(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】端部バブルが低減されたポリマー中間層
(51)【国際特許分類】
C03C 27/12 20060101AFI20241108BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20241108BHJP
B60J 1/02 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
C03C27/12 K
C03C27/12 D
C03C27/12 Z
B32B27/00 Z
B60J1/02 M
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529947
(86)(22)【出願日】2022-11-17
(85)【翻訳文提出日】2024-07-03
(86)【国際出願番号】 US2022050188
(87)【国際公開番号】W WO2023091537
(87)【国際公開日】2023-05-25
(32)【優先日】2021-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503316891
【氏名又は名称】ソルティア・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100168066
【氏名又は名称】鈴木 雄太
(72)【発明者】
【氏名】ファン デ フェイフェル,スティン・シモンヌ・パウル
(72)【発明者】
【氏名】クレイテンス,ハンス・ヘルマン・マルタ
【テーマコード(参考)】
4F100
4G061
【Fターム(参考)】
4F100AG00A
4F100AG00E
4F100AK23A
4F100AK23B
4F100AK23C
4F100BA03
4F100BA05
4F100BA10A
4F100BA10C
4F100BA10D
4F100BA10E
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4F100CA30B
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4F100EJ422
4F100JN30
4F100YY00B
4G061AA02
4G061AA11
4G061BA01
4G061BA02
4G061CB03
4G061CB16
4G061CB19
4G061CD02
4G061CD18
4G061DA23
4G061DA29
4G061DA30
(57)【要約】
光学的欠陥の形成に抵抗するポリマー中間層。ポリマー中間層は、第1のポリマー層、第2のポリマー層、および第3のポリマー層を備える。第1のポリマー層は、第2のポリマー層と第3のポリマー層との間に位置付けられる。第1のポリマー層は、約0.1~15力価の範囲内の接着調整剤を含む樹脂を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学的欠陥の形成に抵抗するポリマー中間層であって、
第1のポリマー層;
第2のポリマー層;および
第3のポリマー層
を備え、
前記第1のポリマー層が、前記第2のポリマー層と前記第3のポリマー層との間に位置付けられ、
前記第1のポリマー層が、約0.1~15力価の範囲内の接着調整剤を含む樹脂を含む、ポリマー中間層。
【請求項2】
第1のポリマー層の樹脂が、PVBを含む、請求項1に記載のポリマー中間層。
【請求項3】
第1のポリマー層中の接着調整剤が、マグネシウム塩を含む、請求項1または請求項2に記載のポリマー中間層。
【請求項4】
第1のポリマー層中の接着調整が、約0.1~13力価、0.1~12力価、0.1~11力価、0.1~10力価、0.1~9力価、0.1~8力価、0.1~6力価、0.1~5力価、0.5~15力価、0.5~13力価、0.5~12力価、0.5~11力価、0.5~10力価、0.5~9力価、0.5~8力価、0.5~6力価、0.5~5力価、5~15力価、5~13力価、5~12力価、5~11力価、5~10力価、5~9力価、5~8力価、5~6力価、8~15力価、8~13力価、8~12力価、8~11力価、8~10力価、8~9力価、10~15力価、10~13力価、10~12力価、10~11力価、12~15力価、および/または12~13力価の範囲内である、請求項1から3のいずれか一項に記載のポリマー中間層。
【請求項5】
前記第1のポリマー層が、前記第2および第3のポリマー層より軟質である、請求項1から4のいずれか一項に記載のポリマー中間層。
【請求項6】
光学的欠陥の形成に抵抗するポリマー中間層であって、
コア層;
第1のスキン層;および
第2のスキン層
を備え、
前記コア層が、前記第1のスキン層と第2のスキン層との間に位置付けられ、
前記コア層が、約0.1~15力価の範囲内の接着調整剤を含む樹脂を含む、ポリマー中間層。
【請求項7】
コア層の樹脂が、PVBを含む、請求項6に記載のポリマー中間層。
【請求項8】
コア層中の接着調整剤が、マグネシウム塩を含む、請求項6または請求項7に記載のポリマー中間層。
【請求項9】
コア層中の接着調整が、約0.1~13力価、0.1~12力価、0.1~11力価、0.1~10力価、0.1~9力価、0.1~8力価、0.1~6力価、0.1~5力価、0.5~15力価、0.5~13力価、0.5~12力価、0.5~11力価、0.5~10力価、0.5~9力価、0.5~8力価、0.5~6力価、0.5~5力価、5~15力価、5~13力価、5~12力価、5~11力価、5~10力価、5~9力価、5~8力価、5~6力価、8~15力価、8~13力価、8~12力価、8~11力価、8~10力価、8~9力価、10~15力価、10~13力価、10~12力価、10~11力価、12~15力価、および/または12~13力価の範囲内である、請求項6から8のいずれか一項に記載のポリマー中間層。
【請求項10】
前記ポリマー中間層が1対のガラスシートの間にラミネートされてラミネートガラスパネルを形成する場合、そのようなガラスパネルが、端部バブル試験を使用して決定されるように、2つ以下の端部バブルを含む、1つ以下の端部バブルを含む、および/または端部バブル含まない、請求項1から9のいずれか一項に記載のポリマー中間層。
【請求項11】
前記ポリマー中間層の厚さが、前記ポリマー中間層の長さに沿って略一定である、請求項1から10のいずれか一項に記載のポリマー中間層。
【請求項12】
前記ポリマー中間層の厚さが、前記ポリマー中間層が楔形を有するように前記ポリマー中間層の長さに沿って変動する、請求項1から11のいずれか一項に記載のポリマー中間層。
【請求項13】
前記コア層が、前記第1および第2のスキンポリマー層より軟質である、請求項6から12のいずれか一項に記載のポリマー中間層。
【請求項14】
光学的欠陥の形成に抵抗するポリマー中間層を形成する方法であって、
(a)第1のポリマー溶融物を押出して第1のポリマー層を形成するステップと;
(b)第2のポリマー溶融物を押出して、第2のポリマー層および第3のポリマー層を形成するステップと
を含み、
前記ステップ(a)および(b)の押出時に、第1のポリマー層が、前記第2のポリマー層と第3のポリマー層との間に位置付けられ、
第1のポリマー層が、約0.1~15力価の範囲内の接着調整剤を含む樹脂を含む、方法。
【請求項15】
前記ステップ(a)および(b)の押出が、共押出により行われ、第1のポリマー層の樹脂が、PVBを含み、第1のポリマー層中の接着調整剤が、マグネシウム塩を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
第1のポリマー層中の接着調整が、約0.1~13力価、0.1~12力価、0.1~11力価、0.1~10力価、0.1~9力価、0.1~8力価、0.1~6力価、0.1~5力価、0.5~15力価、0.5~13力価、0.5~12力価、0.5~11力価、0.5~10力価、0.5~9力価、0.5~8力価、0.5~6力価、0.5~5力価、5~15力価、5~13力価、5~12力価、5~11力価、5~10力価、5~9力価、5~8力価、5~6力価、8~15力価、8~13力価、8~12力価、8~11力価、8~10力価、8~9力価、10~15力価、10~13力価、10~12力価、10~11力価、12~15力価、および/または12~13力価の範囲内である、請求項14または請求項15に記載の方法。
【請求項17】
(c)ポリマー中間層を1対のガラスシートの間にラミネートして、ラミネートガラスパネルを形成するステップをさらに含み、
前記ステップ(c)のラミネート時に、ラミネートガラスパネルが、端部バブル試験を使用して決定されるように、2つ以下の端部バブルを含む、1つ以下の端部バブルを含む、および/または端部バブルを含まない、請求項14から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記ポリマー中間層の厚さが、前記ポリマー中間層の長さに沿って略一定である、請求項14から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記ポリマー中間層の厚さが、前記ポリマー中間層が楔形を有するように前記ポリマー中間層の長さに沿って変動する、請求項14から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記第1のポリマー層が、前記第2および第3のポリマー層より軟質である、請求項14から19のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、ポリマー中間層、およびポリマー中間層を備える複数層パネルの分野に関する。より詳細には、本発明は、複数のポリマー層を備えるポリマー中間層の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]複数層パネルは、基板(例えば、これらに限定されないが、ガラス、ポリエステル、ポリアクリレート、またはポリカーボネート)の2枚のシートで構成され、それらの間に1つまたは複数のポリマー中間層が挟まれている。建築窓用途および自動車や航空機の窓、ならびに太陽光発電ソーラーパネルには、ラミネート複数層ガラスパネルが一般的に利用される。最初の2つの用途は、一般にラミネート安全ガラスと呼ばれる。ラミネート安全ガラスにおける中間層の主な機能は、ガラスに加えられた衝撃または力から生じるエネルギーを吸収すること、ガラスに力が加えられてガラスが破壊された場合であってもガラスの層を結合された状態に維持すること、およびガラスが鋭い破片に砕けるのを防止することである。さらに、中間層は、ガラスに優先的な遮音等級を付与し、UVおよび/またはIR光透過を低減し、関連する窓の美的魅力を高めることができる。例えば、より静かな内部空間をもたらす望ましい音響特性を有するラミネートガラスパネルが製造されている。
【0003】
[0003]さらに、ラミネートガラスパネルは、インストルメントクラスタの像または他の重要な情報を車両の操作者の目の高さのフロントガラス上の場所に投影する、ヘッドアップディスプレイ(「HUD」)システム(ヘッドアップシステムとも呼ばれる)を備えた車両に使用されている。そのようなディスプレイは、運転者が、視覚的にダッシュボード情報にアクセスしながら、その後の走行路への集中を保つことを可能にする。一般に、自動車または航空機におけるHUDシステムは、車両ウィンドスクリーンの内側表面を使用して、投影像を部分的に反射する。しかしながら、車両ウィンドスクリーンの外側表面で二次反射が生じ、これが弱い二次像または「ゴースト」像を形成する。これらの2つの反射像は位置がオフセットしているため、二重像がしばしば観察され、これは運転者にとって望ましくない視認体験をもたらす。均一な一定の厚さを有するフロントガラス上に像が投影された場合、ガラスの内側および外側表面から反射される際の投影像の位置の差に起因して、干渉性の二重像または反射ゴースト像が形成される。
【0004】
[0004]これらの二重またはゴースト像に対応する1つの方法は、内側および外側ガラスシートを互いに角度を付けて配向することである。これは反射像の位置を単一点に整列させ、それにより単一像を形成する。典型的には、これは、少なくとも1つの不均一な厚さの領域を含む楔形または「テーパ型」中間層を使用することによって、外側シートを内側シートに対してずらすことにより行われる。多くの従来のテーパ型中間層は、HUD領域全体にわたり一定の楔角度を含むが、最近では、HUD領域にわたり複数の楔角度を含むいくつかの中間層が開発されている。
【0005】
[0005]ガラスパネルの必要な性質および性能特性を達成するために、複数層または多層中間層を利用することが一般的な慣例となっている。本明細書において使用される場合、「多層」および「複数層」という用語は、2つ以上の層を有する中間層を意味し、多層および複数層は交換可能に使用され得る。複数層中間層は、典型的には、少なくとも1つの軟質層および少なくとも1つの硬質層を含有する。上述のように、ガラスパネルの遮音特性を有する、2つのより剛性または硬質の「スキン」層の間に挟まれた1つの軟質「コア」層を有する中間層が設計されている。逆の構成、すなわち2つのより軟質の層の間に挟まれた1つの硬質層を有する中間層は、ガラスパネルの衝撃性能を改善することが見出されており、また遮音用にも設計され得る。いずれにしても、軟質「コア」層は、一般に音響層と呼ばれ(軟質層は音響透過を有益に低減するため)、一方硬い「スキン」層は、従来の層、または非音響層と呼ばれる。
【0006】
[0006]中間層の層は、一般に、ポリ(ビニルブチラール)等のポリマー樹脂を1種または複数種の可塑剤と混合し、押出を含むがこれに限定されない任意の適用可能なプロセスまたは当業者に知られている方法により混合物をシートに溶融加工することによって製造され、層は、同時押出およびラミネーション等のプロセスによって組み合わされる。三層中間層では、コア層が比較的硬いスキン層より軟質となるように、コア層はスキン層より多くの可塑剤を含んでもよい。以下でより詳細に説明される他の追加の成分が、様々な他の目的で任意選択で添加されてもよい。中間層シートが形成された後、中間層シートは、典型的には、以下で議論されるように、輸送および保管のため、ならびに複数層ガラスパネルにおける後の使用のために収集され、巻かれる。
【0007】
[0007]以下は、複数層ガラスパネルが中間層と組み合わせて一般に製造される様式の単純化された説明を提供する。まず、複数層中間層は、複数マニホールド同時押出デバイスを使用して同時押出され得る。デバイスは、各マニホールドから押出開口部に向けてポリマー溶融物を同時に押出すことによって動作する。層の特性は、押出開口部におけるダイリップの属性(例えば温度および/または開口寸法)を調節することによって変化させることができる。中間層シートは、形成されたら、2枚のガラス基板の間に設置され得、いかなる過剰の中間層も端部から切り取られてアセンブリが形成される。複数のポリマー中間層シートまたは複数層を有するポリマー中間層シート(またはその両方の組合せ)が2枚のガラス基板内に設置されて、複数のポリマー中間層を有する複数層ガラスパネルが形成されることは、めずらしいことではない。次いで、適用可能なプロセスまたは当業者に知られている方法によって、例えばニップローラ、真空バッグまたは別の脱気機構を介して、アセンブリから空気が除去される。さらに、中間層は、当業者に知られている任意の方法によって基板に部分的に圧着される。最後のステップにおいて、最終的な一体構造を形成するために、この予備的結合は、高温および高圧ラミネーションプロセス、または当業者に知られている任意の他の方法、例えばこれに限定されないがオートクレーブ処理等によってより永久的にされる。
【0008】
[0008]軟質コア層および2つのより硬質のスキン層を有する三層中間層等の多層中間層は、有益な音響減衰特性を提供することが知られている。しかしながら、そのような中間層、およびこれらの中間層を含有するガラスパネルは、「バブル」として一般的に知られる光学的欠陥を発達し得る。具体的には、中間層および/またはラミネート複数層ガラスパネル構築物の製造プロセス中、中間層の軟質コア内に一般的にバブルが出現する。多くの場合、そのようなバブルは、トリムまたは端部バブルの形態であり、これらは、中間層および/またはラミネートパネルの端部付近に出現する。具体的には、端部バブルは、ラミネートガラスパネル内、特にガラスパネルのガラスシートの端部から約5mm以内に形成するバブルである。トリムバブルは、ガラスパネルのガラスシートの端部を超えて延在する中間層の過剰のトリム部分に形成するバブルである。これらのバブルのほとんどは、オートクレーブ圧力が解放されると見えるようになる。バブル数およびバブルサイズは、オートクレーブ内の水分レベルに依存し得ることが一般的に理解されている。例えば、ポリマーの圧力が溶解圧力を下回った後に、バブル核形成がコア層の内側で生じ得る。バブル問題に寄与することが知られている他の変量は、環境汚染および中間層のレオロジー特性を含む。
【0009】
[0009]上記を鑑みて、従来の多層中間層の他の光学的特性、機械的特性および音響特性を低減することなく、これらの光学的欠陥(すなわちバブル)の形成に抵抗する多層中間層を開発することが、当技術分野において必要とされている。より具体的には、バブル(例えばトリムまたは端部バブル)の発生に抵抗する、少なくとも1つの軟質コア層および1つの硬質スキン層を有する多層中間層を開発することが、当技術分野において必要とされている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】[0010]ポリマー中間層に対向する1対のガラス板を備えるラミネートガラスパネルの概略図である。ポリマー中間層は三層を備え、1対のスキン層がコア層に対向している。
【
図2】[0011]ポリマー中間層に対向する1対のガラス板を備えるラミネートガラスパネルの別の概略図である。ポリマー中間層は楔形を有する。
【
図3】[0012]ポリマー中間層を備えるラミネートガラスパネルにおいて見られるバブルの数を示すチャートである。バブルの数は、ポリマー中間層のコア層に含まれる接着調整剤(ACA)の量に基づいて決定される。
【
図4】[0013]ポリマー中間層において見られるバブルの数を示す別のチャートである。バブルの数は、ポリマー中間層のコア層に含まれる接着調整剤(ACA)の量に基づいて決定される。
【発明の概要】
【0011】
[0014]本発明の一態様は、光学的欠陥の形成に抵抗するポリマー中間層に関する。ポリマー中間層は、第1のポリマー層、第2のポリマー層、および第3のポリマー層を備える。第1のポリマー層は、第2のポリマー層と第3のポリマー層との間に位置付けられる。第1のポリマー層は、約0.1~15力価の範囲内の接着調整剤を含む樹脂を含む。
【0012】
[0015]本発明の別の態様は、光学的欠陥の形成に抵抗するポリマー中間層に関する。ポリマー中間層は、コア層、第1のスキン層、および第2のスキン層を備える。コア層は、第1のスキン層と第2のスキン層との間に位置付けられる。コア層は、約0.1~15力価の範囲内の接着調整剤を含む樹脂を含む。
【0013】
[0016]本発明のさらなる態様は、光学的欠陥の形成に抵抗するポリマー中間層を形成する方法に関する。方法は、第1のポリマー溶融物を押出して、第1のポリマー層を形成するステップと、第2のポリマー溶融物を押出して、第2のポリマー層および第3のポリマー層を形成するステップとを含む。押出ステップ時に、第1のポリマー層は、第2のポリマー層と第3のポリマー層との間に位置付けられる。第1のポリマー層は、約0.1~15力価の範囲内の接着調整剤を含む樹脂を含む。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0017]本発明の実施形態は、複数層パネルおよび複数層パネルを作製する方法に関する。一般に、複数層パネルは、ガラスまたは他の適用可能な基板の2枚のシートで構成され、それらの間に1つ又は複数のポリマー中間層シートが挟まれている。複数層パネルは、一般に、少なくとも1つのポリマー中間層シートを2つの基板の間に設置してアセンブリを形成することによって製造される。
図1は、1対のガラスシート12およびそれらの間に挟まれた多層中間層を備える複数層パネル10を示す。多層中間層は、軟質コア層14、およびコア層14のいずれかの側に位置付けられた2つの比較的硬質のスキン層16を含む、3つの個別のポリマー中間層シートを有する3層中間層として構成される。
【0015】
[0018]いくつかの実施形態において、中間層(例えばコア層14およびスキン層16)は、中間層の長さにわたり略一定または均一な厚さを有する。しかしながら、代替の実施形態において、
図2に示されるように、中間層は、少なくとも1つの不均一な厚さの領域を有してもよい。例えば、コア層14およびスキン層16で構成される中間層は、中間層の厚さが中間層の長さにわたり(例えば直線的または非直線的に)変化するような楔形であってもよい。いくつかのそのような実施形態において、中間層の厚さは、コア層14の厚さの変化により変化してもよい(すなわちスキン層16は略一定の厚さを有する)。代替として、中間層の厚さは、スキン層16の厚さの変化により変化してもよい(すなわちコア層14は略一定の厚さを有する)。さらなる代替例において、中間層の厚さは、コア層14およびスキン層16の両方の厚さの変化により変化してもよい。
【0016】
[0019]本明細書に開示される中間層および複数層パネルのより包括的な理解を容易にするために、本出願において使用されるある特定の用語の意味が定義される。これらの定義は、当業者により理解されるようなものにこれらの用語を制限するものとして解釈されるべきではなく、単に、ある特定の用語がどのようにして本明細書において使用されるかの理解の向上を提供するものとして解釈されるべきである。
【0017】
[0020]「ポリマー中間層シート」、「中間層」、「ポリマー層」および「ポリマー溶融物シート」という用語は、本明細書において使用される場合、単層シートまたは多層中間層を指し得る。「単層シート」は、その名前が示唆するように、1つの層として押出された単一ポリマー層である。一方、多層中間層は、別個に押出された層、同時押出された層、または別個に押出された層および同時押出された層の任意の組合せを含む、複数の層を備え得る。したがって、多層中間層は、例えば、互いに組み合わされた2つ以上の単層シート(「複層シート」)、互いに同時押出された2つ以上の層(「同時押出シート」)、互いに組み合わされた2枚以上の同時押出シート、少なくとも1枚の単層シートおよび少なくとも1枚の同時押出シートの組合せ、ならびに少なくとも1つの複層シートおよび少なくとも1枚の同時押出シートの組合せを備えてもよい。本発明の様々な実施形態において、多層中間層は、互いに直接接触して配置された少なくとも2つのポリマー層(例えば、単一層または同時押出された複数層)を備え、各層は、ポリマー樹脂を含む。「樹脂」という用語は、本明細書において利用される場合、以下でより十分に議論されるもの等の、プロセスから除去されるポリマー成分(例えばPVB)を指す。一般に、可塑化ポリマーを得るために、以下でより十分に議論されるもの等の可塑剤が樹脂に添加される。さらに、後述のように、樹脂は、ポリマーおよび可塑剤に加えて、例えばアセテート、塩およびアルコールを含む他の成分を有してもよい。
【0018】
[0021]ポリ(ビニルブチラール)(「PVB」)中間層がしばしば本出願においてポリマー中間層のポリマー樹脂として具体的に議論されるが、PVB中間層以外の他の熱可塑性中間層が使用されてもよいことが理解されるべきであることにも留意されたい。企図されるポリマーは、これらに限定されないが、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ(エチレン酢酸ビニル)およびそれらの組合せを含む。これらのポリマーは、単独で、または他のポリマーと組み合わせて利用され得る。したがって、本出願においてPVB中間層に関して範囲、値および/または方法(例えば、可塑剤成分のパーセンテージ、厚さおよび特徴を向上させる添加剤)が与えられる場合、それらの範囲、値および/または方法はまた、該当する場合、本明細書で開示される他のポリマーおよびポリマーブレンドにも適用されるか、または、当業者に知られるように、異なる材料に適用されるように修正され得る。
【0019】
[0022]本明細書において使用される場合、「分子量」という用語は、重量平均分子量(Mw)を指す。PVB樹脂の分子量は、約50,000~約600,000、約70,000~約450,000、または約100,000~約425,000ダルトンの範囲内であってもよい。
【0020】
[0023]PVB樹脂は、酸触媒の存在下でポリビニルアルコール(「PVOH」)をブチルアルデヒドと反応させることによる既知の水性または溶媒アセタール化プロセス、分離、安定化、および樹脂の乾燥により生成され得る。そのようなアセタール化プロセスは、例えば、参照によりその開示全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第2,282,057号および米国特許第2,282,026号、ならびにWade,B.(2016)、「Vinyl Acetal Polymers」、Encyclopedia of Polymer Science and Technology、1~22頁(John Wiley & Sons,Inc.)に開示されている。
【0021】
[0024]本明細書において一般に「ポリ(ビニルアセタール)」、または「ポリ(ビニルブチラール)」と呼ばれるが、本明細書に記載の樹脂は、以前に議論されたイソブチルアルデヒドを含むがこれに限定されない任意の好適なアルデヒドの残渣を含み得る。いくつかの実施形態において、1種または複数種のポリ(ビニルアセタール)樹脂は、少なくとも1種のC1~C10アルデヒド、または少なくとも1種のC4~C8アルデヒドの残渣を含み得る。好適なC4~C8アルデヒドの例は、これらに限定されないが、n-ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、2-メチルバレルアルデヒド、n-ヘキシルアルデヒド、2-エチルヘキシルアルデヒド、n-オクチルアルデヒド、およびそれらの組合せを含み得る。
【0022】
[0025]多くの実施形態において、ポリマー層または中間層を形成するために、ポリマー樹脂に可塑剤が添加される。可塑剤は、一般に、得られるポリマー中間層の柔軟性および耐久性を増加させるためにポリマー樹脂に添加される。可塑剤は、ポリマー鎖の間に埋め込まれ、ポリマー鎖を離間させ(「自由体積」を増加させ)、ひいてはポリマー樹脂のガラス転移温度(Tg)を大幅に低下させて、材料をより軟質にすることによって機能する。これに関して、中間層中の可塑剤の量は、ガラス転移温度(Tg)に影響するように調節され得る。ガラス転移温度(Tg)は、中間層のガラス状態からゴム状態への転移を示す温度である。一般に、より多量の可塑剤投入は、より低いTgをもたらし得る。いくつかの実施形態において、例えば中間層が音響三層である場合、内側コア層(すなわち軟質層)は、約20℃未満のガラス転移温度を有し、一方外側スキン層(例えば硬質層)は、約25℃超のガラス転移温度を有する。
【0023】
[0026]企図される可塑剤は、これらに限定されないが、多塩基酸のエステル、多価アルコール、トリエチレングリコールジ-(2-エチルブチレート)、トリエチレングリコールジ-(2-エチルヘキソネート)(「3-GEH」として知られる)、トリエチレングリコールジヘプタノエート、テトラエチレングリコールジヘプタノエート、ジヘキシルアジペート、ジオクチルアジペート、ヘキシルシクロヘキシルアジペート、ヘプチルアジペートおよびノニルアジペートの混合物、ジイソノニルアジペート、ヘプチルノニルアジペート、ジブチルセバケート、ならびにポリマー可塑剤、例えば油変性セバシン酸アルキド、ならびにホスフェートおよびアジペートの混合物、ならびにそれらの混合物および組合せを含む。3-GEHが特に好ましい。好適な可塑剤の他の例は、これらに限定されないが、テトラエチレングリコールジ-(2-エチルヘキサノエート)(「4-GEH」)、ジ(ブトキシエチル)アジペート、およびビス(2-(2-ブトキシエトキシ)エチル)アジペート、ジオクチルセバケート、ノニルフェニルテトラエチレングリコール、およびそれらの混合物を含み得る。
【0024】
[0027]他の好適な可塑剤は、上述の可塑剤を含むがそれらに限定されない2種以上の異なる可塑剤のブレンドを含み得る。さらに他の好適な可塑剤、または可塑剤のブレンドは、芳香族の群、例えばポリアジペート、エポキシド、フタレート、テレフタレート、ベンゾエート、トルエート、メリテート、および他の特殊可塑剤から形成されてもよい。さらなる例は、これらに限定されないが、ジプロピレングリコールジベンゾエート、トリプロピレングリコールジベンゾエート、ポリプロピレングリコールジベンゾエート、イソデシルベンゾエート、2-エチルヘキシルベンゾエート、ジエチレングリコールベンゾエート、プロピレングリコールジベンゾエート、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールジベンゾエート、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールベンゾエートイソブチレート、1,3-ブタンジオールジベンゾエート、ジエチレングリコールジ-o-トルエート、トリエチレングリコールジ-o-トルエート、ジプロピレングリコールジ-o-トルエート、1,2-オクチルジベンゾエート、トリ-2-エチルヘキシルトリメリテート、ジ-2-エチルヘキシルテレフタレート、ビス-フェノールAビス(2-エチルヘキサノエート)、エトキシレート化ノニルフェノール、およびそれらの混合物を含む。いくつかの実施形態において、可塑剤は、ジプロピレングリコールジベンゾエート、トリプロピレングリコールジベンゾエート、およびそれらの組合せからなる群から選択され得る。
【0025】
[0028]一般に、本出願のポリマー中間層の可塑剤含有量は、重量/重量ベースでの樹脂100部当たりの部(「phr」)で測定される。例えば、30グラムの可塑剤が100グラムのポリマー樹脂に添加される場合、最終的な可塑化ポリマーの可塑剤含有量は30phrとなる。本出願においてポリマー層の可塑剤含有量が示される場合、特定の層の可塑剤含有量は、その特定の層を製造するのに使用された溶融物中の可塑剤のphrを参照して決定される。いくつかの実施形態において、高剛性中間層は、約35phr未満および約30phr未満の可塑剤含有量を有する層を備える。
【0026】
[0029]本発明のいくつかの実施形態によれば、本明細書に記載の1つまたは複数のポリマー層は、少なくとも約20phr、少なくとも約25phr、少なくとも約30phr、少なくとも約35phr、少なくとも約38phr、少なくとも約40phr、少なくとも約45phr、少なくとも約50phr、少なくとも約55phr、少なくとも約60phr、少なくとも約65phr、少なくとも約67phr、少なくとも約70phr、少なくとも約75phrの1種または複数種の可塑剤の全可塑剤含有量を有し得る。いくつかの実施形態において、ポリマー層はまた、約100phr以下、約85phr以下、80phr以下、約75phr以下、約70phr以下、約65phr以下、約60phr以下、約55phr以下、約50phr以下、約45phr以下、約40phr以下、約38phr以下、約35phr以下、または約30phr以下の1種または複数種の可塑剤を含んでもよい。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのポリマー層の全可塑剤含有量は、約20~約40phr、約20~約38phr、または約25~約35phrの範囲内であってもよい。他の実施形態において、少なくとも1つのポリマー層の全可塑剤含有量は、約38~約90phr、約40~約85phr、または約50~70phrの範囲内であってもよい。
【0027】
[0030]中間層が複数層中間層を含む場合、中間層内の2つ以上のポリマー層は、実質的に同じ可塑剤含有量を有してもよく、および/または、ポリマー層の少なくとも1つは、他のポリマー層の1つまたは複数とは異なる可塑剤含有量を有してもよい。中間層が異なる可塑剤含有量を有する2つ以上のポリマー層を含む場合、2つの層は互いに隣接してもよい。いくつかの実施形態において、隣接するポリマー層の間の可塑剤含有量の差は、少なくとも約1phr、少なくとも約2phr、少なくとも約5phr、少なくとも約7phr、少なくとも約10phr、少なくとも約20phr、少なくとも約30phr、少なくとも約35phrおよび/または約80phr以下、約55phr以下、約50phr以下、もしくは約45phr以下、または約1~約60phr、約10~約50phr、もしくは約30~45phrの範囲内であってもよい。中間層に3つ以上の層が存在する場合、中間層のポリマー層の少なくとも2つは、例えば、互いに10phr以内、5phr以内、2phr以内、または1phr以内に収まる類似した可塑剤含有量を有してもよく、一方ポリマー層の少なくとも2つは、上記範囲に従う互いに異なる可塑剤含有量を有してもよい。
【0028】
[0031]いくつかの実施形態において、本明細書に記載の1つまたは複数のポリマー層または中間層は、例えば上に列挙された可塑剤の2種以上を含む、2種以上の可塑剤のブレンドを含んでもよい。ポリマー層が2種以上の可塑剤を含む場合、ポリマー層の全可塑剤含有量および隣接するポリマー層の間の全可塑剤含有量の差は、上記範囲の1つまたは複数に収まり得る。中間層が複数層中間層である場合、ポリマー層の1つまたは2つ以上が2種以上の可塑剤を含んでもよい。中間層が複数層中間層である場合のいくつかの実施形態において、可塑剤のブレンドを含むポリマー層の少なくとも1つは、従来の可塑化ポリマー層のガラス転移温度より高いガラス転移温度を有してもよい。これは、いくつかの場合において、例えば複数層中間層における外側「スキン」層として使用され得る層に、追加的な硬度を提供し得る。
【0029】
[0032]可塑剤に加えて、ポリマー中間層を形成するために接着調整剤(「ACA」)がポリマー樹脂に添加されてもよいこともまた企図される。ACAは、一般に、ラミネートパネルを形成する際にガラスパネルに対する中間層の接着を改変および/または改善するように機能する。企図されるACAは、これらに限定されないが、カルボン酸マグネシウム/マグネシウム塩を含む。さらに、企図されるACAはまた、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第5,728,472号に開示されるACA、例えば残留酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、および/またはマグネシウムビス(2-エチルブチレート)を含み得る。
【0030】
[0033]最終生成物におけるその性能を向上させるために、および中間層にある特定の追加の特性を付与するために、他の添加剤が中間層に組み込まれてもよい。そのような添加剤は、当業者に知られている添加剤の中でも、これらに限定されないが、染料、顔料、安定剤(例えば紫外線安定剤)、酸化防止剤、ブロッキング防止剤、難燃剤、IR吸収剤または遮断剤(例えばインジウムスズ酸化物、アンチモンスズ酸化物、六ホウ化ランタン(LaB6)およびセシウムタングステン酸化物)、加工助剤、流動促進剤、潤滑剤、耐衝撃性改良剤、核形成剤、熱安定剤、UV吸収剤、UV安定剤、分散剤、界面活性剤、キレート剤、カップリング剤、接着剤、プライマー、補強添加剤、および充填剤を含む。
【0031】
[0034]本出願のポリマー中間層のポリマー樹脂成分を説明するために使用される1つのパラメータは、残留ヒドロキシル含有量(ビニルヒドロキシル含有量またはポリ(ビニルアルコール)(「PVOH」)含有量として)である。残留ヒドロキシル含有量は、加工が完了した後のポリマー鎖上の側基として残るヒドロキシル基の量を指す。例えば、PVBは、ポリ(酢酸ビニル)をポリ(ビニルアルコール)に加水分解し、次いでポリ(ビニルアルコール)をブチルアルデヒドと反応させてPVBを形成することによって製造され得る。ポリ(酢酸ビニル)の加水分解プロセスにおいて、典型的には、全ての酢酸側基がヒドロキシル基に変換されるとは限らない。さらに、典型的には、ブチルアルデヒドとの反応によって全てのヒドロキシル基がアセタール基に変換されるとは限らない。結果として、任意の最終的なPVBにおいて、典型的には残留酢酸基(例えば酢酸ビニル基)および残留ヒドロキシル基(例えばビニルヒドロキシル基)がポリマー鎖上の側基として存在する。一般に、ポリマーの残留ヒドロキシル含有量は、ポリマー製造プロセスにおける他の変量の中でも、反応時間および反応物質濃度を制御することによって調整され得る。本明細書においてパラメータとして利用される場合、残留ヒドロキシル含有量は、ASTM D-1396に従いwt.%ベースで測定される。
【0032】
[0035]様々な実施形態において、ポリ(ビニルブチラール)樹脂は、約8~約35wt.%(wt.%)のPVOHとして計算される残留ヒドロキシル基、約13~約30wt.%のPVOHとして計算される残留ヒドロキシル基、約8~約22wt.%のPVOHとして計算される残留ヒドロキシル基、または約15~約22wt.%のPVOHとして計算される残留ヒドロキシル基を含み、本明細書に開示される高剛性中間層のいくつかの場合では、層の1つまたは複数において、ポリ(ビニルブチラール)樹脂は、約19wt.%超のPVOHとして計算される残留ヒドロキシル基、約20wt.%超のPVOHとして計算される残留ヒドロキシル基、約20.4wt.%超のPVOHとして計算される残留ヒドロキシル基、および約21wt.%超のPVOHとして計算される残留ヒドロキシル基を含む。
【0033】
[0036]いくつかの実施形態において、中間層の少なくとも1つのポリマー層において使用されるポリ(ビニルブチラール)樹脂は、上述のように測定される少なくとも約18wt.%、少なくとも約18.5wt.%、少なくとも約18.7wt.%、少なくとも約19wt.%、少なくとも約19.5wt.%、少なくとも約20wt.%、少なくとも約20.5wt.%、少なくとも約21wt.%、少なくとも約21.5wt.%、少なくとも約22wt.%、少なくとも約22.5wt.%、および/または約30wt.%以下、約29wt.%以下、約28wt.%以下、約27wt.%以下、約26wt.%以下、約25wt.%以下、約24wt.%以下、約23wt.%以下、もしくは約22wt.%以下の残留ヒドロキシル含有量を有するポリ(ビニルブチラール)樹脂を含んでもよい。
【0034】
[0037]さらに、本明細書に記載の中間層における1つまたは複数の他のポリマー層は、より低い残留ヒドロキシル含有量を有する別のポリ(ビニルブチラール)樹脂を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態において、中間層の少なくとも1つのポリマー層は、上述のように測定される少なくとも約8wt.%、少なくとも約8.5wt.%、少なくとも約9wt.%、少なくとも約9.5wt.%、少なくとも約10wt.%、少なくとも約10.5wt.%、少なくとも約11wt.%、少なくとも約11.5wt.%、少なくとも約12wt.%、少なくとも約13wt.%および/または約16wt.%以下、約15wt.%以下、約14wt.%以下、約13.5wt.%以下、約13wt.%以下、約12wt.%以下、もしくは約11.5wt.%以下の残留ヒドロキシル含有量を有するポリ(ビニルブチラール)樹脂を含んでもよい。
【0035】
[0038]中間層が2つ以上のポリマー層を含む場合、層は、実質的に同じ残留ヒドロキシル含有量を有するポリ(ビニルブチラール)樹脂を含んでもよく、または、各層におけるポリ(ビニルブチラール)樹脂の残留ヒドロキシル含有量は、互いに異なってもよい。2つ以上の層が実質的に同じ残留ヒドロキシル含有量を有するポリ(ビニルブチラール)樹脂を含む場合、各層におけるポリ(ビニルブチラール)樹脂の残留ヒドロキシル含有量の間の差は、約2wt.%未満、約1wt.%未満、または約0.5wt.%未満であってもよい。本明細書において使用される場合、「重量パーセント異なる」および「~の間の差は少なくとも~重量パーセントである」という用語は、1つの数字を他の数字から差し引くことにより計算される、2つの所与の重量パーセンテージの間の差を指す。例えば、12wt.%の残留ヒドロキシル含有量を有するポリ(ビニルアセタール)樹脂は、14wt.%の残留ヒドロキシル含有量を有するポリ(ビニルアセタール)樹脂と2wt.%異なる残留ヒドロキシル含有量を有する(14wt.%-12wt.%=2wt.%)。本明細書において使用される場合、「異なる」という用語は、別の値より高い、または低い値を指し得る。別段に指定されない限り、本明細書における全ての「差」は差の数値を指し、数字が差し引かれる順番に起因する値の特定の符号を指すものではない。したがって、別段に記されない限り、本明細書における全ての「差」は、2つの数の間の差の絶対値を指す。
【0036】
[0039]2つ以上の層が異なる残留ヒドロキシル含有量を有するポリ(ビニルブチラール)樹脂を含む場合、ポリ(ビニルブチラール)樹脂の残留ヒドロキシル含有量の間の差は、上述のように測定される少なくとも約2wt.%、少なくとも約3wt.%、少なくとも約4wt.%、少なくとも約5wt.%、少なくとも約6wt.%、少なくとも約7wt.%、少なくとも約8wt.%、少なくとも約9wt.%、少なくとも約10wt.%、少なくとも約12wt.%、少なくとも約15wt.%であってもよい。
【0037】
[0040]樹脂はまた、ポリビニルエステル、例えばアセテートとして計算される35wt.%未満の残留エステル基、30wt.%未満、25wt.%未満、15wt.%未満、13wt.%未満、11wt.%未満、9wt.%未満、7wt.%未満、5wt.%未満、または1wt.%未満の残留エステル基を含んでもよく、残りはアセタール、好ましくはブチルアルデヒドアセタールであるが任意選択で微量の他のアセタール基、例えば2-エチルヘキサナール基を含んでもよい(例えば、参照によりその開示全体が本明細書に組み込まれる米国特許第5,137,954号を参照されたい)。樹脂の残留アセテート含有量はまた、ASTM D-1396に従って決定され得る。
【0038】
[0041]いくつかの実施形態において、上述のように、中間層のポリマー層の1つまたは複数は、ポリ(ビニルアセタール)樹脂から形成されてもよい。そのようなポリ(ビニルアセタール)樹脂は、上述のように測定される少なくとも約1wt.%、少なくとも約3wt.%、少なくとも約5wt.%、少なくとも約7wt.%および/または約15wt.%以下、約12wt.%以下、約10wt.%以下、約8wt.%以下の残留アセテート含有量を有してもよい。中間層が複数層中間層を備える場合、2つ以上のポリマー層は、実質的に同じ残留アセテート含有量を有する樹脂を含んでもよく、または、様々な層における1つもしくは複数の樹脂は、実質的に異なるアセテート含有量を有してもよい。2つ以上の樹脂の残留アセテート含有量が実質的に同じである場合、残留アセテート含有量の差は、例えば、約3wt.%未満、約2wt.%未満、約1wt.%未満、または約0.5wt.%未満であってもよい。いくつかの実施形態において、複数層中間層における2つ以上のポリ(ビニルブチラール)樹脂の間の残留アセテート含有量の差は、少なくとも約3wt.%、少なくとも約5wt.%、少なくとも約8wt.%、少なくとも約15wt.%、少なくとも約20wt.%、または少なくとも約30wt.%であってもよい。そのような樹脂が複数層中間層において利用される場合、異なる残留アセテート含有量を有する樹脂は、隣接するポリマー層内に存在してもよい。複数層中間層が、内側「コア」層を包囲する、または挟み込む1対の外側「スキン」層を含む3層中間層である場合、例えば、コア層は、より高い、またはより低い残留アセテート含有量を有する樹脂を含んでもよい。同時に、内側コア層内の樹脂は、外側スキン層の残留ヒドロキシル含有量より高く、または低く、前に示された範囲のうちの1つまたは複数の範囲内に収まる残留ヒドロキシル含有量を有し得る。
【0039】
[0042]より高いまたはより低い残留ヒドロキシル含有量および/または残留アセテート含有量を有するポリ(ビニルアセタール)樹脂はまた、少なくとも1種の可塑剤と組み合わされる場合、最終的に異なる量の可塑剤を含み得る。その結果、異なる組成を有する第1および第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂で形成された層またはドメインはまた、単一ポリマー層または中間層内で異なる特性を有し得る。特筆すべきことに、所与の種類の可塑剤に関して、ポリマーに対する可塑剤の適合性は、概ねポリマーのヒドロキシル含有量によって決定される。より高い残留ヒドロキシル含有量を有するポリマーは、典型的には、可塑剤適合性または容量の低下に相関する。逆に、より低い残留ヒドロキシル含有量を有するポリマーは、典型的には、可塑剤適合性または容量の増加をもたらす。その結果、より高い残留ヒドロキシル含有量を有するポリ(ビニルアセタール)樹脂は、可塑化されにくい傾向があり、より低い残留ヒドロキシル含有量を有する同様の樹脂よりも高い硬度を示す。逆に、より低い残留ヒドロキシル含有量を有するポリ(ビニルアセタール)樹脂は、所与の可塑剤により可塑化された場合、より多量の可塑剤を組み込む傾向を有し得、これは、より高い残留ヒドロキシル含有量を有する同様の樹脂よりも低いガラス転移温度を示すより軟質のポリマー層をもたらし得る。特定の樹脂および可塑剤に応じて、これらの傾向は逆になり得る。
【0040】
[0043]異なるレベルの残留ヒドロキシル含有量を有する2種のポリ(ビニルアセタール)樹脂が可塑剤とブレンドされる場合、より低い残留ヒドロキシル含有量を有する層またはドメインにより多くの可塑剤が存在し得、より高い残留ヒドロキシル含有量を有する層またはドメインにより少ない可塑剤が存在し得るように、可塑剤は、ポリマー層またはドメインの間に分配され得る。最終的には、2つの樹脂の間で平衡状態が達成される。一般に、ポリマーの残留ヒドロキシル含有量と可塑剤適合性/容量との間のこの相関は、ポリマー樹脂への適切な量の可塑剤の添加を可能にし、多層中間層内の可塑剤含有量の差を安定して維持するために操作および利用され得る。そのような相関はまた、さもなくば可塑剤が樹脂間で移動する場合、2つ以上の樹脂間の可塑剤含有量の差を安定して維持する。
【0041】
[0044]中間層内の可塑剤の移動の結果、1つまたは複数のポリマー層のガラス転移温度は、単独で、または複数層中間層の一部として測定された場合に異なり得る。いくつかの実施形態において、中間層は、中間層の外側に、少なくとも約33℃、少なくとも約34℃、少なくとも約35℃、少なくとも約36℃、少なくとも約37℃、少なくとも約38℃、少なくとも約39℃、少なくとも約40℃、少なくとも約41℃、少なくとも約42℃、少なくとも約43℃、少なくとも約44℃、少なくとも約45℃、または少なくとも約46℃のガラス転移温度を有する少なくとも1つのポリマー層を含み得る。いくつかの実施形態において、同じ層が、ポリマー層内で少なくとも約34℃、少なくとも約35℃、少なくとも約36℃、少なくとも約37℃、少なくとも約38℃、少なくとも約39℃、少なくとも約40℃、少なくとも約41℃、少なくとも約42℃、少なくとも約43℃、少なくとも約44℃、少なくとも約45℃、少なくとも約46℃、または少なくとも約47℃のガラス転移温度を有してもよい。
【0042】
[0045]同じまたは他の実施形態において、複数層中間層の少なくとも1つの他のポリマー層は、中間層が中間層の一部ではない場合に測定される30℃未満のガラス転移温度を有してもよく、また例えば、約25℃以下、約20℃以下、約15℃以下、約10℃以下、約9℃以下、約8℃以下、約7℃以下、約6℃以下、約5℃以下、約4℃以下、約3℃以下、約2℃以下、約1℃以下、約0℃以下、約-1℃以下、約-2℃以下、または約-5℃以下のガラス転移温度を有してもよい。同じポリマー層は、中間層の外側で測定される約25℃以下、約20℃以下、約15℃以下、約10℃以下、約9℃以下、約8℃以下、約7℃以下、約6℃以下、約5℃以下、約4℃以下、約3℃以下、約2℃以下、約1℃以下、または約0℃以下のガラス転移温度を有してもよい。
【0043】
[0046]いくつかの実施形態によれば、2つのポリマー層、典型的には中間層内の隣接するポリマー層のガラス転移温度の間の差は、少なくとも約5℃、少なくとも約10℃、少なくとも約15℃、少なくとも約20℃、少なくとも約25℃、少なくとも約30℃、少なくとも約35℃、少なくとも約40℃、または少なくとも約45℃であってもよく、他の実施形態において、2つ以上のポリマー層は、互いの約5℃以内、約3℃以内、約2℃以内、または約1℃以内のガラス転移温度を有してもよい。一般に、より低いガラス転移温度の層は、中間層内のより高いガラス転移温度の層よりも低い硬度を有し、最終的な中間層構造体においてより高いガラス転移温度のポリマー層の間に位置してもよい。
【0044】
[0047]例えば、本出願のいくつかの実施形態において、軟質層の増加した音響減衰特性が、硬質/剛性層の機械的強度と組み合わされて、多層中間層を形成する。これらの実施形態において、中央の軟質層は、2つの硬質/剛性外側層の間に挟まれる。この(硬質)//(軟質)//(硬質)の構成は、取扱いが容易で、従来のラミネーション法に使用され得、また比較的薄く軽量の層で構築され得る多層中間層を形成する。軟質層は、一般に、より低い残留ヒドロキシル含有量(例えば16wt.%以下、15wt.%以下、もしくは12wt.%以下、もしくは上で開示された範囲のいずれか)、より高い可塑剤含有量(例えば約48phr以上、もしくは約70phr以上、もしくは上で開示された範囲のいずれか)および/またはより低いガラス転移温度(例えば30℃未満、もしくは10℃未満、もしくは上で開示された範囲のいずれか)を特徴とする。
【0045】
[0048]本明細書に記載のポリマー中間層シートは、複数層パネル(例えばガラスラミネート)において使用され得るポリマー中間層シートを製造する、当業者に知られている任意の好適なプロセスによって製造され得ることが企図される。例えば、ポリマー中間層シートは、溶液キャスト、圧縮成形、射出成形、溶融押出、メルトブロー、または、当業者に知られているポリマー中間層シートの生成および製造のための任意の他の手順により形成され得ることが企図される。さらに、複数のポリマー中間層が利用される実施形態において、これらの複数のポリマー中間層は、同時押出、ブローフィルム、ディップコーティング、溶液コーティング、ブレード、パドル、エアナイフ、印刷、粉末コーティング、スプレーコーティング、または当業者に知られている他のプロセスにより形成され得ることが企図される。当業者に知られているポリマー中間層シートの製造のための全ての方法が、本明細書に記載のポリマー中間層シートを製造するための可能な方法として企図されるが、本出願は、押出および/または同時押出プロセスにより製造されたポリマー中間層シートに注目する。本開示の最終的な複数層ガラスパネルラミネートは、当技術分野において知られているプロセスを使用して形成される。
【0046】
[0049]押出プロセスにおいて、上述の樹脂および可塑剤のいずれかを含む熱可塑性樹脂および可塑剤は、一般に事前に混合され、押出機デバイス内に供給される。着色剤およびUV阻害剤等の添加剤(液体、粉末またはペレット形態)が使用されてもよく、押出機デバイスに到達する前に熱可塑性樹脂または可塑剤中に混合され得る。これらの添加剤は、熱可塑性ポリマー樹脂中、また押出により最終的なポリマー中間層シート中に組み込まれて、ポリマー中間層シートのある特定の特性および最終的な複数層ガラスパネル製品におけるその性能を高める。
【0047】
[0050]押出機デバイスにおいて、上述の樹脂、可塑剤および他の添加剤のいずれかを含む熱可塑性原材料および可塑剤の粒子はさらに混合および溶融され、温度および組成が略均一な溶融物を生成する。本発明の実施形態は、約200℃の溶融温度を提供し得る。溶融物が押出機デバイスの末端に到達したら、溶融物は押出機ダイに押し込まれる。押出機ダイは、最終的なポリマー中間層シート生成物にその外形を付与する押出機デバイスの部品である。ダイは、一般に、リップにより画定される開口部を有し、その1つの寸法は垂直寸法より大幅に大きい。一般に、ダイは、溶融物が円筒形の外形から一様に流動してダイから出て生成物の最終外形形状になるように設計される。連続的プロファイルが存在する限り、ダイによって、最終ポリマー中間層シートに複数の形状が付与されてもよい。一般に、その最も基本的な意味において、押出は、固定された断面プロファイルの物体を形成するために使用されるプロセスである。これは、最終生成物の所望の断面のダイを通して材料を押出すまたは引き出すことによって達成される。
【0048】
[0051]いくつかの実施形態において、同時押出プロセスが利用され得る。同時押出は、ポリマー材料の複数の層が同時に押出されるプロセスである。一般に、この種の押出は、異なる粘度または他の特性の異なる熱可塑性溶融物の安定した処理体積を溶融し、同時押出ダイを通して所望の最終形態として送達するために、2つ以上の押出機を利用する。例えば、本発明の複数層中間層(例えば三層中間層の形態)は、好ましくは、第1のダイマニホールド、第2のダイマニホールド、および第3のダイマニホールドを含む複数マニホールド同時押出デバイスを使用して同時押出され得る。同時押出デバイスは、ダイを通して開口部の外に、各マニホールドからポリマー溶融物を同時に押出すことによって動作し得、複数層中間層は、3つの個々のポリマー層の複合材として押出される。ポリマー溶融物は、コア層がスキン層の間に挟まれた三層中間層の製造をもたらすために、コア層がスキン層の間に位置付けられるようにダイを通って流動し得る。ダイ開口部は、開口部のいずれかの側に位置付けられた1対のリップを含み得る。ポリマー溶融物の位置的配向を考えると、スキン層はリップに接触してもよい。いずれにしても、中間層厚は、ダイ開口部に位置するダイリップの間の距離を調節することによって変更され得る。
【0049】
[0052]同時押出プロセスにおいて押出ダイから出る複数ポリマー層の厚さは、一般に、押出ダイを通る溶融物の相対速度の調節、および個々のダイリップのサイズによって制御され得る。いくつかの実施形態によれば、複数層中間層の全厚は、少なくとも約13ミル、少なくとも約20ミル、少なくとも約25ミル、少なくとも約27ミル、少なくとも約30ミル、少なくとも約31ミルおよび/または約75ミル以下、約70ミル以下、約65ミル以下、約60ミル以下であってもよく、または、約13~約75ミル、約25~約70ミル、もしくは約30~60ミルの範囲内であってもよい。中間層が2つ以上のポリマー層を備える場合、層のそれぞれは、少なくとも約2ミル、少なくとも約3ミル、少なくとも約4ミル、少なくとも約5ミル、少なくとも約6ミル、少なくとも約7ミル、少なくとも約8ミル、少なくとも約9ミル、少なくとも約10ミルおよび/または約50ミル以下、約40ミル以下、約30ミル以下、約20ミル以下、約17ミル以下、約15ミル以下、約13ミル以下、約12ミル以下、約10ミル以下、約9ミル以下の厚さを有してもよい。いくつかの実施形態において、層のそれぞれは、ほぼ同じ厚さを有してもよく、他の実施形態において、1つまたは複数の層が、中間層内の1つまたは複数の他の層と異なる厚さを有してもよい。
【0050】
[0053]中間層が少なくとも3つのポリマー層を備えるいくつかの実施形態において、内側層の1つ以上は、他の外側層に比べて比較的薄くてもよい。例えば、複数層中間層が三層中間層であるいくつかの実施形態において、最内層は、約12ミル以下、約10ミル以下、約9ミル以下、約8ミル以下、約7ミル以下、約6ミル以下、約5ミル以下の厚さを有してもよく、または、約2~約12ミル、約3~約10ミル、もしくは約4~約9ミルの範囲内の厚さを有してもよい。同じまたは他の実施形態において、外側層のそれぞれの厚さは、少なくとも約4ミル、少なくとも約5ミル、少なくとも約6ミル、少なくとも約7ミルおよび/もしくは約15ミル以下、約13ミル以下、約12ミル以下、約10ミル以下、約9ミル以下、約8ミル以下であってもよく、または、約2~約15ミル、約3~約13ミル、もしくは約4ミル~約10ミルの範囲内であってもよい。中間層が2つの外側層を含む場合、これらの層は、少なくとも約9ミル、少なくとも約13ミル、少なくとも約15ミル、少なくとも約16ミル、少なくとも約18ミル、少なくとも約20ミル、少なくとも約23ミル、少なくとも約25ミル、少なくとも約26ミル、少なくとも約28ミル、もしくは少なくとも約30ミル、および/または約73ミル以下、約60ミル以下、約50ミル以下、約45ミル以下、約40ミル以下、約35ミル以下、または約9~約70ミル、約13~約40ミル、もしくは約25~約35ミルの範囲内の合計厚さを有してもよい。
【0051】
[0054]いくつかの実施形態によれば、複数層中間層における内側層の1つに対する外側層の1つの厚さの比は、少なくとも約1.4:1、少なくとも約1.5:1、少なくとも約1.8:1、少なくとも約2:1、少なくとも約2.5:1、少なくとも約2.75:1、少なくとも約3:1、少なくとも約3.25:1、少なくとも約3.5:1、少なくとも約3.75:1、または少なくとも約4:1であってもよい。中間層が、1対の外側スキン層の間に配置された内側コア層を有する三層中間層である場合、コア層の厚さに対するスキン層の1つの厚さの比は、上記範囲の1つまたは複数に収まり得る。いくつかの実施形態において、内側層に対する外側層の合計厚さの比は、少なくとも約2.25:1、少なくとも約2.4:1、少なくとも約2.5:1、少なくとも約2.8:1、少なくとも約3:1、少なくとも約3.5:1、少なくとも約4:1、少なくとも約4.5:1、少なくとも約5:1、少なくとも約5.5:1、少なくとも約6:1、少なくとも約6.5:1、もしくは少なくとも約7:1、および/または約30:1以下、約20:1以下、約15:1以下、約10:1以下、約9:1以下、もしくは約8:1以下であってもよい。
【0052】
[0055]本明細書に記載の複数層中間層は、シートの長さもしくは最も長い寸法、および/または幅もしくは2番目に長い寸法に沿って実質的に同じ厚さを有する略平坦な中間層を備えてもよい。しかしながら、いくつかの実施形態において、本発明の複数層中間層は、楔形外形を有する少なくとも1つのテーパ型ゾーンを備えるテーパ型または楔形中間層であってもよい。テーパ型中間層は、例えば中間層の少なくとも1つの端部が他方の端部より大きい厚さを有するように、シートの長さおよび/または幅の少なくとも一部に沿って変化する厚さの外形を有する。中間層がテーパ型中間層である場合、個々の樹脂層の少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つまたはそれ以上が、少なくとも1つのテーパ型ゾーンを含んでもよい。テーパ型中間層は、例えば、自動車および航空機用途でのヘッドアップディスプレイ(HUD)パネルにおいて特に有用となり得る。
【0053】
[0056]上記を鑑みて、本発明の実施形態は、光学的欠陥の形成に抵抗するポリマー中間層を含む。ポリマー中間層は、コア層、第1のスキン層、および第2のスキン層を備えてもよい。コア層は、一般に、スキン層がコア層を挟むように第1のスキン層と第2のスキン層との間に位置付けられる。特筆すべきことに、コア層は、約0.1~15力価の範囲内の接着調整剤を含む樹脂を含む。
【0054】
[0057]有益には、そのような実施形態において、ポリマー中間層は、先行技術のポリマー中間層より低いバブル形成を有する。例えば、ポリマー中間層は、ポリマー中間層全体にわたって形成された2つ以下のバブルを有する、1つ以下のバブルを有する、および/またはバブルを有さないことが可能である。いくつかの特定の実施形態において、ポリマー中間層は、(例えば1対のガラスシートの間にラミネートされてラミネートガラスパネルを形成する場合)ポリマー中間層全体にわたって形成された2つ以下の端部バブルを有する、1つ以下の端部バブルを有する、および/または端部バブルを有さないことが可能である。特に、本発明のポリマー中間層が1対のガラスシートの間にラミネートされてラミネートガラスパネルを形成する場合、そのようなガラスパネルは、ガラスパネル内に形成されたバブルを有さないことが可能である。いくつかの実施形態において、ガラスパネルは、2つ以下のバブルまたは1つ以下のバブルを有することが可能である。いくつかの特定の実施形態において、ラミネートガラスパネルは、2つ以下の端部バブルを有する、1つ以下の端部バブルを有する、および/または端部バブルを有さないことが可能である。端部バブルの存在の決定は、以下の実施例1においてより詳細に説明される。
【0055】
[0058]中間層および/またはラミネートパネル内のそのようなバブルの低減を促進するために、中間層のコア層は、約0.1~15力価、0.1~13力価、0.1~12力価、0.1~11力価、0.1~10力価、0.1~9力価、0.1~8力価、0.1~6力価、0.1~5力価、0.5~18力価、0.5~15力価、0.5~13力価、0.5~12力価、0.5~11力価、0.5~10力価、0.5~9力価、0.5~8力価、0.5~6力価、0.5~5力価、5~18力価、5~15力価、5~13力価、5~12力価、5~11力価、5~10力価、5~9力価、5~8力価、5~6力価、8~18力価、8~15力価、8~13力価、8~12力価、8~11力価、8~10力価、8~9力価、10~18力価、10~15力価、10~13力価、10~12力価、10~11力価、12~18力価、12~15力価、12~13力価、13~18力価、および/または13~15力価の範囲内の接着調整剤を含み得る。ある特定の実施形態において、第1のポリマー層中の接着調整剤は、マグネシウム塩を含む。本明細書において使用される場合、ACAの1力価は、樹脂1グラム当たり1×10-7モルの接着調整剤(ACA)(例えばマグネシウム塩)を意味するように定義される。
【0056】
[0059]光学的欠陥(例えばバブル)の形成に抵抗する上述のポリマー中間層は、第1のポリマー溶融物を押出してコア層を形成し、第2のポリマー溶融物を押出して第1および第2のスキン層を形成することによって形成され得る。いくつかの実施形態において、第1のポリマー溶融物は、第1の押出機(例えばコア押出機)によって供給され、一方第2のポリマー溶融物は、第2の押出機(例えばスキン押出機)によって供給され、次いで2つのストリームに分割されてスキン層を形成する。いずれにしても、コア層およびスキン層は一般に、コア層が第1のスキン層と第2のスキン層との間に位置付けられるように共押出される。特筆すべきことに、コア層が形成される第1のポリマー溶融物は、約0.1~15力価の範囲内の接着調整剤を含む樹脂を含む。
【0057】
[0060]したがって、ポリマー中間層は、先行技術のポリマー中間層より低いバブル形成を有する。例えば、ポリマー中間層は、ポリマー中間層全体にわたって形成された2つ以下のバブルを有する、1つ以下のバブルを有する、および/またはバブルを有さないことが可能である。いくつかの特定の実施形態において、ポリマー中間層は、(例えば中間層が1対のガラスシートの間にラミネートされてラミネートガラスパネルを形成する場合)ポリマー中間層全体にわたって形成された2つ以下の端部バブルを有する、1つ以下の端部バブルを有する、および/または端部バブルを有さないことが可能である。
【0058】
[0061]さらに、実施形態は、光学的欠陥が低減されたラミネートガラスパネルを形成する方法をさらに含み得る。そのような方法は、上述のポリマー中間層を1対のガラスシートの間にラミネートして、ラミネートガラスパネルを形成するステップを含んでもよい。そのようなガラスパネルは、ある特定の実施形態において、ガラスパネル内に形成されたバブル(例えば端部バブルまたはトリムバブル)を有さない。いくつかの実施形態において、ガラスパネルは、ガラスパネル内に形成された2つ以下のバブル(例えば端部バブルもしくはトリムバブル)を有する、または1つ以下のバブル(例えば端部バブルもしくはトリムバブル)を有することが可能である。いくつかの特定の実施形態において、ラミネートガラスパネルは、2つ以下の端部バブルを有する、1つ以下の端部バブルを有する、および/または端部バブルを有さないことが可能である。
【実施例】
【0059】
実施例1
[0062]以下でより詳細に説明されるように、4組のラミネートガラスパネルを形成した。ガラスパネルのそれぞれは、1対のガラスシートの間に挟まれたポリマー中間層を含み、各ポリマー中間層は、1対のスキン層に挟まれたコア層を備えていた。各組は、該当するコア層内に特定量の接着調整剤(ACA)が含まれた8個のガラスパネルを含んでいた。具体的には、8個のラミネートガラスパネルの第1の組は、コア層内に26力価のACAを有するように形成された。8個のラミネートガラスパネルの第2の組は、コア層内に22力価のACAを有するように形成された。8個のラミネートガラスパネルの第3の組は、コア層内に18力価のACAを有するように形成された。8個のラミネートガラスパネルの第4の組は、コア層内に12力価のACAを有するように形成された。1力価は、約1.37ppmのマグネシウム塩に等しい。以下の表1に示されるように、ガラスパネルのそれぞれにおいて特定されたバブルの数をカウントした。
【0060】
[0063]より詳細には、ポリマー中間層のそれぞれを、共押出によりPVBを用いて形成した。コア層に含まれるACAの量は、上記段落において議論された通りであった。ポリマー中間層の形成時に、中間層を40℃で25%相対湿度(RH)で4時間調整した。その後、それぞれの得られるラミネートガラスパネルが15cm×15cmの寸法の略正方形となるように、ポリマー中間層を対のガラスシートの間でラミネートした。次いで、以下の条件に従ってラミネートガラスパネルをオートクレーブ処理した。まず、ラミネートガラスパネルを、大気圧下で約20℃の温度のオートクレーブ内に挿入した。オートクレーブプロセスの残りにおいて、約1分間にわたりオートクレーブ内の圧力を13バールまで上昇させた。オートクレーブ圧力に達したら、温度を6℃/分の速度で143℃に上昇させた。温度を20分間143℃に保持し、その時点で圧力を45℃の終了温度に達するまで4.5℃/分の速度で低下させた。そのような時点で圧力は大気圧まで低減し、オートクレーブ処理プロセスが終了した。ラミネートガラスパネルを室温で1時間冷却し、次いで100℃のオーブン内に16時間設置した。
【0061】
[0064]その後、ラミネートガラスパネルのそれぞれについてバブルをカウントした。具体的には、端部バブル試験を使用して、ガラスパネルの4つの端部のそれぞれに存在する端部バブルの数をカウントした。試験に従い、各ラミネートガラスパネルについて端部バブルの数を視覚的にカウントした。端部バブルは、ガラスパネルの端部に隣接したガラスパネル内で形成されたバブルである。具体的には、本明細書において使用される場合、端部バブルは、ガラスパネルおよび/またはポリマー中間層内の、ガラスパネルおよび/またはポリマー中間層の端部から約5mm以内に形成する。端部バブルは通常円形であり、数十分の1ミリメートルから約1ミリメートルの直径を有する。端部バブル試験の結果を以下の表1に転載するが、表1は、各ガラスパネルについてカウントされた端部バブルの数を示している。
【0062】
【0063】
[0065]表1からのデータによって示されるように、ガラスパネルにおいて特定されるバブルの数は、ポリマー中間層のコア層に含まれるACAの量に概して比例することが判明した。より一般的には、より低いレベルのACAは、より少ない端部バブル、または端部バブルの非存在に対応することが判明した。例えば、第1の組のラミネートガラスパネル(それぞれ関連するコア層内に26力価のACA量を有する)は、ガラスパネル当たり平均3.0個の端部バブルを有することが判明した。第2の組のラミネートガラスパネル(それぞれ関連するコア層内に22力価のACA量を有する)は、ガラスパネル当たり平均1.5個の端部バブルを有することが判明した。第3の組のラミネートガラスパネル(それぞれ関連するコア層内に18力価のACA量を有する)は、ガラスパネル当たり平均1.0個の端部バブルを有することが判明した。最後に、第4の組のラミネートガラスパネル(それぞれ関連するコア層内に12力価のACA量を有する)は、ガラスパネル当たり平均0.75個の端部バブルを有することが判明した。
図3は、表1からのデータをチャート形式で示している。各データセットに関連した菱形は、ラミネートガラスパネルの特定の組に対する、端部バブルの平均数(すなわち、菱形の中央を横切って伸びる中心線により)、ならびに95%信頼区間(すなわち、菱形の上部分および下部分にわたって伸びる上の線および下の線により)を例示するために使用される。
【0064】
[0066]中間層コア層におけるACA量と、中間層および/またはラミネートガラスパネルにおける特定されたバブルの数とのそのような比例関係の発見は、予想外であったことに留意されたい。これは、以前に説明されたように、ラミネートパネルの層の間の接着を促進するためにACAがラミネートパネル中で使用されることが一般に好ましいためである。したがって、中間層におけるACAの低減は、以前は望ましくないと考えられていた。しかしながら、本発明の実施形態に従って形成された中間層および/またはガラスパネルは、予想外にもバブルが低減されながら必要な接着特性を維持することが判明した。
【0065】
実施例2
[0067]本発明の実施形態に従って、複数のポリマー中間層を形成した。各ポリマー中間層は、1対のスキン層の間に挟まれたコア層を備える三層として形成された。ポリマー中間層は、
図4のグラフによって示されるように、そのそれぞれのコア層内に様々な量の接着調整剤(ACA)を含んでいた(
図4において、いくつかの点は、左または右に一様にシフトし、以下で議論される11個のACAレベルに対する個々のデータ点を示すことに留意されたい)。より詳細には、ポリマー中間層の11の群が形成され、各群はそれぞれ、群からのポリマー中間層の各コア層に、0.1、6.0、9.0、10.0、11.0、12.0、13.0、15.0、18.0、22.0、および23.0力価のACAを有していた。ポリマー中間層をそれぞれ高圧および高温に曝露し、その後にポリマー中間層内に形成されたバブルの数を決定した。ポリマー中間層の各群のバブルの平均数および標準偏差(ACAレベルに基づく)を、以下の表2に示す。
【0066】
【0067】
[0068]表2および
図4からのデータによって示されるように、本実施例のポリマー中間層において決定されたバブルの数は、ポリマー中間層のコア層に含まれるACAの量に概して比例することが判明した。より一般的には、より低いレベルのACAは、より少ないバブルに対応することが判明した。
【0068】
[0069]さらに、本実施例からのポリマー中間層の個々の群を定性的なカテゴリーに割り当てたが、そのようなカテゴリーは、本出願の発明者らにより開発されたものである。具体的には、3.0以上の平均バブルカウントを有するポリマー中間層の群は、「許容されない」品質のものとして見なされたが、これは、そのような多数のバブルは著しい光学的欠陥を有するポリマー中間層をもたらすためである。3.0未満の平均バブルカウントを有するポリマー中間層の群は、「許容される」品質のものとして見なされたが、これは、そのような数のバブルは許容されるまたは容認される光学的欠陥をもたらすためである。さらに、2.0未満の平均バブルカウントを有するポリマー中間層の群は、「優れた」品質のものとして見なされた。
【0069】
[0070]上記、ならびに表2および
図4を鑑みて、22.0および23.0力価のACAを含有するポリマー中間層の群は両方とも、平均的に許容されない数のバブルを有していたことに留意されたい。対照的に、0.1、6.0、9.0、10.0、11.0、12.0、13.0、および15.0力価のACAを含有するポリマー中間層の群は、それぞれ平均的に許容される数のバブルを有していた。さらに、0.1、6.0、9.0、10.0、11.0、12.0、13.0、および15.0力価のACAを含むポリマー中間層の群は、それぞれ優れた品質のものとして特定された。
【0070】
[0071]現在好ましい実施形態であると考えられているものを含むある特定の実施形態の説明と併せて本発明を開示したが、発明を実施するための形態は例示的であることを意図し、本開示の範囲を限定するように理解されるべきではない。当業者に理解されるように、本明細書において詳細に説明されているもの以外の実施形態が、本発明に包含される。本発明の趣旨および範囲から逸脱せずに、説明された実施形態の修正および変形が行われてもよい。
【0071】
[0072]さらに、本開示の任意の単一の構成要素について示された範囲、値または特徴はいずれも、本開示の他の構成要素のいずれかについて示された任意の範囲、値または特徴と交換可能に使用されて、適合する場合には、本明細書全体に示されるような構成要素のそれぞれに対する定義された値を有する実施形態を形成し得ることが理解される。例えば、残留ヒドロキシル含有量について示された範囲のいずれかに加えて、示された範囲のいずれかの可塑剤含有量を含むポリマー層が形成されて、適切な場合には、本発明の範囲内であるが列挙するには煩雑な多くの置き換えを形成し得る。
【国際調査報告】