(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】バッテリーパック、その管理装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G01R 31/382 20190101AFI20241108BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20241108BHJP
G01R 31/385 20190101ALI20241108BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
G01R31/382
H01M10/48 P
G01R31/385
H02J7/00 X
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529671
(86)(22)【出願日】2023-03-06
(85)【翻訳文提出日】2024-05-17
(86)【国際出願番号】 KR2023003035
(87)【国際公開番号】W WO2023177137
(87)【国際公開日】2023-09-21
(31)【優先権主張番号】10-2022-0031618
(32)【優先日】2022-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・ジュン・キム
【テーマコード(参考)】
2G216
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
2G216BA01
2G216BA16
2G216CC06
5G503AA01
5G503BA02
5G503BB01
5G503DA07
5G503EA05
5G503GD03
5G503GD04
5G503GD06
5H030AA01
5H030AS20
5H030FF41
(57)【要約】
本発明は、充放電可能な複数のバッテリーセルを備えたバッテリーと、前記バッテリーの初期のSOCを外部装置に送信し、前記外部装置からターゲットSOCを受信する通信部と、前記バッテリーのSOCを推定するSOC推定部と、前記ターゲットSOCに基づいてバッテリーのSOCを調整するためのSOC調整信号を出力する制御部と、前記SOC調整信号に基づいて前記バッテリーのSOCを調整するSOC調整部と、を備えるバッテリーパック、その管理装置及び方法を開示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充放電可能な複数のバッテリーセルを備えたバッテリーと、
前記バッテリーの初期のSOCを外部装置に送信し、前記外部装置からターゲットSOCを受信する通信部と、
前記バッテリーのSOCを推定するSOC推定部と、
前記ターゲットSOCに基づいてバッテリーのSOCを調整するためのSOC調整信号を出力する制御部と、
前記SOC調整信号に基づいて前記バッテリーのSOCを調整するSOC調整部と、
を備える、バッテリーパック。
【請求項2】
前記バッテリーパックは、特定の状況に応じて特定の場所に導入され、前記外部装置からのウェイクアップ信号に基づいてウェイクアップされる、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項3】
前記ウェイクアップ信号は、所定の周期にて入力される、請求項2に記載のバッテリーパック。
【請求項4】
前記バッテリーパックの長期保管、搬送又は廃棄などのバッテリーパックの運用状態に応じて、前記ターゲットSOCが異なるように入力される、請求項3に記載のバッテリーパック。
【請求項5】
前記制御部は、前記SOC推定部により推定されたバッテリーのSOCと前記ターゲットSOCとを比較して前記SOC調整信号を出力する、請求項4に記載のバッテリーパック。
【請求項6】
前記SOC調整部は、前記バッテリーと接続されたスイッチと、前記スイッチと接続された放電抵抗と、を備え、
前記スイッチが前記SOC調整信号に基づいて駆動されて前記放電抵抗を介して前記バッテリーを放電して前記バッテリーのSOCが前記ターゲットSOCよりも低くなるようにする、請求項1~5のいずれか一項に記載のバッテリーパック。
【請求項7】
前記放電抵抗は可変抵抗を含み、前記制御部は、前記放電抵抗の抵抗を可変にして前記バッテリーパックの温度を制御する、請求項6に記載のバッテリーパック。
【請求項8】
外部との通信が可能な少なくとも1つのバッテリーパックと、
前記少なくとも1つのバッテリーパックと離隔しており、通信を用いて前記少なくとも1つのバッテリーパックを管理するための遠隔管理器と、
を備え、
前記遠隔管理器は、ターゲットSOCを設定して前記バッテリーパックに送信し、前記バッテリーパックは、前記ターゲットSOCに基づいてパックSOCを調整する、バッテリーパック管理装置。
【請求項9】
前記バッテリーパックは、特定の状況に応じて特定の場所に導入され、前記遠隔管理器からのウェイクアップ信号に基づいてウェイクアップされる、請求項8に記載のバッテリーパック管理装置。
【請求項10】
前記バッテリーパックの長期保管、搬送又は廃棄に応じて、前記ターゲットSOCが異なる、請求項9に記載のバッテリーパック管理装置。
【請求項11】
前記バッテリーパックは、
充放電可能な複数のバッテリーセルを備えたバッテリーと、
前記バッテリーの初期のSOCを前記遠隔管理器に送信し、前記遠隔管理器から前記ターゲットSOCを受信する第1の通信部と、
前記バッテリーパックのSOCを推定するSOC推定部と、
前記ターゲットSOCとパックSOCとの比較結果に基づいてバッテリーのSOCを調整するための制御部と、
前記制御部の制御に従って前記バッテリーのSOCを調整するSOC調整部と、
を備える、請求項8~10のいずれか一項に記載のバッテリーパック管理装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記パックSOCがターゲットSOCよりも大きいときに、パックSOCを調整するための制御信号を出力する、請求項11に記載のバッテリーパック管理装置。
【請求項13】
前記SOC調整部は、前記バッテリーと接続されたスイッチと、前記スイッチと接続された放電抵抗と、を備え、
前記スイッチが前記制御部の制御信号に基づいて駆動されて前記放電抵抗を介して前記バッテリーを放電する、請求項12に記載のバッテリーパック管理装置。
【請求項14】
前記放電抵抗は可変抵抗を含み、放電抵抗を流れる放電電流が所定のしきい値電流よりも低くなるように前記放電抵抗の抵抗を可変にして前記バッテリーが放電されるようにする、請求項13に記載のバッテリーパック管理装置。
【請求項15】
前記遠隔管理器は、
前記バッテリーパックにウェイクアップ信号及びターゲットSOCを送信し、前記バッテリーパックから初期のSOCを受信する第2の通信部と、
前記ウェイクアップ信号及びターゲットSOCを生成して前記第2の通信部を介して前記バッテリーパックを管理するための管理部と、
を備える、請求項14に記載のバッテリーパック管理装置。
【請求項16】
前記少なくとも1つのバッテリーパックを収容しており、無線通信又は有線通信を用いてバッテリーパックと通信するバッテリーラックをさらに備える、請求項15に記載のバッテリーパック管理装置。
【請求項17】
前記遠隔管理器は、前記バッテリーラックを介して前記バッテリーラックに収容された前記少なくとも1つのバッテリーパックを管理する、請求項16に記載のバッテリーパック管理装置。
【請求項18】
特定の状況に応じて少なくとも1つのバッテリーパックが特定の場所に導入されるステップと、
前記バッテリーパックがウェイクアップ信号を受信してウェイクアップされるステップと、
前記バッテリーパックのパックSOCを推定するステップと、
遠隔管理器からターゲットSOCを受信するステップと、
前記パックSOCと前記ターゲットSOCとを比較するステップと、
比較の結果、前記パックSOCが前記ターゲットSOCよりも低い場合に、バッテリーパックが放電済みであることを遠隔管理器に伝えるステップと、
比較の結果、パックSOCがターゲットSOCよりも高い場合に、パックSOCを調整するステップと、
を含む、バッテリーパック管理方法。
【請求項19】
前記パックSOCを調整する間に放電電流を測定し、前記測定された放電電流をしきい値電流と比較するステップと、
前記放電電流がしきい値電流よりも高ければ、放電抵抗の抵抗値を増加させてSOCを調整するステップと、
をさらに含む、請求項18に記載のバッテリーパック管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーパック及びその管理装置に関し、特に、無線通信が可能なバッテリーパックと無線通信を用いてバッテリーパックを遠隔で管理するバッテリーパック管理装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
充放電可能な二次電池、すなわち、バッテリー(battery)は、スマートフォンなどのモバイル機器のエネルギー源として広範に用いられている。のみならず、バッテリーは、化石燃料を用いるガソリン車両、ディーゼル車両などによる大気汚染などを解決するための方案として提示される電気自動車、ハイブリッド電気自動車などの環境にやさしい自動車のエネルギー源としても用いられている。バッテリーを用いるアプリケーションの種類は非常に多様化しており、今後からは、現在よりはさらに多くの分野と製品にバッテリーが適用される見込みである。
【0003】
この種のバッテリーは、単一のバッテリーセルとして用いられるよりは、バッテリーパックの形態で用いられるのが普通である。バッテリーパックは、少なくとも1つ以上のバッテリーモジュールを備え、バッテリーモジュールは、複数のバッテリーセルからなり得る。また、バッテリーは、バッテリーセル、バッテリーモジュール又はバッテリーパックの全般的な状態を管理するバッテリー管理装置(Battery Management System;BMS)を備えている。
【0004】
一方、バッテリーパックは、長期にわたって使用しない場合に、バッテリーパックが置かれている状況に合うようにバッテリーパックを管理する必要がある。すなわち、バッテリーパックを長期保管、搬送又は廃棄する場合に当該状況に合うようにバッテリーパックの充電状態(SOC:State Of Charge)を低くして管理する必要がある。例えば、バッテリーパックが出荷された後に満充電(full charge)条件下で長期保管される場合、バッテリーパックが損傷されるなどの問題が生じる恐れがあるため、SOCを低くして管理することが望ましい。すなわち、バッテリーパックが満充電状態で長期保管されたり、高温下で保管されたりすれば、バッテリーパックの電解液が漏れて爆発の可能性があるなど数多くの問題が生じる恐れがある。また、屋内ではなく、様々な外部環境下で用いられるアプリケーションの場合、長期保管時のリスクが常に存在する。したがって、バッテリーの寿命が短くなり、このような問題が生じる前にバッテリーを取り替える結果となってしまう。要するに、バッテリーの取り替え周期が短くなり、それにより、莫大なメンテナンスコストがかかってしまうという問題が生じる。
【0005】
ところが、既存のバッテリーパックは、SOCを管理するために使用者が個別のバッテリーパックのそれぞれに対して一々に測定装備を接続して電圧を測定し、バッテリーパックに合うSOCに変換するのが通常である。しかしながら、このような既存の方式は、バッテリーパックのそれぞれのSOCを確認することは非常に煩雑であり、目的に応じてSOCを低くしようとしても、それぞれのバッテリーパックをシステムに接続して放電することを余儀なくされるため、非常に長時間がかかるという問題がある。
【0006】
従来の技術としては、下記に掲げる文献が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】大韓民国登録特許第10-1749730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、無線通信が可能であることから、特定の状況下で外部から制御されるバッテリーパックを提供する。
【0009】
本発明は、特定の状況下でバッテリーパックを無線で制御することのできるバッテリーパック管理装置及び方法を提供する。
【0010】
本発明は、バッテリーパックの搬送、保管又は廃棄の際に当該場所にバッテリーパックが設置されれば、当該環境下で与えられる無線制御信号を用いてバッテリーパックが好適な状態に自動的に制御されるようにするバッテリーパック管理装置及び方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様によるバッテリーパックは、充放電可能な複数のバッテリーセルを備えたバッテリーと、前記バッテリーの初期のSOCを外部装置に送信し、前記外部装置からターゲットSOCを受信する通信部と、前記バッテリーのSOCを推定するSOC推定部と、前記ターゲットSOCに基づいてバッテリーのSOCを調整するためのSOC調整信号を出力する制御部と、前記SOC調整信号に基づいて前記バッテリーのSOCを調整するSOC調整部と、を備える。
【0012】
前記バッテリーパックは、特定の状況に応じて特定の場所に搬入されて前記外部装置からのウェイクアップ信号に基づいてウェイクアップされる。
【0013】
前記ウェイクアップ信号は、所定の周期にて入力される。
【0014】
前記バッテリーパックは、前記バッテリーパックの長期保管、搬送又は廃棄に応じて、前記ターゲットSOCが異なるように入力される。
【0015】
前記制御部は、前記SOC推定部により推定されたバッテリーのSOCとターゲットSOCとを比較して前記SOC調整信号を出力する。
【0016】
前記SOC調整部は、前記バッテリーと接続されたスイッチと、前記スイッチと接続された放電抵抗と、を備え、前記スイッチが前記SOC調整信号に基づいて駆動されて前記放電抵抗を介して前記バッテリーを放電する。
【0017】
前記放電抵抗は可変抵抗を含み、前記バッテリーのSOCが前記ターゲットSOCよりも低くなるように前記バッテリーが放電されるようにする。
【0018】
本発明の他の態様によるバッテリーパック管理装置は、外部との通信が可能な少なくとも1つのバッテリーパックと、前記少なくとも1つのバッテリーパックと離隔しており、通信を用いて前記少なくとも1つのバッテリーパックを管理するための遠隔管理器と、を備え、前記遠隔管理器は、ターゲットSOCを設定して前記バッテリーパックに送信し、前記バッテリーパックは、前記ターゲットSOCに基づいてパックSOCを調整する。
【0019】
前記バッテリーパックは、特定の状況に応じて特定の場所に搬入されて前記遠隔管理器からのウェイクアップ信号に基づいてウェイクアップされる。
【0020】
前記バッテリーパック管理装置は、前記バッテリーパックの長期保管、搬送又は廃棄に応じて、前記ターゲットSOCが異なる。
【0021】
前記バッテリーパックは、充放電可能な複数のバッテリーセルを備えたバッテリーと、前記バッテリーの初期のSOCを前記遠隔管理器に送信し、前記遠隔管理器から前記ターゲットSOCを受信する第1の通信部と、前記バッテリーパックのSOCを推定するSOC推定部と、前記ターゲットSOCとパックSOCとの比較結果に基づいてバッテリーのSOCを調整するための制御部と、前記制御部の制御に従って前記バッテリーのSOCを調整するSOC調整部と、を備える。
【0022】
前記制御部は、前記パックSOCがターゲットSOCよりも大きいときに、パックSOCを調整するための制御信号を出力する。
【0023】
前記SOC調整部は、前記バッテリーと接続されたスイッチと、前記スイッチと接続された放電抵抗と、を備え、前記スイッチが前記制御部の制御信号に基づいて駆動されて前記放電抵抗を介して前記バッテリーを放電する。
【0024】
前記放電抵抗は可変抵抗を含み、前記パックSOCが前記ターゲットSOCよりも低くなるように前記バッテリーが放電されるようにする。
【0025】
前記遠隔管理器は、前記バッテリーパックにウェイクアップ信号及びターゲットSOCを送信し、前記バッテリーパックから初期のSOCを受信する第2の通信部と、前記ウェイクアップ信号及びターゲットSOCを生成して前記第2の通信部を介して前記バッテリーパックを管理するための管理部と、を備える。
【0026】
前記バッテリーパック管理装置は、前記少なくとも1つのバッテリーパックを収容しており、無線通信又は有線通信を用いてバッテリーパックと通信するバッテリーラックをさらに備える。
【0027】
前記遠隔管理器は、前記バッテリーラックを介して前記バッテリーラックに収容された前記少なくとも1つのバッテリーパックを管理する。
【0028】
本発明のさらに他の態様によるバッテリーパック管理方法は、特定の状況に応じて少なくとも1つのバッテリーパックが特定の場所に搬入される過程と、前記バッテリーパックがウェイクアップ信号を入力してウェイクアップされる過程と、前記バッテリーパックのパックSOCを推定する過程と、遠隔管理器からターゲットSOCを受信する過程と、前記パックSOCとターゲットSOCとを比較する過程と、比較の結果、パックSOCがターゲットSOCよりも低い場合に、バッテリーパックが放電済みである旨を遠隔管理器に伝える過程と、比較の結果、パックSOCがターゲットSOCよりも高い場合に、パックSOCを調整する過程と、を含む。
【0029】
前記バッテリーパック管理方法は、前記パックSOCを調整する間に放電電流を測定してしきい値電流と比較する過程と、前記放電電流がしきい値電流よりも高ければ、放電抵抗の抵抗値を増加させてSOCを調整する過程と、をさらに含む。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係るバッテリーパックは、通信部を備えて外部の遠隔管理器からの制御信号に基づいてバッテリーパックのSOCを調整することができる。すなわち、本発明の少なくとも1つのバッテリーパックは、通信可能であり、搬送、保管又は廃棄などの特定の状況に応じて特定の場所に設置されることになり、遠隔管理器からの制御信号に基づいてバッテリーパックのSOCを特定の状況に合うように調整することになる。したがって、本発明は、バッテリーパックの搬送、保管又は廃棄の際に当該場所にバッテリーパックを設置させるだけでも、当該環境下で与えられる無線制御信号を用いてバッテリーパックが好適な状態に自動的に制御されるようにすることができる。すなわち、複数のバッテリーパックのそれぞれのSOCを確認するためにそれぞれのバッテリーパックをシステムにそれぞれ接続して放電することなく、複数のバッテリーパックを一括して放電することができるので、バッテリーパックのSOCを制御する時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の一実施形態に係るバッテリーパック管理装置を説明するためのブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るバッテリーパック管理装置を構成するバッテリーパック及び遠隔管理器を説明するためのブロック図である。
【
図3】本発明の他の実施形態に係るバッテリーパック管理装置を説明するためのブロック図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るバッテリーパック管理装置を用いたバッテリーパック管理方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施形態をより詳しく説明する。しかしながら、本発明は以下に開示される実施形態に何ら限定されるものではなく、異なる様々な形態に具体化されることが可能なものであって、以下の実施形態は、単に本発明の開示を完全たるものにし、通常の知識を有する者に発明の範ちゅうを完全に知らせるために提供されるものである。図中、色々な層及び各領域を明確に表現するために厚さを拡大して示しており、図中の同じ符号は、同じ構成要素を指し示すようにしている。
【0033】
図1は、本発明の一実施形態に係るバッテリーパック管理装置を説明するためのブロック図であり、
図2は、本発明の一実施形態に係るバッテリーパック管理装置を構成するバッテリーパック及び遠隔管理器を説明するためのブロック図である。
【0034】
図1及び
図2を参照すると、本発明の一実施形態に係るバッテリーパック管理装置は、少なくとも1つのバッテリーパック1000a~1000n:1000と、少なくとも1つのバッテリーパック1000と離隔し、無線通信を用いて少なくとも1つのバッテリーパック1000を管理するための遠隔管理器2000と、を備えていてもよい。ここで、バッテリーパック1000は、少なくとも1つ、好ましくは、2つ以上の複数からなり、遠隔管理器2000は、少なくとも1つ、例えば、特定の場所の所定の範囲にそれぞれ1つずつ設けられ得る。以下では、複数のバッテリーパック1000と1つの遠隔管理器2000とを備える場合を想定して説明する。すなわち、複数のバッテリーパック1000は、長期保管、搬送、廃棄など特定の状況に応じて特定の場所に導入されて設置することになる。例えば、長期保管のために所定の場所(例えば、保管倉庫)に複数のバッテリーパック1000が設置されてもよいし、搬送のために所定の空間(例えば、コンテナ)に複数のバッテリーパック1000が設置されてもよいし、廃棄のために所定の空間(例えば、野積場又は倉庫)に複数のバッテリーパック1000が設置されてもよい。このとき、複数のバッテリーパック1000のそれぞれは、無線通信を行うことができる。そして、遠隔管理器2000は、特定の場所に特定の状況に応じて配備されて当該状況又は場所に設置された複数のバッテリーパック1000を制御することができる。このとき、遠隔管理器2000は、無線通信が可能であって、複数のバッテリーパック1000を遠隔で制御することができる。すなわち、遠隔管理器2000は、長期保管のために保管倉庫に設置されたり、搬送のためにコンテナに収容されたり、廃棄のために野積場に保管されたりする複数のバッテリーパック1000を無線で制御することができる。このとき、遠隔管理器2000は、遠隔で、すなわち、複数のバッテリーパック1000と所定の距離だけ離れて無線通信を用いてバッテリーパック1000のSOCが特定の状況などに合うように調整されるように制御することができる。すなわち、バッテリーパック1000は、長期保管、搬送、廃棄などの特定の状況下で所定のレベル以下の充電量、すなわち、SOCを有さなければならず、本発明は、このために、遠隔管理器2000が当該状況に合ったSOCを有するようにバッテリーパック1000を遠隔で制御する。このような少なくとも1つのバッテリーパック1000と少なくとも1つの遠隔管理器2000を備える本発明の一実施形態に係るバッテリーパック管理装置について各構成要素ごとにさらに詳しく説明すれば、下記の通りである。
【0035】
1.バッテリーパック
【0036】
バッテリーパック1000は、充放電可能な複数のバッテリーセルを備えるバッテリー110と、遠隔管理器2000との通信のための通信部120と、バッテリー110の状態を測定するための測定部130と、測定部130を用いた測定データを用いてバッテリー110のSOCを推定するためのSOC推定部140と、SOC推定部140の推定結果と外部の遠隔管理器2000の環境設定値に応じた制御信号に基づいてバッテリー110のSOCを制御するための制御部150と、制御部150の制御信号に基づいてバッテリー110のSOCを調整するためのSOC調整部160と、を備えていてもよい。一方、バッテリーパック1000は、通常の動作の際に所定の電気電子装置に装着されて電気電子装置の駆動に必要な電気エネルギーを提供する。すなわち、バッテリーパック1000は、充放電可能であって、通常の動作に際して電気電子装置に電気エネルギーを提供し、長期保管、搬送又は廃棄の際の特定の状況下で遠隔管理器2000の制御に従ってSOCを調整するために放電される。バッテリーパック1000の通常の動作のために、制御部150により制御される充放電スイッチ(図示せず)が配備されてもよい。但し、本発明は、長期保管、搬送又は廃棄の際のバッテリーパック1000について記述するため、通常の動作時の構成については触れないものとする。
【0037】
前記通信部120、測定部130、SOC推定部140、制御部150は、バッテリーパックバッテリー管理装置(Pack BMS)を構成する各構成要素としてまとめられて構成され得る。
【0038】
1.1.バッテリー
【0039】
バッテリー110は、充電及び放電可能であって、電気電子装置の駆動に必要なエネルギーを提供することができる。すなわち、バッテリー110は、充電されて所定の容量の電気エネルギーを貯蔵し、放電されて電気電子装置の動作のための電気エネルギーを提供することができる。このようなバッテリー110は、少なくとも1つのバッテリーパックを備えていてもよく、バッテリーパックは、複数のバッテリーモジュールを備えていてもよい。また、バッテリーモジュールは、充放電可能な複数のバッテリーセルを備えていてもよい。すなわち、バッテリー110は、複数のバッテリーセルを備え、複数のバッテリーセルを所定の単位で束ねてバッテリーモジュールを構成してもよいし、あるいは、複数のバッテリーモジュールが1つのバッテリーパックを構成してもよい。一方、複数のバッテリーセルは、電気電子装置のスペック(specification)に見合うように様々な方法により直列に及び/又は並列に接続されてもよい。いうまでもなく、複数のバッテリーセルをそれぞれ備える複数のバッテリーモジュール又はバッテリーパックもまた、直列に及び/又は並列に接続されてもよい。ここで、バッテリーセルの種類は特に限定されるものではなく、例えば、リチウムイオンバッテリー、リチウムポリマーバッテリー、ニッケルカドミウムバッテリー、ニッケル水素バッテリー、ニッケル亜鉛バッテリーなどから構成することができる。
【0040】
1.2.通信部
【0041】
通信部120は、バッテリーパック1000と遠隔管理器2000との間の通信のために設けられてもよい。このような通信部120は、遠隔管理器2000から所定の信号の供給を受けて制御部150に引き渡す。このとき、通信部120を介して遠隔管理器2000から供給される信号は、環境設定値を含み得るが、環境設定値は、特定の状況、特定の場所に応じてバッテリーパックのSOCを管理するためのターゲット(target)SOCを備えていてもよい。すなわち、バッテリーパック1000の長期保管、搬送又は廃棄に応じてターゲットSOCが異なっていてもよく、当該状況に応じたターゲットSOC信号を遠隔管理器2000から通信部120が受信することができる。このような特定の状況及び場所に応じたターゲットSOCを含む環境設定値は、所定の信号として通信部120を介して制御部150に供給されてもよい。また、通信部120を介して遠隔管理器2000からウェイクアップ(wakeup)信号を入力してもよい。通信部120を介して入力されたウェイクアップ信号に基づいて休止(IDLE)状態の制御部150がウェイクアップされ、次いで、通信部120を介してSOC設定信号の供給を受けて制御部150が特定の状況、特定の場所に合うようにバッテリーパック1000のSOCを調整することができる。このとき、ウェイクアップ信号は、所定の周期にて遠隔管理器2000から通信部120を介して受信されてもよい。したがって、バッテリーパック1000は、所定の周期にてウェイクアップされることが可能になる。また、通信部120は、バッテリーパック1000のSOC推定値を遠隔管理器2000に送信することもできる。すなわち、通信部120は、バッテリーパック1000がウェイクアップされた後に推定された初期のSOCを遠隔管理器2000に送信することができる。このような通信部120は、様々な方式の通信モジュールが採用可能であり、例えば、ブルーテゥース(登録商標)(Bluetooth)、ジグビー(登録商標)(Zigbee)などの無線通信モジュールを利用することができる。
【0042】
1.3.測定部
【0043】
測定部130は、バッテリー110の状態を測定するために設けられてもよい。測定部130は、バッテリー110の電圧、電流及び温度などの状態を測定する。このために、測定部130は、電圧を測定する電圧センサー、電流を測定する電流センサー、温度を測定する温度センサーを備えていてもよい。このとき、測定部130は、バッテリーモジュール及びバッテリーセルの電流及び電圧などの状態を測定することができる。すなわち、複数のバッテリーセルのそれぞれの状態を測定してもよいし、あるいは、複数のバッテリーセルが束ねられたバッテリーモジュールの状態を測定してもよい。このために、測定部130は、複数のセンサーを備えていてもよい。すなわち、少なくとも1つの電圧センサー、少なくとも1つの電流センサー及び少なくとも1つの温度センサーを備えていてもよい。電圧センサー、電流センサー及び温度センサーは、バッテリー110の電圧、電流及び温度を周期的に測定し、測定結果をSOC推定部140に与える。測定結果は、アナログ信号又はデジタル信号としてSOC推定部140に与えられてもよい。電圧センサーは、バッテリー110の正極と負極との間に印加される電圧を測定してSOC推定部140に与える。電圧センサーは、一例として、バッテリー110の正極端子及び負極端子の間の電圧差に見合う電圧信号を出力する差動増幅回路を備えていてもよい。ここで、電圧センサーは、交流電圧を測定することができる。また、電流センサーは、センス抵抗又はホールセンサーであって、充電電流の大きさに見合う信号を生成してSOC推定部140に与える。電流センサーは、充電電流のみならず、放電電流の大きさをも測定することができる。ここで、電流センサーは、交流電流を測定することができる。そして、温度センサーは、一例として、温度の測定に用いられるサーマルカプラーであってもよい。温度センサーは、バッテリー110の温度に見合う信号を生成してSOC推定部140に与える。
【0044】
1.4.SOC推定部
【0045】
SOC推定部140は、バッテリー110のSOCを推定する。SOCを推定するために多種多様な方式が採用可能である。まず、第一の方法として、SOH推定部(図示せず)において推定されたバッテリー110の容量と測定部130において測定されて平均値が算出されたバッテリー110の電流を用いてバッテリー110のSOCを推定することができる。すなわち、SOC推定部140は、算出された平均電流値を所定の時間の間に積算し、これをSOH推定部において推定されたバッテリー容量(Capacity)で割ってバッテリー110のSOCを推定することができる。第二の方法として、SOC推定部140は、バッテリー110の開回路電圧(OCV:Open Circuit Voltage)を用いてSOCを推定することができる。すなわち、初期のOCVテーブルを参照して、測定部130において測定されたOCVとマッチングされたSOCを取り出すことによりSOCを推定することができる。例えば、測定部130において測定されたOCVが3560mVであれば、OCVテーブルを参照してSOCが40%であることを推定することができる。このとき、OCVを用いて初期のSOCを推定し、放電電流を測定してSOCを推定することもできる。第三の方法として、SOC推定部140は、バッテリー110のインピーダンスを測定してSOCを推定することができる。第四の方法として、SOC推定部140は、バッテリー110の充電及び放電後の測定データを用いてそれぞれバッテリーのSOCを推定する。例えば、SOC推定部140は、バッテリーの放電が起こる場合、放電後に第1のSOCを算出し、放電後に充電が行われ続ける場合、充電後に第2のSOCを算出する。また、充電後に再放電が行われ続ける場合、再放電後に第3のSOCを算出する。そして、このような動作を繰り返し行う。この場合、SOC推定部140は、カルマンフィルター(Kalman Filter)又は拡張カルマンフィルター(Extended Kalman Filter)に基づいて、電圧、電流及び温度の測定値の情報を用いてバッテリーのSOCを推定することができる。すなわち、SOC推定部140は、バッテリーのOCV、内部抵抗、及び抵抗-キャパシター並列回路が直列に接続された等価回路としてモデリングし、このような等価回路モデルの因子を変数とする線状又は非線状の関数と電流積算方法を用いてSOCを推定し、測定部130によりリアルタイムにて生成されるセンシングデータと算出された平均電圧及び電流を用いて推定されたSOCを補正することにより、バッテリーに対するSOCを推定することができる。
【0046】
1.5.制御部
【0047】
制御部150は、SOC推定部140におけるバッテリー110の状態推定結果に基づいて、バッテリー110の管理及び制御を行うための制御信号を生成することができる。このとき、制御部150は、通信部120を介して外部の遠隔管理器2000から供給されるターゲットSOCに基づいてバッテリー110を管理する。すなわち、制御部150は、SOC推定部140からバッテリー110のSOC推定値、すなわち、パックSOCの供給を受け、通信部120を介して遠隔管理器2000からターゲットSOCの供給を受けてパックSOCとターゲットSOCとを比較する。比較の結果、ターゲットSOCがパックSOCよりも高ければ(すなわち、パックSOCがターゲットSOCよりも低ければ)、特定の状況下でのバッテリーパックの充電状態、すなわち、SOCが低いと判断する。逆に、比較の結果、ターゲットSOCがパックSOCよりも低ければ(すなわち、パックSOCがターゲットSOCよりも高ければ)、特定の状況下でのバッテリーパックの充電状態、すなわち、SOCが高いと判断する。ターゲットSOCがパックSOCよりも低ければ、ターゲットSOC以下にパックSOCを減らさなければならない。このために、制御部150は、所定の制御信号(すなわち、SOC制御信号)を生成してSOC調整部160に供給し、SOC調整部160を介してバッテリー110が放電されてパックSOCを減らすようにする。また、制御部150は、パックSOCがターゲットSOCよりも低くなるまでバッテリー110の放電を行い続けることになる。一方、制御部150は、SOC制御信号を印加してSOC調整部160を介してバッテリー110を放電してパックSOCを調整する間にSOC調整部160の放電抵抗162を介して流れる電流を測定する。放電抵抗162は、可変抵抗からなり得、制御部150は、放電抵抗162を流れる電流、すなわち、放電電流Ivarとしきい値電流Ithとを比較して放電電流Ivarがしきい値電流Ithに等しくなるか、あるいはそれよりも小さくなるまで放電抵抗162の抵抗値を調整することができる。ここで、しきい値電流Ithは、バッテリーパック製造社の指定値をもって放電するときにバッテリーパックの温度が過剰に高過ぎないように設定され得る。また、放電抵抗の抵抗値は、パックSOCとターゲットSOCとの差をしきい値として段階的に調整可能である。すなわち、より早い時間にSOCを調整するために放電抵抗を低く設定することができる。
【0048】
1.6.SOC調整部
【0049】
SOC調整部160は、バッテリー110の充電された電荷を放電してバッテリー110のSOCを減らすために設けられてもよい。このために、SOC調整部160は、バッテリー110及び制御部150と接続されて制御部150の制御信号に基づいてバッテリー110の電荷を放電し、それによりバッテリー110のSOCを低くすることができる。このようなSOC調整部160は、バッテリー110と接続されたスイッチ161と、スイッチ161と接続された放電抵抗162と、を備えていてもよい。このとき、スイッチ161と放電抵抗162とは直列に接続されてもよい。スイッチ161は、制御部150からの制御信号に基づいてオン/オフに制御されてもよい。例えば、スイッチ161は、所定のハイレベルの制御信号に応答してターンオンされてもよい。これに対し、スイッチ161は、ロウレベルの制御信号に応答してターンオフされてもよい。スイッチ161がターンオンされる間にバッテリー110の電気エネルギーが放電抵抗162により消耗されることにより、バッテリーパックのSOCが次第に低くなることができる。一方、放電抵抗162は可変抵抗であってもよい。ここで、放電抵抗162は、SOCを調整する間に抵抗が可変になってもよい。すなわち、放電抵抗162を介して流れる電流、すなわち、放電電流Ivarを測定して、放電電流Ivarが所定のしきい値電流Ithよりも高ければ、放電抵抗162の抵抗値を増加させてバッテリー110を放電してもよい。このとき、放電電流Ivarがしきい値電流Ithよりも低くなるまで放電抵抗162の抵抗値を増加させながらバッテリー110を放電することになる。
【0050】
また、SOC調整の速度を高めようとする場合には、放電電流Ivar値を高く設定するために放電抵抗値を低く調整しなければならないが、上述したように、バッテリーの安全のために放電電流Ivarがしきい値電流Ithよりも低い範囲内において調整する。
【0051】
2.遠隔管理器
【0052】
遠隔管理器2000は、少なくとも1つ、例えば、特定の場所の所定の範囲にそれぞれ1つずつ設けられてもよい。すなわち、遠隔管理器2000は、通信可能な範囲に設けられてもよいが、遠隔管理器2000とバッテリーパック1000との間の通信感度及び複数のバッテリーパック1000が設置される場所の広さなどに応じて少なくとも1つ設けられてもよい。例えば、遠隔管理器2000は、所定の場所に1つ設けられてもよいし、あるいは、所定の場所に所定の間隔を隔てて複数設けられてもよい。このような遠隔管理器2000は、複数のバッテリーパック1000との通信のための通信部210と、バッテリーパック1000のSOCを遠隔で管理するための管理部220と、を備えていてもよい。
【0053】
2.1.通信部
【0054】
通信部210は、バッテリーパック1000と遠隔管理器2000との間の通信のために設けられてもよい。すなわち、遠隔管理器2000の通信部210は、バッテリーパック1000の通信部120と無線で通信する。このような通信部210は、管理部220からの環境設定値に応じた制御信号、すなわち、ターゲットSOC信号を複数のバッテリーパック1000に送信することができる。このような通信部210は、多種多様な方式の通信モジュールが採用可能であり、例えば、ブルーテゥース(登録商標)(Blue tooth)、ジグビー(登録商標)(Zigbee)などの無線通信モジュールを利用することができる。
【0055】
2.2.管理部
【0056】
管理部220は、特定の状況に応じて特定の場所に設置される複数のバッテリーパック1000を管理するために設けられてもよい。すなわち、管理部220は、バッテリーパック1000の長期保管、搬送又は廃棄のために特定の場所に設置される複数のバッテリーパック1000を特定の状況に合ったSOCを有するように制御することができる。このとき、管理部220は、特定の状況に応じた環境設定値の制御信号を生成することができる。環境設定値は、特定の状況、特定の地域に応じてバッテリーパック1000のSOCを管理するためのターゲットSOC信号を含んでいてもよい。すなわち、バッテリーパック1000の長期保管、搬送又は廃棄に応じてターゲットSOCが異なっていてもよく、当該状況に応じたターゲットSOC信号を管理部220が生成することができる。例えば、長期保管及び搬送の場合、ターゲットSOCを20%~30%に設定することができ、廃棄の場合、ターゲットSOCを0%に設定することができる。このような特定の状況に応じたターゲットSOCは、所定のメモリ部(図示せず)に記憶されてもよく、管理部220は、メモリ部に記憶された情報データを読み込んで通信部210を介してバッテリーパック1000に伝送することができる。また、ターゲットSOCは、管理者が特定の状況に応じて調整してメモリ部に記憶することができる。一方、管理部220は、特定の場所に設置された複数のバッテリーパック1000をウェイクアップするためのウェイクアップ信号を生成して通信部210を介して複数のバッテリーパック1000に伝送することができる。
【0057】
上記のようにして構成される本発明の一実施形態に係るバッテリーパック1000は、通信部120を備えて外部装置、すなわち、遠隔管理器2000からの制御信号に基づいてバッテリーパック1000のSOCを調整することができる。すなわち、本発明のバッテリーパック管理装置は、少なくとも1つのバッテリーパック1000が特定の状況に応じて特定の場所に設置されることになり、遠隔管理器2000からの制御信号に基づいてバッテリーパック1000のSOCを特定の状況に合うように調整することになる。このために、バッテリーパック1000は、通信部120が遠隔管理器2000から制御信号を入力して制御部150に引き渡し、制御部150は、測定部130を介して測定されたバッテリー110の状態に応じてSOC推定部140において推定されたバッテリーパックのSOCを遠隔管理器2000から入力されたターゲットSOCと比較してSOC調整部160を用いてバッテリーパックのSOCを調整することになる。このとき、制御部150は、遠隔管理器2000からのターゲットSOCとSOC推定部140を用いたパックSOCとを比較して、パックSOCがターゲットSOCよりも高ければ、SOC調整部160を用いてバッテリー110を放電してパックSOCを低くすることになる。要するに、本発明は、複数のバッテリーパック1000が特定の状況に応じて特定の場所に設置されると、遠隔管理器2000の制御に従ってバッテリーパックが特定の状況に合ったSOCを有するようにバッテリーパック1000を無線で制御することになる。したがって、本発明は、バッテリーパックの搬送、保管又は廃棄の際に当該場所にバッテリーパックを設置されるだけでも、当該環境下で与えられる無線制御信号を用いてバッテリーパックが好適な状態に自動的に制御されるようにすることができる。すなわち、複数のバッテリーパックのそれぞれのSOCを確認するためにそれぞれのバッテリーパックをシステムにそれぞれ接続して放電することなく、複数のバッテリーパックを一括して放電することができるので、バッテリーパックのSOCを制御する時間を短縮することができる。
【0058】
一方、本発明は、複数のバッテリーパック1000が所定の容器に収容されて特定の場所に設置されてもよい。すなわち、
図3に示されているように、複数のバッテリーパック1000がバッテリーラック3000に収容されて特定の場所に収容されてもよい。いうまでもなく、特定の場所にバッテリーラック3000が設けられ、複数のバッテリーパック1000がバッテリーラック3000に収容されることにより、複数のバッテリーパック1000が特定の場所に設置されてもよい。このとき、バッテリーラック3000は、複数のバッテリーパック1000と通信可能である。すなわち、バッテリーラック3000が複数のバッテリーパック1000のそれぞれと有線又は無線にて接続されてもよい。このために、バッテリーラック3000に有線通信端子又は無線通信端子が設けられてもよい。また、複数のバッテリーパック1000と通信により接続されたバッテリーラック3000は、無線管理器2000と無線で接続されてもよい。したがって、無線管理器2000の環境設定値に応じたターゲットSOC信号がバッテリーラック3000を介して複数のバッテリーパック1000にそれぞれ供給されることが可能になる。
【0059】
一方、本発明の遠隔管理器は、バッテリーパックが装着されるバッテリーラック(図示せず)を備えていてもよく、バッテリーラックに装着されるバッテリーパックは、遠隔管理器と有線通信により接続できるように、バッテリーラックにはバッテリーパック通信接続部が配備されてもよい。この場合、上述したバッテリーパックは、有線通信接続部を備えるように構成されてもよい。
【0060】
図4は、本発明の一実施形態に係るバッテリーパック管理装置を用いたバッテリーパック管理方法を説明するためのフローチャートである。
【0061】
図4を参照すると、本発明の一実施形態に係るバッテリーパック管理方法は、特定の状況に応じて複数のバッテリーパック1000が特定の場所に導入する過程(S110)と、複数のバッテリーパック1000がウェイクアップ信号を入力してウェイクアップされる過程(S120)と、複数のバッテリーパック1000のそれぞれがそれぞれのパックSOCを推定する過程(S130)と、特定の場所に設置された遠隔管理器2000からターゲットSOC信号を受信する過程(S140)と、複数のバッテリーパック1000のそれぞれがそれぞれのパックSOCとターゲットSOCとを比較する過程(S150)と、比較の結果、パックSOCがターゲットSOCよりも低い場合に、バッテリーパック1000が放電済みである旨を遠隔管理器2000に伝える過程(S160)と、比較の結果、パックSOCがターゲットSOCよりも高い場合に、バッテリーパック1000のバッテリー110を放電してSOCを調整する過程(S170)と、バッテリーのSOCを調整する間に放電電流I
varを測定してしきい値電流I
thと比較する過程(S180)と、放電電流I
varがしきい値電流I
thよりも高ければ、放電抵抗の抵抗値を増加させて放電電流I
var値を低くする可変抵抗調整過程(S190)と、を含んでいてもよい。このような本発明の一実施形態に係るバッテリーパック管理方法を各過程ごとにさらに詳しく説明すれば、下記の通りである。
【0062】
S110:複数のバッテリーパック1000は、長期保管、搬送、廃棄など特定の状況に応じて特定の場所に導入されて設置される。例えば、長期保管のために所定の場所(例えば、保管倉庫)に複数のバッテリーパック1000が設置されてもよいし、搬送のために所定の空間(例えば、コンテナ)に複数のバッテリーパック1000が設置されてもよいし、廃棄のために所定の空間(例えば、野積場又は倉庫)に複数のバッテリーパック1000が設置されてもよい。このとき、複数のバッテリーパック1000のそれぞれは、無線にて通信可能である。そして、遠隔管理器2000は、特定の場所に特定の状況に応じて配備されて当該状況下で当該場所に設置された複数のバッテリーパック1000を制御することができる。このとき、遠隔管理器2000は、無線にて通信可能であって、複数のバッテリーパック1000を遠隔で制御することができる。すなわち、遠隔管理器2000は、長期保管のために保管倉庫に設置されたり、搬送のためにコンテナに収容されたり、廃棄のために野積場に保管されたりする複数のバッテリーパック1000を無線にて制御することができる。一方、バッテリーパック1000は、通常の動作に際して電気電子装置に装着されて電気電子装置に電気エネルギーを提供する。したがって、本発明は、バッテリーパック1000が電気電子装置に装着される前に、又は装着された後であっても、電気電子装置から取り外して特定の状況下で特定の場所に搬入される。
【0063】
S120:複数のバッテリーパック1000が遠隔管理器2000の設置された特定の場所に搬入されると、遠隔管理器2000の管理部220は、ウェイクアップ信号を生成して通信部210を介して複数のバッテリーパック1000に伝送する。複数のバッテリーパック1000は、遠隔管理器2000からウェイクアップ信号を入力してウェイクアップされる。すなわち、複数のバッテリーパック1000のそれぞれの通信部120は、遠隔管理器2000の通信部210からウェイクアップ信号を入力して制御部150に引き渡し、制御部150は、ウェイクアップ信号を入力してバッテリーパック1000をウェイクアップさせる。ウェイクアップ信号に基づいて制御部150がバッテリー110を駆動したり、バッテリーパック1000の内部に設けられた所定の電源供給部(図示せず)を駆動したりして、バッテリーパック1000をウェイクアップさせる。バッテリー110又は所定の電源供給部からバッテリーパック1000をなす構成要素、すなわち、測定部130、SOC推定部140、制御部150に電源が供給されることにより、バッテリーパック1000がウェイクアップされる。いうまでもなく、ウェイクアップ信号は、制御部150を経ることなく、バッテリー110又は所定の電源供給部に印加されてもよく、それにより、バッテリー110又は所定の電源供給部からバッテリーパック1000の構成要素に電源が供給されることにより、バッテリーパック1000がウェイクアップされてもよい。一方、ウェイクアップ信号は、所定の周期にて入力されてもよい。すなわち、遠隔管理器2000から所定の周期にてウェイクアップ信号が入力されてバッテリーパック1000が所定の周期にてウェイクアップされてもよい。
【0064】
S130:バッテリーパック1000がウェイクアップされた後、バッテリーパック1000のSOC、すなわち、パックSOCを推定し、推定された初期のSOCを通信部120を介して遠隔管理器2000に送信する。SOCを推定するために多種多様な方式が採用可能である。まず、第一の方法として、SOH推定部(図示せず)において推定されたバッテリー110の容量と測定部130において測定されて平均値が算出されたバッテリー110の電流を用いてバッテリー110のSOCを推定することができる。すなわち、SOC推定部140は、算出された平均電流値を所定の時間の間に積算し、これをSOH推定部において推定されたバッテリー容量(Capacity)で割ってバッテリー110のSOCを推定することができる。第二の方法として、SOC推定部140は、バッテリー110のOCV(Open Circuit Voltage)を用いてSOCを推定することができる。すなわち、初期のOCVテーブルを参照して、測定部130において測定されたOCVとマッチングされたSOCを取り出すことにより、SOCを推定することができる。このとき、OCVを用いて初期のSOCを推定し、放電電流を測定してSOCを推定してもよい。これらの他に様々な方法を用いてパックSOCを推定することができる。
【0065】
S140:バッテリーパック1000の初期のSOCを送信した後、バッテリーパック1000は、遠隔管理器2000からターゲットSOC信号を受信することができる。すなわち、遠隔管理器2000の管理部220から生成されたターゲットSOC信号を通信部210を介してバッテリーパック1000の通信部120に伝送し、通信部120は、これを受信して制御部150に引き渡すことができる。ここで、遠隔管理器2000の管理部220は、バッテリーパック1000の長期保管、搬送又は廃棄のために特定の場所に設置された複数のバッテリーパック1000のSOCを管理するためのターゲットSOC信号を生成することができる。すなわち、バッテリーパック1000の長期保管、搬送又は廃棄に応じてターゲットSOCが異なっていてもよく、当該状況に応じたターゲットSOC信号を管理部220が生成することができる。例えば、長期保管及び搬送の場合に、ターゲットSOCを20%~30%に設定してもよいし、あるいは、廃棄の場合に、ターゲットSOCを0%に設定してもよい。
【0066】
遠隔管理器2000の管理部220は、受信したバッテリーパック1000の初期のSOCとターゲットSOCとを比較して、外部放電信号をバッテリーに伝送することができる。このとき、外部放電信号とともに、又は単独にて前記初期のSOCとターゲットSOCとの差に応じて放電速度を指定する第1の放電速度指定信号をバッテリーに伝送することができる。
【0067】
S150:複数のバッテリーパック1000がパックSOCとターゲットSOCとを比較する。すなわち、制御部150は、SOC推定部140において推定されたパックSOCと遠隔管理器2000から通信部120を介して受信されたターゲットSOCとを比較する。例えば、制御部150は、パックSOCがターゲットSOCよりも大きいか否かを比較して判断する。
【0068】
S160:パックSOCとターゲットSOCとを比較して、パックSOCがターゲットSOCよりも小さければ、バッテリーパック1000が特定の状況に合ったSOCを有している旨を遠隔管理器2000に送信する。すなわち、パックSOCがターゲットSOCよりも小さければ、バッテリー110が所定のレベル以下に放電された状態である旨を遠隔管理器2000に所定の信号として送信する。
【0069】
S170:しかしながら、パックSOCがターゲットSOCよりも大きければ、制御部150は、SOC制御信号を生成してSOC調整部160に印加する。SOC調整部160は、SOC制御信号を入力してバッテリー110を放電することになる。すなわち、SOC調整部160は、スイッチ161及び放電抵抗162を備えるスイッチ161が制御部150からのSOC制御信号に基づいてターンオンされてバッテリー110に充電された電荷を放電抵抗162を介して放電することになる。SOC調整部160を用いてバッテリー110を放電することにより、パックSOCを調整することになる。このようなパックSOCの調整は、パックSOCがターゲットSOCよりも低くなるまで行うことになる。
【0070】
このとき、制御部150は、前記第1の放電速度指定信号を受信してSOC調整部160に引き渡したり、パックSOCとターゲットSOCとを比較してその差に基づく第2の放電速度指定信号を生成してSOC調整部160に引き渡したりすることができる。
【0071】
第1又は第2の放電速度指定信号がある場合、後述する放電抵抗162の値を指定された放電速度に合わせて調整することができる。放電速度を高めようとする場合、放電抵抗の抵抗値を低くして放電電流を高めることができる。しかしながら、放電速度を高めるために放電抵抗162の抵抗値を低くする場合であっても、下記のステップS190において説明する通り、放電電流Ivarがしきい値電流Ithよりも高ければ、放電抵抗の抵抗値を増加させる。
【0072】
S180:制御部150は、SOC制御信号を印加してSOC調整部160を介してバッテリー110を放電してパックSOCを調整する間にSOC調整部160の放電抵抗162を介して流れる電流を測定する。放電抵抗162は可変抵抗からなり得、制御部150は、放電抵抗162を流れる電流、すなわち、放電電流Ivarとしきい値電流Ithとを比較する。
【0073】
S190:放電抵抗を介して流れる放電電流Ivarと所定のしきい値電流Ithとを比較して放電電流Ivarがしきい値電流Ithよりも高ければ、放電抵抗162の抵抗値を増加させることができる。ここで、しきい値電流Ithは、バッテリーパック製造社の指定値をもって放電するときにバッテリーパックの温度が過剰に高過ぎないように設定される安全な電流値であってもよく、バッテリー放電安全電流値である。
【0074】
上述したように、本発明の技術的思想は、前記実施形態に基づいて具体的に記述されたが、前記実施形態はその説明のためのものであり、その制限のためのものではないということに留意すべきである。なお、本発明の技術分野における当業者であれば、本発明の技術思想の範囲内において種々の実施形態が実施可能であるということが理解できる筈である。
【0075】
本発明の図面において使われている符号及びその名称は、下記の通りである。
【符号の説明】
【0076】
1000:バッテリーパック
2000:遠隔管理器
3000:バッテリーラック
110:バッテリー
120:通信部
130:測定部
140:SOC推定部
150:制御部
160:SOC調整部
210:通信部
220:管理部
【国際調査報告】