(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】肺腫瘍を治療するためのデバイス及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20241108BHJP
【FI】
A61B18/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529901
(86)(22)【出願日】2022-12-02
(85)【翻訳文提出日】2024-06-21
(86)【国際出願番号】 US2022051727
(87)【国際公開番号】W WO2023102235
(87)【国際公開日】2023-06-08
(32)【優先日】2021-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2022-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522485051
【氏名又は名称】タウ メディカル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】TAU MEDICAL INC.
(71)【出願人】
【識別番号】524189823
【氏名又は名称】プサン ナショナル ユニバーシティー インダストリー-アカデミック コオペレーション ファウンデーション
【氏名又は名称原語表記】Pusan National University Industry-Academic Cooperation Foundation
(71)【出願人】
【識別番号】522329744
【氏名又は名称】タウ メディカル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】TAU MEDICAL INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】キム, ジュン‐ホン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK12
4C160KK58
4C160KK64
4C160MM32
(57)【要約】
本開示は、肺腫瘍の経気管支アブレーションのための方法、デバイス、アセンブリ及びシステムに関する。本開示の態様は以下のように含まれる。液体金属が充填された通路を加熱するように構成された高周波(RF)アブレーションカテーテルであって、このアブレーションカテーテルは、遠位端と近位端とを有する可撓性シャフトを備え、可撓性シャフトは、液体金属を通路に滴下するように構成された流体チャネルを有する。アブレーションカテーテルは、可撓性シャフトに装着された膨張可能バルーンを更に備え、バルーンに対し遠位にある可撓性シャフトの一部は、可撓性シャフトの遠位セグメントとして定義され、バルーンは、通路を閉塞するように構成される。アブレーションカテーテルは、遠位セグメントに位置し、RFエネルギーを液体金属に接続し、以て通路を加熱するように構成されるRFコンダクタを備える。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体金属が充填された通路を加熱するように構成された高周波(RF)アブレーションカテーテルであって、前記アブレーションカテーテルが、
遠位端と近位端との間に延びる可撓性シャフトであって、前記可撓性シャフトが、前記液体金属を前記通路に滴下するように構成された流体チャネルを有する、可撓性シャフトと、
前記可撓性シャフトに装着された膨張可能バルーンと、
RFコネクタと、
を備え、
前記膨張可能バルーンに対し遠位にある前記可撓性シャフトの一部が、前記可撓性シャフトの遠位セグメントとして定義され、
RFコネクタが、前記遠位セグメントに位置し、RFエネルギーを前記液体金属に接続し、以て前記通路を加熱するように構成される、RFアブレーションカテーテル。
【請求項2】
前記遠位セグメントが、導管が前記流体チャネルから前記液体金属を搬送するような方式で、前記遠位セグメント内部に前記導管を形成する、請求項1に記載のRFアブレーションカテーテル。
【請求項3】
前記RFコネクタが、凹方式で前記導管内に配置される、請求項2に記載のRFアブレーションカテーテル。
【請求項4】
前記RFコネクタが、前記膨張可能バルーンと直接に隣り合う前記遠位セグメントの前記近位端に配置される、請求項1に記載のRFアブレーションカテーテル。
【請求項5】
前記RFコネクタが、RF発生器に接続された導電性ワイヤである、請求項1に記載のRFアブレーションカテーテル。
【請求項6】
前記アブレーションカテーテルが、前記可撓性シャフトの前記遠位セグメントに装着され、前記液体金属の温度を読み取るように構成された温度センサを更に備える、請求項1に記載のRFアブレーションカテーテル。
【請求項7】
前記温度センサが、凹方式で前記導管内に配置される、請求項2に記載のRFアブレーションカテーテル。
【請求項8】
前記導管が、非導電性材料から作製される、請求項2に記載のRFアブレーションカテーテル。
【請求項9】
前記通路が、肺の気管支気道である、請求項1に記載のRFアブレーションカテーテル。
【請求項10】
通路を加熱するように構成されたアブレーションカテーテルアセンブリであって、前記アセンブリは、
シリンジ内に含まれる液体金属と、
RFアブレーションカテーテルであって、
前記液体金属を前記通路に滴下するための流体チャネルを有する可撓性シャフトと、
前記可撓性シャフトに装着された膨張可能バルーンと、
RFコネクタと、
を備え、
前記膨張可能バルーンに対し遠位にある前記可撓性シャフトの一部が、前記可撓性シャフトの遠位セグメントとして定義され、
RFコネクタが、前記遠位セグメントに位置し、RFエネルギーを前記液体金属に接続し、以て前記通路を加熱するように構成される、RFアブレーションカテーテルと、を備える、アブレーションカテーテルアセンブリ。
【請求項11】
前記アブレーションカテーテルが前記流体チャネルを通って進行するために構成された作業チャネルを備える可撓性気管支鏡
を更に備える、請求項10に記載のアブレーションカテーテルアセンブリ。
【請求項12】
前記アブレーションカテーテルが、前記RFコネクタに電気的に結合されたRF発生器を更に備える、請求項10に記載のアブレーションカテーテルアセンブリ。
【請求項13】
前記通路が、肺の気管支気道である、請求項10に記載のRFアブレーションカテーテル。
【請求項14】
前記液体金属が、ガリウムを含む、請求項10に記載のアブレーションカテーテルアセンブリ。
【請求項15】
前記液体金属が、E-GaInである、請求項10に記載のアブレーションカテーテルアセンブリ。
【請求項16】
前記RFアブレーションカテーテルが、アブレーションのために固体電極を用いない、請求項10に記載のアブレーションカテーテルアセンブリ。
【請求項17】
前記遠位セグメントが、導管が前記流体チャネルから前記液体金属を搬送するような方式で、前記遠位セグメント内部に前記導管を形成する、請求項10に記載のRFアブレーションカテーテル。
【請求項18】
前記RFコネクタが、凹方式で前記導管内に配置される、請求項10に記載のRFアブレーションカテーテル。
【請求項19】
前記導管が、非導電性材料から作製される、請求項10に記載のRFアブレーションカテーテル。
【請求項20】
患者における腫瘍を治療する方法であって、
請求項1に記載の前記アブレーションカテーテルを前記通路に挿入するステップと、
前記アブレーションカテーテルデバイスを前記通路に前進させるステップと、
前記バルーンを、前記通路を閉塞させるように膨張させるステップと、
前記液体金属を前記通路内に滴下するステップと、
前記通路内の前記液体金属にRF電流を印加するステップと、
を含む、方法。
【請求項21】
前記通路が、肺の気管支気道である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
滴下する前記ステップが、前記液体金属を、前記気管支気道の少なくとも2つの枝に滴下することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記気管支気道の肺胞が、前記液体金属で充填されていない、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
器具チャネルを備える可撓性気管支鏡を有するステップと、
前記アブレーションカテーテルを前記気管支鏡の前記器具チャネルを通して挿入するステップと、
前記気管支鏡を前記通路に前進させるステップと、
前記アブレーションカテーテルを前記気管支鏡の前記器具チャネルから出し、前記通路内に前進させるステップと、
を更に含み、
前記通路が、肺の気管支気道である、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記気管支鏡を通じた吸い上げによって、前記液体金属を前記通路の外に吸引するステップを更に含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記アブレーションカテーテルを前記通路に前進させる間、x線透視法によって前記アブレーションカテーテルを視覚化するステップを更に含む、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
前記液体金属を前記通路に滴下している間、x線透視法によって前記液体金属を視覚化するステップを更に含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
滴下される前記液体金属の量が、1.0ml未満である、請求項20に記載の方法。
【請求項29】
前記液体金属が、ガリウムを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項30】
前記液体金属が、E-GaInである、請求項20に記載の方法。
【請求項31】
前記液体金属が、5mm未満の直径を有する気管支気道にのみ滴下される、請求項21に記載の方法。
【請求項32】
前記液体金属が、10cm未満の長さを有する気管支気道にのみ滴下される、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般には、肺腫瘍をアブレーションするデバイス及び方法を対象とし、より詳細には、液体金属を電極として用いることによる肺腫瘍のアブレーション治療を対象とする。
【背景技術】
【0002】
これまで、熱アブレーションは、肺における切除不能な腫瘍の治療のためにますます魅力的な選択肢となっている。高周波(RF)エネルギーは、肺のアブレーションにとって最も有用であると考えられてきた。しかしながら、肺へのRFエネルギーの送達には大きな技術的欠陥が存在する。合計電極表面積を増大させるマルチプロング電極の使用、及びイオン流体の輸液は、肺におけるRF電流の流れに対するインピーダンスを減少させることが示されてきた。これらの技法は有効ではあるが、欠点がないわけではない。流体の輸液は予測不可能であり、合併症のリスクの増大に関連付けられている。複数歯の(multitined)電極は、侵襲性を増大させ、正常な肺組織内に位置する固体腫瘍において用いることが困難である可能性があり、アブレーションゾーンの異常、及び気胸の発生率の増大と関連付けられてきた。
【0003】
加えて、様々な高周波アブレーション(RFA)が抹消肺腫瘍の治療のために利用されてきた。しかしながら、不十分なアブレーションカバレッジ、及びアブレーション電極を抹消肺病変(PPL)における標的腫瘍に内視鏡でナビゲートすることが困難であることに起因した改善の必要性が残っている。肺の抹消部により近い腫瘍をアブレーションするために、アブレーション電極が可撓性であり、比較的柔らかく、直径が小さい、好ましくは2mm未満のPPLに適合することが望ましい。
【0004】
高周波(RF)アブレーションを用いた温熱治療は、肺腫瘍の治療であるが、抹消肺病変における標的部位の中心に剛体の金属電極を厳密に送達する要件の結果として、多くの場合、周囲の領域への損傷又は準最適なアブレーションのリスクが生じる場合がある。
【発明の概要】
【0005】
剛体の金属電極を、標的部位の中心に厳密に送達する要件の問題を解決するために、RFアブレーションカテーテルデバイスは、固体電極を用いる代わりに医療グレードの液体金属デバイスを用いる。液体金属デバイスは、電極として作用し、これを通じて、RFアブレーションエネルギーを肺腫瘍に対し印加することができる。液体金属デバイスを標的部位に注入することによって、液体金属デバイスは標的部位の解剖学的構造に順応することになる。液体金属デバイスのこの順応する形状に起因して、周囲の領域に対する損傷のリスクがより少ない。液体金属デバイスは、周囲の領域に損傷を与えることなく吸引による吸い上げにより容易に除去される。したがって、液体金属デバイスは、標的部位内で独立した可撓性の電極として作用し、より大きなアブレーションエリアを生成する。
【0006】
液体金属デバイスを用いて標的部位に隣り合った腫瘍をアブレーションするように構成されたRFアブレーションカテーテルデバイスは、気管支内で標的部位内に前進するように構成された可撓性シャフトを備える。カテーテルデバイスは、シャフトに装着された膨張可能バルーンを更に備え、膨張可能バルーンに対し遠位にある可撓性シャフトの一部は、遠位セグメントとして定義される。カテーテルデバイスは、遠位セグメントに装着され、液体金属デバイスが高周波(RF)エネルギーを送達して腫瘍をアブレーションするように、RF電流が、液体金属デバイスを通過することを可能にするように構成されたRFコンダクタを更に備える。
【0007】
1つの態様において、高周波(RF)アブレーションカテーテルが、液体金属が充填された通路を加熱するように構成され、このアブレーションカテーテルは、遠位端と近位端との間に延びる可撓性シャフトを備える。可撓性シャフトは、液体金属を通路に滴下するための流体チャネルを有する。アブレーションカテーテルは、可撓性シャフトに装着された膨張可能バルーンを更に備える。アブレーションカテーテルは、RFコネクタを更に備える。膨張可能バルーンに対し遠位にある可撓性シャフトの一部は、可撓性シャフトの遠位セグメントとして定義される。RFコネクタは、遠位セグメントに配置され、RFエネルギーを液体金属に接続し、以て通路を加熱するように構成される。
【0008】
RFアブレーションカテーテルにおいて、遠位セグメントは、導管が流体チャネルから液体金属を搬送するような方式で、遠位セグメント内部に導管を形成する。1つの実施形態において、RFコネクタは凹方式で導管内に配置される。1つの実施形態において、RFコネクタは、膨張バルーンと直接に隣り合う遠位セグメントの近位端に配置される。1つの実施形態において、RFコネクタは、RF発生器に接続された導電性ワイヤである。アブレーションカテーテルは、シャフトの遠位セグメントに装着され、液体金属の温度を読み取るように構成された温度センサを更に備える。温度センサは、凹方式で導管内に配置される。導管は非導電性材料から作製される。ここで、通路は肺の気管支気道である。
【0009】
別の態様において、アブレーションカテーテルアセンブリが、通路を加熱するように構成され、このアセンブリは、シリンジ内に収容される液体金属を含む。アブレーションアセンブリは、液体金属を通路に滴下するための流体チャネルを有する可撓性シャフトと、可撓性シャフト及びRFコネクタに装着された膨張可能バルーンとを備えるRFアブレーションカテーテルを更に備える。ここで、膨張可能バルーンに対し遠位にある可撓性シャフトの一部は、可撓性シャフトの遠位セグメントとして定義される。また、ここで、RFコネクタは、遠位セグメントに配置され、RFエネルギーを液体金属に接続し、以て通路を加熱するように構成される。
【0010】
アブレーションカテーテルアセンブリは、アブレーションカテーテルが作業チャネルを通って進行するために構成された作業チャネルを備える可撓性気管支鏡を更に備える。アブレーションカテーテルアセンブリは、RFコネクタに電気的に結合されたRF発生器を更に備える。ここで、通路は肺の気管支気道である。アブレーションカテーテルアセンブリにおいて、液体金属はガリウムを含み、液体金属はE-GaInである。
【0011】
アブレーションカテーテルアセンブリにおいて、RFアブレーションカテーテルはアブレーションのために固体電極を用いない。RFアブレーションカテーテルにおいて、遠位セグメントは、導管が流体チャネルから液体金属を搬送するような方式で、遠位セグメント内部に導管を形成する。いくつかの実施形態では、RFコネクタは凹方式で導管内に配置される。いくつかの実施形態では、導管は非導電性材料から作製される。
【0012】
患者における腫瘍を治療する方法が、(a)アブレーションカテーテルを通路に挿入することと、(b)アブレーションカテーテルデバイスを通路に前進させることと、(c)通路を閉塞させるようにバルーンを膨張させることと、(d)液体金属を通路内に滴下することと、(e)通路内の液体金属にRF電流を印加することとを含む。
【0013】
上記の方法において、通路は肺の気管支気道である。方法は、液体金属を、気管支気道の少なくとも2つの枝に滴下することを更に含む。上記の方法において、気管支気道の肺胞は液体金属で充填されていない。
【0014】
上記の方法は、(a)器具チャネルを備える可撓性気管支鏡を有することと、(b)アブレーションカテーテルを気管支鏡の器具チャネルを通して挿入することと、(c)気管支鏡を通路に前進させることと、(d)気管支鏡の器具チャネルから出て通路内にアブレーションカテーテルを前進させることとを更に含み、通路は肺の気管支気道である。
【0015】
上記の方法は、気管支鏡を通じた吸い上げによって、液体金属を通路の外に吸引することを更に含む。上記の方法は、アブレーションカテーテルを通路に前進させる間、x線透視法によってアブレーションカテーテルを視覚化することを更に含む。上記の方法は、液体金属を通路に滴下している間、x線透視法によって液体金属を視覚化することを更に含む。
【0016】
上記の方法において、滴下される液体金属の量は1.0ml未満である。また、液体金属はガリウムを含む。いくつかの実施形態では、液体金属はE-GaInである。上記の方法において、液体金属は、5mm未満の直径を有する気管支気道にのみ滴下される。いくつかの実施形態では、液体金属は、10cm未満の長さを有する気管支気道にのみ滴下される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1A】アブレーションカテーテルの斜視図である。
【
図1B】アブレーションカテーテルの斜視図である。
【
図1C】アブレーションカテーテルの側面図である。
【
図1E】アブレーションカテーテルの閉塞バルーンの側面図である。
【
図2A】カテーテルの異なる実施形態の切り取り図である。
【
図2B】カテーテルの異なる実施形態の切り取り図である。
【
図2C】カテーテルの異なる実施形態の切り取り図である。
【
図2D】カテーテルの異なる実施形態の切り取り図である。
【
図2E】例示的なカテーテルの部分の概略図である。
【
図2F】ガイドワイヤを有するカテーテルの異なる実施形態を示す図である。
【
図2G】ガイドワイヤを有するカテーテルの異なる実施形態を示す図である。
【
図2H】ガイドワイヤを有するカテーテルの異なる実施形態を示す図である。
【
図2I】ガイドワイヤを有するカテーテルの異なる実施形態を示す図である。
【
図3】アブレーションカテーテルアセンブリを示す図である。
【
図4A】肺に配置されるアブレーションカテーテルアセンブリを示す図である。
【
図4B】肺のアブレーションのための好ましい標的部位を示す図である。
【
図4C】好ましい標的部位及び感度ゾーンを示す図である。
【
図4D】液体金属が充填された標的気道を示す図である。
【
図4E】液体金属が除去されるときの標的気道を示す図である。
【
図5A】抹消病変における標的アブレーション部位を示す図である。
【
図5B】好ましいアブレーションゾーンを示す図である。
【
図5C】(a)は、標的気道において液体金属が充填されていることを示す図である。(b)は、標的気道において何も充填されていないときのアブレーションサイズを示す図である。(c)は、標的気道においてNaClが充填されているときのアブレーションサイズを示す図である。(d)は、標的気道においてAuNPが充填されているときのアブレーションサイズを示す図である。(e)は、標的気道においてEGaInが充填されているときのアブレーションサイズを示す図である。
【
図5D】アブレーションエリアサイズを示す比較チャートを示す図である。
【
図6A】標的部位に配置されたアブレーションカテーテルのステップを示す図である。
【
図6B】標的部位に配置されたアブレーションカテーテルのステップを示す図である。
【
図6C】標的気道に液体金属を滴下するステップを示す図である。
【
図6D】標的気道に液体金属を滴下するステップを示す図である。
【
図6E】液体金属の滴下を完了させるステップを示す図である。
【
図6F】RF電流を液体金属に印加するステップを示す図である。
【
図6G】標的ゾーンがアブレーションされている状況を示す図である。
【
図6H】標的ゾーンがアブレーションされている状況を示す図である。
【
図6I】滴下された液体金属を吸い上げるステップを示す図である。
【
図6J】滴下された液体金属を吸い上げるステップを示す図である。
【
図7A】動作パラメータ及びフローチャートを示す図である。
【
図7B】動作パラメータ及びフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
例示的な実施形態の説明
本発明の理解を支援するために、本発明を実施することができる特定の実施形態を説明する目的で示すための添付図面への参照がなされる。本明細書における図面は、必ずしも縮尺通りでも、実際の比率でもない。例えば、構成要素の長さ及び幅は、ページのサイズに対応するように調整することができる。
【0019】
本開示は、肺腫瘍の経気管支アブレーションのための方法、デバイス、アセンブリ及びシステムに関する。本開示の態様は以下のように含まれる。液体金属が充填された通路を加熱するように構成された高周波(RF)アブレーションカテーテル。このアブレーションカテーテルは、遠位端と近位端とを有する可撓性シャフトを備え、可撓性シャフトは、液体金属を通路に滴下するように構成された流体チャネルを有する。アブレーションカテーテルは、可撓性シャフトに装着された膨張可能バルーンを更に備え、バルーンに対し遠位にある可撓性シャフトの一部は、可撓性シャフトの遠位セグメントとして定義され、バルーンは、通路を遮るように構成される。アブレーションカテーテルは、遠位セグメントに配置され、RFエネルギーを液体金属に接続し、以て通路を加熱するように構成されるRFコンダクタを備える。
【0020】
標的部位
本開示全体を通じて、標的部位又は領域は、区域気管支(第3~第4世代)、亜区域気管支(第5~第11世代)、細気管支(第12~第15世代)及び終末細気管支(第16世代)間に位置する気管支樹と呼ぶことができる。好ましい標的部位は、呼吸細気管支(第17~第19世代)を更に含むことができる。
図4B~
図4Cは、例えば、三次気管支、小気管支、細気管支、終末細気管支、及び呼吸細気管支を含む標的部位の例を示す。肺以外の体内器官に適用可能ないくつかの実施形態において、標的部位は、肝胆管又は膵管において実行され得る。
【0021】
標的気道
また、本開示全体を通じて、標的気道又は通路は、標的部位内の標的腫瘤を取り囲むか又はこれに隣り合った気管支気道と呼ばれる。標的気道は、
図4D及び
図5A~
図5Bに示すような主気管支気道及びその小枝を含むことに留意されたい。主気管支気道は、近位端を有するテーパ状の形状を有する場合がある。1つの実施形態において、標的気道は、近位端において0.5cm未満の直径を有する場合がある。いくつかの実施形態では、標的気道は、6cm未満の長さを有する場合がある。標的気道の直径及び長さはアブレーションサイズと密接な関係を有するため、好ましい標的気道は末梢気道内にある場合がある。
【0022】
標的気道が決定されると、操作者は、選択された標的部位を閉鎖するために、
図4Bにおいて標的部位内に例示されているような標的気道の近位部分に配置された閉塞バルーン位置(すなわち、A、B又はC)のうちの1つを決定することができる。液体金属を閉鎖された標的部位に滴下することによって、滴下された液体金属は、主気道及びその小枝の解剖学的構造に順応し、電極として作用することができ、この電極を通じて、腫瘍に対しRFエネルギーを印加することができる。
【0023】
可撓性シャフト
1つの実施形態において、アブレーションカテーテル100は可撓性シャフト110を含む。
図1Aは、可撓性シャフト110が、遠位部分に装着された閉塞バルーン120と、近位部分に取り付けられたハンドル部分130とを有することを示している。
図1Bは、バルーン120を示すシャフト110の遠位部分の拡大図を示す。1つの実施形態において、可撓性シャフトは50~250cmの長さを有する。
【0024】
1つの実施形態において、可撓性シャフト110は、それぞれ遠位端110c及び110dを有する外側シャフト110a及び内側シャフト110bを更に含む。外側シャフト110aは、
図1Fに示すような内側シャフト110bの挿入のための管腔を有する。いくつかの実施形態では、外側シャフト110aは、1.65mm未満の外径を有する。
【0025】
1つの実施形態において、内側シャフト110bは、ガイドワイヤの挿入のための0.5mm未満の外径を有するガイドワイヤ管腔111を含む。内側シャフト110bは、
図1Gの断面図(C-C)に示すような0.3mm未満の外径を有する流体チャネル112を更に備える。ガイドワイヤ管腔111は、ガイドワイヤの挿入のために構成される。いくつかの実施形態では、流体チャネル112は、液体金属の通過(すなわち、滴下又は吸引)のために構成される。
【0026】
1つの実施形態において、
図1F及び
図1Gに示すように、内側シャフト110bの遠位端110dは、外側シャフト110aの遠位端110cから或る距離を有するように構成することができる。外側シャフトと内側シャフトとの間の距離から生成される内側空間は、導管(空洞)119aとして定義される。
図2A及び
図2Dに示されているように、導管119aは、導管119又は空洞内の液体金属が、RFエネルギーが印加されるとき、液体金属の不連続性及び近傍の気道組織との直接接触を回避することができるように、標的気道組織から保護又は絶縁されたチャネルを生成することが好ましい。いくつかの実施形態では、導管119aの表面は電気的絶縁性材料から作製される。
【0027】
1つの実施形態において、内側シャフト110bの遠位部分は、近位部分が、膨張管腔113を生成するように薄くなっていく間、外側シャフト110aの内側管腔に堅固に付着するように、薄くなっていくことができる。膨張管腔113は、処置中のバルーンの膨張又は収縮のために外側シャフト110aに装着された閉塞バルーン120について
図1F及び
図1Gに示されているような外側シャフト110aと内側シャフト110bとの間の空間として定義される。いくつかの実施形態では、
図2C~
図2Dに示されているように、独立した膨張管腔113を可撓性シャフトに沿って構築することができる。導管119aの長さ及びサイズは、標的気道の解剖学的構造に依拠して変動することができる。いくつかの実施形態では、導管119aの長さは0.5cm未満とすることができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、可撓性シャフト110は、内側シャフト110b及び外側シャフト110aを含むことができ、外側シャフトは、少なくとも、内側シャフトの部分的長さを覆うように内側シャフト110bを取り囲んで配置される。可撓性シャフト110は、シャフト軸に沿って遠位端と近位端との間に延び、シャフトの長さは、シャフト長さ軸に沿って定義される。
【0029】
閉塞バルーン
1つの実施形態において、アブレーションカテーテルデバイス100は、
図1F及び
図1Hに示すように、外側シャフト110aに装着された閉塞バルーン120を更に備える。バルーン120は、外側シャフト110aの遠位端110cから4~6mm以内に配置される。いくつかの実施形態では、アブレーションカテーテル100は、標的気道の解剖学的構造に依拠して複数の閉塞バルーン(図示せず)を有することができる。いくつかの実施形態では、閉塞バルーンは、従来の気管支鏡に装備された他のバルーンと協働することができる。
【0030】
1つの実施形態において、閉塞バルーン120の遠位にある外側シャフト110aの部分は、
図1Bに示すようなシャフトの遠位セグメント119として定義することができる。いくつかの実施形態では、シャフトの遠位セグメント119は、標的気道組織との直接接触を回避するために、5.0mm未満の長さを有する。
【0031】
いくつかの実施形態では、閉塞バルーン120の主な機能は、液体金属150で充填される標的気道の入口を閉鎖することである。いくつかの実施形態では、標的気道の入口は、例えば直径が約4~5mmであり得る。アブレーションカテーテル100が標的気道に配置されるとき、バルーン120は、液体金属を滴下する前に、標的気道の入口を閉鎖するように構成される。意図されたアブレーションの完了後、バルーン120は収縮され、アブレーションカテーテル100は、作業チャネルを通して気管支鏡170から除去される。
【0032】
いくつかの実施形態では、可撓性シャフト110は、
図1F及び
図1Hに示すように、閉塞バルーン120と連通し、膨張可能/閉塞バルーン120へ/から供給又は排出するように構成された、外側可撓性シャフトと内側可撓性シャフトとの間の空間によって画定される膨張管腔113を更に含むことができる。内側シャフト110bは、ガイドワイヤの挿入のために構成されたガイドワイヤ管腔を更に含むことができる。ガイドワイヤは、導電性材料から形成することができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、内側シャフト110b及び外側シャフト110aは、合わせてシャフトの遠位端を形成するように、膨張可能バルーン120に対し遠位に同じ長さを有することができ、RFコネクタ115は外側シャフト110aの遠位セグメントに形成される。
【0034】
RFコネクタ
1つの実施形態において、アブレーションカテーテルはRFコネクタ115を更に含む。コネクタ115の主な機能は、RFエネルギーを液体金属150に接続し、以て標的気道を加熱することである。様々な形態のRFコネクタ115を用いることができる。例えば、1つの実施形態において、
図1Gに示すように、導電性ワイヤタイプのRFコネクタ115bを用いることができる。ここで、導電性ワイヤRFコネクタ115aは、内側シャフト110bを通って延び、導電性ワイヤRFコネクタ115aの遠位部分は、内側シャフトの遠位端110dから突出する。導電性ワイヤRFコネクタ115aの突出部分は、導電性ワイヤRFコネクタ115aがRFエネルギーを導管119a内の液体金属に接続して、液体金属の任意の不連続性を回避し、標的気道組織との直接接触を回避することができるように導管119a内に配置される。
【0035】
代替的に、
図1I及び
図1Jに示すように、リング形状のコネクタ115bを
図1Jに示すように用いることができる。導電性材料から作製されるリング形状のコネクタ115bは、リング形状のコネクタ115bが、標的気道組織と接触することなく、リング形状のコネクタ115b内の液体金属にRFエネルギーを接続するように、導管119a内に配置される。
図1Jは、
図1HのB-Bにおいて切断された断面図を示し、導管119aは、リング形状のコネクタ115b内に示されている。いくつかの実施形態では、リング形状のコネクタ115bは、導電性ワイヤ116に接続され、導電性ワイヤ116は、
図2Eに示すように、内側シャフト110bを介して発生器に接続されている。
【0036】
代替的に、いくつかの実施形態では、リング形状のRFコネクタ115bは、
図2B及び
図2Cに示すように、遠位セグメント119の表面上に取り付けることができる。組織接触を回避するこの事例において、好ましい実施形態は、RF電流が液体金属150に流れ始めるとき、リング形状のRFコネクタ115bが、
図2Gに示すように、組織との直接接触を回避することができるように、リング形状のRFコネクタ115bを、
図2Cに示すように、バルーン120の遠位端の近くに取り付けることができるというものである。いくつかの実施形態では、リング形状のRFコネクタ115bは、閉塞バルーン120の直接近傍の遠位セグメント119の近位端に配置される。
【0037】
いくつかの実施形態では、リング形状のRFコネクタ115bは、導管又は空洞119aにおいて、この空洞の部分的表面エリアを覆うように凹方式で配置することができる。代替的に、RFコネクタは、空洞の表面エリアを完全に覆うように空洞内に配置することができる。更なる代替として、リング形状のRFコネクタ115bは、空洞内に配置することができ、少なくとも1つの開口部を介して空洞119aの外側に突出する。空洞の内側から空洞の外側に延びるリング形状のRFコネクタ115bは、空洞の表面エリア全体、又はこの空洞の部分的表面エリアのみを覆うことができる。
【0038】
いくつかの実施形態では、リング形状のRFコネクタ115bは、少なくとも1つの導電性金属要素によって、シャフト110の遠位セグメント119上に形成することができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの導電性要素は、遠位セグメントの表面エリアの外周の少なくとも1つの/或る割合を覆うようにリングセグメントとして形成されてもよく、又は代替的に、遠位セグメント119の部分的表面エリアの外周全体を覆う完全なリングとして形成されてもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの導電性要素は、パッド形状で形成されてもよく、又は少なくとも1つの導電性ワイヤによって形成されてもよい。更に、本発明によれば、導電性要素は、導電性金属メッシュによって形成されてもよい。いくつかの実施形態では、リング形状のRFコネクタ115bは、膨張可能バルーン120の直接近傍の遠位セグメントの近位端に配置することができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、リング形状のRFコネクタ115bは、RF発生器に電気的に接続され、RF発生器から液体金属へRF電流の流れを通すように構成することができる。カテーテルは、リング形状のRFコネクタ115bに電気的に結合されたRF発生器を更に備えることができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、可撓性シャフト110は、ガイドワイヤを受けるように構成されたガイドワイヤ管腔を更に備えることができる。いくつかの実施形態では、ガイドワイヤは、ガイドワイヤが、標的気道内の液体金属の不連続性を電気的に接続するように構成され得るように、導電性材料から作製することができる。
【0042】
代替的に、膨張可能バルーン120に対し遠位の内側シャフト110bの長さは、外側シャフトの遠位端と内側シャフトの遠位端との間に空洞を形成するように、バルーンに対し遠位の外側シャフト110aの長さよりも短く形成することができる。空洞は遠位開口部を有し、リング形状のRFコネクタ115bは、この空洞内に配置される。
【0043】
いくつかの実施形態では、膨張可能バルーンは、膨張可能バルーンの外側シャフト上に装着することができ、外側シャフトと一体形成することができる。可撓性シャフトの遠位セグメントは、リング形状のRFコネクタ115bの導電性表面の上に部分的に重なるカバー要素を備え、カバー要素は、非導電性材料から作製される。
【0044】
いくつかの実施形態では、遠位セグメント119は、少なくとも1つの開口部を有する空洞を形成するようにシャフトの遠位セグメントに取り付けられたカバー要素を含むことができ、リング形状のコネクタ115bがこの空洞内に受けられ、カバー要素は非導電性要素から作製される。
【0045】
いくつかの実施形態では、カバー要素は、シャフトの遠位セグメントの部分的長さを取り囲み、少なくとも開口部を有する空洞を形成する、中空の円筒として形成することができ、空洞はシャフトの遠位端から延びる。
【0046】
温度センサ
1つの実施形態において、アブレーションカテーテル100は、液体金属の温度を読み取るように構成された温度センサ114を更に備える。温度センサ114は、
図2Eに示すように、内側シャフト110bを通って発生器まで延びる熱電対117に接続される。1つの実施形態において、温度センサ114は、
図1H、
図1I、
図2A、
図2D及び
図2Eに示すように、温度センサ114が導管119a内に閉じ込められた液体金属150の温度を検知し、読み取ることができるように、導管119a内に配置される。組織の温度を直接読み取る従来技術のデバイスの温度センサと異なり、温度センサ114は液体金属自体を読み取り、値を、温度制御モード動作のために発生器に返す。導管空間を用いることのないいくつかの実施形態において、温度センサ114は、
図2B~
図2Cに示すように、内側シャフト110bの遠位端に配置される。
【0047】
発生器の温度制御モードの下、例えば、操作者は最初に、温度を80℃にセットし、予め定義された時間中、温度センサ114から、活性化された液体金属の温度を監視する。温度センサ114が、活性化された液体金属デバイスが60℃以上であることを示すとき、操作者は、予め定義された時間までアブレーションを維持することができる。
【0048】
アブレーション処置中の活性化された液体金属150自体の温度の正確な読み取りのために、温度センサ114は組織から離して配置されるべきである。
図2G及び
図2Iに示すように、温度センサ114は、組織温度を示唆する場合がある任意の直接的な組織接触を回避するために、可能な限りバルーンの近くに、又は覆われた部分又は導管119aの内部に取り付けられるように構成される。
【0049】
いくつかの実施形態では、アブレーションカテーテル100は、シャフト110の遠位セグメント119に装着された温度センサを更に備えることができる。温度センサ114は、カバー要素の空洞内に配置することができる。温度センサは、可撓性シャフトの遠位セグメントに埋め込まれた熱電対として更に形成することができ、温度検知面は、可撓性シャフトの遠位端の端面として形成される。いくつかの実施形態では、温度センサは、リング形状のRFコネクタ115bのエリア内の温度検知面を形成するように、リング形状のRFコネクタ115bに部分的に取り付けられた熱電対として形成することができる。
【0050】
ハンドル部分
1つの実施形態において、アブレーションカテーテル100は、
図1A及び
図1Cに示すように、操作者のためのハンドル部分130を更に備える。ハンドル部分130は、ガイドワイヤポート133、電気ケーブル132及び注入ポート131を含む。ガイドワイヤポート133は、ガイドワイヤ135の挿入のためにガイドワイヤ管腔111に接続される。電気ケーブル132は発生器160に接続される。注入ポート131は、液体金属デバイス150と流体連通するために流体チャネル112に接続される。1つの実施形態において、シリンジがハンドル部分130の注入ポート131に取り付けられる。シリンジは、液体金属デバイス150の小さな又は予め定義された量を収容する。
【0051】
代替的な実施形態において、アブレーションカテーテル100は、可撓性シャフト110の遠位端のエリアに配置されたハンドル部分を更に含むことができる。ハンドル部分130は、ガイドワイヤポート、電気接続及び注入ポートを含むことができる。ガイドワイヤポートは、ガイドワイヤの挿入のために構成され、可撓性シャフト内に形成された、ガイドワイヤ管腔に接続することができる。電気接続は、RFコネクタ115をRF発生器に接続するように構成することができる。注入ポートは、可撓性シャフト内に形成され、液体金属を通路に滴下するために構成された、注入管腔に接続することができる。注入ポートは、シリンジの取り付けのために構成することができる。そのような取り付けは、例えば、ルアー(Luer)コネクタによって形成することができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、アブレーションカテーテル100は、可撓性シャフトの流体チャネルと連通した、シャフトの近位端のエリア内の注入ポートを更に含むことができる。いくつかの実施形態では、流体チャネルは、流体チャネルに供給される液体金属を、好ましくは注入ポート131を介して少なくとも1つの通路に滴下するように構成される。可撓性シャフトは、膨張可能バルーンと連通し、膨張可能バルーンへ/から流体を供給又は排出するように構成された、膨張管腔を更に備えることができる。
【0053】
アブレーションアセンブリ
1つの実施形態において、通路を加熱するように構成されたアブレーションカテーテルアセンブリは、シリンジ内に収容される液体金属を含む。アセンブリは、液体金属を通路に滴下するための流体チャネルを有する可撓性シャフトと、RFエネルギーを液体金属150に接続し、以て通路を加熱するように構成されたRFコネクタ115とを備えるアブレーションカテーテル100を更に備える。
【0054】
いくつかの実施形態では、アブレーションカテーテルアセンブリは、本明細書に記載のアブレーションカテーテル100を備える。アセンブリは、器具チャネル(場合によっては、作業チャネルとも呼ばれる)を備える可撓性気管支鏡170を更に備える。
図3に示すように、カテーテルデバイス100は、器具チャネルを通して挿入され、器具チャネルを通って進行する。気管支鏡170は、気管支気道内深くに進行するために比較的薄くすることができる。いくつかの実施形態では、気管支鏡170は、4.0mm未満、いくつかの場合、2.0mm未満の直径を有する。気管支鏡170は、他の特徴を含むこともできる。いくつかの実施形態では、気管支鏡170は、液体金属150を滴下するか又は吸い上げるための流体チャネルを更に備える。アブレーションアセンブリは、アブレーションカテーテルデバイス100に電気的に結合されたRF発生器を更に含むことができる。最後に、アブレーションアセンブリは、液体金属150を更に含むことができる。いくつかの実施形態では、液体金属はガリウムを含む。いくつかの実施形態では、液体金属はE-GaInである。
【0055】
いくつかの実施形態では、気管支鏡170は、体内器官における標的部位において、好ましくは少なくとも1つの通路に流体を滴下するか又は吸い上げるように構成された流体チャネルを更に備えることができる。アブレーションカテーテルアセンブリは、RFコネクタ115と電気的に接触した或る量の液体金属を更に備えることができる。
【0056】
更なる態様によれば、アブレーションキットが、本発明の第1の態様によるRFアブレーションカテーテル又はアブレーションカテーテルアセンブリを備え、液体金属を含む容器を更に備える。液体金属はガリウムを含むことができる。液体金属は、37℃で液体となるように提供することができる。
【0057】
液体金属
剛体金属電極を、抹消肺病変における標的部位の中心に厳密に送達する要件の問題を解決するために、本発明は、固体電極を用いる代わりに医療グレードの液体金属デバイスを用いる。液体金属デバイスは、電極として作用し、これを通じて、RFアブレーションエネルギーを肺腫瘍に対し印加することができる。液体金属デバイスを標的部位に注入することによって、液体金属デバイスは標的部位の解剖学的構造と順応することになる。液体金属デバイスのこの順応する形状に起因して、周囲の領域に対する損傷のリスクがより少ない。液体金属デバイスは、周囲の領域に損傷を与えることなく吸引による吸い上げにより容易に除去される。したがって、液体金属150は、標的部位内で独立した可撓性の電極として作用し、より大きなアブレーションエリアを生成する。
【0058】
本明細書においてより明確に定義するために、液体金属デバイスは、RFエネルギーを標的がん腫瘤に伝える液体形態の1つ又は複数の導電性金属を含む、がん治療に適したデバイスであるものとして述べられ得る。好ましい液体金属はガリウムベースの液体金属である。金属として、液体金属は、金属と同じだけの高い導電性と、サーモメータとして用いられるのに十分高い熱伝導性と、放射線造影剤として用いることができる優れた放射線不透過性とを有する。
【0059】
更に、液体金属は、非常に低い融点(15.5℃)を有し、これにより、室温で液体形態が保持される。優れた放射線不透過性及び高い粘度に起因して、気管支樹の標的部位への液体金属注入は、透視法による誘導下で完全に制御可能である。注入された液体金属は、注入された量及び押圧力に従って、中断なしで近位部から遠位に徐々に拡散する。操作者は、需要に基づいて、液体金属注入の量及び程度を制御することが可能である。
【0060】
シリンジ内の液体金属150の予め定義された量は、状況に応じて変動することができる。いくつかの実施形態では、液体金属150は、1.0ml未満、いくつかの場合、0.5ml未満、及びいくつかの場合、0.2ml未満の量を有する。いくつかの実施形態では、シリンジは、液体金属デバイス150のうちの少なくとも0.05mlを含有する。注入される液体金属のうちのほとんどは、数日にわたる気管支鏡による吸い上げ又は自然な吐き出しにより取り出し可能である。透視撮像分析によって、注入された液体金属の約82%が、能動的な吸い上げによって又は受動的な吐き出しにより取り出されることが可能である。液体金属の流動性が、剛体電極ニードルを用いた経皮的アプローチにより生じる気胸、制御性が乏しく、位置異常電極から望ましくない損傷が生じる複数歯RFニードル等、穿刺に関連する問題等の侵襲性に関連する特定の問題をなくすための解決策であることは注目に値する。
【0061】
液体金属150は、液体の形態の1つ又は複数の導電性金属を更に含む。液体金属の例は、ガリウム、インジウム及びスズである。いくつかの実施形態では、液体金属150はガリウムを含む。いくつかの実施形態では、液体金属デバイス150はインジウムを含む。いくつかの実施形態では、液体金属150は、ガリウム、インジウム及びスズの組み合わせ等の、液体金属の混合物を含む。1つのそのような例は、ガリウム、インジウム及びスズの合金である「ガリンスタン(Galinstan)」である。別の例は、ガリウム(75.5%)及びインジウム(24.5%)の合金である「eGaIn」である。
【0062】
いくつかの実施形態では、液体金属は、RF電流を印加することによって、60℃~80℃の範囲まで加熱することができる。液体金属はガリウムを含むことができる。液体金属は、37℃で液体になるように更に提供することができる。本発明の更なる態様によれば、液体金属は、カテーテルを通して体内器官の通路内に送達される。本発明の様々な実施形態において用いられる液体金属は、体温、すなわち、37℃において液体である。液体金属は、室温、すなわち約25℃においても液体であることが好ましい。
【0063】
金属は、一般的に、0ケルビンの温度で通電可能な材料として定義される。本発明において用いられる液体金属は、薬学的に許容可能であり、すなわち、金属の使用時間中、非毒性であり、非反応性である。1つの好ましい実施形態において、液体金属はガリウムを含む。ガリウムは、30℃の融点を有する。
【0064】
更に好ましい実施形態において、液体金属は合金である。液体金属は共晶合金であることが好ましい。更に好ましい実施形態において、液体金属は、ガリウム、好ましくは少なくとも50重量%のガリウムを含む合金である。
【0065】
ガリウムは、ほとんどの金属と容易に合金になることができる。このため、含有物として、ガリウムを用いて、インジウム(In)、ビスマス(Bi)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)等の他の金属との多くの低融点合金を形成することができる。合金の融点は、成分及び割合に依拠して異なる。1つの実施形態は、62~95重量%のガリウム、5~22重量%のインジウム、及び0~16重量%のスズを含む合金である。
【0066】
EGaIn(78.6重量%のGa及び21.4重量%のIn)及びGalinstan(登録商標)(68.5重量%のGa、21.5重量%のIn、及び10.0重量%のSn)は、一般的にかつ市販で入手可能である。これらは共融混合物である。EGaInを例としてとると、EGaInは、78.6wt%のガリウム及び21.4wt%のインジウムを容器内に入れ、次に、これらを加熱し、完全に混和するまで磁気撹拌装置及びガラスピペットを用いて混合することによって製造される。ガリウムと同様に、ビスマスも、Pb、Sn、Cd、Zn及びIn等との低融点合金の系列を含み得る。
【0067】
標的アブレーションサイズ
標的アブレーションサイズは、標的気道の直径及び長さ、並びに標的気道の小枝の数に依拠し得る。例えば、標的気道の直径が小さいほど、アブレーションの温度が高くなることが示されている。
【0068】
いくつかの実施形態では、
図5Bの破線は、2つの腫瘤が位置する標的気道の部分におけるRFアブレーションのための標的アブレーションエリアを定義している。いくつかの実施形態では、標的アブレーションエリアは、気管支気道の終端から生じる肺胞嚢の塊を含むことができるが、
図5Bに示す肺胸膜を除外することができる。いくつかの実施形態では、標的アブレーションエリアは、球形又は卵形とすることができ、例えば、アブレーションエリアの最長直径は約7cmであり得、アブレーションエリアの最短直径は約4cmであり得、最長垂直方向直径は約5~7cmであり得る。
【0069】
図5Cは、同じ標的気道における各RFアブレーションのコンピュータシミュレーション結果を示す。
図5C(a)は、標的気道内で充填された液体金属デバイスのx線透視画像を示す。透視画像は、気管支気道及びその枝の充填を様々な角度から示した。1つの実験において、標的気道は、eGaInである好ましい液体金属デバイスで充填され、x線透視法によって撮像された。これらの画像から、eGaInが充填された気管支気道の3Dコンピュータモデルが生成された。組織及びRFエネルギーモデリングから、この「樹」は、7(長)×4×4cmの卵形の組織アブレーション容積のアブレーション容積を生成するようにシミュレートされた。
【0070】
図5C(b)は、標的気道内に導電性流体が充填されていないときのアブレーションサイズを示す。
図5C(c)は、標的気道内にNaClの導電性流体が充填されているときのアブレーションサイズを示す。
図5C(d)は、標的気道内に金ナノ粒子(AuNP)の導電性流体が充填されたときのアブレーションサイズを示す。最後に、標的気道内に液体金属デバイス(E-GaIn)が充填されたときのアブレーションサイズ。
図5Dは、液体金属デバイスが充填された標的気道が、はるかに大きなアブレーションサイズを有することを示す。
【0071】
処置
肺腫瘍をアブレーションするための治療方法は、患者の気道を通じたアプローチを用いる。アプローチは、経気管支又は気管支内アプローチと呼ばれる場合がある。気道は、気管、気管支及び細気管支を含む、空気が通過する解剖学的管腔を指す。この方法のためのシステムは、(a)アブレーションカテーテルと、(b)液体金属デバイスと、(c)気管支鏡又は導入器シースと、(d)発生器とを備えることができる。
【0072】
治療方法は、気管支鏡を標的部位に挿入することを含むことができる。アブレーションカテーテル100デバイスは、気管支鏡作業チャネルを通じて標的気道まで前進させられる。次に、標的気道は、閉塞バルーンを膨張させることによって閉じられる。次に、液体金属デバイスが標的気道に滴下される。RF電流がRFコネクタ115に印加される。このRF電流は、液体金属デバイスを通して、腫瘍に組織アブレーションRFエネルギーを与えるように伝送される。液体金属デバイスは、標的部位の外に吸い上げられる。液体材料デバイスの吸い上げは、気管支鏡を通じて行うことができる。
【0073】
図4Aに示すように、アブレーションカテーテル100は、本明細書に記載のように、可撓性気管支鏡170(外径が4mm、及び2mmの作業チャネル)を用いて、
図4A~
図4Bに示すような標的部位に送達され得る。アブレーションカテーテルデバイス100は、気管支鏡の器具チャネルを通して挿入され、気管支鏡は、気管支気道を通じて肺内の標的部位まで前進させられる。標的部位において、アブレーションカテーテルデバイス100は、気管支鏡の器具チャネルから出て標的気道内に前進させられる。
【0074】
アブレーションカテーテルが標的気道の近位部分に配置されているとき、
図6A~
図6Bに示すように、標的気道を、標的気道内に後に注入される液体金属デバイスを閉じ込めるための閉鎖空間にするように、閉塞バルーンが膨張され、係止される。
【0075】
標的気道が閉鎖しているとき、操作者は、
図3に示すように、シリンジから液体金属デバイスを閉鎖した標的気道に滴下する。シリンジは、0.5又は1.0ml等の液体金属デバイスの様々な予め定義された量を含有する。
【0076】
操作者が、液体金属デバイスの加圧された注入を行うとき、液体金属デバイスは、注入された量及び押圧力に従って、中断なしで標的気道の近位部分から遠位に徐々に拡散する。操作者は、透視法による誘導下で、需要に基づいて、液体金属デバイスの量及び範囲を制御することが可能であり得る。例えば、
図4Dは、透視法による誘導下で、操作者によって、0.75mlの液体金属デバイスが標的気道に注入されることを示す。標的気道内の液体金属デバイスの平均量は約0.5mlであり得る。しかしながら、平均量は、解剖学的変動及び腫瘤ロケーションに依拠して予め決定することができる。
【0077】
いくつかの実施形態では、
図6Eにおいて、腫瘤付近の細気管支幹にアブレーションカテーテル100が送達された状態の気管支鏡170が示されている。アブレーションカテーテル100の閉塞バルーンが膨張されると、液体金属デバイス150が細気管支内に滴下される。液体金属デバイス150は、RFアブレーションカテーテルデバイス100の流体チャネル112から外に送達される。液体金属デバイス100は、細気管支幹及び細気管支幹の3つの枝内に進む。標的部位が液体金属デバイス150で充填されると、液体金属デバイスは腫瘤に隣り合ったコンフォーマル電極として作用する。
【0078】
この治療方法において、注入のための好ましい液体金属はE-GaInである。液体金属デバイス(すなわち、E-GaIn)は、適切な放射線不透過性を有するため、デバイス自体を放射線造影剤として用いることができる。加えて、液体金属デバイス(すなわち、E-GaIn)は、高い粘度及び低い融点(15.5℃)を有することにより、室温においてその液体の形態が保持される。E-GaInのこれらの属性に起因して、標的部位への液体金属デバイス注入は、透視法による誘導下で完全に制御可能である。いくつかの実施形態では、液体金属はガリウムを含む。
【0079】
液体金属デバイスを標的気道に注入することによって、
図4Dに示すように、これは標的気道の解剖学的構造と順応することになる。液体金属デバイスのこの順応する形状に起因して、液体金属デバイスは、非外傷性の順応する複数のRF電極としての役割を果たすことができる。注入された液体金属デバイスは、標的気道内で独立した可撓性の電極として作用する。加えて、注入された液体金属デバイスの
図4Dに示すような小枝を含む気管支樹形状は、その側枝なしで、単一の同じ気管支樹のものよりもはるかに大きなアブレーションのエリアを生成する。いくつかの実施形態では、滴下するステップは、液体金属を、気管支気道の少なくとも2つの枝に滴下することを含む。いくつかの実施形態では、液体金属は、5mm未満の直径を有する気管支気道にのみ滴下される。いくつかの実施形態では、液体金属は、10cm未満の長さを有する気管支気道にのみ滴下される。
【0080】
液体金属デバイスが標的気道に注入されるとき、標的部位外の不要な損傷を回避するために、敏感ゾーン内の胸膜又は他の内臓器官から液体金属デバイスの遠位先端の少なくとも5~10mmの距離を取るための注意が助言されてもよい。本発明によるコンピュータシミュレーションモデルは、液体金属デバイスの先端と、
図4Cに示す敏感ゾーンとの間の距離を空けることもサポートする。したがって、操作者は、肺胞等の小さな気道への液体金属デバイス注入が、アブレーション後の液体金属デバイスの低い取り出し可能性のみでなく、望ましくない胸膜又は隣り合った器官の損傷のリスクの増大にも関連付けられる場合があることを留意しておくべきである。
【0081】
いくつかの実施形態では、液体金属デバイス150は、肺胞嚢への損傷を回避するために、肺の肺胞に滴下されない。液体金属デバイス150の量は、腫瘍のサイズ、腫瘍の場所、枝の数等の様々な要因に依拠し得る。いくつかの実施形態では、注入される液体金属デバイス150の量は2.0ml未満であり、いくつかの場合、1.0ml未満であり、いくつかの場合、0.5ml未満である。いくつかの実施形態では、気管支気道の少なくとも3つの細気管支枝、いくつかの場合、少なくとも5つの細気管支枝に液体金属デバイス150が滴下される。
【0082】
液体金属デバイスが標的部位内の閉鎖された空間内に閉じ込められているとき、操作者は、80℃における所望の温度を有するRF発生器の温度制御モードをアブレーションモードとして選択する。このアブレーションモード下で、アブレーションデバイスのRFコネクタ115は、液体金属デバイスが高周波(RF)エネルギーを送達して腫瘍をアブレーションするように、RF電流が、注入された液体金属デバイスを通過することを可能にするように構成される。アブレーションデバイスの温度センサは、活性化した液体金属デバイスのみを読み取り、RFアブレーションフィードバックループを生成するように構成される。
【0083】
RFアブレーションフィードバックループ下で、RF発生器は、注入された液体金属が60℃に達するまでRFコネクタを通じてRFエネルギーを注入された液体金属に送達し続け、この温度は、温度センサが注入された液体金属デバイスから直接読み取る。有効アブレーション温度は、それぞれ解剖学的構造に依拠して、40℃、50℃、60℃、70℃、又は80℃として定義することができる。
【0084】
各処置において多岐にわたるアブレーションモードが適用可能であるが、温度制御モード(80℃に設定される)が、好ましくは、一貫した有効なアブレーションのために処置において用いられた。アブレーション処置は、以下の条件のうちの任意のものが存在する場合、終了され得る。(1)インピーダンスが250Ωを上回って上昇する、(2)予め定められた時間外に達する(予め定義された処置計画に従って、5、10、15分)。
【0085】
優れた生物学的利用能に起因して、ガリウムベースの液体金属は、温熱がん治療及び人工器官の分野において広く研究されてきた。医療用途の場合、E-GaInは、超音波破砕プロセスを通じて、「バルク材料」又は「微細液滴」のいずれかの形態で用いることができる。それらのうち、微細液滴形態は、バルク形態のE-GaInと対照的に、溶液に対する高濃度のガリウム及びインジウムイオンの放出につながるため、大きな細胞毒性反応に関係する。
【0086】
この処置において、バルクタイプのE-GaInが用いられ、本発明による実験は、ブタにおいて、意図的に過度な量のE-GaInであっても、血清中のガリウム及びインジウム濃度がほとんど無視できることを再認識した。この結果は、温熱がん治療のために腫瘍にE-GaInを直接注入することを調査する他のいくつかの研究とも一致する。
【0087】
本発明による実験は、ISOガイドラインの指示に従ってE-GaIn生体適合性試験も行い、E-GaInは組織内注入が安全であるという証拠が得られた。本発明による実験において、有効なアブレーションのための単一のショットは、通常、1ml未満のE-GaInを必要とする。そしてE-GaInのほとんど(約70~90%)は、その後、気管支鏡による吸い上げ又は自然な吐き出しにより直接取り出すことが可能である。この残りの気管支電極(E-GaIn)量は、同じ体重を仮定して、これらの研究における腫瘍内注入のためのE-GaInの量の約数百分の1に対応する。本発明による実験において、標的部位における残りの液体金属デバイスは、肺における重大な問題にいずれも関連付けられていない。インジウムの毒性に関して、インジウムが肺に対し毒性があることはよく知られているが、これは、インジウムが吸入ガスの形態で肺内に分散するときにのみ生じる。これはこの処置におけるアブレーションには当てはまらない。
【0088】
図4Eは標的部位を示し、ここで、注入された液体金属のほとんどは、注入された液体金属デバイスが肺胞等の小気道によって取り込まれない限り、アブレーション処置の直後の気管支鏡による吸い上げ、又は数日にわたる自然な吐き出しにより取り出される。透視撮像分析によって、注入された液体金属の約82%が、能動的な吸い上げによって又は受動的な吐き出しにより取り出されることが可能であり得る。
【0089】
本明細書に与えられる説明及び例は、単に本発明を例示することが意図され、限定であることを意図したものではない。本発明の開示された態様及び実施形態の各々は、個々に、又は本発明の他の態様、実施形態及び変形と組み合わせて検討することができる。加えて、別段の指示がない限り、本発明の方法のステップは、いかなる特定の実行順序にも制約されない。本発明の趣旨及び実質を組み込んだ、開示される実施形態の変更は当業者が想到可能であり、そのような変更は本発明の範囲内にある。
【0090】
文脈が明らかにそうでないことを示していない限り、本明細書における「又は」という語は、包括的であることを意図し、「及び/又は」という表現に等しい。したがって、「A又はB」という表現は、A、又はB、又はA、及びBの両方を意味する。同様に、例えば、「A、B又はC」という表現は、A、又はB、又はC、又はそれらの任意の組み合わせを意味する。
【国際調査報告】