(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】ナノカーボンのマクロアセンブリを作製するために二酸化炭素を利用する電解方法
(51)【国際特許分類】
C25B 1/135 20210101AFI20241108BHJP
C01B 32/15 20170101ALI20241108BHJP
C01B 32/158 20170101ALI20241108BHJP
C25B 9/09 20210101ALI20241108BHJP
【FI】
C25B1/135
C01B32/15
C01B32/158
C25B9/09
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529566
(86)(22)【出願日】2022-11-23
(85)【翻訳文提出日】2024-07-16
(86)【国際出願番号】 US2022050884
(87)【国際公開番号】W WO2023096984
(87)【国際公開日】2023-06-01
(32)【優先日】2021-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521134086
【氏名又は名称】シー2シーエヌティー,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】リヒト,スチュアート
(72)【発明者】
【氏名】リヒト,ガッド
【テーマコード(参考)】
4G146
4K021
【Fターム(参考)】
4G146AA01
4G146AB04
4G146AB06
4G146AC16A
4G146AC16B
4G146AD19
4G146AD22
4G146AD24
4G146AD35
4G146BA01
4G146BC33B
4K021AA09
4K021BA17
4K021BB03
4K021DA09
4K021DA13
4K021DC15
(57)【要約】
本開示の実施形態は、カーボンナノチューブおよびナノカーボンの様々なその他の同素体を含み得るカーボンナノ材料生成物(CNM)生成物を生成するための方法および装置に関する。方法および装置は、CNTを作製するために、消費性の二酸化炭素(CO2)および再生可能な炭酸塩電解質を反応物として、電解反応で用いる。本開示の一部の実施形態では、電解反応の動作条件は、ナノカーボンの所望の同素体または2種もしくはそれよりも多くの同素体の所望の組合せのさらに大きい発生率でCNM生成物を生成するために、様々であってもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マクロアセンブリ生成物を生成するための方法であって、
(a)電解質媒体を加熱して、溶融電解質媒体を得る工程と、
(b)前記溶融電解質媒体を、電解セルのアノードとカソードとの間に位置させる工程と、
(c)炭素の供給源を前記電解セル内に導入する工程と、
(d)電流を、前記電解セルの前記カソードおよび前記アノードに印加する工程と、
(e)前記CNM生成物を前記カソードから収集する工程と
を含み、前記CNM生成物が、最小相対量のナノスポンジ、稠密充填された実質的に平行なカーボンナノチューブ(CNT)、またはCNTのナノウェブを含む前記マクロアセンブリ生成物を含む、方法。
【請求項2】
前記アノードおよび前記カソードが、高ニッケル含量材料でそれぞれ作製され、前記CNM生成物が前記ナノスポンジを含み、前記最小相対量が、前記CNM生成物の全重量の少なくとも70%である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記電流が、電流密度を増大させる第1の段階、およびより高く実質的に一定の電流密度の第2の段階で印加される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の段階中、前記電流密度が、約20分間にわたり、約0.005A/cm
2~約0.07A/cm
2の間で増大する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記より高く実質的に一定の電流密度が、約0.1A/cm
2~0.3A/cm
2の間である、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
ニッケル含有添加剤を、前記電解質媒体または前記溶融電解質媒体に添加する工程をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記ニッケル含有添加剤が、前記電解質媒体または前記溶融電解質媒体の量に対して約0.5重量%~約0.2重量%の間の量で添加される、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記高ニッケル含量材料が、ニクロム合金である、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記アノードが、高ニッケル含量材料で作製され、前記CNM生成物が前記CNTのナノウェブを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記カソードが銅を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
ニッケル含有添加剤を、前記電解質媒体または前記溶融電解質媒体に添加する工程をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記ニッケル含有添加剤が、前記電解質媒体または前記溶融電解質媒体の量に対して約0.5重量%~約2重量%の間の量で添加される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記電流が、約0.1~0.5A/cm
2の間の電流密度で印加される、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記電流密度が0.2A/cm
2である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
鉄含有添加剤を前記溶融電解質に添加する工程をさらに含み、前記アノードが複合体アノードである、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記鉄含有添加剤が、前記電解質媒体または前記溶融電解質媒体の量に対して約0.5重量%~約2重量%の量で添加される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記複合体アノードが、第1のInconel合金の第1の層と、第2のInconel合金の少なくとも第2の層とを含み、前記CNM生成物が、前記稠密充填された実質的に平行なCNTを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記複合体アノードが、ニクロム合金の第1の層と、Inconel合金の少なくとも第2の層とを含み、前記所望の同素体が、所望の長さのCNTであり、前記CNM生成物が、前記稠密充填された実質的に平行なCNTを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
磁性添加剤成分を前記電解セルに導入する工程をさらに含み、前記磁性添加剤成分が、磁性材料添加成分、炭化物成長成分、またはこれらの任意の組合せを含み、前記マクロアセンブリ生成物は、磁性であり磁場にあるときに移動する、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
ドープ添加剤成分を前記電解セルに導入する工程をさらに含み、前記マクロアセンブリ生成物はドープされ、前記ドープ添加剤成分の原子が、ドープされたマクロアセンブリ生成物の全体を通して直接組み込まれて、ドープされていないマクロアセンブリ生成物とは異なる所望の物理的および/または化学的性質を、前記ドープされたマクロアセンブリ生成物に与える、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
サイズが約50nm~約300nmの間である細孔を画定するナノスポンジを含む、マクロアセンブリ。
【請求項22】
サイズが約100nm~約500nmの間である細孔を画定するナノスポンジを含む、マクロアセンブリ。
【請求項23】
前記ナノスポンジが、Raman分光法により測定して約0.6~約0.8の間のI
D/I
G比を有する、請求項21に記載のマクロアセンブリ。
【請求項24】
サイズが約200nm~約1μmの間である細孔を画定するナノウェブを含む、マクロアセンブリ。
【請求項25】
前記ナノウェブが、Raman分光法により測定して約0.2~約0.4の間のI
D/I
G比を有する、請求項23に記載のマクロアセンブリ。
【請求項26】
約50nm~約1μmの間のCNT間間隔を画定する、多数の稠密充填された実質的に平行なCNTを含む、マクロアセンブリ。
【請求項27】
前記多数の稠密充填された実質的に平行なCNTが、Raman分光法により測定して約0.4から約0.6の間のI
D/I
G比を有する、請求項25に記載のマクロアセンブリ。
【請求項28】
ナノ濾過のための、請求項21または請求項22に記載のマクロアセンブリの使用。
【請求項29】
ナノ濾過のための、請求項24に記載のマクロアセンブリの使用。
【請求項30】
ナノ濾過のための、または人工ニューラルネットにおける伝導性ワイヤとしての、請求項26に記載のマクロアセンブリの使用。
【請求項31】
医療用デバイス、構造強化添加剤、強度強化添加剤、導電率強化添加剤、熱伝導度強化添加剤、または柔軟性強化添加剤、硬度強化添加剤、耐久性強化添加剤、潤滑強化添加剤の1種または複数における、または触媒、電気自動車、ケーブルまたはワイヤ、競技用器具、医薬送達システム、エレクトロニクス、バッテリ、スーパーキャパシタ、センサ、プラスチック、ポリマー、テキスタイル、水素貯蔵システム、表面向けの光吸収強化剤、表面向けの電磁遮蔽強化剤、表面処理、表面コーティング、塗料または水処理システムとしての、請求項26に記載のマクロアセンブリの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 関連出願への相互参照
本出願は、参照によりそれぞれの開示全体が本明細書に組み込まれる2021年11月24に出願された米国仮特許出願第63/282,985号および2022年1月18日に出願された米国仮特許出願第63/300,499号の優先権を主張する。
【0002】
[0002] 本開示は一般に、カーボンナノ材料の生成に関する。詳細には本開示は、電解を使用して様々な同素体のカーボンナノ材料を生成するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] カーボンナノチューブ(CNT)は、任意の材料の中で測定された最も高い引張り強さ(強度93,900MPa)を有する。多層CNTは、円筒形グラフェンシートの同心状の壁からなる。グラフェンは、1個の炭素原子の厚さに相当する約0.335nmの厚さを持つsp2混成軌道炭素原子の単層によって形成された、二次元のハニカム構造化材料である。黒鉛、ナノチューブ、およびフラーレンは、グラフェンによって、例えば巻くことによりおよび積層することにより形成することができる。
【0004】
[0004] グラフェン構造を含むカーボンナノ材料(CNM)は、高い強度、高い導電率、高い熱伝導度、耐久性、硬度、柔軟性、潤滑性を含む多くの有用な性質を有し、それは触媒としても使用することができ、化学的に修飾することができる。これらの有用な性質が意味するのは、CNTの適用例が着実に伸びることである。例えば、構造材料中のCNTの低(典型的には<<1%)濃度は、セメント、鋼、プラスチック、木材、およびアルミニウムなど、ある範囲の構造材料の強度を増大させることができる。これらの材料のそれぞれは高いカーボンフットプリントを有する可能性があるので、増大した強度を持つ、または高いフットプリント材料を全く必要とせず、ほとんど必要とせず、もしくは少し必要とするその他の有用な性質を持つ炭素複合体は、カーボンフットプリントを劇的に低下させ得る。カーボンナノ材料の有用な性質を利用するその他の適用例には:ケーブルまたはワイヤ、電気自動車、競技用器具、医学的用途、エレクトロニクス、バッテリ、スーパーキャパシタ、センサ、プラスチック、ポリマー、テキスタイル、水素貯蔵および水処理が含まれる。
【0005】
[0005] それによってCNTが生成される公知のプロセスは、化学気相成長(CVD)である。しかしながら、CNTのCVDは高価であり-現在の見積もりは、生成されたCNTのトン当たり$100K~$600Kの間のコストであり、CVDは高いカーボンフットプリントを有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[0006] 化学気相成長(CVD)に加え、二酸化炭素(CO2)およびリチウム-炭酸塩電解質を使用する電解反応も、CNTを作製するための公知のプロセスである。これらの電解反応は、高いクーロン効率で均一なCNTおよびカーボンナノ繊維(CNF)生成物を生成するよう、溶融リチウム-炭酸塩溶液中でCO2を分解するために1ボルト未満の電解電位を用いてもよい。大気からCO2は、同位体(13C)追跡により確認されるように、CNTに直接変換することができる。溶融リチウム-炭酸塩中のCO2の電解分離は、直接炭素回収として、およびCO2予備濃縮なしでまたは排ガスCO2によるまたは濃縮CO2による、空気からの変換として、引き起こすことができる。しかしながら公知の電解反応の生成物は、ナノ構造、形態、または同素体とも呼ばれる様々な物理形態の種々の構成成分を含んでいてもよい。さらに、類似の電解質動作パラメータで作製される生成物は、種々の物理形態、および様々な物理形態の種々の関連ある性質をもたらす可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[0007] 本開示の実施形態は:カーボンナノチューブ(CNT)、黒鉛状炭素、ナノバンブー、円錐状カーボンナノ繊維、ナノパールカーボン、被覆されたCNT、ナノオニオン、中空ナノオニオン、ナノフラワー、ナノドラゴン、ブランチおよびトランクCNT(ナノツリー)、ナノベルト、ナノロッド、長いおよび/または直線状CNT、高アスペクト比CNT、細いCNT、およびCNTの巨視的アセンブリであって稠密充填されたもの、直線状CNT、ナノスポンジ、およびナノウェブを含むものなど、様々な炭素同素体を含むカーボンナノ材料生成物(CNM)を生成するための方法および装置に関する。方法および装置は、これらの様々なカーボンナノ材料(CNM)を作製するために、電解反応の反応物として二酸化炭素(CO2)を用いる。本開示の実施形態は、所望の同素体の1種または複数の高純度を有するCNM生成物を選択的に提供するため、本開示の広範囲にわたる制御された様々な電解方法および装置を提供する。
【0008】
[0008] 本開示のいくつかの実施形態は、CNM生成物を作製するための方法に関する。方法は:炭酸塩電解質を加熱して、溶融炭酸塩電解質を得る工程と、溶融炭酸塩電解質を、電解セル中のアノードとカソードとの間に位置させる工程と、電流を、電解セル中のカソードおよびアノードに印加する工程と、下記の動作パラメータ:カソードの組成または構成、アノードの組成または構成、電解質に添加されることになる添加剤、電解質をエージングする工程、電流密度、電流密度の上昇変化(増大または減少)の工程、CNM生成物がさらに高い相対量の所望の同素体を含むように電流を印加する時間の、1つまたは複数から選択する工程を含む。所望の同素体の例には、限定されるものではないが:カーボンナノチューブ(CNT)、黒鉛状炭素、ナノバンブー、円錐状カーボンナノ繊維、ナノパールカーボン、被覆されたCNT、ナノオニオン、中空ナノオニオン、ナノフラワー、ナノドラゴン、ブランチおよびトランクCNT(ナノツリー)、ナノベルト、ナノロッド、長いおよび/または直線状CNT、高アスペクト比CNT、細いCNT、CNTの巨視的アセンブリ、またはこれらの組合せが含まれる。方法はさらに、カソードからCNM生成物を収集する工程を含む。
【0009】
[0009] 方法および装置は、様々な炭素同素体を作製するために、電解反応の反応物として二酸化炭素(CO2)を用いる。本開示の実施形態は、高純度の1種または複数のこれら同素体を有するCNM生成物を選択的に提供するため、本開示の広範囲にわたる制御された様々な電解方法および装置を提供する。十分なCO2が不在の状態で、炭酸塩電解質は炭素の供給源になり、消費される。CO2は外部気体に由来する可能性があり、または所望の電解反応を支持するのに一時的に不十分な外部CO2がある場合、炭素の供給源は炭酸塩の分解に由来する可能性がある。いかなる理論にも拘泥するものではないが、炭酸塩分解は、CO2およびO2などの酸化物とのCO3
2-の不均衡に従う。後者の場合、この酸化物の構築は、利用可能になったとき、過剰なCO2を除去する予備として作用する。
【0010】
[0010] 本開示の一部の実施形態では、方法は、内部に所望の同素体を含むCNM生成物ドープするために修正されてもよい。ドープされた同素体は、ドープされた同素体の化学構造内に直接組み込まれたドープ成分の原子を有し、それによって、ドープされていない同素体と比較したときに新しいまたは強化された物理的および/または化学的性質をドープされた同素体に与える。
【0011】
[0011] 本開示の一部の実施形態では、方法は、内部に所望の同素体を含む、外部磁場に応答するCNM生成物を作製するために、修正されてもよい。磁性同素体は、化学付加および/または炭化物で促進されるメカニズムを用いて、内部に磁性物質の原子を組み込むことができ、したがって磁性同素体は、磁場の供給源にまたはその付近に位置するときに磁場に沿って移動できるようになる。
【0012】
[0012] いかなる特定の理論にも拘泥するものではないが、本開示の一部の実施形態は、反応物として温室効果ガスCO2を使用する溶融炭酸塩電解によって炭素の新しい同素体を合成する新しい方法を提供する。従来のダイヤモンド、黒鉛、およびバッキーボールの世界を超えて、独自のナノカーボン構造の膨大なアレイが存在し、発見されている。最近まで、CO2は、反応しないと考えられた。本明細書では、CO2は、とりわけ炭素の明確なナノバンブー、ナノパール、ナノドラゴン、中実および中空ナノオニオン、ナノツリー、ナノロッド、ナノベルト、およびナノフラワー同素体に変換できることを示す。単純な電解によって高純度でこれらの同素体を生成する能力-酸化アルミニウムのアルミニウム生成分解に類似するが代わりに二酸化炭素の分解によるナノカーボン生成-は、高強度の新しい性質、新しい電気的性質、新しい熱的性質、新しい柔軟性、新しい電荷貯蔵特性、新しい潤滑性、および新しい堅牢性を提供する可能性を持つ数々の安価な独自の材料を切り開く。ナノカーボンの商業的生成技術は、10倍~100倍高価な化学気相成長(CVD)であり、これは一般に金属-有機反応物を必要とし、カーボンネガティブフットプリントではなく高度にポジティブなカーボンフットプリントを有する。種々のナノカーボン同素体を、様々なアノードおよびカソード組成および構成、電解質組成、予備電解処理(エージング)、ならびに電流上昇および電流密度によって電気化学的に調製した。
【0013】
[0013] 本開示の一部の実施形態は、CNM生成物を生成するための第1の方法に関する。方法は:電解質媒体を加熱して、溶融電解質媒体を得る工程と、溶融電解質媒体を、電解セルの高ニッケル含量アノードとカソードとの間に位置させる工程と、炭素の供給源を電解セル内に導入する工程と、電流を、電解セルのカソードおよびアノード印加する工程と、CNM生成物をカソードから収集する工程とを含む。第1の方法のこれらの実施形態では、CNM生成物は、CNM生成物の全重量と比較して少なくとも70重量%の最小相対量の、所望の長さのカーボンナノチューブ(CNT)、カール状CNT、円錐状カーボンナノ繊維、ナノバンブー、中空ナノオニオン、およびナノツリーの群から選択される所望の同素体を含む。
【0014】
[0014] 本開示の一部の実施形態は、アノードが実質的に純粋なニッケルで作製され、カソードが銅を含み、所望の同素体が所望の長さのCNTであり、および所望の長さが約30μm~約60μmの間である、第1の方法に関する。
【0015】
[0015] 本開示の一部の実施形態は、第1の方法が、鉄含有塩を電解質媒体または溶融電解質媒体に添加する工程をさらに含む、第1の方法に関する。
【0016】
[0016] 本開示の一部の実施形態は、鉄含有塩が、電解質媒体または溶融電解質媒体の量に対して約0.01重量%~約5重量%の間の量で添加され、アノードがニクロムCで作製され、電流が約0.1A/cm2~約0.2A/cm2の間の電流密度で印加され、所望の同素体が所望の長さのCNTであり、所望の長さが約50μm~約100μmの間である、第1の方法に関する。
【0017】
[0017] 本開示の一部の実施形態は、鉄含有塩が、電解質媒体または溶融電解質媒体の量に対して約0.01重量%~約5重量%の間の量で添加され、アノードがニクロムAで作製され、所望の同素体が所望の長さのCNTであり、所望の長さが約20μm~約80μmの間である、第1の方法に関する。
【0018】
[0018] 本開示の一部の実施形態は、鉄含有塩が、電解質媒体または溶融電解質媒体の量に対して約0.01重量%~約5重量%の間の量で添加され、アノードがニクロムCで作製され、電流が、約0.1A/cm2~約0.2A/cm2の間の電流密度で印加され、所望の同素体が所望の長さのCNTであり、所望の長さが約10μm~約30μmの間である、第1の方法に関する。
【0019】
[0019] 本開示の一部の実施形態は、鉄含有塩が、電解質媒体または溶融電解質媒体の量に対して約0.01重量%~約5重量%の間の量で添加され、アノードはニクロムCで作製され、電流は、約0.1A/cm2~約0.75A/cm2の間の電流密度で印加され、所望の同素体は所望の長さのCNTであり、所望の長さは約100μm~約200μmの間である、第1の方法に関する。
【0020】
[0020] 本開示の一部の実施形態は、鉄含有塩が、電解質媒体または溶融電解質媒体の量に対して約0.01重量%~約5重量%の間の量で添加され、アノードがニクロムCで作製され、電流は、約0.05A/cm2~約0.2A/cm2の間の電流密度で印加され、所望の同素体は所望の長さのCNTであり、所望の長さは約30μm~約60μmの間である、第1の方法に関する。
【0021】
[0021] 本開示の一部の実施形態は、鉄含有塩が、電解質媒体または溶融電解質媒体の量に対して約0.01重量%~約1重量%の間の量で添加され、アノードがニクロムCで作製され、所望の同素体は、CNTとカール状CNTとの混合物であり、カール状CNTの相対量は、CNM生成物の全重量の少なくとも25重量%である、第1の方法に関する。
【0022】
[0022] 本開示の一部の実施形態は、鉄含有塩が、電解質媒体または溶融電解質媒体の量に対して約0.01重量%~約5重量%の量で添加され、アノードが、Inconel 625の第1の層とInconel 600の少なくとも第2の層とを含む複合体アノードであり、所望の同素体が、所望の長さのCNTであり、所望の長さが約10μm~約100μmの間である、第1の方法に関する。
【0023】
[0023] 本開示の一部の実施形態は、鉄含有塩が、電解質媒体または溶融電解質媒体の量に対して約0.01重量%~約5重量%の間の量で添加され、アノードが、第1のInconel合金の第1の層と第2のInconel合金の少なくとも第2の層とを含む複合体アノードであり、所望の同素体が所望の長さのCNTであり、所望の長さは約100μm~約500μmの間である、第1の方法に関する。
【0024】
[0024] 本開示の一部の実施形態は、鉄含有塩が、電解質媒体または溶融電解質媒体の量に対して約0.01重量%~約5重量%の量で添加され、約0.01重量%~約5重量%の間のニッケル含有添加剤を電解質媒体に添加する工程をさらに含み、所望の同素体がカール状CNTである、第1の方法に関する。
【0025】
[0025] 本開示の一部の実施形態は、アノードがInconel合金である、第1の方法に関する。
【0026】
[0026] 本開示の一部の実施形態は、アノードが、第1のInconel合金の第1の層と第2のInconel合金の少なくとも第2の層とを含む複合体アノードである、第1の方法に関する。
【0027】
[0027] 本開示の一部の実施形態は、アノードおよびカソードが、実質的に純粋なニッケルで共に作製され、所望の同素体はナノバンブーおよびカーボンナノチューブの混合物である、第1の方法に関する。
【0028】
[0028] 本開示の一部の実施形態は、ニッケル含有添加剤を、電解質媒体または溶融電解質媒体の量に対して、電解質媒体または溶融電解質媒体に添加する工程をさらに含み、アノードが、Inconel 718の第1の層とInconel 600の少なくとも第2の層とを含む複合体アノードであり、所望の同素体がナノバンブーである、第1の方法に関する。
【0029】
[0029] 本開示の一部の実施形態は、溶融電解質が新たに溶融され、CNM生成物が円錐状ナノチューブ同素体をさらに含む、第1の方法に関する。
【0030】
[0030] 本開示の一部の実施形態は、ニッケル含有添加剤を、電解質媒体または溶融電解質媒体に添加する工程をさらに含み、アノードが、Inconel 718の第1の層とInconel 600の少なくとも第2の層とを含む複合体アノードであり、所望の同素体がナノバンブーである、第1の方法に関する。
【0031】
[0031] 本開示の一部の実施形態は、リチウム含有添加剤を、電解質媒体または溶融電解質媒体中に導入する工程をさらに含み、アノードが、Inconel 718の第1の層とInconel 600の少なくとも第2の層とを含む複合体アノードであり、所望の同素体がナノツリーである、第1の方法に関する。
【0032】
[0032] 本開示の一部の実施形態は、リチウム含有添加剤が、酸化リチウムであり、電解質媒体または溶融電解質媒体の量に対して約0.05重量%~0.5重量%間の量で添加される、第1の方法に関する。
【0033】
[0033] 本開示の一部の実施形態は、ニッケル含有添加剤を電解質媒体または溶融電解質媒体に添加する工程をさらに含み、アノードがニクロムCで作製され、電流が、約0.05A/cm2~0.12A/cm2の間の電流密度で印加され、所望の同素体が中空ナノオニオンのCNRである、第1の方法に関する。
【0034】
[0034] 本開示の一部の実施形態は、磁性添加剤成分を電解セル内に導入する工程をさらに含み、磁性添加剤成分は、磁性材料添加剤成分、炭化物成長成分、またはこれらの任意の組合せを含み、所望の同素体は、磁性であり磁場にあるときに移動する、第1の方法に関する。
【0035】
[0035] 本開示の一部の実施形態は、ドープ添加剤成分を電解セル内に導入する工程をさらに含み、所望の同素体がドープされ、ドープ添加剤成分の原子が、ドープされた所望の同素体全体を通して直接組み込まれて、ドープされていない所望の同素体とは異なる所望の物理的および/または化学的性質を、ドープされた所望の同素体に与える、第1の方法に関する。
【0036】
[0036] 本開示の一部の実施形態は、ナノバンブーを含む第1のCNMに関し、ナノバンブーは、バンブーノブの対の間に位置する多重グラフェン層を含む。
【0037】
[0037] 第1のCNMのこれらの実施形態では、ナノバンブーが、Raman分光法によって測定して少なくとも1のID/IG比を有する。
【0038】
[0038] 本開示の一部の実施形態は、ナノツリーを含む第2のCNMに関し、ナノツリーは、トランクCNTから離れて延びる複数のブランチCNTを持つトランクCNTを含む。
【0039】
[0039] 第2のCNMのこれらの実施形態では、ナノツリーは、Raman分光法により測定して、約0.7~約0.9の間のID/IG比を有する。
【0040】
[0040] 第2のCNMのこれらの実施形態では、第2のCNMはさらに、複数のブランチCNTおよびトランクCNTのそれぞれの交差部の近位に位置する曲がったグラフェン層を含む。
【0041】
[0041] 本開示の一部の実施形態は、アスペクト比が1000よりも大きい高アスペクト比カーボンナノチューブ(CNT)、ナノバンブー;円錐状CNT;カール状CNT、カール状カーボンナノ繊維、またはナノツリーの1種または複数を含む第3のCNMに関する。
【0042】
[0042] 本開示の一部の実施形態は、内部コアを画定する中空ナノオニオンを含む、第4のCNMに関する。
【0043】
[0043] 第4のCNMのこれらの実施形態では、内部コアを実質的に空であることができる。
【0044】
[0044] 第4のCNMのこれらの実施形態では、内部コアは金属を含有することができ、金属は、鉄、ニッケル、またはこれらの組合せである。
【0045】
[0045] 第4のCNMのこれらの実施形態では、中空ナノオニオンは、Raman分光法により測定して約0.2~約0.4の間のID/IG比を有する。
【0046】
[0046] 本開示の一部の実施形態は、医療用デバイス、構造強化添加剤、強度強化添加剤、導電率強化添加剤、熱伝導度強化添加剤、または柔軟性強化添加剤、硬度強化添加剤、耐久性強化添加剤、潤滑強化添加剤の1種または複数における、または触媒、電気自動車、ケーブルまたはワイヤ、競技用器具、医薬送達システム、エレクトロニクス、バッテリ、スーパーキャパシタ、センサ、プラスチック、ポリマー、テキスタイル、水素貯蔵システム、表面向けの光吸収強化剤、表面向けの電磁遮蔽強化剤、表面処理、表面コーティング、塗料または水処理システムとしての、所望のナノカーボン同素体の使用であって、所望の同素体は、所望の長さのカーボンナノチューブ(CNT)、カール状CNT、円錐状カーボンナノ繊維、ナノバンブー、中空ナノオニオン、およびナノツリーの群から選択される、使用に関する。
【0047】
[0047] 本開示の一部の実施形態は、マクロアセンブリ生成物を生成するための第2の方法に関する。第2の方法は:電解質媒体を加熱して、溶融電解質媒体を得る工程と、溶融電解質媒体を、電解セルのアノードとカソードとの間に位置させる工程と、炭素の供給源を電解セル内に導入する工程と、電流を、電解セルのカソードおよびアノードに印加する工程と、CNM生成物をカソードから収集する工程とを含む。第2の方法に関する実施形態では、CNM生成物は、最小相対量のナノスポンジ、稠密充填された実質的に平行のカーボンナノチューブ(CNT)、またはCNTのナノウェブを含むマクロアセンブリ生成物を含む。
【0048】
[0100] 本開示の一部の実施形態は、アノードおよびカソードが高ニッケル含量材料でそれぞれ作製され、CNM生成物がナノスポンジを含み、最小相対量がCNM生成物の全重量の少なくとも70%である、第2の方法に関する。
【0049】
[0101] 本開示の一部の実施形態は、電流が、電流密度を増大させる第1の段階と、より高く実質的に一定の電流密度の第2の段階とで印加される、第2の方法に関する。
【0050】
[0102] 本開示の一部の実施形態は、第2の段階中、約20分にわたり電流密度を約0.005A/cm2~約0.07A/cm2の間で増大させる、第2の方法に関する。
【0051】
[0103] 本開示の一部の実施形態は、より高く実質的に一定の電流密度が約0.1A/cm2~0.3A/cm2の間である、第2の方法に関する。
【0052】
[0104] 本開示の一部の実施形態は、ニッケル含有添加剤を電解質媒体または溶融電解質媒体に添加する工程をさらに含む、第2の方法に関する。
【0053】
[0105] 本開示の一部の実施形態は、ニッケル含有添加剤が、電解質媒体または溶融電解質媒体の量に対して約0.5重量%~約0.2重量%の間の量で添加される、第2の方法に関する。
【0054】
[0106] 本開示の一部の実施形態は、高ニッケル含量材料はニクロム合金である、第2の方法に関する。
【0055】
[0107] 本開示の一部の実施形態は、アノードが、高ニッケル含量材料で作製され、CNM生成物がCNTのナノウェブを含む、第2の方法に関する。
【0056】
[0108] 本開示の一部の実施形態は、カソードが銅を含む、第2の方法に関する。
【0057】
[0109] 本開示の一部の実施形態は、ニッケル含有添加剤を電解質媒体または溶融電解質媒体に添加する工程をさらに含む、第2の方法に関する。
【0058】
[0110] 本開示の一部の実施形態は、ニッケル含有添加剤が、電解質媒体または溶融電解質媒体の量に対して約0.5重量%~約2重量%の間の量で添加される、第2の方法に関する。
【0059】
[0111] 本開示の一部の実施形態は、電流が、約0.1~0.5A/cm2の間の電流密度で印加される、第2の方法に関する。
【0060】
[0112] 本開示の一部の実施形態は、電流密度が0.2A/cm2である、第2の方法に関する。
【0061】
[0113] 本開示の一部の実施形態は、鉄含有添加剤を溶融電解質に添加する工程をさらに含み、アノードが複合体アノードである、第2の方法に関する。
【0062】
[0114] 本開示の一部の実施形態は、鉄含有添加剤が、電解質媒体または溶融電解質媒体の量に対して約0.5重量%~約2重量%の量で添加される、第2の方法に関する。
【0063】
[0115] 本開示の一部の実施形態は、複合体アノードが第1のInconel合金の第1の層と第2のInconel合金の少なくとも第2の層とを含み、CNM生成物が、稠密充填された実質的に平行なCNTを含む、第2の方法に関する。
【0064】
[0116] 本開示の一部の実施形態は、複合体アノードがニクロム合金の第1の層とInconel合金の少なくとも第2の層とを含み、所望の同素体が所望の長さのCNTであり、CNM生成物が、稠密充填された実質的に平行なCNTを含む、第2の方法に関する。
【0065】
[0117] 本開示の一部の実施形態は、磁性添加剤成分を電解セル内に導入する工程をさらに含み、磁性添加剤成分は、磁性材料添加成分、炭化物成長成分、またはこれらの任意の組合せを含み、マクロアセンブリ生成物は、磁性であり磁場にあるときに移動する、第2の方法に関する。
【0066】
[0118] 本開示の一部の実施形態は、ドープ添加剤成分を電解セル内に導入する工程をさらに含み、マクロアセンブリ生成物はドープされ、ドープ添加剤成分の原子が、ドープされたマクロアセンブリ生成物の全体を通して直接組み込まれて、ドープされていないマクロアセンブリ生成物とは異なる所望の物理的および/または化学的性質を、ドープされたマクロアセンブリ生成物に与える、第2の方法に関する。
【0067】
[0119] 本開示の一部の実施形態は、約50nm~約300nmの間のサイズを持つ細孔を画定するナノスポンジを含む、第1のマクロアセンブリに関する。
【0068】
[0120] 本開示の一部の実施形態は、約100nm~約500nmの間のサイズの細孔を画定するナノスポンジを含むマクロアセンブリを含む、第2のマクロアセンブリに関する。
【0069】
[0121] 本開示の一部の実施形態は、Raman分光法により測定して、ナノスポンジが約0.6~約0.8の間のID/IG比を有する、第1の(または第2の)マクロアセンブリに関する。
【0070】
[0122] 本開示の一部の実施形態は、約200nm~約1μmの間のサイズを持つ細孔を画定するナノウェブを含む、第3のマクロアセンブリに関する。
【0071】
[0123] 本開示の一部の実施形態は、ナノウェブが、Raman分光法により測定して、約0.2~約0.4の間のID/IG比を有する、第3のマクロアセンブリに関する。
【0072】
[0124] 本開示の一部の実施形態は、約50nm~約1μmの間のCNT間間隔を画定する、多数の稠密充填された実質的に平行なCNTを含む、第4のマクロアセンブリに関する。
【0073】
[0125] 本開示の一部の実施形態は、多数の稠密充填された実質的に平行なCNTが、Raman分光法により測定して約0.4~約0.6の間のID/IG比を有する、第4のマクロアセンブリに関する。
【0074】
[0126] 本開示の一部の実施形態は、ナノ濾過用の第1のまたは第2のまたは第3のマクロアセンブリの使用に関する。
【0075】
[0048] 本開示の一部の実施形態は、ナノ濾過用のまたは人工ニューラルネットにおける伝導性ワイヤとしての、第4のマクロアセンブリの使用に関する。
【0076】
[0049] 本開示の一部の実施形態は、CNM生成物を生成するための第3の方法に関する。方法は:電解質媒体を加熱して、溶融電解質媒体を得る工程と、溶融電解質媒体を、電解セルの高ニッケル含量アノードと銅含有カソードとの間に位置させる工程と、炭素の供給源を電解セル内に導入する工程と、鉄含有塩を電解質媒体または溶融電解質媒体中に導入する工程と、低電流密度の電流を、電解セルのカソードおよびアノードに印加する工程と、CNM生成物をカソードから収集する工程とを含む。第3の方法に関するこれらの実施形態では、CNM生成物は、カーボンナノドラゴンまたはカーボンナノベルトである、最小相対量の所望の同素体を含む。
【0077】
[0100] 本開示の一部の実施形態は、鉄含有塩が、電解質媒体または溶融電解質媒体の量に対して約0.05重量%~約2重量%の間の量で添加される、第3の方法に関する。
【0078】
[0101] 本開示の一部の実施形態は、鉄含有塩が酸化鉄である、第3の方法に関する。
【0079】
[0102] 本開示の一部の実施形態は、アノードがInconel合金である第3の方法に関する。
【0080】
[0103] 本開示の一部の実施形態は、低電流密度の電流が、約0.3A/cm2~約0.75A/cm2の間の電流密度を有し、所望の同素体がナノドラゴンであり、最小相対量が、CNM生成物の全重量の少なくとも70重量%である、第3の方法に関する。
【0081】
[0104] 本開示の一部の実施形態は、銅含有カソードがMonel合金である、第3の方法に関する。
【0082】
[0105] 本開示の一部の実施形態は、低電流密度の電流が約4時間にわたり印加される、第3の方法に関する。
【0083】
[0106] 本開示の一部の実施形態は、溶融電解質媒体を少なくとも24時間エージングする工程をさらに含み、酸化鉄がエージングする工程の前に添加され、低電流密度の電流が約0.05A/cm2~0.15A/cm2の間の電流密度を有し、所望の同素体がナノベルトであり、最小相対量がCNM生成物の全重量の少なくとも90重量%である、第3の方法に関する。
【0084】
[0107] 本開示の一部の実施形態は、銅含有カソードがMuntz黄銅を含む、第3の方法に関する。
【0085】
[0108] 本開示の一部の実施形態は、低電流密度の電流が、約15時間~約20時間の間にわたり印加される、第3の方法に関する。
【0086】
[0109] 本開示の一部の実施形態は、磁性添加剤成分を電解セル内に導入する工程をさらに含み、磁性添加剤成分が、磁性材料添加成分、炭化物成長成分、またはこれらの任意の組合せを含み、所望の同素体が、磁性であり磁場にあるときに移動する、第3の方法に関する。
【0087】
[0110] 本開示の一部の実施形態は、ドープ添加剤成分を電解セル内に導入する工程をさらに含み、所望の同素体はドープされ、ドープ添加剤成分の原子が、ドープされた所望の同素体全体を通して直接組み込まれて、ドープされていない所望の同素体とは異なる所望の物理的および/または化学的性質を、ドープされた所望の同素体に与える第3の方法に関する。
【0088】
[0111] 本開示の一部の実施形態は、ナノドラゴンを含む第5のCNMに関し、ナノドラゴンは、細長い本体のCNTから離れて延びる少なくとも1つの突起を持つ細長い本体のCNTを有する。
【0089】
[0112] 本開示の一部の実施形態は、少なくとも1つの突起が多数の突起である、第5のCNMに関する。
【0090】
[0113] 本開示の一部の実施形態は、少なくとも1つの突起のそれぞれが、分岐状CNT、金属成長のノジュール、またはこれらの任意の組合せを含む、第5のCNMに関する。
【0091】
[0114] 本開示の一部の実施形態は、ナノドラゴンが、Raman分光法により測定して、約0.6~約0.8の間のID/IG比を有する、第5のCNMに関する。
【0092】
[0115] 本開示の一部の実施形態は、Raman分光法により測定して、約0.67のID/IG比を持つナノベルトを含む、第6のCNMに関する。
【0093】
[0116] 本開示の一部の実施形態は、医療用デバイス、構造強化添加剤、強度強化添加剤、導電性強化添加剤、熱伝導度強化添加剤、柔軟性強化添加剤、硬度強化添加剤、耐久性強化添加剤、潤滑強化添加剤の1種もしくは複数における、または触媒、電気自動車、ケーブルもしくはワイヤ、競技用器具、医薬送達システム、エレクトロニクス、バッテリ、スーパーキャパシタ、センサ、プラスチック、ポリマー、テキスタイル、水素貯蔵システム、表面の光吸収強化、表面の電磁遮蔽強化、表面処理、表面コーティング、塗料もしくは水処理システムとしての、所望のナノカーボン同素体の使用に関し、所望の同素体は、カーボンナノドラゴンまたはカーボンナノベルトである。
【0094】
[0117] 本開示に一部の実施形態は、CNM生成物を生成するための第4の方法に関する。第4の方法は:電解質媒体を加熱して、溶融電解質媒体を得る工程と、溶融電解質媒体を、電解セルのアノードとカソードとの間に位置させる工程と、炭素の供給源を電解セル内に導入する工程と、鉄不含添加剤を、電解質媒体または溶融電解質媒体中に導入する工程と、電流を、電解セルのカソードおよびアノードに印加する工程と、CNM生成物をカソードから収集する工程とを含む。第4の方法に関するこれらの実施形態では、CNM生成物は、細いカーボンナノチューブ(CNT)、ナノバンブー、ナノロッド、ナノオニオン、およびナノフラワーの群から選択される、最小相対量の所望の同素体を含む。
【0095】
[0118] 本開示に一部の実施形態は、アノードが耐腐食性アノードである、第4の方法に関する。
【0096】
[0119] 本開示の一部の実施形態は、耐腐食性アノードが貴金属を含む、第4の方法に関する。
【0097】
[0120] 本開示の一部の実施形態は、電流が、約0.05A/cm2~0.15A/cm2の間の電流密度を有する、第4の方法に関する。
【0098】
[0121] 本開示の一部の実施形態は、鉄不含添加剤が、クロム含有添加剤であり、電解質媒体または溶融電解質媒体の量に対して約0.05重量%~約2重量%の間の量で添加され、所望の同素体が、約25μm~約125μmの間の長さを持つ細いCNTあり、最小相対量が、CNM生成物の全重量に対して70%よりも大きい、第4の方法に関する。
【0099】
[0122] 本開示の一部の実施形態は、カソードがMonel合金を含む、第4の方法に関する。
【0100】
[0123] 本開示の一部の実施形態は、鉄不含添加剤が、ニッケル含有添加剤であり、電解質媒体または溶融電解質媒体の量に対して約0.05重量%~約2重量%の間の量で添加され、所望の同素体が、ナノロッドであり、最小相対量が、CNM生成物の全重量に対して70%よりも大きい、第4の方法に関する。
【0101】
[0124] 本開示の一部の実施形態は、カソードがMonel合金を含む、第4の方法に関する。
【0102】
[0125] 本開示の一部の実施形態は、溶融電解質媒体が新たに溶融される、第4の方法に関する。
【0103】
[0126] 本開示の一部の実施形態は、電流を印加する工程が、15~25時間の間にわたり引き起こされる、第4の方法に関する。
【0104】
[0127] 本開示の一部の実施形態は、鉄不含添加剤が、ニッケル含有添加剤およびクロム含有添加剤であり、そのそれぞれは、電解質媒体または溶融電解質媒体の量に対して約0.05重量%~約2重量%の間の量で添加され、所望の同素体はナノバンブーであり、最小相対量は、CNM生成物の全重量に対して約50重量%~約80重量%の間である、第4の方法に関する。
【0105】
[0128] 本開示の一部の実施形態は、カソードがMuntz黄銅を含む、第4の方法に関する。
【0106】
[0129] 本開示の一部の実施形態は、鉄不含添加剤が、リチウム含有添加剤であり、電解質媒体または溶融電解質媒体の量に対して約1重量%~約10重量%の間の量で添加され、所望の同素体がナノオニオンであり、最小相対量が、CNM生成物の全重量に対して約70重量%~約99重量%の間である、第4の方法に関する。
【0107】
[0130] 本開示の一部の実施形態は、リチウム含有添加剤がリン酸リチウムである、第4の方法に関する。
【0108】
[0131] 本開示の一部の実施形態は、アノードがニクロム合金を含む、第4の方法に関する。
【0109】
[0132] 本開示の一部の実施形態は、カソードが銅を含む、第4の方法に関する。
【0110】
[0133] 本開示の一部の実施形態は、鉄不含添加剤が、電解質媒体または溶融電解質媒体の量に対して約0.01重量%~約5重量%の量で添加されるコバルト含有添加剤であり、所望の同素体がナノフラワーであり、最小相対量が、CNM生成物の全重量に対して約70重量%~約99重量%の間である、第4の方法に関する。
【0111】
[0134] 本開示の一部の実施形態は、コバルト含有添加剤がコバルト粉末であり、溶融電解質がエージングされる、第4の方法に関する。
【0112】
[0135] 本開示の一部の実施形態は、アノードがニクロム合金を含む、第4の方法に関する。
【0113】
[0136] 本開示の一部の実施形態は、カソードが銅を含む、第4の方法に関する。
【0114】
[0137] 本開示の一部の実施形態は、磁性添加剤成分を電解セル内に導入する工程をさらに含み、磁性添加剤成分は、磁性材料添加成分、炭化物成長成分、またはこれらの任意の組合せを含み、所望の同素体は、磁性であり磁場にあるときに移動する、第4の方法に関する。
【0115】
[0138] 本開示の一部の実施形態は、ドープ添加剤成分を電解セル内に導入する工程をさらに含み、所望の同素体がドープされ、ドープ添加剤成分の原子が、ドープされた所望の同素体の全体を通して直接組み込まれて、ドープされていない所望の同素体とは異なる所望の物理的および/または化学的性質を、ドープされた所望の同素体に与える、第4の方法に関する。
【0116】
[0139] 本開示の一部の実施形態は、ナノロッドを含む第7のCNMに関し、ナノロッドは、ずんぐりとしたリング様形状を有する。
【0117】
[0140] 本開示の一部の実施形態は、ナノロッドが炭素および酸素の両方を含む、第7のCNMに関する。
【0118】
[0141] 本開示の一部の実施形態は、ナノロッド内の酸素の量が約5重量%~12重量%の間である、第7のCNMに関する。
【0119】
[0142] 本開示の一部の実施形態は、ナノロッドが、Raman分光法により測定して、約0.6~約0.9の間のID/IG比を有する、第7のCNMに関する。
【0120】
[0143] 本開示の一部の実施形態は、ナノフラワーを含む第8のCNMに関し、ナノフラワーは、単一の原点に由来する多数の円錐台状カーボンナノチューブ(CNT)を含み、各円錐台状CNTは、CNTが原点から離れて延びるにつれて減少する直径を有し、ナノフラワーは、Raman分光法により測定して、約0.6~約0.9の間のID/IG比を有する。
【0121】
[0144] 本開示の一部の実施形態は、医療用デバイス、構造強化添加剤、強度強化添加剤、導電率強化添加剤、熱伝導度強化添加剤、または柔軟性強化添加剤、硬度強化添加剤、耐久性強化添加剤、潤滑強化添加剤の1種または複数における、または触媒、電気自動車、ケーブルまたはワイヤ、競技用器具、医薬送達システム、エレクトロニクス、バッテリ、スーパーキャパシタ、センサ、プラスチック、ポリマー、テキスタイル、水素貯蔵システム、表面向けの光吸収強化剤、表面向けの電磁遮蔽強化剤、表面処理、表面コーティング、塗料または水処理システムとしての、所望のナノカーボン同素体の使用に関し、所望の同素体は、細いカーボンナノチューブ(CNT)、ナノバンブー、ナノロッド、ナノオニオン、およびナノフラワーの群から選択される。
【0122】
[0145] 本開示の一部の実施形態は、CNM生成物を生成するための第5の方法に関する。第5の方法は:電解質媒体を加熱して、溶融電解質媒体を得る工程と、溶融電解質媒体を、電解セルのアノードと鋼製カソードとの間に位置させる工程と、炭素の供給源を電解セル内に導入する工程と、電流を、電解セルのカソードおよびアノードに印加する工程と、CNM生成物をカソードから収集する工程とを含む。第5の方法に関するこれらの実施形態では、CNM生成物は、最小相対量の金属被覆CNM生成物を含む。
【0123】
[0146] 本開示の一部の実施形態は、過剰な量の金属を溶融電解質媒体中に導入する工程をさらに含む、第5の方法に関する。
【0124】
[0147] 本開示の一部の実施形態は、過剰な量の金属は、金属含有添加剤を導入することによって、電解セルの内壁を分解することにより過剰な量の金属を導入することによって、アノードを分解することにより過剰な量の金属を導入することによって、またはこれらの任意の組合せによって、導入される、第5の方法に関する。
【0125】
[0148] 本開示の一部の実施形態は、金属がニッケル、鉄、チタン、スズ、銅、バナジウム、コバルト、亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、ルテニウム、銀、イリジウム、パラジウム、ロジウム、または白金である、第5の方法に関する。
【0126】
[0149] 本開示の一部の実施形態は、金属が金属混合物、金属酸化物、金属塩、またはこれらの任意の組合せとして導入される、第5の方法に関する。
【0127】
[0150] 本開示の一部の実施形態は、電流が約0.1A/cm2~約0.3A/cm2の間の電流密度を有する、第5の方法に関する。
【0128】
[0151] 本開示の一部の実施形態は、鋼製カソードが亜鉛メッキ鋼、ステンレス鋼、またはこれらの任意の組合せを含む、第5の方法に関する。
【0129】
[0152] 本開示の一部の実施形態は、金属添加剤を電解質媒体または溶融電解質媒体中に導入する工程をさらに含む、第5の方法に関する。
【0130】
[0153] 本開示の一部の実施形態は、金属添加剤が、電解質媒体または溶融電解質媒体の量に対して約0.25重量%~1.5重量%の間の量で添加される、第5の方法に関する。
【0131】
[0154] 本開示の一部の実施形態は、金属添加剤がニッケル含有添加剤である、第5の方法に関する。
【0132】
[0155] 本開示の一部の実施形態は、アノードがニッケルを含む、第5の方法に関する。
【0133】
[0156] 本開示の一部の実施形態は、アノードが高ニッケル含量を有する、第5の方法に関する。
【0134】
[0157] 本開示の一部の実施形態は、ニッケル含有添加剤を添加する工程をさらに含み、アノードがニクロム合金を含み、金属被覆CNTの最小相対量が、CNM生成物の全重量の約5重量%~99.5重量%の間である、第5の方法に関する。
【0135】
[0158] 本開示の一部の実施形態は、アノードが、実質的に純粋なニッケルで作製される、第5の方法に関する。
【0136】
[0159] 本開示の一部の実施形態は、金属被覆CNMが、磁性であり磁場にあるときに移動する、第5の方法に関する。
【0137】
[0160] 本開示の一部の実施形態は、ドープ添加剤成分を電解セル内に導入する工程をさらに含み、金属被覆CNMはドープされ、ドープ添加剤成分の原子が、ドープされ、被覆されたCNM全体を通して直接組み込まれて、ドープされていない、被覆されたCNTとは異なる所望の物理的および/または化学的性質を、ドープされた、金属被覆CNMに与える、第5の方法に関する。
【0138】
[0161] 本開示の一部の実施形態は、金属被覆CNTを含む、第9のCNMに関する。
【0139】
[0162] 本開示の一部の実施形態は、金属被覆黒鉛状炭素、金属被覆ナノバンブー、金属被覆円錐状カーボンナノ繊維、金属被覆ナノパール、金属被覆ナノオニオン、金属被覆中空ナノオニオン、金属被覆ナノフラワー、金属被覆ナノドラゴン、金属被覆ブランチ、およびトランクCNT(金属被覆ナノツリー)、金属被覆ナノベルト、金属被覆ナノロッド、金属被覆された長いおよび/または直線状CNT、金属被覆高アスペクト比CNT、金属被覆された細いCNT、およびCNTの巨視的アセンブリであって、稠密充填された、直線状金属被覆CNTを含むもの、金属被覆ナノスポンジ、金属被覆ナノウェブ、またはこれらの任意の組合せを含む、第10のCNMに関する。
【0140】
[0163] 本開示の一部の実施形態は、金属被覆CNMがニッケルの外部コーティングを含む、第9および第10のCNMに関する。
【0141】
[0164] 本開示の一部の実施形態は、医療用デバイス、構造強化添加剤、強度強化添加剤、導電率強化添加剤、熱伝導度強化添加剤、または柔軟性強化添加剤、硬度強化添加剤、耐久性強化添加剤、潤滑強化添加剤の1つまたは複数における、または触媒、電気自動車、ケーブルもしくはワイヤ、競技用器具、医薬送達システム、エレクトロニクス、バッテリ、スーパーキャパシタ、センサ、プラスチック、ポリマー、テキスタイル、水素貯蔵システム、表面向けの光吸収強化剤、表面向けの電磁遮蔽強化剤、表面処理、表面コーティング、塗料もしくは水処理システムとしての、所望の金属被覆同素体の使用に関し、所望の同素体は、金属被覆CNT、金属被覆黒鉛状炭素、金属被覆ナノバンブー、金属被覆円錐状カーボンナノ繊維、金属被覆ナノパール、金属被覆ナノオニオン、金属被覆中空ナノオニオン、金属被覆ナノフラワー、金属被覆ナノドラゴン、金属被覆ブランチおよびトランクCNT(金属被覆ナノツリー)、金属被覆ナノベルト、金属被覆ナノロッド、金属被覆された長いおよび/または直線状CNT、金属被覆高アスペクト比CNT、金属被覆された細いCNT、およびCNTの巨視的アセンブリであって、稠密充填された直線状金属被覆CNTを含むもの、金属被覆ナノスポンジ、金属被覆ナノウェブ、またはこれらの任意の組合せである。
【0142】
[0050] 特定の理論に拘泥するものではないが、本開示の実施形態は、最小相対量、ある場合には高純度の、所望のナノカーボン同素体をCNM生成物中に有する、CNM生成物を作製するための方法を提供する。本開示の一部の実施形態では、方法は、最小相対量のまたは高純度の所望のナノカーボン同素体を持つ、これまでに見られなかった量のCNM生成物を作製するように、規模拡大することができる。そのような利用可能な方法によれば、現在、大量の所望の同素体を作製することが可能であり、したがって現在、そのような同素体の様々な実用的な使用および適用例を考慮することが可能である。本開示の一部の実施形態では、所望の同素体は:医療用デバイス、構造強化添加剤、強度強化添加剤、導電率強化添加剤、熱伝導度強化添加剤、または柔軟性強化添加剤、硬度強化添加剤、耐久性強化添加剤、潤滑強化添加剤の1種または複数を含むがこれらに限定されない様々な適用例で、または触媒、電気自動車、ケーブルまたはワイヤ、競技用器具、医薬送達システム、エレクトロニクス、バッテリ、スーパーキャパシタ、センサ、プラスチック、ポリマー、テキスタイル、水素貯蔵システム、または水処理システムとして、使用することができる。
【0143】
[0051] 典型的には、当業者は、そのようなプロセスの複雑さが、結果のいかなる見込みもなしに極端なものとなる可能性があるので、CO2を使用してカーボンナノ材料を創出するための本出願人の公知の電解プロセスなどの確立されたプロセスの修正を当然には考慮しないであろう。意外にも、本開示の実施形態は、CNM生成物内の構成成分構造の予期せぬ高純度および構成成分構造の珍しい形を首尾良く提供する、方法および装置の変形例など、電解動作パラメータの広範囲にわたり制御された変形例を提供する。そのような制御された変形例は:様々なカソード成分および組成物、複合アノード成分および組成物、多数の電解質添加剤、様々な電解条件、またはこれらの組合せを含むがこれらに限定されない。
【0144】
[0052] 本開示のこれらおよびその他の特徴は、添付図面が参照される以下の詳細な記述において、より明らかにされよう。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【
図1】[0053]二酸化炭素からのカーボンナノ材料の、高収率の電解合成の、様々な入力量および生成物出力量を示す、概略図である。
【
図2】[0054]本開示の実施形態により作製された、770℃のLi
2CO
3中の、CO
2の電解分離によって合成された炭素の、ナノバンブーおよびナノパール同素体のナノカーボン生成物の、走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。
【
図3】[0055]本開示の実施形態による、溶融炭酸電解によって合成された、新しいナノバンブー、ナノパール、および円錐状CNFナノカーボン同素体の、透過型電子顕微鏡(TEM)画像を示す。
【
図4】[0056]HAADF(高角度環状暗視野TEM)によりなされた元素組成分析の画像を示し、本開示の実施形態による、溶融炭酸電解によって合成された、新しいナノバンブーおよびナノパールナノカーボン同素体のTEMを比較する。
【
図5】[0057]本開示の実施形態により作製されたカーボンナノ材料の成長モデルをまとめる概略図を示す。
【
図6】[0058]本開示の実施形態による、溶融炭酸電解により合成された中空ナノオニオン炭素同素体の、TEMおよびHAADF元素分析を示す。
【
図7】[0059]本開示の実施形態により作製された炭素のナノフラワー、ナノオニオン、およびニッケルで被覆されたCNT同素体の、CNM生成物のSEMを示す。
【
図8】[0060]本開示の実施形態により作製された炭素のナノドラゴン、ナノツリー、ナノベルト、およびナノロッド同素体の、CNM生成物のSEM画像を示す。
【
図9A】[0061]本開示の実施形態による、溶融炭酸電解により合成されたナノフラワー炭素同素体のTEMおよびHAADF元素分析を示す。
【
図9B】[0062]本開示の実施形態による、溶融炭酸電解により合成されたナノドラゴン炭素同素体のTEMおよびHAADF元素分析を示す。
【
図10】[0063]本開示の実施形態による、溶融炭酸電解により合成されたナノツリー炭素同素体のHAADF元素分析を示す。
【
図11】[0064]金属触媒を核化することによって触媒された、観察されたCVD合成非晶質分岐状カーボンナノツリーの成長を例示する、概略図を示す。
【
図12】[0065]本開示の実施形態による、溶融炭酸電解により合成されたナノベルト炭素同素体のTEMおよびHAADF元素分析を示す。
【
図13】[0066]本開示の実施形態による、溶融炭酸電解により合成されたナノロッド炭素同素体のTEMおよびHAADF元素分析を示す。
【
図14】[0067]本開示の実施形態による、溶融炭酸電解により合成された炭素の様々な同素体のSEM画像を示す。
【
図15】[0068]本開示の実施形態による、溶融炭酸電解により合成された様々なナノカーボン同素体および充填型カーボンナノチューブアセンブリからなるCNM生成物の、Raman分光分析を示す。
【
図16A】[0069]本開示の実施形態による、溶融炭酸電解により合成された様々なナノカーボン同素体からなるCNM生成物のXRD分析を示す。
【
図16B】[0070]本開示の実施形態による、溶融炭酸電解により合成された様々なナノカーボン同素体からなるCNM生成物のXRD分析を示す。
【
図17】[0071]本開示の実施形態による、溶融炭酸電解により合成された高純度、高収率カーボンナノチューブのCNM生成物のSEM画像を示す。
【
図18】[0072]本開示の実施形態による、溶融炭酸電解により合成された高純度、高収率CNTのTEMおよびHAADFを示す。
【
図19】[0073]本開示の実施形態による、溶融炭酸電解により合成された高アスペクト比(ならびに高純度および収率)CNTのCNM生成物のSEM画像を示す。
【
図20】[0074]本開示の実施形態による、溶融炭酸電解により合成された高純度、高収率CNTのCNM生成物のTEMおよびHAADF分析を示す。
【
図21】[0075]本開示の実施形態による、溶融炭酸電解により合成された高純度、高収率CNTのCNM生成物のSEM画像を示す。
【
図22】[0076]本開示の実施形態による、溶融炭酸電解により合成された、ノジュールまたはバッドを示すカーボンナノチューブのCNM生成物のTEMおよびHAADFを示す。
【
図23】[0077]本開示の実施形態による、溶融炭酸電解により合成された巨視的アセンブリに配置構成されたカーボンナノチューブからなるCNM生成物のSEM画像を示す。
【
図24】[0078]本開示の実施形態による、溶融炭酸電解により合成されたCNTの様々な巨視的アセンブリからなるCNM生成物のRaman分光分析を示す。
【
図25】[0079]本開示の実施形態による、溶融炭酸電解により合成された様々なCNT巨視的アセンブリからなるCNM生成物のXRD分析を示す。
【
図26】[0080]本開示の実施形態により作製された高純度カーボンナノチューブ同素体の、質量(%)および温度(℃)の線グラフである。
【
図27】[0081]本開示の実施形態により作製された、高純度カーボンナノチューブ同素体の、一連の種々の拡大SEM画像を示す。
【
図28】[0082]本開示の実施形態により作製された高純度カーボンナノオニオン同素体の、質量(%)および温度(℃)の線グラフである。
【
図29】[0083]本開示の実施形態により作製された高純度カーボンナノオニオン同素体の、一連の種々の拡大SEM画像を示す。
【
図30】[0084]本開示の実施形態により作製された高純度カーボンナノパール同素体の、質量(%)および温度(℃)の線グラフである。
【
図31】[0085]本開示の実施形態により作製された高純度カーボンナノパール同素体の、一連の種々の拡大SEM画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0146】
[0086] 本開示の実施形態は:カーボンナノチューブ(CNT)、黒鉛状炭素、ナノバンブー、円錐状カーボンナノ繊維、ナノパールカーボン、被覆されたCNT、ナノオニオン、中空ナノオニオン、ナノフラワー、ナノドラゴン、ブランチおよびトランクCNT(ナノツリー)、ナノベルト、ナノロッド、長いおよび/または直線状CNT、高アスペクト比CNT、細いCNT、およびCNTの巨視的アセンブリなど、様々な所望の炭素同素体を含むカーボンナノ材料(CNM)生成物を生成するための方法および装置に関する。方法および装置は、CNM生成物のこれらの様々な構成成分を作製するために、電解反応の反応物として二酸化炭素(CO
2)を用いる。本開示の実施形態は、これら同素体の高純度の1種または複数を有するCNM生成物を選択的に提供するよう、本開示の電解方法および装置の、ある範囲の制御済み変形例を提供する。
図1は、二酸化炭素を使用する電解合成によって作製することができる、種々のCNM生成物を示すチャートを提供する。まとめると、
図1は、CO
2が大気108からまたはCO
2の濃縮供給源である排ガスもしくはその他の工業用廃棄物流110などのより濃縮された供給源から捕捉される、捕捉炭素102の供給源としてCO
2がどのように動作できるかを示す。当業者に理解されるように、固相、気相、または液相で含まれる炭素の任意の供給源が、本明細書では企図される。次いでCO
2などの炭素は電解セル内に導入され、電解反応104が溶融炭酸電解質媒体中で生じる。電解反応104の生成物は、酸素およびCNM生成物106を含むことができる。電解反応104の特定の動作パラメータに応じて、CNM生成物106は所望の相対量の所望の同素体を含むことができる。
【0147】
[0087] 本開示の一部の実施形態は、特定の所望の炭素同素体がより高い相対量で、所望の炭素同素体を含むCNM生成物を生成するための方法および装置に関する。例えば、第1の所望の炭素同素体の、より高い相対量は、少なくとも20重量%であってもよい(CNM生成物の全重量と比較した、第1の所望の炭素同素体の重量に対して)。本開示の一部の実施形態では、第1の所望の炭素同素体の、より高い相対量は、本明細書に記述される実施形態により作製されたCNM生成物の全重量の少なくとも25重量%、少なくとも30重量%、少なくとも35重量%、少なくとも40重量%、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも91重量%、少なくとも92重量%、少なくとも93重量%、少なくとも94重量%、少なくとも95重量%、少なくとも96重量%、少なくとも97重量%、少なくとも98重量%、少なくとも99重量%、または少なくとも99.5重量%であってもよい。本開示の一部の実施形態は、所望の同素体が高純度であるCNM生成物を生成する。
【0148】
[0088] 定義
【0149】
[0089] 他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的および科学的用語は、本開示が属する分野の当業者に一般に理解されるものと同じ意味を有する。
【0150】
[0090] 本明細書で使用される「約」という用語は、所与の値から近似的に±10%のばらつきを指す。そのようなばらつきは、特に言及されていてもそうでなくても、本明細書で提供される任意の所与の値に常に含まれることを理解されたい。
【0151】
[0091] 本明細書で使用される「同素体」という用語は、「物理形態」、「構造」、「形態」、「ナノカーボン同素体」、「ナノカーボン物理形態」、「ナノカーボン構造」、または「ナノカーボン形態」と同義で使用されてもよく、これらの用語-および類似の用語-は全て、本明細書に記述される実施形態により作製された、CNM生成物中の構成成分として見出されるナノ規模構造の三次元形状-および関連ある物理化学的性質-を指す。
【0152】
[0092] 本明細書で使用される「所望の相対量」、「相対量」、または「最小相対量」という用語は共に、所望の同素体がCNM生成物の総量に関与する相対量を指し、この相対量は、一部の実施形態では、作製されたCNM生成物の総量の少なくとも70重量%よりも大きく、「高純度」という用語が本明細書では用いられてもよい。本開示の一部の実施形態では、所望の同素体の相対量は、作製されたCNM生成物の総量の75重量%よりも大きく、作製されたCNM生成物の総量の80重量%よりも大きく、作製されたCNM生成物の総量の85重量%よりも大きく、作製されたCNM生成物の90重量%よりも大きく、作製されたCNM生成物の総量の95重量%よりも大きく、作製されたCNM生成物の総量の97.5重量%よりも大きく、または作製されたCNM生成物の総量の99重量%よりも大きい。
【0153】
[0093] 次に本開示の実施形態について記述し、実施形態は、実施例および図の参照を含む。
【0154】
[0094] 本開示の一部の実施形態は、CNM生成物中に存在するその他の同素体に対して、より大きい量の所望の同素体を含むCNM生成物を生成するための方法に関する。方法は、炭酸電解質を加熱して、溶融炭酸電解質を得る工程と、溶融炭酸電解質を、電解セル内のアノードとカソードとの間に位置させる工程と、電流を、電解セル内のカソードおよびアノードに印加する工程と、カソードからCNM生成物を収集する工程とを含む。
【0155】
[0095] 本開示の一部の実施形態では、方法はさらに、CNM生成物中に存在するその他の同素体に対して、より大きい量の所望の同素体を合成するために、アノードまたはカソードの材料を選択する工程を含む。本開示の一部の実施形態では、方法はさらに、添加剤を選択し、選択された量の選択された添加剤を、所望のナノカーボン同素体を合成するために電解質に添加する工程を含む。本開示の一部の実施形態では、方法は、選択された電流密度の電流を、所望のナノカーボン同素体を合成するために印加する工程を含む。本開示の一部の実施形態では、方法は、電流を、所望のナノカーボン同素体を合成するために、選択された期間にわたり印加する工程を含む。
【0156】
[0096] 炭酸電解質を加熱する工程は、当業者である読者により理解可能であるように、様々な手段によって実現することができる。例えば、オーブンまたは炉などの加熱装置は、溶融した液体状態に遷移するように、電解質を十分な温度まで加熱するのに使用することができる。したがって、電解質をその融点まで加熱するのに必要とされる温度を実現することのできる任意の加熱装置が、本明細書では企図される。本開示の一部の実施形態では、方法はさらに、溶融電解質をエージングする工程を含み、それによって溶融電解質は、実質的に一定の温度で溶融状態で保持されて、定常状態が実現可能になる。例えば溶融電解質は、1時間から48時間の間にわたりエージングされ得る。
【0157】
[0097] 次いで溶融電解質を、ケースとも呼ばれ得る電解セルのアノードとカソードとの間に位置させる。電解セルは、本開示の電解反応中に生じる電気化学的環境に直面してその構造的一体性を維持することができる任意のタイプの槽であってもよい。電解セルは、所望の材料で作製され得るまたは電解反応の環境で分解しない所望の材料で被覆される1つもしくは複数の壁を有していてもよい。以下の表1は、本開示の実施形態で使用するのに適切な様々な電極材料の詳細なリストを提供する。本開示の一部の実施形態では、電解セルは、実質的に純粋なアルミナで作製される。本開示の他の実施形態では、電解セルは、Inconel、ニクロム、またはMonel、またはこれらの組合せなどの別の金属で構成されるライニングを持つまたはそのようなライニングのないステンレス鋼で作製される。本開示の一部の実施形態では、電解セルは、閉鎖端を持つ管状槽である。本開示のその他の実施形態では、電解セルは、1つまたは複数の区画を持つ矩形槽である。
【0158】
[0098] 本開示の一部の実施形態では、電解質は、電解セル内で溶融されてもよくまたはセルの外側で溶融されて、そこに移送されてもよい。電解反応は、典型的にはある期間にわたり生じることになり、それによって溶融電解質は冷却さる可能性があるので、電解セルは、それ自体の一体的加熱装置と共に構成することができ、またはCO2溶解反応および電解反応によって自己加熱されてもよく、または電解セルの外部にある外部加熱装置によって加熱されるように構成されて、電解質が所望の期間にわたり溶融状態で維持されるようになされる。
【0159】
[0099] 本開示の一部の実施形態では、電解セルは、電解温度を少なくとも約400℃、少なくとも約500℃、少なくとも約550℃、少なくとも約600℃、少なくとも約650℃、少なくとも約675℃、少なくとも約700℃、少なくとも約725℃、少なくとも約750℃、少なくとも約775℃、少なくとも約800℃、少なくとも約825℃、少なくとも約850℃、少なくとも約875℃、少なくとも約900℃、少なくとも約1000℃、または1000℃よりも高く維持するように構成されてもよい。
【0160】
[00100] アノードは、様々な金属または合金で作製することができる。一部のアノードは、酸化による腐食に耐性のある金属(またはそうでない場合には、貴金属など:イリジウム、白金、金、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、パラジウム、またはこれらの任意の組合せ)を含む材料で作製することができる。アノードは、ニッケルなどの実質的に純粋な金属である非貴金属または金属の混合物で作製されてもよい。本開示のアノードに適切な金属の、一部の非限定的な例には:実質的に純粋なニッケル、実質的にほとんどがニッケルで構成される合金、高ニッケル含量を有する合金、またはいくらかのニッケルで構成された合金が含まれる。本明細書で使用される、50重量%よりも多いニッケルとの合金を、高ニッケル含量合金と呼ぶ。アノードとして使用される合金の適切な例には、限定されるものではないが:Inconel 718(少なくとも約72重量%のニッケル含量)、Inconel 600(約52.5重量%のニッケル含量)、またはその他のInconel、例えば限定されるものではないがInconel 625(約58重量%のニッケル含量)、ニクロムA(約80重量%のニッケルおよび約20重量%のクロムで構成される)、ニクロムC(約60重量%のニッケル、約24重量%の鉄、および約16重量%のクロムで構成される)が含まれる。より低いニッケル含量合金から作製されたアノードは、Incoloy合金-約40重量%の鉄、約30~35重量%のニッケル、および約19~23重量%のクロム)から構成されたIncoloy 800などを含む、本開示の一部の実施形態で使用するのに適切であってもよい。本開示の一部の実施形態では、アノードは、モノリシックであってもよく、または種々の材料で構成された複合体であってもよい。
【0161】
[00101] 一部の実施形態では、アノードは、形状が平面であってもよく、様々な寸法で作製することができる。本開示の一部の実施形態では、アノードは、上面および下面を備えた実質的に平らなコイルに巻かれたワイヤで作製されてもよい。本開示の一部の実施形態では、アノードは、穿孔されていてもよい。他の実施形態では、アノードは、電解の活性領域を最大限にするように、様々な形状および表面修飾で構成されていてもよい。アノードの上面および下面は、電解セル内に嵌め込むのに適切な、実質的に等しい面積を有していてもよい。一部の実施形態では、アノード面は、約1cm2~約100,000cm2の間;約10cm2~50,000cm2の間;または約100cm2~約10,000cm2の間の表面積を有する。本開示の一部の実施形態では、アノードは、それぞれがこれらの範囲内にある2つまたはそれよりも多くのアノード面を有していてもよい。一部の実施形態では、アノードは、より広い表面積と共にさらに大きくてもよい。当業者なら、電解セルのサイズはアノードのサイズを決定してもよく、その逆も同様であることが理解されよう。アノードは、水平面もしくは垂直面、または水平もしくは垂直面のいずれかに平行ではない平面に、概略的に位置合わせされるよう、配置構成されてもよい。
【0162】
[00102] カソードは、様々な金属または合金で作製することができる。一部のカソードは、鋼、亜鉛メッキ鋼、ステンレス鋼、銅、またはこれらの任意の組合せを含む材料で作製することができる。本開示のアノードに適切な材料のいくつかのさらなる非限定的な例には:ニッケル、ニクロムC、Monel(約67重量%のニッケルおよび約31~33重量%の銅)、およびMuntz黄銅(約60重量%の銅および約40重量%の亜鉛)が含まれる。
【0163】
[00103] 一実施形態では、カソードは、形状が平面であってもよく、様々な寸法で作製することができる。本開示の一部の実施形態では、カソードは、上面および下面を持つフラットコイルに巻かれたワイヤで作製されてもよい。他の実施形態では、カソードは、電解の活性領域を最大限にするよう、様々な形状および表面修飾で構成されてもよい。コイル状カソードの上面および下面は、電解セル内に嵌め込むのに適した、実質的に等しい面積を有していてもよい。一部の実施形態では、コイル状カソード面は、約1cm2~約5000cm2の間;約2cm2~3000cm2の間;または約3cm2~約1000cm2の間の表面積を有する。一部の実施形態では、カソードは、より大きい表面積と共にさらに大きくなってもよい。当業者なら、電解セルのサイズおよび/またはアノードのサイズは、例えばカソードのサイズを決めてもよく、電極は、実質的に類似のサイズであってもよいことが理解されよう。カソードは、水平面もしくは垂直面に対して、または水平面もしくは垂直面のいずれかと平行ではない平面に対して、概略的に位置合わせされるように配置構成されてもよい。
【0164】
[00104] 本開示の一部の実施形態では、カソードのサイズおよび向きは、アノードのサイズおよび向きを実質的に反映するように選択することができる。本開示の一部の実施形態では、アノードおよびカソードは、水平面に対して概略的に並べられ、互いに垂直に間隔を空けて配置されてもよい。本開示のその他の実施形態では、アノードおよびカソードは、垂直面に対して概略的に並べられ、互いに水平に間隔を空けて配置されてもよい。当業者に理解されるように、電極間の距離は、それらの間での十分な電流の通過を可能にしなければならないが、電流のアンペア数および電解セルのサイズは、電極がどの程度間隔を空けて離れているかに影響を及ぼし得る。本開示の一部の実施形態では、電極は互いに約0.25cm、約0.5cm、約0.75cm、約1cm、約1.25cm、約1.5cm、約1.75cm、約2cm、約3cm、約4cm、約5cm、約7.5cm、約10cm、約15cm、約20cm、約30cm、またはそれよりも大きく、互いに間隔を空けて配置されてもよい。
【0165】
[00105] 本開示の一部の実施形態は、より大きい、規模拡大した電解セルおよび電極の組に関する。例えば、本開示の一部の実施形態では、電極はそれぞれ、約1m2~約10m2の間、約2m2~約9m2の間、約3m2~約8m2の間、約4m2~約7m2の間、約5m2~約6m2の間の表面積を持つ面を有していてもよい。当業者に理解されるように、電極の寸法は、互いに一致させることができもしくはそのようにしないことができ、またはサンドイッチ構成に構成することができ、1つの電極がその他の電極の2つの間に位置するかまたはその他の構成にすることができ、電極の寸法は、電極が内部で使用される電解セルの寸法を決定することができる。
【0166】
[00106] 電解反応を電解セル内で開始し維持するために、電流を印加し、アノードとカソードとの間に、それらの間の溶融電解質を経て流す。本開示の一部の実施形態では、電流は、交流であっても直流であってもよい。本開示の一部の実施形態では、電流は、約0.01アンペア(A)~約5Aの間であってもよい。本開示の一部の実施形態では、電流は、約0.025A~約4Aの間;約0.05A~約3Aの間;約0.075A~約2Aの間;約0.1A~約1Aの間であってもよい。本開示の一部の実施形態では、電流は約0.5Aである。本開示の一部の実施形態では、電流は、約5A~約500,000Aの間;または約500A~50,000Aの間であってもよい。本開示の他の実施形態では、電流は、約5,000A~約50,000Aの間であってもよい。
【0167】
[00107] 本開示の一部の実施形態では、電流は、実質的に一定の電流密度で印加される。例えば、印加電流の電流密度は、約0.001A/cm2~約1A/cm2の間であってもよい。一部の実施形態では、印加電流の電流密度は、約0.0025A/cm2~約0.75A/cm2の間;約0.005A/cm2~約0.5A/cm2の間;約0.0075A/cm2~約0.25A/cm2の間;または約0.01A/cm2~約0.1A/cm2の間であってもよい。本開示のその他の実施形態では、印加電流の電流密度は、約1A/cm2~約10A/cm2の間であってもよい。一部の実施形態では、低電流密度が、CNM生成物の形成中に伝導度を制御するのに使用される。
【0168】
[00108] 本開示の一部の実施形態では、方法はさらに、所定の経過時間にわたり電流の段階的増加で電流を上昇させる工程を含む。例えば、第1の一定の電流密度の第1の期間の後、第2の一定の電流密度の第2の期間になり、その後、第3の一定の電流密度の第3の期間になり、その後、第4の一定の電流密度の第4の期間になり、以下、最終電流密度が電解プロセスの持続時間にわたり印加されるまで同様に続く。これらの例では、期間は同じであっても異なっていてもよく、1分~1時間に及んでもよく、それらの間の任意の時間であってもよい。これらの例では、一定の電流密度は、同じであっても異なっていてもよく、0.005A/cm2~0.75A/cm2程度に小さい範囲に及んでもよい。他の実施形態では、上昇電流は、振動によってまたは線形上昇変化によってまたはその他の変動によるなど、段階的な手法で増大および/または低下してもよい。
【0169】
[00109] 本開示の一部の実施形態では、方法はさらに、添加するとも本明細書では呼んでもよい、1種の添加剤または複数の添加剤を炭酸電解質媒体中に導入する工程を含む。この導入工程は、添加剤の性質が何かに応じて、様々な手法によって実現することができる。この添加剤を炭酸電解質中に導入する工程は、炭酸電解質が溶融状態まで加熱される前、間、または後に行うことができる。そのような添加剤の非限定的な例には:リチウム含有添加剤(リン酸リチウム;酸化リチウム、およびその他のリチウム含有塩など);鉄含有添加剤(酸化鉄を含む鉄含有塩など);マグネシウム含有添加剤(酸化マグネシウムを含むマグネシウム塩など);遷移金属核化剤(Fe2O3、ニッケル粉末、クロム粉末など);鉄、ニッケル、クロム、ニッケル、銅、マンガン、チタン、ジルコニウム、モリブデン、タンタル、またはコバルトの1種または複数の遷移金属塩が含まれる。明瞭化のため、いかなる鉄(鉄含有塩を含む)も含まない添加剤を、本明細書ではまとめて「鉄不含」添加剤と呼ぶ。本開示の非限定的な実施形態では、鉄不含添加剤は:いかなる鉄も実質的に含まない添加剤、微量の鉄を含む添加剤、および/または任意の実質的なもしくは意味のある手法で電解反応に関与しない量の鉄を含む添加剤を、含む。鉄不含添加剤の例には、限定されるものではないが:リチウム含有添加剤、コバルト含有添加剤、ニッケル含有添加剤、およびクロム含有添加剤が含まれる。本開示の実施形態によれば、添加剤は、電解質媒体または溶融電解質媒体の量に対して約0.01重量%~10重量%の間の量で導入されてもよい。本開示の一部の実施形態では、添加剤は、電解質媒体または溶融電解質媒体の量に対して約0.05重量%~約7.5重量%の間の量で導入されてもよい。本開示の一部の実施形態では、添加剤は、電解質媒体または溶融電解質媒体の量に対して約0.075重量%~約5重量%の間の量で導入されてもよい。
【0170】
[00110] さらなる例として、本開示の一部の実施形態では、リチウム含有添加剤は、0.01重量%~約10重量%の間または約0.05重量%~約9重量%の間または約0.075重量%~約8重量%の間の量で添加されてもよい。
【0171】
[00111] さらなる例として、本開示の一部の実施形態では、鉄含有添加剤は、0.01重量%~約5重量%の間、または約0.05重量%~約2.5重量%の間、または約0.075重量%~約1.25重量%の間の量で添加されてもよく、さらなる実施形態では、鉄含有添加剤は、約0.05重量%~0.15重量%の間の量で添加される。
【0172】
[00112] さらなる例として、本開示の一部の実施形態では、ニッケル含有添加剤(ニッケル粉末またはニッケル塩のいずれかとして)は、0.01重量%~約5重量%の間、または約0.05重量%~約2.5重量%の間、または約0.075重量%~約1.25重量%の量で添加されてもよく、さらなる実施形態では、ニッケル含有添加剤は、約0.05重量%~0.15重量%の間の量で添加される。
【0173】
[00113] さらなる例として、本開示の一部の実施形態では、コバルト含有添加剤(コバルト粉末またはコバルト塩のいずれかとして)は、0.01重量%~約5重量%の間、または約0.05重量%~約2.5重量%、または約0.075重量%~約1.25重量%の間の量で添加されてもよく、さらなる実施形態では、コバルト含有添加剤は、約0.05重量%~約0.15重量%の間の量で添加される。
【0174】
[00114] さらなる例として、本開示の一部の実施形態では、クロム含有添加剤(クロム粉末またはクロム塩のいずれかとして)は、0.01重量%~約5重量%の間、または約0.05重量%~約2.5重量%、または約0.075重量%~約1.25重量%の間の量で添加されてもよく、さらなる実施形態では、クロム含有添加剤は、約0.05重量%~約0.15重量%の間の量で添加される。
【0175】
[00115] 一部の実施形態では、遷移金属核化剤は、遷移金属酸化物であってもよい。本開示の一部の実施形態では、核化剤は、CNM生成物中に組み込まれてもよく、したがって核化剤の原子はCNM生成物の1つまたは複数の同素体の部分を形成するようになる。本開示の一部の実施形態では、組み込まれた核化剤は、磁性であってもよい。本開示の一部の実施形態では、ナノ材料生成物の一部分は、磁場に応答してもよく(磁場の近くまたは内部にあるときに移動することによって)、一部分は、磁場に非応答性であってもよく(移動しないことによって)、これら2つの種類のナノ材料生成物は、外部磁場を印加することによって分離されてもよい。
【0176】
[00116] 電解合成プロセスの全持続時間は、約10分~約156時間の間であってもよい。
【0177】
[00117] 本開示の一部の実施形態では、選択する工程は、CNM生成物が、2種またはそれよりも多くの所望の同素体の所望の組合せを含むように、構成されてもよい。例えば、選択する工程は、CNM生成物が第1の同素体および第2の同素体またはさらなる同素体を含むように、制御された手法で様々にすることができる。さらに、選択する工程は、CNM生成物中の互いに対して第1の同素体および第2の同素体の所望の相対量を実現することができるように、構成することができる。例えば、第1の同素体の量は、CNM生成物中に存在する第2の同素体の量よりも大きく、その量未満であり、またはその量に実質的に等しいことが望まれると考えられる。
【0178】
[00118] 当業者に理解されるように、本明細書に記述される、動作パラメータとも本明細書では呼ばれる電解プロセス条件の特定のばらつきは、電解プロセスの物理的規模が増大したときに、さらに様々であってもよい。
【実施例】
【0179】
[00119] 実施例
【0180】
[00120] 本明細書に記述される溶融電解質混合物の構成成分は、市販されている:炭酸リチウム(Li2CO3;Alfa Aesar、約99%純粋)、酸化リチウム(Li2O、99.5%、Alfa Aesar)、リン酸リチウム(Li3PO4、99.5%)、酸化鉄(Fe2O3、99.9%、Alfa Aesar)、およびホウ酸(H3BO3、Alfa Aesar 99+%)。
【0181】
[00121] 本明細書に記述される電極では:ニクロムA(0.04インチの厚さ)、ニクロムC(0.04インチの厚さ)、Inconel 718、Inconel 600(0.25インチの厚さ)、Inconel 625(0.25インチの厚さ)、Monel 400、ステンレス鋼304(0.25インチの厚さ)、Muntz黄銅(0.25インチの厚さ)、ニッケル、イリジウムが全て、通常の商用金属供給元から購入された。複合体電極を、これらの購入された材料から製作しまたは使用されるままの状態で購入した。
【0182】
[00122] 本明細書に記述される添加剤では:Ni粉末は3~7μm(99.9%、Alfa Aesar)であり、Cr粉末は<10μm(99.2%、Alfa Aesar)であり、Co粉末は1.6μm(99.8%、Alfa Aesar)であり、酸化鉄は99.9%Fe2O3(Alfa Aesar)である。Inconel 600(100メッシュ)は、Cleveland Clothから購入した。電解は、ハイフォーム坩堝>99.6%アルミナ(Advalue)で実行した。
【0183】
[00123] 各電解質の特定の電解質組成を、本明細書に記述する。電解質を、記述される比の重量で予備混合し、次いで金属または金属酸化物添加剤を、使用する場合には添加する。カソードを、アノードの向かいに垂直に取り付け、電解質中に浸漬した。一般に、電極は電解質の溶解に続けて浸漬される。例としていくつかの電解質では、溶解したら、電解質を770℃で維持し(電解質を「エージング」する)、その後、電解質を浸漬し、その後、直ぐに電解させた。一般に、電解は、記述される一定の電流密度で推進された。記述されるように、一部の電解質では、電流密度は数回の工程で上昇して印加電解電流に至り、次いで一定の電流密度で維持された。そうでない場合には、電解を開始し、単一の一定の電流で保持した。電解温度は、他に本明細書に示されない限り約770℃であった。
【0184】
[00124] 炭素の供給源は、空気から直接捕捉されたCO2、および天然ガス発電所の排ガスからのCO2を含んでいた。本開示の実施形態では、電解分離は、CO2予備濃縮によるまたはそのような予備濃縮なしで、濃縮CO2で、またはCO2を含む気体で、例えば排気ガスで、直接空気炭素捕捉として引き起こすことができる。
【0185】
[00125] 以下の実施例により作製されたCNM生成物を洗浄して(脱イオン水、6M HCl、濃HClで)、過剰な電解質を除去し、洗浄溶液から分離し、PHENOM Pro Pro-X走査型電子顕微鏡(SEM、EDXによる)、FEI Teneo LV SEM、およびFEI Teneo Talos F200X TEM(EDXによる)により分析した。XRD粉末回折分析を、Rigaku D=Max 2200 XRD回折計で実行し、Jadeソフトウェアパッケージで分析した。Raman分光法は、532.14波長入射レーザ光、高分解能0.6cm-1で、LabRAM HR800 Raman顕微鏡(HORIBA)で測定した。
【0186】
[00126] 本開示の一部の実施形態では、本明細書でこれまで記述された方法、装置、およびシステムにより作製されたCNM生成物は、そのような所望の同素体がドープされる、高純度の所望の同素体をもたらし得る。いかなる特定の理論にも拘泥するものではないが、ドーパントとも呼ばれるドープ成分が方法、装置、またはシステムに導入された場合、ドーパントの原子は、CNM生成物の様々な黒鉛構造内におよびその中の所望の同素体に、直接組み込まれてもよい。in situでカソード上に構築されるように、ドープ成分の原子がCNM生成物中に直接組み込まれるとき、得られたドープされたCNM生成物は、ドープ成分の原子を含まないCNM生成物(ドープされていないCNM生成物)とは異なる所望の化学物理特性を有する。任意の特定の理論に拘泥するものではないが、ドープ成分は、IIIA族元素、非炭素IVA族元素、VA族元素、VIA族カルコゲナイド元素を含む少なくとも1種の材料、または金、白金、イリジウム、鉄、もしくはその他の第4、5、もしくは6周期金属を含む少なくとも1種の材料を含んでいてもよい。本開示の一部の実施形態では、ドープ成分は:酸素原子、ハロゲン化物原子を持つ化学種、硝酸塩、リン酸塩、チオリン酸塩、ケイ酸塩、塩化チオニル、塩化硫黄、塩化ケイ素、チオリン酸塩、硝酸チオニル、硝酸ケイ素、亜硝酸ケイ素、酸化硫黄、および亜酸化窒素ガスの1種または複数を含む。いかなる特定の理論にも拘泥するものではないが、ドープされたCNM生成物の所望の化学的性質は:より大きい導電率(ドープされていないCNM生成物と比較して)、強化された電荷貯蔵(ドープされていないCNM生成物と比較して)、不均質触媒特性、均質触媒特性、燃料電池触媒特性、好気的酸化触媒特性、強化された反応活性特性、およびこれらの任意の組合せを含んでいてもよい。本開示の実施形態により作製されたドープされたCNM生成物の所望の物理化学特性は:触媒、重金属除去、エネルギー貯蔵、収着用途、バッテリ、超感度センサ、およびこれらの組合せなど、広く様々な適用例を有し得る。
【0187】
[00127] 本開示の一部の実施形態では、本明細書にこれまで記述されてきた方法、装置、およびシステムにより作製されたCNM生成物は、磁性である所望の同素体をもたらし得る。明瞭化のため、磁性CNM生成物およびその内部の磁性同素体は、磁場により物理的に移動可能である。いかなる特定の理論にも拘泥するものではないが、磁性添加剤成分が方法、装置、またはシステムに導入された場合、磁性CNM生成物中の様々な黒鉛構造の、炭化物で推進される成長が、生じ得る。本開示の一部の実施形態において、磁性添加剤成分は、磁性材料添加成分、炭化物成長成分、およびこれらの任意の組合せの少なくとも1種を含む。本開示の一部の実施形態では、磁性材料添加成分は、磁性材料添加剤成分が、鉄、ニッケル、コバルト、ガドリニウム、サマリウム、ネオジム、鋼、および合金であって、強磁性、常磁性、反磁性、およびこれらの任意の組合せを持つ1種または複数の磁性材料を含むものである。本開示の一部の実施形態では、鉄系添加剤は、鋳鉄粉末、鉄金属、鋼、ステンレス鋼、鉄含有金属合金、酸化鉄、FeO、Fe2O3、Fe3O4、または鉄含有塩の1種または複数である。磁性CNM生成物中に、磁性添加剤成分が、1種または複数のノジュールとして組み込まれまたは形成され、これらは磁性CNM生成物上で黒鉛状炭素1つまたは複数の層に覆われてもよい。本開示の一部の実施形態では、炭化物成長成分は、金属炭化物:例えば炭化鉄、炭化ニッケル、炭化コバルト;炭化ジルコニウム、炭化クロム、炭化タンタル、炭化ハフニウム、およびこれらの任意の組合せであってもよい。本開示の一部の実施形態では、炭化物成長成分は、非金属炭化物、例えば炭化ケイ素、炭化ゲルマニウム、およびこれらの任意の組合せであってもよい。磁性添加剤成分は、化学添加剤として、本開示の方法、装置、およびシステムに添加されてもよく、または電解セルの1つもしくは複数の壁、アノード、カソード、電解質媒体、およびこれらの任意の組合せを起源としてもよい。
【0188】
[00128] 実施例1
高純度の所望の同素体でナノカーボン生成物を作製するための電解プロセス条件
【0189】
[00129] CNM生成物を作製するために、電解反応を、槽、アノード、およびカソードを含む電解質セルで実行した。槽は、純粋なアルミナ(AdValueから市販されている、99.6%純度のアルミナ)で作製し、閉鎖端部を有していた。槽には、770℃の溶融Li2CO3電解質が入っていた。
【0190】
[00130] アノードは、様々な材料で作製され、電解反応中に酸素を発生するように構成された。
【0191】
[00131] カソードは、黄銅で作製され、実質的に平らなコイルにも構成された。
【0192】
[00132] 空気からの二酸化炭素を、電解反応中に、溶融電解質により直接捕捉した。
【0193】
[00133] 様々な電気化学動作パラメータは、カソードおよびアノードの組成および/または構成、Li2CO3電解質に使用される添加剤およびそれらの濃度、電流密度、および電解の時間であった。様々な電解質添加剤は、Fe2O3、ニッケル、クロム粉末、またはこれらの組合せを含んだ。電解反応は、ある範囲の電解電流密度にわたり様々であった。電極のばらつきには、Muntz黄銅Monel、またはニクロム合金などのカソード金属電極の使用が含まれる。アノードの種類には、貴金属アノード、例えばイリジウム、様々なニッケル含有アノードであって、ニッケル、ニクロムAまたはC、Inconel 600、625、または718を含むもの、またはこれら金属の特定の層状化された組合せが含まれる。電極として使用される金属の合金組成を、表1に提示する。金属のばらつきは、例えば、3層の(スポット溶接された)100メッシュInconel 600スクリーンを持つInconel 625のアノードなど、別のInconel合金の1つまたは複数のスクリーンで層状化された、1種のInconel合金の固体シートを使用して、アノードとして表1の金属を組み合わせることによってさらに精緻化された。
【0194】
【0195】
[00135] 電解動作条件の種々の組合せの数千回の実行を、本開示の実施形態を実現するために行った。それら多くの電解の30種未満で生じた魅力ある、しかし滅多に観察されない生成物は、バンブーのマクロ構造に対するナノ形態類似体を有したが、全生成物の低い割合でのみ観察されていた。表2は、ナノバンブーの電解質形成を最適化し最大限にするため、770℃のLi2CO3における電解条件の系統的最適化についてまとめる。ナノバンブーを生成する数種の従来の電解は、ニッケル電極に関連付けられ、または核化を刺激するための電流の上昇により開始した。表2の最上行における実験電解#Iは、カソードおよびアノードの両方としてニッケルを含むこれらの特徴の両方を含む。電解電流の上昇増加は、下記の通りでも適用された:一定の0.01、次いで0.02A/cm2で、さらに10分間の、初期10分の電解、その後、0.04、次いで0.08A/cm2でさらに5分間の、5分の電解、その後、一定の電流電解を、0.2A/cm2で、表2に示すように、実行した。ナノバンブーは、生成物SEMで明らかであったが、全生成物の少量(30重量%)を構成した。表2の電解#IIに見られるように、ナノバンブー生成物の増加は、電解質へのNiおよびCr添加剤粉末の直接添加で実現され、アノードは、貴金属(イリジウム)により置き換えられ、電流密度における5分の1の減少が伴った。表2に示されるように、この電解#IIは、ナノバンブー生成物の第1の大部分、60重量%を有する。クーロン効率は、生成物中のCの当量当たり測定された4個の電子数に対して測定された利用可能な電荷を定量するものである(電流に電解時間を乗じる)。クーロン効率は、より低い電流密度と共に降下する傾向があり、この場合、合成のクーロン効率は79%であった。クーロン効率は、系の不純物を低下させることによって、低電流密度でより高い値に近付き得る。
【0196】
【0197】
[00137] いかなる特定の理論にも拘泥するものではないが、低電流上昇、予備電解条件は、利益および欠点を有する可能性がある。例えば利益として、電流上昇条件は、継続中の還元および成長を容易にするよう、初期グラフェン層の還元および堆積を支持し得る。さらに、より低い電流は、カソードでの遷移金属堆積および核化部位での形成を好む可能性がある。電解質中の炭酸塩(CO2から)と比較して低濃度である間、還元電位計算に関する溶融電解質中の結合された対遊離した金属カチオンの分析は、非常に難題であった。しかしながら、Nernst活性および温度補正なしで、室温でのNi、Fe、Cr、およびCuおよびCO2の還元残留電位は、CO2(IV/0)=-1.02、Cr(III/0)=-0.74、Fe(II/0)=-0.44、Co(II/0)=-0.28、Ni(II/0)=-0.25、Fe(III/0)=-0.04、Cu(II/0)=0.34、およびCo(III/0)=1.82である。しかしながら、純粋な溶融炭酸塩溶液中での電解質酸化物とのC(IV)O2の反応によって形成された炭酸塩C(IV)O3
2-としての4価炭素の遊離活性は、電解電解質中に溶解した遷移金属イオン活性よりも何桁も大きかったことに留意されたい。このことは、カソードでの金属堆積上で、4価炭素の熱力学的および動力学的低減を推進するのを助ける。しかしながら実際の観察は、研究された溶融炭酸塩CO2電解の大部分に関し、初期低電流上昇が、最高純度の炭素堆積を促進させるのに現れないことであった。
【0198】
[00138]
図2は、770℃のLi
2CO
3中、CO
2の電解分離により合成された炭素のナノバンブーおよびナノパール同素体のナノカーボン生成物のSEM分析の画像を示す。パネル内を左から右に移動して、生成物は、倍率を上昇させながらSEMにより分析された。パネル内のスケールバー(左から開始)は、パネルIIIに関し:100、10、3μm(種々の電解)、および2μm;パネルIVおよびVに関し:5、2、1、および1μm;パネルVIIに関し:50、30、20、および15μm;パネルVIIIに関し:50μm 10、1、および2μmである。
【0199】
[00139]
図2の第1の行(パネル#III)は、電解#IIIの生成物のSEMを提示し、低電流密度を使用し続けかつ類似のクーロン効率78%を示し続け、電解質へのNi粉末添加に焦点を当て、アノードを精製して、Inconel 600の2層を持つInconel 718にし、このとき、89重量%のナノバンブー生成物まで上昇する。さらに、この電解は、「エージングした」電解質(表では描かれていない)を使用した。新たに溶融した電解質は、定常状態平衡(予備平衡工程)に到達するのに時間(最長24時間)を要する。電解#IIIでは、電解質を24時間エージングした後、溶融し、その後、電極を浸漬した。しかしながら、エージングは、ナノバンブー収率を最大限にするのに不利であることが観察された。新たに溶解した電解質の最終精製、即時使用(エージングする工程の排除)は、ナノバンブー生成物を増大させて、生成物の90重量%を構成するようになる(
図2の2行目、および表2中の電解#IV、および繰り返された#V)。興味深いことに、電解#IVおよびVにおける6%非バンブー生成物は、円錐状カーボンナノ繊維、CNFの形態になるようであり、
図2の第2の行に見られるように、その形態は、その明確な三角形状の空隙である。単純化された電解は、観察されたCNF不純物を除去し、その結果、ナノバンブー同素体の95%が得られる。この電解#VIは、高い0.4A/cm
2電流密度で電流上昇活性化なしで実行され、99.7%のクーロン効率を示す。この電解は、Ni、Fe、およびCrを含有するニクロムC電極の使用(表1)、ならびに電解質へのNiおよびCr粉末の直接添加の両方を通して実現される、意図した過剰な核化金属を有するように調整した。
【0200】
[00140] 電解質への高濃度の添加された遷移金属粉末の継続使用、および低電流密度であるが、電極の変化による使用は、「中空ナノオニオン」と本明細書では称される、別の全く異なる明確なナノカーボン同素体をもたらす。特に、表2および
図2における電解#VIIでは、電解#VIおよびVとして使用されてきた同じ濃度のNi粉末、および同様に電解質は、エージングされずかつ印加された初期電流も上昇しなかった。しかしながらMonelカソードおよびニクロムCアノードは使用されて、明確な中空ナノオニオン形態を有する生成物の95重量%をもたらした。ナノオニオンの中空性は、TEMによって明らかにされることになるが、それらの回転楕円特性は、
図2の第3の行でSEMによって見られた。純粋なニッケル電解質添加剤が、半ニッケルおよび半クロム粉末に変更されたとき、電解#VIIIおよびIXに関して表2にまとめたように、生成物は、ビーズ型ネックレスとの類似性を持つ明確な「ナノパール」形態を有する。この場合、生成物の割合は、このナノパール炭素の97%まで増大し、
図2最下行のSEMによってわかった。電解#VII-IXは、低電流密度、J=0.0A/cm
2を使用して実行され、79~80%の低下したクーロン効率を示す。
【0201】
[00141]
図3は、溶融炭酸塩電解により合成された、新しいナノバンブー、ナノパール、および円錐状カーボンナノ繊維(CNF)ナノカーボン同素体の、TEM画像を比較する。図の左上パネルに見られるように、CNFは、このCNF構造に典型的な円錐状空隙を示す。ナノバンブーの成長は、核化が推進されることが図の左中で見られ、その核化領域は、構造の先端から内部に移動するにつれ形状を変化させるように見えた。いかなる特定の理論にも拘泥するものではないが、バンブー「ノブ」を形成する側方壁は、先行壁を構築する炭素の周期的欠乏に関係し得ると仮定した。ナノバンブーおよびナノパール同素体の壁は、述べられるようにかつTEMで稠密炭素平面で観察された分離によって測定して、0.33~0.34nmの典型的なグラフェン間壁分離を特徴とするグラフェン壁を示す。図の左下は、ナノバンブー構造の「ノブ」を分離する、側方多重グラフェン層を示す。図の左下は、ナノパール同素体の例が、ナノパールの縦軸に沿って延びる多数のビーズ様セクションを画定することを示し、その各ビーズ様セクションは、一連のパールの個々のパールに類似している。ビーズ様セクションはそれぞれ、ナノパール同素体の個々のビーズ様セクションのそれぞれの壁を形成する、湾曲したグラフェンの多数の層を含む。
【0202】
[00142]
図4は、HAADF(高角度環状暗視野TEM)により作製された元素組成の画像を示し、溶融炭酸塩電解質により合成されたナノバンブーおよびナノパールナノカーボン同素体のTEMを比較する。HAADFからわかるように、ナノバンブー生成物は純粋な炭素であった。それは左上パネルの左下隅に示されるような銅の存在が、全体にわたり低濃度で広く分布していることを例外とし、Monelカソードが使用されるときに生成物試料のグリッドマウントにまたは銅成分に由来し得る。HAADFは、2種のナノパール試料をプローブする。第1は、高いまたは100%濃度の炭素(ノイズレベルは高かった)と、Ni、Cr、またはFeがほとんどまたは全くないことを示す。第2は、より高い分解能で炭素をプローブし、炭素レベルの上昇および降下は、プローブが2つの個別のナノパール構造上を左から右に移動するにつれ明らかであった。右手上のパネル402は、パネル内を左に、白色矢印に沿って得られた元素プロファイルを示す。パネル402、403ではHAADFデータを示し、404は、炭素含量を示し、405はクロム含量を示し、406は鉄含量を示し、407はニッケル含量を示す。右手下のパネル410は、パネル内を左に、白色矢印に沿って得られた元素プロファイル示す。パネル410、403では、HAADFデータを示し、404は炭素含量を示す。
【0203】
[00143]
図5の上行は、バンブーカーボンナノ繊維の円錐状の変形例と、それらの提案された成長メカニズムであって、メタンおよび水素を使用するニッケル核化CVDにより形成されたような場合を示す(Jia, K.; Kou, K.; Qin, M.; Wu, H.; Puleo, F.; Liotta, L. F. Controllable and Large-Scale Synthesis of Carbon Nanostructures: A review of Bamboo-Like Nanotubes. catalysts 2017, 7, 256から修正、オープンアクセス)。
図5の左下パネルは、CVDによるもつれたバンブーナノカーボン変形例を示し、概略図の右上パネルは、提案された成長メカニズムを示す(Zhang, M. He, C.; Liu, E.,; Zhiu, S., Shi, C.; Li, J.; Li, Q.; Zhao, N. Activated Carbon Nano-Chains with Tailored Micro-Meso Pore Structures and Their Application for Supercapacitors. J. Phys. Chem. C, 2015, DOI: 10.1021/acs.jpcc.5b05480から修正)。
図5の右下パネルは、カーボンナノ繊維で生じる一般的グラフェン層構成を示す(modified from Yadav, D.; Amini, F.; Ehrmann, A. Recent advances in carbon nanofibers and their applications - A review. European Polym. J. 2020, 138, 109963から修正)。
図5では、502は、ニッケル粒子上でのCH
3およびH
2の化学気相成長反応を示す。強力な歪みは504によって示され、黒鉛シェル応力506が示される。粒子ジャンプ508も示され、その結果、円錐状の穴510が示される。
【0204】
[00144] 円錐状CNF、ナノバンブー、およびナノパールは、溶融電解質によって合成されるような、新しく珍しい高収率炭素同素体である。類似のCVD合成形態は、CVDによって合成されてきた。特にCVD円錐状CNF構造は、
図5の上行に示されるように、広く特徴付けられてきた。CVDにおける円錐状CNF形態は、反復応力で誘発された核化(Ni)金属の形状変形に起因することが提示されており、これは金属粒子をジャンプさせ、かつ同素体の壁を架橋する、観察された側方グラフェン分離を形成させるものである。球状の間隔を空けたナノバンブーおよびナノパール同素体は、CVDにおいてそれほど一般的ではないが、観察されている。例を、
図5の左下の行に示し、その構造は、外層に対する欠陥に起因した構造内の細孔の周期的形成に帰するものであった。バンブーCVD CNTの1つの特定の適用例は、層ごとを基礎とするバイオセンサを構築するためのプラットフォームとしての使用である。一般に炭素繊維は、非晶質として分類され、または
図5の右下側に示されように、グラフェン小板、カーボンナノチューブ、または円錐型構造から構築されるとして分類される。
【0205】
[00145]
図6は、溶融炭酸塩電解により合成された中空ナノオニオン同素体のTEMおよびHAADF元素分析を示す。パネルAは中空ナノオニオンを示し、パネルBは、捕捉された金属を含むおよび含まない中空ナノオニオンを示し;パネルCは、捕捉された金属を含む中空ナノオニオンを示し;およびパネルDは、捕捉された金属を含むおよび含まない中空ナノオニオンを示す。パネル602は、パネルの左へと、白色矢印に沿って得られた元素プロファイルを示す。パネル602では、604は、炭素含量を示し、605は鉄含量を示し、606はニッケル含量を示す。パネル610は、炭素が約98.1%でありニッケルが約1.9%であるD領域#1上の積分原子分率を示す。パネル620は、炭素が実質的に100%であるD領域#2上の積分原子分率を示す(それによって試料が分析用に調製された手法に起因して存在し得る、任意の銅含量と見なさない)。
【0206】
[00146]
図6は、溶融炭酸塩電解により合成された新しい中空ナノオニオンナノカーボン同素体の、TEM、およびHAADFによる元素組成を示す。中空ナノオニオンは、内部コアを画定する。図示されるように、ナノオニオン内部コアの一部は金属を含有し、一方、その他は実質的に空(空隙/中空)である。中空ナノオニオンの壁は、図に記されるようにおよび稠密TEM炭素平面間で観察された分離によって測定して、0.33~0.34nmの典型的なグラフェン間壁分離によって特徴付けられるような、グラフェン層で構成される。
図6のHAADFに見られるように、コアが中空であるときにナノオニオンは純粋な炭素であり、コアが金属を含有するときに金属はニッケル、またはニッケルと鉄との組合せであった。
【0207】
[00147] 実施例2
ニッケルで被覆されたCNT、ナノオニオン同素体、またはナノフラワー同素体でCNM生成物を合成する電気化学条件
【0208】
[00148]
図7は、770℃のLi
2CO
3におけるCO
2の電解分離による、炭素のナノフラワー、ナノオニオン、およびニッケルで被覆されたCNT同素体の、CNM生成物のSEMを示す。パネルの左から右に移動して、生成物は、倍率を増大させてSEMにより分析された。パネルXIのスケールバー(左から開始)は:150、20、15、および2μmであり;パネルXIIでは:50μmであり;パネルXIIIでは:50および15μmであり;パネルXIVでは:100、30、15、および10μmであり;パネルXVでは:100μm、30、および5μmである。
【0209】
[00149] ニッケルアノードまたは過剰な添加されたニッケルは、ニッケルで被覆されたCNTをもたらす。ナノバンブーやナノパールなどの代替の同素体を形成するのではなく、過剰なニッケルの使用は、特に:(i)ステンレス鋼製カソード;(ii)利用されるときはさらに高い電解電流密度;および(iii)初期電流上昇による活性化と共に用いたとき、カーボンナノチューブをニッケルで被覆する傾向にある。これを電解#Xとして表3の最上行にまとめ、0.81重量%のNi粉末がLi
2CO
3電解質に添加され、ニクロムCをアノードとして使用した。電解を0.20A/cm
2で実行し、98.9%のクーロン効率を示す。Niコーティングはさらに、ニクロムCではなく純粋なニッケルのアノードが使用されたとき、しかしNi粉末が電解質に添加されないとき、および電流上昇が用いられなかったとき、表3中および
図7の最上行として電解XIで改善された(SEMではさらに均一に現れる)。電解は、0.15A/cm
2で実行され、93.4%のクーロン効率を示した。
【0210】
[00150] いかなる特定の理論にも拘泥するものではないが、電解反応のその他の明確な動作パラメータとの間で、過剰な量のニッケルの存在は、CNTの外面に形成されるニッケルの外部コーティングに関与する。過剰なニッケルは、添加剤(金属として金属酸化物または金属塩を含む)のLi2CO3の融点が723℃である結果、電解反応で確立することができる。電解セルの別の内壁は電解反応中に分解し、カソードは電解反応中に分解し、アノードは電解反応中に分解し、またはこれらの任意の組合せである。したがって方法が、ニッケルで被覆されたCNTをもたらすその他の明確な動作パラメータ-鋼製カソードを含む-を用いるとき、過剰な量のその他の金属または金属含有化合物は、その他の金属に被覆されるCNTももたらし得る。例えば、過剰な量の金属-ニッケル以外-例えば限定されるものではないが:鉄、チタン、スズ、銅、バナジウム、コバルト、亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、ルテニウム、銀、イリジウム、パラジウム、ロジウム、および白金は、金属被覆CNM生成物およびCNM生成物中の金属被覆CNT同素体をもたらすと考えられる。さらに、過剰な量の金属混合物、金属酸化物、またはこれらの任意の組合せも、本明細書では企図される。まとめると、1種の金属、金属混合物、または金属酸化物を含む同素体上のコーティングを、まとめて金属被覆同素体と呼ぶ。
【0211】
[00151] 本開示の一部の実施形態では、CNM生成物全体が被覆され得る。本開示の一部の実施形態では、CNM生成物中の所望の同素体は金属で被覆されてもよい。例えば、本明細書に記述される実施形態を用いて、方法は、1種または複数の所望の同素体が金属で被覆されるように用いられてもよく、そのような所望の同素体には、限定されるものではないが:金属被覆カーボンナノチューブ(CNT)、金属被覆黒鉛炭素、金属被覆ナノバンブー、金属被覆円錐状カーボンナノ繊維、金属被覆ナノパール、金属被覆ナノオニオン、金属被覆中空ナノオニオン、金属被覆ナノフラワー、金属被覆ナノドラゴン、金属被覆ブランチおよびトランクCNT(金属被覆ナノツリー)、金属被覆ナノベルト、金属被覆ナノロッド、金属被覆された長いおよび/または直線状CNT、金属被覆高アスペクト比CNT、金属被覆された細いCNT、およびCNTの巨視的アセンブリであって、稠密充填された直線状金属被覆CNT、金属被覆ナノスポンジ、および金属被覆ナノウェブを含むものが含まれる。本開示の一部の実施形態では、金属被覆同素体の相対量-CNM生成物中に存在する同素体の総量中-は、約5重量%から約99.5重量%の間である。本開示のその他の実施形態では、金属被覆同素体の相対量は、約7.5重量%~約97.5重量%の間、約10重量%~約15重量%の間、約20重量%~約92.5重量%の間、または約30重量%~約90重量%の間である。
【0212】
[00152] いかなる特定の理論にも拘泥するものではないが、溶融電解環境からの遷移金属の排除は、炭素成長の核化点としてそれらの活性を妨げる可能性があり、カーボンナノチューブの成長を抑制する可能性がある。貴金属アノードの使用を通してなど、CNTの金属核化成長の抑制は、別のナノカーボン:カーボンナノオニオンの成長を促進させる有効な手段であった。ここで別の溶融電解経路は、電解質へのリン酸リチウムの添加を通して、高いナノオニオン生成物収率を確実にすることが見出された。表3の電解XIIおよびXIIIでまとめたように、Li2CO3電解質への8重量%Li3PO4の添加により、生成物は、表3でまとめたようにほぼ純粋な(97~98%)カーボンナノオニオンであった。このナノオニオン生成物は、広範な電解合成電流密度(0.08~0.20A/cm2)の場合であって、カソードとしてMuntz黄銅またはMonelのいずれかがあり、電解中に初期電流上昇工程を含む(電解#XII)がありまたは(電解#XIII)がないものであることが観察された。
【0213】
[00153] 様々な低電流密度、Muntz黄銅カソード、ニクロムCアノード、エージングした電解質は、魅力ある新しい高純度溶融電解ナノカーボン同素体:ナノフラワーをもたらす。特に、電解質の24エージング後、過剰な(0.081重量%)クロム金属粉末を電解質に添加した。電解は、0.08A/cm
2で実行し、78%のクーロン効率を示す。電解を繰り返し(電解#XIVおよびXVとして)、表3にまとめたものと同じ結果をもたらし、
図7にSEMによって示す。
図7の右下パネルに見られるように、生成物は、フラワー形態内で中空チューブとして出現する。TEM HAADFによるこれら中空チューブの拡大は(図示せず)、それらが個々におよび相互接続された集合体として共に生じることを、確実にする。しかしながら生成物の形態は、いくつかの態様で非常に珍しい。多数のCNTは、フラワー様の配置構成を与える出所の起点から生じる。いかなる特定の理論にも拘泥するものではないが、これは先端の成長ではなく基部の成長を、および単一の活性化点から活性化された多数の成長パターンを表す可能性がある。調査されることになる代替のメカニズムは先端成長であり、金属核化先端は、成長の進行と共に焼結され(サイズを減少させる)、それと共に継続する成長は、ナノカーボン生成物の直径を減少させ得る。CNTは、短く非常に直線状スパイクとして出現する。CNTは、CNTが起点から離れて延びるにつれて直径が低減(減少)する円錐台状である。小さいパーセンテージの小板およびガーネット様材料は、フローラル配置構成全体にわたって散在した。大多数の溶融電解CNM生成物として新しいが、ナノフラワーは、炭素からだけではなく、金、白金、および銀からも、ならびに亜鉛およびチタン酸化物からも観察されており、既に記述されている。
【0214】
【0215】
[00155] 実施例3
ナノドラゴン、ナノツリー、ナノベルト、およびナノロッドの所望の同素体を持つCNM生成物を合成するための電気化学的動作パラメータ
【0216】
[00156]
図8は、770℃ Li
2CO
3でのCO
2の電解分離による炭素のナノドラゴン、ナノツリー、ナノベルト、およびナノロッド同素体のCNM生成物のSEM画像を示す。パネル内を左から右に移動すると、生成物は、倍率が増大するSEMによって分析された。左から開始して、パネルKのスケールバーは:50、10、5、および5μm;パネルQでは:100、100、5、1、および100μm;パネルYでは:50、5、および5μm;パネルZでは:30、10、5、および1μmである。
【0217】
[00157]
図9Aは、本開示の実施形態による、溶融炭酸塩電解により合成されたナノフラワー同素体のTEMおよびHAADF元素分析を示す。パネル904は、白色矢印に沿って得られた元素強度プロファイルを示す。パネル906は、パネル内で左へと白色矢印に沿って得られた元素強度プロファイルを示す。
図9Bは、本開示の実施形態による、溶融炭酸塩電解により合成された、ナノドラゴン炭素同素体902のTEMおよびHAADF元素分析を示す。パネル910は、炭素が実質的に100%である(いかなる銅含量も考慮しない)E領域#1上の積分原子分率を示す。
【0218】
[00158]
図10は、溶融炭酸塩電解により合成されたナノツリー炭素同素体のHAADF元素分析を示す。パネル1010は、下のパネルIで左へと白色線に沿って得られた元素強度プロファイルを示し、1011は炭素含量を示し、1012は鉄含量を示し、1013はニッケル含量を示す。
【0219】
[00159]
図11は、炭化鉄により触媒された(黄色のドメインとして含まれる)、観察されたCVD合成非晶質分岐カーボンナノツリーの成長を示す、概略図を示す。左パネルでは、a~fおよびg~kは、1つまたは複数の紫色の炭素分岐をもたらす、黄色の炭化鉄の核化部位の分画を示す(Takai, A.; Ataee-Esfahani, H.; Doi, Y.; FuiqE, M.; Yamauchi, Y.; Kuroda, K. Pt nanoworms: creation of a bumpy surface on one-dimensional (1D) Pt nanowires with the assistance of surfactants embedded in mesochannels. Chem. Comm. 2011, 47, 7701-7703から修正された)。右パネルは、CVD合成された炭素ナノベルトの構造を示す、概略図を示す(He, Z.; Maurice, J.-L. Lee, C. S.; Cojocaru, C. S.; Pribat, D. Growth mechanisms of carbon nanostructures with branched carbon nanofibers synthesized by plasma-enhanced chemical vapour deposition. Cryst. Eng. Comm. 2014, 16, 2990-29995から修正された)。
【0220】
[00160]
図12は、溶融炭酸塩電解により合成された、ナノベルト炭素同素体のTEMおよびHAADF元素分析を示す。パネル1206は、下パネルEで左へ白色線に沿って得られた元素強度プロファイルを示し、1207はHAADFデータを示し、1208は炭素含量を示し、1209は鉄含量を示し、1210はクロム含量を示す。
【0221】
[00161]
図13は、溶融炭酸塩電解により合成された、ナノロッドカーボン同素体のTEMおよびHAADF元素分析を示す。右手上のパネルは、領域#1上の積分原子分率を示し、そこで炭素含量は約90.6%であり酸素は約9.4%である。右手下のパネルは、領域#1上の積分原子分率であって、そこで炭素含量が約93%であり酸素が約7%であるものを示す。
【0222】
[00162] 電解#XVIの場合に対するCNT生成物形成の電気化学的条件の変動は、カーボンナノチューブから、本明細書ではナノドラゴンと呼ばれる別の魅力ある形態への同素体の変化をもたらし、これらは表3および
図8および
図9Bに提示される。類似の環境下でCNTを生成した初期合成からの変化は、ニクロムCではなくInconel 718アノードを含み、0.1A/cm
2ではなくさらに高い電流密度0.4A/cm
2を含み(100%クーロン効率を示す)、その電解質はエージングされなかった。その他の独自の電解的に合成されたナノカーボン形態とは異なり、カーボンナノドラゴンは、単純な反復幾何形状からなるものではなく、むしろナノドラゴンは、円筒、小板、および球の複雑な組合せを含む。
図9Bに示されるように、ナノドラゴンは一般に、細長い本体から離れて延びる小さい「脚」または突起を持つ、細長い本体のCNTを有する。突起は、より小さい分岐状CNT、金属成長の小さいノジュール、またはこれらの任意の組合せを含む。
【0223】
[00163] 低レベルの酸化リチウムの添加は、高品質のCNTをもたらしたことが公知である。特定のアノード(Inconel 600の2つの層を持つ、Inconel 718)の使用により、生成物の品質は保持されたが、CNTの形態は実質的に変化する。本発明者らは、CNTからの、より大きい遷移金属ノジュール成長を、既に観察した。Li
2Oの添加により、分岐状カーボンナノツリーは、表3および
図8で電解#XVIIとして含まれる。電解は、0.13A/cm
2で実行し、98.7%のクーロン効率を示す。ナノツリーは、より大きいCNTトランクから発する、より小さいCNTブランチの明確な成長を示す。
図8における電解#XVIIの右パネルの赤い円形領域は、枝分れしているy切片の例を示す。低レベルの酸化鉄の添加は、高品質CNTをもたらす。しかしながら、電解質の24時間のエージングおよびその後に続く、表3および
図8の電解#XVIIIにあるような添加により、代替の平坦化ナノカーボン同素体が観察され、これを本明細書ではナノベルトと呼ぶ。電解は、0.08A/cm
2で実行し、79%のクーロン効率を示す。ナノベルト構造は、平坦化(または「収縮した」)カーボンナノチューブからなるようである。
【0224】
[00164] ナノフラワー、ナノドラゴン、ナノベルト、およびナノツリー構造のTEMおよびHAADF元素分析を、
図9A、9B、10、12、および13に提示する。
【0225】
[00165]
図9Aは、溶融炭酸塩電解により合成された新しいナノフラワーナノカーボン同素体の、TEM、およびHAADFによる元素組成を示す。図示されるように、ナノフラワーの主成分は、規則的な間隔で、球根状セクションを含有する1つまたはいくつかの相互接続されたテーパ付きチューブである。壁は、
図9Aに記されるように、および稠密TEM炭素平面間で観察された分離により測定して、0.33~0.34nmの典型的なグラフェン間壁分離によって特徴付けられるようなグラフェン層からなる。HAADF画像に見られるように、ナノフラワーがCuだけでなく少量のコバルトも含有するときである。
【0226】
[00166]
図9Bで、ナノドラゴン構造は、複雑ではあるが黒鉛構造として見られた。CではなくPtと同様の外観の構造が既に観察されており、一次元Ptナノワイヤ上の凹凸のある表面と記述されている。ナノツリー同素体は、CNTからなるが一般に融合されたCNTを含有しない従来のCNT構造とは異なるものを、
図10に示す。しかしながらナノツリー形態は、
図10に見られるように交差するCNTを含み、その構造は融合されかつ互いに枝分れするように見える。ナノカーボンCVD成長分岐メカニズムが示唆されており、炭素分岐をもたらす核化部位の画分により触媒されたものが
図11に示される。
図10および
図12では、ナノツリーおよびナノベルトの内部がそれぞれニッケルおよび鉄を、またはニッケルを構造内部に含有できることがわかる。
図12に見られるように、ナノベルト生成物は、平らであり、測定されたニッケルの存在以外にもグラフェン層からなり、この珍しい平らな形態のメカニズムはTEMから明らかであった。CVDナノベルトCNT構造は、
図11の右側に例示される概略的構造で既に合成されている。
【0227】
[00167] 電解質(新たに溶融した電解質)のエージングなしに、低電流密度(0.08A/cm
2、80%のクーロン効率を示す)、長期成長(18時間)のカーボンナノチューブ成長であってMonelカソード、イリジウムアノード、0.81%Niを含むもの、および非上昇電流活性化工程が、
図13に見られるようなずんぐりとしたリング様ナノロッド同素体をもたらし、電解XIXとして表4に含める。本明細書に提示される同素体の中で、生成物は、2つの物理化学的視点から珍しかった。第1に、
図13のTEMは、層状化グラフェン構造の証拠がないことを明らかにする。しかしながら後のセクションで示されるように、この形態は、黒鉛層状化グラフェン構造に典型的なXRDピークとRamanスペクトルを示す。第2に、
図13の元素分析に見られるように、ナノロッドは唯一の新しい溶融合成ナノカーボン構造であり、有意な濃度の酸素(7.0~9.4重量%)が観察された。時間内にその直径に沿ったCNTの長さが増大する成長ではない、球根状ロッド様形態では、長さではなく直径の増大によって支配される長期成長と矛盾がないように見える。
【0228】
[00168] 実施例4
様々なナノカーボン同素体のRaman分光法およびXRD分析
【0229】
[00169]
図14は、本開示の実施形態による、溶融炭酸塩中のCO
2の電解分離によって合成されたナノカーボン同素体のSEM画像を示す。上および中行:本開示の実施形態による、導入され合成されたナノカーボン同素体。下行は、既に合成されたナノカーボン同素体を示す。上行(左から右に)円錐状CNF(パネルA)、ナノバンブー(パネルB)、ナノパール(パネルC)、Ni被覆CNT(パネルD)、ナノフラワー(パネルF)、およびナノドラゴン(パネルF)。中行:ナノロッド(パネルG)、ナノベルト(パネルH)、ナノオニオン(パネルI)、中空ナノオニオン(パネルJ)、およびナノツリー(パネルK)。下行(左から右に):CNT、ナノ足場(パネルL、Wang, X., Licht, G.; Liu, X.; Licht, S. One pot facile transformation of CO
2 to an unusual 3-D nan-scaffold morphology of carbon. Sci Rep. 2020, 10, 21518からの画像)、ナノ小板、グラフェン(2工程プロセス、Liu, X., Wang, X., Licht, G., & Licht, S. Transformation of the greenhouse gas carbon dioxide to graphene. J. CO2 Util., 36, 2020, 288-294からの画像)、ナノ螺旋(Liu, X.; Licht, G.; Licht, S. The green synthesis of exceptional braided, helical carbon nanotubes and nanospiral platelets made directly from CO
2. Mat. Today Chem 2021, 22, 100529からの画像)。
【0230】
[00170]
図15は、系統的に様々な電気化学的動作パラメータによる、770℃ Li
2CO
3中CO
2の電解分離によって合成された、様々な標識されたナノカーボン同素体および充填型カーボンナノチューブアセンブリからなるCNM生成物の、Ramanを示す。以下の表Aは、
図165 16Aおよび16Bで利用される参照番号および関連ある特徴を提供する。
【0231】
【0232】
[00172]
図16は、様々な系統的に変動する電気化学的条件で、770℃ Li
2CO
3でのCO
2の電解分離によって合成された様々なナノカーボン同素体からなるCNM生成物のXRD分析を示す。
【0233】
[00173]
図14の上行および中行は、本開示の実施形態により作製された新しい炭素同素体の顕微鏡法を、溶融電解により既に形成された第2の行の構造と比較する。図示される新しい電解合成構造は、円錐状CNF、ナノバンブー、ナノパール、Ni被覆CNT、ナノフラワー、ナノドラゴン、ナノロッド、ナノベルト、ナノオニオン(代替の方法によっても既に合成された)、中空ナノオニオン、およびナノツリーである。合成された、以前の明確なナノカーボン構造は、カーボンナノチューブ、ナノ小板、グラフェン(CO
2溶融電解の2工程合成、およびその他の剥離)、およびナノ螺旋であった。
【0234】
[00174]
図15は、770℃ Li
2CO
3でのCO
2電解の新しい炭素生成物の、RamanスペクトルおよびXRDに対する様々な電解条件の効果を提示する。黒鉛フィンガープリントは、1880~2300cm
-1にあり、sp混成C-C結合の種々の集団振動に関係する。正接Gバンド(約1580cm
-1で)は、E
2G対称の黒鉛様平面内モードから誘導され、いくつかのモードに分割することができ、その2つが最も明確である:G
1(1577cm
-1)およびG
2(1610cm
-1)。Ramanスペクトルは、2つの鋭いピーク、約1350および約1580cm
-1を示し、これらは無秩序誘発モード(Dバンド)および高周波数E
2G一次モード(Gバンド)にそれぞれ該当し、追加のピーク、2Dバンドが2700cm
-1で示された。約2300でのG’ピークは、sp混成C-C結合の集団延伸振動に関係するようであった。
【0235】
[00175] 本明細書ではID/IG比とも呼ばれ得るDバンドとGバンドとの間の強度比(ID/IG)は、欠陥の相対数および黒鉛化度を評価するのに有用なパラメータであり、したがってID/IG比は、1つのタイプのナノカーボン構造を、本明細書に記述される同素体などの別のものから区別するために、ある範囲の値(または特定の数値として)を提示することができる。表4は、Ramanバンドピーク位置をまとめ、様々な炭素同素体に関して計算された(ID/IG)および(I2D/IG)ピーク比を含む。より高い比ID/IG、またはIG周波数のシフトは、炭素黒鉛構造で増大する欠陥の尺度と考えられる。黒鉛構造で生じる可能性のある欠陥は、その構造を含むグラフェン層における六角形炭素構成に典型的な炭素sp2結合の、sp3による置換えを含み、グラフェン内で細孔または失われた炭素を増大させ、グラフェンの従来の六角形グラフェン構成単位ではなく七角形および五角形の形成を引き起こす欠陥を増強することも考えられる。
【0236】
【0237】
[00177] 典型的には、多層カーボンナノチューブに関するID/IGは、0.2から0.6の範囲にある。これらの値と比較すると、中空ナノオニオンは除外して、本開示の実施形態により作製された新しい炭素同素体は一般に、0.6ID/IGよりも高い値を示し、これはさらに高い数の欠陥の証拠でありかつおそらくはこれらの新しい同素体のさらに大きい形態上の複雑さと矛盾がない。ナノバンブー、ナノパール、ナノロッド、およびナノベルトはそれぞれ比較的高いレベルの欠陥を示し、これらはしばしば、sp3炭素のさらに高い存在に起因した、構造におけるさらに多くの細孔および捩れおよび巻き数に関連付けられるものである。表4から観察されるように、増大するID/IG比の順序は:
CNT<中空ナノオニオン<ドラゴン<フラワー<ナノツリー<バンブー<パール<ロッド<CNF<ベルト
である。
【0238】
[00178] Gバンドの周波数νの、より高い周波数へのシフトは一般に、観察されたID/IGの変動に相関し、付近にある比に起因した変動に相関し、ナノバンブーに関して観察された珍しく大きいシフトは例外とする。
【0239】
[00179] 電解質(ナノバンブー、ナノパール、およびナノフラワー同素体)に添加された高レベルのNi、Cr、またはCoも、欠陥の増大に相関するようであり、ナノロッド合成に使用された非常に高度に添加されたNi粉末は、IG周波数のシフトおよびID/IGの増大によって示されるような非常に高いレベルの欠陥に相関する。既に、Li2CO3電解質に添加された酸化鉄の増大した濃度は、黒鉛構造内で増大する無秩序度に相関した。興味深いことに、それは低レベルで添加された酸化鉄粉末(しかし電解質のエージングの24時間前にのみ添加される)との合成であり、最高レベルの欠陥を持つ同素体、ナノベルト同素体をもたらすものである。
【0240】
[00180] より低い欠陥は、高い導電率および強度を必要とする適用例に関連するが、高い欠陥は、増大したインターカレーションおよびLiイオンバッテリでのより高いアノード容量およびより高い電荷のスーパーキャパシタに関連したものなどの構造を通して高い拡散率を可能にする適用例に関連する。
【0241】
[00181] 関連ある化合物スペクトルのXRDライブラリと共に、本開示の実施形態により調製された新しいナノカーボン同素体生成物のXRDを
図16に提示し、表2および3にまとめると共に、
図2、7、および8にSEMを提示する。スペクトルのそれぞれは、黒鉛構造に特徴的な2θ=27°で強力で鋭い回折ピークを示し、非晶質炭素であることを示すブロードピークの表示はない。黒鉛(炭素)に加え、生成物XRDを、金属塩が存在するグループに分ける。ナノバンブーは、リチウム化ニッケル塩(リチウムニッケル酸化物、Li
2Ni
8O
10)のみ存在する最も簡単な組成を示す。次に最も複雑な組成は、ナノドラゴン、中空ナノオニオン ナノ、およびナノツリー同素体であることが
図18でわかり、これらは炭化鉄塩Fe
3C、リチウムニッケル酸化物、および炭素を含むものである。
図18で、パネル1802は、パネルD内左に白色矢印に沿って得られた元素強度分析を示す。パネル1804は、緑色ボックス内の領域上の積分原子分率を示し、炭素は約94.3%、鉄は約2.5%、およびニッケルは約3.2%である。パネル1806で、緑色ボックス内の領域上の積分原子分率は、約100%の炭素である。次に最も複雑な組成を、左手下の隅の図に、先の金属塩(Li
2Ni
8O
10およびFe
3C)ならびにリチウム化クロム(III)塩のそれぞれを示すナノフラワーに関して示す。最後に、ナノパールおよびナノベルトの両方は追加のリチウム化銅塩(リチウム銅酸化物、Li
2CuO
2)を含み、それらはそれぞれ、共に銅を含有するMuntz黄銅およびMonelカソードで合成されたことに留意されたい。ナノカーボンに進入するため、銅は、カソードバイアス下であったカソードから溶解することが必要になる可能性がある。これは本開示のその他のナノカーボン同素体生成物では生じなかった。ナノベルトXRDスペクトルは、2θ=43°で主ピークを有するその他とは明確に異なり、これはその他の生成物におけるよりもさらに高い濃度の金属を反映している。Li
2Ni
8O
10、LiCrO
2、およびFe
3CのXRDの存在と共に、中空ナノオニオン形態に関するRamanスペクトルにより既に記述された、低減した欠陥の存在は、核化剤としてのNi、Cr、およびFeの同時存在が、Niと比較して構造内の欠陥を低減させることができるという証拠を提供する。一方、LiCuO
2のXRDの存在と共に、ナノベルトおよびナノパール形態に関してRamanスペクトルにより既に記述された、強化された欠陥の存在は、遷移金属核化剤として、Ni、Fe、またはCrと比較して構造内で銅塩が欠陥を増大させるという証拠を提供する。最後に、電解XIVおよびXVへのコバルト粉末の単一(全ての電解の中で)の添加は、その後に観察されたナノフラワー同素体の形成と相関しなければならないことに留意すべきである。しかしながら、このコバルトの大部分は、
図16のXRDにより分析されるような生成物に向かっていかず、HAAFD TEMにより微量でしか観察されず(将来の研究で明らかにされ精査されることになる)、おそらくはこの珍しい生成物の形成の促進において別の役割を持つ。
【0242】
[00182] いかなる特定の理論にも拘泥するものではないが、本開示の実施形態により作製されたナノカーボン同素体は、珍しい物理化学的性質をもたらし得ると共に適用に対する有用性、例えばグラフェン系材料の高強度、高熱、磁性、電気、圧電、トライボロジー特性利用するものを示唆し得るが、これらの性質は、これらの新規な同素体の珍しい幾何形状全体にわたり様々に分布されるものである。例えば、高容量リチウムアノード、稀なエレクトロニクス、EMF遮蔽、改善された潤滑剤、および新しい構造もしくはポリマー複合体などの代替の適用例が企図される。
【0243】
[00183] 実施例1から4までは、本開示の実施形態により作製されたナノカーボン同素体について記述し、SEM、TEM、HAADFを用いたTEM、Raman、およびXRDによって分析された。ナノロッド構造を除き、構造のそれぞれは、その性質が、様々な幾何形状で配置構成されたグラフェン層を含有する黒鉛状であった。グラフェン層は、特徴的な層間間隔0.33~0.34nmを示す。核化成長部位として働き得るNi、Fe、Cr、および時にはCuの存在以外、構造のそれぞれは純粋な炭素であった。一般に、交差するグラフェン層は融合せず、ナノツリー同素体では、グラフェン層が交差部で曲がって、観察された分岐構造をもたらす。
【0244】
[00184] ナノバンブー、ナノパール、Ni被覆CNT、および円錐状CNFを含む構造の多くは、同心状グラフェン層を含有する壁を示す。ナノドラゴンおよびナノベルト構造は、層状化された平面または平面-捩れグラフェン層を含む。ナノツリー、ならびに中空および充填されたナノオニオンを含む、観察された構造のいくつかは、炭素から一般に構成されかつ低レベルの内部遷移金属を含有する同心状の高度に球形のグラフェン層を示す。いかなる特定の理論にも拘泥するものではないが、本開示の実施形態は、遷移金属イオンを選択的に結合するリン酸塩により容易にされ得る、電解質へのリン酸塩の添加を介したナノオニオンの形成のための新しい合成経路を提供し得る。
【0245】
[00185] 電解#IVから前進する全ての電気化学的方法は、記述される同素体の高純度生成物を生成するが、大部分のナノバンブーカーボン中では少量(6%)の円錐状CNFおよび中程度の純度(85%)のナノベルト炭素生成物は例外とする。電解のクーロン効率は、0.08A/cm2のより低い電流密度で79から80%に及び、0.2A/cm2またはそれよりも高い電流密度で99%を超えた。高純度生成物はそれぞれ、鋭いXRD黒鉛ピークと、炭素構造で中程度のレベルの欠陥を示す中程度(0.3~1.3)のRaman ID/IG比を示した。大部分の純粋な黒鉛状炭素に加え、XRDは、炭化鉄、またはニッケル、クロム、もしくは銅リチウム化酸化物のいずれかの、種々の単一のまたは混合した遷移金属塩も示した。
【0246】
[00186] 新しいナノカーボン同素体のTEM HAADFは、それらの内部コアが金属をほぼ含まないことを示した(空隙、壁の100%が炭素)が、他の領域では、空隙は、Ni、Fe、および/またはCrの遷移金属で満たされた。ナノロッド同素体を除き、同素体のそれぞれは、グラフェン特性を持つ明確なグラフェン層を含んでおり、その層間間隔は0.33~0.34nmであった。同素体に応じて、隣接するグラフェン層は、平面に、円筒状に、または球状の幾何形状に組織された。内部遷移金属が同素体チップ内にあったとき、層状化グラフェン壁は、遷移金属核化CNT成長メカニズムを支持する金属の周りで高度に球状になるように曲がっていることが観察される。ニッケルアノードの使用または電解質に添加された過剰なニッケルは、ステンレス鋼が電解カソードとして使用されたとき、被覆されたニッケル被覆CNTをもたらす。一般に交差するグラフェン層は融合しなかったが、トランクCNTおよびトランクCNTから離れて延びるブランチCNTを持つナノツリー同素体では、グラフェン層が曲がって(または曲げられて)、分岐に一致するCNT交差部の一部になる。
【0247】
[00187] いかなる特定の理論にも拘泥するものではないが、CO2の溶融炭酸塩電解は、実施例1~4までの珍しい価値あるナノカーボン同素体のポートフォリオの合成に有効な経路を提供する。CO2からのこれらの同素体の大量生産は、この温室効果ガスを消費する、価値あるインセンティブを提供し得る。そのような同素体は稀であり、またはこれまで存在しておらず、一般に市販されていない。しかしながら、ナノオニオンなどの使用中のもの-ナノダイヤモンドの熱分解によってまたはCVDによって作製されることが公知である-は、高いカーボンフットプリントを有し、かつ100万$/トンを超える関連コストを有する。CO2の溶融炭酸塩電解によるCNT生成は、アルミニウムの工業生産における酸化アルミニウム分離のコストと同等の、低コスト合成である。新しい同素体合成条件は、CO2の消費および気候変動の緩和に寄与するようにスケールアップされたものと同等で明快な経路による、スケーリングされた溶融炭酸塩電解プロセスの小さい変動からなる。
【0248】
[00188] 実施例5
CNTが高純度/高収率であるCNM生成物を作製するための電解動作パラメータ
【0249】
[00189] 本開示のさらなる実施形態は、770℃の炭酸リチウム中、CO2の電解により高純度、高収率CNT生成物をもたらす電気化学的プロセス条件に関する。生成物の材料組成および形態の詳細な調査を実行し、特にCNT成長の遷移金属核化ゾーンの周囲を調査した。この発見の後半の部分は、CNTの巨視的アセンブリを生成する溶融電気化学条件を明らかにする。
【0250】
[00190]
図17は、770℃ Li
2CO
3中、CO
2の電解分離による様々な電気化学条件下での、高純度、高収率カーボンナノチューブのCNM生成物のSEM画像を示す。洗浄した生成物を、表5に記述される電解に続いてカソードから収集した。パネルの左から右に移動して、生成物を、倍率を増大させつつSEMにより分析する。パネルのスケールバー(左から開始)は、パネルAに関して:100、50、および10μm;パネルBに関して:100、20、および5μm;パネルCに関して:40、5、および2μm;パネルEに関して:200、40、および10μmである。
【0251】
【0252】
[00192] 高純度CNT合成に関する電気化学プロセス条件を系統的に変えて、直線状(非螺旋状)CNTの高純度、低欠陥合成を支持するその他の電気化学条件を決定した。様々に変化する条件の例は:カソードの組成、アノードの組成、炭酸リチウム電解質への添加剤、電流密度および電解時間である。電極の種類には、Muntz黄銅Monelまたはニッケル合金などのカソード金属電極の使用が含まれる。アノードの種類には、貴金属アノード、例えばイリジウム、様々なニッケル含有アノードであってニッケル、ニクロムAまたはC、Inconel 600、625、もしくは718を含むもの、またはこれら金属の特定の層状化された組合せが含まれる。様々に変化する電解質添加剤には、Fe
2O
3、およびニッケルまたはクロム粉末が含まれ、電解は、広範な電解電流密度にわたり様々である。高純度、高収率カーボンナノチューブをもたらす本明細書でのいくつかの電解研究を、表5に記述する。770℃の溶融Li
2CO
3中でのCO
2電解によって実行されるような様々なそれらのCNT合成の生成物の走査型電子顕微鏡法(SEM)を、
図17に提示する。
【0253】
[00193] 電解#Aの場合、表5の最上行は電気化学条件を提示し、
図17の最上行は、既に記述された電気化学条件:0.1重量%Fe
2O
3電解(同じ炭酸リチウム電解質、同じMuntz黄銅カソードおよびニクロムCアノード、同じ0.6A/cm
2電流密度、および30分の電解持続時間)が繰り返されるが、ステンレス鋼304、電解セルケーシングではなくより単純な(材料の観点から)アルミナ(セラミックAl
2O
3)を使用する、生成物のSEMを提示する。この発見におけるアルミナケーシングの使用は金属が進入する経路を制限し、電解システムを評価する、あるいは達成するためのパラメータを削減する。しかしながらステンレス鋼304は腐食することを観察されず、ステンレスからアルミナへの切替えは電解生成物に著しい影響を及ぼすことが観察されなかったことに留意されたい。CNT生成物はやはり97%純度であり、クーロン効率は99%であり、これは生成物中のCの当量当たり測定された4個の電子数に対して測定された利用可能な電荷を定量するものであり(電流に電解時間を乗じる)、カーボンナノチューブの長さは50~100μmである。
【0254】
[00194]
図17の2行目(パネル#B)では、電流密度が変化して0.15A/cm
2まで低下し、電解時間は4時間まで増大する。これらの修正の結果は、生成物の純度の94%までの低下、CNTの長さの20~80μmへの減少、およびクーロン効率の98%までの中程度の減少である。この電流密度で、
図2の3行目、パネル#Cで観察されるように、0.1重量%のFe
2O
3と一緒の0.1重量%のNiの添加は、96%の純度の、直線状ではないジグザグの、捩れたCNTをもたらす。これらの捩れは、CNT線形成長の過剰な核化減少制御により誘発する可能性がある。これらの生成物画像の中で最も拡大されたものにおいて(
図17の右側、2μmスケールバー分解能)、過剰核化の証拠は、CNTの先端および接合部に見られるさらに大きいノジュールで観察される。
【0255】
[00195] 0.08A/cm
2の低電流密度で、0.1重量%Fe
2O
3の電解質添加剤により、従来のMuntz黄銅およびニクロム電極は、CNT生成物純度の70%までの著しい降下を示す。クーロン効率は、電流密度と共に降下する傾向にあり、この場合、合成のクーロン効率は82%であった。生成物純度は、電解質中で利用可能な遷移金属の混合物を精製することによって、または表面積を増大させることによって、増大させることができる。電極として使用される金属の合金組成物を、表1に提示する。金属のばらつきは、例えば、別のInconel合金の1つまたは複数のスクリーンと層状化された、1種のInconel合金の固体シートを使用して、アノードとして表1の金属を組み合わせることによってさらに精製された。この手法は、3層の(スポット溶接された)100メッシュInconel 600スクリーンを持つInconel 625のアノード、単一電解質添加剤(0.1重量%Fe
2O
3)への戻り、および非常に低い電流密度0.08A/cm
2を利用する、
図17の最下行(パネル#E)で利用される。
図17のパネル#Eで見られるように、生成物は高純度(97%)であり、20~50μmの長さのCNTからなり、クーロン効率は75%であった。図示されていないが、表5(電解#G)には、同じ電極下および同じ0.08A/cm
2電解条件が含まれる。しかしながら、J=0.15A/cm
2で0.1重量%Fe
2O
3および0.1重量%Niの両方の電解質添加により、生成物は、
図17パネル#17にあるように捩れたCNTであり、純度は96%であり、クーロン効率は80%である。
【0256】
[00196]
図18は、770℃ Li
2CO
3でのCO
2の電解分離による電解#E(表5)電気化学条件下、高純度、高収率CNTのCNM生成物のTEMおよびHAADFを示す。最上行で、生成物は、20nm(左パネル)または1nm(右)のスケールバーで、TEMにより分析される。2行目の左から右に移動して、100、5、5、および1nmのスケールバーがある。3行目のスケールバーは100または50nmである。最下行のスケールバーは20、1、および1nmである。
【0257】
[00197] 表5に列挙される合成は、特徴的同心多層グラフェン円筒壁をそれぞれ示す、カーボンナノチューブの高純度成長のための電気化学的成長条件を画定する。これは
図18で観察され、典型的な例(表5および
図17でさらに記述されるような電解#Eの生成物)のTEMおよびHAADFを提示し、溶融電解によって合成されたカーボンナノチューブの概略的構造およびメカニズム情報を提供する。図の最上行に見られるように、カーボンナノチューブは、円筒状グラフェンの連続同心層によって形成される。グラフェンは、図の拡大された右上側の、均一ブロック電子透過の暗色層間の間隔により、図で測定されたその特徴的グラフェン間層分離0.33~0.34nmによって特定される。このCNTは、74nmの外径および46nmの内径を有し、暗色行をカウントすることによって、このCNTのグラフェン層の数が41であると決定される。
図18の3行目の右側は、CNTの炭素元素プロファイルの測定値を示す。このプロファイルは、左の壁(炭素)を通して、次いでチューブの内側の空隙を通して(外側の背面壁からの低炭素)、次いで右の壁(炭素)を通して、最終的には外側の左側(炭素なし)でチューブの外側に至ることにより、チューブの外側(炭素なし)から側方に掃引される。同様に、このパネルの領域1の積分元素プロファイルが示され、100.0%の炭素を示している(当て嵌め誤差1.3%)。
【0258】
[00198]
図18の2行目の右側に、CNT壁のグラフェン層に関する平行な0.34nm間隔が、ここでも観察される。このパネルは、CNT内に捕捉された金属の暗色領域も含み、CNTの成長の経時的なスナップショットとしての役割をする。
図18の3行目では、領域#1のHAADF分析は、捕捉された内部金属が94.4%の炭素、2.5%のFe、および3.2%のNiであり
図18に含まれる個々のC、Fe、およびNiのHAADFマップに従い分布されている壁を含む、この領域に関する元素組成を有する。
図18の2行目は、捕捉された金属を含むCNTの先端も示す。遷移金属は核化剤として働き、CNTの先端に示される湾曲したグラフェン層の形成を支持し、これはCNT成長メカニズムの主な構成要素である。化学気相成長(CVD)とは全体が異なる物理化学的環境で生じるが、遷移金属核化成長CNTのこの溶融炭酸塩電解プロセスは、CVD CNT成長で生じるように記述されるものに類似するように見える。これはCVDが化学的な/電気化学的ではないプロセスであるという事実にも関わらず、液体/固体界面ではなく気体/固体界面で生じる。
【0259】
[00199] 実施例6
高アスペクト比CNTを持つCNM生成物を作製するための電解操作パラメータ
【0260】
[00200]
図19は、本開示の実施形態による、770℃ Li
2CO
3でCO
2を分離する、表5の電解#Fによる、高アスペクト比(および高純度および収率)CNTのCNM生成物のSEM画像を示す。
図19のパネル左から右に向かって、倍率を増大させつつ生成物をSEMにより分析する。パネルFa~Ffのスケールバー(上から時計回り)は500、400、100、5、5、および10μmである。
【0261】
[00201]
図19は、本明細書で研究されるものの高クーロン効率(99.5%)で、最長(100~500μmの長さ)および最高純度(98%)CNTをもたらす電気化学的構成の生成物のSEM画像を示す(表5で電解#Fと記述される)。先の構成の場合のように、ほぼ高い純度をもたらすがさらに短いCNTである。合成は、Li
2CO
3電解質への0.1重量%Fe
2O
3添加剤、Muntz黄銅カソード、およびInconel 718アノードであって、層状化Inconel 600スクリーンを備えたものを使用した。しかしながらこの合成は、3層ではなく2層のInconel 600を使用して、ならびにさらに高い電流密度(0.08A/cm
2ではなく0.4A/cm
2)およびさらに短い電解時間(15時間ではなく、4時間)を使用して、CNT純度および長さの最適化を見出した。<0.2μmの直径により、これらのCNTは、アスペクト比>1,000を有することができる。表5の合金組成に相関するように、より小さい数のInconel 600層は、その合金で利用可能なアノードモリブデンを包含する必要性の潜在性を反映するが、制御されたさらに低い濃度では、得られる高い純度、高いアスペクト比のCNTが実現される。
図19に示されるように、CNTは稠密充填され、大規模に平行であり、本明細書で論じられるようにナノ濾過で使用するのに有用な候補を含む可能性がある。
【0262】
[00202]
図20は、770℃ Li
2CO
3中CO
2の電解分離による電解#F(表5)の電気化学的条件下、高純度、高収率CNTの、CNM生成物のTEMおよびHAADF分析を示す。上行では、生成物を、1μm(左パネル)または100nm(右)のスケールバーでTEMにより分析する。左から右に向かって、中右のスケールバーは、50、20、および1nmのスケールバーを有する。下パネルのそれぞれのHAADF測定は、200nmのスケールバーを有する。パネル2002は、左に向かってパネルに示される白色矢印に沿って得られた元素強度データを示す。パネル2004は、上記緑色ボックスで積分原子分率データを示し、その炭素は実質的に100%である。パネル2006は、上記緑色ボックス(内部に白色矢印がある)から得られた積分原子分率データを示し、その炭素は約92.9%であり、鉄は約6.8%であり、ニッケルは約0.3%である。
【0263】
[00203]
図20は、電解#Fの高アスペクト比CNT生成物の、TEMおよびHAADF分析を示す(表5に、および
図19のSEMにより記述されるように)。
図20の中行の右側に見られるように、CNT壁は、特徴的な0.33~0.24nmグラフェン層間隔によって分離された、平行炭素層からなる。最下行の領域#1の元素分析に見られるように、領域は、100%炭素で構成された中空チューブからなる。しかしながら、HAADF元素プロファイルの上2行のTEMおよび下行で見られるように、金属で断続的に満たされるチューブの広範な部分もある。
図20の下行では、外側から領域#2を通して、CNTを通して、次いで反対側の壁から出るように走査された側方断面元素CNTプロファイルは、壁が炭素で構成され、一方、内部領域は、いくらかのニッケルと同時に存在する主要な金属として鉄も含むことを示す。
【0264】
[00204] 実施例7
細いCNT同素体としてCNM生成物を作製するための電解操作パラメータ
【0265】
[00205]
図21は、770℃ Li
2CO
3中、CO
2の電解分離による様々な電気化学的条件下、高純度、高収率CNTの、CNM生成物のSEM画像を示す。洗浄された生成物を、表5に記述される電解に続いてカソードから収集する。スケールバー(左から開始する)は、パネルJに関して:100、4、および2μm;パネルIに関して:100、10、および4μm;パネルKに関して:40、5、および3μm;パネルLに関して:40、50、および5μmである。
【0266】
[00206]
図22は、770℃ Li
2CO
3中CO
2の電解分離による電解#H(表5、および
図22の最上行のSEM)電気化学的条件下でのノジュールまたはバッドを示す、カーボンナノチューブのCNM生成物のTEMおよびHAADFを示す。
図22の最上行では、生成物は、左から右へのスケールバー、200、100、20、および100nmで分析される。2行目のスケールバーは、1μm、次いで20、5、200、および1nmのスケールバーを有する。3行目のスケールバーは、200、20、1、5、および200nmである。最下行のスケールバーは、50、1、1、および200nmである。
【0267】
[00207]
図21は、電解条件の追加の修正が、CO
2溶融電解によって高純度カーボンナノチューブをもたらすことができることを実証する。最上行、パネル#Hでは、高電流密度の場合のように(
図17、パネル#A)、中程度の電流密度0.4A/cm
2(同じ電解質、Muntz黄銅カソード、およびニクロムCアノードは、100%に近いクーロン効率で、より長い(100~200μm)、高純度(96%)CNTをもたらす。2行目(
図21、パネルA)で、カソード材料からMonelへの切替えは、純度97%でありやはりクーロン効率が100%に近い、より短い20~50μm CNTをもたらす。図示されないが、表5(電解#D)には、ニクロムCから純粋なニッケルアノードへの切替え(Monelカソードが保持されつつ、および電解質添加剤はJ=0.2A/cm
2である)が、CNT純度の70%への実質的な降下をもたらし、生成物の残りはナノオニオンからなることが含まれる。
図21、パネル#Kでの、0.4A~0.1A/cm
2への電流密度の降下は、クーロン効率が97%までごく僅かしか降下しない長さ30~60μmの97%純度のCNTをもたらす。
図21の左下隅に位置付けられた#Lの単一パネルでは、過剰なFe
2O
3が添加され、これは既に合成の特異性の制御を失うことが観察されている。この場合、CNTの全純度は、約95%で高いままであるが、これは生成物中のCNTの2つの明確に異なる形態からなる。約75%の大部分の生成物は捩れたCNTであり、約20%の少数の生成物は直線状CNTである。最後に、
図21の中間および右の最下行のパネル#Mでは、貴金属、イリジウムを、アノードとして(Monelカソードと共に)、低い0.08A/cm
2電流密度で使用する。アノードから放出された遷移金属は、その安定な酸化物上層の形成中、カソードで還元される遷移金属イオンに寄与することができ、CNT用の核化点として働くことができる。このことは、イリジウムの高い安定性に起因して、ここでは言うことはできない。代わりに単一の高濃度遷移金属として、0.81重量%のCrが、電解質添加剤として作製される。生成物は、示される中で最も細い(<50nm直径)、高度に純粋な(97%)CNTであり、アスペクト比>1,000に関して50~100μmの長さであり、80%のクーロン効率で形成される。
【0268】
[00208] いくつかのCNM生成物のSEM、特に電解#H、#B、および#Cは、CNTに取着された「バッド」のように見えるノジュールの証拠を示す。このナノバッド同素体は、電解#Hにおいて最も一貫しており、
図22ではTEMおよびHAADFによってさらに探索される。
図22の最上行に見られるように、ナノバッドは一般に、CNTの縦軸から離れて延びる球対称を有し、この構造で拡がっていないが、ナノバッドは蔓上で成長するブドウの房と同等であるように見える。ナノバッドは一般に、低レベルの遷移金属核化金属を含有し、例えば0.3%のFeが明らかであり、構造の残りは一般に、時々金属コアを含むこともある純粋な炭素である。2行目の左側に見られるように、CNT壁は、行の右側に見られるように、規則的な0.33~0.34グラフェン壁間分離を示し続け、隣接CNTの接合は、融合されたまたは全く異なるグラフェン構造を有し得る。同様に、
図17の3行目に見られるように、CNT上の隣接するナノバッドは、接合するように曲がる、および共有される、または4行目に見られるように代わりに明確に異なる(絡み合った、融合されていない)構造であるように見える、グラフェン壁を有することができる。
【0269】
[00209] 実施例8
ナノカーボン同素体の巨視的アセンブリを持つCNM生成物を作製するための電解操作パラメータ
【0270】
[00210] 個々のCNTを合成することに加え、この実施例8は、CNTの有用な巨視的アセンブリを発生させる一連の電解を提供する。ナノ濾過用の稠密充填CNTへの関心が高まっており、人工ニューラルネットとしての伝導性ワイヤのそれらの高い密度にも起因して、関心が高まっている。本開示の実施形態により作製された巨視的アセンブリを、表6および
図23ではナノスポンジ、稠密充填並列CNT、およびナノウェブCNTと呼ぶ。
【0271】
【0272】
[00212]
図23は、本明細書ではナノ濾過を含む様々な用途に順応するマクロアセンブリとも呼ばれる、様々な充填済み巨視的構造に配置構成されたカーボンナノチューブからなるCNM生成物のSEM画像を示す。洗浄された生成物を、表6に記述される電解に続けてカソードから収集する。パネルの左から右に向けて、生成物を、倍率を増大させてSEMにより分析する。特定された同素体構成成分は、ナノスポンジ、稠密充填の直線状CNT、およびナノウェブCNTを含む。パネルの左から右に向けて、生成物は、倍率を増大させてSEMにより分析される。パネル内のスケールバー(左から開始する)は、パネルNに関して:500、40、および20、および8μm;パネルPに関して:400、10、および5μm;パネルdに関して:300、40、および5μm;パネルQに関して:500μm 40、20、および8μmである。
【0273】
[00213] ナノスポンジ同素体を、ニクロムCがカソードおよびアノードの両方として働きかつ0.81%のNi粉末が770℃ Li
2CO
3電解質に添加されかつ初期電流が上向きに上昇し(0.008、0.016、0.033、および0.067A/cm
2でそれぞれ5分)、次いで4時間の0.2A/cm
2の電流密度である電解#Nにより形成し、97%純度のナノスポンジを99%のクーロン効率で発生させた。既に記述したように、長い稠密充填並列カーボンナノチューブは、電解#Fで、0.1重量%のFe
2O
3をLi
2CO
3電解質、Muntz黄銅カソード、およびInconel 718アノード、および2層のInconel 600スクリーンに、0.15A/cm
2で添加して、生成した。電解#Fで生成された並列アセンブリとは対照的に、ナノウェブは適切に、電解#Pおよび#Qから織り交ぜられたカーボンナノチューブについて記述し、これは表6の下の行および
図23に提示される。ナノウェブアセンブリへの2つの異なる経路をまとめる。第1は、0.1%Fe
2O
3添加剤、Muntz黄銅カソード、およびInconel 718アノードであって3層のInconel 600スクリーンを備えたものを0.08A/cm
2で使用し、純度97%のナノウェブを79%のクーロン効率で発生させる。第2の経路は、約0.81重量%のNi粉末添加剤、Monelカソード、およびニクロムCアノードを、0.28A/cm
2で使用して、純度92%のナノウェブを93%のクーロン効率で発生させる。
【0274】
[00214] 稠密充填された直線状CNTは、50nm~1μmに及ぶCNT間間隔を画定し、さらにCNTは高度に配列され、互いに-実質的に平行であるとも称することができ、珍しいナノ濾過の機会を、このサイズのドメインにおよび3D形態から1Dを濾過する機会の、両方を提供する。ナノスポンジは、このアライメントフィーチャを持たず、
図23からは、ナノスポンジが、約100~約500nmのサイズのナノ濾過細孔を画定し、一方、ナノウェブ同素体は、約200nm~約1μmの孔径でナノ濾過を提供することがわかる。
【0275】
[00215] 実施例9
実施例5~8のCNM生成物のRaman分光法およびXRD特徴付け
【0276】
[00216]
図24は、表7に記述される様々な系統的に変動する電気化学的条件で、770℃ Li
2CO
3中CO
2の電解分離によって合成された様々な標識CNTアセンブリからなるCNM生成物のRaman分光法分析を示す。
【0277】
【0278】
[00218]
図25は、表7に記述された様々な系統的に変動する電気化学的条件で、770℃ Li
2CO
3中、CO
2の電解分離によって合成された、様々な標識CNTアセンブリからなるCNM生成物のXRD分析を示す。
【0279】
[00219]
図24は、770℃ Li
2CO
3中、CO
2電解からのCNTアセンブリ生成物に対するCNT電解条件の変動の、Ramanスペクトル効果を提示する。Ramanスペクトルは、無秩序誘発モード(Dバンド)および高周波数E
2G一次モード(Gバンド)にそれぞれ該当する2つの鋭いピーク、約1350および約1580cm
-1と、追加のピーク、2Dバンドを2700cm
-1で示す。スペクトル中、黒鉛フィンガープリントは、1880~2300cm
-1にあり、sp混成C-C結合の種々の集団振動に関係する。
【0280】
[00220] Ramanスペクトルの解釈は、様々な炭素同素体の潜在的な適用例に対する洞察を提供する。
図24から、DバンドとGバンドとの間の強度比(I
D/I
G)が計算され、または観察されたI
G周波数のシフトは、欠陥の相対数を評価するのに有用なパラメータであり、黒鉛化度を表7に提示する。特に、
図23に示されるナノスポンジ、ナノウェブ、および稠密充填された直線状CNTアセンブリの場合、そのナノウェブCNTアセンブリは、表7でI
D/I
G=0.36である低い無秩序度を示し、稠密充填CNTアセンブリは、I
D/I
G=0.49の中間の無秩序度を示し、ナノスポンジは、I
D/I
G=0.62で最も高い無秩序度を示し、このときI
G周波数のシフトと伴うことに留意されたい。
【0281】
[00221] ID/IG比が増大するアセンブリでは:
CNTナノウェブ<稠密充填CNT<CNTナノスポンジ
である。
【0282】
[00222] Li2CO3電解質に添加される酸化鉄の増大する濃度は、黒鉛構造内の増大する無秩序度に相関することが、既に実証されてきた。これらの欠陥レベルはそれぞれ、文献がID/IG>1でその他の合成プロセスにより作製された多層カーボンナノチューブの報告に満ちているように、比較的低いままであることに留意すべきである。より低い欠陥は、高い電気および強度を必要とする適用例に関連付けられ、一方、高い欠陥は、Liイオンバッテリおよびより高い電荷のスーパーキャパシタにおける増大したインターカレーションおよびより高いアノード容量に関連したものなどの構造を通して、高拡散率を可能にする適用例に関連付けられる。
【0283】
[00223] 関連ある化合物スペクトルのXRDライブラリと共に、XRDは、
図23および表6に示されるように調製されたCNTアセンブリ生成物が、
図25に提示される。スペクトルのそれぞれは、黒鉛構造に特徴的な、強力な回折ピークを2θ=27°で示す。ナノスポンジXRDスペクトルは、2θ=43°に主ピークを有するその他とは明確に異なり、XRDスペクトルの一致により、Li
2Ni
8O
10としてのニッケルおよびLiCrO
2としてのクロムの存在を示している。このナノスポンジノXRDは、炭化鉄をほとんどまたは全く示さない。一方、ナノウェブおよび稠密充填された直線状CNTは共に、追加の有意なピークを2θ=42および44°で示し、これらは炭化鉄、Fe
3Cの存在を示すものである。Li
2Ni
8O
10、LiCrO
2、およびFe
3CのXRDの存在と共に、その他の稠密充填CNTに関するRamanスペクトルによって既に述べられた欠陥の低減した存在は、核化剤としてのNi、Cr、およびFeの同時存在が、NiおよびCr単独と比較して、CNT構造内の欠陥を低減できるという証拠を提供する。
【0284】
[00224] 実施例10
高純度の所望のナノカーボン同素体でCNM生成物を作製するためのスケールアップ電解操作パラメータ
【0285】
[00225] この実施例は、様々なナノカーボン同素体を、より大きい電極およびより単純な修正された条件を使用して、高純度で、高収率で電気合成できることを実証する。この実施例10で使用される3つのケースのそれぞれは、3種の異なるおよび高純度の同素体生成物:(i)CNT;(ii)カーボンナノオニオン;または(iii)カーボンナノパールを、類似の電解操作パラメータを使用して、しかし異なるアノード形状ならびに異なる電解電流密度を使用して発生させ、そのそれぞれはどの金属が電解質に進入するかに影響を及ぼす可能性があるものである。3つの電気合成のそれぞれは、面当たり約39cmの高さ×34.5cmの幅(約1,345.5cm
2の表面積を持つ)の両面活性表面積を有するMuntz黄銅カソードを含む750℃の溶融Li
2CO
3電解質中で実行した。カソードを、ステンレス鋼304アノードの間に挟んだ。最初の2つのケース(i)および(ii)では、電解は、1.9L/分で98%CO
2の入口で、約0.2A/cm
2の一定の電流密度で実行し、第3の(iii)のケースは、0.8L/分で、CO
2入口で、約0.07A/cm
2のより低い一定の電流密度で実行した。電流密度に加え、3つのケースのさらなる相違は、カソードの両面を挟むステンレス鋼アノードの形状であった。第1のケース(i)では、アノードは、固体鋼プレートであり、高純度のCNT同素体を持つ生成物を発生させた。過剰な電解質を除去するよう洗浄した後、生成物のTGAおよびTGAの微分を
図26に示し、一方、倍率を増大させたSEM画像は、
図27の下パネルに見られる。TGAに見られるように、生成物は、6.7%の低い残留率および高いT
inflection=596.9℃であって高度に黒鉛状(酸化に対して耐性)の構造を示すものを有し、一方、SEM画像は、生成物の高純度カーボンナノチューブ形態を明らかにする。実際の試料純度はTGA残留率6.7%よりも低い。6.7%は、(金属)残留物の酸化された(消費された)質量である。カーボンナノチューブに関してさらに高いカーボンナノチューブTGA純度が得られ、約2.5cm(1”)~約10cm(4”)までアノードからカソードへの間隔(即ち、電極間空間)も増大させることによって、約0.2A/cm
2の一定の電流密度で、91.14cm(36”)の幅のさらに大きい電極を使用したときに約4%の残留率を実現する。0.2A/cm
2の電流密度で、電極に印加された電流は、数千アンペアである。結果は、空気から直接捕捉されたCO
2で、および天然ガス発電所の排気ガスからのCO
2で、再現可能である。より大きい間隔は、16時間のより長い堆積時間に順応し、挟まれたカソードの各面から約3.5”のより厚い堆積をもたらした。いかなる理論にも拘泥するものではないが、本発明者らは、より大きく順応するCNT成長は、より少ない追加の核化金属を必要とし、これは観察されたTGA純度の増大(観察されたTGA残留相対質量の低下)をもたらすものであると仮定した。
【0286】
[00226] 第2の場合(ii)では、アノードは、新たな鋼(畳織り)スクリーンであり、
図28に見られるように、高純度のカーボンナノオニオン生成物を発生させた。さらに新たな(新しい)ステンレス鋼304電解ケースを利用した。新たな電解ケースは、最初の電解操作に続いて高純度カーボンナノチューブを生成するように活性化される傾向にある。過剰な電解質を除去するよう洗浄した後、生成物のTGAおよびTGAの微分が
図28に示され、一方、倍率が増大したSEM画像は、
図29に示される。
図28に見られるように、生成物は、約4.01%の低い残留率および高いT
inflection=542.8℃を有する。これらの結果は、黒鉛状(酸化に耐性がある)構造を示し、一方、SEM画像は、生成物の鋼純度カーボンナノオニオン同素体を明らかにする。この場合、反復される後続の電解は、このアノードが高純度カーボンナノチューブ生成物を発生させる。この後続のカーボンナノチューブ形成は、新たな電解ケースおよびアノード構成と比較して、カーボンナノチューブ形成を核化するために、遷移金属の改善されたアノード放出に従う。いかなる理論にも拘泥するものではないが、このカーボンナノオニオン形成は、新たな電解ケースおよび所望のアノード構成の使用と比較して、カーボンナノチューブ形成を核化するため、メッシュ電極からのおよび新たな鋼ケースからの遷移金属の抑制された放出に従う。
【0287】
[00227] Li2CO3の融点は723℃である。カーボンナノオニオンを発生させることが観察された別の手段は-スクリーンを使用する代わりに、より簡単な平板ステンレス鋼アノードが使用され、第1のおよび後続の電解の両方でさらに有効であることが見出され、電解質が部分的にのみ融解するさらに低い温度で電解を開始している。これは高度に純粋なカーボンナノオニオン生成物も形成する。例えば、電解反応の繰り返される実験操作において、カーボンナノオニオンを持つCNM生成物は、TGA残留率が5.3%および7.4%であることを実証した。いかなる理論にも拘泥するものではないが、このカーボンナノオニオン形成は、カソード上での核化部位の抑制された形成の、別の例に従い、これはカーボンナノチューブ形成を阻止しかつ高度に純粋なカーボンナノオニオン形成を好む。
【0288】
[00228] 第3のケース(iii)では、アノードは、穿孔された鋼のシートであった。過剰な電解質を除去するように洗浄した後、生成物のTGAおよびTGAの微分を
図30に示し、一方、倍率が増大したSEM画像は
図31に示す。
図30に見られるように、生成物は、生成物中のより高い金属含量を示す15.1%の、中程度の残留率を有し、高いT
inflection=597.7°は黒鉛(酸化に対して耐性がある)構造を示し、一方、SEMは、生成物の高純度カーボンナノオニオン形態を明らかにする。いかなる理論にも拘泥するものではないが、このカーボンナノパール生成物形成は、生成物中のより高い金属含量によって誘発される可能性があり、これは穿孔シートアノード構成からの、増大した金属放出に関連する可能性がある。
【国際調査報告】