(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】膨張性保護コーティング
(51)【国際特許分類】
C09D 175/04 20060101AFI20241108BHJP
C09D 7/63 20180101ALI20241108BHJP
C09D 7/61 20180101ALI20241108BHJP
【FI】
C09D175/04
C09D7/63
C09D7/61
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529991
(86)(22)【出願日】2022-12-02
(85)【翻訳文提出日】2024-06-21
(86)【国際出願番号】 EP2022084170
(87)【国際公開番号】W WO2023099719
(87)【国際公開日】2023-06-08
(32)【優先日】2021-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524191240
【氏名又は名称】エイチ.ケー.ウェントワース リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110004381
【氏名又は名称】弁理士法人ITOH
(72)【発明者】
【氏名】アレン、クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】キナー、フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ターナー、ベサニー グレース
【テーマコード(参考)】
4J038
【Fターム(参考)】
4J038DG101
4J038DG261
4J038PB09
(57)【要約】
本開示は、2液型コーティング組成物に関し、2液型コーティング組成物は、パートAであって、(a)二官能性ポリオール、三官能性ポリオール、及び四官能性ポリオールのうちの少なくとも1つを含むポリオール構成成分、(b)発泡触媒、(c)任意選択で、ゲル触媒、並びにd)水、を含む、パートAと、パートBであって、イソシアネート官能価が少なくとも2であり、好ましくは、2超かつ3未満の官能価を有するイソシアネートプレポリマーである、イソシアネート官能性材料を含む、パートBと、を含む。コーティング組成物は、過酷な環境で動作する電子基板の保護を提供する膨張した独立気泡発泡体コーティングを生成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2液型コーティング組成物であって、前記2液型コーティング組成物が、
a)パートAであって、
a.二官能性ポリオール、三官能性ポリオール、及び四官能性ポリオールのうちの少なくとも1つを含むポリオール構成成分、
b.発泡触媒、
c.任意選択で、ゲル触媒、
d.任意選択で、少なくとも1種の難燃剤、並びに
e.水、を含む、パートAと、
b)パートBであって、
a.イソシアネート官能性材料であって、イソシアネート官能価が少なくとも2であり、好ましくは、前記イソシアネート官能性材料が、2超かつ3未満の官能価を有するイソシアネートプレポリマーである、イソシアネート官能性材料、及び
b.任意選択で、少なくとも1種の難燃剤、を含む、パートBと、を含み、
前記難燃剤がパートA及びパートBのうちの少なくとも一方に存在しなければならない、2液型コーティング組成物。
【請求項2】
前記二官能性ポリオールが、存在し、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリカプロラクトン、ポリブタジエン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリファルネセン、エチレングリコールジメレート、及び前述のもののうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の2液型コーティング組成物。
【請求項3】
前記二官能性ポリオールが、ポリブタジエン、ポリファルネセン、及びエチレングリコールジメレートからなる群から選択される疎水性ポリオールを含む、請求項2に記載の2液型コーティング組成物。
【請求項4】
前記三官能性ポリオールが、存在し、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリカプロラクトン、ポリブタジエン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリファルネセン、エチレングリコールジメレート、及び前述のもののうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の2液型コーティング組成物。
【請求項5】
前記三官能性ポリオールがヒマシ油を含む、請求項4に記載の2液型コーティング組成物。
【請求項6】
前記ポリオール構成成分が、0.1~99.9重量%の前記二官能性ポリオールを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の2液型コーティング組成物。
【請求項7】
前記ポリオール構成成分が、30~70重量%の前記二官能性ポリオールを含む、請求項6に記載の2液型コーティング組成物。
【請求項8】
前記ポリオール構成成分が、45~55重量%の前記二官能性ポリオールを含む、請求項7に記載の2液型コーティング組成物。
【請求項9】
前記ポリオール構成成分が、0.1~99.9重量%の前記三官能性ポリオールを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の2液型コーティング組成物。
【請求項10】
前記ポリオール構成成分が、30~70重量%の前記二官能性ポリオールを含む、請求項9に記載の2液型コーティング組成物。
【請求項11】
前記ポリオール構成成分が、45~55重量%の前記三官能性ポリオールを含む、請求項10に記載の2液型コーティング組成物。
【請求項12】
前記ポリオール構成成分が、0.1~99.9重量%の前記四官能性ポリオールを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の2液型コーティング組成物。
【請求項13】
前記ポリオール構成成分が、30~70重量%の前記四官能性ポリオールを含む、請求項12に記載の2液型コーティング組成物。
【請求項14】
前記ポリオール構成成分が、45~55重量%の前記四官能性ポリオールを含む、請求項13に記載の2液型コーティング組成物。
【請求項15】
前記四官能性ポリオールがペンタエリスリトールを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の2液型コーティング組成物。
【請求項16】
パートAの含水量が、0.05~10重量の範囲にある、請求項1~15のいずれか一項に記載の2液型コーティング組成物。
【請求項17】
前記パートAの含水量が、0.1~9重量%の範囲にある、請求項16に記載の2液型コーティング組成物。
【請求項18】
前記パートAの含水量が、0.5~8重量%の範囲にある、請求項17に記載の2液型コーティング組成物。
【請求項19】
前記パートAの含水量が、3~7重量%の範囲にある、請求項18に記載の2液型コーティング組成物。
【請求項20】
前記パートAの含水量が、4.5~5.5重量%の範囲にある、請求項19に記載の2液型コーティング組成物。
【請求項21】
前記発泡触媒がアミン触媒である、請求項1~20のいずれか一項に記載の2液型コーティング組成物。
【請求項22】
前記発泡触媒が三級アミン触媒である、請求項21に記載の2液型コーティング組成物。
【請求項23】
前記アミン触媒が、脂肪族アミン、脂環族アミン、芳香族アミン、アルコールアミン又はそれらのアンモニウム化合物のうちの1つ、トリエチレンジアミン、N,N,N,N-テトラメチルアルキレンジアミン、N,N,N,N-ペンタメチルジエチレントリアミン、トリエチルアミン、N,N-ジメチルベンジルアミン、N,N-ジメチルヘキサデシルアミン、N,N-ジメチルブチルアミン、トリエチレンジアミン、N-エチルモルホリン、N-メチルモルホリン、N,N-ジエチルピペラジン、N-ジエチル-2-メチルピペラジン、N,N-ビス-(α-ヒドロキシプロピル)-2-メチルピペラジン、N-ヒドロキシプロピルジメチルモルホリン、ピリジン、N,N-ジメチルピリジン、及び前述のもののうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項21又は22に記載の2液型コーティング組成物。
【請求項24】
前記ゲル触媒が、有機金属触媒又はアミン触媒である、請求項1~23のいずれか一項に記載の2液型コーティング組成物。
【請求項25】
前記有機金属触媒が、ジアルキルスズジアルカノエート、第一スズオクトエート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、亜鉛ネオデカノエート、ビスマスネオデカノエート及びネオデカン酸のブレンド、鉄アセチルアセトネート、酢酸カリウム触媒、カリウムオクトエート触媒、第一スズオクトエート触媒、ビスマス系ゲル化触媒、並びに前述のものの組み合わせからなる群から選択される、請求項24に記載の2液型コーティング組成物。
【請求項26】
前記アミン触媒がゲルアミン触媒である、請求項24に記載の2液型コーティング組成物。
【請求項27】
パートAが鎖延長剤を更に含む、請求項1~26のいずれか一項に記載の2液型コーティング組成物。
【請求項28】
前記鎖延長剤が、任意選択で低分子量を有する、脂肪族、芳香脂肪族、芳香族及び/又は脂環式化合物からなる群から選択されるジオール又はジアミンを含む、請求項27に記載の2液型コーティング組成物。
【請求項29】
前記鎖延長剤が、アルキレンラジカル中に2~10個の炭素原子を有するジアミン及び/又はアルカンジオールから選択される二官能性化合物を含む、請求項28に記載の2液型コーティング組成物。
【請求項30】
前記鎖延長剤が、1,2-エチレンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,3-プロパンジオール、及び/又はアルキレン部分に2~8個の炭素原子数を有するジアルキレン-、トリアルキレン-、テトラアルキレン-、ペンタアルキレン-、ヘキサアルキレン-、ヘプタアルキレン-、オクタアルキレン-、非アルキレン、及びデカアルキレン-グリコール、対応するオリゴプロピレングリコール及び/又はプロピレングリコールからなる群から選択される、請求項27~29のいずれか一項に記載の2液型コーティング組成物。
【請求項31】
パートAが不活性無機充填剤又は増量剤を更に含む、請求項1~30のいずれか一項に記載の2液型コーティング組成物。
【請求項32】
前記不活性無機充填剤又は前記増量剤が、タルク、炭酸カルシウム、シリカ、珪灰石、水酸化アルミニウム、カオリン、粘土、硫酸カルシウム繊維、マイカ、ガラスビーズ、並びにナノグラフェン、ナノファイバー、及びナノ粒子などのナノ材料からなる群から選択した、請求項31に記載の2液型コーティング組成物。
【請求項33】
前記難燃剤が、水酸化アルミニウム三水和物、リン含有ポリオール、マイクロカプセル化ポリリン酸アンモニウム、固体難燃剤、及び前述のものの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~32のいずれか一項に記載の2液型コーティング組成物。
【請求項34】
前記難燃剤が室温で固体であり、前記固体難燃剤が50~500マイクロメートルの典型的な平均粒径を有する、請求項33に記載の2液型コーティング組成物。
【請求項35】
前記固体難燃剤が、100~400マイクロメートルの典型的な平均粒径を有する、請求項34に記載の2液型コーティング組成物。
【請求項36】
前記固体難燃剤が、90~350マイクロメートルの典型的な平均粒径を有する、請求項34に記載の2液型コーティング組成物。
【請求項37】
前記固体難燃剤が膨張性黒鉛を含む、請求項33~36のいずれか一項に記載の2液型コーティング組成物。
【請求項38】
前記難燃剤が、水酸化アルミニウム三水和物と膨張性黒鉛との組み合わせを含む、請求項33~37のいずれか一項に記載の2液型コーティング組成物。
【請求項39】
基板の1つ以上の表面に保護コーティングを塗布する方法であって、前記方法は、
c)2液型コーティング組成物を混合する工程であって、2液型コーティング組成物は、
i)パートAであって、
a.二官能性ポリオール、三官能性ポリオール、及び四官能性ポリオールのうちの少なくとも1つを含むポリオール構成成分、
b.発泡触媒、
c.任意選択で、ゲル触媒、
d.任意選択で、少なくとも1種の難燃剤、並びに
e.水、を含む、パートAと、
ii)パートBであって、
イソシアネート官能性材料であって、イソシアネート官能価が少なくとも2であり、好ましくは、前記イソシアネート官能性材料が、2超かつ3未満の官能価を有するイソシアネートプレポリマーである、イソシアネート官能性材料、及び
任意選択で、少なくとも1種の難燃剤、を含む、パートBと、を含み、
液体コーティング組成物を調製するために、前記少なくとも1種の難燃剤が、パートA及びパートBのうちの少なくとも一方に存在しなければならない、工程と、
d)前記液体コーティング組成物を基板に塗布し、前記液体コーティング組成物を膨張させて独立気泡発泡体コーティングにする工程と、を含む、方法。
【請求項40】
前記液体コーティング組成物が、前記液体コーティング組成物の塗布された厚さの25倍未満の倍率で、前記基板の前記表面から垂直方向に体積を膨張させて、膨張した独立気泡発泡体コーティングを形成する、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記液体コーティング組成物が、前記液体コーティング組成物の塗布された厚さの8倍~20倍の倍率で、前記基板の前記表面から垂直方向に体積を膨張させて、前記膨張した独立気泡発泡体コーティングを形成する、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記液体コーティング組成物が、前記液体コーティング組成物の塗布された厚さの約10倍~約15倍の倍率で、前記基板の前記表面から垂直方向に体積を膨張させて、前記膨張した独立気泡発泡体コーティングを形成する、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
発泡反応が10分未満で起こって、不粘着性コーティングを生成する、請求項39~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記発泡反応が5分未満で起こって、不粘着性コーティングを生成する、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記発泡反応が4分未満で起こって、不粘着性コーティングを生成する、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記液体コーティング組成物が噴霧によって塗布される、請求項39~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記液体コーティング組成物が分注によって塗布される、請求項39~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記基板が、凹凸及び突起のうちの少なくとも1つを含む電子基板であり、膨張したコーティング組成物が、前記凹凸及び突起のうちの少なくとも1つを包み込む、請求項39~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
膨張した独立気泡発泡体コーティング層の上にトップコート層を塗布する工程を更に含む、請求項39~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記トップコート層が、0mm超かつ5mm未満の厚さを有する、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記トップコート層が、4mm未満の厚さを有する、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記トップコート層が、3mm未満の厚さを有する、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記トップコート層が、2mm未満の厚さを有する、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記トップコート層が、1mm未満の厚さを有する、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記トップコート層が、0.5mm未満の厚さを有する、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記トップコート層が、耐薬品性コーティング、疎水性コーティング、マイクロカプセル化樹脂、及び前述のものの組み合わせからなる群から選択される、請求項49~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記膨張した独立気泡発泡体コーティング層が、難燃性であり、UL94 V-0垂直燃焼試験に合格することができる、請求項39~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記液体コーティング組成物が、前記発泡体の膨張空間を制限するように少なくとも1つの方向に拘束されている、請求項39~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記液体コーティング組成物が、発泡反応を遅延させるように最適化されている、請求項39~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記発泡触媒がマイクロカプセル化されている、請求項39~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
プリント回路ボードを備える電子基板アセンブリであって、前記プリント回路ボードが、ベース支持体と、取り付けられた前記ベース支持体の表面から外向きに延び、かつ電気回路に電気的に接続された、複数の電気回路部品と、を含み、独立気泡発泡体保護コーティングが、前記複数の電気回路部品を含む前記電子基板アセンブリの表面の少なくとも一部に塗布されており、独立気泡保護コーティングが、請求項1~38のいずれか一項に記載の2液型コーティング組成物を含み、パートA及びパートBが、前記独立気泡保護コーティング中で混合形態にあり、かつ/又は前記独立気泡保護コーティングが、請求項39~60のいずれか一項に記載の方法によって塗布されている、電子基板アセンブリ。
【請求項62】
前記保護コーティングが、UL94 V-0垂直燃焼試験に合格することができる、請求項61に記載の電子基板アセンブリ。
【請求項63】
前記独立気泡保護コーティングの上にトップコート層を更に含む、請求項61又は62に記載の電子基板アセンブリ。
【請求項64】
前記トップコート層が、0mm超かつ5mm未満の厚さを有する、請求項63に記載の電子基板アセンブリ。
【請求項65】
前記トップコート層が、4mm未満の厚さを有する、請求項64に記載の電子基板アセンブリ。
【請求項66】
前記トップコート層が、3mm未満の厚さを有する、請求項65に記載の電子基板アセンブリ。
【請求項67】
前記トップコート層が、2mm未満の厚さを有する、請求項66に記載の電子基板アセンブリ。
【請求項68】
前記トップコート層が、1mm未満の厚さを有する、請求項67に記載の電子基板アセンブリ。
【請求項69】
前記トップコート層が、0.5mm未満の厚さを有する、請求項68に記載の電子基板アセンブリ。
【請求項70】
前記トップコート層が、耐薬品性コーティング、疎水性コーティング、マイクロカプセル化樹脂、及び前述のものの組み合わせからなる群から選択される、請求項63~69のいずれか一項に記載の電子基板アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、膨張性保護コーティング材料、及び膨張性保護コーティング材料を使用して基板の1つ以上の表面をコーティングする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
保護コーティングは、熱衝撃、高温、及び相対湿度に対する耐性を提供するため、並びに凝縮及び浸漬から保護するために、様々な用途において使用される。多くの用途において、1つ以上の特徴部を含む表面を含む基板の表面は、環境及び損傷から保護されることが望ましい。これらの基板は、その上に含まれる特徴部を保護及び/又は封入することが望ましい電子アセンブリを含む。
【0003】
電気回路は、典型的には、絶縁耐力、力率、絶縁特性などを含む適切な電気的性質を有する、プリント回路ボード(printed circuit board、PCB)及びプリント配線ボード(printed wiring board、PWB)などの支持基板上に実装される。支持基板はまた、引張強度及び引裂抵抗などの所与の用途に必要な物理的特性を示す。
【0004】
電気回路システムの設計、構築、及び製造では、環境的な使用も考慮される。電気回路が動作する環境の湿度及び/又は温度は、設計に対してかなりの重要性を有し得る。多くの環境において、回路仕様は保護囲いを必要とし、保護囲いの電気的特性及び物理的特性の両方は、起こり得る極端な条件の変動など、遭遇する環境条件との関係で考慮される。
【0005】
電子アセンブリのための一般的な保護コーティングとしては、ポッティング材料、他の封入樹脂、及びコンフォーマルコーティングが挙げられるが、これらに限定されない。
【0006】
ポッティング材料の主な目的の1つは、化学物質、高湿度、振動、及び最高最低気温への曝露を含む環境において、高感度電子機器の保護及び支持を提供することである。これらのポッティング材料は良い結果をもたらしているが、非常に重い場合が多い。すなわち、デバイス又はアセンブリを充填するために使用されるポッティング材料は、多くの場合、非常に厚く、これは、特定の用途にとって不利であり得る。ポッティング加工物はまた、容易に再投入可能(すなわち、充填された部品を検査及び/又は修理するための除去を容易にするために切り込むのに十分に軟質)ではない。電子デバイス又はアセンブリを充填するためのポッティング材料の一例は、Liらによる米国特許第8,614,266号に記載されており、その主題は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0007】
電子基板の表面全体を封入することによって、封入樹脂は、ユニットに完全な絶縁を提供し、良好な電気的性質と機械的保護と、を組み合わせる。これらの樹脂は、概して2構成成分系であり、樹脂(パートA)が正確な量の硬化剤(パートB)と混合されて、架橋ポリマーをもたらす化学反応を開始する。封入樹脂は、例えば、McMahonらの米国特許出願公開第2016/0322283号に記載されており、その主題は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0008】
ポッティング材料及び封入樹脂は、プリント回路ボード(PCB)などの電子基板に対して高レベルの保護を提供する。これらの樹脂は、約0.5mm以上の厚さで塗布することができ、概してかなり厚い。厚さの増加は、重量の著しい増加につながる。他方で、増加した厚さは、特に浸漬が長期の場合に、薬品侵食に対するより強力な保護を提供する。加えて、樹脂の大部分が電子基板にわたる力を消散させるのを助けることができるので、樹脂は、物理的衝撃に対する優れた保護を提供することができる。暗色の樹脂の使用はまた、PCBを完全に隠すことができ、これは、設計のある程度のセキュリティを可能にすることができる。しかしながら、これらの樹脂はまた、除去することが困難であり得、除去がPCBの破壊をもたらし得るためPCBの再加工を実行不可能なものにする。
【0009】
一方、コンフォーマルコーティングは、典型的には、熱閉じ込め及び追加重量を最小限に抑えるために最も薄い量の材料を使用しながら、非常に薄いコーティングとして塗布されて、可能な最大レベルの保護を提供する。コンフォーマルコーティングは、例えば、約25~250マイクロメートルの乾燥膜厚範囲の厚さで塗布されてもよく、その結果アセンブリの重量増加が最小限となる。コンフォーマルコーティングは、電子基板(例えば、PCB)及びその部品を環境及び腐食から保護する。材料は、ボードが組み立てられた後にボードに塗布されるので、ボード及びその部品の形状に「適合」する。コンフォーマルコーティングは、(必要に応じて)回路ボード全体を覆うことができ、ボードと、部品リード、はんだ接合部、露出した配線、及び露出した金属の他の領域を含むその部品との両方を保護することができる。薄いコーティングは、金属を腐食から保護するとともに、スプレー、水分、菌、埃、及び過酷な環境からの他の汚染からボード全体を遮蔽する。コンフォーマルコーティングはまた、熱応力及び機械応力、更には乱暴な取り扱いによる損傷を防止するのを助けて、PCBの動作寿命を延ばすのに役立つことができる。
【0010】
コンフォーマルコーティングは、典型的には非導電性誘電材料であり、配線と他の金属導体との間の絶縁耐力を増加させて、回路に必要とされる表面積を減少させることができ、これにより、より小型で高密度のPCBレイアウトが可能となる。電子基板の特定の必要性に応じて使用される異なるタイプのコンフォーマルコーティング材料又は化学物質が存在する。より一般的に使用されるコンフォーマルコーティングのいくつかには、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、及びエポキシ樹脂が含まれる。コンフォーマルコーティングの例は、その主題が参照によりその全体が本明細書に組み込まれるCollaの米国特許第4,300,184号に見出すことができ、ヒュームドシリカ粉末及び単一構成成分ウレタンコーティング配合物を含有する水分を含まないコーティング材料について記載しており、配合物から全ての気泡を除去するプロセスである。Glatkowskiらの国際公開第03/013199号は、電磁干渉に対する遮蔽を提供し、かつカーボンナノチューブを含有するコンフォーマルコーティングについて記載している。
【0011】
大部分のコンフォーマルコーティングは、単一構成成分系であり、長い使用可能寿命、低い硬化又は乾燥温度、及び短い乾燥時間を有する。1液型溶液であるため、それらは処理及び塗布が明らかに容易である。しかしながら、大部分の単一構成成分コーティングは、塗布目的でそれらの粘度を変更するために溶媒系である。コンフォーマルコーティングは、ブラッシング、噴霧、及び浸漬を含む様々な意味で手動で塗布することができる。
【0012】
樹脂の保護及び特性をコンフォーマルコーティングの塗布の容易さと組み合わせるが、溶媒を使用せず、環境上の利点を提供する2液型ポリウレタンコーティングも使用することができる。これらのコーティングは、優れた被覆を提供することができ、それらの可撓性は、繊細な部品の保護を提供する。2構成成分コーティングは、優れた機械的特性及び耐摩耗性をもたらすが、2液型であるため、1構成成分コーティングよりも複雑な塗布装置を必要とする。これらの2構成成分コーティングはまた、除去することがより困難であり得、ボードの修理を非常に困難なものにする。
【0013】
コンフォーマルコーティングに伴う重大な問題は、PCB又はPWB上の相互接続突出ピン状回路素子は、コンフォーマルコーティングを使用すると少なくとも部分的に露出したままである場合があるので、これら素子を効果的に被覆することが困難だということである。そのような場合、回路を埋め込み、微小な突起及び凹凸を完全に封入するために、コンフォーマルコーティングに加えてポッティング材料が必要とされる場合があり、これはかなりの重量を加える。
【0014】
厚い封入樹脂及びポッティング材料と薄い誘電体コンフォーマルコーティングとの間のギャップを充填するために、低硬度、低弾性率の配合樹脂系が提案されている。これらの樹脂は、機械的構造支持を提供する一方で、振動減衰を提供し、全体的な樹脂重量及びコストを低減するように設計されている。これらのコーティングの例は、米国特許第9,832,902号及び米国特許第9,699,917号(両方ともJordan,Jr.ら)に見出すことができ、これらの各々の主題は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。しかしながら、これらのコーティングは、特徴部の不十分な被覆という同じ問題を依然として抱えている。
【0015】
図1に見られるように、典型的なコンフォーマルコーティングは、電子基板上の特徴部を完全に被覆することが困難であり、そのような特徴部の縁部が被覆されないまま残され、不完全な保護をもたらす場合がある。一方、
図2に示すように、ポッティング材料は、特徴部の保護を提供するが、最終製品の重量を増加させる非常に高密度の材料である。
【0016】
コンフォーマルコーティング並びに封入樹脂及びポッティング樹脂の代替として、電子基板は、エポキシ樹脂で部分的に被覆されるか、又はマイクロカプセル化されてもよい。しかしながら、これらの方法は、典型的には、特定の領域においてのみ、又は選択された部品を被覆するためにのみ使用される。
【0017】
したがって、基板、特に、完全に被覆又はコーティングすることが困難であり得る突出回路素子及び他の突出特徴部を含む基板の1つ以上の表面の優れた保護を提供することができる改善された保護コーティングが依然として必要とされていることが分かる。
【0018】
望ましい特性を示す種々の2液型発泡体組成物が開発されてきた。
【0019】
英国特許第1496922号は、ポリオールA、ポリイソシアネートM(TDIとポリマーイソシアネートとのブレンド)、水、及び触媒N(ジプロピレングリコール中のトリエチレンジアミン)、P(ビス(2-ジメチルアミンエーテル)エーテル)、R(アミン触媒)、及びS(ジブチルスズジラウレート)を含む発泡体組成物を記載している。
【0020】
米国特許出願公開第2013/0225706号は、第1の部分が三官能性ポリオール、鎖延長剤、水、ジプロピレングリコール中のアミン触媒、及びスズ触媒を含む発泡体組成物を記載している。第2の部分はポリマーMDIからなる。
【0021】
米国特許出願公開第2009/0247659号は、パートA及びパートBを含む2構成成分発泡体組成物を記載しており、パートAはポリマーMDIからなり、パートBは芳香族ポリエステルポリオール、オキシプロピル化ポリエーテルトリオール、三級アミン触媒、カリウムオクトエート触媒、及び水を含む。
【0022】
中国特許第112552474号は、第1の部分がグリセリン系ポリエーテルポリオール、プロピレングリコール系ポリエーテルポリマー、アミン触媒(N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン)、スズ触媒(ジブチルスズジラウレート)、及び水を含み、第2の部分がポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートを含む、2液型発泡体組成物を記載している。
【0023】
中国特許第106750095号は、グリシン系ポリオール、トリエチレンジアミン触媒、ジブチルスズラウレート触媒、及びポリマーMDIを含む2構成成分組成物を記載している。イソシアネートは、他の成分を含有する混合物から分離されたままであり、これら2つは使用時に組み合わされる。
【0024】
軽量であり、回路素子及び他の特徴部の完全な被覆及び/又は封入を提供する新しいコーティング配合物が非常に望ましい。
【発明の概要】
【0025】
本発明の目的は、改善された保護コーティング組成物を提供することである。
【0026】
本発明の別の目的は、電子基板上に実装された特徴部の優れたコーティングを提供する保護コーティング組成物を提供することである。
【0027】
本発明の別の目的は、電子基板上の特徴部をコーティング又は封入する方法を提供することである。
【0028】
本発明の別の目的は、低応力である保護コーティングを生成するコーティング組成物を提供することである。
【0029】
本発明の別の目的は、従来技術のコーティングと比較して重量が削減された保護コーティングを提供することである。
【0030】
本発明の別の目的は、電気絶縁性であるコーティングを提供することである。
【0031】
本発明の別の目的は、熱衝撃、高温、及び相対湿度に対して耐性であるコーティングを提供することである。
【0032】
本発明の更に別の目的は、凝縮及び浸漬から保護するコーティングを提供することである。
【0033】
本発明の更に別の目的は、難燃性を提供するコーティングを提供することである。
【0034】
本発明の更に別の目的は、審美的に美しいコーティングを提供することである。
【0035】
本発明の更に別の目的は、追加の保護を提供するためにトップコート層に結合することができるコーティングを提供することである。
【0036】
本発明の更に別の目的は、低粘度を有するコーティングを提供することである。
【0037】
その目的のために、一態様では、本発明は、概して、2液型保護コーティング組成物であって、2液型保護コーティング組成物が、
a)パートAであって、
a.二官能性ポリオール及び三官能性ポリオールのうちの少なくとも一方を含むポリオール構成成分、
b.発泡触媒、
c.任意選択で、ゲル触媒、
d.任意選択で、少なくとも1種の難燃剤、並びに
e.水、を含む、パートAと、
b)パートBであって、
イソシアネート官能性材料であって、イソシアネート官能価が少なくとも2であり、好ましくは、イソシアネート官能性材料がイソシアネートプレポリマーであり、イソシアネートプレポリマーが、2超かつ3未満の官能価を有する、イソシアネート官能性材料、及び
任意選択で、少なくとも難燃剤、を含む、パートBと、を含み、
難燃剤がパートA及びパートBのうちの少なくとも一方に存在しなければならない、2液型保護コーティング組成物、に関する。
【0038】
本明細書に記載の2液型保護コーティング組成物を混合し、基板の1つ以上の表面に塗布して、表面を環境、薬品侵食及び水分、熱衝撃などから保護し、難燃性を提供することができる軽量独立気泡発泡体保護コーティングを生成することができる。
【0039】
第2の態様では、本発明は、概して、基板の1つ以上の表面に保護コーティングを塗布する方法であって、方法は、
a)2液型コーティング組成物を混合する工程であって、2液型コーティング組成物は、
i)パートAであって、
a.二官能性ポリオール、三官能性ポリオール、及び四官能性ポリオールのうちの少なくとも1つを含むポリオール構成成分、
b.発泡触媒、
c.任意選択で、ゲル触媒、
d.任意選択で、少なくとも1種の難燃剤、並びに
e.水、を含む、パートAと、
ii)パートBであって、
イソシアネート官能性材料であって、イソシアネート官能価が少なくとも2であり、好ましくは、イソシアネート官能性材料が、2超かつ3未満の官能価を有するイソシアネートプレポリマーである、イソシアネート官能性材料、及び
任意選択で、少なくとも1種の難燃剤、を含む、パートBと、を含み、
液体コーティング組成物を調製するために、少なくとも1種の難燃剤が、パートA及びパートBのうちの少なくとも一方に存在しなければならない、工程と、
b)液体コーティング組成物を基板に塗布し、液体コーティング組成物を膨張させて独立気泡発泡体コーティングにする工程と、を含む、方法、に関する。
【0040】
第3の態様では、本発明は、概して、プリント回路ボードを備える電子基板アセンブリであって、プリント回路ボードが、ベース支持体と、取り付けられたベース支持体の表面から外向きに延び、かつ電気回路に電気的に接続された、複数の電気回路部品と、を含み、独立気泡発泡体保護コーティングが、複数の電気回路部品を含む電子基板アセンブリの表面の少なくとも一部に塗布されており、独立気泡保護コーティングが、本発明の第1の態様の2液型コーティング組成物を含み、パートA及びパートBが、独立気泡保護コーティング中で混合形態にあり、かつ/又は独立気泡保護コーティングが、本発明の第2の態様の方法によって塗布されている、電子基板アセンブリ、に関する。
【0041】
本開示の開示されたシステム及び方法の追加の有利な特徴、機能、及び用途は、特に添付の図面と併せて読まれるときに、以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0042】
実施形態の特徴及び態様は、添付の図面を参照して以下で説明され、図面において、要素は必ずしも縮尺通りに描写されておらず、特定の図では、明確にするために部品が誇張又は除去されている場合がある。
【0043】
本開示の例示的な実施形態は、添付の図面を参照して更に説明される。以下に説明され、図に例解される、様々な特性、ステップ、及び特性/ステップの組み合わせは、本開示の範囲内に依然としてある実施形態をもたらすために、異なって配列及び編成され得ることに留意されたい。
【0044】
以下、本発明は、以下の図面を参照して、記載される。
【
図1】電子基板の特徴部上の従来技術のコンフォーマルコーティングの断面図を示す。
【
図2】特徴部が従来技術の樹脂ポッティング材料でコーティングされている電子基板の図を示す。
【
図3】本発明の膨張した保護コーティングでコーティングされた3つの異なる電子アセンブリの図を示す。
【
図4】実施例1の組成物の表面絶縁抵抗測定の結果を示す。
【
図5】本発明の膨張した保護コーティングでコーティングされ、コーティングが熱衝撃試験にさらされている電子アセンブリの図を示す。
【
図6】比較例1の組成物の表面絶縁抵抗測定の結果を示す。
【
図7】本発明の保護コーティングで部分的にコーティングされた電子アセンブリの図を示す。
【
図8】保護コーティング層の上部を覆うトップコートで更にコーティングされた
図7の電子アセンブリの図を示す。
【
図9】85℃/85%RHで1000時間後の、実施例1の組成物でコーティングされた電子アセンブリと比較例1の組成物でコーティングされた電子アセンブリとの比較を示す。
【
図10】従来技術の封入コーティングと比較した、本発明のコーティング組成物の重量削減を実証するグラフを示す。
【
図11】トップコート層の有無にかかわらず、本発明の発泡体コーティングでコーティングされた基板の図を示す。
【
図12】発泡体にトップコート層を上塗りすることによって達成される水吸収の改善を示すグラフを示す。
【
図13】50℃で1週間浸漬した本発明によるコーティングの電気絶縁性のグラフを示す。
【0045】
また、全ての要素が各図でラベル付けされ得るわけではないが、同じ参照番号を有する全ての要素は、類似又は同一の部品を示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明は、概して、微小な突起及び凹凸を含む電子基板を含む基板の特徴部をコーティング及び/又は封入することができる膨張した保護コーティングを製造するための特定の性能特性を有する膨張性液体コーティング組成物に関する。電子基板は、1つ以上の回路素子を収容する表面実装電子デバイスであってもよい。加えて、保護コーティングは、長期間にわたる化学物質、高湿度、振動、及び最高最低気温への曝露を含む過酷な環境から電子基板を保護するように設計されてもよい。保護コーティングはまた、改善された難燃性を提供するように設計されてもよい。
【0047】
本発明は、独立気泡発泡体コーティングに膨張し、かつ電子アセンブリ及び他の基板のための保護コーティングを提供するために使用することができる、液状塗布型弾性コーティング組成物を提供する。加えて、本コーティング組成物は、本明細書に詳述されるコーティング組成物及びプロセスを使用して、修復又は修正された回路ボードを容易に上塗りすることができるため、PCB又はPCW等の電子基板を修復又は修正するプロセスにおいて使用することができる。
【0048】
したがって、本発明は、プリント回路システム、及び保護を必要とする小さな凹凸及び突起を含む基板などの他の電子基板に塗布することができる膨張性保護コーティングを提供する。膨張性コーティング組成物は液体として塗布され、急速に膨張して、膨張した独立気泡発泡体保護コーティングを形成する。
【0049】
開示される実施形態は、様々な形態で具現化され得る本開示の単なる例解であることが理解されるべきである。したがって、例示的なアセンブリ/製造方法並びにアセンブリ及び使用の関連するプロセス/技法を参照して本明細書に開示される詳細は、限定するものとして解釈されるべきではなく、単に、本明細書に記載の有利なアセンブリ/システムをどのように作製及び使用するかを当業者に教示するための基礎として解釈されるべきである。
【0050】
本明細書で使用する場合、「a」、「an」、及び「the」は、文脈により別途明確に指示されない限り、単数及び複数の両方を指す。
【0051】
本明細書で使用する場合、「約」という用語は、パラメータ、量、持続時間などの測定可能な値を意味し、具体的に列挙された値の、及びその値からの、+/-15%以下の変動、好ましくは+/-10%以下の変動、より好ましくは+/-5%以下の変動、更により好ましくは+/-1%以下の変動、なおもより好ましくは+/-0.1%以下の変動を、このような変動が本明細書に記載される本発明で実施するために適切である限りは含むことを意味する。更に、修飾語「約」が指す値は、それ自体が本明細書に具体的に開示されていることも理解されたい。
【0052】
本明細書で使用するとき、「下(beneath)」、「下方(below)」、「下側(lower)」、「上方(above)」、「上側(upper)」、「前部(front)」、「後部(back)」のような空間的に相対的な用語は、別の要素又は特徴に対する1つの要素又は特徴の関係を説明するために説明しやすくするために使用される。「前部(front)」及び「後部(back)」という用語は、限定することを意図するものではなく、適切な場合に交換可能であることが意図されていることが更に理解される。
【0053】
本明細書で使用する場合、用語「含む(comprise(s))」及び/又は「含む(comprising)」とは、記載された特徴、整数、ステップ、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらの群の存在又は追加を除外しない。
【0054】
本明細書においてASTM又は他の規格が参照される場合、その規格は、別段の定義がない限り、本出願の出願時点で最新の規格であると予想される。
【0055】
本明細書で使用される場合、「ポリオール」という用語は、複数のヒドロキシル基を含有する有機化合物を指す。
【0056】
一態様では、本発明は、概して、2液型コーティング組成物であって、2液型コーティング組成物が、
a)パートAであって、
a.二官能性ポリオール、三官能性ポリオール、及び四官能性ポリオールのうちの少なくとも1つを含むポリオール構成成分、
b.発泡触媒、
c.任意選択で、ゲル触媒、
d.任意選択で、発泡安定剤、コポリマー、不活性無機充填剤又は増量剤、着色剤、抗酸化剤、UV安定剤、及び難燃剤からなる群から選択される1つ以上の添加剤、並びに
e.水、を含む、パートAと、
b)パートBであって、
イソシアネート官能性材料であって、イソシアネート官能価が少なくとも2であり、好ましくは、2超かつ3未満の官能価を有するイソシアネートプレポリマーである、イソシアネート官能性材料、を含む、パートBと、を含む、2液型コーティング組成物、に関する。
【0057】
一態様では、本発明は、概して、2液型コーティング組成物であって、2液型コーティング組成物が、
c)パートAであって、
a.二官能性ポリオール、三官能性ポリオール、及び四官能性ポリオールのうちの少なくとも1つを含むポリオール構成成分、
b.発泡触媒、
c.任意選択で、ゲル触媒、
d.任意選択で、少なくとも1種の難燃剤、並びに
e.水、を含む、パートAと、
d)パートBであって、
イソシアネート官能性材料であって、イソシアネート官能価が少なくとも2であり、好ましくは、2超かつ3未満の官能価を有するイソシアネートプレポリマー、及び
任意選択で、少なくとも1種の難燃剤、を含む、パートBと、を含み、
少なくとも1種の難燃剤が、パートA及びパートBのうちの少なくとも一方に存在しなければならない、2液型コーティング組成物に関する。
【0058】
パートAのポリオール構成成分は、二官能性ポリオール、三官能性ポリオール、及び四官能性ポリオールのうちの少なくとも1つを含み、イソシアネート基と反応することができる追加のポリオールを含んでもよい。このようなポリオールの例としては、グリコール、すなわち、1,2ジヒドロキシ基を含有するジオール、例えばエチレングリコール又はプロピレングリコール及びその誘導体、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、並びにグリセロール又はグリセリン及びその誘導体が挙げられる。一実施形態では、ポリオール構成成分のポリオールは、約2000未満、より好ましくは約1,000未満、より好ましくは約600未満の分子量、より好ましくは約300~約600ダルトンの重量平均分子量を有する。
【0059】
いくつかの実施形態では、ポリオールは、3~20個の炭素原子、より好ましくは4~12個の炭素原子、最も好ましくは5~10個の炭素原子を有する非対称ジオールである。このような非対称ジオールの例としては、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、1,12-オクタデカンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、及び1,2-デカンジオールが挙げられるが、これらに限定されない。ポリオールの他の例としては、ペンタエリスリトールなどのテトロールが挙げられる。ポリオールはまた、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドのいずれかから調製され、必要に応じて別のポリオール(例えば、グリコール又はグリセロール)と反応されたポリエーテルポリオールであり得る。
【0060】
好適なポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、連続ポリオール相中にポリマー粒子の分散体を含むポリマーポリオール、及び、及び他のポリヒドロキシ含有化合物が挙げられる。好ましいポリオールとしては、限定ではなく例として、ポリ(テトラメチレンオキシド)ポリマー、テトラメチレンオキシドとエチレンオキシドとのコポリマー、並びにプロピレンオキシドのポリマー及びコポリマーが挙げられる。
【0061】
一実施形態では、ポリオール構成成分は、二官能性ポリオール、三官能性ポリオール、及び四官能性ポリオールのうちの少なくとも1つを含む。一実施形態では、ポリオール構成成分は、二官能性ポリオール、三官能性ポリオール、及び四官能性ポリオールのうちの2つ以上を含む。
【0062】
一実施形態では、二官能性ポリオールは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリカプロラクトン、ポリブタジエン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリファルネセン、エチレングリコールジメレート(dimerate)、及び前述のもののうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。好ましくは、二官能性ポリオールは、ポリブタジエン、ポリファルネセン、及びエチレングリコールジメレートからなる群から選択される疎水性ポリオールである。
【0063】
一実施形態では、三官能性ポリオールは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリカプロラクトン、ポリブタジエン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリファルネセン、エチレングリコールジメレート及び前述のもののうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。一実施形態では、三官能性ポリオールは、広く市販されている再生可能な原料であるヒマシ油(すなわち、リシノール酸トリグリセリド)を含む。加水分解生成物、エトキシル化生成物、エステル交換生成物、若しくはエステル化生成物、又はポリアミド生成物を含む、ヒマシ油から誘導される任意のポリオールを含むヒマシ油の誘導体も、本発明の実施に際して使用することができる。好適な三官能性ポリオールの別の例は、カシューナッツ液(cashew nut liquid、CNSL)系ポリオールである。
【0064】
一実施形態では、ポリオール構成成分は、0~99.99重量%、より好ましくは0.1~99.9重量%、好ましくは30~70重量%、より好ましくは45~55重量%の二官能性ポリオール、及び/又は0.0~99.99重量%、より好ましくは0.1~99.9重量%、好ましくは30~70重量%、より好ましくは45~55重量%の三官能性ポリオール、及び/又は0.0~99.99重量%、より好ましくは0.1~99.9重量%、好ましくは30~70重量%、より好ましくは45~55重量%の四官能性ポリオールを含む。
【0065】
一実施形態では、パートAの含水量は、0.05~10重量%、より好ましくは0.1~9重量%、より好ましくは0.5~8重量%の範囲、又は任意選択で3~7重量%の範囲、又は任意選択で4.5~5.5重量%の範囲にある。
【0066】
パートAはまた、1つ以上の触媒を含む。一実施形態では、触媒は、発泡触媒とゲル触媒とのブレンドを含み、ゲル反応及びブロー反応の反応速度を制御する。別の実施形態では、触媒は、1つ以上の発泡触媒を含む。別の実施形態では、単一の触媒が発砲触媒及びゲル触媒の両方として使用される。
【0067】
ブロー/発泡触媒は、水とイソシアネート源との間の反応を優先的に触媒して二酸化炭素を生成する。一実施形態では、発泡触媒は、例えば、トリオール触媒、テトラポリオール触媒、及び三級アミン触媒などのアミン触媒を含む。適切な触媒の更なる例としては、種々のアルキルアミン、脂肪族アミン、芳香族アミン、アルキルエーテル、及びアルキルチオールエーテル、例えば、ビスマスオクトエート、ビスマスラウレート及び他の類似の化合物を含むビスマス又はスズ系のものが挙げられる。他の触媒としては、第一スズオクトエート、ジブチルスズジオクトエート、及びジブチルスズジラウレートなどのスズ触媒が挙げられる。
【0068】
好適なアミン触媒としては、脂肪族アミン、脂環族アミン、芳香族アミン、アルコールアミン、又はそれらのアンモニウム化合物のうちの1つが挙げられるが、これらに限定されない。脂肪族アミンの例としては、とりわけ、トリエチレンジアミン、N,N,N,N-テトラメチルアルキレンジアミン、N,N,N,N-ペンタメチルジエチレントリアミン、トリエチルアミン、N,N-ジメチルベンジルアミン、N,N-ジメチルヘキサデシルアミン、N,N-ジメチルブチルアミンが挙げられるが、これらに限定されない。脂環族アミンの例としては、とりわけ、トリエチレンジアミン、N-エチルモルホリン、N-メチルモルホリン、N,N-ジエチルピペラジン、N-ジエチル-2-メチルピペラジン、N,N-ビス-(α-ヒドロキシプロピル)-2-メチルピペラジン、N-ヒドロキシプロピルジメチルモルホリンが挙げられるが、これらに限定されない。芳香族アミンの例としては、とりわけ、ピリジン、N,N-ジメチルピリジンが挙げられる。
【0069】
本明細書に記載の組成物に使用可能な市販のアミン触媒としては、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル(Momentive Performance Materialsから商品名NIAX A-1で入手可能)、トリエチレンジアミンジプロピレングリコール溶液(Momentive Performance Materialsから商品名NIAX A-33で入手可能)、三級ゲルアミン(Momentive Performance Materialsから商品名NIAX Catalyst EF-600で入手可能)、及び三級アミン(Momentive Performance Materialsから商品名NIAX Catalyst EF-700で入手可能)が挙げられる。他の同様のアミン触媒も当業者に既知であり、本発明の組成物において使用可能である。
【0070】
アミン触媒は、ポリウレタン発泡体の合成中の反応を制御するために、適切な量で組成物中に使用される。一実施形態では、アミン触媒は、パートAの約0.01~約5重量%、好ましくは約0.5~約2.5重量%、より好ましくはパートAの約0.75~約1.25重量%の量で使用される。
【0071】
ゲル触媒は、ゲル化反応を促進して、生成した二酸化炭素をポリマーマトリックス中に捕捉し、独立気泡発泡体保護コーティングをもたらす。一実施形態では、ゲル触媒は、例えば、スズ、ビスマス、又はカリウム系触媒であってもよい有機金属触媒を含む。これらの有機金属触媒の例としては、例えば、ジアルキルスズジアルカノエート、第一スズオクトエート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテートなどのスズ触媒、亜鉛ネオデカノエート、ビスマスネオデカノエート及びネオデカン酸のブレンド、鉄アセチルアセトネート、酢酸カリウム触媒、カリウムオクトエート触媒、第一スズオクトエート触媒、及びビスマス系ゲル化触媒が挙げられるが、これらは例であって限定ではない。市販の有機スズ触媒の一例は、EVONIKから商品名Kosmos16で入手可能である。別の実施形態では、ゲル触媒は、Momentive Performance Materials Inc.から入手可能なNIAX A33又はNIAX EF600などのゲルアミン触媒である。
【0072】
一実施形態では、ゲル触媒は、パートAの約0.01~約5重量%、好ましくは約0.05~約0.5重量%、より好ましくはパートAの約0.1~約0.3重量%の量で使用される。
【0073】
パートA中の触媒の総量(すなわち、全ての「ポリオール側の」組成物)は、膨張性コーティング組成物を塗布する方法に部分的に依存して変化し得る。例えば、スプレーコーティング用途では、存在する触媒の総量は、任意選択であるが好ましくは、全「ポリオール側」組成物の0.2パーセント~0.8パーセントのゲル触媒レベル、及び全「ポリオール側」組成物の0.2パーセント~0.8パーセントのブロー触媒(blow catalyst)レベルを含む、全「ポリオール側」組成物の0パーセント超~1重量%未満の範囲にあってもよい。一方、分注操作については、好ましいゲル触媒レベルは、全「ポリオール側」の0.02パーセント~0.25パーセントであり、好ましいブロー触媒レベルは、全「ポリオール側」組成物の0.02パーセント~0.25パーセントである。
【0074】
上述したように、コーティング組成物のパートBは、イソシアネート官能価が少なくとも2であるイソシアネート官能性材料を含む。一実施形態では、イソシアネート官能性材料は、2超かつ3未満の平均官能価を有するイソシアネートプレポリマーを含む。
【0075】
一実施形態では、イソシアネートプレポリマーは、ジフェニルメタン4,4’ジイソシアネート及び(ad)/又はジフェニルメタン2,2’-ジイソシアネート、及び又はジフェニルメタン2,4’-ジイソシアネート(MDI)と、アジピン酸、2-メチル-1,3-プロパンジオー、及びトリメチロールプロパンに基づくポリエステルポリオールとの間の反応生成物である。
【0076】
一実施形態では、ポリウレタン組成物のプレポリマーを調製するために使用されるポリイソシアネートとしては、少なくとも2つのイソシアネート部分を有する任意の化合物、例えば、1,5-ナフチレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’-MDI)、4,4’-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’-ジベンジルジイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ブタン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、メチル-シクロヘキサンジイソシアネート、m-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,4,6-トリイソプロピルベンゼンジイソシアネート、イソプロピリデンビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)、及びこれらの混合物などのジイソシアネーが挙げられる。好ましいジイソシアネート混合物としては、4,4’-MDIと2,4-MDIとの混合物が挙げられる。
【0077】
プレポリマーを調製するために使用されるポリイソシアネートはまた、例えば、ジイソシアネートを、ポリオール(例えば、ジオール)又はポリアミン(例えば、ジアミン)のようなジイソシアネート反応性化合物と反応させることによって調製されるポリイソシアネートであり得る。プレポリマーを調製するために使用される例示的なポリイソシアネートとしては、MDIのポリマー形態が挙げられる。プレポリマーを調製するために使用されるポリイソシアネートはまた、カルボジイミド変性ジイソシアネート(例えば、カルボジイミド変性MDI)であり得る。
【0078】
上述したように、ポリイソシアネートは、概して、約2~約3、より好ましくは2.1~3、より好ましくは2.1~2.9、より好ましくは2.3~2.8、最も好ましくは2.5~2.7の平均官能価を有する。
【0079】
一実施形態では、イソシアネートプレポリマーは、2.7の平均官能価を有する4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)に基づく溶媒を含まない生成物などのMDI三量体を含み、その市販品は、BASFから商品名Lupranat(登録商標)M20Sで入手可能である。この実施形態において重要なことは、イソシアネートプレポリマーが水及びポリオール構成成分と十分に迅速に反応することである。「十分に迅速に」とは、イソシアネートプレポリマーが水及びポリオール構成成分と10分未満、好ましくは8分未満、好ましくは7分未満、好ましくは6分未満、好ましくは5分未満、好ましくは4分未満、最も好ましくは3分未満で反応して、膨張独立気泡発泡体保護コーティングを生成することを意味する。二酸化炭素発生と重合のバランスは重要であり、相補的でなければならない。重合は、二酸化炭素が生成される際に二酸化炭素を捕捉するために迅速に進行しなければならない。二酸化炭素の発生が重合より速い場合、発泡体は崩壊する。好ましい実施形態では、二酸化炭素の発生が始まると、重合も開始しなければならない。
【0080】
別の実施形態では、配合は、遅延反応のために最適化される。
【0081】
一実施形態では、鎖延長剤はまた、調整特性を提供するために、組成物のパートAに含まれてもよい。鎖延長剤は、典型的には、ジイソシアネートと反応してポリウレタン分子量を構築し、ハードセグメントのブロック長を増加させる低分子量ジオール又はジアミンである。好適な低分子鎖延長剤の例としては、脂肪族、芳香脂肪族、芳香族及び/又は脂環式化合物、より好ましくは二官能性化合物、例えば、1,2-エチレンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,3-プロパンジオールなどの、アルキレンラジカル中に2~10個の炭素原子を有するジアミン及び/又はアルカンなど、及び/又はアルキレン部分に2~8個の炭素原子数を有するジアルキレン-、トリアルキレン-、テトラアルキレン-、ペンタアルキレン-、ヘキサアルキレン-、ヘプタアルキレン-、オクタアルキレン-、非アルキレン、及びデカアルキレン-グリコール、対応するオリゴプロピレングリコール及び/又はプロピレングリコールが挙げられる。好適な鎖延長剤の他の例としては、とりわけ、1,4-ブタンジアミン、エチレンジアミン、ジアミノプロパン、シクロヘキサンジフェニルアラニンが挙げられるが、これらに限定されない。前述のもののうちの2つ以上の組み合わせを使用することができる。パートA中の鎖延長剤の濃度は、使用される場合、約2~約20重量%、より好ましくは約5~15重量%の範囲内であってよい。
【0082】
一実施形態では、保護コーティング組成物は難燃剤を含む。使用される場合、難燃剤は、例えば、水酸化アルミニウム三水和物(aluminum hydroxide trihydrate、ATH)、リン含有ポリオール、又はマイクロカプセル化ポリリン酸アンモニウムを含んでもよい。代替的に又は加えて、難燃剤は、室温で固体である構成成分を含んでもよい。室温で固体である好適な難燃性材料は、50~500マイクロメートル、より好ましくは100~400マイクロメートル、より好ましくは90~350マイクロメートルの典型的な平均粒径を有する。一実施形態では、固体難燃剤構成成分は、膨張性片状黒鉛から作製され、その市販品は、商品名GrafGuard(NEOGRAF Solutions(Ohio,USA)製)で入手可能である。一実施形態では、難燃剤は、ATH及び膨張性片状黒鉛を含む。
【0083】
固体難燃剤構成成分は、反応性構成成分のうちの少なくとも一方(すなわち、パートA又はパートBのいずれか)中に存在してもよい。一実施形態では、固体難燃剤構成成分は、構成成分の総重量に基づいて0パーセント超~70パーセント未満の重量パーセントで反応性構成成分のうちの少なくとも一方に存在する。いくつかの実施形態では、難燃剤構成成分は、第1の構成成分(パートA)及び第2の構成成分(パートB)の両方に存在してもよい。更に、固体難燃剤構成成分は、硬化組成物の総重量に基づいて、5パーセント~50パーセント、より好ましくは約10パーセント~約40パーセント、又は約20パーセント~約35パーセント、又は約25パーセント~約30パーセントの重量パーセントで硬化保護コーティング組成物中に存在してもよい。
【0084】
2液型コーティング組成物がスプレー塗布のために配合される一実施形態では、固体難燃剤は、80~100マイクロメートルの範囲、より好ましくは約85~約95マイクロメートルの範囲の粒径を有する。2液型コーティング組成物が分注用途のために配合される一実施形態では、固体難燃剤は、約60~約180マイクロメートル、好ましくは約70~160マイクロメートル、更には約90~約150マイクロメートルの範囲の粒径を有する。難燃剤は、約10~約30重量%、より好ましくは約15~約20重量%の範囲の濃度で組成物のパートAに添加されてもよい。
【0085】
本明細書に記載の膨張性組成物において膨張性黒鉛を使用する利点は、配合物がハロゲン化材料を含有しないことである。加えて、難燃剤としての膨張性黒鉛の使用はまた、加水分解を受けやすく、高温/高湿環境において許容できない電気的性能を与えることが知られているリン系ポリオールとは異なり、電気的性質に悪影響を与えない。加えて、膨張性黒鉛を含有する組成物はまた、低負荷でUL94 V-0要件を満たす。一実施形態では、膨張性黒鉛は、5~30重量%、より好ましくは10~20重量%の範囲の濃度で組成物中に存在し、これは、0.2g/cm3の発泡体密度でUV94 V-0試験に合格するのに十分な濃度である。したがって、膨張性黒鉛などの難燃剤を含有する組成物は、発泡体の密度に著しい影響を及ぼすことなく、又は発泡体の電気絶縁特性に悪影響を及ぼすことなく、UL94 V-0試験に合格することができた。また、低密度発泡体は、難燃剤としてATHを使用する組成物と比較して、依然として達成可能である。いくつかのグレードはまた、望ましいチキソトロピックレオロジーを付与する。
【0086】
本発明の保護コーティング組成物はまた、任意選択であるが好ましくは、タルク、炭酸カルシウム、シリカ、珪灰石、水酸化アルミニウム、カオリンなどの粘土、硫酸カルシウム繊維、マイカ、ガラスビーズ、並びにナノグラフェン、ナノファイバー及びナノ粒子などのナノ材料などの不活性無機充填剤又は増量剤を含んでもよい。他の不活性無機充填剤も、当業者に既知である。
【0087】
保護コーティング組成物はまた、任意選択であるが好ましくは、コーティング材料に特定の色を与えるために、染料又は顔料などの着色剤を含んでもよい。これらの着色剤は、保護コーティング組成物の化学的性質と着色剤の化学的性質との間のいかなる化学的不適合性も回避するように選択され、得られる膨張した独立気泡保護コーティングに所望の色を提供する量で使用される。
【0088】
保護コーティング組成物はまた、任意選択であるが好ましくは、抗酸化物質又はUV安定化物質を含み得る。これらの物質の例としては、アミン系及びフェノール系酸化防止剤が挙げられるが、これらに限定されず、市販品は、商品名Irganox(登録商標)1035、Irganox(登録商標)L135、及びIrganox(登録商標)PS800FLでBASFから入手可能である。
【0089】
一実施形態では、保護コーティング組成物は、非反応性希釈剤を含む。好適な非反応性希釈剤の一例はポリアルファオレフィン(polyalphaolefin、PAO)であり、これはα-オレフィンのオリゴマーであってよい。PAOは、概して、パラフィン構造及び高度の側鎖分岐を有する高純度炭化水素であり、分岐は不規則分岐又は規則的分岐を含み得る。PAOは、分岐及び/又は直鎖アルファオレフィンのオリゴマー又は低分子量ポリマーを含んでもよい。好適なオレフィンとしては、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン、1-ペンタデセン、1-ヘキサデセン、及びこれらのブレンドが挙げられるが、これらに限定されない。有用なPAOとしては、Chevron Phillips Chemical Companyから入手可能な特定のグレードのSynfluid(登録商標)、例えば、Synfluid(登録商標)PAO 8などが挙げられる。
【0090】
一実施形態では、本明細書に記載の組成物によってコーティングされる基板は、ベース支持体と、取り付けられたベース支持体の表面から外向きに延び、かつ電気回路に電気的に接続された複数の電気回路部品と、を備える電気回路アセンブリである。基板は、本明細書で定義され詳細に記載されるコーティング組成物の薄層でコーティングされ、コーティング組成物は膨張して独立気泡発泡体コーティングを形成する。
【0091】
一実施形態では、ベース支持体は、相互接続回路導体を画定するために高導電性材料の導体パターンが取り付けられる支持ベース又は基板を含むプリント回路ボードアセンブリを備える。抵抗器、トランジスタなどの様々な電気部品がボードに取り付けられ、導体に接続される。部品はまた、電気はんだ接続部を有するボード開口部を通過し得る端子を有してもよい。はんだ付けされた接続部並びに端子は、ボード及び部品の外側に延びる鋭い突起又は凹凸を画定する。
【0092】
本発明のコーティング組成物は、パートAの成分の全てを一緒に混合し、次いでパートAをパートBと混合することによって調製され得る。当業者が理解するように、パートA及びパートBは、このようなポリマー樹脂系を形成するために許容される任意の方法で組み合わせられ得るか又は混合され得る。このような方法としては、手動混合、静的混合、動的混合、又は衝突混合が挙げられるが、これらに限定されない。多液型系の個々のパートは、任意の順序で添加されることができる(例えば、パートAをパートBと混合することができ、又はその逆も可能である)ことに更に留意されたい。
【0093】
一実施形態では、コーティング組成物を基板の表面と接触させるときに、又はその直前に、パートAをパートBと混合することが好ましい。換言すれば、パートAがパートBと混合されたら、コーティング組成物は、120秒未満、好ましくは90秒未満、より好ましくは60秒未満、より好ましくは45秒未満、より好ましくは30秒未満、最も好ましくは20秒未満以内に、コーティングされる表面に塗布されるか、さもなければ接触させられるべきである。一実施形態では、パートA及びパートBは、静的ミキサーを使用して混合され、基板の表面に塗布される。別の実施形態では、パートA及びパートBを一緒に噴霧して、所望の混合をもたらす。
【0094】
加えて、本明細書に記載されるように、コーティング組成物は、特定のコーティング方法に対するその適合性を高めるように最適化されてもよい。例えば、一実施形態では、コーティング組成物は、スプレーコーティングのために最適化され得る。別の実施形態では、コーティング組成物は、分注によって基板をコーティングするために最適化され得る。下の表は、実施例において更に実証されるように、適切なパートBと混合することができる、本発明の2液型組成物にとって好適なパートA配合物の例を提供する。
【0095】
スプレーコーティングのために最適化されている2液型組成物の例示的なパートA配合物としては、次のものが挙げられる。
【0096】
【0097】
分注のために最適化されている2液型組成物の例示的なパートA配合物としては、次のものが挙げられる。
【0098】
【表2】
1Capa製品はIngevityから入手可能である
2NIAX製品は、Momentive Performance Materials Inc.から入手可能である
【0099】
スプレーコーティングのために最適化された配合物とは異なり、分注のために最適化された組成物において、密度(量×膨張)は、触媒ではなく発泡剤の濃度によって影響を受けるようであることが観察された。
【0100】
塗布されるコーティング組成物の厚さは、体積膨張が所望のレベル内にあるように制御される。コーティングは、概して、二酸化炭素の生成に起因してZ方向に優先的に膨張する。すなわち、一実施形態では、Z方向(すなわち、基板の表面から垂直方向)の体積膨張は、25倍未満、好ましくは8倍~20倍、より好ましくは約10倍~約15倍に制御される。例えば、一実施形態では、コーティングは約300マイクロメートルの厚さで塗布され、これは10倍の体積膨張をもたらす。一方、より厚いコーティングは、25倍以上の体積膨張をもたらす可能性があり、これはあまり望ましくない結果をもたらす可能性がある。それに基づいて、コーティングは、所望の厚さの膨張独立気泡発泡体保護コーティングを生成することになる厚さで液体として塗布される。
【0101】
一実施形態では、コーティング組成物は、発泡したコーティングが不粘着性になるまで、室温で10分未満、好ましくは5分未満、より好ましくは4分未満の時間で発泡反応が起こるように最適化される。一実施形態では、発泡反応は、塗布の5~30秒以内に始まる。
【0102】
別の実施形態では、組成物は、発泡の開始を遅延させ、塗布プロセスを容易にするように配合される。例えば、一実施形態では、発泡触媒は、水溶性シェル内にマイクロカプセル化され、パートBに組み込まれてもよい。水溶性シェルは、発泡触媒を溶解及び放出するのに5~10分かかり(気泡壁の厚さ及び溶解度によって制御され得る)、その結果発泡及び重合の開始をもたらすことができる。別の実施形態では、組成物は、触媒を変えることによって、及び触媒及び/又は他の成分の濃度を変化させることによって最適化することによって発泡の開始を遅延させて、発泡の開始速度を制御し、そうすることで開始を遅延させるように配合されてもよい。
【0103】
一実施形態では、本明細書に記載される組成物を使用する遅延した泡発生は、部品の周りでより良好に流れるのを可能にするために低粘度及びより遅いゲルを使用することによって達成される。
【0104】
図10に示すように、固体エポキシ化合物と比較して、保護トップcat層で上塗りされた膨張した発泡体コーティング組成物を使用することによって、85%を超える重量削減が達成される。加えて、薄いトップコートが寄与する重量は無視できることが分かる。更に、膨張した発泡体コーティング層は5分未満で不粘着性であり、約2分後又は約2.5分後又は約3分後に上塗りすることができるので、膨張発泡体層の塗布は製造時間を遅くしない。
【0105】
図11は、発泡体組成物で充填され、次いで薄く(すなわち、500マイクロメートル又は1mmの保護コーティング)上塗りされたキャビティと比較した、本発明に記載の発泡体組成物で充填されたキャビティを含む電子部品を示す。3つ全ての材料を-40℃から+85℃で1000サイクルの熱衝撃試験に供したところ、全ての材料は、亀裂も接着力の損失もなく熱衝撃試験に合格した。
【0106】
図12は、上塗りによって達成された水吸収の改善を示すグラフを示す。
図12に示すように、コーティングなしの膨張発泡体のコーティングは、約6.5%の飽和レベルに達するようであった。対照的に、上塗り層を有する膨張発泡体のコーティングは、改善された飽和レベルを示し、膨張発泡体層上に1mmのトップコートが存在することで、固体エポキシポッティング化合物(すなわち、ER2188)と同じレベルの水吸収がもたらされた。
【0107】
更に、
図13は、50℃で1週間の浸漬下での電気絶縁(50V)を示す。
図13に見られるように、水吸収は、膨張した発泡体において悪い表面絶縁抵抗(surface insulation resistance、SIR)をもたらさない。加えて、0.5mmのトップコート層と組み合わせた膨張発泡体は、例示的なSIR及び低い水吸収を提供することが明らかとなった。
【0108】
一実施形態では、コーティング組成物は、複雑な回路ボード設計への適用を容易にするように最適化される。しかしながら、クリーム時間/立上り時間/不粘着時間と体積高さ膨張との間にはトレードオフが存在する。
【0109】
一実施形態では、膨張性コーティング組成物は、潜在発泡のために配合される。この場合、コーティング組成物は、UV光、マイクロ波、熱、又は他の外部開始源などの外力によって発泡が開始されるまで、未膨張状態のままであるように配合される。上述のように、一実施形態では、膨張性コーティング組成物は、発泡の開始を遅延させるために配合されてもよく、発泡までの時間は、少なくとも約3分、又は少なくとも約5分、又は少なくとも約8分であるように最適化されてもよい。
【0110】
一実施形態では、コーティング組成物は、完全に閉鎖された表面を有する審美的に美しい筐体を作り出すように拘束されてもよい。例えば、発泡体は、発泡体の膨張空間を制限するように、ボードを筐体内に配置することによって拘束されてもよい。すなわち、いくつかの実施形態では、発泡体表面の性質を調整するために発泡中に発泡体を拘束することに利点がある。一実施形態では、本明細書に記載されるコーティングは、例えば、電子基板がその筐体内に配置される場合、拘束され得る。この場合、発泡性コーティングは、筐体の限られた範囲内でのみ膨張することができる。その他の点では、コーティングは、発泡反応が完了するまで自然に自由に膨張する。一実施形態では、コーティングは、生成される二酸化炭素に起因して、Z方向に優先的に膨張し得る。
【0111】
本明細書に記載される保護発泡体コーティングは、好ましくは、85C/85%RHで少なくとも100MOhmの絶縁抵抗(高温及び高湿度の組み合わせでの絶縁)を提供する。加えて、保護発泡体コーティングはまた、-40~+130℃の少なくとも1000回の熱衝撃サイクルに耐えるように配合される。
【0112】
保護発泡体コーティングの体積抵抗率及び表面抵抗率は、好ましくは、少なくとも約1011オーム-cm(体積)又はオーム/平方(表面)である。この値がこのレベル未満である場合、生成物は十分な保護性能を示さない。
【0113】
保護独立気泡発泡体コーティングの水吸収は、可能な限り低いことが好ましい。一実施形態では、水吸収は、典型的な樹脂系と同等に機能する値を有し、14日間の浸漬後に1%w/w未満の水吸収を示す。
【0114】
保護独立気泡発泡体コーティングは、好ましくは、少なくとも10%、好ましくは10~100%、より好ましくは20~80%、最も好ましくは約40~60%の範囲の破断点伸び(%)を示す。
【0115】
一実施形態では、トップコートを発泡したコーティングに塗布することができ、このトップコートは、本質的に審美的又は機能的であり得、発泡したコーティングの特性を改変することができる。例えば、耐摩耗性及び耐薬品性を提供するために、硬質で耐薬品性のコーティングを発泡したコーティングの上に塗布することができる。代替的に、導電性コーティングを塗布して、RF遮蔽機能を提供することができる。この場合、発泡体は、回路ボード又は他の電子基板の構成部品の短絡を防止するための電気絶縁層として機能する。更に別の実施形態では、発泡したコーティングを封入樹脂の薄層で上塗りすることができる。すなわち、発泡したコーティングが電子基板の表面上に形成されたら、封止樹脂の薄層を塗布することができる。封止樹脂の薄層は、0mm超かつ5mm未満、好ましくは4mm未満、より好ましくは3mm未満、より好ましくは2mm未満、より好ましくは1mm未満、より好ましくは0.5mm未満の厚さを有し得る。
【0116】
図7は、本発明の保護コーティングで部分的にコーティングされた電子アセンブリの図を示す。本発明のコーティングはまた、
図8に示されるように、膨張した保護コーティング上に塗布されるトップコートを含んでもよい。
【0117】
このトップコート材料は、耐摩耗性、耐溶剤性、及び/又は導電性を改善して、RF遮蔽のためのファラデーケージとして作用するように添加されてもよい。改善された導電性を提供するトップコートと組み合わせて本明細書に記載される保護コーティングを使用することにより、電子機器の筐体に取って代わるか、又は筐体を大幅に強化することができると考えられる。
【0118】
一実施形態では、トップコートは、耐摩耗性及び耐薬品性を提供することができる硬質の耐薬品性コーティングを含む。別の実施形態では、トップコートは、RF遮蔽機能を提供することができる導電性コーティングを含み、発泡体は、電子基板(例えば、PCB)の短絡又は挙動の変化を防止するための電気絶縁層として機能する。
【0119】
一実施形態では、トップコートは、改善された耐水性も提供することができる疎水性配合物を含む。これらの機能の多くは、通常は、かなりの重量を加える金属又はポリマー筐体によって処理される。トップコート層と組み合わせた保護コーティングの使用は、金属又はポリマー筐体と同じ又は同様のレベルの保護を提供することができると同時に、総重量を実質的に減少させる。
【0120】
封入樹脂の非常に薄い層と組み合わせて発泡コーティングを使用する能力は、封入樹脂のみでコーティングされた電子基板と比較して、少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%の重量削減を提供する。
【0121】
本発明の発明者らは、本明細書に記載の膨張した保護コーティングが、同じ体積のポッティング材料又は封入樹脂と比較して、約90%超、又は92%超、更には94%超の重量削減を提供することを見出した。加えて、膨張した保護コーティングは、コンフォーマルコーティングと比較して、約10%、又は12%、更には14%を上回って重量が削減され、また、より完全な被覆を提供する。すなわち、本発明の膨張した保護コーティングは、発泡中の材料の垂直膨張により、電子基板の垂直特徴部を含む特徴の完全な被覆及び/又は封入を提供する。
【0122】
本発明は、塗布速度の問題を効果的に解決し、電子基板上に含まれる特徴部の全ての十分な被覆を提供し、かつ、典型的な過酷な環境に対する保護を提供することができるコーティング層を提供する。
【0123】
本発明は、これより、以下の非限定的な実施例に関して論じられる。
【実施例】
【0124】
以下に記載するように、膨張した保護コーティングを以下の試験に供した。
【0125】
凝縮試験を、National Physical Laboratory(UK)によって開発された手順によって、回路信頼性を予測するための表面絶縁抵抗(SIR)測定を使用して実施した。
【0126】
水蒸気透過性試験を、ASTM D1653に従って、湿式カップ法(すなわち、Payne Cup)を使用して実施した。
【0127】
短期間にわたる急激で極端な温度変化(すなわち、-40℃→130℃)による破損に対する耐性を測定するために、熱衝撃を評価した。
【0128】
重量浸水試験(gravimetric water immersion test)を、ASTM C272の修正版によって実施し、ソルダレジストコーティングされたエポキシラミネート上の発泡体を試験して、回路ボード構造をシミュレーションした。
【0129】
膨張した保護コーティングの体積抵抗率及び表面抵抗率を、ASTM D-257に従って実施した。
【0130】
難燃性を、装置及び器具部品用のプラスチック材料燃焼性試験の規格(Standard for Tests for Flammability of Plastic Materials for Parts in Devices及びAppliances)であるUL94垂直燃焼試験方法によって評価した。この規格内で、材料は、可燃性条件におけるそれらの性能を確かめるために様々な燃焼試験に供される。UL94 V燃焼性方法は、垂直燃焼試験における燃焼試験片の反復火炎適用及び滴下後の燃焼時間及び残光時間の両方を評価する。
【0131】
UL94 V-0規格を達成するために、サンプルは、次の1)~5)の基準を満たさなければならない。
1)制御された火炎を適用した後、10秒を超えて燃焼(burning combustion)が持続しない。
2)5つのサンプルの総火炎燃焼時間が50秒を超えない。
3)いずれのサンプルも、火炎燃焼又は赤熱燃焼のいずれによっても取り付けクランプまで燃焼しない。
4)いずれのサンプルも、それらの下の脱脂綿の発火をもたらす燃焼粒子を滴下しない。
5)サンプルは、第2の制御された火炎を取り除いた後、30秒を超えて赤熱燃焼を示さない。
【0132】
引張特性は、ASTM-D-638に従って評価した。
【0133】
実施例1:
組成物を以下のように調製した。
【0134】
【0135】
パートAの成分を一緒に完全に混合し、次にパートAとパートBとを1.44:1(w/w)の比で混合した後、いくつかの垂直特徴部を含む電子基板の表面上に300マイクロメートルの厚さで組成物をコーティングした。コーティングは、
図3に示されるように、4分以内に3mmの高さまで10倍膨張して、垂直特徴部を完全に被覆/封入した。
【0136】
実施例1からの材料を、同じ混合比(1.44:1w/w)でIPC B-24試験クーポン(浸漬スズ及び裸銅仕上げ)に塗布し、室温で24時間発泡、硬変、及び硬化させ、その後、湿度室内に配置して、85℃/85%RHまで上昇させ、その間、SIRを50Vバイアスで20分ごとに測定した。注目すべきことに、この発泡体の絶縁抵抗は、1000時間の試験を通して、100MΩ(8logΩ)の一般的な業界許容基準を上回ったままである。試験の終わりに、コーティングは依然として良好に付着しており、戻り又は層間剥離の徴候はなく、材料が高湿度条件において優れた保護を提供する可能性が高いことを示す。結果を
図4に示す。
【0137】
実施例2:
組成物を以下のように調製した。
【0138】
【0139】
パートAの成分を一緒に完全に混合し、次いで、パートAとパートBとを1.04:1(w/w)の比で混合した後、組成物を自動車の試験用ボード上にコーティングし、これを300μmの液体コーティング組成物でコーティングし、3mmの硬化し膨張した保護コーティングまで膨張させた。
【0140】
次いで、コーティングされたアセンブリを上記のように1000回の熱衝撃サイクルに供したところ、
図5に示されるように亀裂の証拠は示されなかった。いくつかの変色の徴候があったが、亀裂の徴候はなかった。顕著な脆化もなく、膨張した保護コーティングは柔軟でスポンジ状のままであった。
【0141】
所望であれば、変色を相殺するために、上述のように着色剤を組成物に添加することができることにも留意されたい。
【0142】
実施例3:
組成物を以下のように調製した。
【0143】
【0144】
パートAの成分を完全に混合した。パートAをパートBと1.6:1(w/w)の比で混合し、予め秤量した(4dp)IPC B24試験用ボード上にコーティングした。24時間後、コーティングされたボードを小数点第4位まで秤量した後、DI水中に14日間置いた。14日後、コーティングされたアセンブリを取り出し、過剰な水を除去し、「乾燥」アセンブリを直ちに再秤量して、以下に示すようにコーティングの水吸収%を決定した。
【0145】
【0146】
水吸収の百分率は以下のように計算することができる。100×0.0372/4.0338=0.92%
【0147】
実施例4:
組成物を以下のように調製した。
【0148】
【0149】
パートAの成分を完全に混合し、次いで、パートAとパートBとを1.32:1(w/w)の比で混合し、約0.5mLを、UL94 V-0垂直燃焼試験に供される3mm厚のサンプルを製造するために使用される型(13mm×127mm×3mm)の中に分注した。1時間後にサンプルを型から取り出し、次いで燃焼試験を行う前に一晩放置した。火炎サンプルを、実施例2の類似の非難燃性コーティングから同じ方法で調製した。結果を以下に示す。
【0150】
【0151】
実施例2の非難燃性配合物は完全に燃焼し、UV94V不合格となったが、実施例4の難燃性配合物はUL94 V-0基準を満たした。
【0152】
実施例5:
組成物を以下のように調製した。
パートA:
【0153】
【表9】
1Capa製品はIngevityから入手可能である
2NIAX製品は、Momentive Performance Materials Incから入手可能である
【0154】
パートBは、2.6~2.7の平均官能価を有するポリマーMDIであるOngronat 2100(BorsodChemから入手可能)と、ジフェニルメタンジイソシアネートに基づく無溶媒芳香族ポリイソシアネートプレポリマーであるDesmodur E23との50:50ブレンドであった。
【0155】
パートAの成分を完全に混合し、次いで、パートA及びパートBを1.32:1(w/w)の比で混合した。約0.5mLを、UL94 V-0垂直燃焼試験に供される10mm厚のサンプルを製造するために使用される型に分注した。上述したように、20%の膨張性黒鉛を2液型組成物のポリオール側に混合し、10.5重量%の膨張性黒鉛を含む膨張した保護コーティングを得た。
【0156】
1時間後にサンプルを型から取り出し、次いで燃焼試験を行う前に一晩放置した。火炎サンプルを、実施例2の類似の非難燃性コーティングから同じ方法で調製した。結果を以下に示す。
【0157】
【0158】
この表から分かるように、この実施例による全てのサンプルは、UV94 V-0垂直燃焼試験に合格する。
【0159】
実施例6:
組成物を以下のように調製した。
パートA:
【0160】
【表11】
1Capa製品はIngevityから入手可能である
2NIAX製品は、Momentive Performance Materials Inc.から入手可能である
【0161】
パートBは実施例5と同じであった。パートAの成分を完全に混合し、次いで、パートAとパートBとを1.32:1(w/w)の比で混合した。約0.5mLを、UL94V-0垂直燃焼試験に供される15mm厚のサンプルを製造するために使用される型に分注した。上述したように、40%の膨張性黒鉛を2液型組成物のポリオール側に混合し、23重量%の膨張性黒鉛を含む膨張した保護コーティングを得た。
【0162】
1時間後にサンプルを型から取り出し、次いで燃焼試験を行う前に一晩放置した。火炎サンプルを、実施例2の類似の非難燃性コーティングから同じ方法で調製した。結果を以下に示す。
【0163】
【0164】
比較例1:
組成物を以下のように調製した。
【0165】
【0166】
パートAの成分を完全に混合し、次いでパートAとパートBとを1.90:1(w/w)の比で組み合わせ、IPC-B24試験クーポン(浸漬スズ及び裸銅仕上げの両方)上に分注し、24時間発泡、硬変、及び硬化させた後、湿度室内に配置して、85℃/85%RHまで上昇させ、その間、SIRを50Vバイアスで20分ごとに約1000時間測定した。記録された絶縁抵抗値を以下に示す。注目すべきことに、絶縁抵抗は、100MΩ(8logΩ)の工業的に許容される値未満に急速に低下し、下降傾向を続け、このことは、材料が不十分な防湿バリア及び保護コーティングであることを示唆している。チャンバから取り出すと、比較例発泡体#1は、85℃/85%RHでの1000時間の曝露後に本質的に変化しなかった発泡体実施例#1と比較して、体積、層間剥離の面積、及び表面が粘着性であるという点で戻りの兆候の著しい減少を示した。結果を
図6に示す。
【0167】
図9は、85℃/85%RHで1000時間後の、実施例1の組成物でコーティングされた電子アセンブリと比較例1の組成物でコーティングされた電子アセンブリとの比較を示す。
図9に見られるように、実施例1の組成物は、電子アセンブリの良好な保護を提供するコーティング(coated)を提供し、一方、比較例1の組成物に従って生成されたコーティングは、劣化し、不十分な防湿バリア及び保護コーティングを提供した。
【0168】
本開示は、例示的な実装を参照して説明しているが、本開示は、そのような例示的な実装によって限定されないか、又はそのような例示的な実装に限定されない。むしろ、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、様々な修正、改良、及び/又は代替の実装が採用され得る。
【0169】
加えて、本発明は、電子基板上に膨張した保護コーティングを提供するものとして説明されてきたが、軽量かつ強力であり、電気絶縁性、断熱性、及び/又はバリア特性を提供する膨張したコーティングが有益である他の用途が存在し、したがって、電子基板は、単独で、又は膨張したコーティング層上の好適なトップコートと組み合わせて、本明細書に記載される保護コーティングの1つの例示的な用途にすぎないと考えられる。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品をコーティングするための2液型コーティング組成物であって、前記2液型コーティング組成物が、
a)パートAであって、
a.二官能性ポリオール、三官能性ポリオール、及び四官能性ポリオールのうちの少なくとも1つを含むポリオール構成成分、
b.発泡触媒、
c.任意選択で、ゲル触媒、
d.任意選択で、少なくとも1種の難燃剤、並びに
e.水、を含む、パートAと、
b)パートBであって、
a.2超かつ3未満の官能価を有するイソシアネートプレポリマー、及び
b.任意選択で、少なくとも1種の難燃剤、を含む、パートBと、を含み、
前記難燃剤がパートA及びパートBのうちの少なくとも一方に存在しなければならない、2液型コーティング組成物。
【請求項2】
前記二官能性ポリオールが、存在し、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリカプロラクトン、ポリブタジエン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリファルネセン、エチレングリコールジメレート、及び前述のもののうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の2液型コーティング組成物。
【請求項3】
前記二官能性ポリオールが、ポリブタジエン、ポリファルネセン、及びエチレングリコールジメレートからなる群から選択される疎水性ポリオールを含む、請求項2に記載の2液型コーティング組成物。
【請求項4】
前記三官能性ポリオールが、存在し、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリカプロラクトン、ポリブタジエン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリファルネセン、エチレングリコールジメレート、ヒマシ油、及び前述のもののうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の2液型コーティング組成物。
【請求項5】
前記ポリオール構成成分が、30~70重量%の前記二官能性ポリオール、好ましくは45~55重量%の前記二官能性ポリオールを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の2液型コーティング組成物。
【請求項6】
前記ポリオール構成成分が、30~70重量%の前記二官能性ポリオールを含み、好ましくは、前記ポリオール構成成分が、45~55重量%の前記三官能性ポリオールを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の2液型コーティング組成物。
【請求項7】
前記ポリオール構成成分が、30~70重量%の前記四官能性ポリオールを含み、好ましくは、前記ポリオール構成成分が、45~55重量%の前記四官能性ポリオールを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の2液型コーティング組成物。
【請求項8】
パートAの含水量が、0.05~10重量%、より好ましくは3~7重量%、最も好ましくは4.5~5.5重量%の範囲にある、請求項1に記載の2液型コーティング組成物。
【請求項9】
前記発泡触媒が、脂肪族アミン、脂環族アミン、芳香族アミン、アルコールアミン又はそれらのアンモニウム化合物のうちの1つ、トリエチレンジアミン、N,N,N,N-テトラメチルアルキレンジアミン、N,N,N,N-ペンタメチルジエチレントリアミン、トリエチルアミン、N,N-ジメチルベンジルアミン、N,N-ジメチルヘキサデシルアミン、N,N-ジメチルブチルアミン、N-エチルモルホリン、N-メチルモルホリン、N,N-ジエチルピペラジン、N-ジエチル-2-メチルピペラジン、N,N-ビス-(α-ヒドロキシプロピル)-2-メチルピペラジン、N-ヒドロキシプロピルジメチルモルホリン、ピリジン、N,N-ジメチルピリジン、及び前述のもののうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択されるアミン触媒である、請求項1~4のいずれか一項に記載の2液型コーティング組成物。
【請求項10】
前記ゲル触媒が、有機金属触媒又はアミン触媒である、請求項1~4のいずれか一項に記載の2液型コーティング組成物。
【請求項11】
前記有機金属触媒が、ジアルキルスズジアルカノエート、第一スズオクトエート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、亜鉛ネオデカノエート、ビスマスネオデカノエート及びネオデカン酸のブレンド、鉄アセチルアセトネート、酢酸カリウム触媒、カリウムオクトエート触媒、第一スズオクトエート触媒、ビスマス系ゲル化触媒、並びに前述のものの組み合わせからなる群から選択される、請求項10に記載の2液型コーティング組成物。
【請求項12】
パートAが、脂肪族、芳香脂肪族、芳香族及び/又は脂環式ジオール及びジアミン化合物からなる群から選択される、より好ましくはアルキレンラジカル中に2~10個の炭素原子を有するジアミン及び/又はアルカンジオールから選択される二官能性化合物、より好ましくは1,2-エチレンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,3-プロパンジオール、及び/又はアルキレン部分に2~8個の炭素原子数を有するジアルキレン-、トリアルキレン-、テトラアルキレン-、ペンタアルキレン-、ヘキサアルキレン-、ヘプタアルキレン-、オクタアルキレン-、非アルキレン、及びデカアルキレン-グリコール、対応するオリゴプロピレングリコール及び/又はプロピレングリコールからなる群から選択される鎖延長剤を更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の2液型コーティング組成物。
【請求項13】
パートAが、タルク、炭酸カルシウム、シリカ、珪灰石、水酸化アルミニウム、カオリン、粘土、硫酸カルシウム繊維、マイカ、ガラスビーズ、並びにナノグラフェン、ナノファイバー、及びナノ粒子からなる群から選択されるナノ材料からなる群から選択される不活性無機充填剤又は増量剤を更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の2液型コーティング組成物。
【請求項14】
前記難燃剤が、水酸化アルミニウム三水和物、リン含有ポリオール、マイクロカプセル化ポリリン酸アンモニウム、固体難燃剤、及び前述のものの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の2液型コーティング組成物。
【請求項15】
前記難燃剤が室温で固体であり、前記固体難燃剤が、50~500マイクロメートル、好ましくは100~400マイクロメートル、より好ましくは90~350マイクロメートルの典型的な平均粒径を有する、請求項14に記載の2液型コーティング組成物。
【請求項16】
前記難燃剤が固体難燃剤であり、膨張性黒鉛又は水酸化アルミニウム三水和物と膨張性黒鉛との組み合わせを含む、請求項14に記載の2液型コーティング組成物。
【請求項17】
電子基板の1つ以上の表面に保護コーティングを塗布する方法であって、前記方法は、
a)2液型コーティング組成物を混合する工程であって、2液型コーティング組成物は、
i.パートAであって、
a.二官能性ポリオール、三官能性ポリオール、及び四官能性ポリオールのうちの少なくとも1つを含むポリオール構成成分、
b.発泡触媒、
c.任意選択で、ゲル触媒、
d.任意選択で、少なくとも1種の難燃剤、並びに
e.水、を含む、パートAと、
ii.パートBであって、
a.2超かつ3未満の官能価を有するイソシアネートプレポリマー、及び
b.任意選択で、少なくとも1種の難燃剤、を含む、パートBと、を含み、
液体コーティング組成物を調製するために、前記少なくとも1種の難燃剤が、パートA及びパートBのうちの少なくとも一方に存在しなければならない、工程と、
b)前記液体コーティング組成物を前記電子基板に塗布し、前記液体コーティング組成物を膨張させて独立気泡発泡体コーティングにする工程と、を含む、方法。
【請求項18】
前記液体コーティング組成物が、前記液体コーティング組成物の塗布された厚さの25倍未満の倍率で、前記電子基板の前記表面から垂直方向に体積を膨張させて、膨張した独立気泡発泡体コーティングを形成する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記液体コーティング組成物が、前記液体コーティング組成物の塗布された厚さの8倍~20倍の倍率で、前記基板の前記表面から垂直方向に体積を膨張させて、前記膨張した独立気泡発泡体コーティングを形成する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
発泡反応が10分未満で起こって、不粘着性コーティングを生成する、請求項17~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記発泡反応が5分未満で起こって、不粘着性コーティングを生成する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記液体コーティング組成物が、噴霧又は分注によって塗布される、請求項17~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記電子基板が、凹凸及び突起のうちの少なくとも1つを含み、膨張したコーティング組成物が、前記凹凸及び突起のうちの少なくとも1つを包み込む、請求項17~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記膨張した独立気泡発泡体コーティングの上にトップコート層を塗布する工程を更に含み、前記トップコート層が、耐薬品性コーティング、疎水性コーティング、マイクロカプセル化樹脂、及び前述のものの組み合わせからなる群から選択される、請求項17~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記トップコート層が、0mm超かつ5mm未満の厚さを有する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記膨張した独立気泡発泡体コーティングが、難燃性であり、UL94 V-0垂直燃焼試験に合格することができる、請求項17~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記液体コーティング組成物が、独立気泡発泡体コーティングの膨張空間を制限するように少なくとも1つの方向に拘束されている、請求項17~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記液体コーティング組成物が、前記発泡触媒をマイクロカプセル化することによって、又は発泡の開始速度を制御することによって、発泡の開始を遅らせるように配合されている、請求項17~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
プリント回路ボードを備える電子基板アセンブリであって、前記プリント回路ボードが、ベース支持体と、取り付けられた前記ベース支持体の表面から外向きに延び、かつ電気回路に電気的に接続された複数の電気回路部品と、を含み、独立気泡発泡体保護コーティングが、前記複数の電気回路部品を含む前記電子基板アセンブリの表面の少なくとも一部に塗布されており、前記独立気泡発泡体保護コーティングが、請求項17~19のいずれか一項に記載の方法によって塗布されている、電子基板アセンブリ。
【請求項30】
前記独立気泡発泡体保護コーティングが、UL94 V-0垂直燃焼試験に合格することができる、請求項29に記載の電子基板アセンブリ。
【請求項31】
前記独立気泡保護コーティングの上にトップコート層を更に含み、前記トップコート層が、耐薬品性コーティング、疎水性コーティング、マイクロカプセル化樹脂、及び前述のものの組み合わせからなる群から選択される、請求項29に記載の電子基板アセンブリ。
【請求項32】
前記トップコート層が、0mm超かつ5mm未満の厚さを有する、請求項31に記載の電子基板アセンブリ。
【請求項33】
前記ポリオール構成成分が、30~70重量%の前記二官能性ポリオール、及び30~70重量%の前記三官能性ポリオールを含む、請求項1に記載の2液型コーティング組成物。
【請求項34】
上塗りされた独立気泡発泡体コーティングが、14日間の浸漬後に1%w/w未満の水吸収を示す、請求項17に記載の方法。
【請求項35】
前記上塗りされた独立気泡発泡体コーティングが、-40℃~85℃で1000サイクルの熱衝撃に供された後に、亀裂も接着力の損失も示さない、請求項17に記載の方法。
【請求項36】
上部の1つ以上の特徴部を有する電子基板を修復又は修正するための2液型コーティング組成物を使用する方法であって、前記方法は、
a)封入材料を前記電子基板から除去して、上部の1つ以上の特徴部を可視化させる工程と、
b)前記上部の1つ以上の特徴部を有する前記電子基板の表面に2液型コーティング組成物を塗布する工程であって、前記2液型コーティング組成物は、
i)パートAであって、
a.二官能性ポリオール、三官能性ポリオール、及び四官能性ポリオールのうちの少なくとも1つを含むポリオール構成成分、
b.発泡触媒、
c.任意選択で、ゲル触媒、
d.任意選択で、少なくとも1種の難燃剤、並びに
e.水、を含む、パートAと、
ii)パートBであって、
a.2超かつ3未満の官能価を有するイソシアネートプレポリマー、及び
b.任意選択で、少なくとも1種の難燃剤、を含む、パートBと、を含み、
液体コーティング組成物を調製するために、前記少なくとも1種の難燃剤が、パートA及びパートBのうちの少なくとも一方に存在しなければならない、工程と、
c)前記2液型コーティング組成物を膨張させて独立気泡発泡体コーティングにする工程と、
d)任意選択で、膨張した独立気泡発泡体コーティングの上にトップコート層を塗布する工程であって、前記トップコート層が、耐薬品性コーティング、疎水性コーティング、マイクロカプセル化樹脂、及び前述のものの組み合わせからなる群から選択される、工程と、を含む、方法。
【国際調査報告】