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特表2024-542480フロートユニット供給用の3つの対流を有するハイブリッドガラス製造炉
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】フロートユニット供給用の3つの対流を有するハイブリッドガラス製造炉
(51)【国際特許分類】
   C03B 18/18 20060101AFI20241108BHJP
   F27B 3/04 20060101ALI20241108BHJP
   F27B 3/10 20060101ALI20241108BHJP
   F27B 3/20 20060101ALI20241108BHJP
   F27B 3/28 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
C03B18/18
F27B3/04
F27B3/10
F27B3/20
F27B3/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529625
(86)(22)【出願日】2022-11-18
(85)【翻訳文提出日】2024-07-11
(86)【国際出願番号】 EP2022082517
(87)【国際公開番号】W WO2023099245
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】21306665.7
(32)【優先日】2021-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】22305860.3
(32)【優先日】2022-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500374146
【氏名又は名称】サン-ゴバン グラス フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】オーレリアン サジェ
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ ドゥ ディアヌ
(72)【発明者】
【氏名】アルノー ル ベルジュ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-マリー コンベ
【テーマコード(参考)】
4K045
【Fターム(参考)】
4K045AA06
4K045AA07
4K045BA08
4K045DA06
4K045GA02
4K045GB04
4K045GB08
(57)【要約】
本発明は、溶融金属の浴上にガラスをフロートさせるためのフロートユニットに供給するための、ハイブリッドガラス製造炉(10)に関し、上記ハイブリッド炉(10)は、上流から下流に向かって:
- ホットクラウン溶融ゾーン(100)であって、ガラスバッチ(104)を溶融してガラス浴(106)を得ることができる、少なくともいくつかのバーナー(105)を有し、上記溶融ゾーン(100)が、第一の対流(C1)を有し、溶融ガラスが上記溶融ゾーン(100)内に戻るのを防止するように構成される、「非戻り」分離装置(170)によって区画されている、ホットクラウン溶融ゾーン(100);
- ガラス精製ゾーン(200)であって、少なくとも1つのバーナー(205)及び電極(230)を有する第一の精製ゾーン(210)、及び第二の精製ゾーン(220)を有し、上記第一の精製ゾーン(210)が、溶融ゾーン(100)から上記分離装置(170)によって、かつ第二の精製ゾーン(220)から壁(240)によって、それぞれ分離され、ガラスが、第一の精製ゾーン(210)では第二の対流(C2)上で、第二の精製ゾーン(220)では第三の対流(C3)上で再循環される、ガラス精製ゾーン(200);並びに、
- ガラス冷却ゾーン(300)であって、上記第三の対流(C3)が流れる調整タンク(310)を有する、ガラス冷却ゾーン(300)、
を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融金属の浴上にガラスをフロートさせるためのフロートユニットに供給するための、ハイブリッドガラス製造炉(10)であって、前記ハイブリッド炉(10)は、上流から下流に向かって:
- ホットクラウン溶融ゾーン(100)であって、ガラスバッチ(104)を溶融してガラス浴(106)を得ることができる、少なくともいくつかのバーナー(105)を有し、前記溶融ゾーン(100)が、第一の対流(C1)を有し、溶融ガラスが前記溶融ゾーン(100)内に戻るのを防止するように構成される、「非戻り」分離装置(170)によって区画されている、ホットクラウン溶融ゾーン(100);
- ガラス精製ゾーン(200)であって、少なくとも1つのバーナー(205)及び電極(230)を有する第一の精製ゾーン(210)、及び第二の精製ゾーン(220)を有し、前記第一の精製ゾーン(210)が、前記溶融ゾーン(100)から前記分離装置(170)によって、かつ前記第二の精製ゾーン(220)から壁(240)によって、それぞれ分離され、前記ガラスが、前記第一の精製ゾーン(210)では第二の対流(C2)上で、前記第二の精製ゾーン(220)では第三の対流(C3)上で再循環される、ガラス精製ゾーン(200);並びに、
- ガラス冷却ゾーン(300)であって、前記第三の対流(C3)が流れる調整タンク(310)を有する、ガラス冷却ゾーン(300)、
を有する、炉。
【請求項2】
前記分離装置(170)が、前記ガラスが前記第一の精製ゾーン(210)から前記溶融ゾーン(100)に戻るのを防止することができ、その結果、前記溶融ゾーン(100)の前記第一の対流(C1)が、前記第一の精製ゾーン(210)の前記第二の対流(C2)から独立して制御されることができる、請求項1に記載の炉。
【請求項3】
前記分離装置(170)が、前記溶融ゾーン(100)から前記第一の精製ゾーン(210)へ通過するガラスの量を制限するように構成され、それによって、前記溶融ゾーン(100)における前記ガラスの滞留時間を増加させる、請求項1又は2に記載の炉。
【請求項4】
前記分離装置(170)が、第一の壁と称される、壁(120)であって、前記溶融ガラスが前記精製ゾーン(200)から前記溶融ゾーン(100)に戻るのを防止するように構成される、壁(120)を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の炉。
【請求項5】
前記ハイブリッド炉(10)が、第一のネックと称される、ネック(160)を有し、前記溶融ゾーン(100)を前記精製ゾーン(200)に接続する、請求項1~3のいずれか一項に記載の炉。
【請求項6】
前記ハイブリッド炉(10)が、前記第一のネック(160)内のガラスを冷却することができる、ガラス冷却手段(500)、特には少なくとも1つの空気循環冷却装置(510)を有する、請求項5に記載の炉。
【請求項7】
前記第一のネック(160)が、底部(165)を有し、前記分離装置(170)が、前記第一のネック(160)の前記底部(165)の少なくとも1つの隆起部(161)を有し、前記隆起部が、前記溶融ガラスが前記精製ゾーン(200)から前記溶融ゾーン(100)に戻るのを防止するように構成される、請求項5又は6に記載の炉。
【請求項8】
前記底部(165)の前記少なくとも1つの隆起部分(161)が、上流から下流に向かって、少なくとも1つの上りセグメント(164)、頂部セグメント(166)、及び下りセグメント(168)を有する、請求項7に記載の炉。
【請求項9】
前記底部(165)の前記少なくとも1つの隆起部(161)の、前記上りセグメント(164)及び前記下りセグメント(168)の少なくとも一方が、水平に対して傾斜しており、かつ/又は、平坦域を形成する頂部セグメント(166)を有する、請求項8に記載の炉。
【請求項10】
前記隆起部(161)が、前記第一のネック(160)内の前記溶融ガラスの通過部分(180)を全体的又は部分的に決定する、最大高さ(H’、H’’)を有する、請求項7~9のいずれか1項に記載の炉。
【請求項11】
前記分離装置(170)が、少なくとも1つのバリア(172)であって、垂直方向に延在し、前記溶融ゾーン(100)から前記ガラス精製ゾーン(200)へ、前記第一のネック(160)を通って流れる前記ガラス浴(106)中に部分的に浸漬される、少なくとも1つのバリア(172)を有し、前記バリア(172)が、前記溶融ガラスが前記精製ゾーン(200)から前記溶融ゾーン(100)へ戻るのを防止するように構成される、請求項5に記載の炉。
【請求項12】
前記バリア(172)が、前記第一のネック(160)の上流末端に配置される、請求項11に記載の炉。
【請求項13】
前記分離装置(170)が、前記バリア(172)、及び前記第一のネック(160)の前記底部(165)の前記少なくとも1つの隆起部(161)を有する、請求項7~10のいずれか一項と組み合わせた請求項11に記載の炉。
【請求項14】
前記バリア(172)が、前記第一のネック(160)の前記底部(165)の前記隆起部(161)の前記頂部セグメント(166)の上方に位置する、請求項8と組み合わせた請求項13に記載の炉。
【請求項15】
前記バリア(172)が、垂直方向に移動可能に取り付けられ、それによって、前記ガラス浴(106)中への浸漬深さの調節を可能にし、それによって、前記バリア(172)の深さの調節に基づいて前記溶融ガラスの前記通過部分(180)を変化させる、請求項11~14のいずれか一項に記載の炉。
【請求項16】
前記ハイブリッド炉(10)が、前記溶融ゾーン(100)の雰囲気を前記精製ゾーン(200)の雰囲気から分離するための、分離手段(174)、例えばカーテンなどを有する、請求項1~15のいずれか1項に記載の炉。
【請求項17】
前記ハイブリッド炉(10)が、前記溶融ゾーン(100)内の前記ガラス浴(106)の表面に存在するガラスバッチの層(104)を保持することができる、ブロッキング手段(176)を有し、前記ブロッキング手段(176)が、前記溶融ゾーン(100)の下流末端に配置される、請求項1~16のいずれか一項に記載の炉。
【請求項18】
前記ブロッキング手段(176)が、前記分離手段(174)によって形成され、その自由端部が、前記浴(106)の表面で延在するか、又は前記ガラス浴(106)中に浸漬される、請求項16と組み合わせた請求項17に記載の炉。
【請求項19】
前記ブロッキング手段(176)が、前記分離手段(174)から分離し、前記ブロッキング手段(176)が、前記分離手段(174)に取り付けられているか、又は前記分離手段(174)から離れている、請求項16と組み合わせた請求項17に記載の炉。
【請求項20】
前記ハイブリッド炉(10)が、フロートガラスユニットに、1日当たり400トン以上、優先的には1日当たり600~900トン、又はさらには1日当たり1000トン以上の取出速度で、1リットル当たり0.1個未満の気泡、優先的には1リットル当たり0.05個未満の気泡を有する高品質のガラスを供給するように構成される、請求項1~19のいずれか一項に記載の炉。
【請求項21】
前記溶融ゾーン(100)が、前記ガラス浴(106)中に浸漬され、かつ補助的な電気加熱手段を有する、電極(110)を有する、請求項1~20のいずれか一項に記載の炉。
【請求項22】
前記電極(110)が、前記溶融ゾーン(100)の下流部分内に配置される、請求項21に記載の炉。
【請求項23】
前記溶融ゾーン(100)の前記電極(110)が、前記溶融ゾーン(100)における前記第一の対流(C1)を制御するように選択的に制御される、請求項21又は22に記載の炉。
【請求項24】
前記第一の精製ゾーン(210)の、前記電極(230)及び前記少なくとも1つのバーナー(205)が、前記ガラスを1450℃超の温度に加熱することができる、請求項1~23のいずれか一項に記載の炉。
【請求項25】
前記少なくとも1つのバーナー(205)が、前記精製ゾーン(200)内に配置されて、前記第二の対流(C2)と前記第三の対流(C3)との間の反転ゾーン(250)を決定する、表面におけるホットスポットを得る、請求項1~24のいずれか一項に記載の炉。
【請求項26】
前記第一の精製ゾーン(210)の前記電極(230)が、前記第一の精製ゾーン(210)内の第二の対流(C2)を制御するように選択的に制御される、請求項1~25のいずれか一項に記載の炉。
【請求項27】
前記壁(240)が、前記ガラスが前記第二の精製ゾーン(220)から前記第一の精製ゾーン(210)へ戻るのを防止するように構成され、その結果、前記第一の精製ゾーン(210)の前記第二の対流(C2)が、前記第三の対流(C3)とは独立して制御されることができる、請求項1~26のいずれか一項に記載の炉。
【請求項28】
前記壁(240)が、前記第一の精製ゾーン(210)から前記第二の精製ゾーン(220)へ通過するガラスの量を制限するように構成され、それによって、前記第一の精製ゾーン(210)における前記ガラスの滞留時間を長くする、請求項1~27のいずれか一項に記載の炉。
【請求項29】
前記第二の精製ゾーン(220)が、前記ガラス中に浸漬され、かつ前記第三の対流(C3)を選択的に制御されることができる、電極(260)を有する、請求項1~28のいずれか1項に記載の炉。
【請求項30】
前記冷却ゾーン(300)の前記調整タンク(310)が、上流から下流に向かって、第二のネックと称される、ネック(320)、次いで調整器(330)を有する、請求項1~29のいずれか1項に記載の炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロートユニット供給用の3つの対流を有するハイブリッドガラス製造炉に関する。
【0002】
本発明は、より詳細には、ガラス製造用ハイブリッド炉に関し、これは、さらには、バーナーを備え、有利には電気加熱手段で補助される(「ブースト」される)、燃料燃焼式溶融ゾーン、及び第一の精製ゾーンを含む精製ゾーンを、一緒にもたらし、第一の精製ゾーンは、上流に位置する溶融ゾーン及び下流に位置する第二の精製ゾーンとは独立して、その中のガラスの温度を制御できるように構成される。
【0003】
本発明はまた、このようなガラス製造用ハイブリッド炉内でガラスを製造する方法に関する。
【0004】
本発明による方法及びハイブリッドガラス製造炉は、1リットル当たり0.1個未満の気泡を有する高品質ガラスを送り出すことができるだけでなく、少なくとも1日当たり400トンの取出速度でそのようなガラスを供給することができ、それによって、フロートガラスを製造することを意図される、溶融金属浴上でガラスをフロートさせる(浮遊させる)ためのフロートユニットに供給する。
【背景技術】
【0005】
特には製造する物品、すなわちガラスの最終的な形状に応じた、ガラス製造用炉設計の様々な例が、先行技術から知られている。
【0006】
このように、様々な炉の設計は、想定される生産がガラス繊維、産業用中空ガラス形成、又はさらには平坦ガラス形成のいずれに関連するかに応じて、区別される。
【0007】
ガラス炉の設計における産業上の課題の一つは、品質の要求が物品に依存するガラスを得ることができるようにすることである;この点で、平坦ガラスの生成は、比較的最も要求の厳しいものの一つである。
【0008】
非常に大量に生産される、平坦ガラスは、その汎用特性のおかげで多数の用途において用いられ、特にはエレクトロニクス(平坦スクリーン)の分野、又は建築及び自動車産業においても広く用いられており、これらにおいて、このガラスは、様々な技術(曲げ、焼き戻しなど)を用いて加工されることができ、このようにして、全範囲のガラス物品が基づくガラスとなる。
【0009】
したがって、品質及び量の両方に関する課題に相応して対処しながら、本発明は、このような平坦ガラスの産業的形成のためのガラスの製造を目的とするものであり、このガラスは、従来、溶融金属、一般的にはスズの浴上でガラスをフロートさせるためのフロートユニットによって得られる;このフロート方法が、このような平坦ガラスが「フロート」ガラスと称される理由である。
【0010】
フロートユニットによる平坦ガラスの製造に関して、ガラスは、質及び量の両方を両立させることができることが期待される。
【0011】
一方では、フロートユニット又は「フロート」に多量のガラスを連続的に供給できること、すなわち、一般的には1日当たり400トン超、有利には1日当たり600トン超、又はさらには1日当たり1000トン以上の取出速度で供給できることが期待され、これはガラス繊維の製造又は産業用中空ガラスの形成に必要な量よりも比較的はるかに大きい。
【0012】
他方では、フロートユニット又は「フロート」に、高品質のガラス、すなわち未溶融材料又は気泡をありうる限り含まないガラス、すなわち一般的には気泡が0.5個の気泡/リットル未満を有するガラスを供給できることが期待される。
【0013】
実際、ガラスの品質は、特にはガラス中に存在する気泡の数であって、「気泡/リットル」で表されるものに基づいて決定されるが、これに限定されるものではない。したがって、ガラス中に存在する1リットル当たりの気泡数が特に少ない、又はさらには極小である場合、ガラスの品質は比較的高いとみなされる。
【0014】
さらに、ガラス中の気泡(又はガス状欠陥)の存在は、ガラス生成プロセスにおけるガラスの製造方法に固有のものであることが喚起される:ガラス生成プロセスにおいて、一般的には、以下の3つの連続する工程又は段階が区別される:溶融、精製及び均質化、並びにガラスの熱調整。
【0015】
実際、ガラス中の気泡の存在は、「組成物」とも称される、ガラスバッチが溶融される溶融工程から生じる。ガラスバッチは、例えば、ソーダ石灰ガラス(平坦ガラスの製造に最も一般的に用いられるガラス)製造用の、砂、石灰石(炭酸カルシウム)、炭酸ナトリウム、及びドロマイトの混合物などを含む、原料からなり、有利には、ガラスの破片からなる、カレットが添加され、それによって、特には溶融を促進する。
【0016】
ガラスバッチは、液状塊に変化し、これにおいて、最も混和性の低い粒子、すなわち二酸化ケイ素又はシリカ(SiO)が最も豊富であり、かつ酸化ナトリウム(NaO)が少ない量である粒子も、溶解する。
【0017】
炭酸ナトリウム(NaCO)は、775℃から砂粒と反応し始め、それによって、二酸化炭素(CO)の気泡を液体中に放出し、それは、炭酸塩が珪酸塩に変化するにつれて粘度が増していく。同様に、石灰石の粒の石灰への変化、及びドロマイトの分解も、二酸化炭素(CO)の放出をもたらす。
【0018】
溶融工程は、高粘度になるが、製造方法のこの段階では、次いで空気及びガスの気泡で満たされている、溶融ガラス液の中に、固体粒子がなくなった時に完了する。
【0019】
そして、一般的には精製と称される、精製均質化工程は、溶融ガラス中に存在する上記気泡を除去することを可能にする。
【0020】
既知の様式において、「精製剤」が、有利には、この工程の際に用いられ、これは、すなわち、低濃度での物質であり、これは、浴の融点で分解することによって、気泡を比較的大きく成長させるガスを提供し、それによって、それらがガラスの表面へ上昇するのを促進する。
【0021】
そして、製造方法の熱調整工程は、速やかにガラスの温度を下げることを可能にする;なぜなら、成形作業の開始時には、ガラスの粘度は、一般的には、精製の際よりも少なくとも10倍高い必要があるからである。
【0022】
当然のことながら、今述べたガラスの各製造工程と、これらの工程を実施することを意図される炉の構造との間には、対応関係がある。
【0023】
したがって、一般的には、ガラス製造用のこのような炉は、連続して、ガラスバッチを溶融することによってガラス浴への転換が行われる溶融ゾーン、次いでガラスの気泡を除去するための精製均質化ゾーン、及び最後に、ガラスを冷却して、それによってこれを形成温度に持っていく熱調整ゾーンを含み、この形成温度は、ガラスがその生成の際に経験する温度よりもはるかに低い。
【0024】
今述べたガラス製造プロセスから特に注目すべき点は、溶融工程に、二酸化炭素(CO)、すなわち気候変動に関与する主要な温室効果ガスの1つである二酸化炭素の排出が伴うことである。
【0025】
高品質ガラスの製造、並びに建設及び炉の操業のありうる限り低いコストでの高い生産性という産業上の課題とは別に、ガラス産業が向き合わなければならない他の主要な課題の1つは、現在、エコロジー、すなわち、ガラス生成プロセスに関連するカーボンフットプリント(又はCOフットプリント)を削減する解決策を見出す必要性である。
【0026】
カーボンニュートラルを達成するために、プロセスのグローバルなアプローチであって、製造の際の直接排出及び間接排出の両方、又はバリューチェーンにおける上流及び下流での排出、例えば、上流での材料輸送及びその後の下流での物品輸送に関連するものなどを削減するという、複数の点で行動することを目標とするアプローチが、好ましい。
【0027】
したがって、これらの複数の点は、物品の設計及び材料構成、産業プロセスのエネルギー効率を改善すること、再生可能エネルギー及び脱炭素エネルギーを用いること、原料供給者及び物流企業と協力し、それによって、それらの排出を削減すること、並びに最後に、残留排出物を捕捉かつ隔離する技術を探求することを含む。
【0028】
直接排出では、上述したガラス生成プロセスに内在するものの他、高温溶融工程(1500℃超)に最も特に用いられるエネルギーの種類は、ガラス生成プロセスにおいてカーボンフットプリントへの最大の寄与を占める;なぜなら、それは一般的には、化石燃料であり、最も多くの場合天然ガス、又はさらには石油物品、例えば重油などであるからである。
【0029】
したがって、新しい炉の設計に関する研究は、ガラスの品質及び適切な量に関連する産業上の課題への対応を可能にするだけでなく、直接的及び間接的な二酸化炭素(CO)排出の両面から、特に化石エネルギーの使用を削減することによって、ガラス生成プロセスのカーボンフットプリントの削減も可能にする必要がある。
【0030】
ガラスは、最初のポット(又はるつぼ)炉以来、一般的に今日の大型連続鋳造ガラス炉の先駆者と考えられている、シーメンス炉を経て、1日当たり最大1,200トンのフロートガラスを生成しうるクロスファイア炉のように、絶えず進化してきた炉において製造される。
【0031】
したがって、溶融に用いられるエネルギーの選択は、ガラス製造のための下記の2つの大型炉の設計の間で主に区別されることになる;燃料燃焼炉及び電気炉。
【0032】
第一の設計によれば、燃料燃焼炉は、一般的には、化石燃料、特には天然ガスを、バーナーに用いる;このようにして、熱エネルギーは、火炎とガラス浴の表面との間の熱交換によってガラスに伝達される。
【0033】
上述したクロスファイア炉は、この第一の設計に従う炉の一例であり、平坦ガラスの製造を意図されているフロートユニット又は「フロート」に溶融ガラスを供給するために広く用いられている。
【0034】
第二の設計によれば、電気炉は、熱エネルギーが溶融ガラスの塊内においてジュール効果によって生成される炉である。
【0035】
実際、ガラスは、室温では遮断(絶縁)する物質であり、高温では電気伝導性となり、それによって、ガラス溶融自体の中においてジュール効果を用い、それによって、それらを加熱することが考えられうる。
【0036】
しかしながら、電気炉は、例えば、特定のガラスタイプ、例えばフッ化オパールガラス若しくは鉛の結晶などの生成に用いられ、又は一般的には、熱遮断用のガラス繊維の製造に用いられる。
【0037】
したがって、このような電気炉は、量的にも、とりわけガラスの質的にも(1リットル当たり0.5個未満の気泡を念頭において)、平坦ガラスの製造を意図されている、溶融金属浴上でガラスをフロートさせるためのフロートユニットに供給することはできないことが、当業者には一般的に認められている。
【0038】
これが、今日、燃料燃焼炉(例えばクロスファイア炉など)が、このようなフロートガラスユニットに供給できる唯一の炉のままである理由である。
【0039】
さらに、燃料燃焼炉は、さまざまな利点を有し、これらは、ガラス生成におけるそれらの幅広い利用を正当化している。
【0040】
しかしながら、燃料燃焼炉は、燃料について、化石エネルギー、本質的には天然ガスの使用に依存しており、したがって、それらのカーボンフットプリントは、二酸化炭素(CO)排出の削減、すなわちガラス生成プロセスのカーボンフットプリントの削減という目的に比較的相容れない。
【0041】
従来技術によるガラス製造のための炉の設計の開示を補足するにあたり、炉の「第三の設計」又は進化についても言及し、これらは、近年改良され、それによって、特には二酸化炭素(CO)排出の削減という生態学的問題に対処する。
【0042】
この第三の炉の設計は、燃料燃焼炉に基づくが、それは、補助的な電気加熱を用い、それによって、特には炉の生成量を瞬間的に増加させ、又はガラスの品質も向上させる。
【0043】
したがって、このような炉は「電気補助式燃料燃焼炉」とも呼ばれる。
【0044】
このように、この第三の設計による炉は、複数のエネルギー源、それぞれ化石エネルギー及び電気エネルギーを組み合わせており、したがって、「ハイブリッド」炉とも称される。
【0045】
電気補助加熱を追加することは、火炎とガラス浴の表面との間で起こる熱伝達によって制限される、燃料燃焼炉の溶融能力を向上させることを可能にする。
【0046】
しかしながら、このようなハイブリッド炉の操業は、常に、化石燃料、典型的にはガスの使用に主に基づき、したがって、ガラス生成プロセスのカーボンフットプリントの改善において最終的に得られる影響は、限定的なままである。
【0047】
実際、電気は、補助としてのみ用いられ、したがって、その影響は、比例的、すなわち限定的であり、一般的には、溶融工程に必要な熱供給の15%超も寄与しない。
【0048】
さらに、カーボンフットプリントを改善するために、用いられる電気も、「グリーン」な電気と称されるもの、すなわち再生可能かつ脱炭素エネルギー源から生成される電気である必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0049】
本発明は、特には、ガラス生成プロセスに関連する二酸化炭素(CO)排出量の大幅な削減を得ることを可能にするエネルギー消費を有しつつ、平坦ガラスを製造することを意図されるフロートガラスユニットに供給するための高品質ガラスを提供することが可能な、新規な設計のガラス製造用炉、及び製造方法を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0050】
この目的に対して、本発明は、溶融金属浴上のフロートガラス用フロートユニットに供給するためのハイブリッドガラス製造炉に関し、上記ハイブリッド炉は、上流から下流に向かって:
- ホットクラウン溶融ゾーンであって、ガラスバッチを溶融してガラス浴を得ることができる少なくともいくつかのバーナーを有し、上記溶融ゾーンが、第一の対流を有し、溶融ガラスが、溶融ゾーン内に戻るのを防止するように構成される「非戻り」分離装置によって区画されている、ホットクラウン溶融ゾーン;
- ガラス精製ゾーンであって、少なくとも1つのバーナー及び電極を有する第一の精製ゾーン、及び第二の精製ゾーンを含み、上記第一の精製ゾーンは、上記分離装置によって溶融ゾーンから、かつ壁によって第二の精製ゾーンから、それぞれ分離されており、ガラスが、第二の対流上で第一の精製ゾーン内を、第三の対流上で第二の精製ゾーン内を再循環する、ガラス精製ゾーン;並びに、
- ガラス冷却ゾーンであって、上記第三の対流が流れる調整タンクを有する、ガラス冷却ゾーン、
を有する。
【0051】
有利には、ハイブリッド炉は、溶融金属浴上のフロートガラス用フロートユニットに、一日当たり400トン以上、優先的には一日当たり600トン~900トン、又はさらには一日当たり1000トン以上の取出速度で、高品質のガラスを供給することができる。
【0052】
本発明による炉は、上述した第三の炉の設計になぞらえて「ハイブリッド」であると言われる;このように「ハイブリッド」という用語は、下記の2つの異なるエネルギー源を用いることから、それを述べるために用いられる:それぞれ、電気エネルギー及び燃料エネルギー。
【0053】
しかしながら、本発明との類比はそれだけにとどまらない;なぜなら、電気エネルギーが、有利には溶融工程の補助として用いられるだけでなく、特には、溶融工程とは別に実行される精製工程の際に、主に用いられるからである。それによって、生成工程全体における電気エネルギーによる寄与は、従来技術に比べて実質的なものとなっている。
【0054】
実際、本発明は、有利には、先行技術において今日まで知られているよりもはるかに大きいレベルのハイブリッド化を提案する;なぜなら、第一の精製ゾーン内に配置される全ての電極による熱の提供における電気エネルギーによる寄与、又はさらには溶融ゾーン及び第二の精製ゾーンにおいて補助としての、電気エネルギーによる寄与が、炉に提供される全熱のうちの少なくとも40%、さらにはそれ以上の量に相当する。
【0055】
したがって、有利には、本発明によるハイブリッド炉は、「グリーン」電力、例えば風力エネルギー、太陽エネルギーなどから得られ、化石燃料、例えば石炭又は石油などから得るわけではない、「グリーン」電力の利用可能性が高まっていることを利用して、部分的に電気エネルギーに依存している。
【0056】
有利には、溶融ゾーンのバーナーにおいて用いられる燃料エネルギーは、化石エネルギー、例えば天然ガスなどではなく、別の同等の燃料エネルギー、優先的には、バイオメタンの代替としての、水素である。
【0057】
したがって、本発明によるハイブリッド炉は、燃料燃焼溶融ゾーンに電気的補助を、かつ優先的には電気的な精製ゾーンに補助燃料燃焼を組み合わせており、第一の精製ゾーン及びそれぞれ分離される第二の精製ゾーンを含む。
【0058】
このような組合せのおかげで、本発明によるハイブリッド炉は、高品質のガラス、すなわち、1リットル当たり0.1個未満の気泡を含むガラスを得ることを可能にし、それによって、このガラスは、有利には、平坦ガラスの製造を意図されるフロートガラスユニット又は「フロート」に供給することができる。
【0059】
実際、本発明によるハイブリッド炉は、分離装置、例えばネックにおける壁若しくはバリア、及び/又はネックの底部の隆起部などによって上流で得られるゾーンの分離、並びに下流の、別の壁に基づく、新規な設計を提案し、それによって、結果的には、そこでそれぞれ実施される製造方法の工程を分離する。
【0060】
したがって、この分離のおかげで、それは、方法の各工程を他の工程から独立して制御することが可能となり、そうすることで、最も特には、各工程のエネルギー消費を最適化することが可能となり、このことは、カーボンフットプリントにとって有益である。
【0061】
有利には、特に、溶融ガラスは、本発明によるハイブリッド炉において、精製ゾーンから溶融ゾーンに戻らない。したがって、対流又はガラス再循環ループが、溶融ゾーンにおける第一の流れ及び精製ゾーンにおける第二の流れが相互にガラスを交換する先行技術による炉のように、精製ゾーンから溶融ゾーンへ延在することはない。
【0062】
先行技術では、本発明とは異なり、熱の供給は、溶融工程又は精製工程に対して分離して機能せず、独立した流れを有する分離した領域が存在しない。
【0063】
実際、例えば先行技術によるハイブリッド炉の精製ゾーンにおいて供給される熱の一部は、一般的には溶融ゾーン内の第一の流れによって上流に向かうので、溶融、精製、及び冷却の様々な工程の各々を正確かつ独立して制御することはできず、製造方法全体を制御することのみが可能である。
【0064】
本発明による炉において、ガラスを精製する工程は、有利には未溶融材料をほとんど又は全く含まないガラス上で、特には「非戻り」分離装置、例えば少なくとも第一の壁、又はさらには底部の隆起部を有するネック、及び/又はバリアなどによって、実行され、溶融ゾーンにおけるガラスの滞留時間を長くすることを可能にする。
【0065】
本発明において、高品質ガラスは、特には、溶融ゾーンから独立して、分離して制御可能な精製ゾーンのおかげで得られ、このおかげで、これらのゾーンの各々から熱領域を解離させることがありうる。
【0066】
先行技術による炉では、分離及び独立した対流がなく、このような熱領域の解離は不可能である。したがって、特に溶融工程及び精製工程の熱供給を分離してきめ細かく最適化することは不可能である。
【0067】
本発明では、溶融ゾーン、精製ゾーンのうちの第一の精製ゾーン及び第二の精製ゾーンにそれぞれ含まれる、3つの対流が、それぞれ分離して制御される。
【0068】
有利には、優先的には電気エネルギーによって補助される、溶融工程のために主に燃料エネルギーを用いることは、特には電気溶融が比較的必要とする温度よりも低い温度で、ガラスバッチを比較的効果的に溶融することを可能にし、したがって燃焼による溶融の選択は、炉の寿命の点でも有益である。
【0069】
有利には、第一の精製ゾーンの電極に用いられる電気エネルギーは、精製にのみ用いられる熱供給に変換され、特には、(非戻り)分離装置によって上記溶融ゾーンに戻ることができないことから溶融ゾーンに伝達されず、したがって、ガラスの第1の対流及び第2対流は、互いに独立している。
【0070】
有利には、本発明によるハイブリッド炉は、一方では燃料としての化石エネルギーの代替に基づき、他方では、「グリーン」電力、例えば風力エネルギー、太陽エネルギーなどから得られる「グリーン」電力の利用可能性の増大に基づく、二重の調和を形成する。
【0071】
有利には、溶融及び精製ゾーンのバーナーにおいて用いられる燃料エネルギーは、化石エネルギー、例えば天然ガスなどではなく、別の同等の燃料エネルギー、優先的には、バイオメタンの代替としての、水素である。
【0072】
したがって、本発明によるハイブリッド炉は、フロートユニット又は「フロート」に供給するために要求されるガラスの量及び高品質の問題に対してだけでなく、環境問題に対しても対応することができ、それによって、生成プロセスのカーボンフットプリントを実質的に削減することを可能にする。
【0073】
好ましい実施形態では、ハイブリッド炉は、溶融ゾーンを精製ゾーンに接続する、第一のネックと称される、ネックを有する。
【0074】
有利には、ハイブリッド炉の第一のネックは、分離装置と組み合わせられて、溶融ゾーンからガラスの精製ゾーンに流れるガラスの冷却を確保するのを可能にすることによって、ガラスの温度制御に寄与し、このおかげで、第一の対流及び第二の対流が制御され、最終的には、所望の量の高品質ガラスを製造するという利益につながる。
【0075】
有利には、ハイブリッド炉は、第一のネック内のガラスを選択的に冷却することができる、ガラス冷却手段を有する。
【0076】
有利には、ガラスを冷却する手段は、可変、すなわち調整可能な、冷却を確保することができ、これは、特にはガラスの温度に基づいて決定される。好ましくは、ハイブリッド炉は、ガラスを冷却するための上記手段の全部又は一部を形成する空気循環冷却装置を有する。
【0077】
有利には、ガラスを冷却するための手段は、特にはガラスの温度に基づいて決定される、可変の、すなわち調節可能な冷却を確保することができる。
【0078】
有利には、高品質ガラスは、特には、溶融工程の後に行われる精製工程によって得られ、上記精製工程は、第一のネックにおけるガラスの冷却によってさらに制御され、この冷却は、ガラスの誘導を制御するために、2つの対流を得ることに寄与する。
【0079】
有利には、高品質ガラスは、分離装置によっても得られ、これは、ハイブリッド炉の第一のネック内に配置され、溶融ガラスが精製ゾーンから溶融ゾーンに戻らないように構成される。分離装置により、第一のネックにおけるガラスの流れは、「ピストン」型の流れである。
【0080】
分離装置は、溶融ゾーンから下流に流れる溶融ガラスの量を制限し、このようにして、第一のネック内のガラスの冷却を促進し、これが、分離装置と第一のネックとの間に相乗効果がある理由である。
【0081】
さらに、分離装置は、ガラスが、精製均質化ゾーンから溶融ゾーンへ、第一のネック内へ戻ることも防止し、このおかげで、溶融ガラスは、第一のネック内で冷却され、そして、第一の対流ループ及び第二の対流ループを有する精製均質化ゾーン内で精製されることが可能である。
【0082】
有利には、分離装置は、バリア及び/又は第一のネックの底部の隆起部によって形成され、これらは、それぞれ単独で又は一緒に、溶融ガラスが精製ゾーンから本発明によるハイブリッド炉の溶融ゾーンに戻るのを防止することができる。
【0083】
本発明によるハイブリッド炉と比較すると、溶融ゾーンを精製ゾーンに接続する浸漬スロートを有する炉は、ガラスが戻るのを防止するそのような機能を確保することができない。実際、ガラスの戻り流れが、このようなスロート内に、特には材料の摩耗に起因して、存在する。
【0084】
加えて、スロート内を流れるガラスは、大気と接触せず、したがって、それは、特には、有利にはガラスを冷却する手段、例えば空気循環冷却装置を有する、第一のネック内のように(しかしながら、これに限定されない)、表面上で冷却されることはない。
【0085】
さらに、スロートは、構造上制限される断面を有し、したがって、優先的には第一のネックを有する、本発明によるハイブリッド炉と違って、フロートユニットに供給するための取出速度を、得ることができない。
【0086】
本発明によるハイブリッド炉は、特徴の組み合わせからなり、並置からならない;なぜなら、技術的特徴の間には相互作用があり、特に第一の対流を有する溶融ゾーンと、第二及び第三の対流を有する精製ゾーンとの間には、相乗効果がある。
【0087】
好ましい実施形態では、第一のネック及び関連分離装置は、それぞれガラスが冷却されるのを可能にすることができ、かつガラスが溶融ゾーンに戻るのを防ぐことができる。
【0088】
上記第一のネック及び分離装置のおかげで、ガラスの温度は、一方では溶融ゾーンにおいて、他方では精製ゾーンにおいて、分離してかつ正確に制御されることができる。
【0089】
好ましくは、第一のネックの長さは、ガラスの温度を低下させる、冷却を得るように構成される。実際、補助としての電気溶融によって得られる溶融ガラスは、一般的には、特には燃料燃焼溶融のみと比較して、比較的高い温度を有する。
【0090】
一例として、溶融ゾーンにおけるガラスの温度は、約1450℃であり、この時、第一のネックの下流部分におけるガラスの望ましい温度は、約1300℃~1350℃以内である。
【0091】
有利には、ハイブリッド炉は、第一のネック内に配置されるガラス冷却手段を有し、それによって、選択的にガラスを冷却し、すなわち冷却を制御し、それによって、ガラス温度を積極的に調節する。
【0092】
好ましくは、冷却手段は、少なくとも1つの空気循環冷却装置によって形成され、空気は、第一のネックの雰囲気内に導入され、それによって、ガラス浴の表面と接触かつ抽出されるようになり、それによって、ガラスにより空気に伝達された熱(カロリー)を除去する。
【0093】
別の例示的な実施形態によれば、冷却手段は、第一のネックを通って上流から下流に流れるガラス中に浸漬され、それによって、その冷却を可能にする。
【0094】
ガラス中に浸漬されるそのような冷却手段は、例えば、バリアによって形成され、これは、分離装置の全部又は一部を形成し、熱伝達流体を含む冷却回路、特には「ウォータージャケット」型の回路によって、冷却される。
【0095】
別の例によれば、冷却手段は、垂直スタッドによって形成され、これは、第一のネック内に配置されかつガラス中に浸漬され、熱伝達流体を含む冷却回路によって冷却され、それによって、ガラスにより伝達される熱を除去する。
【0096】
さらに別の例示的な実施形態によれば、冷却手段は、ガラスと接触している第一のネックの構造を冷却することができ、冷却は、第一のネックの構造の外部から行われる。
【0097】
もちろん、今挙げた様々な例による第一のネックに関連する冷却手段は、単独で又は組み合わせて実施されうる。
【0098】
有利には、第一のネックに関連するガラスを冷却するための手段は、ガラスの温度を選択的に制御することを可能し、この温度は、特には取出速度が変化する場合に、変化する蓋然性が高い;これは、なぜなら、取出速度の増加がガラスの温度の上昇を引き起こすからである。
【0099】
第一のネックに関連するガラスを冷却するためのこのような手段と比較すると、ガラスのこのような可変冷却は、スロートでは不可能であるだろう。
【0100】
本発明による炉の他の特徴によれば、以下の通りである:
- 分離装置は、ガラスが第一の精製ゾーンから溶融ゾーンに戻るのを防止することができ、その結果、溶融ゾーンの第一の対流は、第一の精製ゾーンの第二の対流から独立して制御されうる;
- 分離装置は、溶融ゾーンから第一の精製ゾーンへ通過するガラスの量を制限するように構成され、それによって、溶融ゾーンにおけるガラスの滞留時間を増加させる;
- 分離装置は、第一の壁と称される壁をし、これは、溶融ガラスが精製ゾーンから溶融ゾーンに戻るのを防止するように構成される;
- ハイブリッド炉は、第一のネックと称されるネックを有し、これは、溶融ゾーンを精製ゾーンに接続する;
- ハイブリッド炉は、第一ネック内のガラスを冷却することができる、ガラス冷却手段、特には空気循環冷却装置を有する;
- 第一のネックが、底部を有し、分離装置が、上記第一のネックの底部の少なくとも1つの隆起部を有し、この隆起部が、溶融ガラスが精製ゾーンから溶融ゾーンに戻るのを防止するように構成される;
- 底部の上記少なくとも1つの隆起部は、上流から下流に向かって、少なくとも1つの上りセグメント、頂部セグメント、及び下りセグメントを有する;
- 底部の上記少なくとも1つの隆起部における上記上りセグメント及び上記下りセグメントの少なくとも一方は、水平に対して傾斜しており、かつ/又は平坦域を形成する頂部セグメントを有する;
- 隆起部は、第一のネックにおける溶融ガラスの通過部分を、全体的又は部分的に決定する、最大高さを有する;
- 分離装置は、少なくとも1つのバリアを有し、これは、垂直方向に延在し、溶融ゾーンからガラス精製ゾーンへ、第一のネックを通って流れるガラス浴中に部分的に浸漬され、上記バリアは、溶融ガラスが精製ゾーンから溶融ゾーンへ戻るのを防止するように構成される;
- バリアは、上記第一のネックの上流末端に配置される;
- 分離装置は、バリア、及び第一のネックの底部の上記少なくとも1つの隆起部を有する;
- バリアは、第一のネックの底部の隆起部の頂部セグメントの上方に配置される;
- バリアは、垂直方向に移動可能となるように取り付けられ、それによって、ガラス浴中への浸漬深さを調節できるようにし、それによって、上記バリアの深さの調節に基づいて溶融ガラスの通過部分を変化させる;
- バリアは、取り外し可能、すなわち解体可能であり、それによって、特には摩耗の際にその交換を可能にし、炉の維持を容易にする;
- ハイブリッド炉は、溶融ゾーンの雰囲気を精製ゾーンの雰囲気から分離するための、分離手段、例えばカーテンなどを有する;
- ハイブリッド炉は、ブロッキング手段を有し、これは、溶融ゾーン内のガラス浴の表面に存在するガラスバッチの層を保持することができ、上記ブロッキング手段は、溶融ゾーンの下流末端に配置される;
- ブロッキング手段は、分離手段によって形成され、その自由端部は、浴の表面で延在するか、又はガラス浴中に浸漬される;
- ブロッキング手段は、上記分離手段とは分離し、上記ブロッキング手段は、分離手段に取り付けられているか、又は分離手段から離れている;
- ハイブリッド炉は、フロートガラスユニットに、400トン/日以上、優先的には600~900トン/日、又はさらには1000トン/日以上の取出速度で、1リットル当たり0.1個未満の気泡、好ましくは1リットル当たり0.05個未満の気泡を有する高品質ガラスを供給するように構成される;
- 溶融ゾーンは、電極を有し、これらは、ガラス浴中に浸漬され、補助的(「ブースター」)電気加熱手段を構成する;
- 電極は、溶融ゾーンの下流部分内に配置される;
- 溶融ゾーンの電極は、溶融ゾーン内の第一の対流を制御するように、選択的に制御される;
- 溶融ゾーンの電極は、溶融ゾーンから精製ゾーンの第一の精製ゾーンへ通過するガラスの温度を調節するように、選択的に制御される;
- 第一の精製ゾーンの、電極及び上記少なくとも1つのバーナーは、ガラスを1450℃超の温度まで加熱することができる;
- 上記少なくとも1つのバーナーは、精製ゾーン内に配置されて、第二の対流と第三の対流との間の反転ゾーンを決定する、表面におけるホットスポットを得る;
- 第一の精製ゾーンの電極は、第一の精製ゾーン内の第二の対流を制御するように選択的に制御される;
- 壁は、ガラスが第二の精製ゾーンから第一の精製ゾーンに戻るのを防止するように構成され、その結果、第一の精製ゾーンの第二の対流は、第三の対流から独立して制御されることができる;
- 壁は、第一の精製ゾーンから第二の精製ゾーンへ通過するガラスの量を制限するように構成され、それによって、第一の精製ゾーンにおけるガラスの滞留時間を長くする;
- 第二の精製ゾーンは、ガラス中に浸漬され、かつ第三の対流を制御するように選択的に制御されることができる、電極を有する;
- 冷却ゾーンの調整タンクは、上流から下流に向かって、第二のネックと称される、ネック、そして調整器を有する。
【0101】
本発明はさらに、平坦ガラス製造用アセンブリを提案し、これは、本発明によるハイブリッドガラス製造炉、及び溶融金属浴上でガラスをフロートさせるためのフロートユニットを有し、これは、下流に配置され、上記ハイブリッド炉によって少なくとも1つの流路を介してガラスを供給される。
【0102】
本発明はまた、例えば上記のような、ハイブリッド炉におけるガラスの製造方法を提案し、上記製造方法は、以下の工程を含む:
(a)-ガラスの第一の対流を含むホットクラウン溶融ゾーン内で、ガラスバッチを溶融すること;
(b)-第二の対流を有する第一の精製ゾーンにおいてガラスを精製し、次いで第三の対流を有する第二の精製ゾーンにおいてガラスを精製すること。上記第一の精製ゾーンは、溶融ゾーンから、かつ第二の精製ゾーンから、それぞれ分離され、それによって、互いに独立して制御できる;
(c)-上記第三の対流が流れる調整タンクによって形成される、冷却ゾーン内でガラスを冷却すること。
【0103】
有利には、方法は、溶融ゾーン内に配置される補助電極を制御して、「非戻り」分離装置によって分離される、ガラスの上記第一の対流を、第一の精製ゾーンの第二の対流とは独立して制御する工程を含む。
【0104】
有利には、方法は、第一の精製ゾーン内に配置される電極を制御して、壁によって分離される、ガラスの上記第二の対流を、第二の精製ゾーンの第三の対流とは独立して制御する工程を含む。
【0105】
有利には、方法は、第二の精製ゾーン内に配置される電極を制御して、ガラスの上記第三の対流を制御する工程を含み、電極は、精製ゾーンの上記第二の精製ゾーンにおけるガラスの温度を調節するように選択的に制御される。
【0106】
有利には、方法は、第一のネックにおけるガラスの冷却を、特にはガラスを冷却する手段、例えば少なくとも1つの空気冷却装置などを選択的に制御することによって、調節する工程を含む。
【0107】
有利には、空気冷却装置の吸込手段によって第一のネック内に導入される冷却空気の量は、特にガラスの温度に基づいて制御される。
【0108】
本発明のさらなる特徴及び利点は、以下の詳細な説明を読めば明らかになるであろう。その理解のために、添付の図面を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0109】
図1】- 図1は、本発明の第一の実施形態によるガラス製造用ハイブリッド炉であって、2つの対流及び冷却ゾーンを有する、2つの部分の精製ゾーンに関連する、ハイブリッド溶融ゾーンをさらに有する、ハイブリッドガラス製造炉を示し、第一の精製ゾーンであって、溶融ゾーンとの「非戻り」分離装置を形成する第一の壁によって上流側と区画され、第二の精製ゾーンからの分離を確保する第二の壁によって下流側と区画される、第一の精製ゾーンを図示する、側面図である。
【0110】
図2】- 図2は、図1による炉を示し、さらには溶融ゾーン内、第一の精製ゾーン内、かつ第二の精製ゾーン内にそれぞれ配置される電極、及びネック及び調整器を有する調整タンクによって形成される、冷却ゾーンも示す、上面図である。
【0111】
図3】- 図3は、図1と類似して、溶融ゾーンを2つの部分に分かれる精製ゾーンに接続する、第一のネックを有する、本発明の第二の実施形態によるハイブリッド炉を示し、第一のネックの底部の少なくとも1つの隆起部によって形成される、上流側の分離装置、及び下流側の壁を図示する、側面図であり、この分離装置及び壁は、第一の精製ゾーンの、溶融ゾーンからの分離、及び第二の精製ゾーンからの分離を、それぞれ確保する。
【0112】
図4】- 図4は、図2と類似して、ガラスの溶融ゾーンへの戻りを防止するための分離装置が、第一のネックの底部の隆起部分によって形成される、図3による炉を示し、溶融ゾーン内、第一の精製ゾーン内、かつ第二の精製ゾーン内にそれぞれ配置される電極、及び第二のネック及び調整器を有する調整タンクによって形成される、冷却ゾーンも図示する、上面図である。
【0113】
図5】- 図5は、図3によるハイブリッド炉の第一のネックを詳細に示し、第一のネックの底部の少なくとも1つの隆起部分の例示的な実施形態を図示する、側面図である。
【0114】
図6】- 図6は、図5に類似して、図3図5のものと同一のハイブリッド炉における分離装置の第三の実施形態を詳細に示し、上記分離装置を形成する第一のネックの底部の隆起部に関連する移動可能バリア、及び溶融ゾーンと精製ゾーンとの間の雰囲気分離手段を形成し、かつ表面において、上記溶融ゾーンにおけるガラスバッチのブロッキングを確保する、カーテンも図示する、側面図である。
【0115】
図7】- 図7は、底部の隆起部(バリアなし)を提供される第一のネックを有する、図5によるハイブリッド炉の分離装置の代替実施形態を詳細に示し、図6によって示されるものとは異なり、分離手段を形成するカーテンとは分離したガラスバッチをブロッキングするための手段を図示する、側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0116】
本明細書の残りの部分では、長手方向、垂直方向、及び短手方向が、図1~7に示す軸系(L、V、T)に関して、限定されることなく用いられるであろう。
【0117】
長手方向について言及する場合には「上流」及び「下流」、垂直方向について言及する場合には「上方」及び「下方」、又は「頂部」及び「底部」、最後に短手方向について言及する場合には「左」及び「右」という用語も、慣例として用いられるであろう。
【0118】
本明細書において、用語「上流」及び「下流」は、炉内のガラスの流れる方向に対応し、ガラスは、図2又は図4に示される、ハイブリッド炉の長手方向中央軸A-A’(上流側がA、下流側がA’)に沿って、上流から下流に向かって流れる。
【0119】
さらに、「流れ」及び「ループ」という用語は、ここでは同義語であり、これらの用語は、時計回り方向又は反時計回り方向での炉内のガラスの再循環に関連し、ガラス製造を意図される炉における「ホットクラウン」及び「コールドクラウン」という概念と同様に、当業者に周知である。
【0120】
図1及び図2はそれぞれ、本発明の第一の実施形態を図示する、ガラス製造用のハイブリッド炉10の側面図及び上面図(これらは縮尺通りではない)を示す。
【0121】
上述した第三の炉の設計になぞらえて、「ハイブリッド」という用語が、ここでは、本発明による炉を説明するために、2つの異なるエネルギー源を用いることを理由に、用いられる:それぞれ、燃料エネルギー及び電気エネルギー。
【0122】
一つの重要な特徴によれば、本発明によるハイブリッド炉10は、平坦ガラス製造のために、溶融金属、一般的にはスズの浴上でガラスをフロートさせるためのフロートユニットに供給することができる。
【0123】
実際、溶融ガラスをフロートユニット(又は「フロート」)に供給することは、ハイブリッドガラス製造炉10が、ガラス量及びガラス品質それぞれの、二重の要求を満たすことができることを要求する。
【0124】
有利には、本発明によるハイブリッド炉10は、1日当たり400トン以上、優先的には1日当たり600~900トン、又はさらには1日当たり1000トン以上の取出速度で高品質ガラスを供給することができる。
【0125】
有利には、ハイブリッド炉10は、フロートユニットに供給するのに必要な量のガラスを供給することができるだけでなく、1リットル当たり0.1個未満の気泡、優先的には1リットル当たり0.05個未満の気泡を有する、高品質ガラスを供給することもできる。
【0126】
ハイブリッド炉10は、上流から下流に向かって、炉の長手方向中央軸A-A’において、少なくとも1つの溶融ゾーン100、下記では精製ゾーンと称される、精製均質化ゾーン200、及びガラス冷却ゾーン300を連続的に有する。
【0127】
ハイブリッド炉10は、「ホットクラウン」タイプのものであり、下記では溶融ゾーン100内の参照番号12で示される。
【0128】
本発明による第一の特徴によれば、ハイブリッド炉10の溶融ゾーン100は、反時計回りにガラス再循環ループを形成する第一の対流(C1)を有する。
【0129】
好ましくは、ハイブリッド炉10は、少なくとも1つの装入開口部102を有し、そこを通してガラスバッチ104が、溶融ゾーン100の上流部分内に、ここでは図1に矢印で示すように炉の中間軸A-A’における長手方向に導入される。
【0130】
公知の様式で、ガラスバッチ104(「組成物」とも称される)は、原料及びカレットを含む。カレットは、ガラスをリサイクルすることによって得られる、ガラス破片からなり、これは、粉砕及び洗浄され、その後原料に添加され、それによって、ガラスを再び製造する。
【0131】
有利には、カレットは、溶融を促進し、すなわち、ガラスバッチが溶融によってガラスに変化することを促進する。
【0132】
さらに、カレットは、用いられるガラスを、これをリサイクルすることによって再利用することを可能にし(なぜなら、ガラスは無限にリサイクル可能であるからである)、このようにして、ガラスの製造に必要な原料の量を、比例して減少させ、生成プロセスのカーボンフットプリントの削減に寄与する。
【0133】
公知の様式で、ガラスバッチ104は、バッチ装入器とも称される、装入装置(図示せず)によって、ハイブリッド炉10の溶融ゾーン100内に導入される。
【0134】
ホットクラウン12を有する溶融ゾーン100は、ガラスバッチ104を溶融してガラス浴106を得ることができる、少なくともいくつかのバーナー105を有する。
【0135】
溶融ゾーン100において、バーナー105によって行われる燃焼によって放出される熱エネルギーは、直接ガラスバッチに、より一般的には放射及び対流によってガラス浴106に、伝達される;別の部分は、クラウン12によって伝わり、これは放射によってそれを返し、したがって「ホットクラウン」と呼ばれる。
【0136】
図1及び図2に示されるように、バーナー105は、有利には溶融ゾーン100の上流部分内に配置され、示されるバーナー105の数(例えばここでは3つ)は、純粋に例示的なものであり、したがって全く非限定的なものである。
【0137】
空中バーナーと称される、溶融ゾーン100のバーナー105は、ホットクラウン12と、図1にドットを用いて示されているガラスバッチ104によって、部分的に、特に上流側で、覆われている、溶融ガラス浴106の表面との間に、配置される。
【0138】
好ましくは、溶融ゾーン100のバーナー105は、クロスファイアリングバーナーと称されるものであり、それらが、ハイブリッド炉10内のガラスの流れに対して垂直に、中間軸A-A’に沿って上流から下流に向かって、短手方向に配置されていることから、一般的にこの名称が与えられている。
【0139】
クロスファイアリングバーナー105による燃焼によって生成される火炎は、短手方向に延在し、それによって、バーナー105の各々の出力を調節することによって温度の長手方向分布を調節することがありうる。
【0140】
好ましくは、バーナー105は、図2によって示されるように、溶融ゾーン100の両側に短手方向に配置される。
【0141】
バーナー105によって行われる燃焼は、公知の様式で、異なる種類の燃料及び酸化剤を組み合わせることによって、得られうるが、その選択はまた、ガラス製造のカーボンフットプリント、すなわち物品の製造に関連する直接的及び間接的な温室効果ガスの排出、特に二酸化炭素(CO)の排出に、直接的な影響を及ぼす。
【0142】
溶融ゾーン100のバーナー105による燃焼には、空気中に存在する酸素が、一般的には、酸化剤として用いられ、この空気を、酸素富化させ、それによって、酸素富化された空気を得うるし、又は実質的に純粋な酸素も、酸素燃料燃焼の特定の場合に用いられる。
【0143】
一般的に、用いられる燃料は、天然ガスである。しかしながら、特にカーボンフットプリントを改善するために、グリーン燃料、特には「バイオガス」、すなわちメタン化、換言すれば酸素のない状態での有機材料の発酵によって、生成されるメタン及び二酸化炭素から本質的に構成されるガス、又は優先的には「バイオメタン」(CH)も、有利には用いられている。
【0144】
バイオガスと比較して、有利には炭素を含まない水素(H)が、さらに優先的には用いられるであろう。
【0145】
有利には、本発明によるハイブリッドガラス製造炉10は、(例えば対になってかつ反転して)作動する耐火性材料でできている再生器、又はさらには金属の空気/排ガス交換器(レキュペレーターとも称される)を有してよく、これらは、製造から生じる排ガス中に含まれる熱をそれぞれ用いて、ガスを予熱し、このようにして燃焼を改善する。
【0146】
有利には、ハイブリッド炉10のバーナー105は、ガラス1トン当たり0.3m未満の表面積にわたってガラスバッチ104を溶融することができる。
【0147】
このような表面積は、第二の設計による電気炉では比較的大きくなり、したがって、燃料燃焼ハイブリッド炉10は、比較的コンパクトであるという利点を有する。
【0148】
さらに、バーナー105はまた、ガラスバッチ104を溶融する工程を、電気溶融と比較して比較的低温で実行することを可能にし、これは、炉の下部構造の摩耗の現象の低減に寄与し、炉の寿命の延長に有利である。
【0149】
ガラス製造炉において、ガラスと接触する全てのブロックは、従来「下部構造」と称され、下部構造の上方に配置される全ての材料は、従来「上部構造」と称される。
【0150】
上部構造材料は、下部構造のタンクブロックの上方に配置され、ガラスとは接触せず炉内雰囲気と接触し、一般的には下部構造のタンクブロックのものとは異なる性質のものである。
【0151】
上部構造に用いられる材料が、例えば本実施形態のようなホットクラウンの場合のように、下部構造のものと類似している場合であっても、炉の構造におけるこれら2つの部分は、一般的に区別されている。
【0152】
ハイブリッド炉10は、底部108を有する。好ましくは、ここでの底部108は、溶融ゾーン100において平面であり、それによって、ガラス浴106の表面と底部108との間のガラス浴106の深さPが、実質的に一定である。
【0153】
好ましくは、溶融ゾーン100は、電極110であって、ガラス浴106中に浸漬され、有利には補助的(「ブースター」)電気加熱手段を構成する、電極110を有する。
【0154】
実際、溶融ゾーン100内の電極110は、ガラスバッチ104を溶融することを可能にする主要な加熱手段であるバーナー105に対する、補完的な加熱手段である。その結果、ガラスを溶融する工程は、燃料エネルギー、及び補助として電気エネルギーを用いて得られる。
【0155】
好ましくは、バーナー105の補助としての、電極110によって供給される熱は、溶融ゾーン100内で実行される溶融工程の全熱のうちの5~25%であり、優先的には約10~15%である。
【0156】
好ましくは、電極110は、炉の溶融ゾーン100の底部108を通して、電極ホルダー(図示せず)を介して取り付けられ、これらは特には、それらに電力を供給することを可能にする。
【0157】
好ましくは、電極110は、図1に示すように垂直に延在する。代替的には、電極110は、斜めに延在し、すなわち、垂直方向に対して所定の角度を有するように傾斜している。
【0158】
別の代替配置によれば、電極110は、上記溶融ゾーン100を区画する、少なくとも1つの側壁を貫通し、上記電極110は、次いで水平かつ/又は斜めに延在する。
【0159】
有利には、電極110は、モリブデンでできており、この耐火性金属は、1700℃の温度に耐え、溶融ゾーン100におけるガラス浴106を加熱するのに特に適している。
【0160】
さらに、バーナー105と同様に、ここで図1及び図2に示される6つの電極110の数は、純粋に例示的なものであり、したがって全く非限定的なものである。
【0161】
好ましくは、溶融電極110は、溶融ゾーン100において短手方向に均等に分布している。
【0162】
有利には、電極110は、上記溶融ゾーン100の長さ(L)の半分超、又はさらには上記長さ(L)の3分の2超にわたって延在する、溶融ゾーン100の下流部分内に配置される。
【0163】
ハイブリッド炉10は、有利には、例えば溶融ゾーン100内に配置される、バブラー(図示せず)、すなわち少なくとも1つのガス、例えば空気又は窒素などを注入するためのシステムを、底部に有してよく、このバブラーの気泡は、その後、ガラスの上方への移動を生じさせる。
【0164】
ハイブリッド炉10の溶融ゾーン100は、下流側で「非戻り」分離装置170によって区画されており、これは、溶融ガラスが、第一の対流(C1)を有する上記溶融ゾーン100に戻るのを防止するように構成される。
【0165】
この第一の実施形態では、「非戻り」分離装置170は、第一の壁と称される、壁120からなり、これは、ハイブリッド炉10の溶融ゾーン100の下流に配置される。
【0166】
このように、図1及び図2に示されるように、第一の壁120は、第一の対流(C1)を有する溶融ゾーン100を区画し、上記壁120は、優先的には、一方の壁から他方の壁まで短手方向に、溶融ゾーン100の全幅にわたって延在する。
【0167】
さらに、溶融ゾーン100は、長手方向かつ直線状に延在する壁によって、上記ゾーン100及び200が同じ幅を有するように、精製ゾーン200に接続される。
【0168】
好ましくは、上記電極110の少なくとも一部は、下流側の溶融ゾーン100を区画する上記第一の壁120の近傍に配置され、上記電極110は、上記溶融ゾーンの長さの途中から延在する、溶融ゾーン100の下流部分内に配置される。
【0169】
それらの数に応じて、例えば図1及び図2では6個に等しいが、電極110は、優先的には上記長さの3分の2超にわたって配置される。
【0170】
本発明の第二の特徴によれば、精製ゾーン200は、上流再循環流れと称される、第二の対流(C2)、下流再循環流れと称される、第三の対流(C3)を有する。
【0171】
ガラス精製ゾーン200は、第一の精製ゾーン210及び第二の精製ゾーン220を有し、上記第一の精製ゾーン210は、有利には、少なくとも1つのバーナー205、又はさらには2つのバーナー、及び電極230を有する。
【0172】
図1及び図2に示されている、バーナー205及び電極230の数及び位置は、それぞれ、純粋に例示的なものであり、したがって全く非限定的なものである。
【0173】
第一の精製ゾーン210は、それぞれ、「非戻り」分離装置170を形成する第一の壁120によって溶融ゾーン100から分離され、第二の壁240によって第二の精製ゾーン220から分離される。
【0174】
ハイブリッド炉10の精製ゾーン200において、ガラスは、このようにして、第一の精製ゾーン210では、第二の対流(C2)に従い反時計回り方向に再循環し、第二の精製ゾーン220では、第三の対流(C3)に従い時計回り方向に再循環する。
【0175】
有利には、第一の壁120は、ガラスが第一の精製ゾーン210から溶融ゾーン100に戻るのを防止するように構成され、それによって、溶融ゾーン100と第一の精製ゾーン210とが、互いに分離される。
【0176】
有利には、溶融ゾーン100における第一の対流(C1)は、第一の精製ゾーン210における第二の対流(C2)から分離され、その結果、このようにして、上記流れC1、C2の各々を互いに独立して制御することが可能になる。
【0177】
有利には、第一の壁120は、溶融ゾーン100から第一の精製ゾーン210へ通過するガラスの量を制限するように構成され、それによって、特には溶融ゾーン100におけるガラスの滞留時間を増加させる。
【0178】
実際、第一の壁120は、炉の底部108から、所定の高さにわたって垂直に延在し、頂部はガラスの表面(S)の下方に浸漬している。
【0179】
ハイブリッド炉10では、ガラスは、溶融ゾーン100から第一の壁120を越えて第一の精製ゾーン210に運ばれる。
【0180】
したがって、上記流れC1及びC2を分離することによって任意の戻りを防止することに加えて、第一の壁120の高さは、溶融ゾーン100から第一の精製ゾーン210へのガラスの通過部分も決定する。
【0181】
第一の壁120のおかげで、溶融ゾーン100は、特には電極110を選択的に制御して第一の対流(C1)を制御することによって、第一の精製ゾーン210とは独立して制御されることができる。
【0182】
実際、溶融ゾーン100の下流部分内に浸漬している電極110の配置は、バーナー105がガラスバッチ104で覆われている浴106の表面の上方に配置される、上流部分に対して、ガラス浴106においてそこに比較的高温の点を形成することを可能にする。
【0183】
有利には、電極110は、溶融ゾーン100から第一の精製ゾーン210へ通過するガラスの温度を調節することも可能にする。
【0184】
第一の壁120と同様に、第二の壁240は、炉の第一の精製ゾーン210の底部208から所定の高さにわたって垂直に延在し、頂部は、第一の精製ゾーン210から精製ゾーン200の第二の精製ゾーン220へのガラスの通過部分を決定する、ガラスの表面(S)の下方に浸漬している。
【0185】
有利には、第二の壁240は、ガラスが第二の精製ゾーン220から第一の精製ゾーン210に戻るのを防止するように構成されており、その結果、第一の精製ゾーン210内の第二の対流(C2)、及び第三の対流C3は分離され、互いに独立して制御されることができる。
【0186】
第一の壁120と同様に、第二の壁240は、有利には、第一の精製ゾーン210におけるガラスの滞留時間を長くすることを可能にし、これは高品質ガラスを得ることに直接寄与する。
【0187】
好ましくは、底部208は平坦である。図1に示すように、ハイブリッド炉10は、ガラスの表面Sに対する底部の深さの、少なくとも1つの変化を有する。
【0188】
好ましくは、ハイブリッド炉10は、例えば、溶融ゾーン100の底部108に対する、第一の精製ゾーン210の底部208の隆起部を有し、それによって、第一の精製ゾーン210内のガラスの深さP1が、溶融ゾーン100内のガラスの深さPよりも小さくなる。
【0189】
有利には、第一の精製ゾーン210の電極230、及び上記少なくとも1つのバーナー205は、ガラスを1450℃超の温度まで加熱することができる。
【0190】
第一の壁120及び第二の壁240のおかげで、第一の精製ゾーン210は、溶融ゾーン100から、かつ第二の精製ゾーン220から、それぞれ分離され、戻りがない中他から隔離され、第一の精製ゾーン210は、独立して制御されうる。
【0191】
このように、ハイブリッド炉10は、それぞれ互いに独立した3つの流れC1、C2、C3を有する。
【0192】
第1精製ゾーン210では、ガラス中に浸漬される電極230は、ガラスを精製にのみ基づいて、特には溶融ゾーン100とは独立して決定される、温度にそれを持っていくことを可能にする。
【0193】
実際、戻りがなく、第一の対流C1と第二の対流C2との間の分離によって、電極230によって提供される熱は、精製にのみ用いられ、そうすることにより、有利には最適な様式で用いられる。
【0194】
同様に、溶融ゾーン100においてバーナー105及び補助電極110によって提供される熱は、ガラス溶融工程を意図されたものであり、これがない精製工程を考慮に入れる必要があるであろう。
【0195】
有利には、溶融ゾーン100の温度及び第一の精製ゾーン210の温度は、互いに独立して制御されうる。
【0196】
好ましくは、第一のガラス精製ゾーン210では、熱は、主に電極230によって提供され、上記少なくとも1つのバーナー205は、補助的な様式で介在するのみであり、したがって、電気エネルギーは、溶融ゾーン100とは異なり、熱の供給において燃料エネルギーよりも優勢である。
【0197】
代替的には、第一のガラス精製ゾーン210は、バーナーのみを有し、電極230は有さず、そして、ガラスは表面でのみ加熱される。
【0198】
そうはいっても、電極230は、それらの加熱効率のおかげで有利である;なぜなら、上記電極230が、溶融ゾーン100に由来する溶融ガラス中に直接浸漬されるからである。
【0199】
好ましくは、ここでの電極230は、電極110よりも長く、例えば、それによって、ガラスとの熱交換のための表面積を増加させることによって第一の精製ゾーン210におけるガラスの加熱をさらに改善する。
【0200】
上記少なくとも1つのバーナー205は、第二の対流C2と第三の対流C3との間の反転ゾーン250を決定する、表面のホットスポット(又は点源)を得るために、精製ゾーン200内に配置される。
【0201】
好ましくは、ハイブリッド炉10は、第一の精製ゾーン210と第二の精製ゾーン220との間のガラスの表面(S)に対する底部の深さの別の変化、より正確には、第二の精製ゾーン220の底部228の隆起部分を有する。
【0202】
したがって、図1に示すように、第二の精製ゾーン220におけるガラス深さP2は、第一の精製ゾーン210におけるガラス深さP1よりも小さい。
【0203】
本発明の第三の特徴によれば、ガラス冷却ゾーン300は、上記第三の対流(C3)が流れる、調整タンク310を有する。
【0204】
有利には、冷却ゾーン300の調整タンク310は、上流から下流に向かって、ネック320、すなわち図2に示すように幅が縮小されているゾーン、次いで調整器330を有する。
【0205】
第二の精製ゾーン220からネック320への通過は、ガラスの幅及び通過部分を急激に狭めることによって、例えばここでは、炉の長手方向中間軸A-A’との90°の角度をなす壁322及び324によって、達成される。
【0206】
代替的には、ネック320の入口における角度は、90°より大きい値を有してよく、それによって、幅の狭まり方が比較的急激でなく、比較的緩やかである。
【0207】
ネック320から調整器330への通過は、ガラスの通過部分の急激な拡がりによって、例えばここでは、炉の長手方向中間軸A-A’と90°の角度をなす壁323及び325によって、達成される。
【0208】
同様に、ネック320の出口における角度の値は、拡幅が、炉の長手方向中間軸A-A’において、比較的急激でなく、比較的緩やかになるように、選択されうる。
【0209】
有利には、精製ゾーン200の雰囲気及び冷却ゾーン300の比較的冷たい雰囲気は、ヒートスクリーン340、例えば仕切りなどによって互いに分離され、これは、冷却ゾーン300におけるクラウンからガラスの表面Sの近傍まで、優先的にはガラスに浸かることなく、垂直に延在する。
【0210】
好ましくは、ハイブリッド炉10は、第二の精製ゾーン220と冷却ゾーン300との間の、ガラスの表面(S)に対する底部の深さの別の変化をさらに含む。
【0211】
好ましくは、ハイブリッド炉10は、第二の精製ゾーン220の底部228に対するネック320の底部328の第一の隆起部分を有する。したがって、ネック320におけるガラス深さP3は、第二の精製ゾーン220におけるガラス深さP2よりも小さい。
【0212】
有利には、第二の精製ゾーン220の底部228は、ネック320の底部328に、セグメント252によって接合され、これは、深さP2から深さP3へのガラスの緩やかな通過を確保するように傾斜している。
【0213】
好ましくは、ハイブリッド炉10は、ネック320の底部328に対する調整器330の底部338の第二の隆起部分を有する。したがって、調整器330内のガラス深さP4は、ネック320内のガラス深さP3よりも小さい。
【0214】
有利には、ネック320の底部328は、調整器330の底部338に、セグメント353によって接合され、これは、深さP3から深さP4への緩やかな通過を保証するように傾斜している。
【0215】
好ましくは、ハイブリッド炉10内のガラス深さは、溶融ゾーン100から冷却ゾーン300の調整器330まで、上流から下流に向かって連続的に減少する。
【0216】
しかしながら、図1及び図2によって示される実施形態を参照して今説明したハイブリッド炉10の底部の隆起部分は、交互に1つ又は複数のレベルの差を有しうる、深さの変化の一例に過ぎない。
【0217】
好ましくは、第二の精製ゾーン220は、ガラス中に浸漬されている電極260を有する。代替的には、電極260は、少なくとも1つのバーナーによって置換される。
【0218】
図1及び図2に示される、電極260の数及び位置は、純粋に例示的なものであり、したがって完全に非限定的なものである。
【0219】
有利には、第二の精製ゾーン220の電極260は、第三の対流(C3)を制御するように選択的に制御され、これに、ガラスが、それが時計回り方向に再循環する際に、追従する。
【0220】
実際、第三の対流(C3)は、第二の精製ゾーン220から調整器330まで長手方向に延在し、冷却ゾーン300全体も通過するため、したがって、第一の精製ゾーン210内に集められるガラスのみからの熱の供給は、不十分でありうる。
【0221】
電極260は、有利には、ガラス中に浸漬され、第二の精製ゾーン220内に配置され、このようにして、上流にホットスポットを作り出すことができ、それによって、下流再循環流れと称される、第三の対流(C3)を制御する。
【0222】
先に説明したように、第二の壁240の構成のおかげで、ガラスは、第二の精製ゾーン220から第一の精製ゾーン210に戻らない;第二の対流(C2)は、第三の対流(C3)とは独立して制御されうる。
【0223】
有利には、電極260は、第一の精製ゾーン210内で行われる精製を完全なものにすることにも寄与する。
【0224】
調整タンク310は、調整器330の下流に位置する流路400に接続されている。
【0225】
有利には、調整タンク310の後、戻り流れが、形成ゾーンにガラスを供給することを意図されている流路400内にはなく、換言すれば、流路400内のガラスの流れは、「ピストン」型の流れである。
【0226】
有利には、ハイブリッド炉10は、溶融金属の浴上にガラスをフロートさせるためのフロートユニットに、1日当たり400トン以上、優先的には1日当たり600~900トン、さらには1日当たり1000トン以上の取出速度で、高品質ガラスを、すなわち1リットル当たり0.1個未満の気泡を有するガラスを、供給することができる。
【0227】
有利には、本発明によるハイブリッド炉10は、1リットル当たり0.1個未満の気泡、又はさらに優先的には0.05個未満の気泡を有する高品質ガラスを供給することができる。
【0228】
有利には、このような高品質のガラスは、平坦ガラスの製造を意図される溶融金属の浴上にガラスをフロートさせるためのフロートユニットに供給するのに最も特に適している。
【0229】
本発明は又はハイブリッド炉10におけるガラスの製造方法、例えば図1及び図2を参照して説明した実施形態のものなど、に関する。
【0230】
この製造方法は、以下の工程を含む:
(a)-ガラスの第一の対流C1を有するホットクラウン溶融ゾーン100内で、ガラスバッチを溶解すること;
(b)-第二の対流(C2)を有する第一の精製ゾーン210内でガラスを精製し、次いで第三の対流(C3)を有する第二の精製ゾーン220内でガラスを精製すること。上記第一の精製ゾーン210は、溶融ゾーン100から、かつ第二の精製ゾーン220から、それぞれ分離され、それによって、互いに独立して制御できる;
(c)-上記第三の対流(C3)が流れる、調整タンク310によって形成される、冷却ゾーン300内でガラスを冷却すること。
【0231】
有利には、方法は、溶融ゾーン100内に配置される補助電極110を制御して、ガラスの上記第一の対流(C1)を制御する工程(a1)を含む。
【0232】
電極110は、上記溶融ゾーン100から第一の精製ゾーン210へ通過するガラスの温度を調節するように、選択的に制御される。
【0233】
有利には、この第一の実施形態において第一の壁120によって形成される、分離装置170によって分離される、第一の対流(C1)は、第一の精製ゾーン210の第二の対流(C2)とは独立して制御される。
【0234】
有利には、方法は、第一の精製ゾーン210内に配置される電極230を制御して、ガラスの上記第二の対流(C2)を制御する工程(b1)を備える。
【0235】
有利には、第二の壁240によって分離される、ガラスの第二の対流(C2)は、第二の精製ゾーン220の第三の対流(C3)とは独立して制御される。
【0236】
有利には、方法は、第二の精製ゾーン220内に配置される、加熱手段、少なくとも1つのバーナー及び/又は電極、優先的にはここでの電極260などを制御して、ガラスの上記第3対流(C3)を制御する工程(b2)を含む。
【0237】
有利には、電極260は、精製ゾーン200の上記第二の精製ゾーン220内のガラスの温度を調節するように選択的に制御される。
【0238】
本発明によるハイブリッド炉10において、電極110、230、及び260による熱の供給において電気エネルギーによってもたらされる寄与は、有利には、炉に供給される全熱のうち40%超である。
【0239】
本発明によるハイブリッド炉10の設計は、有利には、ガラス製造方法の溶融、精製、及び冷却の各工程を細かく制御することを可能にし、それによってエネルギー効率を保証する。
【0240】
任意の戻りを防止するようにそれぞれ構成される、分離装置170を形成する第一の壁120、及び第二の壁240のおかげで、有利には、溶融、精製及び冷却ゾーンが、互いに分離され、このようにして、それぞれの対流を、下流に位置する対流から独立して制御することが可能となる。
【0241】
有利には、ハイブリッド炉10の設計は、炉のエネルギー効率を、ガラス製造プロセスの各工程に必要とされる正確な熱量にありうる限り近い熱量を提供することによって、最適化することを可能にし、それによって、カーボンフットプリントを改善する。
【0242】
図3図5に示されるような、本発明によるハイブリッド炉10の第二の実施形態について、図1及び図2に示される第一の実施形態と比較して、以下に説明する。
【0243】
この第二の実施形態において、バーナー105はまた、数が3つであり、優先的には、上流側に、ガラスバッチ104の装入開口部102の近傍に配置される。しかしながら、ここでの電極110の数は、図3及び図4に示されるように、9である。
【0244】
有利には、バーナー105の補助としての、電極110によって供給される熱は、溶融ゾーン100内で実行される溶融工程の全熱のうち少なくとも40%であり、優先的には50~70%である。
【0245】
しかしながら、一般的に、バーナー又は電極の数は、純粋に例示的なものであり、したがって全く非限定的であることが喚起される。
【0246】
好ましくは、溶融電極110は、溶融ゾーン100において短手方向かつ均等に分布している。
【0247】
有利には、電極110は、主に溶融ゾーン100の下流部分内に配置され、特にここではそれらの数が多い(6個ではなく9個に等しい)ことを考慮して、長さ(L)にわたって延在する上記溶融ゾーン100の3分の2の部分内に配置される。
【0248】
この第二の実施形態の一つの特徴によれば、ハイブリッド炉10は、溶融ゾーン100を、精製ゾーン200、より具体的には第一の精製ゾーン210に接続する、第一のネックと称される、ネック160を有する。
【0249】
有利には、ハイブリッド炉の上記第一のネック160は、ガラスが溶融ゾーン100からガラスの精製ゾーン200の第一の精製ゾーン210に流れる場合に、ガラスの冷却を確保することを可能にする。
【0250】
ガラスの冷却は、第一のネック160が比較的長いほど、比較的大きくなる;なぜなら、溶融ゾーン100由来のガラスは、これが第一のネック160を通って上流から下流に流れる際に、自然に冷却される。
【0251】
好ましくは、第一のネック160は、その後第一の精製ゾーン210内に流入することを意図される溶融ガラスの温度の低下を得るように構成される、長さを有する。
【0252】
上述したように、溶融ガラスは、溶融ゾーン100において、電極110による熱の供給が比較的大きいほど、比較的高い温度を有する。
【0253】
有利には、ハイブリッド炉10は、第一のタンクネック160内のガラスを選択的に冷却することができる、ガラス冷却手段500を有する。
【0254】
ガラスの、溶融ゾーン100を第一の精製ゾーン210に接続する第一のネック160をそれが通って流れる際の、冷却に加えて、冷却手段500は、冷却をさらに増大させることを可能にし、特にはこの冷却を変化させることを可能にし、それによって、ガラスの温度の調節が、次いで有利には得られる。
【0255】
好ましくは、第一のネック160内のガラスを冷却するための手段500は、少なくとも1つの空気循環冷却装置510を有する。
【0256】
冷却装置510の例示的な実施形態が、第三の実施形態及び変形例をそれぞれ図示する図6及び図7において、比較的特に概略的に示されるように、以下に説明され、したがって、有利には上記図が参照されるであろう。
【0257】
ハイブリッド炉10が、第一のネック160内にこのような空気冷却装置510を有する場合、ハイブリッド炉10は、溶融ゾーン100の雰囲気と第一のネック160の雰囲気とを分離するための少なくとも1つの分離手段174を有する。
【0258】
このような雰囲気分離手段174の例示的な実施形態が、上記図6及び図7に示されており、以下により詳細に説明される。
【0259】
このようなガラス用空気冷却装置510は、例えば、ハイブリッド炉10の上記第一のネック160の雰囲気内に冷却空気を導入するための、少なくとも吸入手段512などを有する。
【0260】
好ましくは、ガラスを冷却するための装置510は、高温空気を排出し、かつ新鮮な冷却空気によるその更新を確保するために、第一のネック160内に配置されている排出手段514を有する。
【0261】
代替的には、排出手段は、抽出手段(図示せず)によって形成され、これは、第一のネック160の下流に位置し、排ガスを抽出することを意図されている。そして、有利には、高温空気が、ハイブリッド炉10が追加的な手段を備える必要も無く、上記抽出手段によって排ガスと共に排出される。
【0262】
ガラス冷却装置510の空気吸込手段512及び空気排出手段514は、例えば、第一のネック160のクラウンを支持する胸壁内に開口する、1つ以上の開口部によって形成される。
【0263】
図6及び図7に概略的に示される、上記少なくとも1つの吸込開口部及び上記少なくとも1つの排出開口部は、例えば、長手方向に互いに対向して位置し、1つ又は複数の取り入れ開口部は、第一のネック160の上流部分内に配置される一方、1つ又は複数の排出開口部は、第一のネック160の下流部分内に配置される。
【0264】
空気吸込手段512及び空気排出手段514は、例えば、第一のネック160の両側に短手方向に配置され、代替的には第一のネック160の一方の側のみに配置される。
【0265】
有利には、第一のネック160内に導入される冷却空気の温度は、上記第一のネック160の内側に位置する高温空気の温度よりも低く、循環冷却空気は、熱伝達流体を形成する。
【0266】
好ましくは、用いられる冷却空気は、ハイブリッド炉10の外側、又はさらにはフロートユニットに供給する、上記ハイブリッド炉10が設置されている建物の囲いの外側で集められる、大気空気である。
【0267】
有利には、用いられる大気空気の温度は、制御され、それによって、調節される;空気を、例えば、導入前にあらかじめ冷却又は加熱し、それによって、その温度を制御しうる。
【0268】
ガラスは、主に対流によって冷却され、導入される冷却空気は、特にはガラスの表面に接触の下で加熱され、その後ガラスによって伝達された熱(カロリー)とともに除去される。
【0269】
有利には、空気の循環は、空気ブロー手段(図示せず)、例えば、上記吸入手段512及び/又は排出手段514と関連付けられ、循環する空気の流量を変化させるように制御されうる、ファンなどによって、制御されうる。
【0270】
有利には、本発明によるガラス製造方法は、第一のネック160内のガラスの冷却を調節する工程を、特には、ガラス冷却手段500、例えば、先に説明した実施形態による少なくとも1つの空気冷却装置510などを選択的に制御することによって、含む。
【0271】
有利には、空気冷却装置510の吸入手段512によって第一のネック160内に導入される冷却空気の量は、特にはガラスの温度に基づいて制御される。
【0272】
代替的には、又は空気冷却装置510と組み合わせて、ハイブリッド炉10は、ガラス冷却手段500を有し、これは、上記第一のネック160を通って上流から下流に流れるガラス中に浸漬され、それによって、その冷却を可能にする。
【0273】
このような冷却手段500は、例えば、熱伝達流体を含む冷却回路によって冷却される、ガラス中に浸漬されている垂直スタッドによって形成され、それによって、ガラスによりスタッドに伝達された熱を排出する。
【0274】
別の例示的な実施形態によれば、冷却手段500は、ガラスと接触している第一のネック160の構造を冷却することができ、冷却は、第一のネック160の構造の外部から行われる。
【0275】
もちろん、第一のタンクネック160に関連する冷却手段500、例えば先に説明した様々な実施例によるものなどは、単独で又は組み合わせて実施されうる。
【0276】
有利には、第一のネック160に関連するガラスを冷却する手段は、ガラスの温度を選択的に制御することを可能し、この温度は、特に取出速度が変化する場合に、変化する可能性が高い;これは、なぜなら、取出速度の増加は、ガラスの温度上昇を引き起こすからである。
【0277】
第一のネック160に関連するこのようなガラス冷却手段と比較すると、ガラスのこのような可変冷却は、スロートでは不可能であろう。
【0278】
好ましくは、溶融ゾーン100から第一のネック160への通過は、例えばここでは炉の長手方向中央軸A-A’と90°の角度を形成する壁162及び163などによる、ガラス通過部分の幅及び断面の急激な狭小化によって達成される。
【0279】
好ましくは、第一のネック160からガラス精製ゾーン200への通過は、例えばここでは炉の長手方向中央軸A-A’と90°の角度を形成する壁262及び263などによる、ガラス通路の断面の急激な拡大によって達成される。
【0280】
代替的には、第一のネック160の入口における角度は、90°より大きい値を有してよく、それによって、幅の狭まりが、比較的急激でなく、比較的緩やかになり、同様に、第一のネック160の出口における角度の値も、炉の長手方向中央軸A-A’に沿って、広がり方が比較的急激でなく、比較的緩やかになるように、選択されうる。
【0281】
有利には、上流から下流に向かって第一のネック160を通って流れる溶融ガラスは、溶融ゾーン100の下方部分において、電極110が配置される部分を通過した後に、第一の流れ(C1)に続いて回収される。
【0282】
有利には、比較すると、第一のネック160は、下部構造の全ての耐火性要素が、上流から下流に流れる取出速度のガラスと接触しているスロートよりも、溶融ガラスの連続的な流れによって引き起こされる摩耗の影響を受けにくい。
【0283】
実際、第一のネック160では、流れるガラスの一部が、表面Sを介して大気と接触している。
【0284】
図3図5に示されていない変形例によれば、ハイブリッド炉10は、溶融ゾーン100の雰囲気を精製ゾーン200の雰囲気から分離するための、雰囲気分離手段を含む。
【0285】
このような雰囲気分離手段は、例えば、図6及び図7を参照して後述する参照数字「174」で提供されるものに類似しており、上記雰囲気分離手段は、仕切り(又はカーテン)によって形成される。
【0286】
第一のネック160は、図3図5において、参照数字165が付されている底部を有する。この第二の実施形態では、分離装置170は、上記第一のネック160の底部165の少なくとも1つの隆起部161からなる。
【0287】
第一の壁120と比較すると、上記隆起部161は、底部165によって直接形成され、それに取り付けられておらず、したがって、隆起部161は、第一のネック160の上記底部165を形成する下部構造の耐火性材料からなる。
【0288】
有利には、上記少なくとも1つの隆起部161は、狭いかつ薄い構造である、第一の壁120よりも摩耗の影響を受けにくい。
【0289】
有利には、上記少なくとも1つの隆起部161は、それが第一のネック160の長さの主要部分にわたって長手方向に延在するという点で幅広であり、上記隆起部161は、第一のネック160内のガラスの冷却に有利には寄与する。
【0290】
図5によって詳細に示されるように、上記隆起部161、上流から下流に向かって連続的に、少なくとも1つの第一の上りセグメント164、第二の頂部セグメント166、及び第三の下りセグメント168を有する。
【0291】
有利には、隆起部161は、第一のネック160の全幅にわたって短手方向に、一方の長手方向壁から他方まで、延在している。
【0292】
もちろん、このような隆起部161は、その一般的な形状や寸法に関して、特にはそれを形成する異なる部分164、166、及び168のそれぞれの構成に応じて、多数の幾何学的な変形を有しうる。
【0293】
図5は、図3の第二の実施形態によるハイブリッド炉10の第一のネック160を詳細に示し、それによって、上記少なくとも1つの隆起部161の例を説明する。
【0294】
好ましくは、上りセグメント164は、角度(α)で傾斜しており、これは、溶融ガラスを隆起部161の頂部セグメント166に向かって上昇させることができる、傾斜路を形成するように決定される。
【0295】
好ましくは、上りセグメント164は、例えば20°~70°の鋭角(α)を有する、傾斜面であり、上記角度(α)は、隆起部161の上りセグメント164と水平との間の角度として示され、ここでは溶融ゾーン100の平坦な底部108を基準としている。
【0296】
変形例(図示せず)として、上りセグメント164は、段差があり、例えば、少なくとも1つの段差、又はさらには高さ及び/若しくは長さの寸法が同一であってよく、若しくは同一でなくてよい、2つ以上の段差を有する、階段の形態でできている。
【0297】
好ましくは、頂部セグメント166は、水平な平坦域を形成する、平坦状である。したがって、有利には、頂部セグメント166は、所定の長さ、好ましくはここでは第一のネック160の全長の半分以上にわたって、長手方向に延在している。
【0298】
頂部セグメント166は、隆起部161が有する最大高さH’を決定し、そうすることにより、また、ガラスの表面S、すなわち第一のネック160内の溶融ガラスの通過部分180に対する、深さP’を決定する。
【0299】
好ましくは、隆起部161の下りセグメント168は、垂直に延在し、直角(β)によって、頂部セグメント166の下流末端に接続され、これは、水平に延在し、平坦上方表面を有する。
【0300】
後述される、図7に示されるように、別の実施形態によれば、下りセグメント168は、第一のネック160から精製ゾーン200への溶融ガラスの流れに緩やかに随伴するように構成される。
【0301】
このような部分168は、例えば、傾斜平面によって形成され、これは、段差があってよく、又はなくてよく、特には、上りセグメント164の代替実施形態についての上記の説明のような階段の形態でできている。
【0302】
したがって、分離装置170は、この第二の実施形態では、底部165の少なくとも上記隆起部によって形成され、この隆起部分161は、第一の実施形態の壁120のものと、又はさらには図示されない実施形態の場合2つの壁のものと、同一の機能を提供する。
【0303】
図示されていない変形例では、分離装置170は、少なくとも1つのバリアを有し、これは、垂直方向に延在し、溶融ゾーン100からガラス精製ゾーン200へ、第一のネック160を通って流れるガラス浴106内に部分的に浸漬され、上記バリアは、溶融ガラスが精製ゾーン200から溶融ゾーン100へ戻るのを防止するように構成される。
【0304】
好ましくは、バリアは、このように第一のネック160の上流末端に配置される。
【0305】
このようなバリアの使用は、コールドクラウン電気溶融ゾーンを含む異なる設計のハイブリッド炉に関する、出願人の名前で2021年11月18日に出願された特許出願EP-21306609.5に記載されている。
【0306】
この出願の教示によれば、このようなバリアは、それ自体で、本発明の意味における分離装置170を構成することができる。
【0307】
有利には、このようなバリアはまた、第二の実施形態による底部165の隆起部161と組み合わせて用いられうる。
【0308】
したがって、(非戻り)分離装置170は、バリア及び/又は第一のネック160の底部165の隆起部分161からなりうる。
【0309】
図6は、図5との比較によって説明されるそのような代替実施形態を示す。
【0310】
この変形例によれば、ハイブリッド炉10は、第一のネック160の底部165の上記少なくとも1つの隆起部分161に関連するバリア172を有する、分離装置170を有する。
【0311】
有利には、バリア172は、第一のネック160内の流れを制限することによって、かつ、ガラスによって伝達される熱(カロリー)の一部をバリア172に排出することを可能にする、「ウォータージャケット」タイプの熱伝達流体を含む冷却回路によって、第一のネック160内のガラスの冷却に寄与する。
【0312】
図6に示されるように、バリア172は、垂直に延在し、溶融ゾーン100からガラス精製ゾーン200へ第一のネック160を通って流れるガラス浴106内に部分的に浸漬される。
【0313】
好ましくは、バリア172は、第一のネック160の底部165の隆起部161の頂部セグメント166の上方に配置される。
【0314】
有利には、バリア172は、垂直方向に移動可能であるように取り付けられ、それによって、ガラス浴106中におけるその浸漬深さの調節を可能し、それによって、上記バリア172の深さの調節に基づいて溶融ガラスの通過部分180を変化させる;バリア172がない場合、通過部分は、既定で、所定の高さH’’を有する上記少なくとも1つの隆起部161によって決定される、ガラスの深さP’’に対応する。
【0315】
好ましくは、ここでの高さH’’は高さH’より小さく、したがって深さP’’は深さP’より大きい。
【0316】
有利には、バリア172は、取り外し可能、すなわち解体可能であり、それによって、特には摩耗した場合にそれを交換できるようにし、炉の維持を容易にする。
【0317】
上述のように、ハイブリッド炉10は、有利には、溶融ゾーン100の雰囲気を精製ゾーン200の雰囲気から分離するための、分離手段174、例えばカーテンなどを有する。
【0318】
有利には、このような分離手段174は、特に空気冷却装置が第1ネック160内のガラスを冷却する手段として実施される場合に、第1ネック160の雰囲気を溶融ゾーン100のものから隔離することを可能にする。
【0319】
有利には、ハイブリッド炉10は、ブロッキング手段176(「スキマー」とも称される)を有し、これは、溶融ゾーン100の下流末端に配置され、必要に応じて、ガラスバッチ層104の一部を溶融ゾーン100内に保持することができ、それによって、ガラス浴106の表面に存在する上記ガラスバッチが精製ゾーン200に侵入しないことを確保する。
【0320】
図6に示されるように、ブロッキング手段176は、分離174によって形成され、その自由端部は、浴106の表面で延在するか、又はガラス浴106中に浸漬される。
【0321】
図7は、図6と比較して説明する別の代替実施形態を示す。
【0322】
この変形例では、ブロッキング手段176は、上記分離手段174とは構造的に分離しており、図7に示すように、上記ブロッキング手段176が、分離手段174に取り付けられるか、又は分離手段174から離れることがありうる。
【0323】
図6の変形例と比較すると、「非戻り」分離装置170は、ここでは、唯一の隆起部161によって形成され、第一のネック160の底部165の上記隆起部161は、バリア172を実施しない図3図5の実施形態と同様に、深さP’を決定する高さH’を有する。
【0324】
図7による代替実施形態はまた、図3図5の実施形態のものと比較して、隆起部161の異なる形状を示している。
【0325】
実際、この変形例では、下りセグメント168は、精製ゾーン200に向かう溶融ガラスの流れに緩やかに随伴するように構成される。
【0326】
このようにして、このような部分168は、傾斜平面によって形成され、これは、段差があってよく、又は無くてよく、特には階段の形態である。
【0327】
好ましくは、部分168は、角度(β)で傾斜しており、これは、精製ゾーン200の底部208に向かって溶融ガラスを緩やかに降下させることができる、傾斜路を形成するように決定される。
【0328】
下りセグメント168について、角度(β)は、例えば90°~145°の値を有しうる鈍角であり、上記角度(β)は、図7において頂部セグメント166が下りセグメント168と接合する点において記した内角に対応する。
【0329】
変形例(図示せず)として、セグメント168は、平坦ではないが、段差があり、例えば、少なくとも1つの段差、又は高さ及び/若しくは長さの寸法が同一であってよく、若しくは同一でなくてよい、2つ以上の段差も有する、階段の形態でできている。
【0330】
図によって示されるように、ガラスの深さは、ここでは、上記少なくとも1つの隆起部161の両側において、それぞれ溶融ゾーン100における深さPと、精製ゾーン200のものとの間において、同一ではなく、これは、少なくとも1つの深さのばらつきを有しうる。
【0331】
先に示したように、このような隆起部161は、その一般的な形状、その寸法に関して、特にはそれを形成する異なる部分164、166及び168のそれぞれの構成に応じて、多数の幾何学的な変形を有しうる。
【0332】
図3図7によって示される実施形態において、ハイブリッド炉10は、有利には、上記分離装置170が配置される、第一のネック160を有する。
【0333】
これらの実施形態によれば、本発明は、より詳細には、溶融金属の浴上にガラスをフロートさせるためのフロートユニットに供給するためのハイブリッドガラス製造炉10を提案し、上記ハイブリッド炉10は、上流から下流に向かって、以下を有する:
- ホットクラウン溶融ゾーン100であって、ガラス浴106を得るためにガラスバッチ104を溶融することができる、少なくともいくつかのバーナー105を有し、上記溶融ゾーン100が、第一の対流C1を有する、ホットクラウン溶融ゾーン100、
- ネック160であって、第一のネックと称され、上記溶融ゾーン100をガラス精製ゾーン200に接続し、溶融ガラスが溶融ゾーン100に戻るのを防止するように構成される「非戻り」分離装置170を有する、ネック160、
- 上記ガラス精製ゾーン200であって、少なくとも1つのバーナー205及び電極230を有する第一の精製ゾーン210、及び第二の精製ゾーン220を有し、上記第一の精製ゾーン210が、溶融ゾーン100から上記分離装置170によって、かつ第二の精製ゾーン220から壁240によって、それぞれ分離され、ガラスが、第一の精製ゾーン210では第二の対流C2上で、かつ第二の精製ゾーン220では第三の対流C3上で、再循環される、上記ガラス精製ゾーン200;並びに、
- ガラス冷却ゾーン300であって、上記第三の対流C3が流れる調整タンク310を有する、ガラス冷却ゾーン300。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】