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特表2024-542453ポリウレタン組成物およびこれを用いて調製される表面欠陥の少ない粘弾性ポリウレタンフォーム
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  • 特表-ポリウレタン組成物およびこれを用いて調製される表面欠陥の少ない粘弾性ポリウレタンフォーム 図1
  • 特表-ポリウレタン組成物およびこれを用いて調製される表面欠陥の少ない粘弾性ポリウレタンフォーム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】ポリウレタン組成物およびこれを用いて調製される表面欠陥の少ない粘弾性ポリウレタンフォーム
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/48 20060101AFI20241108BHJP
   C08G 18/00 20060101ALI20241108BHJP
   C08G 18/10 20060101ALI20241108BHJP
   C08G 18/73 20060101ALI20241108BHJP
   C08G 18/75 20060101ALI20241108BHJP
   C08G 18/76 20060101ALI20241108BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20241108BHJP
【FI】
C08G18/48 004
C08G18/48 041
C08G18/00 H
C08G18/10
C08G18/73
C08G18/75
C08G18/76
C08G101:00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529199
(86)(22)【出願日】2021-11-25
(85)【翻訳文提出日】2024-05-15
(86)【国際出願番号】 CN2021133011
(87)【国際公開番号】W WO2023092370
(87)【国際公開日】2023-06-01
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144417
【弁理士】
【氏名又は名称】堂垣 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】ルカ ロッティ
(72)【発明者】
【氏名】チャン トーカン
【テーマコード(参考)】
4J034
【Fターム(参考)】
4J034BA06
4J034BA07
4J034BA08
4J034CA03
4J034CA04
4J034CA05
4J034CA13
4J034CA15
4J034CA17
4J034CB03
4J034CB04
4J034CB05
4J034CB07
4J034CB08
4J034CC03
4J034CC08
4J034CC12
4J034CC23
4J034CC26
4J034CC45
4J034CC52
4J034CC61
4J034CC62
4J034CC65
4J034CC67
4J034CD01
4J034CD08
4J034CD13
4J034CE01
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4J034DB03
4J034DB04
4J034DB05
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4J034DG12
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4J034DQ16
4J034DQ18
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4J034HA06
4J034HA07
4J034HB05
4J034HB06
4J034HB07
4J034HB08
4J034HB09
4J034HC03
4J034HC12
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4J034HC17
4J034HC22
4J034HC24
4J034HC25
4J034HC26
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC61
4J034HC64
4J034HC67
4J034HC71
4J034HC73
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4J034KD07
4J034KD11
4J034KD12
4J034KD17
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4J034QA02
4J034QA03
4J034QA05
4J034QB01
4J034QB14
4J034QC01
4J034RA03
4J034RA12
4J034RA15
(57)【要約】
(A)イソシアネート化合物と、(B)特別に設計された配合物およびOH官能価を有する3種のポリエーテルポリオールのポリオールブレンドと、を含むポリウレタン組成物が提供される。当該ポリウレタン組成物を使用することによって調製される粘弾性ポリウレタンフォームは、目的に合わせた粘弾性特性および優れた審美的外観を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘弾性ポリウレタンフォームを調製するためのポリウレタン組成物であって、
(A)少なくとも2個のイソシアネート基を含む少なくとも1つのイソシアネート化合物と、
(b)
(b1)エチレンオキシド部分で末端保護されたポリ(C-Cアルキレンオキシド)系ポリオールであり、4以上のOH官能価を有する第1のポリエーテルポリオール、
(b2)プロピレンオキシド部分で末端保護されたポリ(C-Cアルキレンオキシド)系ポリオールであり、2~6のOH官能価を有する第2のポリエーテルポリオール、および
(b3)2つ以上の(C-C)アルキレンオキシドのランダムコポリマーであり、2~6のOH官能価を有する第3のポリエーテルポリオール
、を含むポリオールブレンドと、
を含む、ポリウレタン組成物。
【請求項2】
前記第1のポリエーテルポリオールが、前記第1のポリオールの総重量に基づいて14重量%~45重量%のエチレンオキシド含有量を有する、
前記第2のポリエーテルポリオールが、前記第2のポリオールの総重量に基づいて最大100重量%のプロピレンオキシド含有量を有する、
前記第3のポリエーテルポリオールが、前記第3のポリオールの総重量に基づいて55重量%~90重量%のエチレンオキシド含有量を有する、または
これらの任意の組み合わせである、請求項1に記載のポリウレタン組成物。
【請求項3】
前記第1のポリエーテルポリオールが、エチレンオキシド部分で末端保護されたポリ(プロピレンオキシド)系ポリオールであり、4以上のOH官能価を有する、
前記第2のポリエーテルポリオールが、プロピレンオキシド部分で末端保護されたポリ(プロピレンオキシド)系ポリオールであり、2.5~6のOH官能価を有する、
前記第3のポリエーテルポリオールが、2.5~6のOH官能価を有するエチレンオキシド-プロピレンオキシドランダムコポリマーである、または
これらの任意の組み合わせである、請求項1に記載のポリウレタン組成物。
【請求項4】
前記第1のポリエーテルポリオールが、エチレンオキシド部分で末端保護されたポリ(プロピレンオキシド)系ポリオールであり、4以上のOH官能価および前記第1のポリオールの総重量に基づいて14重量%~45重量%のエチレンオキシド含有量を有する、
前記第2のポリエーテルポリオールが、プロピレンオキシド部分で末端保護されたポリ(プロピレンオキシド)系ポリオールであり、2.5~6のOH官能価および前記第2のポリオールの総重量に基づいて5重量%~100重量%のプロピレンオキシド含有量を有する、
前記第3のポリエーテルポリオールが、2.5~6のOH官能価および前記第3のポリオールの総重量に基づいて55重量%~90重量%のエチレンオキシド含有量を有するエチレンオキシド-プロピレンオキシドランダムコポリマーである、または
これらの任意の組み合わせである、請求項1に記載のポリウレタン組成物。
【請求項5】
前記ポリオールブレンドが、前記ポリオールブレンドの総重量を100pphpとした場合、50~75pphpの前記第1のポリエーテルポリオール、20~35pphpの前記第2のポリエーテルポリオール、および5~20pphpの前記第3のポリエーテルポリオールを含む、請求項1に記載のポリウレタン組成物。
【請求項6】
前記第1のポリエーテルポリオールの分子量が3,000~10,000であり、前記第2のポリエーテルポリオールの分子量が150~2,500であり、前記第3のポリエーテルポリオールの分子量が1,550~10,000である、請求項1に記載のポリウレタン組成物。
【請求項7】
(C)発泡剤、
(D)触媒、
(E)界面活性剤、
(F)鎖延長剤、または
これらの任意の組み合わせを更に含む、請求項1に記載のポリウレタン組成物。
【請求項8】
前記発泡剤が、水、ギ酸、またはそれらのブレンドである、請求項7に記載のポリウレタン組成物。
【請求項9】
前記鎖延長剤が、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、またはそれらのブレンドである、請求項7に記載のポリウレタン組成物。
【請求項10】
前記ポリウレタン組成物が、架橋剤、共触媒、難燃剤、強化剤、可塑剤、煙抑制剤、芳香剤、接着促進剤、離型剤、酸化防止剤、泡安定剤、粘着付与剤、レオロジー調整剤、UV吸収剤、光安定剤、充填剤、着色剤、顔料、溶媒、希釈剤、滑り止め剤、帯電防止剤、防腐剤、殺生物剤、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの添加剤をさらに含む、請求項1に記載のポリウレタン組成物。
【請求項11】
前記イソシアネート化合物が、
a)少なくとも2個のイソシアネート基を含むC-C12脂肪族イソシアネート化合物、少なくとも2個のイソシアネート基を含むC-C15脂環式イソシアネート化合物、少なくとも2個のイソシアネート基を含むC-C15芳香族イソシアネート化合物、少なくとも2個のイソシアネート基を含むC-C15芳香脂肪族イソシアネート化合物、およびそれらの任意の組み合わせ、ならびに
b)イソシアネートプレポリマーが少なくとも2個の遊離イソシアネート基を含むという条件で、a)の1つ以上のイソシアネート化合物を、少なくとも2個のヒドロキシ基を含むC~C16脂肪族多価アルコール、少なくとも2個のヒドロキシ基を含むC~C16脂環式多価アルコール、少なくとも2個のヒドロキシ基を含むC~C16芳香族多価アルコール、少なくとも2個のヒドロキシ基を含むC~C15芳香脂肪族多価アルコール、500~5,000の分子量を有するポリエステルポリオール、200~5,000の分子量を有するポリカーボネートポリオール、200~8,000の分子量を有するポリエーテルポリオール、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1つ以上のイソシアネート反応性成分と反応させることによって調製されるイソシアネートプレポリマー、
からなる群から選択される、請求項1に記載のポリウレタン組成物。
【請求項12】
前記ポリウレタン組成物の総重量に基づいて、25重量%~45重量%の前記イソシアネート化合物、50重量%~80重量%の前記ポリオールブレンド、0.1重量%~5重量%の発泡剤、0重量%~5重量%の触媒、0重量%~5重量%の界面活性剤、および0重量%~5重量%の鎖延長剤を含み、総重量の百分率が合計100%になる、請求項1に記載のポリウレタン組成物。
【請求項13】
請求項1~12のいずれかに記載のポリウレタン組成物を使用することによって調製される、粘弾性ポリウレタンフォーム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタン(polyurethane、PU)組成物および当該組成物を用いることによって調製される表面欠陥の少ないポリウレタンフォームに関する。ポリウレタン組成物は、得られる粘弾性ポリウレタンフォームの表面における欠陥の形成を実質的に阻害するために特別に設計された3種のポリエーテルポリオールのブレンドを含み、それによって、目的に合わせた粘弾性特性および優れた審美的外観を有する粘弾性ポリウレタンフォームが生成される。
【背景技術】
【0002】
粘弾性ポリウレタン(PU)フォームは、適度な弾性および遅い回復速度を示す一般に知られているポリウレタン材料であり、緩衝、エネルギー吸収、消音および振動減衰の機能のために、枕、車椅子シート、マットレスなどの様々なオフィス、家庭、および車両用途で使用されている。それにもかかわらず、克服すべき複数の課題が依然として存在する。例えば、重大な問題の1つは、とりわけ、ポリウレタンフォームの外面および内容積内の両方における気泡、ピンホール、しわ、裂け目、および破断などの欠陥の存在であり、これらの欠陥はすべて、ポリウレタンフォーム物品の振動吸収効率に悪影響を及ぼし得る望ましくない不均一な局所微細構造を導入する。多くの用途において、粘弾性ポリウレタン(PU)フォームは、数センチメートル以下の適度な厚さを有することが多く、典型的には薄肉型(thin cavity mold)内で形成される。ポリオールならびに触媒、界面活性剤、および発泡剤などの添加剤を含むポリオール成分とイソシアネート成分とで構成される反応性混合物をそのような薄肉型内で成長および膨張させると、一般に、すべての反応物の非層流に遭遇し、そのような非層流によって引き起こされる乱流が、最終的なポリウレタンフォームにおける様々な欠陥の形成または捕捉の本質的な原因の1つであると考えられている。過去にはこの問題を解決するために集中的な取り組みがなされてきたが、研究結果は依然として非常に限られていた。したがって、得られるフォーム製品の粘弾性を保持しながら、ポリウレタンフォーム生成中の欠陥の形成および捕捉を効果的に阻害するために使用することができる独自の技術を開発することが長年必要とされている。
【0003】
持続的な調査の後、本発明者らは、驚くべきことに、上記の目標を達成することができる独自のブレンドのポリオールを含む組成物を開発した。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、ポリウレタンフォームの調製中の非層流を阻害することができ、したがって、目的に合わせた粘弾性特性および優れた審美的外観を有するフォーム製品を生成することができる3種の特別に規定されたポリオールのブレンドを含む独自のポリウレタン組成物、および当該組成物を使用することによって調製されるポリウレタンフォーム製品を提供する。
【0005】
本開示の第1の態様では、本開示は、粘弾性ポリウレタンフォームを調製するためのポリウレタン組成物であって、
(A)少なくとも2個のイソシアネート基を含む少なくとも1つのイソシアネート化合物と、
(B)
(b1)エチレンオキシド部分で末端保護されたポリ(C-Cアルキレンオキシド)系ポリオールであり、4以上のOH官能価を有する第1のポリエーテルポリオール、
(b2)プロピレンオキシド部分で末端保護されたポリ(C-Cアルキレンオキシド)系ポリオールであり、2~6のOH官能価を有する第2のポリエーテルポリオール、および
(b3)2つ以上の(C-C)アルキレンオキシドのランダムコポリマーであり、2~6のOH官能価を有する第3のポリエーテルポリオール
、を含むポリオールブレンドと、
を含む、ポリウレタン組成物を提供する。
【0006】
本開示の第2の態様では、本開示は、上記のポリウレタン組成物を使用することによって調製される粘弾性ポリウレタンフォーム製品を提供する。
【0007】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明はいずれも、例示的かつ説明的なものにすぎず、特許請求される本発明を限定するものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の発明の実施例によって調製されたポリウレタンフォームの写真である。
図2】本開示の比較例によって調製されたポリウレタンフォームの写真である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。また、本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、参照により組み込まれる。
【0010】
本明細書で開示するとき、「および/または」は、「および、または代替として」を意味する。全ての範囲は、特に指示がない限り、終点を含む。特に記載がない限り、全ての百分率および比率は重量に基づいて計算され、全ての分子量は重量平均分子量(Mw)(g/mol)である。
【0011】
いかなる特定の理論にも限定されるものではないが、本開示の技術的ブレークスルーは、主に、組成物においてイソシアネート反応性化合物として使用される特別に設計されたポリオールブレンドにある。特に、粘弾性ポリウレタンフォームは、典型的には、ポリオール(複数可)ならびに触媒、界面活性剤、および発泡剤などの添加剤を含むポリオール成分とイソシアネート成分とを組み合わせて、反応混合物を薄肉型などの型内で反応および膨張させることによって調製される。反応中に発生する非層流および乱流は、最終的なポリウレタンフォームにおける気泡などの様々な欠陥の形成または捕捉の本質的な原因であると推定される。驚くべきことに、特別に規定された3種のポリオールのブレンドは、最終フォームにおける気泡の捕捉および欠陥の形成を効果的に阻害できることが見出された。
【0012】
本開示の実施形態によれば、本開示のポリウレタン組成物は、(b1)エチレンオキシド部分で末端保護されたポリ(C-Cアルキレンオキシド)系ポリオールであり、4以上のOH官能価を有する第1のポリエーテルポリオールと、(b2)プロピレンオキシド部分で末端保護されたポリ(C-Cアルキレンオキシド)系ポリオールであり、2~6のOH官能価を有する第2のポリエーテルポリオールと、(b3)2つ以上の(C-C)アルキレンオキシドのランダムコポリマーであり、2~6のOH官能価を有する第3のポリエーテルポリオールと、を含むポリオールブレンドを含む。
【0013】
本開示の一実施形態によれば、第1のポリエーテルポリオールのC-Cアルキレンオキシドは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、ペンチレンオキシド、およびヘキシレンオキシドからなる群から選択することができる。本開示の例示的な実施形態によれば、第1のポリエーテルポリオールのC-Cアルキレンオキシドは、プロピレンオキシドであってもよく、すなわち、第1のポリエーテルポリオールは、エチレンオキシド部分で末端保護されたポリ(プロピレンオキシド)系ポリオールであってもよい。本開示の別の一実施形態によれば、第1のポリエーテルポリオールは、第1のポリエーテルポリオールの総重量に基づいて、少なくとも14重量%、または14重量%~45重量%、または15重量%~40重量%、例えば、以下の値:14重量%、15重量%、16重量%、17重量%、18重量%、19重量%、20重量%、21重量%、22重量%、23重量%、24重量%、25重量%、26重量%、27重量%、28重量%、29重量%、30重量%、31重量%、32重量%、33重量%、34重量%、35重量%、36重量%、37重量%、38重量%、39重量%、40重量%、41重量%、42重量%、43重量%、44重量%、および45重量%のうちのいずれか2つを組み合わせることによって得られる数値範囲内のエチレンオキシド含有量を有する。本開示の別の実施形態によれば、第1のポリエーテルポリオールは、少なくとも4.0、または4.0~10.0、または4.0~6.0、例えば、以下の値:4.0、4.2、4.4、4.5、4.7、4.8、5.0、5.2、5.4、5.5、5.7、5.8、6.0、6.2、6.4、6.5、6.7、6.8、7.0、7.2、7.4、7.5、5.7、7.8、8.0、8.2、8.4、8.5、8.7、8.8、9.0、9.2、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、および10.0のうちのいずれか2つを組み合わせることによって得られる数値範囲内のヒドロキシル官能価を有する。本開示の実施形態によれば、第1のポリエーテルポリオールは、3000~10,000、または4000~9000、または5000~8000、または6000~7000、例えば、以下の値:3000、3200、3500、3800、4000、4200、4500、4800、5000、5200、5500、5800、6000、6200、6500、6800、7000、7200、7500、7800、8000、8200、8500、8800、9000、9200、9500、9800、および10,000のうちのいずれか2つを組み合わせることによって得られる数値範囲内の分子量を有する。
【0014】
本開示の別の実施形態によれば、ポリオールブレンドの総重量をポリオール100あたり100部(parts per hundred of polyol、pphp)とした場合、第1のポリエーテルポリオールの含有量は、50~75pphp、例えば51~72pphp、または以下の値:50pphp、51pphp、51.8pphp、52pphp、53pphp、54pphp、55pphp、56pphp、57pphp、58pphp、59pphp、60pphp、60.4pphp、61pphp、62pphp、62.5pphp、63pphp、64pphp、65pphp、66pphp、67pphp、68pphp、69pphp、70pphp、71pphp、71.1pphp、72pphp、73pphp、73.1pphp、74pphp、および75pphpのうちのいずれか2つを組み合わせることによって得られる数値範囲内である。
【0015】
第1のポリエーテルポリオールの例は、Dow Chemical Companyから入手可能なSPECFLEX(商標)NC 632およびSPECFLEX(商標)NC 630など、供給業者から商業的に購入することができる。
【0016】
本開示の一実施形態によれば、第2のポリエーテルポリオールのC-Cアルキレンオキシドは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、ペンチレンオキシド、およびヘキシレンオキシドからなる群から選択することができる。第2のポリエーテルポリオールは、第2のポリエーテルポリオールのC-Cアルキレンオキシドがプロピレンオキシドである場合、ホモ重合ポリプロピレンオキシド系ポリオールまたは完全ポリプロピレンオキシド系ポリオールとみなすことができる。本開示の別の実施形態によれば、第2のポリエーテルポリオールのC-Cアルキレンオキシドは、C-Cアルキレンオキシドである。本開示の例示的な実施形態によれば、第2のポリエーテルポリオールのC-Cアルキレンオキシドは、プロピレンオキシドであってもよく、すなわち、第2のポリエーテルポリオールは、プロピレンオキシド部分で末端保護されたポリ(プロピレンオキシド)系ポリオールであり、これは、ホモ重合または完全ポリプロピレンオキシド系ポリオールとみなすこともできる。本開示の別の一実施形態によれば、第2のポリエーテルポリオールは、第2のポリエーテルポリオールの総重量に基づいて、最大100重量%、または5重量%~100重量%、例えば、以下の値:5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、11重量%、12重量%、13重量%、14重量%、15重量%、16重量%、17重量%、18重量%、19重量%、20重量%、21重量%、22重量%、23重量%、24重量%、25重量%、26重量%、27重量%、28重量%、29重量%、30重量%、31重量%、32重量%、33重量%、34重量%、35重量%、36重量%、37重量%、38重量%、39重量%、40重量%、41重量%、42重量%、43重量%、44重量%、45重量%、46重量%、47重量%、48重量%、49重量%、50重量%、51重量%、52重量%、53重量%、54重量%、55重量%、56重量%、57重量%、58重量%、59重量%、60重量%、61重量%、62重量%、63重量%、64重量%、65重量%、66重量%、67重量%、68重量%、69重量%、70重量%、71重量%、72重量%、73重量%、74重量%、75重量%、76重量%、77重量%、78重量%、79重量%、80重量%、81重量%、82重量%、83重量%、84重量%、85重量%、86重量%、87重量%、88重量%、89重量%、90重量%、91重量%、92重量%、93重量%、94重量%、95重量%、96重量%、97重量%、98重量%、99重量%、および100重量%のうちのいずれか2つを組み合わせることによって得られる数値範囲内のプロピレンオキシド含有量を有する。本開示の別の実施形態によれば、第2のポリエーテルポリオールは、2.0~6.0、または2.0~5.0、または2.0~4.0、または2.0~3.5、または2.5~3.2、または2.8~3.0、例えば、以下の値:2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、および6.0のうちのいずれか2つを組み合わせることによって得られる数値範囲内のヒドロキシル官能価を有する。本開示の特定の実施形態によれば、第2のポリエーテルポリオールは、プロピレンオキシド部分で末端保護されたポリ(プロピレンオキシド)系ポリオール、すなわち、単独重合または完全ポリプロピレンオキシド系ポリオールであり、2~6、例えば3のOH官能価を有する。本開示の実施形態によれば、第2のポリエーテルポリオールは、150~2,500、または500~2,000、または700~1,000、例えば、以下の値:150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1,000、1,050、1,100、1,150、1,200、1,250、1,300、1,350、1,400、1,450、1,500、1,550、1,600、1,650、1,700、1,750、1,800、1,850、1,900、1,950、2,000、2,050、2,100、2,150、2,200、2,250、2,300、2,350、2,400、2,450、および2,500のうちのいずれか2つを組み合わせることによって得られる数値範囲内の分子量を有し得る。
【0017】
本開示の別の実施形態によれば、ポリオールブレンドの総重量をポリオール100あたり100部(pphp)とした場合、第2のポリエーテルポリオールの含有量は、20~35pphp、例えば21~33pphp、または以下の値:20pphp、21pphp、21.4pphp、22pphp、23pphp、24pphp、25pphp、26pphp、27pphp、28pphp、29pphp、30pphp、31pphp、32pphp、32.1pphp、33pphp、34pphp、および35pphpのうちのいずれか2つを組み合わせることによって得られる数値範囲内である。
【0018】
第2のポリエーテルポリオールの例は、Dow Chemical Companyから入手可能なVORANOL(商標)270、VORANOL(商標)2070、VORANOL(商標)CP 755、VORANOL(商標)450、およびVORANOL(商標)CP 1055など、供給業者から商業的に購入することができる。
【0019】
本開示の一実施形態によれば、第3のポリエーテルポリオールは、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのランダムコポリマー、エチレンオキシドとブチレンオキシドとのランダムコポリマー、プロピレンオキシドとブチレンオキシドとのランダムコポリマー、またはエチレンオキシドとプロピレンオキシドとブチレンオキシドとのランダムコポリマーであり得る。本開示の別の実施形態によれば、第3のポリエーテルポリオールは、第3のポリエーテルポリオールの総重量に基づいて、55重量%~90重量%、または58重量%~85重量%、または60重量%~80重量%、または65重量%~76重量%、または68重量%~75重量%、または70重量%~72重量%、例えば、以下の値:55重量%、56重量%、57重量%、58重量%、59重量%、60重量%、61重量%、62重量%、63重量%、64重量%、65重量%、66重量%、67重量%、68重量%、69重量%、70重量%、71重量%、72重量%、73重量%、74重量%、75重量%、76重量%、77重量%、78重量%、79重量%、80重量%、81重量%、82重量%、83重量%、84重量%、85重量%、86重量%、87重量%、88重量%、89重量%、および90重量%のうちのいずれか2つを組み合わせることによって得られる数値範囲内のエチレンオキシド含有量を有するエチレンオキシド-プロピレンオキシドランダムコポリマーであり、残りの含有量はプロピレンオキシドである。
【0020】
本開示の別の実施形態によれば、第3のポリエーテルポリオールは、2.0~6.0、または2.0~5.5、または2.0~5.0、または2.0~4.5、または2.0~4.0、または2.0~3.5、または2.5~3.2、または2.8~3.0、例えば、以下の値:2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、および6.0のうちのいずれか2つを組み合わせることによって得られる数値範囲内のヒドロキシル官能価を有する。本開示の実施形態によれば、第3のポリエーテルポリオールは、1,550~10,000、または2,000~9,000、または3,000~8,000、または4,000~7,000、5,000~6,000、例えば、以下の値:1,550、1,600、1,700、1,800、2,000、2,200、2,500、2,800、3,000、3,200、3,500、3,800、4,000、4,200、4,500、4,800、5,000、5,200、5,500、5,800、6,000、6,200、6,500、6,800、7,000、7,200、7,500、7,800、8,000、8,200、8,500、8,800、9,000、9,200、9,500、9,800、および10,000のうちのいずれか2つを組み合わせることによって得られる数値範囲内の分子量を有する。
【0021】
本開示の別の実施形態によれば、ポリオールブレンドの総重量をポリオール100当たり100部(pphp)とした場合、第3のポリエーテルポリオールの含有量は、5~20pphp、または7~18pphp、または10~15pphp、例えば、以下の値:5pphp、6pphp、7pphp、8pphp、9pphp、10pphp、11pphp、12pphp、13pphp、14pphp、15pphp、16pphp、17pphp、18pphp、19pphp、および20pphpのうちのいずれか2つを組み合わせることによって得られる数値範囲内である。
【0022】
第3のポリエーテルポリオールの例は、Dow Chemical Companyから入手可能なDow VORANOL(商標)1447およびVORANOL(商標)CP 1421など、供給業者から商業的に購入することができる。
【0023】
ポリオールブレンドの含有量、すなわち、第1、第2、および第3のポリエーテルポリオールの合計含有量は、粘弾性ポリウレタンフォームの実際の要件に基づいて変化し得る。例えば、例示的な一実施形態として、ポリオールブレンドの含有量は、ポリウレタン組成物の総重量に基づいて、50重量%~80重量%、または52重量%~70重量%、または55重量%~65重量%、または58重量%~60重量%、例えば、以下の値:50重量%、51重量%、52重量%、53重量%、54重量%、55重量%、56重量%、57重量%、58重量%、59重量%、60重量%、61重量%、62重量%、63重量%、64重量%、65重量%、66重量%、67重量%、68重量%、69重量%、70重量%、71重量%、72重量%、73重量%、74重量%、75重量%、76重量%、77重量%、78重量%、79重量%、および80重量%のうちのいずれか2つを組み合わせることによって得られる数値範囲内であり得る。
【0024】
本開示の一実施形態によれば、本開示のポリウレタン組成物は、第1~第3のポリエーテルポリオール以外の追加のイソシアネート反応性化合物を含まない。本明細書で使用するとき、用語「追加のイソシアネート反応性化合物」は、イソシアネートと反応してポリウレタン主鎖を形成する唯一の機能を有する化合物を指し、したがって、この用語は、ポリウレタンフォームの製造中に様々な機能のために一般に使用される添加剤、例えば、鎖延長剤、架橋剤、シリコーン界面活性剤、発泡剤、または触媒を含まない。
【0025】
本開示の別の実施形態によれば、第1~第3のポリエーテルポリオール以外の1つ以上の追加のイソシアネート反応性化合物(複数可)を、第1~第3のポリエーテルポリオールのポリオールブレンドと組み合わせて使用してもよく、当該追加のイソシアネート反応性化合物と当該第1~第3のポリエーテルポリオールのポリオールブレンドとの重量比は、0.1:100~50:100、または0.5:100~45:100、または1:100~40:100、または2:100~35:100、または3:100~30:100、または4:100~25:100、または5:100~20:100、または6:100~15:100、または7:100~12:100、または8:100~10:100であり得る。存在する場合、追加のイソシアネート反応性化合物は、少なくとも2個のヒドロキシル基を含むC-C16脂肪族多価アルコール、少なくとも2個のヒドロキシル基を含むC-C16脂環式多価アルコール、少なくとも2個のヒドロキシル基を含むC-C16芳香族多価アルコール、少なくとも2個のヒドロキシル基を含むC-C15芳香脂肪族多価アルコール、500~12,000の分子量を有するポリエステルポリオール、200~8,000の分子量を有するポリカーボネートポリオール、第1~第3のポリエーテルポリオールとは異なりかつ200~8,000の分子量を有するポリエーテルポリオール、ポリオールに基づくコア相およびシェル相を有するコア-シェルポリマーポリオール、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される得る。コア-シェルポリマーポリオールのシェル相は、上述の追加のイソシアネート反応性化合物(複数可)のうちのいずれか1つ以上を含み得る。コア-シェルポリマーポリオールのコア相はマイクロサイズであり得、シェル相と適合性のある任意のポリマーを含み得る。例えば、コア相は、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、ポリオレフィン、またはポリエーテルを含み得る。
【0026】
様々な実施形態では、少なくとも2個のイソシアネート基を含むイソシアネート化合物は、ポリイソシアネート化合物としても知られており、少なくとも2個のイソシアネート基を有する脂肪族、脂環式、芳香族、芳香脂肪族、またはヘテロアリール化合物を指す。イソシアネート化合物は、少なくとも約2.0、例えば約2~10、または約2~約8、または約2~約6、または約2~約5、または約2~約4、または約2~約3の平均官能価を有し得る。例示的なイソシアネート化合物は、少なくとも2個のイソシアネート基を含むC~C12脂肪族イソシアネート化合物、少なくとも2個のイソシアネート基を含むC~C15脂環式イソシアネート化合物、少なくとも2個のイソシアネート基を含むC~C15芳香族イソシアネート化合物、少なくとも2個のイソシアネート基を含むC~C15芳香脂肪族イソシアネート化合物、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され得る。別の実施形態では、イソシアネート化合物には、特に、m-フェニレンジイソシアネート、2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の様々な異性体、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(HMDI)、ヘキサメチレン-1,6-ジイソシアネート(HDI)、テトラメチレン-1,4-ジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート、水素化MDI、ナフチレン-1,5-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、またはそれらの混合物が含まれ得る。上記の当該イソシアネート化合物の例は、Dow Chemical Companyから入手可能なSPECFLEX(商標)NE138、ISONATE(商標)M125、およびISONATE(商標)OP50など、供給業者から商業的に購入することができる。本開示の別の実施形態によれば、イソシアネート化合物は、変性イソシアネート化合物、すなわち、上記のイソシアネート化合物の化学変性によって得られる生成物であり得る。例示的な変性イソシアネート化合物は、4,4’-カルボジイミド変性MDI生成物などの、エステル、尿素、ビウレット、イソシアヌレート、アロファネート、カルボジイミド、またはウレトンイミンを含有するポリイソシアネートである。例えば、カルボジイミド基、ウレトネイミン基、またはイソシアヌレート環を含有し、10~40重量パーセント、例えば20~35重量パーセントのイソシアネート基(NCO)含有量を有する液状イソシアネート化合物を使用することができる。さらなる例はまた、上記の当該イソシアネート化合物のうちの少なくとも1つと他の成分、例えば、ポリマーMDIとの混合物を含み得、これは、約50重量%のMDIと残量のより高分子量の多環式種との混合物として知られており、例えば、Dow Chemical Companyから入手可能なPAPI 27のように供給業者から商業的に購入することができる。
【0027】
代替的にまたは追加的に、イソシアネート化合物は、2~10、例えば2~8、または2~6、または2~5、または2~4の範囲のNCO官能価を有するイソシアネートプレポリマーを含み得る。イソシアネートプレポリマーが少なくとも2個の遊離イソシアネート基を含む、すなわち、プレポリマーを調製するための原材料の相対量が、最終的なプレポリマーに遊離イソシアネート部分が残存するようにイソシアネート過剰であるという条件で、イソシアネートプレポリマーは、上述のモノマーイソシアネート化合物(複数可)のうちの1つ以上を、少なくとも2個のヒドロキシ基を含むC-C16脂肪族多価アルコール、少なくとも2個のヒドロキシ基を含むC-C16脂環式多価アルコール、少なくとも2個のヒドロキシ基を含むC-C16芳香族多価アルコール、少なくとも2個のヒドロキシ基を含むC-C15芳香脂肪族多価アルコール、500~5,000の分子量を有するポリエステルポリオール、200~5,000の分子量を有するポリカーボネートポリオール、200~8,000の分子量を有するポリエーテルポリオール、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1つ以上のイソシアネート反応性化合物と反応させることによって得ることができる。ポリエーテルポリオールは、上述の第1~第3のポリエーテルポリオールのうちのいずれか1つと同一であっても異なっていてもよい。例えば、当該イソシアネートプレポリマーを調製するためのイソシアネート反応性化合物は、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,4-ブテンジオール、1,4-ブチンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ビス(ヒドロキシ-メチル)シクロヘキサン、例えば1,4-ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、2-メチルプロパン-1,3-ジオール、メチルペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコール、ポリブチレングリコール、ビスヒドロキシエチル-ビスフェノールA、ビスヒドロキシプロピル-ビスフェノールA、シクロヘキサンジメタノール、およびビスヒドロキシエチルハイドロキノンからなる群から選択され得る。イソシアネートプレポリマーを調製するためのポリオールの例は、Dow Chemical Companyから入手可能なVORANOL(商標)CP 6001である。好適なイソシアネートプレポリマーは、2~40重量パーセント、例えば4~30重量パーセントのNCO基含有量を有し得る。上記当該イソシアネートプレポリマーの例は、例えば、Dow Chemical Companyから入手可能なSPECFLEX(商標)NE 135のように供給業者から商業的に購入することができる。
【0028】
イソシアネート化合物の含有量は、粘弾性ポリウレタンフォームの実際の要件に基づいて変動し得る。例示的な一実施形態として、イソシアネート化合物の含有量は、ポリウレタン組成物の総重量に基づいて、25重量%~45重量%、または30重量%~40重量%、または32重量%~35重量%、例えば、以下の値:25重量%、26重量%、27重量%、28重量%、29重量%、30重量%、31重量%、32重量%、33重量%、34重量%、35重量%、36重量%、37重量%、38重量%、39重量%、40重量%、41重量%、42重量%、43重量%、44重量%、および45重量%のうちのいずれか2つを組み合わせることによって得られる数値範囲内であり得る。本開示の実施形態によれば、イソシアネート化合物の量は、ポリオール化合物および全ての他の添加剤、例えば、鎖延長剤、架橋剤、改質剤、相溶化剤、溶媒、および共溶媒に含まれるイソシアネート反応性基(例えば、ヒドロキシル基、アミノ基等)の総モル量に対して化学量論的に等価な量でまたは化学量論的に不十分な量でイソシアネート基が存在するように、適切に選択される。例えば、イソシアネート基とイソシアネート反応性基との間のモル比は、0.6:1~1:1、または0.7:1~1:1、または0.8:1~1:1、または0.9:1~1:1、例えば約1:1であり得る。
【0029】
本開示の様々な実施形態では、ポリウレタン組成物は、触媒、界面活性剤、鎖延長剤、架橋剤、発泡剤、起泡剤、泡立ち剤、泡安定剤、酸化防止剤、粘着付与剤、可塑剤、レオロジー調整剤、UV吸収剤、光安定剤、共触媒、充填剤、着色剤、顔料、溶媒、希釈剤、難燃剤、滑り止め剤、帯電防止剤、防腐剤、殺生物剤、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1つ以上の添加剤を含む。これらの添加剤は、独立した成分として送り、保管して、イソシアネート化合物とポリオールブレンドおよび存在する場合は任意の他のイソシアネート反応性化合物(複数可)とを組み合わせる少し前または直前にポリウレタン組成物に組み込んでもよい。あるいは、これらの添加剤は、イソシアネート基またはイソシアネート反応性基に対して化学的に不活性または実質的に不活性である場合、イソシアネート化合物およびポリオールブレンドのいずれかに含有されていてもよい。
【0030】
好適な界面活性剤は、発泡反応中に形成された発泡体を、発泡体が十分に硬化して自己支持性になるまで安定化させる物質である。ポリウレタンフォームを作製するために通常使用される多種多様なシリコーン界面活性剤を本開示において使用することができる。このようなシリコーン界面活性剤の例は、Dow Chemical Company製のVORASURF(商標)DC 2525およびEvonik Industries AG製のTegostab B8734 LF2のように市販されている。
【0031】
界面活性剤は、典型的には、ポリオールブレンドの総重量を100pphpとした場合、5pphp以下、例えば0.1~4pphp、または0.2~3pphp、または0.3~2pphp、または0.4~1pphp、または0.5~0.8pphpの追加の含有量(extra content)で存在する。
【0032】
本明細書で使用される場合、用語「追加の含有量」は、関連する対象の含有量がポリオールブレンドの総重量の一部を構成しないことを意味する。例えば、100pphpのポリオールブレンドと0.5pphpの追加の含有量の界面活性剤または任意の他の成分との組み合わせからは、100.5pphpの合計重量が得られる。
【0033】
また、1つ以上の架橋剤が本開示のポリウレタン組成物中に存在していてもよい。本発明の目的において、「架橋剤」とは、1分子中に3個以上のイソシアネート反応性基、および300未満、例えば、200未満のイソシアネート反応性基当たり当量を有する物質である。架橋剤は、通常、1分子中に3~8個、特に3~4個のヒドロキシル(一級ヒドロキシル、二級ヒドロキシル、および三級ヒドロキシルを含む)、一級アミン、二級アミン、または三級アミン基を含み、30~約200、特に50~125の当量を有する。本開示の実施形態によれば、架橋剤は、ジエタノールアミン(DEOA)、トリエタノールアミン(TEOA)、ジ(イソプロパノール)アミン、トリ(イソプロパノール)アミン、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、およびそれらの任意の組み合わせ、例えば、DEOAとTEOAとの組み合わせからなる群から選択され得る。架橋剤は、ポリオールブレンドとの混合物として存在してもよい。
【0034】
鎖延長剤は、1分子当たり2個以上のイソシアネート反応性基を有し、イソシアネート反応性基1つ当たりの当量が300未満、例えば200未満である化学物質である。イソシアネート反応性基は、ヒドロキシル基、一級脂肪族もしくは芳香族アミノ基、または二級脂肪族もしくは芳香族アミノ基であり得る。代表的な鎖延長剤としては、モノエチレングリコール(MEG)、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、エチレンジアミン、フェニレンジアミン、ビス(3-クロロ-4-アミノフェニル)メタン、ジメチルチオ-トルエンジアミン、またはジエチルトルエンジアミンが挙げられる。本開示の実施形態によれば、鎖延長剤は、イソシアネート反応性基としてヒドロキシル基のみを含む短鎖(C~Cなど)ポリオールであり、例えばモノエチレングリコールなどである。本開示の別の実施形態によれば、鎖延長剤は、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、およびそれらの異性体からなる群から選択してよい。鎖延長剤は、ポリオールブレンドとの混合物として存在してもよい。
【0035】
鎖延長剤および架橋剤は、これらの材料のいずれかの量が増加するにつれて最終的なフォームの硬度が増大するため、少量で適切に使用される。鎖延長剤は、典型的には、ポリオールブレンドの総重量を100pphpとした場合、5pphp以下、例えば0.1~4pphp、または0.2~3pphp、または0.3~2pphp、または0.4~1.5pphp、または0.5~1.0pphp、または0.6~0.8pphpの追加の含有量で存在する。鎖延長剤は、ポリオールブレンドの総重量を100pphpとした場合、5pphp以下で、例えば0.1~4pphp、または0.2~3pphp、または0.3~2pphp、または0.4~1.5pphp、または0.5~1.0pphp、または0.6~0.8pphpの追加の含有量で存在し得る。
【0036】
発泡剤は、化学(発熱)タイプ、物理(吸熱)タイプ、または各タイプの少なくとも1つの混合物であり得る。化学発泡剤は、典型的には、発泡反応の条件下で反応または分解して二酸化炭素または一酸化炭素のガスを生成する物質である。水およびギ酸が、好適な化学発泡剤の例である。物理発泡剤としては、二酸化炭素、様々な低沸点炭化水素、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロクロロカーボン、エーテルなどが挙げられる。水は、単独でまたは1つ以上の化学もしくは物理発泡剤と組み合わせて、典型的な化学発泡剤のうちの1つである。発泡剤は、ポリオールブレンドの総重量を100pphpとした場合、10pphp以下、例えば0.5~8pphp、または0.8~7pphp、または1~6pphp、または2~5pphp、または3~4pphpの追加の含有量で存在し得る。
【0037】
本出願では、イソシアネート基とイソシアネート反応性基との間の反応を効果的に促進する任意の触媒を使用することができる。例えば、触媒は、以下からなる群から選択してよい:アミン系触媒、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ペンチレンジアミン、ネオペンチレンジアミン、ヘキシレンジアミン、ヘプチレンジアミン、ネオヘプチレンジアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N-ビス(3-(ジメチルアミノ)プロピル)-N-ジイソプロパノールアミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、メチルトリエチレンジアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ビス(N,N-ジメチル-3-アミノ-プロピル)アミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、1,1’-((3-(ジメチルアミノ)プロピル)アザンジイル)ビス(プロパン-2-オール)、2,4,6-トリジメチルアミノ-メチル)フェノール、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルブチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチル-ペンチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチル-ヘキシレンジアミン、N,N-ジメチルベンジルアミン、トリエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ジエチレントリアミン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、2-メチルプロパンジアミン、N,N’-ジエチルピペラジン、N,N’-ジメチルピペラジン、ピリジン、N,N’-ジメチルピリジン、キノリン、N,N’,N”-トリス(ジメチルアミノ-プロピル)sym-ヘキサヒドロトリアジン;グリシン塩;トリアルキルホスフィンおよびジアルキルベンジルホスフィンなどの三級ホスフィン;Be、Mg、Zn、Cd、Pd、Ti、Zr、Sn、As、Bi、Cr、Mo、Mn、Fe、Co、およびNiなどの金属と、アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、トリフルオロアセチルアセトン、アセト酢酸エチルなどから得ることができるものなどの様々な金属のキレート;塩化第二鉄および塩化第二スズなどの強酸の酸性金属塩;アルカリ金属、アルカリ土類金属、Al、Sn、Pb、Mn、Co、NiおよびCuなどの様々な金属を有する有機酸の塩;有機カルボン酸のスズ(II)塩、例えば、スズ(II)ジアセテート、スズ(II)ジオクタノエート、スズ(II)ジエチルヘキサノエートおよびスズ(II)ジラウレート、並びに有機カルボン酸のジアルキルスズ(IV)塩、例えば、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエートおよびジオクチルスズジアセテートなどの有機スズ化合物;有機カルボン酸のビスマス塩、例えば、オクタン酸ビスマス;三価および五価のAs、Sb、およびBiの有機金属誘導体、並びに鉄およびコバルトの金属カルボニル。このような触媒の例は、Huntsman Corporation製のJEFFCAT ZR-50などのJEFFCAT触媒として市販されている。触媒は、ポリオールブレンドの総重量を100pphpとした場合、8pphp以下、例えば0.5~7pphp、または0.8~6pphp、または1~5pphp、または2~4pphp、または2.1~3pphpの追加の含有量で存在し得る。
【0038】
ポリウレタンフォームを調製するためのプロセスは、離型剤、泡安定剤、粘着付与剤、可塑剤、レオロジー調整剤、UV吸収剤、光安定剤、共触媒、充填剤、着色剤、顔料、溶媒、希釈剤、難燃剤、滑り止め剤、帯電防止剤、防腐剤、殺生物剤、またはそれらの任意の組み合わせなどの追加の添加剤の使用をさらに含んでいてもよい。
【0039】
例えば、離型剤は、硬化したフォーム物品を容易に離型させるために注型工程の前に型の表面上に塗布してよい。離型剤は、型の表面上に噴霧し/注ぎ込み、続いて布で分散させることによって塗布してよい。例としては、低分子量炭化水素中に分散しているパラフィンワックス等の関連分野で一般に使用される市販の離型剤が挙げられ、具体例は、ChemTrend製のChemTrend PU 1705 Mである。
【0040】
本開示の粘弾性ポリウレタンフォームは、注型成形、射出成形、加圧成形、ダイ成形、フリーライズボックス発泡、スピンキャスト成形、およびスプレー発泡などの通常の技術を使用することによって調製することができ、バッチ式または連続式で手動または自動で製造および加工することができる。粘弾性ポリウレタンフォームを調製するための典型的なプロセスは、(i)イソシアネート化合物をポリオールブレンドと混合して反応性混合物を形成する工程、および(ii)反応性混合物を型に注型する工程、を含む。本開示の実施形態によれば、1つ以上の基材層は、ポリウレタンフォームの形成、発泡(起泡)、および硬化中にポリウレタンフォームに接着し、それにより、基材層上に支持された粘弾性ポリウレタンフォーム層を含む一体化積層構造体が生成されるように、型の底部に配置するなど、型内に予め配置しておいてもよい。基材の例としては、例えば、鋼板、アルミニウム板、銅板等の金属基材、およびこれらの任意の積層体または合金;EPDM層、PTFE層、PE層、およびPP層などのポリマー基材;ならびにビチューメンヘビー層(bitumen heavy layer)などの鉱物基材が挙げられる。
【0041】
本開示の任意の実施形態によれば、ポリウレタンフォームを調製するために使用される型は、薄肉型であってよい。本明細書で使用される場合、用語「薄肉型」は、浅いキャビティを有する型を指す。特に、薄い/浅いキャビティは、少なくとも5:1、例えば、5:1~50:1、または8:1~40:1、または10:1~20:1、または12:1~18:1の最長寸法:最短寸法比(例えば、矩形キャビティの長さ/厚さ比)、および約4:1~1:1、例えば、3:1~1:1、または2:1~1:1、または1.5:1~1:1の最長寸法:2番目に長い寸法比(例えば、矩形キャビティの長さ/幅比)を有し得る。いかなる特定の理論にも束縛されるものではないが、無欠陥ポリウレタンフォーム、特に無欠陥粘弾性ポリウレタンフォームをこのような薄肉型で調製することは極めて困難である。
【0042】
得られたフォームのスラブ材またはシートは、特定の用途の要件に従って所望の寸法にスライスおよびトリミングすることができる。スラブストック生産および成形方法のための加工装置および加工パラメータは、関連分野において一般的に知られている。例えば、種々の成分を、個別に、または種々のサブコンビネーションで、混合ヘッドまたは他の混合装置に導入し、そこで混合し、硬化される領域(トラフまたは他の開いた容器、または閉じた型など)に分注してもよい。多くの場合、特に成型フォームを作製する場合、ポリオール、アミン系触媒系、架橋剤、鎖延長剤(存在する場合)、ならびに界面活性剤(複数可)、発泡剤(複数可)、およびこれらの任意の組み合わせなどの任意の他の添加剤を含有する、配合されたポリオール成分を形成することが好都合である。次に、この配合されたポリオール成分をイソシアネート化合物(並びに配合されたポリオール成分に存在しない任意の他の成分)と接触させて発泡体を生成する。
【0043】
様々な成分または構成要素の一部または全てを混合前に加熱して、反応混合物を形成してもよい。他の例では、成分または構成要素を、ほぼ周囲温度(15~40℃など)で混合する。全ての成分を混合した後、反応混合物に熱を加えてもよいが、これは多くの場合において不要である。ポリウレタンポリマーの硬化を促進するための好適な条件としては、約20℃~約150℃、または約30℃~約120℃、または約35℃~約110℃、または約40℃~約50℃の温度が挙げられる。様々な実施形態では、硬化のための温度は、ポリウレタンポリマーがその温度で硬化するのに必要な持続時間に基づいて少なくとも部分的に選択され得る。硬化時間はまた、例えば、特定の成分(例えば、触媒およびその量)、並びに製造される物品のサイズおよび形状を含む他の要因に依存することになる。
【0044】
本開示の実施形態によれば、硬化反応によって形成されるポリウレタンフォーム製品は、5~200kg/m、例えば8~180kg/m、または10~160kg/m、または12~150kg/m、または15~140kg/m、または18~120kg/m、または20~100kg/m、または24~80kg/m、または30~60kg/m、または40~50kg/m、または上述の端点値のうちのいずれか2つを組み合わせることによって得られる数値範囲内の密度を有していてよい。
【0045】
上記の説明は、一般的であることを意図しており、本発明の全ての可能な実施形態を含むことを意図していない。同様に、以下の実施例は、例示のみを目的として提供されており、いかなるようにも本発明を規定または制限することを意図するものではない。当業者は、特許請求の範囲内の他の実施形態が、本明細書に開示される本発明の明細書および実施の検討から明らかになることを十分に認識するであろう。そのような他の実施形態は、特定の成分並びにそれらの構成および割合;混合および反応条件、容器、展開装置並びにプロトコル;性能および選択性;製品および副製品の識別;その後の加工および使用などの選択を含み得、当業者は、そのようなものが本明細書に添付の特許請求の範囲内で変化し得ることを認識するであろう。また、上に具体的に例示した実施形態のうちの任意の2つ以上を組み合わせることによってまたは上に具体的に例示した技術的特徴のうちの任意の2つ以上を組み合わせることによって得られる任意の実施形態も本開示の概念に含まれる。
【実施例
【0046】
ここで、本発明のいくつかの実施形態を、以下の実施例において説明する。しかしながら、本開示の範囲は、当然ながら、これらの実施例に示される配合に限定されない。むしろ、実施例は単に本開示の発明に関する。
【0047】
実施例で使用される原料の情報を以下の表1に列挙する。
【表1】
【0048】
パートA.ポリウレタンフォームの一般的な調製手順。
発明の実施例1~4および比較例1~11において、ポリウレタンフォームを以下の工程により調製した:表2および表3に示すポリオール、架橋剤、界面活性剤、触媒、および脱イオン水を混合して、ポリオール成分を得;イソシアネート1、イソシアネート2、およびイソシアネート3を「イソシアネート1:イソシアネート2:イソシアネート3=30:40:30」の比で混合してイソシアネート混合物を得、これを表2および表3に示す「イソシアネート」として用い;厚さを局所的に10mmに減少させる円形インサートを含む特定の不規則な形状を有する約500×1200×25mmの薄い開放型の内面上に少量の離型剤を噴霧し、拭き取り布で分散させ;ポリオール成分とイソシアネートとを組み合わせて反応性混合物を形成し、これを直ちに型に注型し;型内で120秒間反応性混合物を発泡および硬化させ、その間、型の温度を約45℃で維持し;次いで、硬化したポリウレタンフォームを離型し、特性評価のために取り出した。
【0049】
パートB.特性評価技術
フォームの振動減衰性能を、DIN 53426による減衰係数のパラメータを用いて認定し、実験結果を以下の表2および表3にまとめた。より低い減衰係数を有するフォームは、特に騒音抑制および振動減衰用の物品として最終的なフォームを使用している間に特定の共振周波数で強い共振ピーク(増幅現象)を示すので、0.25よりも高い減衰係数が望ましい。
【0050】
前述した型の面積を有する一面で直径1cm以上のボイドの個数をカウントし、以下の基準に従って審美性を点数化するために使用し、実験結果を以下の表2および表3にまとめた。
【表2】
【0051】
優れた審美性スコア5を有する発明の実施例1のポリウレタンフォームと、劣った審美性スコア1を有する比較例5によって調製されたポリウレタンフォームとを、それぞれ図1および図2に示した。型の不規則な形状が強調されており、円形の細い部分(厚さ10mmであるが、型の残りの部分は25mm)が右側にはっきり見える。図1図2との比較は、発明の実施例の審美的性能が改善されていることを明確に示す。少なくとも4の評点を与える配合物は、最終用途に有用であると考えられ、驚くほど良好な性能をもたらす。
【表3】
【表4】
【0052】
上記表2および表3から分かるように、第1、第2、および第3のポリエーテルポリオールの特別に設計されたブレンドを利用する発明の実施例は全て、優れた無欠陥の審美性能と良好な振動減衰性能との組み合わせを達成することに成功した。
【0053】
これに対して、第1~第3のポリエーテルポリオールのうちのいずれか1つを除外した比較例2、5、および8~11では、審美性および減衰性能のいずれも著しく低下する。比較例2および5のフォームは粘弾性ではなく、減衰係数は0.20未満であった。比較例8および9は、安定な粘弾性フォームパネルを生成することができず、著しい熱収縮が観察された。比較例10および11は、最も悪い減衰性能および望ましくない審美性能を示した。
【0054】
比較例1は、ポリオール4のヒドロキシル官能価が3であることを除いて第1のポリエーテルポリオールと全く同様である同量のポリオール4で第1のポリエーテルポリオールを置き換えることによって実施した。それにもかかわらず、このようなわずかな差は、審美性能の顕著な低下をもたらした。
【0055】
比較例3~4および6~7では、第1~第3のポリエーテルポリオールの相対比が、本開示のために特別に選択された数値範囲を超えるレベルに調整されており、そのような調整もまた、望ましくない減衰および審美性能をもたらすことが判明した。
図1
図2
【国際調査報告】