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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】飛行時間型回路および飛行時間方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/4861 20200101AFI20241108BHJP
【FI】
G01S7/4861
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529492
(86)(22)【出願日】2022-11-21
(85)【翻訳文提出日】2024-07-09
(86)【国際出願番号】 EP2022082574
(87)【国際公開番号】W WO2023094308
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】21210707.2
(32)【優先日】2021-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クイック マールテン
(72)【発明者】
【氏名】ファンニーベンホーブ ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】デハン モリン
(72)【発明者】
【氏名】ジェガンナサン ゴビナ
【テーマコード(参考)】
5J084
【Fターム(参考)】
5J084AA05
5J084AD01
5J084BA04
5J084BA07
5J084BA36
5J084BA40
5J084CA32
5J084CA67
5J084EA01
(57)【要約】
光源によって放射され、飛行時間型撮像素子に入射する光子の往復遅延を決定するための飛行時間型回路であって、上記飛行時間型回路は、1つの試験時点における光子の試験数と、1つの参照時点における光子の参照数とを測定し、放出された光子の往復遅延を決定するために、上記光子の試験数と上記光子の参照数とを比較するように構成されており、上記試験時点と上記参照時点は、上記試験時点が変化させられる少なくとも2つの測定時間間隔の1つの測定時間間隔に含まれている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源によって放射され、飛行時間型撮像素子に入射する光子の往復遅延を決定するための飛行時間型回路であって、前記飛行時間型回路は、
1つの試験時点における光子の試験数と、1つの参照時点における光子の参照数とを測定し、
放出された光子の往復遅延を決定するために、前記光子の試験数と前記光子の参照数とを比較する
ように構成されており、
前記試験時点と前記参照時点は、前記試験時点が変化させられる少なくとも2つの測定時間間隔の1つの測定時間間隔に含まれている
飛行時間型回路。
【請求項2】
前記光子の試験数と前記光子の参照数とを比較するために、平均化コンデンサ、サンプリングコンデンサ、および前記平均化コンデンサと前記サンプリングコンデンサとの間を切り替えるためのスイッチを含むスイッチドキャパシタ平均化回路をさらに含む
請求項1に記載の飛行時間型回路。
【請求項3】
前記スイッチドキャパシタ平均化回路は、平均化キャパシタ容量とサンプリングキャパシタ容量との間の比に基づいて、指数移動平均化を行うように構成されている
請求項2に記載の飛行時間型回路。
【請求項4】
前記光子の試験数がゼロまたは1である
請求項1に記載の飛行時間型回路。
【請求項5】
前記試験時点は、試験時間間隔を構成する試験ゲート信号に基づいており、前記参照時点は、参照時間間隔を構成する参照ゲート信号に基づいている
請求項1に記載の飛行時間型回路。
【請求項6】
前記光子の参照数と前記光子の試験数との比較に基づいて信頼値を変更する
ようにさらに構成されている
請求項1に記載の飛行時間型回路。
【請求項7】
前記光子の試験数が前記光子の参照数よりも大きい場合、前記信頼値を増加させ、または、
前記光子の参照数が前記光子の試験数よりも大きい場合、前記信頼値を低下させる
ようにさらに構成されている
請求項6に記載の飛行時間型回路。
【請求項8】
前記信頼値が所定の閾値を超える場合、往復遅延を決定する
ようにさらに構成されている
請求項6に記載の飛行時間型回路。
【請求項9】
前記光子の試験数が所定の閾値を下回っている場合、前記試験時点を変更する
ようにさらに構成されている
請求項1に記載の飛行時間型回路。
【請求項10】
前記飛行時間撮像素子が単一光子アバランシェダイオードに基づくものである
請求項1に記載の飛行時間型回路。
【請求項11】
光源によって放射され、飛行時間型撮像素子に入射する光子の往復遅延を決定するための飛行時間方法であって、前記飛行時間方法は、
1つの試験時点における光子の試験数と、1つの参照時点における光子の参照数とを測定するステップと、
放出された光子の往復遅延を決定するために、前記光子の試験数と前記光子の参照数とを比較するステップと
を含み、
前記試験時点と前記参照時点は、前記試験時点が変化させられる少なくとも2つの測定時間間隔の1つの測定時間間隔に含まれている
飛行時間方法。
【請求項12】
前記光子の試験数と前記光子の参照数とを比較するために、平均化コンデンサとサンプリングコンデンサとの間を切り替えることをさらに含む
請求項11に記載の飛行時間方法。
【請求項13】
平均化キャパシタ容量とサンプリングキャパシタ容量との間の比に基づいて、指数移動平均化を行うことをさらに含む
請求項12に記載の飛行時間方法。
【請求項14】
前記光子の試験数がゼロまたは1である
請求項11に記載の飛行時間方法。
【請求項15】
前記試験時点は、試験時間間隔を構成する試験ゲート信号に基づいており、前記参照時点は、参照時間間隔を構成する参照ゲート信号に基づいている
請求項11に記載の飛行時間方法。
【請求項16】
前記光子の参照数と前記光子の試験数との比較に基づいて信頼値を変更する
ことをさらに含む
請求項11に記載の飛行時間方法。
【請求項17】
前記光子の試験数が前記光子の参照数よりも大きい場合、前記信頼値を増加させ、または、
前記光子の参照数が前記光子の試験数よりも大きい場合、前記信頼値を低下させる
ことをさらに含む
請求項16に記載の飛行時間方法。
【請求項18】
前記信頼値が所定の閾値を超える場合、往復遅延を決定する
ことをさらに含む
請求項16に記載の飛行時間方法。
【請求項19】
前記光子の試験数が所定の閾値を下回っている場合、前記試験時点を変更する
ことをさらに含む
請求項11に記載の飛行時間方法。
【請求項20】
前記飛行時間撮像素子が単一光子アバランシェダイオードに基づくものである
請求項11に記載の飛行時間方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的に、直接飛行時間のための飛行時間型回路および飛行時間方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、飛行時間(ToF)型装置が知られている。それは、iToF (間接ToF)とdToF (直接ToF)との間で区別され得る。iToFでは、検出された光と比較した出射光の位相シフトに基づいて、距離が間接的に測定され得る。
【0003】
dToFでは、出射光のラウンドトリップ遅延を決定することによって距離を直接測定することができる。dToFは、SPAD(単一光子アバランシェダイオード)などのダイオード技術に基づくことができる。
【0004】
単一光子を検出することができることに加えて、SPADは、光子の到達時間が既知である固有の特性を有してもよい。いくつかの出版物では、SPADは距離検出、すなわちライダおよび3Dカメラアプリケーションに使用されることが提案されている。
【0005】
dToFでは、多数の光子およびそれぞれの到着時間を示すヒストグラムが生成され得る。
【0006】
dToFのための技術が存在するが、一般に、ToF回路およびTOF方式を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0007】
第1の態様によれば、本開示は、光源によって放射され、飛行時間型撮像素子に入射する光子の往復遅延を決定するための飛行時間型回路を提供し、上記飛行時間型回路は、1つの試験時点における光子の試験数と、1つの参照時点における光子の参照数とを測定し、放出された光子の往復遅延を決定するために、上記光子の試験数と上記光子の参照数とを比較するように構成されており、上記試験時点と上記参照時点は、上記試験時点が変化させられる少なくとも2つの測定時間間隔の1つの測定時間間隔に含まれている。
【0008】
第2の態様によれば、本開示は、光源によって放射され、飛行時間型撮像素子に入射する光子の往復遅延を決定するための飛行時間方法を提供し、上記飛行時間方法は、1つの試験時点における光子の試験数と、1つの参照時点における光子の参照数とを測定するステップと、放出された光子の往復遅延を決定するために、上記光子の試験数と上記光子の参照数とを比較するステップとを含み、上記試験時点と上記参照時点は、上記試験時点が変化させられる少なくとも2つの測定時間間隔の1つの測定時間間隔に含まれている。
【0009】
さらなる複数の態様が、従属請求項、以下の説明および図面に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
実施形態は、添付の図面に関して例として説明される。
図1】本開示によるタイミング図を示す。
図2】信頼性信号がアップ/ダウンカウンタによって構築される、本開示によるTOF受信機を示す。
図3】本開示によるTOF受信機を示しており、ここで、信頼信号はスイッチキャップ平均化システムによって構築される。
図4図3のToF受信機に基づく数値統計シミュレーションを示す。
図5】本開示に係るTOF方法を示す。
図6】オブジェクト距離を決定するための本開示によるフリップフロップを示す。
図7】本開示による飛行時間方法の一実施形態である。
図8】本開示による飛行時間方法のさらなる実施形態であり、ここで、さらに信頼値が適合される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1から始まる実施形態の詳細な説明が与えられる前に、一般的な説明がなされる。
【0012】
最初に述べたように、直接飛行時間(dToF)方法および装置が一般に知られている。それらは、SPAD (単一光子アバランシェダイオード)技術を用いることができる。しかしながら、SPADは、半導体中の熱的に生成された少数キャリア、または、ダークカウントレート(DCR)とも呼ばれるキャリアのトンネルによってもトリガする可能性があることが認識されている。さらに、光がToF受信機に入射するとき、入射光子は、パルスレーザ光源のシーン内の反射から生じる放出(または相関)光子(ToF光子)に対応してもよく、または、シーン内の対象領域上で反射された環境光(AL)などからの非相関光子に対応してもよい。既知のdToFシステムでは、到達時間のヒストグラムを作成することによって、ALとDCRとの合計のための一定レベルが得られ、ピークは、TOF到達モーメントと相関する。
【0013】
アレイ操作のための多くの同時ヒストグラムを作製することは、低数の画素(例えば、画素の線形アレイ、または画素の限られた分解能アレイ)について実施され得る: デジタル変換までの時間(TDC)を達成するためにカウンタを使用する時間の瞬間が記録され得、このデータをデジタルシグナルプロセッサ(DSP)に通信して、ヒストグラム構築を達成し、最後に距離を推定するための閾値を達成する。しかし、より高い解像度および/または高いALレベルにスケーリングする場合、データ混雑およびより高い電力放熱は困難であり得る。
【0014】
このように、ピクセルベースごとに集積化可能な小型回路を提供することが望ましい場合があり、また、入ってくる飛行時間および環境光の光子を解釈するように適合させることができることが認識されている。
【0015】
これは、ある範囲の距離をオブジェクト距離と連続的に仮定することによって達成される場合があることが認識されており、その間に、これらの仮定された距離のそれぞれは、その距離で発生する入射光子レートから構築される信頼信号に基づいて評価される。十分な信頼性がない場合、次の距離を考慮することができる。多くの位置は、妥当な時間内に、高い信頼性信号によって示され得る実距離が見出され得るように、(迅速に)走査され得る。
【0016】
さらに、電力低減は、信頼性レベルを最新の状態に保ちながら、1秒当たりの測定サイクル数を低下させることによって達成され得ることが認識されている。
【0017】
例えば、一旦、信頼性が距離の変化にフラグを立てると、または、アレイ動作中に、同じ照明ゾーンフラグ内の多くの画素がそのような変化にフラグを立てると、1秒当たりの測定サイクル数は、変化するシーンの現実に適合し、新しいシーンに更新するように、迅速に増加され得る。一度に1つの仮定された距離を考慮することにより、多くの入射光子は、SPAD電力散逸の20~100倍の低減が達成され得るように、丁度無視され得る。SPADをほとんどの時間でクエンチされた位置に保つことによって、デッドタイムはより関連性がなくなり得る。また、光子パイルアップの効果は、本開示に従って低減され得る。
【0018】
ピクセル内の距離決定は、さらに、規格の2Dイメージセンサと同程度のイメージデータ転送速度を有するDSPへのデータ通信で補完することができる。ピクセルでの信号復調の他のシステム(例えば、現在のアシストフォトニクス復調器(CAPD))と比較すると、それぞれが連続して記録される必要がある異なる測定フレームで動作する必要がない場合がある。
【0019】
したがって、本開示によれば、3D ToF画像センサを提供することができ、それは単一層の電子で製造することができるが、3D-積層構成で実施することもでき、その場合、SPADのための検出層および後続のデータ処理のための層のように、いくつかの半導体層を異なる機能のために積層する。
【0020】
したがって、いくつかの実施形態は、光源によって放射され、飛行時間型撮像素子に入射する光子の往復遅延を決定するための飛行時間型回路に関するものであって、上記飛行時間型回路は、1つの試験時点における光子の試験数と、1つの参照時点における光子の参照数とを測定し、放出された光子の往復遅延を決定するために、上記光子の試験数と上記光子の参照数とを比較するように構成されており、上記試験時点と上記参照時点は、上記試験時点が変化させられる少なくとも2つの測定時間間隔の1つの測定時間間隔に含まれている。
【0021】
この回路は、直接ToFなどの、往復遅延が決定され得ることに基づいて飛行時間測定を実行するように構成された任意のエンティティまたは多数のエンティティに関連し得る。
【0022】
回路は、1つ以上のプロセッサ(例えば、CPU (中央処理装置)、GPU(グラフィック処理装置))、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)、ToFカメラ、コンピュータ、サーバなどに基づいてもよく、またはそれらを含んでもよい。
【0023】
回路は、光源および/または撮像素子を制御するように適合されてもよいが、他の実施形態では、回路は、結果を評価するだけであってもよく、すなわち、そのような実施形態では、光源および/または撮像素子は、別のエンティティによって制御されてもよい。
【0024】
一般に、光源は、パルス光を放出するように構成されてもよく、例えば、VCSEL(垂直キャビティ面発光レーザ)、レーザダイオード、またはLED (発光ダイオード)技術などのレーザ技術に基づいてもよい。光源は、アレイ状に配置され得る複数の発光素子を含み得る。光源のいくつかの発光素子は、ToFイメージセンサのいくつかの撮像素子との関係にあってもよく、その関係は、任意の関係であってもよいが、本開示は、そのような場合に限定されない。
【0025】
撮像素子は、SPAD技術(単一光子アバランシェダイオード)、または対応してバイアスされ得るアバランシェフォトダイオード(APD)(以下で論じる)などの、単一光子計数を可能にし得る任意の他の技術に基づくことができる。
【0026】
本開示によれば、ラウンドトリップ遅延は、直接的に測定することができ、すなわち、時間は、光子が光源から移動し、ToF撮像素子に戻る距離を示すToF回路によって直接的に決定することができる。
【0027】
このような測定を実施するために、試験時点で光子の試験数を決定することができる。テスト時点は、放出された光子が撮像素子によって検出されるかどうかをテストされる(測定時間間隔(例えば、フレーム)における)任意の時点であってもよい。試験時点は、大まかな距離仮定に基づいて、または時間掃引などに基づいて決定することができる。したがって、試験時点は、測定時間間隔から測定時間間隔まで変化させることができる。
【0028】
例えば、試験時点で光子が検出されない場合、試験時点は、次のフレーム(または次の測定時間間隔でも光が検出されないことを確実にするために、同じフレーム)内の異なるものであってもよい。
【0029】
さらに、いくつかの実施形態では、参照光子数は、参照時点で決定されてもよい。参照時点は、この時点において、放出された光子が撮像素子で検出されないと仮定される任意の時点(測定時間間隔における)であってもよい。したがって、試験時点と参照時点との間の距離は適切に高くてもよい。
【0030】
本開示によれば、試験時点は、各測定時間間隔において参照時点の前にあってもよく、またはその逆でもよい。また、試験時点と参照時点の順序は、測定時間間隔から測定時間間隔まで変化させることができる。
【0031】
しかし、試験時点が各測定時間間隔で変化する必要はなく、1回だけ変化させれば十分であろう(すなわち、2つの測定時間間隔で異なる)。
【0032】
いくつかの実施態様において、光子の試験数を光子の参照数と比較する。それによって、放出された光子の往復遅延が決定され得る。
【0033】
例えば、1つのフレーム内で、光子の試験数が光子の参照数よりも高い(所定回数だけ)場合、試験時点(発光時点に関して)がラウンドトリップ遅延に(おおよそ)対応すると判定することができる(ここで、較正は、電子機器などの単独の影響に対して実施されてもよい)。しかしながら、複数の測定時間間隔は、光子の試験数が光子の試験参照数よりも高くなるべきであると考慮してもよい。
【0034】
例えば、単一光子がカウントされる場合、試験時点は、光子の試験数が1であり、光子の参照数がゼロであるときのラウンドトリップ遅延に対応すると決定され得る。そのような関係が複数の(連続的である)測定時間間隔で決定される場合、(発光時点に対する)試験時点は、往復遅延を示し得る。
【0035】
一般に、試験時点および時間の参照点は、時間間隔(例えば、テスト時間間隔および参照時間間隔)を示すものであってもよく、非常に短い(例えば、ピコ秒範囲の)時間期間(時間間隔)にわたってゲートを制御することによって生成されてもよい。時間間隔の長さは、それぞれの時間間隔において1つの光子(または任意の他の所定の数の光子)のみを検出することが可能である短いものであり得る。したがって、「時点」という用語は(非常に短い)「時間間隔」を指すが、本明細書では「時点」という用語が使用されることが当業者によって理解され得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、本明細書で論じられるように、光子の試験数は、放出された光子を示す。いくつかの実施形態では、光子の試験数は、放出された光子のすべてを表すのではなく、放出された光子が試験時点で検出されていることを示してもよいことに留意されたい。
【0037】
いくつかの実施態様において、光子の参照数は、環境光を示す。
【0038】
一般的に、光子が時間の参照点で検出される場合、環境光が唯一の光源でなくてもよい。例えば、統計量ノイズ(例えば、センサ雑音、ダークカウントなど)は、そのようなソースであり得る。しかしながら、本開示は、環境光が、例えば、既知のdToFシステムが典型的に適切に動作することができない可能性があるそのような状況(例えば、明るい昼光)の下で、所定の閾値を超える場合に適用可能であり得ることに留意されたい。
【0039】
いくつかの実施態様において、光子の試験数は、ゼロまたは1である。
【0040】
これは、単一光子がカウントされる場合に当てはまり得、上述のように、光子の参照数にも当てはまり得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、試験時点は、試験時間間隔を構成する試験ゲート信号に基づいており、この時点の参照点は、ここで論じるように、参照時間間隔を構成する参照ゲート信号に基づいている。
【0042】
いくつかの実施形態では、飛行時間型回路はさらに、光子の試験数と光子の参照数との比較に基づいて信頼値を変更するように構成される。
【0043】
上述のように、いくつかの実施形態では、試験時点が実際に往復遅延を表すことを確実にするために、1つの測定時間間隔では十分ではない場合がある。これは、単一光子がカウントされる場合に当てはまり得る。しかしながら、カウントされる複数の光子についても、そのような方式を使用することができる。
【0044】
そのような実施形態では、特定の値に予め設定することができる信頼値を定義することができる。信頼値が所定の閾値を超える場合、試験時点は、往復遅延を表すように決定され得る。
【0045】
試験時点でカウントされた光子がある場合、信頼度は、所定の量だけ増加され得、参照時点で光子がカウントされる場合、信頼度は、所定の量 (または、2つの事象が等しく重要であるとみなされるかどうかに応じて、異なる量) だけ減少され得る。したがって、両方の時点で、光子が1つまたは全くカウントされない場合、測定時間間隔後の信頼度の正味値は、前と同じままである(ただし、測定時間間隔内では、それは、連続的に増加および減少され得るが、これは、特定の実装に依存し得る)。
【0046】
したがって、いくつかの実施形態では、飛行時間型回路は、光子の試験数が光子の参照数より大きい場合には、信頼値を大きくさせ、かつ/または、光子の参照数が光子の試験数より大きい場合には、信頼値を低下させるようにさらに構成されている。
【0047】
いくつかの実施形態では、飛行時間型回路は、本明細書で論じられるように、信頼値が所定の閾値を超える場合に往復遅延を決定するようにさらに構成されている。
【0048】
いくつかの実施形態では、飛行時間型回路は、光子の試験数が所定の閾値を下回る場合、試験時点を変化させるようにさらに構成されている。
【0049】
例えば、試験時点は、所定回数の測定時間間隔についての往復遅延を表すと仮定することができる。これが該当しないことを確認した場合(すなわち、信頼度に基づいて)、試験時点を変えてもよい。しかしながら、本開示は、試験時点の変動が、上記にレイアウトされたように、例えば掃引に基づくことができるので、その場合に限定されない。また、試験時点を変化させる異なる方法の混合を使用してもよい。
【0050】
いくつかの実施形態では、飛行時間型撮像素子は、本明細書で論じられるように、単一光子アバランシェダイオードに基づく。
【0051】
いくつかの実施形態において、ToF回路は、試験時点および/または参照時点を生成するための遅延生成器をさらに含む。
【0052】
本開示に従って、遅延生成器が動作し得る多くの方法が存在する。それは、例えば、完全な距離(または時間)範囲を通って直線的に(または非直線的に)掃引することができ、近づくこと、遠くから遠く離れること、または遠くから近づくことができる。距離によっては、ステップ幅を変調することができる。例えば、より長い距離では、連続する距離の間でステップを小さくすることができる。物体が遠くにあると、飛行時間の光子束が小さくなり、ステップを小さくすることによって、より弱い信号がステップオーバーしにくくなる。また、約1パーセントの正確な飛行時間距離を得るように、例えば100個に距離を固定することも可能である。
【0053】
いくつかの実施形態では、すべての距離が試行されたとき、同じシーケンスを行うか、または、例えば、反対側のシーケンスを行うかのいずれかによって、検索プロセスが継続される。場合によっては、ランダムまたは擬似ランダムシーケンスがサーチ空間に適用される。また、最適化の目的のために、DSPによる修正のために追加の入力ポート(図示せず)を介して信号が遅延発生器に与えられることも可能である。例えば、距離の限られた部分のみが探索されることが想定され得る。出射光束と入射光束との間で共有されるレンズにおける反射のロックを回避するために、非常に短い距離がデフォルトでスキップされることもさらに可能である。
【0054】
いくつかの実施形態では、マッチングとマッチングなしとの間の境界を適合させることができる。例えば、ある期間の間に、(参照期間と比較して)計測期間の間に過剰な数の周辺光子が入射され、次の試行距離への前進を遅らせることができる。その瞬間に信頼値が読み出される場合、それは、所定の電圧値(例えば、500ミリボルト)のちょうど上であってもよいが、ラウンドトリップ遅延を決定するために、所定の電圧よりも十分に上回っていなくてもよい。したがって、この適用および/または周囲光子のレベルに応じて、境界を適合させることができる。ToF光レベルが比較的低い(または距離が比較的長い)場合(比較的:通常の用途に応じて)、システムは十分に機能しないことがある。しかしながら、本開示によれば、不確実な状況においては、信頼度を十分に低く保つことができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、マッチングと不マッチングとを区別するためにオフセットが適用される。オフセットは、マッチングの存在が決定される前に克服されなければならない一種の不均衡に対応し得る。本開示によれば、そのようなオフセットを生成するためのいくつかの方法がある。第1のものは、参照ゲート(例えば、本明細書で論じられる参照時間間隔または参照時間点、例えば、図1~3の説明を参照)を、試験ゲート(例えば、本明細書で論じられる試験時間間隔または試験時間点、例えば、図1~3の説明を参照)よりも、例えば、10パーセント広くすることである。その結果、想定される距離が実距離と一致しない場合には、平均して下方向により多くのカウントが得られる。それは、マッチの場合、試験ゲートウィンドウ内の利用可能な飛行時間光子による数外になるように、過剰量の周囲光子を必要とする閾値を生成し得る。次に、必要とされる飛行時間事象の絶対数は、周囲光子レベルに比例してスケーリングすることができる。オフセットを生成するための別のオプションは、あるレベルに閾値を設定することを含むことができる。さらに別のオプションは、タイミング生成器が不均衡を生成するために異なる数の試験ゲートおよびレフゲートを生成することを含むことができる。
【0056】
さらなるオプションは、信頼性を増加させるために、それを減少させるためよりも異なる値を使用することである。
【0057】
例えば、(後述するように)スイッチキャパシタ回路を使用する場合、参照期間が試験期間よりも大きい場合(例えば、10パーセント大きく、500ミリボルトの場合、4~50ミリボルトに変更され得る)、不均衡は、ToFシステムがより安定するように導入され得る。そのような実施形態では、画素内に追加の回路を必要としなくてもよく、そのような実施形態は、画素アレイ全体に適用可能であってもよい。
【0058】
これらのオプションのすべてまたは一部は、同様に組み合わせることができる。
【0059】
いくつかの実施形態では、平均化レベルが修正される。例えば、それは、多数のイベントにわたって平均化され、例えば、1000イベントにわたるように、周囲および飛行時間イベントは、そのように、高い周囲光子レベルの下で上下にあまり進まない信頼レベルを有する。このために、平均化手段と比較器との間に、例えばFIRフィルタ、アナログフィルタなどである第2の平均化フィルタ、またはローパスフィルタを適用することができる。
【0060】
ある実施形態では、飛行時間型回路は、さらに、図3を参照して論じられるように、光子の試験数を光子の参照数と比較するために、平均化コンデンサと、サンプリングコンデンサと、平均化コンデンサとサンプリングコンデンサとの間でスイッチングするためのスイッチを含む、スイッチトキャパシタ平均化回路を含む。
【0061】
したがって、いくつかの実施形態では、飛行時間型回路は、平均化コンデンサとサンプリングコンデンサとの間を切り替えるようにスイッチを制御するようにさらに構成される。
【0062】
いくつかの実施形態では、スイッチドコンデンサ平均化回路は、平均化コンデンサキャパシタンス(平均化コンデンサのキャパシタンス)とサンプリングコンデンサ容量(サンプリングコンデンサのコンデンサ容量)との間の比率に基づいて、指数移動平均化を実施するようにさらに構成される。
【0063】
いくつかの実施形態は、光源によって放射され、飛行時間型撮像素子に入射する光子の往復遅延を決定するための飛行時間方法に関し、上記飛行時間方法は、本明細書で論じられるように、1つの試験時点における光子の試験数と、1つの参照時点における光子の参照数とを測定するステップと、放出された光子の往復遅延を決定するために、上記光子の試験数と上記光子の参照数とを比較するステップとを含み、上記試験時点と上記参照時点は、上記試験時点が変化させられる少なくとも2つの測定時間間隔の1つの測定時間間隔に含まれている。
【0064】
このTOF方法は、本開示によるToF回路によって実施されることができる。
【0065】
いくつかの実施形態では、本明細書で論じられるように、光子の試験数は、放出された光子を示す。いくつかの実施形態では、光子の参照数は、本明細書で論じられるように、環境光を示す。いくつかの実施態様において、本明細書に記載のように、光子の試験数は、ゼロまたは1である。いくつかの実施形態では、試験時点は、試験時間間隔を構成する試験ゲート信号に基づいており、この時点の参照点は、ここで論じるように、参照時間間隔を構成する参照ゲート信号に基づいている。いくつかの実施形態では、飛行時間は、本明細書で論じるように、光子の試験数と光子の参照数との比較に基づいて信頼値を変更することをさらに含む。いくつかの実施形態では、飛行時間方法は、本明細書で論じられるように、光子の試験数が光子の参照数より大きい場合、信頼値を増加させること、および/または光子の参照数が光子の試験数より大きい場合、信頼値を減少させることをさらに含む。
いくつかの実施形態では、飛行時間方法は、本明細書で論じられるように、信頼値が所定の閾値を超える場合、往復遅延を決定することをさらに含む。いくつかの実施形態では、飛行時間方法は、本明細書で論じるように、光子の試験数が所定の閾値未満である場合、試験時点を変化させることをさらに含む。一部の実施形態では、飛行時間型撮像素子は、本明細書で論じられるように、単一光子アバランシェダイオードに基づく。いくつかの実施形態では、飛行時間方法は、本明細書で論じられるように、光子の試験数を光子の参照数と比較するために、平均化コンデンサとサンプリングコンデンサとの間で切り替えることを含む。いくつかの実施形態では、飛行時間方法は、本明細書で論じられるように、平均化コンデンサとサンプリングコンデンサとの間でスイッチングするためのスイッチを制御することを含む。いくつかの実施形態では、飛行時間方法は、本明細書で論じられるように、平均化コンデンサ容量とサンプリングコンデンサ容量との間の比に基づいて、指数移動平均化を実施することを含む。
【0066】
本明細書に記載する方法は、コンピュータおよび/またはプロセッサが実行されるときに、コンピュータおよび/またはプロセッサに方法を実行させるコンピュータプログラムとして、さらに実施される。いくつかの実施形態では、上述のプロセッサによって実行されると、本明細書に記載の方法を実行させるコンピュータプログラム製品を記憶する非一時的なコンピュータ可読記録媒体も提供される。
【0067】
いくつかの実施形態は、光子の検出時に事象を生成するためのSPAD回路を含む距離を推定するためのToF受信機と、変調電圧をサンプリングするための第1の信号、および、サンプルを平均出力に含めるための第2の信号を生成するためのスイッチ制御回路と、TOF距離の推定のために、1つのノード上の出力電圧内のこのサンプルを含む第2の信号に応答して、この復調電圧をサンプリングするように構成された第1の信号に応答する、その入力ノードに印加された復調電圧を有する平均化復調器とに関する。
【0068】
図1に戻ると、本開示によるタイミング図1が描かれている。さらに、図2および3は、どのタイミング図がさらに説明されるかに基づいて、本開示によるToF回路130(図2)および140(図3)を含むToFシステム10(図2)および20(図3)の例示的実施形態を描く。
【0069】
タイミング図1は、本開示の原理を説明するための信号対時間を示す。連続的な測定サイクルが実行され、それぞれは、レーザ100(または、他の実施形態ではLED)によってシーン(図示せず)に放射される光パルス200から始まる。これらの周期280の間には、時間的休止281があり、この実施形態では、測定周期が時間的に隣接しないことを実証する。しかしながら、他の実施形態では、測定サイクルの少なくともサブセットが隣接される。破断部281は、この実施形態では同じ長さを有するが、一般に、一定または可変の性質であってもよい。
【0070】
それらを可変にする理由は、電力散逸を下げること、および放射された出力光をランダム化して、複数の3Dカメラシステムが同じシーンで動作するようにすること、別のカメラのレーザ出力をレンダーリングして、環境光と同様に、それ自体のレーザ出力とは無相関であると解釈されるようにすること、およびそれによって干渉を低減することを含むことができる。ブレークは、消費電力を下げるために必要な長さであればどのような長さであってもよい。
【0071】
光子205は、SPAD受信機120に入射する。いくつかの光子は、シーン上の環境光から発生し、いくつかの光子は、パルス照明200がシーン上で反射されるために存在する。
【0072】
例えば、環境光の光子は、(スペクトルフィルタリング後であっても)その点に関し本開示を限定することなく、放射光子より10~1000倍高くてもよい。
【0073】
ゲート信号111は、曲線240として示される時間内に構成される。ゲート信号111は、測定サイクル280に現れることができる2つのタイプのゲート窓を含む。ゲート窓は、SPAD受信機120が光子入射があるかどうかをチェックするように要求される短期間である。そうである場合、SPAD受信機120は、その出力121を介して、光子が入射したことを信号伝達し、そうでない場合、その出力121をサイレントに保つ。また、ダークカウント信号は、窓の間に起こり得、環境光の光子およびダークカウントおよびダークカウント率(DCR)と同様の特性を有し、したがって、後続のテキストにおいて無視される。
【0074】
試験遅延期間210が決定され、これは、シーンまでの想定される距離を表す。この試験遅延期間210は、光パルス200で開始する測定サイクル280の開始を指す。試験遅延期間210の後、試験ゲート窓220(試験時間間隔)が短期間(試験時点)開く(この実施形態では、50ピコ秒であるが、一般に、試験時間間隔は、任意の長さ、例えば、50ピコ秒と数ナノ秒との間であってもよい)。SPAD受信機120は、この試験ゲート窓220中に光子が入射しているかどうかをチェックするように要求される。
【0075】
参照ゲート窓230(参照時間間隔)は、短期間(参照時間点)開く(この実施形態では、50ピコ秒であるが、一般に、試験時間間隔は、任意の長さ、例えば、50ピコ秒と数ナノ秒との間であってもよい)。次いで、SPAD受信機120は、光子がこの参照ゲートウィンドウ220中に入射するかどうかをチェックするように要求される。
【0076】
SPAD受信機120から生じるゲートイベント121、曲線250は、SPAD受信機120が感度を有するよう要求されたウインドウ期間、すなわちゲート信号111が高い期間に、光子の存在を信号送信する。
【0077】
タイミング生成器110は、ゲート信号111を生成し、ゲート窓が試験ゲート窓220または参照ゲート窓230のいずれであったかを信号送信する信号アップ/ダウン112を提供するように構成される。
【0078】
試験遅延期間210に対応する仮定された距離が実距離と一致しないときには、試験ゲート窓220内には飛行時間光子は存在せず、ゲートイベント121の一部を生成するために周囲光子のみが残る。試験ゲート220から生じるイベントのレートまたは数を参照ゲート230と比較することによって、出射光パルス200と相関する光入射がないことを実証する、匹敵するイベントの数/レートを得ることができる。
【0079】
試験遅延期間210に対応する仮定された距離が、しかしながら、実距離またはおおよその距離と一致する場合、入射飛行時間光子172の大部分は、試験ゲート窓220内に存在し、ゲートイベント121の一部を生成する。試験ゲート220から生じるイベントのレートまたは数を参照ゲート230と比較することによって、かなり高い数/レートのイベントが得られ、光が入射し、放出された光パルス200と相関することが実証され、これは、正しい距離が仮定され、試験中であることを実証する。
【0080】
図2では、比較は、アップ/ダウンカウンタ132を使用することによって行われ、これは、デジタルアップ/ダウン信号112(図1の曲線260)に応答して、各々のゲートイベント121で上方または下方にカウントされる。
【0081】
距離の一致が実行されると、両方の試験窓内の周囲光子は互いに打ち消し合い、飛行時間光子172は、試験ゲート220の間にのみゲートイベントを生成し、そのようなものとして、カウンタ132は上昇する。このデジタル値、またはその一部は、信頼性信号153としてDSPに信号伝達することができる。カウンタは、その点に関して本開示を限定することなく、6、8、10、12、または16を含む限られた数のビットであり得る。
【0082】
いくつかの実施形態では、カウンタは、オーバーフローすることができないように、すなわち、一旦その最大正値に到達し、次いで、さらに上向きのカウントが要求されると、それがその最大レベルに制限されたままである(最も負の値に折り畳まれない)ように設計される。閾値レベル134を使用して、可能な距離の一致を検討するために境界が位置する場所を決定することができる。
【0083】
図3では、比較は、スイッチ142と、平均化コンデンサC_aと、アナログ信頼信号156を生成するサンプリングコンデンサC_sとを含むスイッチドキャパシタ平均化回路によって行われる。
【0084】
閾値レベル144は、可能な距離マッチングを考慮するために境界がどこに位置するかを決定するために使用される。マッチングがない場合、タイミング生成器110によって上り/下り信号112が低く駆動されるとき(例えばゼロボルト)、参照ゲート230の間のように、上り/下りが高いとき(例えば1ボルト)、試験ゲート220の間に統計的に同じ数およびレートのイベントが発生する。C_aがC_sよりn倍大きいと仮定すると、指数移動平均化は、1ボルトおよびゼロボルト入力信号に対して行われる。
次に、サンプルの最後のC_a/ C_s数にわたって平均化が行われる。平均的に同じ発生数が存在する場合(すなわち、距離整合なしの場合)には、平均出力電圧は、信頼信号156を構成するアップ/ダウン信号112の高低電圧値の中間に近い。アップ/ダウン信号112のデジタル電圧値が、ハイおよびローそれぞれ1Vおよび0Vであるとき、平均電圧は、次に、500ミリボルトに近くなる。
【0085】
曲線270(図1中)は、少量、時には上方(イベントが試験ゲート窓220中である場合)、時には下方(イベントが参照ゲート窓230中である場合)による信頼レベルの更新を示す。
【0086】
図2および3において、比較器132および141のうち、それぞれ、可能な距離マッチングの指示があるときに低いままである信号Next_OK 152を受け取り、したがって、次の仮定された距離にステップすること、したがって、試験遅延信号161を更新せず、試験遅延期間220を変更しないことは承認されない。
【0087】
しかし、Next_OK信号152が高くなると、マッチングの信頼度は、次の位置に進むのに十分低いと考えられる。クロック150は、Next_OK信号152が評価される時間モーメントを定義する信号155を生成し、事実上、次の仮定される距離を刺激することができる。この場合、信号ネクスト154は、このメッセージをパルスまたはエッジ-遅延値発生器160に通して、測定の間に更新されたデット遅延210のために適用されるタイミング生成器110によって使用されるテスト遅延信号161を更新する。この評価が行われる前に合格する測定周期280の数は、数百から数百万の測定周期の間であり得る。この測定サイクル数が高いほど、信頼性を評価するために使用され、決定はより考慮されるが、更新が行われ得る前に、より長い時間がかかる。
遅延値生成器160は、次の信号154を受信するたびに、関連する試験遅延信号161に反映される、適合された仮定距離を発生するように構成される。タイミング生成器110は、後者の信号を使用して、関連する試験遅延期間210を適用することになる。遅延値生成器160は、次の信号154、新しいテスト遅延信号161によってその入力において入力されるたびに提案する。
【0088】
図4は、合計40ミリ秒で、各々40ナノ秒の100万測定サイクルの期間にわたる統計的シミュレーションを与える。それは、信頼性を生成するためのアナログ原理140(図3)に基づいており、平均長さC_a/ C_sは1600であり、200ナノ秒当たり1光子の平均周囲光子イベントレートであり、1000測定サイクル当たり平均4つの飛行時間型光子(40マイクロ秒当たり4つの光子)のみを有する。試験ゲートおよび参照ゲート信号の幅は、共に500ピコ秒である。放射光パルスFWHM (全幅半値)は100ピコ秒である。破線310は、10ナノ秒で開始し、そのステップは、半分から22ナノ秒であるグランドトゥルース期間である。シミュレーションは、0ナノ秒のテスト遅延期間(曲線300)から開始する。
【0089】
Y軸390は、ゼロから40ナノ秒になる。Y軸395は、信頼信号320に対して0から1になる。時間軸380は、ゼロから100万測定サイクル、すなわち40ミリ秒までになる。テスト遅延期間300がグラウンドトゥルース310と一致しない場合、信頼度は0.5付近で移動する。この場合、100キロヘルツの周波数を有する決定クロック150に基づいて、増分ステップが行われ、したがって、10マイクロ秒毎に、Next_OK 152信号に応じて、小さいステップが許容され得る。使用された閾値144は、途中まで500ミリボルトに設定される。しばらくすると、試験遅延期間300は、信頼度が急上昇するグラウンドトゥルース310に達し、試験遅延300のさらなるステップを妨げる。そして、100万回の周期で、グラウンドトゥルースは突然23ナノ秒に更新される(オブジェクトが場所を移動することをエミュレートする)。ここ以降、平均的に多数の上下カウントが存在し、信頼度320をその中間値にし、時には、それは500ミリボルトを超え、時にはそれ未満に存在する。それが500ミリボルトを超える期間では、試験遅延期間300は増加を停止し、それを下回る場合、増加は継続する。20ナノ秒に到達すると、信頼レベルが500ミリボルトに達しているので、グラウンドトゥルース310について探索されたものが見出されるため、増加は停止する。
【0090】
遷移340の時点でロックが得られ、遷移350の時点で、グラウンドトゥルース変化、続いて、信頼度の急激な低下、一旦500ミリボルト未満に信頼度が低下すると、試験遅延期間300は再び増加し始め、その最終目的地、遷移370に到達すると、信頼度は有意に上昇する。これは、その時点で、20ナノ秒の正しい試験遅延期間を有する試験ゲート220において検出された多数の飛行時間光子が再び存在するためである。
【0091】
図2および図3に記載されたブロックは、当業者の知識に従って複数の方法で実施することができる。さらに、SPAD受信機は、異なる実装を有してもよい。例えば、余剰バイアスをゲートモーメントで印加し、残りの期間においてSPADをその破壊電圧以下に保つことができる。ゲート期間外の入射光子は、降伏を生じることなく少数キャリアのみを生成し、これは大きな要因によって電力散逸を低下させる可能性がある。
【0092】
図5は、本開示によるTOF方式示す。
【0093】
610で、第1の試験遅延が適用され、その後、所定回数の測定サイクルが620で実行され、評価期間が経過する(例えば、クロック150によって決定される)。各測定周期中、光が放射され、テスト遅延後、ゲート-窓が開かれ、光子が検出された場合には、信頼信号が増加される。参照ゲート期間中、光子は、信頼度を低下させ、そのようにして、ゲート期間中のレートおよび/または事象の数が比較される。
【0094】
630で、評価期間が経過したかどうかが決定される。いいえの場合、別の測定サイクルが実行される。
【0095】
はいの場合、640で、信頼度が所定の閾値を上回るかどうかチェックされる。
【0096】
飛行時間光子が入ることができるイベントの数が有意に多い場合、閾値を超え、試験遅延はもはや更新されない。
【0097】
図6は、オブジェクト距離を評価するためのフリップフロップ400を示す。
【0098】
一般に、デジタル信号プロセッサは、試験遅延の値、または任意の導出された値を使用して、オブジェクト距離の尺度として使用することができる。一旦、最新の値を読むと、それは、リセット信号420を通して、フリップフロップ400をセットし、その結果、「変化が起こった」かどうかを示す出力ビット410が、ローにセットされる(例えば、「0」)。オブジェクトの距離が変化する場合、次の154が高くなり、それによって、変化が起こったかどうか410、したがって、例えば高い(「1」)を示す出力ビットが設定される。このようにして、DSPは、(複数のシステム198、199からの)1つ以上の距離が低電力で変化したかどうかを監視することができる。
【0099】
回路10および/または20は、1Dまたは2Dアレイで繰り返されて、その点で本開示を限定することなく、画像センサを構成することができる。アレイの当業者は、特定の部分を共通に保つことを選択することができる(例えば、クロック生成150)。また、フリップフロップ400は、画素ごとに、または画素群ごとにインスタンス化されて、実質的な変化が、場合によっては、より高い速度の測定サイクル280をトリガし、場合によっては、処理レベルで他の操作を誘発したことをDSPプロセッサに信号伝達することができる。当技術分野で知られているような読み出しトランジスタを追加して、特定の想定される用途に適合されたアレイ動作を配置することができる。
【0100】
図7は、本開示によるTOF方式実施形態をブロック図で示している。
【0101】
701で、本明細書で論じられるように、試験時点で光子の試験数が決定され、参照時点で光子の参照数が決定される。
【0102】
702で、本明細書で論じられるように、試験数が参照数と比較される。
【0103】
図8は、本開示によるTOF方式実施形態をブロック図で示しており、このブロック図では、さらに信頼値が決定されている。
【0104】
801で、本明細書で論じられるように、試験時点で光子の試験数が決定され、参照時点で光子の参照数が決定される。802で、本明細書で論じられるように、試験番号が参照数と比較される。
【0105】
803で、本明細書で論じるように、比較結果に応じて信頼値が変更される。この実施形態では、信頼値は、アップ/ダウンカウンタに基づいて変更される。光子の試験数が光子の参照数より大きい場合、信頼値は増加し、信頼値は、光子の参照数が光子の試験数を下回る場合、減少する。
【0106】
804において、信頼値が所定の閾値を超える場合、往復遅延が決定される。さもなければ、試験時点は、本明細書で議論されるように、掃引に基づいて変化される。
【0107】
本明細書に提示される、またはそれに基づくシステムのいずれも、イメージセンサの技術水準において公知の他の手段によって補完することができる。例えば、マイクロレンズ、カラーフィルタ等は、単一光子検出回路への光入力を最適化するために適用されてもよい。内部/外部量子効率、応答性、および検出確率を改善するための任意の手段が適用されてもよい。三次元積層を行ってもよく、例えば、SPAD検出器層は、別のウエハ/材料、次いでCMOS回路ウエハから開始してもよい。裏面照明(BSI)が適用されてもよく、電流補助が適用されてもよく、またはシリコンオンインシュレータ(SOI)技術が適用されてもよい。本開示の提案された実施形態は、3Dイメージセンサをトータルに作る際に、センサーアレイのための画素としてレイアウトされ得る。いくつかの信号は、窓を規定するもの、復調機能、および平均化長さnを決定する信号のように、複数の画素に対してグループ化されてもよく、またはアレイ全体に対して同じであってもよい。
これに加えて、同時に標準的なイメージセンシングを行うために、標準的な3Tまたは4Tのイメージセンサの画素を追加することができる。SPAD受信機120は、通常のSPADを含むことができるが、また、十分な利得を有するアバランシェ光検出器(APD)を含む、単一光子検出を達成するための任意の他の手段を含むことができ、その線形利得モードを利用して、降伏未満にダイオードを動作させることができ、なおかつデジタル光子到着エッジおよびイベントを達成することができる。
【0108】
上述した実施形態は、方法ステップの例示的な順序付けを伴う方法を説明していることを理解されたい。しかしながら、方法ステップの特定の順序付けは、例示のみを目的として与えられており、結合力のあるものとして解釈されるべきではない。
【0109】
ToFシステム10または20をユニット101から156に分割することは、例示の目的のためにのみなされ、本開示は、特定のユニットにおける機能の特定の分割に限定されないことに留意されたい。例えば、ToFシステムは、それぞれのプログラムされたプロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などによって実装され得る。
【0110】
本明細書に記載する方法はまた、コンピュータおよび/またはプロセッサをコンピュータおよび/またはプロセッサで実施する際に、方法を実施させるコンピュータプログラムとして実施することもできる。また、いくつかの実施形態では、上述のプロセッサのようなプロセッサによって実行されると、上述の方法を実行させるコンピュータプログラム製品を記憶する非一時的コンピュータ可読記録媒体が提供される。
【0111】
本明細書に記載され、添付の特許請求の範囲に請求されるすべてのユニットおよびエンティティは別段の記載がない限り、例えばチップ上の集積回路ロジックとして実装することができ、そのようなユニットおよびエンティティによって提供される機能は、別段の記載がない限り、ソフトウェアによって実装することができる。
【0112】
上述の開示の実施形態が少なくとも部分的に、ソフトウェア制御されたデータ処理装置を使用して実施される限り、そのようなソフトウェア制御を提供するコンピュータプログラム、およびそのようなコンピュータプログラムが提供される伝送、記憶、または他の媒体が、本開示の態様として想定されることが理解される。
【0113】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1) 光源によって放射され、飛行時間型撮像素子に入射する光子の往復遅延を決定するための飛行時間型回路であって、前記飛行時間型回路は、
1つの試験時点における光子の試験数と、1つの参照時点における光子の参照数とを測定し、
放出された光子の往復遅延を決定するために、前記光子の試験数と前記光子の参照数とを比較する
ように構成されており、
前記試験時点と前記参照時点は、前記試験時点が変化させられる少なくとも2つの測定時間間隔の1つの測定時間間隔に含まれている
飛行時間型回路。
(2) 前記光子の試験数が放出された光子を示している
(1)に記載の飛行時間型回路。
(3) 前記光子の参照数が環境光を示している
(1)または(2)に記載の飛行時間型回路。
(4) 前記光子の試験数がゼロまたは1である
(1)~(3)のいずれか1つに記載の飛行時間型回路。
(5) 前記試験時点は、試験時間間隔を構成する試験ゲート信号に基づいており、前記参照時点は、参照時間間隔を構成する参照ゲート信号に基づいている
(1)~(4)のいずれか1つに記載の飛行時間型回路。
(6) 前記光子の参照数と前記光子の試験数との比較に基づいて信頼値を変更する
ようにさらに構成されている
(1)~(5)のいずれか1つに記載の飛行時間型回路。
(7) 前記光子の試験数が前記光子の参照数よりも大きい場合、前記信頼値を増加させ、または、
前記光子の参照数が前記光子の試験数よりも大きい場合、前記信頼値を低下させる
ようにさらに構成されている
(6)に記載の飛行時間型回路。
(8) 前記信頼値が所定の閾値を超える場合、往復遅延を決定する
ようにさらに構成されている
(6)または(7)に記載の飛行時間型回路。
(9) 前記光子の試験数が所定の閾値を下回っている場合、前記試験時点を変更する
ようにさらに構成されている
(1)~(8)のいずれか1つに記載の飛行時間型回路。
(10) 前記飛行時間撮像素子が単一光子アバランシェダイオードに基づくものである
(1)~(9)のいずれか1つに記載の飛行時間型回路。
(11) 前記光子の試験数と前記光子の参照数とを比較するために、平均化コンデンサ、サンプリングコンデンサ、および前記平均化コンデンサと前記サンプリングコンデンサとの間を切り替えるためのスイッチを含むスイッチドキャパシタ平均化回路をさらに含む
(1)~(10)のいずれか1つに記載の飛行時間型回路。
(12) 前記スイッチドキャパシタ平均化回路は、平均化キャパシタ容量とサンプリングキャパシタ容量との間の比に基づいて、指数移動平均化を行うように構成されている
(11)に記載の飛行時間型回路。
(13) 光源によって放射され、飛行時間型撮像素子に入射する光子の往復遅延を決定するための飛行時間方法であって、前記飛行時間方法は、
1つの試験時点における光子の試験数と、1つの参照時点における光子の参照数とを測定するステップと、
放出された光子の往復遅延を決定するために、前記光子の試験数と前記光子の参照数とを比較するステップと
を含み、
前記試験時点と前記参照時点は、前記試験時点が変化させられる少なくとも2つの測定時間間隔の1つの測定時間間隔に含まれている
飛行時間方法。
(14) 前記光子の試験数が放出された光子を示す
(13)に記載の飛行時間方法。
(15) 前記光子の参照数が環境光を示す
(13)または(14)に記載の飛行時間方法。
(16) 前記光子の試験数がゼロまたは1である
(13)~(15)のいずれか1つに記載の飛行時間方法。
(17) 前記試験時点は、試験時間間隔を構成する試験ゲート信号に基づいており、前記参照時点は、参照時間間隔を構成する参照ゲート信号に基づいている
(13)~(16)のいずれか1つに記載の飛行時間方法。
(18) 前記光子の参照数と前記光子の試験数との比較に基づいて信頼値を変更する
ことをさらに含む
(13)~(17)のいずれか1つに記載の飛行時間方法。
(19) 前記光子の試験数が前記光子の参照数よりも大きい場合、前記信頼値を増加させ、または、
前記光子の参照数が前記光子の試験数よりも大きい場合、前記信頼値を低下させる
ことをさらに含む
(18)に記載の飛行時間方法。
(20) 前記信頼値が所定の閾値を超える場合、往復遅延を決定する
ことをさらに含む
(18)または(19)に記載の飛行時間方法。
(21) 前記光子の試験数が所定の閾値を下回っている場合、前記試験時点を変更する
ことをさらに含む
(13)~(20)のいずれか1つに記載の飛行時間方法。
(22) 前記飛行時間撮像素子が単一光子アバランシェダイオードに基づくものである
(13)~(21)のいずれか1つに記載の飛行時間方法。
(23) 前記光子の試験数と前記光子の参照数とを比較するために、平均化コンデンサとサンプリングコンデンサとの間を切り替えることをさらに含む
(13)~(22)のいずれか1つに記載の飛行時間方法。
(24) 平均化キャパシタ容量とサンプリングキャパシタ容量との間の比に基づいて、指数移動平均化を行うことをさらに含む
(23)に記載の飛行時間方法。
(25) コンピュータ上で実行されるときに、前記コンピュータに(11)~(20)のいずれか1つに記載の方法を実行させるプログラムコードを具備するコンピュータプログラム。
(26) プロセッサによって実行されると、(11)~(20)のいずれか1つに記載の方法を実行させるコンピュータプログラム製品を内部に記憶する非一時的なコンピュータ可読記録媒体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】