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▶ ピルキントン グループ リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】耐火グレージング
(51)【国際特許分類】
   C03C 27/12 20060101AFI20241108BHJP
【FI】
C03C27/12 P
C03C27/12 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529282
(86)(22)【出願日】2022-11-14
(85)【翻訳文提出日】2024-06-26
(86)【国際出願番号】 GB2022052888
(87)【国際公開番号】W WO2023084247
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】2116443.9
(32)【優先日】2021-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591229107
【氏名又は名称】ピルキントン グループ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100225060
【弁理士】
【氏名又は名称】屋代 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ゲルド ムンドリー
(72)【発明者】
【氏名】マサイアス オース
【テーマコード(参考)】
4G061
【Fターム(参考)】
4G061AA02
4G061AA06
4G061AA28
4G061BA01
4G061CB03
4G061CB18
4G061CB20
4G061CD02
4G061CD18
4G061DA09
(57)【要約】
耐火グレージングは、少なくとも3つの透明プライと少なくとも2つの透明耐火層とを備え、各耐火層は、2つのプライの中間層であり、各外側プライは、少なくとも1つの内側プライの曲げ剛性よりも1.5~15倍大きい曲げ剛性を有する。一態様では、各外側プライは、少なくとも1つの内側プライの厚さよりも0.20mm~16.00mm大きい厚さを有する。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも3つの透明プライと少なくとも2つの透明耐火層との積層体を備え、各耐火層は、2つのプライの中間層であり、各外側プライは、少なくとも1つの内側プライの曲げ剛性よりも1.5~15倍大きい曲げ剛性を有する、耐火グレージング。
【請求項2】
各外側プライは、少なくとも1つの内側プライの厚さよりも0.20mm~16.00mm大きい厚さを有する、請求項1に記載の耐火グレージング。
【請求項3】
各外側プライは、3.00mmより大きい、例えば3.50mmまたは4.00mmの、厚さを有する、請求項1または2に記載のグレージング。
【請求項4】
各内側プライは、1.50mm~3.00mm、例えば2.50mm~3.00mmの、厚さを有する、請求項1から3のいずれか一項に記載のグレージング。
【請求項5】
各耐火層は、0.50mm~12.00mm、例えば1.20mm~4.00mm、の厚さを有する、請求項1から4のいずれか一項に記載のグレージング。
【請求項6】
前記外側プライは、同じ厚さを有する、請求項1から5のいずれか一項に記載のグレージング。
【請求項7】
前記内側プライは、同じ厚さを有する、請求項1から6のいずれか一項に記載のグレージング。
【請求項8】
前記耐火層は、同じ厚さを有する、請求項1から7のいずれか一項に記載のグレージング。
【請求項9】
少なくとも1つの耐火層は、任意の他の耐火層の厚さと異なる厚さを有する、請求項1から7のいずれか一項に記載のグレージング。
【請求項10】
少なくとも1つの耐火層は、少なくとも1つの他の耐火層の厚さの2倍の厚さを有する、請求項1から7のいずれか一項に記載のグレージング。
【請求項11】
各プライは、ガラス板を備える、請求項1から10のいずれか一項に記載のグレージング。
【請求項12】
前記ガラスは、フロートガラスである、請求項11に記載のグレージング。
【請求項13】
各耐火層は、20%以上の含水率を有する材料を備える、請求項1から12のいずれか一項に記載のグレージング。
【請求項14】
各耐火層は、ヒドロゲルを備える、請求項1から13のいずれか一項に記載のグレージング。
【請求項15】
各耐火層は、膨張性材料を備える、請求項1から14のいずれか一項に記載のグレージング。
【請求項16】
前記耐火層は、ポリオール、多糖類またはコラーゲンなどの有機冷却材料をさらに備える、請求項13から15のいずれか一項に記載のグレージング。
【請求項17】
少なくとも4つのプライ、少なくとも2つの耐火プライおよび少なくとも1つの透明プラスチックフィルムを備え、前記プラスチックフィルムは、2つのプライの中間層でもある、請求項1から16のいずれか一項に記載のグレージング。
【請求項18】
前記少なくとも1つのプラスチックフィルムは、ポリビニルアセタール、アイオノマー、ポリエチレン酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリカーボネートまたはアクリル樹脂のうちの1つ以上を備える、請求項17に記載のグレージング。
【請求項19】
前記少なくとも1つのプラスチックフィルムは、0.10mm~10.00mmの厚さを有する、請求項17または18に記載のグレージング。
【請求項20】
少なくとも1つのプラスチックフィルムは、外側プライまたは最内側プライに接触している、請求項17から19のいずれかに記載のグレージング。
【請求項21】
65.00mm未満の全厚を有する、請求項1から20のいずれか一項に記載のグレージング。
【請求項22】
請求項1から20のいずれか一項に記載の耐火グレージングを備える、防火グレージングシステム用の製品。
【請求項23】
EN 13501-2、IMO A.754(18)、またはEN 45545.3に準拠する、請求項21に記載の製品。
【請求項24】
請求項1から23のいずれか一項に記載の1つ以上の耐火グレージングまたは製品を含む、防火グレージングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、従来の耐火グレージングと比較して耐火性能が向上した耐火グレージングに関する。
【背景技術】
【0002】
耐火グレージングは、少なくとも2つの透明プライと少なくとも1つの透明耐火層との積層体を備え得、各耐火層は、2つのプライの間の中間層として配置される。
【0003】
通常、積層体の透明プライの各々は、フロートガラス板またはポリカーボネートなどの有機材料の透明シートを備え、透明耐火層の各々は、グレージングが火にさらされると膨張または発泡(膨張)して、高温のガスおよび火炎の通過、同様に熱伝導および放射に対して耐性のある、バリア層を形成する、無機膨張材料を備える。
【0004】
膨張には、しばしば冷却効果と膨張材料からの水蒸気の放出が伴し、その両方がグレージングを通る熱伝導を減らす働きをする。
【0005】
これらの耐火グレージングは、耐火グレージングに高い耐衝撃性を与えるために、安全グレージングが設けられることがある。通常、安全グレージングは、2つのガラス板と、ガラス板を共に接着する透明プラスチックフィルムと、を備える積層体である。
【0006】
現在、これらの耐火グレージングは、さまざまな防火グレージングシステムおよびさまざまな場所で使用されている。
【0007】
商品名Pyrostop(登録商標)およびPyrodur(登録商標)で販売されている耐火グレージングは、膨大な数のドアおよび壁の間仕切り、傾斜または水平の屋根または床に取り付けられ得る。これらは、建物のファサードとしても使用され得る。
【0008】
Pyrostop(登録商標)TおよびPyrodur(登録商標)Tとして知られるものなどの、強化ガラス板を採用した耐火グレージングは、船の隔壁または船壁中に広く使用されている。これらは、船体の内部でも使用され得る。
【0009】
これらの耐火グレージングを含む防火グレージングシステムは、関連する建物、鉄道、および/または海事当局の耐火分類を満たさなければならない一方で、火災に対する保護を向上させる必要が常にある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、概して、従来の耐火グレージングと比較して改善された耐火性能を有する耐火グレージングを提供することによって、この必要性に対処することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって、第1の態様では、本発明は、少なくとも3つの透明プライと少なくとも2つの透明耐火層との積層体を備える耐火グレージングを提供し、各耐火層は、2つのプライの中間層であり、各外側プライは、少なくとも1つの内側プライの曲げ剛性よりも1.5~15倍大きい曲げ剛性を有する。
【0012】
本明細書におけるプライの曲げ剛性への言及は、単一プライ、つまりグレージングの一部を形成しないプライの曲げ剛性への言及である。
【0013】
曲げ剛性Kは、方程式K=E.Iから計算され得、Eは、プライの材料の弾性率であり、Iは、その幅寸法に平行な重心軸の周りのプライの断面二次モーメントである。
【0014】
プライの断面二次モーメントIは、重心軸からの要素領域の垂直距離の2乗の合計によって得られる第2の断面モーメントであることに留意されたい。
【0015】
規則的な幾何学的形状のエッジ(厚さ)プロファイルを有するプライの場合、第2の面積モーメントは、建築、エンジニアリングおよび製造技術に関する参考文献(Lexikon der gesamten Technikなど)に見られる標準公式から決定され得る。
【0016】
長方形のエッジプロファイルを有するプライの場合、その幅寸法に平行なプライの重心軸の周りの第2の断面二次モーメントIは、式bh/12を有し、bは、プライの幅であり、hは、プライの厚さである。
【0017】
いくつかの実施形態では、各外側プライの曲げ剛性は、少なくとも1つの内側プライの曲げ剛性よりも3倍~10倍、例えば5倍または8倍、大きい。
【0018】
他の実施形態では、各外側プライの曲げ剛性は、各内側プライの曲げ剛性よりも3倍~10倍、例えば5倍または8倍、大きい。
【0019】
プライの相対的な曲げ剛性は、プライの弾性率、エッジプロファイル形状、および厚さのうちの1つ以上を適切に選択することによって取得し得ることが理解されるであろう。
【0020】
ガラスの弾性率は非常に広範囲の値(つまり、数桁の規模)で変化し得、多くの場合、ガラスの製造方法に依存することに留意されたい。強化されたガラスは、強化されていないガラスの弾性率とはかなり異なる弾性率を有し得る。
【0021】
1つの選択では、プライは、同じエッジプロファイルおよび厚さを有するが、各外側プライは、少なくとも1つまたは各内側プライの弾性率より適切に大きい弾性率を有する。
【0022】
各外側プライは、同じガラスを備え得、または1つのプライが他の外側プライのものとは異なるガラスを備え得る。さらに、各内側プライは、各外側プライのものとは異なる、同じガラスを備え得、あるいは1つ以上の内側プライは、各外側プライおよび任意の他の内側プライのものとは異なる、ガラスを備え得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、各外側プライは、強化フロートガラス板を備え、各内側プライは、非強化フロートガラス板を備える。
【0024】
他の実施形態では、各外側プライは、フロートガラス板を備え、各内側プライは、ポリカーボネートシートを備え、各外側プライのフロートガラスは、少なくとも1つまたは各内側層の弾性率とは適切に異なる弾性率を有する。
【0025】
別の選択では、各プライは、同じ厚さおよび同じ弾性率を有するが、各外側プライのエッジプロファイルは、少なくとも1つのまたは各内側プライのエッジプロファイルとは適切に異なる。
【0026】
エッジプロファイルは、直線、三角形、円形、半円形、正台形、六角形、円環、楕円環、長方形のボックス断面、角状、プラス状、I字形、T字形、またはU字形のプロファイルであり得る。
【0027】
ここで、プライの長さ方向の少なくとも1つの表面は平坦であることが好ましいが、曲状、傾斜状、または凹状表面も可能であることに留意されたい。
【0028】
さらに別の選択では、耐火グレージングは、同じ材料およびエッジプロファイルのプライを備え、各外側プライの厚さは、少なくとも1つのまたは各々の内側プライの厚さと適切に異なる。
【0029】
この選択は、フロートガラス板が広く入手可能であることを考えると便利であるだけでなく、そのようなガラス板(直線的なエッジプロファイルを有する)の曲げ剛性は、ガラス板の厚さにおけるわずかな増加でも(3乗に)大きく増加するため、望ましいものでもある。
【0030】
さらに別の選択では、耐火グレージングは、各外側プライの曲げ剛性が少なくとも1つの内側ガラス板の曲げ剛性より適切に大きいという条件で、異なるエッジプロファイル、厚さ、および異なる材料を有するプライを備え得る。
【0031】
任意の選択において、各外側プライは、少なくとも1つの内側プライまたは各プライの厚さよりも0.20mm~10.00mm大きい厚さを有し得る。
【0032】
したがって、本発明は、少なくとも3つの透明プライと少なくとも2つの透明耐火層との積層体を備える耐火グレージングをも提供し、各耐火層は、2つのプライの中間層であり、各外側プライは、少なくとも1つの内側プライの厚さよりも0.20mm~16.00mm大きい厚さを有することに留意されたい。
【0033】
耐火グレージングは、特に、nつのプライおよびn-1つのプライの耐火層を有し得、nは、3~15の間の整数、例えば、4、7、11または13である。
【0034】
いくつかの実施形態では、耐火グレージングは、4つのプライおよび3つの耐火層、5つのプライおよび4つの耐火層、6つのプライおよび5つの耐火層、7つのプライおよび6つの耐火層、8つのプライおよび7つの耐火層または9つのプライおよび8つの耐火層を有する。
【0035】
各外側プライの厚さは、少なくとも1つの内側プライの厚さよりも、0.50mm~5.00mm、例えば、1.00mm、1.50mm、または3.00mm、大きい場合があり得る。
【0036】
さらに、各外側プライの厚さは、各内側プライの厚さよりも、0.50mm~5.00mm、例えば1.00mm、1.50mm、または3.00mm、大きい場合があり得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、各外側プライは、3.00mmより大きい、例えば4.00mmの厚さを有する。これらの実施形態では、各内側プライは、1.50mm~3.00mm、例えば2.50mm~3.00mmの厚さを有し得る。
【0038】
各プライが均一な厚さである必要はなく、その平均厚さが所定の値に対応することだけが必要であることに留意されたい。
【0039】
好ましい実施形態では、耐火グレージングは、65mm未満の全厚を有する。
【0040】
いくつかの実施形態では、各外側プライは、同じ厚さを有する。さらに、各内側プライは、同じ厚さを有する。あるいは、1つ以上の内側プライは、別の内側プライの厚さよりも薄い厚さを有する。
【0041】
他の実施形態では、一方の外側プライは、他方の外側プライの厚さよりも大きい厚さを有する。さらに、各内側プライは同じ厚さを有する。あるいは、1つ以上の内側プライは、別の内側プライの厚さよりも薄い厚さを有する。
【0042】
好ましい実施形態では、各プライは、同じ弾性率および直線エッジプロファイルのフロートガラス板を備える。各外側ガラス板は、少なくとも1つまたは各内側ガラス板の厚さよりも大きい厚さを有する。
【0043】
本発明の実施に適した無機ガラスとしては、アルカリケイ酸ガラス、アルカリホウケイ酸ガラスおよびアルカリアルミノケイ酸ガラス、ならびに日本電気硝子社によって商品名Firelite(登録商標)で販売されているようなセラミックガラスが挙げられる。
【0044】
適切な有機ガラスには、Perspex(登録商標)を含む多くの商品名で販売されているポリカーボネートおよびポリ(メチルメタクリレート)が含まれる。
【0045】
1つのまたは各々の外側プライは、その外面に反射防止コーティングまたは自己洗浄コーティングを有し得る。1つのまたは各々の内側プライは、その外側に面する表面および/またはその内側に面する表面に低放射率コーティングを有し得る。
【0046】
ここで、反射防止膜を有するフロートガラス板は、Optiview(商標)という商品名で販売されており、自己洗浄膜を有するフロートガラス板は、Activ(登録商標)およびSaniTise(商標)という商品名で販売されていることに留意されたい。低放射率コーティングを有するフロートガラス板は、K Glass(商標)という商品名で販売されている。
【0047】
耐火層は、当技術分野で使用される任意の耐火材料を含み得る。好ましくは、耐火材料は、少なくとも20重量%の水を含む。
【0048】
耐火材料は、水酸化アルミニウムまたはポリアクリレートをベースとするヒドロゲルを含み得る。しかしながら、好ましくは、材料は、水ガラスなどの膨張性材料を含む。水ガラスは、特に、ナトリウム水ガラス、カリウム水ガラス、またはリチウム水ガラスであり得る。
【0049】
適切なナトリウム水ガラスとしては、SiO2:Na2Oの重量比が少なくとも1.6:1.0であるケイ酸ナトリウム(SiO2:Na2O)水ガラスが挙げられ、好ましくはその重量比が2.0:1.0~6.0:1.0、例えば4.0:1.0であるものである。
【0050】
他の適切なナトリウム水ガラスには、ナトリウムイオンがカリウムイオンおよび/またはリチウムイオンによって部分的に置換されているようなケイ酸ナトリウム(SiO2:Na2O)をベースとするものが含まれる。
【0051】
これらの水ガラス中のナトリウムイオン対カリウムおよび/またはリチウムイオンのモル比は少なくとも2:1、特に1.4:1.0~2.5:1.0の範囲であり得る。
【0052】
水ガラスがケイ酸ナトリウムとケイ酸カリウムの混合物を含む一実施形態では、ナトリウムイオン対カリウムイオンのモル比は、少なくとも4.0:1.0である。
【0053】
ナトリウム水ガラスを含む耐火層は、アルカリ金属ケイ酸塩、および必要に応じて、蒸発中に冷却剤として機能する、グリセロールまたはジエチレングリコールなどのポリオール、アクリレート、セルロースもしくはデンプンなどの多糖類、またはゼラチンなどのコラーゲンを含む、水溶液の制御された蒸発(「注入および乾燥」)によってプライ上に提供され得る。
【0054】
適切なカリウム水ガラスとしては、国際公開第2008/053247号に記載されているような比較的低い含水率(35重量%~43重量%)を有するケイ酸カリウム(SiO2:K2O)水ガラスが挙げられる。これらの水ガラスは、二酸化ケイ素対酸化カリウムのモル比が少なくとも4.0:1、好ましくは少なくとも4.5:1となるように、有機シリカゾルおよび水性シリカゾル(固体材料の少なくとも30重量%である)を含む。
【0055】
カリウム水ガラスを含む耐火層は、隣接するプライの間に水ガラスと硬化剤を導入し、固体の中間層が形成されるまで溶液を硬化させることによって「現場キャスト」(CIP)され得る。CIP法は、例えば、米国特許第5565273号明細書および第5437902号明細書、ならびに国際公開第2008/053247号に記載されている。
【0056】
耐火層は、0.50mm~12.00mmの間の厚さを有し得る。好ましくは、各耐火層の厚さは、1.00mm~6.00mmの間であり、最も好ましくは1.20mm~4.00mmの間である。
【0057】
いくつかの実施形態では、各耐火層は、同じ厚さを有するが、他の実施形態では、少なくとも1つの耐火層は、少なくとも1つの他の耐火層の厚さよりも大きい(特に、1~4倍、例えば2倍)厚さを有する。より厚い耐火層は、例えば、耐火層が、隣接するプライ上よりもむしろ互いに接触する2つのプライ上に設けられるように配置することによって得られ得る。
【0058】
耐火グレージングは、隣接するプライの間に少なくとも1つの透明プラスチックフィルムを含み得る。好ましくは、プラスチックフィルムは外側プライに隣接するか、または最内側プライに隣接する。
【0059】
いくつかの実施形態では、プラスチックフィルムは、ポリビニルブチラール(PVB)などのポリビニルアセタール、エチレンビニルアセテート、SentryGlas(登録商標)中間層などのイオノマーベースの中間層、熱可塑性ポリウレタン、ポリカーボネート、またはUvekol(登録商標)などのアクリル樹脂のうちの1つ以上を含む。
【0060】
プラスチックフィルムの厚さは、0.1mm~10.0mmまでの範囲、例えば0.38mmまたは0.76mmである。プラスチックフィルムに適した箔は、市販されている。
【0061】
このようなグレージングは、上記の方法で、外側プライまたは内側プライとして1つ以上のプラスチックフィルムを使用して2つ以上のプライを積層することによって形成された既存複合グレージングを準備することによって得られ得ることに留意されたい。
【0062】
いずれの場合も、複合グレージングのガラス板の厚さ、材質、および/またはエッジプロファイルは、耐火グレージングの相対的な曲げ剛性の要件に適合するように選択される。
【0063】
したがって、耐火グレージングは、少なくとも4つのプライ、少なくとも2つの耐火層、および透明プラスチックフィルムで構成され、プラスチックフィルムは、2つのプライの中間層でもあり得る。
【0064】
耐火グレージングは、特に、nつのプライ、n-(1+m)つの耐火層およびmつのプラスチックフィルムを有し、ここで、nは4~20の整数、例えば7、11または13であり、mは1~5の整数、例えば1、2または3であり、ただし、n-(1+m)は少なくとも2である。
【0065】
いくつかの実施形態では、耐火グレージングは、4つのガラスプライ、2つの耐火層および透明プラスチックフィルム、5つのガラスプライ、3つの耐火層および透明プラスチックフィルム、6つのガラスプライ、4つの耐火層および透明プラスチックフィルム、または7つのガラスプライ、5つの耐火層および透明プラスチックフィルムを有する。
【0066】
好ましい実施形態では、プラスチックフィルムは、外側プライまたは最内側プライに隣接している。
【0067】
本発明に係る耐火グレージングは、EN 13501-2(2016)に従って決定されるA2-s1、d1以上に適合し得る。
【0068】
耐火グレージングは、特に、EN 1634-1(2014)に従って測定されたEI30、EI60、EI90、EI120、またはEI190に適合し得る。また、EN 1634-1(2014)に従って測定されたEW30、EW60、EW90、EW120、またはEW190にも適合し得る。
【0069】
耐火グレージングは、国際海事機関規格IMO A.754(18)に従って測定されたA0、A15、A30、A60、B0、またはB15に代替的または追加的に適合され得る。
【0070】
耐火グレージングは、欧州規格(鉄道車両)EN 45545-3に従って測定されたA1-15、A1-30、A2-15、またはA2-30にも準拠し得る。
【0071】
本発明の第3の態様は、第1または第2の態様の耐火グレージングを備える防火システム用製品を提供する。
【0072】
この態様の実施形態は、本発明の第1および第2の態様から明らかであろう。
【0073】
この製品は、固定グレージングとしての使用または、部分的もしくは全面的な防火扉、壁、屋根、床、隔壁、もしくは車両内でのグレージングの使用を提供するものであり得る。
【0074】
あるいは、製品は、セキュリティ設備を提供する他の製品と一緒に使用するための半製品であり得る。
【0075】
防火システムは、二重または三重グレージングなどの断熱グレージングユニット(IGU)を備え得る。IGUは、従来の積層安全ガラスと組み合わせて、本発明の第1または第2の態様による少なくとも1つの耐火ガラスを備え得る。
【0076】
あるいは、IGUは、本発明によるプラスチックフィルムを含む少なくとも1つの耐火グレージングと、プラスチック中間層を含まない少なくとも1つの耐火グレージングとを備え得る。
【0077】
IGUは、特に、4つのプライと3つの耐火層とを有する耐火グレージングと、4つのプライ、2つの耐火層および1つのプラスチック層を有する耐火グレージングと、の組み合わせを備え得る。
【0078】
第4の態様において、本発明は、第1または第2の態様の耐火グレージングを含む防火システムを提供する。
【0079】
この態様の実施形態は、本発明の第1および第2の態様から明らかであろう。
【0080】
下記に、添付図面を参照して本発明をさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0081】
図1A】本発明の一実施形態による耐火グレージングの断面図を示す。
図1B】他の特定のグレージングの断面図を示す。
図1C】他の特定のグレージングの断面図を示す。
図2A】本発明の他の実施形態による耐火グレージングの断面図を示す。
図2B】他の特定のグレージングの断面図を示す。
図3A】本発明のさらに別の実施形態による耐火グレージングの断面図を示す。
図3B】他の特定のグレージングの断面図を示す。
図4A】本発明のさらに別の実施形態による耐火グレージングの断面図を示す。
図4B】他の特定のグレージングの断面図を示す。
図4C】他の特定のグレージングの断面図を示す。
図5A】本発明のさらなる実施形態による耐火グレージングの断面図を示す。
図5B】他の特定のグレージングの断面図を示す。
図6A】本発明のさらに別の実施形態による耐火グレージングの断面図を示す。
図6B】本発明のさらに別の実施形態による耐火グレージングの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0082】
図は、本発明の一実施形態による耐火グレージングの構造と従来の耐火グレージング(すべてのプライが同じ厚さを有する)の構造を比較したものである。
【0083】
図Bおよび/またはCの一部は、図示の実施形態と同様の全厚を有するグレージングを指しているが、本発明の範囲外である。
【0084】
耐火グレージングは、フロートガラスの3つ以上の長方形のガラス板(直線のエッジプロファイルを有する)が、膨張性材料および必要に応じてプラスチックフィルムを備える2つ以上の耐火層で挟まれたサンドイッチ構造を備える。
【0085】
ガラス板は全体を通して同じ寸法を有するが、上記のように厚さが異なることに留意されたい。耐火層は同じケイ酸ナトリウム水ガラスで構成されており、特に記載がない限り、全体的にほぼ同じ厚さである。
【0086】
図1Aは、本発明の一実施形態による耐火グレージングを示す。このグレージングは、4つのガラス板11、12、13および3つの耐火層14(4x3、外側ガラス板がより厚い)を有する。
【0087】
各カバーガラス板11、12は、内側ガラス板13より約1.5倍厚い。耐火層14は、各々内側ガラス13の約2分の1薄い。
【0088】
図1Bは、4つのガラス板11、12、13および3つの耐火層14(4x3、同じガラス板の厚さ)を有する従来の耐火グレージングを示す。
【0089】
各カバーガラス板11、12は、内側ガラス板13の厚さと同じ厚さを有する。耐火層14は、各々内側ガラス板13の約2分の1薄い。
【0090】
図1Cは、3つのガラス板11、12、13および2つの耐火層14(3x2、内側ガラス板がより厚い)を有する耐火グレージングを示す。
【0091】
各カバーガラス板11、12は、同じ厚さを有し、各耐火層14は、同じ厚さを有する。内側ガラス板13は、カバーガラス板11、12の厚さより約2.5倍大きい厚さを有する。耐火層14は、内側ガラス板13より約5分の1薄い。
【0092】
下記の表1に、これらのグレージングの各々の例の全厚(t)、重量(wt)、抵抗モーメント(W)、およびDIN EN 13501に使用される耐火試験におけるEI性能(横方向)を示す。
【0093】
グレージングの抵抗モーメントは、破損する前のグレージングの最大可能曲げ強度の尺度であることに留意されたい。このモーメントは、複合構造の構造エンジニアが行うタイプの耐火グレージング(フレームを含む)に関するコンピューター支援計算によって計算されした(ここでも計算されている)。
【0094】
火災安全試験では、特に指定がない限り、1800mmx3000mmの寸法を有する耐火グレージングをUP(縦)方向に使用し、3000mmx1500mmの寸法を有する耐火グレージングをACROSS(横)方向に使用した。
【0095】
UP方向試験では、幅50mmのエッジを備えた高品質のスチール製窓フレーム内に耐火グレージングが取り付けられ、フレームはその4つの側のうち3つの側に沿って耐火試験壁内に固定された。
【0096】
ACROSS方向試験では、幅50mmのエッジを備えた高品質のスチールフレーム内に、同一の耐火グレージングが取り付けられた。スチールフレームには、グレージングを70mm離すためのクロスピースが含まれていた。フレームは、その4つの側すべてに沿って耐火試験壁内に固定された。
【0097】
各防火安全試験では、センサーは、部屋の側面ガラス板の四分円の中央と四分円の角に配置された。8つのセンサーは、防火試験中に温度やひび割れを監視し、グレージングの完全性(E)および断熱性(I)を判断するのに役立った。
【0098】
よく知られているように、完全性Eは、窓または防火扉などの建物のグレージング構成要素が煙ガスを遮断する能力の尺度であり、断熱性Iは、建物のグレージング構成要素が熱放射の透過を防ぐ能力の尺度である。
【0099】
建物のグレージング構成要素は、これらの文字と時間指定を組み合わせて分類され得る。例えば、分類E30の建物のグレージングは、煙の透過に30分間耐えることが可能であるが、熱放射の透過を防がない。
【0100】
分類EI30の建物グレージングは、煙の透過に30分間耐え、熱放射の透過を30分間防止する。
【0101】
熱放射の透過は、部屋の側面ガラス板の平均温度が140Kを超えるおよび/または、その最高温度が180Kを超える時点である。
【0102】
同様に、分類EI45の建物グレージングは、煙の透過に45分間耐え、熱放射の透過を45分間防止する。
【0103】
表1は、図1Aに示す2つの耐火グレージング(AおよびA*)を参照しており、これらのガラスは、各々の耐火層14について選択された厚さ(約0.1mm)のみが互いに異なる。
【0104】
複数のグレージングは、同様の全厚および同様の重量を有するが、図1Aの各々のグレージングの機械的安定性は、図1Bのグレージングの少なくとも2倍であることがわかることに留意されたい。
【0105】
最も高いEI性能は、カバーガラス板11、12の両方が内側ガラス板13よりも厚い図1Aのグレージングに属する。最も低いEI性能は、図1の他のどのグレージングよりも機械的に安定しているにもかかわらず、図1Cのグレージングに属する。図2Aは、本発明の別の実施形態による耐火グレージングを示す。このグレージングは、6つのガラス板11、12、13および5つの耐火層14(6x5、外側ガラス板がより厚い)を備える。
【0106】
【表1】
【0107】
各カバーガラス板11、12は、各内側ガラス板13より約1.5倍厚い。耐火層14は、内側ガラス板13の各々の約2分の1薄い。
【0108】
図2Bは、6つのガラス板11、12、13および5つの耐火層(6x5、同じガラス板の厚さ)を備えた従来の耐火グレージングを示す。
【0109】
各カバーガラス板11、12は、内側ガラス板13の各々と同じ厚さを有する。耐火層14は、各々、内側ガラス板13の各々の約2分の1薄い。
【0110】
下記の表2に、これらの耐火グレージングの各々の例の全厚(t)、重量(wt)、抵抗モーメント(W)、およびDIN EN 13501の耐火試験におけるEI性能(横方向)を示す。
【0111】
表は、図2Aに示す2つの耐火グレージング(AおよびA*)を参照しており、これらのガラスは、各々の耐火層14について選択された厚さ(約0.1mm)のみが互いに異なる。
【0112】
【表2】
【0113】
複数の耐火グレージングは、同様の全厚および同様の重量を有するが、図2Aの各々の耐火グレージングの機械的安定性は、図2Bの耐火グレージングの少なくとも2倍であることがわかることに留意されたい。
【0114】
最も高いEI性能は、カバーガラス板11、12の両方が内側ガラス板13よりも厚い図2Aのグレージングに属する。
【0115】
図3Aは、本発明のまた別の実施形態による耐火グレージングを示す。このグレージングは、9つのガラス板11、12、13および8つの耐火層14(9x8、外側ガラス板がより厚い)を有する。
【0116】
各カバーガラス板11、12は、内側ガラス板13の各々より約1.5倍厚い。耐火層14は、内側ガラス板13の各々の約2分の1薄い。
【0117】
図3Bは、9つのガラス板11、12、13および8つの耐火層14(9x8、同じ厚さ)を有する従来の耐火グレージングを示す。
【0118】
各カバーガラス板11、12は、内側ガラス板13の各々の厚さと同じ厚さを有する。耐火層14の厚さは、内側ガラス板13の各々の約2分の1薄い。
【0119】
下記の表3に、これらの耐火グレージングの各々の例の全厚(t)、重量(wt)、抵抗モーメント(W)、およびDIN EN 13501の耐火試験におけるEI性能(横方向)を示す。
【0120】
【表3】
【0121】
表は、図3Aに示す、耐火層14の各々について選択された厚さ(約0.1mm)のみが互いに異なる2つの耐火グレージング(AおよびA*)を参照する。
【0122】
複数の耐火グレージングは、同様の全厚および同様の重量を有するが、図3Aの耐火グレージングの各々の機械的安定性は、図3Bの耐火グレージングよりかなり高いことに留意されたい。
【0123】
最も高いEI性能は、カバーガラス板11、12の両方が内側ガラス板13よりも厚い図3Aの耐火グレージングに属することに留意されたい。
【0124】
図4Aは、本発明のまた別の実施形態による耐火グレージングを示す。この耐火グレージングは、3つのガラス板11、12、13および2つの耐火層14(3x2、外側ガラス板がより厚い)を有する。
【0125】
各カバーガラス板11、12は、内側ガラス板13より約1.5倍厚い。耐火層14は、内側ガラス板13の約1.7分の1薄い。
【0126】
図4Bは、図1Bに示されるものと同様の従来の耐火グレージングを示す。このガラスは、3つのガラス板11、12、13および3つの耐火層14(3x2、同じガラス板の厚さ)を有する従来の耐火グレージングを有する。
【0127】
各カバーガラス板11、12は、各内側ガラス板13の厚さと同じ厚さを有する。耐火層14の厚さは、各々、内側ガラス板13の厚さの約1.7分の1薄い。
【0128】
図4Cはまた、図1Cに示されるものと同様の耐火グレージングを示す。このグレージングは、3つのガラス板11、12、13および2つの耐火層14(3x2、外側ガラス板がより厚い)を有する。
【0129】
各カバーガラス板11、12は、同じ厚さを有し、各耐火層14は、同じ厚さを有する。内側ガラス板13は、カバーガラス板11、12の厚さより約2.3倍大きい厚さを有する。耐火層14は、内側ガラス板13より約3.75分の1薄い。
【0130】
下記の表4は、これらのグレージングの各々の例と、同様に図1Aの耐火グレージングのEI性能を、耐火性および煙制御試験EN 1634-1(さまざまな形式)で示したものである。
【0131】
最も高いEI性能は、両方のカバーガラス板11、12が内側ガラス板13よりも厚い図1Aの耐火グレージングによって得られる。
【0132】
図5Aは、本発明のさらに別の実施形態による耐火グレージングを示す。このグレージングは、4つのガラス板および2つのアルカリ金属ケイ酸塩の層とポリビニルブチラール15の層(4x3、外側ガラス板がより厚い)を有する。
【0133】
各カバーガラス板11、12は、内側ガラス板13よりも約2.6倍厚い。耐火層14は、各々、内側ガラス板13とほぼ同じ厚さである。PVB層15は、グレージングの中央に位置し、内側ガラス板13の約4分の1薄い。
【0134】
【表4】
【0135】
図5Bは、図1Bに示したものと同様の従来の耐火グレージング(4x3、同じガラス板の厚さ)を示す。グレージングは、4つのガラス板11、12、13、2つの耐火層14、およびポリビニルブチラール(PVB)層15を有する。
【0136】
各カバーガラス板11、12は、内側ガラス板13の各々と同じ厚さを有する。耐火層14は、各々、内側ガラス板13の各々より約2.5分の1薄い。PVB層15は、グレージングの中央に位置し、その厚さは内側ガラス板13の各々より約5分の1薄い。
【0137】
下記の表5は、DIN EN 13501-2(横方向)の耐火試験における、図1Aおよび図4Aの耐火グレージングと比較した、これらの耐火グレージングの各々の例のEI性能を示す。
【0138】
最も高いEI性能は、PVB層15が存在するとき、カバーガラス板11、12の両方が内側ガラス板13よりも厚い図5Aの耐火グレージングに属することに留意されたい。
【0139】
また、この耐火グレージングのEI性能は、図4Aに示す耐火グレージングのEI性能よりも優れているが、図1Aの耐火グレージングほど優れているわけではないことにも留意されたい。
【0140】
また、図5Bの耐火グレージングが耐火性および煙制御試験に合格する場合、PVB層15は十分なバリア層として機能することにも留意されたい。
【0141】
【表5】
【0142】
図6は、本発明による耐火グレージングが外側ガラス板に隣接するプラスチック層を含むことを示す。
【0143】
図6Aは、5つのガラス板11、12、13、3つの耐火層14およびPVB層15(5x4)を有する、耐火グレージングを示す。
【0144】
各カバーガラス板11、12は、内側ガラス板13の各々より約1.5倍厚い。各耐火層14は、内側ガラス板13の各々の約2分の1薄い。PVB層15は、グレージングのカバーガラス板12に隣接して位置し、内側ガラス板13の約7分の1薄い。
【0145】
図6Bは、このガラスは7つのガラス板11、12、13、5つの耐火層12およびPVB層15(7x6)を有する、耐火グレージングを示す。
【0146】
各カバーガラス板11、12は、内側ガラス板13の各々より約1.5倍厚い。各耐火層14は、各内側ガラス板13の各々の約2分の1薄い。PVB層15は、グレージングのカバーガラス板12に隣接して位置し、内側ガラス板13の各々の約7分の1薄い。
【0147】
図5Aおよび図6の耐火グレージングは、耐火性および耐衝撃性グレージングを提供し得る。これらは、図1Aの耐火グレージングと組み合わせてIGUにおいて使用され得る。図6の耐火グレージングは、図2A、3A、または4Aのいずれかの耐火グレージングと組み合わせてIGU内で使用され得る。
【0148】
上記から、本発明の耐火グレージングは、従来の耐火グレージングに比べて耐火試験性能が向上していることが明確にわかる。
【0149】
特定の理論に縛られることを望むものではないが、性能の向上は、部屋側の外側ガラス板の破損よりも、内側ガラス板の破損によって耐火層から蓄積された蒸気の圧力が解放されることによって生じるものと考えられる。
【0150】
この火災側への優先的な放出は、特に大型の耐火グレージングが機械的に安定した状態を維持し、室内側の外側ガラス板の欠けがほとんどなくまたはまったくなく、火災発生時のより長い期間にわたって室内側の冷却性能が向上することを意味する。
【0151】
本発明の耐火グレージングは、許容可能な重量を維持しながら、取り扱いおよび設置時の機械的安定性をも向上させる。
【0152】
従来の耐火グレージングに比べて、グレージングは曲がりにくく、外側ガラス板は割れにくいため、例えばドアなどの設置時にガラスが破損する可能性が大幅に減少する。
【0153】
本発明の耐火グレージングは、耐衝撃性を提供すると同時に、耐火性も向上させ得る。
【0154】
本明細書における外側プライまたは各外側プライへの言及は、耐火グレージングの外側表面を提供するプライまたは複数のプライへの言及である。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6A
図6B
【国際調査報告】