(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】空気清浄機
(51)【国際特許分類】
F24F 7/007 20060101AFI20241108BHJP
G10L 17/26 20130101ALI20241108BHJP
F24F 11/72 20180101ALI20241108BHJP
A61L 9/00 20060101ALI20241108BHJP
F24F 120/00 20180101ALN20241108BHJP
F24F 110/20 20180101ALN20241108BHJP
F24F 110/70 20180101ALN20241108BHJP
F24F 110/66 20180101ALN20241108BHJP
F24F 110/64 20180101ALN20241108BHJP
【FI】
F24F7/007 B
G10L17/26
F24F11/72
A61L9/00 Z
F24F120:00
F24F110:20
F24F110:70
F24F110:66
F24F110:64
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529610
(86)(22)【出願日】2022-11-14
(85)【翻訳文提出日】2024-05-16
(86)【国際出願番号】 EP2022081857
(87)【国際公開番号】W WO2023088852
(87)【国際公開日】2023-05-25
(32)【優先日】2021-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524186213
【氏名又は名称】ブルーエア・アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ラーシュ・ヘンリク・ドゥンベリエル
(72)【発明者】
【氏名】アラギリサミ・ネタジ
【テーマコード(参考)】
3L056
3L260
4C180
【Fターム(参考)】
3L056BD01
3L056BD03
3L056BE01
3L260AB18
3L260BA09
3L260CA06
3L260FC23
4C180AA07
4C180AA16
4C180CA10
4C180DD11
4C180HH02
4C180HH05
4C180KK03
4C180KK04
4C180LL11
(57)【要約】
ファンと、モータと、吸気口および空気吹出し口と、取外し可能な粒子フィルタまたはガスフィルタと、音響センサと、さらなるセンサと、音響センサおよびさらなるセンサからの情報を、音響センサおよびさらなるセンサからの入力を処理するためのプロセッサへ送信するための手段と、プロセッサによる計算に基づいて、ファンを制御するための手段と、を含む空気清浄機であって、さらなるセンサは、二酸化炭素センサ、微粒子センサ、湿度センサ、および揮発性有機炭素センサから選択される、空気清浄機。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサと、ファンと、モータと、吸気口および空気吹出し口と、取外し可能な粒子フィルタまたはガスフィルタと、音響センサと、さらなるセンサと、前記音響センサおよび前記さらなるセンサからの情報を、前記音響センサおよび前記さらなるセンサからの入力を処理するための前記プロセッサへ送信するための手段と、前記プロセッサによる計算に基づいて、前記ファンを制御するための手段と、を含む空気清浄機であって、前記さらなるセンサは、二酸化炭素センサ、微粒子センサ、湿度センサ、および揮発性有機炭素センサから選択される、空気清浄機。
【請求項2】
前記プロセッサは、検出可能な環境内で所定の音響の発生を確認するために、前記音響センサからの入力をデータベース内の音響と比較する、請求項1に記載の空気清浄機。
【請求項3】
前記プロセッサは前記空気清浄機から離れたデバイス内にある、請求項1または2に記載の空気清浄機。
【請求項4】
前記ファンを制御することはファン速度を上げることを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の空気清浄機。
【請求項5】
2つのさらなるセンサを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の空気清浄機。
【請求項6】
3つのさらなるセンサを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の空気清浄機。
【請求項7】
空気清浄機を動作させる方法であって、音響を検出するステップと、前記音響をデータベース内の音響と比較するステップと、判定された音響タイプが検出されたかどうかを判定するステップと、さらなるセンサからのデータを処理するステップと、前記空気清浄機を動作させるステップと、によって、前記空気清浄機を動作させ、前記さらなるセンサは、二酸化炭素センサ、微粒子センサ、湿度センサ、および揮発性有機炭素センサから選択される、方法。
【請求項8】
前記音響は、前記空気清浄機から離れている音響検出器によって検出される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
空気清浄機とプロセッサとの組合せであって、前記空気清浄機は請求項1から6のいずれか一項に記載されており、前記プロセッサはモバイル電子デバイスの一部である、空気清浄機とプロセッサとの組合せ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、状況認識に基づく自動機能を備えた改良型空気清浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(パナソニック株式会社)が、咳およびくしゃみの発生、ならびにその位置を二次元で確認することによって、ウィルス等が拡散するのを効果的に防ぎ、最も汚染された位置で空気の集中的な清浄化を実施する、空気清浄機を開示している。空気清浄機は、少なくとも3つのマイクロホンを設けられている本体を含み、マイクロホンによって集められた音響の中で咳またはくしゃみの音響を検出するように構成されており、音響情報に従って、送風ファン、長手方向用ルーバ、水平方向用ルーバ、およびイオン発生器を制御する。この構造により、空気清浄機が室内での咳およびくしゃみの発生、ならびにそれらの位置を二次元で確認し、最も汚染された位置で空気の集中的な清浄化を実施することが可能になり、したがってウィルス等の拡散の迅速な防止が達成される。
【0003】
特許文献2(コーニンクレッカ フィリップス)が、従来の(空気清浄機、加湿機、または除湿機などの)空気処理デバイスと、空気処理デバイスによって生み出された空気流を修正するための超音波デバイスと、を組み合わせた空気処理システムを開示している。これにより、ノイズおよび/または電力消費の低減が可能になり、所望の空気処理機能が達成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011/174624号公報
【特許文献2】欧州特許出願公開第3 578 886号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
先行技術にも関わらず、周囲環境に応答して自動的に動作することができる空気清浄機の必要が残っている。詳細には、例えば清浄機と同じ室内にいる誰かがくしゃみまたは咳をした場合の、周囲空気の水滴による汚染の急増に応答し得る空気清浄機が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、第1の態様において、ファンと、モータと、吸気口および空気吹出し口と、取外し可能な粒子フィルタまたはガスフィルタと、音響センサと、さらなるセンサと、音響センサおよびさらなるセンサからの情報を、音響センサおよびさらなるセンサからの入力を処理するためのプロセッサへ送信するための手段と、プロセッサによる計算に基づいてファンを制御するための手段と、を含む、空気清浄機であって、さらなるセンサは、二酸化炭素センサ、微粒子センサ、湿度センサ、および揮発性有機炭素センサから選択される、空気清浄機が提供されている。
【0007】
驚いたことに、近傍にある空気清浄機が、咳またはくしゃみの後、可能な限りすぐに始動された場合、家庭環境内で生成された飛沫が効率的に除去され得ることが分かった。
【0008】
人が咳またはくしゃみをした場合、多種多様な飛沫サイズが噴出される。一般に、3つの液滴直径カテゴリが存在する。大きい液滴(>20ミクロン)は直ぐに床に落ち、咳またはくしゃみをしている人から遠くに移動しない。中サイズの液滴(3~20ミクロン)は、短時間の間、空中に維持され、より小さい液滴(0.6ミクロンから3ミクロンまで)は、一般に、無限に空中に維持される。
【0009】
小サイズの液滴が、任意の空気清浄プロセスによって定期的に除去されるが、中サイズの液滴は、空気が十分に攪拌され、液滴の噴出の2分以内に空気清浄機を通過する場合にのみ除去される。
【0010】
検出の精度は、音響センサに加えてさらなるセンサの使用により、劇的に改善される。詳細には、ノイズインシデントを通じて生み出された音響の評価が、くしゃみであったか否かに関して不明確であるような場合、さらなるセンサからのデータの処理は、くしゃみが正確に検出される可能性を高める。正確さによって、くしゃみでないノイズインシデントの正しい確認も正確に評価されるということである。任意のノイズをくしゃみと確認し、相応に自体を始動させる清浄機は、恐らく止められるであろう。
【0011】
空気清浄機は湿度センサを含むことが好ましい。湿度センサは空気清浄機の一部であるか、または別個の電子デバイスの一部である可能性がある。
【0012】
空気清浄機は微粒子センサを含むことが好ましい。微粒子センサは空気清浄機の一部であるか、または別個の電子デバイスの一部である可能性がある。
【0013】
空気清浄機は二酸化炭素センサを含むことが好ましい。二酸化炭素センサは空気清浄機の一部であるか、または別個の電子デバイスの一部である可能性がある。
【0014】
空気清浄機は揮発性有機炭素センサを含むことが好ましい。揮発性有機炭素センサは空気清浄機の一部であるか、または別個の電子デバイスの一部である可能性がある。
【0015】
空気清浄機が、くしゃみまたは咳の場合にそのパフォーマンスを修正するために、空気清浄機は周囲の環境内の音響を検出しなければならない。そのような音響センサはマイクロホンまたは類似のデバイスであることが好ましく、周辺の環境内の、例えば同室内の、音響を検出するように較正されることが好ましい。センサは、別個のモバイルデバイスの一部でありかつしたがってプロセッサへ情報を送信する可能性も考えられる。
【0016】
清浄機は、音響センサからの情報をプロセッサへ送信するための手段も含むであろう。これは、プロセッサの位置に応じて、有線または無線である可能性がある。一実施形態では、プロセッサは空気清浄機と共に配置され、かつ音響センサに配線される可能性がある。しかし、プロセッサが遠く離れていること、例えば電話機もしくはタブレットなどのモバイル電子デバイスの一部であること、またはさらには完全に別の場所にあり無線接続されていることも可能である。空気清浄機に対する唯一の修正が、例えばモバイルデバイス内で、別個に行われた計算および判定の結果として動作させられる能力であるように、センサとプロセッサとは別個のモバイルデバイスの一部であり得ると考えられる。
【0017】
プロセッサは音響センサからの情報を処理し、空気清浄速度の上昇が必要かどうかを判定する。プロセッサは、音響が周囲環境または清浄機内で発生したか、かつそれが咳またはくしゃみと相関するかどうかを判定するために、音響のデータベースにアクセスする。プロセッサが、そのような事象が発生したと判定した場合、プロセッサは、ファンを加速させることによって、空気清浄速度を加速させる。
【0018】
これがファンを加速させることによって起こり、例えばファン速度が、設定時間帯内で室内の空気を清浄化するのに見合う所定の速度まで上げられ得ることが好ましい。そのような方法で、中サイズの飛沫は短時間で周囲空気から除去され、別の人に感染させる可能性は低減される。
【0019】
清浄機が動作する速度は、清浄機パフォーマンス性能に基づいて中サイズの液滴の部屋を清浄化するために必要とされる清浄空気供給率(CADR: Clean Air Delivery Rate)によって判定される。例えば、700m3/hのCADRの清浄機は、15分未満のうちに30m3の部屋から浮遊微生物の>99%を除去し得る。
【0020】
清浄機が、空気が再び清浄であると判定した場合、空気清浄機は、くしゃみまたは咳事象の前の、動作中のパフォーマンスパラメータに戻る。あるいは、清浄機は、環境および消費者によるプログラミングに応じて、適切なパフォーマンス設定を保つ。例えば、消費者がアレルギーまたはインフルエンザについて懸念している場合、清浄機は、ベースライン効果の向上を実現するために、高められたCADRで実行するようにプログラミングされ得る。
【0021】
また、プロセッサが、検出の正確さが達成されるように、咳またはくしゃみ事象と背景ノイズとを区別することができることが好ましい。また、プロセッサが、動作中の空気清浄機に起因する背景ノイズに基づいて、自体を較正することができることがより好ましい。どちらの場合にも、そのような情報はセンサによって受信されるであろうが、必要に応じて、追加情報、例えばファン速度または基本的な動作ノイズ、も他のセンサによって送信され得る。
【0022】
プロセッサがデバイスから遠く離れている場合、空気清浄機は、遠く離れたプロセッサから情報を受信し、それにより判定に基づいて動作する、例えばくしゃみが確認された場合にファン速度が上げられる、ための手段を含む。そのような例では、プロセッサは、くしゃみが発生したかどうかを判定し、ファンと電子通信して速度を上げる。
【0023】
プロセッサが空気清浄機の一部である場合、プロセッサはファンと電子通信する。
【0024】
好適な実施形態では、プロセッサが清浄機から遠く離れている場合の、前述されているようなプロセッサと空気清浄機との組合せが提供されている。例えば、プロセッサは、携帯電話機などのリモート電子デバイスの一部である。
【0025】
音響センサの例がソニー株式会社から市販されているC-800Gである。
【0026】
取外し可能な濾材が粒子フィルタまたはガスフィルタであり得ることが好ましいが、粒子フィルタとガスフィルタとが同時に採用されることも可能である。
【0027】
取外し可能なフィルタにおいて測定される空気流速度は、当該技術分野において、媒体速度として知られている。媒体速度とは、フィルタを通って空気が移動する速度である。媒体速度は、最大量の粒子が捕捉されることを確実にするために、完全に制御されなければならない。速過ぎると、汚染物質の多くが濾過されずに真っ直ぐに飛ぶ。遅過ぎると、清浄機は、効果的であるように十分に速くあなたの部屋の最も遠い角部に到達しない。
【0028】
空気清浄機はイオン化装置を含むことが好ましい。
【0029】
使用されるイオン化装置は、エミッタ電極と接地電極とを含む。エミッタ電極は、好ましくは-10kVから10kVまでの、より好ましくは-8kVから8kVまでの範囲辺りの適切な電圧の印加時に、エミッタとレシーバとの間にイオン雲を排出する。
【0030】
エミッタ電極は点、先端部、または複数の先端部もしくは複数の点、例えばブラシ、であり、電源と電気通信していることが好ましい。エミッタ電極は、最も近い濾材から20cm、より好ましくは15cm、特に好ましくは10cm、最も好ましくは最大5cm以内であり、必要に応じて、イオン化装置の始動中にそれをイオン雲の中に入れることによって殺菌されることが好ましい。この距離は、エミッタ電極の先端部から最も近い濾材の最も近い部分、より具体的には例えば構造フレームではなく、濾過する濾材の部分までの距離である。
【0031】
イオンはエミッタから離れて費やされ、次いでレシーバに向かって引き寄せられるので、結果として得られるイオン雲が3次元状態であるように、受信用電極はリングの形状の金属部品であることが好ましい。受信用電極は、空気流方向にエミッタ電極から離れて延在する籠の形であることが好ましい。受信用電極は、フィルタに向かって延在する網状装置の形であることがより好ましい。そのような延在は、受信用電極がエミッタ電極から空気流方向に下流に存在するように、半球形状または部分円筒形状を示す可能性がある。
【0032】
エミッタは、リング状のレシーバの間に中心に配設されていることが好ましい。エミッタは、使用中、空気流の方へまたはそれから離して配設され得るが、エミッタが殺菌される表面、例えば内壁もしくは濾材、の方へ向けられていることが好適である。
【0033】
好適な実施形態では、さらなるセンサは微粒子センサである。
【0034】
空気清浄機は2つのさらなるセンサ、例えば微粒子センサおよび湿度センサ、を含むことが好ましい。
【0035】
空気清浄機は3つのさらなるセンサ、例えば微粒子センサ、湿度センサ、および二酸化炭素センサ、を含むことが好ましい。
【0036】
第2の態様において、音響を検出するステップと、前記音響をデータベース内の音響と比較するステップと、判定された音響タイプが検出されたかどうかを判定するステップと、さらなるセンサからのデータを処理するステップと、前記空気清浄機を動作させるステップと、によって、空気清浄機を動作させる方法が提供されており、前記さらなるセンサは、二酸化炭素センサ、微粒子センサ、湿度センサ、および揮発性有機炭素センサから選択される。
【0037】
プロセッサは、最初に、音響センサからの情報を処理して、くしゃみインシデントの可能性を判定する。プロセッサは、次いで、さらなるセンサからの情報を処理して、くしゃみインシデントが発生したかどうかをより正確に判定する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】センサによる咳/くしゃみ検出の過程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
実施例
空気清浄機のくしゃみ/咳検出システム(SCDS: Sneeze/Cough Detection System)
くしゃみおよび咳用のセンサの考案に含まれる課題は多面的である。a) センサは、発話およびより重要なことには日常のノイズと対照して、くしゃみ/咳の特徴的な音波パターンを正確に区別する必要がある。b) 世界中の様々な民族の声の特性は、異なる族の声帯生理機能の差異によって異なる可能性があると考えられる。したがって、咳/くしゃみの特徴は族間で異なる可能性があると考えられる。c) センサの感度は、赤ちゃんから高齢者までの全年齢層に亘るくしゃみ/咳の音響強度を正確に検出する必要がある。d) センサは、上記に定義されている咳/くしゃみの特徴のそのような大きい多様なリポジトリと対照して、検出された声信号を比較する必要があると考えられ、これは、くしゃみまたは咳事象に対するセンサの応答時間を減速させる可能性があると考えられる。
【0040】
上記課題を克服するための手技の1つが次の通りである。3つのセンサ、すなわち音響センサ、微粒子センサ、および湿度センサからの信号は、くしゃみ/咳検出システム(SCDS)によって使用されて、高度の検出精度を達成すると考えられる。SCDSは、これらの3つのセンサからの信号に基づいて、音響センサからの入力音響信号(IAS: incoming audio signal)が実際にくしゃみまたは咳事象であることを判断すると考えられる。多様な発話および環境ノイズと対照する区別の課題を克服するために、SCDSはIASを3段階で分析する。
1) 第1の段階では、音響信号周波数は、局所メモリに事前に格納されている小データベースを使用して、空気清浄機または別個の電子デバイス内に配置されている局所プロセッサによって分析される。データベースは、咳/くしゃみに特有である周波数範囲に基づいて、表面的な検証を実施する。
2) この分析の結果が、音響が咳またはくしゃみであることを信じるのに十分な理由を示すと、第2の段階として、音響パターンはクラウドへ送信され、そこで、サーバが、格納された音響およびノイズの大データベースと対照して信号を比較する。
3) サーバが、信号が咳/くしゃみである可能性を確認すると、第3の段階において、SCDSは、周囲環境内のエーロゾル粒子数、CO2レベル、および相対湿度の変化の形で、くしゃみ/咳事象中にエーロゾル濃度の急変が発生したかどうかについて、微粒子センサおよび湿度センサからの信号も検証する。
【0041】
その後、具体的な判断アルゴリズムに基づいて、SCDSはくしゃみ/咳事象を確認すると考えられ、空気清浄機にその最大パフォーマンスモードに変わるように指示して、エーロゾルおよびその現在の細菌を除去すると考えられる。
【0042】
第2の段階に必要な多様なくしゃみ/咳特徴パターンは、オンラインで利用可能な音響セットおよび商業資源から調達され得る。これらの音響パターンはサーバ経由でクラウド内に格納され得ると考えられる。例えば、Googleが632音響事象クラスのオントロジーおよび2,084,320の音声ファイルを構築しており、フリーウェアで利用可能である(http://research.google.com/audioset/)。このデータベースは、人、動物、楽器からの音響、および環境からの日々の音響を含む。類似のデータセットが、音声認識および音響認識を専門とする機関および学会から利用可能である。
【0043】
また、微粒子センサおよび湿度センサからの信号の形の、追加センサのチェックが採用されて、くしゃみ/咳の検出におけるより高い精度を構築する。1) あらゆる咳/くしゃみ事象に、周囲環境内のエーロゾル濃度の上昇が付随して起こると考えられる。空気清浄機内に配置されている微粒子センサによる、粒子/エーロゾルの突然の検出は、咳/くしゃみの追加確認としての役割を果たすと考えられる。2) 咳/くしゃみ事象によるエーロゾル放出中の湿度の上昇は、湿度センサによって検出されると考えられる。この信号は第2の確認としての役割を果たすと考えられる。3) 室内のCO2レベルは室内の人の存在を肯定すると考えられる。この肯定的承認は、IASがノイズまたは真の咳/くしゃみ事象であるかどうかを区別するのを助けることができる。
【0044】
判断フローチャート
図のフローチャートは、センサによる咳/くしゃみ検出の過程を示す。空気清浄機内の5つのセンサ、すなわち音響センサ、微粒子センサ、CO2センサ、光センサ、および湿度センサは部屋を継続的に監視する。音響センサによってIASが受信された場合、第1の段階として、信号は、最初に、空気清浄機内のマイクロコントローラによって分析される。マイクロコントローラは、その広範な特徴パターンについて信号を分析し、また、それを、そのROMに局所的に格納されている音響データと比較する。この分析は、IASが咳/くしゃみの音響パターンの範囲内に入るかどうかを広く評価することである。これは、咳/くしゃみに特有の波周波数および特定の音調点を検証することによって行われ得ると考えられる。しかし、多くの環境ノイズも類似した音響特性を有する可能性があると考えられるので、これは、IASが咳/くしゃみのものであるかどうかを断定するのに十分でない可能性がある。したがって、評価の第2の段階では、IASは、空気清浄機内のワイファイモジュールによってクラウドサーバへさらに送信されると考えられる。サーバは、次いで、信号を分析し、それを、Google Audiosetのもののような大規模音響データベースの一部である音響特徴と比較すると考えられる。サーバは、その後、入力音響とクラウドデータベースからのくしゃみ/咳特徴との間の%マッチを計算する。%マッチが65%超である場合、サーバは、次いで、%マッチ値を空気清浄機のワイファイモジュールへ送信し戻すと考えられる。値が65%未満である場合、サーバはIASを否定的くしゃみ/咳事象として無視すると考えられる。
【0045】
最終判断用アルゴリズム
空気清浄機(マイクロコントローラ)のエレクトロニクスが%マッチ値を受信すると、エレクトロニクスは「判断アルゴリズム」を使用して、音響信号がくしゃみ/咳事象であるかどうかを最終的に断定すると考えられる。マイクロコントローラは、微粒子センサ、湿度センサ、CO2センサ、および光センサを含む多種多様な周辺センサからの信号も得ようとすると考えられる。%マッチの厳密値、ならびに微粒子センサおよび湿度センサがそれぞれの入力信号における急変を報告したかどうか、ならびにCO2レベルが人の存在を肯定したかどうかに応じて、マイクロコントローラは、IASがくしゃみ/咳事象であるかどうかを判断すると考えられる。また、光センサはセンサからの入力の正確さの総合的な評価を行うのを助けて、被収容者が眠っているかどうかおよびCO2レベルがそれに見合っているかどうかを評価すると考えられる。
【0046】
【0047】
SCDSが展開し得ると考えられる1つの可能性の高いアルゴリズム決定ツリーが、前段の表に示されている通りである。判断を支援する様々な周辺センサの中で、微粒子センサの入力における急変は、CO2センサおよび湿度センサがこの順で後に続くと、最も高いレベルの確実性で考えられる。65%から75%までである非常に低い%マッチでは、アルゴリズムは、IASが実際に咳/くしゃみ事象であるか否かについてのその断定のために、微粒子センサ、CO2センサ、および湿度センサからの肯定的信号を得ようとする。それに対して、%マッチが95%から100%までである場合、高信頼度数値は咳/くしゃみ事象に関連しており、したがって、微粒子/CO2/湿度センサの出力が肯定的であるか否かに関係なく、それは咳/くしゃみ事象と断定される。75%~85%の低レベルから中レベルまでの信頼度の%マッチでは、微粒子センサとCO2センサの両方からの肯定的信号が、湿度値の急変よりも、咳/くしゃみ事象のより高い肯定源と考えられる。%マッチが85%から95%までである場合、まさに微粒子センサからの肯定的入力が咳/くしゃみ事象の十分な肯定と考えられる。
【0048】
上記は、判断を下すためのほんの1つのそのようなアルゴリズムであり、厳密な%マッチ値、ならびに湿度センサ、CO2センサ、および微粒子センサからの肯定的入力に関連する値が変化する可能性があると考えられ、したがって、全く異なるアルゴリズムをもたらし得ると考えられる。
【国際調査報告】