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▶ コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】永久歯萌出評価
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/00 20180101AFI20241108BHJP
【FI】
G16H10/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529750
(86)(22)【出願日】2022-11-07
(85)【翻訳文提出日】2024-06-12
(86)【国際出願番号】 EP2022080891
(87)【国際公開番号】W WO2023088697
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】63/281,902
(32)【優先日】2021-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】22170447.1
(32)【優先日】2022-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ヘラオウイ リム
(72)【発明者】
【氏名】ブランダオ シルヴァ プリシラ
(72)【発明者】
【氏名】ルメイリー アミール フセイン
(72)【発明者】
【氏名】コーイマン ヘルベン
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン マーク トーマス
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA03
5L099AA15
(57)【要約】
幼児の永久歯萌出に関連する指導を提供するための処理装置及び方法。実施形態は、第一生歯(乳歯)の歯可動性の得られた指標を事前に決定されたアルゴリズム又は決定手段を用いて処理し、アルゴリズム又は決定手段の結果に応じて起こり得る永久歯萌出に関するプロンプトを生成することを提案する。上記プロンプトは、関連する歯の部位での永久歯萌出を確認する勧告であってもよい。上記プロンプトは、永久歯萌出状態の予測又は推定であってもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力/出力と、
1つ又は複数のプロセッサとを備える、口腔ケアデバイス用処理装置であって、
前記1つ又は複数のプロセッサは、
前記口腔ケアデバイスのユーザの口内の少なくとも1つの乳歯の歯可動度の示度を得ることと、
前記歯可動度を、歯可動性に対する少なくとも1つの事前に定義された基準に従って評価することと、
前記少なくとも1つの事前に定義された基準を満たす前記歯可動度に応答して、前記少なくとも1つの乳歯の部位での永久歯萌出状態の指標を得ることであって、前記少なくとも1つの乳歯の前記部位での前記永久歯萌出状態の前記指標を得ることが、
ユーザインタフェース要素に、前記少なくとも1つの乳歯の前記部位での永久歯の萌出をユーザが手動で確認することを推奨するプロンプトを生成させるために、前記入力/出力で出力信号を生成すること、
前記少なくとも1つの乳歯の感知データ若しくは画像データに基づいて前記永久歯萌出状態の前記指標の獲得を制御するために、前記入力/出力で制御信号を生成すること、又は、
前記歯可動度の前記示度若しくはその履歴値に基づいて前記永久歯萌出状態の前記指標を判定すること、に基づくことと、
前記歯可動度及び前記永久歯萌出状態の前記指標に応じて乳歯抜歯勧告を生成することと、
前記勧告を示すデータ出力を生成することと、
を行う、口腔ケアデバイス用処理装置。
【請求項2】
口腔洗浄セッション中に前記口腔ケアデバイスを用いて行われる口腔洗浄行為に関連する感知データを前記入力/出力でさらに受け取り、前記歯可動度が前記感知データに基づいて求められる、請求項1に記載の口腔ケアデバイス用処理装置。
【請求項3】
前記口腔ケアデバイスの少なくとも1つの洗浄要素の動作又は加えられる負荷力若しくは圧力を示す感知信号を、ある期間にわたり前記入力/出力で受け取ることであって、前記期間が前記口腔洗浄セッション中に前記少なくとも1つの洗浄要素が少なくとも1つの歯と機械的に係合する期間に対応し、前記歯が前記少なくとも1つの乳歯である、前記感知信号を受け取ることと、
前記感知信号の処理に基づき前記少なくとも1つの歯の前記歯可動度を示す尺度を求めることと、
を行う、請求項1又は2に記載の口腔ケアデバイス用処理装置。
【請求項4】
前記期間中の1つ又は複数の信号波形の特性を抽出し、抽出された前記1つ又は複数の信号波形の特性に応じて前記歯可動度を示す前記尺度を求めるために、前記感知信号の前記信号波形をさらに処理する、請求項3に記載の口腔ケアデバイス用処理装置。
【請求項5】
前記永久歯萌出状態の前記指標が、
萌出若しくは非萌出を示すバイナリパラメータ、又は、
萌出のレベルを示す段階スコアを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の口腔ケアデバイス用処理装置。
【請求項6】
前記永久歯萌出状態の前記指標が、
得られた前記歯可動度を事前に決定された歯萌出アルゴリズムで処理することによって、
画像取得デバイスから前記入力/出力で受け取られる、前記少なくとも1つの乳歯の前記部位の画像データに基づいて、且つ事前に決定された画像分析アルゴリズムによる前記画像データの処理に基づいて、且つ/又は、
前記永久歯萌出状態を示す前記ユーザインタフェース要素からのユーザ入力信号を前記入力/出力で受け取ることに基づいて、
得られる、請求項1から5のいずれか一項に記載の口腔ケアデバイス用処理装置。
【請求項7】
前記1つ又は複数のプロセッサが、
前記ユーザの前記少なくとも1つの歯に対する履歴歯可動性データを記録するデータストアにアクセスし、且つ、
前記履歴歯可動性データ及び求められた前記歯可動度に基づいて前記ユーザの前記少なくとも1つの歯に対する前記歯可動度の長期的傾向を求め、
前記永久歯萌出状態の前記指標が前記長期的傾向に応じて判定される、請求項1から6のいずれか一項に記載の口腔ケアデバイス用処理装置。
【請求項8】
前記乳歯抜歯勧告が、前記少なくとも1つの歯が抜歯されるべきか否かを示すバイナリ勧告を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の口腔ケアデバイス用処理装置。
【請求項9】
前記乳歯抜歯勧告を決定することが前記ユーザの人口統計学的分類にさらに基づき、且つ/又は、
前記処理装置が、ユーザインタフェースから前記ユーザの主観的不快レベルを示す入力をさらに受け取り、前記乳歯抜歯勧告を決定することが前記主観的不快レベルにさらに基づく、請求項1から8のいずれか一項に記載の口腔ケアデバイス用処理装置。
【請求項10】
前記乳歯抜歯勧告が、
前記永久歯萌出状態が陽性であること、及び、
前記可動性が事前に決定された抜歯閾値を超えること、
の両方である場合において、前記歯の抜歯を行う勧告となる、請求項1から9のいずれか一項に記載の口腔ケアデバイス用処理装置。
【請求項11】
支持体と、
口腔表面と係合するための複数の洗浄要素であって、前記洗浄要素が前記支持体の表面から突出する、洗浄要素と、
請求項1から10のいずれか一項に記載の処理装置と、
を備える、口腔ケアデバイス。
【請求項12】
少なくとも1つの前記洗浄要素の動作又は加えられる負荷力若しくは圧力を示す尺度を感知するセンサ手段をさらに備える、請求項11に記載の口腔ケアデバイス。
【請求項13】
口腔ケアデバイスのユーザの口内の少なくとも1つの乳歯の歯可動度の示度を得るステップと、
前記歯可動度を、可動性に対する少なくとも1つの事前に定義された基準で評価するステップと、
前記少なくとも1つの事前に定義された基準を満たす前記歯可動度に応答して、前記少なくとも1つの乳歯の部位での永久歯萌出状態の指標を得るステップであって、前記少なくとも1つの乳歯の前記部位での前記永久歯萌出状態の前記指標を得るステップが、
ユーザインタフェース要素に、前記少なくとも1つの乳歯の前記部位での永久歯の萌出をユーザが手動で確認することを推奨するプロンプトを生成させるために、出力信号を生成すること、
前記少なくとも1つの乳歯の感知データ若しくは画像データに基づいて前記永久歯萌出状態の前記指標の獲得を制御するために、制御信号を生成すること、又は、
前記歯可動度の前記示度若しくはその履歴値に基づいて前記永久歯萌出状態の前記指標を判定すること、に基づく、ステップと、
前記歯可動度及び前記永久歯萌出状態の前記指標に応じて乳歯抜歯勧告を生成するステップと、
前記勧告を示すデータ出力を生成するステップと、
を有する、コンピュータ実施方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば口腔ケアデバイスの使用中に得られる感知データを用いて、幼児の永久歯萌出に関連するユーザ支援を提供するためのデバイス及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大抵の場合、第一生歯(乳歯)は自然過程によって幼児の口から抜け、永久歯(大人の歯)によってすぐに置き換えられる。しかし、一部の場合において、乳歯の脱落及び永久歯の萌出は非同期的になる場合がある。例えば、一部の場合において、永久歯は乳歯が抜ける前に第2の列として萌出する。一部の他の場合において、乳歯は永久歯の準備ができる前に抜ける。従って、一部の場合において、永久歯のための空間を作るために手動で抜歯を行うことが必要とされる。抜歯が必要か否かを見極めること、及びそのような抜歯の最適なタイミングを見極めることは、特に経験のない親にとっては容易ではない。
【0003】
歯の可動性は、抜歯が可能な時期について、ある程度の指針を親にもたらすことが可能である。しかし、例えば咀嚼力による、通常の(生理学的な)歯の可動性は異なる歯の間で変動し、例えば40μm(臼歯)から120μm(切歯)に及ぶ。従って、親は、通常の歯の可動性を乳歯が抜歯されるべき指標として取り違える場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
可動性のある乳歯を抜歯の準備が整う前に抜歯することで、出血及び痛みを引き起こすおそれがある。それは感染のリスクを生むおそれもある。それは、例えば永久歯がしばらくは萌出しない可能性が高い場合にスペーサを挿入することなど、治療行為が複雑化し必要になることにさらにつながる。これに加えて、抜歯した歯により形成された空き空間に近傍の歯がずれ、永久歯が密になるか又は隙間を生じる問題が起きる。これは永久歯の不正咬合の既知の原因である。20~65%の子供が少なくとも1回の早すぎる抜歯を経験したことがあると報告されている。第一生歯の早すぎる喪失又は抜歯は、臨床的に関係する空間喪失及び歯列弓周長の減少をもたらすおそれがあると報告されている。
【0005】
それにもかかわらず、抜歯を行うまで長く待ちすぎると、子供に不必要な不快感を与えるおそれがある。それは感染のリスクも上げ、対応する永久歯の成長に支障をきたすおそれもある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は特許請求の範囲によって定義される。
【0007】
本発明の一態様における例によれば、入力/出力、及び1つ又は複数のプロセッサを備える、口腔ケアデバイス用処理装置が提供される。
【0008】
上記1つ又は複数のプロセッサは、口腔ケアデバイスのユーザの口内の少なくとも1つの乳歯の歯可動度の示度を得るように、歯可動性に対する少なくとも1つの事前に定義された基準に従って歯可動度を評価するように、且つ上記少なくとも1つの事前に定義された基準を満たす歯可動度に応答して、
ユーザインタフェース要素に、少なくとも1つの乳歯の部位での永久歯の萌出をユーザが手動で確認することを推奨するプロンプトを生成させるために、入力/出力で出力信号を生成すること、
少なくとも1つの乳歯の感知データ若しくは画像データに基づいて永久歯萌出状態の指標の獲得を制御するために、入力/出力で制御信号を生成すること、又は、
歯可動度の示度若しくはその履歴値に基づいて永久歯萌出状態の指標を判定すること、を行うように、適合されている。
【0009】
従って、実施形態は、永久歯が萌出しているかどうか判断するために、且つ例えば親に萌出を手動で確認させるか又は萌出を自動的に確認させるプロンプトなどの応答行動をもたらすために、第一生歯(乳歯)の歯可動レベルがアルゴリズム的に処理される、自動意思決定支援を行うことを提案する。いくつかの実施形態において、処理装置は、抜歯を行うか否か(若しくはこれに関して専門的意見を求めるか)、及び/又は将来的にいつ抜歯が行われる若しくは予定される必要があり得るか、に関する勧告をも生成する。いくつかの実施形態において、口腔ケアデバイスを用いて獲得された感知データは、所与の歯の歯可動性のレベルを得ること、永久歯萌出状態を判定/予測すること、及び抜歯勧告を生成することのうちの1つ又は複数において利用される。
【0010】
例えば、いくつかの実施形態において、処理装置は、口腔洗浄セッション中に上記デバイスを用いて行われる口腔洗浄行為に関連する感知データを入力/出力で受け取るようにさらに適合されている。歯可動度は感知データに基づいて求められる。歯可動度の代替的供給源は、例えば可動レベルを手動で確認する親によって提供される、ユーザ入力であってもよい。センサデータを用いることでユーザの利便性が向上する。
【0011】
いくつかの実施形態において、1つ又は複数のプロセッサは、上記ステップの少なくとも1つに基づいて少なくとも1つの乳歯の部位での永久歯萌出状態の指標を得るように適合されている。換言すれば、いくつかの実施形態において、少なくとも1つの事前に定義された基準を満たす歯可動度に応答して、1つ又は複数のプロセッサは、少なくとも1つの乳歯の部位での永久歯の萌出をユーザが手動で確認することを推奨するプロンプトをユーザインタフェース要素に生成させるために入力/出力で出力信号を生成すること、少なくとも1つの乳歯の感知データ若しくは画像データに基づいて永久歯萌出状態の指標の獲得を制御するために入力/出力で制御信号を生成すること、又は歯可動度の示度若しくはその履歴値に基づいて永久歯萌出状態の指標を判定すること、に基づいて、少なくとも1つの乳歯の部位での永久歯萌出状態の指標を得るように適合される。
【0012】
いくつかの実施形態において、1つ又は複数のプロセッサは、歯可動度及び永久歯萌出状態の指標に応じて乳歯抜歯勧告を生成するようにさらに適合されている。いくつかの実施形態において、1つ又は複数のプロセッサは、上記勧告を示すデータ出力を生成するようにさらに適合されている。
【0013】
感知データ又は画像データに関して、これは、例えば口腔ケアデバイスの先端に一体化されたカメラなど、口腔ケアデバイスにより備えられている感知素子又は撮像素子を用いて獲得される。代替的には、感知データ又は画像データは、データストアに記憶されこの工程のために取得される事前に獲得された感知データ又は画像データであってもよい。
【0014】
少なくとも1つの組の実施形態において、処理装置は、口腔ケアデバイスの少なくとも1つの洗浄要素の動作又は加えられる負荷力を示す感知信号を、ある期間にわたり入力/出力で受け取るように適合されており、上記期間は口腔洗浄セッション中に少なくとも1つの洗浄要素が少なくとも1つの歯と機械的に係合する期間に対応し、上記歯が先に参照された少なくとも1つの乳歯すなわち第一生歯である。この場合、処理装置は、感知信号の処理に基づき少なくとも1つの歯の歯可動度を示す尺度を求めるように適合されている。
【0015】
感知信号は前述の感知データを提供する。
【0016】
代替的に、処理装置は、例えば補助デバイスによる測定に基づく手動入力など、異なる供給源から歯可動度の示度を受け取る。
【0017】
いくつかの例において、処理装置は、期間中の信号波形の1つ又は複数の特性を抽出するために、且つ抽出された1つ又は複数の信号波形特性に応じて歯可動度を示す尺度を求めるために、信号の波形を処理するように適合されている。
【0018】
1つ又は複数の信号特性は、信号の周波数スペクトルの1つ又は複数の特性、例えば周波数スペクトルの優位ピーク若しくは周波数成分(すなわち主高調波成分)の振幅又は周波数スペクトルの優位ピークに関する帯域幅、を含む。
【0019】
上述のように、いくつかの実施形態において、ユーザにプロンプトを提供することに加え、処理装置は少なくとも1つの乳歯の部位での永久歯萌出状態の指標を得るように適合されている。これは例えばユーザ入力に基づき、且つ/又は得られた感知データに基づいてもよい。
【0020】
いくつかの実施形態において、永久歯萌出状態の指標は萌出又は非萌出を示すバイナリパラメータを含む。
【0021】
いくつかの実施形態において、永久歯萌出状態の指標は萌出のレベルを示す段階スコア(graded score)を含む。
【0022】
いくつかの実施形態において、永久歯萌出状態の指標は、得られた歯可動度を事前に決定された歯萌出アルゴリズムで処理することによって得られる。
【0023】
いくつかの実施形態において、永久歯萌出状態の指標は、画像取得デバイスから入力/出力で受け取られる、少なくとも1つの乳歯の部位の画像データに基づいて、且つ事前に決定された画像分析アルゴリズムによる画像データの処理に基づいて、得られる。
【0024】
いくつかの実施形態において、永久歯萌出状態の指標は、永久歯萌出状態を示すユーザインタフェース要素からのユーザ入力信号を入力/出力で受け取ることに基づいて得られる。
【0025】
いくつかの実施形態において、永久歯萌出状態の指標は、得られた感知信号を事前に決定された歯萌出アルゴリズムで処理することによって得られる。感知信号の受領に関する選択肢は上述されている。
【0026】
いくつかの実施形態において、永久歯萌出状態は歯可動性の履歴値、又はこれら値の傾向に基づいて得られる。詳細には、いくつかの実施形態において、1つ又は複数のプロセッサは、ユーザの少なくとも1つの歯に対する履歴歯可動性データを記録するデータストアにアクセスするように、且つ履歴歯可動性データ及び求められた歯可動度に基づいてユーザの少なくとも1つの歯に対する歯可動度の長期的傾向を求めるように適合されており、永久歯萌出状態の指標は長期的傾向に応じて判定される。
【0027】
プロンプトを生成することに加え、いくつかの実施形態において、処理装置は乳歯抜歯勧告を生成する。この勧告は、例えば歯可動度及び永久歯萌出状態の指標の組み合わせに基づいて生成される。処理装置は、上記勧告を示すデータ出力を生成する。いくつかの例において、このデータ出力は、ユーザインタフェース要素と通信するために入力/出力と結合される。他の例において、そのデータ出力は、データストアと通信するために入力/出力と結合される。他の例において、そのデータ出力は、例えば応答行動をトリガするためのトリガ信号として使用される。
【0028】
いくつかの実施形態において、乳歯抜歯勧告は、上記少なくとも1つの歯が抜歯されるべきか否かを示すバイナリ勧告を含む。いくつかの実施形態において、乳歯抜歯勧告は、抜歯前に推奨される最小待ち時間を含む。
【0029】
いくつかの実施形態において、1つ又は複数のプロセッサは、少なくとも1つの歯の識別、及び/又は口内の少なくとも1つの歯の位置の示度を得るようにさらに適合されている。
【0030】
いくつかの実施形態において、歯、又は位置示度の識別は、位置決め手段から受け取られる、少なくとも1つの洗浄要素に対する位置決め信号に基づいて得られる。いくつかの実施形態において、歯、又は位置示度の識別は、ユーザ入力に基づいて得られる。
【0031】
いくつかの実施形態において、永久歯の萌出をユーザが手動で確認することを勧告するためのプロンプトは、少なくとも1つの歯の位置の示度を含む。
【0032】
いくつかの実施形態において、抜歯勧告はユーザの人口統計学的分類にさらに基づく。
【0033】
いくつかの実施形態において、処理装置は、ユーザインタフェースからユーザの主観的不快レベルを示す入力を受け取るようにさらに適合されており、抜歯勧告を決定することはそれにさらに基づく。
【0034】
いくつかの実施形態において、例として、上記勧告は、永久歯萌出状態が陽性であること、及び可動距離(mobility metric)が事前に決定された抜歯閾値を超えることの両方である場合において抜歯を行う勧告である。
【0035】
いくつかの実施形態において、例として、歯可動度に対する少なくとも1つの事前に定義された基準は歯可動度に対する事前に定義された閾値である。
【0036】
本発明のさらなる態様は、上述の処理装置を備える口腔ケアデバイスを提供する。口腔ケアデバイスは、支持体と、口腔表面と係合するための複数の洗浄要素であって、支持体の表面から突出する洗浄要素と、本開示に記載される任意の実施形態による処理装置と、を備える。
【0037】
いくつかの実施形態における上記デバイスは、少なくとも1つの洗浄要素の動作又は加えられる負荷力若しくは圧力を示す尺度を感知するように適合されたセンサ手段をさらに備える。
【0038】
例として、口腔ケアデバイスは動力式歯ブラシか、又はブラッシングマウスピースデバイスである。
【0039】
本発明の他の態様は、上記のような口腔ケアデバイスを備えユーザインタフェースをさらに備えるシステムを提供する。
【0040】
本発明のさらなる態様は、
口腔ケアデバイスのユーザの口内の少なくとも1つの乳歯の歯可動度の示度を得るステップと、
歯可動度を、可動性に対する少なくとも1つの事前に定義された基準で評価するステップと、
少なくとも1つの事前に定義された基準を満たす歯可動度に応答して、
ユーザインタフェース要素に、少なくとも1つの乳歯の部位での永久歯の萌出をユーザが手動で確認することを推奨するプロンプトを生成させるために、出力信号を生成すること、
少なくとも1つの乳歯の感知データ若しくは画像データに基づいて永久歯萌出状態の指標の獲得を制御するために、制御信号を生成すること、又は
歯可動度の示度若しくはその履歴値に基づいて永久歯萌出状態の指標を判定すること、のいずれかを行うステップと、を有する、コンピュータ実施方法を提供する。
【0041】
いくつかの実施形態において、上記方法は、1つ又は複数の上記ステップに基づいて少なくとも1つの乳歯の部位での永久歯萌出状態の指標を得るステップを有する。いくつかの実施形態において、上記方法は、歯可動度及び永久歯萌出状態の指標に応じて乳歯抜歯勧告を生成するステップをさらに有する。いくつかの実施形態において、上記方法は、上記勧告を示すデータ出力を生成するステップを有する。
【0042】
本発明の他の態様は、プロセッサで実行されるときプロセッサに上述の方法、又は本開示に記載される任意の実施形態による方法を行わせるように構成されたコード手段を含むコンピュータプログラムを提供する。
【0043】
本発明のこれら及び他の態様は、以下に記載される実施形態から明らかになり、以下に記載される実施形態を参照して明瞭になるであろう。
【0044】
本発明のよりよい理解のために、且つ本発明がどのように実施されるかをより明確に示すために、単なる例として添付の図面が以下より参照される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】1つ又は複数の実施形態による例示的処理装置を示す図である。
図2】1つ又は複数の実施形態による例示的処理装置をさらに図解する図である。
図3】抜歯に関する勧告を生成するための例示的処理を図解する図である。
図4】1つ又は複数の実施形態による例示的処理装置を図解する図である。
図5】1つ又は複数の実施形態による例示的口腔ケアデバイスを図解する図である。
図6】口腔ケアデバイスの洗浄要素にかかる力、又は口腔ケアデバイスの洗浄要素の動作を感知するための感知原理を図解する図である。
図7】口腔ケアデバイスの洗浄要素にかかる力、又は口腔ケアデバイスの洗浄要素の動作を感知するための感知原理を図解する図である。
図8】例示的感知信号波形を図解する図である。
図9(a)】感知信号波形の一区間の例示的周波数スペクトルを図解する図である。
図9(b)】周波数スペクトルの優位ピークの例示的帯域幅の算出を図解する図である。
図10】1つ又は複数の実施形態による例示的処理フローを図解する図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明は図を参照して説明される。
【0047】
詳細な説明及び具体的な例は、装置、システム、及び方法の例示的実施形態を示す一方で、例解のみを目的とすることが意図され、本発明の範囲を限定することは意図されないことを理解されたい。本発明の装置、システム、及び方法のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲、及び添付の図面からよりよく理解されるであろう。図面は単に概略的なものであり縮尺通りに描かれていないことを理解されたい。また、同一の参照符号が同一又は同様の部分を示すために図面全体を通して使用されることも理解されたい。
【0048】
本発明は、幼児の永久歯萌出に関連する指導を提供するための処理装置及び方法を提供する。実施形態は、第一生歯(乳歯)の歯可動性の得られた指標を事前に決定されたアルゴリズム又は決定手段を用いて処理し、アルゴリズム又は決定手段の結果に応じた起こり得る永久歯萌出に関するプロンプトを生成することを提案する。上記プロンプトは、関連する歯の部位での永久歯萌出を確認する勧告であってもよい。上記プロンプトは、永久歯萌出状態の予測又は推定であってもよい。
【0049】
図1は、1つ又は複数の実施形態による例示的処理装置20を図解する。
【0050】
処理装置20は、入力/出力22と、1つ又は複数のプロセッサ24とを備える。処理装置は、動力式歯ブラシ又はブラッシングマウスピースデバイスなどの口腔ケアデバイス10で使用するためのものである。
【0051】
処理装置20は、口腔ケアデバイスのユーザの口内の少なくとも1つの乳歯の歯可動度の示度を得るように、且つ歯可動性に対する少なくとも1つの事前に定義された基準で歯可動度を評価するように、適合されている。少なくとも1つの事前に定義された基準を満たす歯可動度に応答して、処理装置は、ユーザインタフェース29要素に、少なくとも1つの乳歯の部位での永久歯の萌出をユーザが手動で確認することを推奨するプロンプト23を生成させるために、入力/出力で出力信号25を生成するように適合される。
【0052】
本発明の他の態様は、処理装置を備える口腔ケアデバイス10を提供する。
【0053】
本発明の他の態様は、口腔ケアデバイス10を備え(又は処理装置20を少なくとも備え)ユーザインタフェース29をさらに備えるシステム8を提供する。
【0054】
一般的に、経験のない親はいつ永久歯の萌出が起こるか分からず、一般にはそのような萌出を体系的に確認しない。さらに、臨床環境において永久歯萌出の定期的評価のために実施されるシステムは通常存在しない。
【0055】
結果として、一定の歯可動度若しくはレベルの存在、又は例えば歯可動性の特定の上昇が永久歯の萌出を調査する要求をトリガするための基礎として使用される、処理装置20によって実施される意思決定支援フローを提供することが、本発明の実施形態によって提案される。例えば、上述の少なくとも1つの基準は歯可動性に対する最低閾値であってもよい。実際に抜歯を行う勧告をトリガするための基礎として使用される、第2の閾値などの、歯可動性に対する第2の基準も存在する。永久歯の萌出を調査する要求をトリガする第1の可動性閾値は、抜歯の決定に関連する第2の閾値より一般に小さい。
【0056】
これらの目的のため、ユーザ(親)をユーザが調査する必要がある口の部分に案内するために、口内の可動歯の位置の示度、又は位置の発見を可能にする歯の識別をシステムがさらに提供できる場合、それは大きな利点となる。歯可動距離が口腔洗浄セッション中に獲得された感知データに基づく場合、例えば、歯の相対的可動距離を生成するために使用される感知データの獲得中にデバイスの配向を決定するべく出力が使用され得る慣性計測装置などの、口腔ケアデバイス10に一体化された位置決め手段によって、これが促進されてもよい。配向は、デバイスのヘッドが向けられ従って歯が洗浄される口内の位置にマッピングされてもよい。さらなる例として、位置示度はさらに、例えば事前に決定された伝達関数に基づいて、慣性計測装置の出力から直接得られてもよい。いくつかの例において、伝達関数は機械学習アルゴリズムであってもよい。
【0057】
ユーザインタフェース29で生成されるプロンプトは少なくとも1つの歯の位置の示度を含む。
【0058】
処理装置は、歯可動性を評価し幼児の口内の複数の異なる歯に対する勧告を条件付きで提供するために、上述のステップを行うように適合されている。多くの好ましい場合において、その処理装置は口内の全ての歯に対してこれらステップを行う。従って、これにより評価される各歯の位置を識別することで、ユーザはどの歯が各勧告に対応するのか理解することが可能になる。
【0059】
以下により詳細に述べられるように、いくつかの実施形態において、処理装置は歯可動度又はレベルを求めるように適合されている。この歯可動度又はレベルは、口腔洗浄セッション中にデバイスを用いて行われる口腔洗浄行為に関する感知データに基づく。例えば、その歯可動度又はレベルは、口腔ケアデバイスの少なくとも1つの洗浄要素又は洗浄要素が取り付けられた支持体12の動作又は加えられる負荷力若しくは圧力を示す感知信号に基づき、上記信号は口腔洗浄セッション中に少なくとも1つの洗浄要素が少なくとも1つの歯と機械的に係合する期間に対応し、ここで上記歯は少なくとも1つの乳歯/第一生歯である。例えば、支持体又は洗浄要素への負荷変動が感知される。
【0060】
いくつかの実施形態において、処理装置は永久歯萌出状態を判定するようにさらに適合されている。
【0061】
検出は、歯可動度を求めるために使用されるものと同一の感知データの使用に基づいてもよい。例えば、データは、口腔ケアデバイスの洗浄要素を運搬する支持体に一体化された力又は圧力感知手段から利用される。感知データは、洗浄要素が歯及び周囲の歯肉と係合するときに洗浄要素に作用する力又は圧力に関する口腔洗浄セッション中に獲得される。新しい永久歯が萌出すると、対応する乳歯に隣接する歯肉の固さが増大し、これは洗浄要素が歯肉の関連区域に接触する際の洗浄要素に作用する反力の変化として検出され得る。従って、歯の萌出は、歯肉の対応する区域に対する力センサ測定値の複数の洗浄セッションにわたる傾向に基づいて検出され得る。換言すれば、処理装置は可動乳歯に隣接する歯肉表面の圧力変化の傾向を比較し、ここで可動乳歯の位置は上述の自動可動性検出を用いて検出され得る。
【0062】
いくつかの例において、永久歯萌出状態は歯可動性計測値に基づいて得られる。例えば、永久歯萌出状態の指標は、得られた歯可動度を事前に決定された歯萌出アルゴリズムで処理することに基づいて得られる。いくつかの例において、歯可動性計測値の傾向は永久歯萌出状態を判定するために使用されてもよい。
【0063】
例えば、図2を参照すると、処理装置20はユーザの少なくとも1つの歯に対する履歴歯可動性データを記録するデータストア28にアクセスするように適合されている。それは複数の異なる歯に対するデータを記憶し、データストアは対象の歯に応じて問い合わせされる。処理装置は、データストア28からのデータを使用して、履歴歯可動性データに基づいて、且つ現在の洗浄セッションから求められた歯可動度に任意選択でさらに基づいて、ユーザの少なくとも1つの歯に対する歯可動度の長期的傾向を求める。永久歯萌出状態の指標は長期的傾向に応じて判定される。
【0064】
図2を参照すると、本発明の任意の実施形態において、処理装置は、口腔ケアデバイスの各洗浄セッションについて各歯に対して得られた歯可動度をデータストア28に記憶し、それによって履歴歯可動性データのデータセットを経時的に蓄積するように適合されていることに留意されたい。本発明の一態様は、処理装置20及び履歴歯可動性データを記憶するデータストア28を備えるシステム8を提供する。他の態様は、前述のデータストア28と組み合わせて処理装置20を含む口腔ケアデバイスを備え、任意選択でユーザインタフェースも備えるシステム8を提供する。
【0065】
いくつかの例において、永久歯萌出状態の指標は、関連する乳歯の部位の獲得された画像データから得られる。永久歯萌出状態の判定は、歯様特徴(すなわち既存の歯に隣接する追加的歯表面の様子)に関する差異について日毎に撮られた口腔内画像又は写真を比較することに基づく。この目的のため、画像取得デバイス(カメラなど)が、口腔ケアデバイス、例えば洗浄要素が突出する支持体と一体化される。画像データは、永久歯萌出に特有の画像特徴を検出するために、1つ又は複数の事前に決定された画像分析アルゴリズムで処理される。
【0066】
他の例において、上記判定はユーザインタフェース29を介する(子供の親又は子供自身からの)ユーザ入力に単に基づく。
【0067】
X線センサ、レーダセンサ、又は任意の他の感知様式などの他の感知源からの入力が、歯の萌出を検出するために追加的又は代替的に使用される。
【0068】
永久歯萌出状態の指標の内容に関しては異なる選択肢が存在する。
【0069】
永久歯萌出状態の指標は、一部の場合において、特定の歯部位での永久歯の萌出又は非萌出を示すバイナリパラメータを含む。いくつかの例において、上記指標は萌出のレベルを示す段階スコアを含む。
【0070】
いくつかの実施形態において、いつ所与の歯を抜歯すべきかに関する最適な同期を目的として勧告情報が提供される。換言すれば、処理装置は乳歯抜歯勧告を生成する。これは可動歯に対する最適な介入機会を合図する。
【0071】
特に、いくつかの例において、処理装置は、その歯に対して得られた歯可動度及び永久歯萌出状態の指標に応じて、所与の歯に対する乳歯抜歯勧告を生成する。例えば、これら2つのパラメータは、勧告を出力として提供する抜歯アルゴリズムに入力として送られる。
【0072】
処理装置20は、勧告を示すデータ出力を生成し、ユーザインタフェース要素と通信するためにデータ出力を入力/出力22と結合する。
【0073】
乳歯抜歯勧告の具体的内容に関しては異なる選択肢が存在する。いくつかの例において、それは、少なくとも1つの歯が抜歯されるべきか否か、又は現状において少なくとも抜歯が考慮される必要があるか否かを示すバイナリ勧告を含む。いくつかの例において、乳歯抜歯勧告は、抜歯前、又は少なくとも抜歯に関する専門的意見を求める前の推奨される最小待ち時間を含む。
【0074】
いくつかの例において、抜歯勧告を決定することは、例えば年齢や性別などのユーザの人口統計学的分類にさらに基づく。
【0075】
いくつかの例において、処理装置は、子供のユーザの主観的不快レベルの入力をユーザインタフェース29で要求する。抜歯勧告を決定することは、この主観的不快レベルにさらに基づく。
【0076】
いくつかの例において、上記勧告は、永久歯萌出状態が陽性であること、及び可動距離が事前に決定された抜歯閾値を超えることの両方で少なくともある場合において抜歯を行う勧告である。
【0077】
出力勧告、並びに以下により詳細に述べられる他の任意選択の処理及び意思決定支援を提供するために、意思決定支援システム又はエンジン(DSS)が利用され得る。
【0078】
図3に図解されるように、DSS52は、得られた歯可動度、及び永久歯萌出状態の得られた示度を考慮する。
【0079】
任意選択で、DSS52は、ある子供に関する年齢、性別、民族性、他の人口統計学的情報、及び/若しくは病歴情報などの子供固有の情報、又は以前の抜歯若しくは歯遊離のタイミングについての情報を追加的に使用する。この情報は少なくとも部分的に、ユーザインタフェース29を介したユーザによる入力である。
【0080】
いくつかの例において、DSS52は、子どもの母集団に対する自然歯遊離のタイミングに関する情報を含むデータベースを追加的に使用してもよい。
【0081】
DSSは構造実体というよりむしろ機能実体である。DSSは例えば1つ又は複数のアルゴリズムを含む。DSSは例えば決定木のアプリケーションを含む。
【0082】
DSS52は、子供の親に出力勧告を提供するために様々な入力を処理する。この出力勧告は、例えば歯科医からのアドバイスを求める勧告を含んでもよい。それは、抜歯の予想される必要性に関する勧告を含んでもよい。それは、抜歯の推奨されるタイミングを含んでもよい。
【0083】
いくつかの例において、処理装置は、同一の子供に対する将来的な勧告を改善するために、以前の抜歯に関する、詳細には抜歯がどのような経過を経たか(例えば出血)に関するユーザインタフェースフィードバックへの入力をユーザに要求するようにさらに適合されている。
【0084】
上述のように、いくつかの実施形態において、歯可動度は洗浄セッション中に獲得された感知データに基づいて自動的に得られ得る。この特徴は図4図9を参照して以下より詳細に述べられる。
【0085】
図4は、この組の実施形態による例示的処理装置20を図解する。
【0086】
図5は、この組の実施形態に従って感知データを獲得するために使用される感知手段30を一体化した例示的口腔ケアデバイス10を図解する。図4の処理装置20は、口腔ケアデバイス10に一体化されている。図5には歯ブラシの形態の口腔ケアデバイスが示されているが、これは単に例示的なものであり、例えばブラッシングマウスピースデバイス、口腔潅注器、又は動力式フロッシングデバイスなどの異なる種類の口腔ケアデバイスが使用されてもよい。図4のブロック図構造は、歯ブラシだけではなく任意の特定の種類の口腔ケアデバイスに適用可能である。
【0087】
図4及び図5を参照すると、この組の実施形態の処理装置20は、口腔ケアデバイスの少なくとも1つの洗浄要素14又は上記デバイスの洗浄要素が取り付けられた支持体12の動作又は加えられる負荷力若しくは圧力を示す感知信号32を、入力/出力22で受け取るように適合されている。上記信号はある期間にわたり、上記期間は口腔洗浄セッション中に少なくとも1つの洗浄要素が少なくとも1つの歯40と機械的に係合する期間に対応する。歯40は先に述べられた少なくとも1つの乳歯である。
【0088】
処理装置20は、感知信号の処理に基づき少なくとも1つの歯の歯可動度を示す尺度を求めるように適合されている。
【0089】
述べられたように、図5(a)は動力式歯ブラシの形態の例示的口腔ケアデバイスを示す。図5(b)は例示的歯40の表面42との洗浄要素14の機械的係合を図解する。
【0090】
例示的歯ブラシデバイス10は、本体18と結合されたブラシヘッド16を有する。本体はデバイス用の柄を形成する。支持体12はブラシヘッドのプラテン(platen)により設けられている。洗浄要素14はブラシ毛(bristles)を含む。ブラシ毛は房状に配置されている。上記の少なくとも1つの洗浄要素への参照は、この組の実施形態におけるブラシ毛の少なくとも1つの房への参照であってもよい。
【0091】
ブラシ毛が例として述べられているが、(典型的な個別のブラシ毛より厚みのある)エラストマー洗浄要素、又は伸長形状を有する支持体から突出するが、口腔表面と係合し機械的洗浄行為を提供するようにも設計された洗浄構造体などの、他の種類の洗浄要素も可能であることを当業者は認識するであろう。
【0092】
口腔ケアデバイス10は、口腔ケアデバイスの少なくとも1つの洗浄要素14又は上記デバイスの洗浄要素が取り付けられた支持体12の動作又は加えられる負荷力を示す感知信号32を生成するように適合された、センサ手段30を備える。いくつかの例において、センサ手段は支持体12に一体化されている。他の例において、センサ手段は、例えばブラシヘッド16と本体18との間の枢動力を感知するように本体18内に配置されるなど、別の場所に位置されていてもよい。
【0093】
図5をさらに参照すると、好ましくは、口腔ケアデバイスは、少なくとも1つの洗浄要素14の振動運動を駆動するための作動手段19を備える。この作動手段は、少なくとも1つの洗浄要素の振動運動パターンが周波数スペクトルを示すことを誘発する。上記デバイスは、処理装置20のメモリ(図示せず)に、1つ又は複数の基準周波数スペクトルを記録する。1つ又は複数の基準周波数スペクトルは、特定の基準負荷力の存在下であること、及び基準可動レベル(例えばゼロの可動性)を有する特定の歯に対するものであることなど、特定の基準条件又は較正条件において駆動される振動運動パターンの周波数スペクトルに対応する。基準条件は、例えば少なくとも1つの洗浄要素に外的に加えられる負荷力の非存在下であること、及び/又はゼロでない可動性を有する歯に対するものであることなど、任意の所望の条件であってもよい。例えば異なる使用負荷の付加(これは以下でさらに述べられる)などの異なる条件に対して、2つ以上の基準スペクトルが記憶されていてもよい。全ての場合において、基準周波数スペクトルは、主高調波成分に対応する優位ピークを有し、優位ピークに関連する帯域幅を有し、優位ピークに関連するQ値を有する。感知された振動運動パターンの周波数スペクトルの特性を基準振動運動パターンの特性と比較することによって、歯可動レベルが検出可能である。
【0094】
代替的に、感知された周波数スペクトルの特性が、例えば同一のユーザに対するその経時的変化をモニタすることによって、又は事前に決定された伝達関数若しくはルックアップテーブルを使用することによって、歯可動レベルを求めるための基礎として単独で使用されてもよい。
【0095】
上記で言及されるセンサ手段30は、例えば圧力センサ、力センサ、慣性センサ(例えば加速度計)、又はロードセンサなどの異なる形態をとる。センサ手段は、例えば洗浄要素が突出する支持体表面に垂直であるか又は好ましくは3つの直交する軸線の方向である1つ又は複数の方向における、支持体又は洗浄要素での加速度、圧力、及び/又は力の変動を感知するように適合されている。
【0096】
この組の実施形態における処理装置は、感知された信号の変動を歯可動レベル又は段階の識別に変換するように適合されている。
【0097】
いくつかの実施形態において、処理装置は、感知信号波形の1つ又は複数の特性を記憶されたベースライン又は基準感知信号の対応する特性と比較して、歯可動レベルを求めるように適合されている。基準信号は、例えば、特定の基準歯(例えば歯科医により示され得る健康な永久歯)に対する信号に対応する。
【0098】
いくつかの実施形態において、複数の洗浄セッションに対する平均感知信号は、各セッションに対する感知信号をメモリに記憶し、次いで記憶された信号を取得し、平均を算出することによって、算出される。この平均信号は、単一の洗浄セッションのみに対する信号の代わりに(又はそれに加えて)、歯可動レベルを求めるために使用されてもよい。
【0099】
いくつかの実施形態において、所与の歯に対する信号波形の1つ又は複数の特性を同一の洗浄セッション内で獲得された1つ又は複数の他の歯の信号波形の1つ又は複数の特性と比較することによって、その所与の歯に対する歯可動性の尺度が得られてもよい。
【0100】
少なくとも1つの組の実施形態において、感知信号のスペクトル分析を使用して歯可動性を求めることが提案される。例えば、歯可動性を求めることは、感知信号の周波数領域内で1つ若しくは複数の周波数点における信号振幅の変動を評価すること、及び/又は1つ若しくは複数の洗浄セッションにわたって振動パターンの主高調波成分を制振することを有する。変動は、複数の洗浄セッションにわたって、又は異なる歯の間で示差的測定を使用することで同一の洗浄セッション内で、モニタされる。
【0101】
以下でさらに説明されるように、処理装置は、信号波形を処理して期間中の信号波形の1つ又は複数の特性を抽出するように、且つ抽出された1つ又は複数の信号波形特性に応じて歯可動度を示す尺度を求めるようにさらに適合されている。
【0102】
図6及び図7を参照すると、感知原理が図解されている。図6は歯40との例示的口腔ケアデバイス10の洗浄要素14の機械的係合を示す。自身の歯を洗浄しているユーザは、歯の表面に垂直な成分を含む一定のユーザ負荷力を洗浄要素に加える。図6に図解されるように、洗浄要素が高い可動レベルを有する歯(「ぐらつく(wobbling)歯」)と係合する際、歯は動きを示す。強調された歯40aの動きは主にy軸線周りの動きであるが、x軸線周りのより小さい度合の動きも多少示す。
【0103】
図6及び図7は、歯可動性検出の実現可能性を試験し実証するために実行されたコンピュータシミュレーションの基礎となる幾何学的形状及び物理的原理を概略的に表す。採用されるモデルはインシリコの歯顎モデルである。
【0104】
図7(a)は、対象の歯40aが低い歯可動レベル(最大歯変位が通常の生理学的な歯の移動を表す0.05mmである)を示すシミュレーションを表す。図7(b)は、対象の歯が高い歯可動レベル(最大歯変位が1.5mmであり、後に抜けるであろう歯の歯可動性に典型的な大きなぐらつきの振幅である)を示すぐらつく歯であるシミュレーションを表す。
【0105】
図6に概略的に示されるように、インシリコモデルは基準歯40a周りの柔らかい歯肉を含む顎からなり、基準歯は近位遠位(Y)軸線周りを自由に回転し、ねじりばねを通じて歯根と連結されている。
【0106】
基準歯の可動レベルは、それに取り付けられたねじりばねの剛性係数を調整することによって、モデルにおいて制御される。ブラッシング条件は、歯表面に対して90°の洗浄要素の角度(90°ブラッシング角度)及び1.88Nの一定のユーザ負荷(Philipsの歯ブラシのユーザの間での平均負荷)を伴った、PhilipsのA3ブラシヘッドに基づいてシミュレートされた。洗浄要素の運動パターンは、動力式歯ブラシの作動/駆動機構により誘発されるより小さい振幅の振動運動パターンに重ねられた(ユーザにより与えられる)大振幅の近位遠位ストロークとしてモデル化された。
【0107】
時間の関数としてブラシヘッドプラテン12への反力を表すシミュレートされた感知信号、及びシミュレートされた歯の変位は、図7(a)及び図7(b)の2つの可動条件におけるモデルから算出された。
【0108】
図8は、時間領域において得られたシミュレートされた感知信号の波形60の描写を示す。
【0109】
受け取られた感知信号波形60は、少なくとも1つの洗浄要素が複数の歯のそれぞれと係合する各々の期間に対応する信号区間を典型的には含む。処理装置20は、複数の歯のそれぞれに対する歯可動性の各々の距離を求めるように適合されている。いくつかの例において、歯のそれぞれの識別がさらに得られる。
【0110】
図8のシミュレートされた感知信号の結果内に、対象のモデル化された歯40aに対応する信号区間62が示されている。
【0111】
少なくとも1つの組の実施形態によれば、歯可動度を求めることは感知信号のスペクトル分析を行うことを有する。
【0112】
このことは図9(a)を参照してさらに図解される。
【0113】
歯可動度を示す尺度を算出するために、少なくとも1つの組の実施形態による処理装置は、感知信号に対する周波数スペクトル70を算出するように適合されている。
【0114】
図9(a)のプロットは、図7(a)及び図7(b)で図解された、A、Bとラベル付けされている2つの異なる歯可動レベルのそれぞれに対する周波数スペクトルを示す。詳細には、レベルAは0.05mmの可動幅に対応する。レベルBは1.5mmの可動幅に対応する。図解される周波数スペクトルは、2つの異なる歯可動レベルA、Bのそれぞれでの感知信号の垂直反力成分(図6及び図7のx方向)に対して算出された。
【0115】
上述のように、ここでは、口腔ケアデバイスは、駆動周波数の周りに中心周波数成分を有する優位ピークを伴ったベースライン/基準周波数スペクトルを示す、少なくとも1つの洗浄要素14の振動運動を駆動するための作動手段19を備えるものである。
【0116】
反力についての周波数領域プロット70を観察すると、作動手段の基準周波数スペクトルの優位周波数の高調波(約250Hz)の周りの周波数成分に対して、反力の振幅レベルの大きな増加が存在する。また、これら高調波周波数の周りの周波数成分間で制振レベルの増加が存在する。詳細には、作動手段によって加えられる振動駆動力の優位周波数成分(すなわち主高調波成分)に対応する周波数成分(約250Hz)の振幅は、シミュレートされる歯可動レベルの最低レベルと最高レベルとの間で(垂直方向において)約5.4dBの振幅の増加を示す。
【0117】
優位作動周波数高調波の周りの制振の変化は、帯域幅の変化により定性的に観察可能であり、例えば品質係数(Q値)、すなわちその帯域幅に対する共振中心周波数の比として定義される無次元パラメータを算出することによって定量的に求められ得る。
【0118】
これは、帯域幅(f-f)に対する中心周波数fの比としてQ値がどのように算出され得るか、すなわちQ値=f/(f-f)、を示す、図9(b)において概略的に図解される。
【0119】
例えば、-3dBの帯域幅について、主高調波成分に対するQ値は、可動レベルが低いケースA(最大0.05mmの変位)の場合の36.5から可動レベルが高いケースB(最大1.5mmの変位)の34.4に変動する。
【0120】
従って、この手法に続いて、少なくとも1つの組の実施形態によれば、歯可動度を求めることは、感知信号の周波数スペクトルにおける優位ピークの中心周波数(すなわち主高調波ピーク又は主共振ピークの中心周波数)の振幅を検出することを有する。特に、処理装置は、優位ピークのこの中心周波数の振幅の変動、及び/又は1つ若しくは複数の歯における複数のブラッシングセッションにわたる制振の変動を検出する。また、ぐらつかない/永久歯に関連するスペクトルシグネチャを基準として使用することによって、単一のブラッシングセッションで評価が行われてもよい。
【0121】
いくつかの例において、歯可動度を求めることは、作動手段によって与えられる振動の基準周波数スペクトルと、振動周波数スペクトルにおける優位ピークの中心周波数成分の振幅の感知された周波数スペクトルとの間の変化を求めることによって行われる。
【0122】
追加的に又は代替的に、いくつかの例において、歯可動度を求めることは、作動手段によって与えられる振動の周波数スペクトルと、周波数スペクトルにおける優位ピークに関連する帯域幅又は周波数スペクトルの優位ピークに関連するQ値の感知された周波数スペクトルとの間の変化を求めることによって行われる。
【0123】
従って、一般に、歯可動性の検出は、1つ又は複数の特性パラメータ(力、圧力、又は加速度測定信号の周波数スペクトルの主高調波成分の振幅及び/又は制振レベル)の変動が閾値を超えるかどうか評価することに基づく。
【0124】
例えば、Aが測定信号の主高調波成分の振幅であり、dが状態iの関連する制振尺度であり、Θ、Θが各々の閾値であるとき、ΔA=A-A>Θ及び/又はΔd=d-d>Θである場合、顕著に大きい歯可動性が検出される。
【0125】
例えば、制振尺度は、Q-3dBが-3dBでの帯域幅に対するQ値であるとき、1/Q-3dBにより与えられ得る。-3dBでの例示的基準帯域幅は例示的なものに過ぎず、他の基準帯域幅が代わりに使用されてもよい。例えば最頻曲線適合(modal curve fitting)などの、周波数スペクトルプロットから制振を評価する任意の他の手法が使用されてもよい。
【0126】
1つ又は複数の実施形態による方法の詳細な実装形態が、以下より図10を参照して概説される。
【0127】
好ましい実施形態において、単純な規則に基づく意思決定支援システム(DSS)モジュールが、処理装置のプログラミングによって提供され、もし存在するならば推奨される行動に向けて所与の状況をトリアージするように適合される。DSSは例えば処理装置によって実行されるアルゴリズムである。
【0128】
図10は処理装置の例示的処理フローを概略的に図解する。
【0129】
処理装置は、様々なデータ入力を処理して1つ又は複数のデータ出力を提供するDSSソフトウェアモジュール52を備える。
【0130】
図10は、歯可動性データソース54から1つの入力として提供される少なくとも1つの歯の歯可動度を概略的に示す。これは、入力センサデータを処理して歯可動尺度を得る処理装置のソフトウェアモジュールであってもよい。他の場合において、その歯可動度は例えば手動で入力されてもよい。
【0131】
図10は、永久歯の萌出レベルの指標を他の入力としてさらに図解する。図10において、この指標は、ユーザインタフェース入力デバイス56を介するユーザからの入力として提供されるものとして示される。しかし、さらなる例において、その指標は上記に詳細に説明される方法に従って自動的に算出されてもよい。
【0132】
図10は、子供の不快レベルの指標を他の入力としてさらに図解する。この指標はユーザインタフェース入力デバイス56を使用して入力されてもよい。
【0133】
図10は、ある子供に関する人口統計学的情報(人口統計学的プロフィール)などの子供固有の情報を他の入力としてさらに図解する。この情報はユーザインタフェース入力デバイス56を使用して入力されてもよい。
【0134】
図10は、同一の子供に行われた以前の抜歯についての情報を他の入力としてさらに図解する。この情報はユーザインタフェース入力デバイス56を使用して入力されてもよい。
【0135】
図10は、DSSモジュール52への他の入力が子供の大きな集団に対する自然歯遊離に関する情報を含むデータベース62由来の情報であってもよいことをさらに図解する。例えば、DSS52は、子供及び歯に関する上述の1つ又は複数の情報源と母集団データベース62内のデータとの比較を行ってもよく、ここでDSSにより生成される勧告はこの比較に部分的に基づく。
【0136】
追加的に又は代替的に、DSSは、上述の入力データに基づいた勧告を生成するために予め訓練された機械学習アルゴリズムを含み、訓練はデータベース62内のデータを訓練データとして利用した。
【0137】
図10に示されるように、子供固有の情報は、歯可動性を評価する際に使用される、歯可動性の第1及び第2の閾値82を設定するために使用されてもよい。これらはどのような勧告を提供するか決定する際に使用すべき各々の基準を表す。第2の閾値(閾値2)は安全な(すなわち出血がないか僅かである)抜歯に対する閾値可動性を表し、これは同一の子供の過去の歯についての経験又は母集団/専門家の知識に基づいてもよい。第1の閾値は永久歯萌出の兆候の確認に対する閾値可動性である。
【0138】
検出された可動レベルは第1の閾値との比較88が行われる。可動性が第1の閾値より大きい場合、所与の歯の部位における永久歯萌出を親が確認することを勧告するプロンプトがユーザインタフェースを介して提供される。それは、永久歯萌出の兆候があるかどうかを示すユーザ入力を提供するようにユーザに要求する。次いで、この情報はDSS処理の他の部分への入力として使用される。
【0139】
詳細には、永久歯萌出に関するユーザ入力情報は永久歯萌出状態の指標84を判定するために使用される。
【0140】
永久歯萌出指標84が陰性である場合、子供の不快感についての入力情報が、どのような出力勧告を提供するか決定するために使用される。例えば、食事時に不快感がない場合、抜歯の勧告は提供されない。食事又はブラッシング時に不快感がある場合、抜歯を検討する前に永久歯萌出の最初の兆候を待つように勧告が出される。この勧告は、それでも必要であればこの時点で抜歯をしても安全であるという指摘も含んでもよい。
【0141】
判定された永久歯萌出状態84が陽性である場合、歯可動レベルは(第1の閾値より大きい)第2の閾値との比較90が行われる。歯可動レベルが第2の閾値を超える場合、抜歯するように勧告が出される。可動レベルが第2の閾値を超えない場合、歯科医に相談するように勧告が出される。
【0142】
様々な勧告がユーザインタフェースのユーザ出力コンポーネント58を介して提供される。
【0143】
いくつかの実施形態において、システムは、子供の抜歯された少なくとも1つの歯に基づいて較正段階を実行して、第1の歯についての経験に関する入力フィードバックに基づいて勧告を生成する際に使用するための基準を定義する。例えば、出血がないか僅かであった場合、システムは測定された最新の可動レベルを抜歯に安全なレベルとして保存する。いくつかの実施形態において、DSSアルゴリズムは強化学習によって母集団データから学習を行い、強化報酬は結果的な出血、歯を失うまでの不快感、及び萌出する永久歯の潜在的な誤配置を含む。
【0144】
上記の本発明の実施形態は処理装置を採用する。処理装置は、一般に単一のプロセッサ、又は複数のプロセッサを備える。それは単一の収容デバイス、構造体、若しくはユニット内に位置されているか、又はそれは複数の異なるデバイス、構造体、若しくはユニットの間で分散されている。従って、特定のステップ又はタスクを行うように適合又は構成されている処理装置への参照は、複数の処理装置要素のうちのいずれか1つ又は複数によって、単独で又は組み合わせて行われるそのステップ又はタスクと対応する。当業者はそのような分散された処理装置がどのように実装され得るかを理解するであろう。処理装置は、データを受け取ってデータをさらなる構成要素に出力するために、通信モジュール又は入力/出力を備える。
【0145】
処理装置の1つ又は複数のプロセッサは、必要とされる様々な機能を実行するために、ソフトウェア及び/又はハードウェアを用いて多数の手法で実装され得る。プロセッサは、必要とされる機能を実行するために、ソフトウェア(例えばマイクロコード)を用いてプログラムされた1つ又は複数のマイクロプロセッサを典型的には採用する。プロセッサは、いくつかの機能を実行するための専用ハードウェアと、他の機能を実行するための1つ又は複数のプログラムされたマイクロプロセッサ及び関連回路との組み合わせとして実装される。
【0146】
本開示の様々な実施形態に採用される回路の例には、従来型のマイクロプロセッサ、特定用途用集積回路(ASICs)、及び現場プログラム可能ゲートアレイ(FPGAs)が含まれるが、それらに限定はされない。
【0147】
様々な実装形態において、プロセッサは、RAM、PROM、EPROM、及びEEPROMのような揮発性及び不揮発性コンピュータメモリなどの1つ又は複数の記憶媒体と関連付けられる。記憶媒体は、1つ又は複数のプロセッサ及び/又は制御装置で実行されるときに必要とされる機能を実行する1つ又は複数のプログラムにより符号化される。様々な記憶媒体は、それに記憶される1つ又は複数のプログラムがプロセッサにロードされ得るように、プロセッサ若しくは制御装置内に固定されているか又は可搬式である。
【0148】
開示される実施形態の変形形態が、図面、開示内容、及び添付の特許請求の範囲の検討から、特許請求された本発明を実施する当業者によって理解され、もたらされてもよい。特許請求の範囲において、「備える」という語は他の要素又はステップを排除せず、単数形の要素は複数性を排除しない。
【0149】
単一のプロセッサ又は他のユニットは、特許請求の範囲に記載されるいくつかの項目の機能を果たす。
【0150】
特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これら手段の組み合わせが有利に使用され得ないことを示すものではない。
【0151】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共に又は一部として供給される光学記憶媒体又は固体媒体などの好適な媒体に記憶/分配されるが、インターネット又は他の有線若しくは無線電気通信システムを介するような他の形態でも分配される。
【0152】
用語「適合されている」が特許請求の範囲又は明細書で使用される場合、用語「適合されている」は用語「構成されている」と等価であることが意図されることに留意されたい。
【0153】
特許請求の範囲内のいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。

図1
図2
図3
図4
図5(a)】
図5(b)】
図6
図7a
図7b
図8
図9(a)】
図9(b)】
図10
【国際調査報告】