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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】電子装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 1/11 20150101AFI20241108BHJP
   H10K 50/86 20230101ALI20241108BHJP
   H10K 50/858 20230101ALI20241108BHJP
   H10K 59/12 20230101ALI20241108BHJP
   H10K 50/844 20230101ALI20241108BHJP
   H10K 59/38 20230101ALI20241108BHJP
   H10K 50/12 20230101ALI20241108BHJP
   H05B 33/22 20060101ALI20241108BHJP
   G02B 1/14 20150101ALI20241108BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
G02B1/11
H10K50/86
H10K50/858
H10K59/12
H10K50/844
H10K59/38
H10K50/12
H05B33/22 C
H05B33/22 A
G02B1/14
G09F9/00 313
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529832
(86)(22)【出願日】2022-11-25
(85)【翻訳文提出日】2024-05-20
(86)【国際出願番号】 KR2022018886
(87)【国際公開番号】W WO2023096419
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】10-2021-0167579
(32)【優先日】2021-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1, Samsung-ro, Giheung-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002619
【氏名又は名称】弁理士法人PORT
(72)【発明者】
【氏名】キム,ビョンキ
(72)【発明者】
【氏名】クウォン,ド-ヒョク
(72)【発明者】
【氏名】シン,ユシク
(72)【発明者】
【氏名】イ,ガクソク
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,キョンファン
【テーマコード(参考)】
2K009
3K107
5G435
【Fターム(参考)】
2K009AA05
2K009AA15
2K009CC09
3K107AA01
3K107BB01
3K107BB06
3K107BB08
3K107CC08
3K107CC23
3K107CC32
3K107DD72
3K107DD75
3K107EE03
3K107EE21
3K107EE24
3K107EE46
3K107FF06
3K107FF13
3K107FF15
5G435AA01
5G435BB05
5G435CC09
5G435DD12
5G435FF01
5G435HH02
5G435KK07
5G435LL04
5G435LL07
5G435LL08
5G435LL14
5G435LL17
5G435LL19
(57)【要約】
一実施形態の電子装置は、表示モジュールと、前記表示モジュールの上に配置され、波長が350nm以上370nm以下の光に対するSCI反射率が4%以上7%以下の反射防止部材とを含む。反射防止部材は、ベース層と、反射ベース層の上に配置されるハードコーティング層と、ハードコーティング層の上に配置され、第1屈折率を有する第1光学層と、第1光学層の上に配置される。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示モジュールと、
前記表示モジュールの上に配置され、波長が350nm以上370nm以下の光に対するSCI反射率が4%以上7%以下の反射防止部材と、を含み、
前記反射防止部材は、
ベース層と、
前記反射ベース層の上に配置されるハードコーティング層と、
前記ハードコーティング層の上に配置され、第1屈折率を有する第1光学層と、
前記第1光学層の上に配置され、前記第1屈折率より小さい第2屈折率を有する第2光学層と、を含む電子装置。
【請求項2】
前記第1光学層の厚さは、前記第2光学層の厚さより小さい請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記第1光学層の厚さは、80μm以上90μm以下であり、
前記第2光学層の厚さは、90μm以上100μm以下である請求項2に記載の電子装置。
【請求項4】
前記第1屈折率は、1.4以上1.7以下であり、
前記第2屈折率は、1.0以上1.3以下である請求項2に記載の電子装置。
【請求項5】
前記第1光学層の厚さと前記第2光学層の厚さの和は、170μm以上190μm以下である請求項2に記載の電子装置。
【請求項6】
前記反射防止部材は、450nm以上470nm以下の波長の光に対するSCI反射率が0%以上0.3%以下である請求項1に記載の電子装置。
【請求項7】
前記反射防止部材は、540nm以上560nm以下の光に対するSCI反射率が0%以上0.2%以下である請求項1に記載の電子装置。
【請求項8】
前記反射防止部材は、710nm以上730nm以下の光に対するSCI反射率が0%以上0.6%以下である請求項1に記載の電子装置。
【請求項9】
前記第1光学層は、酸化ジルコニウム(ZrO)を含む請求項1に記載の電子装置。
【請求項10】
前記第2光学層は、中空シリカを含む請求項1に記載の電子装置。
【請求項11】
ベース基板と、
前記ベース基板の上に配置される回路層と、
前記回路層の上に配置される発光素子層と、
前記発光素子層の上に配置される封止層と、
量子ドットを含む少なくとも一つの光制御部を含み、前記封止層の上に配置される光制御層と、
前記光制御層の上に配置され、波長が350nm以上370nm以下の光に対するSCI反射率が4%以上7%以下の反射防止部材と、を含み、
前記反射防止部材は、
ベース層と、
前記ベース層の上に配置されるハードコーティング層と、
前記ハードコーティング層の上に配置され、第1屈折率を有する第1光学層と、
前記第1光学層の上に配置され、前記第1光学層より小さい第2屈折率を有する第2光学層と、を含む電子装置。
【請求項12】
前記第1屈折率は、1.4以上1.7以下であり、
前記第2屈折率は、1.0以上1.3以下である請求項11に記載の電子装置。
【請求項13】
前記第1光学層の厚さは、前記第2光学層の厚さより小さく、
前記第1光学層の厚さは、80μm以上90μm以下であり、
前記第2光学層の厚さは、90μm以上100μm以下である請求項12に記載の電子装置。
【請求項14】
前記第1光学層は、酸化ジルコニウム(ZrO)を含み、
前記第2光学層は、中空シリカを含む請求項11に記載の電子装置。
【請求項15】
前記反射防止部材は、450nm以上470nm以下の波長の光に対するSCI反射率が0%以上0.3%以下である請求項11に記載の電子装置。
【請求項16】
前記反射防止部材は、540nm以上560nm以下の光に対するSCI反射率が0%以上0.2%以下である請求項11に記載の電子装置。
【請求項17】
前記反射防止部材は、710nm以上730nm以下の光に対するSCI反射率が0%以上0.6%以下である請求項11に記載の電子装置。
【請求項18】
前記発光素子層は、
順次に積層される第1電極と、正孔輸送領域と、発光層と、電子輸送領域と、第2電極とを含む請求項11に記載の電子装置。
【請求項19】
前記発光層は、青色光を発光する請求項18に記載の電子装置。
【請求項20】
前記光制御層は、
前記青色光を赤色光に変換する第1光制御部と、
前記青色光を緑色光に変換する第2光制御部と、
前記青色光を透過させる第3光制御部と、を含む請求項19に記載の電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射防止装置を含む表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示パネルは、光源から生成されたソース光を選択的に透過する透過型表示パネルと、表示パネル自体からソース光を生成する発光型表示パネルを含む。表示パネルはカラー画像を生成するために画素によって異なる種類の光制御パターンを含むことができる。光制御パターンはソース光の一部の波長範囲のみを透過するか、ソース光のカラーを変換させることができる。一部の光制御パターンはソース光のカラーは変更せず、光の特性を変更させてもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、短波長の光に対する反射率が高い反射防止部材を含み、表示品質が改善された電子装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態は、表示モジュールと、前記表示モジュールの上に配置され、波長が350nm以上370nm以下の光に対するSCI反射率が4%以上7%以下の反射防止部材とを含み、前記反射防止部材は、ベース層と、前記反射ベース層の上に配置されるハードコーティング層と、前記ハードコーティング層の上に配置され、第1屈折率を有する第1光学層と、前記第1光学層の上に配置され、前記第1屈折率より小さい第2屈折率を有する第2光学層とを含む電子装置を提供する。
【0005】
請求項1において、前記第1光学層の厚さは前記第2光学層の厚さより小さいものであってもよい。
【0006】
前記第1光学層の厚さは80μm以上90μm以下であり、前記第2光学層の厚さは90μm以上100μm以下であることができる。
【0007】
前記第1屈折率は1.4以上1.7以下であり、前記第2屈折率は1.0以上1.3以下であることができる。
【0008】
前記第1光学層の厚さと前記第2光学層の厚さの和は170μm以上190μm以下であることができる。
【0009】
前記反射防止部材は450nm以上470nm以下の波長の光に対するSCI反射率が0%以上0.3%以下であることができる。
【0010】
前記反射防止部材は540nm以上560nm以下の光に対するSCI反射率が0%以上0.2%以下であることができる。
【0011】
前記反射防止部材は710nm以上730nm以下の光に対するSCI反射率が0%以上0.6%以下であることができる。
【0012】
前記第1光学層は酸化ジルコニウム(ZrO)を含むことができる。
【0013】
前記第2光学層は中空シリカを含むものであってもよい。
【0014】
一実施形態はベース基板と、前記ベース基板の上に配置される回路層と、前記回路層の上に配置される発光素子層と、前記発光素子層の上に配置される封止層と、前記封止層の上に配置され、量子ドットを含む少なくとも一つの光制御部とを含み、前記封止層の上に配置される光制御層と、前記光制御層の上に配置され、波長が350nm以上370nm以下の光に対するSCI反射率が4%以上7%以下の反射防止部材とを含み、前記反射防止部材はベース層と、前記ベース層の上に配置されるハードコーティング層と、前記ハードコーティング層の上に配置され、第1屈折率を有する第1光学層と、前記第1光学層の上に配置され、前記第1光学層より小さい第2屈折率を有する第2光学層とを含む電子装置を提供する。
【0015】
前記第1屈折率は1.4以上1.7以下であり、前記第2屈折率は1.0以上1.3以下であることができる。
【0016】
前記第1光学層の厚さは前記第2光学層の厚さより小さく、前記第1光学層の厚さは80μm以上90μm以下であり、前記第2光学層の厚さは90μm以上100μm以下であることができる。
【0017】
前記第1光学層は酸化ジルコニウム(ZrO)を含み、前記第2光学層は中空シリカを含むことができる。
【0018】
前記反射防止部材は450nm以上470nm以下の波長の光に対するSCI反射率が0%以上0.3%以下であることができる。
【0019】
前記反射防止部材は540nm以上560nm以下の光に対するSCI反射率が0%以上0.2%以下であることができる。
【0020】
前記反射防止部材は710nm以上730nm以下の光に対するSCI反射率が0%以上0.6%以下であることができる。
【0021】
前記発光素子層は、順次に積層される第1電極ELと、正孔輸送領域と、発光層と、電子輸送領域と、第2電極EL2とを含むことができる。
【0022】
前記発光層は青色光を発光することができる。
【0023】
前記光制御層は、前記青色光を赤色光に変換する第1光制御部と、前記青色光を緑色光に変換する第2光制御部と、前記青色光を透過させる第3光制御部とを含むことができる。
【発明の効果】
【0024】
一実施形態の電子装置は、反射防止部材が短波長の光に対して高い反射率を有し、優れた品質を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】一実施形態による電子装置を示す斜視図である。
図2】一実施形態による電子装置の分解斜視図である。
図3】一実施形態による表示装置の斜視図である。
図4】一実施形態による表示装置の断面図である。
図5】一実施形態による表示装置を概略的に示す断面図である。
図6】一実施形態による反射防止部材の断面図である。
図7】一実施形態の表示装置の断面図である。
図8a】一実施例の反射防止部材のSCI反射率を示すグラフである。
図8b】比較例の反射防止部材のSCI反射率を示すグラフである。
図9a】一実施例の反射防止部材を含む表示装置のSCE反射率を示すグラフである。
図9b】比較例の反射防止部材を含む表示装置のSCE反射率を示すグラフである。
図10】一実施例による反射防止部材の波長によるSCI反射率を示すグラフである。
図11a】実施例の反射防止部材の波長によるSCI反射率を示すグラフである。
図11b】比較例の反射防止部材の波長によるSCI反射率を示すグラフである。
図12a】一実施例による反射防止部材を含む表示装置の視野角によるSCE反射率を示すグラフである。
図12b】比較例の反射防止部材を含む表示装置の視野角によるSCE反射率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本明細書において、ある構成要素(または領域、層、部分など)が他の構成要素の「上にある」、または「結合される」と言及されれば、それは他の構成要素の上に直接配置・連結・結合され得るか、またはそれらの間に第3の構成要素が配置され得ることを意味する。
【0027】
同じ図面符号は同じ構成要素を指す。また、図面において、構成要素の厚さ、割合、及び寸法は技術的内容の効果的な説明のために誇張されている。「及び/または」は、関連する構成要素が定義する一つ以上の組み合わせを全て含む。
【0028】
第1、第2などの用語は多様な構成要素を説明するのに使用されるが、前記構成要素は前記用語に限らない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的にのみ使用される。例えば、本発明の権利範囲を逸脱しないながらも第1構成要素は第2構成要素と命名されてもよく、類似して第2構成要素も第1構成要素と命名され得る。単数の表面は文脈上明白に異なるように意味しない限り、複数の表現を含む。
【0029】
また、「下に」、「下側に」、「上に」、「上側に」などの用語は、図面に示した構成要素の連関関係を説明するために使用される。前記用語は相対的な概念であって、図面に示した方向を基準に説明される。
【0030】
「含む」または「有する」などの用語は明細書の上に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定するものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないと理解すべきである。
【0031】
異なるように定義されない限り、本明細書で使用された全ての用語(技術的及び科学的用語を含む)は、本発明の属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるようなものと同じ意味を有する。また、一般的に使用される辞書で定義された用語と同じ用語は関連技術の脈絡で有する意味と一致する意味を有すると解釈すべきであり、ここで明示的に定義されない限り、過度に理想的であるか形式的な意味に解釈してはならない。
【0032】
以下では図面を参照して、本発明の一実施形態による電子装置について説明する。
【0033】
図1は、一実施形態による電子装置を示す斜視図である。図2は、一実施形態による電子装置の分解斜視図である。
【0034】
図1を参照すると、電子装置EDは表示面ISを介して映像IMを表示し得る。表示面ISは、映像IMが表示される表示領域DAと、表示領域DAに隣接した非表示領域NDAとを含む。非表示領域NDAは、映像が表示されない領域である。
【0035】
表示領域DAは四角形状であり得る。非表示領域NDAは表示領域DAを囲み得る。但し、これに限らず、表示領域DAの形状と非表示領域NDAの形状は相対的にデザインされてもよい。また、電子装置EDの前面に非表示領域NDAが存在しなくてもよい。
【0036】
図1では電子装置EDとして携帯用電子機器を例示的に示している。しかし、電子装置EDはテレビ、モニタ、または外部広告板のような大型電子機器を初め、パソコン、ノートパソコン、PDA、カーナビゲーションユニット、ゲーム機、スマートフォン、タブレット、及びカメラのような中小型電子装置などに使用されてもよい。また、これらは単に実施形態として提示されたものであって、本発明の概念から逸脱しない限り他の電子機器にも採用され得る。
【0037】
図2を参照すると、一実施形態の電子装置EDは、表示装置DDと、表示装置DDの上部に配置されるウィンドウWMとを含み得る。表示装置DDは映像を生成し得る。表示装置DDについては後ほど詳細に説明する。
【0038】
ウィンドウWMは、光学的に透明な絶縁物質を含むことができる。また、ウィンドウWMは軟性を有することができる。例えば、ウィンドウWMはポリイミドなどの樹脂フィルム、樹脂基板、または薄膜のガラス基板を含むことができる。表示装置DDで生成された映像はウィンドウWMを通過して電子装置EDに表示されるものであってもよい。
【0039】
図3は、一実施形態による表示装置の斜視図である。図4は、一実施形態による表示装置の断面図である。図4図3のI-I’線に対応する部分を示すものであってもよい。
【0040】
図3及び図4を参照すると、一実施形態の表示装置DDは、表示モジュールDMと、表示モジュールDMの上に配置される反射防止部材ARとを含んでもよい。一実施形態の表示装置DDは、表示モジュールDDと反射防止部材ARとの間に配置されるベース基板BLを更に含んでもよい。
【0041】
表示モジュールDMは、順次に積層される表示パネルDPと、光制御層CCLと、カラーフィルタ層CFLとを含んでもよい。表示パネルDPは、パネルベース層BSと、パネルベース層BSの上に提供される回路層DP-CLと、表示素子層DP-EDとを含んでもよい。表示素子層DP-EDは、画素定義膜PDLと、画素定義膜PDLの間に配置される発光素子LEDと、発光素子LEDの上に配置される封止層TFEとを含むことができる。
【0042】
パネルベース層BSは表示素子層EP-EDが配置されるベース面を提供する部材であり得る。パネルベース層BSはガラス基板、金属基板、プラスチック基板などであってもよい。しかし、実施形態はこれに限らず、パネルベース層BSは無機層、有機層、または複合材料層であってもよい。
【0043】
一実施形態において、回路層DP-CLはパネルベース層BSの上に配置され、回路層DP-CLは複数のトランジスタ(図示せず)を含んでもよい。トランジスタ(図示せず)は、それぞれ制御電極と、入力電極と、出力電極とを含み得る。例えば、回路層DP-CLは、表示素子層DP-EDの発光素子LEDを駆動するためのスイッチングトランジスタと駆動トランジスタとを含んでもよい。
【0044】
発光素子LEDのそれぞれは、第1電極EL1と、正孔輸送領域HTRと、発光層EMLと、電子輸送領域ETRと、第2電極EL2とを含んでもよい。正孔輸送領域HTR、発光層EML、電子輸送領域ETR、及び第2電極EL2は発光素子LED全体で共通層として提供されてもよい。発光素子LEDは単一な波長の第1色光を発光してもよい。例えば、発光素子LEDが発光する第1色光は青色光であってもよい。
【0045】
図示とは異なって、一実施形態において、正孔輸送領域HTR、発光層EML、及び電子輸送領域ETRは画素定義膜PDLに定義される開口部OH内にパターニングされて提供されもよい。例えば、一実施形態において、発光素子LEDの正孔輸送領域HTR、発光層EML、及び電子輸送領域ETRなどはインクジェットプリンティング法でパターニングされて提供されてもよい。発光層EMLがパターニングされて提供される場合、それぞれの発光層EMLは、同じ波長領域の第1色光を発光してもよい。第1色光は青色光であってもよい。
【0046】
封止層TFEは発光素子LEDをカバーすることができる。封止層TFEは、表示素子層DP-EDを密封してもよい。封止層TFEは薄膜封止層であってもよい。封止層TFEは一層または複数の層が積層されたものであってもよい。封止層TFEは少なくとも一つの絶縁層を含む。一実施形態による封止層TFEは、少なくとも一つの無機膜(以下、封止無機膜)を含むことができる。また、一実施形態による封止層TFEは、少なくとも一つの有機膜(以下、封止有機膜)と、少なくとも一つの封止無機膜とを含むことができる。
【0047】
封止無機膜は、水分/酸素から表示素子層DP-EDを保護し、封止有機膜はほこり粒子のような異物から表示素子層DP-EDを保護する。封止無機膜は、窒化シリコン、酸窒化シリコン、酸化シリコン、酸化チタン、または酸化アルミニウムなどを含んでもよいが、特にこれに限らない。封止有機膜はアクリル系化合物、エポキシ系化合物などを含み得る。封止有機膜は光重合可能な有機物質を含み得るが、特にこれに限らない。
【0048】
封止層TFEは、第2電極EL2の上に配置され、開口部OHを埋めて配置することができる。
【0049】
光制御層CCLは、表示パネルDPの上に配置することができる。光制御層CCLは光変換体を含んでもよい。光変換体は量子ドットまたは蛍光体などであってもよい。光変換体は、提供された光を波長変換して発光してもよい。つまり、光制御層CCLは量子ドットを含む層であるか、または蛍光体を含む層であってもよい。
【0050】
光制御層CCLは、複数個の光制御部CCP1、CCP2、CCP3を含んでもよい。光制御部CCP1、CCP2、CCP3は互いに離隔されてもよい。
【0051】
図4を参照すると、互いに離隔されている光制御部CCP1、CCP2、CCP3の間に分割パターンBMPが提供されるが、実施形態はこれに限らない。図4では分割パターンBMPは光制御部CCP1、CCP2、CCP3と重畳しないと示されているが、光制御部CCP1、CCP2、CCP3の端は分割パターンBMPと少なくとも一部が重畳してもよい。
【0052】
光制御層CCLは、発光素子LEDから提供される第1色光を第2色光に変換する第1量子ドットQD1を含む第1光制御部CCP1と、第1色光を第3色光に変換する第2量子ドットQD2を含む第2光制御部CCP2と、第1色光を透過させる第3光制御部CCP3とを含んでもよい。
【0053】
一実施形態において、第1光制御部CCP1は第2色光である赤色光を提供し、第2光制御部CCP2は第3色光である緑色光を提供してもよい。第3光制御部CCP3は、発光素子LEDから提供された第1色光である青色光を透過させて提供することができる。例えば、第1量子ドットQD1は赤色の量子ドットであり、第2量子ドットQD2は緑色の量子ドットであってもよい。
【0054】
第1量子ドットQD1及び第2量子ドットQD2それぞれのコアはII-VI族化合物、III-VI族化合物、I-III-VI族、III-V族化合物、III-II-V族化合物、IIV-VI族化合物、IV族元素、IV族化合物、及びこれらの組み合わせから選択することができる。
【0055】
II-VI族化合物は、CdSe、CdTe、CdS、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnO、HgS、HgSe、HgTe、MgSe、MgS、及びこれらの混合物からなる群より選択される二元化合物、CdSeS、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgZnS、HeZnSe、HeZnTe、MgZnSe、MgZnS、及びこれらの混合物からなる群より選択される三元化合物、及びHgZnTeS、CdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe、HgZnSTe、及びこれらの混合物からなる群より選択される四元化合物からなる群より選択することができる。
【0056】
III-VI族化合物は、In、InSeなどのような二元化合物、InGaS、InGaSeなどのような三元化合物、またはこれらの任意の組み合わせを含みむことができる。
【0057】
I-III-VI族化合物は、AgInS、AgInS、CuInS、CuInS、AgGaS、CuGaS、CuGaO、AgGaO、AgAlO及びこれらの混合物からなる群より選択される三元化合物、またはAgInGaS、CuInGaSなどの四元化合物から選択することができる。
【0058】
III-V族化合物は、GaN、GaP、GaAs、GaSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、InN、InP、InAs、InSb、及びこれらの混合物からなる群より選択される二元化合物と、GaNP、GaNAs、GaNSb、GaPAs、GaPSb、AlNP、AlNAs、AlNSb、AlPAs、AlPSb、InGaP、InAlP、InNP、InNAs、InNSb、InPAs、InPSb、及びこれらの混合物からなる群より選択される三元化合物と、GaAlNP、GaAlNAs、GaAlNSb、GaAlPAs、GaAlPSb、GaInNP、GaInNAs、GaInNSb、GaInPAs、GaInPSb、InAlNP、InAlNAs、InAlNSb、InAlPAs、InAlPSb、及びこれらの混合物からなる群より選択される四元化合物とからなる群より選択することができる。一方、III-V族化合物はII族金属を更に含むことができる。例えば、III-II-V族化合物としてInZnPなどが選択することができる。
【0059】
IV-VI族化合物は、SnS、SnSe、SnTe、PbS、PbSe、PbTe、及びこれらの混合物からなる群より選択される二元化合物と、SnSeS、SnSeTe、SnSTe、PbSeS、PbSeTe、PbSTe、SnPbS、SnPbSe、SnPbTe、及びこれらの混合物からなる群より選択される三元化合物と、SnPbSSe、SnPbSeTe、SnPbSTe、及びこれらの混合物からなる群より選択される四元化合物とからなる群より選択することができる。IV族元素は、Si、Ge、及びこれらの混合物からなる群より選択することができる。IV族化合物は、SiC、SiGe、及びこれらの混合物からなる群より選択される二元化合物であってもよい。
【0060】
このとき、二元化合物、三元化合物、または四元化合物は均一な濃度で粒子内に存在するか、濃度分布が部分的に異なる状態に分けられて同一粒子内に存在してもよい。また、一つの量子ドットが他の量子ドットを囲むコア/シェル構造を有してもよい。コア/シェル構造において、シェルに存在する元素の濃度がコアに行くほど低くなる濃度勾配(gradient)を有することができる。
【0061】
いくつかの実施形態において第1量子ドットQD1及び第2量子ドットQD2は上述したナノ結晶を含むコアと、前記コアを囲むシェルとを含むコア-シェル構造を有することができる。第1量子ドットQD1及び第2量子ドットQD2のシェルは、第1量子ドットQD1及び第2量子ドットQD2のコアの化学的変性を防止して半導体特性を維持するための保護層の役割、及び/または量子ドットに電気泳動特性を与えるためのチャージング層(charging layer)の役割をすることができる。第1量子ドットQD1及び第2量子ドットQD2のシェルは単層または多重層であってもよい。前記量子ドットのシェルの例としては、金属または非金属の酸化物、半導体化合物、またはこれらの組み合わせなどが挙げられる。
【0062】
例えば、前記金属または非金属の酸化物は、SiO、Al、TiO、ZnO、MnO、Mn、Mn、CuO、FeO、Fe、Fe、CoO、Co、NiOなどの二元化合物、またはMgAl、CoFe、NiFe、CoMnなどの三元化合物などが挙げられるが、本発明はこれに限らない。
【0063】
また、前記半導体化合物は、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnSeS、ZnTeS、GaAs、GaP、GaSb、HgS、HgSe、HgTe、InAs、InP、InGaP、InSb、AlAs、AlP、AlSbなどが挙げられるが、本発明はこれに限らない。
【0064】
第1量子ドットQD1及び第2量子ドットQD2は約45nm以下、好ましくは約40nm以下、より好ましくは約30nm以下の発光波長スペクトルの半値幅(full width of half maximum、FWHM)を有し、この範囲で色純度や色再現性を向上させることができる。また、第1量子ドットQD1及び第2量子ドットQD2を介して発光される光は全方向に発光されるため、光視野角を向上させることができる。
【0065】
また、第1量子ドットQD1及び第2量子ドットQD2の形態は当分野で一般的に使用する形態のものであって特に限らないが、より詳しくは、球状、ピラミッド状、多腕(multi-arm)状、立方体(cubic)のナノ粒子、ナノチューブ、ナノワイヤ、ナノ繊維、ナノ板状粒子などの形態のものを使用することができる。
【0066】
また、光制御層CCLは散乱体SPを更に含んでもよい。第1光制御部CCP1は第1量子ドットQD1と散乱体SPを含み、第2光制御部CCP2は第2量子ドットQD2と散乱体SPを含み、第3光制御部CCP3は量子ドットを含まずに散乱体SPを含んでもよい。
【0067】
散乱体SPは無機粒子であってもよい。例えば、散乱体SPは、TiO、ZnO、Al、SiO、及び中空シリカのうち少なくとも一つを含んでもよい。散乱体SPは、TiO、ZnO、Al、SiO、及び中空シリカのうち少なくともいずれか一つを含むものであるか、TiO、ZnO、Al、SiO、及び中空シリカのうちから選択される2種以上の物質が混合されたものであってもよい。
【0068】
第1光制御部CCP1、第2光制御部CCP2、及び第3光制御部CCP3それぞれは、量子ドットQD1、QD2及び散乱体SPを分散させるベース樹脂BR1、BR2、BR3を含むことができる。一実施形態において、第1光制御部CCP1は第1ベース樹脂BR1内に分散された第1量子ドットQD1と散乱体SPを含み、第2光制御部CCP2は第2ベース樹脂BR2内に分散された第2量子ドットQD2と散乱体SPを含み、第3光制御部CCP1は第3ベース樹脂BR3内に分散された散乱体SPを含んでもよい。ベース樹脂BR1、BR2、BR3は量子ドットQD1、QD2及び散乱体SPが分散される媒質であって、一般にバインダと称されることがある多様な樹脂組成物からなることができる。例えば、ベース樹脂BR1、BR2、BR3は、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコン系樹脂、エポキシ系樹脂などであることができる。ベース樹脂BR1、BR2、BR3は、透明樹脂であることができる。一実施形態において、第1ベース樹脂BR1、第2ベース樹脂BR2、及び第3ベース樹脂BR3のそれぞれは互いに同じであるか異なってもよい。
【0069】
光制御層CCLはバリア層BFL1を含んでもよい。バリア層BFL1は、水分及び/または酸素(以下、「水分/酸素」と称する)の浸透を防ぐ役割をしてもよい。バリア層BFL1は光制御部CCP1、CCP2、CCP3の上に配置されて光制御部CCP1、CCP2、CCP3が水分/酸素に露出されることを遮断することができる。一方、バリア層BFL1は光制御部CCP1、CCP2、CCP3をカバーすることができる。また、光制御部CCP1、CCP2、CCP3とカラーフィルタ層CFLとの間にもバリア層BLF2が提供されてもよい。
【0070】
バリア層BFL1、BFL2は少なくとも一つの無機層を含んでもよい。つまり、バリア層BFL1、BFL2は無機物質を含んで形成されることができる。例えば、バリア層BFL1、BFL2は、シリコン窒化物、アルミニウム窒化物、ジルコニウム窒化物、チタン窒化物、ハフニウム窒化物、タンタル窒化物、シリコン酸化物、アルミニウム酸化物、チタン酸化物、錫酸化物、セリウム酸化物、及びシリコン酸化窒化物や、光透過率が確保された金属薄膜などを含んで形成されることができる。一方、バリア層BFL1、BFL2は有機膜を更に含むことができる。バリア層BFL1、BFL2は単一層または複数の層からなってもよい。
【0071】
一実施形態の表示装置DDにおいて、カラーフィルタ層CFLは光制御層CCLの上に配置することができる。例えば、カラーフィルタ層CFLは色制御層CCLの上に直接配置することができる。この場合、バリア層BFL2は省略されてもよい。
【0072】
光制御層CCLとカラーフィルタ層CFLとの間に低屈折層LRLが配置することができる。低屈折層LRLは、低屈折層LRLに隣接したカラーフィルタ層CFLより低い屈折率を有する層であることができる。低屈折層LRLは光制御層CCLからカラーフィルタ層CFLの方向に発光される青色光のうち一部を全反射させて光制御層CCLに再入射させることができる。青色光は発光素子EDから発光される光であってもよい。青色光のうち一部は光制御層CCLに含まれる第1光制御部CCP1または第2光制御部CCP2に再入射させることができる。上述したように、第1光制御部CCP1は再入射された青色光を赤色光に変換させることができ、第2光制御部CCP2は再入射された青色光を緑色光に変換させることができる。このような光の再循環によって表示装置DDの光効率を向上させることができる。
【0073】
カラーフィルタ層CFLは、第1カラーフィルタCF-1と、第2カラーフィルタCF-2と、第3カラーフィルタCF-3とを含むことができる。第1フィルタCF-1は第2色光を透過させ、第2フィルタCF-2は第3色光を透過させ、第3フィルタCF-3は第1色光を透過させることができる。例えば、第1フィルタCF-1は赤色フィルタ、第2フィルタCF-2は緑色フィルタで、第3フィルタCF-3は青色フィルタである。
【0074】
第1フィルタCF-1は赤色発光領域PXA-R及び非発光領域NPXAに提供され、第2フィルタCF-2は緑色発光領域PXA-G及び非発光領域NPXAに提供することができる。また、第3フィルタCF-3は青色発光領域PXA-B及び非発光領域NPXAに提供することができる。非発光領域NPXAにおいて、第1~第3フィルタCF-1、CF-2、CF-3のうち少なくとも2つのフィルタは互いに重畳することができる。例えば、非発光領域NPXAにおいて、第1~第3フィルタCF-1、CF-2、CF-3がいずれも重畳することができる。但し、実施形態はこれに限らず、非発光領域に第1~第3フィルタが提供されず、有機遮光物質または無機遮光物質を含むブラックマトリックスが提供されてもよい。
【0075】
第1~第3フィルタCF-1、CF-2、CF-3のそれぞれは、高分子感光樹脂と顔料、または染料を含むことができる。但し、実施形態はこれに限らず、第3フィルタCF-3は顔料または染料を含まなくてもよい。第3フィルタCF-3は透明であってもよい。また、第1フィルタCF-1と第2フィルタCF-2は黄色(yellow)フィルタであってもよい。第1フィルタCF-1と第2フィルタCF-2は互いに区分されずに一体に提供してもよい。カラーフィルタ層CFLの上にはベース基板BLが配置されることができる。ベース基板BLは、カラーフィルタ層CFL及び光制御層CCLなどが配置されるベース面を提供する部材であってもよい。ベース基板BLは、ガラス基板、金属基板、プラスチック基板などであってもよい。しかし、実施形態はこれに限らず、ベース基板BLは無機層、有機層、または複合材料層であってもよい。また、図示とは異なって、一実施形態においてベース基板BLは省略されてもよい。
【0076】
表示装置DDは、非発光領域NPXAと、発光領域PXA-R、PXA-G、PXA-Bとを含むことができる。発光領域PXA-R、PXA-G、PXA-Bそれぞれは発光素子LEDそれぞれから生成された第1色光が光制御層CCLを通過して変換された第1~第3色光が発光される領域であってもよい。発光領域PXA-R、PXA-G、PXA-Bは平面上で互いに離隔されてもよい。
【0077】
発光領域PXA-R、PXA-G、PXA-Bそれぞれは画素定義膜PDLで区分される領域であってもよい。非発光領域NPXAは隣り合う発光領域PXA-R、PXA-G、PXA-Bの間の領域であって、画素定義膜PDLと対応する領域であってもよい。一方、本明細書において、発光領域PXA-R、PXA-G、PXA-Bそれぞれは画素(Pixel)に対応してもよい。画素定義膜PDLは発光素子LEDを区分してもよい。
【0078】
発光領域PXA-R、PXA-G、PXA-Bは、光制御部CCP1、CCP2、CCP3から提供される光の色によって複数個のグループに区分することができる。詳しくは、発光層EMLから提供される第1色光が光制御部CCP1、CCP2、CCP3を通過しながら変換された第1~第3色光の色によって発光領域PXA-R、PXA-G、PXA-Bが複数個のグループに区分することができる。図3及び図4に示した一実施形態の表示装置DDでは赤色光、緑色光、及び青色光を発光する3つの発光領域PXA-R、PXA-G、PXA-Bを例示的に示している。例えば、一実施形態の表示装置DDは、互いに区分される赤色発光領域PXA-R、緑色発光領域PXA-G、及び青色発光領域PXA-Bを含むことができる。
【0079】
一実施形態による表示装置DDにおける発光領域PXA-R、PXA-G、PXA-Bは縞状に配列されてもよい。図3を参照すると、複数個の赤色発光領域PXA-R、複数個の緑色発光領域PXA-G、及び複数個の青色発光領域PXA-Bが、それぞれ第2方向軸DR2に沿って整列されてもよい。また、第1方向軸DR1に沿って赤色発光領域PXA-R、緑色発光領域PXA-G、及び青色発光領域PXA-Bの順に交互に配列されてもよい。
【0080】
図3及び図4では発光領域PXA-R、PXA-G、PXA-Bの面積がいずれも類似しているように示しているが、実施形態はこれに限らず、発光領域PXA-R、PXA-G、PXA-Bの面積は発光する光の波長領域によって互いに異なってもよい。一方、発光領域PXA-R、PXA-G、PXA-Bの面積は、第1方向軸DR1と第2方向軸DR2が定義する平面上から見た際の面積を意味することができる。
【0081】
一方、発光領域PXA-R、PXA-G、PXA-Bの配列形態は図3の図示に限らず、赤色発光領域PXA-R、緑色発光領域PXA-G、及び青色発光領域PXA-Bが配列される順番は、表示装置DDから要求される表示品質の特性に応じて多様に組み合わせられて提供することができる。例えば、発光領域PXA-R、PXA-G、PXA-Bの配列形態はペンタイル(pentile)(登録商標)配列形態であるか、ダイヤモンド配列形態を有してもよい。
【0082】
また、発光領域PXA-R、PXA-G、PXA-Bの面積は互いに異なってもよい。例えば、一実施形態において、緑色発光領域PXA-Gの面積が青色発光領域PXA-Bの面積より小さくてもよいが、実施形態はこれに限らない。
【0083】
反射防止部材ARは低い反射率を有し、外部光を遮断する層であってもよい。反射防止部材ARは屈折率が異なる複数の層を有し、相殺干渉によって外部光を遮断する層であってもよい。反射防止部材ARについては後ほど詳細に説明する。
【0084】
図5は、一実施形態による表示装置を概略的に示す断面図である。図6は、一実施形態による反射防止部材の断面図である。
【0085】
図5及び図6を参照すると、反射防止部材ARは、ベース層TACと、ハードコーティング層HCと、第1光学層HRと、第2光学層LRとを含んでもよい。反射防止部材ARは表示モジュールDRの上部に直接配置されてもよい。但し、これは例示的なものであって、実施形態はこれに限らず、反射防止部材ARと表示モジュールDMとの間に粘着層(図示せず)が配置されてもよい。
【0086】
図5を参照すると、第1光L1-1は反射防止部材ARから表示モジュールDMの方向に入射する外光であってもよい。第1光L1-1は反射防止部材ARの表面から一部反射され、残部は反射防止部材ARを透過してもよい。反射防止部材ARの表面から一部反射された第2光L1-2の光量を調節すれば、反射防止部材ARを透過して表示モジュールDMの表面から反射された第3光L1-3の光量を調節することができる。表示装置DDに入射して反射された反射光がユーザに視認される色は、第2光L1-2の光量と第3光L1-3の光量の比率によって決定することができる。例えば、ユーザに視認される反射光の色は表示モジュールDMのSCE(Specular Component Excluded)反射光によって決定されてもよい。
【0087】
反射防止部材ARは、350nm以上370nm未満の波長の光に対するSCI反射率が4%以上7%以下であることができる。反射防止部材ARの350nm以上370nm未満の波長の光に対するSCI反射率が増加するほど、第1光L1-1のうち350nm以上370nm未満の波長の光は第2光L1-2と同じ経路で反射防止部材ARから反射される比率が増加し、第3光L1-3と同じ経路で反射防止部材ARを透過して表示モジュールDMに入射する比率が減少してもよい。その結果、表示モジュールDMから反射される350nm以上370nm未満の波長の光の光量が減少することができる。
【0088】
また、一実施形態の反射防止部材ARは、350nm以上370nm未満の波長の光に対するSCI反射率が4%以上7%以下であれば、表示装置DDの電源がOFFされた状態でユーザに視認される反射光の色が純水な黒色(neutral black)であってもよい。表示装置DDが電源がOFFされた状態でユーザに視認される反射光の色が純粋な黒色であれば、表示装置DDの電源がONされた状態で生成する映像に対して反射光の干渉が減って、表示装置DDの表示品質を向上させることができる。
【0089】
反射防止部材ARは450nm以上470nm以下の波長の光に対するSCI反射率が0%以上0.3%以下であることができる。反射防止部材ARの450nm以上470nm以下の波長の光に対するSCI反射率が0.3%を超過すれば、表示装置DDが電源がOFFされた状態でユーザに視認される反射光の色を純粋な黒色に具現することができず、表示装置DDの表示品質が低下することがある。
【0090】
反射防止部材ARは540nm以上560nm以下の波長の光に対するSCI反射率が0%以上0.2%以下であることができる。反射防止部材ARの540nm以上560nm以下の波長の光に対するSCI反射率が0.2%を超過すれば、反射防止部材ARの反射防止機能が損なわれることがある。
【0091】
反射防止部材ARは710nm以上730nm以下の波長の光に対するSCI反射率が0%以上0.6%以下であることができる。反射防止部材ARの710nm以上730nm以下の波長の光に対するSCI反射率が0%以上0.6%以下であれば、ユーザが視野角AGが10度~60度のところから表示装置DDを見る際、表示装置DDが電源がOFFされた状態で反射光がユーザにやや赤く(reddish)視認される減少を改善することができる。
【0092】
図6を参照すると、ベース層TACは表示モジュールDMに隣接して配置されてもよい。ベース層TACは高強度と優れた平坦化特性を有する有機物を含んでもよい。例えば、ベース層TACはトリアセチルセルロースを含んでもよい。ベース層TACは表示モジュールDMの上に配置されて平坦な上面を提供することができる。
【0093】
ハードコーティング層HCは、ベース層TACの上に配置されてもよい。ハードコーティング層HCは反射防止部材ARに耐久性を提供してもよい。ハードコーティング層は屈折率が1.3以上1.6以下であることができる。
【0094】
第1光学層HRは、ハードコーティング層HCの上に配置されされてもよい。第1光学層HRの第1屈折率は、第2光学層LRの第2屈折率より大きいのであってもよい。第1光学層HRは酸化金属を含んでもよい。例えば、第1光学層HRは、酸化ジルコニウム(ZrO)を含んでもよい。但し、これは例示的なものであって、実施形態はこれに限らず、第1屈折率を第2屈折率より大きく具現し得るものであれば第1光学層HRの材料として制限なく使用することができる。
【0095】
第2光学層LRは、第1光学層HRの上に配置されてもよい。第2光学層LRの第2屈折率は第1光学層HRの第1屈折率より小さいのであってもよい。第2光学層LRは第1光学層HRと互いに異なる材料を含んでもよい。第2光学層LRは第1光学層HRの材料より屈折率が小さい材料を含んでもよい。
【0096】
第2光学層LRは、ベース部BPと、ベース部BPに分散されている無機粒子HPとを含んでもよい。ベース部BPは硬化可能な有機物を含んでもよい。例えば、ベース部BPはシリコン樹脂であってもよい。しかし、これは例示的なものであって、実施形態はこれに限らない。
【0097】
無機粒子HPは、中空シリカを含んでもよい。中空シリカは球状を有することができる。中空シリカの大きさは均一であってもよい。但し、これは例示的なものであって、実施形態はこれに限らない。例えば、中空シリカの大きさは不均一であってもよい。一方、中空シリカの平均直径は15μm以上45μm以下であることができる。中空シリカの平均直径が15μm未満であれば反射防止特性が弱化し、中空シリカの平均直径が45μmを超過すれば透過度特性を損なうことがある。
【0098】
第1光学層HRの屈折率は、1.4以上1.7以下であることができる。第2光学層LRの屈折率は、1.0以上1.3以下であることができる。第1光学層HRの厚さTは80μm以上90μm以下であることができる。第2光学層LRの厚さTは90μm以上100μm以下であることができる。第1光学層HRの屈折率が1.4以上1.7以下で、第2光学層LRの屈折率が1.0以上1.3以下で、第1光学層HRの厚さTは80μm以上90μm以下で、第2光学層LRの厚さTは90μm以上100μm以下であれば、ユーザに反射光が純粋な黒色で視認することができる。
【0099】
第1光学層HRの厚さTと第2光学層LRの厚さTの和は、190μm以下であることができる。第1光学層HRの厚さTと第2光学層LRの厚さTの和が190μmを超過すれば、反射防止部材ARの540nm以上560nm以下の光に対するSCI反射率が増加し、反射防止部材ARの反射防止機能がそこなわれることがある。
【0100】
一実施形態の反射防止部材ARは、従来の反射防止部材に比べ第1光学層HRの厚さTと第2光学層LRの厚さTを厚く調節して、反射防止部材ARの反射率を調節したものである。例えば、一実施形態の反射防止部材ARは、第1光学層HRの厚さTを従来の第1光学層の厚さより約10%厚く調節し、第2光学層LRの厚さTを従来の第2光学層の厚さより約9%厚く調節したものであってもよい。一実施形態の反射防止部材ARは第1光学層HRの厚さTと第2光学層LRの厚さTを厚く調節することで、青色光に対する高いSCI反射率を有し、緑色光に対する低いSCI反射率を有することができる。反射防止部材ARが青色光に対する高いSCI反射率を有すれば、反射防止部材ARを透過して表示モジュールDMに入射する青色光の光量が減少し、表示モジュールDMから反射される青色光の光量が減少することができる。また、反射防止部材ARが緑色光に対して低いSCI反射率を有して、反射防止部材ARから反射される緑色光の光量が減少することができる。それによって、異なる波長領域の光の反射率を調節し、表示装置DDが電源がOFFされた状態でユーザに視認される反射光の色を純粋な黒色に具現することができる。
【0101】
図7は、一実施形態の表示装置の断面図である。以下、図7に示した一実施形態に対する表示装置に関する説明において、上述した図1図6で説明した内容と重複する内容は再度説明せず、差を中心に説明する。
【0102】
図7に示した一実施形態の表示装置DD-1は、図4の表示装置DD(図4)とは異なって、ベース基板BLを含まない点、光制御層CCLの上にカラーフィルタ層CFL-1が直接配置される点に差がある。
【0103】
図7を参照すると、一実施形態の表示装置DD-1には光制御層CCLの上にカラーフィルタ層CFL-1が直接配置されてもよい。カラーフィルタ層CFL-1は、第1フィルタCF1と、第2フィルタCF2と、第3フィルタCF3とを含んでもよい。カラーフィルタ層CFL-1は遮光部BM(図4)を含まないのであってもよい。カラーフィルタ層CFL-1の上に反射防止部材ARが直接配置されされてもよい。つまり、ベース基板BL(図4)を含まない表示モジュールDMの上に反射防止部材ARが直接配置されてもよい。光制御層CCL、カラーフィルタ層CFL-1、及び反射防止部材ARは連続工程によって形成されてもよい。
【0104】
図8aは、一実施例の反射防止部材のSCI反射率を示すグラフである。図8bは、比較例の反射防止部材のSCI反射率を示すグラフである。図9aは、一実施例の反射防止部材を含む表示装置のSCE反射率を示すグラフである。図9bは、比較例の反射防止部材を含む表示装置のSCE反射率を示すグラフである。図8a及び図8bに示した反射防止部材のSCI反射率は、図6で説明した反射防止部材AR(図6)を黒板の上に配置した後で測定したものである。図9a及び図9bに示した表示装置のSCE反射率は、図4で説明した表示装置DDのSCE反射率を測定したものである。図8a及び図9aで説明する実施例の反射防止部材は、波長が350nm以上370nm以下の光に対するSCI反射率が4%以上7%以下である。図8b及び図9bで説明する比較例の反射防止部材は、波長が、波長が350nm以上370nm以下の光に対するSCI反射率が4%未満である場合を除いては実施例と同じ構造である。
【0105】
図8a及び図8bを参照すると、実施例の反射防止部材は、比較例の反射防止部材に比べ波長が350nm以上370nm以下の光に対するSCI反射率が大きいことを確認することができる。また、図9a及び図9bを参照すると、実施例の表示装置は、比較例の表示装置に比べ波長が350nm以上370nm以下の光に対するSCE反射率が大きいことを確認することができる。
【0106】
下記表1では、実施例の表示装置DD(図5)と比較例の表示装置それぞれの反射光のSCE色座標を測定して下記表1に示している。表示装置の反射光のSCE色座標は、表示装置の電源がOFFされた状態での反射光のSCE色座標を測定した。
【0107】
【表1】
【0108】
SCE色座標がX=0.310、Y=0.330に近いほどユーザに反射光が純粋な黒色に近く認識される。表1を参照すると、実施例のSCE色座標はX=0.305、Y=0.284で、比較例のSCE色座標はX=0.288、Y=0.246である。よって、実施形態の表示装置DD(図4)の反射光が比較例の表示装置の反射光に比べユーザに純粋な黒色に近く視認することができる。
【0109】
図10は、一実施例の反射防止部材の波長によるSCI反射率を示すものである。
【0110】
図10を参照すると、グラフの上にそれぞれ実施例1~実施例6の反射防止部材AR(図5)の波長によるSCI反射率を示している。実施例1~実施例6の反射防止部材AR(図5)は、波長が350nm以上370nm以下の光に対するSCI反射率がいずれも4%以上7%以下の範囲で差異を有する。実施例1~実施例6は、降順に波長が350nm以上370nm以下の光に対するSCI反射率のより低い値を有する。実施例1~実施例6の反射防止部材AR(図5)を含む表示装置DD(図5)において、表示装置DD(図5)に入射した第1光L1-1に対する第3光L1-3の比率(以下、表示モジュールのSCI反射率)、及び反射光のSCE色座標を下記表2に示す。
【0111】
【表2】
【0112】
表2を参照すると、波長が350nm以上370nm以下の光に対して反射防止部材AR(図5)のSCI反射率が減少するほど、波長が350nm以上370nm以下の光に対して表示モジュールDM(図5)のSCI反射率が増加することが分かる。これは、反射防止部材AR(図5)から反射される第2光L1-2の光量が増加すれば、表示モジュールDM(図5)に入射される光量が減少して表示モジュールDM(図5)から反射される第3光L1-3の光量が減少することに起因すると考えられる。よって、波長が350nm以上370nm以下の光に対して反射防止部材AR(図5)のSCI反射率を調節し、波長が350nm以上370nm以下の光に対する表示モジュールDM(図5)のSCI反射率を調節することができる。
【0113】
また、波長が350nm以上370nm以下の光に対して反射防止部材AR(図5)のSCI反射率が増加するほど、SCE色座標のX値及びY値がそれぞれ増加することを確認することができる。よって、波長が350nm以上370nm以下の光に対して反射防止部材AR(図5)のSCI反射率を調節すれば、SCE色座標の値を調節できることを確認することができる。
【0114】
図11aは、実施例の反射防止部材の波長によるSCI反射率を示すグラフである。図11bは、比較例の反射防止部材の波長によるSCI反射率を示すグラフである。図12aは、一実施例による反射防止部材を含む表示装置の光の波長の長さによるSCE反射率を示すグラフである。図12bは、比較例の反射防止部材を含む表示装置の光の波長の長さによるSCE反射率を示すグラフである。図11a及び図11bに示した反射防止部材のSCI反射率は、図6で説明した反射防止部材AR(図6)を黒板の上に配置した後で測定したものである。図12a及び図12bに示した表示装置のSCE反射率は、図5で説明した表示装置DDのSCE反射率を測定したものである。図11a及び図12aで説明する実施例の反射防止部材は、波長が710nm以上730nm以下の光に対するSCI反射率が0.6%以下である。図11b及び図12bで説明する比較例の反射防止部材は、波長が、波長が710nm以上730nm以下の光に対するSCI反射率が0.6%を超過する場合を除いて、実施例と同じ構造である。
【0115】
図11a及び図11bを参照すると、実施例の反射防止部材AR(図5)が比較例の反射防止部材より波長が710nm以上730nm以下の光に対するSCI反射率が小さいことを確認することができる。
【0116】
図12a、図12b、及び図5を参照すると、実施例7~実施例12は、それぞれ表示装置DD(図5)を視野角AG(図5)が60度(degree)、50度、40度、30度、20度、及び10度の位置におけるSCE反射率をそれぞれ示している。図12bを参照すると、比較例1~比較例6は、視野角AG(図5)が60度、50度、40度、30度、20度、及び10度の位置における反射光のSCE反射率を示している。
【0117】
図12a及び図12bにおいて、実施例7~実施例12と比較例1~比較例6をそれぞれ対応して比較すると、実施例7~実施例12が比較例1~比較例6に比べ、波長が710nm以上730nm以下の光のSCE反射率が小さいことを確認することができる。それによって、波長が710nm以上730nm以下の光に対するSCI反射率が0.6%以下の反射防止部材AR(図5)を含む表示装置DD(図5)は、表示装置DD(図5)を側面から見る際の反射光がユーザにやや赤く視認される現象を減少させることができる。
【0118】
一実施例の電子装置は350nm以上370nm以下の波長領域の光に対する反射率が相対的に高い反射防止部材を含み、電子装置から反射される反射光の色を純粋な黒色に調節することができる。また、反射光の色を純粋な黒色に調節すれば、電子装置から提供される映像と反射光の干渉を最小化することができる。その結果、一実施例の電子装置は、表示品質を改善させることができる。
【0119】
これまで本発明の好ましい実施例を参照して説明したが、該当技術分野における熟練した当業者または該当技術分野における通常の知識を有する者であれば、後述する特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び技術領域から逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正及び変更させることができることを理解できるはずである。
【0120】
よって、本発明の技術的範囲は明細書の詳細な説明に記載の内容に限らず、特許請求の範囲によって決められるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0121】
近年の表示パネルは、カラー画像を生成するために、画素によって異なる種類の光制御パターンを含み、視野角が広く、色再現性に優れる。一方、光制御パターンを含む表示パネルは、光制御パターンの表面から外部光の反射が起こり、表示パネルの表示効率が低下することがある。よって、光源から提供される光のピーク波長におけるカラーフィルタの透過率、隣接した波長範囲における光透過率、半値幅などを一定範囲以下に調節し、透過効率は最適化しながらも反射率を下げ、色再現率が改善された表示パネルを提供する本発明は、産業上の利用可能性が高い。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8a
図8b
図9a
図9b
図10
図11a
図11b
図12a
図12b
【国際調査報告】