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特表2024-542507発光フィルム、表示要素、および発光フィルムの動作方法
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  • 特表-発光フィルム、表示要素、および発光フィルムの動作方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】発光フィルム、表示要素、および発光フィルムの動作方法
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20241108BHJP
   G09F 9/33 20060101ALI20241108BHJP
   G09F 9/302 20060101ALI20241108BHJP
   H01L 33/48 20100101ALI20241108BHJP
【FI】
G09F9/30 337
G09F9/33
G09F9/302
H01L33/48
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024530017
(86)(22)【出願日】2022-11-22
(85)【翻訳文提出日】2024-05-21
(86)【国際出願番号】 EP2022082794
(87)【国際公開番号】W WO2023094374
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】102021130804.6
(32)【優先日】2021-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】599133716
【氏名又は名称】エイエムエス-オスラム インターナショナル ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】ams-OSRAM International GmbH
【住所又は居所原語表記】Leibnizstrasse 4, D-93055 Regensburg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘルナー パトリック
(72)【発明者】
【氏名】スタンケ イゴール
【テーマコード(参考)】
5C094
5F142
【Fターム(参考)】
5C094AA45
5C094BA25
5C094CA20
5C094CA24
5C094DA06
5C094DB01
5C094DB04
5F142AA31
5F142BA32
5F142CB14
5F142CB15
5F142CB16
(57)【要約】
発光フィルムはキャリアを備え、キャリア上またはキャリア内において発光ダイオード(LD1、LD2、lD3)からなる少なくとも1つのユニットセル(EZ)が配置されている。ユニットセル(EZ)は、それぞれ第1、第2、および第3の発光ダイオード(LD1、LD2、lD3)を含む。ユニットセルの第1の発光ダイオードと第2の発光ダイオードは互いに逆並列に接続されている。第3の発光ダイオードは、ユニットセルの第1の発光ダイオードと第2の発光ダイオードとの並列接続に対して直列に接続されている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアを備え、前記キャリア上または前記キャリア内において発光ダイオード(LD1、LD2、lD3)からなる少なくとも1つのユニットセル(EZ)が配置された、発光フィルムであって、
-ユニットセル(EZ)が、それぞれ第1の発光ダイオード、第2の発光ダイオード、および第3の発光ダイオード(LD1、LD2、lD3)を含み、
-ユニットセル(EZ)の前記第1の発光ダイオードと第2の発光ダイオードが互いに逆並列に接続されており、および、
-前記第3の発光ダイオードは、前記ユニットセルの第1の発光ダイオードと第2の発光ダイオードの並列接続に対して直列に接続されている、発光フィルム。
【請求項2】
ユニットセル(EZ)は、それぞれ、
-前記逆並列に接続された第1の発光ダイオードと第2の発光ダイオードの共通の電極(E1)に導電接続されている第1の制御配線(S1)と、
-前記第1の発光ダイオード、前記第2の発光ダイオード、および前記第3の発光ダイオードの共通の電極(E2)に導電接続されている第2の制御配線(S2)と、
-前記第3の発光ダイオードの電極に導電接続されている第3の制御配線(S3)と、を有する、請求項1に記載の発光フィルム。
【請求項3】
前記制御配線(S1、S2、S3)が、共通のメタライゼーション面を形成する、特に正確に1つの共通のメタライゼーション面を形成する、請求項2に記載の発光フィルム。
【請求項4】
前記ユニットセル(EZ)が、1つまたは複数のさらなる発光ダイオードを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の発光フィルム。
【請求項5】
-ユニットセルの前記発光ダイオードがそれぞれ異なる発光色を有する、
-ユニットセルの前記発光ダイオードがそれぞれ同じ発光色を有する、または、
-ユニットセルの前記発光ダイオードのうちのそれぞれ2つが同じ発光色を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の発光フィルム。
【請求項6】
ユニットセル(EZ)の前記発光ダイオードが、赤、緑、青の発光色を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の発光フィルム。
【請求項7】
前記キャリアがフレキシブルである、請求項1~6のいずれか一項に記載の発光フィルム。
【請求項8】
-前記発光フィルムが発光ダイオードからなる複数のユニットセル(EZ)を含み、
-前記ユニットセル(EZ)が前記キャリア上または前記キャリア内において一列に配置されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の発光フィルム。
【請求項9】
-前記ユニットセル(EZ)が前記キャリア上または前記キャリア内において回転対称に前記一列に配置されている、請求項8に記載の発光フィルム。
【請求項10】
-前記ユニットセル(EZ)の前記発光ダイオードがL形に配置され、
-前記一列に連続するL形のユニットセルが、それぞれ互いに回転させて配置されている、請求項8または9に記載の発光フィルム。
【請求項11】
前記ユニットセル(EZ)が前記キャリア上または前記キャリア内において平面的に配置されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の発光フィルム。
【請求項12】
-ユニットセルが前記キャリア上または前記キャリア内においてセグメント(SG)内に配置され、電気的に互いに接続され、
-前記セグメント(SG)が、共通の制御配線(S2)によってそれぞれ個別に制御され、および、
-隣り合うセグメントが前記制御配線(S1、S3)のうちの1つを共用する、請求項11に記載の発光フィルム。
【請求項13】
表示要素であって、
-請求項1~12のいずれか一項に記載の発光フィルムと、
-制御配線によって前記ユニットセルおよび/または前記発光ダイオードを制御するための駆動回路と、を備える表示要素。
【請求項14】
発光フィルムの動作方法であって、前記発光フィルムがキャリアを備え、前記キャリア上または前記キャリア内において発光ダイオードからなる少なくとも1つのユニットセルが配置された、発光フィルムの動作方法であって、
-ユニットセル(EZ)が、それぞれ第1の発光ダイオード、第2の発光ダイオード、および第3の発光ダイオードを含み、
-ユニットセル(EZ)の前記第1の発光ダイオードと第2の発光ダイオードとが互いに逆並列に接続されており、および、
-前記第3の発光ダイオードは、前記ユニットセルの第1の発光ダイオードと第2の発光ダイオードの並列接続に対して直列に接続されており、前記方法は、
-少なくとも1つの第1の状態において、前記発光ダイオードのうちの1つのみがアクティブであり、すなわち発光するのに対して、前記ユニットセルの残りの発光ダイオードは非アクティブであり、すなわち発光しないように、前記発光ダイオードに信号が印加され、および、
-少なくとも1つの第2の状態において、それぞれ2つの発光ダイオードが同時に発光するように、前記ユニットセルの前記発光ダイオードに信号が印加されることを包む、方法。
【請求項15】
前記第1の状態および/または前記第2の状態が静的または動的に制御される、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の記載は、発光フィルム、表示要素、および発光フィルムの動作方法に関する。
【0002】
本願は、独国特許出願公開第102021130804.6号明細書の優先権を主張するものであり、その開示内容は参照により本願に取り入れられる。
【背景技術】
【0003】
「LED オン フィルム(LED auf Folie)」または「ライト イン ガラス(Licht in Glas)」としても知られている発光フィルムは、自動車、標識、輸送、または建築設備技術などの産業分野および消費者向け分野に多数の用途を有する。特に、これらの用途には表示やデザイン要素が属する。技術的実装においては、多くの場合、メタライゼーション面(Metallierungsebene)において様々な色の発光ダイオードが接続され、動的に制御される。ピクセルとも称される発光ダイオードは、多くの場合、様々な発光色を有するユニットセルを形成する。一例は、赤、緑、青を発光することができるピクセルを有するRGBピクセルである。
【0004】
それぞれの用途のために可能な限り高いデザイン自由度とダイナミクスを達成するには、多くの場合、すべての、または少なくともいくつかの発光ダイオードを選択的に制御できなければならない。これは大抵の場合、制御配線の複雑な配置を必要とする。発光フィルムがメタライゼーション面を具備する場合、1つのRGBピクセルに対して、例えば共通の電極と3つの制御配線が使用される。追加的に、デイジーチェーン(「ヒナギクチェーン」)接続と、対応する駆動回路とが使用される。これまで、これらの解決策は、通常、導体路の交差、または集積回路(IC)の使用を必要とした。あるいは個別に接続することもできるが、これは多数の配線を意味する。2つ以上のメタライゼーション面を用いる解決策では、多くの場合、マトリックス接続が、場合によっては多重化と共に使用される。どちらの解決策にも多数の制御配線と複雑な接続が必要になるという欠点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書の課題は、より少ない制御配線とより複雑でない接続を可能にする発光フィルム、表示要素、および発光フィルムの動作方法を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、独立請求項の主題によって達成される。さらなる発展形態および実施形態は従属請求項に記載されており、以下の説明および図面から明らかになる。
【0007】
以下のことは、任意の実施形態に関して記載される各特徴を単独で、または以下に記載される他の特徴と組み合わせて使用することができ、それが代替物として記載されない限りで、任意の別の実施形態の1つまたは複数の特徴と、あるいは別の実施形態の任意の組み合わせと組み合わせて使用することもできる、という考えにもとづいている。さらに、以下に記載されない等価物および変更もまた、添付の請求項において定義される、提案される発光フィルムの適用領域、表示要素、および発光フィルムの動作方法から逸脱することなく使用することができる。
【0008】
以下に、発光フィルムの分野における改良されたコンセプトが提示される。一態様は、発光ダイオードの部分的に逆並列の接続に関する。部分的に逆並列に接続されたこれらの発光ダイオードの適切な制御は、例えば1つのメタライゼーション面のみを有するフィルムまたはガラスにRGBピクセルを生成するための混色を可能にする。有利な接続は、信号配線を削減すること、およびそれによって発光フィルムの透明度を高めることを可能にする。
【0009】
少なくとも1つの実施形態によれば、発光フィルムはキャリアを備え、キャリア上またはキャリア内において発光ダイオードからなる少なくとも1つのユニットセルが配置される。その場合、ユニットセルは、それぞれ第1、第2、および第3の発光ダイオードを含む。ユニットセルの第1の発光ダイオードと第2の発光ダイオードは互いに逆並列に接続されている。第3の発光ダイオードは、ユニットセルの第1の発光ダイオードと第2の発光ダイオードの並列接続に対して直列に接続されている。
【0010】
発光フィルムの動作中、ユニットセルの発光ダイオードの異なる制御が可能である。例えば、発光ダイオードのうちのそれぞれ1つのみがアクティブであり、すなわち発光するのに対して、ユニットセルの他の発光ダイオードは非アクティブであり、すなわち発光しないように、発光ダイオードに信号を印加することができる。さらに、それぞれ2つの発光ダイオードが同時に(gemeinsam)発光するように、発光ダイオードに信号を印加することができる。このようにして、適切な制御によって、例えば様々な色パターンを表示させる多数の発光状態が得られる。特に、逆並列接続によって制御配線が節約され、かつそれほど複雑でない接続が必要とされ得る。
【0011】
本明細書の範囲内で、発光ダイオードまたはLED(light emitting diode)は、電流が導通方向に流れた場合に光を放射する半導体部品である。さらに、普通のLEDの他に、OLEDやマイクロLEDなど、他のタイプのLEDも使用することができる。LEDは逆方向に遮断する。発光ダイオードが単色光を生成し、加法混色するために組み合わせられてもよく、例えば白色光が生成される。このような組み合わせは、上述のユニットセルを用いて行うことができる。生成される単色光は、以下において発光色という用語で記載される。この意味で、赤、緑、青の発光ダイオード、いわゆるRGB-LEDは、赤、緑、または青の発光色を有する発光ダイオードに他ならない。
【0012】
発光フィルムはキャリアを備える。ユニットセルまたは発光ダイオードは、キャリアに構造化されている。キャリアは、例えば透明フィルム、プラスチックフィルム、金属フィルム、またはそれに類するものを含む。本明細書で提案されるユニットセルは、キャリア上またはキャリア内における多数のセルとして、キャリアの面にマトリックスのように配置することができる。このようにして、多数の用途を可能にする小面積から大面積の発光フィルムを作成することができる。
【0013】
少なくとも1つの別の実施形態によれば、ユニットセルはそれぞれ第1の制御配線と第2の制御配線と第3の制御配線とを有する。第1の制御配線は、逆並列に相互接続された第1の発光ダイオードと第2の発光ダイオードの共通の電極に導電接続されている。第2の制御配線は、第1の発光ダイオード、第2の発光ダイオード、および第3の発光ダイオードの共通の電極に導電接続されている。第3の制御配線は、第3の発光ダイオードの電極に導電接続されている。
【0014】
言い換えれば、第1の制御配線は逆並列LEDの共通の電極に接続されている。第2の制御配線は、すべての3つのLEDの共通の電極に接続されている。最終的に、第3の制御配線は、第3の単独のLEDの電極に接続されている。
【0015】
動作中、個々の制御配線は、印加された信号を発光ダイオードに供給するために使用される。信号は、例えばゼロ電位GND、正電位+、または負電位-を含む。信号は、個々の制御配線に静的または動的に印加できる。その場合、「静的」という用語は、印加された信号が所定期間存在することを示すのに対して、「動的」という用語は、制御配線に存在する信号が所定期間中に変化することを意味する。
【0016】
ゼロ電位、正電位、および負電位による例示的な制御が以下の表から見て取れる。その場合、L1、L2、L3は、第1、第2、第3の発光ダイオードを示す。S1、S2、S3により第1の制御配線、第2の制御配線、および第3の制御配線が示され、制御配線にはそれぞれ、信号の組み合わせが状態A~Eで存在する。
【表1】
【0017】
状態A、状態B、状態Cによって個々の発光ダイオードを制御することができ、それにより発光ダイオードL1、L2またはL3がそれぞれ1つだけアクティブであり、それぞれの発光色で発光する。例えば原色の生成は、制御配線における適切な静的信号によって可能である。さらに、状態Dおよび状態Eによって、それぞれ2つの発光ダイオードのみがアクティブであり、それぞれの発光色で発光するように発光ダイオードを制御することができる。例えば2つの原色の混合は、制御配線における適切な静的信号によって可能である。
【0018】
最終的に、状態A~Eを所定の時間的関係において(in einem definierten zeitlichen Verhaeltnis)動的に実行することができる。それによって、所定の時間または期間に3つの発光ダイオードがアクティブであり、それによりこれらの3つの発光ダイオードは、それぞれの発光色で発光する。それによって、(例えば白色の印象のための)3つの原色の混合が可能である。例えば状態A、状態B、および状態C、あるいは状態Dおよび状態Eを、制御配線における適切な動的信号によって、所望の時間的関係において実行することができる。制御配線における信号は混色のための「フレーム」内で経時的に変化する。
【0019】
少なくとも1つの別の実施形態によれば、制御配線は、共通のメタライゼーション面、特に正確に1つの共通のメタライゼーション面を形成する。
【0020】
メタライゼーション面は、キャリア内において二次元に延びる導電接続を提供する。接続線もしくは制御配線は、接続のため、すなわちユニットセルおよび発光ダイオードの電流供給もしくは電圧供給および信号転送のために用いられる。
【0021】
提案されるコンセプトに従って、共通のメタライゼーション面をユニットセルおよび発光ダイオードの制御のために使用することができる。これは、特に逆並列接続によって制御配線を節約できるため、コストと複雑さの低減につながる。
【0022】
少なくとも1つの別の実施形態によれば、ユニットセルは1つまたは複数のさらなる発光ダイオードを含む。
【0023】
少なくとも1つの別の実施形態によれば、ユニットセルの発光ダイオードはそれぞれ異なる発光色を有する。代替的または追加的に、ユニットセルの発光ダイオードはそれぞれ同じ発光色を有する。さらに、ユニットセルの発光ダイオードのうちのそれぞれ2つは同じ発光色を有することができる。
【0024】
発光フィルムは、互いに同じ発光色を有する特に同種のユニットセルのみを含むことができる。発光フィルムは、互いに異なる発光色を有する異なったユニットセルを含むことができる。
【0025】
発光ダイオードの発光色によって発光フィルムの発光色を決定することができる。1つには、動作中、発光ダイオードに存在する信号によって発光色と、発光色の経時的推移とを決定することができる。制御により調整できるユニットセルおよび発光フィルムの発光色は、発光ダイオードの個々の発光色によって決定される。
【0026】
例えばすべての発光ダイオードが同じ発光色で発光するように設定されている場合、関連するユニットセルの発光色は単色である。ユニットセルの発光ダイオードのうちの2つが同じ発光色を有する場合、関連するユニットセルは2色で、または2つの色の混合で発光することができる。これには、例えば同じ発光色を有する2つの発光ダイオードのうちの1つをもう1つの発光ダイオードの故障時の予備として取っておくことができるという追加の利点がある。ユニットセルごとの3つの異なる発光色によって、異なる原色および混色に調整することが可能になる。
【0027】
少なくとも1つの別の実施形態によれば、ユニットセルの発光ダイオードは、赤、緑、青の発光色を有する。このようにして、ユニットセルはRGBセルを形成する。赤、緑、青の原色の他に、個々の発光ダイオードを相応に動的に制御した場合、混色として白に調整することができる。
【0028】
少なくとも1つの別の実施形態によれば、キャリアはフレキシブルである。このようにして、発光フィルムをフレキシブルに形成することができ、それにより様々な物体に取り付けることができる。
【0029】
少なくとも1つの別の実施形態によれば、発光フィルムは、発光ダイオードからなる複数のユニットセルを含む。ユニットセルは、キャリア上またはキャリア内において一列に配置されている。
【0030】
一列に配置されているユニットセル(Die Einheitszellen in der Reihe)を、例えば第2の制御配線によって電気的に接続することができ、したがって共通の制御配線を介して制御することができる。その場合、第1の制御配線と第3の制御配線をユニットセルごとに個別に、個々に制御することが可能である。それによってユニットセルを個々に制御することができ、それぞれ上述したように原色および/または混色を表すことができる。並設することによって、例えば小型ディスプレイを実現することができる。制御配線の数と、したがって複雑さをさらに低減することができる。
【0031】
少なくとも1つの別の実施形態によれば、ユニットセルは、列の連続するユニットセルの形に回転対称に配置されている。したがって、隣り合うユニットセルを省スペース的に配置することができる。
【0032】
少なくとも1つの別の実施形態によれば、ユニットセルの発光ダイオードはL形に配置されている。一列に連続するL形のユニットセルは、それぞれ互いに回転させて配置されている。
【0033】
一列のL形のユニットセルの連続した配置によって、ユニットセルを省スペース的に係合させることができる。このようにして、発光フィルムにおけるユニットセルの規則的な配置を作り出すことができる。RGBセルの例では、例えばRGB発光ダイオードは規則的に連続する下位列を形成することができる。
【0034】
少なくとも1つの別の実施形態によれば、ユニットセルはキャリア上またはキャリア内において平面的に配置されている。
【0035】
少なくとも1つの別の実施形態によれば、ユニットセルは、キャリア上またはキャリア内においてセグメント内に配置され、電気的に互いに接続されている。動作中、セグメントは、それぞれ共通の制御配線によって個々に制御される。例えば、隣り合うセグメントは、2つ1組で共通の制御配線を共用する。隣り合うセグメントは制御配線のうちの1つを共用する。
【0036】
少なくとも1つの実施形態によれば、表示要素は、本明細書で提案される1つまたは複数の態様による発光フィルムを備える。さらに、制御配線によってユニットセルおよび/または発光ダイオードを制御するために駆動回路が設けられている。
【0037】
さらに、発光フィルムの動作方法が提供される。発光フィルムのすべての特徴は、発光フィルムの動作方法のためにも開示され、逆に、発光フィルムの動作方法の特徴は発光フィルムのためにも開示される。
【0038】
少なくとも1つの実施形態によれば、ユニットセルの発光ダイオードに信号が印加される。少なくとも1つの第1の状態において、発光ダイオードのうちの1つのみがアクティブであり、すなわち発光するのに対して、ユニットセルの残りの発光ダイオードは非アクティブであり、すなわち発光しないように、発光ダイオードに信号が印加される。少なくとも1つの第2の状態において、それぞれ2つの発光ダイオードが同時に発光するように、発光ダイオードに信号が印加される。
【0039】
少なくとも1つの実施形態によれば、第1の状態および/または第2の状態は静的または動的に制御される。
【0040】
提示される記載の他の利点および有利な実施形態ならびに発展形態は、以下において図と共に説明される実施形態から明らかになる。
【0041】
例示的実施形態および図において、同じまたは同じ機能の構成要素にはそれぞれ同じ参照符号が付されている場合がある。図示される要素およびこれらの要素相互の大きさの比率は、基本的に縮尺通りであると見なされるべきでなく、むしろ、個々の要素、例えば層、部品、素子、および領域などは、より良く説明するために、および/またはより良い理解のために誇張した厚さ、または大きさで示されている場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】発光フィルムの例示的実施形態を示す図である。
図2】発光フィルムの例示的実施形態を示す図である。
図3】発光フィルムの例示的実施形態を示す図である。
図4】発光フィルムの例示的実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1は、発光フィルムのためのユニットセルの例示的実施形態を示す。図示は、発光ダイオードLD1、LD2、LD3の部分的に逆並列に接続を有するユニットセルEZを示す。発光ダイオードは、RGBセルを作成するための赤、緑、青の発光色を有するRGB
【0044】
LEDとして設計されている。第1の発光ダイオードLD1は、赤色発光ダイオードであり、第2の発光ダイオードLD2は青色発光ダイオードであり、第3の発光ダイオードLD3は緑色発光ダイオードである。
【0045】
発光ダイオードは、3つの制御配線S1、S2、S3を用いて制御される。その場合、赤色発光ダイオードLD1と青色発光ダイオードLD2は互いに逆並列に接続されている。第1の制御配線S1は、互いに逆並列に接続された赤色発光ダイオードLD1と青色発光ダイオードLD2の共通の電極E1に接続されている。第2の制御配線S2は、すべての3つの発光ダイオードLD1、LD2、LD3の共通の電極E2に接続されている。緑色発光ダイオードLD3は、一方で共通の電極2に接続されており、他方で第3の制御配線S3に接続されている。例えば、混色「白」のために最もよく必要とされることから、この発光ダイオードには緑色の発光色が選択される。したがって、緑色発光ダイオードLD3は、いわば単独であり、すなわち逆並列に接続の一部ではなく、したがってより的確に制御することができる。理論的には、3つの原色のうちのいずれも単独で連結する(anschliessen)ことができる。
【0046】
動作中、3つの制御配線S1、S2、S3に異なった信号または信号シーケンスが印加される。例えば、信号はゼロ電位(GND)、正電位(+)、または負電位(-)である。現在存在する信号の組み合わせが動作状態A~Eを定義する。動作中、これらの動作状態を特定の時間の間、静的に調整することができる。したがって、例えば原色を表すことができる。これらの動作状態を動的に制御することもでき、それにより個々の発光ダイオードが特定の時間的関係において発光し、例えば混色の印象をもたらす。
【0047】
RGBユニットセルのこの例では、動作状態を以下の表に従って調整することができる。
【表2】
【0048】
動作状態A、B、Cでは、原色である赤、緑、青は、対応する発光ダイオードLD1、LD2、LD3によって個々に表される。動作状態DおよびEでは、赤と緑(DのLD1とLD3)および緑と青(EのLD2とLD3)が一緒に発光色として表される。
【0049】
要約すれば、提案される接続と制御によって以下の機能を実装することができる。
-制御配線における適切な静的信号によって原色を生成すること、
-制御配線における適切な静的信号によって2つの原色を混合すること、
-制御配線における適切な動的信号によって3つの原色を混合すること(例えば白)、すなわち、混色のための「フレーム」内での制御配線における信号の経時的変化(表を参照)、
-例 白、
時間的関係における動作状態A、B、C、
時間的関係における動作状態D、E。
【0050】
提案されるユニットセルは、発光フィルムにおけるメタライゼーション面の使用を可能にする。他の解決策に比べてコストおよび複雑さを低減することができる。その場合の一側面は、ユニットセルにおける発光ダイオードの逆並列接続による制御配線の削減である。最終的に、制御配線の削減によって発光フィルム(例えばLED オン フィルム)の透明度を高めることができる。
【0051】
図2は、発光フィルムの例示的実施形態を示す。特に、図示は、図1との関連で示されたような複数のユニットセルの配置を示す。個々のユニットセルはL形に形成され、一列に配置されている。隣り合うユニットセルは、L形が交互に互いに係合するように互いに回転させてある。したがって、隣り合うユニットセルの回転対称の配置となる。
【0052】
ユニットセルは、これらのユニットセルの第2の制御配線S2によって互いに電気的に接続されているか、もしくは制御配線S2を共用する。この接続は共通の制御配線によって行われ、共通の制御配線は、動作中に上記の動作状態に従ってそれぞれの第2の制御配線の代わりをする。言い換えれば、上記の表において、第2の制御配線の代わりに共通の制御配線を用いることができ、対応する信号を印加することができる。個々のユニットセルを、例えば表に示されるように、さらに、それぞれ自己の第1および第3の制御配線S1、S3を介して個別に制御することができる。
【0053】
提示される配置によって、列ごとのコンタクトの数を2n+1個に低減することができ、ここでnは、列ごとのRGB発光ダイオードの数を示す。したがって、コンタクトは合計で2n+1)m個となり、ここでmは、列の数を示す。考えられる用途は、例えば(例えばセグメントを有する)小型ディスプレイである。
【0054】
図3は、発光フィルムの別の例示的実施形態を示す。接続は図2の例に相当する。相違点は、2つの異なる発光色のみを有する3つの発光ダイオードLD1~LD3が1つのユニットセルに設けられていることである。2つの発光ダイオードは同じ発光色を有する。その場合、L形および回転対称の配置によって、同色のLEDが連続するユニットセル間で空間的に互いに近くに配置されている。隣り合う同色のLEDはバックアップとして使用することができる(隣り合う同じもの)。
【0055】
図4は、発光フィルムの別の例示的実施形態を示す。この例では、複数のユニットセル(ここでは例示的にそれぞれ3つ)が統合されて1つのセグメントSGとなっている。セグメントのユニットセルは、図2および図3の直列接続のように共通の第2の制御配線によって接続されている。それぞれのユニットセルを図1との関連で説明したように、かつL形に構成することができ、互いに接続することができる。さらに、それぞれの第1および第3の制御配線S1、S3が互いに接続されている。したがって、1つのセグメントのユニットセルが一緒に切り替えられる(独立していない)。最終的に、1つのセグメントに対して制御配線が3つあり、これらの3つの制御配線は、上記の表のように信号で制御される。
【0056】
隣り合うセグメントは制御配線S2を共用するが、同時に切り替えられることはない。セグメントが共用する制御配線は変わる。図4において、S3はSG1とSG2との間の共通の配線である。これに対してSG2とSG3との間にはS1がある。すべてのセグメントの動作のために、適切な駆動回路により1:2(1つおきのセグメント)の多重化を実施することができる。セグメントの形は、極めて任意に形成することができる。コンタクトの数は2n+1個となり、nはセグメントの数を示す。考えられる用途はピクトグラムまたは面表示装置である。
【0057】
以上の記載は、多数の特徴の具体的詳細を説明するものである。これらは、改良されたコンセプトの、または特許請求され得るものの範囲の限定としてではなく、むしろ、単に、改良されたコンセプトの特定の実施形態に特有である特徴の例示的な説明と解釈されるべきである。本明細書において個々の実施形態との関連で説明される特定の特徴は、組み合わせて単一の実施形態で実現することができる。逆に、単一の実施形態との関連で説明されるいくつかの特徴を複数の実施形態で別々に、または任意の適切な組み合わせで実施することもできる。さらに、上記の特徴が特定の組み合わせで相互作用するものとして記載され、それどころかもともとそのようなものとして特許請求されているにもかかわらず、特許請求される組み合わせの1つまたは複数の特徴を、場合によってはその組み合わせから取り出すことができ、特許請求される組み合わせは、下位組み合わせまたは下位組み合わせの変形形態を対象とすることができる。
【0058】
図面においてプロセスが特定の順序で示されているとしても、それは、所望の結果を達成するためにこれらのプロセスを図示された順序で、または連続した順序で実行しなければならないか、または示されるすべてのプロセスを実行しなければならないものと理解されるべきではない。特定の状況では、異なる順序または並行処理が有利な場合がある。
【0059】
一連の実施形態が説明された。それにもかかわらず、改良されたコンセプトの精神と範囲から逸脱することなく種々の変更を行うことができる。それに応じて、他の実施形態も特許請求の適用範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
E1 電極
E2 電極
EZ ユニットセル
LD1 発光ダイオード
LD2 発光ダイオード
LD3 発光ダイオード
S1 制御配線
S2 制御配線
S3 制御配線
SG セグメント
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-05-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアを備え、前記キャリア上または前記キャリア内において発光ダイオード(LD1、LD2、lD3)からなるいくつかのユニットセル(EZ)が配置された、発光フィルムであって、
-ユニットセル(EZ)が、それぞれ第1の発光ダイオード、第2の発光ダイオード、および第3の発光ダイオード(LD1、LD2、lD3)を含み、
-ユニットセル(EZ)の前記第1の発光ダイオードと第2の発光ダイオードが互いに逆並列に接続されており、および、
-前記第3の発光ダイオードは、前記ユニットセルの第1の発光ダイオードと第2の発光ダイオードの並列接続に対して直列に接続されており
それぞれのユニットセル(EZ)は、
-前記逆並列に接続された第1の発光ダイオードと第2の発光ダイオードの共通の電極(E1)に導電接続されている第1の制御配線(S1)と、
-前記第1の発光ダイオード、前記第2の発光ダイオード、および前記第3の発光ダイオードの共通の電極(E2)に導電接続されている第2の制御配線(S2)と、
-前記第3の発光ダイオードの電極に導電接続されている第3の制御配線(S3)と、をさらに有し、
-前記ユニットセル(EZ)が、前記キャリア上または前記キャリア内において一列に配置され、それらの第2の制御配線(S2)によって電気的に互いに接続されること、
または、
-前記ユニットセル(EZ)が、前記キャリア上または前記キャリア内において平面的にセグメント(SG)内に配置され、電気的に互いに接続され、
-前記セグメント(SG)が、共通の第2の制御配線(S2)によってそれぞれ個別に制御され、および、
-隣り合うセグメントが、前記第1の制御配線(S1)および前記第3の制御配線(S3)のうちの1つを共用すること、によって特徴づけられる、発光フィルム。
【請求項2】
前記制御配線(S1、S2、S3)が、共通のメタライゼーション面を形成する、特に正確に1つの共通のメタライゼーション面を形成する、請求項に記載の発光フィルム。
【請求項3】
前記ユニットセル(EZ)が、1つまたは複数のさらなる発光ダイオードを含む、請求項に記載の発光フィルム。
【請求項4】
-ユニットセルの前記発光ダイオードがそれぞれ異なる発光色を有する、
-ユニットセルの前記発光ダイオードがそれぞれ同じ発光色を有する、または、
-ユニットセルの前記発光ダイオードのうちのそれぞれ2つが同じ発光色を有する、請求項に記載の発光フィルム。
【請求項5】
ユニットセル(EZ)の前記発光ダイオードが、赤、緑、青の発光色を有する、請求項に記載の発光フィルム。
【請求項6】
前記キャリアがフレキシブルである、請求項に記載の発光フィルム。
【請求項7】
-前記ユニットセル(EZ)が前記キャリア上または前記キャリア内において回転対称に前記一列に配置されている、請求項に記載の発光フィルム。
【請求項8】
-前記ユニットセルの前記発光ダイオードがL形に配置され、
-前記一列に連続するL形のユニットセルが、それぞれ互いに回転させて配置されている、請求項に記載の発光フィルム。
【請求項9】
表示要素であって、
-請求項1に記載の発光フィルムと、
-制御配線によって前記ユニットセルおよび/または前記発光ダイオードを制御するための駆動回路と、を備える表示要素。
【請求項10】
発光フィルムの動作方法であって、前記発光フィルムがキャリアを備え、前記キャリア上または前記キャリア内において発光ダイオードからなるいくつかのユニットセルが配置された、発光フィルムの動作方法であって、
-ユニットセル(EZ)が、それぞれ第1の発光ダイオード、第2の発光ダイオード、および第3の発光ダイオードを含み、
-ユニットセル(EZ)の前記第1の発光ダイオードと第2の発光ダイオードとが互いに逆並列に接続されており、および、
-前記第3の発光ダイオードは、前記ユニットセルの第1の発光ダイオードと第2の発光ダイオードの並列接続に対して直列に接続されており、
それぞれのユニットセル(EZ)は、
-前記逆並列に接続された第1の発光ダイオードと第2の発光ダイオードの共通の電極(E1)に導電接続されている第1の制御配線(S1)と、
-前記第1の発光ダイオード、前記第2の発光ダイオード、および前記第3の発光ダイオードの共通の電極(E2)に導電接続されている第2の制御配線(S2)と、
-前記第3の発光ダイオードの電極に導電接続されている第3の制御配線(S3)と、をさらに有し、前記方法は、
-少なくとも第1の状態において、前記発光ダイオードのうちの1つのみがアクティブであり、すなわち発光するのに対して、対応する前記ユニットセルの残りの発光ダイオードは非アクティブであり、すなわち発光しないように、前記発光ダイオードに信号が印加され、および、
-少なくとも第2の状態において、対応する前記ユニットセルの2つの発光ダイオードが同時に発光するように、前記発光ダイオードに信号が印加されることを包
-前記ユニットセル(EZ)が、前記キャリア上または前記キャリア内において一列に配置され、それらの第2の制御配線(S2)によって電気的に互いに接続されること、
または、
-前記ユニットセル(EZ)が、前記キャリア上または前記キャリア内において平面的にセグメント(SG)内に配置され、電気的に互いに接続され、
-前記セグメント(SG)が、共通の第2の制御配線(S2)によってそれぞれ個別に制御され、および、
-隣り合うセグメントが、前記第1の制御配線(S1)および前記第3の制御配線(S3)のうちの1つを共用すること、によって特徴づけられる、方法。
【請求項11】
前記第1の状態および/または前記第2の状態が静的または動的に制御される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
一列に配置されている場合、個々のユニットセル(EZ)が、それらの第1および第3の制御配線(S1、S3)を介してそれぞれ個別に制御される、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
セグメント(SG)内に配置されている場合、セグメントのユニットセル(EZ)が一緒に切り替えられ、隣接するセグメントが同時に切り替えられない、請求項10または11に記載の方法。
【国際調査報告】