IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シーメンス メディカル ソリューションズ ユーエスエー インコーポレイテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】小型多目的SPECTシステム
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/161 20060101AFI20241108BHJP
   G01T 1/20 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
G01T1/161 B
G01T1/20 G
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024530415
(86)(22)【出願日】2021-12-01
(85)【翻訳文提出日】2024-07-04
(86)【国際出願番号】 US2021072656
(87)【国際公開番号】W WO2023101703
(87)【国際公開日】2023-06-08
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】593063105
【氏名又は名称】シーメンス メディカル ソリューションズ ユーエスエー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Siemens Medical Solutions USA,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】弁理士法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】ビジャ,アレクサンダー ハンス
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス,ミーシャー
(72)【発明者】
【氏名】ステイベル,デニス
【テーマコード(参考)】
2G188
4C188
【Fターム(参考)】
2G188AA02
2G188BB04
2G188CC08
2G188DD06
2G188DD16
2G188DD25
4C188EE02
4C188FF04
4C188GG19
4C188GG21
4C188JJ05
4C188JJ15
4C188JJ24
4C188KK24
(57)【要約】
【要約】
システムおよび方法は、検出器が被検体に対して第1の位置に配置されている間に検出器によって検出された第1のガンマ線に基づいて被検体の第1の断層画像を生成することと、検出器が被検体に対して第2の位置に配置されている間に検出器によって検出された第2のガンマ線に基づいて被検体の第2の断層画像を生成することと、第1の断層画像および第2の断層画像に描写された被検体の1つ以上の組織の識別することと、第1の断層画像、第2の断層画像、および識別された1つ以上の組織に基づいて合成断層画像を生成することと、を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガンマ線検出器と、
制御システムであって、
前記検出器が、被検体に対して第1の位置に配置されている間に、前記検出器によって検出された第1のガンマ線に基づいて、前記被検体の第1の断層画像を生成し、
前記検出器が、前記被検体に対して第2の位置に配置されている間に、前記検出器によって検出された第2のガンマ線に基づいて、前記被検体の第2の断層画像を生成し、
前記第1の断層画像および前記第2の断層画像に描写される、1つ以上の前記被検体の組織を識別し、
前記第1の断層画像、前記第2の断層画像、および1つ以上の前記識別された組織に基づいて、合成断層画像を生成する、
制御システムと、
を含むシステム。
【請求項2】
前記検出器が前記被検体に対して第3の位置に配置されている間に、前記検出器によって検出された第3のガンマ線に基づいて前記被検体の第3の断層画像を生成し、
前記合成断層画像および前記第3の断層画像に描写される前記被検体の1つ以上の第2の組織を識別し、
前記合成断層画像、前記第3の断層画像、および1つ以上の前記識別された第2の組織に基づいて、第2の合成断層画像を生成する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の位置および前記第2の位置が同一平面上にあり、前記第3の位置が前記第1の位置および前記第2の位置と同一平面上にない、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記合成断層画像の生成が、1つ以上の前記の組織を示す前記第1の断層画像の第1の画素を、1つ以上の前記の組織を示す前記第2の断層画像の第2の画素と位置合わせすることを含み、
前記第2の合成断層画像の生成が、1つ以上の前記第2の組織を示す前記合成断層画像の第3の画素を、1つ以上の前記第2の組織を示す前記第3の断層画像の第4の画素と位置合わせすることを含む、
請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記合成断層画像の生成が、1つ以上の前記組織を描写する前記第1の断層画像の第1の画素を、1つ以上の前記組織を描写する前記第2の断層画像の第2の画素と位置合わせすることを含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1の位置および前記第2の位置が同一平面上にある、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
検出器が被検体に対して第1の位置に配置されている間に、前記検出器によって検出された第1のガンマ線に基づいて前記被検体の第1の断層画像を生成するステップと、
前記検出器が前記被検体に対して第2の位置に配置されている間に、前記検出器によって検出された第2のガンマ線に基づいて、前記被検体の第2の断層画像を生成するステップと、
前記第1の断層画像および前記第2の断層画像に描写される、前記被検体の1つ以上の組織を識別するステップと、
前記第1の断層画像、前記第2の断層画像、および1つ以上の前記識別された組織に基づいて合成断層画像を生成するステップと、
を含む方法。
【請求項8】
前記検出器が前記被検体に対して第3の位置に配置されている間に、前記検出器によって検出された第3のガンマ線に基づいて、前記被検体の第3の断層画像を生成するステップと、
前記合成断層画像および前記第3の断層画像に描写される、前記被検体の第2の1つ以上の組織を識別するステップと、
前記合成断層画像、前記第3の断層画像、および1つ以上の前記識別された第2の組織に基づいて、第2の合成断層画像を生成するステップと、
をさらに含む請求項7に記載の使用。
【請求項9】
前記第1の位置および前記第2の位置が同一平面上にあり、前記第3の位置が前記第1の位置および前記第2の位置と同一平面上にない、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記合成断層画像を生成するステップが、1つ以上の前記組織を示す前記第1の断層画像の第1の画素を、1つ以上の前記組織を示す前記第2の断層画像の第2の画素と位置合わせするステップを含み、
前記第2の合成断層画像を生成するステップが、1つ以上の前記第2の組織を示す前記合成断層画像の第3の画素を、1つ以上の前記第2の組織を示す前記第3の断層画像の第4の画素と位置合わせするステップを含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記合成断層画像を生成するステップが、1つ以上の前記組織を描写する前記第1の断層画像の第1の画素を、1つ以上の前記組織を描写する前記第2の断層画像の第2の画素と、位置合わせするステップを含む、
請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の位置および前記第2の位置が同一平面上にある、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
ガンマ線検出器と、
制御システムであって、
前記検出器が被検体に対して第1の位置に配置されている間に前記検出器によって検出された第1のガンマ線に基づいて前記被検体の第1の断層画像を生成し、
前記第1の断層画像内の関心領域を識別し、
前記関心領域に基づいて第2の検出器位置を決定し、
前記検出器を前記第2の位置に移動し、
前記検出器が前記第2の位置に配置されている間に、前記検出器によって検出された第2のガンマ線に基づいて前記被検体の第2の断層画像を生成する、
制御システムと、
を含むシステム。
【請求項14】
前記第1の断層画像および前記第2の断層画像に描写される前記被検体の1つ以上の組織を識別し、
前記第1の断層画像、前記第2の断層画像、および1つ以上の前記識別された組織に基づいて合成断層画像を生成する、
請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記制御システムが、前記検出器が前記被検体に対して第3の位置に配置されている間に、前記検出器によって検出された第3のガンマ線に基づいて前記被検体の第3の断層画像を生成し、
前記第2の断層画像および前記第3の断層画像に描写される前記被検体の1つ以上の組織を識別し、
前記第2の断層画像、前記第3の断層画像、および1つ以上の前記識別された組織に基づいて合成断層画像を生成する、
請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記第3の位置および前記第2の位置が同一平面上にあり、前記第1の位置が前記第3の位置および前記第2の位置と同一平面上にない、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記合成断層画像の生成が、1つ以上の前記組織を描写する前記第2の断層画像の第1の画素を、1つ以上の前記組織を描写する前記第3の断層画像の第2の画素と、位置合わせすることを含む、
請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記第2の検出器位置が、前記第1の検出器位置よりも前記被検体に近い、請求項13に記載のシステム。
【請求項19】
前記第2の断層画像の解像度が、前記第1の断層画像の解像度よりも大きい、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記第2の断層画像の解像度が、前記第1の断層画像の解像度よりも大きい、請求項13に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
従来の医用画像は、透過イメージングまたは放出イメージングを介して生成され得る。透過イメージングでは画像源(例えば、X線源)は被検体の外部にあり、線源放射線(例えば、X線)は被検体を通して検出器に透過される。放出イメージングによれば、画像源(例えば、ガンマ線放出放射性医薬品)は(例えば、その注入または摂取のために)被検体の内部にあり、線源放射線(例えば、ガンマ線)は、被検体の内部から検出器に放出される。
【0002】
単一光子放射型コンピュータ断層撮影(SPECT)は、ガンマカメラが被検体の周りのいくつかの角度位置から平面投影画像を取得する、放射型撮影の一種である。平面投影画像は、そこから被検体の3次元画像を断層撮影で再構成するのに十分な数及び範囲の角度位置から取得されなければならない。従来、平面投影画像はガンマカメラが取り付けられているガントリの内部または近傍に被検体を配置し、ガンマカメラを所望の各角度位置に移動させるようにガントリを回転させることによって取得される。他のシステムは、ガンマカメラを各角度位置に移動させるように制御される移動アームにガンマカメラを取り付ける。
【0003】
上記の両方のSPECTシステムは、被検体を囲む撮影位置の間でガンマカメラが自由に動くことができるように、被検体を囲む領域が障害物なしであることを必要とする。この要件は多くの診断及び治療設定において満たすことが困難であり、その結果、衝突が起こり、撮影時間が増加し、装置を損傷し、又は被検体を傷つける可能性がある。さらに、ガントリベースのシステムは一般に、ガントリが恒久的に取り付けられる大きな専用空間を必要とする。さらに、断層撮影再構成は撮影被検体を囲む位置からの平面投影の取得を必要とするので、被検体のサイズはガンマカメラが回転ガントリまたは可動アームを介して移動し得る最大経路によって囲まれる体積に制限される。
【0004】
断層画像は、診断および/または治療計画を容易にするために取得され得る。そのような診断および/または治療計画は、第1の断層画像内の関心領域を識別することと、関心領域を中心とする第2の断層画像を生成することを決定することとを含み得る。第1の断層画像の生成は第1の組の平面投影画像を必要とし、第2の断層画像の生成は第2の組の平面投影画像の取得を必要とするので、このプロセスは不適切なリソースおよび時間がかかることがある。
【0005】
前述の欠点の1つ以上に対処するSPECT撮影システムが望まれる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1A図1Aは、いくつかの実施形態による、第1の検出器位置と、第1の検出器位置で取得された断層画像とを示す。
図1B図1Bは、いくつかの実施形態による、第2の検出器位置と、第2の検出器位置で取得された断層画像とを示す。
図2図2は、いくつかの実施形態による、複数の検出器位置で取得された2つの断層画像のスティッチングを示す。
図3図3は、いくつかの実施形態による、第3の検出器位置と、第3の検出器位置で取得された断層画像とを示す。
図4図4は、いくつかの実施形態による、複数の検出器位置で取得された3つの断層画像のスティッチングを示す。
図5図5は、いくつかの実施形態による、複合断層画像を生成するためのプロセスのフロー図である。
図6図6は、いくつかの実施形態による直接変換器検出器センサアレイの図である。
図7図7は、いくつかの実施形態による撮影構成要素を示す。
図8A図8Aは、いくつかの実施形態による、遠視野検出器位置と、遠視野検出器位置で取得された断層画像とを示す。
図8B図8Bは、いくつかの実施形態による、近視検出器位置と、近視検出器位置で取得された断層画像とを示す。
図9図9は、いくつかの実施形態による、断層画像を取得するためのプロセスのフロー図である。
図10A図10Aは、いくつかの実施形態による、第1の検出器位置における断層画像の取得を示す。
図10B図10Bは、いくつかの実施形態による、第2の検出器位置における断層画像の取得を示す。
図11図11は、いくつかの実施形態による、2つの検出器による2つの断層画像の取得を示す
図12A図12Aは、いくつかの実施形態による、2つの検出器による2つの断層画像の取得を示す。
図12B図12Bは、いくつかの実施形態による、2つの検出器による2つの断層画像の取得を示す。
図12C図12Cは、いくつかの実施形態による、2つの検出器による2つの断層画像の取得を示す。
図13図13は、いくつかの実施形態によるSPECT撮影システムの構成要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の説明は、当業者が記載された実施形態を作成および使用することを可能にするために提供され、記載された実施形態を実施するために企図される最良の形態を説明する。しかしながら、当業者には様々な変更が明らかであろう。
【0008】
いくつかの実施形態は、断層画像の効率的な生成および/または使用を提供する。例えば、深度分解ガンマカメラは、ガンマカメラが被検体に対して単一の位置に配置されている間に、被検体の第1の断層画像を取得することができる。次に、ガンマカメラを被検体に対して第2の位置に移動させ、第2の位置に配置した状態で断層画像を取得する。第1の断層画像および第2の断層画像の両方は異なる視点および/または距離からではあるが、被検体内の1つ以上の同一の組織を示すことができる。実施形態は、これらの同一の組織の識別によって課される一貫性制約を考慮して、第1の断層画像と第2の断層画像とを一緒に組み合わせるか、または「縫い合わせる」ことを含み得る。追加の断層画像が取得され、同様に、結合されるべき断層画像に共通の組織によって定義される一貫性制約に関して、結合された断層画像と結合され得る。それによって、いくつかの実施形態は例えば、従来の方法を使用して撮影するには大きすぎる被検体物の断層画像を取得することができる。
【0009】
いくつかの実施形態はさらに、または代替的に、ガンマカメラが被検体に対して単一の位置に配置されている間に被検体の第1の断層画像を取得することと、第2の断層画像を取得すべき位置を決定するために第1の断層画像を使用することとを含み得る。次に、ガンマカメラを第2の位置に移動させて、第2の位置に配置されている間に第2の断層画像を取得することができる。いくつかの実施形態では、ガンマカメラが第2の位置の判定を可能にするのに適した断層画像を生成するのに十分な数のカウント(すなわち、適格なガンマ線イベント)を得るのに十分な長さだけ第1の位置に留まり、意図された分析に適したより高品質の断層画像を生成するのに十分なカウントを得るのに十分な時間だけ第2の位置に留まる。
【0010】
図1Aは、いくつかの実施形態によるSPECT撮影システム100を示す。図示のように、SPECT撮影システム100は、連結継手130を介してアーム120に接続された検出器110を含む。アーム120は、固定式または可動式であってもよいベース140に取り付けられる。アーム120は、1つ以上のジョイントを含んでもよく、様々な運動範囲を通して各ジョイントで回転または屈曲してもよい。
【0011】
ベッド160は撮影被検体150を支持し、検出器110に対して所望の位置に被検体150を配置するように移動可能であり得る。所望の位置は、被検体150の特定の部分内に位置する放射性同位元素によって放出される放出データを最良に捕捉することを意図した位置であってもよい。一般に、ベース140、アーム120、継手130、およびベッド160は、ベッド160上に配置された撮影被検体物に対する検出器110の選択的位置決めを容易にするために必要とされる任意の特徴および使用および機構を含み得る。実施形態は、本明細書で提供される撮影システム100の説明または描写に限定されない。
【0012】
検出器110は、知られている、または知られるようになる任意のガンマ線検出器を備えることができる。検出器110は固定された検出器位置から断層画像を生成するのに適しており、実施形態は、そのようにするための任意の画像形成ハードウェアおよび/またはソフトウェア技術を含む。そのようなシステムの現在の例は、平行穴コリメータ、コリメータ内の開口部通路が各列の画角が放射線源に対して変化するように配置される回転受光角コリメータ、およびシンチレーションバー検出器のスタックから形成されるシンチレーション検出器を有するガンマカメラと組み合わせて使用される回転スラットコリメータを含む。回転スラットコリメータは、バー検出器の各々をコリメートして、単一の次元においてのみガンマ光子を受け取る。シンチレーションバー検出器およびコリメータは、回転装置のいくつかの方位角において被検体からイベントデータを取得するために回転され得る。
【0013】
3次元画像170は検出器110が図1Aに示される位置に配置されている間に、撮影システム100によって取得され得る。一般に、画像170は深度情報(すなわち、y方向)と、検出器110によって検出されたイベントの(x、z)座標とを含む。画像170は、図1Aに示される位置で検出器110によって取得されたイベントデータに任意の適切な断層撮影再構成アルゴリズムを適用することによって生成され得る。
【0014】
図示のように、画像170は、内部組織180を示す。画像170は他の組織を示すことができ、組織180は、例として示されている。画像170は、グレースケールであってもよく、または着色画素を含んでもよい。
【0015】
図1Bは撮影システム100を示し、図1Aに示す位置とは異なる被検体150に対する位置に配置された検出器110を示す。アーム120は、検出器110を異なる位置に移動させるように移動している。例として、検出器110がx方向に移動したと仮定する。したがって、第1の位置および第2の位置は、同一平面上にある。
【0016】
また、検出器110が図1Bの位置にある間に、第2の断層画像が取得されると仮定する。第2の断層画像は、検出器110が検出した位置に配置されたイベントに基づいて取得される。
【0017】
画像190は、図1Bの構成に基づいて取得された断層画像を表す。画像190は、内部組織180も示す。被検体150は静止したままであるが、検出器110は画像190を取得するために画像170を取得するために使用される位置から移動されたので、内部組織180は画像170と比較して画像190内の異なる位置に配置される。
【0018】
図2は、いくつかの実施形態による、画像170と画像190との組合せを示す。いくつかの実施形態によれば、画像170および画像190は、組織180を表す画像170の画素を、組織180を表す画像190の対応する画素と位置合わせすることによって組み合わされる。画像170および190の組合せはまた、画像の取得中の検出器110の相対位置を考慮してもよい。これらの相対画像は例えば、システム100の周りに配置されたカメラ、検出器110内のセンサ、および/またはアーム120内のセンサを介して追跡され得る。
【0019】
図2の合成画像は、画像170または画像190のいずれかによって描写されるよりも大きい体積の被検体150を描写する。実施形態は、検出器110の相対運動範囲に応じて、任意のサイズの合成画像を生成することができる。
【0020】
図3は、被検体150に対するさらに別の位置にある検出器110を示す。断層画像300は検出器110によって検出されたイベントに基づいて生成され、検出器110は図3の位置に配置されていると仮定する。画像300はまた、組織180を示す。
【0021】
したがって、組織180に関連するピクセルに基づいて、図4に示すように、画像300を画像170および画像190と組み合わせることができる。図4のより暗い線は、構成断層画像のうちの2つ以上によって示されるボリュームが他のボリュームよりも多くのイベントデータに基づき得るので、他のボリュームよりもシャープであり得ることを示すように意図されている。構成画像のいずれかの鮮鋭度は、検出器110が構成画像を生成するために使用されるイベントを検出する時間量を増加させることによって制御され得る。
【0022】
図5は、いくつかの実施形態によるプロセスのフロー図である。プロセス500および本明細書で説明される他のプロセスは、ハードウェアおよびソフトウェアの任意の適切な組合せを使用して実行され得る。これらのプロセスを具現化するプロセッサ実行可能プログラムコードは、固定ディスク、揮発性または不揮発性ランダムアクセスメモリ、DVD、フラッシュドライブ、または磁気テープを含む、任意の非一時的有形媒体によって記憶され得る。実施形態は、以下に説明する実施例に限定されるものではない。
【0023】
プロセス500の前に、撮影被検体(例えば、ヒト患者)は、ベッドなどの支持体上に配置される。放射性核種は例えば、摂取または注射を介して被検体に導入され、放射性核種が被検体の所望の体積に達したことを確実にするために、特定の期間が通過することが許可される。
【0024】
検出器は、撮影被検体に対して第1の位置に配置される。検出器の位置決めは、撮影被検体に隣接する撮影ベースを移動させることと、アームに取り付けられた検出器を第1の位置に移動させるように、撮影被検体に取り付けられたアームを制御することとを含むことができる。S510において、検出器が第1の位置に配置されている間に、検出器によって検出された第1のイベントに基づいて、第1の断層画像が取得される。上述のように、S510において、第1の断層画像を生成するために、画像形成および断層撮影再構成システムが採用されてもよい。
【0025】
次に、検出器は、撮影被検体に対して第2の位置に位置決めされる。例えば、アームは、検出器を第2の位置に移動させるためにベースが静止したままである間に制御されてもよい。次いで、S520において、検出器が第2の位置に配置されている間に、検出器によって検出された第2のイベントに基づいて、第2の断層画像が取得される。
【0026】
S530において、第1の断層画像及び第2の断層画像の両方に描かれた撮影被検体の1つ以上の組織が識別される。第2の位置は、検出器が第1の位置に配置されたときに、検出器によってガンマ線が受け取られた体積の少なくとも一部からガンマ線を受け取ることが期待される位置であってもよい。そのような位置決めは、第2の断層画像が第1の断層画像にも示される1つ以上の組織を示すことを確実にするのを助けることができる。
【0027】
S530における識別情報は知られているまたは知られるようになる任意の画像マッチングアルゴリズムを含むことができ、第1の位置と第2の位置との間の相対的な空間的差異を考慮に入れることができる。例えば、第2の位置が、第1の位置に対して一方向の横方向の並進を反映することが知られている場合、マッチングアルゴリズムはマッチングを容易にするために、断層画像の1つを方向に直線的に並進させることができる。同様のロジックは、2つの位置における回転差を説明することができる。
【0028】
S540において、合成画像が生成される。合成画像は、第1の断層画像、第2の断層画像、および1つ以上の識別された組織に基づいて生成される。一例では、第1の断層画像および第2の断層画像が1つ以上の組織を描写する第1の断層画像の画素と、1つ以上の組織を描写する第2の断層画像の画素とを最良に適合させるために、互いに位置合わせされる。上述のように、いくつかの実施形態によれば、任意の数の断層画像が異なる位置で取得され、S540において合成断層画像を生成するために使用され得る。合成断層画像の各構成断層画像は他の構成断層画像のうちの少なくとも1つに描かれる1つ以上の組織を描くことができるが、実施形態はこれに限定されない。
【0029】
本明細書に記載の検出器は当技術分野で公知の直接変換器検出器を含むことができるが、これに限定されない。図6は、いくつかの実施形態による直接変換器検出器の構成要素の概略図である。検出器600は、センサアレイ610と、カソード620と、それらの間の直接変換材料630とを含む。センサアレイ610は、六角形又は他の形状のセンサのアレイグリッドを含むことができる。この点に関して、センサは、当該技術分野において、アノード、ピクセル、または電極と呼ばれることもある。
【0030】
センサアレイ610のセンサの各々は、専用の信号線に結合され、隣接するセンサと直接電気的に接触していない。カソード620は、検出器600によって検出されるエネルギーのガンマ線に対して概ね透明である連続層を含んでもよい。直接変換材料630は、CZTまたはテルル化カドミウム(CdTe)などの単結晶半導体材料から構成され得る。
【0031】
図7は、いくつかの実施形態による、動作中の撮影システムの構成要素の概略図である。検出器700は、センサアレイ610、カソード620、および直接変換材料630を含む、上述のような検出器600の構造を実装することができる。また、カソード620に隣接するコリメータ740も示されている。コリメータ740は当技術分野で知られているように、多焦点コーンビームコリメータまたは平行穴コリメータを備えることができる。
【0032】
検出器700は、ボリューム750から放出されたガンマ線755を検出するように配置される。ガンマ線755のうちの特定のものはコリメータ740によってコリメートされて、その応答線を画定し、散乱または迷走ガンマ線をフィルタ除去し、したがって、コリメートされたガンマ線はその透過性のためにカソード620を通過する。ガンマ線は直接変換材料630に侵入し、直接変換材料630と相互作用して、電子-正孔対を生成する。カソード620は負のバイアス電位に保持され、一方、アレイ610のセンサはそれほど反発しない電位に保持される。その結果、正に帯電した正孔はカソード620に向かってドリフトし、一方、負に帯電した電子は、アレイ610のセンサに向かってドリフトする。電子がアレイ610の所与のセンサに近づくと、所与のセンサおよびその隣接するセンサにおいて信号が誘導される。
【0033】
所与のセンサによる電子の収集の後、読み出し電子機器760はガンマ線が受信されたと仮定される所与のセンサのサブピクセル位置を決定するために、隣接するセンサから受信された信号を使用することができる。すべてのガンマ線が受信されるサブピクセル位置は次いで、当技術分野で知られているように、ボリューム750の断層画像を生成するために使用され得る。
【0034】
図8Aは、いくつかの実施形態によるSPECT撮影システム100を示す。検出器100は上述の画像170、190、および300に示されるものよりも大きな被検体150の部分の断層画像を取得するために、図8Aに示されるように配置されると仮定される。画像は、被検体150内の関心領域を識別するために使用される「スカウト」画像としての使用を意図することができる。したがって、取得時間は、関心領域を識別するのに適した断層画像を生成するのに必要な時間だけに制限され得る。そのような画像は比較的低品質であり得るが、その取得に必要な時間は従来のシステムよりも有利に短くなり得る。
【0035】
3次元画像810は撮影システム100によって取得され、検出器110は図8Aに示される位置に配置される。画像810は、上述のような内部組織180を示す。しかしながら、検出器110は図1A図1B、および図3に示されるよりも図8Aの被検体150からより遠くに配置されるので、内部組織180は画像170、190、および300よりも画像810においてより小さく見え、解像度が低い可能性が高い。
【0036】
組織180の識別情報および画像810内のその位置に基づいて、検出器110は組織180のより詳細な断層画像を取得するために、図8Bに示される位置に移動される。図8Bの検出器110の位置は、図8Aの検出器110の位置よりも被検体150に近い。図8Aの位置では、被検体150のより大きな部分が図8Bの位置よりも、検出器がガンマ線を受け取る範囲内の角度内にある。
【0037】
取得された画像は、図8Bの画像820として示される。組織180は、図8Aの画像810よりも大きく見える。さらに、画像820を生成するために使用されたデータが取得された取得期間は画像810(画像820のより重いラインによって示される)よりも高い解像度の画像をもたらすために、画像810のデータを取得するために使用された取得期間よりも長くてもよい。
【0038】
図9は、いくつかの実施形態によるプロセス900のフロー図である。プロセス500の前に、撮影被検体(例えば、ヒト患者)がベッドなどの支持体上に配置され、放射性核種が撮影被検体に導入されることが再び想定される。本明細書に記載のSPECT検出器は、撮影被検体に対して第1の位置に移動される。このように、第1の位置は被検体の大部分からの放射を受けることが期待される位置であり、大部分の断層画像を生成することができる。
【0039】
S910において、第1の位置に配置されている間に検出器によって検出された第1のイベントに基づいて、第1の断層画像が取得される。第1の断層画像は、任意の画像形成システムおよび/または既知であるかまたは既知となる再構成アルゴリズムを使用して取得され得る。S920において、第1の断層画像内で撮影被検体の関心領域を特定し、関心領域の位置に基づいて、検出器を撮影被検体に対して第2の位置に移動させる。
【0040】
S920およびS930は第1の断層画像をオペレータに表示することを含んでもよく、オペレータは関心領域(例えば、心臓)を識別し、検出器アームを制御して、検出器を心臓の特定の表面に隣接して位置決めする。S920における識別情報およびS930における移動は、予め定義された対象臓器または組織に基づいて自動的に実行され得る。第1の断層画像は撮影被検体内の異なる領域を識別するために自動的にセグメント化されてもよく、セグメント化された画像は関心領域の識別のために操作者に表示されてもよい。オペレータがセグメント化された画像に基づいて関心領域(および、例えば、所望のビューパースペクティブ)を識別すると、撮影システムは、関心領域の位置に基づいて、検出器を第2の位置に自動的に移動させることができる。
【0041】
S940において、第2の位置に配置されている間に検出器によって検出された第2のイベントに基づいて、第2の断層画像が取得される。第2の断層画像は、第1の断層画像よりも多くの関心領域に関する情報を提供することができる。第2の断層画像の取得時間は関心領域の適切な品質の画像を提供するために、第1の断層画像の取得時間よりも大きくてもよい。
【0042】
図10Aおよび10Bは、いくつかの実施形態による、撮影システム1000および撮影被検体1050を図示する。撮影システム1000は、ジョイントアーム1020に結合された検出器1010を含む。アーム1020は、いくつかの実施形態では1つ以上の異なるタイプの可動および/または固定ベース(図示せず)とインタフェースし得るベースインタフェース1030に結合される。ベースインタフェースは、検出器1010、アーム1020及びベース(これは次に制御システム(図示せず)に結合される)の間で制御信号及びデータ信号を搬送するために必要な構成要素を含む。
【0043】
図10Aは、被検体1050に対して第1の位置に配置された検出器1010を示す。なお、検出器1010は、第1位置に配置された状態で第1断層画像を取得するものとする。図10Bでは、検出器1010が被検体1050に対して第2の位置に配置される。検出器1010は第2の位置に配置された状態で第2の断層画像を取得し、その後、第1および第2の断層画像は、上述のように合成断層画像に合成されてもよい。さらに、第2の位置は上述したように、第1の断層画像内の関心領域の識別に基づいて決定されてもよい。
【0044】
図11は、上述のような撮影システム1000及び被検体1050を示す。また、ベース1130に連結されたジョイントアーム1120に連結された検出器1110を含む撮影システム1100が示されている。撮影システム1100の構成要素は、撮影システム1000の構成要素とは異なっていてもよい。
【0045】
図11の検出器1010は被検体1050に対して第1の位置に配置され、検出器1110は被検体1050に対して第2の位置に配置される。検出器1010は第1の位置に配置されている間に第1の断層画像を取得してもよく、検出器1110は第2の位置に配置されている間に第2の断層画像を取得してもよい。これらの第1および第2の断層画像は上述のように、両方の断層画像に描かれた1つ以上の組織に基づいて合成断層画像に合成され得る。
【0046】
図12A図12Cは、被検体1050に対して異なる位置にある撮影システム1000および1100の検出器1010および1110を示す。描写された位置のいずれかまたはすべてに配置されている間に各検出器によって取得された断層画像は、上述のように合成画像に合成され得る。さらに、検出器1010および1110のうちの1つによって取得された断層画像は関心領域を識別し、検出器1010または1110のいずれかが次の断層画像を取得するための第2の位置を決定するために使用され得る。
【0047】
図13は、いくつかの実施形態によるSPECT撮影システム1300を示す。システム1300は、図示の実施形態では2つの検出器1312a、1312bと、関連する制御アーム1314a、1314bと、ベース1316a、1316bとを含む撮影ハードウェア1310を含む。実施形態は、2つの独立した検出器/アーム/ベースに限定されず、またはそれらを含むことを必要としない。
【0048】
制御システム1320は、撮影ハードウェア1310との間で制御信号およびデータを送受信する。制御システム1320は、任意の汎用または専用コンピューターシステムを備えることができる。制御システム1320は、プロセッサ実行可能プログラムコードを実行してシステム1320を本明細書に記載のように動作させるように構成された1つ以上の処理ユニット1322と、プログラムコードを記憶するための記憶デバイス1330とを含む。記憶デバイス1330は対応するインタフェース(例えば、USBポート)に取り付けられた1つ以上の固定ディスク、ソリッドステートランダムアクセスメモリ、および/またはリムーバブルメディア(例えば、サムドライブ)を備え得る。
【0049】
記憶デバイス1330は、システム制御プログラム1332のプログラムコードを記憶する。1つ以上の処理ユニット1322はSPECTシステムインタフェース1324とともに、システム制御プログラム1332を実行して、モータ、サーボ、およびエンコーダを制御し、制御アーム1314a、1314bに検出器1312a、1312bを所望の位置に移動させ、各位置でイベントデータ1334を取得させることができる。イベントデータ1334は、メモリ1330に記憶され得る。制御プログラム1332はまた、イベントデータ1334から断層画像1336を生成し、本明細書に記載されるように断層画像1336を組み合わせるために実行されてもよい。
【0050】
端末1350は、システム1320に結合されたディスプレイ装置および入力装置を備え得る。端末1350はメモリ1330に記憶された断層画像1336を表示することができ、表示された断層画像内の関心領域を識別するオペレータ入力を受信することができる。いくつかの実施形態では端末1350が限定はしないが、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、およびスマートフォンなどの別個のコンピューティングデバイスである。
【0051】
システム1300の構成要素の各々は、その動作に必要な他の要素、ならびに本明細書で説明する機能以外の機能を提供するための追加の要素を含み得る。
【0052】
本明細書で説明される各機能構成要素は少なくとも部分的に、コンピュータハードウェア、プログラムコード、および/または当技術分野で知られているようなプログラムコードを実行する1つ以上のコンピューターシステムで実装され得る。そのようなコンピューティングシステムは、メモリシステムに記憶されたプロセッサ実行可能プログラムコードを実行する1つ以上の処理ユニットを含むことができる。
【0053】
前述の図は、いくつかの実施形態によるプロセスを説明するための論理アーキテクチャを表し、実際の実装形態は、他の方式で配列されたより多くのまたは複数の構成要素を含み得る。他のトポロジは、他の実施形態と併せて使用されてもよい。さらに、本明細書で説明される各構成要素またはデバイスは、任意の数の他の公衆および/またはプライベートネットワークを介して通信する任意の数のデバイスによって実装され得る。そのようなコンピューティングデバイスのうちの2つ以上は、互いに離れて配置されてもよく、任意の既知の方法のネットワークおよび/または専用接続を介して互いに通信してもよい。各構成要素またはデバイスは、本明細書で説明する機能ならびに任意の他の機能を提供するのに適した任意の数のハードウェアおよび/またはソフトウェア要素を備え得る。例えば、いくつかの実施形態によるシステムの実装において使用される、任意のコンピューティングデバイスは、コンピューティングデバイスが本明細書で説明されるように動作するように、プログラムコードを実行するためのプロセッサを含み得る。
【0054】
本明細書で説明するすべてのシステムおよびプロセスは、1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体上に記憶されたプログラムコードで実施され得る。そのような媒体は、例えば、ハードディスク、DVD-ROM、フラッシュドライブ、磁気テープ、およびソリッドステートランダムアクセスメモリまたはリードオンリーメモリ記憶ユニットを含むことができる。したがって、実施形態は、ハードウェアとソフトウェアとの任意の特定の組合せに限定されない。
【0055】
当業者であれば、上記の実施形態の様々な適応および修正が、特許請求の範囲から逸脱することなく構成され得ることを理解するのであろう。したがって、特許請求の範囲は、本明細書に具体的に記載されたもの以外にも実施され得ることを理解されたい。

図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図11
図12A
図12B
図12C
図13
【国際調査報告】