFモジュール200の設置時、各RFモジュール200の単位RFフィルタボディ210を固定するための固定部材280をさらに含むことができる。
【0057】
固定部材280は、図5に示されるように、左右両端部がアンテナハウジング部110の左右側壁を貫通するように備えられた複数の左右貫通孔171の内側部分に位置した後、左右両端部に形成されたスクリュー締結ホール281に複数の組立ねじ173が複数の左右貫通孔171を外側から貫通して締結されることにより固定できる。
【0058】
アンテナハウジング部110に形成された複数の左右貫通孔171およびこれに締結される複数の組立ねじ173は、外部に露出して美観を害する恐れがあるので、図2図5に示されるように、別の遮蔽フィルム175を用いて付着することにより、外部から複数の左右貫通孔171を遮蔽することができる。
【0059】
また、固定部材280には、左右方向に離隔して複数のモジュール固定スクリューホール283が形成され、アンテナハウジング部110の内部空間110Sに組立てられたRFモジュール200の構成のうちリフレクタパネル270に形成されたモジュール固定ねじ締結ホール275に複数の組立ねじ(図示せず)が締結されることにより、各RFモジュール200を安定的に固定させることができる。
【0060】
最近、周波数帯域を増やすマルチバンド運用基地局が増加するにつれ、PIM(パッシブ相互変調、Passive Intermodulation)現象が通信事業者には非常に大きな問題として認識されているのが現状である。
【0061】
PIM現象は、一種の電波干渉によって発生する現象であって、一般的に、様々な周波数の電波と錆びた金属が主な原因になる。しかし、必ずしもPIM現象が前記2つの要素によってのみ発生する問題ではなく、例えば、MIMO(Multi-Input&Multi-Output)技術の適用によって、アンテナハウジング部110が上下に長く形成されることにより、その動作のために作動する発熱素子の偏重した集中発熱などによる微細な歪みによって電気的な連結要素の間で生じる収縮抵抗の非線形性(金属接点のエラー)がPIM問題の発生の原因になりうる。
【0062】
ここで、固定部材280は、PIMの影響を最小化および後述するリフレクタパネル270の接地(GND)の役割への影響を最小化できるように、非導電性材質(例えば、プラスチック樹脂系素材)で採用されることが好ましく、複数の組立ねじ(図示せず)も、プラスチック樹脂系素材で採用されることが好ましい。
【0063】
また、本発明の一実施例によるアンテナ装置100は、図面に示さないが、固定部材280の前端部に付着したシリコーンラバー材質の緩衝部がさらに備えられる。緩衝部は、各単位RFフィルタボディ210を固定する固定部材280にそれぞれ載設されることにより、部品間の内部衝撃を緩和する役割を果たすことができる。
【0064】
このように、モジュール化されて製造され、後述のように、メインボード110と各RFモジュール200との結合力がLNA基板部231の雄ソケット部235およびRFフィルタボディ部210の第1コネクティングピン端子281の非常に弱い結合力に依存するという点で、PIM特性の維持が難しいことから、各RFモジュール200を強固に固定および支持する固定部材280を用いてPIM問題を解決することができる。これについては、RFモジュール200の各構成を詳細に説明しながら再度説明する。
【0065】
図6Aおよび図6Bは、図2の構成のうちアンテナ用RFモジュールの前方部および後方部を示す斜視図であり、図7A図7Dは、図6Aおよび図6Bの左側方向および右側方向の分解斜視図である。
【0066】
図6A図7Dを参照すれば、本発明によるアンテナ用RFモジュール200の一実施例は、メインボード120の前面に配列された単位RFフィルタボディ210と、単位RFフィルタボディ210の前面に配置される放射素子部220と、単位RFフィルタボディ210の前面を形成すると同時に、単位RFフィルタボディ210の垂直断面の面積よりも広いように形成され、放射素子部220を接地(GND)するリフレクタパネル270とを含むことができる。
【0067】
ここで、単位RFフィルタボディ210の左右には、それぞれ左右外側に開口した複数のキャビティC1、C2が形成され、それぞれのキャビティC1、C2を含みかつ、それぞれのキャビティC1、C2内に共振器(R;resonator)が内蔵されて異なる周波数フィルタリングを行う左側フィルタ部240Aおよび右側フィルタ部240Bが備えられる。以下、左側フィルタ部240Aと右側フィルタ部240Bは、前方向を基準として左側および右側に位置していると定義して説明する。
【0068】
また、前記共振器Rは、バー(bar)形状の共振器であってもよいが、その形態がこれに限定されず、素材もセラミックなどの誘電体や金属などの多様な素材で形成可能である。
【0069】
左側フィルタ部240Aと右側フィルタ部240Bは、それぞれ2.4Gの周波数帯域および5G周波数帯域用フィルタで設計されて、1つのRFモジュール200によるデュアルバンドアンテナを実現することができる。
【0070】
一方、放射素子部220は、少なくとも2以上の多重偏波を発生させるように備えられる。以下、多重偏波のうち二重偏波を実現した放射素子部220を例として詳しく説明する。
【0071】
図6A図7Dに示されるように、リフレクタパネル270の前面に配置されたベースパネル221と、ベースパネル221に付着し、左側フィルタ部240Aおよび右側フィルタ部240Bと電気的に連結され、「X」字で交差配列された給電フィードベース223と、給電フィードベース223の前端部に備えられた放射用ディレクタパネル225とを含むことができる。本発明の一実施例では、給電フィードベース223がベースパネル221に対して「X」字で交差配列されたことに限定したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、「ロ」字、「H」字および「+」字配列されることを排除するわけではない。
【0072】
放射用ディレクタパネル225は、略正方形状に形成され、給電フィードベース223は、放射用ディレクタパネル225の各角部分を対角線で支持するように位置し、各フィード端部が放射用ディレクタパネル225の各辺の中心部分に位置するように延びてフィード連結されることにより、それぞれの給電フィードベース223が各偏波を起こして二重偏波を実現することができる。
【0073】
ベースパネル221は、単位RFフィルタボディ210の左右に形成された左側フィルタ部240Aおよび右側フィルタ部240Bからの各送信信号および放射用ディレクタパネル225からの受信信号の伝達を媒介するように電気的に連結可能である。ベースパネル221と各フィルタ部240A、240Bとの電気的な連結メカニズムは、後でより詳細に説明する。
【0074】
本発明の一実施例によるアンテナ用RFモジュール200において、放射素子部220は、パッチタイプおよびダイポールタイプのいずれか1つに限定して説明しているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、エアストリップタイプのアンテナの適用を排除するわけではないことに留意しなければならない。
【0075】
一方、本発明の一実施例によるアンテナ用RFモジュール200は、図6A図7Dに示されるように、単位RFフィルタボディ210の前後の厚さ部である上面および下面のいずれか1つに備えられ、少なくとも1つのアナログ増幅素子(図示せず)が実装されたLNA基板部231を含む増幅素子部230をさらに含むことができる。
【0076】
一方、増幅素子部230は、図6A図7Dに示されるように、単位RFフィルタボディ210の前後の厚さ部を形成する上面および下面のいずれか1つに設けられた基板設置空間230SにLNA基板部231を含むことができる。
【0077】
LNA基板部231には、アナログ増幅素子のうち発熱量が比較的小さいものであって、受信信号を増幅させる役割を果たす少なくとも1つのLNA素子(図示せず)が実装される。
【0078】
一般的に、RFモジュールとは、アナログRF部品の集合体であって、例えば、増幅素子部230は、RF信号を増幅させるアナログ増幅素子が実装されるが、本発明の一実施例によるRFモジュール200の場合、アナログ増幅素子のうち比較的発熱が少ないLNA素子のみをメインボード120から分離して単位RFフィルタボディ210に含まれるように設計したものである。また、左側フィルタ部240Aおよび右側フィルタ部240Bは、入力されたRF信号を所望の周波数帯域で周波数フィルタリングするためのRF部品であり、放射素子部220は、RF信号を受信および送信する役割を果たすRF部品と定義することができる。
【0079】
ここで、LNA基板部231は、単位RFフィルタボディ210の左右に形成された左側フィルタ部240Aおよび右側フィルタ部240Bの各キャビティC1、C2と電気的に連結可能である。LNA基板部231と各フィルタ部240A、240Bとの電気的な連結メカニズムは、後でより詳細に説明する。
【0080】
LNA基板部231が設けられた基板設置空間230Sは、増幅部カバーパネル237を用いて遮蔽され、増幅部カバーパネル237の外側面には、基板設置空間230S内の熱を熱伝導方式で放熱させる増幅部ヒートシンクフィン(図示せず)が一体に形成される。増幅部ヒートシンクフィンを介して放出された熱は、アンテナハウジング部110の側面部分を通して外部に放熱可能になる。
【0081】
このように、単位RFフィルタボディ210側に既存のメインボード120に実装配置された複数のアナログ増幅素子のうちLNA素子のみ別に分離して増幅素子部230として備えた実施例は、上述したPIM問題の改善に大きな役割を果たす構成と定義することができる。
【0082】
すなわち、LNA素子がメインボード120から分離されずにその他の発熱素子と共にメインボード120に実装される場合、複数のアナログ増幅素子の実装間隔が狭くなるしかなく、このような複数のアナログ増幅素子から動作熱が発生する場合、上下方向に長く形成されたアンテナハウジング部110の熱的偏重による歪み現象が発生する恐れが大きいからである。
【0083】
しかし、必ずしも単位RFフィルタボディ210に増幅素子部230の含まれる必要はなく、実施例によっては、増幅素子部230が既存のメインボード120から分離されなかったり、分離されても単位RFフィルタボディ210に備えられないように実現できることは言うまでもない。
【0084】
一方、単位RFフィルタボディ210の前面には、図6A図7Dに示されるように、リフレクタパネル270が形成される。
【0085】
リフレクタパネル270は、単位RFフィルタボディ210の前端部に結合された放射素子部220から放射された電波(ビーム)の後方側への浸透を防止するとともに、放射素子部220に対する接地(GND)の役割を果たすことができる。
【0086】
これとともに、リフレクタパネル270の上端部および下端部には、図2図5を参照して説明した固定部材280によるねじ固定のための複数の組立ねじ(図示せず)が締結されるためのモジュール固定ねじ締結ホール275が形成される。
【0087】
固定部材280は、すでに説明したように、単位RFフィルタボディ210のメインボード120に対する弱い結合力を補完するためのものであって、アンテナハウジング部110の内部空間110Sの左側内壁と右側内壁にそれぞれ組立てられる過程で、各単位RFフィルタボディ210を前方で安定的に固定させることにより、単位RFフィルタボディ210の流動または遊びによるPIM問題を改善させることができる。
【0088】
図8Aおよび図8Bは、アンテナ用RFモジュールの構成のうち放射素子部の単位RFフィルタボディに対する結合関係を説明するための分解斜視図であり、図9は、図8Aおよび図8Bに示された第3コネクティングピン端子による相互電気的連結の様子を示す切開斜視図および部分拡大図である。
【0089】
単位RFフィルタボディ210の左右にそれぞれ形成された左側フィルタ部240Aおよび右側フィルタ部240Bは、図8Aおよび図8Bに示されるように、メインボード120の前面に設けられたピン結合部123に備えられた少なくとも1つの第1コネクティングピン端子281を介在して電気的に連結可能である。
【0090】
より詳しくは、単位RFフィルタボディ210の背面側には、左側フィルタ部240Aおよび右側フィルタ部240Bを介して送信信号を伝達するための少なくとも1つの入出力ポート287がそれぞれ備えられる。
【0091】
ここで、少なくとも1つの入出力ポート287は、上述した第1コネクティングピン端子281を介在してメインボード120と左側フィルタ部240Aおよび右側フィルタ部240Bとが電気的に連結可能になる。
【0092】
ここで、少なくとも1つの第1コネクティングピン端子281のうち後端部は、上述したPIM問題の改善のために、メインボード120の前面に対してハンダ固定される。
【0093】
一方、図7Aおよび図7Bを参照すれば、放射素子部220のベースパネル221には、左側フィルタ部240Aおよび右側フィルタ部240Bからの各送信信号および放射用ディレクタパネル225から受信信号の伝達を媒介するように、少なくとも1つの第3コネクティングピン端子283によって電気的に連結可能である。
【0094】
ここで、第3コネクティングピン端子283は、ベースパネル221に端子ピン結合方式で結合された後、ハンダ付けなどの結合方式でハンダ固定される。
【0095】
より詳しくは、左側フィルタ部240Aおよび右側フィルタ部240Bと前方の放射素子部220は、リフレクタパネル270を貫通して電気的に連結可能である。
【0096】
このために、リフレクタパネル270を形成する単位RFフィルタボディ210の前面には、前後方向に貫通する一対のピン端子設置ホール271が形成され、一対のピン端子設置ホール271を介して前記第3コネクティングピン端子283が貫設される。
【0097】
一対のピン端子設置ホール271は、それぞれ左側フィルタ部240AのキャビティC1および右側フィルタ部240BのキャビティC2と電気的な連結が行われる個数で備えられる。
【0098】
特に、少なくとも1つの第3コネクティングピン端子283は、上述したPIM問題の改善のために、ベースパネル221側の一端部がベースパネル221に対してハンダ固定されることから、金属接点のエラー(収縮抵抗の非線形性)を低減できるという利点を有する。
【0099】
図10は、アンテナ用RFモジュールの構成のうち増幅素子部の単位RFフィルタボディに対する結合関係を説明するための分解斜視図であり、図11は、図10に示された第2コネクティングピン端子による相互電気的連結の様子を示す切開斜視図および部分拡大図である。
【0100】
増幅素子部230は、図10および図11に示されるように、単位RFフィルタボディ210の上面および下面のいずれか1つに一体に形成された基板設置空間230S上に少なくとも1つのLNA素子が実装されたLNA基板部231が収容配置される。
【0101】
基板設置空間230Sは、単位RFフィルタボディ210の後方側に貫通した貫通スリット239が形成され、貫通スリット239を介してLNA基板部231に形成された雄ソケット部235が貫通してメインボード120に設けられた雌ソケット部125にソケットピン結合方式で結合されて、受信信号の電気的な連結が行われる。
【0102】
ここで、LNA基板部231には、アナログ増幅素子のうち放射素子部220から左側フィルタ部240Aまたは右側フィルタ部240Bを経て受信された受信信号を増幅させる機能を行う少なくとも1つのLNA素子のみが実装され、メインボード120には、LNA基板部231に実装されたLNA素子が除かれた少なくとも1つのPA(Tx-amp)素子が実装される。
【0103】
メインボード120に実装されたPA素子は、相対的にLNA素子よりその発熱量が非常に多いという点で、LNA素子をメインボード120とは分離されたRFモジュール200側に分散配置設計することにより、メインボード120に実装される各発熱素子の間隔を広げられるので、発熱素子によって生成された熱が集中するのを防止して全体的な放熱性能を向上させることができる。
【0104】
一方、図10および図11を参照すれば、LNA基板部231は、単位RFフィルタボディ210の左右に形成された左側フィルタ部240Aおよび右側フィルタ部240Bの各キャビティC1、C2と少なくとも1つの第2コネクティングピン端子282を介在して電気的に連結可能である。
【0105】
このために、単位RFフィルタボディ210には、基板設置空間230Sと左側フィルタ部240AのキャビティC1および右側フィルタ部240BのキャビティC2を貫通するピン設置ホール(図面符号不表記)が形成される。
【0106】
第2コネクティングピン端子282は、ピン設置ホールを貫通して設けられた後、LNA基板部231にハンダ付けなどの結合方式でハンダ固定される。
【0107】
ここで、少なくとも1つの第2コネクティングピン端子282のうちLNA基板部231に近接した一端部は、上述したPIM問題の改善のために、LNA基板部231に対してハンダ固定される。
【0108】
このように、本発明の一実施例によるアンテナ用RFモジュール200は、メインボード120に対する第1コネクティングピン端子281およびLNA基板部231の雄ソケット部235による結合力が弱くて発生しうる内蔵部品の流動および遊び問題を改善してPIM特性を維持できることはもちろん、第1コネクティングピン端子281、第2コネクティングピン端子282および第3コネクティングピン端子283をそれぞれハンダ固定させることにより、安定的なPIM特性を維持できるという利点を有する。
【0109】
一方、本発明の一実施例によるアンテナ用RFモジュール200は、単位RFフィルタボディ210の左右の各キャビティC1、C2を覆うように結合される左側チューニングカバー250Aおよび右側チューニングカバー250Bと、左側チューニングカバー250Aおよび右側チューニングカバー250Bを遮蔽する左側フィルタカバー260Aおよび右側フィルタカバー260Bとをさらに含むことができる。
【0110】
左側チューニングカバー250Aおよび右側チューニングカバー250Bには、各キャビティC1、C2内の共振器Rとの離隔距離の調整により精密な周波数チューニングを行うようにチューニング溝251が形成される。
【0111】
ここで、単位RFフィルタボディ210の各キャビティC1、C2内での周波数フィルタリング過程は、完全密閉された状態を維持した状態で行われなければならず、密閉が完全でなかったり、使用期間の増加による密閉性能が低下する場合、先に説明したPIM問題が発生する余地がある。
【0112】
このようなPIM問題の発生を未然に防止するために、左側チューニングカバー250Aおよび右側チューニングカバー250Bを含む左側フィルタカバー260Aおよび右側フィルタカバー260Bは、レーザ溶接方式で単位RFフィルタボディ210に付着できる。
【0113】
一方、本発明の一実施例によるアンテナ装置100は、上述したアンテナ用RFモジュール200をすべて含む概念である。
【0114】
より詳しくは、本発明の一実施例によるアンテナ装置100は、図2図5に示されるように、前面が開口した函体形状に形成されたアンテナハウジング部110と、アンテナハウジング部110の内面に密着するように積層配置されたメインボード120と、メインボード120の前面に配列された複数のアンテナ用RFモジュール200とを含み、複数のアンテナ用RFモジュール200は、メインボード120の前面に配列された単位RFフィルタボディ210と、単位RFフィルタボディ210の前面に配置される放射素子部220と、単位RFフィルタボディ210の前後の厚さ部である上面および下面のいずれか1つに備えられ、少なくとも1つのアナログ増幅素子が実装されたLNA基板部231を含む増幅素子部230と、単位RFフィルタボディ210の前端面に単位RFフィルタボディ210の前面の面積よりも広く延びるように形成され、放射素子部220を接地(GND)するリフレクタパネル270とを含み、単位RFフィルタボディ210の左右には、それぞれ左右外側に開口した複数のキャビティC1、C2が形成され、それぞれのキャビティC1、C2に共振器Rが内蔵されて異なる周波数フィルタリングを行う左側フィルタ部240Aおよび右側フィルタ部240Bが備えられたことを特徴とする。
【0115】
以上、本発明によるアンテナ用RFモジュールおよびこれを含むアンテナ装置の一実施例を、添付した図面を参照して詳細に説明した。しかし、本発明の実施例が必ずしも上述した実施例によって限定されるものではなく、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者による多様な変形および均等な範囲での実施が可能であることは言うまでもない。そのため、本発明の真の権利範囲は後述する特許請求の範囲によって定められる。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明は、発熱素子のうち発熱量がやや小さいLNA素子が実装されたLNA基板部をメインボードと分離して単位RFフィルタボディ側に結合させることにより、熱的分散が可能であり、RFフィルタボディの前面および左右側面と上下面の少なくともいずれか1つに放射素子部、左側フィルタ部と右側フィルタ部および増幅素子部をモジュール単位で製造して組立てるようにモジュール化することにより、製品の生産性を向上させ、PIM特性の維持が可能にモジュール化単位で製造されたアンテナ用RFモジュールを安定的に固定および支持できるアンテナ用RFモジュールおよびこれを含むアンテナ装置を提供する。
【符号の説明】
【0117】
100:アンテナ装置、110:アンテナハウジング部
110S:内部空間、111:後方放熱フィン
120:メインボード、125:雌ソケット部
130:PSUボード部、140:RFIC基板部
150:サージ基板部、200:アンテナ用RFモジュール
210:単位RFフィルタボディ、220:放射素子部
230:増幅素子部、270:リフレクタパネル
287:入出力ポート
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図7a
図7b
図7c
図7d
図8a
図8b
図9
図10
図11
【国際調査報告】