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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】流体製品吐出装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 11/00 20060101AFI20241108BHJP
   B05B 11/02 20230101ALI20241108BHJP
   B05B 9/047 20060101ALI20241108BHJP
   A61M 15/08 20060101ALI20241108BHJP
   A61M 11/08 20060101ALI20241108BHJP
   B65D 83/76 20060101ALN20241108BHJP
【FI】
A61M11/00 D
B05B11/02
B05B9/047
A61M15/08
A61M11/08
B65D83/76
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529201
(86)(22)【出願日】2022-11-22
(85)【翻訳文提出日】2024-07-04
(86)【国際出願番号】 FR2022052150
(87)【国際公開番号】W WO2023094760
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】2112457
(32)【優先日】2021-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502343252
【氏名又は名称】アプター フランス エスアーエス
【氏名又は名称原語表記】APTAR FRANCE SAS
【住所又は居所原語表記】Lieu-dit Le Prieure,27110 Le Neubourg,France
(74)【代理人】
【識別番号】110001900
【氏名又は名称】弁理士法人 ナカジマ知的財産綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】バイレット,マシュー
【テーマコード(参考)】
3E014
4F033
【Fターム(参考)】
3E014PA01
3E014PB01
3E014PB08
3E014PC17
3E014PD30
3E014PE08
3E014PE14
4F033RA06
4F033RD07
4F033RE02
4F033RE03
4F033RE19
(57)【要約】
流体製品吐出装置であって、2回分の流体製品を収容している容器(10)と、前記容器(10)内を摺動して流体製品を吐出する吐出部材(20)と、本体(30)と、中央部(90)と、容器(10)を収容する支持体(50)と、吐出ヘッド(40)と、前記本体(30)内で軸方向に移動可能であり、前記支持体(50)と係合して、当該装置の連続的な作動を実行する作動部材(60)と、前記中央部(90)上に形成された第1の押圧要素(33;93)および第2の押圧要素(33´;93´)と前記支持体(50)上に形成された第1の抵抗要素(53)および第2の抵抗要素(53´)を含むエネルギー蓄積手段と、を備え、前記第1の押圧要素(33;93)は、前記第1の抵抗要素(53)と係合して、1回目の用量の吐出中にエネルギーを蓄積するのに適したものであり、前記第2の押圧要素(33´;93´)は、前記第2の抵抗要素(53´)と係合して、2回目の用量の吐出中にエネルギーを蓄積するのに適したものであり、エネルギー蓄積手段は、各第1の押圧要素の能動部分が組み立て中に支持体と接触しないように製造され、各第2の押圧要素の能動部分が1回目の用量の吐出中に支持体と接触しないように製造される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体製品吐出装置であって、
2回分の流体製品を収容している容器(10)と、
前記容器(10)内に摺動可能に取り付けられ、前記流体製品を吐出するピストンなどの吐出部材(20)と、
本体(30)と、
前記本体(30)に固定された中央部(90)と、
前記容器(10)を収容する支持体(50)と、
吐出口(41)を有する吐出ヘッド(40)と、
前記本体(30)内で軸方向に移動可能であり、前記支持体(50)と係合して、前記中央部(90)に対して前記支持体(50)を移動させることにより、前記容器(10)内で前記吐出部材(20)を摺動させて、前記吐出口(41)を介して流体製品を吐出することにより、当該装置の連続的な作動を実行する作動部材(60)と、
各作動後に前記作動部材(60)をその開始位置に戻すように設けられた戻しバネ(70)と、
前記中央部(90)上に形成された第1の押圧要素(33;93)および第2の押圧要素(33´;93´)と、前記支持体(50)上に形成された第1の抵抗要素(53)および第2の抵抗要素(53´)とを含むエネルギー蓄積手段と、
を備え、
前記第1の押圧要素(33;93)は、前記第1の抵抗要素(53)と係合して、1回目の用量の吐出中にエネルギーを蓄積するのに適したものであり、
前記第2の押圧要素(33´;93´)は、前記第2の抵抗要素(53´)と係合して、2回目の用量の吐出中にエネルギーを蓄積するのに適したものであり、
各押圧要素(33、33´;93、93´)は、半径方向に変形可能なタブ(330、330´;930、930´)を備え、その軸方向下端部には、中央押圧領域(331、331´;931、931´)が設けられ、その軸方向下面は、作動中にそれぞれに対応する抵抗要素(53、53´)と接触し、
前記支持体(50)は、半径方向に対向する2つの縦方向プロファイルを備え、各縦方向プロファイルは、軸方向上縁を起点として、第1の変形プロファイル(55)、第1の窓(54)、第2の変形プロファイル(55´)および第2の窓(54´)を備え、
一方の縦方向プロファイルにおける前記第1の窓(54)は、前記第1の抵抗要素(53)を含み、他方の縦方向プロファイルにおける前記第2の窓(54´)は、前記第2の抵抗要素(53´)を含み、
前記各変形プロファイル(55、55´)は、軸方向に延び、下に向かうにつれて半径方向外側に広がるように傾斜した中央斜面(551、551´)を備え、前記中央斜面(551、551´)は、軸方向に真っ直ぐで一定の半径寸法を有する第1および第2の側部リブ(552、552´;553、553´)の間に配置され、
前記各中央押圧領域(331、331´;931、931´)は、第1の傾斜領域(332、332´;932、932´)と第2の傾斜領域(333、333´;933、933´)との間に配置されており、
組み立て中に前記支持体(50)が前記中央部(90)に対して軸方向に移動されるとき、各押圧要素(33、33´;93、93´)が対応する前記第1の変形プロファイル(55)と係合しつつ、前記各中央押圧領域(331、331´;931、931´)が前記支持体(50)と接触しないように構成されている
ことを特徴とする流体製品吐出装置。
【請求項2】
1回目の用量の吐出中に、前記支持体(50)が前記中央部(90)に対して軸方向に移動したとき、前記第2の押圧要素(33´、93´)は、その中央押圧領域(331´、931´)が前記支持体(50)と接触しないように、前記第2の変形プロファイル(55´)と係合する
ことを特徴とする請求項1に記載の流体製品吐出装置。
【請求項3】
前記第1および第2の抵抗要素(53、53´)は、前記支持体(50)上において軸方向にオフセットされた位置に配されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の流体製品吐出装置。
【請求項4】
前記第1の押圧要素(33;93)および第2の押圧要素(33´;93´)は、前記中央部(90)上において半径方向に対向配置されている
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の流体製品吐出装置。
【請求項5】
前記第1および第2の抵抗要素(53、53´)は、作動中に破壊される破壊可能なブリッジ、または作動中に変形する変形可能なビームによって形成されている
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の流体製品吐出装置。
【請求項6】
前記第1の押圧要素(33;93)および前記第2の押圧要素(33´;93´)は同一のものであり、
前記第1の押圧要素(33;93)は、一方の縦方向プロファイルと係合し、
前記第2の押圧要素(33´;93´)は、他方の縦方向プロファイルと係合する
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の流体製品吐出装置。
【請求項7】
前記第1の変形プロファイル(55)のそれぞれは、組み立て中に、対応する前記押圧要素(33、33´;93、93´)と係合し、
前記第2の変形プロファイル(55´)のそれぞれは、1回目の用量の吐出中に、対応する前記押圧要素(33、33´;93、93´)と係合する
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の流体製品吐出装置。
【請求項8】
前記各押圧要素(33、33´;93、93´)の半径方向内面(335)は、T字形状になっている
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の流体製品吐出装置。
【請求項9】
組み立て中に、前記中央押圧領域(331、331´;931、931´)は、対応する前記第1の変形プロファイル(55)の中央斜面(551)と係合でき、前記傾斜領域(332、333;932、933および332´、333´;932´、933´)は、対応する前記側部リブ(552、553)と係合できる
ことを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の流体製品吐出装置。
【請求項10】
1回目の用量の吐出中に、前記中央押圧領域(331、331´;931、931´)は、対応する前記第2の変形プロファイル(55)の前記中央斜面(551´)と係合でき、前記傾斜領域(332、333;932、933および332´、333´;932´、933´)は、対応する前記側部リブ(552´、553´)と係合できる
ことを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の流体製品吐出装置。
【請求項11】
組み立て中に、前記各押圧要素(33、33´;93、93´)の前記傾斜領域(332、333;332´、333´)は、対応する前記第1の変形プロファイル(55)の前記側部リブ(552、553)上を軸方向上縁から下方に摺動して、前記変形可能なタブ(330、330´;930、930´)を半径方向外側に変形させ、前記各中央押圧領域(331、331´;931、931´)は、最初に前記中央斜面(551)の最小直径を有する部分に面し、次に組み立てが進むにつれて半径方向外側に前記中央斜面(551)から遠ざかることによって、前記支持体(50)との接触を回避する
ことを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の流体製品吐出装置。
【請求項12】
1回目の用量の吐出中に、前記各押圧要素(33、33´;93、93´)の前記傾斜領域(332、333;332´、333´)は、対応する前記第2の変形プロファイル(55´)の前記側部リブ(552´、553´)上を軸方向上縁から下方に摺動して、前記変形可能なタブ(330、330´;930、930´)を半径方向外側に変形させ、前記各中央押圧領域(331、331´;931、931´)は、最初に前記中央斜面(551´)の最小直径を有する部分に面し、次に、1回目の用量の吐出が進むにつれて半径方向外側に前記中央斜面(551´)から遠ざかることによって、前記支持体(50)との接触を回避する
ことを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の流体製品吐出装置。
【請求項13】
組み立ての最後に、前記変形可能なタブ(330、330´;930、930´)が、対応する前記第1の窓(54)に嵌め込まれ、前記第1の押圧要素(33、93)は、前記第1の抵抗要素(53)に面する位置に配され、1回目の用量の吐出中にエネルギーを蓄積する
ことを特徴とする請求項1~12のいずれか1項に記載の流体製品吐出装置。
【請求項14】
1回目の用量の吐出終了時に、前記変形可能なタブ(330、330´;930、930´)が、対応する前記第2の窓(54´)に嵌め込まれ、前記第2の押圧要素(33´、93´)は、前記第2の抵抗要素(53´)に面する位置に配され、2回目の用量の吐出中にエネルギーを蓄積する
ことを特徴とする請求項1~13のいずれか1項に記載の流体製品吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビドース(bidose)タイプの流体製品、特に点鼻薬を吐出するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ビドースタイプの吐出装置とは、2回連続して作動させたときに2回分の用量の液体を吐出する装置である。ビドースタイプの装置は、従来技術でよく知られている。
【0003】
このような装置は一般に、吐出される2回分の用量の液体が入った容器と、一般にピストンであり、その容器内をスライド移動して容器内の流体を吐出するように取り付けられている吐出部材と、を含む。ピストンは、連続する作動ストロークで2回、移動し、1回目の作動中に第1の用量が吐出され、2回目の作動中に第2の用量が吐出される。
【0004】
このビドースタイプの装置では、2回分の用量を規定するための用量分離手段と、一般に、一定の力を加えることで装置の作動を可能にするエネルギー蓄積手段も設けられている。
【0005】
このようなエネルギー蓄積手段により、例えば保管中や輸送中などに、望ましくない、あるいは偶発的な作動を防止することが可能になる。また、作動時にユーザーの手で予備圧縮を生じさせることにより、作動ごとに用量のすべてを確実に吐出することができる。
【0006】
このようなエネルギー蓄積手段は、例えば、変形可能な可動要素または破壊可能な要素によって形成することができ、また、エネルギー蓄積手段により、作動に必要な力を事前に定義することが可能になり、したがって、装置からの排出時に生成されるスプレーのパラメータも事前に定義することが可能になる。
【0007】
しかし、装置の組み立て中および/または作動中に、エネルギー蓄積手段を損傷させる危険性がある。組み立て中に、エネルギー蓄積手段を形成する特定の要素が衝撃を受けて変形する可能性があり、その結果、エネルギー蓄積性能に影響を与える可能性がある。エネルギー蓄積手段に打ち勝って装置を作動させるのに必要な作動力のばらつきが増大し、用量吐出中のスプレーの特性にばらつきが生じる危険性がある。このようなばらつきは、特に用量吐出性能の再現性や安定性の点で望ましくない。
【0008】
2回目の吐出のために設けられたエネルギー蓄積手段についても同様の危険性が1回目の吐出の作動中に存在し、その第1回目の作動中に、そのエネルギー蓄積手段を変化させ得る衝撃を受ける可能性がある。米国特許出願公開第2010/0145275号明細書、米国特許出願公開第2016/0068326号明細書、米国特許第7681570号明細書には、先行技術の装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0145275号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2016/0068326号明細書
【特許文献3】米国特許第7681570号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記のような欠点を有しない流体製品吐出装置を提供することを目的としている。したがって、本発明は、使用前にエネルギー蓄積手段の完全性を保証する流体製品吐出装置を提供することを目的とする。
【0011】
本発明はまた、作動力のばらつきを低減し、各用量の吐出パラメータの再現性および安定性を向上させる流体製品吐出装置を提供することを目的とする。
【0012】
本発明はまた、製造および組み立てが簡単で安価な流体製品吐出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために、本発明に係る流体製品吐出装置は、2回分の流体製品を収容している容器と、前記容器内に摺動可能に取り付けられ、前記流体製品を吐出するピストンなどの吐出部材と、本体と、前記本体に固定された中央部と、前記容器を収容する支持体と、吐出口を有する吐出ヘッドと、前記本体内で軸方向に移動可能であり、前記支持体と係合して、前記中央部に対して前記支持体を移動させることにより、前記容器内で前記吐出部材を摺動させて、前記吐出口を介して流体製品を吐出することにより、当該装置の連続的な作動を実行する作動部材と、各作動後に前記作動部材をその開始位置に戻すように設けられた戻しバネと、前記中央部上に形成された第1の押圧要素および第2の押圧要素と、前記支持体上に形成された第1の抵抗要素および第2の抵抗要素とを含むエネルギー蓄積手段と、を備え、前記第1の押圧要素は、前記第1の抵抗要素と係合して、1回目の用量の吐出中にエネルギーを蓄積するのに適したものであり、前記第2の押圧要素は、前記第2の抵抗要素と係合して、2回目の用量の吐出中にエネルギーを蓄積するのに適したものであり、各押圧要素は、半径方向に変形可能なタブを備え、その軸方向下端部には、中央押圧領域が設けられ、その軸方向下面は、作動中にそれぞれに対応する抵抗要素と接触し、前記支持体は、半径方向に対向する2つの縦方向プロファイルを備え、各縦方向プロファイルは、軸方向上縁を起点として、第1の変形プロファイル、第1の窓、第2の変形プロファイルおよび第2の窓を備え、一方の縦方向プロファイルにおける前記第1の窓は、前記第1の抵抗要素を含み、他方の縦方向プロファイルにおける前記第2の窓は、前記第2の抵抗要素を含み、前記各変形プロファイルは、軸方向に延び、下に向かうにつれて半径方向外側に広がるように傾斜した中央斜面を備え、前記中央斜面は、軸方向に真っ直ぐで一定の半径寸法を有する第1および第2の側部リブの間に配置され、前記各中央押圧領域は、第1の傾斜領域と第2の傾斜領域との間に配置されており、組み立て中に前記支持体が前記中央部に対して軸方向に移動されるとき、各押圧要素が対応する前記第1の変形プロファイルと係合しつつ、前記各中央押圧領域が前記支持体と接触しないように構成されていることを特徴とする。
【0014】
有利には、1回目の用量の吐出中に、前記支持体が前記中央部に対して軸方向に移動したとき、前記第2の押圧要素は、その中央押圧領域が前記支持体と接触しないように、前記第2の変形プロファイルと係合する。
【0015】
有利には、前記第1および第2の抵抗要素は、前記支持体上において軸方向にオフセットされた位置に配されている。
【0016】
有利には、前記第1の押圧要素および第2の押圧要素は、前記中央部上において半径方向に対向配置されている。
【0017】
有利には、前記第1および第2の抵抗要素は、作動中に破壊される破壊可能なブリッジ、または作動中に変形する変形可能なビームによって形成されている。
【0018】
有利には、前記第1の押圧要素および前記第2の押圧要素は同一のものであり、前記第1の押圧要素は、一方の縦方向プロファイルと係合し、前記第2の押圧要素は、他方の縦方向プロファイルと係合する。
【0019】
有利には、前記第1の変形プロファイルのそれぞれは、組み立て中に、対応する前記押圧要素と係合し、前記第2の変形プロファイルのそれぞれは、1回目の用量の吐出中に、対応する前記押圧要素と係合する。
【0020】
有利には、前記各押圧要素の半径方向内面は、T字形状になっている。
【0021】
有利には、組み立て中に、前記中央押圧領域は、対応する前記第1の変形プロファイルの中央斜面と係合でき、前記傾斜領域は、対応する前記側部リブと係合できる。
【0022】
有利には、1回目の用量の吐出中に、前記中央押圧領域は、対応する前記第2の変形プロファイルの前記中央斜面と係合でき、前記傾斜領域は、対応する前記側部リブと係合できる。
【0023】
有利には、組み立て中に、前記各押圧要素の前記傾斜領域は、対応する前記第1の変形プロファイルの前記側部リブ上を軸方向上縁から下方に摺動して、前記変形可能なタブを半径方向外側に変形させ、前記各中央押圧領域は、最初に前記中央斜面の最小直径を有する部分に面し、次に組み立てが進むにつれて半径方向外側に前記中央斜面から遠ざかることによって、前記支持体との接触を回避する。
【0024】
有利には、1回目の用量の吐出中に、前記各押圧要素の前記傾斜領域は、対応する前記第2の変形プロファイルの前記側部リブ上を軸方向上縁から下方に摺動して、前記変形可能なタブを半径方向外側に変形させ、前記各中央押圧領域は、最初に前記中央斜面の最小直径を有する部分に面し、次に、1回目の用量の吐出が進むにつれて半径方向外側に前記中央斜面から遠ざかることによって、前記支持体との接触を回避する。
【0025】
有利には、組み立ての最後に、前記変形可能なタブが、対応する前記第1の窓に嵌め込まれ、前記第1の押圧要素は、前記第1の抵抗要素に面する位置に配され、1回目の用量の吐出中にエネルギーを蓄積する。
【0026】
有利には、1回目の用量の吐出終了時に、前記変形可能なタブが、対応する前記第2の窓に嵌め込まれ、前記第2の押圧要素は、前記第2の抵抗要素に面する位置に配され、2回目の用量の吐出中にエネルギーを蓄積する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明の特徴、利点および他の事項は、非限定的な例として以下に示す詳細な説明および添付の図面を参照することにより、さらに明らかになる。
図1】第1の有利な実施形態に係る流体製品吐出装置の概略断面図であり、1回目の用量を吐出する前の様子を示す図である。
図2】第1の有利な実施形態に係る流体製品吐出装置の概略断面図であり、1回目の用量を吐出した後の様子を示す図である。
図3】第1の有利な実施形態に係る流体製品吐出装置の概略断面図であり、2回目の用量を吐出する前の様子を示す図である。
図4】第1の有利な実施形態に係る流体製品吐出装置の概略断面図であり、2回目の用量を吐出した後の様子を示す図である。
図5図1図4に示す装置の本体の概略側面斜視図である。
図6図5に示す本体の概略底面斜視図である。
図7図5図6に示す本体に固定された第1の押圧要素の概略部分斜視図である。
図8図1図4に示す装置の支持体の概略側面図である。
図9図1図4に示す装置の支持体の概略側面図である。
図10】支持体を本体に組み付ける際の概略図である。
図11図10に示す部分の拡大詳細図である。
図12】組み立て中における押圧要素の位置を示す拡大詳細図である。
図13】組み立て中における押圧要素の、上記とは異なる位置を示す拡大詳細図である。
図14】組み立て中における押圧要素の、上記とはさらに異なる位置を示す拡大詳細図である。
図15】組み立て中における押圧要素の、上記とはさらに異なる位置を示す拡大詳細図である。
図16】第2の有利な実施形態に係る流体製品吐出装置の概略断面図であり、1回目の用量を吐出する前の様子を示す図である。
図17】第2の有利な実施形態に係る流体製品吐出装置の概略断面図であり、1回目の用量を吐出した後の様子を示す図である。
図18】第2の有利な実施形態に係る流体製品吐出装置の概略断面図であり、2回目の用量を吐出する前の様子を示す図である。
図19】第2の有利な実施形態に係る流体製品吐出装置の概略断面図であり、2回目の用量を吐出した後の様子を示す図である。
図20図1図4に示す装置の中央部の概略底面斜視図である。
図21図20に示す本体に固定された第1の押圧要素の概略部分斜視図である。
図22図16図19に示す装置の支持体の概略側面図である。
図23図16図19に示す装置の支持体の概略側面図である。
図24】支持体を中央部に組み付ける際の概略図である。
図25図24に示す部分の拡大詳細図である。
図26】組み立て中における押圧要素の位置を示す拡大詳細図である。
図27】組み立て中における押圧要素の、上記とは異なる位置を示す拡大詳細図である。
図28】組み立て中における押圧要素の、上記とはさらに異なる位置を示す拡大詳細図である。
図29】組み立て中における押圧要素の、上記とはさらに異なる位置を示す拡大詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下の説明では、用語「軸方向」および「半径方向」は、流体製品吐出装置の長手方向の中心軸に対する方向を表す。用語「上」、「下」、「上部」および「下部」は、図1図4および図16~19に示す当該装置が直立した姿勢をとったときの位置を表す。
【0029】
本発明は、ビドース、すなわち連続した2回の作動により2回分の用量の流体製品を吐出する装置における2つの実施形態を参照して以下に説明される。しかし、図面に示されるビドースタイプの装置は、本発明が適用される可能な実施形態の一例にすぎない。本発明は、2回分の用量を含む任意のタイプの一般的な装置に適用されることが理解される。
【0030】
図面を参照するに、ビドースタイプの吐出装置は、2回分の用量の流体を収容する容器10を備える。ピストン20などの吐出部材が、容器10内に摺動可能に取り付けられている。ピストン20は、図1図16に示す装置の作動前の位置において、容器10の内容物を隔離するストッパーして機能する。
【0031】
本体30は、容器10に対して軸方向に移動可能に容器10上に組み付けられている。特に、容器10に対する本体30の軸方向の移動により、容器10内でピストン20が移動して、その結果、容器10内の流体製品が吐出される。
【0032】
本体30には、吐出ヘッド40が組み付けられている。吐出ヘッド40は、穿孔チップ44から吐出ヘッド40の吐出口41まで延びる吐出チャネル43を含む。吐出口41の上流側には、流体製品をスプレーの形態で吐出するための、公知のスプレープロファイル(不図示)を設けることができる。
【0033】
吐出ヘッド40の周囲に、吐出ヘッド40の鼻孔への挿入を制限し、および/またはこの挿入の方向を定めるための鼻当て部材49を配置することができる。
【0034】
図1図15に示す第1の実施形態では、吐出ヘッド40が本体30に組み立てられて固定されているが、図16図29に示す第2の実施形態では、吐出ヘッド40と本体30とが単一の一体部品で形成されている。
【0035】
本体30には中央部90が設けられており、中央部90には、以下にさらに詳細に説明するようにエネルギー蓄積手段が組み込まれている。
【0036】
図1図15に示す第1の実施形態では、中央部90が本体30と一体部品で形成されているが、図16図29に示す第2の実施形態では、中央部90が本体30に固定されている。
【0037】
容器10は、支持体50内に固定されており、それゆえ支持体50は、容器10とともに一体で移動する。
【0038】
本体30は、作動部材60と係合するのに適した下側スカート32を備える。指当て部80は、本体30および/または吐出ヘッド40上に形成される。または、変形例では、指当て部80を本体30および/または吐出ヘッド40上に組み立て可能とすることができる。
【0039】
作動部材60は、装置の連続的な作動を実行するために、本体30の下側スカート32内で軸方向に移動可能である。作動部材60は、連続的な作動を実行するために、支持体50の突起51、52と係合するのに適した少なくとも1つの傾斜タブ61を備える。
【0040】
作動部材60と、本体30および/または吐出ヘッド40との間に、少なくとも1つの戻しバネ70が取り付けられており、戻しバネ70は、各作動後に作動部材60をその開始位置に戻す。図示の例では、2つの平行なバネ70が示されているが、任意の数のバネを実装することも可能である。
【0041】
各図に示す装置の動作は、以下の通りである。
【0042】
図1および図16に示す静止位置では、ピストン20は、容器10の内容物を大気から隔離する。
【0043】
ユーザーが指当て部80に対して作動部材60を押し込むと、作動部材60が本体30の下側スカート32の内側で上方に移動する。これにより、支持体50の肩部51が作動部材60のタブ61により押され、支持体50が軸方向上方に押し上げられる。これにより、戻しバネ70が圧縮され、容器10が本体30に対して移動する。
【0044】
容器10が本体30に対して移動し始めると、吐出チャネル43の穿孔チップ44がピストン20を貫通して、容器10の内部が吐出チャネル43と連通する。
【0045】
作動が継続されると、容器10内でピストン20が移動し、1回目の用量が吐出される。このように容器10内の流体製品は、ピストン20によって穿孔チップ44を通って吐出チャネル43内に押し込まれ、その後、スプレープロファイル39を経由して、吐出口41から装置の外に排出される。
【0046】
1回目の用量の吐出後、装置は、図2および図17に示す位置にあり、ユーザーが作動部材60を解放すると、バネ70が作動部材60を開始位置に戻す。
【0047】
作動部材60が開始位置に戻る間、容器10と支持体50は、本体30内に維持されたままになるため、後方へは戻らない。有利には、支持体50および/または容器10の戻りを防止するための戻り防止手段が設けられる。
【0048】
作動部材60が戻しバネ70の作用下でその静止位置に戻ると、タブ61が支持体50の第2の突起52よりも下に位置することになる。これにより、ユーザーは、装置をもう一度作動させて、2回目の用量の液体製品を吐出することができる。
【0049】
図3図18は、2回目の用量の吐出前における作動部材の位置を表し、図4図19は、2回目の用量の吐出後における作動部材の位置を表す。
【0050】
この装置は、複数のエネルギー蓄積手段を備えている。第1のエネルギー蓄積手段は、1回目の容量に対して設けられ、第2のエネルギー蓄積手段は、2回目の用量に対して設けられている。
【0051】
図1図15に示す第1の実施形態では、本体30に固定された中央部90は、本体30と一体部品で作られており、吐出ヘッド40は、その本体30に固定されている。図16図29に示す第2の実施形態では、吐出ヘッド40が本体30と一体部品で作られており、中央部90は、その本体30に固定されている。
【0052】
第1のエネルギー蓄積手段は、支持体50上に形成された第1の抵抗要素53を備え、中央部90上に形成された、対応する第1の押圧要素33、93と係合する。
【0053】
第2のエネルギー蓄積手段は、支持体50上に形成された第2の抵抗要素53´を備え、中央部90上に形成された、対応する第2の押圧要素33´、93´と係合する。
【0054】
第1の抵抗要素53と第2の抵抗要素53´は、支持体50上において軸方向にオフセットされた位置に配されている。第1の押圧要素33、93と、第2の押圧要素33´、93´とは、中央部90上において半径方向に対向配置されている。
【0055】
支持体50は、半径方向に対向して配置されている2つの縦方向プロファイルを備える。それぞれの縦方向プロファイルは、軸方向上縁を起点として第1の変形プロファイル55、第1の窓54、第1の変形プロファイル55と実質的に同一の第2の変形プロファイル55´および第2の窓54´を備える。
【0056】
それぞれの縦方向プロファイルは、その窓54、54´のうちの一方のみに、その窓に対応する、単一の抵抗要素53または53´を備える。
【0057】
したがって、第1の縦方向プロファイルがその第1の窓54内に第1の抵抗要素53を備える場合、その第2の窓54´には、抵抗要素が存在しない。この場合、他方の第2の縦方向プロファイルは、その第2の窓54´内に第2の抵抗要素53´を備え、その第1の窓54には、抵抗要素が存在しないことになる。
【0058】
抵抗要素53、53´は、作動中に破壊される破壊可能なブリッジによって、または作動中に変形する変形可能なビームによって形成することができる。
【0059】
縦方向プロファイルのそれぞれごとに、第1の変形プロファイル55と第2の変形プロファイル55´は、有利には同一であり、第1の変形プロファイル55は、中央斜面551を備え、第2の変形プロファイル55´は、中央斜面551´を備える。
【0060】
中央斜面551は、半径方向の寸法が一定の第1と第2の側部リブ552、553の間に配置され、中央斜面551´は、半径方向の寸法が一定の第1と第2の側部リブ552´と553´の間に配置されている。それぞれの中央斜面551、551´は、軸方向に延び、下に向かうにつれて半径方向外側に広がるように傾斜している。このことは、特に図8から見てとることができる。
【0061】
第1の押圧要素33、93および第2の押圧要素33´、93´は、同一のものであり、第1の押圧要素33、93は、第1の縦方向プロファイルと係合し、第2の押圧要素33´、93´は、第2の縦方向プロファイルと係合する。
【0062】
押圧要素が2つの実施の形態で同じものであるため、以下の説明では、押圧要素33、33´を備えた図1図15に示す第1の実施の形態を参照して行われる。この説明が、押圧要素93、93´を備えた図16図29に示す第2の実施の形態でも同様に適用される。
【0063】
各押圧要素33、33´は、半径方向に変形可能なタブ330、330´を備え、その軸方向下端には、中央押圧領域331、331´が設けられており、その軸方向下面が作動中にそれぞれに対応する抵抗要素53、53´と接触する。
【0064】
したがって、組み立て中に2つの中央押圧領域331、331´の完全性を保証するには、組み立て中に衝撃を受けないことが望ましい。同様に、1回目の用量の吐出中に第2の中央押圧領域331´の完全性を保証するには、この1回目の吐出中に第2の中央押圧領域が衝撃を受けないことが望ましい。
【0065】
第1の変形プロファイル55のそれぞれは、組み立て中に、対応する押圧要素33、33´と係合し、第2の変形プロファイル55´のそれぞれは、第1の用量の吐出中に、対応する押圧要素33、33´と係合する。
【0066】
図7に示すように、各中央押圧領域331、331´は、第1の傾斜領域332、332´と、第2の傾斜領域333、333´との間に配置されている。有利には、各押圧要素33、33´の半径方向内面335は、T字形状を有する。
【0067】
組み立て中、中央押圧領域331、331´のそれぞれは、対応する中央斜面551と係合し、傾斜領域332、333は、一方の変形プロファイル55の側部リブ552、553と係合し、傾斜領域332´、333´は、他方の変形プロファイル55の側部リブ552、553と係合する。
【0068】
したがって、本体30内の支持体50の組み立ての様子を示す図10図15に見られるように、各押圧要素33、33´の傾斜領域332、333および332´、333´は、側部リブ552、553上を軸方向上縁から下方に摺動して、変形可能なタブ330、330´を半径方向外側に変形させる。
【0069】
これにより、各中央押圧領域331、331´は、最初に各中央斜面551の最小直径を有する部分に面し、次に組み立てが進むにつれて半径方向外側に中央斜面551から遠ざかることによって、支持体50との接触を回避する。
【0070】
図15に示すように、組み立ての最後に、変形可能なタブ330、330´がそれぞれに対応する第1の窓54にスナップ留めされ、これにより、第1の押圧要素33が第1の抵抗要素53に面する位置に配置され、1回目の用量の吐出中にエネルギーの蓄積が可能になる。
【0071】
中央押圧領域331は、組み立て中に支持体50と接触していないので、このエネルギーの蓄積は、設計された仕様に完全に適合することになる。
【0072】
第2の変形プロファイル55´は、第1の変形プロファイル55と同一であるため、1回目の用量が吐出される場合も上記の組み立て中と同様に、1回目の吐出の後、第2の押圧要素33´が、第2の抵抗要素53´に面する位置に配置され、これにより、2回目の用量の吐出中にエネルギーの蓄積が可能になる。
【0073】
中央押圧領域331´は、組み立て中も、1回目の用量の吐出中にも、支持体50と接触していないので、2回目の用量の吐出中におけるエネルギーの蓄積は、設計された仕様に完全に適合する。
【0074】
上記では、本発明を2つの実施の形態を参照して説明したが、これらは限定的なものではなく、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、それにいくつかの有用な変更を加えることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
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図24
図25
図26
図27
図28
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【国際調査報告】